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1978-06-06 第84回国会 参議院 外務委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月六日(火曜日)    午前十時一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安孫子藤吉君     理 事                 稲嶺 一郎君                 鳩山威一郎君                 戸叶  武君                 渋谷 邦彦君     委 員                 大鷹 淑子君                 亀井 久興君                 永野 嚴雄君                 町村 金五君                 三善 信二君                 小野  明君                 田中寿美子君                 矢追 秀彦君                 立木  洋君                 和田 春生君                 田  英夫君    国務大臣        外 務 大 臣  園田  直君    政府委員        外務政務次官   愛野興一郎君        外務省中近東ア        フリカ局長    千葉 一夫君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        外務省アメリカ        局北米第一課長  渡辺 幸治君        運輸省航空局監        理部国際課長   山田 隆英君        運輸省航空局飛        行場部東京国        際空港課長    松尾 道彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○航空業務に関する日本国イラク共和国との間  の協定締結について承認を求めるの件(内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  航空業務に関する日本国イラク共和国との問の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 立木洋

    立木洋君 イラク航空協定の問題に関連して、幾つかの航空協定の問題、成田騒音問題等々でちょっとお尋ねしたいんです。  一つは、ことしの三月からでしたか、香港バンコク経由航空ベトナムやラオスの上空を通れるようになったというふうなことで、燃料問題その他が節約できるようになってきたと思うんですけれども、現在、日航全日空が月一回ベトナムに対して着陸する許可ベトナム側から得ているという状況ですが、ベトナムとの航空協定の問題について、政府としては、現在、どのように考えておられるのか。それから、この便をもしかつくるとするならば、需要状況だとかというふうなものがどうなっているのか、現在、航空協定が結ばれないまでも月一回の着陸許可を得ているというふうな問題をさらに広げていく考えがあるのかどうなのか、その点最初にお尋ねしたいんですけれども
  4. 愛野興一郎

    政府委員愛野興一郎君) わが国は、ベトナムとの間におきまして、航空関係のみならず、すべての分野関係緊密化が望ましいと考えておるところであります。  いま立木先生が言われましたように、ベトナム問には、現在、日航及び全日空がホーチミン市への不定期便乗り入れを行っておるところでありますけれども、今日現在のところにおきましては、先方からの希望もないわけでありますし、また、わが方からもベトナム定期空路乗り入れるという予定はないわけであります。  なお、わが国は諸外国との新規の航空協定締結するか否かを決めるに当たりましては、両国間の航空需要見通しや、わが国航空企業事業計画等を踏まえて対処していきたい、こういうふうに考えておるところでありますけれどもベトナムに関しましては、これらの観点から判断いたしまして、まだ航空協定締結するには時期尚早である、こういうふうな観点に立っております。
  5. 立木洋

    立木洋君 状況が進んで、仮にベトナム側からそういう申し入れがあれば、検討する用意はあるというふうに理解していいですか。
  6. 愛野興一郎

    政府委員愛野興一郎君) ベトナムからそういう申し入れがありました場合におきましては、先ほど申し上げましたように、この両国間の航空需要見通し、あるいはわが国航空企業事業計画等を踏まえて検討をしていきたい、こういうふうに考えております。
  7. 立木洋

    立木洋君 次に、日米間の民間航空協定の問題について、御存じのように、大分長期間交渉が進められてきたわけですけれども、この中できわめて日米間の民間航空協定の内容というのが不平等である。この点については政府としても何回か述べられている点でもありますし、発着地点にしても、便数にしても、あるいは以遠権の問題にしても、また事後審査ですか、ですから事実上自由に増便ができるような状態にもなっているというふうな問題等々があって、この問題は非常に大きな問題になっておると思うんですね。これがわが国航空運輸行政という点から見て、やはりきわめて好ましくないんではないか。  運輸省の方にお尋ねしたいんですけれども、こういう日米間の民間航空協定不平等性というのは、わが国航空運輸行政という観点から見てどういう点で問題があるというふうに考えられているのか、あるいはどういう影響が現在あるというふうに判断されているのか、その点お尋ねしたいんです。
  8. 山田隆英

    説明員山田隆英君) ただいま先生からも御指摘がありましたように、日米航空交渉といいますのは、日本側が、現在日米間に存します路線権であるとか、あるいは以遠権であるとか、輸送力等に関します不均衡是正を求めておるのに対しまして、米国側は、国際線チャーター自由化であるとか、あるいは太平洋市場への低運賃の急速な導入等を要求して、両者の間の見解が大きく隔たっております。  私どもとしては、ただいまお尋ねの国内航空行政との関係では日米航空交渉というものは直接には関係がないというふうに考えております。私どもとしては、米国との間に現在の日米航空協定に変わる新しい一つ国際航空秩序を打ち立てていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  9. 立木洋

    立木洋君 直接関係がないというふうに言われるけれども、実際、不定期便増便要求だとか、新たに今度の交渉の結果でもチャーター便自由化の問題だとか、現に現在の状態だけでも事実上空路一本でしょう、成田は、これは大変な事態にある。いままでも、事実上、結局事後審査という形になれば、自由に増便できるというふうな問題もあり、アメリカ側から強く要望されればそれも受け入れざるを得ないというふうな、そういう状態になっておる問題というのが航空運輸行政について全く至当であり問題がないというふうに言われるのはいささかおかしいんじゃないですか。
  10. 山田隆英

    説明員山田隆英君) 確かに、日米間では、現在、自由増便権取り決め上認められておりますが、御承知のように、日本空港といいますのは、成田にいたしましても大阪にいたしましても非常な制約を持っております。そこでそういった空港の能力からの制約自由増便権が事実上制約を受けているという点は御指摘のようにございますし、また、われわれもそれを米側にもそういう事情をよく説明して、実際問題として現在の日米間の取り決めにもかかわらず双方自由増便権空港主からの制約を受けている、こういうような事情にあるわけでございます。私どもとしては、今後、日米航空交渉の中で、そういった日本事情もよく米国理解してもらいまして、そしてそれに合ったようなそういう日米間の航空関係取り決めていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  11. 立木洋

    立木洋君 この点、後でもう少しお尋ねしたいと思うんですけれども、いま大きな問題になってきている成田騒音問題ですね、これは当然旅客や燃料を満タンにすれば機体も重くなって騒音が大きくなるというふうなことは最初から理論的にもはっきりしておった点だと思うんです。  そこで、現在のA滑走路における予測コンターに基づく線引きについてお尋ねしたいんですけれども、これは成田市や住民団体による騒音結果を見ますと、ほとんどの地点テストフライト時を大きく上回る騒音値である。当然、現在の予測コンターについて見直しをした上で、住民騒音被害環境破壊に対して具体的な救済措置を早急に講ずべきではないかというふうに思うんですけれども、この点についてはどういうふうにお考えになっているのか。
  12. 松尾道彦

    説明員松尾道彦君) 昨年の騒音テストは、昨年八月、十二月とジャンボあるいは8を使ってやったわけでございますが、この段階におきましては、成田燃料がないために最大着陸重量の限度でやらざるを得なかったわけでございます。これはたとえば香港ルートに現在就航している実機と同じぐらいの重量でございますんですが、いま実際に開港を二十日にやりました後に飛んでいます重量は、確かにそれを上回る重量で飛んでおりますので、昨年よりも、実測の結果、音が大きいことは事実でございます。  今後、私どもとしましては十分、公団の方で先月、五月の下旬から六月にかけまして約一週間連続調査した数字では、私どもが現在線引きしている騒音区域修正するほどのものではないというふうな現段階ではございますが、さらに、引き続き、今後実態を調査の上、もし修正の必要があれば、この問題を前向きに検討していきたいというふうに考えておる段階でございます。
  13. 立木洋

    立木洋君 この問題は、地元の方々のお話では大変だというわけですね。そういう点もちろん調査なしに見直しというふうなことにはならないでしょうけれども、至急見直しをやって、調査をされて、そして十分な住民のいわゆるそういう環境破壊等々の問題を考慮に入れて検討し直すというふうな点で努力をしてもらいたいと思うんですがね。  それから、先ほど言いました日米航空協定に関する増便の問題ですが、言うまでもなく、この点についてはわが国にとっては非常に不平等であるというふうなことは言うまでもないわけですけれども、先ほど言いましたように、現在の非常に大きな問題となっている騒音問題が成田で問題になってきている。だから、この問題をこのままにしておいて、引き続いてアメリカ側増便を認めるというふうなことになると、これはますます問題が大変なことになってくるんだろうと思うんですね。ですから、こういう騒音問題についてはきちっとやっぱり解決する、それまではアメリカ側からの増便問題については認めないというふうな点ははっきりさしておいていただきたいというふうに思うんですけれども、この点について政府考え方をお尋ねしておきたいんです。
  14. 山田隆英

    説明員山田隆英君) ただいまおっしゃいましたような騒音問題あるいは環境問題から米側増便権を認めないようにしたらどうかというお話でございますが、現在の航空協定では、これは日米航空協定のみではございませんが、それぞれ便数取り決めをしているのが普通でございます。それから、アメリカの場合は、ただいまおっしゃいましたように、原則として自由増便を認めておる。この場合に、協定上認められた増便については私どもとしては原則としては相手方増便要求を認めざるを得ないというふうに考えております。  ただ、それが騒音問題上非常に問題がある場合には、相手方にいわば自粛を求めるという、日本側事情を十分理解してその増便要求に対してある程度の修正を求めるということはできるかと思いますが、一切増便を認めないということは、一応両国間でそういった取り決めがある以上は、私どもとしてはできないというふうに考えております。
  15. 立木洋

    立木洋君 それも結局現在存在している協定の結果だと、結果に基づかざるを得ないという判断だと思うんですが、外務省の方にお尋ねしますけれども、一昨年の十月から開始されて、ことしの三月まで六回にわたる協議が続けられてきて、事実上いま意見が一致せず、中断状態になっておる、中断といいますか、もっと強く言えば決裂状態になっているというふうに言ってもいいのかもしれませんけれども、この六回にわたる交渉の中で、アメリカ側が提起してきた主張というのはどういう主張なのか、それから日本側としてはその中でどういう主張をしたのか、その両者主張問題点をちょっと説明していただきたいんですが。
  16. 渡辺幸治

    説明員渡辺幸治君) 先生指摘のとおり、日米航空関係の現状については、路線権以遠権等分野米側に有利、日本側に不利になっている、すなわち両国間の航空権益に不均衡が生じているというのが日本側基本的立場でございまして、このような不均衡是正するために、五十一年の十月以来、先生指摘のとおり、六回、米国政府との間で協定改定のための交渉を行ってきているわけでございます。  この交渉において、問題点はほぼ出尽くしておりまして、この点は、この間、三月の十五日から約二週間にわたってワシントンで開かれました交渉でそういう全貌が明らかになってきたわけでございますけれども山田課長から御指摘がありましたように、日本側は、米国内の乗り入れ地点増加以遠権の獲得ということを要求しているのに対しまして、米側は、チャーター便自由化、低運賃の実現、さらには成田大阪等における枠の増加ということを求めてきているということで合意に至らなかったわけでございます。  大体、以上のような問題点が明らかになっておりますので、日米双方でそれぞれ十分に検討した上で、秋以降に再び交渉を再開するという段取りになっているわけでございます。
  17. 立木洋

    立木洋君 そのこちら側が主張した発着地点の問題や以遠権の問題については、全く認められないという主張アメリカ側がしているのか、あるいはそれとの交換的な条件を何か持ち出しているのか、その点はどうですか。
  18. 渡辺幸治

    説明員渡辺幸治君) アメリカ側現行日米航空関係において日本側主張している不均衡という点については理解するという立場でございます。したがいまして乗り入れ地点の問題あるいは以遠権の問題について考慮する用意はあるということでございます。それに対して、アメリカ側としても、日米航空関係の拡大のためにチャーター自由化あるいは低運賃導入ということを求めてきているということでございます。
  19. 立木洋

    立木洋君 この一年半にわたる交渉経過を見てみますと、当初、昨年の三月、福田総理カーター大統領会談をされた、そのときの共同コミュニケの中でも、日米航空問題について公正な解決を目指して緊急な協議と協力を行うということがコミュニケの中でも述べられている。これは当然会談の席上で問題になったから、そういう形でコミュニケに記載されたんだろうと思うんですけれども、そして昨年の七月の段階では、昨年末までに交渉をまとめるというふうなことで一応の合意ができた。そういうような両国最高首脳話し合いをし、そしてしかも年末には合意を見るためにやろうということで一致しておきながら、さらにそれが引き続いて今日に至っても交渉がこういう形で中断しておるというふうな原因というのはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
  20. 渡辺幸治

    説明員渡辺幸治君) その点につきましては、先ほど申しましたとおり、日本側主張、すなわち路線権以遠権輸送力の三点に対する主張があることは米側は十分承知して、ある程度の理解を示しているわけでございますけれどもアメリカ側主張でありますチャーター自由化あるいは低運賃導入、さらには成田大阪における空港使用問題について意見の調整がむずかしいということで今日に至っているというわけでございます。
  21. 立木洋

    立木洋君 ことしの三月、第六回目の会談というのが、いま言われたような最終的な意向というのがはっきりなされて、事実上それが合意に至らない。そういう中で、ことしまた福田総理カーターと会っているわけですね。この福田カーター会談では、そういうふうな昨年日本側としても直視してその問題を首脳会談でも取り上げて共同コミュニケにまで述べられておったわけですけれども、今度の福田カーター会談では、この問題については何らかの主張をなさったのかどうなのか、あるいは主張されたけれども、一致しなかったのか、そのあたり経過はどうなっていますか。
  22. 愛野興一郎

    政府委員愛野興一郎君) 総理カーター会談は、日米両国の二国間の話し合いというよりも、日米関係の国際的な重要地位に照らしまして、年一回程度は、世界の重要な問題について大所高所から意見を交換する、こういう基本的考え方に基づいて行われたものでありますから、差し迫った日米二国間の話し合いカーター福田会談では行われなかったわけであります。しかしながら、外務大臣バンス長官会談におきまして、この日米航空協定の問題につきましては日米双方が今日まで前向きの積極的な努力をしてきたわけでありますから、今年の秋行われる会談においては、十分ひとつ不平等是正して、日本立場理解した上でこの解決を積極的に外務大臣が要請をバンス長官にいたした、そういう経緯であります。
  23. 立木洋

    立木洋君 これはもうちょっとその点お尋ねしたいんですけれども、昨年一応努力するという方向が出されて、年内にということがありながら、なかなかうまくいかないという点については、新聞なんかの報道によりますと、アメリカ側としては、この航空協定だけの問題ではなくして、その他の経済や通商問題等々と絡めて解決したいというふうな意向がいろいろ示されているようですし、また、日本側としても、いまこの問題だけで強引に交渉を進めるというのは時期的にまずいんではないかというふうな判断もあるかのように新聞紙上では書かれているわけですね。  これはこの問題として、いままで政府自身がそういうその他の経済問題と絡めてやるということではなくて、この不平等性是正するということに全力を注いで至急解決しなければならない問題としていままで政府としては取り組むという立場であったと思うんですけれども、こういうふうな報道を見てみますと、やはりアメリカ側に対しては弱腰だというふうなそしりを免れないようなことも出てくるんではないかと思うんですけれども、このあたり基本的な考え方交渉姿勢というのはどうなんですか。
  24. 愛野興一郎

    政府委員愛野興一郎君) 日米航空交渉は、日米間に存する航空権益の不均衡是正を目的としておるものでありまして、この日米貿易経済関係全般とは直接関係がないものと理解をいたしております。したがって、そういう観点から外務省運輸省といたしましても、毅然としたいわゆる不均衡是正交渉をいたしてまいりましたためになかなか合意を見ておらないわけでありますから、今秋行われます日米航空交渉におきましても、日米経済全般の問題とは切り離して、日米航空協定の不均衡是正のために毅然としてこの交渉に当たる、こういうのが外務省立場であろう、こういうふうに理解をいたしております。
  25. 立木洋

    立木洋君 いままでの一年半にわたる交渉経過を見てみますと、アメリカ側からサイパン路線等々の要望が中途で出されてきて、日本側としてはある程度アメリカ側要望も入れるならば、その他のこちらの主張についてもアメリカ側にも歩み寄ってもらえるのではないかというような交渉姿勢ではなかったかと思うんですがね。しかし、実際にサイパン路線の問題でアメリカ側要望を入れたにしても、事実上、第六回の会談で見られた結果というのは、御承知のように、さらにより強い要望というのをアメリカ側としては出してきておる。  ですから、この問題でこの一年半の交渉経過全体をもう一遍よく検討してみる必要があるんではないか。どういう点で交渉日本側として主張している点が十分に貫くことができないのか、どういう点に問題があるのか。もちろん、これはさっき言われたチャーター便自由化や低運賃の問題等々が出されてきて、その点で折り合いがつかなかったからと、それは形の上ではそうなっていますけれども、その問題に取り組む日本側姿勢の問題として、基本のどこがネックになっているのか、それをどう取り除いていく努力をされるのか、その点をもう少しはっきりさしておいていただかないと、これはいつまでもたっても解決がつかないんじゃないかと思うんですね。
  26. 渡辺幸治

    説明員渡辺幸治君) 先生指摘のとおり、昨年七月の交渉の一環といたしまして、米側企業、具体的にはエア・ミクロネシアという航空会社サイパンからの東京乗り入れを認めたわけでございます。これを認めた背景としては二つございまして、一つは、日米現行航空協定上、サイパンからの乗り入れの権利はそれを認めざるを得なかったということが一つでございます。それからもう一つは、先生指摘のとおり、米側航空協定改定交渉というもののテーブルに着かせるために認めたという面もございます。他方、日本側といたしましては、日本航空サイパン東京大阪路線というものを獲得したということでございまして、サイパン路線米側に対する認可ということが一方的な譲歩であるというようには私ども考えていないわけでございます。  御指摘のとおり、七月の後、十月に再び交渉をいたしまして、さらに三月に交渉しているわけでございますけれども、先ほど申しましたような日米の問に見解の隔たりがあるということで、十分相互にそれぞれ検討して、この秋の交渉に臨もうということになっている次第でございます。
  27. 立木洋

    立木洋君 最終的にアメリカ側が出してきたチャーター便の問題や低運賃の問題や成田大阪空港の問題ですね、この点についてはもちろんことしの秋までに政府としてもきちっとした方針を持って、それで交渉に臨むということになるんでしょうけれども、その点の検討進行状況はどうなっているんですか。
  28. 山田隆英

    説明員山田隆英君) いま米側日本側に求めておりますのは、チャーターのいわば完全な自由化というようなこと、それから運賃につきましては企業が自由に判断するような低運賃を無制限に入れるというような、そういう主張をいたしております。私どもとしては、たとえばチャーター規制緩和あるいは低運賃導入というものについて必ずしも全面的に反対しておるわけではございません。航空局といたしましても、それなりにチャーター規制緩和あるいは低運賃導入ということは従来から検討しておるところでございます。  そこで、ただ米国と違いますのは、米国のはいわば無制限の自由化といいますか、それに対しますわが方の考え方は、一定の秩序のもとにおける自由化というようなことかと思いますが、私どもとしては、米側主張をそのまま取り入れるというのは市場を混乱させるおそれもありますので、それを受け入れることは不可能でございますが、それぞれ日米市場に適したような形でのチャーター自由化あるいは低運賃導入というものを私どもとしては検討していきたい、こういうふうに考えております。
  29. 立木洋

    立木洋君 私は、この日米航空協定の問題に関する交渉経緯を見てみますと、やっぱりいまの不平等性のきわめて強いこの航空協定の枠内で交渉を続けていく、それを着手どうするかという形ではやっぱり根本問題というのは解決できないだろう。これはイギリスやイタリアなんかの例を見ても、いわゆるそういう航空協定不平等な点については、それが破棄なされて、新しい航空協定を結ぶというふうな態度もとっているわけですし、日本の場合で言えば東京が事実上アジアの飛行機乗り入れの窓口みたいになっていますから、それは交渉する上で非常に有利な立場に立つことができるということはあり得るわけですし、何もこれで破棄してしまったからといって関係が断絶するとかというふうな問題になるような性格ではありませんし、事実上そういう不平等性があり得るということについてはアメリカ側もその主張を認めているならば、この点についてはやはり破棄をも辞さないという明確な態度をとって強力に交渉に臨む必要があるだろうと思うんですが、いままでもこの問題については運輸委員会やその他外務委員会等でも何回か議論されてきたところでありますけれども、いままでの交渉経過を見て、やっぱりそういう問題まで検討することが必要な時期に来ておるんじゃないかと思うんですけれども、その点いかがでしょうかね。
  30. 愛野興一郎

    政府委員愛野興一郎君) 去る三月までの交渉時期を通じまして両国間の問題点が明らかになっておるわけでありますから、それを十分検討をした上で両国が次回交渉に臨むこととなっておるわけでありますから、わが方といたしましては、両国間の航空権益の不均衡是正のために場合によっては廃棄をも辞さないというような毅然たる態度で取り組む所存でありますが、今日現在、この協定を廃棄するというような具体的な措置は考えていない、こういうことでございます。
  31. 立木洋

    立木洋君 あと大臣が来て二、三問やります。
  32. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  33. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 速記を起こして。
  34. 立木洋

    立木洋君 大臣、いま日米民間航空協定の問題できわめて不平等性が多いので、これの是正ということで一昨年の十月から約一年半にわたって六回にわたる交渉を続けてきた。昨年の三月、福田総理カーター大統領と会ったときも、この問題が提起され、共同コミュニケの中にも入っておりますし、また、先ほどのお話では、大臣もバンス長官と、この問題についてことしの秋に協議を再開してやろうではないかというふうなお話し合いになっておるということなんですが、しかし、一年半もかかって最終段階の第六回目に出されてきた内容と言えば、新たな要求がアメリカ側からも提起されて非常に交渉が行き詰まっておる。一年半にわたってこの不平等性是正するという点で努力をすると言いながら、事実上、その効果が上げられていない。この交渉経過について大臣はどのように評価されておられるのか、その点を最初にお尋ねしておきます。
  35. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 本協定改定交渉については御承知のとおりでありますが、抜本的な見直しを行った上改定しょうとしておるわけでありますけれども、現在、国際航空体制が世界的に過渡期にある。チャーター便自由化、低運賃導入などの問題のあり方について各国で検討がされておる状況でありますが、その状況が各国の持っておる、特に日本米国の持っておる航空体制というか、能力に相当差があるということも一つの原因であります。  わが方としては、去る三月の交渉を通じて明らかとなった問題点日米双方が十分検討した上で、次回交渉に臨むこととしておって、いずれにしても日米間の航空権益の不均衡是正のため毅然たる態度で取り組む所存でございます。
  36. 立木洋

    立木洋君 先ほどもいろいろ大臣おいでになる前にお尋ねしたんですけれども、現在の日米航空問の不平等という点から言えば、わが国航空運輸行政という観点から見ても、また国際的な新たな航空秩序を確立していくという点から見ても、これはきわめて好ましくない問題だろう。  それから、特に米軍の専用管制空域がわが国には相当存在していますし、また、民間航空でも、事後審査ということで事実上増便できる。成田騒音問題というのが大きな問題になっており、事実上また空路が一本しかないわけですから、ここに増便が要求されてきてもなかなかむずかしい点もある。しかし、協定自身がそういうたてまえになっておる点から言うならば、これについてはなかなか拒否することもむずかしいというのが運輸省の方の見解としては出されているわけですけれども、ことしの秋に実際にその問題について明確にこの不平等性ということを是正する見通しがあるのかどうなのか。これまたずるずるいったんでは大変な事態になってくるだろうと思うのですけれども、そういう強い決意で臨まれるとしても、見通しがあるのかどうなのかという点が大きな問題になるだろうと思うんです。  いままでも裁判権の問題だとか、日米の漁業協定の問題でも、大臣自身、問題があるということを認められ、特定の国に対して弱腰であってはならないということも大臣が言われたことがあるわけですし、この航空協定の問題についてはしっかりとした見通しが立たないと大変な事態になるということを考えるならば、これは早急に解決しなければならない問題として取り組んでいただかなければならないと思うんですけれども、その見通しの点についてはいかがでしょうか。
  37. 渡辺幸治

    説明員渡辺幸治君) 日米航空関係については、不均衡是正という観点から日本側は取り組んでいるわけでございますけれどもアメリカ側は、先ほど来御説明申し上げましたとおり、チャーター自由化、低運賃導入あるいは成田大阪等における発着枠の確保という点で、率直に申しまして相互の見解にはかなり隔たりがあるということでございます。かかる双方立場を踏まえて、しんぼう強く毅然たる態度交渉を続けるということが私ども基本的立場でございます。
  38. 立木洋

    立木洋君 大臣、毅然たる立場で臨むということは毎回聞くわけですよ。毎回問いても、結局、ずるずるいってうまくいかないということになってきたのがいままでのあれだと思うのですね。一年半の交渉経緯を見ても、ますますその隔たりが大きくなるという状態であっても煮詰まっていくというふうな状況ではありませんし、そういう点ではやっぱり日米民間航空協定不平等な枠内で交渉を進めていくというふうな姿勢ではだめではないだろうか。  イタリアやイギリスの例を引くまでもなく、やっぱりそういう不平等航空協定は破棄をして、新しい対等の航空協定を結ぶというぐらいの強い姿勢で臨まないといけないと思うのですね。で、それは航空協定を破棄しても、東京はアジアの空路の窓口ですし、相当強い交渉力、交渉を展開できる立場を持つことができるわけですし、そういう点では、大臣がやはりこのあたりで決断をして、こういう不平等航空協定というものは破棄をする、新しいテーブルに着いて航空協定の新しい取り決めに取り組むという決意を持ってしかるべき時期に来ておるんではないだろうか。そうしないと、いままでの一年半の航空協定交渉経緯を見てもはっきりしていますように、秋に交渉をやっても依然として解決できないという形でずるずると延びていくということはもうほとんど目に見えているんではないだろうかというふうに思うわけですけれども、この点の大臣の決断をしていただきたいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
  39. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) 英国と米国が一時破棄した例がございますけれども米国と英国の関係ではチャーター自由化及び低運賃導入について共通の基盤があらたのでありますが、日本米国では共通の基盤がありません。むしろ日本の運送力それから航空力の整備等で隔たりがあるのでありますから、英国同様に破棄をした場合には、またいろいろ問題が出てくるわけであります。米国の方では一日も早く進めたい、こちらの方はそれをどんどん延ばしているわけでありまして、そういうわけでチャーター及び運賃立場を大きく異にしている、こういうことでありますから、破棄した場合のことを考えるとなかなかこれは問題でありますから、そういう決意で臨んでおりますけれども、秋には何とかしたいと思っております。
  40. 立木洋

    立木洋君 これ以上お尋ねしても結局同じ御答弁だろうと思うのですけれどもチャーターの問題にしても低運賃の問題にしてもまた別の問題であるわけですし、そういう力の違いがあるという点はあるでしょうけれども、しかし、今後の新しい国際的な航空秩序という問題を考えてみても、日本航空運輸行政という観点から考えてみても、現在の不平等性というものは何としても取り除かなければならない。  これは先ほど言われましたように、抜本的な見直しということは、言葉をかえて言えば、この不平等協定を破棄する、そして新しい対等な形での協定を結ぶという意味にも理解できるわけですね、抜本的な見直しという点では。だから、そういう強力な立場でこの問題については何としても努力をしていただきたいということを重ねて要望しておきたいわけですが、最後に大臣のその点についての御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
  41. 園田直

    ○国務大臣(園田直君) そういう決意で努力いたします。
  42. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。  航空業務に関する日本国イラク共和国との間の協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方は挙手をお願いします。   〔賛成者挙手〕
  43. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。  本号はこれにて故八六をいたします。    午前十時五十三分散会