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1978-05-25 第84回国会 参議院 外務委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月二十五日(木曜日)    午前十時十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安孫子藤吉君     理 事                 稲嶺 一郎君                 鳩山威一郎君                 戸叶  武君                 渋谷 邦彦君     委 員                 大鷹 淑子君                 亀井 久興君                 小野  明君                 田中寿美子君                 立木  洋君                 和田 春生君    国務大臣        外 務 大 臣  園田  直君    政府委員        外務省条約局外        務参事官     村田 良平君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        外務省経済局外        務参事官     羽澄 光彦君        外務省国際連合        局外務参事官   小林 俊二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○千九百七十七年の国際砂糖協定締結について  承認を求めるの件(内閣提出) ○航空業務に関する日本国イラク共和国との間  の協定締結について承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付) ○連合審査会に関する件 ○国際情勢等に関する調査  (国連軍縮特別総会に関する件)  (日中平和友好条約締結問題に関する件)     —————————————
  2. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  千九百七十七年の国際砂糖協定締結について承認を求めるの件を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います
  3. 立木洋

    立木洋君 国際砂糖協定に入ります前に、二、三日中平和友好条約の問題でお尋ねしたいのです。  最近の新聞報道によりますと、政府の方でも交渉再開に踏み切るということで積極的な動きが開始されているわけですが、どういうふうな見通しでお進めになっておるのか、その段取り計画等々について最初にちょっとお尋ねしたいのですが。
  4. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいま党の最終的な交渉再開の了解を得るために、総理が先頭に立って努力をしておられまして、だんだん進んでまいりまして最後段階になりまして、きょう、あすにこの結論が出るのではなかろうか。私がお許しを得て日曜日には出発をいたしますので、その前に段取り相談をして出かけなければならぬということで急いでおるわけでございます。  党の方で御了承があれば、その後、段取りをやるわけでありますが、総理がすでに言われておりますのは、総理皆さん方に公式の場所でいつこれを表明するかということが第一。それから野党の方々外務大臣が御報告することが第二。それから向こう申し入れをする。その申し入れをできれば来週中にもしたいというのが総理の御意向でありまして、それから後の段取りについてはもうしばらく御勘弁を願いたいと思います。
  5. 立木洋

    立木洋君 二十八日、大臣アメリカにお立ちになって、当初、向こうに行かれたときには中国外相とも話し合いをするような話も新聞紙上では見たわけですけれども、向こうに滞在する期間というのが非常に短いということもあるわけですが、向こうにおいでになって中国外相と会われて話し合いをなさるような計画がおありになるのかどうなのか、その点はいかがでしょうか。
  6. 園田直

    国務大臣園田直君) 御承知のとおりに、各国から首脳者外務大臣が全部集まるわけであります。三十日に私が演説いたします日にちの前後も相当外務大臣その他が集まるわけで、各所からぜひ一時間でもいいから会いたいという申し出も相当あるわけでありますが、私としてもできるだけたくさんの方とごあいさつだけでもしていくことが将来の日本外交のためでございますからと考えておりますが、実は、国会のお許しを得て無理して行くわけでございますので、どうしても一日の朝までには帰ってこいということで貨物便で帰る、こういうことで、世界各国から来ておる首脳者方々をお招きしておる会等も丁重にお断りをするような状態で、なかなか時間がないと思うわけでありますが、寸暇を惜しんで許されるだけいろんな方々とごあいさつをして帰りたいという考え方を持っております。
  7. 立木洋

    立木洋君 いろいろ新聞紙上でのあれを見ますと、交渉再開条約締結と結びつけるのか切り離すのかというふうなこともいろいろ問題になって報道されておりますけれども、この辺のお考えというのはもう大体固まったわけでしょうか。
  8. 園田直

    国務大臣園田直君) これはいままでが長かったものですから、いろいろ御質問を受けるわけでありますが、当然、交渉再開するについては締結のために再開するわけでありますから、交渉再開締結ということが切り離して考えられることばない。ないということは、事実やはり常識上そういうことは通りませんので、交渉再開締結のために再開する、こういうわけでございます。
  9. 立木洋

    立木洋君 交渉再開が間近に迫った時点内容なんかの点についてはなかなか答弁いただくのはむずかしいかもしれませんけれども、総理大臣お話では、双方が満足する形で、そして日本側として主張すべきことはきちっと主張するというふうなお話なんですが、内容の点に関連して、日本政府の基本的な考え方といいますか、それから主張すべき点は主張するというのはどういう主張をなさる御予定なのか、そういう点についてお話を聞かしていただければお答えいただきたい。
  10. 園田直

    国務大臣園田直君) 一に六年前に締結された日中国交正常化の際の共同声明、この線に従って交渉を進めていく、このように考えておるわけであります。双方満足ということがありますが、両方の言い分が違っているところもいろいろあるわけでありますから、双方が納得できるかっこうだというのが、解説をすれば、そういうことになると存じます。
  11. 立木洋

    立木洋君 それから、これも新聞報道によって、直接政府側からお聞きしたわけじゃないですけれども、この間、日米首脳会談でいろいろ話し合いをなさったときに、アメリカとしても反覇権の点については積極的に賛成されたというふうな報道も見たんですが、それが事実なのかどうなのか。それからアメリカ側覇権条項の問題を条約に含めるという点に賛成された意思政府としてはどのように判断されているのか、その点について。
  12. 園田直

    国務大臣園田直君) 米国の方では、覇権については上海共同声明に書いてあるので異存はないという御意向のようであります。われわれとしては、米国政府意向表明がないうちに先に締結をしたかったわけでありますけれども、しかし、米国意向表明されたからといって障害になるわけでもないし、またこれによって勇むわけでもございませんので、既定の方針のとおりやっていく所存でございます。
  13. 立木洋

    立木洋君 それから、先般もお尋ねしたんですけれども、尖閣列島領海侵犯の問題ですね、あれにもう政府側としては決着をつけたというふうに御判断なさっておられるのか、あるいは交渉が再開された時点で、政府側としては、中国側に何らかのお話をなさるふうに考えておられるのかどうなのか、その点についてはいかがでしょうか。
  14. 園田直

    国務大臣園田直君) 尖閣列島周辺に起きた事件そのもの解決をしたと思っております。そこで、この取り扱いについては、御存じのとおり共同声明のときの原状に復する、こういうことでありますので一応これは解決をした、このように考えております。
  15. 立木洋

    立木洋君 かつて、一時期、日中両国間できわめて不幸な歴史的な時期があったわけですが、今度の日中平和友好条約によって恒久的な両国の平和的な関係、友好的な関係が一層発展できるように今度の条約というのは非常に重要な意味を持っていると思うんです。ですから、政府としてもその点を十分に踏まえていただいて、積極的にその平和五原則に基づく友好関係発展のために、そして条約締結のために内容をきちっとして努力されるように、最後に要望しておきたいと思うんです。  それで砂糖協定の問題ですが、いただいた資料を見せていただきますと、この間も戸叶先生質問答弁があって聞いたわけですが、キューバからの砂糖輸入ですね、これが当初四十数%という非常に高い比率を日本の場合には占めておったわけですけれども、これが二、三年前から急激に減少したというふうな状態になっているわけですね。どういうところでこういうふうにキューバからの砂糖輸入というのが急激に減少したのか、その原因についてちょっとお尋ねしたいんです。
  16. 羽澄光彦

    説明員羽澄光彦君) 先生おっしゃいましたとおりに、七四年まで大体百万トンだったんですが、その後十万トン程度までに減少いたしましたけれども、その理由は、大体フィリピンとかタイとかブラジル等からの砂糖の方が価格等の面において、キューバより有利であったために転換されたというふうに私どもは承知いたしております。  しかしながら、最近になりまして、また若干情勢キューバにとって好転しております。と申しますのは、七八年、七九年、八〇年の三年にわたりまして長期契約ができまして、その間は年間三十万トンの輸入をすることになっております。したがいまして当初十万トンまで落ちたのがこの三年間については少くとも三十万トンの輸入キューバにとって確保されておると言うことができます。その以降どうなるかということにつきましては、やはりそのとぎの市況とかたんかを見ないと、ちょっといまからは判断しかねるという状況だと思います。
  17. 立木洋

    立木洋君 契約を結んで三十万トン確保されるという状態になっているわけですが、七四年の場合には百二十一・五万トンですか、これが最高だったと思うんですけれども、今後将来こういうふうな推移、さらにまたキューバからの輸入がふえる状態にあるというふうにごらんになるのか、あるいは大体三十万トン程度でずっと推移するのか、あるいは減少するのか、その辺の見通しはいかがでしょうか。
  18. 羽澄光彦

    説明員羽澄光彦君) 見通しはなかなかむずかしいんですけれども、国際砂糖協定締結交渉会議の席上でも、キューバとかブラジルとかの今後に占めるシェアにつきまして大分議論がございました。そのときの考え方は、キューバはどちらかと言えば前から強大な砂糖国であったわけですが、ブラジル等の新しい砂糖生産国というのが最近大分のし上がってきておるという状況皆さんの意見は一致しておったと思います。したがいましてキューバがかつて占めたような日本におけるたとえば百二十万トンというような地位に達することは、ブラジル等新進砂糖生産国のあれにかんがみまして困難ではなかろうかと思います。ただ、三十万トンにとどまるのか、三十万トンからもうちょっと上に上がるのかということは、もうちょっと様子を見てみないとわからないと思います。
  19. 立木洋

    立木洋君 それから南アフリカですね、南アフリカからの砂糖輸入というのは、ここ数年間どういうふうに推移しているでしょうか。
  20. 羽澄光彦

    説明員羽澄光彦君) 南アフリカからの砂糖日本向け輸出はかなりふえてきておりまして、たとえば七六年、七七年を見ますと、日本におけるシェアは一六・九%から二二・六%というふうにシェアも増大しております。
  21. 立木洋

    立木洋君 大臣南アフリカという国は御承知だろうと思うんですけれども、つい先日もナミビアで南アフリカの軍隊が入って六百人近くに上る一般住民が虐殺されたというふうなことが新聞でも報道されておりましたし、あそこでは白人の独裁的な支配が、少数政権ですかが確立されて、国内の状態というのも大変厳しい弾圧の状態にあるというふうなことについては、大臣は十分御承知だろうと思うんです。  それで、この問題に関しては、南アフリカとの経済協力、それから貿易を進めておる先進国ですね、六カ国が日本も含めて国連で名指しの非難か行われるというふうな事態もあって、私もいままで外務大臣に何回か南アフリカとの経済関係については、いわゆる多くの国々との友好関係考える場合、国連のそういう意思も十分に尊重すべきではないかというふうなことについては繰り返し述べてきたわけです。政府としても、ああいう人種差別については毅然として反対するというふうなことは繰り返し答弁をいただいたわけですが、しかし、経済関係についてはそれが効果的なのかどうなのかなかなか判断しにくい面もあるというふうな御答弁だったわけですね。  今日の砂糖の問題一つ見ましても、一九七七年、昨年が六十三・一万トン、これがいままでの最高なんですね。だから、そういうふうな国際的な世論の中にもかかわらず、依然として経済関係南アフリカとの間では進んでおるというふうな事態というのは、国連におけるいろいろな趣旨発言等から考えてみても、好ましい状態ではないんではないかというふうに考えているわけですけれども、この点について大臣の御見解と、今後必要な対応策をお考えになっておられるならば、その点について御答弁いただきたいわけですか。
  22. 園田直

    国務大臣園田直君) いま御指摘のとおりに、わが国は、あらゆる人種差別に反対するという立場から、南アアパルトヘイト政策に対して一貫して反対し、その早期撤廃を要求しているところでございます。そういう意味において友好国相談をしている南アとの通常貿易の問題でありますが、現在、面接投資は一切始まっておりません。民間ベースでやっおるわけでありますが、民間ベースの枠内でやっておるということでありますけれども、いまおっしゃったような指摘友好国から受ける可能性もあるわけでありますから、逐次、そういう方針で進めていきたいと考えております。
  23. 立木洋

    立木洋君 これも一九七五年でしたか七六年でしたか、国連特別委員会日本政府代表がこのアパルトヘイトの問題について発言されておりますけれども、こういう人種差別については毅然として反対をする。また日本はすべての国との貿易を拡大していかなければならない立場にあるけれども、南アフリカの場合にはこれは例外である。政府としては南アフリカとの貿易を促進するような特別措置はとっていません、南アフリカへの直接投資も認めていませんというふうな立場を述べられていたわけですけれども、先ほど述べましたように、南アフリカの国がああいう大変な人種差別をやっておる。事実上、それに経済協力ということでなくても、貿易がどんどん拡大していけば、それはそれなりにその国の政策にとって関連がないというわけではございませんので、この点は国際世論主張をよく見きわめていただいて、十分な措置を、もちろん政府貿易をやっているわけじゃありませんけれども、民間にも十分にそういう点をよく理解させ、経済関係についても、なかなか日本政府としては経済措置をとるということに賛成されないようでありますけれども、その点も含めて十分検討していただきたいと思うんですが。
  24. 園田直

    国務大臣園田直君) いまおっしゃたように、わが国経済の実情から見て商業ベースの枠内でありますから、なかなか政府として困難なところもありますが、いまのような方針で進めていきたいと考えております。
  25. 立木洋

    立木洋君 この砂糖協定の問題に関連しまして南北問題でちょっとお尋ねしたいんです。  わが国世界輸出入で占めておる開発途上国シェアとしては、輸出が四八%、輸入が五五%、わが国経済発展にとっても非常に重要な地位を占めていると思うんですね。いままでも総理大臣もあるいは外務大臣も、いろいろ所信表明演説やその他の機会に南北問題について重視される、積極的に取り組むという発言が繰り返しなされておったわけですけれども、現存の状態南北問題解決のためにどういう立場をおとりになろうとしておられるのか、その基本的な点についてまずお尋ねしておきたいんです。
  26. 羽澄光彦

    説明員羽澄光彦君) 多角的な交渉の場におきましては、現在、先生御存じのとおりに東京ラウンドが行われておるわけでありますが、その中におきましても関税等開発途上国関心品目については、できるだけわが方としてその関税引き下げ等努力を行っていきたいと思っております。  それから、この砂糖協定もその一つでございますが、一次産品につきましては、一九七六年ケニアにおいて一次産品総合計画というのがUNCTADで採択されたわけでございまして、その促進に関しましてはわが国も大いに努力しております。この砂糖協定につきましても努力したわけですか、この後にはゴムの協定が現在準備されておりまして、そういった開発途上国関心のある一次産品に関する商品協定の取り決めというものを通じて価格安定等を図るというような努力もいたしております。  また、そのとき出てまいりました例の共通基金でございますが、その実現につきましても、わが国はできるだけの努力をしておるということで、そういった多用的な交渉においても非常に努力をする、特にこれは貿易面についてのことでございますが、そういったことで開発途上国自助努力にこちらとしても協力していきたいという姿勢で臨んでおります。
  27. 立木洋

    立木洋君 いまお話がありましたように、南北問題というのは、大体、UNCTAD会議以来、所得の格差、これを是正していく問題だとか、あるいは交易条件がきわめて悪い状態にある、そういう状態の解消であるとか、あるいは累積された債務、これを取り除いていく問題だとか、幾多の問題があるかと思うんですね、その中でも特に一次産品の問題というのが非常に重視されておるということは御承知のとおりだと思いますし、この問題が南北問題の真の解決のかぎになっておるというふうな主張まで開発途上国では行われておると思うんですね。  いままでの国際商品協定を見てみますと、国際商品協定を事実上締結されているのが六つですか、日本政府が加入しているのが現在の時点で五つかと思いますけれども、いままでもいろいろ議論されてきた問題の中で、すず協定ですね、これについても共通基金拠出するというふうなことが問題になって、いま先進諸国の中では、すず協定基金拠出状態というのはどういうふうにたっているでしょうか。
  28. 羽澄光彦

    説明員羽澄光彦君) いままでは生産国だけが強制的に義務的に拠出をするということで、消費国は、何といいますか、自主的に拠出をすればいいということでございまして、現在までにオランダ等三カ国が拠出しておったと思います。アメリカも最近拠出をするということで準備をしておるようでございますが、まだ最終的に拠出をしたというところには至っておりません。わが国におきましては拠出するという方針を固めまして、大体七十億円を限度として自主拠出を行うということで現在臨んでおります。
  29. 立木洋

    立木洋君 大臣、このすず協定が七六年の五月に当委員会で審議されたわけですが、その審議された際に、当時の外務大臣がいま検討中でありますというふうなお話でした。それから昨年の八月でしたか、福田総理がASEANに行かれたとき、そのときには拠出に向けて積極的に検討すると、より進んだ形での発言があったわけですが、それからすでに一年近くたっているわけですね、十カ月余りですか。それで外務省の方からですか、いただいた資料を見てみますと、イギリスはすでに最大六百万ポンドを決めて二百四十九万ポンドもう払い込みがなされておる。それからフランスもすでに払い込みがされ、それからオランダデンマーク等々が払い込みがなされて、カナダあるいはベルギー、アメリカ等々がその払い込み意思表明しておるというふうな状態ですね。日本の場合も、いままでもいつも議論されるわけですけれども、なかなか決まるまでが大変だと、日本政府は。決まった後はスムーズにいくなんていう、スムーズにいっているかどうかこれまたいろいろな議論がありますけれども、非常にこのすず協定の問題も、私がここの委員会質問してからもう二年余りたつわけですね。それで総理大臣表明されてからも一年近くたつ。そしていまお聞きすると、何年度と言っていましたか。
  30. 羽澄光彦

    説明員羽澄光彦君) 予算といたしましては、今年度の予算に十億円計上して御承認いただいておりますが、その自主的な拠出というのは、最初に基本的に行います拠出と、それから必要に応じて、コールと言っておりますけれども、コールされて出す拠出とございます。日本の場合には、輸出国のやる拠出と同じ割合で計算しました場合に、二十六億円の拠出を行うわけなんですが、これは一挙に行うとか分割払いとか決めておられませんので、現在は出すという方針を固めた上で、すず委員会の方とその拠出方法等につきましても細目を打ち合わせておる段階でございます。
  31. 立木洋

    立木洋君 いまお話を聞いたような状態になっているんですけれども、大臣ね、非常に決まるまでが大変長くかかる。それで第四回UNCTAD会議のときに木村さんが代表として行かれたわけですね。あのときの発言を今度読み返してみますと、なかなかりっぱなといいますか、積極的な発言をされているんですよ。一次産品の問題についても「開発途上国にとっての死活的重要性」の問題である、そして「わが国は、世界の一次産品市場の長期的な安定と繁栄とを最も強く願っている国であります。」と、その「最も強く願っている国」がなかなかこういう実際の問題では話がうまく進んでいない、ここらあたりの問題点大臣はどのようにお考えになっておられるでしょうか。
  32. 園田直

    国務大臣園田直君) これはすずに対する問題、はかりでなくて、経済協力及び各種の一次産品開発輸出等に対することも、いままでは量が少ないことと、それから非常に手間取っておったということが非常な原因でありますので、これはこの前からしばしば申し上げておりますとおり、方針を決定したら速やかに執行するように、それから量をふやしていくように努力をするつもりでおります。
  33. 立木洋

    立木洋君 それから、先ほど参事官の方が言われましたように、第四回UNCTAD総会で一次産品のプログラムが採択されたと、それでその後数回にわたって交渉されてきておりますし、それから昨年の十一月の七日からですか、ジュネーブでUNCTADの一次産品共通基金交渉再開会期がやられた。しかし、これは一カ月足らずでいわゆる交渉中断というふうな結果にたったというふうに聞いているわけですけれども、この交渉中断になった原因というのはどういうところにあったんでしょうか。
  34. 小林俊二

    説明員小林俊二君) ただいまお話のございました一次産品共通基金と申しますのは、一昨年の第四回UNCTADで採択された関係決議の中の二つの柱の一つ、すなわち一つお話のございました個別商品協定でございますが、そのもう一つの柱として提案されたものでございます。この問題につきましては、すでに三回の準備会議と二回の交渉会期が開かれておりますが、この二回目の交渉会期におきましても、なお基本的な問題点についての合意が得られませんで、低開発国側から特に二つの点が問題にたったのでございますが、その二つの基本的な問題点について先進国側から同意が得られなければこれ以上交渉を続けてもむだであるから、さらに別途の解決策と申しますか、会議場外における今後の解決策を求めるという趣旨で中断されて今日に至っておるわけでございます。  その二つ問題点と申しますのは、一つは、政府が直接にこの共通基金拠出をする、すなわち個別の商品協定とは別に、共通基金そのものに対して直接に政府拠出をすべきであるという点。もう一つは、この共通基金が主要な対象としております緩衝在庫——バッファーストックでございますが、緩衝在庫に対する融資以外のもろもろの一次産品生産及びマーケティングの改善のための措置についても、その融資を行うべきであるというその原則。この二つの点について先進国側からの同意が得られなければ、交渉をこのまま続けても意味がないという態度を途上国側がとったというところに直接の原因があったわけでございます。
  35. 立木洋

    立木洋君 この交渉再開会期の前に、去年の五月でしたか、CIECが行われたですね。あのときの内容を見てみますと、一次産品総合計画の諸目的を達成するかぎとなる重要な手段としての共通基金の設立という点で合意されている。特にさらに主要先進国の中では、一次産品共通基金交渉再開会期を成功裏に収拾させることを誓約したというふうに見ているわけですけれども、そういうふうな状態になってすでに十一月まで六カ月近く準備の期間があったんだけれども、どうしてそういうふうな、開発途上国意向がそれまでにわからなくてそうなったのか、あるいはわかっておりながら先進諸国としては話がまとまらなかったのか、CIEC以後の状況、動きについてちょっと説明していただきたいんですがね。
  36. 小林俊二

    説明員小林俊二君) 今日でも問題として残っております共通基金に関する最も基本的な両サイドと申しますか、途上国側及び先進国側との間の見解の食い違いと申しますのは、共通基金に対する資金の調達でございますが、途上国側は、その中央に政府拠出の巨額の資金を集めて、その資金を今後できてくる商品協定を含めて商品協定融資するという形をとりたいという立場をとっておるわけでございます。これに対しまして、先進国側は、まず個別商品協定がそれぞれの商品の特性に応じてつくられた後に、その商品協定から緩衝在庫用の資金を一カ所に集めて、そしてセービング効果をねらいながら有効に活用していく。商品協定相互間で資金を融通していくといういわゆるブーリング方式と申しておりますが、そういう行き方を基本的なあり方としたいということでございます。  この二つの間の妥協は可能であると思うんでございますけれども、今日までそれぞれのサイドにおきまして基本的な立場の変化を打開する妥協策というものが、本の筋としてまだ出てきておりませんで、そのために今日まで交渉が長引いておるという現況でございます。
  37. 立木洋

    立木洋君 先ほどの二つ原則ですね、七十七グループの方から出されてきた二つ原則については、デンマークだとかオランダなんかは受け入れてもいいんではないかというふうな意向表明されておるやに聞いているわけですが、日本政府としては、この交渉再開会期について、これは日本政府としては独自にどういうふうな準備をなされたのか、あるいはこの会期の席上どういう立場日本側としては主張されたのか、その点はいかがでしょう。
  38. 小林俊二

    説明員小林俊二君) わが国から見たこの共通基金の政治的な最大の問題点あるいはその眼目と申しますか、要点は、この共通基金に対してASEANの主要な諸国がかなりの積極的な関心を持っているという点でございます。その点から、私どもとしては、ASEAN諸国との間で随時協議を図ってまいったような次第でございますけれども、いずれにせよ、この基金全体の構想がグローバルな支持のもとに実際に行われなければ一部の諸国の参加でもってしては十分な効果が図られないというところから、主要な資金負担国である先進国側全体の歩調を整えるというところにまず第一の問題点があるわけでございまして、そういう観点から、私どもとしては、いわゆる西側陣営の中で共通の立場をつくり出すように努力を今日まで直接にはしてきたということでございます。  ただいまお話のございましたいわゆる緩衝在庫以外の措置への共通基金からの融資という点につきましても、原則として、私ども上してはこの方向でできるだけの考慮を払うという立場をとっております。ただ、私どもとしては、なお、こうしたその他の措置についての融資につきましては、すでに世銀であるとか、あるいは国連の開発計画であるとか、いろいろな機関が存在しておりますので、また新しい機関をつくって無用の重複を招くということは好ましくないという立場をとっております。したがいまして、そうした重複を招くことなく有効に融資が行われる分野というものがどういうものであるかというところについて見きわめをつけたいという立場をとっておるわけでございます。
  39. 立木洋

    立木洋君 どうでしょうかね、端的に言って今後の見通しは。交渉の再開がいつごろされて、その見通しがどうなるのか。
  40. 小林俊二

    説明員小林俊二君) ただいま国連貿易開発会議事務局が中心となりまして、舞台裏で関係国とこの交渉再開についてそのめどを探るべく協議が行われておるという段階でございます。先般も、事務局の舞台回しで銀行家が専門的立場から集まって話をしたというような機会も設けられたわけでございます。こういうところで表立った動きはいまのところございませんけれども、舞台裏の話し合いはかなり進められておる、あらゆる場において先進国内部においても進められておりますし、また事務局との間にも進められておるということでございます。事務局側としては、本年夏ごろには何とか交渉を再開したいということで根回しを進めておるという段階でございます。  私ども、すなわち日本といたしましても、交渉会期がなるべく早く開催されまして、この問題の進展を見るようにという方向で、独自の立場でそれぞれの関係国との間の話し合いを行っておるというところでございます。
  41. 立木洋

    立木洋君 最後に、大臣に御見解をお伺いしたいわけですが、いま言いましたように、南北問題というのが国際的な分野で非常に大きな問題になっておりますし、繰り返しUNCTAD会議等を中心にしながら格差の是正の問題等々が議論されておりますし、一次産品の問題というのが非常に大きな問題になっているわけですね。  繰り返し大臣総理も南北問題というのは取り上げられ、それを重視される。またASEANに総理が行かれたときには、この共通基金の問題についても積極的に検討するという立場表明されておる。ところが、事実上具体的な問題になると、なかなか決まらないし、うまくいかないというふうな事態があるので、この点については、今後の日本の置かれておる立場から考えても、国際協力という問題を発展さしていく点から考えても、南北問題の位置づけというのは非常に重要だと思うんです。この点今後積極的に取り組んでいただきたいし、大臣最後にその件に関する所信をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  42. 園田直

    国務大臣園田直君) 南北問題については、御発言のとおり、きわめて重大でありまして、そこで、これに対する開発援助、経済協力、こういうものを量質ともに飛躍的に向上させることも大事でありますけれども、また、やり方についても検討する必要があると思います。  開発途上国に対する援助は大型プロジェクトが主であって、そして両国の企業が提携してやっていくというやり方というのは必ずしも開発途上国の国民の生活水準を向上させることには相ならぬ。そこでむしろ、これからの開発というのは、一次産品の開発及びその地域の国民の生活水準の向上に直接結びつくものにこれをやっていかなきゃならぬということ。及びもう一つは、どうもこの南北問題を、二国間でやっておりますると、どうしても自分の国の影響を相手に与えるべしという、経済によって相手の国を興そうという援助国の自我が出ないでもございません。したがって、もはやこの段階に来ますると、二国間だけではなくて、多国間または国際的に先進国が協力をして、そして全部の力で開発するという方向をやるべきではなかろうかということを具体的に私はアメリカの方に提案をしておるわけでありますが、いずれにいたしましても、現地の国民、国と十分相談をし合いながら、そういう方向に質量及びやり方等についても検討を加えつつ、積極的にやっていく所存でございます。
  43. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。  千九百七十七年の国際砂糖協定締結について、承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  44. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。     —————————————
  46. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 次に、航空業務に関する日本国イラク共和国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。外務大臣
  47. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいま議題となりました航空業務に関する日本国イラク共和国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  イラク共和国政府に、昭和四十七年十二月以来再三にわたり、わが国との航空協定締結したいとの希望を表明してまいりました。政府といたしましては、近年飛躍的に緊密化した両国関係及び将来にわたるイラクの重要性にかんがみまして、これに応ずるとの観点から、昭和五十年十一月以来同国政府との間で協定締結のための交渉を行ってまいりました、昨年十二月に至り案文について最終的合意を見ましたので、本年三月二十日にバグダッドにおいてこの協定の署名が行われた次第であります。  この協定は、わが国とイラクとの間の定期航空業務を開設することを目的としており、そのための権利を相互に許与すること、業務の開始及び運営についての手続及び条件について規定するとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、わが国締結する航空協定としては、三十一番目のものでありまして、その形式及び内容は、従来のものと同様のものとなっております。  この協定締結することは、両国友好関係の強化に資するとともに、両国間を直結する航空路を開設することによって、ここ数年来拡大しつつある経済技術協力に伴って顕著な増大を見せている両国間の人的及び物的交流の一層の増進に役立つものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願いをいたします。
  48. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 以上で説明は終わりま  本件についての自後の審査は後日に譲ります。     —————————————
  49. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) この際、連合審査会に関する件についてお諮りをいたします。  日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法案について、商工委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。  なお、連合審査会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さように取り計らいます。  暫時休憩をいたします。    午前十時五十八分休憩      —————・—————    午前十一時十五分開会
  52. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  53. 戸叶武

    戸叶武君 二十三日から国連史上初めての国連軍縮特別総会が開かれるのでありますが、この総会には、日本では総理大臣が出席して日本立場を全世界に訴え、理解せしめる絶好のチャンスと思い、国会の私たちもこれを要請し、外務大臣からもわれわれの意向を伝えて総理大臣に要請が行われたはずでありますが、いろいろな関係総理大臣の出席を見られないというのはまことに遺憾であります。  その経緯を、簡単でよろしゅうございますが、外務大臣代表として出席する関係から、明確に国民に知らせていただきたいのであります。
  54. 園田直

    国務大臣園田直君) 今度の軍縮総会は、歴史上初めての総会でありますので、各国首脳者も、その後のNATO会議関係もありますが、それぞれ出席をされますので、日本からも総理が出席をされて、世界に向かって日本の置かれた立場、特に軍縮、核廃絶についての日本の熱意を訴えるべき好機であると考えて、私も皆さん方への御意見とおり総理に申し上げ、最終段階まで総理が御出席になるような計画準備を進めておったわけでありますが、その後いろんな政治日程等が詰まりまして御出席できずに、私が代理として出席することになったわけでございます。
  55. 戸叶武

    戸叶武君 この国連会議に国民が無関心であるかのような取りざたをしておりますが、国民は非常な関心を持っておるのであります。世界が戦争か平和かその岐路にいま立たされているときに、デタントの方向へ——緊張という形における戦争への危機の道へ進むのでなくて、平和共存の道へ方向づけなければならないというので、日本の国民だけでなく全世界関心日本の動向に私は注がれていると思うのであります。こういうときにおいて、いかにこの会議が重要であるかということを外務大臣は御承知と思いますが、外務大臣と福田さんとは別な人格のようですが、総理大臣はいかようにこれを受けとめておるのでしょうか。
  56. 園田直

    国務大臣園田直君) 総理大臣、この軍縮総会が特別の意義を持つものであり、全世界の人々の関心の的であることはよく御了承でありますけれども、政治日程上その他から御出席がかないませんので、私が喜んでこれに出席させていただくことにしております。
  57. 戸叶武

    戸叶武君 福田さんは、先進国会議というものに重点を置いて、この問題に対しては自分が外交に対して不得意な点があるのかわかりませんが、当初から関心が薄いようでありますけれども、先進国会議も重要でありますが、それ以上に重要なのはこの会議であり、先進国よりも発展途上国のいま中東やアフリカその他において人命が犠牲になっておるトラブルが展開されておるのであります。その背後にはやはり米ソ両大国の動きがあるのではないかという懸念すらも行われており、公然と武器あるいは国によっては軍隊を派遣しての援助等も行われておるのであって、どんな理想を説いても、こめ人道上許しがたき戦禍をいま食いとめるということが国際連合における最高の使命であり、国際連合に関係しておる、戦争を再びしまい、また国際紛争を戦争手段に訴えない、準備を持つまいと決意し、平和憲法、非核三原則、拡散防止条約というものを踏まえて、日本は外交姿勢が平和共存の方向に方向づけられているにもかかわらず、その方向づけの上に立っての実践が行われないということは、国の総理大臣としてはきわめて怠慢だと私は思うのであります。  去年の一月一日に福田さんと偶然宮中でお目にかかったときにも、ことしは経済だけでなく外交が重要な年ですよと念を押したのですが、福田さんはやはり去年の一月一日の意見発表でも、ことしは経済の年だということに重点を置いていたようです。去年ならばまだよいが、ことしは去年以上に外交の問題が一国の運命なり世界の運命を決するような危機にさらされておるのであります。その一番重要な問題点を外してどこに政治があるのですか。私は総理大臣外務大臣とおのおの分担を異にしてこの重要問題と取り組もうとしているのかとも思いますが、議会政治の中において伝統的に一番重要なのは外交、財政の問題でありましたが、今日においては経済の問題もさることながら外交の問題が一番私は危機打開のかぎだと思うのでありますが、外務大臣並びに、あなたが推測する限りにおいて福田総理大臣はいかような見解をこれによって持っているのでしょうか、それを承りたい。
  58. 園田直

    国務大臣園田直君) まさに御指摘のとおりでありまして、きわめて重要であります。総理もこの重要性を認識をして最後まで自分が出席するよう計画を立てておられましたが、諸般の事情上やむなく出席できずに、私が出席することになったわけでございます。
  59. 戸叶武

    戸叶武君 参議院の本会議における国際連合軍縮特別総会に関する決議を見ても、相当厳しい国民世論というものが国の最高機関であるところの国会を通して満場一致で決議が行われておるのであります、政党を乗り越えてイデオロギーを乗り越えて国論がかくのごとく統一された形において国際社会に表明されたのは、いままでにない私は喜ぶべき決意だと思うのであります。  ここに盛られている具体的な条項は外務大臣も十分御承知と思いますが、この線に沿うて国連における軍縮会議の総会において、いかような決意によって外務大臣日本の心を、日本意思を伝達するつもりでありますか、その骨格を知らしてもらいたいと思います。
  60. 園田直

    国務大臣園田直君) 衆参両院で軍縮総会に対する決議を賜ったことはまことに感謝にたえません。両院一致の意見でありますから、私はこれに議決された決議文はそれをそのまま残らず訴える覚悟でありますが、主として私は向こう努力をし訴えたいと思いますことは、異例かもわかりませんが、今度民間団体五百名が向こうで訴えるために出ていっております。なお長崎、広島の原爆市長も出ていっております。私は、劈頭、この両市の市長及び民間団体、五百名が本総会に出席をし、国民の悲願を訴えているという事実を第一に紹介したいと考えております。  第二番目には、いままでと姿勢を変えまして、憲法九条、これによって日本が束縛されているという物の考え方ではなくて、われわれは誇りある憲法を持っているのだということを私は訴えたいと考えております。  あとは、しばしば申し上げましたとおり、非核三原則、平和国家としての悲願、こういうものから軍縮に対する廃絶、禁止、その他の究極の目的を訴え、これに伴って具体的な提案をそれぞれする覚悟でございます。
  61. 戸叶武

    戸叶武君 現在、日本政府が外交権をゆだねられております。議院内閣制のもとにおける自民党政府、福田さんの役割りは、自民党の意向代表するだけでなく、軍縮への国民の関心の盛り上がりを反映して、日本の外交の基本路線というものを崩してはならないのであります。  いろいろな関係から他党に関与するものではありませんけれども、日本が戦争の悲劇、原爆の洗礼を経て、日本国民だけでなく世界のあらゆる国民に、人類に再び戦争による惨禍をもたらしてはいけないと日本だけでも決意して、そうしてこれを平和共存の方向づけの基礎としようというのが八月十五日における国民の悲願を代表しての天皇の発言であり、また日本国憲法の中に貫かれている精神でもあると思うのであります。これを天下に公約したから、天皇は新しい憲法において民族統合の象徴とされて政治責任者ではないけれども、少なくとも再び戦争はしまい、軍備撤廃ということを世界に向かって誓約した出時の責任者であります。日本国憲法ができたときにも勅語を出しております。天皇の責任をわれわれは追及するのじゃないが、憲法改正というものを自民党は党是としておるということであるが、軽々率々に憲法改悪をやるような場合は、天皇の退位を促進させ、また日本の国際的な信義というものを崩してしまうことになります。  しかも、明日か明後日、中曽根君は東大において憲法改正の端々の論陣を張って学生、学者と対決するということでありますが、そういう趣味ならば別でありますけれども、一党の中心的な人物がこの国際的な平和共存への潮流に逆らって憲法九条を改めるとか、軍隊を持てるようにするとか、軍備を強化するとかいうような言動を行えば、世界のどこの国がいまの自民党なり福田内閣に対して信頼をつなぐことができるでありましょうか。  私たちは、そういう意味において祖国を守らなけりゃならない、あるいは安全保障の問題というものをもっと広い世界的視野においてこれを持って、国際世論に訴えながら世界の中の日本としての行く道をいま尋ねなけりゃならない、方向づけに協力しなけりゃならないというときです。文明史観と哲学のない、政権争奪のみに終始するような集団は近代政党としての見識と資格を欠いております。そういう意味において、私たちはいま国際会議代表を送り、日中平和条約の問題を通じて、日本の外交の具体的な実践を行うというときに、日本の平和欲求の熱意の足を引っ張るようなことをやっておって、その政党かぐらぐらさせるような、世界に誤解を招くような勝手な議論をやっておって、果たして世界の人たちが信をこの内閣、この政党につなぐかどうか。これは自民党だけのことではない。われわれ社会党においても、あそこへ行けばそこの国の都合のいいような、こっちへ行けばその国の気に入ったようなことを言って歩くような無定見な外交方針を打ち砕かなければ、日本に本当の——みずから外交を行う、他の国に働きかける主体性のない国民として世界から嘲弄されると思うのであります。  まず、政権をとっている自民党からこの点をしかと受けとめて、今後の軍縮に対する国際的なアピール、態度並びに日中平和条約に対する姿勢を正さなければ、日本の平和憲法を守り、国際信義を保つために私たちは異常な決意を持って、平和を守るために、祖国を守るために、人類を守るために、日本のとうとい平和憲法の精神というものを発揚するために行動を起こさなけりゃならないと思います。  十分このことは外務大臣は心得ての上と思いますが、どうぞ命がけで祖国の人民、国民の魂を世界に伝える、これだけの気概を持って、私は外交の先頭に立っていただかれんことを期待しますが、もうあなたに言うことはないと思いますが、問題は腹の問題です。腹です。腹のない冷酷非情なその場限りの官僚政治はおさらばです。どうぞ政治を主権者である国民の手に奪還してください。それでなければ日本国民はまかりならぬ。大正二年の護憲運動や、大正三年のシーメンス事件において山本権兵衛内閣を国民の手によって倒した以上の崩壊が、私は憲法擁護の問題をめぐって起こること必然だと思うのでありまして、心して軍縮会議には臨んでもらいたい。外交権は内閣にある。しかしながら、国民の心から隔離したところの内閣は国民の内閣としての存在価値は認められないような危機にいまさらされているということを十分踏まえて、外務大臣は行動をしてもらいたいと思いますが、いかようでございますか。
  62. 園田直

    国務大臣園田直君) 御発言の一言一句胸に刻んで軍縮総会に出ていく所存でございます。特に外務大臣は行政機関の長でございます。行政機関の長は憲法を守ることが生命であると考えております。政治家としても、私は、憲法九条はこれは守り抜かなければならない問題であると考えておりますので、御注意、御指導のことは七分胸に刻んで軍縮総会に出席をし、私の持っている力の限り訴えて帰る覚悟でございます。
  63. 戸叶武

    戸叶武君 戦争になってからだと、どんな努力をしても戦争を食いとめることは非常に困難です。私はフランスのあのジャン・ジョレスの死を少年のころ本当に脳裏に刻まれて、どんなりっぱな人が命を張っても、戦争を食いとめることは困難です。戦争の前に、武器なき国家においては、政治家が憲法を守り、世界の信を守って自分が先頭に立って、死んでも戦争を食いとめるという烈々たる気概と熱意がなければ、国民の大多数を犠牲と混迷の中に陥れるのでありまして、いま第一次世界戦争と第二次世界戦争の暗い谷間の時代と同じように、軽佻浮薄なファシストが目前の現象面だけを見て、世界が右の方に回ったなんて根回しをして堂々めぐりをやっておりますが、盲めっぽうな形において祖国の運命をこれらのような小策を弄する人たちにゆだねることはできない。  一国の政治家というものは、人民を犠牲に供しないで、人類を犠牲に供しないで、自分たちが体を犠牲に供しても戦争を食いとめるという烈々たる熱意を示すならば、アメリカでもソ連でも私は必ず変わってくる。日本が不徹底な小策を片していくから、相互不信の感情というものが世界の混迷を招く大きな原因になっているんだと思います。どうぞそういう意味において、時間をあと三分ほど残して、質問というよりは私は祈る気持ちで、日本の政治家は人民を殺さないで、政治家が死んでください、それが永遠に政治を生かす道です。文明史観と哲学のない民族は必ず滅びるんです。  これをもって私は質問を結びます。
  64. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 今回の国連軍縮特別総会は初めての試みでありますけれども、平和確立への大きな前進とも言うべき足がかりをつくるであろうという期待があることは事実であります。ただ、いままで、残念なことに、力の均衡というのが戦争回避への抑止力であるという、そういうような風潮というものが定着をいたしておりました。それを背景として軍拡への道が、残念ながら、米ソ二大陣営を軸にして進められてきたということはまごう方なき事実であるというふうに受け取られます。  早い話が、いま一年間の軍事費の支出というものが三千五百億ドルを上回るというふうに言われております。しかも、一方においては、発展途上国は食糧危機ということにあえいでいなければならない。こういうようなきわめて矛盾した環境の中で、やはり軍縮ということは世界各国がきわめて真剣に取り組まなければならない命題ではあるまいかということは常識でございます。  今回、外務大臣日本代表されて日本国民の大多数の悲願とも言うべき核廃絶を中心とした提言をなされるということは、これはまた歴史的な新しい一つの突破口とも言うべきものとして記されるでありましょう。したがいまして、総理大臣の出席がなかったということは非常に残念ではありますけれども、必ずしも今回の特別総会において軍縮への方向というものが急速に期待できるというふうには考えられません。しかし、いままで日本が体験をしてきたいわゆる核爆弾による悲惨な結果というものは、恐らくどこの世界の国民に対して訴えても、まだまだ実感として受けとめていただけない側面があるんではなかろうか。これから忍耐強く日本立場を中心として訴え続けていかなければならないことは当然だと私は思うんです。  そこで、今回の特別総会におきまして、先ほども特に三つの点についての提言を柱にして、具体的にまたいろいろと話し合ってきたいという趣旨のことが答弁の中にございました。もちろん憲法第九条を日本国憲法として持っているということは誇りであるという、そういう立場に立っての主張、これはもう同感でございます。ただ、いま問題は、日本の置かれている立場というものをどう世界各国に訴えもし理解を深めていくか、それにはこれからのいろんな提言というものが具体化するかしないか、そこに問題が将来残されるんであるまいかというふうに思うわけでございます。そこで、いままでのそうした経過に立ちまして、これは何としても強力な推進というものが展開されていかなければなりませんので、いまここでわれわれが要求したいことは、何としても具体的にどういう成果が上がる方向へ日本政府が取り組まなけりゃならぬのかという問題であろうかというふうに思うわけでございます。  その第一点は、近い将来に国連の中に軍縮会議というか、あるいは軍縮特別委員会といいますか、そういうものを新たに設置する必要があるんではなかろうか。もちろん衆参両院における国会決議、あるいは政府がいろいろと分析をされ整理をされた今回の提言というものはいろいろおありになるだろうと思います、あるいはいま私がこうして申し上げている問題もその中に含まれているかもしれません。こうしたところから一つの新しい展望というものを国連を中心として取り組むべきであるまいかという点はいかがでございましょうか、
  65. 園田直

    国務大臣園田直君) 私が訴えたいと思う中の一つには、全くただいま御発言のとおりのことがありまして、国連並びに国連軍縮総会の機構、あり方について、若干の意見を率直に申し述べて、そして第一は、この軍縮というものが国連の正式の機関の中に入るべきであるという提案もしたいし、なおまた、国連または軍縮総会の場所が大国の駆け引きの場所になり、核を持たない国がその駆け引きによって左右に分かれる、こういうことはよろしくないということを訴えて、ただいまの先生の御発言趣旨を生かしてくる覚悟でございます。
  66. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 その他、私たちが常識と申しますか、いままでの長い軍縮問題の討議の経過の中で、どうしても主張し実現の方向へぜひ持っていってもらいたいという問題をいま私なりに整理をいたして申し上げますと、いま述べた問題のほかに、国連でもって核エネルギーを管理する方向へ何らかの具体的な方途がないか。それから次には、各国の首脳による国際会議国連を中心とした国際会議、これを場合によっては一年に一遍というような、そういう定期的な会合を通じて真剣な軍縮への試みというものを展開されてはいかがであろうか。それから、しばしば議論され、また問題提起をされております核兵器の問題については、国連において使用させないという義務づけを協定によって締結させるというような方法というものは考えられないのか。また、今後のそうした核廃絶を中心とした問題というものは、いま申し上げたような観点に立てば具体的に進むんではなかろうか、こう思えてならないわけであります。  あれもこれもというたくさんの要望あるいは提言というものがなされても、またまだ流動する国際環境の中では直ちに日本立場というものを認識し理解をし、そして合意に達するということはなかなか困難だろうと私は思うのであります。けれども、困難を乗り越えるところに国際政治の使命というものがあることは言うまでもございませんし、いま申し述べたような観点に立って、外務大臣は当然頭の中にはそうしたことも整理をされて今回乗り込まれるんではなかろうかと想像するわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  67. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいま言われました核保有国の首脳者会議を初めとする数々の提案は、平素からの御主張であると承っておりまして、その印刷物もちょうだいをしてよく検討いたしております。そこで、ただいまの御発言をどのように訴えていくか、あるいはどのように整理をして訴えていくか検討いたしております。
  68. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ともあれ、今回の国連軍縮特別総会が開かれる直前というよりも、ことしに入りましてから、フランスはフランスでムルロア環礁において水爆の実験が行われる等々のまことに不幸な事実が重なっているわけでございます。そうしたような状況というものは黙視できないという問題でございましょう。またザイールにおいては、先ほども話が出たように、米ソ二大陣営が武器の供与をやりながら、通常兵器によるところの殺伐たる悲惨な殺戮が繰り返されている、核はもとよりでありますけれども、通常兵器を用いたこうした悲惨な事態というものも、これは当然世界各国が重大な関心を持って、いるものであろう。  そこで、冒頭に申し上げましたように、年間三千五百億ドルを超えるというようなこうした莫大な費用をなぜ使わないか、もっと人類平和のために、食糧問題であるとか、あるいは環境衛生の問題であるとか、産業開発の問題であるとか、農業の振興等々、そういった方面に世界考え方というものを少なくとも国連を中心として向けることができないだろうか。日本としては、いままで相当いろんなチャンスがあり、あるいはそういうことも提言もされてきたと思うんでありますけれども、言いっ放し聞きっ放し、そこには何らの結論が出ないというのが今日までの推移でなかったろうかというふうに思えてならないわけであります。  で、一方、そうしたような面から南北問題というものは、これも深刻な重大な課題でありましょう。恐らく二十一世紀までのあと二十数年という間に、心ある者が指摘しておりますように、深刻な食糧危機というものがもう目の前にやってきている。こうしたことを連動させながら、私は具体的な可能性というものを考えた場合に、これは決して軍縮という問題はできない相談ではない。ですから、今回、外務大臣としてはきわめて厳しい日程の中で、いま申し上げたような重大な問題が果たしてどれだけコミュニケーションを得るだけの成果があるであろうかということを非常に心配するわけであります。そうした点について心づもりはいかがでございましょうか。
  69. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいま言われました軍備のための費用を各国が供出をして南北問題、雇用問題あるいは開発問題等に使うことは、これは当然のことであります。そういうことも私も提案の中に考えておるわけでありますが、おっしゃるとおり、これを短期間に、あるいは演説に入れるなり、あるいは各国首脳者に会って訴えるなり、どのようにするか、詰まった瞬間の中で、いま一生懸命に苦心しておるところでございます。
  70. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 先ほどお話がございましたように、言うなれば官民合同といいますか、もうすでに五百名の民間人の方が国連に乗り込んでおられて、日本人の悲願を訴えようとされている。恐らくそうした中に新しい一つの流れというものが醸成されていく、そういうことも十分考えられると思います。言うなれば日本にとってはチャンスである、このチャンスをやはり十分に生かし切っていけるような方向で、全力投球で、大変厳しい日和の中で御苦労ではありましょうけれども、ぜひ取り組んでいただきたい、そういう願望をしてやまないわけであります。  きわめて限られた時間で、あれもこれもといういとまはございません。ただ、いま出発に当たって、少なくともいま私どもが申し述べているようなそういう趣旨のことを十分理解をされている外務大臣は、ぜひまたそういうような主張の展開をお願い申し上げたい。  それから最後に、時間もありませんので申し上げたいのでありますが、午前中の質疑の中でもございましたが、日中平和条約締結交渉へのようやく足がかりがいま見出されようとしている状況でございまして、いままでいろいろ与党内における複雑な意見調整ということについてもずいぶん忍耐強く御苦労があったろうと私は思うんであります、今回の国連総会において、中華人民共和国の黄華外相も出席をされるやに伺っておりますし、恐らくもう出発までの間には与党のコンセンサスも十分得られて、そしてまた新しい一つの視点に立った日中平和条約交渉へのいろんなこれからの根回しというものが急速に進められていくであろうというふうに私どもこれは常識的に想像されるわけであります。  そこで、先ほども、大変忙しい中を各国のいろんな責任者に会って、日本の真意というものを訴えもし、また話し合いもしたいということを申されておりました。特に、私は、その中で黄華外相に会う意義というものは非常に大きいものがあるであろうというふうに思えてなりません。そうした短い話し合いの中で、十分とは言えないでしょうけれども、日本のいよいよ日中条約締結へ向けての出発に当たって、あるいは大ざっぱでも、大体何日ごろをめどにしてあるいは交渉のテーブルに着くというような、そうしたような話し合いが持たれる可能性というものは現在考えられるんでしょうか。
  71. 園田直

    国務大臣園田直君) 先ほど申し上げましたとおり、短時間ではありますが、この機会を利用して、なるべく各国の指導者の方々とお会いをして意見を交換する二とは国家のためにきわめて有益でありますから、時間を割いて各国の方に会いたいと考えておりますが、それぞれの方々計画があるし、時間も僅少でございますから、どうなるかわかりませんけれども、なるべくたくさんの方と会って帰りたいと考えております。
  72. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いずれにしても、本件につきましては、また帰国後におきまして改めてお尋ねをいたしたいと存じておりますので、本日は、以上をもって私の質疑を終了さしていただきたいと思います。
  73. 立木洋

    立木洋君 国連史上初めて開かれる軍縮特別総会でありますし、これはいままでの世界世論としても、核兵器をなくそうということを中心とする軍縮の世論というのは非常に高まってきた、そういう結果だと思うんですね。  ですから、この意義を十分に踏まえて努力していただきたいし、同時に、いままでも、国連が発足して以来、軍縮の問題というのはいろいろ議論されてまいりました。しかし、その経緯を見てみますと、先ほどお話もありましたように、一九六〇年代は年間二千億ドルに上る軍事費が使われておったのが、一九七〇年代になると三千五百億ドルを超す、一・五倍になりますか、そういう大変な、いわゆる事実上軍縮の交渉が進められながらも、現実の軍備というのはどんどんふやされている。ますます危険な状態になってきておるということは、もう大臣承知のとおりだろうと思うのです。  今度の軍縮総会を前にして、準備委員会が数回にわたって行われてきましたけれども、しかし、いろいろな対立、意見の違いがその中でも示されておる。これは使用禁止の問題、あるいは武器の輸出の問題、今後の効果的な国際機構の問題、あるいは核不拡散の問題等々、幾つかの点について意見の違いがあったというふうに聞いておるわけですね、これは核大国あるいは核を保有していない国々、あるいは非同盟諸国の国々、開発途上の国々、あるいは社会主義の国と資本主義の国、いろいろな形で意見の違いというのはパターンがあるようですけれども、少なくとも、当初大臣が述べられましたように、日本というのは唯一の被爆を受けた民族でありますし、その立場に立って、平和憲法の趣旨に沿って日本主張を私は堂々と述べていただきたいということをぜひ最初に強調しておきたいわけです。  それで、先ほどお話しになりましたNGOの代表が、核兵器全面禁止の内容を中心とする署名をこの短期間の間に一千八百万、日本の全国で集めまして、それを国連に持っていく。国連に対するメッセージも、もう大臣ごらんになっただろうと思いますけれども、ぜひその内容も、参加しておるということだけでたくして、NGOが、民間団体が唱えておる国民のコンセンサスとしての内容も十分に踏まえて主張していただきたいと思うんです。  それからもう一点は、私も世界をいろいろあちこち歩いてみまして感じるんですけれども、いわゆる核兵器の恐ろしさといいますか、核兵器が使用された場合の実態ということについてはなかなか理解しにくい、現に受けたわれわれ日本の国民とは違って。だから、この核兵器の恐ろしさを、本当に身をもって体験した被爆者の立場日本の民族の立場に立って、その内容も生々しく私は主張していただきたいというふうに考えるんですけれども、その点いかがでしょうか。
  74. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまの御発言も全くそのとおりに私も考えて、そういうことを準備いたしております。  なお、民間団体の方々とは、出発される前に会合いたしまして、向こうへ行ってからも向こうでまた打ち合わせをして、足並みをそろえて訴えるという努力をしたいと考えております。
  75. 立木洋

    立木洋君 それから、いままで効果的に軍縮が進められなかった問題点一つとしては、やっぱり国際機構の問題があると思うんですね。これはいろいろ政府の方のお話を聞いても、大国の何といいますか、国益、いい言葉で言えば国益でしょうが、エゴというふうなものもあるでしょうし、いろいろとそういう特定の国が特別の権限を持つような形での国際機構のあり方というのはなかなか効果が上がらない。ですから、今度の場合も、国際機構の問題をどうあるべきかということが準備会の中でも議論されてきた一つの焦点になっておったというふうに聞いているわけですけれども、この点についても世界のすべての本覇に平和を願っている国民の声が反映できるような、そういう効果的な国際機構の問題について、日本立場としても積極的に主張していただきたいというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
  76. 園田直

    国務大臣園田直君) この機構の問題についても、私もそれぞれ考えておりますので、この点についても私も訴えたいと考えております。
  77. 立木洋

    立木洋君 それから、いままでの外務委員会における議論の中でもいつも問題になるわけですけれども、現実を踏まえてという考え方ですね、これは全部が全部悪いとは言いませんけれども、しかし、なかなか今度の国連軍縮特別総会というのはある意味では画期的な意義を持ちますし、いままでの現実ということを踏まえた枠内で問題を考えておるということでは、本当にこの国連軍縮特別総会の意義を十分に発揮させ、将来に向って核廃絶を中心とする軍縮への第、歩に効果的になり得ない。そういう意味では、本出にわれわれが高い目標を掲げながらも、それに着実に近づいていける、そういう効果的な措置を打ち出せるかどうかということは、すべての日本の国民、同時に世界の国民が見守っているごとだと思うんです。だから、そういうただ単なる現実論から出発するんではなくて、またアメリカは核を持っている大国ですから、そういう意味では意見の違いも当然あるでしょうし、そういう点では堂々と日本の国主的な立場主張していただきたいというふうに思いますけれども、この点についても御見解を承っておきたいと思います。
  78. 園田直

    国務大臣園田直君) 現実といいますと、御指摘のとおりに、現存の国連または軍縮総会の中で行われておるいままでの惰性の中に入って言論が束縛されるおそれがあります。それはきわめて危険なことでありますので、私は、高い究極の目標は訴えるところはどこの国にさわろうとも訴える、そしてこれにつながる現実的な手段をどうするかという二段に分けて訴えたいと考えております。
  79. 立木洋

    立木洋君 前回も大臣にお尋ねしたんですけれども、核兵器の不使用ですね、これはもう何としても私は国連ではっきりと訴えていただきたい。これはもう国連の中でも繰り返しこの使用禁止の問題については議論されてきましたけれども、なかなかそれが効果が上がらない。いわゆるアメリカなんかの主張もあったりして、なかなか効果が上っていない。この点は、先般、この問題については核を使ってもらっては困るということはぜひ訴えたいという大臣お話もあったわけですが、その点、明確にその主張を訴えると同時に、それが保障される条約的な措置にまで触れて明確に訴えていただきたいということを最後に希望して、私の質問を終わりたいわけですが、その点についての大臣の御見解を最後に承っておきたいと思います。
  80. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいまの御意見は十分拝聴して検討いたします。
  81. 和田春生

    ○和田春生君 非常に過密なスケジュールの中で超人的なトンボ返りで国連の軍縮総会に出席される外務大臣の御健闘を期待をいたしたいと思います。  特に、外務大臣の出席を前にして、衆参両院で決議がされたわけでありますが、日本の国としては核軍縮から核兵器の廃絶へということが何といってもわが国是から見ましても非常に重要だと思うんです。ところが、この問題について私ども考えますに、大きな二つ問題点があると私は思います。  一つは、核不拡散という名目のもとに、アメリカなど核保有大国が平和利用の面まで含めて自国の優先的な立場を確保しようとするために、日本その他にいろいろと干渉がましい態度をとっている。そういう点について核兵器の廃絶ということは至上でありますが、核不拡散という名目のもとに原子力の平和利用、将来に対する展望等についていろいろと介入をされるということは決して望ましくないわけであります。きょうは、その問題はおいておきまして、第二の問題点について特に外務大臣の所見を伺いたいと思うんです。  第二の問題点といいますのは、核兵器を制限をしなくてはいかぬ、あるいは廃絶に向かって努力しようと言いながら、現実には核兵器というものを、たとえば中性子爆弾というような新型兵器の開発も含めて、国際的なパワーポリティックスの中へどのように有効に位置づけていこうか、こういうことに腐心しているというのが現実に大きな軍事力を持っている国々の態度だと思います。そういう傾向が非常に強い中で、わが国が単にきれいごとを言って、核兵器反対反対と言っているだけでは無力化をしていくことになるのではないかと思うわけです そういたしますと、わが国主張を実現するためには、少なくとも日本主張に対する与国というものをつくっていく、あるいはわが国主張に一〇〇%同調しないまでも本筋において協力をしてくれる、そういう国々をつくっていくという具体的な努力なくしては、いい子だ、いい子だと言っているだけだと思うんです。  そういう点で、いわゆる先進国の中でわが国主張に基本的に同調するあるいは協力をしよう、そういうふうに見込まれる国々はどこがあるのか。また、日本はアジアの中に位置しているわけであります。特にASEAN外交を初めアジアの諸国との関係を緊密化しているんですが、アジアの国々でわが国が国会で決議をし、外務大臣向こう主張されようとする日本方針に協調的ないしは協力的な国々は目下のところどの程度あるのか、そういう見通しについてお伺いしたい。
  82. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) 先進国の中で、特に日本が核軍縮の面で協力し、いろいろ共同行動をとっております国としてはカナダとかスウェーデンをまず挙げたいと思います。この二つの国につきましては包括的核実験禁止協定を達成するためにいま大きな障害になっておるのは検証の問題でございますけれども、その地下核実験を地震学的な方法でもって探知するための一つの制度と申しますか、システムを日本がこの両国と一緒に提唱いたしております。したがって非常に緊密にこの国々と協調いたしております。  アジアで日本主張を理解している国々は、ASEANの国々はいずれもそうではないかと思います。非核兵器国という立場から大方の非核兵器国は日本主張を理解してくれていると思いますが、ただし、日本が提案いたしましたいわゆる通常兵器の分野における現状調査という問題につきましては、核を持っていない開発途上国は、自分たちの安全保障という見地から若干の懸念を抱いている国もないことにございません。
  83. 和田春生

    ○和田春生君 カナダ、スウェーデンはわかりましたが、そういたしますと先進国首脳会議等でわが国経済面では競合関係や協力関係にありますそういう西側大国という中では、ほとんどアメリカもイギリスもフランもイタリアも西ドイツもわが国方針は明らかに食い違っておるわけですね。
  84. 大川美雄

    政府委員(大川美雄君) いまお挙げになった国々は、いずれもヨーロッパにおきまして北大西洋同盟条約、フランスはちょっと別の地位にございますけれども、の一員としてアメリカと安全保障上の共同体制にあります。その点では日本立場は非常に似ておりますけれども、ただし、ヨーロッパの事情と東アジア、北東アジアの事情とはおのずからしてその条件の違う面もございますので、それぞれの立場があろうかと思います。
  85. 和田春生

    ○和田春生君 通常兵器の問題に論議か移っていきますと、現実にも各国が武装をし、また局地紛争もいろいろと発展をしているところもありますし、これはなかなか複雑な問題になってきまして、置かれた条件でいろいろ違うと思うんですが、核兵器に関する限り、日本は、あなたがいまおっしゃったように、地域的なあるいは置かれている条件によって違いがあるので扱い方を違えていこう、あるいはそれに対応する各国の違った態度があっても、それぞれの実情だからある程度やむを得ないという形になると、主張の根本が崩れてしまうことになりはしませんか。核兵器については、あくまでわが国立場は、やはりこれは人類にとって最も危険な脅威を与える存在であるから廃絶をしよう、いきなり廃絶できなくても、すべての地域において核兵器の制限ないしは核軍縮というものを促進しようという立場でしょう。ですから、いまおっしゃられたようなことでいきますと、西側の諸国、ヨーロッパの置かれているのはわが国立場と違うので、ある程度違いがあるのはやむを得ないという形になれば、みずから日本主張の根拠を崩すことになりはしませんか。これは外務大臣いかがでしょうか。
  86. 園田直

    国務大臣園田直君) いまの核廃絶の問題と通常兵器の問題でありますが、いままで、日本は、どちらかというと通常兵器の方に重点が置かれたわけであります。置かれたというのは、核の問題になってくると、米ソ大国に気がねするところがあるということもあったんじゃないかと私は思います。しかし、逆でありまして、核廃絶の方に全力を挙げて、通常兵器の方にその付随として、ごく一部の主張にすべきであるという考えでございます。
  87. 和田春生

    ○和田春生君 確かに日米安保条約というようなものを土台にして、わが国アメリカの核のかさのもとにある。いわゆる核のかさという表現で言えば、そういう事態にあることは否定できない事実でありまして、いいか悪いかは別であります。しかし、核兵器を何とかしてやめさせていくようにしよう、そういう核のかさに入る必要がないような状況をつくっていこう、こういうことのためには、一口に言えば、味方をつくらなくちゃいかぬと思いますね。  どうも私の見るところ、アジアの国々というのは、そういう面で必ずしも日本と行動をともにしようというふうには見受けられない。とりわけ非常に近い大国である中国の態度というものがアジアの大国として重要になってきますが、中国は核防条約にも加盟をいたしておりません、核兵器も開発をいたしております。わが国のそういう主張に対して、どういう考え方を持っておるでしょう、これは外務大臣にお伺いしたい。
  88. 園田直

    国務大臣園田直君) 今度の演説の内容をまだ検討しているところでありますが、演説の中で中国にも呼びかけたいと思っていることがございますが、いまのようなことは、中国にも、日中条約交渉とは別個の問題として、話し合いをしたいと考えております。
  89. 和田春生

    ○和田春生君 時間も参りましたので、これは希望でございますが、中国との間に日中平和友好条約締結のための交渉を再開しようとされている。しかし、核兵器を含む軍縮の問題というのは両国にとって重要な関心事項であると思います。その問題をたな上げしていくわけにはいかないと思いますし、やはり中国に対しましても、日本主張が正しいとするならば、そういう面で具体的な国際的行動の中におけるわが国主張の多数派を形成する、あるいはそれに対する理解者をふやしていくということのために、積極的なアプローチが私は必要であろうと思う、その点がどうも欠落しているような感じがいたします。特にその点要望申し上げまして、外務大臣の所見を一言伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  90. 園田直

    国務大臣園田直君) 御発言のとおりであると私も考えておりまするので、そのように努力をしたいと考えております。
  91. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  なお、一言申し添えますが、外務委員会再開に当たりまして、ある期間、外務関係者が全然出席なしという状態がありました。かようなことははなはだ適当でないと考えますので、今後十分注意されるように要望しておきます。
  92. 園田直

    国務大臣園田直君) 十分注意いたします。
  93. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) これにて散会をいたします。    午後零時十三分散会      —————・—————