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政府委員(武藤利昭君) バングラデシュがアジア
地域の中でも特に開発のおくれた国ということでございまして、私どもといたしましては、バングラに対する経済協力につきまして大いに
関心を有しているところでございます。先ほどラーマン大統領がお見えになりまして、経済協力の問題についてもいろいろ話し合いが行われたわけでございますが、ただいま御質問のございました点について順番にお答えいたします。
まず、有償資金協力についてでございますが、これはコミュニケにも書いてございますけれども、バングラ側の方から特に優先プロジェクトといたしまして、天然ガスの資源開発あるいは橋を二つ建設するという話あるいは送電線の敷設あるいはチッタゴンの製鉄所近代化というようなものを挙げまして、これらのプロジェクトについて
日本側の協力を求めてきたわけでございます。ただ、これらのプロジェクトにつきましては、まだ必ずしも十分
調査が完了していないということもございまして、
日本側といたしましては、まず
調査を鋭意行いまして、その実行
可能性等が
確認された暁には百億円の限度内において借款を供与するという方針にしているわけでございます。
その時期については、いつごろになるかというお尋ねがあったわけでございますが、これはその
調査の結果待ちということになりますので、いつごろと日限をいまから申し上げることには若干困難があるわけでございますけれども、少なくとも
日本側といたしましてはできるだけ早急に
調査を完了して結論を出したい。その結論が出た暁におきましてバングラ側と十分協議をいたしまして、どのプロジェクトにどれぐらいの金額の円借款を供与するということを決定いたしたいと考えているわけでございます。
次に、無償につきましては、コミュニケには具体的に挙げるのは間に合わなかったわけでございますけれども、実は、バングラ側との打ち合わせがかなり進んでおりまして、無償資金協力のうちプロジェクト協力三件、これは農業
関係、漁業
関係、教育
関係等でございますが、これはもう内容もほぼ固まりまして、きわめて近い将来に正式に合意に達することができるというふうに考えております。
そのほかに食糧援助についての要請でございまして、この食糧援助につきましても
日本側が持っております全般的な予算の枠の中においてバングラ側に対してどれだけその配慮をすることができるかという問題になるわけでございますけれども、これもバングラ側の要望にこたえまして、
日本側といたしましては、つらい予算の枠の中ではございますが、できるだけ好意的に配慮したいというふうに考えているわけでございます。
それから、ひもつきの問題でございますが、これは過日、日米通商協議のときにも表明されたところでございますが、
日本は非常に外貨準備が豊かであるということもございまして、外国から
日本の援助をアンタイすると申しますか、ひもつきをやめるという要望が多いということにこたえまして、
日本側といたしましては、その援助のアンタイということを目下積極的に進めている
段階でございまして、円借款につきましてはすでに本年度から一般的なアンタイということを鋭意進めるつもりでございますし、また、無償資金協力につきましても、今後はアンタイの無償資金協力というものを行うことを目下検討しているところでございます。
それから、アジアに少し偏り過ぎているのではないかという御
指摘でございまして、確かに過去の数字を見ますと、
わが国の援助の非常に大きな部分がアジアに向けられているわけでございますが、これは
わが国とアジアとの間の歴史的、地理的、経済的
関係等よりいたしまして、ある
意味では当然であったところでございます。ただ、将来もこの比率を維持するかということになりますと、私どもとしては、現在のような形で将来ともそのままでいいんだというふうには必ずしも考えておらないわけでございまして、よく言われておりますとおり、
日本といたしましては今後五年間に援助を倍増以上にするという意図を表明しているわけでございますが、この援助を拡大する過程におきまして、アジア以外の
地域、中近東、アフリカ等に対しましても今後は
日本の援助を拡大してまいりたい、かように考えている次第でございます。