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戸叶武君 相手にしないという言葉は使っておりませんが、
中国の人は言葉の使い方が非常に上手ですから、
日本の近衛さんのように蒋介石を相手にしなければ和平が結べないということをあの段階でわかっていながら、蒋介石を相手にせずと言えば何とか向こうで
中国側の出方があるのではないかと思って、そういう
発言をしたら、本当に向こうの方であべこべに
日本がそう言うのなら相手にしないという
声明を出した。後日、参謀本部の大佐影佐禎昭
大使は重慶側の密使高宗武を通じ、士官学校時代の同期生何応欽軍政部長、張群行政院副院長に私書を誓いて、あれはえらい間違いだと送った。それを読んだ蒋介石は、
日本の軍部の中枢の幹部が敵将に謝るという態度に感激し、一時は日中両国の和平可能の線が出たこともあったのです。
いま、紋切り型に、常識的には園川さんの受けとめ方で、
園田さんも若干遠慮しておりますが、こういう言葉を出先の
大使が漏らさざるを得ないような体を張っての非公式
発言にしても出てくるというのは、やはり非常に不信感の憤りというものが満ち満ちているのじゃないか。それが証拠に、その符浩さんだけじゃなくて、副
総理の
耿ヒョウさんも、福田さんではまとまらないのじゃないかという形の、言葉は少し歯切れが悪くて遠慮していますが、半分はあきらめたような
発言をしているのは、これは容易なことじゃないと思うんです。
怒るのは楽ですよ。外交儀礼としてあり得べからざることだと言うけれども、とにかく日中
関係の最悪な事態をまとめようとした近衛さんの蒋介石を相手にせずという表明がかえってまとめる綱を失ってしまったように、いまの符浩さんがそういうことを言うのは失礼じゃないかと言うが、日中間において相当煮詰められたにもかかわらず、公然とたとえば中曽根総務会長のごときは、きょうの――私は新聞記者出身で新聞が全部正しいとばかりは言えないけれども、あの佐藤さんの息子をおだてるおだて方なんかは、さすがの保利
議長さんもたしなめておりますけれども、とにかく
台湾と結んで参議院の中枢になって揺すぶっていることはまことに結構なことだと言わんばかりのような
発言を
自民党の総務会長がやっているというようなことになれば、
中国の副
首相であろうが、
日本に来ている
大使であろうが、公然とやっぱり憤りを発せざるを得ない段階に来ているのではないかと思うんで、災いのもとは
中国にあるのでなく、福田
内閣、
自民党の体内にあるのだということを私たちはもう少し見詰めてみずからの姿を反省しないと、いまの
自民党なり福田
内閣には外交は任せられないというところが、これは
中国だけではなく、われわれの憤りからも発してきますよ。
これは重大な段階に来ているんで新聞に書かれていることは気にしなくてもいいと言うが、
日本は自由な言論があって
国民の言わんとするところが皆ほかにも知れていっていますが、外交権は
内閣にあるんだと力んでいるところの
内閣の、それを支えている
与党の総務会長が、公然として、その
中国揺すぶりの先頭に立つ者を激励して歩くというような
状態では、一体、どこの政党か、どこの
内閣を支えているのか、改めて私たちは他党のことであるけれども、これは不問に付することはできないと思うんです。そういう野放しの
発言をするから海外から侮りを受け、海外からようしそれまでわれわれをなめているならばわれわれの方でもというけんか腰にならざるを得なくなるのだと思います。
その辺のところは、まあ
外務大臣に言わせるとあなたの方へたたりがいくから、気の毒だから、これは
答弁は要しませんけれども、福田さんなり、それからあなたのところの総務会長なんてどっちを向いているのかわからぬけれども、ああいう慎重派と言われる人たちに戦争の危険を冒すつもりかそうでないのか、こういうことをはっきり、国会でどなりつけられたから私は静かな声でお伝え申し上げますというぐらいなことをひとつ言っておいてください。そうじゃなけりゃ人のことは言えないですよ。
やはり党の三役と言われる総務会長の地位にある者、あるいは党の長老と言われる者、温厚なあの
外務大臣をやった小坂さんあたりでも、頭なでなで、なでても毛があるわけじゃないが、毛がないからいいんでしょうが、おれは引き下がる、とてもこれじゃかなわぬというんでさじを投げるんで、そんなことをやっちゃ君だめだぞ、こういうときにどろをかぶるような政治家にならなくちゃいかぬとぼくは言いましたけれども、これは私は非常にこじれにこじれてくると、いろいろなもろもろのものが出ちゃって収拾がつかない
状態にくる。近衛
声明のときと同じような末期的現象が私は醸し出されると思うのですが、よくあなたから
注意してやってください。
それでは転じまして、ソ連の漁業の問題は帰ってきてからにしますが、あなたにしろ農林
大臣にしろ相当腹のある人間だが、どっちも火あぶりにされていて相当残酷な
状態にあるのは、
日本の政治姿勢がやはりふやけているから、それでこういうことになって
方々でなめられているのだと思いますが、バングラデシュやカナダの方は余りなめられてないようですから、そっちの方へひとつ話を移します。
それでは、カナダとの小包郵便に関する件でありますが、カナダの方の問題点はどういうところが、重要な問題点ですか。