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1978-04-17 第84回国会 参議院 外務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十七日(月曜日)   午前十時五十一分開会     ———————————    委員異動  四月十四日     辞任         補欠選任      三治 重信君     和田 春生君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         安孫子藤吉君     理 事                 稲嶺 一郎君                 鳩山威一郎君                 戸叶  武君                 渋谷 邦彦君     委 員                 大鷹 淑子君                 永野 嚴雄君                 秦野  章君                 町村 金五君                 三善 信二君                 田中寿美子君                 矢追 秀彦君                 立木  洋君                 和田 春生君    国務大臣        外 務 大 臣  園田  直君    政府委員        外務省アジア局        長        中江 要介君        外務省国際連合        局長       大川 美雄君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        運輸省船舶局検        査測度課長    辻  栄一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○安全なコンテナーに関する国際条約CSC)  の締結について承認を求めるの件(内閣提出)     —————————————
  2. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月十四日、三治重信君が委員を辞任され、その補欠として和田春生君が選任されました。     —————————————
  3. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 安全なコンテナーに関する国際条約CSC)の締結について承認を求めるの件を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 和田春生

    和田春生君 本日の委員会の主題はコンテナー条約に関する質疑でございますが、時たまたま非常に重要な尖閣列島に対する中国漁船の侵犯問題が生じております。外務大臣出席をされておりますので、本題の質問に入る前に、この事件につきまして若干ただしておきたいと思います。  まず最初に、マスコミの報ずるところによりますと、昨日の夕刻から尖閣列島近辺日本領海を侵犯しておった中国漁船領海外退去を始めた。しかし、なお百数十隻の船団領海の外のところにおるということが伝えられておりますが、その間の実情はどうなっておりますか。
  5. 園田直

    国務大臣園田直君) この事件発生以来、現場では海上保安庁、そして外務省外交折衝で非公式、公式に領海内の中国漁船退去するよう折衝を続けてまいりました。昨十六日の午後二時半以降、領海内に中国船は一隻もおりません。午後五時半以降、主力船団中五十隻ぐらいが北西方向に移動中でございますが、その主力領海外に漂泊中ということでありまして、その後どういう行動をとったかということはいま調査中でございます。  なお、これに対して、外務省は公式、非公式に折衝を続けてまいりましたが、十五日、土曜日、午前九時から政府与党との最高幹部会議を開きまして、尖閣列島わが国固有領土であることは明白なる事実であって、この領海内を侵犯した中国漁船退去するよう全力を挙げて外交折衝をなす、日中友好条約締結交渉についての努力はこの方針に変わりないことを確認する、というようなことを確認をいたしまして、それに基づいて、外務省は、土曜、日曜、精力的に折衝を続けてまいりました。最後の公式の折衝アジア局長在京大使館参事官といたしましたので、直接折衝したアジア局長から要旨を報告いたさせます。
  6. 和田春生

    和田春生君 いまの件に関しまして、漁船は、現在のところ、領海から退去をしているそうでありますが、中国政府から、領海侵犯ないしは漁船日本領海からの退去という問題について、政府への公式な接触ないしは意思表明はあったのかどうか、その点について端的にアジア局長にお伺いしたいと思います。
  7. 中江要介

    政府委員中江要介君) 御質問の、退去について中国政府から正式の意思表明があったかという点にしぼられますと、まだございません。
  8. 和田春生

    和田春生君 そうすると、日本政府としては現在の中国漁船行動というものに関して、公式にあるいは非公式に相手側からのコメントは得ていない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  9. 中江要介

    政府委員中江要介君) 中国側は、この事件が偶発的なものだということははっきり言っておりますし、そのことは昨日の私と肖向前参事官との会談でも公式に確認されたということは言えますが、いま領海外に立ち去っている漁船の今後の行動については、何ら公式には連絡がないので、政府としてはこれを引き続き見守っていく、こういうことでございます。
  10. 和田春生

    和田春生君 その点につきまして、私どもが承知している範囲におきましては、四月十三日、田島中国課長から宋一等書記官に対して、領海侵犯について遺憾であるという抗議の意思表示、申し入れをしたのに対して、尖閣列島中国領土である、日本側が遺憾の意を表明したことはかえってわれわれの方が遺憾である、そういう意志表示があったというふうに聞いているのですが、そのとおりですか。
  11. 中江要介

    政府委員中江要介君) 一番最初接触において、在京大使館一等書記官がそういうふうに言ったことは事実でございます。その後、王暁雲次長から北京でわが方の堂ノ脇公使に言った内容、さらには耿ヒョウ総理田議員に語ったと伝えられている内容、それを昨日肖向前参事官を通じて確認した部分、こういうものをずっと見ますと、多少説明内容がだんだん詳しくなってきているという感じはいたします。
  12. 和田春生

    和田春生君 耿副首相が偶発的な事故であるということを話したというのは、これも私たちマスコミ報道を通じて承知している範囲でありますけれども、それは正式に日本政府意思表示があったのではなくて、たまたま中国を訪問中の社民連の田代表にそういうことが話された。それを追認する形でやっているのですが、アジア局長と肖参事官との話の中では、耿副首相がそういうふうに言したとすれば国家指導者発言だからそういうふうに思わざるを得ない、こういうことであったというふうに聞いているのですが、そのとおりですか。
  13. 中江要介

    政府委員中江要介君) その点は、和田委員と同じように、私ども最初はこれは報道で承知したわけでございますし、また、相手耿ヒョウという副総理でありましても、話されたこちら側は田議員という方でありますので、これをそのまま政府公式見解と受けとめて承知する筋合いのものでございませんが、しかし、その耿ヒョウ首相発言は相当重要だと思いましたので、昨日、それを確認することも私が肖参事官外務省に招致した一つの目的であったわけでありますので、その点を先方に問いただしました。  それに対しまして、いま和田委員も言われましたように、先方は、これは中国最高首悩陣の一人の発言であるのでこれを信じてまいりたいと。そこで、私は、それではその耿ヒョウ首相発言をすべて今日外交経路確認されたというふうに受けとめていいのかと聞きましたら、先方は、この発言の詳細すべての報告を受けているわけでないので、それを一部始終細かいところまで全部確認するという権限は与えられていない、しかし、この事件が偶発的なものであったという点については自分たちもこれは確信していると言いますから、その点は外交チャネル確認されたと考えていいですかと言いましたら、それで結構だと、こういうことであったわけでございます。
  14. 和田春生

    和田春生君 それでは外務大臣にお伺いいたしますが、いまの経過から考えまして、領海侵犯というような問題は国家国家関係に関する基本的に重要な問題だと思うんです。そういう事実が発生し、日本政府から正式に抗議しているにもかかわらず、在北京日本大使館あるいは在東京の中国大使館、そういう点を通じて正式な中国政府としての意思表示がなくて、たまたま野党訪中団の方にそういう意思表示があったと、後から追認するというようなことは大変外交関係として変則的であるというか、私どもとしては理解に苦しむことでありますから、その点についての御見解を承りたい、これが一点であります。  もう一点は、いまのアジア局長説明によりますと、偶発的な事実であるということは間違いがないということを肖参事官がお話ししたそうであります。しかし、東海の沿岸の千海里以上にわたる各漁港からいろいろな形の違う漁船が有数十隻も尖閣諸島の近くに集結をするということが偶発的事件などとは、多少でも漁業問題に常識ないしは知識のある者にとっては、これは信じられないことだと思うんです。なお、報道によりますと、それは魚群を追ってそこまで行ったと、で漁船乗組員には領海内であるか領海外であるかよくわからない、こういう説明もあったやに伝えられております。  しかし、写真を通じて見る漁船装備、形態、操業方法からいって、魚群を追ってああいう形で尖閣列島領海内に入ってくるということは私どもはあり得ないし、あったとすれば、これはもうまるっきりむちゃくちゃな漁法だという形になると思うんです。さらに領海外であるか内であるかということがよくわからないと言いますが、あの漁船群の中にはレーダー装備その他の近代装備を持った相当優秀な性能を持つと思われる漁船がかなり入っているということは写真上明らかである、同時にまた、こちらは中国領海であるというプラカードを用意してきている、機銃その他武装してきている。こういう形になりますと、偶発的な事件であるということについては余りにも白々しいという感じがするんです。  外務大臣偶発的事件であるというふうにお考えになるかどうか、その点を確めたいと思います。
  15. 園田直

    国務大臣園田直君) 第一の問題は、この事件在京大使館それから北京のわが方の大使館を通じて正式に折衝中のところ、それを大使館外交チャネルを通じての返答がなくて、ときたま訪問された議員の方に偶発的であるということを言われたことは遺憾であると存じます。  二番目に、これが果たして偶発的であるか、偶発的であるならばどういう理由であるのか、こういうことについては、北京におけるわが方の大使とも折衝中で、調査する、こういうことでございますから、その調査というのはこの経緯から実情についても御説明あるものと期待をし、また、こちらもそれについて説明を受けたいと考えておるところでございます。
  16. 和田春生

    和田春生君 この点につきまして、仮に中国政府が正式に偶発的なものであるということを表明したといたしますと、御承知のとおり中国共産党のプロレタリア独裁のもとにある中華人民共和国において、政府意図に反したそういう偶発的なことが広範囲に組織的に行われたということになるわけであります。そういたしますと、そういう中国政治的システムというか、そうしたものについてわれわれはどう受けとめるべきかという重大な問題がここに残ると思うんです。権力闘争における中国内部の反乱とか、そういうことなら別でありますけれども、他国の、領海に、向こうはもちろん中国領土だということを一応主張しているというものはありますけれども、そこに集団的組織的に、領海侵犯行為政府意図とは離れて組織的に行われる、これは両国関係の将来を考える場合に非常に重要な問題であると私には思えます。  さらにまた、偶発的でなかった、何らかの示威行為ないしはそこに問題を起こして日本の出方を見ようと、こういう意図があったとするならば、それは中国外交のあり方というものについて単に情緒的にあるいは腹芸的に応ずるということはきわめて危険である。われわれはやはり国家国家の間の権謀術数というものにもっと深刻な目を向けて、ナイーブな取り組みではいけないということをあらわしていると思うんです。そういう問題について、日中間外交関係について外務大臣の所見を伺いたいと思うんです。
  17. 園田直

    国務大臣園田直君) 最後折衝では、鋭意調査中という返事でございますから、そのような経緯をよく承って、わが方としては厳然たる態度で、節度ある、確かめることは確め相互理解をする点は相互理解をする、こういうことで今後の問題に処していきたいと思っております。
  18. 和田春生

    和田春生君 また一方、伝えられるところによりますと、日中共同声明の際に尖閣問題はたな上げをする、こういうことが双方の合意になっているにかかわらず、日本国内尖閣問題を取り上げて騒いでいる、そういうことははなはだけしからぬという意味意思表示があったと伝えられております。  この点について私ども確めたいのは、日中共同声明をつくった際に、尖閣列島問題をたな上げをするというのはどういう形で合意をされたのか、当時、それはどういう形で国会並びに日本国民に対して報告をされたのか、この問題についてその経緯をつまびらかにいたしません。外務大臣からお伺いをしたいと思います。
  19. 中江要介

    政府委員中江要介君) 当時の語録その他によって承知いたしておるところでは、まず前提といたしまして、そういう合意あるいは約束、了解、そういったものがはっきりあったということではないわけでございまして、まず、日本立場からいたしますと、日本固有領土でございますし、また実効的に支配をしておるわけでございますから、この問題を日本の方から、相手がいずれの国でございましょうとも、取り上げるような筋合いのものでない、こういう立場でありますので、日本から取り上げないというのは当然のことでございます。他方、正常化のときの話し合いの中で、中国側は、先般来話が出ておりますように、一九七一年の十二月三十日に外交部声明を出して、あの諸島は自分の領有だという立場をとつっておりましたけれども日中正常化の際には中国側はこれに触れないということでありましたので、それは日本立場からすれば当然と言えば当然、日本自分領土だと思っているわけでございますので、中国側がこれに触れないということなら、それはそれで何ら差し支えないじゃないかということで臨んできたというのが実態のようだというふうに私ども承知しているわけでございます。
  20. 和田春生

    和田春生君 まことに頼りない御説明ですが、もしアジア局長の当時の状況についての説明がそのとおりであるとすると、尖閣問題はたな上げにするという合意はなかった、日本としては当然日本固有領土である、したがってこのことについてとやかく言う必要はない、こういう形で臨んだ、そのことについて中国サイドでは何らの反論も異議も差しはさまなかった、そういう状態だったと確認していいんでしょうか。
  21. 中江要介

    政府委員中江要介君) 先ほど私が申し上げましたように、日本側から、これをたな上げにするとか触れないとかということを中国側に持ち出す性質のものでございませんから、日本側からこれを持ち出すことはない。ただ、中国側がこれに触れないということも、日本側はそれは差し支えないことでございますので、そのままにして、触れないままで正常化をした、こういうことでございます。
  22. 和田春生

    和田春生君 そういたしますと、四月の十三日、中日友好協会孫秘書長が、日本側において尖閣問題をたな上げにするという合意ができておるにかかわらず、このことを疑問点に取り上げ自民党内部で騒いでいる、そういうことはけしからぬという意味発言をいたしたということが伝えられているわけですけれども、そういう向こう発言というもの、中国サイド発言というものは、ある意味で言うと言いがかりである、こういうふうに理解してよろしいですね。
  23. 中江要介

    政府委員中江要介君) いま御引用になりました先方発言というのは、私どもは多少理解に苦しむ面があるということでございまして、正常化以降、一貫して公式に中国側がこれに触れてないという事実が続いていた、こういうことでございます。
  24. 和田春生

    和田春生君 そこで外務大臣確認をいたしておきたいと思いますけれども、いま日中平和友好条約締結問題のみならず、日中間には正式の外交関係が存在をしているわけで、今後ともこれは続いていくわけであります。そうした中においてこういう領海侵犯という事件が起きたわけでございまして、この問題をうやむやにして、あいまいな形で決着をつけたとなると、将来同種の問題が発生したときに大きな禍根を残すことになると思わざるを得ません。先ほど来の政府側答弁を通じてみましても、尖閣列島は明らかに日本固有領土であります。こういう点について厳然とした態度をもって、禍根を残さないように対処をしていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  25. 園田直

    国務大臣園田直君) 経緯のいかんは別にして、尖閣列島日本固有領土であることは国民の総意であり、国会内でも与党から野党に至るまで一貫した意見でございます。したがいまして、向こうの方でいろいろ言われておりますが、仮に与党の中で議論が行われたにしろ、それは条約締結交渉に向かってのそれぞれのまじめな議論が行われているわけでありまして、それによってどうこうということはわれわれは理解に苦しむところでありまして、まず本件は、この中国の船が引き揚げることが第一。第二番目には、この問題について納得のいく話し合いをすることが第二と心得ております。
  26. 和田春生

    和田春生君 本件は、尖閣のみならず、日本とソ連の間あるいは日本と韓国の間の領土問題に関連するところもきわめて深刻な影響をもたらす可能性のある問題であると思いますので、いま外務大臣の言明のように、きっちりした態度で問題を処理していただきたい。そのことを特に要望いたしまして本件に関する質問は一応終わりまして、  コンテナー条約に関する質問に移りたいと思います。  まず、コンテナー条約に関しましては、すでに同僚委員の各位からいろいろと質問も行われておりますし、政府側から説明も聞いておりますので、細かい問題は省略をいたしまして、基本的な問題を幾つかお伺いをいたしたいと思うんです。  このコンテナー条約が結ばれてからずいぶん時間がたっておりますけれども、ここまでこのコンテナー条約承認を求める件がずれてきた理由は何でありますか。
  27. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) この条約は、その附属書に書いてあります要件を満たしましたコンテナーにつきまして、いわゆる安全承認板を取りつけることによってコンテナー国際運送における人命の安全及び国際連送円滑化を図ることが目的でございます。  そこで、こういう制度が実効性を有するためには、それが国際的に広く定着することが必要でございます。この条約は昨年の九月に発効いたしておりますけれども、その時点におきましては、わが国と貿易上関連の深い、しかもいわゆるコンテナー大国に属する国々がまだ必ずしもこの条約に入っておりませんでしたので、わが国としてもこういった国々動向を十分見きわめることが必要であると考えていた次第でございます。
  28. 和田春生

    和田春生君 この点については、先般の船員の安全に関する条約のときにも、私から同様のことを申し上げたわけですけれども日本も賛成をして条約を結んだ。その条約効力を発生するためには、各国がそれぞれ承認手続をとって条約批准するなり参加をする、公式の手続をとらなければ効力は発生しないんです。それを日本も賛成しておきながら、しかも世界における最大コンテナー生産国であり、コンテナーシップも保有している日本で、よその国がこの条約参加をする、批准をして発効させるのをじっと見きわめておいて、そしてさらにそのほかの国の動向というものをうかがいながら、ではゆるりと後から行こうというのでは、いつの場合でも日本は常に受け身、引きずられていく。国際関係における主体的な立場というものはまるでないではないですか。  しかも、これを提案した理由の中に、問題があるけれどもここまで来たからやむを得ないので日本国際関係からこの条約承認してもらいたいという提案じゃないんでしょう。世界でも最大コンテナー国としてこの条約参加することは日本としてもきわめて好ましいから承認をしてくれという提案理由なんでしょう。好ましいと考えるものを、四十七年に採択されたものを、いままで七年間もほっといたというのはどういう了見ですか、それを伺いたいと思うんです。
  29. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 確かに、日本がその採択につきまして賛成した条約につきましては、原則的には早期批准するということは望ましいし、当然であろうかと思います。ただ、そういう過程におきまして、たとえばそのほかの関係国がどういうような動向を示しているかとか、あるいは国内的にも十分コンセンサスが得られているかどうかといったようなことを確かめる必要が一応はございまして、そのためにある程度の時間的な経過も必要な場合もあり得るということでございます。
  30. 和田春生

    和田春生君 それでは、この条約承認を七年間も引き延ばしておいたということにおいて、日本にどんなメリットがあったでしょう。運輸省、引き延ばしたことについてどういうメリットがあったかと聞いているんです。
  31. 大川美雄

    政府委員大川美雄君) 必ずしもその承認を引き延ばしていたということではございませんで、いま申し上げましたように、そのいろんな動向を見きわめる、それから事務的な準備都合もございまして、結果的にはこういう時点になったということで御了解いただきたいと思います。
  32. 和田春生

    和田春生君 じゃ運輸省にお伺いしますが、準備都合と言うけれども、技術的な体制がとれないために今日までおくれたんですか。
  33. 辻栄一

    説明員辻栄一君) 技術的な体制がとれないということで今日までおくれたわけではございませんで、本条約批准につきましては特段に重要な問題点ということを私ども認識していたわけではございませんが、運輸省といたしましても、コンテナー条約についても比較的早期批准を考慮したこともあったのでございますけれども、何といいましても新しい法規制を加えることになるということで必然的に罰則も加わります。そういうようなことから、米英等主要コンテナー国加盟状況に歩調を合わせてほしいという民間側の強い要請があったことも、これまた事実でございます。  また、この条約批准前の時点におきましても、かなり比較的早い時期から民間ベースで、本条約に定められた検査とほぼ同等の検査が第三者によって、たとえば研級協会などの検査団体によって実質的に行われている。そのような結果を反映して、特に急いで法規制をやらなければならないというほどの事故の多発があったかというと、そういうこともございませんでしたので、これらの事情を考慮いたしまして、やはり英米主要国加盟と同時に加盟するというタイミングが適当ではないかというふうに考えまして、先ほどの主要国動向を見守ることとしていたわけでございます。
  34. 和田春生

    和田春生君 いま運輸省の方から、特にこの安全検査について権限を持っている官庁として、技術的に問題があったのではないという説明がありましたから、外務省答弁と大変食い違っているわけです。  私どもの承知している範囲では、すでにわが国における検査体制というものはこの条約に定めた基準を満たしている。事実、そういう検査をしているにもかかわらず、この条約締約国になっていないために、CSC安全承認のタイトルを日本でつくったコンテナーにつけることができない。そのために、一応基準は満たしながら、それは国際的に承認されたものになっていない。こういうふうに理解をしているわけですが、そのとおりですか。
  35. 辻栄一

    説明員辻栄一君) 条約の発効した現時点におきましては、先生御指摘のような事情がございまして、現に一般の団体からも早期条約批准を促進してほしいという要望も出ております。しかし、先走って日本条約批准をするということについては、民間側からかなり強い抵抗のあったことも、これまた事実でございます。
  36. 和田春生

    和田春生君 そこで、最後に、これは要望をいたしておきたいんですけれども、実際問題として、そういうふうに日本側がもたもたしているものですから、たとえばフランスなどがいち早く、国内体制は別にして、これに取り組む姿勢をやっている。そのために、日本で行われる検査も正規のライセンスを出すのはフランス側に多く取られておって、日本の方は手も足も出ないと言っては語弊がありますけれども、これを座視しているというような、まさに体制は早くできておるにかかわらず、国際関係で見れば立ちおくれをしているというような条件も出てきているわけであります。したがって、今後、そのことを認めることがわが国の国益にとって重要な問題があるとか、大変これはむずかしい問題ということなら別として、この種の条約について望ましいという面があるならば、やはり積極的な態度を持って取り組むということでなければ、日本全体の外交政策についても望ましくないと思うわけです。  したがって、そういう点について、今後、外務省として、また日本政府として、しっかりした態度と意欲的な取り組みをしていただきたい、このことを外務大臣に要望いたします。
  37. 園田直

    国務大臣園田直君) ただいま事務当局から、これのおくれた理由をいろいろ述べておったようでありますが、いま御指摘のとおり、わが日本外務省というのは、発効前に条約を結ぶことに消極的であって、他国の出方を見てどうしようこうしようという感がなきにしもあらずということでございます。このような当然国内的にも問題はないし、それから発効後はそれだけの効果を上げるという点については積極的に先取りという意味において、もっと早くお願いするように、今後十分注意をいたします。
  38. 和田春生

    和田春生君 終わります。
  39. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。  安全なコンテナーに関する国際条約締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方は挙手をお願いします。   〔賛成者挙手〕
  40. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 安孫子藤吉

    委員長安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十四分散会      —————・—————