○戸
叶武君 いま
日本は
東西南北からのあらしを受けております。特に
ソ連から、アメリカから、
中国から、きわめて厳しい
一つの試練を受けて、これに耐えなければなりません。しかし、アジア全体の歴史を見ても、権謀術策におごる者は権謀術策によって倒れているんです。
日本の軍部しかりです。
ソ連といえ
ども、レーニンの
外交は、他国の領土を侵さないというのが革命
外交の基本でありました。ウッドロー・ウィルソンのベルサイユ講和
条約に示した基本
姿勢というものをいち早く先取りして
ソ連の平和
外交は出発したのでありますが、第一次
世界戦争後における厳しいヨーロッパのナチスの権謀術策の
外交に翻弄せられ、
日本の松岡さんのような権謀術策派に、
日本の軍部に痛めつけられ、それが
一つの習性となってこのごろレーニンの革命
外交を忘れて、そうして権謀術策の
外交に変わりつつあるような模様すらあるのであります。こういうのに対して、
日本みずからが、権謀術策はわれわれも失敗した、松岡も失敗した、
日本の軍部も失敗した、あんなことによって何も得ることはできないという過去の自己
批判の信念のしに立って真っすぐに
外交はいかなければ、私は
日本の
外交の基本的
姿勢というものは整えられないと思うのです。
そういう点、私たちが憂えをそこに寄せるときに感じさせられるのは、他党のことには干渉しません、しかしながら、いまのような
外交の基本的な理念を忘れ、手前勝手な放言をやって――
法眼さんのホウゲンとは違いますけれ
ども、そうして国際的に自由になっている
日本の
福田内閣というものは何を考えているのかわからないというような印象を与党みずから外国に印象つけるようなことは、
外交上において非常に不利な条件をいまわざわざ自民党の内部から私は生んでいると思うのです。討論なり議論は十分尽くすべきであるという
福田さんなりあるいは
園田さんの構えもわかりまするが、こんなアナーキーな
状態における政党のあり方、こんな無性格な内閣のあり方、こういう政党やこういう内閣に、人民主権の
国民が責任を持たなければならない国において、内閣は
外交権を持つと言いながらも魂の入っていない内閣に
外交をゆだねることができるかという憤りは私は底辺にはみなぎっていると思うのであります。こういうふざけた
一つの
状態に末期的な政治現象が生まれているのですが、これはこの前にも
園田さんに迫りましたが、
園田さんは何かかまのふたでも頭に伏せられているんでしょうが、余りさえた答弁ができてないようですが、これでいいんでしょうか。
私たちは、このことは必ず絶望的な
一つの抵抗運動の発火点になるのじゃないか。あの若き少壮将校が浜口を倒しあるいは井上準之助、団琢磨を倒し、犬養を、高橋是清を倒したような悪気流か底辺に発生してこないとも限らないことを憂慮して、私はあえて、予言者でなくて、非常な危機の深刻さを知らないこの上層部の狂喜乱舞の姿に対して一言
一つの警告を
大臣を通じて私は行っているのですが、
福田さんに幾ら言っても直らないようですが、どうでしょうか、これは、このざまは。亡国の民になりたくないんです、われわれは。こんなにすきだらけだから、よしおれの方でも一押ししようというので、
ソ連の方でも
中国の方でも、あたり構わずに腰の弱いやつのふらふら腰をつっつくと、その弱い腰がふらふらとして、調子者はそこで狂喜乱舞する。亡国の現象ですよ、どこに祖国を守る気魄がありますか。口だけは愛国を口にしながら、みずから亡国の民としての道化役的な役割りを演じているのが今日の政界の現状じゃありませんか。民の声が出たときは、もう
行動にあらわれてくるからだめなんです。その前にこれを食いとめるだけの見識が躍動しないと内からの
禍乱というものは防ぎとめられないと私は感ずるから、毎日でも、国会を
舞台として、私は――戸
叶武は毒舌を言っていると、毒じゃないんです、良薬は口に苦しで少し苦いけれ
ども、本当にこんな
状態ではわれわれは
外交を論議していてもはかなさを感ずるのです。足もとから土砂が崩れて生き埋めに民族がなってしまうのじゃないかとすら私は感ずるのですが、これは私の思い過ごしでしょうか。
私は、
園田さん、あなたを悲劇の政治家にはさしたくない。政治には
タイミングか必要です。いいかげんにしろと言って
国民が暴発したときにはもう間に合いません。話せばわかると言っても、撃たれて犬養さんはそのまま息を引きとめてしまったじゃないか。話せばわかるという言葉を発する途端に息が御臨終ですと引きとめられ
たんじゃ何にもならないじゃないですか。この悲劇を私は目の当たり見てき
たんです。歴史の証言者として国会の中でわれわれがこれを、言わなければ、だれが言うやつがあるかと思って、本当に私は毎日毎日起きてくる不可思議と思われるような出来事を前にして、
政府に向かってまず警告を発しているのですが、答弁ははね返ってくるけれ
ども現実的な、受けとめ方がさらにないのにいら立っておるのです。あとは
国民の
流れ行きにゆだねようとすら、私たちは絶望的な気持ちを持っております。答えてください。
私が言っているのはばり雑言じゃないんです。危機感の受けとめ方が余りにも悠長であって、毎日毎日さらに深刻さが倍加している現状を見て、ああ
中国もそうか、ああ
ソ連もそうか、ああアメリカもそうかそうかで、草加の先まで行ってしまえば私のくにの方へ近くはなりますが(笑声)、これでは困ったものだと思います。余り
無理難題は言わないで黙して語らぬというところに腹にしみ渡ると思いますが、どうぞ達磨さんじゃなくて自由の
世界から出てきて手も足も出せるんですから、忙しそうに年じゅういろいろなパーティーや選挙なんかに駆けずり回るよりも、面壁八年じゃないが、達磨のまねをしてもいいから、壁に向かって物を言って壁の向こうにまで
自分の心が通ずるような
一つの
外交を、ぱりっとしたやつをやってもらわなけりゃ、
日本の今後の
外交官は勤まらないということを遺言として、やっぱりあなた、
園田さんあたりが言うんならわれわれが言うのと違って
効果がありますから、身をもってそういうことをたたきつけてやってください。場合によっちゃ
福田さんの面にたたきつけるぐらいの勇気がなけりゃ目は覚めませんよ。
まあこれで時間も参りましたから、この辺で終わりといたします。