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田中寿美子君 いまおっしゃったように、われわれの手が及ばないというところにいっぱい
日本の
海運業界が船を回しているという問題、これは大変重大な問題だし、国際的に労働に関して国際協調するという点からいえば、このことももう十分今後の対策を進めなきゃならない問題だと思うんです。
で、さっきちょっと私言い間違えましたけれども、死亡率は陸上の十五倍に当たり、
災害全体が三倍に当たるぐらい海上では起こっているということですね。そして死亡
災害の五〇%が海難によるというようなことを私は
運輸省の資料で承知しているわけなんですが、労働安全衛生というのには健康管理があるし、設備や環境施設をよくするということがある。で安全衛生管理規則というものがつくられているわけなんだけれども、私は
災害防止協会という船主の
人たちのつくっている協会の協会報を幾つか見てみましたら、毎回のようにこの事故の報道があるわけですね。ある船長さんは、船が港に入っているときにみんなが遊びに出た、自分は船の回りを、これは小さい漁船だと思いますが、ペンキを塗っていた、遊びに行かないで。そしたら海のうねりが来て隣のすぐそばにいた船の間に頭がはさまって死亡した、こういうような事故がいっぱいあるということを知りましたし、それから
運輸省の言葉では
船員の不安全行為という言葉が使われていますけれども、これは海上暴力事件、これもずいぶんたくさんあるようですね。
ですから、設備が悪かったり、それから労務管理が悪かったり、労働時間が長時間に及んで過重労働をさせられたり、
生活するところと労働するところが同じ場所にあるわけですから、非常に疲労したりする、精神的にもいら立つこともある、そういうことから起こる暴力事件もいっぱいあるだろう、そういうものによって殺傷された場合も転落したというふうになっているかもしれないし、海上の暴力事件というのは本当に私はわからないと思いますね。船の上に乗っかって監視している制度というのは相当大きな船に要求されているようですけれども、それはあんまりないようですね。
そこで、私は、この
条約の中で、そういった暴力事件とか殺傷事件とかいうもののほかに、普通に一般に
日本船員が
日本船に乗っている場合でも、問題になると思う他所があるわけなんです。これは
外務省の方に伺いますけれども、第一条の三項ですね。三項のところに「この
条約の適用上、「
職業上の
災害」とは、
船員が被る
災害であって、その業務に起因し又はその業務の遂行中に生ずるものをいう。」というふうになっているわけですね。で「起因し」というのですが、私は
ILO条約でときどきこれが問題になりますのでいつも問題にしているのですけれども、英文の方では「ザ ターム オキュペーショナル アクシデンツ カバーズ アクシデンツ トゥ シーフェアラーズ アライジスグ アウト オブ オア イン ザ コース オブ ゼア エンプロイメント」と「アライジング アウト オブ」というのですね。これはその業務より生ずるということだと思うのです。業務より生ずる、またはその業務を遂行中に生ずる
災害ということだと思うのですね。
で、これを「起因し」というふうに翻訳するのは、これは
ILOの言葉でみんな統一しているらしい感じがするのですが、これは故意に「起因し」となさったのかどうか。つまり「起因し」ということになりますと、その業務と
災害との因果
関係をきちっとしなけりゃいけないことになる。なぜ私がこういうことを言うかと申しますと、労災認定のときに問題になってくるわけですよ。けがをした、あるいは病気になった、しかしそれはその業務と因果
関係があるかないかという議論になってきて、しばしば
船員の方の間にこれは問題が起こっているわけなんです。だから、こういうところをもっと正確に、「起因し」としないで、業務より生ずるということになれば、
船員としてその船に乗っているという業務から起こってくる、もっと幅広いと思うんですね。その辺は、どういうふうに
外務省ではこれを翻訳なさるときに考えて、そうなさったのかを伺いたいと思うんです。