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参考人(
有澤廣已君) 順次お答えいたしますが、最初の、
原子力安全委員会を
行政委員会にした方がベターではないか、何で八条
機関といいますか、
審議会形式にとどめたかと、こういうお話でございますが、
権限を規定するという場合にはいろいろ項目を決めて、その他
原子力安全
行政に必要なことを含むと、こういうふうに書いてあるからかなり弾力的にやれるんじゃないかという御主張でございます。ですが、この場合は、
原子炉につきまして、
発電炉につきましては、一方では
通産省というのがあります。あるいは一方では科学技術庁というのがある。そこで
行政庁、
行政機関と
行政機関との間の接点になってくるわけです。そこはたとえば通産と農林省との間にもその問題があると私は思います。そして、問題によってはどっちが
責任をとるかわからぬというような問題が起こってくる。ですから、ほかの
行政庁がなくって
権限がどこまでも広がり縛るような場合にはその他という項目でカバーできると思いますけれ
ども、この場合はそれがなかなかできないという心配があったからでございます。それが
一つ。しかし、まあ
審議会にした方がよりいいと言ったのは、最初にも申し上げましたように、
行政委員会は何といっても
政府内部にあるということが私たちの非常に頭にかちっとくる問題でございます。まあ、公取
委員会もあるじゃないかとおっしゃいます。公取
委員会も
行政府内にある
機関でございます。そのためにいろいろの問題が起こっているということは御承知のとおりでございます。それがために私
どもは、むしろ
政府の外にあって、そして
国民の口証にこたえる
委員会の方がベターだ、こういうふうに考えたわけです。それに対して、それでは
権限がなくって困るんじゃないかというのが
皆さんの反対論だと思います。しかし、
委員会の
決定は総別大臣がこれを尊重しなければならぬとなっております。また、各
省庁にもその
決定を
総理大臣を通じて伝えてそれを尊重させることになっております。また、
報告を徴収することも
意見書を提出することもできる。それらの
権限があるわけです。そういう
権限は十分持っております。ですから、その
権限をどういうふうに十分に活用して
国民の
負託にこたえるだけの態度をとっていくかということが
原子力安全委員会の
任務であろうと思います。ですから、そういうことはやればやれるわけです。ただ、やる人、つまり
委員がそれをやるかやらぬかということによってかなり動きが違ってくるということは確かでございます。しかし、まあ
権限がありましてもその
権限を十分使わないという役所もありますから、そこは、人の問題は役人の場合も
委員会の場合も私は別に変わりはない。むしろ役所の人でない、官吏でない人が
委員になっておるわけでございますから、この人は、私の考えから言いますと、
独立独歩の態度を取りやすいということは言えると思います。それが第一点でございます。
それから、事務局のことでございますが、さしあたっては
独立の事務局を
安全委員会は持たないで、まあ今回は科学技術庁の安全局になったわけでございます。いま申し上げましたように、この
原子力委員会、
安全委員会は
独立の存在
機関、組織として活動するわけですから、それに必要な事務局は、ぜひ
自分の事務局を持ちたいということは私
どもも非常に念願しておるところでございます。それがどういうふうな形で持ち得るか、持てるかということについては、もう少し
研究をしてみないとどうもにわかに結論が出せないというところで「当面は、」ということに相なっております。ですから、これは
原子力安全委員会が発足しまして、
自分でいまの
独立独歩の活動を始めると、そのときにどういう不便が出てくるか、どういう支障が出てくるかということによりまして、
自分たちの事務局を早く持たなきゃいかぬかどうかというふうな問題がはっきりしてくると考えております。ですから、いまの科学技術庁の安全局が十分
安全委員会の事務局として役割りを果たし得ないかどうかということは——私は果たしてもらいたいと思っておりますけれ
ども、果し得ないかどうかわかりませんが、それは今後の事実によって
判断を下し、そして、早く事務局を持たなきゃならぬようになりますか、また、そうじゃなくて、当分の間はまたそれでやっていけるかどうか、それは事実の発展にまつよりいまのところ私はしょうがないというふうに考えております。
それから、
公開ヒヤリングの問題でございますが、この
制度化につきましては、どういうふうな
公開ヒヤリングの
制度をつくればいいかということをいろいろ
議論したことは確かでございます。そうしますといろいろの疑問が出てまいりました。なかなか一義的な
制度を考えることはできませんでした。しかし、
公開ヒヤリングは必要なことはもう確かなんです。ついては、
公開ヒヤリングは、先ほど申しましたように、最初の
段階におきましては、
通産省を
中心とした官庁が主宰者になって、そして、そこでの
説明着は
電力会社といいますか、
原子炉を
設置する
設置者がまずやります。それは冠詞審の
認可がおりる前に電調審に
参考になるようにそこでまずやる。これは
通産省もやることになっています。その次には、その電調審の上がってきた後、今度は
通産省の方の
安全審査報告も
安全委員会の方へ出てまいりますから、
安全委員会が主導してもう一遍
公開ヒヤリングをやります。そして、その
公開ヒヤリングの成果をも踏まえて
安全委員会が
一つの結論を下すことに相なります。ですから、そういうふうな手続は確かにそうですけれ
ども、いままであっちこっちでやりました
公開ヒヤリングはかなり混乱をしております。御承知のとおりだと思います。ですから、同じような混乱が続いていくという場合には、これ
制度化しておったならばにっちもさっちもいかないようなことになるんじゃないか、
公開ヒヤリングができなくなるおそれもあります。そこで、そういういまの手続に従いまして
公開ヒヤリングを必ずやっていて、そしてだんだんこう固まってきた上でひとつ
制度を考える、つくったらどうかと、こういうのが定着した上で
制度化をするというふうに書いてあります。だから
制度化をしないという
意味じゃございません。
制度化をするまでの——
制度化も、どういう
制度化が最もいいかということがまだ私たちの頭の中でははっきりと浮かんでこなかったことも確かでございます。外国の事例もいろいろ調べてみました。ですけれ
ども、まだ日本の場合においてどうであるかということになりますと、
制度化のイメージがはっきり出てこなかった点もありました。したがって、さしあたってはいま申し上げましたような段取りで
公開ヒヤリングをやって、そしてだんだん
定着化の上で
制度化しようと、こういう
考え方でございます。
制度化をおくらす口実にしているという
意味は毫もありません。
それから温排水の点でございますが、温排水の問題も無論
安全審査の場合には十分
検討を加える点でございますが、ことに、これはいま海洋生物環境
研究所ですか、というのが二年前でしたかな、もう確かにできておりまして、ここでいまの温排水が海洋生物に及ぼす影響について
研究を始めております。いまのところまだできましてから二年でございますから、ある程度の成果は出ておるようでございますけれ
ども、まだ温排水の
基準をどうするべきかというところまでの結果は十分でないと思います。無論この温排水につきましても、その排出の
基準も、地形とかその他の潮流の流れとかいろいろの条件がありますから、その
基準も複雑だと思いますけれ
ども、そういう
研究を進めることによって
基準をつくるということになっております。海洋生物環境
研究所の方は、及川漁連会長が、たしか会長さんだったかな、何かやっておりまして、それで
研究を進めております。それですから、私は先ほ
ども申しましたように、
安全委員会ができましたならば、まあ最初に
安全委員会というものができるわけですから、非常に取り組むべき仕事が多いと思います。この
原子力安全性に関する
基準の問題もまさにこの
安全委員会の取り組むべき大きな仕事の
一つになっております。その他もありますけれ
ども、これも非常に大きな問題じゃないかと思います。ですから、温排水につきましても同様のことが考えられるというふうに私は考えております。
以上、お答えいたしました。