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1978-05-31 第84回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月三十一日(水曜日)    午後一時四分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月十一日     辞任         補欠選任      亀長 友義君     植木 光教君  五月三十日     辞任         補欠選任      立木  洋君     渡辺  武君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         岡田  広君     理 事                 稲嶺 一郎君                 志村 愛子君                 丸谷 金保君                 相沢 武彦君     委 員                 伊江 朝雄君                 大鷹 淑子君                 増岡 康治君                 川村 清一君                 二宮 文造君                 下田 京子君                 渡辺  武君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)      稻村左近四郎君    政府委員        防衛施設庁総務        部長       奥山 正也君        沖繩開発政務次        官        佐藤 信二君        沖繩開発庁総務        局長       亀谷 礼次君        沖繩開発庁振興        局長       美野輪俊三君        労働大臣官房審        議官       谷口 隆志君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     平井  清君        大蔵省理財局国        有財産第二課長  山口 健治君        運輸大臣官房地        域計画課長    早川  章君        運輸省海運局内        航課長      田辺 淳也君        運輸省海運局定        期船課長     近藤 憲輔君        運輸省港湾局技        術参事官     久田 安夫君        運輸省航空局監        理部監督課長   松村 義弘君        建設省都市局都        市交通調査室長  玉置  清君        建設省道路局企        画課長      渡辺 修自君        日本国有鉄道旅        客局総務課長   須田  寛君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (沖繩における旧軍買収地に関する件)  (沖繩における土地買収問題に関する件)  (交通方法変更に関する件)  (沖繩振興開発計画に関する件)  (沖繩における航空、海運港湾整備及び陸上  交通問題に関する件)  (沖繩における米軍演習事故に関する件)     ―――――――――――――
  2. 岡田広

    委員長岡田広君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨三十日、立木洋君が委員辞任され、その補欠として渡辺武君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 岡田広

    委員長岡田広君) 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査中、沖繩問題に関する件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 丸谷金保

    丸谷金保君 最初に大蔵省の方にお伺いいたしますが、「沖繩における旧軍買収地について」ということで、沖繩の、軍が買収しあるいは接収し、その後アメリカ軍によって接収された、そういう地域に対する統一した見解が発表されております。この件につきましては衆議院でもいろいろ論議されたところだろうと思いますが、しかし、これが発表されましてから、現地市町村から、それぞれどうも納得いかないんじゃないかというふうなことで要望が上がってきておりますので、大蔵の発表に対してそれぞれの地方自治体の方で納得がいかないというふうなことが出てくると、これは多少問題でもあろうかと思います。したがって、それらの点についてお伺いをいたしたいと思う次第でございます。  ここに参っておりますのは読谷村から私のところに陳情書が出てきております。それによりますと、大蔵省では、大体すべてこれは用地買収その他私法上の売買契約によって取得した、こういうふうになっているけれど、果たしてその当時そんなことが行われたんだろうか。こういう発表をなさるに当たってのそれぞれの証拠書類といいますか、そういったものは調査なさって御発表になったと思いますけれど、その点ひとつ詳細にお聞かせいただきたいと思います。
  5. 山口健治

    説明員山口健治君) お答え申し上げます。  いま先生から御指摘のあった沖繩における旧軍買収地については、数年前から地元及び国会等で問題になっておりまして、早急に調査して報告しなさいという御指示をいただいたわけで、ことしの四月の十七日に足かけ六年間の調査の結果を衆議院予算委員会に提出したわけでございます。それについてはすでに先生御承知かと思いますが、大蔵省がいままで行った調査内容及び結論的なことも全部述べてあるわけですけれども、本件については去る五月十二日に衆議院沖特委員会においても報告を求められまして、大蔵省から私がその内容を概略御説明申し上げた次第であります。  御指摘大蔵省報告内容について地元関係市町村が納得してないというようなことでございますけれども、これはやはり政府としては昭和四十八年以来、この問題が提起されて以降、もうあらゆる手を尽くしまして、資料の収集及び関係者からの事情聴取、それから当時におけるいろんな諸制度調査した結果、その内容をまとめ、かつ得た結論でございまして、沖繩における旧軍買収地私法上の売買手続によって正当に買収され国有財産になったという考え方は間違ってないものと思うわけでございます。  次に、もしそういうことであれば、その資料等について提出しなさいということでございますけれども、これは事情聴取あるいはアンケート調査あるいは物的な資料及び諸制度調査、非常に広範に多岐にわたって調査をいたしておりまして、かなり膨大なものでございます。その内容につきましては、たとえば事情聴取とかあるいは物的資料等の中には個人名前が出てきたり、あるいは個人権利関係のことが記載してあるような問題もたくさんございますので、そういう諸資料等については国会にお出しするというわけにはまいらないんですけれども、そうでないような一般的な資料で差しさわりのないものについては、個人権利義務利害関係のないような、そういうものについては先生の必要とされる限りにおいて提出いたす、こういうふうに考えております。
  6. 丸谷金保

    丸谷金保君 全体というと大変大きな資料になると思います。特に、その中から抜き出して、たとえば読谷村における旧軍飛行場の工事を行った、それがいま国有財産になっている。その地域に限定しての資料の提出だとできますか、いかがでしょうか。
  7. 山口健治

    説明員山口健治君) 読谷村における飛行場に限定していいかどうかという御質問ですが、先ほど申しましたように本島及び伊江島、これは読谷飛行場も含むわけですけれども、その地域につきましては、たとえば土地売買契約書に当たる、当時売り渡し証書と申しておりましたけれども、売り渡し証書とか、あるいはその代金領収証等ですね、直接売買を証したという資料は発見されてないわけでございます。したがって、それを提出するということはできないわけでございます。  しかしながら、間接的な資料、たとえば当時軍がどのような方法によって買収をしたか、あるいは当時のいろいろな買収手続がどうであったか、あるいはその後行われた所有権認定作業というものはどういうふうになっていたか、こういうふうな分野、つまり現在国有財産になっているということ及び当時私法上の売買で買われたんであるということを間接的に裏づけるような資料については、個々人利害とか、あるいは権利義務関係のない範囲内においては、提出できるものと思います。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、大蔵省発表しているすべて私法上の売買契約によって買収されたものと認められるというのは、逆に言いますと、それらの用地国家総動員法によって強制収用されたという証拠がないから、売買契約によって私法上の譲渡が行われた、こういうふうに類推解釈しているということでございますか。
  9. 山口健治

    説明員山口健治君) 結論から申しますと、そうではございません。  国家総動員法によって強制収用されたという証拠がないから私法上の売買になるという、そんな非常に大胆なあるいは飛躍した考え方でわれわれがそう言っているわけじゃなくて、たとえば当時海軍及び陸軍飛行場その他の施設をつくったわけですけれども、これは大体昭和十八年から十九年にかけて米軍が南の方から沖繩に侵攻してくるという非常に緊迫した情勢を背景にして行われたわけですけれども、その陸軍及び海軍土地買収手続というのは、もう沖繩読谷以外の飛行場その他の基地においても、あるいはそれ以外の九州その他本土におきましても大体パターンが決まっておりまして、同一通達同一手続によって行われることになっていたわけです。  そういうものについて宮古島あるいは石垣島におきましては、ほぼ同時期に飛行場その他の施設が建設されたわけですけれども、それらを調査しましても、正当に契約書がある、あるいは領収証がある、あるいは登記簿上も昔から続いた登記簿が現在残っておりまして、そこではっきりと売買という理由によって国有地になっておりますから、同じ通達、同じ手続によって買収された土地、しかも同じ沖繩において、たまたま本島及び伊江島では直接戦闘が行われたから、そういうものが焼失して見つからなかったとはいえ、同じ沖繩の他の地域においてそういうものがきちんと私法上の直接的な証拠が発見されている以上は、これは間違いないんではなかろうか、こういうふうに判断している次第であります。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、ほかの方で飛行場をつくる場合も私法上の契約によって土地の取得がなされた、そういうふうな事例があるから、同じころにやった読谷飛行場の問題についても同様な措置がとられただろうと、こういうことでございますか、そういうふうに類推解釈するということですか。
  11. 山口健治

    説明員山口健治君) 一応、そういうことでございます。  それと、これは先生の御質問には直接ないことでございますけれども、沖繩では直接戦闘が行われ、かつ米軍占領されて、昭和四十七年まで占領状態が続いたわけですが、その間において、特に本島では土地所有権及び境界位置その他が不明確になってしまった。したがって昭和二十一年に米軍指示をいたしまして指令とか布告を出しまして、土地所有権の正しい姿を求める作業を行ったわけです。これを当時所有権認定作業というふうに呼んでいるわけでございますけれども、それを沖繩全体について市町村委員会をつくりまして、その委員会というのは字に数人の人を選んで字委員会その上にさらに市町村ごと市町村委員会というのをつくりまして、二段構えで各個人所有地ごと関係者が立ち合って境界等所有権関係をずっと作業をやっていったわけでございます。これを土地所有権認定作業と申しまして、昭和二十一年から昭和二十六年まで続いたわけでございますけれども、その結果、当該市町村長が、この土地は確かにだれだれさんの土地であるということを確認した場合に、これはもちろん字と町村土地所有委員会からの調査の結果に基づいて市町村長認定をしまして、その結果、昭和二十六年の四月一日に、すべての土地について認定書を発行したということがございまして、その段階においても一応国有地であるということは、その字委員会及び村委員会及び当該市町村長において認められてきたものでございます。  したがって御指摘読谷村の飛行場用地についても、当時のその読谷村の字委員会とそれから村委員会及び読谷村長国有地であるということに間違いはないという認定書を発行いたしまして、その結果、登記簿に登載するなり、あるいは国有地については当時日本国代表機関現地になかったものですから、米国民政府財産管理官という人がそれをずっと復帰のときまで管理するに至ってきているわけですが、そういったように単に買収のときに私法上買ったというだけではなくて、その後の所有権認定作業においても、それを正当に国有地であるということを地元の方々が認めておられるということをも踏まえて、大蔵省は、間違いない、こういうふうに判断して報告書を出したわけでございます。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 地元の方というのは、当時の村長がこれは国有地だというふうに認めたということなんですね、いかがですか。
  13. 山口健治

    説明員山口健治君) 字委員会において個々人土地について、その現場へ行きまして、隣接地主本人両方立ち会いの上、境界位置それからその権利を確定して書類をつくって、それを村委員会に上げまして、村委員会がそれを審査いたしまして、その結果、三十日間縦覧に供しまして、縦覧間異議がある人は申し出る。申し出た場合には、これをもう一回再調査をして審査し直す、そういうことをやりまして、三十日間の縦覧期間後は、読谷村の場合には読谷村長名前で各所有者に対して所有権確定書というのを出しているわけでございます。その三十日間の縦覧期間内に異議申し立てができずに、後からこれは私の土地だったという主張をされる方は、その後裁判によってそういう訴えを提起して取り戻すことができた、そういう制度になっております。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで、ひとつ考えていただきたいんですが、所有権国有地になったということについての手続上の誤りがなかったということはいまの説明でよくわかります。しかし、その前提に、沖繩がつい最近までアメリカ軍政下にあったということと、この土地アメリカ軍接収されておったということにおいて、いまのようなことが行えるような状態に実際あったんでしょうか。ここはおれの土地だ、ここの土地だと言ってアメリカ軍接収した土地の中へ入っていって、実際にはもう所有者の方も形の変わった土地に行って、ここからここまでというふうなことを、くいでも打っていない限り、くいがあったって飛行場になれば当然全部なくなっておりましょうし、なかなかそう簡単に三十日間の縦覧期間中に来なかったから、だからもうおまえたち請求権はないんだと、そういうふうなことだけで沖繩の戦後処理の問題を済ましていけるものでしょうか。  縦覧期間というのは、それはいろんなことはあります、都市計画法でも何でもそれはあります。しかし、これは一般的にはなかなか来ないものです。日本国じゅう縦覧期間中に異議のある人はというので縦覧に来る人がほとんど少ないというのが各種のこうした公告の実態だろうと思う。それを沖繩の戦後の非常に混乱した、そしてようやく復帰してから自分権利主張するというふうなことになってきた、それからまだ何年かしかたっていないという状況の中で、一つの枠に完全にはめ込んで、だからもうこれは国有地なんだという結論をこういうふうに早く出していくということが果たして妥当だったかどうか。  だからこそ、私は、この文書を読んでみて非常に感じるんですが、「当時の手続調査すると、当該用地国家総動員法によって強制収用されたとする証拠は全く見当らず、すべて私法上の売買契約によって買収されたものと認められる。」この文言から言うと、強制収用されたという証拠がないんで、すべて私法上の買収が行われたというふうに認定しているんであって、本来は、私法上の権利、これは戦前は憲法が違いますから、たとえば売買契約をすると金は払うと言ったって払わなかった例がたくさんあると思います、昭和十八年から十九年ころにかけては。強制疎開なんかのところでもそういうトラブルをずいぶん私も耳にしておりますし、そういう状況の中で全部合法的になされたと一方的に決めるというのはどんなものでしょう。
  15. 山口健治

    説明員山口健治君) 先生の御懸念というか御心配は私もよくわかるわけでございますけれども、まず、第一番目に、土地収用接収という言葉についてちょっと御説明いたしますと、国家総動員法に基づいて政令というか、当時勅令だったかと思いますけれども、にその手続が定まっておりまして、強制収用する場合には売買ではないわけでございますから、損害補償という表現をとっているわけでございます。で大蔵省としては、もし万一こういう国家総動員法に基づいて接収したという事実があったら大変なことでございますので、全国の都道府県の土地収用委員会及び旧軍買収地、これは本土も含めてですけれども、すべてについて当時の登記簿とか、あるいは土地収用委員会に対する照会を全部行いました。その結果、国家総動員法というのは確かに法律としてあったわけでございますけれども、それに基づいて土地を強制収用したという例は日本では一件もなかったわけでございます。したがって、これは制度的にはあったけれども、日本国政府は発動しなかったという結論になっているわけでございます。  もし、そうではなくて、実際に強制収用されて損害補償金しかもらっていなかったという方がおられれば、これは申し出ていただければ、われわれの方でもう一回調査をし直すにやぶさかではないわけでございます。  それから、旧軍が買収した土地について、もともと提供財産になって米軍が使っていたことなんだから、それを一々三十日間の縦覧期間があったとはいえ調査をして確認したり、あるいは申し出ることはできないではないかという御指摘についてですけれども、これは当時われわれその現場にいなかったものですから当時のことは実際にはわからないわけでございますけれども、調査をしてみますと、たとえば次のようなことがあるわけです。  その一つは、沖繩県、当時沖繩諮詢会あるいは沖繩民政府と称していたと思うのですが、の総務部長から各市町村長あて通達が出ておりまして、旧軍が軍用地買収した際に、土地を売った人の中で全部の代金をもらっていない人、一部しかもらっていない人は自分土地であるという申請をしてもよろしいと、これは非常に地主側にとって寛大な措置ではなかったかと私は思いますが、そういう通牒。  あるいは、もう一つの例を申しますと、そうは言っても二十一年から二十六年というと米軍が上陸してすでにもう基地として使い始めていたときですから、実際にその土地を旧軍に売って接収というか米軍が使っている場合には、自分のその土地基地の中へ立ち入りできなかったのではないかという御指摘というか御批判が現地でもあるんですけれども、それにつきましては、全部の基地ではございませんけれども、一部の基地については、米軍憲兵隊の許可を得て、これこれの者は所有権認定作業のために基地に立ち入ってもよいという米軍命令書が発行されているわけでございます。われわれはその写しを持っているわけですが、そういったことから、所有権認定作業というのは米軍の責任において沖繩諮詢会あるいは沖繩民政府、いまの沖繩県に相当する機関ですけれども、が沖繩における市町村及びその下で町村土地委員会あるいは字委員会、こういうものをフルに使って、かなりというか正当に行われたんではないか、どうもその所有権認定作業というのはそんなにいいかげんにやったものではないということと大蔵省としては考えているわけでございます。  それから、最後に、縦覧期間三十日間だけでは間に合わない、あるいは申し出れない人もいたんではないかという点についてですが、これは三十日経過した後何もできないというわけではなくて、復帰前から今日に至るまで訴訟を提起することは自由なわけです。現に訴訟を提起して自分土地だと言って取り戻した方もおられますし、復帰前から訴訟を行っている方もおられるわけでございます。したがって、そういう道は現在でも開かれている、こういうふうに考えております。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 結局、文句のある人は訴訟をして、それで争ってくれればいい、こういうことですね、簡単に言うと、大蔵省のいまのは。
  17. 山口健治

    説明員山口健治君) いや、そういうわけではございません。  私ちょっと誤解をされたのではないかと思うのですけれども、当時の所有権認定作業及びそれが行われた制度から今日に至るまでのこの流れをずっと調べてきますと、決して権利者の正当な要求を何かないがしろにするというか、認めないようなそういうことには決してなっていないと、いまあくまでも私は制度の方をここで申し上げたわけでございまして、訴訟に訴えていただければいいなんというような、そういうことを申し上げているわけではありません。  大蔵省としては、これはいま国有財産であるとこうわれわれが考えているものを、そうでない返せということでございまして、何というか当事者立場には一応なるわけでございますけれども、大蔵省として、この土地をどうしても国有地にしなきゃならぬというような特別な理由が何もあるわけではなくて、ただ、できるだけ広範に深く調査をして正しい結論を得て、一部の人が不当に得をしたとか損をするとか、あるいは正しくないことが行われるということのないようにという、いわゆる当事者という立場を超越して、正しく公平に問題を解決する、こういうことだけを念願にしているわけでございます。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 御趣旨はよくわかるんですけれど、どうもちょっとどこか食い違うんじゃないかと思います。  一つは、国有財産払い下げについて最近非常に厳しくなってきております。これは大変いい傾向だというふうに総論としては私たちも決して反対するもんでございません。国民の共有の財産ですから、特定の利権まがいに安く払い下げるとか、往年いろいろありましたような問題を起こさないように十分注意しなきゃならぬということは当然であろうと思うんです。しかし、あつものにこりてなますを吹くというふうなきらいがどうも最近の大蔵省財産処分の中では出てきているのではなかろうかという気がいたします。極端に言いますと、地方公共団体に対する払い下げなども大変時間がかかるし、慎重になって、相当陳情しないとなかなからちが明かないという点が全国的に各地に出てきていると思います。信濃川の河川敷ほどに手早く公用廃止でも何でもできるということが決していいことだとは私思いませんよ。思いませんけれど、少しその点で慎重過ぎるんでないか。  特に、公共の利益を代表する地方公共団体申し立てを行ってきたような関係については、これはもう一個人の、おれの権利だからよこせというのとは違って、地域全体の問題として、私は、読谷の場合は村長が先頭に立ってこういう問題提起をしてきていると思うんです。それは一個人の私的な権利主張というふうなものを乗り越えて、戦争の後始末アメリカ軍の長い占領後始末をどうするかという地域ぐるみの大きな願いを込めたこういう要求になってきているという視点からとらえないと、ちょっとこの問題についての前向きの進め方というのが非常に違ってくるんです。どうもそういう点で、どうなんですか、大変慎重なのは結構だと思うんですが、最近の国有財産についてはとにかく利権まがいなことになっちゃいけないいけないという余り、地方公共団体等公共の福祉という立場からの要望に対してもきわめて慎重過ぎるきらいがあるかと思うんですが、いかがですか、その点、一般論ですけれど。
  19. 山口健治

    説明員山口健治君) 国有地払い下げというか処分に関する一般的な考え方ということでございますけれども、いま御指摘のとおり、国有財産行政は過去にいろんなことがございまして、数年前から、そういうことがあってはいけないということで法律、法令に従うのみならず、国会あるいはその関係者国民各位の疑惑の起こらないような正しい国有財産行政をしなきゃいかぬということでわれわれ一同力を合わせてやってきているわけでございますけれども、特に提供財産等が米軍が撤退するというんで返ってくるような場合には、これは沖繩もあるいはそうかもしれませんけれども、最近土地の値段が非常に高い、上がってしまって高いということのほかに、大体都市周辺あるいは市街化区域、市街地に土地がない、物理的にないという状態でございますものですから、地方公共団体のみならず、欲しいという方が非常に多いわけでございます。もちろん、大蔵省としては、地方公共団体等の公用あるいは公共用に充てるということを最優先にするという国有財産審議会の答申をいただいて、通達等でもそういう方針及び趣旨を徹底して扱っておるわけでございますけれども、何分にも絶対的な土地の量が少ないのに需要が非常にオーバーラップして重なって欲しいという要望が多いものですから、その点については厳正に公平を期して公共優先ということでやっておるつもりであります。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 ここの場合も、そういう点では、地方自治体がどうも住民の立場に立って納得がいかないということで、大蔵省の出した結論に対して実はいまわれわれのところへ陳情に来ているわけなんです。  その理由の中には、いまの話の中でも明らかなように、売買契約を拠証立てるものは全くないということ。それから昭和十八年から十九年の当時にかけて、これはもう私法上の対等の権利者同士の売買ではあり得なかったですね、このことはおわかりになると思うんです、当時の状況というのは。もうそんなものじゃないです。軍の命令だ、売らなきゃ非国民だと、お金だって実際には手続なんていうのはもういつのことかわからない、そういう状態は枚挙にいとまないほど各地にあったと思うのです。私は沖繩だけがその点きわめて相対的ないわゆる民法上の私法上の売買契約状態の中で土地の移転あるいは使用が行われたとは思えないんです、このことについては御理解いただけると思うんです。そういう異常な形の中で行われたこういう土地の問題について、いわゆる一般的な国有財産という観点から問題を処理するということに大きな何か一つ間違いがあるのでなかろうか、そういう角度でやったんでは沖繩の問題は私は解決しないと思うんです。戦場にならなかった国内とは違うし、特に戦争、アメリカ軍、こういうふうなものを踏まえますと、そういうことをしっかりあれした上で、とにかく地域の住民の意向の方を優先させるという角度での行政的な処分が行われないと、問題としては非常に残っていくのじゃなかろうかと思うんです。  たとえばこの陳情書によりますと、読谷飛行場の周辺にくいが三本あったから、これは売買契約が済んだからくいを打ったんだろうと、こういう物的証拠の大きな原因になっているということが現地で行われたそうですが、その点御存じですか、そういうこと。
  21. 山口健治

    説明員山口健治君) 沖繩読谷飛行場の周りにくいが三本というお話は私よく知っていまして、また、先日、沖繩に出張した際にも現地を確認してまいりました。  それはちょうど旧読谷飛行場と民有地との間の境目にがけがあるわけなんですけれども、そのがけの上に、やぶの中にくいが三本打ってありまして、これはかなり大きながっちりとした石で深さも相当深いと思いますが、ナンバーが振ってありまして、陸軍という標示が彫ってあるわけですけども、予算委員会報告書を出してから、あともう一本くいが出まして、合計読谷村の飛行場の民有地との境界に四本くいがあるわけでございます。このくいははっきり陸軍という標示があるし、境界ぐいだと思うんですけれども、そのナンバーが続けて振ってあるわけなんでまず間違いないと思うんですけれども、沖繩でもそうかと思いますが、一応不動産の売買というか、が終わりますと、大体お互いの境界を後日のために明確にしておくという意味でくいを打つという場合が非常に多うございまして、そういうことからやはり一つの有力な証拠にはなるんではないか、そういうふうに考えているわけでございます。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 一つの有力な証拠というより、物的証拠としてはほとんどこれが決め手になったような感じでございますね、あと何にもないんでしょう、移転を証明するようなものが。
  23. 山口健治

    説明員山口健治君) 旧軍が買収した当時における物的な証拠としては、おっしゃるとおり、このくい四本以外にはないわけです、契約書あるいは領収証等はないわけなんです。  ただ、先ほど申しましたように、単に国対民間の土地の争いのみならず、民有地同士でいろいろな土地に関する紛争が沖繩に起こりましたもんですから、それを解決する――民有地問題だけじゃなくて、民有地、公有地全体をひっくるめまして位置境界及び所有権関係を明確にしようとしたのが所有権認定作業なわけです。したがって、確かに昭和十八年から十九年にかけて旧軍が買収したときにおける物的証拠はそのくいしかないんでありますけれども、その後それは沖繩地元の方々によって再確認されている、そういうふうにわれわれは考えているわけでございます。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 地元で再確認されたということですが、実際にそのくい打ちをやったときに使役として作業に従事した方がまだ現存しておるんですわね。そしてこの人たちの話によりますと、昭和十八年の六月から七月の暑い最中に、作業の指揮をしたのは上等兵さんで、上等兵さんが指示して村民が三人一組ずつになってくい打ち作業を行っていったと、こういうことです。この点も確認なさっていらっしゃいますか。
  25. 山口健治

    説明員山口健治君) いまおっしゃった昭和十八年六月から七月にかけて上等兵が班長さんになって三人一組という話は、これはわれわれもいただいて読ませていただいたんですが、読谷村から出された文書、「大蔵省報告沖繩における旧軍買収地について」に関する読谷村内関係団体の主張と要請」こういう文書にはたしか載っていたかと思いますけれども、大蔵省が中心として行った足かけ六年余にわたるいろんな、これは恐らく千人を超すと思いますが、方々からの事情聴取アンケート調査及び資料の収集その他の調査からはいまのような事実ははっきりと判明いたしておりません。
  26. 丸谷金保

    丸谷金保君 私たちは、これは少なくとも村当局が出された書類にあるんですから、村としては十分調査して提出されたもんだろうと、この点はひとつよく大蔵の方においても調査をしていただきたいと思います。  と申しますのは、こういう状況で実際のくい打ちが行われたとなると、これはもう明らかに通常の売買ではないということなんです、民間の常識で。必ずくい打ちを行う場合に双方立ち会います、これは双方立ち会っていないんですよ、いいですか。  それからもう一つは、きちっと境界をはかって、もとの位置からはかって、どういうふうにということをきちっと専門家が来てくい打ちをします、そういうことも行われていないんです。そうですわね。これが正常な売買と言えますか。まさか大蔵省財産を取得する場合に、戦前、戦後を通じてそういう私的な売買を行うということは私はあり得なかったと思うんです。いかがでしょう。
  27. 山口健治

    説明員山口健治君) くい打ちのやり方が地主が立ち会っていなかったんではないか、それから一方的にやったんではないかということでございますが、私どもが調査をした結果、そこまで詳細に当時の事情を述べてくだすった方はいないんでございますけれども、当時の関係者、これは旧軍人並びにその官公署、役場の吏員とか司法書士あるいは旧地主さん等からの事情聴取をたくさんやった結果では、売買手続及び代金の支払い等はきちんと行われていたという証言がかなり多うございますので、こういう細かい点については、もし調査をしなさいという御指示があれば、どのような結果になるかどうかは別として、もう一度それは関係者から事情を聞いてもよろしゅうございますが、当時の手続あるいは関係者からの事情聴取等から総合判断しますと、きちんと売買契約代金の支払いは行われたのではなかろうか、そういうふうに判断いたすわけでございます。
  28. 丸谷金保

    丸谷金保君 行われたのではなかろうかというのは人証ですか。そういうあれをとっているんですね。
  29. 山口健治

    説明員山口健治君) 行われたのではなかろうかと申しますのは、先ほど来申していますように、いろんなものを調査して、読んで調べた結果の総合判断でございまして、これは大蔵省というか、われわれの判断でございます。
  30. 丸谷金保

    丸谷金保君 いろいろな人に聞かれたとすれば、そういう人証もあるだろうと思うんです。しかし、そういうものは出せないわけですね。こういう調査の結果、こういう判断をしたという、個々の部分について、どうなんですか、出せますか。
  31. 山口健治

    説明員山口健治君) こういった真実が客観的に証明されない点に関する関係者からの事情聴取というのは、その結果どういう人が何を言ったかということは与える影響が非常に大きいわけでございます。したがって、これは沖繩読谷の問題だけではございませんけれども、一般的に国有財産の行政におきましてこういう個々の人の個別問題に関する陳述書と申しますか、事情聴取書は一般的に発表しないことになっております。
  32. 丸谷金保

    丸谷金保君 それから、この飛行場土地はくいを打たれた後も、その一部には国民学校が入っていて、それからまたさらに農民はその後もその中に入っていってずっと畑をやっていたと、こういう事実は調査しておりますか。
  33. 山口健治

    説明員山口健治君) 御指摘のようなことは、これは国有地であるかどうかという所有権の帰属の問題ではなくて、その土地をある時点でだれがどのように使っていたかという利用に関することでございますので、直接大蔵省の所管ではございませんので、うちの方では余り調査をしてございません。
  34. 丸谷金保

    丸谷金保君 たとえばそれが国有地になろうとどうなろうと、正当な売買が行われようと、いわゆる戦後の農地解放によりまして耕作者には耕作権があったんです。しかし、ここはその後米軍接収されているからないでしょう、ないですわね。だから沖繩だけ別だったんですよ、いいですか。そういうことを踏まえながらこの種の問題の解決をしていただかなきゃならない。  とすれば、物的な証拠はくい三本あったと、それも上等兵が連れていって埋めたやつだと、何にもそれはきちんとした境界やなんかじゃないと思うんです、正確な意味における。恐らくメッソでここだろう、あそこだろうというふうに、ここへ打てあそこへ打てと、これはこういう状況だったことは間違いないと思うんです、各地そうでしたから。そういうふうな状態で人証も発表できない。物的証拠としてはくい三本。これも生存者が村当局に証言しているんですから、私は村の方でもいいかげんにでたらめにこういう文書を上げてくるはずがないと思うんです。それぞれ調べて上げてきていると思うんですが、三人一組の作業班で上等兵がついてくい打ちをさせた、こういう状態ですわね。こんな状態の中で、もうこれは国有財産なんだときめつけてしまうほどの、それだけの――その後の経過はありますよ、先ほど聞いたその後の経過はあるけれども、復帰後何年になります、三年か四年でしょう、その間にこれだけのことを確定してしまうというのは少し私は大蔵省は急ぎ過ぎていたんじゃないのかなと。  長官にお願いいたしますが、大体、読谷の旧飛行場の跡地の問題については、このような状況です。そうして読谷村としてはどうもこれは納得できない。あるいは、一般的に外部には出せないけれど、大蔵省でこういう詳細な、それぞれそういう証人に基づいてこうしたんだということを村長にだけでも見せていただければ、納得するかもしれないんです。そこいら辺をひとつ、沖繩開発庁長官として、前回私が申し上げました総合調整権によって、これは片方も地方自治体なんですから、と大蔵との間で何らかの話し合いを、これは大蔵と直接やってもだめだったと思うんですよね、ひとつ入って相談を進めていただくというふうなわけにはまいらぬものでしょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  35. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 国有地所有権にかかる問題でございますから、これは大蔵省において処理したということでございますが、御指摘の点もございますので、できるだけ事実関係調査をいたしまして、納得していただくような方向で進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  36. 丸谷金保

    丸谷金保君 それでは、その問題につきましては、ひとつ長官のできるだけ沖繩の問題というふうなものを踏まえたあっせんをお願いいたします。それじゃこの問題につきましては一応これで。  それから、次に、沖繩本土復帰になってから非常にたくさんの企業が沖繩に目をつけて、特に海洋博前などというものは大変な企業投資の対象に沖繩がされました。そうして土地もどんどん買いました。中には、私の知っている方なども、沖繩はこれからよくなるというので思い切って土地を買ったけれど、どうしようもない、何かいい方法はないかというような実は話もあるくらい、土地買収ブームを中心にして沖繩の乱開発が行われました。  この始末がなかなか進まないということについて、県当局からも、たとえば植林、あるいは木をどんどん切っちゃったんで保水力もきわめて少なくなった、農業用のダム等についても特別な助成措置をしてほしい、河川改修等についても同様のことで、いろいろそういうことがもたらした弊害についての要望を受けております。当然、長官のところにもそれらのことがあるかと思うんですが、これらについての御所見をひとつ長官から伺いたいと思います。
  37. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 先生から御指摘がございました土地本土企業等の買収の問題でございますが、復帰後、特に海洋博等がございました関係もありまして、当時本土企業等が買収した土地が相当大規模に上っておることは御承知のとおりでございます。私どもも、その当時、現地につきまして県と協力をしまして一応調査を行ったわけでございますが、私どもの承知しております範囲でも、正確な数字はいま持ち合わせございませんが、おおよそ沖繩県内で、民間企業ということで、これはもちろん本土企業だけではございませんで、相当部分地元の企業あるいは個人の方も相当買われたわけでございますが、民間企業で買われた土地が約一万二千ヘクタール程度というふうに承知をしております。この中で約三千ヘクタール、二〇%強が農用地であった、こういうふうに承知をしております。これらのものが当事者間で売買契約が締結されたわけでございますが、その後、これらの土地が相当部分未利用のまま放置されておるということは御指摘のとおりでございます。  この問題につきましては、以来、私ども現地総合事務局もございますし、農林本省あるいは沖繩県等とも十分連絡をとり、これらの土地の利用状況をその後逐次調査をいたしておるわけでございますが、基本的には、沖繩県全体を通じまして、いわゆる土地利用の基本計画に基づきましてこれらの土地ができるだけ有効に利用されることは当然のことでございますので、いま関連して申し述べましたような地域につきましては、農林省、県ともどもこれらの問題を詰める過程におきまして、中でも農用地として有効利用をすることが望ましい地域につきましては、御承知のとおり農振法等の厳正な運用によりまして、企業の買い占めたそういった優良農地につきましては、これを極力買い戻し等の措置をとることによりまして、いわゆる利用を図っていくという基本方針で現在まいっているわけでございます。  ちなみに、沖繩県におきましても、復帰後、そういった農用地の流動化と申しますか、利用を図る見地から、農用地を確保するための公社、いわゆる農用地利用銀行等の制度も設けられておりますし、開発庁といたしましても、復帰後、公的な利用の円滑化を図るための沖繩県に対します土地公社等の財政援助もいたしてきておるわけでございますが、こういったことを中心に、現在、極力これらの遊休資産となっております優良な農地の買い戻し、再利用ということで進めておるわけでございます。
  38. 丸谷金保

    丸谷金保君 それらの大手の企業が、何といいますか、買い付けして、本当に未利用のまま捨ててあるそういう地域の再開発といいますか再利用ということについて、前向きの姿勢で取り組んでおるといういまお答えをいただいたんですが、それらを前向きの姿勢で取り組んで、農用地として再買収するというふうな場合の予算措置というのは、大体、どの程度本年度できる見込みでされておりますでしょうか、ちょっとおわかりになったらお聞かせいただきたい。
  39. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 私、手元にいまその資料をちょっと持ち合わせておりませんので、後刻調べまして御報告申し上げたいと思います。
  40. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ、それは調査して、姿勢だけ積極的でも、裏づけになる予算がないと物事は進みませんので、ひとつその点お願いいたしたいと思います。  それから、これは衆議院の方でもまだ記録ができていないというので読むことができなかったんですが、恐らく質疑されたことだろうかと思いますけれど、交通の方法が変更になることによっていろんな問題が出てきております。そういう問題の出てきているうちで、できるだけ国は具体的なわかる事例というのは拾い上げて、県とも相談しながらやっておられるということについてはおおむね承っておるわけでございます。しかし、どうしてもそういうことに乗ってこない実際の個々の住民の損害、こういうものについて一体どうしてくれるんだろうか。  たとえば、自動車は今度ハンドルを左から右に変えなきゃなりません。そうすると左ハンドルの車を下取りに出す。これも必ず十万なり二十万なり下取り価格も交通法規が変わることによって安くなります。こういう損害は一体どこで見てくれるのだろうかというふうなこと。それからまた、道路のあれが違って反対になりますから、そうすると看板などもいままでは左を通るあるいは右を通るというふうなことを想定して立て看板をかけます。車の通る方向にできるだけ向けるように、これを全部ひっくり返さなきゃなりません。  こういうふうなものは枚挙にいとまがないほどあると思いますが、これらは国の法律が変わることによって大きな被害を受けるわけですね。しかも、本土並みにするために、そういう個々の被害がはかり知れないくらい出てくると思うんです。これは一々挙げたら切りがないので、とてもじゃないけれどそこまでは見切れない、こういうお考えなのか、そういう実態が出てきたときにケース・バイ・ケースでできるだけそういうのを拾い上げていこうというお考えなのか、ひとつその点については長官から御答弁をお願いしたいと思う。
  41. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 大変きめ細かいお話であります。自動車の問題については、もうすでに何年か前から交通変更がなされる、こういうことで相当台数がもう変更されております。  ただ、問題は、看板の点でございますが、私は、やはりこれはケース・バイ・ケースで、長い間なじまれて――いまここで国の政策、こういうことを言うと大変あれでしょうが、やはり本土と一体化をしなければならぬ、経済的にも社会的にも一体化しなければならぬ、こういう意味で政策上行う交通変更である。こういうふうな関係から、そういったこともケース・バイ・ケースでやはりこれは責任を持って解決をしていくべきものであろう、こういうふうに考えております。
  42. 丸谷金保

    丸谷金保君 北方問題につきましては、ソ連あるいはアメリカ、カナダとの漁業協定によっていろんな点で北方の漁業は大きな収入減が予測されます。それについては手厚い減船補償というふうなものを国がやっておるわけですけれども、それらにも増して、これは非常に個々にとってみれば細かいですけれども、大企業でないだけに個人の財布から見ると大変なことだろうと思うんです。  こういう場合はどうでしょうか、これは長官から基本的な考え方をお示しいただいたので、事務当局の方でひとつ御答弁願いたいと思いますが、車の荷台、右側にさっとおろせるようにつくってあった車を今度は左側にしなければならぬ、こういうふうなことが出てきますわね。これはどうなりますか、こういうのは補償の対象になりますか。
  43. 平井清

    説明員(平井清君) 現在の交通方法沖繩におきましては自動車右側通行ということになっているわけでございますが、この交通方法ということを基準にしまして、いまの自動車の設備とか、そのほかいろいろなものがアレンジされておるということは事実でございまして、切りかえに伴いまして、それと対応していろいろ措置をするということは各方面で必要となってまいろうと思います。  ただ、これにつきましては、あらかじめ交通企業、そのほかのこれにつきまして非常に大きな影響のあるもの、バスとかタクシー、そういったものにつきまして事前に考えられる限りのいろんな代替の促進というようなものにつきまして措置をとったところでございますが、そのほかのいま挙げられました看板とか、いまの荷台の問題とか、いろいろな問題につきましてはそれこそ非常に多岐にわたりまして、また細かいことでございます。   〔委員長退席、理事稲嶺一郎君着席〕 切りかえの時点というものがあらかじめ相当前から、復帰のときからもうすでにいずれはということはわかっておりましたし、昭和五十年の六月だったと思いますが、もうすでにことしの七月末を目途として切りかえるというふうなことが一般にわかっておりますので、それに備えまして、それぞれにそれに対応する措置をすでにとっていただいているところでございます。でございますので、私どもといたしましては、これによりましていまの段階でははっきり予測はできませんけれども、切りかえ後にかなり営業上著しい影響が出るというような個々のケースが出てまいりましたときには、それにつきまして個別に必要な措置を検討しようという方針で考えておるわけでございます。  いまの車の荷台というような問題につきましては、一般的に申せば、個々に御対応いただくという中に入ろうと思います。
  44. 丸谷金保

    丸谷金保君 あらかじめ一年ほど前からわかっていたので、できるだけその間に措置をしたり、準備をする人はしてもらっているんじゃないかと。  ただ、こういう場合はできないんですよ。バスの停留所が今度変わりますわね、右と左になると大分ずれますわね。そうすると、停留所の前だから商売になると思っていた人たち、これはしかし変わるまではどうしてもそこでやっていなければならないでしょう。しかし、変わったら途端にこれがだめになるんです。それじゃ反対側に行こうか、あるいはバスの停留所の方へもう少し寄って店を開こうかと、こういうのは対象になりますか、どうですか。
  45. 平井清

    説明員(平井清君) これも先ほど申しました考え方で対処をしていくことにしているわけでございまして、バス停の前にございます商店と申しましても、これを利用される方は、背後の住宅地とか近隣の通行者を含めまして、かなり広範囲にわたろうと思います。でございますので、それによってどれだけの影響が出てくるかということははっきり予測はできなかろうというふうに考えております。したがいまして、その後の推移をよく見守りまして、著しい影響が出るというような場合には、しかるべき措置を検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  46. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのバス停前なんというのは、背後地に余り関係ない場合もあるんですよ、極端にこれは影響してくると思います。それから、車の流れが変わることによって飲食店とか、そういうようなお客商売なんというのは大体午前と午後の流れが変わりますからね、いままではこちら側だったからちょうどあそこへ行って帰りに飯を食おうかというやつが、今度は行きであって帰りに飯食おうかというときには、反対側まで車は回らない、こういうふうなことが近隣に関係なくたくさん起きてくると思います。これらはやはりそういう実際の実態が出てきたところでめんどうを見ていただけると、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。   〔理事稲嶺一郎君退席、委員長着席〕
  47. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) いまのを簡単に申し上げますと、恐らく営業補償ということになろうと思います。  そこでバス停の問題が一つ取り上げられたわけでありますが、これはやはり事前に損害の度合いを積算をする、こういうことは多少私はむずかしい点があるのではないか。そういう意味から、窓口を、当分の間――必ずやはり変更した後において細かいいろいろな損失という問題が起きてくるだろうと私は思います。そういう意味から、変更しない前というのは、たとえばバス停前でも他の営業として何か営業ができるのではないか、また、するのではないか、長期にある程度ながめてみないと、私は損失の問題というのは数多いことですから、なかなかむずかしい。こういう意味で対策本部も解散を当分の間しない。特に現地もむしろ増強して残存をさせておく、こういうところに利害得失等々を考えながらきめ細かく県民の各位に迷惑をかけていかない、こういうことに考えておるわけであります。
  48. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうもありがとうございました。できるだけそうして、どんなことが出てくるかわからない、いろんな個々の損害についてもきめ細かい配慮をお願いいたしたいと思う次第でございます。  それから次に、すみ切りの問題で、建設省おいでになっているかと思うんですが、先般、那覇の市長さん以下その問題について参りまして、国道についてはすみ切りをして、さらにそれの残り地についても買収対象になるけれども、県道や市町村道についてはならないのは不合理じゃないか、こういうふうなお話を承りました。これなども、私、話を聞いていてなるほどそうだと、これはいまの国内の制度の上で補助対象にできないとか、いろいろなそれは問題があるかと思いますが、こういう沖繩の非常事態の交通法規の変更に伴うそうした問題というのは、やはり国も県も市町村道も全部同じように扱っていいんじゃないか、かように考えたわけでございます。これについてはあるいは衆議院委員会等においてすでに解決済みでございましたら、それで結構でございます。その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  49. 渡辺修自

    説明員渡辺修自君) ただいまのお話は、すみ切り等に必要な用地買収さしていただくわけでございますが、そういった際に、後で利用価値の非常に低減する残地等が残った場合にどうするのか、こういうお話であろうと思います。  これは一般的に言いまして、残りの土地が利用価値が減ることによります残地補償という問題、あるいは補償では済まずに残地も一緒に買ってくれ、残地買収という問題、いろいろなケース・バイ・ケースがあろうかと思います。今回、この交通方法変更に伴いまして土地を買うにつきましても、その辺のところはケース・バイ・ケースで十分検討いたしまして、極力円満な解決を図ってまいりたい、かように考えております。
  50. 丸谷金保

    丸谷金保君 この問題については、そうすると、もう県との間での話の煮詰めでは、そういう場合もケース・バイ・ケースで買うということで了解点に達したんですか。
  51. 渡辺修自

    説明員渡辺修自君) 一般的な基準といたしまして、先般来、今回用地買収を必要とする土地と、それからこれに隣接するつぶれ地の問題がございますが、これの基準を私の方で示しておるわけでございますが、これに対しましていろいろ那覇市初め各地から御要望があるということで、具体のケースにつきましてその後検討いたしまして、これは係官に東京に来ていただきまして、その上でいろいろ問題がありましたが、具体のそれぞれの個所につきまして、ここはこういう考え方で処置して結構でございますということをすでに連絡してございます。なお、時期も迫っておりますので、明日から私どもの係官を現地に派遣をいたしまして、打ち合わせをさらに詰めたいと思います。
  52. 丸谷金保

    丸谷金保君 大体、この表(資料を示す)の個々の問題について相談なすったんですね。――わかりました。  あと沖繩に対する本州からの企業の進出、さらにまた、これらと現地の企業との関係におけるトラブルの問題が出てきておりますけれど、ちょっとあと十分くらいではこの問題に入っても中途半端になるので、後日に譲らしていただいて、一応きょうはこれで終わらせていただきたいと思います。
  53. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 去る五月の十五日に、沖繩復帰して満六年目を迎えたんでありますが、その間に、御承知のとおり、開発庁を中心としましての関係省庁の今日までの御努力に対して大変に私は敬意を表するものでありますが、十五日の本土各都道府県に配られたいろんなパンフレットやら、あるいは新聞紙上あるいは現地の新聞で、確かに今日までの復帰措置に伴うところの御努力に対しては大きな評価が出ております。これは率直に認められておる。しかし、やはりこれからの問題がたくさん山積しておりますので、こういった後半の折り返し地点を過ぎたわけでありますから、これからの取り組み方が大切だと思うのであります。  復帰以来、推計によりますと、六年間で公共事業費が九千七百億だと、これは大変なことだろうと思うんです。おかげで確かに道路も港湾もよくなったし、あるいは学校の施設もこれから継続事業でよくなっていくだろうし、あるいは住宅事情もよくなってきておる。これは振興法に基づくところの、何と申しますか、本土並みの水準に上げていくという目的は確かに着々達成されつつあるだろうと思うのでありますが、私は、率直に言って、前期の五年間は、これは格差是正をしながらの慣熟期間だと思うんですね、本土復帰した後からの慣熟期間だと思う。これから後が本当のいわゆる自立発展のてこ入れをしなきゃならぬ大切な時期だと思うんであります。そこで、私は、この際、振興法、それからそれに基づいて立てられる開発計画を原点に立ってもう一遍見直しをする必要があるんじゃないか。  先ほど申しましたように、今日、六年たっていろんな条件が整ってきたので、悪い言葉で言えば、各省庁がもう原点に立っていることを忘れているんじゃないかと思われる節がある。つまり一般の都道府県の行政ベース、陳情ベースに基づいている対策しか考えていないようなこともあるんじゃなかろうかというふうに思われる節々がたくさんあるわけです。ところが、そうであっては、やはり沖繩の問題はこれから先心配なんであります。先ほどから御質問があったようないろんな問題が山積しているし、また、御承知のとおり、月に平均しまして五十二年度が二万九千人という失業率、これは六・八%です、日本全体の二・二%から比べたら三倍以上ですよね。しかもそれが若年層に集中しておるということであってみれば大変深刻な問題を抱えている。その原因は何であろうかというふうな問題やら、要するに原点に立って今後のあと四年間残されておる開発計画、それから今日ただいま行われようとするところの七・三〇と称する交通変更に伴ういろんな問題、それから予見されるいろんな対策、そういったことを率直にこれから御質問を申し上げていきたいと思っておるわけでございます。  特に、私の質問する重点は、格差是正の問題は当然ベースとして進行していきますが、その上に自立経済の発展のための措置ということを中心にして御質問を申し上げてみたいと思っております。  まず、開発庁に先に伺うのでありますが、これは専門家に非常に失礼な質問かもしれませんが、原点に立ってということで御質問申し上げるんですが、特別措置法に基づいて開発計画というのは総理大臣の決定で出ている。あの開発計画というものの性格は何であるかというのをずばりおっしゃっていただきたい。これは亀谷さんで結構です。
  54. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 先生のいま御懸念されました沖繩振興開発計画も、昭和四十七年の本土復帰以来、現在六年目に入っておるわけでございますが、単刀直入の御質問でございますけれども、あの計画の基本の骨子にも触れておりますように、政府といたしましては、あくまで、二十七年間戦後本土と隔絶をされておりました沖繩の事情にかんがみまして、復帰後、早急に、できるだけ早く本土との社会資本を中心にした格差を是正する、これがまず第一点であります。  第二点は、沖繩という亜熱帯地域に着目しましたいわゆる地域的特性を生かした各般の産業基盤の整備、政策の導入によりまして、沖繩県が自立的な発展をなし得るような基礎条件をこの十年間に整備する、これがあの計画の基本の骨子であるというふうに理解をいたしております。
  55. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 その基本の骨子はいいんでありますが、これは総理府を担当する首長であるところの総理大臣の決定だというだけで政府の各部門は拘束されるんですか。この計画の進行に当たっての施策は。つまりもっと具体的に言うならば、開発計画の中に、政府部門においてはその施策の基本となるものであると書いてある、これはどういう意味なんでしょうか、ちょっともう一遍補足してください。
  56. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) ただいまお答えをいたしましたように、本土との社会資本等の格差を早急に詰めるための所要の財政投資を国の責任においてするわけでございます。あわせて産業基盤の整備、こういった施策を並行して講じておるわけでございますから、こういった施策が各省のそれぞれの所管において行われるものについて、計画に立地いたしまして、開発庁におきまして総合的な調整をいたす。  具体的に言いますと、いま申し上げました社会資本の整備の中には道路等の交通機関の整備もございましょうし、あるいはまた農業基盤の整備のような産業基盤関係の投資もございますが、これらのそれぞれの所管におきますところの公的資金の積み上げ、あるいはこれの実際的な施行につきまして、開発庁は、いま私が申し上げましたような総合調整機関であるという見地から、沖繩振興開発計画立場から、それぞれ各省の持っておられます、あるいは策定される長期計画等の中に、沖繩というものを正当に位置づける、こういった面において調整機能を発揮しておりますし、かたがた沖繩開発庁の立場で総合的にそういったストック整備のための所要資金を一括計上することによりまして整合性を保つ、こういったこともやっておるわけでございます。すべてではございませんが、御質問にございました点に対する具体的な一つの事例としてそういったことをやっておるわけであります。
  57. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 結局、要約すると、政府部内の各省庁にまたがるこの計画に基づくところの施策の進行に当たっては、開発庁が中心になって総合調整していくんだ、その意味においての振興開発計画の施策の政府の基本方向である、こういうふうに理解したいと思うんです。  そこで、そういう御努力でもって今日までやってこられたことは先ほど申したとおりに十分に多とするのでありますが、それではこれからどうするかという問題に入る前に、今日までの開発計画に基づくところのいろいろな目標の指標があるはずです、その達成率というのはどういうふうにお考えになっておるんでしょうか。
  58. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 先ほど申し上げましたように、復帰後、今年度は六年目に入っておるわけでございます。細かい指標を一つ一つ申し上げるということはあれでございますので、概括的に私申し上げさせていただきますと、これまでに国といたしましては沖繩振興開発計画に基づきまして先生も御承知の他の地域を上回る大幅な公共投資をこの五年有余やってきたわけでございます。この結果、私どもが承知しております範囲では、先生も御承知かと思いますが、道路、空港あるいは下水道等、基本的な社会資本のストックはすでに本土水準にほぼ到達してきた、私はこういうふうに考えておりますし、学校、その他の施設もおおむねいま申し述べましたこの計画期間内には本土水準に達することができる、こういうふうに考えておるわけでございます。  一方、県民総生産につきましては、復帰当時五千百二十五億円という数字であったかと思いますが、現在、昭和五十一年度では一兆一千六十六億円、こういうことで国民総生産に対する割合が復帰当時〇・五四%でございましたが、現在〇・六五%というところまで上昇をいたしております。また、これに伴いまして一人当たり県民所得が復帰当時の四十六万円から五十一年時点で九十万円ということで、一人当たりの国民所得に対する割合におきましても復帰時点六三%から七〇%まで上昇をしておる。これは一応計数的な主要項目として私どもが理解している点でございます。
  59. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうしますと、後期はあと四年間しか残っていないのでありますが、この四年間で、いまのいわゆる公共投資に基づくところの格差是正のいろいろな問題は徐々に解消しつつあることは確かにおっしゃったとおりわれわれも評価するわけですが、これから自立経済、自立的な発展のための基礎条件というものに重点を置かなければならない、それについてはどういうふうに考えておられますか。いろいろなプロジェクトが現地からも要望としてあるし、また現に執行の段階にあるもの、継続事業の段階にあるものもあるだろうと思うのでありますが、重点事項は一体どういうふうに考えておられますか。
  60. 亀谷礼次

    政府委員(亀谷礼次君) 基本的な施策に触れる点につきましては、長官も御出席でございますので別途お話もあろうかと思いますが、先生も御承知のように、復帰五年目に際しまして、過般、いわゆる中期の展望というものを私どもは取りまとめたわけであります。  この中にも各界の有識者の方の研究、御討議を反映いたしてまとめてありますが、端的に先生の御質問にも関連いたしますが、われわれはいま申し上げましたように、この五年間を振り返ってみますと、われわれが当初目標にしておりました社会資本の整備の立ちおくれを早急に本土並みに引き上げる、こういう点につきましてはおおむね順調にいっておる、こういうふうに答弁をさせていただいてそう大きな狂いはないのではないか、こういうふうに考えておりますし、産業基盤の整備につきましても、おおむねこれらの施策が遂行されておると考えるわけでございますが、冒頭の御発言にもございましたように、何といっても沖繩の現状におきましては失業者が本土の三倍に達しておる、あるいはまた産業構造から見まして、当初この計画で所期いたしました一次、二次、三次産業の総体的な構造の是正と申しますか、二次産業を中心にした大幅な産業構造の展開には必ずしも達していない、そういった問題は端的に言ってあることを十分承知をしております。  今後は、しばしば委員会等におきましても大臣から御答弁を申し上げておりますように、単一の大規模なプロジェクトと申しますか、そういった基盤と申しますか、形における企業の拡大、こういった手段をとるというよりも、沖繩の地場産業に着目をしましたきめの細かい、相乗的な積み上げという言葉をしばしば使わさせていただいておりますけれども、各方面にわたるきめの細かい、やはり地場の企業に力をつける、あるいはそれを外延的に発展させるといったふうな問題に取り組むことによって相乗的な雇用効果に好影響を与えるような形でこれから持っていくということも必要ではないか。かたがた、しばしば長官からも御答弁申し上げておりますように、今後の後期五カ年で何といっても大きな問題は水問題の解決等いろいろあるわけでございますが、そういった基本的には経済、産業の今後の発展、振興、これがやはり大きな問題になるという認識を私どもは持っております。
  61. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 お話はわかるんですけれども、単一の大型のプロジェクトを持ってくるよりも地場産業の育成と、これはもう本当に地についた、それは確かにそういう方向があるでしょう。しかし、私が思いますのに、これは開発計画にも書いてあるんですが、沖繩の地理的条件というものを考えた場合に、やはり東南アジアに一番近いんだというところから国際交流の場にするという一つの指標があるわけですね。これをどう考えられるのかということがこれからの沖繩の問題ではなかろうかと思うんであります。  ということは、いままでいろんなプロジェクトで御推進いただいておるわけでありますけれども、やはり遠隔地にあるために工業の立地ができない。先ほども御質問があったように、たくさん土地はあるけれども、そこに企業がやって来ない、こういうふうな問題に対していろいろやってもなかなかむずかしい問題があるだろうと思うんです。工業再配置促進法というものがあって特別誘導地域には指定されているんでありましょうけれども、なかなか思うようなプロジェクトがやってこないということであるならば、それはそれとして努力していかなければならぬけれども、国際交流の場であるということをどう認識していかれるかということがこれからの大きな沖繩の浮揚の問題につながるだろうと思うんです。  これはそういう観点から後ほど関係の省庁に伺っていきますけれども、長官、いかがですか、私は長官年来の御主張でいらっしゃる地場産業の育成、これは非常に地についた、それこそやはりいま育てなければ後継者もいなくなって育たなくなってしまう、これについての御配慮はもう非常に私は敬意を表しますが、やはりもっと大きな国際交流の場ということを考えてのプロジェクトは成り立っていくんじゃないか。後ほどまた質問して、その答弁をお聞きになるはずでございますけれども、長官の考え方をちょっとお聞きしたいんです。
  62. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 一つずつ整理をしていきたいと思うんですが、問題は、沖繩振興開発特別措置法、これを改める考え方がどうかという、こういう問題ですが、私は沖繩開発計画とあわせて着実に進められておる。五カ年の今日におきましては、公共がほとんど沖繩復帰のときの一つの願いであったところの本土との格差の是正、こういったことが一つのあれとして考えられてきたわけでございますが、公共投資にいたしましては、教育施策と申しますか、こういったところが多少のおくれはあるといたしましても、その他の問題についてはやや本土並みになってきておる。  問題は、やはり沖繩振興開発特別措置法は自立的経済と申しますか、自立的産業、これにやはり重点が置かれておるわけであります。しかしながら、産業というのはなかなか相手がございまして、公共ならば施策によっては思い切ってやっていかれますが、地場産業であるとかあるいは伝統工芸であるとか、その他、こういう企業というものはなかなかむずかしいものでございまして、しかしながら、むずかしいといっても沖繩の伝統工芸に参画される人も、また地場産業に参画しておられる人たちも、やはり積極的にひとつ乗り出していただく。あなたの方でこれをやりませんか、こうしましょうかというのでは、経営の原理からいってなかなかむずかしいような気がしてならぬわけであります。そういう意味から地場産業の育成で大変今度はお世話になりまして、沖繩開発公庫も地場産業育成ということで出資機能という役割りを果たすべく今度はいろいろ御審議を願って成立をさせていただいたわけでありますが、そういう意味から、伊江さんの場合は沖繩県出身ということでありますから、いろいろな面においてむしろ私よりか細やかなことを御存じだろうと思いますので、地場産業が積極的にひとつわれわれに御要請を賜るように、むしろ私の方からぜひお願いを申し上げておきたい。  ただ、失業者の点において若年労働者と申しますか、これは大変数字が大きいこともよく私も承知をいたしております。この原因は、いろいろあるんですね、Uターンをしていった、あるいはまた百万人目が切れるのではないかと思っておったのが人口がふえていったとか、いろんな問題がありましょうが、しかしながら、失業の多いということはこれは大変な社会的な問題である、こういうような関係からこの解消にどうすればいいか、また、どうしなければならぬか。そういう意味で一番手っ取り早いのは本土から企業の誘致を――先ほど御指摘のありました工業再配置促進法、こういったところにのっとって企業の誘致ができるのが一番いいと思いますが、いろいろ私も通産省の工業再配置あるいは地域公団等々を督励して、まず本土よりか沖繩の方に何とかならぬかということを、長官という立場よりかはむしろ個人的にも、ある場合においては長官という立場で促進方をいろいろ依頼をしておるわけでありますが、本土の企業も現在御承知のとおりでございまして、なかなかそれには道遠しという感もありますけれども、全力をふるって私はやってまいりたい。  特に、御指摘の南の方との玄関口にしたらどうだと、これは私はいいことだと思っております。そういう意味から今年度は開発庁といたしまして、これに対するそう大した呼びかけもなかったのでありますけれども、亜熱帯の世界一の公園をつくろう、こういう計画をいたしております。そういうところを一歩前進させるという意味で、もちろんこれには飛行場等々の問題もございましょうしいろいろありましょうが、御指摘の点につきまして、私も十二分にひとつ配慮しながら、これから進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  63. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 よくわかりますが、地場産業の育成は何かげたをこっちに預けられたような感じがしますが、これはもう当然われわれがやらなければならぬことだと思うんです。  そこで、いまおっしゃいました企業誘致の問題についていろいろ御配慮を賜っていることは非常にありがたいことでありますが、不況産業を引っ張ってこようといったって来やしないんです。いま日本の輸出を支えている自動車産業、あれは四二・七%ぐらいは北米向けですね。ところが、東南アジアに、長官、五百万台の輸出の中で何と一割東南アジアに行っているんですよ、それが年々ふえてきているんです。ですから、工業再配置促進法の特利あるいは補助金などが大幅に優遇されているんですから、そういった自動車産業の組み立て工場ぐらいは持ってこれるんじゃないかと私は思うんです。思いつきで申し上げるようなかっこうになりますけれども、われわれはそれをぜひ研究していきたいと思っておるんですが、やっぱり来れる産業はあるんですよ、近いですから、東南アジアに。  しかも、公共事業は先ほど申し上げたように六年間で累積が九千七百億、これは大変なことですよ、沖繩にとっては。かつてないことだと思うんです。しかしながら、ちょっと話が飛びますけれども、失業率が相変わらずそれが来ても変わらないという状態はどこに原因があるかと私は思うんです。一つ例を申し上げますと、せっかくいろいろ発注をしていただいているのに、公共事業費が全然現地の業界におりてこないんですよ、受注率が少なくて。これなどは少し考えてもらわなきゃならぬじゃないか。特に官公需が欲しいわけですが、その官公需の受注率は県外企業の受注が多くて県内企業の受注が非常に少ないという割合が出ておるわけです。時間が余りないですから細かい数字は申し上げませんが、これじゃやっぱり幾ら大型なプロジェクトがこれからできようと、あるいは今日までの、先ほど申し上げたような去年に比べて三一・九%なんてこれはもう前代未聞の公共事業費ですよ、沖繩にとっては。こういったものがあるにかかわらず、県内企業というものは受け入れができない。これじゃやっぱり困る。原因を調べてみましたら、みんな本庁あるいは本省でもって契約が多い。現地はそれじゃ能力がないかといえば、現地は調達もできる、事業のいわゆる工事能力も持っておるわけです。これじゃやっぱり失業率が六・八%で月平均二万九千人、しかも若い学卒者が吸収されぬのはあたりまえだと思うんです。こういったやっぱりきめ細かい配慮というのは、開発庁だけじゃなくて、後ほど関係省庁にも質問しますけれども、そういった配慮はやっぱりしていただかなければならぬ、そう思うんであります。  そして工業誘致も、せっかくの特例措置があるんですから、その特例措置に乗っかるような誘導方式、これは沖繩県として努力しなければならぬと思うけれども、やはり先ほど申しましたように、陳情するのを待って、受けての行政の立場じゃないわけですよ、沖繩特別措置法というのは。やっぱり積極的に手を出さなければならぬという立場にもあるわけなんです。先ほど長官がおっしゃいましたように、いろんな企業誘致についての御努力は多といたしますが、そういった成長産業であり、しかも東南アジアに五百万台の自動車の輸出の一割が行っている、前年に比べたら三二%増だというんだそうですよ。そういうのなら、それは利口な自動車産業ですから現地に合弁資本をつくっているかもしれません、組み立て工場をつくっているかもしれません、合弁で。それも結構でしょう。しかし、一番近いところにあれだけのまた土地があいているんですから、一遍御研究いただきたいし、推進していただきたい、関係省庁と打ち合わせをいただきたい。そうすれば、そこに東南アジアとの交流の場というのがおのずからできてくるわけです。後で運輸省にも質問いたしますけれども、国際交流の場に海を隔てて云々と言ったって、需要がなければ来やせぬですよ、お客は寄ってくるかもしれないが。しかし、そういった産業があるということがこれからの交流の拠点をつくる一つの場にもなるんだということもお考えいただきたいと私は思うんであります。  そこで、そういったいろんな問題があるし、それから地場産業の育成の問題ももちろん私は大変結構なことだと思うんですが、そういたしますと、特別措置法というのはこの附則に書いてあるように十年の時限立法になっているわけですね。そうすると、あと四年間しかない。あと四年間しかないことでできるかどうかという問題があるわけです。長官、どうお考えになりますか、その点。
  64. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) いま御指摘のこの十年間にできるかどうかということですが、先ほど私が申し上げましたように、年次別に見れば、その基本的な計画と申しますか、開発計画というものが着実に積極的に進められておるわけです。そういう意味から、いまここで五十七年三月ですか、それまでに達成されるかどうかという問題でありますが、仮に達成されたとしても、そのときの沖繩の県の経済情勢その他を勘案し、また沖繩県民のこれに対する考え方等々という問題が相当影響をすると思います。そういう意味から五十七年後はこれでぷっつり終わるのか、こういうことになりますと、いまここで申し上げるということについては多少問題点が残ろうかと思いますが、ただ、私の考え方といたしまして、着実に計画が進められたといたしましても、そのときの社会情勢あるいは沖繩の経済情勢あるいはまた沖繩県民の考え方、こういったものを十分に尊重する必要がある、こういうふうに考えております。
  65. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 長官のお言葉の背後のことはよくわかりました。  そこで、これはいまの長官のお言葉を裏づけする意味において、念押しのつもりはありませんけれども、コメントをさしていただきたいんですが、特別措置法ができましたとき十年間の時限を切ったということの趣旨について、当時の山中長官のお答えがあるんですよ。これを私読んでみますから、そのお気持ちであろうなということを確認したいと思うんです。  これは衆議院の細谷先生の御質問ですが、こういうふうにあるわけでございます。御承知のとおり奄美群島の振興開発はちょっと延ばしてまいってきておるわけですね。それに関連してのことでちょっと触れておられるんですが、「沖繩についていえば、もっとそれ以上の長い期間特別なめんどうを見なければならぬだろう、特別な努力を国がしてあげなければならないだろうということを背景に持って、ものを言ったのであります。」そして「それを二十年計画とか二十五年計画とかいう長いものでは、やはり社会情勢の見通し、その他経済動向等について少しばく然とし過ぎますので、この法律においてはとりあえず十カ年計画を定めて、その初年度」云々ということであります。ですから、長い将来を見てこれを二十年とか二十五年というふうにはいかないけれども、しかし気持ちとしては奄美が二十年、二十五年きているんだから沖繩も十年じゃ済むまい、こういう気持ちが背後にあるわけですね。ですから、この山中元長官の御答弁の精神は、先ほどお答えになった現長官のお気持ちと同じだというふうに私は思うんです。よろしゅうございますね。お答えは要りませんけれども、よろしゅうございますね。――そういうことで安心して、これから沖繩のプロジェクトを今後やっていただきたいものだと、それについては先ほど申したようないろんな問題が出ますし、それから、これから運輸省その他の省にお聞きしますことをよくお聞きいただいて計画を立てていただくようにお願い申し上げたいと思います。  それから、ちょっと離れまして、先ほども御質問がございましたけれども、交通変更に伴うところの事業執行率が非常に都市部、特に那覇あるいはそれに近接する浦添あたりで難航している。これじゃ七・三〇と称するあと二カ月ばかりの期間では危なっかしいんじゃなかろうかという声が上がっているわけなんです。これは一体どういうところに原因があるのか、端的にお答えいただきたいと思うんです。
  66. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 主として道路の交差点改良等の道路施設の変更につきましてお答えをいたしたいと思うんでございますが、御指摘のように那覇市と一部の市におきまして交差点改良等に必要な用地の取得が難航しておるという事情が一つございます。この原因には着手がおくれたというような点がございます。また、しばしば問題になっておりますいわゆる関連するつぶれ地の扱いをどうするかということでその処理がおくれておるというような点があったかと思います。  ただ、つぶれ地の処理の問題につきましては、さきに開発庁長官が四月に訪沖いたしまして、その際、この問題についての発言がございました。それを踏まえまして、私どもとして四月末に処理の基準をつくりまして、その後も、私ども、あるいは実施機関でございます建設省、それから県、それから市の担当者が協議をいたしまして、その基準に原則的に従いながらも、なおケースごとに具体的に相談をしながら強力に進めていこう、こういうふうなことで現在その促進を図っておるところでございます。このような方針によりまして十分地主の納得も得られるものというふうに考えますし、また関係者の協力、努力によりまして大いにこの関係の業務も進展するものというふうに私どもも期待しておるところでございます。
  67. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 何か非常に楽な姿勢でお答えになったように思うんですけれども、なかなかそうじゃないように聞いているんですがね。  たとえば道路のすみ切りの問題にしても、つぶれ地の補償の問題がつながっているわけですね。すみ切りする、しかし、こちらの方の用地の買い増しの必要なところはもちろん用地を買い増しするが、それに関連したつぶれ地については補償しないというふうなことがあるやに聞くし、一体、その辺のことをどう処理していかれるのか、非常に現地では心配しているらしいんです。いま何か話し合いでうまくいくならば、それはもう結構な話、それでいけるんですか。少なくとも交通変更に伴うところのつぶれ地の補償の問題については解決するんですか、その点だけ。
  68. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) これは先ほども建設省の道路局企画課長からも答弁ございましたが、原則的には四月に示しました基準に従いまして――ただ先生いま御指摘のように、道路用地の取得の問題といいますのは、設計とかあるいは地形とか、あるいはその所有関係、さらには所有者個人的な事情等によっていろいろ処理の対応の仕方も変わってまいるかと、このように考えております。  そういったこともございまして、五月の十九日には県市の担当者にもこちらの方へ来ていただきまして、で建設省、私どもの専門官と一緒になりまして個別に事情をお聞きして、さらにそれによりまして具体的、個別的に必要な指示があれば指示をするというような形でまいっております。また、さらに明日から建設省と私どもの専門官を現地に派遣することにいたしております。残りました個々の問題につきましても、現地に即しましてまた必要な協議を行い、それによって措置をしていくというような体制を現在とっておるところでございます。こういったことで最近におきましても何件か解決の例の報告を受けております。今後、私どもももちろん大いに努力をしたいと思いますが、関係者の方々の御協力を得まして大いに進捗することを期待しておるわけでございます。
  69. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それじゃ、その努力を見守っていきたいと思っておるわけでありますが、非常にむずかしい問題ですから、ひとつ地主側の利益の立場といいますか、やっぱり所有権に眠って座っているわけですからね、他人の所有権に。これはもう問題なんです、基本的には。そういった問題もあるので、慎重にお取り組みいただきたい。  それに関連しまして、現地からつぶれ地補償の問題が出てまいりますが、これは時間がちょっといまありませんから、後ほど時間がありましたら、これの扱い方について私の提言もございますから、それを後ほどまた長官にもお聞きいただきたいと思っております。  そこで、運輸省の航空局来ておりますか。――いま国際空港というのは幾つぐらいわが国にはあるんですか。
  70. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 新しく開きました新東京国際空港を初めとしまして、大阪、名古屋、福岡、それに鹿児島、那覇空港がございます。それ以外にも国際線の発着しております空港としまして新潟もございます。
  71. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そのうちで、一種、二種の区別をちょっと言ってみてください。
  72. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 第一種の国際空港は、新東京国際空港それから大阪国際空港、それから羽田も第一種の国際空港となっております、これもまだ国際線が発着しておりますから。それ以外のものは第二種でございます。
  73. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 これは資料をお持ちだろうと思うんですが、その日本のいまもお話しになった国際空港の中に発着する国際線の関係国は何カ国ですか、でその便数のトータルがわかったら言ってください。
  74. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) ちょっと手元に資料がないので申しわけございませんが、後ほど調べまして先生にお答えしたいと思います。
  75. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それじゃ成田空港に今日発着する便数と、それから将来いろいろ各国から新規あるいは増便の要請がありますわな、そういったものを見通して、何年ぐらいもつだろうかと、容量的に、それを全部受け入れるとしたら。というふうなことについてちょっと御意見を賜りたい。
  76. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 成田の新東京国際空港に現時点で発着しております国際線の便数は一日当たり約百五十便でございます。それから成田が開港しましてからそれに乗り入れをしたいという希望を表明しております国が三十数カ国ございます。それ以外にも、すでに乗り入れしてる各社も増便計画をそれぞれ持っているようでございます。  御質問の、成田国際空港の処理能力が将来どのぐらいまであって、何年ぐらいもつかという点でございますが、現時点では燃料の制約がございますので、余り大幅な増便、それから乗り入れにこたえることは現時点ではなかなか無理がございます。で燃料問題につきましては、三年以内にパイプラインをつくりまして解決をする所存でございますが、そういった燃料問題の制約が外れますと、着陸回数でいいますと、第一期が滑走路一本でございますが、フルに稼働しますと年間着陸回数で十三万回の発着……
  77. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 一日に直すと。
  78. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 一日当たりは、国際線、国内線合わせまして三百六十回程度と記憶しております。それが現段階での第一期計画の限界でございます。  それから第二期計画が完成しますと、平行滑走路が二本になりますので、処理能力は飛躍的に増大すると。
  79. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 私の質問の本当の意味は、いずれ国際線の発着がいまおっしゃるように燃料問題あるいは物理的にもう一本滑走路をつくらなきゃならぬという成田の問題と回しように、大阪にも海上空港をつくらなきゃならぬというふうなことが言われておるような情勢、と同時にまた、騒音公害から付近の住民の御要求を入れていかなきゃならぬ。そのために発着の時間規制が出てくる、もっとシビアになってくるということになると、だんだんだんだん国際線の需要が多くなってくる、それを受け入れないと、今度は日本が向こうへ出ていくわけにはいかない。そういうようなことで、だんだんだんだん日本の国際線の空港というのが隘路化してくるだろう、その場合にどこへ代替を求めるかという問題を背景にして御質問しているわけなんです。  そこで、三全総において沖繩の那覇空港というものの位置づけがあるはずですが、どう理解しておりますか。
  80. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 御質問の中心は那覇空港でございますが、那覇空港の持っております性格は二つあろうとわれわれは考えております。  一つは、沖繩県の域内における中心空港、それから国内主要都市、たとえば東京、大阪といったような主要都市との連絡としての空港、こういった国内面での存在価値、それが第一でございます。それから第二として、国際空港として諸外国との窓口になる、そういった面の二つがあろうと思いますけれども、これらにつきましては、いずれにしましても国際航空需要の動向をよくわれわれも注目しまして、必要にしてかつ十分の施設を整備してまいりたいと考えております。
  81. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 もっと具体的に、これはあなたよく御存じのことだと思いますが、三全総の中で「交通通信体系の整備」というところの中でこういうふうに書いてあるわけですよ。「航空路線網については、札幌、東京、大阪、福岡、那覇等の各空港を基幹として、おおむね七十地区の地方空港をもって形成される。」これが先ほどあなたが言われた前段の国内航空路線網におけるところの沖繩の空港の位置づけの話。  二番目におっしゃった国際空港についてはこう書いてある。「国際航空交通については、国際定期便が就航する七空港のほか、新たに、北海道、関西、九州等における空港を合わせ、十か所程度の国際交流の拠点となる空港を整備する」と、つまり私が冒頭に御質問申し上げた、いずれは詰まってくるであろう、詰まってくる場合には、この国際定期便が就航する七空港、このほかに三カ所をつくらなきゃならないということが言われているわけです。しかも、その七空港というものは御承知のとおり東京、大阪、福岡、那覇、鹿児島、名古屋、新潟、これが七空港ですね。この七空港というものを定期便が通る国際航空の場である、こういうふうに位置づけられているわけです、まさにそうなっている。  ところが、先ほど伺った一種、二種というその区別から言いますと、この三全総から言いましても那覇の空港が基幹空港であるということが一つの前提。二番目の前提は、国際定期便が通うところであるというこの二つの位置づけ。しかも、その位置づけされている空港の中で、先ほどのお話のとおり、一種空港、つまり国が施設し国が管理するのは、先ほどおっしゃった新東京――成田、羽田、大阪、三つしかない。あと福岡、那覇というものが基幹空港であり、国際定期便が通ずるような空港であっても二種空港である、こうなっていますね。  そこで、一種空港、二種空港の区別は私も知っていますから特にお伺いしないんですが、沖繩の場合は二種空港であっても、おかげで特別措置法によって一種と回しように国が施設をする、しかし施設の管理運営は県でやる、こんなようなことになっていると思うんです。ですから、整備する場合には一種空港並みの扱いをする、しかし管理は県の扱いである、こういうことじゃ私は中途半端だと思うんです。しかも復帰特別措置法というものが、先ほど申し上げたように、あと四年で切れるものじゃないんだというふうな精神状態を踏まえて整備していかなければならぬ場合に、早くこれを国の管理に移すというんならば、一種空港にして、そして名実ともにいわゆる基幹空港であり、国際定期便が通る空港として整備していく、こういう方向をとらなきゃいかぬだろうと私は思うのです。しかも特別措置法あるいはそれに基づく開発計画では国際交流の拠点にする、場にするのだというふうな目標値が定められているのですね。それについて、現地沖繩でも、今後の大きな目玉として、あるいは国際交流の場としてやはり空の足、そのための空港の拡張問題、いろいろ現地からの御要望があると思うのですが、その点については運輸省として正式に話は聞いておられますか。
  82. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 現在、那覇空港は第二種の空港として位置づけられておりますけれども、その設置管理は運輸省で直接やっております。したがいまして先生のまず第一の御要望の運輸省が直接乗り出して設置管理をするようにという要望は、われわれとしてもこたえておるわけでございます。  それから……
  83. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 要望にこたえているというのじゃなくして、現在、二種空港でしょう、それを一種空港に名実ともに、実質が変わらないんだったら、名実ともに一種空港として直接国の管理に移して、特別措置法がなくなって裸になった状態でも一種空港としての位置づけをしてほしいと、そのために拡張その他の問題があるだろう、そういう要望があるだろうと、そういう質問なんです。
  84. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 二種空港であることは先生の御指摘のとおりでございます。二種空港から一種空港への変更という問題につきましては、これはいろいろ問題がございますので、空港整備、制度全般につきまして航空審議会の中にワーキンググループを目下設けて検討を進めております。その席でよく先生の御意見を踏まえまして議論していただいて、検討結果を見守りたいと思っております。
  85. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 行政内部でいろいろな手続を踏まれることは結構だと思いますけれども、じゃ、その審議会において那覇空港のいわゆる先ほどから申し上げているような存在価値、位置づけというものについては十分踏まえて、そういう方向で検討していかれる、行政側としては、そういうふうに理解していいですか。
  86. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) そのとおりでございます。
  87. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 長官、那覆の空港というのは、お聞きになったと思いますけれども、拡張の工事が非常に簡単にできる海上滑走路になるということですね。それが一つと、それから先ほど申しましたように、発着時間の規制が非常にやかましいわけですが、四方が全部海に向いているから、住宅の上を通るわけじゃないから二十四時間体制だというのですよ。  そうしますと、私は成田に届くであろうところの飛行機が届かない場合には、那覇というところに一泊さしていくくらいの構えを持った国際空港にすべきだと思うんです、また夜は夜で。そういうふうなバッファーといいますか、公害がなくて立地条件のいい、しかも東南アジアとの交流の場にする非常にいい地理的な位置にあるわけですから、これはぜひ運輸省だけでなくて、長官としても、これの推進についてはもう一はだも二はだも脱いでいらっしゃると思うのですけれども、ぜひ御協力――御協力というのはおかしいのですが、御推進願いたいと思うのですが、いかがでございますか。
  88. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 運輸省と関係があるわけでございますが、しかしながら、予算等については沖繩開発庁としてこれに取り組んでおるわけです。  そういう意味から、那覇空港というのはすでに備えというか、そういったものも国際空港としての乗り入れ等もございますし、問題は、いま御指摘の南の玄関口とこれからいろいろ想像される、こういうふうなことを考えた場合に、県の方も大変情熱を込めて、国際空港の昇格運動と申しますか、大変熱意があるわけであります。そういう意味から、御指摘の点につきましては、今後、一生懸命に運輸省とともに相携えて努力することをお約束いたしたい、こういうふうに思っております。
  89. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 本当に力強い長官を期待いたしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  それから、航空局に今度は運賃問題について御質問したいんですが、運賃の値上げというものが盛んに報道されて、役所側としては、値上げするとかしないとかいう結論はもちろんお持ちであるかないかわかりませんが、そういう報道がありますね、どういうことになっていますか。
  90. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) われわれが承知しておりますのは新聞紙上で報道された事実でございますが、ことしの九月前後を目標にして、一五%ないし二〇%の国内航空運賃を上げたいという希望表明が一部の航空会社からなされておることは承知しております。
  91. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いま沖繩路線は国内線でいえば日本航空と全日空なわけですが、これの便数もふえているし、それからまた利用者も非常にふえているというふうに聞いているんです。これは新聞に載ったことをそのまま、御承知だと思いますけれども、申し上げてみますと、前年比で三五%の伸びであって、年間、つまり五十二年度でその運んだ乗客数が二百五十三万人だというんですね、非常に国内線にとってはドル箱路線だと言われている。したがって、これは非常にありがたいことなんで、沖繩の興隆といいますか、観光開発その他利用客がふえているということにもなるわけでありますから、非常に便利になったということだと思うんです。しかし、伝えられるように、運賃を一五%も二〇%も上げられるということは、観光客は往復客だから割引の適用を受けてある程度の吸収はできるにしても、それにしてもやっぱり客は減るであろう、そういう心配がある。それにまた、船か飛行機か、二者択一の地理的条件のところであるという場合に、やはり最近は、もうとにかく時間の世の中ですから、船の利用から空の利用へ変わって、ほとんど利用者の八〇%――本土との交流の利用者が一〇〇あるとすると、そのうちの八〇が飛行機利用者だと、こう言われておるんですね。そうしますと、やはり運賃問題については特別な配慮をやっていただかなければならぬのじゃないか。  いつも特別措置法を引き出すわけじゃありませんが、沖繩の地理的条件についての配慮というものをしながら振興開発を進めていきなさいと言っているその地理的条件というのは、まさに私がいま言った遠隔地であるがゆえの条件だと思うんですよ。したがって、とにかく沖繩路線について、いわゆる離島路線ですね、沖繩県を離島だと見て、離島路線についての運賃配慮をどういうふうに考えられましょうか、もし上げる場合には。値上げしなきゃならぬ、是正しなきゃならぬ場合には、そういった配慮というのはどういうふうにされるつもりですか。
  92. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 大変むずかしい御質問でございますが、航空運賃の値上げ申請が出ていない段階で、運輸省としまして、ああするこうすると言うのは非常にむずかしい問題ということをまず最初にお断りしておきたいと思います。  で申請が出ました段階で、われわれは各社からいろいろ資料をとりまして実情を聴取するわけでございますが、そのとき、われわれの念頭に置きますのは、やはり沖繩の特殊性――これは地理的条件から見まして相当長大路線でございます。航空機の特性からいきまして、長大路線というのは比較的一キロ当たりの運賃が安くつくわけでございます。一たん飛び上がりましたら燃料の続く限り飛んでおるというふうに考えますと、非常に経済効率がよろしゅうございますので、その意味でコスト的にも安くっくわけでございます。こういったような実態をよく聴取しまして、そういう実態がよく反映されるような航空運賃にしたいというのがまず第一点でございます。  それから、沖繩というのは、今後、日本の観光産業の中で非常に重要な地位を占めていくんじゃないかと私は思っているんですが、そういった観光立県といったような沖繩の振興のための政策をわれわれとしてもバックアップするように、観光客の誘致に支障を来さないような措置を何とか考えていきたいというようなことを考えております。  それからまた、沖繩の方々が本土に来られていろいろお仕事の関係をなさる際に、非常に遠くの方から来られたときには、やはり本土の方々の関係個所に仕事をたくさん抱えてくるんじゃないかと思いますので、こういったときに往復割引――本土だけですと五日間の期間の人しか往復割引をしないんですけれども、この間の先生の御指摘もございまして、沖繩だけ七日間に往復割引の期間を延ばしたわけでございますが、そういった措置も実態に即するようによく研究をしてまいりたい。そういったような非常に細かいことの積み上げをしながら、沖繩の航空運賃につきましては実態によく合うように取り計らってまいりたいと思っております。
  93. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いまのお話は、特別の配慮というものを検討していきたい、こういうことだと思うんですが、そこで、私、一つ提言を申し上げたいんです。  沖繩復帰するときに、いろんな財政上の措置あるいは法律上の措置がなされたわけですね、振興開発特別法で。その中で、私は航空の場合でも、先ほど御質問申し上げた空港整備の場合には確かに特別の措置ができていると思うんです。しかし、航空運賃については一つ特別措置が欠けている点があるんじゃなかろうかと思うんです。それはやっぱり一つは通行税ですよ。  なぜかと言うと、いま御承知のとおり通行税は飛行機と、それから国鉄のグリーン、あるいは船では一等とか特等ですか、限定されているわけですね。ところが、沖繩の人は鉄道は利用できないんだから、通行税のかからないものを利用するというのは船しかない。船は先ほど言ったように時間がかかり過ぎる、いまのビジネスに合わない。そうすると、離島である県は沖繩しかないわけですね、そういった沖繩で、また本島から離島への航空運賃も同じく通行税がかかる。通行税をやはりこの際免除すべきではなかろうか。当然、復帰措置としてこれを要求すべきはずだったと私は思うんです、残念ながらそれが欠落している。ほかにはいろんな特例措置がある。租税についても補助金にしても、あるいは特利措置にしても、いろんな行政上、法律上の配慮があるが、これについてはないんですね。  ですから、来年の予算編成に当たっては、税制調査会との関係もあるんでしょうけれども、ぜひこの通行税の問題については、沖繩県並びに沖繩の離島まで含めての通行税の免除について、いまの本体の運賃の特例措置のほかに、そういった通行税の免除についての御努力を運輸省に願いたいと思うんです。それについてはどうですか。
  94. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 通行税の減免といったような措置につきましては、部内でもいろいろ話題にはなっております。しかし、実態を申しますと、通行税に見合う額が一般会計から空港整備に繰り入れられまして、現在、空港の整備、それから地元の環境対策費に使われているというのが実態でございますので、その辺のことを考えますと、ほかに財源措置をしないで、単に通行税を免除または減額するというのはなかなかむずかしい問題がございます。  しかし、沖繩の問題につきましては、いろいろ特殊事情もございますし、この点につきましては、先生の御指摘もございますので、沖繩開発庁の方ともよく相談いたしまして、今後検討してまいりたいと思っております。
  95. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 美野輪さん、いまの答弁を聞かれて、やはり開発庁も、先ほど長官がおっしゃったように、諸種の問題で運輸省と手を握って、この問題についてのひとつ積極的な御努力を願いたいと思っておりますが、いかがですか。
  96. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 本土沖繩間の運賃の問題につきましては、先生先ほど御指摘もございましたように、やはり沖繩の置かれている地理的な条件というものを当然に考えなきゃならぬというふうに私どもも考えております。やはり沖繩の振興開発のために本土沖繩間の交流を活発にするということ、あるいは住民の生活安定を図るというようなことから、これらの輸送企業の経営安定の問題等もあろうかと思いますけれども、やはり沖繩の振興開発上はこれらの運賃ができるだけ低位にあることが望ましいと私ども考えておるわけでございます。  そういったことで、先ほど運輸省の方からも話がございましたように、最近、本土沖繩間の往復割引の有効期間が延長された、またその前には包括団体割引制度とか、あるいは離島発着の住民割引というような制度もできてきているわけでございます。先生指摘のような趣旨を踏まえまして、なお今後とも運輸省と十分協議してまいりたい、このように考えております。
  97. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 運輸省の航空関係のいままでの特例措置、いろんな御配慮は本当にありがたいと思ってわれわれ感謝しておるんですが、やはり先ほども繰り返して申し上げるように、沖繩の特殊な事情に基づくところの立地条件、そういったことは物理的にもついて離れていくわけにいかないわけですね。ですから、そういったことを十分に踏まえて今後ともひとつお願いをしていきたいと思います。  次は、海運局に伺いたいと思いますが、先ほども申しましたように、地理的条件のところでありますから、特に船に頼らなきゃならぬということは、離島間の問題あるいは貨物のほとんどが海運に頼っているというふうな現状ですね。これについて復帰時点から沖繩の貨物の運送については特別の配船調整の問題がある。ところが、最近伺いますと、本来なら、これがきょう五月三十一日限りで切れてしまう。これに対して現地側からも要望があるでしょうし、また現地の船会社の経営状態から言っても非常に問題が残っているということで、それに対する延長措置について陳情があると思うんですが、それは聞いておられますか。
  98. 田辺淳也

    説明員(田辺淳也君) 沖繩航路の配船調整の問題につきましては、沖繩復帰したときの暫定措置といたしまして今日まできておるわけですけれども、それは運輸大臣の認可を受けまして、日本内航海運総連合会というところが配船調整をやっております。  その配船調整が同規程の細則におきまして五十三年の五月末日で一応切れるということになっておるのが現状でございますけれども、現在の沖繩航路の実情等を見ますと、貨物輸送需要というのがやり復帰後回復しない、低迷しておる。それに加えまして船腹も過剰でございますので、なかなか同航路に配船している船社の経営状況も非常によろしくない。それからまた地元沖繩の企業が三社ほどございますけれども、そのうちの三社は会社更生法による更生手続中だということ等もございまして、日本内航海運組合総連合会でも沖繩航路の輸送秩序の確保ということに努めておりまして、関係船社が一層努力をするということを前提にいたしまして、配船調整を延長するという、そういう方向でいま検討をしている最中でございます。  私どもといたしましても、そういう事情がございますので、延長されるということについてはやむを得ないものと考えております。
  99. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 内航海運組合がそういう決議をするならば、運輸省としてはそれに対して認可をする、こういうことですね。
  100. 田辺淳也

    説明員(田辺淳也君) 総連合会がそういうことであれば、私どもとしては認めるということでございます。
  101. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 延長した後、またそういう事情が変わらなければ、また内航海運で決めてもらわなきゃならぬわけね、そういう筋合いになるんですか。あるいは二年なら二年延ばすとかいうふうな長期の延ばし方はできない、ちびちび延ばすんですか。それは向こうの内航海運が決めることなんですか、その辺ちょっと。
  102. 田辺淳也

    説明員(田辺淳也君) 配船調整の主体はあくまでも日本内航海運組合総連合会でございまして、総連合会が一応どういう判断をするかということで、それの判断に基づきまして、それが妥当であれば私どもとしては認めていきたい、そう考えております。
  103. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 それじゃそういう方向でひとつ、行政指導もおありになるでしょうから、行政指導もしていただいて、とにかくそういういまおっしゃった事情があるわけですから、ぜひ延長方についての特別の御配慮を願いたいと思います。  次に、国鉄と沖繩の那覇と連絡運輸でやっていることは御承知のとおりだと思うのです。それは主にお客もそうだけれど、手小荷物の運賃、一貫の連絡運賃で、おかげで沖繩では那覇は少なくとも同じ値段の雑誌が見れる、週刊誌も同じ値段で買える、こういう恩恵をこうむっている。ところが、沖繩から今度は離島へ行きますときに別建てになるわけですね。これをぜひ一貫運賃で連絡輸送してほしいという話があるんですが、これについては簡単に、どうですか、国鉄にも聞きますが、時間がないもんだから。
  104. 近藤憲輔

    説明員(近藤憲輔君) お答えいたします。  ただいま先生からお話がございましたように、那覇までは連絡運輸の適用がございますけれども、それから先島までは現在適用対象になっておりません。  この点につきましては、琉球海運がいま先島へ運航いたしておるわけでございますが、これは船社と国鉄との契約に基づいて実施する仕組みになっております。現在の連絡運賃体系からいきますと、採算上船社に問題があるということと、たまたま現在琉球海運も会社更生計画を検討中でございます。そういう事情もございましてまだ結論を見るに至っていないわけでございますが、船社を指導監督する立場といたしましても、関係方面と連絡をとりながら検討してまいりたいというふうに考えます。
  105. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 国鉄はどうですか、現状。
  106. 須田寛

    説明員(須田寛君) 先島方面への荷物の連絡運輸につきましては、いま先生からも御指摘がございましたように、現地から御要望がございますので、何とかこれを広げるようなことでいろいろ検討いたしまして、会社側とも実は協議をしたことがあるわけでございますけれども、何分にも現在の制度を前提にいたしておりますので、いろいろ問題がございますので、現時点で実現を見るに至っていないわけでございます。  当方の考え方といたしましては、いま先生も御指摘がございましたように、非常に現地でこの種の制度につきまして連絡運輸範囲の拡大につきまして御要望が強いということを理解いたしておりますので、何とかこれが実現できますような方向で、制度の問題、それからいろんな諸問題がございますので、関係個所とか会社側と今後十分検討協議をいたしてまいりたい、こんなふうな姿勢でございます。ただ、当方の方の財政事情が御案内のような事情でございますので、そちらの方も考えながら、これを何とか実現する方向で知恵を出す必要がございますので、若干お時間を拝借したい、こういうふうな気持ちでございます。
  107. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 運輸省の海運局定期船課長も先ほど御答弁があったように、いろいろ船社間の経費の問題があるだろうと思うのですが、前向きにひとつなるべく早くこの問題を国鉄も御指導なさってやっていただきたい、こういうふうに要望しておきます。  時間がだんだんなくなってきたんで、港湾局に簡単に聞きますが、先ほど来申し上げているように、国際交流の場にしなきゃならないと、そのためにはやはり船も寄ってもらわなきゃならない。そのためには港も整備していかなきゃならない、こういう問題が一つあると思うわけです。同時にまた、御承知のとおり沖繩で中城湾という、これから眠っているその資源を生かしていこうという大きな港湾、これについての重要港湾の指定をされたということは伺っておりますけれども、これの開発といいますか、港湾整備の計画について、運輸省がいま把握しておられる現状を簡単でいいですからちょっとお話しいただきたい。
  108. 久田安夫

    説明員(久田安夫君) お答え申し上げます。  中城湾の港湾計画につきましては、いま先生指摘のとおり、四十九年に重要港湾の指定をいたしまして、翌五十年度から国といたしましても年間三千数百万から五千万程度の調査費を計上しておりまして、流通港湾あるいは工業港湾と申しますか、そういう国際的な交流の場としての港湾の基本調査を実施いたしておるところでございます。ただ、何と申しましても港湾の管理の主体は、先生御案内のとおり、港湾管理者であります沖繩県でございまして、沖繩県がやはり主体になって、この計画の策定に当たっていただくということになっております。  それで、現在、私ども聞いております段階では、県でも県内に対策室を設けられたり、あるいは所要の調査を実施されたりということで着々と抜本的な計画の策定のための調査を実施中というふうに聞いておりまして、この県の御要望を踏まえまして、あるいは地元の御要望を踏まえまして、案が出てきました段階で、私どもとしても積極的にこれには対応してまいりたい、かように考えております。
  109. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 県側の対応がやっぱり大事であるということはわかっておりますが、運輸省としても、先ほどから申し上げているように、現地から陳情の形で出てくる注文に対する受けの立場だけじゃなくて、積極的にこうすべきじゃないかという、せっかく重要港湾の指定がなされたわけですから、それだけの価値を認められている、そういう特殊事情を踏まえての行政指導をやっていただいて早く機能させなきゃいかぬだろうと思う。その点についてよく御指導願いたいと思います。  それから、離島の港湾整備の問題について、簡単にどうなっていますか、それをちょっと。
  110. 久田安夫

    説明員(久田安夫君) 沖繩本島を除きます離島の港湾につきましては、現在、約二十二港の港湾につきまして地方港湾としての整備を実施いたしております。目標といたしておりますのは、漁港を含めまして離島は一港必ず港をつくるということでやっておりますが、島によりましては、自然条件等から、一港ではどうしても非常に不都合であるという島もございますので、そういうところにつきましては、いわゆる裏港と申しますか、主要港の反対側にもう一つ港をつくるというようなことで、いわゆる生活航路としての航路の確保を十分図っていくようにやっておるところでございます。
  111. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そういう方向に沖繩はいまなっていますか。
  112. 久田安夫

    説明員(久田安夫君) はい。
  113. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 たとえばマニラから日本へ船が、旅客船でも貨物船でもいいんですが、もちろん重要な問題もあるけれども、マニラから沖繩へ寄って横浜なら横浜に来るといった場合に、寄ってもらえるのはどういう手続をしたら寄ってもらえるんですか、非常に素人な質問なんだけれども。
  114. 近藤憲輔

    説明員(近藤憲輔君) 国際旅客船の運航につきましては、外国の船社につきましては海上運送法上特別な規制はございません。それから日本の船社が運航する場合は単に届け出だけで足りる、こういう制度になっております。
  115. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、たとえばフィリピンの船会社に対して、沖繩県なら沖繩県が要請して経由していってくださいと取り結びをすれば、別に行政上問題ないということですか。
  116. 近藤憲輔

    説明員(近藤憲輔君) 海上運送法上は問題はございません。
  117. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 その場合に、日本の船の場合も回しですね。
  118. 近藤憲輔

    説明員(近藤憲輔君) はい、そうです。
  119. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 その場合に、検疫とか税関手続とか、そういったものは別ですわね、これは当然のこと。  それから、港湾の方にお聞きしますが、その場合に、船が寄る港というものは物理的な条件さえ整えば問題ないわけですか。
  120. 久田安夫

    説明員(久田安夫君) そのとおりでございます。
  121. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 そうすると、大きな船、たとえば「クイーンエリザベス号」なんていうのが横浜に来たりして遊よくしていますわね、ああいった大きな船が寄れるようないま港になっていますか、沖繩の場合は。
  122. 久田安夫

    説明員(久田安夫君) いま先生名前を挙げられました「クイーンエリザベス」といったような六万トン級の観光船が着く施設は現在ございませんけれども、水深が約十二、三メーターございますと、観光船「クイーンエリザベス」クラスでも着くことができますので、そういう要請あるいは具体的な形が出てまいりましたら、それに対応する整備を検討していきたい、かように考えております。
  123. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 将来、いま定期船課長がお話しのように海上運送法上の特別な措置はしないでも、コマーシャルベースといいますか、そういったようなことで外国船も寄っていけるんだと、それは貨物船についても同じことですね。  それから、港の物理的な条件も、水深が深いとか浅いとかというふうなことさえあれば心配ないということならば、あとは県側の努力によって需要を開発していく、需要というのは外国船に寄ってもらうと。開発庁もひとつそれはよくお願いをして、何でも頼りにするのは開発庁ですから、積極的に外国船、特に旅客船だと思うんですが、寄ってもらうようにしていただきたいと私は思うんです。それについて政務次官いかがお考えですか、一言。
  124. 佐藤信二

    政府委員(佐藤信二君) 先ほどから伊江先生の大変多岐にわたる御質問並びに非常に御示唆に富む御卓見を拝聴しておりますが、先ほど御指摘のように、やはり今後の沖繩県位置づけという問題、これに実は尽きるのではないだろうか、かようにいま思わしてもらっておりますが、いまおっしゃった特にこれからの振興では港湾の整備ということに重点を置かざるを得ない、かように考えます。
  125. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 時間がわずかになりましたが、鉄監局とそれから建設省に最後にお伺いしたいと思います。時間があと十分ぐらいしかありませんので簡潔に御答弁を賜りたいと思うんです。  沖繩の陸上交通の問題ですが、あの現状を運輸省としてはどういうふうに認識しておられますか、まず、それから。
  126. 早川章

    説明員(早川章君) 那覇市を中心といたします沖繩の交通事情を指標で考えてみますと、自動車の保有が非常に多い。人口千人当たりの自動車保有台数で大体二百台を超えるというのが那覇市の状態である。それから交通機関別では、那覇あるいは沖繩の特殊事情かと思いますが、圧倒的にバスの利用が多い。そこでバスの運行速度で見てみますと……
  127. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 簡単に、結論だけでいいです。
  128. 早川章

    説明員(早川章君) はい。かなり混雑している、道路の混雑が際立って高い、こういう状況にあると考えております。
  129. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 ここにちょっと調べてきたのがあるんですよ。いま道路の混雑状態が自動車も多くなったということでまさにそのとおりなんですが、あそこに国道五十八号線というのがある、メインの道路ですね、北から南。それの浦添というところと、それから那覇の松山町というところで自動車交通量を調べた四十九年の資料があるんですよ。  これを見ますと、この浦添というところ、牧港というところは幅員が二十四メーターあるんです。この二十四メーターで車線が六なんです、上下でね、片道三線。それで設計基準の交通量というのが、十二時間、つまり半日で一万六千五百台という設計基準になっております。これに対して四十九年の道路交通情勢調査では十二時間で三万一千二百九十六台通っておる。したがって約倍ですね、設計基準を上回って通っている。混雑状態が想像できますわね。それから那覇の松山町、これは幅員二十八メーターで六車線、これもやはり一万六千五百の交通の設計基準。これに対して三万一千二百九十六、これも約倍。それが昭和四十九年で、この当時が二十四万五千台の保有量なんです。ところが、今日、五十二年の三月で見ますと二十八万五千台、こういうことになって大変な混雑なんです、これだけ見ても。  しかも、流入が、御承知のとおり那覇というのは学校も多いし勤めも多いところだから流入が非常に多くなっている。一ころの流入、四十九年の流入の状況から今日を見た場合には、もう五割以上ふえているというかっこうになっているわけです。これじゃとてもじゃないけれども、私は道路をいかに拡張しようにも拡張ができない、そういう余地がない。そうすると、そこに何らかの大量輸送の機関を導入しなきゃならぬという声が上がるのは当然だと思うんです。沖繩にモノレール計一画あるいは鉄軌道を導入したいという県なり市なりの要請があることは承知しておりますか。
  130. 早川章

    説明員(早川章君) 先生の御指摘のとおり、すでに沖繩の振興開発計画にも新しい交通システムの導入についても触れてございますし、現地ですでに数次にわたりまして沖繩開発庁を中心に検討が進められているというふうに承知いたしております。
  131. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 開発計画に何て書いてありますか。
  132. 早川章

    説明員(早川章君) 「交通体系の整備にあたっては、各種輸送機関の特性を生かした合理的な機能分担のもとに、計画的、一体的整備をすすめる必要があり、この場合、新しい交通システムの導入についても検討するものとする。」と触れられております。
  133. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 「新しい交通システム」というのは、いま言われるモノレールだとか、あるいは何といいますか、羽田でやっているHSST、ああいったものを含めてのことなんですか。要するに新交通システムというのは鉄軌道、モノレールを含めて、そういう交通システムのことと理解していいんですかね。
  134. 早川章

    説明員(早川章君) 「新しい交通システム」とここで触れられておるものは、一応、現地あるいは沖繩開発庁の御判断でも、モノレールを含む、無人化が可能なものまで――現在無人化が可能なものとしての新交通システムはまた別の概念がございますけれども、両方含むものとして、とられておると理解いたしております。
  135. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 この特別措置法をつくったときに、佐藤総理が、いまの時点では鉄軌道の問題についてはすぐにはイエスとは言えないかもしらぬ、しかし将来の動向を見て、これについては検討しますと、当時の佐藤総理がおっしゃった。それをまた受けて、当時の丹羽運輸大臣が将来の問題として検討してまいりますと、それは復帰時点だからすぐにわかるんだけれども、ところが、今日は先ほど言ったようにもう大変な道路の渋滞、そうなればもう検討の時期に来ていると私は判断する。  そこで建設省に伺いたいんだけれども、モノレールは街路整備事業としておやりになるんだけれども、那覇の計画についてはどう判断しておられますか。
  136. 玉置清

    説明員(玉置清君) 総合的な都市交通体系ということで調査の経過はございますが、新しいシステムのうち、モノレールが適切であろうというふうに判断をして調査を継続しておるわけでございまして、これの導入あるいは関連する道路の整備が行われれば、現在指摘されております混雑の増大その他の問題の解決に貢献するだろうというふうに考えております。
  137. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 貢献するだろうということはもうわかることなんですが、これに対して指導なさっていらっしゃるのか、それともただ単にそうであろうという客観的な御判断なんですか。
  138. 玉置清

    説明員(玉置清君) 現在、運営の主体その他、検討すべき課題が残ってございますが、特に今年度の調査では、昨年人の動きに関しまして詳細なパーソントリップ調査というようなものも実施いたしておりますので、そういったものに基づきまして経営収支等の調査をなお行いたいという現状でございます。
  139. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 いま運輸省、建設省からお話を聞きますと、現地の交通状態から見て何とかしなきゃならぬだろう、しかし、モノレールにしても新交通システムにしてもやはり検討の段階、調査の段階というふうなお話なんです。  私は、それはそれとして尊重します。尊重しますが、いま一番困っているのは定特性の確保であり、そしてまた大量輸送であり、同時にまた道路の混雑というものを解消する方策は何かということをまさぐっている沖繩県の姿だ。したがってこれは各省別々に問題を調査したり取り上げたりしたんではだめなんです。幸いにして認識は一致しているわけです。道路の状態を何とかしなきゃならない。それは道路をつくるのも結構ですけれども、やはり鉄軌道が欲しいというならば、その鉄軌道を敷設するためにどういう手だてをやっていかなきゃならぬかということは、やっぱりまとめて政府部内での検討委員会をつくっていただかなきゃならぬと思う、総合的に。運輸省は運輸省、建設省は建設省、お互いに検討であるということだけでは事が前進しない。したがって佐藤元総理が言われたように、これから検討してまいりましょうという、もう六年間たった検討の結果がある意味の行政ベースの認識になっていると私は思うんです。  長官、最後に伺いたいんですが、そういったことで沖繩の陸上交通問題を解決するために、県は鉄軌道、市はモノレールとおっしゃる。それを一体どう調整していくか、何が必要なのかということについて政府部内のコンセンサスをしていただく委員会なりプロジェクトチームなりをぜひ開発庁の主導型で私はおつくりいただきたいと思うんですが、いかがでございますか。
  140. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 私どもも再三沖繩に行っておりますが、交通渋滞というものは大変私は混乱をしておると思います。ただ立体橋をつくるとか、あるいはまた道路を拡幅するとか、こういう形であの交通渋滞は緩和されるものではない。そういう意味から、突然というわけじゃありませんが、モノレールの御質問がございましたが、私は大変これは意義あるものだと考えております。  五十年には三千五百万、それから五十一年には三千万、それから昨年、今年度で一億の調査費をかけました。私は、問題になるのは、いろいろ論議の模様を聞いておりますと、企業主体がどうなるのかとか、あるいは採算がどうなるのか、こういう問題が現在議論をされておるわけであります。そういう意味から各省にまたがる委員会をつくってはどうかということでございますが、十二分に現在の開発庁としては調整機能と申しますか、その役割りを果たしておるわけであります。私は、今年度は特に意義ある年である、七月三十日の交通変更というこういう世紀の大事業を抱えておる、こういうふうな関係から、できるならばむしろわれわれの方から積極的に働きかけて、このモノレールを実現することが交通緩和の唯一の道である。しかしながら、県当局と市当局との意見の相違のあることもよく承知しております。そういう意味から、どういう方法でどうするか、こういう問題についてはできるだけわれわれの方が積極的にまとめる方向で、いま申し上げたように地元関係がきわめて大きいわけであります。しかしながら、それを待ち構えておるということよりか、この交通渋滞、これを緩和する、しかも七月三十日、こういったことを考えたときには、私はモノレールというものは最高のものである、全く適当である、こういうふうに考えておりますので、御指摘の点については、委員会等々、つくる必要性があればつくりたいと思いますが、現在の状態においては、委員会をつくらなくても、総合機能、こういった役割りを果たしておることを御報告しておきたい、こういうふうに思っております。
  141. 伊江朝雄

    ○伊江朝雄君 もう一問だけ。  それは委員会をつくらなくても調整機能をお持ちですから、十分に信頼いたしますけれども、この問題はやはり私は委員会をおつくりにならぬとだめだと思うんです。悪いけれども、各省はやっぱり縄張りがありますから、なかなか思い切ったことはできません。やっぱり調整機能を持たれる長官がこうやれああやれというふうな調整機能をお持ちにならなきゃだめだと思うんです。そういうことを私は要望いたします。  それから、建設省に高速自動車道路の南進問題について伺いたいと思っておりましたが、時間が来て、他の委員の御質問時間に食い込んでしまいますので別途改めて質問いたしますが、いずれにいたしましても、最後に、長官に、やはり国際交流の場にしていただくために、いろんな後期の計画について十分に御配慮を賜りたい。もちろん当然のことでお考えになっておることでありますけれども、御配慮賜りたい。同時に、復帰特別措置法というものがやがて来るであろうところの時限の際に一段と御考慮を願うことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  142. 二宮文造

    ○二宮文造君 私も時間が限られておりますから、問題を限って質問をしたいと思います。  一点は、いま伊江委員からもお話がありました航空運賃の問題、もう一点は、これまた包括的にお話がありました交通変更の問題、これに絡みまして、若干細かい点ですが、質問をしたいと思うんです。  先ほども答弁がございました航空運賃の件ですが、この二月に、同僚の喜屋武眞榮君から政府に対して沖繩の航空運賃の件につきまして質問主意書が出まして、値上げをする理由、あるいはまたそれに対する配慮はどうかという、概略こういうふうな質問主意書が出まして、政府の答弁書をいま手にしております。私は、この中で当該路線の特殊性あるいは当該路線における需要動向云々という答弁が出ておりますこの特殊性という問題について、まずお伺いをしたいと思っておったんですが、先ほど答弁がございました。要するに、観光収入に大きなウエートを占める沖繩経済の現状あるいは離島である、県民の足であるという考え方、さらには、これは私は気がつかなかったんですが、長距離になりますと燃料の節約等によって安くなる、こういうふうな特殊性を配慮しながら、沖繩県の航空運賃には配慮をする、こういう答弁でございました。  しかし、そういう面からいきますと、現行の運賃は割り高ではないかという気がしてならぬのですが、まず、どうでしょう、航空局の方、本土沖繩間の現行運賃が高いんじゃないかという気がしてならぬのですが、この判断はどうですか。
  143. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 一キロ当たりの運賃というかっこうで本土沖繩線、それから本土内の幹線、これを比較してみますと、本土沖繩の間を飛んでおります航空路線の平均が一キロ当たり十八円六十銭でございます。それから本土内の幹線、これの平均が二十一円七十銭でございます。したがいまして本土沖繩線の方がキロ当たり運賃は安くなっております。  それからもう一つ、幹線というのは大体一キロ当たりの運賃が二十円前後で設定されておるわけでございますけれども、ローカル線はそれよりもやや高い運賃に設定されております。したがいまして私どもの認識としましては本土沖繩の間の航空運賃については、現段階では、ほぼ適正なものではないかと考えております。
  144. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまは非常に運輸省の方も説明しやすい状況になっているんですが、復帰になりました昭和四十七年五月十五日の東京-那覇と東京-大阪、この運賃のいわゆる単位キロ当たりを比べたらどうでしょう。
  145. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 四十七年五月十五日に本土復帰いたしまして、その時点では、本土の幹線と一キロ当たりの運賃を比べますと沖繩の方が高くなっております。  その後、四十七年の七月十五日に航空運賃の全面的な改定がございまして、平均九・五%値上げいたしましたけれども、本土沖繩の問題につきまして値上げをしなかった。それから四十九年の九月十日にやはり航空運賃を全面的に改定しまして平均二九・三%上げたわけでございますけれども、そのとき本土沖繩の間を一〇%の値上げにとどめまして、この時点で初めて本土沖繩の航空運賃がキロ当たり安くなったというのは先生の御指摘のとおりでございます。
  146. 二宮文造

    ○二宮文造君 確かに、私が指摘したいのは、東京-那覇の航空運賃の始まりがIATAのあの高い運賃、これをレートにして、それから手直しをしながら今日に来ていますよね。ですから、復帰のときは東京-大阪の場合はキロ当たりが十二円八十銭、ところが東京-那覇の場合は十五円六十銭と、こうなりまして、確かに割り高になっていましたね。それからいまの七月に平均九・五%全線が値上げをしたときに、とどめておいた。このときに本土の方の幹線は東京-大阪十三円七十銭です。しかし、那覇-東京は十五円六十銭と、値上げしておりませんから抑えられていますね。今度初めて四十九年の九月の値上げで逆転をしました。逆転をしましたが、その場合の大阪-東京は九千八百円ですよ。あとジェット料金が入りましたけれども、その場合は十八円四十銭。そのときに那覇-東京が二万九千四百円ですから、十七円二十銭です、こうなりますね。  確かに逆転はしましたが、この一円何がしの中に、あなたの先ほど来おっしゃった特殊性というものが全部入っているんでしょうか。
  147. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 私ども、運賃改定に当たりましては、路線別のコストというものを相当詳しく各社からヒヤリングいたします。しかしながら、現段階では、各社から路線別のコストについて十分なヒヤリングをまだやっておりません。したがいまして、現在、東京-那覇の間の航空運賃のコスト、それから収入、運賃ですね、コストと運賃との差がどうなっているかということについては詳細な資料を持ち合わせておりませんけれども、いずれにいたしましても次回の運賃改定の際には航空各社から実態をよく聴取いたしまして、原価の安い路線は原価の安いように設定する、そういったような方針で極力臨みたいと考えております。
  148. 二宮文造

    ○二宮文造君 やがて値上げの申請が出ると思いますが、その場合に沖繩のいわゆる観光立県といいますか、振興開発の大きな柱になっていますこの面と、それから県民の足であるという面、この面を運賃値上げの算定にどういうウエートでお考えになるか、これが一番問題になってくると思うのです。原価計算より何よりも政策的な大きな配慮が必要になってくると私は思うんですが、これは予想されるところはどういう立場からこの二点を御検討されるのか、これを伺いたい。
  149. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 航空運賃の認可申請がまだ出ていない段階で、運輸省がとやかく言う段階ではまだないと思いますけれども、先生の御指摘にもありますとおり、沖繩の特殊性、それから沖繩の観光立県を図らなくちゃならないといったような事情、そういうものを十分踏まえまして検討してまいりたいと考えております。
  150. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほども御指摘がありましたけれども、沖繩に入ってくるお客さん、人ですね、それが四十九年は七九・五%が空路ですね。五十年、これは海洋博のときでしたか、八六・二%。それから五十一年が八四・六%。入ってくるお客さんがこんなにほとんど空路を使うというのはまず沖繩だけでしょうね。これは特に運賃改定あるいは運賃値上げという機運の中で特に検討していただかなければならぬ大きな問題だろうと思うわけです。  それからもう一つ、南西航空が本土内のローカル線に比べてもきわめて高いキロ当たりの運賃になっているんですが、これはどうでしょうか。
  151. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 先生指摘のとおり、南西航空は、一キロ当たりで比較しましても高い航空運賃になっているのは事実でございます。  それにつきましては、南西航空の使用している機材は現段階では二種類ございます。両方ともプロペラ機でございますが、一種類はYS11という日本製の飛行機でございます。これは定員が六十名または六十四名というものでございます。それから、もう一種類のプロペラ機は外国製でございまして、通称ダッシュ6と言われているものでございますけれども、定員が十九名でございます。これは離島を離発着しますときに短い滑走路で離発着できる飛行機というと、この飛行機が一番適当なものでこれを利用しているわけでございますけれども、そういった使用機材の面で非常に制約がございます。たとえば大型のジェット機でございますと、パイロット二名でもって百何十名のお客さんを時速七百ないし八百キロで運べるわけでございますけれども、ダッシュ6という小さい飛行機ですと、パイロットを二名つけまして、十九名のお客様を時速三百から四百キロぐらいでしか運べない、そういった制約があるわけでございまして、そういった使用機材の生産性の差からどうしてもキロ当たり運賃が高くなるというのが実態でございます。
  152. 二宮文造

    ○二宮文造君 それは意味はわかりますけれども、ところが、東京-大阪、東京-高松もYSなんです、条件は全く同じだろうと思います、会社が違うだけです。YSしか入れないのですから、高松空港も高知空港も。そうしますと、東京-高松の場合は六百三十五キロ、キロ程がですね、これは二十二円二十銭です。同じように一番長いところが那覇それから石垣ですが、これは四百二十九キロ、この場合二十七円三十銭。ですから、同じYSを使っても、南西航空の場合はキロ当たりの運賃は非常に高くついている。こういうあれが出てきますが、この点はどう御説明されますか。
  153. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 航空路線と申しますのは、一つ一つの航空路の需給関係とか使用機材、それから運航回数、そういったもろもろの要因を考えに入れまして設定されているわけでございます。先生指摘のとおり、一つ一つの路線について言いますと、アンバランスが出ているというのは実態でございます。  われわれの方で考えておりますのは、たとえば離島関係のYS路線の各社、ほかの会社との比較というものをとってみますと、全日空の場合には離島関係の路線でYSを飛ばしておりますが一キロ当たり航空運賃が二十九円四十七銭となっております。それから東亜国内航空の場合ですと、同じく離島関係のYS路線の運賃が一キロ当たり三十二円六十九銭となっております。南西航空につきましては、離島路線でございますが、そのYS路線だけをとりますと二十九円六十二銭というふうになっております。したがいまして平均的に言いまして全日空の離島路線よりもやや高いのでございますけれども、東亜国内航空の離島路線のYS路線に比べますと、やや安い、そういったようなのが実態でございます。
  154. 二宮文造

    ○二宮文造君 私の持っていないデータでいろいろ御説明になりますけれども、私が申し上げるのは、こういうふうに高松――私は四国で事情がよくわかりますから高松、高知の例をとったわけです。その場合には、二十二円二十銭とか二十一円六十三銭とかいうキロ当たりの運賃しか出てこないわけです。ところが、あなたがおっしゃる全日空のYSは二十九円何がしだとか、国内航空の場合は三十二円だとか、こういうような御説明でしたけれども、それはYSでもうんと回数の少ない、しかもまた利用客の少ない、いわゆる何といいますか、乗客の利用率といいますか、それのきわめて低いところを込みにして高い数字をお答えになったんだろうと思うわけです。  ところが、私が申し上げる南西航空の場合、石垣とか宮古とかというのは、年間に宮古の場合には三十二万九千人、石垣の場合が三十七万六千人、これは五十一年のこのデータに出ておりますが、こういうふうに非常に利用客が多いわけです。要するに南西航空の幹線路線といわれる石垣、宮古は恐らく私は乗客の利用状況というのはきわめて、座席の利用状況ですよ、これは高いと思うんです。そういうふうなことを考えてみますと、やはり高松、高知という線と比べてみるのが一番手っ取り早いのではないだろうか。こういうことで数字を出してみたら、二割あるいは二割五分高くついているという指摘をし、こういう数字の中から私は南西航空も割り高ではないかと。  これは現行運賃ですから、やがてこれが九月ごろに使用料の値上げだとか、あるいは空港施設の利用の値上げで、いま先ほどおっしゃったような何%かの値上げ申請が出てくるということですから、それを十分に加味されて、沖繩、先ほどおっしゃった特殊性というものの中から御判断をして適正な運賃というものをはじいていただきたい、こう私は数字を挙げて認識を新たにしていただきたいという意味です。  それから、先ほども御指摘がありましたから言わでものことかとも思いますけれども、沖繩の特殊性というものを考えますと、やはり何といいますか、政策的に何か手を打って運賃の値上げというものをとめるという考慮がなされなければならないんじゃないかと思うんです。たとえば先ほど御指摘がありました通行税の問題ですね、これは何度も言いますけれども、特殊性というものの中にはなじまない部類だと思います。  それから航空機燃料税、これは運輸省から毎年予算編成のときに離島に対する航空機の燃料税、これはひとつ免除してもらいたいということを大蔵省とたびたび折衝をし、いまだに実現をされておりませんが、沖繩が離島になるのか、あるいはそれよりももっと大事な振興開発計画という柱の中に含まれた、それよりも優先すべき地域だろうと思いますが、この航空機の燃料税の免除、軽減の問題ですね。  それから空港使用料、例のジェット料金ですか、あのジェット料金なんかも私は納得ができないんです。これはもうしばしば問題になっておりますけれども、お客さんからは六百円取るわけでしょう。お客さんから六百円取りますが、航空会社が払うのは六百円掛ける乗客じゃありませんね。ちょっとこれを試算したんですが、この試算が間違っていれば指摘をしてください。  トライスターの場合ですね、定員が三百六人。そして五十一年の運輸白書による東京-大阪の平均乗客率は七九%。そうしますと、三百六人に七九%掛けますと二百四十一人、これが乗客になります。そうしますと、掛ける六百円ですから十四万四千六百円。ところが、規程によって航空会社が特別着陸料として払うのは八万四千五百五十円。差し引き一航海というのですか、一遍飛んで航空会社は六万五十円ですかもうかっちゃう。要するにジェット料金というのはお客さんが乗れば乗るほど航空会社は料金以外にふところに入ってくる。これなんかもいまの那覇の空港の利用状況、座席の利用状況なんかを考えますと、やっぱり相当に軽減できる問題ではないだろうか。  通行税で一割でしょう。それから特別着陸料、ジェット料金で何がしかできますし、それから航空機燃料税の軽減でできますし、そういうような配慮をしていきますと、今回、一五%ないし二〇%値上げというものの申請が云々されておりますけれども、特殊性というものに配慮をすれば、沖繩関係には値上げは必要ないんではないだろうか、こういう感じがするわけです。これはこれから申請が出てきてからの問題ですが、細かい問題ですけれども、指摘をしておきたいと思うわけです。  それから、この委員会で私どもがたびたび沖繩の航空運賃の問題を論議しまして、運輸省の方もわかっていただいて、たとえば先ほどの団体包括旅行ですか、これの割引運賃二割五分ですね、こういう制度が一昨年の四月以来発足しております。要するに、二十五人以上の包括旅行の場合二割五分割引をするというのですが、この利用状況は一体どれぐらいになっておりますか。
  155. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 私どもの方に報告を受けているところでは、余り利用されていないのが実態のようでございます。
  156. 二宮文造

    ○二宮文造君 なぜ利用されないんでしょう。航空運賃が二割五分も割引になるこのせっかくの制度がなぜ利用されないか、これは制度そのものに欠陥があるんじゃないでしょうか。
  157. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 実は、われわれは一昨年導入しましてから、この制度は大いに利用されて沖繩の観光開発に役立つんではないかと期待していたわけでございますけれども、最近報告を受けてみますと、余り利用されていないというのがわかりまして、実は愕然としているというのが実態でございます。そういった問題につきましても、航空団体の切符の販売状況などをよく調査しまして、なるべく利用しやすい方向に制度の改善を考えていきたいと考えております。
  158. 二宮文造

    ○二宮文造君 いやいや、二年もたって、利用されないという事態をずっと見てきているわけでしょう。なぜ利用されないかというその原因を押さえられているでしょう、わかりませんか。
  159. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) これは航空の切符を売るのは旅行あっせん業者の方で実際上販売しているわけでございますけれども、そういった関係のことになりますとちょっとわれわれの方ではなかなか実態が把握しかねるのが実態でございます。しかし、やはりせっかくできた制度が利用されないというのは非常に困ったものでございますので、その実態について把握しまして、改善する必要があるならば制度を改善して利用されるようにしていきたいというのがわれわれの考えであります。
  160. 二宮文造

    ○二宮文造君 そんなこともないんだろうと思うんですけれども、旅行会社とそれから航空会社の間に運賃の特約がありませんか、表に出ない特約が。ですから団体包括旅行の割引制度を利用しなくても、別に特約があって、そのためにこの制度というものが大っぴらに利用されないんじゃないでしょうか、私はそういう気がしてなりませんが。要するにダンピングされているような気がしてしようがないんですが、特定の旅行業者に対して。
  161. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) いま先生指摘のあったようなことは私はないものと確信しておりますけれども、なお実態をよく調べてみたいと思います。  それから、私、先ほど一昨年導入されたと申しましたけれども、これは間違いでございまして、昨年導入されたのでございます。どうも失礼をいたしました。
  162. 二宮文造

    ○二宮文造君 ああそうですか、私も失礼しました。  それで、もう一つ要望したいのは、せっかく二十五人以上にそういう割引制度を入れましたね。これはいわゆる団体旅行をパックにして出すということで出しやすいようにということ、それだけ沖繩に入る観光客を誘致したいという配慮だろうと思うんですが、私どもよく旅行してみますと小グループがきわめて多いですよね、五、六人、七、八人という。ですから、もう少しいわゆる旅行業者の特権による、旅行業者が介在をしなければこういう割引制度が利用できないのではなくて、十人なり十何人なり、いまの二十五人の半分ですが、旅行業者が介在しなくても――この場合は包括旅行にならないでしょう。割引制度が利用できるように御考慮される必要があるんじゃないか。せっかくここまできたんですから、仏つくって魂入れずじゃなしに、もうひとつこれは利用し得るように、その制度の中身を変えるお気持ちはありませんか。
  163. 松村義弘

    説明員(松村義弘君) 沖繩に対する観光旅行または一般の旅行の実態をよく把握しまして、沖繩観光立県に貢献するような方向で検討してまいりたいと思います。
  164. 二宮文造

    ○二宮文造君 大変ありがたい返事なんですがね、この委員会で検討してまいりたいと思いますというのは大抵ナシのつぶてになっているんです。  私は、いまの答弁はそういう意味での検討ではなくて、私の申し上げたことをよく頭の中に置いていただいて検討されるものと、また長官もそばにいらっしゃるんですから、長官も、そういうふうな趣旨で運輸省から相談を受けた場合には、特に積極的に、せっかくできた制度ですからね、いまの場合は旅行業者が入らなければ利用できないんです。ところが、それを利用しないというのです。ですから、私の勘ぐるような何か変な特約があるからこんなものを使わなくてもやれるんじゃないかという感じがするわけです。ならば、航空会社がすでに、ないと思いますけれども、そういうような特約でもやってダンピングでもやっているのなら、思い切ってオープンにして、しかも個人じゃ困ります、団体ですね、ですから十一人でも結構、こういうふうな小人数のグループに対しても道を開くべきではないか、これはひとつ特に御検討いただきたい、こう思うんですが、大臣いかがでしょう。
  165. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 大変きめ細かい質問でございまして、せっかくの制度が活用されていないということで、ちょっと私はいま政務次官に聞いたところが、いろいろ具体的な事例を聞きました。  そこで二十五名以上という団体をどういう角度から決めたものか、これは私も突然のことで報告を受けておりませんが、少なくとも小人数であろうと私はこれは団体というものの性格に入ってくるのじゃないか。こういう意味から、沖繩はやはり沖繩振興開発特別措置法によって県民の生活安定、こういうことが目標でございますので、やはり航空に頼らなければならぬという特殊事情から考えて、低位に運賃を決めていくということが最も適当なことではないか、私はこういうふうに考えますので、運輸大臣にもこの旨を強く要請をいたしまして、できるだけという言葉よりかむしろ、団体の性格の位置づけのときに私も承知をいたしておりませんが、観光業者による窓口でなくとも、個人というわけにはいま御指摘のようにまいらないと思いますが、団体の性格というものをやはり位置づけていく必要があるんではないか、こういうふうに考えております。
  166. 二宮文造

    ○二宮文造君 さらに、おんぶにだっこのような話になるんですが、先ほどちょっと申し上げました沖繩という特殊性、これに非常に私はこだわって申し上げるわけですけれども、通行税だとか航空機燃料税あるいは空港使用料、さらには航行援助施設利用料、こういうものがいまの航空運賃の中に加味されているわけですね、それがまた非常に大きなウエートを占めるわけです。したがって特殊性という立場に立って、これは航空会社ではどうにもできない問題、これを航空業者にかぶせようとしますと、結局、収支状況とかなんとかいう経理の問題になってきます。やはりこういう公租公課は政策的な判断からお考えいただくよりほかにないんじゃないかという点を指摘をし、これに対してまた御検討をしていただきたい、こういう希望を持っておることをここに確認をしておきます。これは答弁しにくいでしょうから、ひとつ確認をしておきますので、お願いをしたいと思います。  それから、次に、交通方法の変更の問題でございますが、先ほど伊江議員もそんなに気安く答弁をされていいんですかというふうな御忠告があったようですけれども、どうでしょうか、事業の執行状況ですね、那覇市と浦添、いまどの程度に執行されているか、報告をとられているか、パーセントを教えてください。
  167. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先生ただいま御指摘の、那覇市、浦添市が特に執行がおくれておるところでございますが、端的に申しまして大体那覇市が四月末現在におきまして一一・七%、それから浦添市が二四・七%、約二五%の執行状況でございます。
  168. 二宮文造

    ○二宮文造君 あのね、おかしいんですよ、これはどこの数字ですか。県の交通変更対策室が五月一日現在として発表しましたのは那覇市が一〇・一%、浦添が二三%なんです。大した数字じゃありません、進んでないということにおいてはもうどっちも進んでないんですから。ですけれども、どうしてこういう数字に食い違いが出てくるんだろうか。私はこれは新聞からとったんです。いまおっしゃったのは確かに総理府の資料でちょうだいしたんですが、ですから、ここの辺にも市と国との間に何かこう考え方にギャップがあるんじゃないか、そこに数字の狂いが出てくるんじゃないかという気がするんです。  その狂いがあるということを一つ指摘しておきますが、那覇市の場合、いわゆる七・三〇に関連して行われる改良工事は五十四カ所と聞いておりますが、どうでしょうか。
  169. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先生がただいま挙げられました数字のとおりでございます。
  170. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、その五十四カ所の内訳は、交差点の改良が二十カ所、それから道路の拡張が九カ所、さらには車両の停車帯というんですか、それの改良が二十五カ所、計五十四カ所。それで五十四カ所の改良をやらなきゃならぬ、しかも改良工事に伴う用地の補償済みのところがわずかに八カ所。それから一部解決したのが三カ所。しかし、そのいずれもまだ工事契約が行われていないというのが五月二十五日付の新聞発表なんですが、この事態でよろしいのでしょうか。
  171. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) ただいまの数字の問題でございますが、私ども同じ四月末現在で用地買収済みが十三カ所と、このような報告を受けてございます。ただ、いずれにいたしましても、先生指摘のように、大変に執行がおくれておるということは事実でございます。そういったことで、これは私どもとしても県、市とも、また建設省とも密接に連絡をとりながら、今後大いに進捗をさせたい、このように考えておるところでございます。
  172. 二宮文造

    ○二宮文造君 十三カ所ですか、用地の補償済みが十三カ所。ですけれども、それにしても五十四カ所の中の十三カ所ですね。
  173. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) ただいま四月末現在と申し上げましたが、五月二十七日現在の誤りでございますので、ちょっと訂正させていただきたいと思います。
  174. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういうこともあろうかと思って、私は五月二十五日の新聞と、こう申し上げたんで、どうも間違いないと思いながらおかしいなと思って伺っていたのですが、それにしても工事契約にはまだ入っていませんね。
  175. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先ほどの五月二十七日現在で、工事契約済みが三カ所になってございます。
  176. 二宮文造

    ○二宮文造君 ああそうですか。どうですか、これ、七月三十日までに間に合うんでしょうか。対策室が懸命に対策をやって今日までに五十四カ所のうち用地の補償済みが十何カ所、工事契約がわずか三カ所、しかも七月三十日はもう目の前に迫っている、どうでしょうか。
  177. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先生指摘のように、執行が非常におくれておりますので、私どもといたしましても、先ほどちょっと抽象的に申し上げましたが、具体的には四月に大臣が訪沖されまして、ネックの一つでございますつぶれ地の問題につきまして発言をされ、四月末にはそれに基づきまして政府としてのつぶれ地問題に対する処理の方針を固めまして、これを県、市の方に通知をいたしました。その後、今月の十九日には県のほか市の担当の職員にも集まってもらいまして、建設省ともども個別の個所ごとに精細にヒヤリングをするとともに、それに対する対応を協議し、また、それによりましてその後の状況につきまして明日から三日間建設省と私どもの担当官を現地に派遣し、県、市と再度の協議を行わせるというような態勢をとっておるところでございます。  そういったことで、那覇市につきましては立ち上がりもおくれたというようなこともございます。その後の進捗も必ずしもはかばかしくなかったというような点がございますが、この七月三十日までに所要の個所につきましては、おおむねこれを完成させるということを目標にして、これからも努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
  178. 二宮文造

    ○二宮文造君 こういう質問は、していい質問か悪い質問か私も判断に狂うんですが、いままで進んでないわけでしょう、しかも、せっかく大臣が沖繩へ行かれて、それで新つぶれ地ですね、これの補償の問題については発言をされた。しかし、問題は、もとのつぶれ地の補償の問題との兼ね合いになりまして、やっぱり進みぐあいは悪いと思いますよ、旧つぶれ地の補償問題に一つの方針が明確になりませんと。もしもこの五十四カ所の改良工事が完成しないと、それでも七月の三十日に交通変更は発足しますか。
  179. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) きょうも沖繩特別委員会が開催されると、当然、七月三十日の交通変更について間に合うのか合わぬのかときわめて簡単に御質問があるであろう、こういうような形から私も事務当局から一々報告を受けておりました。  私が沖繩に参りましたときには、ここの三カ所、特に二カ所ですね、ここが解決をするならば必ず沖繩の変更は確実にできるという、こういう見通しがございまして、一番問題の繁多川と開南、この問題は私が参りまして解決をいたしてまいりました。それは旧つぶれ地の補償の問題であります。これはきわめて明快な問題であります。  そこで五十四カ所の問題でありますが、あと残るところは四カ所と、こういうふうに聞いております。そこでその四カ所が解決をできなければとうてい、いま御指摘のように、そこを残して変更し、そのときから開幕をする、これはむずかしいことです。そういう意味から、私はいつでも行く、あるいは事務当局の考え方、また政治的にこれを解決する場合とあるから、私はいつでも行くから、これは何としてもこの事業はやはりなし遂げなきゃならない。本土沖繩の経済生活の一本化、こういう問題を考えた場合にはやはりこれはなし遂げることがきわめて重要なことであるから、いつでも、私は、国会開会中ならば国会の御理解さえいただければ、行くということできょう詰めておったわけでございますが、大臣に行っていただかなくても、われわれのサイドで解決ができるという、こういうことでございます。  新聞紙上も、むずかしい、むずかしいとおっしゃらずに、どことどこがむずかしいかということを明確にしていただきませんと、この委員会でむずかしい、むずかしいと言うから、何かムード的にむずかしい、むずかしいという問題が出ておるんじゃないか、こういうことで私はむしろきょうはお願いをいたします。時間がどんどん迫ってまいっておりますから、どことどことどこがむずかしいんだと、私は必ず参りまして、あらゆる角度から解決をしなきゃならぬというかたい決意でございますので、ひとつ新聞紙上もむずかしい、むずかしいというんじゃなくして、こことここがむずかしいんだと、こういうふうに沖繩の県民に御報告を願うようにぜひひとつ私の方からお願いを申し上げたいと思います。
  180. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣の明確な話でございますけれども、要するに政府の姿勢に対する不信というものがずっと伴っているわけです。  これはもう戦後処理の一環の問題として、請求権の問題だとか、あるいは旧つぶれ地の問題だとか、あるいは地籍――やっとその地籍の問題はあと五年間のうちに何とか確定しようという処理方針ができましたけれども、そういうふうに戦後処理の問題がきわめて不手際だったわけです。ですから、私もこれは新聞情報ですから、私がずっと歩いて自分でその資料を握ったわけじゃありませんけれども、県下の市町村道のつぶれ地というのは四百四十二万平米あるそうです。そしてそれを試算しますと八百五十一億円になる。これほどの旧つぶれ地という問題に対する補償がいまだに明確でないわけです。その辺のところでやはり今回住民の方々の協力を得るというのが非常にむずかしいんじゃないでしょうか。  ですから、大臣は七・三〇のこの特定の地域というもの、しかもその五十四カ所の中からいまのお話を聞くと三カ所、四カ所、要するにかぎはここにあるというふうにしぼられていますけれども、やっぱりその周りにそういう反対というか、賛成を得られない背景にこの旧つぶれ地の補償の問題というのがあるんじゃないでしょうか、方針を明確にしてください。
  181. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 先生指摘のとおり、やはり沖繩におきまして特に道路のつぶれ地の問題これは非常に大きい問題でございます。で先生御承知のように国県道につきましては、すでに復帰時点から土地買収あるいは買収費の補助に入っておるわけでございます。
  182. 二宮文造

    ○二宮文造君 市町村道ですよ。
  183. 美野輪俊三

    政府委員美野輪俊三君) 市町村道につきましては、その実態が明らかでないというところで、現在、その実態調査を鋭意やっておるところでございます。私どもとしては基本的にはその調査の結果を待ってということでございますが、先生指摘のように、なかなかに処理のむずかしい問題を中に多く含んでおります。私どもとしては、これまでの調査の結果を待ってということではなくて、これまでにも若干の調査の集積がございますので、それらも踏まえながら並行してその処理方針の検討を急いでいきたい、このように考えておるところでございます。
  184. 二宮文造

    ○二宮文造君 時間が来ました。  私は、特に長官にお願いしたいんですが、私はきょうは言及はしませんでしたけれども、旧日本軍の軍用地の問題先ほど丸谷先生大蔵省課長とやりとりされておりましたが、あの大蔵省報告も私は納得できません。それはもう類推をするということでまことに都合のいい解釈の仕方です。ですから、その旧日本軍の軍用地の問題だとか、あるいは航空運賃の問題さらにはいまの市町村道の旧つぶれ地の問題、こういう問題について、いろいろ政府には政府のメンツもありましょう。しかし、戦後処理というのはメンツでは私は解決できない、やっぱり住民の気持ちをくみ取って、そしてその方向で処理をしていくというのがいま沖繩には一番望まれる姿勢ではないかと思うわけです。  ですから、まず信頼されるやり方であってほしい。そのためには基本的な明確な方針を早く出してほしい。そういうことで問題を解決していくように努力をしていただきたいし、私は、七・三〇がこういうふうな工事が未着手だとか、あるいは工事がまだでき上がらないとか、そういうところで見切り発車をしなければならないような事態はひとつ長官並びに政府の皆さんの努力でぜひ避けていただきたい。場合によっては決断をしなければならぬようなときも出てくるんではないかという感じがしますが、それも申し添えて、きょうは時間がありませんので終わりにしたいと思いますが、ひとつ長官しっかりお願いしたいと思います。決断というのは引き延ばしのことですよ、見切り発車しようという決断じゃないんですよ。
  185. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 御指摘の点、特に七月三十日の問題ですが、見切り発車をすることなく、完全に県民各位の御理解を賜り、御協力を賜り、やはりこの世紀の大事業を完成するかたい決意できょうから臨みたいと思っております。
  186. 渡辺武

    渡辺武君 ことしに入ってから沖繩米軍事故が頻発しております。目に余るものがあるんです。県民の不安と憤りが非常に高まっているという実情です。  開発庁長官、沖繩担当大臣としてこういう事態に対してどういう認識をお持ちなのか、まず伺いたいと思います。
  187. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 昨今も、知事その他、関係公共団体の関係者からも強い不満の意を表されました。細かい点については防衛庁でございますけれども、沖繩開発庁長官たる私といたしましては、県民に不安と動揺、迷惑を与えるようなことがないように、私といたしましても強く米軍に対して要請を申し上げる、こういうふうに思っております。
  188. 渡辺武

    渡辺武君 私、これらの一連の事故について、アメリカ側の態度はふざけているというか、それとも真剣さが全くないというか、実際腹に据えかねるようなところがあるんです。  一、二の例を挙げて伺いますけれども、四月十三日に金武村の伊芸区の民家に砲弾の破片が飛んできたという事故がございました。これについてアメリカ軍調査の結果が沖繩県に来ているようですけれども、それによりますと、理論上は伊芸まで破片が飛ぶとは考えられない、しかし実際には飛散した砲弾の破片から見て飛ぶこともあり得るという結論が出たという報告だそうであります。この廃弾処理場から飛んできたものだということを事実上認めたという点については、確かにそのとおりですけれども、理論上破片が飛ぶとは考えられないと――ふざけたことを言うなと言いたくなるような報告になっているわけですね。そうして若干の対策を講じているようです。  私は、防衛施設庁に伺いたいんですが、この事故についてアメリカ軍は責任を感じて十分な対策を講じているというふうに理解しておられるかどうか、まず伺いたいと思います。
  189. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) この事故につきましては、現地の那覇防衛施設局長並びに東京におきましても事故原因の調査、今後の安全対策につきまして申し入れを行いました。  米軍の方からは、ただいま先生がお話しのございましたような調査結果が参ったわけでございまして、米軍の方も遺憾の意を表し、今後はそういうことのないように安全の措置をとるべくいろいろな面から研究を重ねておりますので、現地米軍司令部司令官も非常に遺憾の意を表しておりますので、十分米側も反省をしておるというふうに考えておるわけであります。
  190. 渡辺武

    渡辺武君 新聞によりますと、今度米側がとった対策、これで二度とこのような事故が起こらないのかということを質問をしたのに対して、米側の方が絶対にあり得ないとは言い切れないということを答えたということになっているんですね。これじゃ県民は安心できませんよ。あなた方どう思いますか。
  191. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) 米側のたしか海兵隊の参謀長だったと思いますが、全然あり得ないということはないというふうな表現で話をしたというふうに聞いておりますけれども、その後、米軍の最初の改善措置といいますのは、伊芸区に向かっております廃弾処理場をやめまして、伊芸区に向かっているところだけはやめるという改善措置でございました。その他、穴を深く掘るとか、廃弾の上に土を盛る量を多くするとか、それから廃弾の量を減らすといったようないろいろな措置がございますけれども、私どももそれだけではやはり不十分であろうということでございまして、改めて廃弾処理場の位置を移転することを検討してくれということを申し入れまして、米側もその処理場の位置そのものを移転させる方向で検討しておるということでございます。
  192. 渡辺武

    渡辺武君 今度の落下地点、これは御存じのとおり、とにかく廃弾処理の砲弾が飛んできて、それで民家に降ってきた。ところが、そこが伊芸地区の民間居住区からわずか一キロしか離れていない、そういう状況のところで廃弾処理が行われているんですね。若干の地点を移したって、こういう危険性というのは今後も継続的にやはり残っていくだろうというふうに考えざるを得ないんですね。  そこで、もう一点伺いたいんですが、この金武村の伊芸区ですね、この廃弾処理場の爆発の影響と見られる民家のひび割れ、こういう被害が多発しているというふうに言われております。伊芸区の区長さんが先頭になって、そうして居住家屋をずっと調べた。その新聞記事が出ておりますけれども、コンクリートブロック建ての壁や横はりにひび割れが目立ち、一軒につき少ないところで七、八カ所、多いところで十四、五カ所もあった。国道三百二十九号線際にある伊芸ドライブイン、これはコンクリート建ての平家だそうですけれども、これにはクモの巣状の亀裂や稲妻状の亀裂が建物全体にわたって広がっている、まだ調査中らしいんですけれども。こういうとにかく爆発の衝撃でコンクリート建ての民家にひび割れが出てくる、大変な事態だと思うんですね。その上に砲弾の破片まで降ってくる、こういうことでしょう。全く危険きわまりないと思うんですが、こうした民家のひび割れの問題について施設庁としてはどういう対策を考えていらっしゃるんですか。
  193. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) ただいまの前段の一キロというお話でございました。これは廃弾処理場から民家までは約千五百メートルというふうに報告が参っております。  それから後段のお話しございました各種の被害でございますが、今般の破片によりまして起きました被害は、屋根に破片が当たりまして、さらにその近くのへいに穴が十数カ所生じたという状況でございます。ただ、いまおっしゃいましたいろいろの被害は復帰前からの問題でございますが、廃弾処理をしておりました関係上、そういう被害があるということで伊芸区の方からも要求書等はいただいておりますけれども、ただいまとりあえず施設局の方からも調査に参りました。それから伊芸区の方、金武村ともよく話し合いをいたしまして、目下のところ、伊芸区の方、村の方で被害をまとめられまして、それを私どもの方へちょうだいをするという話し合いになっておりまして、目下、村の方でその被害の集計をされておる状況であるというふうに聞いております。したがいまして、その被害報告要求書が出てまいりました上で、その被害がどういう原因で起きたのか、因果関係等の調査も必要だと思いますので、その報告を待ちまして善処したいというふうに考えております。
  194. 渡辺武

    渡辺武君 いまも申しましたように、爆発の衝撃でコンクリートの建物にひび割れが生ずる――千五百メートルと言われました距離は正確に私もはかったことじゃないですけれども、そういうところで廃弾処理が行われているんですよ。だから時と場合によってはその爆発した砲弾の破片が民家まで飛んでくるということは十分あり得ることなんです。アメリカ軍自身だって絶対に起こらないという保証はないんだということを言っているということでしょう。県民の生活と安全を守るためにはこんな演習をやめさせる以外にないんですよ。やめさしてくれというのが伊芸区の人たち要望です。その点はどう思います。これ重大問題なんですよ。
  195. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) 廃弾処理は、これは米軍の廃弾もございます。また沖繩県の民間地域から発生する廃弾もございます、これらは旧戦争時代の残骸でございます。そういうものもございますし、どこかで廃弾の処理をいたさにゃならないわけです。ということで、いろいろと県の方とも、県の方にもそういう必要性がございましたので、そういう協議をいたしまして、なかなか廃弾処理の場所がございませんわけでございますけれども、幸い米軍の廃弾処理場がございましたので、そこで米軍の弾と同時に民間から出ました弾も処理をする場所といたしまして金武村の演習場の中を選定いたしまして、ただいままでやっておったわけでございます。  やめさせるということは、なかなか種々の事情からむずかしゅうございますので、私どもといたしましては、先般申し上げましたように、なるたけ距離を遠く離しまして、そういう弾が飛んでこないような場所へ廃弾処理場を移設するという方向で対処せざるを得ないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  196. 渡辺武

    渡辺武君 距離を遠くするといったってね、あの限られた島の中ですよ、程度がありますわ。  なお、次に伺いますが、四月二十二日の名護市の数久田海岸で起こった事態ですね。ここに一〇五ミリ戦車砲弾がどっからか飛んできておっこってきた、こういう問題なんですが、アメリカ軍調査報告なるものは、これはその弾を失った報告または着弾区域をそれるのを目撃していないと。それで四月二十一日と二十二日に発射された五十八発のうち一個が着弾区域から持ち去られ、数久田海岸に投棄されたという極端な可能性よりは、発射された弾がかたい物体に当たり数久田海岸に跳弾した可能性の方が大きいという趣旨の調査報告を出したというふうに聞いております。  私ね、ゴムか何かでつくった大砲の弾ならとにかくもですよ、大体、発射地点のキャンプ・シュワブから弾を撃つ目標地点、これまでが約千三百メートルだと聞いております。ところが、そこを飛び越えて、そうして発射地点から数久田海岸の弾のおっこちたところまで約五千メートルあるんですね。三千七百メートル、つまり四キロ近くを跳んできたと、こういうことなんです。もし仮にですよ、目標地点におっこって、それがボーンとはね返って跳んだといえば、四キロもね、重い大砲の弾がですよ、はね返って跳ぶなんという可能性は私素人で考えてもちょっと考えられないですね。そういうふざけた調査報告を出してくる。私は、こういう米軍の態度は実際腹に据えかねる。これは新聞などにも書いてありますけれども、この砲弾を撃つ射角を間違えて目標地点を飛び越えて、そうして数久田海岸まで大砲を撃っちゃったんだというのが大体世論の一致しているところですわね。  それで、政府の方は、一体、この問題についてどういうふうに考えているんですか。米軍報告のとおり、弾が途中おっこって、ボーンとはねて四キロも跳んで数久田海岸におっこったというふうに考えておられるのか、それとも誤射で数久田の海岸まで来ちゃったんだというふうに考えておられるのか、その辺どうですか。
  197. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) ただいま御指摘の点につきましては、米軍の方にもよく問い合わせたところでございますが、米軍の方は、発射前に各訓練兵に対しましていろいろなチェックをいたしました後、撃つわけでございまして、その当日、二十一日か二十二日であったかどちらかはわかりませんけれども、その当日も厳格なチェックをした結果、訓練をしたということでございます。  発射角度の点についても報告書にも触れておりますけれども、水平角度から四度だったというんですね。それから、その山を飛び越えまして数久田まで直接飛ぶためには約八度の角度が必要だということでございます。それは厳重なチェックの上で四度でやったということでございますので、お話のような直撃であったということではないということでございます。それで着弾地域の何かかたい物件に当たりまして跳弾したものであろうということでございますので、これは私ども自衛隊の方でもそういう訓練をいたしますので、そういう例があるのかどうか確かめましたところ、跳弾、当たりまして跳び出すということは、これは可能性としてはなきにしもあらずということでございますので、米軍発表どおりであったのではなかろうかというふうに考えております。
  198. 渡辺武

    渡辺武君 これは私直接聞いたわけじゃないんですが、新聞記事によりますと、自衛隊の専門家の言葉がやはり新聞に載っているんですね。跳弾の可能性ということについては、これはあり得ないんだと、恐らくメンツ上誤射とは言えないのじゃないかという趣旨のことをその方は語っているわけですね。しかも、それはあんた、大砲の弾がおっこってはね返るということはあり得るですよ。あり得るけれどもね、はねっ返って四千メートルもすっ跳ぶなんていうことが考えられますか。  それで、問題は、私そういうことをなぜ言うかというと、つまり原因がはっきりしなければ対策も正確な対策は立てられない。弾が跳弾だと言っている米軍は対策としてどういう対策を立てたのか、これを伺いたい。
  199. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) ただいまその跳び出したと思われます弾は、これは非常に跳び出す可能性が大きい種類の弾でございますので、同種の弾はもう使わないということがまず一点でございます。  それから、その他の弾につきましても、弾を撃ち込みます射場の後ろに、これはバックストップと申すようでございますが、切り立った土手のようなものですね、そういうものを設けるとか、あるいは鋼板的と申しまして鋼の的をつくるとかというような方法につきましても検討するというふうに改善措置を考えておるのでございます。
  200. 渡辺武

    渡辺武君 はね返りやすい弾はやめて、なるべくはね返らないような弾を使うと、一言で言えば私は素人だからそれは伺いましたがね、つまり弾がはね返ったんだという立場から言えば、そういう対策しか出てこない。もし誤射だということが真実であれば、これは誤射を防ぐための対策というものを立ててもらわなきゃならぬ。ここが肝心ですよ、私は納得できませんよ。  それで、いまの落下地点ですけれども、国道からわずか八十メートル離れた海岸ですね。民家から言えば約三百メートルしか離れていない。しかも昼間は海水浴客がたくさん来るというところだそうですね。あの辺は景色のいいところですよ、海もきれいだ。そんなところに一〇五ミリの砲弾がすっ跳んでくるわけでしょう。しかも、その対策たるや、弾がはね返ったんだと、ちょっと常識じゃ考えられない、そういうことを原因だとしているがゆえに、それについての対策しか考えない。誤射の可能性があるという立場に立てば、これはまことに危険きわまりない対策だというふうに言わざるを得ない。そういう現状にいま置かれているわけでしょう。県や名護市が非常に危険だからこうした実弾射撃は一切やめてくれと言っている。私はこれは当然の主張だと思います。施設庁として、一体、こういう点を申し入れる意図がおありかどうか、これを伺いたい。
  201. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) はね返ったものでなくて誤射であったという点でございますが、この点につきましては、米軍の内部には厳格な射撃のレギュレーションがございます。射撃前に、いろいろな、たとえば安全担当将校が各戦車の砲塔及び車体にテープとかチョークで左右の射撃方向の限界を示すとか、各砲の射撃の方向が正しくセットされているかどうか点検するとか、各照準を確認するとか、その他米軍内部の規制がございますので、跳弾でなくて誤射ということは考えられないのではないかと思うわけでございます。  それで、しかし、そういう事故が起きたんだから、やめさせろという御指摘でございますけれども、この点につきましては、米軍が日米安保条約に基づきまして日本に駐留をしておる。日本政府といたしましては基地の提供を安保条約及び、その地位協定に基づきまして施設を提供しておる。そして駐留米軍がおるという状態でございますので、軍隊のことでございます、訓練はやらなければいけないというふうに考えます。したがいまして射撃場として提供しております施設区域でございますので、訓練自体をやめろというごとは私どもの立場ではないというふうに考えますので、そういう事故が起きないような万全の安全対策を講じた上で演習は認めていかざるを得ないのではないかと思っています。
  202. 渡辺武

    渡辺武君 あのね、誤射について、アメリカ軍にいろいろ軍事上の発射する場合の規則があるので、だから考えられないと、こう言うのだけれども、さっきの伊芸区での廃弾処理の砲弾がおっこったというこの問題だって米軍の方は理論的には考えられないと、こう言っている。しかし、実際はおっこってきたんですよ、それを彼らは認めざるを得なかった。どれほど軍事操作上の規則があって理論的には考えられないとしても、そういうことがあり得るんです。そうでしょう、仮に弾が一遍おっこってはね返ったって四キロもはね返った弾が跳んでくるなんということはちょっと普通じゃ考えられない。しかし、はね返った弾なんだというならば、現実にそういうことが起こっている、そうでしょう、危険きわまりない状態ですよ。  安保条約で基地を貸しているから演習は当然だと、だからやめてくれとは言えないと、そんなことで県民の安全を守ることができますか。安保条約が結ばれているという事実は知っています、基地を貸しているという事実も知っていますよ。問題の根本は、この基地を撤去しなければならぬ、これはそのとおりですよ。しかし、これほど危険な事故が相次いで起こっている。それについてこうした事故を起こさないような特別な申し入れは政府として当然やるべきじゃないですか、どうですか。
  203. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) 先生の特別な申し入れという趣旨が演習をやめろということでございますと、ちょっと何でございますが、ただいまの跳弾の事故につきましても、同種の弾をやめろとか、安全対策を講じろとか、私どもといたしましては、できる限りの安全対策を講じた上で撃つようにということを米軍に強く申し入れておりますので、私どもは事故の起こらないような安全対策を講じた上での演習ということをただいま私どもが一生懸命に努力しているところでございます。
  204. 渡辺武

    渡辺武君 そういうことだから、なかなかおさまりゃせぬですよ、これは。そうでしょう。もうアメリカのやることの方が当然だという立場に立ったら、これは強い態度がとれませんよ。日本国民の生命と安全を守るためにどうするかという立場に立って厳しい態度で臨んでもらわなければ困るんですよ。  もう一点伺いますが、五月の二十二日、つい最近ですけれども、具志川市の天願軍港で弾薬およそ八千トンを積載した弾薬輸送船で煙がばっと出るという事故が起きました。万一積み荷の砲弾に火でも移って爆発したら、これは大惨事ですよね。これについて政府の方はこの発煙事故というのは原因がどこにあったのかということはわかっておりますか。
  205. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) その煙らしきものの発見されました二十三日でございますけれども、直ちに現地の那覇防衛施設局長米軍基地司令官に会いまして、このような問題を起こさないようにということの注意を喚起したわけでございますが、これに対しまして、米側は、ずっと事故が続きましたので、これに対して十分留意をするということで遺憾の意を表しましたと同時に、今度の貨物船の事件につきましては、煙ではなくて、蒸気が発生をしたために、弾薬荷揚げの安全管理者がそれを煙と間違えてファイアというふうに叫んだということであったということでございます。その後、県の方も調査をされまして、その煙の出た痕跡はなかったということでございます。これは発煙、火事というふうな事故ではなくて、蒸気を煙と見誤ったということではなかろうかと思います。  そのためにいろいろな避難の対策を講じたわけでございますが、これは万が一に備えまして避難態勢をとることは十分な措置――結果的には過分な措置であったかと思いますが、をとったというふうに報告を受けております。
  206. 渡辺武

    渡辺武君 ぼくはいまの御答弁はあきれ返りましたよ、実際。そうでしょう、五、六十名いた日本人船員が、労働者が、とにかく六十メートルのあの桟橋をもう必死になって駆けて逃げた。米軍も消防車二台を出して消火に当たったということでしょう。それでアメリカの方の中間報告は、いま言ったように、いや、煙が出たんじゃない、蒸気だというようなことだったそうだ。いまおっしゃった県の報告、これは私は県の方にも聞いてみましたよ。そうしたら米軍がそう言っているということだと言っているにすぎない。県は独自に調査しているんです。そして中間報告ではなくして、もっと徹底した調査をやった本報告を出してほしい、こういう要求をしているんです。政府としても県がやっているくらいのことをやってほしいと思うんです。  いままで私が挙げた事故で政府が独自に調査したことがありますか。この天願桟橋の問題でもそんなあやふやなことを言われて、それでへえそうですかと引き下がるというんですかね、本当にあきれ返ると言わざるを得ないと思う。米軍に、中間報告ではなくして、最終結果の報告、これを求めることと、政府自身が調査するということをやってほしいと思う。
  207. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) 私どもが問い合わせましたのは、米軍基地司令官でございまして、基地司令官がただいま申しましたような状況であったということでございまして、私どもといたしましては、これは中間報告というふうには受け取っておりませんわけでございますが、県の方が米軍から中間報告であるというふうな連絡を受けられたのかどうかはちょっと承知しておりませんのですけれども、司令官の最終的な状況報告であるというふうに私は了解しております、現段階では。
  208. 渡辺武

    渡辺武君 二、三具体的な実例を挙げていろいろ伺ったわけですけれども、さっきも申しましたけれども、県民は非常に不安に思っているんですよ、非常に怒っているんです。それで、私、この基本は基地を撤去する以外にない、これは県民も言っています。しかし、基地の撤去に至る前にも、少なくともこの頻発する事故、これが二度と再び起こらないような具体的な措置を講じてほしい、これが政府に対する強い要望ですよ。  それで、政府として、一体、どうするのか、責任者の処罰を含め、原因の究明と、その究明した原因に基づいて事故を起こさないような対策、これをアメリカ軍に厳しく申し入れるべきだと思うんですね、それをやりますか、それを伺いたい。  それからもう一点。私、どうも疑問なんですけれども、日本政府の中に、こうした事故が起こったときにそれを調査する、原因はどこにあるのかということを調査したり、あるいは対策はこうすべきだということを考えて、そうして米軍に申し入れるということを担当する役所はどこですか、それを伺いたい。この二点を。
  209. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) 私どもも最近頻発いたします事故につきましては非常に心を痛め、厳しく受け取っておるわけでございまして、現地の防衛施設局長はその都度原因の究明及び安全対策の申し入れをしております。また、本庁におきましても、在日米軍司令部に同種の申し入れをいたしております。また、日米合同委員会でございますが、この席におきましても、日本側からその都度厳重な申し入れをいたしております。安全対策の確立、事故原因の究明等につきましては、事故の都度、申し入れをしておるという現状でございます。  それから、第二点の、日本側の調査、対策の申し入れの件でございますけれども、私ども防衛施設庁といたしましては、施設を提供しておりますので施設の安全な使用と、外部へ被害の起きないような使用ということは当然やらなければいけないと考えております。その意味で、局、本庁とも申し入れをしておるところでございます。その改善の策につきましては米軍とも協議をし、検討をお互いにしながら、安全対策を実施していくという方向で米軍とも交渉しておるわけでございます。
  210. 渡辺武

    渡辺武君 最後に、もう一点伺いたいと思うんですが、二月七日の日に渡名喜村の民家に照明弾がおっこちたという事件がありましたですね。主婦が手を洗っていたところが、そのすぐそばにおっこちた。まことに危険きわまりない状態だったんですが、アメリカ軍がその責任者の処分を行っているということを私伺っておりますけれども、政府はそういう事実を知っておりますでしょうか、もし御存じならば明らかにしていただきたい。
  211. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) 防衛施設庁、防衛施設局側には、これも、事故後、直ちに局から米軍基地司令官に対しまして申し入れをいたしましたところ、この事故は現地住民の方々に御迷惑をおかけしてまことに申しわけなかったということと、再発防止のためにその上空を飛ばないとか、渡名喜村の上空を飛ばないことを各軍に厳重に注意をさせるというふうなことで連絡はございましたけれども、ただいま御質問の件につきましては施設局の方には連絡がございませんので、処分をしたかどうかということについては私どもは承知しておりません。
  212. 渡辺武

    渡辺武君 私が米軍筋から得た情報ですけれども、当事者であるミッドウェーのパイロットに対して、ウイングマークですね、操縦士資格のことですが、これの剥奪と、それから将校から下士官への降等という処分を行ったということです。この事実をもし知らなければ、すぐ調査してほしいと思うんです。やっていただけますか。
  213. 奥山正也

    政府委員(奥山正也君) 御承知のとおり、私ども防衛施設庁は、事故が起きました際に人身・財産に対して損害を与えました場合に、その賠償の責めに任ずるというのが任務でございます。ただいまの処分につきまして、私、防衛施設庁の方からどうだったかということは、私どもの任務、権限からはちょっと外れるような感じがいたすわけでございまして、これはいずれしかるべきところから調査なさるのが適当ではないかというふうに私は感じております。
  214. 渡辺武

    渡辺武君 いや、だから私さっき伺ったんですよ。責任者の処罰、これを要求したり、事故の原因を調べたり、また安全対策をみずから考え、アメリカ軍にもそれを要求するというようなことをやる役所はどこなんだということを聞いた。あなたはさっき基地を提供している以上、基地が安全に使用されるということを保障する責任があるんだと、かっこいいことを言うから防衛施設庁かなと思ったら、防衛施設庁は損害が起こった場合にそれを補償するのが役目だと、責任者の処罰等々については知らないんだと、こういう話だね。どこの役所がやるんです、これは、政府部内では。  とにかく県民に対して非常に危険な事故を起こしている。その起こした米軍の責任者の処罰は要求しなきゃいかぬですよ。そうでしょう、その原因をアメリカにもちろん確かめなきゃならぬでしょうが、みずからこれを調査して、それについての対策もアメリカに要求するということをやらなきゃ、この頻発する事故、これから県民を守ることはできないと思う。それをやるところはどこですか、日本政府の中で。おっしゃっていただきたい。
  215. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 私が答えていいかどうか知りませんが、行政の仕組みからいって防衛庁というのが適当であろうかと思います。
  216. 渡辺武

    渡辺武君 それでは施設庁の方から、この点について、きょうは防衛庁からおいでいただいていませんから、この点について伝えていただきたいと思うんです。この責任者の処罰が行われたかどうか、どういう処罰が行われたのか、それを調査して知らせていただきたいと思います。
  217. 稻村佐近四郎

    ○国務大臣(稻村左近四郎君) 窓口の問題については、いま防衛施設庁の方から、責任を逃れるわけじゃないけれども外務省と、こういうことでありますから、外務省.防衛庁、こういうところが適当でなかろうか、こういうふうに思います。
  218. 渡辺武

    渡辺武君 これはひとつ沖繩担当大臣の方からお伝えいただけますか――お願いします。  それじゃ、私、まだちょっと時間がありますけれども、もうやめておきます、質問はまだ持っていますけれども。
  219. 岡田広

    委員長岡田広君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会