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1978-04-10 第84回国会 参議院 運輸委員会、建設委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十日(月曜日)    午後二時二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    運輸委員会     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 青木 薪次君                 三木 忠雄君     委 員                 井上 吉夫君                 江藤  智君                 高平 公友君                 平井 卓志君                 瀬谷 英行君                目黒今朝次郎君                 柳澤 錬造君    建設委員会     委員長         安永 英雄君     理 事                 坂野 重信君                 土屋 義彦君                 赤桐  操君     委 員                 遠藤  要君                 増岡 康治君                 藤田  進君                 太田 淳夫君                 桑名 義治君    公害対策及び環境保全特別委員会     委員長         田中寿美子君     理 事                久次米健太郎君                 原 文兵衛君                 矢田部 理君                 小平 芳平君     委 員                 佐々木 満君                 田代由紀男君                 粕谷 照美君                 坂倉 藤吾君                 広田 幸一君                 馬場  富君                 渡辺  武君                 柳澤 錬造君    国務大臣        運 輸 大 臣  福永 健司君        建 設 大 臣  櫻内 義雄君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  山田 久就君    政府委員        内閣法制局長官  真田 秀夫君        環境庁長官官房        長        金子 太郎君        環境庁大気保全        局長       橋本 道夫君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        運輸省航空局次        長        松本  操君        建設大臣官房長  粟屋 敏信君        建設省都市局長  小林 幸雄君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君        常任委員会専門        員        村上  登君        常任委員会専門        員        森  一衞君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     大塚  茂君        新東京国際空港        公団理事     角坂 仁忠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案(第  八十二回国会内閣提出、第八十四回国会衆議院  送付)     —————————————   〔運輸委員会理事三木忠雄委員長席に着く〕
  2. 三木忠雄

    委員長代理三木忠雄君) ただいまから運輸委員会建設委員会公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例により、私が連合審査会会議を主宰いたします。  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案を議題といたします。  本案の趣旨説明はお手元に配付いたしましたとおりでございますので、御了承のほどをお願いいたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。
  3. 矢田部理

    矢田部理君 成田問題につきましてはたくさんの質問したい事項があるわけでありますが、本論に入る前に、基本的な問題点といいますか、政府の認識について当初お尋ねをしたいと思います。  その第一は、運輸大臣並びにきょう参考人として空港公団総裁がお見えになっておりますので、この両者にお聞きをしたいわけでありましが、今度の成田事件に関連いたしまして、過激派対策が重点になっておりますけれども、政治にとってもっと基本的な反省、そこからいかなる教訓を導き出すのかが重要だと私は考えているわけであります。その点で、空港場所を選ぶにつけても、その後の工事進め方にいたしましても、基本的に地域住民を無視してきた強権政治について反省がないのかどうか、その点をまず伺っておきたいと思います。
  4. 福永健司

    国務大臣福永健司君) この種の大事業を遂行してまいります際において、いろいろ基本的な問題を適当に処理しつつ進めなければならないことは当然でございます。ここまできていろいろあったについて、大分あちこちからおしかりも受けているようでございますが、おしかりを受けると否とにかかわらず、政府は大いにこういう点に反省をし、将来についての誤りなきを期さなければならぬわけでございます。  強権政治誤りの大きなものの一つだというような御指摘等も、確かにそういう考え方もございましょうが、私、初めから関係していたわけでもございませんけれども、現在の責任者として思いますとき、大いに反省はいたしておりますが、また一面において、皆目そういうことだけでやってきたというように聞こえるようなお話にも伺うんですが、前任者何人かの諸君についても、私は多少思いははせなければなりませんので、そういう観点からいたしますと、まあそれなり前任者たちも一生懸命にやってきたし、私も私なりにやったのではございますが、なおかついまおしかりを受けるようなことが発生しているというこの現実を、私は非常に残念に思うわけでございまして、言うなれば痛い試練でもございましたし、また、とうとい経験でもございました。いろいろ私は愚痴は言うまいと、これから何とかうまくやっていきたいという思念に燃えている次第でございまして、誤りがあったじゃないかということでは、これはまあ私は私なりに謹んで拝聴はいたしておきますが、誤りばっかりでここまできたというのではなくて、それなり立場立場の者も一生懸命にやっておったんだということは、現在の責任者として私もある程度は認めなければならない。  しかし、先ほども申し上げましたように、それなりの運営に間違いがなかったなどと私は決して考えておりません。先ほど申し上げましたような考え方でいるわけであり、今後もそうなければならない、こういうように存じます。
  5. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 今回の開港の延期が過激派行動による結果であるということは、これはもう明らかなことでございます。それから、今日まで開港が延びてきたという大きな原因の中にも、過激派阻止行動というものがあったということも私は否定できないと思います。それでありますが、ではそういうふうに過激派につけ入るすきを与えたという点で、公団側と申しますか、政府公団側に何らの欠点もなかったかというふうなことになりますと、われわれとしても反省すべき点が、今日から見ますとないとは私も言い切れないというふうに考えております。  公団側だけを申し上げますと、四十六年四月という、これだけの大事業を五年足らずで完成をさせるという目標を与えられまして、当時これだけの大きな事業経験を積んだ人は少なかったと思うんでありますが、そういうふなれな大事業に五年足らずという目標で発破をかけられて焦ったというような点から、いろいろ無理があったというような点も今日われわれとして反省をいたしておるところでありまして、これからの私どもの第二期工事進め方等については、そういう点を十分反省しながら進めていかなければいけないというふうに考えております。
  6. 矢田部理

    矢田部理君 単に焦ったという問題だけではないと思うんです。社会党は、かねてから国際空港必要性について否定しているわけではありません。それを内陸部に置くことについて反対をしてきました。とりわけ成田のように、多くの住民や農民が古くから生活をしている場に、それを持ち込むことが適切でないということを強く主張してきたわけであります。その点で、内陸部空港を決めたこと、その点についての自己批判なり反省はありませんでしょうか。
  7. 福永健司

    国務大臣福永健司君) まあ、内陸部空港を置くのがいいかどうかというようなことにつきましては、ずいぶん議論もございます。私自身も、個人といたしましてはいろんな考えを持ってきた一人であり、十数年前に、新空港をどうするかというころの党役員の一人でもございました。それなりにいろんな論議があった過程もある程度承知をいたしておるわけでございますが、まあ、当時いろいろ議論を尽くして、かなり長い間議論を尽くしたあげくにああいうように決まったということでございまして、当時の事情といたしましては、大変ほめるというわけにもいきますまいが、やむを得なかったというように私は思っているわけでございます。  これからのこと等につきましては、私はまたそれなり意見を持っているわけでございます。しかし当時としては、海なら海にということについては、ずいぶん大きな抵抗がありました。今日になってみれば、いろんな意見もあるわけでございます。当時は陸を地ならしして、そこへするのが常識であるように、わりあいに簡単に議論が向いていく傾向が確かにございました。今日になってみますと、確かにいろいろの考えはあり得るし、翻って過去にさかのぼってということになりますと、これまた、これなりの考えがございますが、総じて、しかし私は、当時を思い起こしてみますと、あれだけあのときにいろいろ論議をして、そのときは全体として、まあこういうところかという——少し言い方が余り正確であるような、ないような気がしますけれども、正直な話、あのころはそんなことでございました。私も三十年間国会におりまして、いろんな経験を経てきましたが、この空港を決定するときには、確かにみんなでずいぶん論議をいたしました。そのときに、だれがよかったとか、だれが間違っていたなんて、いまさら言ったってしょうがない。決めたのは、しょせんは自民党政権でありますから、すべて責任は感じていくべきでありますが、いずれにしても、そういうことについて反省はないかとおっしゃれば、ないというわけではございませんが、だからといって、あれが大変間違っていたというような事情でもなかったということを私は申し上げたいと思うのでございます。
  8. 矢田部理

    矢田部理君 どうも余り歯切れのよくないお答えで、本来ならば、もっと詰めたいわけでありますが、本論といいますか、提案をされております特別措置法の審議の議論内容を通してまた問題を出していきたいと考えています。いま運輸大臣もおっしゃられたように、非常に無理がある。そのことはやっぱり否定できないと思うのであります。その無理の一つに、私はこの特別措置法を実は位置づけたいわけです。何が無理なのかということをいまから一つ一つ問題にしていきます。  建設大臣空港周辺土地の利用の規制を中心にこの法案は条文化されております。特別地区については建築禁止措置、通常の防止地区については建築制限措置、この制限をする法律上の根拠は何でしょうか。空港公共性がその理由でしょうか。まず、その一点についてお尋ねをしたいと思います。
  9. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) いま御質問のありましたように、新たにいろいろ制限を設けるという場合に、一体現行法でそれが可能かどうか、こういうことを考えてみますときに、たとえば市街化調整区域ではどうかというふうに考えてみると、学校病院などの一定建築行為は許容されると、こういうことになりますので、そういうことを考えますときに、主として騒音防止というようなことを考えておるわけでございますが、その騒音防止のために学校とか、あるいは病院建築をされれば、その病院学校が非常に影響を受けるのでありますから、まあ、できれば今回法律でお願いしておるような特別地域で、建築は認めずにいく方が適切ではないかというふうに考えていった場合に、現行法で足らざるところがございますので、今回の特別立法をお願いする、こういう次第だと思います。
  10. 矢田部理

    矢田部理君 現行法で足りないことはわかっておりますが、法律をつくりさえすれば規制ができるという性格のものでもありません。とりわけ財産権の重要な制限でありますから、憲法上の根拠を必要とするわけでありますが、憲法上どこにその根拠を求めたのでしょう。それから、その中身は具体的に何でしょうか。
  11. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 法律上のむずかしいことになりますと、ちょっと私が見解を述べるのになかなかむずかしいところがございますが、ただいま私申し上げたように、たとえて申し上げておるわけですね、学校だ、あるいは病院だという、そういう建築空港周辺にあって、そうして教育を受ける方や入院している方に騒音などで迷惑をかけるということが、これがどういうものかと、そうであれば、これは事前にわかることでありますから、公共福祉考えて、そうしてこの種の特別の立法を許容されておるものであると、こういうふうに私は、憲法上のたてまえを聞かれると、法律上のいろいろ理屈というよりも、私の乏しい知識での考えで言うと、そういうふうに思うわけでございますが、専門的な点につきましては、別途またその立場お答えをさせることにいたします。
  12. 矢田部理

    矢田部理君 大臣の言う公共福祉というのは、成田空港設置あるいはそれに伴う航空といいましょうか、空港設置だけではなくて、飛行機も飛ぶわけですから、航空公共性ということを公共福祉中身にするのでしょうか。その点先に確認しておきます。
  13. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 別にこの法律が、特に成田空港だけということに私は承知しておるわけではございません。したがって、いま申し上げたような、国民に対して非常に迷惑をかけることが事前にわかるとするならば、そういう公共福祉の必要上から特定空港として指定するものについては、このような法律をお願いしようと、こういう趣旨だと思います。
  14. 矢田部理

    矢田部理君 私の質問は不正確でした。成田と限定したわけではないでしょうが、いわば指定する特定空港については、まさにその空港設置、ないしはそれに伴う航空全体を公共福祉理解をし、そこからこの制限を導き出しているというふうに伺ってよろしゅうございますか。
  15. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私はそういうように理解をしておるわけでございますが、ただ、法律上なかなかむずかしいことではないかと思うので、もし必要があれば専門的にお答えをする方がいいんではないか、私の理解程度でいいのか悪いのかちょっと、急な御質問でございますので、十分責任を持ってお答えするということでなく、私の理解程度を申し上げておる次第でございます。
  16. 矢田部理

    矢田部理君 これは憲法上の問題ですから、自分はよくわからぬということでは困るんであって、ただ、一応の理解を述べられましたからそれはそれとして承っておいて、後、各論の段階で、局長が必要であればまたお尋ねをすることにします。  で、引き続き環境庁長官に伺います。空港設置に伴って当然ながら騒音を発生するわけです。従来の環境公害常識から言えば、発生源対策基本にやるべきだ。それにもかかわらずどうしても騒音をまき散らして健康被害等を与えるに当たっては、文字どおり汚染者負担原則が適用になる。それが環境行政の柱だったと思うわけでありますが、この立法内容を見てみますとどうでしょうか、被害を受ける住民がみずからの負担自分のうちを防音構造にしなければならない、環境行政立場から見てこういう規定をどういうふうに受けとめられますか。非常におかしいというふうな理解に立てませんか。まず所見を伺いたいと思います。
  17. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 残念ながら航空機というものは、飛行場というものを、いま特に国際的な交流というもののためにはどうしてもこのものを考えていかなくちゃいけない、その選択場所はどうかということは先ほど議論がございましたけれども、しかも航空機についての騒音というものをできるだけ小さくするということについては、国際的な非常な努力が行われています。しかしながら、まだ残念ながら音の出ない飛行機はできないということになってまいりまするというと、われわれの設定している環境基準というものを、できるだけそういう方面の努力とも相まって所定のところで落ちつけなければいかぬということはわれわれの任務ではございます。ただ、そういう場合にこれまで特に問題であったのは航空機周辺、すでに一定環境基準なんかを設けているわけでございまするけれども、そこに音の出るということを理解しながら——ほかのいろんな理由もあるんでしょう、だけれども新しい住宅というものができてくるということが問題というものをいろんな意味においてむずかしくしておるということは、これは現実であることは御承知のとおりであります。これは少なくとも現在の状況においてはこのことを有効に未然に防止しておくという、そういうことはできない、これが現状でございます。そこでこの法案においては、こういう面でのいままでの問題点に対処するための予防措置がとられる、これで航空機騒音を根本的に解決して環境基準の達成を図るための一つのこれに近づく施策として、この点はやっぱり評価さるべきものである、こうわれわれは考えております。これは実は御案内のとおり、中公審でもそういう意味での立地規制というもののことが、側面から新たな法制度必要性というようなことが指定されていることは御承知のとおりでございまして、こういう面というものを考えてわれわれもやはり大きないろんなそういう立場からこれを支持するべきであるという、こういう立場にあるのがわれわれのただいまの地位でございます。
  18. 矢田部理

    矢田部理君 さっぱり要領を得ない答弁でありますが、私が聞いておりますのは、騒音公害加害者がいるわけでしょう。地域には当然住民被害者がいる。まずそれを発生源でとめなきゃならぬのは当然としても、どうしてもいまでは抑え切れない。したがって、騒音地域住民にやっぱり拡散をする。これを被害者みずから防除しなきゃならぬ義務などというのはいまだかつて実は聞いたことがないわけですよ。建物を建てるに当たって防音構造にしなきゃならぬ。従来の環境行政からいったら、当然のことながら騒音を発生する企業なり設置者が、大変御迷惑をかけて申しわけない、しかし皆さん方の健康を維持するために、皆様方が希望するならばやっぱりその負担防音構造にしてあげますよと、これが少なくともPPPの原則だったんじゃありませんか。それを一手法として結構であるなどという環境庁長官、これでは困ります。もう一回だけ時間がありませんから答弁をいただきたい。
  19. 山田久就

    国務大臣山田久就君) 発生源問題については先ほどお答えしたとおりでございます。われわれの努力——しかしながら音の立たない飛行機はない、非常に残念でございますが。そこで、この被害者であるところの土地住宅、これについてはそういう見地からこれについて助成をやっていこう、こういうたてまえに立っていることも御承知のとおりでございます。この助成の範囲やなんかをどの程度にやるか、これは私はいろいろ考えなきゃいかぬと思いまするけれども、そういうたてまえに立っていることはひとつ御承知のとおりだと思っております。
  20. 矢田部理

    矢田部理君 どうもこの法案についての理解がまだなされていないようです。騒音障害防止地区については助成しないんですよ。みずからの負担防音構造にしなさいと言っておるんであります。全然違うんです。それはそれで置いておきましょう、時間がありませんから。  建設省に戻ります。建設大臣先ほど立地規制根拠建築禁止理由憲法上の公共福祉論だと、こう言われました。なるほど憲法二十九条の二項には、公共福祉のためにその権利内容を定めることができると書いてあります。ところが、残念ながらこの条項はこの法案では公共福祉として働かないんであります。なぜでしょうか。公共福祉概念が働くというのは、もともとは権利権利衝突をする——国際空港としての成田が必要である、形式的、制度的に見て、中身はまた別ですよ、その場合に、個人所有権とぶつかったときには土地収用という法的手段が課せられるたてまえには一応なっています、是非は別として。ところが、この空港周辺人たちというのはみずから騒音を受ける被害者であって、空港に対しては何もの権利侵害をしていないんであります。つまり権利衝突のないところに公共福祉概念が作用する余地はない。だから、建設大臣の、公共福祉による制限なんだ、航空公共性に伴う制限なんだという議論憲法上許されないんです。その点どうお考えになりますか、建設大臣にまず先ほど答弁にかかわって伺いたいと思います。
  21. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 先ほどから申し上げておるように、私の理解程度はすでに申し上げたところでございます。なお、専門的なことにつきましては担当の局長お答えをさせたいと、こう思っておるわけでございますが、いまのお尋ねの点で私が理解しておる点は、今度の法案では現に居住をしておってそしてそこに被害を受ける。したがって、それについて、今度被害について何か考えろというようなふうな順序でなく、ある地域を限定したときに、その地域に、地域であると指定をしておるのにその中へ必要があって何か建てようと、こういうときに、いまお尋ねがあったようなそういうときは防音施設をしなさいと、まあこういうことを申しておるわけだと思うんであります。だから、そのお尋ねが、被害を受けるんだから、いろいろ被害を与える者が被害を受ける者に何かせよと、こういうことには私はストレートにつながっていかないんじゃないかと、こう思うんです。
  22. 矢田部理

    矢田部理君 また建設大臣も混乱をしておられるようですが、補償をすべきかどうか、あるいは補償をするとしてもどういうふうな補償をすべきかという問題と、いま私が建設大臣に提起をしておる問題は別なんです。補償はその次の問題でありまして、その基本の問題として建築禁止にする、防音構造でなければ家が建てられないという規制、これは財産権に対する規制であることは間違いございません。その根拠建設大臣先ほど公共福祉に求められた。中身航空公共性に求めた。ところが、憲法二十九条で言う「公共福祉」というのは、相手権利自分権利がぶつかり合う、この場合の調整をどういうふうにするのか。自分権利主張ばかりしておったんでは相手との衝突が避けられないと。そこで、権利に内在する制約としてとらえている部分が多いわけであります。公共福祉概念が働く。ところが、この空港周辺に関して言えば、空港騒音をまき散らして地域住民権利を侵害します。そこにもともと住んでおった住民土地所有者——もともとだけでなくても所有権を持っておる人たちは、住んでおる、おらないにかかわず、空港に対しては何もの権利侵害してないわけですよ。そこでは公共福祉が働く余地がありませんよと、それを公共福祉概念で説明しようというのは間違っていると、そうじゃありませんか。これは憲法基本的な問題ですよ。そこをお尋ねしているんですが、補償の問題にすりかえられて答弁をされたので、もう一度だけ答弁を求めます。
  23. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私の申し上げておる所見所見なりに私は正しいと思うんです。というのは、鉄道とか電軍とか、あるいは航空とか、これらは公共のために提供されていくものであって、それが提供されるについてあらかじめ予見のできることについて、今回、皆さんの国会の合意の上に特別立法をしようと、こういうことですね。これは国会での合意を得よう、少なくとも多数の御支持を得たいと、こういうことでお願いをして、幸いそのお願いが成立すれば、それによってその法律の裏づけができるわけだと思うんです。で、お願いするについて一体どういうことかということですから、だから私は先ほどから公共福祉の上に、たとえば一般的なより健全な町づくりをする必要があるんじゃないかと。それからいまの航空だ、鉄道だというものはやはり公共上必要なことなんだから、だからそういう場合に、国会でお願いして、法律に基づいてそして規制する地域などをつくって後々不用意に御迷惑のかかることのないようにしよう、あらかじめこの地域はこういうことですよと、それを法律上お願いするということについて、私は、私としてはそれは将来の公共福祉のことを考えた上にこれは必要なことじゃないかと、こう思うんです。ただ繰り返し申し上げておるように、一体憲法から来ておまえの言っていることは正しい、正しくないということの論議になるといささか専門的なものですから、私の主張がどうだこうだということについては、私の専門的見識は不十分だということを申し上げておるんですが、私の言っていることも御理解していただけるんじゃないかと思うんですがね。
  24. 矢田部理

    矢田部理君 あなたの理解理解として、私の質問に対する、あるいは質問を踏まえての答弁にはなっていない、こういう趣旨のことを実は申し上げているんです。憲法上の論議ですから、国会の合意はもちろん必要でしょうが、少なくとも合意の基礎には憲法がなければならぬ。憲法の基礎を超えてまで合意するわけにはいかない。その問題を実はこれは含んでいるんですよ。だから率直に申し上げて、私は、航空必要性公共性で制約することはできない。とすれば何だろうということで、時間がありませんから私なりに推論をいたします。建設省はそこへ都市計画の理念を持ち込んだんじゃありませんか。その都市計画の手法を持ち込んで、もともと制限できない土地規制をやらなきゃならない。ところが規制の手法は持ち込んだけれども、もともと都市計画は地域住民を主体とする地域の発展、秩序ある発展、豊かなやっぱり都市づくりが目的のはずであります。ところがこれは住民がいない。ここでも実は行き詰まってしまった。しかも都市計画の基本理念の中には後でいろんな法律などを改正したりして追加をしておりますが、もともと補償概念はないわけですね。緑地をつくるとか、道路を広げるとか、そのことのためにそれぞれが一定規制を受けながら、少なくとも自分の住む町をいい町にしていこう、こういう理念で発足をしたわけでありますから、補償議論基本的にはないわけじゃありませんが、なじまない。そこで補償をするとなったらどうしたらいいのか、ここでもまた問題にぶつかってしまう。だから航空審の答申がこの問題についてなされておりますが、これを分析しますと、論理的には支離滅裂なんですね。そこら辺をどういうふうに建設省は受けとめて考えているのかが私は実は聞きたかったんです。建設大臣がおわかりにならなければ都市局長からでも結構ですが、ひとつ考え方を聞かせていただきましょう。
  25. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) お答え申し上げます。  空港公共性に関連しまして憲法との関連は、先ほど大臣お答え申し上げたとおりであると思っております。
  26. 矢田部理

    矢田部理君 簡単に言ってください。
  27. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) いま一つ、都市計画法はもともと健全な市街地の形成ということを目的としておるものでありまして、その目的のために都市計画制限、ある程度これはやむを得ないということをはっきりうたっているわけでございます。そこで、道路、鉄道等と同じく公共施設である空港、この周辺地域において、これはいまのような制限が課し得ることは、都市計画法上余り問題ない。  いま一つ、これは補足的に申し上げますと、先生もいまお触れになりましたけれども、都市計画法は適正かつ合理的な土地利用ということを一つ趣旨にしておるわけでございますが、騒音被害を受けるような地域におきまして、従来の一般の空港周辺の例によりますと、市街地がどんどん形成されるという事例が多いわけでございます。そういうところにおいて形成される市街地は、これは非常に劣悪な環境のもとにある市街地と申すべきでありまして、都市計画法の本来考えておりますところの健全な市街地の形成という点からしましても、何らかの規制をすることは、将来にわたって規制を行うことはこれはやむを得ない、あるいは本来の都市計画法の目的からしまして十分それにかなったものであるというふうに考えておる次第でございます。
  28. 矢田部理

    矢田部理君 いまの理解を聞いて建設省憲法理解がわかりました。これはだめなんですね。航空公共性では絶対にこれは制約するわけにいきません。その意味で制約をしているということならばこの法律憲法違反です。したがって、建設省がその程度理解であるとするならば、法制局長官を呼んで私は見解を正式に内閣から求めなきゃならぬ。この質問は留保をしておきます。  次に、損失補償の法的根拠は何んでしょうか。憲法とのかかわりで述べてほしいと思います。
  29. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 都市計画法本法自体には直接必ずしもございませんが、特別法、個別法としまして古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法あるいは都市緑地保全法、流通業務市街地の整備に関する法律等々、幾つかの個別法におきまして、これは都市計画の地域、地区性に基づく制限を行い、かつ、この制限に伴う損失補償につきましては、ただいま申し上げました古都保存法、緑地保全法、流通業務市街地整備法、それからいま一つ文化財保護法がございますが、これはそれぞれ損失補償の規定を設けておる次第でございます。
  30. 矢田部理

    矢田部理君 憲法上の関係。
  31. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) これは先ほど申し上げましたとおり、都市計画法本来の理念でありますところの、健全にして良好な市街地の形成、こういう公共性をもとにしまして、それぞれの個別法におきまして一定の都市計画制限を課しておる次第でございますので、憲法の理念に従いまして損失補償の規定を設けた次第でございます。
  32. 矢田部理

    矢田部理君 そこにいてください、すぐ聞きますから。  憲法二十九条の二項なんですか、三項なんですか。
  33. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) お答え申し上げます。  特別地区につきましては、これは三項の「正当な償補の下に、これを公共のために用ひることができる。」、この規定によっております。一般の公共性の問題は二項に基づいて行っておるというふうに考えております。
  34. 矢田部理

    矢田部理君 そこがまたおかしいわけですね。航空の安全のために規制をするわけでしょう。この規制がおかしいというだけではなくて——このことは先ほど申し上げました。  補償根拠がまたばらばらなんですよね。とりわけ、時間がありませんから私の方から指摘をしてしまいますと、土地の利用規制は三項ではないんです。むしろ二項の方です。しかし二項の方は、さっき言ったように権利衝突がないから適用になりません。本来の二項というのは補償を要しない規制の場合の権利制限を言うんです。補償を要するやつは三項なんです。ところが、規制のための三項の原則適用はできない。補償の問題だけこの三項に接ぎ木しているのが建設省の態度じゃありませんか。だから、大変おかしいのは、土地利用規制をやるのは恐らく都市計画法に基づく自治体になるでしょう、あるいは県知事等になるのかもしれません、成田について言えば。ところが、その土地規制をやる自治体は補償をしない。設置者補償義務をこの法律は負っている。これもばらばらですね。おかしな立法です。いろんな法体系をつまみ食いして無理やり押っつけたのが実はこの規定。だから、随所に問題を含んでいます。損失補償の法的根拠、いきなり二十九条二項が出てくる。これも全く珍奇な議論にしかなりません。  それから次の質問防音構造義務を課した憲法上の根拠は何でしょうか。
  35. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 答えいたします。  この法案防音構造の義務を課しましたのは、一定の音の将来出ることが予想される地域におきまして、そこに新しく住むことになる方たちが、そういった音の被害から免れるようにするために防音構造の義務を課したわけでございます。
  36. 矢田部理

    矢田部理君 憲法上のことを聞いている。
  37. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 先ほどから議論になっています憲法上の問題につきまして、私どもは、空港周辺というどんなに発生源対策をいたしましてもどうしても音の被害から免れがたい部分が残ります、飛行場周辺は。そういったところが新しくどんどんどんどん宅地開発されまして劣悪な住宅地になることは、これは避けるべきである、そういったことをもって私どもは公共福祉を保つゆえんだと考えておりますので、そのために最小限度の制限をすることは憲法には触れないんじゃないかと、こういうふうに考えて立案したわけでございます。
  38. 矢田部理

    矢田部理君 その公共福祉中身は何ですか。騒音を受ける人たちがそれを受忍するか、損害賠償を求めるか、設置に反対するかは、それは住民の問題なんです。被害者が外から加えられる騒音に対してみずからを防衛しなきゃならぬ、こういう立法は恐らく珍しいんじゃありませんか。
  39. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 実は、その点がこの法律案をつくるときに数年にわたって議論されたポイントの一つでございましたわけですが、たとえば自分はもう音がうるさくても構わないから住む、そこへ家を建てるんだという方に対して、建てちゃいけませんと言うことはどういうふうな根拠でできるかということで、いろいろな学説がありまして検討したわけでありますけれども、最終的に都市計画の手法がやはりこれに一番適当ではないだろうかと、都市計画の手法は、御承知のように都市の中に自分が自由に家を建てようと思っても、都市全体の有効な土地利用あるいは健康にして文化的な生活維持という観点から制限されるという都市計画の手法を使うことによりまして、いまのような問題が解決できると、こう考えて都市計画の手法を取り入れて立案をしたわけでございます。
  40. 矢田部理

    矢田部理君 仮に都市計画の手法を使ったとしても、それは手法だけの問題でありまして、規制はできても義務づけはできないはずです。しかも、時間がないから指摘をしておきますと、ワンクッションは置いておりますが、これに罰則までつけている。とんでもない法律ですよ。騒音被害を受ける人たち防音構造にしなかった、改善命令を出す、それに従わなければ警察の取り締まりだと。罰則の根拠に至っては全くその論拠は成り立たない。刑罰というのは、もともと著しく公共福祉に違反をして社会的非難に値するものでなけりゃならぬはずです。騒音を忍ぶという人たちが忍んだままでいることがどうして社会的非難に値するんでしょうか。どうして刑罰や警察取り締まりの対象になるんでしょうか。ここまで来たら明らかに憲法違反ですよ。とんでもない立法ですよ。法制局がいないから、どうも見解が実務レベルの見解で明確に出ません。どういうことになるんですか。
  41. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) これは先ほどから御説明しておりますように、そこの空港周辺地域というものが新しく劣悪な住宅街になるということは何としても防がなければいけないということを、かねがね参議院運輸委員会の附帯決議でも指摘されまして、そのことのためにこれは立案したわけでありますけれども、罰則の点につきましては、都市計画の手法を使います以上、都市計画の手法には罰則抜きの規制というのはございませんので、これは罰則をつけざるを得なかったということでございます。
  42. 矢田部理

    矢田部理君 都市計画の規制が罰則なしではできないというだけでは説明にならぬでしょう。自分で忍んでいるのにそれに刑罰を科するなんていうばかなことがありますかっていうんですよ。  もう一つ二つだけ問題点の指摘をしておきますと、防音構造はアルミサッシ程度だと、だから補償がそれほど負担にならないからしなくてもいいという議論もおかしい。問題はアルミサッシです。これは通風はどうするんですか。夏場は開けっぱなしでいなきゃならぬでしょう。こんな防音構造義務というのはもともとありますか。やることなすことが至るところで問題が出ているのが現状じゃありませんか。空港公団だってそうです。私の地元がジェット燃料の輸送経路、基地になります。千葉地方裁判所に空港公団が出した準備書面を見ると、列車輸送、貨車輸送というのは危険きわまりないと、だからパイプラインにしてもらいたいんだということを千葉地裁の準備書面では空港公団が述べておる。ところが私どもがジェット燃料輸送問題の危険性を指摘すると、これほど安全なものはないんだと説明をつける。こういうやり方をずっと積み重ねてきたことが今日の成田問題の基本問題じゃなかったんでしょうか。この法案もその一つです。時間が来ましたから終わりますが、いまの各大臣の説明ではとうてい納得できない。憲法上の基本問題すら含んでいる。それについてここでは一応の答弁を求めておきますが、基本的な答弁が恐らく出ないと思いますから、質問は率直に言って留保せざるを得ません。内閣の統一的な見解、法制局の最終的な見解をやっぱり聞かなきゃならないというふうに思っておりますので、その点をつけ加えて私の質問を終わりたいと思います。
  43. 三木忠雄

    委員長代理三木忠雄君) 答弁いいですか、矢田部さん、答弁は。
  44. 矢田部理

    矢田部理君 これはやっぱり統一見解をひとつ出すようにしてくれませんか。委員長に特にお願いをします。
  45. 三木忠雄

    委員長代理三木忠雄君) じゃ理事会に諮って検討いたします。
  46. 桑名義治

    ○桑名義治君 本法律中身をいろいろと質問する前に、このいわゆる今回の特別措置法というものは成田空港が一番中心になっておるわけでございます。そうやった意味で総括的な意味を含めまして、実は五月の二十日に開港が予定をされているわけでございますが、果たして現在のような警備体制を強化することによってこの問題が解決するかどうかということは非常な疑問でございます。たとえば人体に例をとってみますと、おできができた。これは傷口からばい菌が入っておできができた場合もありましょうし、肝臓あるいは内臓器官の病気によってできた場合もありましょうし、そうやった場合にこう薬だけでは、あるいは手術だけではなかなか対処できないというふうに考えるわけでございます。そうやった内面的な問題を包含しながら、この開港にただ警察権力をもって対処していくだけでは解決ができないと、こういうふうに考えるわけでございます。たとえば開港できたにしても、その後のいわゆる問題の惹起については予防できないというのが一般的な考え方でございますが、この点については運輸大臣としてはどのようにお考えになっておられますか。
  47. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 開港については、いろいろのことが必要であることは申すまでもございません。で、過去においてもいろいろそれに備えてきたわけでございますが、今次の事件等にかんがみまして、さらに一層全きを期せなければならぬということは関係者一同が考えまして、たとえばあの事件をとらえてみますと、それによって破壊されたようなものを回復するということだけにとどまらず、単なる復元ないし復旧にとどまらずして、さらに改善を加えて対処するというようなことで臨んでいるわけでございます。まあ、いろいろ考えますと、なかなかその全きを期するということは容易なことではございません。だがしかし、責任ある者はその容易ならざることに対してできるだけ完璧を期しての対策を講じていかなければならぬと、こういうことでせっかくいま一生懸命にやっているところでございます。
  48. 桑名義治

    ○桑名義治君 大臣答弁では非常に概括的なお話でございまして、いまそういう答弁をなさる時期ではないと思うんです。具体的にこの問題とこの問題とこの問題が実際に解決すれば、この成田の問題はほぼ解決するんだと、そしてスムーズに今後のいわゆる空港の運行についても、これは万全を期することができるんだと、こういう段階に入っていると思うのです。にもかかわらず、万全を今後期したいと思います、いろいろな問題がありますけれどもということでは、これは問題の解決にならないと思いますが、具体的には、じゃ、その万全の対策というものはどういうふうな手を打って、そしてある程度の円満に解決するその問題点を氷解をしていこうと、こういうふうにお考えになっていらっしゃるわけですか。
  49. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いろいろの責任者からそれぞれ報告を受けまして、私はその総合判断において、これならばということで五月二十日ということにいたしました。どこの点がどうだということはあなたの方から指摘して聞いていただきましょう。
  50. 桑名義治

    ○桑名義治君 いまの答弁何ですか。私が質問してるんじゃないですか。何ですか、いまのは。
  51. 三木忠雄

    委員長代理三木忠雄君) ちょっと待ってください。
  52. 桑名義治

    ○桑名義治君 失礼じゃないですか、私が質問していることに答えないで、私が質問したら……
  53. 福永健司

    国務大臣福永健司君) あなたに答えたじゃないですか。
  54. 桑名義治

    ○桑名義治君 答えてないじゃないですか。
  55. 三木忠雄

    委員長代理三木忠雄君) ちょっと静かにしてください。運輸大臣もひとつ冷静にお願いします。
  56. 桑名義治

    ○桑名義治君 私は、大臣ね、私はこの問題はただ警察の権力でもって警備体制を強化するだけではだめだと、先ほどから大臣は万全を期すためにいろいろな方策をとりたいと御答弁なさったから、その中身はどういうことを具体的にお考えになっていらっしゃるのですかと、こう質問したら、えらい、そんならあんたが直接にこの問題点はどうするんだと尋ねりゃいいじゃないか、これこそ失礼じゃないですか。
  57. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 決して失礼を申し上げているわけでないので、全体としての御質問に対しては私はお答えするんですが、あなたのように緻密で頭のいい方から見ると、いろいろなことがあって一々申し上げたら、そんなことはくどいと、この点はどうだというようなことになるかもしらぬと私は大体見当をつけまして、そういうことがありましたら、そちらの方から先に、この点はどうだと、こうお聞きいただきたいと、こういうようなつもりで申し上げたんですが、せっかくのなにでございますから事務当局から順次申し上げることにいたします。
  58. 三木忠雄

    委員長代理三木忠雄君) 答弁整理をして、運輸大臣——高橋航空局長、ちょっと待って。桑名委員から具体的に何と何と何が整備上完全になれば開港できるかということを聞いているわけですから、その点だけ答えてください。
  59. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 先ほどお話しのように、たとえば警備だけがある程度いってもそれではいかぬじゃないかと、ごもっともでございます。しかし、その警備にいたしましてもなかなか問題がございます。そういう意味で、まず破壊された物的施設とか、あるいは器材等につきましては、これはまあ率直に申しまして破壊された物という点から申しますと、大体これは復旧いたしましたし、なお幾らかもとのとおりでもいかぬということでいろいろ改善も加えております。また、管制塔がああいうことになったということと関連いたしまして、エレベーターがどうとか、入口がどうとかというようなことについては、もちろん復旧もいたしましたけれども、それではいかぬというのでかなりの改善をこう加えました。だがしかし、これも果たしてそれでいいかということでいろいろ検討を加えつつ、さらに一層の改善等を図っております。まあこういうようなことを一々挙げていきますと非常にたくさんございますが、そのいずれについてもできるだけ完璧を期して新たなる開港日に備えていかなければならぬと思います。一々言えということでございますから、これから順次申さしていただくことにいたします。で、これは私どもの運輸省に関するもののみではございません。警察に関するものとか、その他いろんなことに関することになりましょうから、もしまあこういうところを特に言えと言っていただくとありがたいんでございますが、先ほどの御質問のようでございますと、とてもじゃないが、これなかなかいろいろ申し上げてもまたおしかりを受けるということになろうかと思います。私、多少先回りしたのがいけなかったと思いますが、その点はお許しをいただきたいと思います。
  60. 桑名義治

    ○桑名義治君 私に頭がよ過ぎるとおっしゃったけれども、大臣の方が数等頭がよ過ぎたようでございます。私も大臣、別に声を荒立てる気持ちは全然なかったわけですよ。ところが、あなたの方が先に荒立てたんですよ。何で怒ったのか私はさっぱりわからなかった。
  61. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私も何で怒られているのかよくわからなかった。
  62. 桑名義治

    ○桑名義治君 冗談じゃないですよ。皆さん公平に判断なさったら私の方が何であなたが語気あらたにあなたから質問しなさい、指摘しなさいと、こう言われる覚えは私は全然なかった。それは大臣がいま非常に心労されていることはよくわかるわけですよ。わかりますけれども、しかし的確に冷静にひとつ御答弁を願いたいと思いますね、子供の論議じゃないんですから。  だから、いまの大臣お答えの中にありましたが、いわゆる壊された機器をどうするか、入口をどうするかとか、警備体制をどうするかとか、細かい問題を私聞いているわけじゃないわけですよ。なぜ成田問題がこのようにいわゆる長期にわたって反対があるか、なぜ過激派グループがああいうふうな行動を起こすか、その根本の要因を是正しなければ、いつまでたってもこの成田問題は尾を引くんではありませんかと、その点についていわゆる運輸省としてはどのような手を打っていらっしゃるんですかと、こうお尋ねしているわけです。だからポイントだけ話してもらえばいいわけですよ。たとえば農民の問題にしましても、よく新聞紙上報道されるところによれば、過激派の問題と農民の問題を別個に分離しながらこの問題の解決に当たるとか、これ大きなポイントだと思うんです。そうやった重立ったポイントをお聞きしているわけであって、そんな細かい一々小さな事柄を聞いているわけじゃない。そういうわけですから御答弁願いたい。
  63. 福永健司

    国務大臣福永健司君) だんだんと、血のめぐりの悪いところへ、お話を伺ってわかってまいりました。長期にわたってああした事態、ことに問題によっては幾たびか類似のことが繰り返されておりまして非常に残念に思うわけですが、そういうことについて根本的に考えてどうだとか、特に地元の皆さんとの話し合い等について従来のことのままでよろしいかとか、特にその中でも農民の方々に対してどうするかというようなことにつきましては、まさに御指摘のごとく、最も本質的な問題であり、私どももこれに大いに意を用いているところでございます。この点について、過去久しきにわたって、ろくに話もしてないじゃないかということでずいぶんおしかりをいただきました。私は先輩の、たとえば運輸大臣というポストについて見まするならば、かれこれ十五、六名の先輩の諸君がこれに——必ずしも先輩ではございませんが、先輩や同僚の諸君があずかってきたが、なかなかうまくなかったという点でおしかりを受けておりますが、彼らも彼らなりに努力はしたんだろうと思うんです。だろうではない、したと確信いたしますが、なおかついろいろあるわけでございますが、私は就任以来こういう点につきましては本当に意を注いどいかなきゃならないと考えまして、私なりに努力もしてまいりました。十分に時間等がなくて、思うままのこともできなかったことも非常に残念に思っているわけでございますが、基本的に考えまして、農民の方々を中心とする地元の皆さん等とはできるだけ意思の疎通を図り、心の交流を図って問題の解決をしていかなければならない、こういうように、もちろん過去においてもそうであったろうとしみじみと感じておるわけでございまして、ただ農民の方々と、いまもお話がありました極左暴力の諸君とは、これはときに共に行動されたがごとき観を呈していることもございますが、これは本質的に違うのであって、過激派の諸君等がいろいろに彼らの考え方によって動いておりますが、これとは別個に、農民の方々等に対しては誠意を尽くして対処しなければならないということは、これはもう私の本当に念願するところでございまして、今後もそういうことにいたしてまいりたいと考える次第でございます。
  64. 桑名義治

    ○桑名義治君 この問題ばっかりで論議を進めているとほかに進みませんから、大体ここら辺で打ち切りたいと思いますが、最後に農民との話し合いの問題でございますが、いまの現時点における農民の方々の要求事項というのは、大体どういうところにあるかということを御認識でございますか。
  65. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいまお話しの点につきましては、これはたくさんございます。たくさんございますし、過去久しい間にわたってある程度話し合いというか、相互の折衝の間に出た方向というようなもの等がございまして、私は実は必ずしも確定的ではなかったが、大体こうというような考え方が示されてそのままになっていること等について、運輸省なり公団なりがある程度話ができたのをそのとおりなぜしないということでおしかり等をずいぶん受けておる、こういうようなことにつきましては急ぎ対処すべきであると、こういうように考えて、公団その他を強く督励をいたしておる次第でございまして、ただいま御質問の点につきましては、これはもう非常にたくさんございますが、そのたくさんのものについて急ぎ対処すべきものであるという考え方のもとにおいて督励等をいたしておる次第でございます。
  66. 桑名義治

    ○桑名義治君 過日NHKが仲介でいろいろと農民の代表の方々とお話し合いをなさったわけでございますが、その後直接に大臣と農民の方が話をしたいという申し入れがあった場合には大臣はお受けになる気持ちでございますか。
  67. 福永健司

    国務大臣福永健司君) NHKの仲介って、NHKは仲介も何もしたんじゃないんです。あれは私その放送の途中でも、みずからちょっと言いましたように、話とは大分食い違っているところがある。ここでNHKさんのことをいろいろ言うんじゃありませんけれども、事実は事実としてちょっと申し上げます。それで、そういう点につきましては、私どもの方がどうこうということもさることながら、恐らくあの放送に出られた副委員長の石橋さんもある意味において御迷惑であったんじゃないかというような気がいたします。あの前に、農民の方々が進んで数十名おいでになりました。私はちょうど参議院の委員会等で、おいでになった時間にどうにも間に合いませんでした。終わってから私は電話をいたしましたら、すでに三十分の予定が二時間ほど会って、非常にわりあいに何というか、いままで考えられたのと違うような心の交流等が行われて、わりあいに会った双方の者がいい気持ちで別れたというような話がございます。これはまあ皆さんについてそうであったかどうかわかりません。私としますと、私がその時間に手がすきまするならば、私みずからが会おうと思いましたが、どうしても手があきませんでしたので、事務次官をして私のかわりに会わしめました。  それから、若干の折衝等についてわれわれはわれわれなりに考えたりなどしておりましたし、またこれなかなかむずかしいところなんでございますが、いろんな話もある程度ございました。ここではその一々については御容赦をいただくことにいたします。また一方、たとえば総評の事務局長その他労働組合の関係の皆さん等もこのところ私、何回かお目にかかっているのでありますが、そういう方面からも、ぜひ話し合いをすることがよかろうと思う、場合によっては自分たちも一役買おうではないか、あるいは一緒になっていろいろ話し合う機関等も考えようではないか、こういうような話等もございます。これらにつきましては、ただいまどうしようかということを相談中でございまして、どういたしますということはちょっとここで申し上げかねるのでございます。いずれにいたしましても、私どもはそういうことが非常に大切である、何とかしたい、こういうことで臨んでおる次第でございます。
  68. 桑名義治

    ○桑名義治君 この成田問題の解決の糸口というのは、これは当然農民との話し合いが了解事項にある程度達するというところに私は最大のポイントがあるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。農民と直接話し合いの場を持つことについては、今後まだ検討しているということでございますが、鋭意そういう方向でいわゆる続けていっていただきたいということを要望しながらこの問題は一応とどめておきたいと思います。  そこで、今回の特別措置法でございますが、これは今回は新東京国際空港にということが予定をされておるわけでございますが、こういう立地条件が非常によく似た、たとえば福岡、宮崎空港、こうやったところがあるわけでございますが、こうやったところも市街化がどんどん進行中ということでございます。こうやった意味から特定空港を、今回のこの特別措置法を、既存のいわゆる空港に適用することがあるかどうか、この点についてまず伺っておきたいと思います。
  69. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 事務当局からもお答えさせますが、これは必ずしも成田と限らずほかについても考えているということではございますが、ただこれの適用については、まあいろいろのとうとい経験にかんがみまして、地元とよく話し合いをしてこういうことを進めないと容易でないということは、痛いほど私、経験をいたしております。この痛いのを生かさなきゃいかぬと私は思うわけでございまして、いまお挙げになりましたようなところについても実はどんどん宅地がふえつつあります。でございますから、これまた急がなければならぬのでございますが、なかんずく成田については、これはもう特別の事情でございますからこれは特別でございますが、この種の規制をするという方向で進めていくとするならば、その関係地域の皆さんとはよくよく話をして臨みたいと、そういうふうに考えております。
  70. 桑名義治

    ○桑名義治君 で、現在の既存の空港の中で都市計画区域内に存在し、都市計画で都市施設として決定されている空港はどことどこですか。
  71. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 都市計画区域内に所在し、かつ都市施設として都市計画を決定されておる空港でございますが、東京の調布飛行場と岡山の飛行場の二つでございます。
  72. 桑名義治

    ○桑名義治君 どういう理由でこの二つが指定をされたわけですか。
  73. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 都市施設としまして都市計画決定をするかどうか、一般的に申しまして具体的な事案ごとに実態上の必要性に応じて判断するわけでございますが、空港のみならず、これは通則でございますので、一般の問題としてお答え申し上げたいと思いますが、これは都市における根幹的施設であって、配置論としてこれは計画決定する必要があるというふうなこと、またあらかじめ土地を確保しておく必要がある、そのために都市計画制限を課して、必要な土地に知らないためにどんどん人家が建ち並ぶというようなことがないように、そういう意味の都市計画制限でございますが、確保しておく必要がある、こういうふうな場合、それからまあまあというふうなことでございまして、空港につきましてもこのような必要性が認められるというものについては、今後とも計画決定をすることはあり得るというふうに考えております。  これはなお補足的に申し上げますと、空港そのものが都市計画決定をされていない場合でありましても、これは都市計画とそれから空港のそのものの計画相互に矛盾することがないように調整をして、周辺において都市計画を決める必要がある場合においては都市計画を決めていくというふうにしております。
  74. 桑名義治

    ○桑名義治君 この法律では航空機騒音発生源ということから、環境問題の解決のためにいわゆる都市計画による用途規制制度を利用して、いわゆる空港周辺立地規制を実施しようとしているわけでございますが、都市計画による用途規制は、自分たちの町づくりということで、地域住民との合意が一応前提になっているわけでございます。今回のこの法律につきましては、地域住民の合意とは無関係にこの法律が頭からかぶせられるというような性格を持っているわけでございますが、そういう立場から考えますと、少し無理ないわゆる法律ではないかと、先ほどから憲法論争が行われたわけでございますが、そうやった立場からも非常に疑義が多いというふうに考えるわけでございますが、この点についてはどういうふうに理解をされていますか。
  75. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) その点につきましては二つの手段で手当てをしているわけでございますが、一つは、どういうところをこの規制区域にするかという点につきましては、まず航空機騒音対策基本方針というのを県知事が決めるわけでありますが、それがスタートになります。その基本方針を決めるに当たりましては、基本方針の案を地元に公表をする、公表して意見の提出を求める、あるいはそれと並行いたしまして関係市町村長の意見を十分聞く、そういうふうな手続を経まして十分に地元の意見を伺う、こういうことが一つございます。そして具体的にどこの場所をどういうふうに線引きをするかという線引きの問題につきましては、都市計画法の規定が全部ひっかかりますから、都市計画の従来の手法によりまして地域の方々との話し合いのもとにいろいろ都市計画当局者が決めていくということになります。二段構えの点で十分地元の御意見を伺うことは可能であると存じております。
  76. 桑名義治

    ○桑名義治君 その地元の住民の方々の御意見が反映をされていないところに、現在の成田問題があるのではないかというふうに私は理解をしているわけです。そうやった意味で、この今回の法律におきましては、いわゆる立地規制の対象となる特定空港は宅地化が進み、十年後に市街化すると予想される空港が指定されることになっているわけでございますが、一方都市計画法でも十年以内に市街化を図る地域をいわゆる市街化区域、それから十年間市街化を抑制する地域市街化調整区域、こういうふうに指定しているわけでございます。そこで、この法律のいわゆる適用対象となる空港周辺市街化調整区域に指定して、その開発を抑制すれば、少なくとも十年間の宅地化は抑制されるのではないかと、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてはどのようにお考えですか。
  77. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 先ほど大臣から矢田部先生にもお答え申し上げたような趣旨でございますが、御指摘のとおり、調整区域は当面市街化を抑制すべき地域だという趣旨で設けられたものでございます。したがいまして、一般的に建築行為等を禁止しておりますけれども、たとえば農家の次、三男が分家してその中に建物を建てるとか、こういう場合は許可、建ててもいいと、それから学校とか病院というふうなものにつきましては、これは建ててもよろしいということになっております。ところが、今回のこの特別地区につきましては、これは逆でございまして、学校病院等はもとより、住宅につきましてもこれを禁止すると、こういう趣旨でございますので、どうも現行の都市計画法の調整区域の規制では十分カバーできないということでございます。
  78. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう一点特にお聞きしておきたいわけでございますが、これはいわゆる白地ですか、芝山町地区周辺でございますが、ここら辺、ここらにも今回のこの法律がかぶさるわけでございます。しかし、この白地の場合の取り扱いを今後どういうふうに考えていらっしゃるのか、この点について伺っておきたいと思います。
  79. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 芝山町地区につきましては、これを都市計画区域内に編入すべく目下地元と県当局におきまして協議中でございます。
  80. 桑名義治

    ○桑名義治君 いつごろにその結論が出るかということはまだ予測できないわけですか。いつごろまでに結論を出そうというふうな話し合いはないわけですか。
  81. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) まだ県の方から特にいつごろまでというふうな明確なことは聞いておりませんが、なるべく急いで話を詰めたいというふうに折衝しているというふうに聞いております。
  82. 桑名義治

    ○桑名義治君 もう時間がほとんどありませんので、都市計画法によって市街化調整区域内で開発が許可される行為と、それから本法の第五条二項で特別区域内で建設が認められる場合との関係性について御説明を願いたいと思います。
  83. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) お答えします。  あるいは建設省からお答えいただいた方が的確なお答えができるかもしれませんけれども、理屈でいきますと、開発許可が認められましても本法による建築禁止等の対象となり得るわけでございますけれども、開発許可に当たりましては、本法の対象区域になりそうかどうかということもあらかじめ十分調整をして、そこのところにそごを来さないような運営をしていきたいと、こう思っております。
  84. 桑名義治

    ○桑名義治君 時間がありませんので、これで終わりたいと思いますが、この法律と同様に建築規制を自衛隊あるいは米軍の飛行場周辺、それから高速自動車道、新幹線周辺地域、まあこのようなところにもいわゆる実施するための立法化の意図があるというようにうわさをされているわけでございますが、まあうわさでまことに申しわけないんですが、この点について建設大臣運輸大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  85. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 都市局長から説明させます。
  86. 小林幸雄

    政府委員(小林幸雄君) 高速道路に関連した問題だけお答え申し上げますが、高速道路に関しましては、目下そういう趣旨立法をするという検討はしておりません。ただ、高速道路の沿道区域につきましてはさまざまの環境問題その他ございますので、学識経験者等を委員としまして研究会をやっておりますが、立法をすぐにしようというふうな意図で行っておるものではございません。
  87. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私の所管いたしますものは、先ほどお挙げになりました幾つかの中で新幹線とかそういうものになろうかと思いますが、空港と新幹線では大分土地の使い方も違いますし、新幹線は細い幅で使うわけでございますが、これは大分違いますので、いま御指摘のありましたようなことを直ちに空港でうまくいったら向こうもと、そんなことは考えているわけではございません。しかし、まあ新幹線等はそれなりにやかましいぞと言っておしかりを受けているところ等もございますので、これに対してどうするかということは、別に従来にとらわれることなくよく検討して、なるほどということでないとそうやたらにこの種の規制をすべきではないと、こういうように考えております。
  88. 桑名義治

    ○桑名義治君 終わります。
  89. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣に伺いますが、この特別措置法によって航空機騒音防止地区とそれから特別地区というのができるわけですが、この地区に応じてまあ規制の度合いが大分違うですね。したがって、地域人たちが大変強い関心持っているわけです。で、大体例のあのWECPNLですか、うるささ指数でこう考えてみて、特別地区防止地区は大体どの辺、どの程度のところがめどになるか伺いたいと思います。
  90. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 技術的な問題でございますからお答えをいたします。  いま私ども検討しておりますが、おおむね障害防止地区の方はWECPNLで七五以上のところ、それから特別地区の方は八〇以上のところと、こういうふうになると思います。
  91. 渡辺武

    ○渡辺武君 政府としては、この法の第二条の2に基づいて、県知事に対して地域指定や措置などの案を提示することになっておりますが、大体これはいつごろになると考えていらっしゃいますか。
  92. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 第二条は、まず政令で特定空港として指定するところから始まるわけでございまして、この法律は公布いたしましてから約半年後ぐらいに施行をするつもりにいたしておりますが、その間いろいろ準備をいたしまして、この指定があったときに、今度は成田空港でございますと空港公団が県知事に対しまして基本方針を決めてくださいと、こういう要請をするわけでございます。したがいまして、具体的に特別地区あるいは防止地区等の中身が決まってまいりますのは、都道府県知事の手元で基本方針を決める段階で初めて出てまいりますので、恐らく公布いたしましてからどんな早くても一年ないし二年かかるかなと考えております。
  93. 渡辺武

    ○渡辺武君 いまおっしゃったのは、知事に提示するのがそのころということですか。
  94. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 知事に提示いたしますのは、具体的なこの地区の問題ではなくて、空港公団としていろいろ計算いたしましたいわゆる騒音コンター等を提示いたしまして要請するわけでありますが、それは恐らく公布後一年ぐらいあればできると思います。その後知事がそれに基づきまして基本方針を決めますのはやはりさらに一年ぐらいかかるんじゃないかと、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  95. 渡辺武

    ○渡辺武君 いずれにしましてもこの特別地区防止地区ともにそこに住んでいる住民のいわば私権をかなり強く制限するということになると思うんです。私ども、飛行場があって騒音があってある程度の私権が制限されるということについて、これはまあ絶対反対だという立場はとってはいませんけれども、しかし同時に、やはり憲法で保障された私権の制限ということが行われる場合には、十分な民主的な手続が踏まれなきゃならぬだろうというふうに考えているわけです。それで法の第三条の六で都道府県知事が定める基本方針、これは最終的には運輸大臣及び建設大臣の同意が必要だということになっていると思うんですけれども、この同意をするに当たって、もし仮に関係自治体の中の一つでも反対だという自治体があった場合、あるいは地域住民の中で、まあ一人や二人というのはこれは別ですけれども、かなりの数ではあるがしかし少数意見があるというような場合、十分にこうしたものは尊重されなきゃならぬじゃないかと、反対があった場合にはやはり同意はできないんじゃなかろうかと、地方自治体の反対ですね、そう思いますけれども、その点どうでしょうか。——いや、これは大臣の問題ですから。
  96. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 御指摘のような事例は望ましからぬことではございますが、あり得るだろうと思います。まあそういうときにはできるだけ手順を尽くしてよく話し合って、いずれにしても円満に結論に到達できるような努力をした後に事を決すべきであろうと、こういうように思います。
  97. 渡辺武

    ○渡辺武君 環境庁長官に伺いたいと思うんですが、現在の羽田、伊丹、これらは第一種空港ですが、昭和五十八年の当時の騒音改善目標、これはどのくらいと見ておられますか。
  98. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) 環境基準が設定されておりまして、四十八年の十二月に設定されましたが、本年の十二月がまず中間目標の八五WECPNLを達成をすると、それからその後五年のうちに七五ないし七〇WECPNLを達成することを努力目標にするということが環境基準として定められているところでございます。
  99. 渡辺武

    ○渡辺武君 羽田や伊丹が昭和五十八年までに七五以下という目標になっているわけですね。ところが私ここに公団が地域住民に提示した「新空港における昭和五十八年度のB滑走路予測騒音分布について」という資料を持っておりますが、これ見てみますと、昭和五十八年までの線引きで八五WECPNLというところが最低の線引きになっているわけですね。それで同じ昭和五十八年度で東京や伊丹の場合は七五だと、それから成田空港の場合これは八五だということになりますと大分差があるわけですね。これどういうわけでこんなことになっておりますか。
  100. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) どうも失礼いたしました。先ほどの先生の御質問が私ちょっと耳が悪くて成田と聞こえたものですから、成田のケースをお答え申したわけでございます。羽田と大阪は十年を超えるできるだけ早い時期にと、そういう形になっておりますので、これは羽田につきましてはこれはずっとそれから後になってくるということでございますので、いまの先生の御質問に……
  101. 渡辺武

    ○渡辺武君 羽田。
  102. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) 羽田ということですと十年を超えるできるだけ早い時期に達成をするということでございます。七〇から七五というのは十年を超えるできるだけ早い時期と、そういう形になっておりますので、私がちょっと先ほど間違って答弁をいたしましたことを訂正させていただきます。
  103. 渡辺武

    ○渡辺武君 ちょっといまおっしゃったのはよくわからないんですが、ここに環境基準の既設飛行場の例の改善目標の数字が出ているんですね。「第一種空港として新東京国際空港を除く」というふうになっておりまして、十年を超える期間に可及的速やかにといまおっしゃったとおりになっておりますが、そのうち「改善目標としては十年以内に七五WECPNL未満とすること」また云々ということになっておりまして、ちょっといまの御答弁と違うんですけれども、どちらが正確ですか。
  104. 橋本道夫

    政府委員(橋本道夫君) 正確に申し上げます。  新東京国際空港は十年以内ということになっておりますので、私が最初お答えした五年以内に八五、それから十年以内に七〇、七五でございます。  それから羽田空港は、これは第一種空港で新東京国際空港を外しておりまして、羽田の場合には十年を超える期間内に、なるべく速やかに達成をするという形になっていまして、五年以内に八五WECPNL、これは同じでございますが、十年以内に七五WECPNL未満とするという形になっております。  なお、一言申し添えますが、屋外でそれが達成されないときには、屋内で十年以内に六〇WECPNLとすると、こういう条件になっております。
  105. 渡辺武

    ○渡辺武君 どうも何だか私、よく頭に入らないんですよ。というのはもう一回私質問繰り返しますから正確に答えていただきたいと思うんです。つまり羽田や伊丹の場合には十年後ですね。つまりこれは昭和四十八年から発足した目標ですから、昭和五十八年ということですね。昭和五十八年までに七五WECPNLということになるわけでしょう。ところが、今度の成田空港の場合は、同じ五十八年までに七五ではなくして、これによりますと八五で騒音の分布図をつくっているわけですね。これはA滑走路の例です。それから地域住民にまいたのはB滑走路の方ですね、同じやっぱり八五です。何でこう食い違うのかということを伺っているんです。
  106. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 空港公団で発表しましたBランウエーの予測コンター、予想コンターと申しますか、これは現在の予測技術上信頼できる数字ということになると、大体八五以上というようなことで、とりあえず八五までの区域を公表した。これはもともと正式のコンターでございませんので、ただ住民の方々が将来の生活設計の参考にしたいから、予測予想で結構だからひとつ発表してほしいという御要請がございましたので、その要請にこたえてとりあえず発表したということでございますが、五十八年暮れまでに七五ないし七〇というものを目標にする点は、羽田その他と同様でございます。
  107. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、同じ五十八年ごろまでに指数七五というところで、同じに並ぶと、こういうわけですな。ところが同じに並んだ場合でも、羽田や伊丹の場合と、そうしてこの成田の場合とそれ以上の地域について規制内容が違うでしょう、規制内容が。たとえば羽田や伊丹の場合ですと、七五以上の区域でも新築も増築も改築もできますね。そしてその場合ですね、防音装置をつける場合に国がかなりの補助を出しますね。ところが、今度の成田空港の場合ですと、それが新築、改築、増築はもとよりできない。それから防音装置をする場合にも国の補助はないと、こういうような状態になっていると思うんですね。なぜこんなふうに違うんですか。
  108. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) お答えいたします。  いまそれぞれの空港でコンターを引いておりますのは、当面はこの法律案の関係ではなくって、現行の航空機騒音防止法に基づく仕事をするためのコンターを引いているわけでございます。したがいまして、成田につきましても当然現在の今度使うAランウエーは航空機騒音防止法によるコンターが引いてあり、かつそのコンターに基づきまして第一種、第二種、第三種と地域割りができております。これによりまして騒音防止法に基づく各種の助成が行われるわけでございます。  で、この法律案と現在の航空機騒音防止法とは、同じ空港周辺に対して同時に併合適用になる可能性がございます。その場合にどこが違うかといいますと、いままで住んでいらっしゃる方々に対する航空機騒音に対する各種の防護措置は、現行騒音防止法でやれるわけです。そして本法案は、新しくそこへ住宅が来るのを抑えようという法案でございますから、目的が違いますが、同じ空港に二つの法案が適用になる可能性がございます。
  109. 渡辺武

    ○渡辺武君 この二つの法律が適用になるとしても一、たとえばいまの伊丹や羽田の場合ですね、新築、増築、改築はこれはできるわけですね。ところが成田の場合ですと、七五から八〇までの区域については新築、増築、改築はできるけれども、しかし、一切国の補助はないということになりますね。それから八〇以上の特別地区、ここではもうすべての建築が抑制されると、違反すれば罰則が適用されるということで、私権の制度という見地からしますと非常に厳しい。同じ空港周辺住民であって何でこういう差別が出てくるんですか。
  110. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) この法律案は、空港周辺に新しく音に弱い宅地がたくさんできることを防止しようとしているわけでございますので、そういう規制を加えることにしたわけでございますが、他の空港につきましては、もちろん本法案を適用することも可能でございますけれども、すでに市街地化しちゃっているところにつきましては、もういまからこれをかぶせましてもなかなか防止するのはむずかしい。そこで、現に住んでいらっしゃる方々の防音工事をしていくしかしようがない。したがって、現行の騒音防止法でもu、その防止法による指定地域ができた後で建てた方に対しては何らの助成をしないことにしているわけでございます。
  111. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣、いずれにしましても、先ほど大臣の御答弁を伺っておりますと、羽田やそれから伊丹などについても、この特別措置法を適用されるかもわからぬという趣旨のことを言われましたですね。いずれにしましても、やはり地域住民の私権がかなり制限されるということについては私変わりがないことだと思うんですね。それでやはり憲法上の問題が先ほど議論になりましたけれども、こうした私権制限の問題については、先ほども申しましたように十分なやはり民主的手続を踏んで欲しい。  それからもう一点は、やはりきめ細かな十分の補償を、これはやはり原因者負担という原則に立って考えていく必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、その点はどうでしょう。
  112. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいま御指摘のようなことを重々今後の施策において頭に置いて対処しなきゃならないと、そう考えております。
  113. 渡辺武

    ○渡辺武君 それから、暴力学生の問題についてほんの残された時間ですが伺いたいと思うんです。  あの暴力学生について、総理大臣自身も寛容に過ぎたという趣旨のことを言っておられますし、やはりいままで平たく言えば甘い態度、私ども一はこれは、ただ単純な甘い態度とはちょっと考えられない、むしろ野放しにして泳がせてきたという感じが非常に強いわけですけれども、千葉県の山武郡芝山町の朝倉字山王台四百六十、これの三と四に建設省土地で、通常赤道と呼んでいる土地があると聞いておりますが、建設省どうでしょう。
  114. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) いまお話しの件につきましては、千葉県山武郡芝山町朝倉字山王台四百六十の四の地先に御指摘の道がございます。
  115. 渡辺武

    ○渡辺武君 これは建設省土地ですから国有地ですよね。ところがその国有地に接続した公団の用地、これにまたがってことしの三月に第四インターが新たなプレハブを二むねつくっている。ところが公団の方ではことしの三月の二十五日、撤去作業を行う予定でいた。そしてこの土地を管理している千葉県側にその旨を申し入れたところが、千葉県側の方でまだ通報してないんで待ってくれと、こう言っていまだに撤去をされないということを聞いておりますが、それは事実ですか。
  116. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) お示しのプレハブ二階建て二棟でございますが、本年の三月十九日に建てられたものでございます。これは公団の土地と、それからいわゆる公共用財産たる里道にまたがりまして建てられたわけでございまして、公団より千葉県に連絡がございました。千葉県といたしましては、早速現地確認、境界画定を行うべく、三月二十四日に現地において一棟につきましては境界画定をいたしましたが、もう一棟については妨害により目測によって大体の判断をいたしたわけでございます。その際、千葉県といたしましては、公団職員それから千葉県土木事務所職員一体となりまして、現場においてハンドマイクで警告を発しまして、以後撤去の準備等について検討を進めておる段階でございます。いまお話しのように公団から要請がございまして、千葉県がこれに対して消極的であったということは聞いておりません。
  117. 渡辺武

    ○渡辺武君 空港周辺に彼らの団結小屋が三十三もあって、これがまだろくに撤去もされてないと、これはだれも納得できませんよ。しかも一これは、この公団の用地とすれば国有地にまたがって建てられているものでしょう。こんなものは当然厳しい態度さえとろうとするならば、当然もう撤去されてしかるべきものだと思うんですよ。千葉県側を指導して撤去する意図があるかどうか、またいつごろ撤去するつもりなのか伺いたい。
  118. 粟屋敏信

    政府委員(粟屋敏信君) プレハブ二階建ての建築でございまして、これをどういう法律によって撤去できるかどうかについて現在検討中でございますが、何はともあれ、他人の土地に不法に建築したものでございますので、不動産侵奪罪でございますとか境界棄損罪等によって処断さるべきものと考えて、それについて検討をしておる段階でございます。  なお、強制的に撤去する法的根拠につきましては、「公共団体ノ管理スル公共土地物件ノ使用ニ関スル法律」という大正三年の法律がございますが、この法律の適用の可否につきまして、現況は公共の用に供されているかどうかについての現地確認を急いでおる段階でございます。
  119. 渡辺武

    ○渡辺武君 やめます。
  120. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 最初に公団の方に私はお聞きしたいんですが、この騒音対策特別措置法案の提出が昨年の秋であったということ、これはもう政府の方に問題があるんですけれども、それはまあさておいて、いまここへきて防音工事の問題で四月の二十日ごろから何か再調査をやりたいというようなことをお考えのようなんですが、どういうことを調査されようとしているのか、いつごろその結論を出すというお考えなのか、それからお聞きしてまいります。
  121. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 四月二十日ごろから再調査というのは、恐らく三月三十日開港という段階で、開港して間もなく騒音の再調査を一定期間、大体一週間ぐらい連続してやりまして、そして騒音コンターの直すべき点があれば直す、こういう意味で大体四月二十日ごろから調査をしたいということを申し上げたのであろうというふうに考えております。今度開港が五月二十日ということになりましたので、そうなりますと、この調査はまた恐らく六月初旬ないし中旬ごろから始められるということになろうかと思いますが、調査は大体連続一週間の予定でございまして、その調査の結果はすぐ出ますが、その結果を踏まえて地元の市町村とその線引き改正等についての打ち合わせ、協議をいたしますので、その協議が終わらないとその結論が出ないと、こういうふうなことになります。
  122. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 次にもう一回公団の方にお聞きするんですが、防音工事の問題は最初は四人当たりで一部屋ということでお決めになっていたと思うんですけれども、途中から全室防音に方針が変わられたはずだと思うのですけれども、この住民の側からいくならば、全室防音をしてくれという強い要望があって、そういうふうに方針が変更になったはずなんですが、五十三年度の予算にその工事費が入っているのかどうなのか。
  123. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 仰せのように家族四人までは一室、五人以上は二室という基準で従来防音工事をやってまいりましたが、地元の要望も強いし、われわれも騒音で御迷惑をかけますので、その程度では不十分であるということで全室防音にしたいということでその方針で現在準備を進めております。これの経費といいますか、全室防音の五十三年度の予算としては、とりあえず試作費四千万円の予算が計上されておりまして、これで六戸の民家を選びまして試作をやり、そして仕様書、図面等を決めまして、実際に実施をするということは五十四年度に入ろうかというふうに考えております。
  124. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 今度運輸省にお聞きするんですが、公団の方がいまお話しのような形で、五十三年度の予算では全室防音は六戸だけ試験的にやる、それだけの予算は入っているんだということなんですが、当然全室防音をやるということになるならば、これは五十三年度の予算に政府の方でも計上すべきだと思うんです。私は聞くところでは、成田市の方では住民の迷惑を考えて国の予算がなくてもその工事を着工してやってしまおうではないか、ただやってしまったときに、それから後でもって成田の方で市が立てかえておいたのを国がきちんと見てくれるのかどうかということが心配があるということも聞いているんですけれども、その辺について政府というか、運輸省の方はどうお考えか、お聞きします。
  125. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私、そのこと何も知らないんです、正直申し上げまして。だがしかし、この種の問題で成田市に迷惑をかけたり、またその住民の皆さん御自体に迷惑をかけるというようなことは私の本意とするところではありません。できるだけの努力をいたしたいと考えます。なお事務的にどういう手順になっておりますか、あわせてお聞きとりをいただきたいと存じます。
  126. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 実は、この点につきましては昨年の秋に開港期日の告示を決める前に千葉県とやりとりがございまして、その千葉県知事に約束いたしました文言の中では、全室防音工事につきましては、五十三年度に試行し、その結果を見て引き続き実施すると、こう書いてございます。したがいまして、一応は先ほど公団総裁言いましたように、試行でございますけれども、その結果がよければどんどん準備をしていくということでございます。したがって、実際にお金がかかりますのは五十四年度以降かもしれませんが、その試行した結果がよければもう引き続きやっていくと、こういうことでございまして、立てかえ施工の件につきましては、公団と成田市の間で御迷惑はかけませんと、こういう約束がしてございますので、成田市におきましてそういうことをお始めになるならば、これは公団としましても、恐らく金目はやはり五十四年になると思いますけれども、これはその点について御迷惑はかけませんと、こういうことになっておりますので、全室防音工事は事実上は前向きに進むことが期待できると思います。
  127. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 環境庁長官、御病気で退席さしていただきたいというお話があって、よろしゅうございますと私答えておいたんですから、お引き取りいただいてけっこうです。  公団の方にもう一回、いまの点でお聞きいたします。  そうすると、成田市の方はもう五十三年度にどんどん希望者については全室防音をやっていくということを言っているようなんです。それをやった形について、その費用ということは、公団が責任を持つということはよろしいんですか。
  128. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 図面、仕様書等が決まりまして、成田市が今年度、五十三年度内に実施をいたすということになりました場合には、御迷惑をおかけしませんということを申し上げております。
  129. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 次に、これは公団と運輸省と両方に関係することなんですが、この成田空港開港日が決定するについて、私は新聞の報道で知る限りでは、公式非公式も含めまして十八回も何か変わったんだそうですが、私もそこまで知らなかったんですが、そういうことが報道されているわけなんです。ともかく三月三十日が決定されたときには、今度はもう間違いないということでお互いにみんな準備をされたと思うのです。特にあすこに、空港建設に協力された人たちが、あすこへ今度は業者といいますか、お店を開くことで入る形になる。その人たちが、いよいよ今度は間違いないと、従業員も雇えばいろいろなものを仕入れもして準備をしておったのがあのとおりになってしまった。大変な損害というか、はなはだしいのはもうやっていけなくなって倒産せざるを得ないというところも出てくると思うのです。そういう状態に立って、これ政府の方なり公団がどう考えておるのか。私は、もっとはっきり言うならば、国家賠償法を適用して救済をしていくというお考えがあるのかどうかということをお聞きするんです。
  130. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 事務当局等ではいろいろ考えがあろうかと思いますが、責任者といたしまして、私は今度の日延べになったということで、ずいぶんあちこち御迷惑をかけていると思います。破壊されたものを修復するのに金がかかるごとく、こういう点でもやっぱりそれによって、いま柳澤さんお示しのような実例があるということでは、これはいかぬと思います。そこで、どこへは幾らというようなことまで申しませんが、納得のいく措置を講じさせることに私が責任を持ちます。で、大した金じゃないだろうと私——いや、大したことかもしれませんけれども、何とかいたしたいと、こういうように思います。ただし、その実施につきましては事務当局がそれなり考えを持っているでございましょうから、その意見は取り上げていきたいと思います。
  131. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 大臣、それじゃ、大変な損害を受けたんでそういう点についてはその人たちが納得のいくような方法で解決をいたします、それについて大臣として責任を持ちます、そう受けとめてよろしいですね。
  132. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 結構でございます。
  133. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 これは航空局長の方でよろしいですけれども、この特別措置法、外国の主要な空港なんかでもいろいろこういうことはやられていると思うんです。外国の重立った空港と対比をしてこの成田の新空港の扱いというものはいいのか悪いのか、同じ程度なのかというその辺の点をお聞きしたいんですけれども。
  134. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 立地条件がいろいろ違うと思いますけれども、しかし、飛行機の音によって受ける被害から守ろうということにつきましては、どこの国でもそう物差しに違いがあるはずないと思いますので、外国の空港と比べまして同等の規制をすることになると思います。
  135. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 もうちょっと具対的に聞きたいんだよ。よくあなたたち数字を挙げて言うんだけれども、そういう数字の対比ではどういうことになるの。
  136. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 実は外国の空港につきまして規制区域の広さその他をとったデータを持ってないものでございますから、ちょっといまここでお答えすることができず、申しわけございません。
  137. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 いいです。また後で何らかの機会でもって提出をしていただきたいと思います。  最後に大臣、時間もなんですけれども、私多くをなにしませんで、むしろ私の方から要望だけ申し上げておきたいと思うんです。  成田空港の開設について、あそこに空港ができることによって、都市再開発といいますか、そういう意味での一つの構想もおありになったと思うんです。そういう点においては一つのメリットだと思うんです。同時に、騒音公害だとか、あるいはお百姓さんしておった人たちは今度は土地を取られる、取られると言っちゃあれですけれども、供出をしなくちゃいけないという、そういう面でのデメリットもあるわけなんです。言うなら、片方にはメリットがあり、片方にはデメリットがあるわけなんですけれども、どちらかというならばそのデメリットばかりがいままで拡大をされてきたところにいろいろ混乱といいますか、問題が私は起きたと思うんです。政府自身がそのメリットをもっともっと拡大をしていって、そしてデメリットとして挙がってくるものはなるべく縮小をして、そうしてバランス上から言うならばメリットの方が多いんだということになれば、これだけの問題はこじれなかった。何とか言っても、もう五月二十日開港ということは政府としてはお決めになったことだと思うんで、そういう点からいくならば、五月二十日にはどういうことがあってもきちんとそれまでに問題の解決をして開港するんですと、その辺についていま私が見解を申し上げたことにつきましても、若干大臣としての御見解も付して、もしお答えがあればお聞きしたいと思います。
  138. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 空港ができて迷惑なことばっかりだ、損することばっかりだというようなことで終わらせてしまうようでは政府はならぬと思います。そこで、五月二十日と決めたその時点にすっかり何もかもというわけにはいかぬと思いますけれども、少し時間をかしていただきますならば、やっぱり空港ができてよかったなという人も相当あるようなことに、全部が全部にいきますか、全部ならなおいいんでございますが、そういうことに一生懸命に努力をいたしたいと存じます。つくったらつくりっ放しであとは知らぬというふうなことであってはならぬということを私は明らかにしておきたいと思います。
  139. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 終わります。
  140. 三木忠雄

    委員長代理三木忠雄君) この際、矢田部君の質疑に関し、法制局長官より発言を求められておりますので、これを許します。真田法制局長官。
  141. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 御質問を直接聞いておりませんので、あるいは御質問趣旨から多少外れた御答弁になりましたら、重ねて御質問をいただいて御答弁したいと思いますが、御質問は結局、今度の新しい法律案で住宅等の建築について制限を行うことができることになっておるが、そういう制限をするについての根拠となる公共性というのは一体何だと、こういう御趣旨のように実は聞いたわけなんですが、そういう観点からお答え申し上げますと、この法律案の対象となります特定空港、これは非常に公共性の強いものでございます。このことはもう御異論がないことだろうと思いますが、そういう公共性の強い飛行場は、これはぜひとも日本国民、国全体の経済の発展のためには必要なことでございまして、どこかにはなければならない。そういう公共性の強い飛行場があることによってその周辺にいろんな騒音というような障害が生ずることも、これもある程度避けがたいことでございますので、そういうことを踏まえまして、そして、その周辺において健全なる都市づくりをする必要があると、そのために特別区域と、それからその周辺に普通区域と申しますか、騒音防止の区域を設けまして、そうして二段構えで、その制限の強いところとそれほどでないところとの二色をつくって、そしてその制限が非常に強く働くところにつきましては、それは補償をする、国の責任補償をすると、それよりも周辺の方は、その制限の度合いもまあ住民の方に受忍していただいてもいいんじゃなかろうかという程度であろうと思われますので、そこで、補償とまではいっておりませんけれども、しかし、これは都市計画法のつまり健全な健康な町づくりのために御協力願うとうことで、都市計画による地域地区、用途地域の一種としてある程度制限はがまんしていただくと、こういう仕掛けになっておるわけでございます。
  142. 矢田部理

    矢田部理君 いまのは政府の統一見解ですか。
  143. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 政府の統一見解かと言われますと、改まってとにかく統一見解作成会議などというものを開いたわけではございませんけれども、私の方で法律案の審査をいたしましたときの私の方の理解でございます。
  144. 矢田部理

    矢田部理君 私は、先ほどよく憲法がわからないということと、それから説得力のある説明がない、そこで政府として統一見解を出すべきだという要請をしたところ、そういう手はずであなたが出てきたはずなんですが、ただ一般の法案の概況説明をされてもどうにもなりません。第一よく読んでないじゃありませんか。全然答えてないですよ、私の先ほどの幾つかの疑問に。
  145. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 政府の統一見解というような改まった統一見解作成会議を開いたものでないことはただいまも申し上げたとおりでございまするが、そこで、本法律案におきまして住宅等の建築について制限を行うことができる公共性根拠は何かという点がポイントだろうと思うのですが、それは、ただいまも申しましたように、特定空港周辺における健全な都市計画をつくるという点に求められるものであろうと考えます。何となれば、それは空港周辺において著しい航空機騒音が及ぶこととなる地域住宅等の建築をすることを所有者の私権の自由に放置することは、それは環境において不健全なる市街地ができ上がることになって、それは公共福祉に反すると、こういう見解でございます。
  146. 矢田部理

    矢田部理君 さっきの建設大臣答弁と重要な食い違いがある。  建設大臣先ほど土地規制ができる根拠公共福祉である、その公共福祉というのは空港公共性だと、こういうふうに言われた。法制局長官も先ほどはそれらしき部分を最初に述べられたわけですが、今度は都市計画の健全な発展だと。公共性中身の重点を少なくとも変えた、またこれはばらばらです。どっちが本当なんですか。
  147. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 先ほど申しました、冒頭に申しましたのは、その特定空港なるものが非常に公共性が強いものである、これはもう御異論がないところであろうということをまくら言葉にいたしまして、そして、そういう特定空港は日本の国民経済の発展上やはり必要なんで、どこかにはなければならないと、で、そういう特定空港がある以上は、それによってある程度騒音が出るということも、これも避けられないと、そこでこの法案は、そういう事態を踏まえて、特定空港のあるその地元の健全なる町づくりをするということがこの法案のねらいでございまして、ただ、その手法としては、都市計画法の手法を用いて健全なる町づくりを図るというところにこの法案のねらいがある、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  148. 矢田部理

    矢田部理君 もう一回確認をしておきますが、航空公共性ではなくて、健全な町づくりということが中身になった公共性だと、公共福祉だと、こういう見解ですね、結論だけ……。
  149. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) 要するに、その健全なる町づくりでございますが、それはもう単に町づくりをするということじゃなくて、特定空港が存することを踏まえて、その周辺における健全なる町づくりを図ると、こういうことでございます。
  150. 矢田部理

    矢田部理君 法律家は、踏まえてなんていう変な、つながったようなつながらないような話をすべきじゃない。  さっき私が言ったとおりだとすれば、ここでもう一つ重大な矛盾が出てくるのです。この法案を立案するに当たって航空審が答申をした。それはどういう中身になっているかと言うと、この財産権制限は、空港設置に伴う偶発的な特別な負担であって、都市計画上の社会的共同生活との調和を保つための社会的制約ではない、と言っている。法制局と真っ向から違う見解を出しているのです。それを下敷きにしてこの法案ができたのです。どうなるんですか、これは。(「しっかり答弁しろ」と呼ぶ者あり)
  151. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) ただいま御指摘の部分は、これは憲法二十九条第三項との関係で、つまり正当なる補償が必要であるということの理由として書いてあるんだろうと思います。その周辺地区は、これはまた話が別なんであって、それは制限の度合いも格段の違いがございます。つまり憲法上の補償の必要を生じ、補償が必要であるとするに足るほどの制限ではないと。つまり、社会生活を営むについて、各人に受忍していただくということができる範囲のものであるというふうに考えるわけでございまして、ただいまの御指摘の部分は特別地区制限のことであろうと存じます。
  152. 矢田部理

    矢田部理君 私は特別地区制限も含めて聞いているのですよ。いま私が指摘をした答申の文言は特別地区の問題だと、あれは補償の問題だというふうに言われましたが、補償であれ、何であれ、制限基本考え方をこの答申は述べている。しかも私は特別地区の問題として聞いている。したがって、長官のは答弁にならぬということです。私が幾つかの問題点を指摘しているのです。ごく一部を、法律内容を十分吟味をせず、議論問題点理解もしないで法制局長官は答えている。  私が第一に指摘をしたのは、建設大臣が、この制度の根拠となる公共福祉というのは空港公共性にあるというふうに言われたから、空港公共性成田にあるかどうかはまた別問題ですよ、一般的にあり得るとしても、その空港公共性騒音被害を受ける住民立場衝突しないと。もともと公共福祉概念というのは権利衝突をどう調整するかという調整概念として歴史的に形成をされてきた。したがって、空港公共性がありますからという理由では公共概念は作動しない、それについての見解は一体どうなのか。そうしたら、今度は都市計画の手本だと、こう言う。都市計画の理念だとも言う。ところで、都市計画というのはもともと健康で文化的な都市生活の確保を主眼にしているわけでしょう。公共福祉論をまた立てているわけでしょう。しかし、それはその地域住民のためである。建築禁止ないし移転では主人公不在の都市計画にならざるを得ない。これは都市計画法の手法の利用はともかくとして、理念的に一致をしないんではないか。そういう公共福祉論もまたおかしいと言わざるを得ないわけです。  それから、二番目に問題を提起をした損失補償の法的根拠です。制限根拠を都市の論理に求められた。空港公共性には求められないから、それに求めざるを得ないわけです。それならば、その都市の論理の結果損害を与えたとするならば、それを推進する主体が補償をすべきだ。ところが、ここで突如として憲法二十九条三項が出てくる。制約は都市の論理であり、それを積極的にか、それを推進する主体は恐らく自治体になるでしょう。そこで制約をして、今度は二十九条三項で補償をする。だれが補償するかと言うと、あなたはここでも不正確な答弁をしておりますが、空港設置者だと、こう言う。制約の主体と補償の主体がばらばらになっている。これは法制上論理一貫しないではないか。ここでも憲法上の問題が出てくる余地がある。  三番目には、騒音防止地区ですね、ここは建築禁止ではなくて建築制限をしている。加えて、その内容的に言えば、防音構造義務を課しているわけです。公害の加害者がおるのに、騒音被害を受ける公害を防衛しなきゃならぬという法制上の根拠は一体何であろうか、その義務規定を引き出す憲法上の裏づけがあるのかどうか。のみならずそれには、ワンクッションを置いているけれども、刑罰の制裁を科する。刑罰の本質は、さっき申し上げましたように、社会的非難です。刑罰をもって処置しなければおさまりがつかないほど著しい社会的非難でなきゃならぬ。
  153. 三木忠雄

    委員長代理三木忠雄君) 簡単にお願いします。
  154. 矢田部理

    矢田部理君 はい。  しかし、騒音被害者である人たちがじっとそこで耐えることがどうしてその社会的非難に当たるんだろうか。刑罰の根拠を欠く以上は、これは憲法上の問題にこれとてもなり得る。  ここまで幾つかの問題点を、これは要約しましたけれども、そのほかあります、指摘をしているわけですが、ほんのちょっぴり、不十分な理解のまま長官は答えたにすぎません。もう一回これは全体的に内閣として、これは重要な問題ですから、成田の問題も含まれておりますが、今後一般法として機能するならば、きわめて重要な私権に対する制限の問題でありますから、憲法ないし法律上の明確な根拠を必要とするし、社会的妥当性が要求されるわけでありますから、そのことを含めてやっぱり答弁をすべきだ、法制局が一見解として思いつきのまにまに不十分な理解のまま適当にしゃべってもらっては困る、こういうふうに思うのです。
  155. 真田秀夫

    政府委員(真田秀夫君) およそ制限をすれば補償が必要であるというふうな観点に立って、そういう観点に立って御質問のようでございますけれども、しかし建築基準法とか都市計画法の用途地区とかこういうのは全部やはりそういう健全なる町づくり、それからお互い快適な生活をするためにはある程度制限は受忍しなければならぬと、その社会的に受忍していただくに相当する程度制限の場合にはこれは憲法補償を必要とするとは私たちは考えておりません。それで特別区域につきましてはその制限が受忍の限度を超えるというふうに思われますので、それでこの法案では補償の規定も置いておりますし、あるいは土地の買い取りとか、いろいろな手当てをしておるというふうにお読みいただきたいと思うのです。
  156. 矢田部理

    矢田部理君 全然答弁になっていません。私の質問に答えていない。私は納得しません。ただ、時間が来ましたのでやめざるを得ません。  終わります。
  157. 三木忠雄

    委員長代理三木忠雄君) ほかに御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 三木忠雄

    委員長代理三木忠雄君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後四時二十二分散会