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1978-06-01 第84回国会 参議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月一日(木曜日)    午後一時一分開会     —————————————    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      矢田部 理君     青木 薪次君  五月十三日     辞任         補欠選任      三治 重信君     柳澤 錬造君  五月十五日     辞任         補欠選任      寺田 熊雄君    茜ケ久保重光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         三木 忠雄君     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                目黒今朝次郎君                 太田 淳夫君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 石破 二朗君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                茜ケ久保重光君                 瀬谷 英行君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    国務大臣        運 輸 大 臣  福永 健司君    政府委員        運輸大臣官房長  山上 孝史君        運輸大臣官房審        議官       真島  健君        運輸省鉄道監督        局長       住田 正二君        運輸省自動車局        長        中村 四郎君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        文部省大学局学        生課長      石井 久夫君        労働省労働基準        局補償課長    原  敏治君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      田口 通夫君        日本国有鉄道常        務理事      高橋 浩二君        日本国有鉄道常        務理事      吉武 秀夫君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     大塚  茂君        日本航空株式会        社取締役     萩原雄二郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (妙高高原の土砂くずれによる信越本線不通問  題に関する件)  (新東京国際空港の燃料輸送問題に関する件)  (日本航空労務対策に関する件)  (国鉄運賃の値上げ申請問題に関する件)     —————————————
  2. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る五月十三日、三治重信君が委員辞任され、その補欠として柳澤錬造君、また同十五日、寺田熊雄君が委員辞任され、その補欠として茜ケ久保重光君が選任されました。     —————————————
  3. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会日本航空株式会社常務取締役冨田多喜雄君、同取締役萩原雄二郎君及び新東京国際空港公団総裁大塚茂君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 高平公友

    高平公友君 私は、信越本線妙高高原関山間の線路災害、あの地すべりの問題についてひとつお尋ねを申し上げたいと思います。  まさにはからざりき災害でありまして、五月十八日のこの新潟管理局概況を見ますと、六時二十分、第一土石流発見と相なっております。そして、十三名の方々がとうとい犠牲になられまして、妙高高原町で十六棟ですか、全半壊、これは新聞で読んだところでありますけれども、大きな災害をもたらしたわけであります。ところがそれのみにとどまらず、下流の方へ土石流が押し流されまして、そして国道十八号線、信越線、これらが決壊して非常に大きな被害を与えた次第であります。  そこで、私たち地すべりがあると災害があるということは、これは当然予知するわけであります。考えられるわけでありますけれども、何とこの災害の大きさは、非常に大きく谷の基部を深くえぐり取ってしまって、新聞等で読みましても、この新潟管理局復旧対策の要綱を読みましても、工事に着手してから突貫作業で四カ月以上かかるだろうと、四カ月以上と、こういうぐあいに言われまして、まことにこれは、まあその期間ははっきりいたしておりません。しかし、これを利用しておる北陸地方にとりましては、四ヵ月以上という期間というのは、まさにへきれきのごとしでありまして、もう災害でありますと、普通一週間ぐらいで復旧されるだろうという物の考え方が多いわけでありますけれども、大変な実は大きな被害であるということに、われわれはいまさらのごとく驚いている次第であります。  そこで、一体この災害概況と、原状に復するのに一体どのぐらい日数がかかるのか、このことについて、これは国鉄からお伺いした方がいいんでしょう、国鉄からひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  7. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) ただいま先生のおっしゃいますように、五月の十八日に、信越本線から約八キロほど離れた妙高高原のはるか、まあ私の方から見れば非常に遠いところでございますが、そこの土石流が流れてまいりました。私ども被害を受けました場所は、もともと非常に高さの高い築堤線路ができておりましたところに、この土石流が流れ出してまいりまして、私の方の築堤が約二十五メーターの長さにわたりまして崩壊をいたして、流れ去ってしまったという状況になりました。  元来ここには、この築堤の下には直径一メーター五十程度の非常に小さい私の方の暗渠がありましただけでございまして、水さえなければ、水が流れてこなければ、また、もとの形に復旧をいたしますれば、比較的早く復旧はできるのでございますが、今回、土石流一緒に水も流れてまいりました。したがって、新しく河川がつくられたというような状況になりました。私の方も原形の形状のままで復旧するわけにはいかないということで、ただいまその流された二十五メーターのところの地質調査するためにボーリング工事等を行っております。ただいまの予定では、この二十五メーターをはるかもう少しまたいだかっこうで、約九十メーターぐらいの長さの鉄道橋を架設しないと安全に輸送ができないというような検討をいたしておりまして、ただいま鋭意ボーリング等地質の精査をいたしております。そういう関係で橋梁をかけるということになりますと、まずくいを打ちまして、そうして橋台をつくりまして、そして長い九十メーターのトラスをかけるということで、それで非常に期間がかかるというふうに現地の発表になったかと思います。私の方は一応四カ月以上というふうになっておりますけれども、できるだけ四カ月以内に仮復旧をいたしたいということで、ただいま鋭意努力をいたしておりますところでございますけれども、正確に申し上げられないのは、基礎の条件がまだ正確にいま把握されておりませんので、おおよそ四カ月ということを目標に考えておる次第でございます。
  8. 高平公友

    高平公友君 わかりましたけれども技術的な問題でありますが、しかし、なかなかこれは重要な路線ですから、そうでありますと、応急の措置あたりが講ぜられないものか。四カ月以上だけれども、ボーリングしなければわからないというようなことでは、あるいは六カ月ということも考えられるかもしれません。半年ですよ。そうしますと及ぼす影響がきわめて大きいわけなんですよ。あなたの方は、国鉄技術陣というのは、なかなかすばらしい技術というようにわれわれは承知いたしておりますが、それらの中で、大体めどをこれだけに置いてわれわれの技術でやるんだと、でなかったら暫定的にでもやるんだというような、何かもっと確信のある方向考え方がここで言われないものですか、どうですか。もう一遍、再度これをお聞きしたいと思います。
  9. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 先ほど申し上げましたように、通常の原形復旧ですと、これは一カ月以内の期間でできるというふうに私どもの方は考えておりますが、新しく川がつくられたというかっこうにいまなっておりまして、したがって、この鉄げた架設自体については、これは私ども技術をもってすれば二カ月程度でできるという確信を持っております。しかし、そのための準備のいま基礎工事が明確でございませんので、少しあやふやな答弁で申しわけございませんけれども、いま四カ月以内を実は目途に、私の方はぜひ開通するようにしたいというふうにはただいま考えております。
  10. 高平公友

    高平公友君 そこで実は、私、午前中も地元の県議会とか、皆さん一緒陳情に行ってきたわけですが、それはひとつ後で、吉武常務理事さんともまたそのとき申し上げたことなども再度ここで繰り返して、もう少しはっきりした答弁もいただきたいと思いますが、その先に運輸省としまして、住田監督局長さん、やっぱり輸送には大きな影響がありますし、この事故についての考え方と、国鉄に指示してある部分についてひとつこの際、運輸省当局としての考え方をお聞きしたいと思います。
  11. 住田正二

    政府委員住田正二君) 今回の災害によりまして北陸方面の方に大変御迷惑をおかけいたしているわけでございます。現在、不通になったり運休になったりいたしておりますダイヤがあるわけでございまして、こういうものについて代替の手段があるかないか、特に今後夏季のシーズンを迎えますので、そういう点を考慮して国鉄の方で適切な処置をとるようにということで、国鉄の方といろいろ話し合いを現在いたしている段階でございます。
  12. 高平公友

    高平公友君 それではひとつ国鉄に再度お伺いを申し上げたいと思います。  富山あるいは金沢、福井、この辺に上野から参ります列車の本数は、向こうからもこっちからも昼間は四本、夜間、夜行は三本と七つの線がいままで向こうからとこっちからと行ったり来たりしておるわけなんです。その乗客といいますか、これは最近一カ月で、四月二十一日から五月二十日までの実績を調べてもらったんですが、大体一日に北陸の方から上野へ参ります者、三千三百五十人ぐらいの乗車人員であります。必ずしもこっちからまた向こうへ行くのをそれを二倍した単純計算はどうかと思いますけれども、一応便宜上、両方から出ておりますからこれを二倍してみますと六千七百名ということになるわけなんです。ところが、今度ストップになりまして、そのうち上越経由というのは三線ありますし、今度の事故代替として上越へ「白山二号」というのが行き来できるように一つの線だけ多く線ができました。そんな関係で本当にいままでの中で全然今度ストップしてしまうのは、この計算でいきますと片方で千三百九十人、約千四百人なんです。往復ですから向こうから来るのとこっちから行くので約二千八百人、私はそんなぐあいに思っておるわけであります。したがって、六千七百人のうち二千八百人の方は今度のこの事故によって非常に不便を感じておる。特に昼間の場合は大体「白山一号、二号、三号」、「はくたか」と四つありましたものが二本になってしまいましたから、乗降客というのは五〇%しか利用できない、この線で言うならばそういうことが言えるわけなんです。そんなことでもう非常に実は不便を感じておるというような実態、加えましてこれからちょうど七月は学生の帰省の時期であるし、それからお盆の帰省の時期である。そのころはもとより臨時列車で「越前五一号」というのを出しておりますけれども、これはとてもどうもいまのところはだめである。そうなりますと、時期も悪し、ちょうど一番やっかいないやな時期だったと思うんですが、まさに乗客が各線とも目いっぱいふくらんでくるこの時期にぴしゃっと切られたものですから、及ぼす影響というのはきわめて大きいわけなんですよ。  そこでいま、いろいろとそれらの方法について、幸いにも北陸の方は米原回り新幹線利用もありますし、高山線利用もある。あるいは大糸線利用して松本から新宿へ参る一つの線もある。いままた利用しておるのは、長岡まで参りまして、長岡から上越に乗りて来るということで苦心惨たんしながら乗客というのはいずれかの線を選びつつ不便をかこっておるというのが実態であります。そこでどうでしょうか、この代替措置として新宿松本糸魚川富山金沢、これは先ほど午前中も申し上げたところが、どうも糸魚川線電化がなっておらぬからだめだ、それはディーゼルにならぬですかと言うと、なかなかそれは困難だということでありまして、これはちょっと望めぬのではないかという思いで帰ってまいりましたが、新幹線回りですね、米原、これは料金がたしか六千円が九千円になりますから、五割あたりアップしますけれども、これはひとつ利用者もがまんしてもらうとしましても、米原金沢どまりというのはきわめて多いわけなんです。これをひとつ一時間ぐらいですけれども富山まで延ばす、そして新幹線回り利用させる。あるいはまた要すればそのうち一本ぐらい糸魚川へ回す、そして糸魚川からも乗っていただく、こういうような方法もあります。それから高山線をもっとこの際連結とか何か方法を講じて、ここでも一〇%か二〇%吸収するという方法もあります。それからもう一つ金沢富山から出る長岡までの、これは少ないんですけれども特急でもひとつ出していただいて、あるいは特急に少し増便をしまして、そして長岡から上越を回って接続する方法もあるわけなんです。いずれか何かの方法を講じて、こういう災害がありますから、すべて満度にいままでのとおりにこれはまあ利用客利用できるものとは私は思っておりません。思っておらぬが、しかし何かの措置を講じてやることによって、国鉄がこんなときでえらいときだけれども少しでも誠意を示して、こういう厳しい事態に処してはわれわれもひとつ心をあらわしてやるんだからあなた方もがまんしてくれろと、こういうものがなかったら本当にどう言いますか、愛される国鉄といいますか、あなた方がいつも言っておるじゃないですか、そういうものにならぬと私は思うんですよ。どうもきょう午前中陳情してみますと、あなた方の方の御意見では、これは運輸大臣も聞いておってもらいたいと思うんです。グラフみたいなものをつくって、これは時間的にだめです、あれはだめです、あんなことを言っておるような国鉄なら全く情けないんですよ。もっと誠意を示してもらいたい。料金を上げるときばっかり誠意を示されて、いざというときに少しも誠意を示してもらえないのがいまの国鉄の幹部の実態なんですよ。ここらのことについて本当にもっと誠意あるところの物の考え方をこの際聞かしてやると、そのかわり住民だってがまんしろと、まあ五割も上がってもしようがない、米原回ったって仕方ないじゃないかと、そういうようなことだってみんながまんしますから、これに対する本当にあふるる気持ちといいますかね、そんなものをひとつ大いに示してもらいたいと思うが、そういう意味を踏まえて——さっき午前中陳情に行きましたら、もう全くどうもならぬというようなお話でありまして、ずいぶんがっかりしました。だからそういう答弁でない答弁をひとつお願いしたいと思います。
  13. 吉武秀夫

    説明員吉武秀夫君) 信越本線という非常に流動の多い線区が長期間運行ができないということで、まことに御迷惑をおかけしております。そこで、かなり長期間にわたって運休するということで、現在の、さっき御指摘ありましたようなかなりの流動をどういうふうにこなしていくかということは、われわれとしても非常に大きな課題、緊急の課題だというふうに受けとめて、目下なお勉強しておるところでございます。そこで現在、さっき御指摘のありましたように、上越線に「白山」を一本迂回さしておるということで、そのほか信越線につきましては、本日六月一日から関山妙高高原の間をバス代行いたしまして、これは地域のローカル輸送ということもございますが、その相互のやりとりが道路を通じてやれるというような措置もとっております。全体にいままでのお客様、つまり平常時のお客様状況は、先ほど先生の方から御指摘のありました数字のとおりでございまして、大体六千七百ぐらいの上下の流動であろうと思います。現在は多少時期もありますし、そういった災害もあるかと思いますが、多少そのお客様の乗りが落ちておりまして、現在「白山」を一本上越線迂回さしておりますが、そのお客様も大体七割ぐらいの乗車率でありまして、もう少しお乗りいただいても、土、日を除きましてはそれぐらいの状態であるということでございます。  そこで現在は暫定的にそういった迂回輸送あるいは道路を使いましての代行輸送等々やっておりまして、これがもう少しふやせないかというようなこと、それからさらには、夏にかかりまして非常に輸送ピークになってくる、その際の処置をどうするかというようなこともございますので、早急に結論を出すために現在鋭意検討中でございます。  それで、先ほど御指摘のありました各線区についてでございますが、高山線と、それから大糸線につきましては、なかなか人の問題あるいは単線であるとか、あるいは電化が途中まで、大糸線の場合でしたら南小谷から糸魚川まで非電化区間であるというようなことで、電車の延長もできないというようなことがありますので、大糸線につきましてはなかなかむずかしいと思います。それから、高山線につきましても、現在単線区間かなりございまして、早急に措置をするということもなかなか困難でありますので、さっきの御指摘にありましたように、たとえば北陸線で新幹線との接続をもう少しとったらどうかというようなお話もございます。この点につきましても現在勉強しております。これは「加越」という特急とそれから「しらさぎ」というので現在六本、六本ございますが、現在の乗車が大体「しらさぎ」で八九%、「加越」で四八%ということで、現在この辺のお客様乗車の率からいたしますと、もう少し乗りかえてもいけるんじゃないかという感じはいたしますが、夏の期間になりますとかなりそういったような問題もありますので、この辺の勉強を目下詰めておるところでございます。  ただ、現在すぐ延長するかということになりますと、いまダイヤでずっと先ほど来検討してみましたら、富山で大体一時間ちょっとの折り返しでやっておりますので、現在の車両と乗務員ではこれを直ちに延長することはできないので、何か別途の措置はないかということで検討をすることにいたしております。それから上越の方も、貨物の迂回輸送とあわせまして、かなり容量的にきついので、この辺のたとえば寝台を座席車に振りかえられないかとか、そういったことも含めまして何とかピーク輸送に対応できるような勉強を鋭意詰めてみたい、きょう現在、具体的なお話はできませんが、不日そういった結論を得たいと考えております。
  14. 高平公友

    高平公友君 私は、こういう事態に対しましては、国鉄ではひとつ米原回り利用してください、この線とこの線は代替で十分余裕ありますからこうしてください、それから一部の方はこっちへ行ってください、上越へ直接行けるなら直接行って、この辺でこういう便宜を図っておきますと。そして輸送は、新聞でわれわれが読むと、毎日ちょっとこれはえらいことだなということでなしに、国鉄自身があんた、各金沢管理局もあればみんな管理局あるんですから、主要駅に知らしめて、四カ月——何月ごろまでに大体終わります、その間はこの間がだめですから、われわれ考えた方法ではこの線を利用してこう行ってくれ、ここは余裕があるからこういう措置をとりました、こういうことをみんなに知らした方が、あなたは四〇何%とてもいけぬから、信越線だめだから、これはもう東京へはちょっと行くのはおっくうだし、それからまた東京は困難だというような皆さん意見なんです。アドバイスしてやることです。そして、そういう災害があってもわれわれはちゃんとこういうぐあいに対応しましたよと、こんなことぐらいは示してやれば、ワアワア——ワアワアって言っちゃおかしいんですが、皆さんが不安を感じてわざわざ東京陳情やるって言われぬでもいいんですよ。そんなことやりましたか、全然やってないでしょう。わりあいに親切心の足らぬこと——恐らく従来、運輸大臣が昨年のあの法律改正のときもわれわれ新しい気持ちでやりますと言われました。私、どうも運輸省陳情に参りますと、住田局長初め皆さんは本当に心配して、これは大変だな、これは何か方法ないかなと、こうおっしゃる。国鉄へ行くと、図面みたいなものを書いて、これは全然延ばしもできず、人員もどうもならぬし、ほかの運転士回されませんかと言ったら、それはだめだ、もうにべもないような実は感じを受けたわけなんです。だから、それはもうお客様は神様ですからね、乗客あっての国鉄でしょう。だから、お客さんに対する態度としては、今度はこういう方法とこういう方法で、こっちは多少料金が五割アップになりますけれども、緊急やむを得ないからこういう措置でやります、そういうことを示して、そして早急に、いつまでにこれは直るんだが、暫定的にはこういう措置とこういう措置をしますということをやっぱり早く示していただきたいと、こう思うんです。  まあ、この後運輸大臣にひとつまたその考え方もお聞きしたいんですが、私は、昨年の国鉄運賃改正のときはしばしば皆さん説明においでになった。ところがこの災害が起きたってだれひとり説明に来るわけではなし、こっちが頼みに行けばなおさっぱり取りつく島がないようなそういうあり方では、私はまことにどうも納得でき得ないと思うところがあったわけでありまして、決してこういう思いをさせないで、心いっぱいのやっぱり対応をとっていただきたい。そうすれば、われわれも協力して、こういうことだから皆さん国鉄も一生懸命やっておるんですよと、こことこことここがあるじゃないですか。方法は幾つもあります。そういうことを地方の、たとえば富山駅長富山駅長にはこうします、こうしますということぐらい言えばいいが、富山駅長自身がさっぱりその方向がわからない。いつまでに完成するか、どういう方法が出るか、目下いろいろと協議中ということより答えぬじゃないですか。そうするとますます不安になってくるということとなんですね。それはひとつ強く要望いたしておきたいと思います。  私の時間がもう終わったものですからこれ以上申し上げませんけれども、ひとつ早急にこれらに対して明快な方向を打ち立てていただきたい、これを強く要望しまして、最後に運輸大臣に、いま申し上げましたが、これらのことについて大臣としてのこれらの大きな事故に対しての考え方をひとつ伺いたいと思います。
  15. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 先刻来高平さんからいろいろ伺っていて私自身も痛み入っている次第でございます。国鉄では、大いに勉強しまして勉強しましてと言いましたが、勉強した結果どうにもならぬというんじゃこれは勉強したような気が、そういう気持ちが与えられないようなことにもなりますので、私は、この席で運輸大臣といたしまして、勉強して、その結果、高平さんたちからまあよかったと言っていただけるようになるようにということで大いに努力をいたしたいと思います。  先刻来まあ代行輸送あるいは迂回輸送等についてもいろいろお話がございました。実はいまお話のあった部分で、大糸南線については四十年ほど前に私の一族があの鉄道を所有しておりました。その後国鉄がどうしてもよこせと言うので国鉄に渡したのであります。その線も今度のこと等についてあんまり役に立ってないということでは残念に思う次第でございまして、私はただいまのお話を伺いつつ、ぜひここいらあたりで国鉄というものが本当に国民から愛されると、そういう気持ち国鉄を建て直してやろうというようになっていただけるようにせいぜい努力をいたしたいと思います。
  16. 高平公友

    高平公友君 ありがとうございました。終わります。
  17. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 いま高平先生からあったから、物のついでにいまの妙高高原事故の問題について一、二お尋ねしますが、私は湯桧曽の落石事故、それから上越線の電車の落石による脱線事故、あの際の上越線とか信越線という、非常にカーブが多い、土質が悪い、ああいう地区については林野庁、建設省、運輸省国鉄、それに大蔵と、こういうような関係官庁が集まってやっぱり総合的な点検と対策と事故が起きたときのその対応策という点は前からやっぱりやっておくべきだ、点検をすべきだ、そういうことを再三再四提言しまして、当時の石田運輸大臣、それから田村運輸大臣、みんなオーケー、オーケーと、こう言ってここで答弁しておったんですよ。私が聞きたいのは、今回の妙高高原事故は、そういう林野庁、建設省、運輸省などが集まって点検をした地域なのか。そして点検をした際に土質の関係から非常に危険な区域だとマークをした地域であったかどうかという点を、まず私は冒頭いままでの経緯から言って聞きたいと思うんです。  そして、私に答弁した、総理府が中心になって全体の調整をするという、その機構が本当に中身のある運営がされているのかどうか。一つの国会答弁用の、その場しのぎであるんではないかということを疑われるような私は気がしてならないんです。その点で、これは大臣に、大臣の引き継ぎあるでしょうから、石田、田村、福永と、こういう三大臣ですから、湯桧曽事故以来ですね。そういう引き継ぎがあったのかどうか。  それから国鉄にお伺いしたいのは、点検した地域になっているのかどうか、その点をまず前段の問題として私は一回だめ押しをしておかないと同じことが繰り返されると、こう思うので、大臣国鉄側にひとつ答弁してもらいたいと、こう思うんです。
  18. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいま目黒さんのお話の点は、事務当局間ではある程度の打ち合わせ等はもちろんやっていると思いますが、正直に申し上げまして、最高責任者、大臣等の間で特にこの問題についてということではまだ大したことはやってないように私は思います。早速やることにいたします。それも答弁用で言っただけで当分やらぬというんではなく、早速やることにいたしたいと思います。
  19. 高橋浩二

    説明員高橋浩二君) 今回災害の起きましたこの妙高高原につきましては、こういうふうになるとは実は私の方は予想をいたしておりませんので、この地域につきましては、私の方のいわゆる要協議個所というふうなことにはなっておりませんでした。いまそれ以外の、前々から先生指摘のように、全国で比較的線路に数百メーター程度の近接した地域において、いろいろ落石なりあるいは土砂等の崩壊してくる区間については、非常に個所数は多うございますけれども、ただいまのところ数カ所選びまして、建設省あるいは県等と、あるいは林野庁も含めまして実際に御協議を申し上げておるところはございます。しかし、これをもう少し幅広く全国的に広げていきたいということで、ただいま、イグザンプルと言うと物の言い方は悪うございますが、数カ所につきまして、どういうふうな協議をすればいいかということを例として詰めながら、協議を申し上げているというのが今日ただいまの状況でございます。
  20. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私は、災害対策特別委員会が現地調査をした、その際にこの資料をもらって、災害対策特別委員会に、林野庁は治山の要注地域である、建設省の方は砂防関係の要注地域である、それから道路関係は、上の方から流れてくる危険性があるので、ここに歯どめをして何回か要注地域でやっておるんだ、しかしそのせきを乗り越えて流れてきて、それでこの線路まで来たんだと、こういう説明で、逆算すると、これは林野庁も建設省も国鉄も、もともとこれは説明を見ますと、非常に危険区域というふうに認定してもいいような地域じゃなかったんですか。事故が起きてみるとああだった、こうだった、ああだったと釈明するけれども、私はそれが起きてからでは遅いから、この前の湯桧曽の問題も、上越線の電車への落石事故も、やっぱり関係官庁がきちっと連携持って点検しなさい、あの際はヘリコプター使っても山の上からでも点検しましょう、そういうきわめて具体性のある答弁しておるんですよ。だから、ここは林野庁、建設省、それから自治省、それから国鉄、みんなが要注地域だと言っているんですから、事故が起きる前にもう一回十分な手を打っておけば防げたんではないかという気がするので、それを防ぐために私は事前の策が必要だ、こう言って、この前もいろいろ言われて、今度は九十億近く国鉄の予算もらったでしょう。そういうものについてやっぱり私は前向きにやるべきだと、こう思うんです。ですから、これは大臣がいみじくも言いましたから、ひとつ大臣の言葉を信用して早急に——大体危険区域わかるんですからお互いに、道路の危険区域、線路の危険区域、お互い皆経験を持っているんですから細かいこと言いません。やはり実のある関係者間の協議をやってもらいたい、こう思うんです。それは要望です。  それから、大臣ね、ちょっと聞いてみたら、一体これどのくらい金かかるんだと言ったら、国鉄は十億ぐらいかかる、当面のやつにね。どこか、これはとりあえず大船渡線の北上川の鉄橋を持ってきてそこにつけかえる、そういう計画もあるようだ、こういう話を事務的に伺っておったんですが、やはりこういう国鉄だけの責任でなくて、林野庁、建設省、そういう総体の、この発生する事故についてはやはり国鉄だけが、あるいは運輸省だけが復旧の金を負うんではなくて、やっぱり国全体としてこうやれと、こういう措置をできるような方法をこの段階では、これだけでありませんが、今後もあることですから考えてやるべきである。先ほど高平先生の質問を聞いていますと、国鉄側、金の関係もあるから当面は、当面は、当面はと、こう言ってわけのわからない答弁しておりますから、やはりこれは国でやるんだから四カ月のところを三カ月でやります、そのかわりお金の方はひとつ政府全体で見てください、それはやりましょう、こうなればいろんな手も私打てる。金がないものだから金のことが、財布の方が頭にきちゃって、もじゃもじゃ、もじゃもじゃしていると、こういうような気もあるんですから、大臣、この辺の復旧についてはやはり関係閣僚間で早急に国全体の立場で措置すると、そういう考え方をぜひお願いして、高平先生意見に沿うように復旧の見通しを早く立てる、対応策を立てるというふうにしてもらいたいと、こう思うんですが、大臣の考えをひとつお伺いします。
  21. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいまいろいろお話がございました。私もぜひそういう考え方で対処したいと存じます。
  22. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ、お願いいたします。  それから、きょうは決まった時間だそうです、六十分でやれということですから、私の関係は終わります。  成田の問題で、いろいろ大臣、それから関係局長さん、あるいは空港公団の方々大変御苦労かけて、私自身も御苦労だったと思っております。私ももぐりで二回ほど現地に行って、あの手この手で見てまいりましたが、いろんなことがありました。それはそれとして、しかるべき機会に総括的な問題点をやらざるを得ないと思うんですが、ただ一つ、私は空港公団に聞いておきたいのは、燃料輸送の問題についてどういうことなのか、私もちっともわからなくなっちゃった。開港してまだわずかですね。開港してわずかなのに、もうとても油が足りないから国鉄側に油の、タンク輸送の増便をやってくれ、そういう話があったとかなかったとか、千葉日報の現地の新聞に出てみたり、いろいろ私も私なりに情報を聞いているんですが、本当のところ、この燃料輸送については空港公団は最初の計画といま新聞に発表している計画は本当にそうなのかどうか、この辺の燃料消費の見通しなどについて責任ある答弁を私はしてもらいたいと思うんです。新聞にはああいう発表をする、われわれの国会ではこういう答弁をする、少なくとも国会で答弁することがやっぱり私は最も信憑性があると、私はこう受け取るんですよ。新聞に発表する前に、まずわれわれに発表してくださいよ、提案をしてくださいよ。そういう点からいうと、いろいろな新聞に発表されておるこの燃料の問題はどこが本当なのか。大体三年間の燃料暫定輸送ということでありますから、三年で結構ですから、最初の計画はこうだったと、現時点ではこうだと、三年を展望するとこうだと、そういう三つぐらいに区分けして、総裁の責任ある答弁をまず冒頭聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  23. 大塚茂

    参考人大塚茂君) いろいろ燃料につきまして御心配をいただいておりますが、新聞にいろいろ開港後も出ておりますが、決して実は公団が発表したわけではございません。どこからかのソースを得られてお書きになったというふうに思うんですが、必ずしも正鵠を射ておるというふうにも私どもは思わないんでございます。  それで、成田空港の燃料の計画でございますが、最初、公団が成田空港の燃料輸送、ことに暫定輸送につきまして計画を立てましたのは四十七年でございます。そのときの羽田の消費量は、大体平均で一日三千五百キロリッター——四十七年がですね。それで、当時は公団としては四十八年三月を開港の目標にしておった時期でございますが、四十八年にはそれよりふえるけれども、大体一日四千キロリッターで当分賄えるであろう、というふうな考え方から、当初は一日約四千キロリッターということをわれわれの計画として、関係の向きにも御説明をしておったわけでございます。  ところが、だんだん開港が延びまして今日に至ったわけでございますが、大体五十年までは三千キロリッター台であったようです。五十年から四千キロリッターを少し超えてきたというのが羽田の実績でございます。そうした羽田の実績をもとにして、現在、私ども、燃料の需給関係の計画を立てておるわけでございますが、現在の計画では、羽田をもととしまして掛けているわけですが、結局は輸送量というものが問題でございます。地元その他と私どもが約束をしましたのは、鹿島方面から五列車、それから千葉方面から二列車ということでございまして、これを数量にいたしますと、大体一日の輸送量が五千五百キロリッターというふうになります。これは一日当たりでございますから、年間三百六十五日全部運ぶというわけにいきませんので、大体三百三十日ぐらい−休みその他、運ばない時期があるということを考えますと、平均すると、年間にならすと、大ざっぱに言いますと一日四千五百キロリッターぐらい、というふうな数字になるかと思います。その枠内でさしあたりは便数を考えていただきたいというふうにお願いをいたしまして、現在のダイヤが大体決まったわけでございます。それで、開港後の消費を見てみますと、まだ実はノースウエストが長期のストライキをやっております。したがって、正確にどれだけかという見通しを得るまでのデータは得られておりませんけれども、現在まで大体見ますと、少ないときが一日三千三百キロリッター台、それから多いときが、最も多かったときで三千九百キロリッターというのが現在までの成田における供給量でございます。  現在そういうふうな状態になっておりまして、われわれとしては現在一日五千キロリッターずつ運んでおりますが、それに対する消費といいますか、供給の方が、さっき申し上げました三千三百キロリッターから三千九百キロリッターというような現状であるということでございます。ノースウエストのストが終わった段階でどれぐらいになるかということが正確につかめると思いますので、そうなりましたら、それに基づいての三年間の需給関係というものをさらに見直して立て直しをしなければいかぬというふうに考えておりますが、さしあたっての実情はそういうことでございます。
  24. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、いま三千三百、三千七百と、ノースウエスト、いろいろ数字とり方ありますが、大体九百前後ということをいままでの実績から見て言われている。  それで、おたくの公団理事の千葉博運用局長さんておりますね。この人が、どこかの新聞とか雑誌だとか名前は言いませんが、その人が言っておるメモを私とったんですがね。やっぱりまだまだこれでは足りないので、十月一日を目途に国鉄側に増便をお願いする、そういう考えを持っているということを、ある雑誌か新聞か知らぬけれども、そういうおしゃべりをしているんですがね。だから、いま公団総裁の言う慎重な言い方にはそれなりに敬意を表しますが、この千葉博運用局長の発言内容を見ると、ノースウエストがやる、チャーター便が出てくる、今後どんどん需要が出てくる。そうしますと、どうしても国鉄側に増便を要求する以外ないという考えを明らかにして、そのめどはことしの十月一日ということになっているんですよ。十月一日というのは、国鉄ではダイヤ改正の時期なんですよ。だから、本当にそういう気持ちでおたくの内部で意思統一をして国鉄側に申し入れようとしているのか、これは千葉運用局長個人の、運用局長としての個人レベルの考えであるのか。公団全体として、これはどうにもならぬから国鉄側に要請しようと、十八両編成を二十両編成にしてもらいたいとか、そういうのが、個人の考え方かもしれませんが、具体的に出ているわけですね。大体五千から六千キロ、このままでいくと備蓄の量がだんだんなくなってしまう、どうしてもストライキがあったり、この前のような車両脱線があったり。そうしますとこのままでは.綱渡りの運用だという言葉を使っているんですが、公団側として、この千葉運用局長考え方が、公団全体として、燃料という点から見るとこうあってほしいという固めたやつをいま持っておるのか、あるいは検討段階なのか。あるいは検討段階であれば、いつごろ——ノースウエストが運航を開始したあたりで最終的に固めようとしているのか。その辺、いままでのデータはわかりましたが、千葉さんの発言を中心に、公団側で考えがあるのかどうか。あれば聞かしてもらいたいし、それがどのような折衝になっているか、それも含めて聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  25. 大塚茂

    参考人大塚茂君) 先ほど申し上げましたように、羽田の実績をもとにして考えますと、私どもが考えておる供給量では非常に、何といいますか、幅がないというふうなことになるという予想はございました。ところが実際にやってみますと、羽田より積み込み量が意外に少ないというのがいまの状況でございまして、これから本当にこの少ないままでいくのか、あるいは羽田並みにあるいはそれ以上になるのかということは、いままだ断定を下し得ない段階でございまして、したがって公団としては、輸送量の増加を計画するか、それに基づいて列車の車両数の増加とか、あるいは便数の増加をやるかというような、まだはっきりした計画は固まっておりません。恐らく、うちの千葉理事が言ったというのが、そのとおり言ったのかどうかはわかりませんが、もし彼が、燃料について多少心細いということでも言ったとすれば、それは、要するに成田での消費の実績が出る前に、われわれが羽田の消費量をもとにしてはじいた場合にはそういうふうになるおそれもあるというふうな話が出ておったことを、どういう表現を使ったかわかりませんが、言ったのではなかろうかというふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたように、目下その実績といいますかを把握中でございまして、これを把握しないと将来についてのはっきりした計画はまだ立てられないという状況でございます。したがって、まだ国鉄さんに十月一日からどうこうというようなことをお願いしたというようなことにはなっておりません。
  26. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 わかりました。そうすると、千葉さんの個人的考えであればいいんでありますが、ある程度頭の中で考えることだと、まだ要請してないということがわかりました。  国鉄側にお伺いしますが、いま公団側からあったとおり、燃料輸送の増便については正式にはまだ何ら受けていない。新聞によると、千葉事務所なり本社段階で検討中だという表現で報道しているんですが、現実の段階ではそういう要請を受けてないということを確認していいんですか。
  27. 田口通夫

    説明員(田口通夫君) 御指摘のとおりでありまして、正式の要請は受けておりませんが、私どもとしては、要請を受ける受けないにかかわらず、もし輸送力の増強が必要であった場合ば勉強しておこうという程度のことでございまして、一番お金もかからずに、また人力もかからないでできるだけコストを安く運ぶ方法はどうかという事務的な勉強はしておりますけれども、要請もございませんので、大塚総裁が申されましたように、現在五千キロ送っておりまして、比較的消費量が少うございますので、むしろこの実績を見てからおなかの中を決めたいと、こういうふうに考えております。
  28. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 わかりました。  それから航空局長、私も意地悪なものですから、燃料の問題やら、二期工事の問題やら、あるいは大臣の現地農民との話し合いの問題やら、あるいは新聞を通して目に映るところを見ると、運輸省と警察庁の関係が必ずしもしっくりいってないというような話もいろいろ聞かされるわけですが、この成田問題が、燃料問題、警備問題を含めてどうなるのかというまだはっきりした見通しが……いま一生懸命やる段階で、この新聞の発表はこれはどうも私は腑に落ちなかったんですよ。これは何新聞ですか、読売新聞五月二十四日、「羽田〃再生〃計画まとまる」という、わざわざ図面までかいて、あるいは図面かいていますから、ブン屋さんも専門屋はあるだろうけれども、こんなに詳しく図面をかいているということは、これはやっぱり情報提供は、私は航空局だと思うんですよ。そうすると、あれだけ成田の論争をやって、横風問題のある際に一部向こうに行くかもせぬという、緊急避難的な答弁があったとしても、当面成田に全力を尽くすんだと言っている段階で、羽田の計画という点は、どういうねらいとどういう政治的な駆け引きを求めようとしてこのニュースを提供したのか。私は、いままで信頼していたけれども、不信感がどうも片方に残る。  したがって、あなたたちの本当のねらいは何なのかという点を、もう両てんびんかけているのか、もう成田に全力投入して、成田の事態収拾を図って、そうしてこれが国際空港としてある程度の整備をしたならば、この運輸委員会の場を通じて、全体の航空政策がどうあるべきか、空港問題はどうするかという点を十分に時間をかけて議論しようやというその路線とどういうかかわり合いがあるのか、どうも私は釈然としませんから、本当のところの見解を、これは正式決定なのか、新聞屋さんが適当に取材したことなのか、その辺を含めて責任ある答弁をぜひ聞かせてもらいたいと、こう思うんです。
  29. 高橋寿夫

    政府委員高橋寿夫君) お答えいたします。  新聞の記事の中身につきましては、直接私どもも何ら関知していませんけれども、その記事を書こうというきっかけを私が与えたかもしれません。それは、その日の一日か二日前でございますが、記者会見がございまして、成田に国際線が移った後の羽田の空港はどうするのかという質問がございました。つまり、羽田空港の国内線の増便問題をどうするのかという質問がありました。いま全国各地から、成田ができた後では羽田の増便をしてくれという話がたくさん来ております。これをどうさばくのかという質問があったときに、私が答えまして、いま百五十回ほどの発着能力が羽田として余裕がございます。国内線が約三百ありまして、国際線が百五十ほどございまして、この百五十が成田に移るわけでございますから、百五十ほどあきます。あきますけれども、これは、いま要望が出ている分をすぐ認めてしまいますと、もうそれでかなり満杯になってしまう。で、恐らくこれからも輸送需要は伸びるでしょうから、たちまちにしてついせんだってまでの羽田の過密状態、つまり四百五、六十発着という過密運用の事態がすぐ来てしまう。これでは困るんですと、したがって、羽田の増便は小出し小出しにやりたいという話をしたわけです。  それで、そのときに私どもは、百五十発着の余裕があると言いましても、このように国内輸送需要が伸びていくならば、だんだんやはり満杯になる。そこで、将来のやはり東京周辺の航空輸送需要を考えると、どんなに私どもが、たとえば新幹線に移るようにとか、いろいろやりましても、やはり遠距離旅客等が航空に参りますので、だんだんふえてくる。そうすると、六十年ぐらいになりますと、あるいは六十年になる前に、羽田はもう満杯になってしまうということがこれは当然予想されるわけであります。そこで、何としても羽田の沖に私どもはもう一本ほしいんですと、六十年ぐらいまでにはほしいと、こういう考え方を持っております、どんなに早くつくっても六十年、あるいは工事的には六十年でできないという説もあります、そうすると、どんな早くても、六十年まではいまの羽田で持たせなければならない、そこで国内線の増便は、そう右から左にやれませんという答えをいたしましたらば、裏から返しますと、じゃ、六十年ごろまでにもう一本つくるのかなと、こういうふうに新聞記者の方がおとりになって、それでそういう記事を書いたということだと思います。  そこで、そこにございますような空港の絵でございますが、こういったものは新聞記者が勝手にかけるわけじゃないという御質問、ごもっともでございまして、私どもは、羽田空港を仮に沖合いに延ばす場合に、どういう計画にしたらいいかといういろんな案を持っております。その案のうちの一つがそこにたまたま漏れたというふうに考えておりまして、最終案ではもちろんございません。  そこで、一方羽田の沖合い展開のことにつきましては、東京都の知事さんが、すでにもう田村運輸大臣のころですから、おととしの暮れごろでございますか、見えまして、何とか運輸省の計画々明らかにしてほしいという話がありまして、私たちなかなか計画を立てるのはむずかしいものですから時間がかかっておりましたところが、再度お見えになり、また福永運輸大臣になってからもお見えになりました。福永運輸大臣になってからお見えになったときには、東京都として案を持ってこられまして、東京都の案は、大田区、品川区の住民に対する騒音をなくなすということのためにいまの羽田空港の用地をすっかりきれいにして沖合いに移ってください、いま沖合いにほぼ同規模、若干規模大きいんですけれども、羽田空港より若干規模の大きい用地が埋め立て中でございます、そこへそっくり移ってください、そして残りの用地は全部地元の緑地公園にしたいと、こういう案を持ってこられました。この案は要するに、いまの羽田空港がそっくり移るだけということで、全然能力がふえてない案でございます。東京都のねらいは、それによって公園をつくることと、それからまあ、陸岸から離れますから、大田区、品川区の住民に対する騒音が減るということであるわけでございます。ところが、私どもはこれに対してまだ返事をいたしておりません。東京都からは早く返事をするように要請があるのでございますが、なかなか案が決まりませんで返事いたしておりません。どういう返事を持っていくかまだ決めておりませんけれども気持ちとしては、東京都のおっしゃるように、いまの規模が全然変わらないというのでは羽田の将来というのは困るんじゃないか、したがって、でき得べくんばもう一本滑走路をつくりたい、これは成田の国際線との絡みではなくて、純粋に国内線用の滑走路としてもう一本つくりたいと、こう思っているわけであります。しかしながら、沖合いに出す場合には当然あの辺を航行しております船舶の問題、東京港のコンテナヤード等の関係もありまして、いろいろ問題がありますので、港湾局とも海上保安庁とも十分詰めまして運輸省の案を出したいということであります。まだこのことは省内でも結論を出しておりませんので、そういう状況を御報告いたします。
  30. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 事情はわかりました。  大臣にお願いしたいんですがね、まああれだけ成田の問題で議論した経緯もあるし、時間があればパイプラインの問題、騒音の問題、特定空港騒音防止法で議論した段階の騒音の認識と現状の認識は大分違うじゃないかと、大分言いたいことはいっぱいあるんですが、きょうは時間がありませんからそういうことについてはまた折を見てやるとして、これだけ空港問題で天下を沸かした事案ですから、空港問題等についてはもう少し慎重に、そしてわれわれこの運輸委員会委員の話を十分各党も含めて議論を聞くなり、あるいは民間のそれぞれの責任者を呼んで参考意見を聞くなり、そういう大局的な議論をもう一回やっぱりやるべきじゃないのか。  それから前の田村大臣のときもちょっと言ったんですが、新幹線新幹線で、私が国鉄出だからかばうわけじゃありませんが、一体新幹線と国内航空のコントロールをどうするのかという問題も私はあると思うんですよ。大臣はこの前の運輸委員会で、五線復帰の問題については軽々しくどこどこにはさせませんと。ここでこの前私に答弁したその次の日は長崎新幹線がばっとやって、大体長崎は、SSKの関係で長崎新幹線はもらいましたよというようなかっこうがばっと九州の新聞に出てしまう。そういう委員会で議論したけれども委員会の議論は委員会の議論、行政は行政、別な方は別の方にいってしまうと、そういう運輸行政は私はそろそろ卒業してもらいたいと思うんですよ。ですから、そういうものも含めて空港と国内のいろんな交通機関、手段——この国会が終われば公共企業体基本問題調査会から国鉄分割論が出てくると。そういういろんな多面性があるんですからね、単に国内航空だけが私は焦点じゃないんだと思うんですよ。ですから成田問題に全力投入して、それでこれが終わった段階でやっぱり総合的な議論を一回時間をかけてしてみる、その中からどうするかという新しい運輸行政の手段を選んでくるというぐらいの慎重さはぜひ私は望みたいんですが、大臣いかがですか。
  31. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ある程度私が申したいようなことを目黒さんおっしゃっていただいておるわけでございます。  新幹線との関連等で言及されるところがありましたが、私は別に新幹線をどうというようなことは余り言ってないのです。ただ新聞には出ます。新聞というものはああいうものだろうと私は思うのでございますけれども、私が言っているようなこととはおよそ違ったことも出るわけでございます。ことに長崎新幹線というようなものは、地元は地元の希望があるから、それと関連してのことが活字等にもあらわれる場合がありましょうが、私はそういうことはちっとも言っておりませんし、実は最近につきましても、党としては政調会を中心に新幹線の扱い等についてある種の決定というか、構想というか、そういうことを大いに論議されたようであります。しかし、政府はそれをうのみにして、そのとおりやりますなどと言っておる次第ではないわけでございます。党は党の立場においていろいろそういうことがございましょうから、これも参考にしながら今後に対処していくと、こういうことでございます。したがって、いまお話しのような点につきましては、まさに総合的に検討をして考え方を進めていかなければならぬと思っております。そういう意味で、いまお話がありましたように、私どもも今後も大いに勉強してまいりたいと思います。  その前に、警察と私ども大分違うようなお話は、そんなことないんです。それはまたでたらめなんで、もし場合によったら警察の責任者をここへ一緒に連れてきて対決さしてください。そんなばかなことがあるわけはないんでございまして、どうぞひとつ、私は、本当に真剣に成田の問題等に取り組んでおりますから、政府部内でそういう意見の不一致等があって、この問題に政府がばらばらで対処しているかのごとき印象を与えることは、これは間違いでございます。何かわれわれの方でそういう間違い、勘違いを感ぜしめるようなことがありましたら、私ども大いに改めなければならぬと思いますが、私どもの真意はそういうことであり、真相もそういうことであると。もし違っているなら私は警察を呼んできて言ってもらいたい。しばしばそういうことが伝わるということは私は心外千万である。私は私なりに真剣にこの問題に対処してきているのに、政府部内にそういうことがありとするならば、私ははっきりさせることははっきりさせなければならない。こういうふうに思います。事ほどさように私は真剣に対処しておりますことを御理解をいただきたいと思います。
  32. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 政府部内のことですから、大臣の言葉を信用したいと思います。  ただ私、一点だけ要望しておきますが、国鉄の燃料再開の問題をめぐって、私は大変なことに一回ぶつかってしまいました。これは五月の十七日に、土屋中継基地に国鉄のDD一三をもって線路見習いに入った。線路見習いに入って乗っていったら機動隊にとめられた。ばばっと三十名ほど機動隊が出てきて、あの武装物々しい機動隊が出てきて、とまれ、お前ら何者だという話があった。何者だって、土屋中継基地の燃料輸送の再開をめぐって、これは引き込み線であるから線路見習いに来たと言ったら、お前ら本当に国鉄の機関士かと。ばか言うな、国鉄の機関車に乗っている機関士に何言うかと。信用ならぬ、とまれ。それで囲まれて、それで、通す通さないでやり始まって、たまたまタンクのところに国鉄のOBの方々が働いている。そこの所長さんだか課長さんだか機動隊の指揮者が連れてきて、全部乗務員一人一人首実験した。これ本当に国鉄の機関士か、機関士か、知ってっか、知ってっか。それが先輩なものですから、みんな間違いなく国鉄の機関士ですと。ああ、そうか。となって、今度は首実験された機関士の連中はそれは納得しないですよ。線路見習いはやめた、帰ると。こういう事件があったんです。ですから、私は警備の問題について、大臣の問題については信用しますが、あれだけの段階ですから手違いもあるでしょう。しかし、私は手違いがあったときは手違いがあったと言って、率直に現場の警備責任者は、当該乗務員に、あるいは当該乗務員を管轄する区長さんがおるわけです。区長とか鉄道長に対して、こういう手違いがあったと、今後注意するからと言うぐらいの私は素直さがあってほしい。国鉄の機関士は助役から判こもらって何月何日何時何分どこの線路に行くと、ちゃんと手帳見せても信用しないと言うんだ。手帳の見方、機動隊知らないからね。われわれ専門屋だからああそうかとわかるだけであって、その点はありますが、しかし、少なくとも業務上線路見習いに行った乗務員を、そういうかっこうで三十名でばばっと囲むということはやっぱり過剰防備だと、過剰警備だと、こう思いますし、間違いがあったら素直に、いや申しわけなかったなと、今後注意しようという私は素直さがあってほしいということを、これは要望しておきます。そういうこともあるものですから、警備と運輸省というのはどうかという疑念を持っておったんですが、その点は大臣のことを信用しますから、そういう点でお願いしたいと思います。  それから、あと二十分しかありませんから日本航空側にお伺いしますが、日本航空の労働政策については私はこの委員会でもあるいは社会労働委員会でも二回ほどやったことあるんですが、実はこれは去年の、これも五十二年の十月の十二日の朝日新聞です。「柳腰のスチュワーデスはいなくなる?! 腰痛訴え、回答の七割 労組調査 響く不安定な姿勢」というこの新聞記事が載っておったんですが、私はそれからずうっと関心を持ちまして、国際線にたまたまお世話になる際にも、この新聞記事と実際に働いている皆さんがどうなのかなというような関心を持ちながらずっと今日まできたんです。ですから、この問題について日本航空はこれを認めるのか、いやそれはちょっと違うという見解をお持ちなのか、この件に対する率直な受けとめ方をまず冒頭聞かせてもらいたい、こう思うんです。
  33. 萩原雄二郎

    参考人萩原雄二郎君) お答えいたします。  組合が調査をいたしまして、七〇%以上の客室乗務員が腰痛を訴えておるということを発表しておりますことは私どもも承知しております。組合の出版物によりますと、調査対象は千三百二十二名、そのうち異常を感じる人が九百四十五名ということで、日本航空においては七一%だと言われております。しかし、日本航空におきまして毎年客室乗務員については健康診断をしております。その実績は、五十二年度におきましては二千五百七十九名健康診断を受けてもらいました。その際、腰痛問題が非常に大きな問題になっておりますので問診をいたしまして、問診表に腰痛があるかどうかということを問い合わせております。その集計によりますと、二千五百七十九名のうち常に自覚症状があるとしております者が二百二十二名、八・六%でございます。それからときどき自覚症状があると言っておりますのが九百七十六名、三七・八%でございます。両方足しますと千百九十八名で四六・四%、それ以外に過去に自覚症状があったけれども、いまはないというのが百六十四名で六・四%、また自覚症状がないと答えておりますのが千二百十七名で四七・二%ということで、ここの数字は七〇%以上という組合の数字に対しましては四六・四%の数字であるということで、数としては食い違いがあるというふうに考えております。
  34. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 数については七〇%と四六・九ですから約二〇%強ですか……
  35. 萩原雄二郎

    参考人萩原雄二郎君) 四六・四%でございます。
  36. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 違いはあるけれども、やつ。ばり腰痛という自覚症状と、ときどき訴えることを含めて、そういう仕事そのものがやっぱり腰痛にかかわる仕事であるということは客観的には立証されるわけですね、大体半分近くが訴えるんですから。自覚症状がある、ときどきあるのが合計四六・九でしょう。それはわかりました。  そうしますと、労働省来てますか——労働省は、これ五十二年の十月二十七日、やはり日本航空のアシスタントパーサーである家田さんと小島さんが大田労働基準監督署長に対して業務上災害認定の申請をされておるわけでありますが、いまだに結論が出てないというように聞いているんですが、この経過はどんなふうになっているんですか。
  37. 原敏治

    説明員(原敏治君) お話日本航空のアシスタント。八一サーの方二名に関係しますところの腰痛症の災害補償認定が、大田の労働基準監督署に昨年出ております。この請求を受けましてから大田の労働基準監督署では、作業の実情、内容とかあるいは症状の経過などにつきまして詳しい調査を実施しておりまして、業務とその疾病との間に因果関係があると認められるかどうか、この辺に重点を置きながら、しかも当人たち基礎疾患等がどんなふうにあったかというようなことも関連させながら、専門の先生にまた意見を求めて調査を現在続けているところでございます。  先生御承知かと思いますが、職業性疾病としての腰痛につきましては、災害によって腰痛が発生する場合、すなわちけがなどによって発生する場合と、そういうことがなく不自然な姿勢等を持続することによって腰痛になる場合とがございまして、従来から認定がなかなかむずかしくて時間を要しておりました。一般の災害等につきましての認定等については、二週間程度で大体認定できておるんでございますが、職業性疾病につきましてはなかなか困難な問題がございますので、調査が時間を要しておるのが現状でございます。特にこの件につきましては、五十一年に職業性疾病の腰痛に関しまして認定基準というのをつくりまして、専門家の意見によりまして認定の促進を図っておるわけでございますが、その認定基準に該当しない項目といいましょうか、症状でございますので、調査が込み入った形で行われなければならなくなっておりまして、時間を要しているような次第でございます。近いうちに結論が出ようかと思います。
  38. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 何かこの案件は、聞くところによると東京労働基準局の方に上がっているという話も聞いているんですが、これは結局大田労働基準監督署でなかなか問題の解決がむずかしいから東京の基準局の方にいったのか、どういう関係で当該の一番現場に近い大田の労働基準監督署が取り扱いができないのか、その辺のかかわり合いはどうなっているんですか。
  39. 原敏治

    説明員(原敏治君) 一般の腰痛につきましても、日本航空の搭乗員等につきましてすでに過去何件か大田の監督署で認定をいたしております。しかしこの二名の方の腰痛につきましては、先ほども申しましたように、なかなか困難な問題がございます。認定基準に直接当てはまらないというような実情にございますので、その上級官庁でありますところの東京の労働基準局の指導のもとに調査を実施し、またその結果について専門医等の意見を聞くなどにつきましても、東京の基準局の指導のもとに実施しておるという形をとっております。事案がそういう事案でありますためにこのような形になっておるところでございます。
  40. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 これは私もいろいろ立ち入って聞いてみたり調査をしたりしておるんですが、どうもこの問題については会社側も労働省側も何か釈然としない、割り切れないものを私持っているんですよ。本当はきょうこれだけでも二時間くらい関係者に全部来てもらってやりたいと思っておったんですが、いろんな事情があって、私も問題提起だけいたしておきますが、日航側にお伺いしますが、本来おたくの方はある健康な方を雇ってある仕事をさして、その仕事をしながら、いま言ったように、途中での訴えを含めて四六・四%というのがやっぱり問診で出てきているんでしょう。こういうことになると、結局おたくの仕事それ自体がやっぱりそういう職業病を誘発する環境にあるんだという点はおたくは認めざるを得ないと思うんですが、これはお認めになるんですか。
  41. 萩原雄二郎

    参考人萩原雄二郎君) 私ども先ほど四六・四%ということを申し上げましたが、私どもももちろん腰痛の専門家ではございませんので明確なことは申し上げかねますが、ある大学の調査によりますと、一般的にも現代において非常に腰痛が多いということから、二十歳代で三七、八%の腰痛を訴えているという話も聞いております。また、確かに客室乗務員について多いということは私どもも認めてございます。ただ、多いということだけをもって労災とできるかどうかということについては、非常に医学的に十分究明しなければならない問題があると思います。そういう意味で、会社におきましてもいまことしの三月からこういう調査研究を始めておりまして、来年四月までの一年間にわたりまして、この医学的な面それから作業環境面、それからまた生活面、こういうものにわたりまして総合的に研究いたしまして、直すべきものは直していきたいというふうに考えております。  また、確かに腰痛は多いのでございますが、客室乗務員の勤務形態というのは、御承知かと思いすが、それなりに勤務条件というものも、国際線を飛んだような場合あるいは国内線でも同様ですが、かなりそういう機内の疲労というものも考えまして、労働条件も一般とは違う水準で設定してございます。端的に申し上げますと、私どもにおきましては、客室乗務員は月十日の基地における休日——これは東京でございますけれども、それ以外に、もちろん飛びまして、その先々においてホテルで休みの日があるわけでございますが、そういうものも含めまして大体二十日働くわけでございます。外地の休日も含めまして、二十日のうち大体いまおおむね一カ月に飛行時間は五十時間から五十五時間ぐらいの間でございます。
  42. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そんなことはわかっている、それは調べてあるから。
  43. 萩原雄二郎

    参考人萩原雄二郎君) そういうふうな配慮もしていることもひとつ御考慮いただきたいと思うわけでございます。
  44. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私は、産業医がどうの専門医がどうのあるいは労働省の方はなかなかむずかしい問題がいろいろあると、そういう答弁がありました。しかし、その裏を言えば、さっきの航空局長の話じゃありませんが、やはりその勤務形態、勤務内容、それを一番知っているのはあなた方労使でしょう、そうじゃありませんか。私はそうだと思うんですよ。私も技術屋の端くれですからね、機関車に乗って歩く、電車に乗って歩く——まあ航空機ほど速くはありませんがね。あれだけのスピードで走りますから、新幹線乗務員にも乗務員らしいやっぱり職業病があるんですよ。それは国鉄の労使でじっくり詰めて、やっぱりこれは仕事の面からくるんだな——どうしても判定が出なければ、おのおの労使から専門家を出して専門的に研究してみて、そこで合意をしていこうやと、一番現場を知っている労使なんですから、やっぱり労使で詰めるという姿勢が最も欠けておるんじゃないか。労使で詰めないからこの二人の方々が労働基準局へ持っていく。もちろん詰めて、こことここは合った、こことここは合わないから、ここのところは少し専門的に法律的な判断をしてくれというふうに詰めて持っていくのが労使のたてまえじゃありませんかということを私はあなたに言いたいんですよ。  時間が二十八分までですから、私は逆にお願いします。あなた方のこの腰痛にかかわる問題点について、労使の交渉の議事録、それが一つ。あなた方が専門医であるとか学者先生とかと言っておりますから、専門医とか学者先生はどういう先生方にお願いして、どういう調査をしたのか、その結論についてこの委員会に、当該委員会にとりあえず参考資料として出してもらいたい、こう思うのです。  それから労働基準局にお願いします。この二人がおたくに申請する際に、いろいろな本人の申し立て書を出していると思うのです。この申し立て書を全部ここに参考資料として出してもらいたい。おたくの本人たちの申し立て書と労使の議事録の関係と、おたくの方が要請した専門医の関係、それを全部私は資料としてもらいまして、全部検討して、改めてこの問題について私はじっくり時間をかけて議論する、そういうことでいま言った関係資料をとりあえず本委員会に出してもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
  45. 萩原雄二郎

    参考人萩原雄二郎君) ただいま御要請のありました資料につきましては、私ども検討いたしましてお答えいたしたいと思います。
  46. 原敏治

    説明員(原敏治君) 御指摘の申し立て書につきましては、私どもの方の手元には来ておりませんので、監督署の方に照会をいたしまして、出ておりましたらばお話のとおり提出をさしていただきたいと思います。
  47. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それからもう一つ日本航空がせっかく来ましたからお願いしますがね。この前の航空機の墜落事故の際に、おたくの高木副社長さんですか、高木副社長さんにここにおいで願っていろいろお伺いしたのですがね。その際に、安全に対するパイロットと客室乗務員、それから地上整備員の方々のアンケートとおたくの会社側のとらえ方がこんなに差がある、この差はどこから来たのだろうかという点をぜひ明らかにする必要があるという点でお願いしたのですが、まだ十分な答弁書が来ておりませんから、この議事録を見ますとわかりますから、安全性に関する従業員の受けとめ方と会社の方針、そのずれがどこにあるのかという点をひとつこの際改めて追加要求します。  それからもう一つは、おたくの機長さんね、日本航空の機長は管理職になっていますね。しかしそれ以外の方々は、全日空を含めて、機長さんは全部組合員になっているということなんですが、これは私たちもITFの加盟人員ですから、ITFで国際パイロットの状態を見ますと余り日本航空  のようなかっこうにはなっていないということは、われわれはわれわれなりにITFから資料をもらっているわけですが、なぜ日本航空の機長だけ管理職にしなければならないのか、法的根拠とおたくの会社の政策、これをひとつぜひ出してもらいたい。時間がありませんから、この二つを日本航空側に資料として出してもらう。内容がわからなければ、その回の議事録を読んでみれば残っておりますから、調べて出してもらう、こうお願いします。
  48. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) よろしいですね、萩原参考人
  49. 萩原雄二郎

    参考人萩原雄二郎君) ただいまの御要請に対しましては、できるだけ早急に資料を整えましてお出ししたいと思います。
  50. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それではかわりまして質問させていただきますが、今回国民生活の厳しさに拍車をかけるような運賃値上げの申請がされておるわけでございますが、この中身を見ますと、経営上の要請からとは言っても、旅客運賃は貨物運賃に比べますと約三倍以上の値上げでありますし、従来から指摘されております、貨物運賃も赤字を一般旅客に負担させるという形は、一層明らかになってきたんじゃないかと思うんです。また、通学定期の四〇%値上げにつきましては、やはり通学する子弟を抱えている家庭にとっては大きな負担の増加となってまいります。そして、国鉄の大幅赤字の原因というのは、私たちから見ますと、国鉄自身の企業努力の不足ということもあると思いますが、大幅助成に難色を示す政府の、国民の足という公共性に対する認識の甘さなんじゃないかと、このように感ずる次第です。昨年政府が決定しました国鉄再建計画の三本柱——国鉄の経営努力、国の財政助成、運賃引き上げのこのうちで、前二項が具体的にどう進められているのかということを国民に知らされないままに運賃の値上げだけが決定されてくるということは、非常に国民への説得力がない、こう言わざるを得ないと思うんです。私たちの党も、今回の値上げにつきましては極力低率に抑えることを要望いたしておりますけれども、それとともに国鉄の申請に合わせて私鉄、航空め交通機関も値上げの申請をする動きがあるわけでございますから、国鉄運賃の値上げがその他の交通運賃の値上げの先導役にならないように十分これは配慮をするように注意を喚起してきたわけでございます。そして、そういう意味から質問をさせていただきたいと思うんですが、せんだって政府が決定した国鉄再建計画の三本柱——国鉄の経営努力、国の財政援助、運賃の引き上げ、このうち運賃の引き上げだけが先行しているようですが、あとの二つが具体的にどのように進められているか、まずお伺いしたいと思うんです。
  51. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 昨年の十二月末に政府の方で日本国有鉄道の再建の基本方針について閣議了解をされたわけでございますけれども、ここではただいま御指摘のように、いわば再建の三本の柱として運賃の問題、それから私どもの企業努力、さらに政府からの助成というのが三つの柱として示されておることはただいまお触れになりましたとおりでございます。ただ、その場合にこの三つが再建の柱であるということは、率直に申しますと、もっと以前からそういう考え方で今日まで進んできておるわけでございますけれども、昨年の暮れの閣議了解でいままでと非常に違いました点は、運賃の改定によって立てられる改定策というのは経費が増加した分だけに限りますよと、物価なり労働賃金が上がったそれによって国鉄の経費がふえる分だけしか運賃を改めてはいけませんぞということを前提として了解ができておるわけでございまして、そのことは昨年法律を通していただきます際に、当審議会におきましても、十分御論議をいただいた各党間の間のいろいろなお話し合い、技術上のお話し合いというものが前提となって法律が通され、かつ了解事項もできたわけでございまして、その点は私どもは同じ三本の柱ではございますけれども、一定の歯どめがあるものだということは十分認識をしておるつもりでございます。したがいまして、ただいまお触れになりましたように、その柱の中でどうも運賃の値上げだけが先へ出てきたじゃないかという御指摘でございますが、これはまことに申しわけない次第でございまして、私どものPR不足の結果でございまして、私ども気持ちとしては、決して、この運賃の改定が三本の柱の中で真っ先に歩いて出てきたということではないつもりであったんでございますけれども、いまそういう御指摘を受けましたのは、まさに私どもがそれらの点について十分PRをしてないといいますか、PRが徹底してない結果だと思います。  そこで他の二本でございますが、これはよく御存じと存じますけれども、昭和五十三年度の予算におきまして政府からいただきました助成額は五千四百億円でございました。五十二年度にいただきました助成額と比べまして約九百五十億円ふえておるわけでございます。また、その前の年には、つまり五十一年から五十二年度にかけましては八百五十億円ふえたわけでございまして、二カ年間で約千八百億前後の助成の増をいただいておるわけでございます。そして、この助成の増というものと予算で予測されておりますところの二千五百五十億円の運賃改定というものが、ある種のバランスを持ちながら二本の柱として表現されているというふうに考える次第でございまして、私どもとしてはそういう意味で三本の柱の運賃部分と助成部分とはそういう関係として位置づけられておるというふうに認識をいたしております。  それから企業努力の問題でございますが、これは実はその前から、現在私ども国鉄の再建の最大の問題はとりあえず貨物であるということで、大ざっぱに申しますと、現在のもろもろのプラン、列車の本数にいたしましても、ヤードの数にいたしましても、あるいは取り扱い駅の数にいたしましても、いま持っておりますもろもろのプランを思い切って縮小する、昭和五十五年末までに大体三分の一縮小して、三分の二残すということを前提としていま事柄を進めておるわけでございまして、まだまだたくさんやらなければならぬことはございますけれども、とりあえず経営立て直しのためのわれわれの努力といたしましては、貨物の能率的な運行というところをまず第一の目標にいたしたいと思っておるわけでございまして、それをことしの十月一日から実施をいたしたいと考えております。  ただ、まだこの点につきましては、地元の方々の御賛同が十分得られておりません。これは現実問題として、その廃止になります駅の周辺にお住まいの荷主さんその他の方々には大変御迷惑をかけるわけでございまして、この御了解を得べく全国至るところで鋭意説得といいますか、お願いをいたしておる次第でございます。  また、私どもの組合の方といたしましても、職員の数が減ると、あるいは現在の人がやめなきやならぬということはないわけでございますけれども、いわゆる首が飛ぶというようなことはないわけでございますけれども、しかし勤務場所が変わるというようなことについて労働条件に変更がございますので、組合といたしましてもまた職員といたしましても大関心事でございまして、一年半余り労使交渉を続けておりますが、いまだ了解といいますか、わかったというところまでは参っておらないわけでございます。  改定の時期は十月に迫っておりますので、私自身非常に焦っておるわけでございますけれども、鋭意それを取り進めております。まだまだ不十分でございますけれども、そういう意味で企業努力も一生懸命やっておるつもりでございまして、決して三本の柱の中の一本だけを先に抜き出してお願いをしているということではないつもりでございます。ただしかし、各方面からいま先生が御指摘になりますような御批判をいただいておりますことは、私どもがそういうふうな進め方をしておるということについての趣旨徹底に欠くるものがあるからであろうかと思う次第でございまして、その点今後ともいろいろ努力をいたしますけれども、私どものいま置かれております立場なり考え方をひとつ御理解をいただきたいと切にお願いする次第でございます。
  52. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 一昨年の十一月の値上げの際には深刻な国鉄離れを招いたわけでございますが、今回は名目値上げ率と実施率を同一に考えて国鉄離れの現象はないと見ておられるのか、あるいはまた、あったとしても値上げだけの要因ではないというような見方をされているのか、その点お伺いします。
  53. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 一昨年の十一月の六日からの改定のときには、しばしば国会でも御説明申し上げましたように、賃率その他の改定幅は五〇%強である、しかし、そんなに大幅に改定をした場合にはお客さんの転移が起こるであろう、飛行機へ移る、あるいは貨物であれば船やトラックへ移る、あるいは私鉄バスへ移るというお客さんもあるということで、収入としてふえる金額は三七%ぐらいになるのではなかろうかという推定を申し上げたわけでございまして、それはしかし結果的には、非常に申しわけないと申しますか、残念ながら予測が大いに狂いまして、五〇%の名目改定に対して、実収率としては三割程度の増収にとどまったわけでございます。  さて、今回の場合、その点どう考えるかいろいろ苦慮いたしたわけでございますが、一つには前回の改定の際に乖離が起こりました部分につきましては、ほとんど改定をいたしておりません。と申しますのは、具体的に申しますと、一番予測が狂いましたのは、グリーンのお客さんが減った、あるいはA寝台のお客さんが減った、その他、料金系統で非常に狂いが大きかったわけでございます。したがいまして、今回はグリーンも上げておりませんし、A寝台も上げておりません。これはどっちかというと比較的ぜいたくというか裕福というか、そういうフィールドを上げてないということで一面いろいろ批判が寄せられておるわけでございますけれども、しかしとにかく乖離の大きいところは上げていないわけでございまして、したがいまして、今回の平均一五%の改定におきましては、前回のような乖離は起こらないというふうに考えております。ただ、理屈としましては、値が改定になったのにお客さんがちっとも減らないということはあり得ないではないかという議論があるわけでございますが、それはそのとおりでございまして、理屈としてはやはり幾らかお客さんが減るということは覚悟をいたしております。しかし、それを予測して計算上織り込む、また織り込まなければならないほど大きな幅の乖離があるというふうにも見ていないわけでございまして、もしあるといたしましても、いろいろな工夫をすることによって、別の表現をとれば企業努力を重ねることによってどうにか追いつける程度のものでとどまるのではなかろうかと見ておるわけでございます。  そういう趣旨で、今回は計算もいたしておりませんし、御説明もいたしておらない。そういう乖離があるということについて計算もいたしておりませんし、御説明もいたしておらぬというのはそういう趣旨でございますが、それは理屈の上においては、しかしそういうものが存在しないのだというわけではないわけでございまして、ただそれはいわば重きを置くことに足らない程度のものであろうという考え方をとっておるわけでございます。
  54. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 こういう分け方でいいかどうかあれなんですが、総裁にお尋ねしたいんですが、いまの国鉄の赤字も、累積赤字が相当ございますけれども、この中で値上げをしなきゃならない部分とか、あるいは国庫補助をしなきゃならない部分、あるいは企業努力をしなきゃならない部分と、こういうような分け方ができるとしたら、それはどういうふうな部分に当たりますか。
  55. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) やはりまず企業努力をしなければどうもならぬ部分というのは、これは極度に採算割れになっておるものの中で、運行の仕方を変えるとか、あるいはサービスの程度を若干落とすことを許していただくとかいうことについて、主として経費の節減をもって臨み得る部分ということになろうかと思います。企業努力でなし得る部分というのは、逆に申しますと経費の節減によって生み出し得る、赤字を解消し得る部分というふうに言えるかと思うわけでございまして、その例といたしましては、現在その典型的なものといたしまして、現在、貨物について私どもの方でちょうだいしております荷物を減らさないで、そしていまよりもできるだけいいサービスを提供しながら、なお、コストを下げたいと思っておるわけでございまして、それに類するものとしていまやっておりますものの中に、手荷物、小荷物の運送、輸送につきまして、経費を切り詰めることの努力をいろいろ研究をいたしておる次第でございます。  そのほか、かねがねやっておりますような信号システムを変えるとか、あるいはディーゼル機関車が走っております地域につきまして、電車運転に切りかえるというようなことも経費の節減につながるわけでございますので、そういう努力をする。まだいろいろとございますけれども、そして長年やってまいりましたので、だんだん実は種切れに近づいておるような現状でございますけれども、なおそれをしていかなきゃならぬ。  それと同時に、最近各方面から非常に強く、君たち考え方は違っているんじゃないかといって指摘を受けておりますのは、経費の節減に努むることもさることながら、何とか収入を上げる努力をもっとやるべきだということをいろいろ言われておるわけでございまして、私どももそれを痛感をいたしております。たとえば貨物につきましても、もう少し通運業者を初めとして、自動車業界の方々と密接な連絡をとることによってサービスの内容を改善する。たとえばうちだけがうまく運んでも両端の通運サービスが悪くては目的地の戸口から戸口まで、全体としてのサービスの改善になりませんものでございますから、そうした点について通運業者ともっととっくりいろいろ話し合いをしていかなけりゃいかぬと思っておりますが、そうしたことを通じて増収について努力をしなければならないと思っております。つまり企業努力によって解決し得る部分というのは、やはり物の輸送に関連した、本来業務の輸送に関連した部分が大部分でございます。なおそれに加うるに、時折話題になっております資産の活用その他によって眠っている財産を少しでも揺すり起こして少しでも収入を得る道を考えるというようなことも企業努力の一フィールドかと存じております。  それからどうしても助成をお願いしなければならぬというのは、一番顕著なのは、やはり現在の非常に特殊、異例な人員構成からくる問題でございます。御存じのとおり、四十三万人の職員のうち十万人が現在四十五歳以上で、十年以内に定年の来る人たちが二十万人を占めておる。したがって現在でも平均給与費が、やや実態としては高月になっておる。年輩の方が大ぜいおりますから、平均給与費が高くなっておる。その上にこの十年間にその大ぜいの方がおやめになりますと、その諸君について退職金を払わなければなりませんし、それに伴うところの将来の年金負担が大変ふえてまいるわけでございまして、これは国鉄自体がすき好んでこういう人員構成をとったわけではないわけでございますので、まあ言ってみれば、国全体の戦後のいろいろな失業対策といいますか、雇用対策といいますか、そういうものに相当程度御協力申し上げたということの結果が今日に及んでおるわけでございますので、そうしたものについては、とてもいま運賃を上げてお客さんから多くのお金を出していただいてやるとか何かいうことで解決する方法がございませんので、これは助成をいただく方向に持っていかなければならぬと思っております。  そのほか、ローカル線の問題なんかもかなりの額の補助金をいまいただいておりますけれども、まだまだ国鉄の自前で持っておる部分、赤字分があるわけでございますけれども、これなんかもある部分はむしろレールを外させていただかなければならぬようなものも理論としてはあるわけでございますけれども、現実にそれができないということであれば何かお助け願いませんと、その部分を他の部分からの収入で回していくということはできないわけでございます。  そして最後に、三本の柱のうちの運賃についてはどう考えるかでございますけれども、これはやはり毎年ふえます人件費と物件費に対応する金額に関する限りは、相当お客様には御迷惑でございましょうけれども、やはり運賃を上げさせていただきたい。先般の法律改正でお認めいただきました限度に近いものを上げさせていただきたい、そうしてその三つをうまく組み合わして、何とかして一日も早く赤字の発生額を小さくしていきたいというふうに考えております。  まだその境目のところにつきましては——この三つの責任分野のうちの運賃だけは非常に明確になりましたが、助成で賄うべき部分と企業努力でやらなけりゃならぬ部分とのそこの境目につきましては、まだまだこれからの研究課題が多いわけでございまして、その点は昨年の十二月の閣議了解では、五十四年度の終わりまでに勉強しなければならぬということで御指示を受けておるわけでございますが、さればこそそのつもりで一生懸命やりますけれども、来年五十四年度末までに明確にそこの境目の線を引けるようなところまで行き得るかどうか、これはわれわれの努力次第だと思っております。完全なものはできませんでもおおよその見当はそこでつけなければならないというふうに考えております。
  56. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで私は資料をいただいたのですが、やはりフランス、ドイツと比べてみますと、各国鉄道の経営状況と国家援助の実態を調べてみますと、日本の場合と大分差があるように思うのですが、その点国鉄の場合はどうでしょうか。
  57. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) その点については私はやや不勉強でございまして、どういう経緯で、どういう意味で、またフランスの国会でどういう論議があって現状のような補助制度になっておるのか、ドイツにおいてもどういう経緯でそういうふうになってきたのかということは勉強しておりません。結果としてこういう金額になっておりますというのは、まあいろいろ交換された書物その他等がございますので、それで大体承知をいたしております。見方によりましては、日本よりもより多くの金額が、いわば一般会計的な部分から国鉄のために支出されておるということを承知はいたしておりますけれども、その背景なり、持つ意味というものを十分理解しておりません。で、これは各国でどういうことをやっているかということは非常に参考になるわけでございまして、十分これを勉強しなければならないことは事実でございますけれども、同時にまた、どういう形でその財政助成をするか、あるいはどういう形で運賃水準を決めるか、また、どういう形で税金を負担するかということと相互に関係があるわけでございまして、その国その国の民意なり民度なり、財政制度なりということの組み合わせによって考えなければならないと思うわけでございまして、よく御存じのとおり、日本は非常に税金の安い国でございます。主要国の中で極端に日本は税金が安い国でございますから、その税金の率を上げて、そうして、私どもが援助してもらうという方法もあろうかと思いますし、フランスやドイツのように間接税を高くして、そしていろんなことをやるという方法もございますでしょうし、この財政支出のあり方と税金の制度と社会保障制度のあり方といったようなものは、皆相互に関係がある問題でございますので、一概に日本とフランスとドイツと比べて判断することはむずかしいと思います。しかし、同時に言えますことは、各国とも昔に比べると鉄道が斜陽化してまいったわけでございまして、その斜陽化の過程においてやはり現存するものはある程度、何といいますか、大きな変化を与えてはいけない、緩和曲線を入れなければいけないというところから、ドイツでもフランスでも相当線路は外してはおりますけれども、なおかつ相当の金額の助成を国が鉄道に対してやっているわけでございまして、そのことは日本の場合も非常に大きく見た場合にはよく似ているという意味において、もう少しフランスやドイツの制度を勉強をしていかなければならぬと思います。先ほど来御指摘のように、三本の柱において、助成というのをどういう位置づけをすべきかという問題は今後の課題でもございますので、そういう意味から申しましても、御示唆のとおり、各国の線路についてもう少し勉強していきたいと思います。きょうの段階ではちょっとまだ私自身勉強が不十分でございますので、各国との比較においてさらにかくあるべしというところまで私の考えを申し上げる段階に至っておりませんので、お許しいただきたいと思います。
  58. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 じゃ次の問題に入りますが、通学定期の割引率につきましては、これは父兄に二重の負担を強いることになるということで、国鉄の部内でもことしは見送るべきじゃないかという議論があったようですけれども、それをあえて打ち出した意図というのはどのような点にあったんでしょうか。
  59. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 御指摘のとおりでございまして、今回の改定の際に通学定期の割引率の改定をお願いすべきかどうかということについては甲論、乙論の両論があったわけでございまして、私ども自身がいずれにすべきや大変迷ったというか、悩んだというか、そういう問題でございます。その悩みました理由は、いまの通学割引の率が高いか安いかということに疑問があったわけではないわけでございまして、どうも現状では困ると、もう少し通学割引率を下げていただく、したがって、御父兄には負担をしていただく、もうちょっと負担を求めるということはぜひお願いをしなければならぬというふうに考えておるわけでございます。その点については甲論も乙論もございません。ただ、その時期を選ぶのについて、今回、いわゆる弾力化法案が通過した直後でございますので、こういう時期に早速そういう御提案を申し上げることがどうかということについて迷いがあったわけでございますけれども、いろいろ考えまして、いかに考えましても八二%という割引は常識を逸しておるというふうに考えられますので、従来からこのことは諮問委員会等からもしばしば御指摘があり、国会におきましても附帯決議等を通じていろいろ御指摘があったわけでございまして、それについて事実問題としてはしばしば文部省の方にもお願いに出ておるわけでございますが、なかなかお取り上げいただけない現状におきましてはいつまでも放置できないのではないか。そうして、確かに父兄負担への影響はございますけれども、これはほとんど全部と言ってもいいものが義務教育外の方の問題でございます。高等学校以上の課程において通学をしていらっしゃる子弟の父兄の問題でございますから、いろいろ教育問題上どういうふうにこれを評価すべきか、問題とすべきか、問題がございましょうけれども、一%、二%、三%程度の改定であればお許し願える限界の範囲内の問題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。さらに、これは今回の改定だけではまだまだ不十分なわけでございまして、現在の、今度お願いしております七九%ぐらいの割引率をもっと相当思い切って落としていかなければならぬというふうに思いますけれども、そうなりますと今度はだんだん金額的にも負担が重くなってまいりますから、また別の角度での討論をし、検討した上でなければなかなかむずかしいということもございましょう。しかし、今回程度のものであればさほど——いろんな角度から見て確かに御批判はございますけれども、そうだからといって放置するのといずれがいいかという場合に、この際思い切って問題提起の意味をかねて議論の対象にしていただいた方がいいであろうという考え方をとったという次第でございます。
  60. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 私は大手私鉄でも八五%前後割引しているわけですから、公共性のある国鉄が割引率を引き下げるということはちょっと問題じゃないかと思うんです。そうして、これは昨年の秋ですか、前運輸大臣がおっしゃっておりましたが、これは国会でもいろいろと論議になった点ですけれども、通勤の定期割引については、またその中の身障者割引については厚生省が、あるいは通学については文部省が政策として負担すべきじゃないかということがいろいろ論議されまして、そういった方向のコンセンサスは得られていると思うのですが、昨年の秋に田村前運輸大臣関係閣僚会議をつくって議論したい、こういうようなことをおっしゃっておりましたが、その後その点はどんなふうになっておりますか。
  61. 住田正二

    政府委員住田正二君) いま御質問ございました公共負担の取り扱いの問題につきまして、昨年の国会で関係閣僚会議を開いてそこで検討したいということを前大臣が申し上げたと思います。いまお話がございましたように、公共負担の問題は厚生省にも関係があり、また、文部省にも関係がある、あるいは労働省その他各省に関係いたしているわけでございまして、これまでも事務的には各省といろいろお話を申し上げてきたわけでございます。しかし、各省それぞれの考え方がございまして、なかなか折衝がうまくいかない。やはりこういう問題は閣僚の場においていろいろ検討し、大所高所から判断した方がいいんじゃないかというような御判断のもとにそういう答弁をしたというように理解をいたしているわけでございますが、できるだけ早く閣僚会議を開くということで、現在各省と事務的に詰めております。できれば今月中にも開きたいというふうに考えております。
  62. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうすると、そのとき約束されたことは、まだ実行されていないようですが、この問題に対する政府の考え方が明らかにされるまではやはりこの割引率というのは現行のまま据え置くべきじゃないかと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  63. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いまおっしゃるように、そういうことにだけに割り切ればという議論も確かにございますが、事務的にいろいろ相談はさせておりますが、何とかしなきゃならないということはみんな思っておりますが、その何とかをどういうようにするかというところにいくと、まだその結論に達しておりません。したがって、ある程度までいけば、これはもう大臣間ででも結論を得るようにしなければならぬと思っております。  そこで、まあ私どもも、できるだけ変えるということは私どもの立場では強くそう思うわけでございますが、関係各省の方もいざとなりますと、なかなかまだそう簡単にいかないというようなところ等もございまして、この点は確かにわれわれとしてはぜひ急ぎたいというのが本心でございます。ただ、それがあるから先ほどの、今度の運賃値上げ希望、国鉄のその希望と関連して、その部分はこれが決まるまではというのは確かに一つの議論でございますが、とてもそれを待っておったんじゃなかなかというような国鉄の考えも、これまた大いに考えてやらなきやならないところだと思います。そこで、いま局長も申しましたように、できるだけ早くそういうこと等もいずれ話の中には出ると思いますが、関係各省間で話をしたいと、こういうように存じておる次第でございます。
  64. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大臣続けてお尋ねしますけれども、ちょっと、私議事録がございませんけれども、同僚の三木委員の質問に対しまして、いつでしたか、私、昨年の暮れだと思いますが、そのいろんな値上げの問題につきまして、国鉄運賃あるいは私鉄運賃、航空運賃と、それぞれのその値上げがばらばらに申請され、受け付けられ、決められていくわけですが、これを行政改革的に考えて一本化をしていくような方向をぜひともやっていきたい、こういうような御答弁があったように伺っておりますが、その点はいかがになっておりましょうか。
  65. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 考え方といたしましては、そういうものについて、全体を通じての整合性を保たせるということはそうあるべきだと私も考えております。率直に申しまして、それであるからというので、全部がそういう観点からの画一的な、足並みがそろったことにというのは、まあ実際問題としてはなかなか容易じゃございませんので、考えつつ、まだそこに至っていないことはもう正直に申しわけないと申し上げるよりほかないんでございます。しかし、だからお手上げだということではなくて、ぜひそういう物の考え方で進めたいということに変わりはございませんが、作業をせいぜい急ぎたいと考えておる次第でございます。
  66. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いままでいろいろと成田空港の開港で苦心されていたことよくわかりますので、今後腰を落ちつけて、これも取り組んでいただきたいと思いますが、今回の値上げの方向を見てみますと、やはり競争力のあるところから取って、まあ言い方を変えれば、取りやすいところから取ろうといような方向が見られるわけですが、これは総合原価主義に個別原価主義を加味したものではないか、こういうふうに国民の側からもはっきりしない点があるわけですね。総合原価主義に個別原価主義を加味したものなのかどうかという、それがはっきりしない点がございますが、国鉄としては今後どのような運賃体系をつくろうとしているのか、その基本的な方針を伺いたいと思うんです。
  67. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 従来の考え方は、国鉄の会計を全体としてバランスをとるという考え方で、そういう意味では総合原価主義という考え方であったと思います。しかし、結論的には収入と経費とが全くアンバランスになっておるわけでございますから、結果としてでき上がっているものが総合原価主義に沿ったものだと言えるかどうか、はなはだ疑問であると思います。ただ、まあ一部新幹線では経費よりも収入の方が多いと、あるいは山手線や高崎線では収入の方が原価よりも多いと。一方非常に多くの線区——線区の数にすれば九五%以上の線区において原価と収入とを比べますと、原価の方がうんと高いということは、少なくとも個別原価主義からははるかに離れておって、原価を全体として見ているという立て方であるということは言えるだろうと思います。  その総合原価主義が正しいか正しくないかということでございますが、やはり公共的使命を持ったものであるということから考えますと、決して個別原価主義に徹することはできないのであって、やはり最後まで総合原価主義的な考え方が基本にあるというのでよろしいのではないかなというふうに私は考えております。ただ、そうだからといって、全く原価を離れて考えておって、収支係数が五〇〇だとか七〇〇だとか一〇〇〇だとかというところが至るところにあるという実態はそれでいいのかどうか、それから同じ都市の場合におきましても、総合原価主義なるがゆえに、東京における国鉄と私鉄の競争力関係と、関西における国鉄と私鉄の競争関係が全く違うものになっておるという実情をどう見るべきなのかというようなことを考えますと、今日までのような単純な総合原価主義だけで今後とも処理できるとは思われないわけでございまして、総合原価主義をあくまで基本にしながら個別原価主義的思想を少しずつ織り込んでいくという工夫をしなければならないのではないかと思いますが、今回のお願いしております改定案の中には、そういう思想は入れておりません。運賃の改定は今後長くいろいろな機会にお願いをしなきゃならぬことになりますので、漸次そういう思想を織り込むべく学者の方々とか評論家の方々とかに教えていただいたり、あるいはまた外国の事例でもう少しその辺をよく調べましたりいたしまして、まあある意味では憶病に、という意味は少しずつという意味でございますが、そういう大英断にほんと切りかえるというのではなしに、あくまで総合原価主義を基本に置きながら、少しずつ修正要素として個別原価主義的思想を入れていくべきではなかろうかなという、これはまだ私の個人的見解という意味でお受け取りいただきたいと思いますが、そんな気持ちでおりまして、新たに国鉄に設けました運賃問題懇談会におきまして、そのことでもう今月からその議論に入ると、次の改定期の問題との関連において今月からその問題の勉強に入っていただくという用意をいたしつつあるところでございます。ただ明確に申し上げておきたいと思いますが、そうした変化はそう急激に進むべきものではないのであって、よほど勉強し、ゆっくり時間をかけてやるべきものというふうに考えております。
  68. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 まあ取りやすいところから取ろうということは、これは国民にとってはどうしても乗らざるを得ない交通機関であるということで、それだけ公共性が高いことになると思いますが、値上げの問題も、これから値上げがどんどん進めば利用者の負担というのもこれはおのずから限度がありますので、値上げの限界というものはあると思いますが、それでは公共性と運賃との関係についてどのようにお考えになっておられますか。
  69. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 公共性ということはしばしば公共的性格を持っているがゆえに安くなければいけないんだというふうに主張される方もあるわけでございますけれども、私は国鉄の持ちます公共性というのは、必ずしも運賃が安いことが公共性の表現だというふうには考えないわけでございまして、国鉄が持つ公共性というのは、たとえばほかの企業と違いまして、必ずしも人口の多い、したがって営業として成り立ち得る可能性のある地域について車を走らせるというのではなくて、やっぱり全国津々浦々に走らせる。したがって、地方、ローカル線の場合にも、極端な場合を除きましては、そうむやみとお客さんが少ないからといって外すわけにはいかない。それからたとえば東京の周辺、大阪の周辺におきまして国鉄と私鉄とが一緒に走っておりますけれども国鉄の方は大体において私鉄よりも夜遅くまで走っておりますし、朝早くから走っておるのも国鉄でございますが、なぜそうなっているかと言いますと、やはり国鉄の持つ公共的使命から起こってくるわけではなかろうか。朝早く走るとか夜遅くまで走るとかいうことは採算から言えば全く引き合わないわけでございますけれども、それを無視してでもやっぱり夜遅くまで、朝早くからというのはそういう公共的使命によるものだろうと思いますし、さらにはまた、これは何も国鉄だけではございません、あらゆる交通機関の使命でございますけれども、これはもう常にどの交通機関もそうでございますが、三百六十五日、夜も昼も、いかなる天候の日も走るというようなことに本来公共的な使命というものが表現されているのではないかと思うわけでございまして、公共的事業だから安くてもいいんだ、安くなければいけないんだということは私は絶対的なものではないんではないかと考えております。ただ、べらぼうに高くてはいかぬということはあるわけでございまして、現実問題として私どもの運賃水準が他の運賃水準の一つの指標になる、メルクマールになる、私どもが上げますと他の方もどうしてもそれに追随するとかいうようなことが起こり得る可能性を非常に持っておるわけでございますので、そういう意味ではやはり何としても、ほかの私鉄とか私バスの運賃の場合と私どもの運賃の場合とでは違いがあるということを十分考えておかなきゃならない、その意味でむやみと上げてはいけないということであろうかと思います。ただ、現状におきましては、大体百円の収入で百五十円の経費というようなことになっておるわけでございまして、ちょっとこの経費と収入のアンバランスが大き過ぎる、したがって、その公共性のゆえに運賃を低く抑えるのが当然のポリシーだというふうには考えられない、むやみと上げてはいけませんけれども、また無条件に抑えておくのみがいいんだということも言えないというのが現状ではないか、というふうに考えておるわけでございます。
  70. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 運輸大臣にお尋ねしますけれども、公共性の範囲を超えた運賃の部分というものは、これは国が助成をするべきじゃないか、このように思うわけですが、いかがでしょうか。また、その助成する基準というのを明確にする必要、があるんじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  71. 住田正二

    政府委員住田正二君) 公共性という言葉の意味でございますけれども国鉄のやっている業務の公共性と、それから電力、あるいはさっき話が出ました私鉄、あるいは公営の事業、そういうものとの間に質的な差があるというようには理解はいたしていないわけでございます。先ほどヨーロッパの助成のあり方について御質問ございましたけれども、ヨーロッパではECが統一的な規則をつくっておりまして、各国の国鉄の業務のうち、営業的といいますか、営業的に採算がとれるような業務と公共的な業務というものを分けまして、営業的に経営し得る分については助成はしない、公共業務についてだけ助成をするという基本原則を決めております。同時に、やはり各国の財政上の負担が大きくなってきているものですから、できるだけ公共的な業務は縮小していくということを決めているわけでございます。したがって、今回の国鉄再建の考え方でございますけれども、昨年暮れにつくりました閣議了解の中で、国鉄は、主として都市間旅客輸送、大都市圏旅客輸送及び大量・定型貨物輸送の分野を中心として企業的な経営を行うということを言っているわけでございます。したがって、こういう分野については、国の助成がなくても国鉄の経営努力で十分やっていける分野であるというふうに認識をいたしておるわけでございます。それ以外の、構造的欠損を生ずる分野と言われておりますが、こういう分野につきましても国鉄が自分でやらなければいかぬかどうか、国鉄がやめた場合に他にかわる交通機関があるかないかというようなことについて十分検討した上で、その上でなお国鉄の経営上の負担を超えるというものについては、政府は助成をする必要があろうというように考えておるわけでございます。したがって、公共性があるから直ちに助成をするということではなくて、国鉄がいかに努力をしてみても国鉄の経営努力では賄えない、そういうような費用については国がめんどうを見ていく必要があるんじゃないか、というような考え方をとっておるわけでございます。その場合に、先ほども個別原価計算あるいは総合原価計算というような問題が出ましたけれども、そういうような構造的欠損についての対策を講ずる場合には、先ほど総裁も申し上げましたけれども、今後は個別原価的な感覚も取り入れざるを得ないのではないか、そのように考えておるわけでございまして、ある程度運賃を上げてそれでもやはり赤字が出るというものについては政府がめんどうを見ざるを得ない、さように考えておるわけでございます。
  72. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 運輸大臣は、先回の国鉄値上げの申請を運輸審議会に諮問した際に、三段階に分けて値上げをしたいと申し入れをされておりますけれども、この値上げのおくれによる減収分というのは約二百五十億円と言われておりますが、この場合には、国の政策に基づいてこの減収が生ずるわけでございますので、国でその分を負担する、見てやる、このように理解してよろしいでしょうか。
  73. 住田正二

    政府委員住田正二君) 今回の諮問に当たりまして、いまお話ございましたように、利用者への影響を考えまして三段階で実施したらどうかという意見を申し上げたわけでございます。仮にこのように実施された場合に、いまお話がございましたように、約二百四十億円程度の減収になるわけでございますけれども、本年度の国鉄予算の執行の面から見まして、そういうような措置をとっても特段の支障は生じないというように考えております。まあ結果はどうなるかわかりませんが、いまの段階では予算の執行上支障があるというようには見ておりませんので、直ちに助成をするということは考えておりません。
  74. 内藤功

    ○内藤功君 私はまずタクシーの運転者の労働条件の問題につきましてお尋ねをしたいと思うんです。  昨年の五月の六日に、東京を初めとして六大都市のタクシー運賃が二〇%値上げをされまして、続いて各地方でも一五%から二〇%の値上げが実施をされました。その際の値上げ申請で、これらのタクシー経営者はいずれも労働条件改善ということを値上げ申請の理由に挙げまして、また値上げを認可した方の政府・運輸省も、昭和五十二年四月二十六日の関係閣僚会議の決定として、乗客へのサービスと労働者の労働条件の改善ということを条件に据えておるのであります。そこで、労働条件の改善について二、三お伺いしておきたいと思います。  まず第一点ですが、昨年の運賃の値上げの認可条件としたサービス改善と労働条件の改善はその後どうなっているかという問題であります。具体的に伺いますが、昭和五十二年度の大阪陸運局管内で実施をされた査察と、東京及び神奈川での監査の結果のうち、いわゆる自動車運送事業等運輸規則第二十一条の過労防止の義務違反、それから二十一条の二の第五項乗務距離の最高限の違反、それから二十五条の七の第二項新任運転者の指導違反、とりあえずこの三つの条項について事業者の占める割合についてどうなっているかということを簡単に御説明願いたいと思います。
  75. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 昨年五月の六大都市タクシー運賃改定後におきまして、関係陸運局におきまして事業者に対する監査ないし査察を実施いたしたわけでございます。  道路運送法令等の遵守状況調査でございますけれども、その結果、いま先生指摘一つは、過労防止等違反につきまして、東京におきましては二四・九%、神奈川におきましては一六・五%、京都におきましては一九・六%、大阪は四二・三%、兵庫は六八・七%。  第二の乗務距離の最高限度の違反でございますが、東京が二八・四%、神奈川三・八%、京都八・七%、大阪三五・六%、兵庫三八・三%。  第三の新任運転者に対する指導違反でございますが、東京二二・三%、神奈川一三・九%、京都はゼロでございまして、大阪二三・九%、兵庫三九・二%というような状況でございます。
  76. 内藤功

    ○内藤功君 かなりな数に上っているように見受けられます。  次に、自動車運転者の労働条件の改善のために、運輸省の自動車局とそれから労働省の労働基準局との間でいわゆる相互通報制度というものが設けられていると聞いておりますが、これはもう簡潔で結構ですから、どういう制度で、どんなことをやっているかということを一言でお答え願いたい。
  77. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) 運輸省と労働省との相互通報制度は、自動車運送事業に従事いたします運転者の労働条件の改善を相互連絡によって図っていこう、こういう趣旨で、私どもの陸運関係機関と労働省の労働基準監督機関とがそれぞれの監査結果を相互に通報し合いまして、それに基づいて相互に警告あるいは行政処分、そういった所要の措置を講ずることにしておる制度でございます。相互の連絡、協力を緊密にしていくということで、四十五年に設けられた制度でございます。
  78. 内藤功

    ○内藤功君 この制度の活用についていろんな運用上の問題点が来ておりますが、これはまた別の機会に質問をしたいと思います。  次の質問は、昨年の運賃値上げの際の閣僚会議の認可条件の一つになっておりますいわゆるタクシー近代化センターの活動についての問題であります。私ども調査によりますと、この近代化センターの構成と運営というものが、なおもっと民主的に改善すべき余地が多いんじゃないか、こういう感じが幾つかしておるわけです。まず具体的にずばり提言の形で意見を出してみると、たとえば理事会の中での労働者代表の構成ですが、東京では役員十一名のうち働いている労働者の代表が一名、大阪でも八名のうちに一名。それから諮問委員会というのが二つありますけれども、労働者代表がやはり三分の一以下である。これではこのセンターの本来の意味から言って非常にこれは十分ではない。労働者代表というのは複数いた方が、率直な話、お互いに競争し合うという気持ちも働きまして、いろんないい意見を出して活発に動くものだと私は思います。  それから、適正化事業諮問委員会の開催回数を見ますと、まあ開催の数が多いからいいと私は言うんじゃないけれども、これも一つのバロメーターです。過去一年間に大体十回やられてきたのが、五十一年には三回しか開かれてないというふうな実態を見ますと、これはもっともっと縮小したりする方向じゃなくて、活用して生かしていく方向に持っていくべきじゃないか。これは財団法人とは言いますけれども、臨時措置法という法に基づいて設立されたものであります。そこで、具体的にいまぼくが言ったように、労働者側の意向をもっと反映できるように、数もふやすように、それから個人タクシーの代表も複数にする、それからそういう具体的な方向を指向して自動車局、運輸省としても制度の改善、それからさらに指導を強化するという方向に努力を——いままでもしていると思うけれども、一層すべきだと思うのですが、ここらあたりの局長のお考えを伺っておきたい。
  79. 中村四郎

    政府委員(中村四郎君) タクシー近代化センターは、東京と大阪に設けられておる財団法人でございますが、これはタクシー業務適正化臨時措置法に基づきまして、タクシー運転者の登録業務、それからタクシー業務の適正化のための事業というのを実施しておるわけであります。この適正実施を図るということで、それぞれ登録諮問委員会と適正化事業諮問委員会という二つの諮問委員会を設けております。これらにつきましては事業者団体が推薦する者と、運転者の組織する団体が推薦する者、それから学識経験者、その中で適正化事業諮問委員会につきましては利用者も加えまして、そのうちから委員というのを選任いたしておるわけであります。現にタクシー近代化センターにおきましては、近代化センター法に基づきまして委員を任命して、構成につきましても運転者代表と法人事業者とは同数になっておるわけでありまして、運営の適正化を図ってまいってきておりまして、さらに理事会につきまして運転者代表、個人タクシー代表にも参加願っておるわけであります。私どもタクシー近代化センターの内容の充実強化ということは努力いたしてまいるわけでありますが、現状でそういった構成の問題で特に問題があるというふうには考えていないわけであります。  また、この近代化センターの活動として、委員会等の開催につきましてもっと回数等増加してやっていったらどうかと、こういうお話でございますが、私ども必要に応じて回数を適切に開催して対応していくということについては、そのとおりに考えておるわけでございます。
  80. 内藤功

    ○内藤功君 いまの構成の点については法律の問題もかかわりますけれども、やはり労働者の比重を、発言力を高めるという意味において、ぼくはどうしてもいま必要なように思いますものですから、これは強く私は政府側にもこの点要望しておきたいと思うんです。  最後に、この問題で大臣にお伺いをしたいと思うんですが、まあお聞きのとおりのような問題があります。私は特に指摘しておきたいのは、このハイヤー、タクシー事業の事業者への監督結果、労働省の方からの説明によると、労働基準法の監督実施事業場千九十八のうち、昭和五二年度におきまして八一・四%の会社が労働基準法違反などで問題を指摘されておる。特に問題なのは、昭和四十八年以降は毎年毎年八〇%以上の基準法違反の数字が出ておるのですね。これちょっといろんな事業の中でも珍しい高率なんであります。去年の五月二十五日でしたか、衆議院の運輸委員会で私どもの方の党の同僚議員の質問に対しまして、当時の運輸大臣の田村さんが、業界に対してこの面で非常に厳しい姿勢で改善を求めるという決意で答えられておるんですが、こういう答弁はいいんだけれども、この改善が進んでいるとはまだ遺憾ながら思えないのです。大体、タクシーというのはもう庶民の一番の手近な乗り物でありまして、その安全のためには労働条件が密接な関係を持つことは大臣もうおわかりのとおり。そこで、私は具体的に三つほど提言をして、大臣の大きなところからの御見解でいいですから承りたい。  一つは、運輸省のこういったタクシー事業者に対する監査を厳正にひとつ行ってもらって、労働省の監督の結果とともに、さっき答弁で出た相互通報制度というものに出ていますように、警告だとか是正勧告、道路運送法四十三条に基づく行政処分ですね、免許取り消しなどの行政処分。それから送検と、こういった処分を一層厳正に行ってもらいたい。  第二点が、タクシー近代化センターというもののお話もいま出ましたが、これが設置法の目的を達するように、特に労働者側の意向が反映できるように、構成の面でも運営の面でも一層改善のための努力をひとつ示してもらいたい。  それから三つ目は、労働省ともひとつこれはタイアップをして、ハイヤー、タクシー労働者の労働条件改善のための諸施策を強力にひとつ進めていただきたいという点を、ひとつ大きなところからお約束を願いたいと私は思うんですが、いかがでしょうか。
  81. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 内藤さん、いまお示しになりました三つの点、いずれもお話の趣旨によりまして効果を上げるように、私どもも特段の努力をいたしたいと存じます。
  82. 内藤功

    ○内藤功君 それでは次の問題ですが、国鉄の運賃の値上げ申請に関して御質問したいと思います。  先ほどもお話があったようでございますが、今回の国鉄運賃値上げ申請、私は取りやすいところから取る、言いかえますと、しぼればしぼるほど出てくるという言葉が昔ありましたが、私は、人が悪いようですが、この言葉を連想したんであります。特にさっきの学生の定期問題の総裁のお言葉を聞いて私は少し冷酷な感じがしたのが率直な感じであります。それで、この取りやすいところから取るというのは、これはまあ言う人はいろんな意味で言うんでありましょうが、私はやっぱりいまの御時世では最も弱い層から取っていくというふうにとらざるを得ないと思うんであります。われわれが去年の運賃法の改正の問題のときに一番心配し、この委員会でも質問をしたその危惧がここに私はあらわれているというふうに思います。国鉄のこういう増収政策、こういうように取れるところから取るという増収政策は、いまこの不況がまだ本当に克服されていない、不況のしわ寄せが一般勤労者にしわ寄せされている、こういう経済情勢のもとで、一層国民の生活に危機を与えるものだということを私は憂うるのであります。  私はこの国鉄値上げ申請の第二の問題点としましては、やはりこれも先ほど来お話がありましたが、私鉄、航空運賃値上げへのもうまごう方なき引き金にいまなっているという問題であります。大手の私鉄十四社は、聞くところによりますと、七月に二〇%前後の値上げ申請を表明をしており、航空三社は六月に国内航空運賃一五ないし二〇%の申請を表明していると伝えられておる。こういうふうにまごう方なき値上げの引き金にいまなっていると、私どもの心配が非常にこれは明確になってきていると思います。  さて、そこで具体的な質問でありますが、私はまずこの値上げの率をずっと見ていった場合に、何と言っても通学定期の問題、通学定期四〇・八%のアップというこの大幅な値上げ申請、これがやはり最大の深刻な問題だと思うんであります。総裁は少しまだ認識が深刻でないので、この質問の終わるまでに私は変えていただくことを熱望したい。  まず、文部省に伺いたいんですが、通学定期四〇・八%というこの大幅な値上げ申請に対する文部省の御見解はどういう考え方でありますか。
  83. 石井久夫

    説明員(石井久夫君) 今回運賃等の引き上げに関連いたしまして、通学定期を引き上げるという御連絡を、五月十日、私ども運輸省の方からお聞きしたわけでございます。内容が、通学定期の引き上げが非常に大きいということで、あらかじめ大臣のお耳に入れておいてほしいということもありましたので、早速お話し申し上げたところ、やはり四〇・八%の改定ということは承服できないということがまず真っ先におっしゃいました言葉でございました。それで五月十六日付事務次官名をもちまして運輸事務次官に、「通学定期旅客運賃の改定について」という文書をもってお願いをしたわけでございます。この概略を読んでみたいと思います。   このたび日本国有鉄道から、通学定期運賃ついて、普通旅客運賃の改定に伴う引き上げのほか、通学定期の割引率を引き下げるということで四〇・八%の引き上げの認可申請が貴省になされているところでありますが、このような大幅な引き上げは、経済的に困難な家庭の学生に対する影響等を考慮すると当省としては承服しがたいところであります。ついては、今回の認可申請につきまして、通学定期の割引率の据え置き等貴省において慎重な取り扱いをお願いする次第であり、また、大学及び高等学校の代表者等関係者が運輸審議会においてその意見を反映させるような方途を講ぜられるよう御配慮願います。  要するに、私どもの立場といたしましては、今回、やはり四〇・八%という引き上げは、国鉄利用して通学しております学生多数に影響するところが大きいわけでありまして、通学定期の場合、割引率等を切り下げるということについてぜひ据え置いていただきたいということを特にお願いしたいということが私どもの考えているところでございます。
  84. 内藤功

    ○内藤功君 文部省では、たしか毎年度学生生活調査というのをやっていると思うんです。全国の国公私立大学の昼間部の学生さんの平均で、そして自宅から通っているという前提でちょっと数字を述べてもらいたいんですが、昭和五十三年度値上げがないという前提で、推計で一年間の修学費は平均でどのくらい、通学費——これはまあ交通費ですね、通学費はどのくらいで、食費はどのくらいか。修学費、通学費、食費、この三つにしぼって結構です。幾らです。
  85. 石井久夫

    説明員(石井久夫君) 私どもは、生活調査は隔年において実施しておりまして、五十一年度の調査しかないわけでございまして、物価高騰等勘案しましてごく単純な推計をしたものでございまして、それが現在の状況を正確に反映しているものかどうか確信は持てませんけれども、一応推計した資料がありますので申し上げますと、五十三年度、大学の自宅からの通学学生におきまして、修学費が四万七千円、通学費が五万一千三百円、それから食費が九万一千九百円、これは年額でございます。そういうふうに考えております。
  86. 内藤功

    ○内藤功君 こういう具体的な調査を文部省がやっておるのであります。たとえば、通学費五万一千三百円というのは、十二で割りますと一月に四千三百円、こういう非常に高額な負担を、いま値上げの前でありますが、大学の学生はしょわされている。大学の学生がというのは、同時に大学の学生を持っている勤労者である親御さんが平均してこれだけのものをしょわされている。そして、食費よりは少ないけれども、修学費ですね、つまり書籍、文具費などの修学費よりも、もう現在こういう通学費の方が上回っているという状況です。それで、これを今度四〇・八%プラスして計算してみると、通学費は、いまのお話、年間五万一千三百円が七万二千円になり、月で言うと四千三百円が六千円になる。こうなりますと、さっき言った通学費が食費にもう近づいていくという、こういうような数字に私はなっていくと思うんです。これは計算上そうなる。  そこで、こういうような状況ですが、運輸省は、こういう調査はどこかしていますか、どこへ質問したらいいんですか。
  87. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 運輸省の御答弁の前に、私どもの方から申し上げますが、いまのようなことであると、数字がそういうふうになっておるということは、私どもが案をつくります前に、文部省からも案を伺っております。ただ、いまの内藤委員がお示しになりました数字でおわかりいただけますように、月に四千円の通学費を払うというのはどういう人だろうか、うちの方の定期の値段で言いますと、四千円というと五十キロ超えてしまうのです。どうもその調査では、ばかに通学費がかかっておりますねと、で、仮に何かの都合でタクシーに乗って飛んで行ったというときにも、やっぱり通学費は通学費になるものですから、一体その中で、国鉄が幾らで、私鉄が幾らで、一番高い人が幾らで、一番低い人が幾らで、どういう平均でどうなっているかねという統計がほしいと思ったのでございますけれども、どうもそれはないと。そうすると、月に四千円も通学費を払っていらってしゃると、平均で五十キロ以上のところから通っていらっしゃる、そういう前提では、ちょっとそれは議論にならないのではないかということで、そういうことも、大いに今後両方が資料を持ち合って勉強をして議論をするちょうどいい機会なんで、確かにそういうことをよく勉強した上でないといけないのでございますけれども、さりとて、そういうその調査がない間は待てと言われても困りますわけでございまして、これは両方が知恵を交換し合って、さらにもう少し精密な調査等を行うことによって、実態をよく調べてみる必要があるというふうに現段階では認識をいたしております。
  88. 内藤功

    ○内藤功君 これは、文部省そこにおられますが、この点は文部省からまず答えてもらいましょう。いま国鉄からこういう問題が出ましたね、私は、これは恐らく全国の平均でありますから、全国の平均の中には、帰省する人もいますね、帰省する人のやっぱり旅費を含めて国鉄にどのくらいかということを入れた数字ではないかと、それも入っているのかと思って聞いたんですが、その点どうですか。
  89. 石井久夫

    説明員(石井久夫君) 学生が通学する場合には、交通機関として、もちろん国鉄とか私鉄とか、そういう公共機関を利用する場合が多いわけでございますが、中には、やはりみずから自転車とかオートバイとかいろんな形で通学する者もいるわけでございまして、そういうあらゆる形の平均をとりましたものが、私どもがやっております学生生活費調査に言っておるものでございます。
  90. 内藤功

    ○内藤功君 私は、とにかくこういう通学費の中で、それではどのくらいの割合が国鉄に依拠しているのかという問題について調べてみたんですが、これば文部省の資料にはなかったのですが、手元にあります、去年のこれは全国の大学生活協同組合連合会のつくった「学生の経済生活と消費動向」というのを見ているのです。後でこれ、総裁ごらんになっていただいて結構ですが、この中にずっと出てきますのは、全国の国立大学の約八割、私立大学の約三割、七十五万人の学生がこれに参加をしている。首都圏の十一の生協、東大、早稲田、慶応以下十一大学の生協の方に依頼をしてつくったものだと。これによりますと、自宅生の七〇・六%、これが何らかの形で国鉄利用しているという数字がこの中に挙げられております。私は、こういう点から、国鉄の値上げというものが学生の生活及びその学生の親御さんの生活にかかわる点は非常に大きいと。文部省の資料にありませんけれども、学生の生協の中には非常に詳しく国鉄依存度というものが書いてあるんであります。  私は、そこでこういう実態の上に立って、ことしの五月の十二日に国鉄の高木総裁が談話を出しておられて、それが新聞に出ている。これを見ますと、国鉄としては値上げ申請をやったと、それからまた、学生の割引についてこういう高いと言われる申請をしたということについて、これはパンチの効くアピールをしたんだという言葉が総裁の言葉としてあるわけです。私は、その気持ちというものを、大体この言葉でわかるような気もするんだが、もうひとつ改めて聞きたい。パンチの効くアピールをしたということは、こういうことなんですか、政府がこのパンチの効くアピールにこたえて、通学定期などについても、公共負担問題についても、この際、いまこそ解決をしてくれいということについてパンチの効くアピールをしたつもりだと、こう総裁おっしゃるわけですか。
  91. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) これは内藤先生よく御存じのとおり、公共負担問題というのは、国鉄の再建の過程において非常に長い問題でございます。諮問委員会その他から、十年前からしばしば指摘を受けて、おまえら何をほやぼやしているかと、何とかしてもらいなさいと言われてきたことでございます。また、国会の委員会におきましても、繰り返し繰り返し公共負担を唯々諾々と国鉄が負担しておるのはいかぬではないか。ちゃんともらうべきところからもらっていらっしゃいと、こういう御指摘を受けてきたわけでございますが、いろいろ言われますけれども、いかにしても解決がつかないで今日まで来ておるわけでございますので、この際何とかしていただきたいという意味で、パンチが効くかどうかわかりませんけれども、強くアピールをいたしたいという気持ちを持っておることは事実でございました。何とかこの辺からだんだんお助け願いませんと、なかなかその再建ができないという現状を御理解いただきたいと思うという趣旨でございます。
  92. 内藤功

    ○内藤功君 大臣、まあ国鉄総裁はそういうふうに言っておるわけであります。大臣は私よりももっと国鉄総裁の近くにおるわけですが、これにこたえて閣内で、政府の中で、大臣はいまのこの公共負担問題について、これは言葉だけじゃなくて、真剣にやはり努力をしていただきたい。先ほども同種の質問があったようですが、歴代運輸大臣みんな努力をしますと言うんですよ、そういう方向でやりますと言うんですが、なされないまま今日に至って、値上げ緩和法までできてしまっている、こういう現状です。大臣はこれについてどういう決意を持ってお臨みになるか、どういうプロセスで、どういう手順を踏んでこれをおやりになるお考えか、いまのお考えを聞いておきたいと思います。
  93. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 頭の痛い問題でございますが、ぜひ何とかしたいと、こういうようには強く考えております。  問題は多少違いますが、もっと国鉄の新線も敷設してもらいたいというような話等で関係閣僚等が話をしましたときに、国鉄の赤字けしからぬ、けしからぬと言っておきながら、ますますしょわせるようなことだけでは国鉄もかわいそうじゃないか。これはいまの公共割引等にもやや似たところがあるわけでございます。そこで、先ほどから聞いていると、毎月の通学の費用と食費とが同じくらいだと、そういうようなことで議論をしていくと妙な話になってしまうと私は思うんであります。そういうことは、まさに実相をきわめた上で対策を講じていかないと国鉄もかわいそうだと私は思うわけでございます。そこで、そういうことはさらに調査をするとして、いま、文部省の方も高くするなと言うだけでなく、高くするんなら文部省はどう考えるかということぐらいちっとは考えないと、いまみたいなばかなことを言っておるだけじゃ話にならぬと私は思う。私は、そういう観点から、内藤さんがいみじくもおっしゃっていただいたが、まさに何とかしてやらなきやならない。で、国鉄を敷設するのにも、建設公債のようなものを、道路と同じようなことを考えたらどうかというような議論等も出しまして、それはそうしようというような話等も閣内では進んでおります。  そこで、いま内藤さんのおっしゃいましたような点につきましては、何とかして、国鉄が上げるのはけしからぬと言うだけでなしに、国鉄がそう言わざるを得ないという事情等についてはよく認識をしてやって、全体としての施策を、いままでにこの委員会等でも皆さんから強く御指摘になっておりますことを、これを政治全体の中で解決していく方向へ持っていかなければならぬと思います。いままでも確かに責任者がその種のことを言ってきて、言ったは言ったが、あんまり解決になっていないということを大変残念に思います。しかし、これはいままでの人がどうこうということを私は言っているべきでなくて、そういう責任も一緒——成田の問題もそんなことになってしまったんでございますけれども、みんな私がしょって解決をしなければならぬという気持ちは、私は強く持っております。しかし、いかんせん、ただいまのところ上げる話の方で、負担する方の話は一向に進まない現状のままでは、いろいろ言ってみたところでまたおしかりを受けるわけでございますから、遠からずそういう点については何とかできるだけの前進をせしめるように私は努力したいと存ずる次第でございます。
  94. 内藤功

    ○内藤功君 これは、いままでは国会に運賃の改定についての調査権があり、かつ、その法案の審議権がありましたから、私どもはこれが実現されなければ運賃の改定はこれは認めないよという、国会の審議権における一つの拒否をする力をわれわれは持っておった。権限を持っておった。しかし、国会の権限はいまあの法律の改正によって外されたわけです。そうすると、国鉄総裁が値上げを申請をする、最後の歯どめというのは結局運輸大臣、あなたのオーケー、サイン一つということになるわけですね。ですから、あなたのところでもって、そういう公共負担の問題というのはこういうふうにしていく、政策負担の問題はこういうふうにしていく、これを実現しなければ値上げはのまない、値上げについては判こを押さないという、一つのやはり最後のとりでが運輸大臣、私は今度の法律改正になってきていると思うんですね。そういう意味で大臣、どうですか、先ほども質問があったようですけれども、基本問題でありかつ懸案の問題でありますから、後回しにされては困るわけであります。あなたが最後の運賃改定についてのとりでなんでありますから、ひとつ不退転の決意で——公共負担の問題というのは、前運輸大臣の言っている関係閣僚会議の設置という問題がある。まずこの関係閣僚会議の設置という問題を、値上げの認可の前にぜひこれは実現していく。これは前の田村運輸大臣は常設とまで言ったんですよね。そこまで言った問題なんですから、これはやっぱりはっきりとここで表明をしていただいて、閣僚の中でこの公共負担の問題を常設的な関係閣僚会議の中で解決していく。これは、私は半歩あるいは一歩前進にはなると思うんですね。これもしないと、やっぱり福永さんも成田ではいろいろやられたけれども国鉄運賃では同じことかということに——いろいろあなたに注文を出すように聞こえるかもしれぬけれども、私は重大な時期ですから、もう少ししっかりした答弁をしていただきたいと思うんですね。それをやらなければ値上げの認可はしないぐらいなやはり強い決意で臨んでもらいたい。いままででしたら野党の方が、これは値上げに対する審査権もあり、法案の審議権もあったんですが、いまの状況では私は少し話が違ってきていると思うんですよ。そういう点、いかがでしょうね。
  95. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 見方によりますと、内藤さんがおっしゃるようなぐあいに、権限も国会から離れて運輸大臣がというように見られる部分があるわけでございますが、それだけに運輸大臣の責任は強いと思いますし、それだけにこれからますます皆さんにしかられなければならない、こう思うんですが、けさも順に皆さんからいろいろお言葉をいただきました。確かに、いま内藤さんもおっしゃるように、国会でお決めいただくことから外れたということで、あと安易に値上げがされるというようなことだけであってはならぬと私は強く存じます。  そこで関係閣僚会議も、何でございます、私は事務当局間では早くそれをということを非常にやかましく言っておりますが、場合によりましたら、それが余り進まぬようでございましたら、直接、閣僚会議を開くことを、私、閣内で提唱したいと思っております。まずそこを、前に実は基本的には、こういうことじゃ国鉄だってかわいそうじゃないかということで話し合ったんですが、しかし、それは関係閣僚会議の形において言ったのじゃございません。ございませんが、できるだけ早くその種のこともしなきゃならないと思っております。いまも重ねてのお話でございますから、そういうふうに私はいたしたいと存じます。
  96. 内藤功

    ○内藤功君 そろそろ予定の時間が来たようなんで、最後に一問まとめてお伺いしたい。  これは官房長になりますかな、審議会。  去年の法改正の際に、国鉄の運賃についての審議権は国会において原則的にこれを行ってきたのが改められ、その結果、政府は運輸審議会の審議を改善するという形で、このチェック機能を行使していくということを非常に強調したわけです。特に、田村運輸大臣が八十二国会において非常に強調したのが印象的であります。つまり現状において、運輸審議会は国会の機能にある程度かわり得るようなチェックの役割りを持ってきているというふうにとれる、そういう答弁を去年国会でしております。私が伺いたいのは、こういう昨年の論議を経てどういうふうに審議会の民主化というのがされているのか。  それから、国鉄運賃専門調査員というのができましたが、この法制的な位置づけというのは、これは参考人なんですね。これは去年のその運輸大臣答弁とは私は食い違っているのじゃないか。参考人だとすると、これは聞かれる方なんです。去年の運輸大臣答弁は、その調査員というのは常設で、随時来てもらっていろいろ話を伺う、一回一人二十分とか三十分じゃなくて随時来てもらって意見を伺う、政府や国鉄に質問もできると、こういうものとして説明がありましたよ。そして相当の発言力があって、大きな影響があるということも大臣は言っていたんですね。それから専門調査員というのは、運輸審議会と相まってダブルチェックの役割りを果たすものだと言っていた。ところが、私は選ばれた調査員一人一人の方をどうこう言う気持ちは全くない。ないけれども、この制度自体が参考人と同じだ、本質的に参考人だと。これではいわゆるダブルチェックの機能は果たせないのじゃないか。これが第一です。もう最後ですからもう一つまとめて聞きます。  第二点は公聴会です。これも公聴会では私は本当にだめだと、やっぱり国会の審議がなければだめだという考え方ですが、仮に公聴会で国会のやってきたチェック機能にかわらせるとしても、今度はどうですか、ことしは全国の主要都市で開く地方公聴会はやらないでしょう、これはどうしてなのか。それから、いままでは三十人まで公述人ができたのが、今度は二十人ですね、数を逆に減らしているんです。そういうような問題。それから審議会の公開の問題、これは依然として非公開だと、こういうような状況です。  私は、去年の田村大臣答弁が、非常にあのときは法案を早く通さんがために、八十二国会、八十三国会において、その気持ちの余り、これではいわば口から出任せの答弁をして、そうしてこういうふうにチェックをしていくからというので逃げ切ったと断ぜざるを得ないのです。しかし、これは質問の最後でありますから、どういうふうにこれはいま私の言ったような問題はお答えになるのか。非常にまとめたので答えにくいかもしれませんけれども、これを伺いたい。これが最後の質問です。
  97. 山上孝史

    政府委員(山上孝史君) まず一番目の、国鉄運賃のいわゆる法定制の緩和に伴いましての運輸審議会の運営の改善につきましては、もう御承知だと思いますが、昨年の八十三国会における当委員会の審議の経過等を十分に踏まえまして、特に広く国民各界各層の意見をお聞きするために、いま御指摘がありました専門調査員制度、これを新設をいたしまして、これに公聴会または聴聞の場におきまして申請者であります国鉄に質問することができるようにしたり、また事案につきましての意見を述べることができるようにする道を設けました。これはすでに去る四月の十八日に運輸審議会一般規則という省令の改正をいたしました。それで、今回の国鉄の申請事案からすでに実施をしております。すなわち五月の十八日には六人の専門調査員の方に委嘱をいたしました。で、その専門調査員の方をお招きいたしまして、すでに運輸審議会におきましては二回目の聴問を終わっております。今後ともいろんなスケジュールを重ねて、慎重な審議に参与するということになります。  それから二つ目でありますが、その専門調査員の法的な位置づけであります。これは運輸省設置法の十七条の三号に基づきまして、運輸審議会が出頭を求めてその意見を聞いたり、あるいは報告を聞くという参考人であることは御指摘のとおりでありますが、従来の一般の参考人のように、ただ一回限りということではありませんで、国鉄運賃事案の諮問をいま申し上げましたように速やかに委嘱をいたしまして、この事案につきまして答申が行われるまでの間に、公聴会とか聴問会の席上において国鉄に質問をしたりあるいは意見を述べる、こういう特別の性格を一般規則の改正という省令改正によって与えたということであります。  それから三番目でありますが、公聴会を地方で開かないで東京でのみ行うということについての御指摘でありますが、これにつきましては、今回も東京で開くということはそのとおりでありますが、三つ理由があります。  一つは、国鉄の運賃は、これも御承知のとおり全国に関係する事案でございますが、東京はいまさら申し上げることもありませんが、政治経済の中心地でありますし、各種の団体とか会社とか事業所等のいわゆる中枢機能というものが集中しております。したがいまして、国民各層から意見を聞く上にも場所的に好適であるということが第一点であります。  それから第二点は、運輸審議会の事情になりますが、運輸審議会が処理しなければならないという事案は、国鉄だけじゃなくてそのほかに道路運送法関係の事案、その他たくさんの事案がございます。したがいまして、その審議に支障を及ぼすことのないようにできるだけ東京でやりたいということであります。  第三点は、公聴会の円滑な運営を図るためには、運輸省の各原局からの協力を得ることがぜひとも必要でありますが、このため、あるいは関係官庁の職員の出席が容易であるというような便宜の点など。  この三つの理由から東京を選んだということでありますが、東京以外の方々の意見を聞くことにつきましては、公述人、いわゆる一般の公述人の中に各地の人を選んだり、あるいは全国的な団体の人を選定する等によりまして、御心配の点につきましては極力それに対応するように運輸審議会は考えているということでございます。  それから、一般公述人の数の御指摘がありました。御指摘のとおりでありまして、従来は三十人以内でありましたが、今回は二十人以内にしております。この事情につきましては、今回は運賃専門調査員という制度ができました。これによりまして、申請人である国鉄に対します質問とかあるいは公述に、十分な、いままでなかった時間を割く必要があります。こういった時間を確保するために一般公述人の人数は、残念ながら二十人以内としたという事情であります。  なお、これはもうすでに運輸審議会の一般規則に規定がございますが、一般公述人として公述の申し出をした方が人数の制限のために選ばれなかったという場合、その方々の公述書というのが提出をされます。これを運輸審議会の審議の資料に供するということにすでに一般規則で決まっております。すべてこの公述書につきましては、運輸審議会の各委員が必ずこれを読む、読んでそれを参考にして審議を行う、こういう体制でございます。したがいまして、昨年の運賃法改正の八十三国会における皆様方の御指摘、御要望、これにはこういう制度化によって対応をいたしたということでお答えできるかと存じます。
  98. 三木忠雄

    委員長三木忠雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時十分散会      —————・—————