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説明員(高木文雄君) やはりまず企業努力をしなければどうもならぬ部分というのは、これは極度に採算割れになっておるものの中で、運行の仕方を変えるとか、あるいはサービスの
程度を若干落とすことを許していただくとかいうことについて、主として経費の節減をもって臨み得る部分ということになろうかと
思います。企業努力でなし得る部分というのは、逆に申しますと経費の節減によって生み出し得る、赤字を解消し得る部分というふうに言えるかと思うわけでございまして、その例といたしましては、現在その典型的なものといたしまして、現在、貨物について私
どもの方でちょうだいしております荷物を減らさないで、そしていまよりもできるだけいいサービスを提供しながら、なお、コストを下げたいと思っておるわけでございまして、それに類するものとしていまやっておりますものの中に、手荷物、小荷物の運送、
輸送につきまして、経費を切り詰めることの努力をいろいろ研究をいたしておる次第でございます。
そのほか、かねがねやっておりますような信号システムを変えるとか、あるいはディーゼル機関車が走っております地域につきまして、電車運転に切りかえるというようなことも経費の節減につながるわけでございますので、そういう努力をする。まだいろいろとございますけれ
ども、そして長年やってまいりましたので、だんだん実は種切れに近づいておるような現状でございますけれ
ども、なおそれをしていかなきゃならぬ。
それと同時に、最近各方面から非常に強く、君
たちの
考え方は違っているんじゃないかといって
指摘を受けておりますのは、経費の節減に努むることもさることながら、何とか収入を上げる努力をもっとやるべきだということをいろいろ言われておるわけでございまして、私
どももそれを痛感をいたしております。たとえば貨物につきましても、もう少し通運業者を初めとして、自動車業界の方々と密接な連絡をとることによってサービスの内容を改善する。たとえばうちだけがうまく運んでも両端の通運サービスが悪くては目的地の戸口から戸口まで、全体としてのサービスの改善になりませんものでございますから、そうした点について通運業者ともっととっくりいろいろ話し合いをしていかなけりゃいかぬと思っておりますが、そうしたことを通じて増収について努力をしなければならないと思っております。つまり企業努力によって解決し得る部分というのは、やはり物の
輸送に関連した、本来業務の
輸送に関連した部分が大部分でございます。なおそれに加うるに、時折話題になっております資産の活用その他によって眠っている財産を少しでも揺すり起こして少しでも収入を得る道を考えるというようなことも企業努力の一フィールドかと存じております。
それからどうしても助成をお願いしなければならぬというのは、一番顕著なのは、やはり現在の非常に特殊、異例な
人員構成からくる問題でございます。御存じのとおり、四十三万人の職員のうち十万人が現在四十五歳以上で、十年以内に定年の来る人
たちが二十万人を占めておる。したがって現在でも平均給与費が、やや
実態としては高月になっておる。年輩の方が大ぜいおりますから、平均給与費が高くなっておる。その上にこの十年間にその大ぜいの方がおやめになりますと、その諸君について退職金を払わなければなりませんし、それに伴うところの将来の年金負担が大変ふえてまいるわけでございまして、これは
国鉄自体がすき好んでこういう
人員構成をとったわけではないわけでございますので、まあ言ってみれば、国全体の戦後のいろいろな失業対策といいますか、雇用対策といいますか、そういうものに相当
程度御協力申し上げたということの結果が今日に及んでおるわけでございますので、そうしたものについては、とてもいま運賃を上げてお客さんから多くのお金を出していただいてやるとか何かいうことで解決する
方法がございませんので、これは助成をいただく
方向に持っていかなければならぬと思っております。
そのほか、ローカル線の問題なんかもかなりの額の補助金をいまいただいておりますけれ
ども、まだまだ
国鉄の自前で持っておる部分、赤字分があるわけでございますけれ
ども、これなんかもある部分はむしろレールを外させていただかなければならぬようなものも理論としてはあるわけでございますけれ
ども、現実にそれができないということであれば何かお助け願いませんと、その部分を他の部分からの収入で回していくということはできないわけでございます。
そして最後に、三本の柱のうちの運賃についてはどう考えるかでございますけれ
ども、これはやはり毎年ふえます人件費と物件費に対応する金額に関する限りは、相当
お客様には御迷惑でございましょうけれ
ども、やはり運賃を上げさせていただきたい。先般の
法律改正でお認めいただきました限度に近いものを上げさせていただきたい、そうしてその三つをうまく組み合わして、何とかして一日も早く赤字の発生額を小さくしていきたいというふうに考えております。
まだその境目のところにつきましては
——この三つの責任分野のうちの運賃だけは非常に明確になりましたが、助成で賄うべき部分と企業努力でやらなけりゃならぬ部分とのそこの境目につきましては、まだまだこれからの研究
課題が多いわけでございまして、その点は昨年の十二月の閣議了解では、五十四年度の終わりまでに
勉強しなければならぬということで御指示を受けておるわけでございますが、さればこそそのつもりで一生懸命やりますけれ
ども、来年五十四年度末までに明確にそこの境目の線を引けるようなところまで行き得るかどうか、これはわれわれの努力次第だと思っております。完全なものはできませんでもおおよその見当はそこでつけなければならないというふうに考えております。