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衆議院議員(足立篤郎君) ただいま議題となりました新
東京国際空港の
安全確保に関する
緊急措置法案につきまして、自由民主党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表し、提案理由を御
説明申し上げます。
去る三月二十六日、新
東京国際空港の開港阻止を叫ぶ過激派暴力集団が同空港内に乱入し、その一部が管制室に侵入して、管制機器類が破壊されたことにより、同空港の開港は一時延期のやむなきに至りました。
衆参両院におきましては、全党一致の決議をもって、再びかかる不祥事を引き起こさざるよう暴力排除に断固たる処置をとるとともに、
地元住民の理解と
協力を得るよう一段の努力を傾注すべきこと及び新空港の平穏と安全を確保し、わが国内外の信用回復のため万全の諸施策を強力に推進すべきことを、政府に対し強く要請したのであります。
政府においては、新
東京国際空港の
安全確保について責任を持って対処することを明らかにし、開港期日を来る五月二十日とすることを決定するとともに、同空港の安全強化等の諸
対策を決定し、その推進に努めているところであります。
しかしながら、同空港及びその周辺に過激派集団の活動の拠点となっている団結小屋等の工作物が存在している現状においては、同空港及び航空機の航行の安全を確保するためには、きわめて重大な不安があり、現行法の適用を
検討した結果、いずれの法律もこのような事態は予想しておらず、その
解決は不可能との結論に達したのであります。
したがって、当分の間の緊急
措置として、新
東京国際空港もしくはその機能に関連する施設の設置もしくは管理を阻害し、または新
東京国際空港もしくはその周辺における航空機の航行を妨害する暴力主義的破壊活動を防止するため、新たに法律を制定する必要があると考え、この法律案を提案した次第であります。
次に、本案の
内容について御
説明申し上げます。
第一に、この法律は、新
東京国際空港及びその周辺において暴力主義的破壊活動が行なわれている最近の異常な事態にかんがみ、当分の間、暴力主義的破壊活動の用に供される工作物の使用の禁止等の
措置を定め、もって新
東京国際空港及びその機能に関連する施設の設置及び管理の安全の確保を図るとともに、航空の安全に資することを目的といたしております。
第二に、暴力主義的破壊活動等、暴力主義的破壊活動者及び規制区域についての定義を規定し、規制区域は、空港内及びその外側三千メートルの
範囲の区域並びに航空保安施設または空港機能を確保するために必要な施設のうち政令で定めるものから三千メートルの
範囲内で政令で定める区域といたしております。
第三に、規制区域内に所在する工作物が暴力主義的破壊活動者の集合
場所として、爆発物、火炎びん等の製造または保管の
場所として、または、航空機の航行を妨害するために用いられまたは用いられるおそれがあるときには、
運輸大臣は、その工作物の所有者、管理者または占有者に対して、期限を付して、当該工作物をこれらの用に供することを禁止することを命ずることができることといたしております。
さらに、この禁止命令に違反してこれらの用に供されているときは、当該工作物について封鎖その他その用に供させないために必要な
措置を講ずることができ、また、諸般の
状況から判断して、暴力主義的破壊活動等にかかわるおそれが著しいと認められ、かつ、他の手段によっては禁止命令の履行を確保することができないと認められるときであって、本法の目的を達成するため特に必要があると認められるときに限り、当該工作物を除去することができることといたしております。
第四に、これらの命令または
措置に関し、立ち入り・質問、土地の使用等、現場にある者の退去、物件を除去した場合の保管等に関する規定を定めております。
第五に、国は、封鎖、除去、土地の使用等の
措置を講じたことにより、損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償することといたしております。
第六に、
運輸大臣は、規制区域内において暴力主義的破壊活動者の所持し、または使用する物件が、暴力主義的破壊活動者の集合、爆発物、火炎びん等の製造または保管の
場所または航空機の航行に対する妨害の用に供され、または供されるおそれがある場合において、諸般の
状況から判断して、暴力主義的破壊活動等にかかわるおそれが著しいと認められ、かつ、本法の目的を達成するため特に必要があると認められるときに限り、当該物件を一時保管することができることといたしております。
第七に、この法律に基づく
運輸大臣の
措置の一部は、これを新
東京国際空港公団に行わせることができることとし、また、
関係行政機関は、この法律の実施について、
運輸大臣に
協力しなければならないことといたしております。
以上が、この法律案を提案する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。