○
参考人(
宇野信次郎君) 私の
意見陳述が多少前
参考人の余った時間を使わしてもらうようなことになるのかもわかりません。その点御了承願っておきたいと思います。
二月の十三日に現在の
造船不況に対してわれわれの日造協が主催、地方の関係四団体と造工、中造工の協賛を得て
造船危機突破大会をやりましたときに、各党から大変な御激励と御支持のお言葉をいただいたことをここに改めて厚く御礼申し上げたいと思います。折あしく私、病気で入院中でありましたので、代理の者をやりましたんで手落ちは多少あったと思いまするが、その決起大会に引き続いて、また今日皆さん方にお願いし、あるいは各党の
方々にもう一度御了解願いたいのは、現在の下請の状態から、この決起大会に対して、各党あるいは
政府に要望しましたことの実現の
促進のための大会をやることになりましたことを御了解得たいと思います。決起大会やって、また間もなく、いまいろいろのことをやってやっておるのにまた催促するのかというような御批判はあるかと思いまするが、前三人の
参考人と違いまして、われわれ下請の立場はもう時間の余裕がないところまで追い詰められておるわけです。そのために、
造船業全体に対しては前
参考人の言われた点が大部分でありまするが、立場を変えて下請の現在の状態を皆さん方にぜひ御了解を願って御支援を得たいと思うのであります。
大体われわれの日造協といいますのは、正式に社団法人
日本造船協力事業者団体連合会と大変長いので、略称を日造協と言っておりますが、現在の組織としましては、事業団体が六十一、それからそれに所属する中小の事業が二千、このまた大変減りましたが七万の従業員が現在加盟しておるのであります。この加盟の状態は各
造船所におりますいわゆる構内工、それから、各地方に工場を持っておる
造船の下請工場、船体ブロックを主としてやりました工場、そういうのを入れまして現在の実勢であります。この中で、
造船不況に最も大きな
影響を受けましたのは構内の下請工で、御存じのように、約三万人の人間が統計では減少しておるのであります。しかし、われわれは、この下請というものが、
一般の雇用関係を持った労組と違いまして、いわゆる
需要と供給、元請、下請という関係から、
仕事がなくなれば簡単にこれは労組のいわゆる首切りではなく、これをわれわれの内部で処理しなければならぬ、下請
企業で処理しなければならぬ、その下請の資力のなさは、現実においてわれわれが特定のものを除いて大部分は、三万人の人間を減らされても、これに払う退職手当といいますか、ほとんどこれはゼロに等しい。ようやく予告手当の一カ月を繰り上げて払う、中には多少そこに退職手当のつくところもあるでしょう。その状態を踏まえて私は
一つの義憤を感じるような問題をきょうの新聞で見ているんです。いわゆる佐世保重工が希望退職を募った、そのときに希望退職を上回る千六百人近くの希望者があった、それに対する退職手当が八十億になると、当初は希望退職といって五十億ぐらい用意したのが間に合わないから八十億になった。ところが八十億になるこの退職手当は別としまして、それにかかわる、これは真であるか偽であるかわかりませんが、労組の
委員長が、退職手当の支給がおくれたら暴動が起きると、われわれに言わせると余りにも納得できない状態が横行している。先ほども控え室でちょっと雑談しましたが、成田の
暴力集団に等しいようなことを労組の一
委員長が言っているという。しからば、このわずか、退職手当とてなし、一カ月の予告手当で首を切られている下請の従業員は何と見るでしょう。労働者には変わりはないわけなんです。大
企業の労組だけがそういう権利があり下請にはないということはあり得ないんです。ここに国の政治をわれわれは強く発揮してもらって、この下請の救済に当たっていただきたい。いわゆる
造船業全体に対するいろいろの希望は、われわれは、いま前の
参考人が述べたとおりですが、それに加えて、最も深刻な
造船の下請に対して何らかの救済の手を即刻伸ばしていただきたい。それがこの決起大会に引き続いて
促進大会を四月の二十五日にやることになっておりますが、ぜひこれは皆さん方が各党に帰られて、この深刻な
実情を御
理解の上、御支援と何らかの
対策を講じていただきたい。
その
対策の
一つとしましては、われわれとしまして、ともかくも
スクラップ・アンド・ビルド、あるいはバラストタンクの義務づけ、こういうようなことを過去かなり前から言っておりますが、なかなかいろんな意味から急激には
実施に入れない、いわゆるSBの問題につきましても
船主の了解、あるいは
船主は海員組合との関係がなければなかなか進歩しない。ただ簡単に
スクラップにはできない。また、
スクラップなくしてビルドだけを主張してもこれは成り立たない、そういう点で私たちはそれまでのつなぎとして、
政府が、あるいは国がもてあましておると言っては失礼かわかりませんが、ドル減らしの一環として、少なくとも二億ドルぐらいのドルを使って外航船を買って
スクラップすればいい。これはある意味においてはなかなか困難を伴うかもしれませんが、船員の問題を伴わない外航船買うなれば、一番手早いじゃないですか。一方にはドル減らしにもなる。これによって受けるわれわれの雇用は、少なくとも延べにしまして
年間百四、五十万人の人間が助かるんです、延べなんです。
しかし、われわれとしましては、これをただやろうとしましても能力の限界設備を持たない、あるいは資金を持たない、そういう関係からぜひ国の力で何らかの買い取り機関、いわゆる買船公団なり、あるいは新公団の設立が困難なれば、現在の
船舶整備公団の
法律改正でやっていただくなり、ともかくも、ドルを利用して外航船を買ってその解体作業を各
造船所に流していただきたい。特に、
仕事のないところに流していただきたい。その解体については
造船工業会もこの六日の政策
委員会でやることに
賛成しております。われわれの要求、あるいはいろいろの情勢の変化が真藤造工会
会長からわれわれの方に話がありましたが、造工が解撤をやってもいいかと、もちろん、これはわれわれの望むことはぜひやってほしい。ただ、本工がかかるということについても話がありましたが、それは本工が全部やったんじゃ何にもならないけれども、ある
程度本工と合同で解撤事業を
造船所でやってくれるなればもろ手を上げて
賛成する、ぜひやってほしいということで、これはその直後、六日の政策
委員会で決定されたということを聞いております。
従来、解撤事業の進行がいかなかったのは元請
企業がこれに
協力しなかったというよりも、関心を示さなかった。もちろん、元請
企業としてもいろいろの
理由があるでしょう。それは頭金のある新
造船と違って、金のかかる解撤船、買船に金のかかる解撤事業、あるいは
スクラップその他の処理にリスクの伴う解撤事業、あるいは新
造船から比較して一〇%ぐらいの作業量しかないといういろいろのデメリットがあるとしましても、私たちはこの解撤事業を本業にしろとは言っていない。いわゆるアイドル防止で、あるいはわれわれの構内工、下請の
企業を維持するためにやってほしい、これを再三お願いしてきておるわけです。それが余りに進まないのでわれわれの手で八組合が解撤組合をつくっておりまするが、ごく微々たるものです。あるいはある
程度の大型になりますと元請の
協力がなければできない。こういう点におきましては解撤事業を雇用につなげるのにはやはり大手
企業、あるいは
中手の大がこれに取り組んでそのつなぎにやってほしい。
私はいまでも過去においても実に不思議に思っていた。
仕事がない、
仕事がないと言いながら、一方にはここに供給する余剰
船舶がまだまだ五年、十年続く解撤市場をなぜ
造船メーカーが研究しなかったのか。なぜそこからメリットをつくるための努力をしなかったのか。デメリットだけを出してメリットを追求しなかったということについては、私はやはり
造船業界の
責任者である造工なり、あるいはその他の大手の
責任の一端を負わなければならぬと思う。ただもちろん、いまの事情は私たちもわかっておる、いま言ったように、リスクとデメリットの続くものについては。しかしながら、現在はわれわれの下請ともかつて二十数年来元請
企業と
協力して定着しておるのです。要するに、
仕事がなくなったらいつでも引き下がるというような過去の
造船業のやり方ではない。二十新年定着した従業員がいる、これを当然維持しなきゃならぬ。できなければ、ただいま言ったようにわずかの手当で整理をしなきゃならぬ。これもとらの子の本当にかけがえのない従業員を整理しているんです。ところがわれわれは現在まではもうやむを得ない。しかし、これからなお増加の予測される構内工の減少と下請の作業量の減少についてはもうがまんができないと、待てないと、といって元請にこれを求めることは困難で、ここに政治の力でどうしても国の力でこれをやっていただきたい。いわゆるいまこそ国の政治力を発揮するときだと思います。従来のときと違って少なくとも基幹
産業の
造船業のうちのまた一半を担っていたこの下請
企業のためにも、ぜひとも国の力をもってこのわれわれの望む解撤事業の御援助を願いたい。大体そのように進んでおるということもわれわれも漏れ承っておりまするけれども、現在の状態で進みますと六月、七月がほとんど構内においては
造船の元請の
仕事の減少によってお手上げになる。これは
企業が壊滅することになるんです。元請あるいはそれに類するものはこの外注に出しているものを内作に切りかえる、あるいは一番無抵抗な下請をやめさせる、これは一番楽なことです。しかし、これだけではわれわれは納得できない、できないんです。納得するわけにいかないんです。といって佐世保の労組のように退職手当がおくれたからといって暴動になるなんというふうな、こんなばかばかしいことは言いません。できるだけのがまんにがまん、あるいはあらゆるものを研究して無から有を生むために解撤事業というものを三年にわたって研究しておるんです。微々たるわれわれが研究してもある
程度の成果が得られるのを——相当の過去においては新
造船といえども赤字続きであったんです。利益なき繁栄を続けた
造船界がこの利益を得るようになったのは下請の
協力はもちろんであるが、そこに元請
企業のたゆまない努力と開発があったんだと、その力をもってすれば現在台湾においては少なくとも四、五万人の人間の雇用につながっている解撤事業をなぜほっておくんだと声を大にして申し上げたいと思います。ぜひこの点においては繰り返しお願いしたいのは、この下請
企業も本工のような
一つの組織はありませんが、少なくとも日造協という組織がある以上は、われわれはこの下請を守るためにどうしても、皆さん方のあるいはわれわれの力が足りないところはどこまでも努力はしまするけれども、ぜひ現在においては
造船業界の
一つとして、決して私たちはこれを専業にしようとは言わない。ただ、
需要のまだ相当続く、これが大きい意味においては海運界の安定にもつながると、こういうふうに言っているんです。ですから新造、修理、また解撤と、こういう三つを取り上げてもらいたいということは、いま申し上げているんじゃなく、三年来申し上げておることです。こういうことを前提としまして、ぜひともこの本日の
運輸委員会ではわれわれの意のあるところを御了承願いまして、そして何らか早急の御援助を下請を代表してお願いする次第でございます。
あとのいろいろな問題につきましては、資料に従って御質問について御回答したいと思います。どうぞよろしく。