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1978-04-11 第84回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十一日(火曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員異動  四月十一日     辞任         補欠選任      伊江 朝雄君     金丸 三郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事         安田 隆明君                 山崎 竜男君                 青木 薪次君                 三木 忠雄君     委 員         井上 吉夫君                 石破 二朗君                 江藤  智君                 金丸 三郎君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                 平井 卓志君                 瀬谷 英行君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  福永 健司君    政府委員        運輸大臣官房長  山上 孝史君        運輸省船舶局長  謝敷 宗登君        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        運輸省航空局次        長        松本  操君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    参考人        日本造船工業会        副会長      南  景樹君        日本中型造船工        業会会長     織田澤良一君        日本小型船舶工        業会会長     村上 忠二君        日本造船協力事        業者団体連合会        会長       宇野信次郎君        日本舶用工業会        副会長      赤阪  忍君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案(第  八十二回国会内閣提出、第八十四回国会衆議院  送付) ○運輸事情等に関する調査  (造船不況問題に関する件)     —————————————    〔理事三木忠雄委員長席に着く〕
  2. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、伊江朝雄君が委員を辞任され、その補欠として金丸三郎君が選任されました。     —————————————
  3. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案議題とし質疑を行います。  質疑のある方は御発言願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  5. 青木薪次

    青木薪次君 私は日本社会党を代表して、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案に対して反対討論をいたします。  反対の第一の理由は、さき審査の段階で明らかになったように、本法による私権制限損失補償等措置憲法上から見て、きわめて重大な疑義があり、審査の中でその解明がなされていないということであります。  反対の第二は、航空機材改良、便数の抑制、発着時間の制限運航方式改良等発生源対策や、緩衝緑地帯造成等空港構造対策等空港設置者側が行うべき騒音対策が不十分なまま、住宅等の禁止という大幅な私権制限を伴う厳しい規制措置が一方的に騒音被害者側に強制されていることであります。これは被害者責任を転嫁するものであり、片手落ちの措置と言わざるを得ないのであります。  反対の第三は、現在航空機騒音障害防止法に基づいて実施されております民家防音工事助成等騒音対策が不十分なまま、本法により騒音被害者に対する義務づけのみが強化されていることであります。現在実施されている民家防音工事助成は、八五WECPNL以上の限られた地域対象とし、一室ないし二室に限られておりますにもかかわらず、本法による防音構造の義務づけは、七五WECPNL以上の広範な地域対象実施されることになっており、それに要する費用もすべて自己負担となっております。これでは義務のみが多いという不均衡が発生し、特定空港周辺人々の十分な理解を得ることができないのは当然であります。  反対の第四は、基本方針策定手続について、地域住民の意向を十分に反映するための制度的保障に欠けていることであります。知事が策定する基本方針の案に対しまして地域住民意見書提出することができることとなっておりますが、その提出期限は、二週間ときわめて短く、また提出された意見書の取り扱いについては何ら規定しておりませんし、案作成の基礎となる資料の公表や、地域住民に対する説明会開催等も義務づけられておりません。これでは地域住民に対する配慮に欠けていると言わざるを得ないのであります。  反対の第五は、特別地区内の居住者に対する補償等措置が不十分であることであります。用益制限に伴う損失補償土地の時価買い上げ、移転補償等について一応の規定はしておりますが、その内容が不明確かつ不十分であり、地区指定による地価の下落、地区外への移転後の生業維持等に対する十分な措置規定されておらず、これでは地域住民の不安や不満を増大させることは明白であります。  反対の第六は、違反建築物に対する是正命令罰則適用について善意居住者をその対象に加えていることであります。違反建築物とは知らず、苦しい家計から資金を工面してやっと宅地や住宅を購入した人々等の善良な関係住民に対し、さらに経済的負担を課することになる是正命令罰則適用することは過酷であります。違反建築物に対する措置は、あくまで悪質な建築主等に限られるべきであります。  以上がこの法律反対する理由でありますが、当面この法律適用対象に予定されております新東京国際空港について、先日不測の事態が発生し、その開港が大幅に延期されることとなったことにかんがみ、真の開港条件は、空港周辺住民理解協力であるというわが党の主張に耳を傾け、現在実施中の騒音対策を初めとする空港周辺対策をこの際地域住民の十分な協力が得られるよう抜本的に見直し、その充実を図ることを強く要請いたします。そしてかりそめにも成田問題に関して過激派対策と称して、一般デモ集会規制を行うがごとき治安立法の制定に反対するものであります。  以上をもって私の反対討論といたします。
  6. 内藤功

    内藤功君 私は日本共産党を代表して、ただいま議題となりました特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案反対する立場から討論を行います。  反対の第一の理由は、この法案実施される特定空港周辺の一定の範囲内において、厳しい立地規制のため、著しく私権制限されるという問題であります。わが党は、立地規制そのものを全面的に否定するものではありませんが、私権制限という憲法上の重大な内容を含んでいるからこそ、その実施に当たっては、関係住民意見が十二分に反映される民主的な協議機関等制度を確立することが重要であると考えるのであります。ところが本法案内容には、そのような条項が何ら保障されておりません。  第二に、発生源対策原因者負担原則という点からこの法案被害者である地域住民の権利を保護し、保障しなければならないにもかかわらず、一方的に航空機騒音被害者である住民に対し、住宅など建築を禁止しようとしております。騒音問題で最も力を注ぐべきものは、発生源対策であり、この面での法的整備こそ優先すべきであります。このことを放置して建築規制などの周辺対策事態を糊塗することは空港設置者と各航空会社責任を免罪する結果となるものであります。これこそ原因者負担原則を放棄したものと言わざるを得ません。  第三に、本法案防止地区内下建築しようとする場合は、自費で防音上有効な構造としなければならないというように防音工事を義務づけて、違反に対して最高二十万円以下の罰金という、きわめて強権的なものであります。また損失補償土地買い入れについて見ますと、補償措置がとられる区域は防止特別地区に限定され、防止地区における補償規定は皆無であります。また本法案によりますと、損失補償買い入れ価格の基準を時価としておりますが、空港開港されますと、いろいろな条件が重なって地価が大幅に下がることは大阪空港周辺の例からも明らかに予想されるところであります。したがって現在の家屋、土地を買い上げてもらっても同程度の建物、土地の購入はきわめて困難であります。したがって、住民の意思に基づき自由に移転できるようきめ細かい対策を講ずる必要があります。もともと騒音公害環境破壊という特殊な条件を勘案して、十分な補償をすることが国の当然の責任であると考えるのであります。  第四に、航空機騒音対策基本方針策定及び土地利用計画につきまして、飛行場周辺住民の生命と安全を守るという義務づけが何ら規定されていないところであります。航空機事故は離発着時に最も多く発生しているのであります。このことはICAO——国際民間航空機構報告からも明らかであります。  このような報告調査結果から、いかに周辺安全対策が重要であるか明白であります。  以上、幾つかの点できわめて不十分であり、本法案に対し反対態度を表明するものであります。  最後に、私は成田空港管制塔事件に関し、再び同種の事件が起きないよう抜本的対策を強く要望するものであります。今回の暴力集団による破壊は、民主主義に対する重大な挑戦であり、断じて許すことのできないものであります。当委員会を初め本会議予算委員会等で明らかになりましたように、暴力集団に対し、政府側が従来甘やかし、あるときは政治的にこれを利用し、その結果今回の事件へ結びついてきているのであります。そういう意味から必然的に引き起こされた事件だと思うのであります。先日の総理、運輸大臣の答弁でも、暴力集団に対し、寛容であり過ぎたと事実上われわれの指摘を認めざるを得ませんでした。また、政府内部には、現在でも暴力集団社会主義共産主義を目指す集団と答弁する向きもあります。しかし、彼らが社会の進歩と発展を目指す勢力とは無縁の存在であることを私は強く指摘しておきたいと思います。今後これら暴力集団行動には、現行法を駆使して毅然たる態度で対処する、このことを強く要求しまして、私の反対討論を終わります。
  7. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 他に御意見もなければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  8. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  9. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  青木君から発言を求められておりますので、これを許します。青木君。
  10. 青木薪次

    青木薪次君 私は、ただいま可決されました特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案に対し、自由民主党・自由国民会議日本社会党、公明党、民社党及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案提出いたします。  まず案文を朗読いたします。    特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の事項につき適切な措置を講ずべきである。  一、特定空港周辺地方公共団体住民代表等関係者で構成される航空機騒音対策等のための協議会を設置すること。  二、本法により防音構造が義務づけられることに伴う先住者住宅に係る経済的負担については、軽減措置を講ずること。  三、農業者等移転補償を受けて転出する者については、その生業維持のための必要な助成措置を講ずること。  四、本法による改善命令及び罰則の運用については、善意居住者等に不当な負担をかけないよう十分配慮すること。  右決議する。  以上であります。
  11. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ただいま青木君から提出されました附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  12. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 全会一致と認めます。よって、青木提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し福永運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。福永運輸大臣
  13. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいまは特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案について慎重御審議の結果御可決をいただきましてまことにありがとうございます。私といたしましても、本委員会における審議及び附帯決議内容を十分尊重いたしまして、空港周辺における航空機騒音問題の解決と空港周辺地域社会との調和ある発展に全力を尽くす所存でございます。  ありがとうございました。
  14. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) なお、審査報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」を呼ぶ者あり〕
  15. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時まで休憩いたします。    午前十時五十四分休憩      ——————————    午後一時四分開会   〔理事三木忠雄委員長席に着く〕
  16. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  運輸事情等に関する調査のうち、造船不況問題に関する件を議題といたします。  本日は参考人として、日本造船工業会会長南景樹君、日本中型造船工業会会長織田澤良一君、日本小型船舶工業会会長村上忠二君、日本造船協力事業者団体連合会会長宇野信次郎君、日本舶用工業会会長赤阪忍君、以上五名の方々をお招きいたしております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日はお忙しいところ委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  本日は、造船不況問題に関する件について忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。議事の都合上、御意見をお述べ願う時間はお一人二十分程度にお願いいたしたいと存じます。  なお、参考人意見陳述の後で各委員から質疑がございますのでお答えいただきたいと存じます。  それでは、これより順次御意見をお述べ願います。まず、南参考人にお願いいたします。
  17. 南景樹

    参考人南景樹君) 南でございます。  まず、今回の造船業界不況の実態と影響につきまして申し上げます。  今回の造船不況の引き金となりましたのは四十八年のオイルショック後のタンカーの船腹過剰でございます。現在でもタンカーの船腹過剰は七、八千万重量トンともまたあるいは一億重量トンとも言われておりまして、その解消は昭和五十五年以降になるものと考えられております。また最近、鉄鋼業の不振によりましてバラ積み貨物船の船腹も過剰となってまいりまして、これもここ数年間は解消しがたいと見られております。このような状況でございまして、造船不況は短期的に見ても五十五年までの三年程度、場合によりましては五、六年程度続くことを覚悟しなければならないと考えております。しかも、不況のどん底を過ぎましても、その先の回復がきわめてスローテンポでございまして、かつてのようなブームが再び来ることはちょっと考えられないものと予想されるわけでございます。  その理由といたしましては、世界的に資源節約型の経済に移行してまいりましたということ並びに第三国の進出などによりまして日本造船のシェアが次第に低下してまいっておりますことでございます。まず、工事の量の面から見てみますと、造船不況は次のように次第に深刻化の道をたどっております。  まず第一に、オイルショックの起こりました四十八年に造船業は三千八百万総トンの新造船受注したのでございますが、翌年以降受注は急激に減少してまいりまして、昨五十二年は六百三十万総トンに落ち込みました。ピーク時に千八百万総トン前後の進水実績を上げているのでございますが、その三分の一程度水準に落ちたわけでございます。なお、ことしに入りましてからの受注はさらに少なく、一−三月で七十万総トン、このピッチで年間推移すると考えますと三百万総トンにも達しない水準であろうかと考えます。最近の受注減につきましては、円高ということも大きな原因一つと相なっております。なお、造船所手持ち工事も非常に減っておりまして、四十八年末には五千二百六十万総トン、三年分以上の手持ち工事がございましたが、五十二年末には八百六十万総トンに落ち込んでまいりました。手持ち工事が減りました原因としましては、引き渡しが済んだ分を埋め合わせるだけの新規受注がなかったこと、これが一番大きいことでございますが、そのほかに、この四年間に約千八百万総トンのキャンセルがございました。こういう理由によって非常に手持ち工事が減ってまいりました。一方、マン・アワーのベース操業度を見てみますと、ピーク時の四十九年度を一〇〇といたしまして、五十二年度は約六〇%でございます。さらに、現在の手持ち工事だけで今後を過ごすと考えますと、五十三年度は約三〇%、五十四年度は五%にすぎないことになります。今日では市況が極端に冷え切っておりまして、新規受注はほとんど期待できない。そういう状態を通じまして、五十三年、五十四年度は四〇%の操業度を維持することはきわめてむずかしい実情でございます。  以上のような現状でございますが、しかし造船業労働集約型の産業でございまして、優秀な人的資源の豊富なわが国に最も適した産業一つであろうと考えております。また、関連工業のすそ野もきわめて広く、多種類の関連工業製品をすべて国産品で賄えるだけの技術力を持っております。全部の品物を国産品で賄える国は世界じゅう恐らく日本だけだと考えております。さらに、造船所全国各地沿岸部に散在しておりまして、地域経済に中心的な役割りを果たしておる造船所も少なくございません。こうした産業であるだけに、深刻な不況による社会的影響も大きく、抜本的な不況対策が切望される次第でございます。  次に、造船不況対策につきまして申し上げます。  造船各社は、低操業度下における経営維持策として、仕事量確保や自主的な経営合理化に努力してまいっております。しかしながら、何分にも操業が四〇%を割るという事態と相なりましては自主的努力だけではいかんともなしがたい実情でございます。この事態に対処いたしまして、政府は、運輸大臣諮問機関である海運造船合理化審議会において早急に造船業構造改善策を検討することに相なりまして、夏ごろまでには結論を得る見込みのように承っております。業界としても過剰な供給力を思い切って削減し、需給のバランスの回復を図る必要があるという点ではコンセンサスを得ております。しかしながら、供給力を削減しただけで工事量確保されなければ経営は成り立ちません。そこで、並行的に最低限度仕事量を、政府の御援助を得ましてつくり出していくことを業界が切望しておる次第でございます。供給力削減と一方仕事量確保、この二つは車の両輪でごいます。  次に、需要創出の第一歩は、官公庁船代替建造促進でございます。海上保安庁の巡視船艇あるいは防衛庁の艦艇を初め諸官庁、地方自治団体が持っておる船は建造後二十年に近い老齢船が少なくございません。この際、代替建造を行って船質近代化を図っていただきたいと存じます。これは造船業工事量確保に役立つばかりではなくて、土地手当て等を要する一般公共事業と異なりまして、景気に対する波及的効果も広く、かつ早いという利点がございます。  第二番目には、スクラップ・アンド・ビルド——SBと申しますか——方式による国内船建造促進でございます。海運市況が悪化しております上に、日本海運業国際競争力を失っておりますので、国内船建造需要は極端に減少しております。そこで、船腹過剰を助長することなく、海運業国際競争力の強化に貢献しつつ、造船業ベース工事量確保するために、スクラップ・アンド・ビルド方式によりまして、向こう三カ年間にわたり年間百五十万総トン、三年間で合計四百五十万総トン程度国内船建造をできるようにお取り計らいをいただきたいと思います。  この制度には開発銀行やあるいは船舶整備公団を活用することが考えられておりますが、船主経済が成り立つように、また、船主にメリットのある制度とするために、融資条件等を従来の計画造船に比較して大幅に改善をしていただきたいと存じます。  また、不経済船スクラップ促進するために簿価売船価格との間の差額を国家で補助するような制度も設けていただければ、スクラップ船がたくさん出てくるということが考えられると思います。スクラップ・アンド・ビルドにつきましては、とにかく早急に制度をスタートさせていただきたいと存じます。制度ができ上がりますれば、業界としては営業努力によって仕事確保する自信が十分にございます。  第三に、発展途上国に対する経済協力の一環として、積極的に船舶を供与するようにしていただきたい。発展途上国船舶を求めるニーズはまことに大きいのでございます。しかしながら、従来のように政府相手国の申し出を待って初めて検討するというふうな消極的な態度ではなかなか回ってまいりません。西欧のノルウェーあるいは西独政府が行っておりますように、発展途上国需要を直接造船業仕事に結びつけるように、在外公館をして積極的な働きかけを行わせていただきたい。これは現に西独あるいはノルウェーが精力的にそういうふうな行動をやっております。  官公庁船代替建造スクラップ・アンド・ビルドによる国内船建造については、できるだけ早く補正予算を組んで、五十三年度中の早い時期において実施できるようにお願いを申し上げたいと存じます。この内需によって五十五年までの三カ年に約一兆五千億円以上、年間にいたしまして五千億円以上の需要を創出することに相なります。  次に、中手造船対策につきまして一言申し上げたいと思います。  中手造船会社兼業部門をほとんど持っておりません。ほとんど一〇〇%近くが造船専業でございます。また、企業規模も大手の会社よりはきわめて小さく、中小企業より大きいというふうなまことに宙ぶらりんな形でございます。売上高で二百億円から五百億円程度実績を上げております会社が中心でございます。この中手造船会社は、専業度が高いために仕事量の減少を他部門仕事で補うことができないのでございます。しかも金融上の担保力信用力が乏しいので、先行きの仕事がなくなりますと金融が急速に苦しくなってまいります。新聞などをにぎわした造船会社の倒産あるいは経営危機に陥った例がすべて中手以下の造船所であることも、金融機関警戒感を強めておる結果となっております。このまま推移いたしますと、秋口までに中手造船所経営危機に直面する企業が引き続き出てくる。そして単に債務の大きいということのみならず、大量の離職者を出すという問題におきまして大きな社会問題となることを心配いたしております。  そこで、中手造船会社救済策を早急に実施していただきたいのでございまして、具体的にはさきに述べましたスクラップ・アンド・ビルド方式による国内船建造官公庁船代替建造を特に急いで実行に移していただいて、これを中手造船会社に優先的に発注するような方針にしていただければまことにありがたいと存じます。先行きの仕事が約束されますならば、金融機関においても信用が得られ、所要の運転資金を調達する道がまた開けてくるものと存じます。  また、供給力削減と同時に企業基盤を強化する方策がぜひとも必要でございまして、このために現在御審議中の特定不況産業安定臨時措置法を十分活用できる制度にしなければならないことは言うまでもございません。なおしかしながら、この制度によります債務保証のみではこの中手造船所信用力の点で十分な処置がいたしかねますので、廃止設備の政府買い上げ、あるいは債務のたな上げ、あるいは長期低利の運転資金の融資等、抜本的な措置をあわせてお願いを申し上げたいと存じます。  以上をもちまして終わらせていただきます。
  18. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ありがとうございました。  次に、織田澤参考人にお願いいたします。
  19. 織田澤良一

    参考人織田澤良一君) 織田澤でございます。  窮状を御報告申し上げます前に、簡単に私どもの会の概要を御説明申し上げたいと思います。  ただいま南参考人から造工各社並びに中手についていろいろお話ございましたけれども、私どもは大体総トン数で三万トンから以下の五百トンぐらいまでの船を主としてつくっております中、小型の造船所でございまして、現在百二社でございます。能力的に言いますと、日本の全生産能力に対してざっと一二%前後、年間で申しまして二百万トン足らずの生産量を持っておるグループでございます。  これの特徴と申しますか、泣きどころと申しますか、一番の問題点は、先ほど南参考人からもお話ございましたが、造船専業でございまして、船をつくることと船の修理をやること、それが主たる仕事で、大体売り上げの九五%程度が船関係、船以外のものはほとんどやっておりません。これが、後でまた申し上げますけれども、今回の不況に対して非常に弱点になっておる最大のポイントでございます。それから、現在の従業員の数は、ざっと五十一年の計算で約四万九千人程度でございます。  さて、そこで現在の不況実情について申し上げたいと存ずるんでございますが、今日の造船業不況の背景につきましては、ただいま南参考人からお話のありましたとおりでございまして、特に私どもから追加して申し上げることはないと思いますので略させていただきます。  いかに私どもの業界が困っておるかという実情だけをちょっと申し上げますと、まず建造をしておる実績でございますけれども、昭和五十二年度でざっと百四十万トン売り上げております。ところが、五十三年度では、きょう現在で見まして、ざっと受注の決まっておるものが六十五万トン、それから船舶整備公団あるいは内航船等でこれから大体注文をいただけると思うものが約十万トン、七十五万トン前後、それ以上、今年度五十三年度としては余り期待ができないというのが実情であります。さらに五十四年度に至りますと、現時点ではまだ十万トンかそこらしか確定しているものがありませんで、造工さんと同じように五十四年度の受注見通しというものは全く立っておりません。ただいまの五十三年度の七十五万総トン何がしというのも、ざっと従前の能力の三〇%程度であります。  昨年来倒産をいたしました造船所が私どものメンバーで十七社ございまして、大きいところで波止浜造船から始まりまして十七社ございます。その倒産がすべて私どものメンバーに集中しておるということも、造船専業という弱点が直接には影響しておるわけでございます。  それからまた、きょうの日本経済の報道で見ますと、大手は七千二百円ぐらいの春季のベースアップ等を考えておるというふうに出ておりますけれども、私どものメンバーは、現時点で今回はわずかでも賃上げができるか、また賃上げを幾らかしようという意思決定をしておる造船所はほんの片手の指で数える程度でありまして、その他の造船所は現時点でほとんど賃上げあるいはベースアップという計画を持っておりません。今後、組合その他との交渉の中で非常に難航するだろうと思うんでございますが、現時点ではそれだけの力がないということございます。  それからまた、もう一つの具体例を申し上げますと、すでに会員の約一割近いところが希望退職を募っております。すでに希望退職を実施しているところもありまして、これからも恐らく相当の数の減員の実態が出てくるんではないかと思っております。  昨年一年で約十七社倒産をいたしましたが、いま申し上げましたように、手持ちの工事も七十五、六万トンということで、ざっと考えましても、昔の能力比で言いますと六カ月分かそこらしかありませんので、今後も倒産が出るおそれは十分にございまして、今年度後半あたりになってどういう状態になるか、非常に憂慮しておる実情でございます。  不況原因はいろいろございますけれども、特に取り上げた点を申し上げますと、一口に言って、大型タンカーがなくなったために大手の造船所が中小の船舶、たとえば二、三万トン以下の船舶になだれを打って殺到しておりまして、いままで中小の造船所が安定してつくっておった一万トン前後の船、こういうふうなものが現在ではもうほとんど量的にも減っている上に、シェア的にも大手の影響を非常に受けているというふうなことが一つ原因であります。それから、もちろん需要そのものが減っておりますので、これを確保することは非常に困難なことでありますけれども、さらに困ったことは、船価が非常にいま安くなっておる。注文を取りますためにやむを得ず低い船価で取らざるを得ないということが実情としてあるわけでありまして、したがってなかなか利潤の上がる船がいま取れません。取って赤字がふえるというような結果になっておるかと思います。まあ、いろいろほかに不況を持ってきている原因ありますけれども、後ほどまたいろいろ御質問があればお答えを申し上げることにいたしまして、要望等についてお話を申し上げたいと思います。  先ほど南参考人からもるるお願い申し上げましたけれども、いま私どもは、私ども自身で減量体制といいますか、操業の規模を懸命に縮小しております。運輸省からの操業短縮のアドバイスでいきますと大体七〇%ということでありますけれども、現実には、もう実際は六〇%前後にしぼりまして各社とも減量体制をいま実施しておるわけでございますけれども、いま申し上げましたようなことで、それでもなお注文が足りないのが現状であります。やはり、何と申してもわれわれとして一番に渇望することは需要の創出でございまして、端的に仕事が欲しいわけであります。先ほど造工の方からもお願い申し上げましたが、保安庁その他の官公庁船の発注量の増加、それから先ほどのスクラップ・アンド・ビルド、これは年百五十万総トンということでいまいろいろ検討が行われておりますけれども、その程度のものはぜひ何とかしてこれを創出するようなことをやっていただきたい。これらによりまして、これを全部中小に持ってくるなんということは問題外でありますけれども、ぜひ中小の造船所にもその結果が潤いますような格別な御配慮をお願いできればありがたいと思う次第であります。  それからもう一つ需要の創出で申し上げたいことは、いわゆる経済協力船、これの強化推進でございまして、このためには、現在のレートというようなことでなく、最近の例ですと、もう諸外国では一〇〇%持って、しかも相当長期の延べ払いでやっておる例が出ておりますので、われわれサイドにもぜひそのくらいのことでの踏み切りをやっていただきたいと思うわけであります。  さらにつけ加えてお願いを申し上げますと、先ほども話が出ました特定不況産業臨時措置法でございますが、おかげさまでこれが実施の暁になります場合に、仄聞いたしますと、債務保証に対して裏保証が必要であると、約三分の二だというふうなことでございますけれども、裏保証が必要であるというふうなお話もございます。それから、いまのところではたしか五年償却ということでありますけれども、この二件につきましては、中小の中身はもう担保など一つもありません。したがいまして当然裏保証をするだけの力はございませんので、もし裏保証が必要だということになりますと、せっかくの措置法をわれわれが進んでこれを利用さしていただくことができないというようなおそれもございます。それから、これを利用さしていただくについては、当然設備を小さくするわけでございますから営業力もなくなりますし、規模がその分だけ減りますので、経理内容とすれば当然これは悪くなります。したがいまして五年で償却というのはちょっと短いんではないか。われわれの業界としては、ぜひもう少しこれをひとつ延ばしていただけないんだろうかという期待を持っておるわけでございます。  それから、直接倒産のケースにつきまして、現に中小企業倒産防止共済法というのがございますけれども、これは借用の限度が千二百万円でございまして、五年積み立てで千二百万円でございます。われわれの場合には一隻当たり数億の船で仕事をしておりますので、資本金が小さいわりあいに動かす金の量が非常に大きい。したがいまして、倒産等が起きる場合でも債務の量はかなり大きいものがございます。そんな事情で、もしできますれば、この制度をさらに金額を最高は一億とか一億二千とかという億の単位に一けた上げていただきたい。それから、できますれば、これはいま中小企業だけでございますけれども、中小企業に含まれておりません中小の造船所に対しても適用をさせていただければ大変ありがたいと思うわけでございます。  もう一つ最後に申し上げたいのは、先ほど南参考人からもお話がございましたけれども、現在円高で、非常に各造船所とも赤字が累積をしつつあります。当然これは金融機関その他もよく承知していらっしゃることで、とみに最近運転資金その他が調達しにくくなっております。なかなかこれは具体的にうまい方法がないんでございますけれども、何とかして不況産業に対して積極的にこの運転資金を融資をしていただけるような道を開いていただけますれば大変ありがたいと思うわけでございます。これは大変具体的にいい知恵を出せと言われてもわれわれ自身でなかなか知恵は出ないんでございますけれども、実際に困っておるのは、一番困っておるのはいま運転資金でございます。どうかひとつその辺のことについても先生方の格段の御配慮をいただければありがたいと思う次第でございます。  以上をもって御報告を終わりたいと思います。
  20. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ありがとうございました。  次に、村上参考人にお願いいたします。
  21. 村上忠二

    参考人村上忠二君) 私、財団法人の日本小型船舶工業会会長村上でございます。本日は国会において参考人としてわが業界の概況の報告を申し上げると同時に、諸先生の格別の御指導とお力添えを得たいということで、あわせて光栄に存ずる次第でございます。  まず、私の所属いたしまする団体について大まかを御報告を申し上げておきたいと思うのでございます。  財団法人の日本小型船舶工業会、これは昭和四十三年に、小型船造船業法に基づきまして、運輸大臣の認可で設立された公益法人でございます。これには法律的に上限がございまして、主として五百トン、それからその船の長さの五十メーター未満という上限で大体この業法ができておるのでございます。またその以下に、全国の海運局単位に十の社団の法人組織を持ちまして、これが全国に分布されますわれわれの造船を営む小さいものも全部含めまして現在中央でこれを掌握し、その数は千百企業でございます。大まかな従業員の数を申し上げますというと約三万三千人、それから下請関係、これは構内のみでございます、これが約七千程度の下請を抱えておるのでございます。  さて、このわが業界造船不況ということを申し上げる前に、実は千百の企業体の全国の分布構成を見ますというと、新潟を含めまして東北、北海道、これは主として漁船を主にした建造メーカーでございます。それから関東、中国関係は内航船、近海船、それから作業船と、いろいろな雑船を主にやっておる。それから西の方は山口、九州にかけて、これもまた漁船関係のメーカーでほぼ占めておられるということでございます。それらのものが今回の四十八年以降の不況に大なり小さり全部影響ございまして、ただいま造工あるいは中造工の参考人から御説明のとおりのことと全く変わらないような不況構造でございます。ただ、ここでぜひ私申し上げたいことは、この上限の五百トンのわが業界というものは、主たるものは漁船が多いということでございます。その漁船の中で東北、新潟を含むということは、日本海もということでございます。それから北海道の関係は、昨年の世界的な二百海里の漁業専管水域の設定ということで大きい打撃を生じた次第でございます。こうしたことの詳細の説明を申し上げることによって、わが業界の全体のものが想像されるではなかろうかということで申し上げてみたいのでございます。  昨年の日米加の漁業交渉、引き続きまして日ソ漁業関係の漁獲量の規制、それから漁区の制限等々でございまして、昨年については出漁直前になりまして減船という問題が発生したのでございます。これは昨年においてサケ・マス、母船を含めまして母船式のものが四隻、これに付随する単船が五百五十一、それから北転船、底びき船、これが百七隻と、それからカニ、ニシン、こうしたもので減船になりましたのが一千隻を超えて一千二十五隻に五十二年度が決定したということが、わが業界、もちろん漁業界にもパニック状態ということが発生いたしまして、業界においても漁業者がそういう想像もできない事態でございまして、それに関連するわれわれの造船業も出漁直前までの諸経費、すなわち出漁準備金すら回収の見込みが立たないというようなことができたのでございます。これはゆゆしき状態なんで、中央の財団組織といたしましても懸命にこれの対応策を講じました。所管でございまする運輸省の船舶局の方にも申し出まして、この実情というものをつぶさに御理解をしていただきまして、当面の問題と、それから長期にわたるという対応策についてコンセンサスをしまして、とりあえずということで運輸省の方でも政府の管掌する機関を窓口といたしまして緊急融資の措置、それから振興会の資金、こうしたものの特別措置をしていただきまして、昨年はたしか振興会資金には二百海里問題について新潟、東北、北海道にわたりましてたしか二十億ぐらいの振興会資金の増額がございまして、それがこの北洋関係に困られる地域に融資の枠の拡大があったはずでございます。こんなことで五十二年度は大いに助かったというような現状がございました。  それから、昨年のそうした状態におきまして、東北においては、事北洋に関する日本海を含めましての建造の予約的なもののキャンセルされましたのが三十八隻ありました。これは漁業家が先行きの不安と見通しがないためにこれは取り消し、若干待てというようなことの打撃が大きく発生した次第でございます。そんなことが今日一体どうなっておるかということは、事北洋に関しての受注は一隻もございません。  それからたしかきょうですか、中川農林大臣が訪ソされまして、漁業交渉ということでございます。この受けとめ方が実は重大なのでございまして、われわれは成功することをこいねがうものと、それから悲観的なものと両方持ち合わせておる次第でございまして、どうも漁業家の方では悲観的な見方で、たとえことしがよくてもこれは長いことないんじゃないかと、そういう観点であれば、むしろ残るよりも減船される方がいいという言葉すら耳に入るような状態でございまして、東北、北海道においては、この北洋漁業、北洋漁区から漁獲の締め出しを食うということは本当に重大なことで、この対処の仕方を検討しなければいけないと、こう感じておる次第でございます。  それで、実はわが団体でも、いろいろ財団でございますし、それから地方では社団でございまして、経済行為的なものはなかなかできませんので、行政的な関係の範囲でいろいろ話し合いをしておるんでございますが、昨年から今年にかけましての不況で困っていることは、いろいろ織田澤参考人も申し上げられたと同様のものでございまして、この千百の企業の中で近代化と称して設備をし、能率的な近代化を図ったのでございます。これが、実は調べてみますというと、おおむね短期資金でこれを賄っておったと、これは高度成長下でございまするのでそれでよかったんでございますけれども、今日低成長の中で安定を求めていくという場合に、この短期資金の処理と処置というものが困るんでございまして、これはぜひ先生方のお力添えで、やはり長期で低利の資金が導入されることによって、私は、一番困る東北の場合でもみずからの手で、みずからの知恵でもって何とかこの不況を克服することができるのではなかろうかという感じがするのでございます。いまほんとに困っているのはこの資金の回転でございまして、これが長期資金に変わるということ、また五十二年度において、運輸省において措置されましたような方法の拡大がわれわれの業界に大きく今後力添えになるではなかろうかと、こう感ずるのでございます。  また、われわれも自主的に、この北洋問題の先行きの不安をただこまねいて見ているわけではございません。これはわれわれも自主的に解決しなくてはいけないと、ということは、幸いに企業そのものが規模が小さいのでございまして、何と申しますか、小回りがきくといいますか、従来新しい船をつくっているメーカーといえども、こういう時代に入ればおのずと自分の身を守るという方法は修繕に変わっていくと、これは沿岸関係の、二百海里以内の漁業もこれは盛んでございまするので、この方面の受注、それから修繕というものは多くなると思うのでございまして、これらの方面に方向転換をするということで生きる道がある。そういう場合でもやはり高度成長下の設備投資資金の短期のものがネックになるということがございまするので、こうした点の御配慮がいただければ本当にありがたいと、こう感じておるものでございます。  なお、経済問題でございまして、各党が社団の小船工に対して、企業においてこうしなさい、ああしなさいということは概念的に申されますけれども、事経済の関係についてははっきり言い得るものは実はないのでございまして、ただ中央において運輸御当局の御配慮、御判断における措置というものにおすがりをしておるようなことで、もし大胆にわれわれの業界が今後長期安定のために、あるいは地域に貢献するために生き残らんとすることを、私個人の考えの意見を申し上げますれば、やはりこの企業別に内容のもう一度見直しをして、そうしてその短期資金で困っている設備固定資金、これを長期資金に変えてやるということがいいんだと。さて、その数字が一体どの程度になるのかというような調査ということは、これはまだしておりません。また、そこまでしていいのか悪いのか私も疑問点のものでございます。これは、あくまでも経済行為は個々企業別のものでございまして、そこまでに介入する意図はございませんけれども、何かそんなところまでの配慮がなければ低成長下の安定の企業としての存続はなかなか容易じゃないというようなことを危惧するものでございます。  こうした新潟、東北、北海道のわが業界のことを詳しく申し上げた次第でございますが、それと大体大同小異で、関東それから中国あるいは九州の方のわが業界の会員の姿であるということを御理解をいただき、一段のこの辺に対するアドバイスあるいは御工夫の知恵をおかりいたしますれば幸いと存ずる次第でございます。  以上、簡単ではございますが、説明を終わらしていただきます。
  22. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ありがとうございました。  次に、宇野参考人にお願いいたします。
  23. 宇野信次郎

    参考人宇野信次郎君) 私の意見陳述が多少前参考人の余った時間を使わしてもらうようなことになるのかもわかりません。その点御了承願っておきたいと思います。  二月の十三日に現在の造船不況に対してわれわれの日造協が主催、地方の関係四団体と造工、中造工の協賛を得て造船危機突破大会をやりましたときに、各党から大変な御激励と御支持のお言葉をいただいたことをここに改めて厚く御礼申し上げたいと思います。折あしく私、病気で入院中でありましたので、代理の者をやりましたんで手落ちは多少あったと思いまするが、その決起大会に引き続いて、また今日皆さん方にお願いし、あるいは各党の方々にもう一度御了解願いたいのは、現在の下請の状態から、この決起大会に対して、各党あるいは政府に要望しましたことの実現の促進のための大会をやることになりましたことを御了解得たいと思います。決起大会やって、また間もなく、いまいろいろのことをやってやっておるのにまた催促するのかというような御批判はあるかと思いまするが、前三人の参考人と違いまして、われわれ下請の立場はもう時間の余裕がないところまで追い詰められておるわけです。そのために、造船業全体に対しては前参考人の言われた点が大部分でありまするが、立場を変えて下請の現在の状態を皆さん方にぜひ御了解を願って御支援を得たいと思うのであります。  大体われわれの日造協といいますのは、正式に社団法人日本造船協力事業者団体連合会と大変長いので、略称を日造協と言っておりますが、現在の組織としましては、事業団体が六十一、それからそれに所属する中小の事業が二千、このまた大変減りましたが七万の従業員が現在加盟しておるのであります。この加盟の状態は各造船所におりますいわゆる構内工、それから、各地方に工場を持っておる造船の下請工場、船体ブロックを主としてやりました工場、そういうのを入れまして現在の実勢であります。この中で、造船不況に最も大きな影響を受けましたのは構内の下請工で、御存じのように、約三万人の人間が統計では減少しておるのであります。しかし、われわれは、この下請というものが、一般の雇用関係を持った労組と違いまして、いわゆる需要と供給、元請、下請という関係から、仕事がなくなれば簡単にこれは労組のいわゆる首切りではなく、これをわれわれの内部で処理しなければならぬ、下請企業で処理しなければならぬ、その下請の資力のなさは、現実においてわれわれが特定のものを除いて大部分は、三万人の人間を減らされても、これに払う退職手当といいますか、ほとんどこれはゼロに等しい。ようやく予告手当の一カ月を繰り上げて払う、中には多少そこに退職手当のつくところもあるでしょう。その状態を踏まえて私は一つの義憤を感じるような問題をきょうの新聞で見ているんです。いわゆる佐世保重工が希望退職を募った、そのときに希望退職を上回る千六百人近くの希望者があった、それに対する退職手当が八十億になると、当初は希望退職といって五十億ぐらい用意したのが間に合わないから八十億になった。ところが八十億になるこの退職手当は別としまして、それにかかわる、これは真であるか偽であるかわかりませんが、労組の委員長が、退職手当の支給がおくれたら暴動が起きると、われわれに言わせると余りにも納得できない状態が横行している。先ほども控え室でちょっと雑談しましたが、成田の暴力集団に等しいようなことを労組の一委員長が言っているという。しからば、このわずか、退職手当とてなし、一カ月の予告手当で首を切られている下請の従業員は何と見るでしょう。労働者には変わりはないわけなんです。大企業の労組だけがそういう権利があり下請にはないということはあり得ないんです。ここに国の政治をわれわれは強く発揮してもらって、この下請の救済に当たっていただきたい。いわゆる造船業全体に対するいろいろの希望は、われわれは、いま前の参考人が述べたとおりですが、それに加えて、最も深刻な造船の下請に対して何らかの救済の手を即刻伸ばしていただきたい。それがこの決起大会に引き続いて促進大会を四月の二十五日にやることになっておりますが、ぜひこれは皆さん方が各党に帰られて、この深刻な実情を御理解の上、御支援と何らかの対策を講じていただきたい。  その対策一つとしましては、われわれとしまして、ともかくもスクラップ・アンド・ビルド、あるいはバラストタンクの義務づけ、こういうようなことを過去かなり前から言っておりますが、なかなかいろんな意味から急激には実施に入れない、いわゆるSBの問題につきましても船主の了解、あるいは船主は海員組合との関係がなければなかなか進歩しない。ただ簡単にスクラップにはできない。また、スクラップなくしてビルドだけを主張してもこれは成り立たない、そういう点で私たちはそれまでのつなぎとして、政府が、あるいは国がもてあましておると言っては失礼かわかりませんが、ドル減らしの一環として、少なくとも二億ドルぐらいのドルを使って外航船を買ってスクラップすればいい。これはある意味においてはなかなか困難を伴うかもしれませんが、船員の問題を伴わない外航船買うなれば、一番手早いじゃないですか。一方にはドル減らしにもなる。これによって受けるわれわれの雇用は、少なくとも延べにしまして年間百四、五十万人の人間が助かるんです、延べなんです。  しかし、われわれとしましては、これをただやろうとしましても能力の限界設備を持たない、あるいは資金を持たない、そういう関係からぜひ国の力で何らかの買い取り機関、いわゆる買船公団なり、あるいは新公団の設立が困難なれば、現在の船舶整備公団法律改正でやっていただくなり、ともかくも、ドルを利用して外航船を買ってその解体作業を各造船所に流していただきたい。特に、仕事のないところに流していただきたい。その解体については造船工業会もこの六日の政策委員会でやることに賛成しております。われわれの要求、あるいはいろいろの情勢の変化が真藤造工会会長からわれわれの方に話がありましたが、造工が解撤をやってもいいかと、もちろん、これはわれわれの望むことはぜひやってほしい。ただ、本工がかかるということについても話がありましたが、それは本工が全部やったんじゃ何にもならないけれども、ある程度本工と合同で解撤事業を造船所でやってくれるなればもろ手を上げて賛成する、ぜひやってほしいということで、これはその直後、六日の政策委員会で決定されたということを聞いております。  従来、解撤事業の進行がいかなかったのは元請企業がこれに協力しなかったというよりも、関心を示さなかった。もちろん、元請企業としてもいろいろの理由があるでしょう。それは頭金のある新造船と違って、金のかかる解撤船、買船に金のかかる解撤事業、あるいはスクラップその他の処理にリスクの伴う解撤事業、あるいは新造船から比較して一〇%ぐらいの作業量しかないといういろいろのデメリットがあるとしましても、私たちはこの解撤事業を本業にしろとは言っていない。いわゆるアイドル防止で、あるいはわれわれの構内工、下請の企業を維持するためにやってほしい、これを再三お願いしてきておるわけです。それが余りに進まないのでわれわれの手で八組合が解撤組合をつくっておりまするが、ごく微々たるものです。あるいはある程度の大型になりますと元請の協力がなければできない。こういう点におきましては解撤事業を雇用につなげるのにはやはり大手企業、あるいは中手の大がこれに取り組んでそのつなぎにやってほしい。  私はいまでも過去においても実に不思議に思っていた。仕事がない、仕事がないと言いながら、一方にはここに供給する余剰船舶がまだまだ五年、十年続く解撤市場をなぜ造船メーカーが研究しなかったのか。なぜそこからメリットをつくるための努力をしなかったのか。デメリットだけを出してメリットを追求しなかったということについては、私はやはり造船業界責任者である造工なり、あるいはその他の大手の責任の一端を負わなければならぬと思う。ただもちろん、いまの事情は私たちもわかっておる、いま言ったように、リスクとデメリットの続くものについては。しかしながら、現在はわれわれの下請ともかつて二十数年来元請企業協力して定着しておるのです。要するに、仕事がなくなったらいつでも引き下がるというような過去の造船業のやり方ではない。二十新年定着した従業員がいる、これを当然維持しなきゃならぬ。できなければ、ただいま言ったようにわずかの手当で整理をしなきゃならぬ。これもとらの子の本当にかけがえのない従業員を整理しているんです。ところがわれわれは現在まではもうやむを得ない。しかし、これからなお増加の予測される構内工の減少と下請の作業量の減少についてはもうがまんができないと、待てないと、といって元請にこれを求めることは困難で、ここに政治の力でどうしても国の力でこれをやっていただきたい。いわゆるいまこそ国の政治力を発揮するときだと思います。従来のときと違って少なくとも基幹産業造船業のうちのまた一半を担っていたこの下請企業のためにも、ぜひとも国の力をもってこのわれわれの望む解撤事業の御援助を願いたい。大体そのように進んでおるということもわれわれも漏れ承っておりまするけれども、現在の状態で進みますと六月、七月がほとんど構内においては造船の元請の仕事の減少によってお手上げになる。これは企業が壊滅することになるんです。元請あるいはそれに類するものはこの外注に出しているものを内作に切りかえる、あるいは一番無抵抗な下請をやめさせる、これは一番楽なことです。しかし、これだけではわれわれは納得できない、できないんです。納得するわけにいかないんです。といって佐世保の労組のように退職手当がおくれたからといって暴動になるなんというふうな、こんなばかばかしいことは言いません。できるだけのがまんにがまん、あるいはあらゆるものを研究して無から有を生むために解撤事業というものを三年にわたって研究しておるんです。微々たるわれわれが研究してもある程度の成果が得られるのを——相当の過去においては新造船といえども赤字続きであったんです。利益なき繁栄を続けた造船界がこの利益を得るようになったのは下請の協力はもちろんであるが、そこに元請企業のたゆまない努力と開発があったんだと、その力をもってすれば現在台湾においては少なくとも四、五万人の人間の雇用につながっている解撤事業をなぜほっておくんだと声を大にして申し上げたいと思います。ぜひこの点においては繰り返しお願いしたいのは、この下請企業も本工のような一つの組織はありませんが、少なくとも日造協という組織がある以上は、われわれはこの下請を守るためにどうしても、皆さん方のあるいはわれわれの力が足りないところはどこまでも努力はしまするけれども、ぜひ現在においては造船業界一つとして、決して私たちはこれを専業にしようとは言わない。ただ、需要のまだ相当続く、これが大きい意味においては海運界の安定にもつながると、こういうふうに言っているんです。ですから新造、修理、また解撤と、こういう三つを取り上げてもらいたいということは、いま申し上げているんじゃなく、三年来申し上げておることです。こういうことを前提としまして、ぜひともこの本日の運輸委員会ではわれわれの意のあるところを御了承願いまして、そして何らか早急の御援助を下請を代表してお願いする次第でございます。  あとのいろいろな問題につきましては、資料に従って御質問について御回答したいと思います。どうぞよろしく。
  24. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ありがとうございました。  次に、赤阪参考人にお願いいたします。
  25. 赤阪忍

    参考人赤阪忍君) 日本舶用工業会赤阪でございます。  舶用工業会の育成につきましては日ごろ何かと御高配をいただいております。御礼申し上げます。また、本日は、わが国の舶用工業の現状をお話しし、かつまたお願いを申し上げる次第でございますけれども、こういうような機会をお与えいただいて大変喜んでおる次第でございます。  まず、舶用工業会の概要を申し上げたいと存じます。  舶用工業は船舶に搭載されるもろもろの機械というものを製造して、これらを造船所さんにお納めしておるわけでございます。場合によっては船主さんにじかにお納めする場合もございます。こういうような次第でございまして、業種が非常に多うございます。大変複雑な状態があるわけでございますが、いずれにいたしましてもこの舶用工業会と申しますこの企業は、すべて造船所さんあるいはまた海運業者さん、さらには漁業家の皆さん、こういうようなところに大きく依存をして商売をさしていただいておるわけでございます。こういうような舶用工業の製造事業所は全国で約八百社でございます。このうち三百社がわれわれの日本舶用工業会に会員として所属いたしております。全国八百社における舶用工業関係の総生産高は、統計によりますと、昭和五十一年度、これはまだ非常に多いころでございますけれども、約八千九百億でございます、最近ではもう半分ぐらいになっているというように聞いておりますが。この舶用工業に所属する企業、これはいわゆる中小企業というものが圧倒的に多いわけでございます。  ちなみに私ども舶用工業会の会員である三百社のうちについて見ますと、その七〇%が中小企業でございます。したがいまして、この所属していない会社企業というものは、これはもうほとんど全部が中小企業だと、こういうように申し上げて差し支えないと存じます。この三百社における従業員五万八千名、こういうように達しておるのでございます。  先ほど来造船所の皆さん方からるるお話がございました。世界的な不況と言ってしまえばそれまででございますけれども、この造船不況というものはまさにわれわれ業界にももろにぶつかってきているわけでございます。最盛期に比べますと、受注量、仕事量というものは半分以下という情けない惨めな状態になっているわけでございますし、また今後の見通しということにつきましてもかなり悲観的だというように考えているわけでございます。最近のわれわれメンバーの中での倒産企業は五社でございます。かなり長い造船不況でございまして、企業体力の消耗と申しますか、まさに極限に達しているのが昨今の偽らざる実情でございます。  さらに、昨年の八月ごろからでございますが、特に中小の造船所さんの倒産、これが相次いで起こりました。先ほどもそういうお話がございましたけれども、したがいまして不良債権というものが私どもメンバーの中にも非常な巨額に達しておる次第でございます。  先ほど来申し上げておりますように、私ども舶用工業の企業は、その大半が船舶に搭載する機器類というものを製造しておりまして、この工事量の減少ということ、そのまま企業の浮沈につながるわけでございます。こういうような非常な危機的な状況に対しましてわれわれメンバー自体もでき得る限り安定した企業経営というものに向かって総力を結集して努力している次第でございますけれども、何分にも船舶建造量、これの減少というもの、これが余りにも減少量が大きいものですから、なかなかわれわれ自身非常に苦慮している次第でございます。  したがいまして、私どもがまず第一にお願いを申し上げたいことは、先ほどの造船所の皆さん方と全く同じでございます。工事量を何とかしていただきたい。これがまず一つの大きなお願いでございます。その内容方法というものにつきましては、先ほどの造船所の皆さん方がお話してくださいましたように、スクラップ・アンド・ビルドの方式であるとか、官公庁船老齢船というものに対する代替建造であるとか、あるいはまた船舶輸出の問題、さらには漁船関係、二百海里の問題を通しましていろいろ複雑な制約はございますけれども、何とかこの建造というものを活発にでき得るような措置というものをお願いしたい、かように存ずる次第でございます。  そこでもう一つ、私どもの業界と申しますのは、とにかく中小企業、せいぜい中堅企業というもの、専業のメーカー、専業の企業というものが圧倒的に多いわけでございます。したがいまして、こういうようななかなか転業その他思い及ばないところでございまして、とにかく船一筋にいままでやってまいりましたし、また、そのほかの仕事というのはなかなかようできないというのが実情でございまして、したがって、せっかくのいろいろなこういう需要の発注というものをわれわれのような専業メーカー、そういうところにぜひ均てんされるように、この点は強く御要望申し上げたい次第でございます。  それから、もう一つの問題、これは先ほども申し上げましたけれども、造船所の倒産のあおり、現在までで百七十億の不良債権というものが発生いたしております。したがいましてこういうような意味におきましては、まさに経営上ぎりぎりのところに追い込まれております。また、担保余力というものもほとんど使い果たしているというのが実態でございます。したがって、これ以上もう造船所の倒産あるいは船主さんの倒産、もうとても耐えられないところでございまして、これにつきましては具体的なお願いとして、先ほど造船所の方からお話がございました。こういうような方法につきまして、ぜひひとつ促進していただきたい、実行していただきたい、こういうようにお願いする次第でございます。  それからもう一つの問題といたしましては、とにかく担保力というものもほとんど限界に達しております。中小企業の場合には、従来からこの方面でいろいろな便宜を図っていただいております。ただ、船舶の場合には、債権額と申しますか、そういうようなものが非常に額が多いものですから、したがって、大変勝手な言い分とは存じますけれども、いろいろ信用保証協会その他も大変少ないわけで、この辺の増枠というのをお願いしたいわけですけれども、さらにこれを中堅企業、こういうような恩恵に現状浴していない中堅企業の方にもぜひひとつ拡大をしていただきたい。こういうように希望する次第でございます。  先ほども具体的なことで織田澤参考人からお話がございましたこの連鎖倒産防止共済制度、この千二百万、これは中小企業の範疇においても少ないと思いますし、まして中堅企業というもの、この船舶関係の特殊性によると思いますけれども、これは非常に少ないわけでございまして、ぜひひとつこの辺の御配慮をお願い申し上げたいと存じます。  この舶用工業の諸企業の製品というものは、ほとんどすべて実は注文生産でございます。そう申し上げては造船所の皆さんに失礼かと存じますけれども、慣習的に代金支払いはまことに長期にわたっております。いただいている手形その他も、ここで申し上げればびっくりするような長期の手形でございまして、それだけに債権確保という問題で非常に不安的な面を持つ体質の非常に弱い企業群でございます。先ほどから何遍も申し上げておりますように、そういう企業が打ち続く長期の不況におきまして体力というものがもう限界に達していると、こういうような点、重々御勘案の上ぜひとも本日の機会を十分ひとつ有効に生かしていただきますように心からお願いを申し上げる次第でございます。  一部身勝手なお願いも申し上げましたけれども、このような機会を設けていただきましたことを再びお礼を申し上げまして、私の説明を終わらしていただきます。
  26. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見の開陳を終わります。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  27. 青木薪次

    青木薪次君 日造工の南参考人にお伺いいたしたいと思いますが、建造需要量の見通しなんですが、衆議院では五十三年度で輸出船の二百五十万総トン受注済みが二百六十万トン国内船スクラップ・アンド・ビルドが百五十万トン官公庁船五十万トン計七百十万トンと述べておられるのでありますけれども、五十五年度までの予測値があれば聞かしていただきたい、こう思います。
  28. 南景樹

    参考人南景樹君) 五十五年度につきましては、現時点では全く予想がつかないのが実情でございます。
  29. 青木薪次

    青木薪次君 国内船スクラップ・アンド・ビルド造船界だけではなかなかこれはできるもんじゃない。やはり海運界の同意がなければできないと思うのでありますけれども、海運界とは話し合いなんか相当進んでおりますか。
  30. 南景樹

    参考人南景樹君) お話し合いをしております。船主協会と話をいたしております。また、私どもの方の造船重機労連の方からは海員組合の方と話し合いをいたしております。
  31. 青木薪次

    青木薪次君 進水船舶のうちに一九七六年で七九%が輸出向けとなっておりますね。それから、千五百八十万トンのうちの千二百五十万トンですか、これが輸出船だと。それから、国内向けは三百三十五万トンと記憶いたしておりまするが、国内船需要開拓のみでは、この深刻な造船不況の問題についてはなかなか打開することは困難ではないですかと、したがって、世界に向けて新たな市場を開拓すべきだと思うんでありますけれども、これまでのような量でなくて質的転換を図るべきだとする意見がいま述べられているわけですけれども、これについて意見を述べていただきたい。  それから、今後の造船界として進むべき道が、ひとつこの不況の中で、あればこの際聞かしていただきたい、こう思います。
  32. 南景樹

    参考人南景樹君) 今後の造船界の問題につきましては、今後の海運界の状況の変化に対応したものを考えざるを得ないと存じます。定期船におきましても、御承知のとおりソ連船その他の盟外船の参入によりまして、非常に脅かされております。また、不定期船におきましては、荷物の変化によりまして、非常に船の種類が変わってきております。なおまた、今後は省力化という面におきまして、コンピューターを積みました船というふうな新しい船型の開発が必要かと存じます。それに対応いたしまして、造船所建造方法におきましても、従来の建造方法以外に新しい技術開発が必要になってくると存じます。御承知のとおり、第三国におきましては、非常に安い値段で、低賃金をもって立ち向かってきておりますので、われわれとしては、これに対抗していくためには、やはり新しい技術の開発ということが最も重要であろうかと考えておる次第でございます。
  33. 青木薪次

    青木薪次君 過剰設備の廃棄ですね、特定産業安定臨時措置法ですか、参議院へ来たわけですけれども、実際問題としては、従業員のこれは雇用不安に直結するんですよね。そこで、建造需要の予測はこれは不確定であってはならないと思うんです。慎重にしなきゃならぬと思うんですけれども、日造工、それから中型、小型、それぞれどれくらいの造船能力が需要に見合ったものとして受けとめていいのか、ちょっと簡単にひとつお伺いいたしたいと思います。
  34. 南景樹

    参考人南景樹君) ちょっと御質問の意味がわかりかねますんですが……。
  35. 青木薪次

    青木薪次君 いまの特定不況産業の安定臨時措置法、先ほどからもう話が出たわけですけれども、これに伴ってたとえばスクラップする場合におけるいろんな対策を、政府としても整えよう、われわれも国会で修正し、さらに皆さんの立場に立ったものにつくりかえていこうという努力は進めているわけです。しかし、こういうものが、また反面、従業員の雇用不安に直結すると、スクラップするわけですから。建造需要の予測というものは、そこで非常に立ちにくいと思うんですけれども、相当減らされたものが出てくるわけですね。政府も運輸省もそれを進めている。先ほど七〇%という話もあったんですけれども、この建造需要の予測というものが不確定であると、これは非常にそういった雇用問題についても深刻な問題を発生しやすい。そこで、どれくらいの造船能力が、今日の需要に見合ったものとして受けとめていいのか、日本造船工業会、中型、小型、それぞれの立場で、簡単にひとつ教えていただきたいと思います。
  36. 南景樹

    参考人南景樹君) ただいま造船工業会におきまして需要予測の作業をいたしております。この作業が大体四月一ぱいをもちまして終わりまして、そこで一応の結論を得たいと私どもは考えております。  ただ、先生のおっしゃるとおり、この設備の廃棄に伴います離職者の問題につきましては、私ども非常に頭を痛めておりまして、個々の企業の範囲ではどうしてもこの処理をすることが困難でございますので、私どもといたしましては何とか政府の手で受けざらをつくっていただきまして、これらの方々の再教育、なお再教育後の再就職と、ことに公共事業関係に対する再就職につきまして御援助を仰ぎたいと考えております。
  37. 織田澤良一

    参考人織田澤良一君) ただいまの御質問が実は一番私どもの困っておる問題でございます。予測につきましては、前回海造審で出された数量がございまして、今回、ただいま海造審で御審議をいただいておると思うんでございますけれども、その結果を拝見いたしませんと、われわれとして率直にどのぐらいということが判断がつかないわけでございます。  で、一番の問題は、それまで——いつごろその予測が立つかという、海造審の結果まで待っておられないような実態もございまして、そういう場合に、いまのような人間をどういうふうにこれから扱って処理していったらいいかということは、私どもの最大の悩みでございます。で、先ほども申し上げました、われわれが専業で、それが一番泣きどころだと申し上げたのもそこでございまして、急速にわれわれ自身の力で他の業種を開発するとか、そういうことがとりあえずとしては力がございません。どうしても、ただいま南参考人からもお話がございましたけれども、国の力をひとつここで御援助いただきまして、何とか失業してくる人たちの生きる道を探していただかなければならないというふうにいまは考えております。
  38. 村上忠二

    参考人村上忠二君) 私の方の業界の設備過剰云々ということは、さしあたって考えてはおりません。また、その要因もございません。設備そのものも莫大な資金を投じて云々というものでございませんので、先ほど申し上げましたように、自主的に、修繕というものを重点的に考え、見直しておりまするので、その方に活用の活路があると思っております。
  39. 青木薪次

    青木薪次君 日造協の宇野参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほどからのお話で、本当に私ども思ったより以上に深刻さということがよくわかるわけであります。で、下請に対する依存率といいますか、下請をどんどん切っていくというために相当な——三万人ですか、先ほどお聞きしたわけですけれども、この離職された皆さんですね。なかなか離したくない。もう本工とか元請とか下請とかという問題じゃなくて、全く一軒の家のような状態で、新しい一つ仕事のモラルというものができてくるという中において、これを切っていくということは断腸の思いだと実は思うんでありますけれども、この離職者が——仕方なく切って失業していった離職者ですね、その再雇用の把握というものについては、お調べになっておられますか。
  40. 宇野信次郎

    参考人宇野信次郎君) お答えします。  多数の離職者のことですから詳しいなにはわかりませんが、大体推定しておりまするところ、あるいはその後のわれわれの会員の動きを見ますると、三万人のうち四五%は大手から中手あるいは小手造船会社へ移動していっている。それから二〇%近くが建設業の方へ移動している。それから一五%近くが自家業の農業、漁業の方にいっている。あるいは鉄鋼、化学、サービス、そういうようなものに二〇%かと推定をしておるんですが、なかなか調査の方法が雑駁でありますが、現在のわれわれの届く程度の推定ではそのようにいまなっております。どうやらいままでの三万人はそういうような状態でおさまっておりまするけれども、これからの減らされる見通しはもう深刻なんです。もうぎりぎりに来ておる従業員をどういうふうに処理するかと。  もう一つ、先ほどちょっと申し述べた中に落としましたが、いわゆる倒産関係の不良債権で、われわれの現在の会員の中では造船所が十七社、下請が百社影響を受けて、金額は四十億の被害を受けておる。この不況に追い打ちをかけるような、本当に血と汗のかたまりの工賃が下請であるがためにたな上げを食うと、大手の本工はこれに対しては保障されておるんです。で、われわれの中では何とかしてこれは手がないかといって通産省あたりにもいろいろお願いに行ったんですが、現状においては会社更生法とかああいうものにがかったものはどうにもしようがないという答えなんです。しかし、どうにもしようがないでほうっておかれ、将来なお倒産会社影響を受けますると、それこそ佐世保の委員長じゃないけれども、退職手当がおくれるぐらいのものならいいが、暴動が本当に起きかねないんですね。といって金を払わないで暴力を振るえば直ちにつかまってしまうというんで、まさか成田の暴徒のまねもできませんし、一番この下請の企業、あるいは従業員は善良なんです。いわゆるおとなしいというんじゃなく、まあ善良な者であり、私たちはこれ以上こういう弱い人たちをいじめてもらいたくない。そのためにわれわれとしては、できない相談でなく、できる相談として外航船を買ってひとつ仕事のなにをつくってもらいたい。  大体、私どもの組合は運輸省の指導によって船舶振興会から事業資金なり、あるいは倒産における緊急融資なんかを受けております。これは現在、船舶振興会にお世辞を言うんじゃありませんが、かなりの額を融資受けておるんです。少なくともわれわれの受けたいままでの援助と、こういうような融資のやつは百億に近いんじゃないかという。こういうように船舶振興会ですらやってもらえるんだから、国としてこの際ひとつ思い切ってわれわれのためにやっていただきたいというのがわれわれのお願いなんです。
  41. 青木薪次

    青木薪次君 船舶の解撤作業は、台湾で大体三万人ぐらいという話を聞いたんですけれども、日本の場合にはコストが高くて採算がとれないんじゃないかというようなことも一部には聞いているわけです。で、くず鉄の価格の変動のためにそのスクラップされたものを売却を見合わせているというような話も聞いているんですけれども、その現状はどんなものでしょうか。そしてまた、台湾では世界の半分が解撤されているということを聞いているんですけれども、日本でその相当部分を解撤していくということにした場合は、いまの経営の状態からいって可能と考えてよろしいかどうか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
  42. 宇野信次郎

    参考人宇野信次郎君) 台湾の解撤事業については、私自身が二年前に現地へ視察団をつくって詳しく調べてきました。現在は二年たっておるが、どのようなやり方をしておるかわかりませんが、そのやり方、解撤の方法はごく原始的なんです。いわゆるドックももちろん何にもない埋め立て地の海浜に船を横づけして、そうしてその土どめは、岸壁もありませんから、くず板、鉄板で土どめをしております。そうして十五トン程度のデリックを並べて、それで解撤したやつを陸に揚げてそれを壊わしている。これはわれわれから見ればその陸上の解撤もほとんど手作業なんです。これが現在の日本造船技術の造船所でやれば、この手間の給料の安いのは能率で十分にカバーできるというように私は体験してきました。  ただ、日本の場合は台湾のように公害の対策が相当必要である。しかし現在の解撤の場合においては公害対策がほとんど十分になって、船も洗浄されてきますから、いわゆる心配された大きな公害はないと思います。ただ台湾の場合は、もう一つ、少なくとも回収したものはすべてのものがお金になる。それこそ船から揚げた古机からいすまでが、値は安いかもしれないけれども、従来私たちが行ったときには売れておる。そういう関係から、解撤をし、また平電炉のように自分で伸鉄をやり、それからそれをまた一般に売るというような、いろいろのメリットを追求しておるわけです。またある程度連携を解撤業者が保って、船舶を自分の能力に応じて買っておる。そして解撤の船舶が私たちが行ったときも二、三十杯並んでおるんですね。そして自分たち手のあいたところで解撤しておる。スクラップが安過ぎると手をとめるというようなことも聞いております。そこに、日本の場合にはスクラップの、私たちが通産省にもお願いしてある備蓄が何とかできないか。これは一番解撤のデメリットになる原因なんです。スクラップの値段の高低が激しい現在の状態では、かなり赤字を少なくして解撤ができるというようにわれわれは試算しておるんです。たとえば、現在二億ドルのドルで買船をしますと、いわゆる四百四十億、これが四百四十万総トンの船が買える。あるいは回収材が約二百万トン出る。それでこの解撤費用を二百九十万ぐらいかけまして回収材が六百五十億ぐらいになる。そうしてこれに対しては収支がやはり八十億ぐらいの赤字になる。でも、一般に雇用が百二、三十人、年間雇用を認めるというような、一方で雇用の特典が出てきておるんです。これをしかし、現状においてその程度ですが、そのデメリットについていろいろの点で御考慮願えば、造船所に対してやるところにおいてこれを資金を長期あるいは低金利で融通してもらうとか、適当な価格で払い下げてもらうとかいうようなことをすれば、これが何とか解消できるんじゃないか。これはもちろん仕事のないときのつなぎであって、われわれとしては最も一番手早い雇用につながる事業だと。その他にはわれわれとしては見当たらないし、あるいはどの業界においてもいわゆる新造船以外の仕事量がこれでカバーできないと考えておるんです。要は、ようやく造船工業会も解撤をやると言ってくれましたから、この造船工業会でこれから専門的にいろいろの問題点を煮詰めてもらって、造工の話では一カ月ぐらいでその点を煮詰めて、そして運輸省あたりに御相談に行くというようなこともちょっと聞いております。いろいろの点はこれをやる気なれば相当考慮する余地があると思います。
  43. 青木薪次

    青木薪次君 舶用工業会の赤阪参考人にお伺いいたしたいと思いますが、先ほどすべてが注文生産であり、代金の支払い等についても慣習として手形支払い等が非常に多い。長期の支払いが多いのだけれども、参考のために、もしできるのだったら何カ月くらいの手形決済か、その点もお伺いしたいことと、それから連鎖倒産の防止共済制度の関係については、最高千二百万円で、きわめてこれは少ないわけで、お説のとおりでありまして、これは今度四月一日から発足いたしましたので、これをひとつふやすために、しかも中堅企業等に適用できるというような方向を、われわれも同じ考えでありますことをまず申し上げたいと思っておりまして、その金額をふやすということについては私たちも一緒に努力いたしてまいりたいと思っておりますが、なおこの中小企業金融公庫ですね、政府系の三公庫等につきましては、千二百万円が場合によっては、不況産業として指定されたような場合、その他の関係等については増枠ができるというように私たちは聞いておるわけですけれども、その点どういうような御理解をされておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  44. 赤阪忍

    参考人赤阪忍君) 問題二つございました。  最初の方の手形期日の問題でございますけれども、これは舶用工業会として調査いたしました平均といたしましては五カ月と、こういうように出ております。ただ、私どもの場合、ここにお客さんが三人いらっしゃいまして、この方々は非常に短い手形、お支払いもよろしいわけで、こういう方に対してもっと悪い例を教えてしまいますと大変なことになっちゃうような気がいたすんですけれども、この平均五カ月と申し上げましたけれども、実はもっともっとこんなのがあるかなというような例はたくさんある、平均としてはこうですけれども、そうでないものも非常に多うございます。そういったようなことが非常に不良債権の場合に額を大きくしているというようなことで、何かそこまで申し上げちゃうのはちょっとはばかるような気がいたしますので、この辺で御勘弁をお願いしたい、かように存じます。  それから、二番目の問題でございます。そのことも承知いたしておりまして、会員の中でそういったものを利用、活用と申しますか、利用さしていただいている向き、当然これはございます。ただ、ここでも——くどくなって恐縮でございますけれども、中小企業のあれでも、とにかく数千万とか、場合によると億の単位というような不良債権が出てしまうものですから、なかなかそういったことでは追いつかないような、こういうような感じがいたしまして、非常にもどかしいなあというような、そういう実感を持っております。  お答えになりましたかどうですか。
  45. 田代富士男

    田代富士男君 五人の参考人の方にはお忙しいところをおいでいただきまして、本来であるならば時間をおかけしましてゆっくり皆さんの御意見を承りたいわけでございますが、時間に制限がございますものですからまとめて質問をしたいと思います。  最初に南参考人に代表でお尋ねしたいと思いますが、いまもいろいろお話を聞いておりましたが、私なりに考えてみますと、行政側も企業側も何とかしなくてはならないというお気持ちであることは理解できますけれども、その手の打ち方がテンポが遅いのではないかと、率直なそういう気持ちを持ちます、一つの問題としていまもちょっと出ておりましたけれども、海運造船合理化審議会のいま審議が現在なされておりまして、その答申も待ってという考えもあるかしりませんけれども、どうもそういうようなテンポが遅いような感じがしてなりません。だからこの造船危機というものは構造的な問題もありますし、また石油危機後の世界的経済不況、そこからタンカーによる大量の船腹過剰等が発生しておりますけれども、さりとてこの景気がすぐに回復するかと見れば、いまのところ世界経済日本経済もしばらく長くこの状態は続くのではないかということが有力な見方であるならば、そういう海造審の答申を待たず、基本的な造船界としてはこのように行くぞという自主性、自主的な努力という強いもの、相手に訴えるものを私たちお聞きしておりますけれども、大変だなと思いますが、その大変だなと思っている相手に訴えるもの、実質的ななるほどと言われるようなものがまだまだ乏しいのではないかと、私は率直にそういう感じがいたしました。そういう点から世界的に見渡した場合に、今後の船舶建造の見通しはどうなのか、その場合のわが国のシェアはどのくらいになっていくのか、短期的に見た場合はこの二、三年、中期的に見た場合には十年先ぐらいはどうなるかというそういう見通し、その場合、これに見合ったわが国のドック、船台の調整を業界としてどのように進めていくことができるのか、また余剰の造船施設について、廃棄した後あるいは十年後、二十年後再びつくろうとした場合、繊維業界等がこういう実態をいま生んでおりますけれども、造船業界として十年後、二十年後に再びつくろうとした場合、各方面から非難を受けることにはならないのか、こういう点を見きわめた上で、造船施設の廃棄をするかどうかということも確認しなくてはならないのではないかと思います。また余剰の施設の廃棄を行った場合に、いまも問題になっておりますが、余剰の労働力が生まれる、転業の問題、雇用の問題、この点をどのように解決していくか、この点、まずお尋ねしたいと思います。  それから引き続いて、造船の国際間における将来展望についてでございますが、御承知のとおりに、お隣の韓国経済というものが非常な成長をしております。十年間に実に実質一〇%前後の高度成長を続けております。いまや電気機器あるいは合板、繊維、造船などでは競争力では日本を上回っている一面も見られます。こういうようなことから考えていった場合に、日本と同じような大工業国がお隣に出現をした、これはわれわれがわが国の経済の体質、まして造船業界においてはこれは一応検討する余地があるのではないか、今後どのように対処していくのか、そういう意味から私はいま欧州共同体等でもなされておりますように、国際分業体制というようなものに対しても考えを進めて将来の打開策をいまから検討しておかなくちゃならないのではないかと思うのでございます。  時間があればもっと詳しくと思いましたが、時間がありませんからはしょってまいりますが、それから現在の造船業界不況克服には国際的な協調と世界各国との相互理解というものが必要ではないでしょうか。現在EC諸国を初め各国の間には、日本造船業界はカンパニーユニオンであるという認識が非常に強うございます。そういう意味から日本造船界の合理化努力に対して強い不信感を持っております。したがいまして、諸外国のこうした認識と不信感を取り除くためにも業界を初め、あるいは労働組合間の国際交流を活発にしまして、わが国の雇用構造のあり方等についても理解を得るように努力することが必要ではないでしょうか。これがひいては国際的な環境づくりも不況克服に役立つのではないかという、こういう考えを持っておりますが、御意見を聞かしていただきたいと思うのでございます。  それから最後に、IMCOのTSPP発効に関してお伺いしたいと思います。  条約についてはわが国の批准を推進するとともに、国際的にも一日も早く発効するようその条件を整えていくべきものと考えておりますが、この条約の発効によって、わが国造船業界仕事量がどの程度ふえると見込んでいらっしゃるのか。条約批准発効に関して希望がありましたならばお述べいただきたいと思います。  以上が南参考人に対する質問でございますが、次に織田澤参考人にお尋ねをしたいと思います。  織田澤参考人のお話もございましたとおりに、いま織田澤参考人の工業会の従業員は約四万九千人であるというお話がございました。この四万九千人ということでございますが、この中で協力工員という人はどのくらいいらっしゃるのか。いまも宇野参考人からも話がありましたけれども、だから、私はこの一割かそこらのそういうような退職者等も出ているとか、いろいろお話ありましたが、協力工員に対しましてどのような対策を講じようとされているのか。協力工員の再就職の問題、そこらあたりに対するお考え方を時間があれば宇野参考人にもお聞きしたいと思いましたが、時間がありませんから、そこらあたりを織田澤参考人からお聞きしたいと思います。  また、大手の造船業界不況になれば、いままで織田澤参考人造船会でおつくりになっていた中型、小型の造船に対して踏み込まれてくると、これには分野調整法等もございますけれども、どのようにこれを処理したらよいか、端的な御意見を聞かしていただきたいと思います。  それから村上参考人にお尋ねしたいと思いますが、村上参考人は、当面の小型船舶を中心としてお仕事なさっていらっしゃいますが、造船業界というこの業界というのは受注生産をしている特殊な業界でございまして、注文がとまればそれだけ倒産という、そういう側面があります。こういう体質がある。この体質を改善していかなくちゃならないと思うわけなんですが、現時点においては、村上参考人は、修繕に方向転換をするなり、また、企業別に内容の見直し等をやって、短期融資を長期融資にかえてもらいたいと、こういう御意見もありましたが、これとともに、根本的な体質改善もやっていく必要があるのではないかと、私はこのように思いますが、これに対する御見解をお聞かせしていただきたいと思います。  宇野参考人赤阪参考人にも私はお聞きしたいわけでございますが、時間がありませんから、いま宇野参考人が申されました、このような不況を克服していくためには、SB方式実施に至るまでのつなぎとしてこういう解撤作業等もやらしてもらいたい、三年来の念願である、そうして下請企業としての従業員を守っていきたいという、この情熱あふれる御意見というものは、今後の運輸委員会の中において生かしていきたい、このように私は宇野参考人に申し上げておきます。  また赤阪参考人の方から、ちょうど赤阪参考人の舶用工業会というものは造船業界と正比例する業界であると、そういうところから、この業界がこのような不振をしていたら大変であると、その中においても、ただいま遠慮をしながら申されました長期手形、そういう支払いであるということで、長期不況で体力が限界であると、何とかそういう融資等、あるいはそういう万般の面の優遇措置をあわせて講じてもらいたいというこの御意見も、いま申し上げましたとおりに、運輸委員会の中で生かしていきたいと思います。  与えられた時間がわずかでございまして、皆様方の御意見をすべてお聞きする時間までありませんけれども、いま申し上げたことをまとめて質問いたしまして、それぞれの参考人から御意見を聞かしていただきたいと思います。  以上です。
  46. 南景樹

    参考人南景樹君) 申し上げます。  海造審の答申を待って構造改善に入るのはちっとテンポが遅いのじゃないかというふうなおしかりを受けたわけでございます。実は私どもも、急激に業界の様相が悪化しつつございますので、先生のおっしゃるとおり、まことにそういう感がいたします。ただ、先生もおっしゃったように、造船不況造船の危機は、受注産業であるがゆえに、注文がなくなると非常に急に来るというお話、そういうことがやはり原因となりまして、ここにまいりまして急速に悪化してまいりました。ことに、先ほど申し上げました中手造船所におきましては、この夏あるいは遅くとも秋、冬ごろから船台の上に船が全くなくなります。これに対しまして、とりあえずの緊急の対応策として、私どもは何とかスクラップ・アンド・ビルド仕事を与えていただくということを熱望いたしておりまして、いろいろ業界内部でも協議をいたしておりますが、どうもこのスクラップ・アンド・ビルド以外に当面の仕事を求めるという手段がないのではないかというふうに考えておる次第でございます。  なお、お話のございました、造船業界の将来に対する構造改善に対する構え方といいますか、あるいは処し方において真剣味が足らないというふうなお話でございまして、まことに御指摘の点もあろうかと存じます。ただ、大手造船所におきましては、造船の比率は、少ないところで二〇%、多いところでも五〇%でございまして、この部門における不況企業経営基盤を危うくするというところにはまいりません。ところが、中小におきましては、それがまことに顕著に、そうして急激にまいります。そういう状況で、最近におきましては、ことに造船工業会内部における十五社の中手造船所は、ひしひしと危機を実感して、ただいま鋭意努力をいたしておる次第でございます。  なお、今後の見通し、ことに短期的あるいは中期的な見通しはどうかというふうなお話でございましたが、短期的には、先ほども申し上げましたように、ほとんど旧来のごとき輸出船を中心として仕事をやっていくということは困難でございます。恐らくは、少なくも三年、長ければ五、六年間は非常に苦しい状態を過ごさなければならないのではないかと考えております。なお、十年以上先になりますと、業界としては一応ある程度操業度を維持できる仕事が出るのではないか。それは、現在の船の高齢化に伴った代替建造ということを考えましても、十年以降先には相当な仕事が出てくるというふうに考えておるわけでございます。  なお、設備の廃棄率につきまして一体どう考えておるかということでございましたが、これにつきましても、海造審の答申というものが出まして、初めてわれわれはその需要量に応じて思い切った設備の廃棄を行うというふうに考えております。ただ、おおむね現在考えられておりますのは、大手としては思い切って六〇%ぐらいの設備を廃棄あるいは凍結すると、中手造船専業でございますので四〇%程度を廃棄あるいは凍結といったような、漠然とそういう比率を考えておる次第でございます。これらはいずれ需要見通しがはっきりいたしまして、はっきりした数字になってあらわれると考えておるわけでございます。  次に、そういう大きな設備廃棄を行った場合の雇用の問題につきましては、大手におきましては一応雇用は他の部門にできるだけ吸収すると、すなわち配置転換あるいは出向等をもってできるだけこれに充てるという方針でございますが、中手造船所の場合は経営サイドが各方面に直接出向いてお願いして採っていただいておりますけれども、きわめて一部分にすぎません。大部分が受けざらなしで離職するという実情でございますので、先ほどお願い申し上げましたように、何とか炭鉱離職者の例もございますので、政府の手におきましてこれを再教育して公共事業関係に転用していただきたい。また、十分そういう場所で働き得る能力を持っておる者が大部分でございます。  次に、国際間の問題でございます。ことに韓国に対していかに対処するかというお話でございますが、これは先般造船工業会におきましても韓国に対する対処の仕方というものが取り上げられまして、その結果なるべく近い将来に一応韓国の造船所と話し合いをすると、そしてお互いにまず意思の疎通を図っていこうじゃないかということを考えておるわけでございます。先ほど先生のおっしゃったような国際分業ということも十分考えられますので、そういう見地に立ちまして国際間の協調に努めてまいりたいと思います。  なお、労働組合と海外の労組との交流ということはすでに実施をいたしております。  次に、IMCOの問題につきまして、条約発効した場合にどれだけの仕事量になるのであろうというお話でございますが、わが国におきましては七万重量トン以上のタンカー約百九十隻ございます。これをSBT方式に改造をいたしますと約九百億円程度仕事量でございます。このほかに外国船の受注が相当、恐らくはこの数倍可能ということになってまいりますので、かなりな仕事量に相なってまいります。なお、COW方式を採用した場合にどういうことになるかということでございますが、この場合には国内船及び外国船を合わせまして約一千億程度工事量になるというふうに考えられます。  以上、お答え申し上げます。
  47. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 参考人の方にちょっと申し上げます。  なるべく簡単に、ひとつ要領よくおまとめいただきたいと思います。
  48. 織田澤良一

    参考人織田澤良一君) 最初の御質問でございますけれども、四万九千人と申し上げましたのは五十二年の一月から六月の平均でございまして、そのうち本社員が二万二千人、それからいわゆる協力工が二万七千人でございます。  ちなみに、この員数の中には先ほど申し上げました倒産した会社の従業員も含んでおります。  それで、実際には倒産しました会社の従業員の実情をちょっと御報告申し上げますと、倒産前で本工が四千三百名、それから協力工が約六千名でございまして、合計一万三百名でございました。それが三月末現在で本工が約千五百名、それからいわゆる協力工が九百名でございます。したがいまして、倒産によった減員は本工が二千八百名、それから協力工が五千百名が失職する形になっております。  この実績からごらんをいただきましてもおわかりのとおりで、当該各会社は、私ども現実そうでございますけれども、自分たちの会社の直接に使っておる従業員をどう就職をお世話をするかということでももう十分にいっておりません。当該各知事とか市長とか、その他各地区のいろいろな団体あるいはその他の企業に要請をいたしまして、そういう運動をできるだけ会社側としてはやっておりますけれども、なおかつそれで十分な成果を上げておる実情ではございません。それから一方協力工の方の状態については、これはさらにめんどうを見たくても方法がないということでございます。先ほど宇野会長からもお話がございましたが、これは本当にもう何らかの政治的な力で解決していただく以外には方法はないと思います。  それから、第二のお話の分野調整の問題でございますけれども、私どもの業界でもこの問題は始終議論には出ておりますけれども、現時点では結論に到達しておりません。その理由は、いま現在現有しております造船設備と現状での受注の中身が必ずしも一致しておりません。たとえば、いわゆるスーパータンカー、デッドウエート三十万トン以上の船をつくるのに適しておるような建造ドック、現実はそういうところは一つもありません。そういうところで大きくて六、七万トン、小さいところは一万トンぐらいの船までつくっておる実情でございまして、分野をお互い企業同士で分けて、一番合理的なサイズで分けるというようなことは現状ではできません。遺憾ながら現実には実施できないということでございます。
  49. 村上忠二

    参考人村上忠二君) 業界のこの受注問題でございますが、これは発生主義でございます。しかし、国内船でございまするので、これは漁船に限ります。許可漁業でございまするのでその船の耐用年数がございまするので、代替建造というのは毎年あるということ。ただし先ほど申し上げましたように、北洋関係については残念ながら最悪の場合が発生するのではないかと、こういうことでございます。  それから、将来ということでございますけれども、これは決して暗い見通しは持っておりません。ということは、日本人のたん白資源の供給の漁業でございまするので、何とかこれは明るい方に行って日本の国民食生活のたん白資源の確保という道が新たに開けるだろうという大きい期待を持っております。
  50. 内藤功

    内藤功君 時間の関係でお三人の方だけにしぼってまとめて質問をしたいと思います。  まず、南参考人にお伺いいたしますが、先ほど日造協の会長さんの宇野さんの方から出ましたお話の中に解撤業の問題、その中でいままで解撤業のメリットをなぜ研究しなかったのか、言葉を強めて大手の責任を問いたいということまで言われたわけですが、解撤作業の問題につきましてどういうふうにお考えになっているかという点が一つ。  もう一つ南さんにお伺いしたいのは、昭和五十二年の九月現在で、大手八社下請依存度が、私の調べでは一八・三%というふうに存じておりますが、日造協のいろいろ言っておられる中では、四〇%を下請、外注に回してほしいと、こういう要望があるやに聞いておるんですが、造船工業会といたしましては、この点についてはどういうお考えでございましょうか。  もう一点、南さんに伺いたいのは、ある経済雑誌を読みましたところ、三菱重工業の例を引いておりまして、五十二年九月現在の受注残高に占める船舶部門の比率が二二・一%であると、これは四十八年九月末に比べますと五三・七%だと、つまり四年間船舶部門が三〇%も低下をしたという数字が出ておりました。他の大手七社の場合ですね、この三菱重工さんのような陸上部門への転換という動きが、これ好ましいか好ましくないかは別問題として、この見通しとして今後も急速に進むというような見通しなのかどうかという点についてのお考えを伺いたい。  次が、中造工さんの織田澤さんに伺いますが、一つは最近の運転資金の調達の問題であります。  波止浜造船の問題初めとしてメインバンクからの協力が得られなかったという問題が非常に大きな原因になっていると思うんですが、私の聞くところでは、全国地方銀行協会の副会長さんのお話で、中小造船に対する金融支援は限界に近づいていると、こういう談話を最近発表されているというのを読みましたです。これ具体的な例で簡潔にお話し願えればいいんですが、最近こういう地方銀行さんと皆さん方の中造工に入っている会員さんの造船所との間の資金面の関係について、具体的な変化というものがどういうふうにあらわれているか、具体例がありましたら簡潔で結構ですからお話し願いたい。  もう一点、織田澤さんにお伺いしたいのは、さっきほかの委員の方からも御質問ありましたけれども、分野調整の問題、どうもあのお答えじゃ私は納得できないんですが、たとえば最近、オーストラリアのBHPという会社で十万六千トンタンカーの入札のことがありまして、最初ある会社が七十二億という額を示したところが、大手四社や韓国の会社が入って、結局四十七億五千万円で大手のある会社が落としたということを私聞いたんですね。七十二億という値段が出たものが四十七億五千万円です。非常な低価額。こんな実情がいまあるのかどうか。こういう段階で中造工さんとしては、率直に聞きますが、造船工業会さんとお話し合いをこの点でなされていらっしゃるのかどうかという点でございます。  最後に、小型船舶工業会の村上さんにお伺いします。一点だけでございます。  現在、官公需の分離発注という問題が非常に大きく問題になっておりますが、たとえば本四架橋のような大規模プロジェクトの場合、小型船舶工業会さんが具体的にどんな工事であったら分離発注、直接の発注を受けることが可能なのかという点についてお伺いしたいと思います。答えは簡潔で結構でございます。  以上です。
  51. 南景樹

    参考人南景樹君) 解撤のメリットにつきましては、実は過去、戦前におきましては解撤はほとんど日本の独壇場でございましたが、戦後はほとんど、余りされておりません。それは一にかかって工賃の関係でございます。工賃が安い台湾とかあるいは韓国で解撤をやっておるのが実情でございます。  次に、日造協さんが大手の仕事に対して四〇%の下請を御希望になっておるのは伺っております。おりますが、現在この仕事のない時期に従来以上の仕事量を日造協へ回すということは非常にむずかしい問題でございまして、一にかかって工事量の多寡によるものと考える次第でございます。  次に、大手各社の船舶比重の低下という問題でございますが、これは結局船舶受注が減ってまいりましたので、プラントその他の陸上工事との相対的な関係において船舶の比率が低下してまいったものでございます。この傾向は今後とも進むと考えられます。  以上。
  52. 織田澤良一

    参考人織田澤良一君) 御報告いたします。  第一の運転資金の調達問題でございますけれども、私どもの会員皆さんからは非常に調達難だという苦情が年じゅう来ております。年じゅう来ておりますが、具体的にそれでは幾らどの銀行がどうだということは報告がございませんので、具体的な例をいまここでちょっと申し上げることはできませんですが、後日、具体的なものが調べがつきましたらまた改めて御報告いたします。それから一般に申し上げられるのは、われわれの地方のメンバーは大体地銀が主でございます。ごく少数の造船所がいわゆる都市銀行、大手に関係がございますけれども、一般には地方の銀行が主でございますので、地方の銀行さんが信用状態その他でちょっと手控えられるとすぐにその影響が出てくるということであります。  それからもう一つ、先ほどの分野調整の問題でございますけれども、ちょっとこれ、私のお答え申し上げたことが御質問に外れておったかもわかりませんが、たとえば造工と中造工の間では話し合いは年じゅういたしております。いたしておりますが、一般的な話が多うございまして、具体的に船価の問題等で打ち合わせをした例はございません。実態はそういうことで、一般的な打ち合わせは年じゅうやっております。
  53. 村上忠二

    参考人村上忠二君) 本四架構橋関係でどういうことかと、こうなんでございますが、実はこれは大手さんなり中手さんの方にお仕事がたくさんございますというと、われわれの業界にも落ちこぼれがあるという期待感と、それからああした本四架構橋のようなことが促進いたしますと、それに付随する作業船それから調査船、そういうこまい船も当然出てくるので、そういうものに期待をして促進をこいねがった次第でございます。
  54. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 最初に南参考人にお聞きするんですが、先ほどSB方式での国内船建造ということで年間百五十万トンずつ三年間四百五十万トンやりたい、それについて簿価と船価の差について政府で見てほしいんだという御発言があったんですが、その辺のところの意味をもう少し言っていただきたいことと、それからこの年間百五十万トンという数字は見通しがあってなのか、それともそれだけのことは何とかしてもらわない限りいまの造船産業も持ちこたえられないというところからはじき出した数字なのか、その辺をもうちょっと御説明いただきたいと思います。
  55. 南景樹

    参考人南景樹君) まず簿価と船価の差額の問題は、一般船舶の償却が十五年でございますが、十年前後というとなお償却残が残っております。その船をスクラップ価額で売却しますと船会社に赤字が出ますので、その赤字を補償していただきたいと、こういうことでございます。  それから量につきましては、船齢十年以上の日本船舶が約八百万総トンございます。そのうち二百万総トンは沿岸その他の船でございまして、それを差し引きますと、約六百万総トンの外航並びに近海の船舶、十年以上の船齢の船舶がございますので、二百万トンずつ三カ年間にわたってこれを解撤さしていただきたい、その見返りとして百五十万総トンの新造船建造するということでございます。造船業界が現在のような仕事が全く枯渇しております折でございますので、ぜひとも百五十万総トンのビルドをお願い申し上げたいと存じます。
  56. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 次に、織田澤参考人にお聞きするんですが、先ほど、ことしのところで、いまのところ六十五万トン、あとせいぜい見積もっても十万トンぐらいしか見込めないんだということですが、従来の能力からいけば半分ぐらいしかないということになる。一般的な平均のところでよろしいんですが、船殻部門がいつごろでなくなることになるのかということです。  それからもう一つは、特定不況産業安定臨時措置法のお話が出たんですが、裏保証が求められているというお話がありました。最近でも——最近でもといってもこれはまだ法律ができないので、いま審議の最中ですが、最近でもそういうことが言われているかどうか。この二点、お聞きしたい。
  57. 織田澤良一

    参考人織田澤良一君) 第一点でございますけれども、大体船殻という言葉で、どうでございましょうか、船台があくかどうかで申し上げたいと思いますが、どうも平均してことしの九月、十月ごろにはぼつぼつあく船台が相当出てくるということでございます。大体十月と考えていただいたらいいと思うんでございますけれども。  それから第二の問題でございますけれども、実はきょう現在もあるところでちょっと伺ってみたんですが、その後いまの裏保証の問題がなくなったという話を聞いておりません。ですからいまでもやはりそういうことが御検討中なのではないかと思います。
  58. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 次に、宇野参考人の方にお聞きしたいんです。  先ほどドル減らしとして二億ドルの外国船を買ってスクラップをしたならば年間百四、五十万人の雇用が創出されてくるんだ、大変ないいアイデアといいますか、考え方だなと思って聞いておりましたのですが、それで、やっていってそのくず鉄がどのくらい出てくるんですかということを知りたい。先ほど、スクラップをつくって、経局収支の差では八十億の赤字だということも後から聞きましたのですが、くず鉄がどのくらい出てきて、それから現在日本がくず鉄がどのくらい消費をされておって、輸入しているのもあると思うんですが、そういう輸入している量なんかと比較してこの二億ドルの外国船をつぶしていったならば、スクラップがどのくらい出てくるかという関連で一つの見通しを持ちたいと思うのでお聞きするんです。
  59. 宇野信次郎

    参考人宇野信次郎君) 大体くず鉄の値段は、いま私の方のごく最近の値段でやりましたのは市価の二万四千円で、回収品の販売価格を申し上げますと、伸鉄材がいわゆる三万四千五百円、いわゆる炉前のくず鉄が二万四千円、故銑が二万三千五百円、非鉄が二十万あるいは鍛鋼が三万五千、再生品が十万というような、いろいろの市販の相場を集計しましたのが平均トン数で回収品が三万三千百十五円という、これはあくまでも一つの計算でございますから、多少の変更は出てくると思います。それで現在の状態は買い値がいま言ったように二百二十円の計算で買船費を出してやらにゃならぬ。先ほど申し上げましたように、回収材が約二百万トン近く、百九十五万トンですが、解撤費用は一トン当たり一万五千円、それからいまの回収品がトン当たり三万三千円。したがって買船と回収費の差額が八十億円というような程度が出てきますが、この程度一つのめんどうを政府で見ていただきたいというようなこと。  それから鉄鋼の量におきましては、いまの五十二年で現在生産量が、これは一般も入るだろうと思いますが、一億二百四十万、これでくず鉄の消費量が五十二年で三千四百六十、国内の輸入が千七百六十、輸入量は百四十四万トンというような数字が出ておるわけです。大体が質問の要点からちょっと外れたかわかりませんが、そのような私どもの調査になっております。なお、御不満の点はまた再度御説明したいと思います。
  60. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 これは宇野参考人よりかも南参考人の方がよろしいかと思いますが、先ほど解撤作業、造工の方でもやるのだというお話があったのだということなんですが、これは南さん、本工だけでやるということになっちゃうのですか、それとも日造協の方が従来もやられてきたので、それらと一緒になってやるということに造工側はなっているか、その辺ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  61. 南景樹

    参考人南景樹君) 日造協と協力してやることにいたしております。
  62. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 終わります。
  63. 山田勇

    ○山田勇君 各委員質疑と重複を避けまして、二点だけお尋ねいたします。  織田澤参考人にお尋ねいたしますが、まだ法律がこれは出ておりませんが、長期融資の期間として五年では少ないということを言われております。仮にこれが十年に延びたとして、この融資を受けたものに対しては必ず償却しなければいけない。そういうところから見ますと、皆様方がお考えになっておられます海運不況そのものの見通しとして、これは一時的なものか暫定的なものか、どのぐらいまでこの傷が深く覆い込むのか、その点を織田澤さんにちょっとお尋ねをしたいと思います。
  64. 織田澤良一

    参考人織田澤良一君) ただいまの長期の見通しということになりますと、はっきりした長期的な見通しはいまのところ立ちませんけれども、少なくも借りてそれをやるからには、やる本人は十年なり何なり、自分が企業をつぶす考えはないわけでございますから、ですから金利の問題もありますけれども、できるだけ長期に、七年なり何なりぐらいのところでやっていただければということでございます。
  65. 山田勇

    ○山田勇君 最後に、村上参考人にお尋ねしたいと思いますが、転業ということは先ほどからずいぶん言われておりますが、何十年来専業的な分野の中で、転業ということはなかなかむずかしいことは私たちもよく承知しておりますが、かつての私の経験といいますか、綿布焼き打ちデモンストレーションというふうな形、またみずから涙をぬぐって機械を壊して転業をしていく。そういう中でいち早く転業に踏み切ったものがかなり繊維の業界の中では生き残っているというのが過去の歴史の実態として残っております。それと、全然業種的にはものが違うにしても、カナダの造船界を参考に取り上げますと、そういう小型船舶等はいわゆるレジャー産業の見通しということでモーターボートの生産に踏み切った。しかし、それは一業種でやるものではなく、そういうふうな資金手当て的にも非常にむずかしい。だから、五人なら五人、十人なら十人というふうに一つのグループをつくって、銀行から多額の融資を受けてそういう転業へ踏み切ったという事例もございます。たとえば綿布の問題にしてもグループ単位でやっております。余り芳しくない業種に転向したのもあります。たとえばラブホテル的なもの、現金商売的なものに急遽百八十度転換したということによって支えたという事例もございます。その点を含めて、村上さんの小型船舶という専門の分野から転業というようなこと、また、これからの企業の中で職業訓練的なもの、センター的なもの、そういうものをどうお考えになっておるかという点をお伺いして、質問を終わります。
  66. 村上忠二

    参考人村上忠二君) お答えいたします。  ただいまの御質問については、わが業界の方でちょうど五十三年度で、近代化計画がございまして、最終年度が五十三年度なんで、これの内容を、ここまでのことは運輸省の御指導でやっておったのでございます。ただし、残念ながら初期の計画は四十八年度の高度成長時期の構造改善事業ということで、今日もその計画案は持っておりますけれども、今時点になりますというと、この構造改善というものは根本的に見直していかなければならないんじゃないか、その中には、いま先生のおっしゃったことは当然含まれて、再検討を要するという時期に来ておるということをはっきり申し上げたいと思います。
  67. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)  本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十四分散会      ——————————