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1978-04-06 第84回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月六日(木曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      高平 公友君     藤井 丙午君  三月二十九日     辞任         補欠選任      藤井 丙午君     高平 公友君      内藤  功君     佐藤 昭夫君  三月三十一日     辞任         補欠選任      佐藤 昭夫君     内藤  功君     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 三木 忠雄君     委 員                 井上 吉夫君                 伊江 朝雄君                 石破 二朗君                 江藤  智君                 佐藤 信二君                 高平 公友君                茜ケ久保重光君                 瀬谷 英行君                 田代富士男君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  福永 健司君    政府委員        運輸省航空局長  高橋 寿夫君        運輸省航空局次        長        松本  操君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    説明員        警察庁警備局参        事官       近藤 恭二君        日本国有鉄道公        安本部長     池田 速雄君    参考人        新東京国際空港        公団総裁     大塚  茂君        新東京国際空港        公団理事     角坂 仁忠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案(第  八十二回国会内閣提出、第八十四回国会衆議院  送付) ○参考人出席要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————   〔理事三木忠雄委員長席に着く〕
  2. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 きょうはまだ警察関係がお見えになっていないようでありますが、運輸大臣に最初お伺いいたします。  実は、大臣、私ども運輸委員会で先般成田空港視察に行ったわけなんです。それで、空港の諸施設を全部見まして、この間破壊をされました管制塔にも上がってみたわけです。その際に、視察に参りました委員会人たちが異口同音に感じたことは、あの大事なところをもし過激派諸君に占領されたら、これ一遍におしまいになっちまうな、こういうことだ。なぜそう感じたかというと、あの管制塔まで上がるのに、なるほどエレベーターは途中で乗りかえをしなきゃならぬようになっている。しかし、まずあそこの中へ入るのに、玄関にガードマンみたいな人が二人か三人しかいなかった。それから、エレベーターでもって上がって乗りかえをする、そのエレベーターのある廊下にはほとんど全然人がいない。それから上がっていくと、確かにエレベーターを最後に降りて階段をごたごた上がっていかなきゃならないのでめんどうくさいようになっておるけれども、しかし、そういう要所要所警備の人もおらないということであれば、ごくスムーズに管制塔に行ける状態にあったわけですよ。もう開港間近だというのに、わりあいとあの大事なところの警備というものは何もないんだなという感じを受けたんですね。だから私どもが、これで大丈夫かな、こういう不安をこれは皆さん一様に持ったんですよ。ところがその不安が、二十六日にああいう形でもってやはり恐れていたような事態が出てきたわけですね。しかも、だんだん後話を聞いてみますとと、かなり綿密に計画をされておる。警備の方もよもやという油断があったのかどうかしれませんが、手抜きになっておったわけですね。  そこで、ああいう事態が出てくると、五月二十日というようにお決めになったようでありますけれども日取りを先に決めておいて開港ということになると、その開港の日を目指してまた何かやられるんじゃないか、こういう不安があるわけです。したがって、もし何か事が起こるとまたまたどうも開港ができないというようなことになったんでは、これはまことにもうみっともない話でおりまして、国際的な威信をさらに失墜することになる。そこで、そういう点、果たして政府としては五月二十日の開港については本当に不安がないのかどうかという点、私らはまあ懸念をするわけですが、その点大臣としては警備の点で大丈夫なのかどうか、それから施設の点で大丈夫なのかどうか、それから各航空会社移転その他そういった点においても手抜かりはないのかどうか、そういう点を総合して一体どうなのかという点についての大臣の見解をお伺いをしたいと思います。
  4. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 本問題についていろいろ御心配をいただいておって恐縮に存じます。参議院委員会でも御視察をいただいて恐縮に存じておりますが、いろいろ御指摘いただいたところ一々ごもっともでございます。私自身も寸隙を縫って行ってまいったのでございますけれども、私は私なりの心配をいろいろいたしておりましたところでございます。  そこで、まず結論から申し上げますと、いろんな部門の責任者等からかなり突っ込んだ報告を受けました。まあどこがどう言ったというように申し上げるのもいかがかと思いますが、これを総合いたしまして五月二十日までにはすべて大丈夫だというように総合判断をいたしましたわけでございます。それにつきましてはいまもお話がありましたように、まあ日取りだけを先に決めて、後それに追っつかせればいいんだというような考えでは、これはもちろんいけないのでございます。いろいろの点がある程度進んでおりますが、まだ今後にまたなければならぬ問題等もございます。だが、しかし、今後にまたなければならない問題につきましては、五月二十日ころまでにというか、五月二十日という日までにそれらの補完が行われるし、またないしは問題によっては的確に見通しがつくことによって推進できると思うのでございますが、そういうようなことを総合いたしまして、まあああいう結論にいたしましたわけでございます。まあ物的施設にいたしましても、警備の点にいたしましても、さらに航空会社移転等につきましても、重々意を配りましてその方面とも接触をいたしました。ちょうどあの前に休み等も相当多いし、またこれからの日数を考慮いたしますと、航空会社移転等もその気でやればうまくいく状況に至っております。  そういうわけで、いまも御注意をいただきましたような点は、今後にも大いに考えなければなりません。ことに管制塔についてお触れになりましたが、私もやや似た感じを持っておりまして、その後あちこちにいろんな物的施設をして、まあこのたびの痛い経験を必ず生かすようにという配意をそういう方面においてもいたしておる次第でございます。こういうことが繰り返されるということになりますれば、これはもう大変なことでございます。私ども重々そういうことに気を配ってのいろいろの手段をといいますか、手順を講じました次第でございます。
  5. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これは予算委員会でもやはりかなり突っ込んだ質問が各委員から行われておりましたが、管制塔が襲撃をされるというようなことは警察当局としては全然予想もしていなかったということになるのかどうか、一万三千人の警官が動員されておった、一万三千人の警官が十名内外連中に手もなくひねられるというようなことは、これはまことにもって心外な話なんでありますが、これは管制塔そのものについてまるっきり予想していなかったのではないかと、こういう気がするわけなんですが、その点率直に言ってどういうことになっておるんでしょうか。
  6. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 管制塔という非常に大事な部分については全然予想していなかったという話はおかしいと私は思います。そういう大事なところについてどうあるべきかということは、まあ予想しなかったという人もあるかもしれません、しかし高い責任を持つ立場においてはそれは恐らく違うんじゃないかと私は思います。私ども予想という言葉が果たして適中するかどうかは知りませんけれども心配しておったのは事実でございます。恐らく警察がこれから見えて話があろうと思いますが、その予想という意味でございますが、こういうことについては心配しなかったという意味じゃなかろうと私は思うのでございます。いずれにいたしましても、そういうことについては重々心配をし配意をしてかからなければならぬものであると、私はそういうように考える次第でございます。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 警察当局にお伺いするわけですけれども、われわれ視察に行ったときに感じたことは、ともかく京成電鉄の地下鉄のホームからあの管制塔までそんなに遠くないわけです。それからあそこへ出入りをするのにも別に物々しい警備も当時はなかったわけです。日曜日でもないし普通の日でありましたけれども、もし管制塔をねらう気になればわけなく入り込めるような状態だなという感じをわれわれは一様に持ったんですよ。だから委員相互の雑談の中に、ここをやられたら大変じゃないかという話は現に出てきたんです。それにもかかわらず、専門警察があの管制塔について、よもやそんな大それたことはすまいというふうに考えておったのかどうか、配備というものは管制塔に関する限りは全然やらなかったのかどうか、また警備しにくいような設計になっておったのかどうか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  8. 近藤恭二

    説明員近藤恭二君) 御質問管制塔警備の問題でございますが、いろいろな形のゲリラがあり得るということを想定いたしまして私ども空港内外警戒配備をいたしたわけでございます。管制塔につきましても、管制塔の中は公団の方のガードマンということでございますから、周辺警戒をいたし、その隣に隣接いたしております空港署の方からもさらにあわせて警戒を加えるという形で警備をいたしておったわけでございます。その結果、ああしたほかのゲートから来るゲリラ等事案もございましたけれども、港内に入りました者、特に管制塔に入りました者は全員逮捕したということでございますが、いずれにしても今回はいろいろ教訓の深刻な問題ございますので、こうした事案をこれからの先訓としてぜひ生かして今後は万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 先般の空港問題の際に逮捕された人たちがおりますけれども、この逮捕された連中組合でもって何か組合活動をやっておったのかどうかということを、私も気になったので聞いてみたところが、全然そういうことのなかった人だということを聞いたんです。平生はとにかくそういう政治活動だとか組合活動だとかいうものにタッチしていないようなのが、突如としてヘルメットをかぶってあそこへ出ていったということを私も聞いてびっくりしたしたんでありますが、逮捕された人たちがどういう人たちなのか、グループに属しておるのか、その点おわかりになりましたらお聞かせ願いたいと思います。
  10. 近藤恭二

    説明員近藤恭二君) このたびの事件で検挙いたしました被疑者は百六十六人でございまして、これは三月二十六日の空港侵入者の方が百十五人、横堀の要塞、これに引き続いて二十七、八人となっておりますが、その際の検挙は五十一人でございますが、このうち身元判明いたしました被疑者が六十八人ございます。いまこの身元判明と言いましても、全部が黙秘というふうなことでございますので、つまびらかにはその内容職業別その他わかりませんけれども公務員が十名というふうになっております。特に管制塔に入りました被疑者については、郵政関係職員が二名ということが判明をいたしております。どのような日ごろの組合活動をやっておったかというふうなことは私ども承知をいたしておりません。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 あんまり遠慮しないでしゃべってください。よく語尾が聞き取れませんでしたから。  私がまず聞きたいのは、安全確保対策要綱というのが閣僚会議で決まったんですね。それで、その中に開港期日の決定は五月二十日とするということでありますけれども極左暴力集団対策というのがあります。この「極左暴力集団不法行為に対しては、徹底的検挙・取締りを行う。」とありますけれども、一体極左暴力集団というのは何か。その中身はどういうことなのかということがわからないと、徹底的に検挙、取り締まりを行うったってしようがないわけですね。その実態をわれわれもよく知らないわけです。いまも検挙された人たちがどういうグループに属しているのか、どういう活動を行っているのかちょっと聞きたいと思ったんですが、いまはっきりしませんでした。わからないので語尾を濁されたのか、その真相がまだつかめていないのか、その点わかりませんけれども、要するに、この内容がわからぬと困ると思うんですがね。この極左暴力集団の内訳はどういうことになっておりますか。あるいはまた、その指導者はどういう人がやっているのか。その点お伺いしたいと思います。
  12. 近藤恭二

    説明員近藤恭二君) このたび逮捕して身元判明しました六十八名の者のセクト別と申しますか、極左暴力集団所属関係を申し上げますと、その主なものは第四インター日本支部が三十三人、共産同戦旗派が六人、プロ青同と言われるグループが四人等でございます。いまのところ、そのうち職業別では公務員が十名、学生が二十三名等となっております。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 公務員学生以外はどういう人なんですか。
  14. 近藤恭二

    説明員近藤恭二君) 公務員学生以外は反対同盟が三人、その他が三十二名でございます。その他という者は職業別がわからない者でございます。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いま私が質問した範囲でお答えになった点では、やっぱり正体がよくわかっておりませんね、全然。いまお答えになっただけでは、たとえば公務員学生と言ったって十名とか二十名とかいうんでしょう。この間二十六日にあれだけの騒ぎを起こした人たちの数はこれは相当なものだと思うんですよ。二十人や三十人じゃないと思うんですね。ところが、そのわかっているのは十名や二十名程度人たち職業がわかっているんで、あとはさっぱりわからぬ。そうすると、どういう組織でどういう指導者がいてということは皆目わからぬわけですよ。恐らくあれだけの大ぜいの人間がああいう仕事をするんですから、やっぱり手弁当で出ていっているとばかりは思われない。そうすると、そういう食糧調達をするとか、そういう人たちの寝場所を用意するとか、そういうものがかなり大がかりになければできない仕事だと思うんですね。そういう点考えてみると、たとえば資金はどのくらいどのように調達をされているのか、その寝泊りやその食事は一体どういうふうにしでいるのか、そんなことも気になるわけなんですがね。かなり組織的でないとできないという気がするんですが、その点はもうおわかりになっておりますか。
  16. 近藤恭二

    説明員近藤恭二君) 極左暴力集団資金源につきましては、その主なものはやはり彼らの党費とか機関紙売上代あるいは資金カンパなどでございます。このうち、組織内からの資金カンパというものがやはり相当なウエートを占めているというふうに私ども承知をいたしております。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まあ機関紙とかなんとかいったって、これはそんなに売れるもんじゃないでしょう。機関紙なんてのは駅の売店で売っているようなもんじゃないと思うんです。そうすると、ちょっと資金がどのくらいどのようにして調達をされたのか、われわれに見当つかないんですがね。その点はまだ警察の方でもわからないんですか、率直に言って。あるいは答えられないんですか。どうなんでしょう。
  18. 近藤恭二

    説明員近藤恭二君) 資金源につきましてはただいま解明中でございますけれども、いま申しましたように、組織内からのカンパというものが非常に大きいんではないかというふうに思っております。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まあどうも警察答弁は要領を得ないという気がするんです。そこで、相手実態がわからないまんま警備の万全を期することができるのかどうかという不安が出てくるわけです。この安全確保対策要綱の二番目「空港安全強化」、こういうことがあります。この空港安全強化の万全を期する場合に、警察当局相手実態もよく知らないで警備の万全を図ることができるんだろうか、こういう不安を持つわけです。  それから、「関連諸施設航空燃料輸送用鉄道等についても、防護強化を図」るということを書いておりますけれども、たとえば燃料輸送等については、いま鉄道で運んでいるわけですね、国鉄で。国鉄では、この燃料輸送等についてかなりいままでも何回かの妨害工作を行われているんでありますけれども、これからもこの燃料輸送に万全を期するための警備体制というのは国鉄独自で行い得るのかどうか。いままでの妨害工作の実情から考えてどうなのか。なかなか、たとえば動労千葉反対等があって問題があったということも聞いておりますが、その点は果たしてどうなのかという点を、これは国鉄当局にお伺いしたいと思います。
  20. 池田速雄

    説明員池田速雄君) 燃料輸送に伴います列車運行の安全の確保あるいは国鉄施設防護といった点につきましては、警察官によります警備をお願いしてまいっておりますが、同時にまた鉄道公安職員につきましても、鉄道施設内の公安維持の職責を担っております立場から警備につきましては最大の努力をしてまいったところでございます。  燃料輸送が始まりましてから、御指摘のとおり、残念ながら妨害行為、あるいは妨害行為と思われます行為によりまして、列車運行に支障を来したという件数が四件ほど発生いたしております。  一件は、三月十三日の十八時四十七分ごろ滑川−下総神崎間で、踏切に火災ビンを積み込みました小型トラックが放置されまして、列車がこれに衝撃したという事案でございます。  二件目は、三月十七日の二十二時五十一分ごろ、久住−成田間におきまして松の木が倒されまして、その松の木が架線に引っかかりまして、これに列車が触れた、そのため停止した事案でございます。  三件目は、三月の十八日の十三時十分ごろ北鹿島−鹿島神宮間の線路のり面枯れ草に火がついておりまして、このために列車が発車を見合わせたという事案でございます。  四件目は、三月二十一日の十八時三十七分ごろ、大戸−下総神崎間で線路上に鉄筋の鉄棒が置かれていたために、列車がこれに衝撃して停車したという事案でございます。  列車運行は、この四件につきましてはおくれたという程度でございましたけれども、大事に至る危険性も大変多い行為でございますので、これの防御につきましては、引き続き警察警備もお願いします反面、公安職員につきましても、現在全国から千葉鉄道公安局の方へ助勤をいたして警戒しておるところでございますが、今後ともこういった努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 空港自体警備も広い場所だから大変だと思うのです。ところが、燃料輸送になりますと、国鉄全線を、たとえば成田線とか総武線とか、要するに鉄道沿線全線を四六時中警戒しなきゃならぬ、こういうことになるわけですね。これは大変なことだと思うのですね。これがこれからずっとやっていけるのかどうかという心配があるわけです。そうすると、やはり根っこを何とかしてはっきりと取らないことには問題は解決しない。後から後から雑草のように生えてくる。こうなるとどうしようもないわけですね。  そこでやはり、安全対策要綱の四番目に書いてある「地元支持と世論の喚起」、こういう問題なんですけれども、私は、あの過激派集団があれだけのことをやるにはそれ相応の背景があると見なきゃいかぬと思う。先ほど列車妨害の中に、枯れ草に火をつけられて燃えたということがありましたけれども過激派集団が火をつけようとしてもすぐ燃えるような枯れ草状態にあるのと、火をつけても燃えない状態にあるのとでは大変な違いですよ。たとえばぬれぞうきんのような状態であれば幾ら火をつけたって燃えやしない。ところが、この現在の成田空港周辺というのは、これらの過激派グループを十分にバックアップするような下地があるんじゃないのか。その下地がある限りはどんなにがんばったって、なかなかこれは防護がしにくいじゃないかということになるわけなんです。だから、その点を私は根本についてやっぱり何とかしなければ問題は解決しないんじゃないかなあという気がするのです。たとえば反対同盟の人はわずかかもしれない。政府のいままでの御答弁だと、過激派集団というのは全然これは別だと、農民とは別だと、こう言っております。しかし、農民とは別だと言ってみても、農民と全然接触のない別個の存在であれば、いかに過激派集団といえども、こんなスパイ映画もどきのまねは、ないしょじゃできないのじゃないかという気がするのですね。その点を考えると、やはり地元人たち支持ということが必要になってくると思う。  先般、地元の人が運輸省へ来て、次官と話をして帰ったというニュースがありました。これは私は大変いいことだと思う。これだけでもって簡単に事が解決するとは思いませんけれども、そういう地元人たち運輸省との接触というものが今日までなさ過ぎたのじゃないのかという気がするのですよ。したがって、いまからでも遅くはないので、こういう地元人たちとの接触を図って、何とかして合意点を見出すという努力が行い得ないのかどうか、その点を大臣にお伺いしたいと思います。
  22. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いまお触れになりましたことにつきましては、私もかなりこの点に力点を置いた考え方を持って臨んできておる次第でございまして、まあ過去についてのいろいろの話がございますが、何か私で運輸大臣はこの問題に関係するのに十七代目だそうなんです。徳川の将軍よりはよけい代を経ているようなことになりましたが、私はここで前任者諸君のことがよかったか悪かったかというようなことには触れたくはありませんし、それはそれなりによくやってくれたんだろうと思います。思いますが、結果がこういうことであればあるほど、やはり現時点でどうあるべきかということと、前にもっとよくそういうことに心が届いていたらどうだったんだろうかとか、いろいろなことを実は考えるのです。考えるのでございますが、私といたしましては、私の時代にそういうことについて何とかしなければならないということは強く感じておる次第でございます。  先ほど具体的にお触れになりました次官が会いましたのも、実は私がお目にかかりますということを言うておりました。おりましたが、たしか参議院の方の関係のどの委員会でございましたか、連日いろいろございまして、その時間にはお暇がいただけずに、したがって私は——正直言って、次官もしぶっておったんです。しぶっておったということは、いろいろな方面からいろいろなことを言われるから、あの立場の者はしぶるのも無理はないと私は思う。だが、何も考えることはない、私のかわりだということで皆さんによろしく言って会ってくれと。そして、私が参議院の方からお暇をいただいて行けるようになったら行くということで、そういうことで三十分という予定が二時間ぐらいまで話をしていてくれたそうです。現にそのお目にかかったときの雰囲気というものは、かなりいままでと違った何ものかがあったように私は感じております。つまり、お互いに人間的に信頼感を持ち合ったというようなこともあるんじゃないかと思います。  で、私は済みまして、ちょっと体の調子がおかしかったので、医務室へ参りました。そうしたら血圧を計られて二百三十以上あるから、こんなものは動いちゃいかぬと言われました。言われましたけれども、私も十二年前に一遍心臓がとまった男ですから、こんなところでやめてはいかぬと思いまして、とりあえず応急の処置をしてもらいまして、運輸省に電話をかけました。医者はすぐここで寝ろと言いましたけれども、いや、そうしていられないのだというので電話をいたしましたところ、これから行くぞと言ったら、いや、実は大体そっちが忙しいのもよくわかってくれて、もうしばらく前に、よく大臣に伝えておいてくれという話でお帰りになりましたと、こういうような話だった。  で、私自身はお目にかかれなかったんでございますけれども瀬谷さんに申し上げたいことは、私自身が決して避けたのではなくて、みずから会おうというような心境でこの問題に臨んでいるということでございます。これからもそういう気持ちで、ぜひ心の交流を図る素心でなければならない、そういうように存じておる次第でございまして、そういうような観点から、この中にもあるいは表現としては十分意を尽くしていないところもあろうかと思いますが、ぜひひとつ意のあるところをお認めをいただいて、何分とも御協力にあずかりたい、こういうように存ずる次第でございます。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いままで何代も運輸大臣かわっているわけですが、福永大臣が一番分の悪いところにぶつかっちゃったわけです。いままでしかし、本来ならばもっと早く治療しなければならないところを、おっくうなものだからつい延ばし延ばしでもってこの治療を怠ってきたところへ、ここへ来て一遍に痛みがどっと出たというかっこうになっているわけですね。  しかし、私も先ほど申し上げたように、火炎びんを投げたり、管制塔をぶち壊したり、警管を殺したりといったような、こういう血なまぐさいやりとりというのはどうしても避けなきゃならぬと思うんですね。私も、変なところに特攻精神がまだ残っているんだなという感じを受けたわけですね。こういうのはちょっと、こんなとこは普通じゃできませんよ。ただ、普通じゃできないけれどもゲリラとは言ってみてもイスラエルやレバノンのゲリラと違って命は大丈夫だと、つかまっても死刑にはならぬといったような安心感もあるから、多少はやっぱり過激派諸君にも甘えがあるじゃないかという気がするんですよ。しかし、だからといってこんなことをいつまでも続けているということは余り好ましいことじゃないことは言うまでもないんです。だから、問題は根本的に解決を図らなきゃなりませんけれども、この土壇場に来て果たしてその反対している農民たちを十分に満足をさせるようなことができるのかどうかという不安はどうしても残ります。それからまた過激派諸君が徹底的にこのゲリラ活動をやろうという気になっておると、それは無事にこれからもいけるかどうかという心配があるんですよ。いままで開港前ですらこのとおりなんですから、開港になってしまえば、今度はたくさんの乗客が成田に押し寄せるわけですね。それから、見送り人も見物人も行くわけです。そうすると、不特定多数の大ぜいの人がこの空港の中に入り込むことになるわけです。その中にまぎれて人騒がせなまねをしようと思えば、ますますこれはやりやすくなってくるわけですね。その点を考えると、果たして警察力を強化をするということだけでやっていけるのかどうかという不安がやはり残るんですが、そういう不安はないと言い切れるのかどうか。これは、空港公団からお見えになっておりますが、その点はどうでしょうか。
  24. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ちょっと先に申し上げさせてください。  いまお話しのようなことは重々考えなければならぬと存じます。そこで、いろんなことをそろえて対処しなければならぬということであろうと私は考えるわけでございまして、たとえば警察なら警察だけにどうこうと言っていられるような事態ではないと思います。そういうことを重々配意しながら臨まなければならぬと思いますが、先ほどお話のありました地元農民の方々等にいたしましても、これが全部が今度のようなことの事件を起こす仲間であるなどと私は断じて思いません。ほんのわずかの連中がというか、そういう方々がかなり過激派に利用されているというか、主はもとより過激派であって、農民の方々がこういうことの先頭に立っているような状態では断じてないと私は思っているわけでございます。農民の方々の名を利用し、あるいはいろいろな形でいろいろな動きがあるわけではございますが、同時にこれに対して、こういうことではいかぬという意味でいろいろ心配していてくださる農民が多数おられると思うんです。そこいらをやはり、先ほどからもいろいろお話しをいただいておりますように、私どもはよく考えて臨まなきゃならないと、そういうように強く感じている次第でございます。  ちょっと感じましたことを先に申させていただきました。
  25. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 成田空港の安全ということにつきまして、いまおっしゃられました根本的な解決としては、やはり地元の理解と協力というものが必要であるということは、私も同感でございましす。公団といたしましても、そういう線からいままで努力をいたしてきておりますが、地元という中に、大体分けまして三つ私はあると思います。  一つは、地方自治体、市町村等に代表される住民の方々、これにつきましては、御承知のように成田市から四十五項目、芝山町から十一項目というような地元から出された要望というものを市及び町で取りまとめまして、私ども及び政府と話をいたしまして、これは完全に話ができたわけでございます。したがって、大部分の住民については、御協力をいただき御理解をいただいておるというふうに私ども感じております。  問題は、反対同盟に所属をしておる方々、この中にも二色ございまして、公団の敷地内その他、アプローチエリアとか騒音地区に土地を持っておる、要するに地元に根の生えた農民の方々と、土地は公団関係では持っていないけれども思想的その他で反対同盟に入っておられる方々、この二色がございます。  私どもとしては、まずその土地を持っている農民の方々と話し合いをつけにゃいかぬということで、これは公然と表向きという話し合いはいままで非常にむずかしい状況にありましたので、もっぱら潜行的に個別的にお話し合いをいたしてきておりまして、御承知のように、一昨年の暮れにも岩山の集落の方々十二人が集団的に話し合いがついて移転をするということになりましたし、ごく最近でも第二期工事の地域内にある三軒の方々とお話し合いがつきまして、御希望の代替地を差し上げて移転をしていただくというような話し合いがついたということで、これは主として私どもとしては個別に、まあ言葉は悪いんですが潜行的にお話し合いをして、御理解を得、御協力を得るという線で努力をいたしてきております。  そういうことで、反対同盟はだんだんと非常に少なくなって、現在は百二十戸ぐらいでございまして、そのうちで用地、土地関係でわれわれと関係があるのは約半分ぐらい、あとの方々は半分足らずでございますが、そのほかの方々は農機具屋さんとか呉服屋さんとかというような方々、そのほか農民の方もいらっしゃいます。そういうふうな方々ですが、これの方々との話し合いというのは、なかなかこれは私どももむずかしく、いままで正直に言ってなかなか取りつく島もございませんでした。しかし、だんだんそういうことで、先ほどのように運輸省にとにかく訪ねて来られるというような状況になりましたので、私どもとしてもそういう方々についてもあきらめずに今後話し合いを進めていかなきゃいけないというふうに考えておる次第でございます。
  26. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 閣僚会議では空港安全強化あるいは暴力集団対策、地元支持と世論の喚起といったような点に分けてお決めになっているようでありますけれども、私はこれは団結小屋などというものを一つ取り払ったことによって問題が解決するとは思えません。それから警備の万全を期すると言いますけれども開港した後でもびくびくしながら飛行機の運航が行われるということは好ましいことじゃないと思うんです。したがって、問題を根本的に解決するためには、やはり地元の合意を得るということでなければいかぬと思うんです。地元農民が納得をしたのにもかかわらずヘルメットの諸君が勝手に暴れ回るというようなことになればこれは問題はまた別であります。しかし、幾ら何でもそんなことはできぬだろうと思うんです。したがって、ともかく地元の——いままでの予算委員会その他でもっていろいろな点が指摘されました。こういう点が不十分じゃないか、ああいう点もだめじゃないかという点が指摘をされておりますが、それらの問題を根本的に解決を図ってみるという努力が先決であろうという気がいたします。  しかし、それにしましてもこれは解決のつかない問題があります。たとえばこの空港の位置です。六十何キロも離れておる。したがって、アクセスの問題はいろいろ手を尽くしてみてもこの距離だけは縮まらないわけですね。そうすると、果たしてこの空港がこういう問題を提起をしたというだけではなくて、国際空港として適当であるかどうかという点を検討してみる必要があると思うんです。私はやはりこの成田空港開港を決定する当初、本委員会でいろいろと論議に参画をした記憶があるんです。あの際やはり成田というのは余り適当じゃない、内陸空港には反対である、われわれはやっぱり空港をつくるならばほかの場所、たとえば海洋の埋め立てを行うといったようなことでもって空港をつくるべきではないかという意見を述べた記憶があるんです。大分昔の話になりますので記憶も少しあいまいになってまいりましたが、とにかくそういうことを主張した記憶があります。もし当時われわれの主張を入れて海洋埋め立てという方法で国際空港をつくるということに踏み切っておれば、いまごろはこんなごたごたした問題を起こさないで、国際空港福永運輸大臣大臣に就任するよりもっと前に開港しておったんじゃないか、こういう気がするんですよ。したがって、今後の問題として果たしてこの成田空港が国際空港として十分に機能を発揮し得るのかどうか、場合によってはこの空港は暫定的な使用空港として新たに国際空港を考えた方がいいという場合も生じるかもしれません。大阪につくろうとしている空港をあるいは国際空港とするという方法だってあるかもしれない。そういう点までやはり先のことを考えて政府としては考える必要があるんじゃないかと思うんでありますが、たとえば大阪等で考えられておる海上空港といったような構想だったらばどのくらいの費用でできるのか、あるいはまたどのくらいの年月を要してできるものなのか、そういう点も考えておいていいことではないかと思うんでありますが、その点についての運輸省当局のいままでの研究があったかどうか、その点もお伺いしたいと思います。
  27. 福永健司

    国務大臣福永健司君) ただいまお話しの点でいろいろわれわれも考えなきゃならないところがあるわけでございますが、まあ空港へ遠いということは確かにそうでございますが、これは世界じゅうのなにを見ますと、このごろ町の真ん中になかなか空港をつくるということは困難であるという事情がございますので、ここまでまいりますと、なかなかすぐそばとか町の中とかいうことはむずかしかろうと思います。私も世界じゅうあっちこっち行って成田よりも大分遠いところの空港もよく知っておりますが、それはそれなりの理由があるわけであり、いま瀬谷さんが昔海洋空港等も考えたというお話でございまして、私も当時はまだ生きておった川島正次郎氏等とともに、党の役員といたしまして、この問題について、成田の前にここはどうかといったようなこと等にもある程度触れた次第で、私は羽田があってほかにつくるということなら、気象条件等を異にするようなところで、一方は使えないが一方はというようなことになり得るようなところというような考えも実は持っておったんでございます。しかし、いずれにいたしましてもいろんな点からこういうように決まったということで、その後の経過はあえて申し上げるまでもありませんが、そこで現在ないし将来を考えた場合に、海洋空港等について東京の場合も考えてみたらどうかとか、あるいは日本全体として大阪等についてはその種の考慮は払うべきではないかというような点につきましては、実は私も素人ながら運輸大臣になりました当初からいろんなことを考えておりまして、確かに大阪の浮体工法による空港のことなどを申しました。これとてもこれに決めたということでなくて、いまやこういう時代であるから、空港というものは陸地に決まっておって、それが足らなければ埋め立てるだけというようなことを言っておったんじゃ海洋汚染その他の点を考えてもなかなかめんどうな問題であるから、狭い日本だから進んで頭脳的に領土を新しく造成するくらいな考えを持って臨んでいくべきだというようなことから、ああいうことを実は申しましたのでございます。いま御研究をいただいているわけでございますがが、こういう点については今後も大いに考えていかなければならぬと思う次第でございますが、まあいまのところどのぐらいかかるかということはは、見当はもちろんつきますが、相当かかるけれども、埋め立て等に比べて航空審議会で検討したころには大分よけいかかるということでございましたが、このごろは鉄があぶあぶしているし、造船業も不況で困っているしと、いろんなことでございまして、そういうことを考え合わせますと、こういうことはほかにも非常に利点があるし、それから当時高かったものがこういう状況で大分安くなってきたりしまして、海洋につくるというのはそう大したことではない、少なくともわが国が現在できないことでは決してない、だから進んでやるべきだという意見も出てくると思いますが、しかしそれに決めたと言うとまたしかられますので、決めておるわけじゃございません。そういう意見も持ちつつ対処しておるわけでございます。  まあ羽田にいたしましても、あそこも海の方へうんと拡張する等の考え方ももちろんあるわけでございます。この点につきましては、すでに美濃部知事とも私会っていろいろ話しもいたしましたし、あの地元の区の皆さんともいろいろ話をいたしました。で、単に空港というだけでなくて、いま滑走路のあるようなところは場合によっては公園なんかにするというようなことにすれば、都民も非常に喜ぶであろうしというようなこと、そういう考え方も加えまして、あそこのところをかなり大きく空港にしていく——まあ将来を考えますと、これはまだまだいろいろあるんでございますが、世界のあちこちの例を見ますと、これからどんどん航空がいま以上に発達していきますと、二つだって足りないという時代はきっと来る。来ると思いますが、だからというようなところまでいくと、これは話は大分また先のことにも関係してくるわけでございますが、現在そういうようにあっちこっちに、大きなところですとニューヨークだとかパリだとかロンドンを考えてみると、二カ所じゃだめで、もっと多くの施設をということになってきておりますが、そういう意味から申しまして、私は当面といたしましては羽田は国内線ということではございますが、これもりっぱにつくっておいて、万一成田が故障等がある場合には代替使用することもある程度できるようにしておかなけりゃなりませんし、それにいまお話が出ましたが、これは単にいままでの考え方だけでなくて、もう少しスケールの大きな考え方から将来の航空政策を考慮に入れた措置も考えつつ前進すべきではないか。もとよりこれは政府だけのことではございません。都や区の皆さんともよく相談して、そういう方々の合意も得て対処しなければならぬと思います。  関西空港の場合なども、私、金額的にどうということはむしろ局長たちの方が見当がついていると思うんでございますが、たとえばあそこで使います鉄材を考慮に入れますと、六百万トン程度と私は認識しておりますが、そういうようなことになりますと、いま船なんかもうんと減ってしまいまして、その量よりはいまでは年間に使う鉄材も少ないんじゃないかというようなところまで来ておりますだけに、短に空港だけでなくて、政治全体、国民生活全体を考えつつ問題も進めていく、このことも必要であろうと、こういうように考えております。
  28. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 時間が参りましたので、航空局長からちょっと技術的な点でお伺いしますが、たとえば、私がちょっとお聞きしたいのは、海洋埋め立てという方法があるじゃないか、それから海洋埋め立てのほかに海上を利用するという方法はないのかということもちょっと聞いてみたかった。そういうことは技術的に可能なのかどうか。たとえば、いま航空母艦というのがありますが、五万トンから六万トンの航空母艦というのは飛行甲板の長さが三百五十メーターぐらいあるんですね。そうすると、理屈から言うと、この航空母艦というのはジャンボ機やなんかの発着できる仕掛けにはなっておりませんけれども、たとえば弾薬庫も要らなきゃ大砲も要らないんですから、こういうものを十隻並べれば滑走路だけで約四千メーター近くなってしまう、こういう理屈になるわけですよ。だから、いま造船業の方もなかなか大変なんですから、こういう方法でもって海上を利用するといったようなことは世界的にいままで例はないかもしれないけれども、今後の問題として見切りをつけるところは見切りをつけなきゃいけないし、先のことはずっと読んで図らなきゃいかぬと思うので、そういう研究も当然やっておいていいことじゃないかと思うんでありますが、その点、可能性の問題について技術的な見地からお伺いしたいと思います。
  29. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) お答え申し上げます。  海上空港というのをつくる技術はおおむね三つございまして、埋め立てによる方法、それから桟橋による方法、それから浮体工法と三つございます。干拓というのもありますけれども、埋め立てと似たような土木の系統に属するものでございます。埋め立てば従来あちらこちらでいろんな例がありまするから工法的には問題はないんですけれども、非常に深い、たとえば関西新空港をつくるような非常に深い場所になりますと埋め立て自身でもまだ日本としては経験がないことでございまして、問題のあることは否定できません。桟橋工法と申しますのは、いわゆるスチールのパイプを岩盤まで打ち込みまして、その打ち込んだパイルの上に鉄の橋を、橋といいますか、構造物を横にこう並べまして、いわゆる桟橋ですから下に水が通うという形で飛行場をつくるというのが桟橋工法であります。浮体工法というのは、全くこれはいま先生おっしゃいましたように船のように浮いたものでございまして、大きな鉄の箱を海につなぎまして、それを滑走路等にするということでございます。  この三つとも、すでに航空審議会、四十九年でございましたか、答申のときに議論されたわけでありますけれども、当時としては、桟橋工法とか浮体工法については技術的になおかなり問題がありそうだ、一応埋め立て工法を主体として検討せよというので関西新空港につきまして結論が出たわけでありますけれども、その後、海洋構造物につきましての技術も相当進んできております。特に福永大臣来られましてから、国全体の政策として浮体工法についてもう一遍検討したらどうかという御示唆もございまして、私ども、五十二年度予算及び五十三年度予算、主として五十三年度でございますけれども、浮体工法というものの技術的な可能性はどの程度あるか、これかなり問題がありますので、その点につきまして船舶技術研究所及び港湾技術研究所、いずれも運輸省の付属研究機関でございますが、ここで船と港湾と両方の面から検討いたしまして結論を得て、一体、浮体工法というものが関西新空港のような大規模空港に適用できるかどうかということの結論を得たいと思っているところでございます。
  30. 田代富士男

    田代富士男君 きょうの委員会の最初に、新東京国際空港関係閣僚会議において決定されました安全確保対策要綱をいただきました。これで新東京国際空港安全確保について責任を持って対処をすることを明らかにして、新たに開港日を五十三年五月二十日にお決めになりました。これに先立ちまして警察庁の方から、現在の施設の状況であったならば警察として万全の警備体制はできないと、こういう立場から三十一項目にわたる改善要望書が出されております。もちろん、それも含んだ上のこの決定であると思いますが、最初に公団の大塚総裁にお尋ねいたしますが、警察庁から出されました三十一項目というものは、前回の委員会でも私が質問いたしましたとおりに、あらゆる面から検討をしておりましたと、こういうことでございましたが、三十一項目の中には空港周辺十八キロにわたるフェンスを二重、三重に張りめぐらすことや、あるいはあの過激派が襲撃してまいりました第九ゲートを閉鎖するとか、あるいは管制塔警備というものを厳重にするとか、いろいろありましょう。これを、すべてをいま明らかにすれば過激派に対するまた材料を提供することにもなり得るかもわかりませんが、三十一項目にわたる警察庁の改善要望というものは、いままで公団あるいは運輸省を通じまして、警察も加わりまして打ち合わせをやったときに、こういう三十一項目の内容は検討されなかったのかどうか、新たなものがどの程度あるのか、内容はそういう問題がありますからはばかられる面がありますけれども、三十一項目という改善要望です。これをいままで検討されたものであるかどうか、新しいものがこの中に何らか——警備が万全であるという決定的なそういう改善要綱の中にあるのかないのか、この点をまず総裁にお尋ねしたいと思いますし、また警察当局に対しましては、この三十一項目というものをもっと前回の開港前にこれを改善命令として出していたならば、こういうような延期をする必要はなかったのではないかと私は思うのでございます。警察庁として三十一項目は前々から主張し続けてきたことであるけれども実現されなかった問題であるのかどうか、そこらあたりを警察庁の立場から御答弁いただきたいと思いますし、また最終的には責任運輸大臣がお決めになることでございまして、五月二十日ということに対しましては、これは安全宣言をされるわけでございますから、運輸大臣は前も大丈夫であるという確信の上に日にちを決められたわけなんですが、今度は同じ轍を踏んではなりませんし、そういう立場からいま申し上げた三十一項目の中において、これで大丈夫だという安全確保の太鼓判を押される内容というものはどういう内容であるのか。そういう立場から運輸大臣にもお尋ねしたいと思います。それぞれ三人の方から最初に御答弁いただきたいと思います。
  31. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) よく新聞に三十一項目の申し入れが警察から公団にあったというふうに伝えられておりますが、警察当局から公団総裁あてに申し入れがありましたのは、抽象的に、今回の事件にかんがみて施設防護警備の強化を図ってほしいという抽象的な申し入れでございまして、その最後に、具体的な事項についてはお互いに協議をすることにしたいと、こういうふうな文面になっております。その具体的な協議として、その申し入れがあります前から、すでに警察並びに公団の担当責任者間で話し合いをやっております。その話し合いで、こういう項目をそれじゃこういうふうにしようというふうになりましたのが大体三十一項目ぐらい、こういうことでございまして、いまおっしゃられましたような飛行機の発着する、あるいは飛行機が駐機をします、われわれ制限区域と称しておりますが、それの場周さくの強化とか、あるいは監視体制の強化とか、あるいは一般公衆の出入りする部分につきましては、ガードマンの増備並びにいろいろ緊急の場合の通報制度とか監視制度の強化とかいろいろそういった細かい具体的な内容でございます。
  32. 近藤恭二

    説明員近藤恭二君) 警察といたしましても、今回の事件以前からも個々に具体的な防護の問題につきましては、公団その他関係の方々と協議をいたして、それなりの防護体制を進めていただいておったわけでありますが、今回の事件にかんがみて、さらにいろいろ考えられます問題点というものをまた洗い直して、改めて侵入防止に関する事項あるいは重要な施設についてどのような対策を進めるか、あるいは人的な防護という面について御意見を申し上げ、また措置をお願いをいたしたわけでございます。
  33. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いろんな方面からそれぞれ責任を持ってこうしなければならぬということはこうし、同時にいつごろまでに開港になることについてはどうだという意見等が、すべてというか、できるだけ多くから寄せられるような措置をとりましたのでございます。これを総合して、政府において五月二十日という総合判断を下したわけでございますが、先ほどから田代さんおっしゃるように、心配すればいろんなことが実はあるわけでございます。ではございますが、その心配になる点をどういうようにするかという対策等ももちろんそろいましてそういう結論を出したという次第でございますが、まさにお話しのように、同じ轍を踏んではならぬぞとおっしゃいますが、絶対そうしたいというように私どもは考えておるところでございます。まあいろんな人がいますけれども、一億何千万人もいりゃそうなんだと言えばそれきりでございますけれども、やっぱりそうはいっても日本人の良識を私は信じたいのです。だけれども、現にこういうことが起こっているということは、信じておったってだめじゃないかということにもなろうかと思うのでございます。しかしこういうことがあったということと、こういうことがまだ何回もあるというようなこと、それはおのずから違うので、そういうことがあり得るとは私は思いたくないのでありますが、しかしそういうことで、そう思っているからというので、これに対する備えが十分でない、抜かりがあるということであってはもちろんならないと思うわけでございます。いま田代さんのお言葉をおかりしていきますと、太鼓判を押してそういうようにできるのかというお話でございますが、先ほどそういうことは起こらぬだろうというような表現をいたしましたが、これはあるいはその表現では足りないと思います。そうさせてはならぬと、政府を中心としてそうさせてはならぬということでなければならぬと思うわけでございますが、こういうような見地からも私どもはいろいろ考え、協議をいたしました結果五月二十日で臨むと、こういう結論に達したわけでございまして、ぜひとも国民の期待に沿うようにしていかなければならぬということは強く強く考えておるところでございます。
  34. 田代富士男

    田代富士男君 それで、いま御答弁を聞いておりましたら、大塚総裁は、いままでいろいろ打ち合わせをしてきたその中から、警察庁あるいは関係者と打ち合わせをした中からこれをやっていきましょうというその合意事項が三十一項目であるという、言うならば、いままでの検討し抜いて出てきたそういう問題の中からこの三十一項目はつくりましたと。近藤事官は、今後問題が起きてくるであろうという、そういうことも踏まえて新しい問題をこれ提起をしたいと。それは取り方いろいろですけれども、これは合意に達してないような感じがするんです。大臣自身は立場としてはそういうことは思いたくないと、そういう事故は思いたくないと。私は前の委員会で、検討されない、思いがけないマンホールからということ——大臣も妙なことが起きた、思わないことが起きたということでありますが、いろいろ検討されたんですが、こういうことはあってはならないことですが、たとえて申し上げるならば、二十六日のときには目に見えない地下から参りました。今度は、たとえば東京周辺のセスナ機あるいは民間のヘリコプターを何か航空地図を撮るだんというような名目のもとにチャーターをしまして、その器材の中に、あれだけの爆発物を研究している集団です。あのセスナ機かあるいはヘリコプターで管制塔をぽかんといかれたならばどうしますか。そういう民間のチャーター機あるいはヘリコプターだとか、空港全般に対するそういう予期しないことが前回起きておりますから、そういうところの対策まで講じられたんですか、どうですか。大臣いかがですか。
  35. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いまもお話がありましたような、空から開港を阻止するような行動があったらどうするかというような点につきましては、これは大分議論に出ておりまして、その場合にはどうということもある程度あるわけなんですが、先ほどから田代さんもお話しのように、余りそういうことを言うと手の内を先に見せるようなことになりますので、私は専門家でもございませんから、これ以上に申しませんが、そういうときにはどうということはこれは政府の方も考えておるわけでございますが、しかしそれにしたところでそれは田代さんがほんの一例をお挙げになったんで、まだまだいろんなことがございましょうから、さらにいろいろ考えていかなければならぬと思いますが、しかしまあ論理的に言うと、そういうことを幾ら考えても、まだその先行ったらどうするんだということになりますとなかなか頭が痛いのでございますが、私はそこでこういうことについてはやっぱりいろいろあっても、究極的には日本国民は良識のある国民でなければならぬと思うし、またそうあらしめるように政府も一生懸命に努力をしなけりゃならぬということでございますが、そこまでいきますと私は、そう際限もなくこの祖国日本をそんなことにしようというような連中はいないということを信じたいんです。まあいまのところはまだそういう気配のある人たちがいるかのごとく見えるのでございますが、そういうことをあらしめてはならぬ、ということは第一に政府責任でもございますから、一生懸命にそういう努力をし、その努力でも足らなければというところまで御質問が参ると、そこへいくとやっぱり私は日本国民を信頼していくよりしょうがないと、こうお答えするしかないと、こういうように思うわけでございます。
  36. 田代富士男

    田代富士男君 時間もありませんからお尋ねいたしますが、いまさっきも質疑の中に出ておりましたが、今回の逮捕者の中に国家公務員が含まれているということですが、大臣は直接の所管ではありませんけれども国務大臣として、こういうことに対してどのようなお考えを持っていらっしやるのかお聞かせ願いたいと思います。
  37. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 私はそういう国家公務員がいたということにつきましては、一つの衝撃を受けている次第でもございますが、いずれにしてももってのほかだと思うんです。それはだれでもそういうことをしちゃいけませんけれども、国家公務員仕事もしないでそんなところへ行ってそういうばかなことをしているなんていうようなことはもってのほかだと思います。そこで、こういう者に対しましては、これはもう本当に厳しく対処しなければならぬし、第一そういうような者が国家公務員になっているということ、このことを考えますと、まあこういう時代でございますから、国家公務員になりたいという者も相当いるんでございますが、いい者を選んで入れるということにしなきゃならないので、ぜひともこの点につきましてはこういうことがあったことにかんがみまして、関係方面へ厳重なる通達等を行うべきであると、こういうように考えており、関係大臣ともきょうの御質問のあったこと等も申しまして、私は厳しく協議して対処したいと、そういうように存じます。
  38. 田代富士男

    田代富士男君 次に成田空港と、ほかのいろいろな空港がございますが、ひとつ羽田空港で結構でございますから、両空港の主要施設はどういうものがあるか、またその管理責任者はどういう形になっているのか、時間も余りありませんから簡単に御説明願いたい。
  39. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 成田空港だけが特殊な管理方式になっておりまして、その他の空港はおおむね単純でございますけれども、たとえば羽田について申しますと、基本施設というものがあります。これは滑走路とかエプロン、駐機場等であります。それから航空をバックアップするための燃料タンク、その他の給油施設、こういう機能施設等があります。それからお客さんが出入りする空港ビルなどの利便施設というのがございます。それから滑走路に計器着陸をするときの各種の施設、こういうものがございます。それからさらに広く、その空港まで航空機を誘導してまいりますための管制施設があります。羽田の場合には、これらのものは全部一元的に国が管理をいたしております。成田の場合には、ただいま申し上げましたものの中で、その空港近くまで航空機を誘導してくる管制施設及び管制業務、これが国の責任でございまして、それ以外のものは全部空港公団の管理責任ということになっております。
  40. 田代富士男

    田代富士男君 私はここに大きな問題があるのではないかと思うのです。運輸大臣、このことをよくお聞きいただきたいと思うのです。簡単に申し上げますならば、羽田の場合は一番頭というのは一人なんです。空港長のもとに全部が、それぞれのポジション、ポジションの責任者はあるでしょうけれども空港長——国によって管理されております。ところが、成田空港の場合は、ただいま話がありましたとおりに、管制業務、これは国が管理をする、それ以外のすべての施設公団の管理によって行う。先日、私も成田空港視察に参りました折に質問をしておりますが、羽田の頭は一人であるけれども成田空港には空港長が二人おるんですねと。二人おるということは、国においてもすべての団体においても争いが起きるもとになるんではないですかと、私はこういうことを質問いたしました。成田の場合は、空港長が二人おるようなことですというお話も雑談の中に出てきました。私はこういうような一番機構を統轄しなくちゃならないところに、それぞれのポジションに責任者はあっても頭が二つということはこれは問題が起きる。その具体的な例を一つ挙げますと、あの過激派が襲撃をいたしました三月の二十六日、エレベーターで上まで上がっていきました。このことについて私は前回の委員会質問をいたしましたが、素人では上がっていくわけにはいかない、そういう初めての者はとうてい上がるわけにいかないということをこの前質問しましたけれども、あの一階のところに三つエレベーターがある。右の二つは途中までしか行きませんが、左の一つは一番上まで行く。この一番左のエレベーターというものは一階からはふだんは絶対に動かしておりません。ところが、過激派が襲撃したときにはこの一階からのエレベーターは作動していた。大臣、御存じでしょうか。そこで過激派がどのエレベーターから乗ったかは警察当局の調べの最中ですから私はこれには触れませんけれども、途中まで行く二台のエレベーターが動くのは当然だ、一番左は作動していた、なぜ作動したかと言えば、いきさつはこの管制塔の十三階、十四階が雨漏り工事——壁を伝わって雨が漏ってくる、空調のペンキ塗り、十三階、十四階が開港を控えて工事をやっていた。熊谷組が施工、公団が現場監督をやっていた。そのための工事の資材を運ばなくてはならないために、公団側はその一階から動かしてはならないエレベーターを動かしたいと、それに対して管制塔皆さんの声を代表しまして空港事務所は公団に対してそれはやってはならぬと。二十五日は動かされました、二十五日も動いております。特に二十六日は過激派の集会デモがあるから、そのような資材を運ぶ場合も規則によって三階からにしてほしいという申し入れを空港事務所が管制官の意向を通じて公団へ申し入れた。しかし公団側はこれを拒否した。そしてあの襲撃があったときに、一階から上まで作動していた。私はいま申し上げた。羽田空港責任者が一人である。成田空港公団空港管理者と航空局と二人のヘッドがおる。申し入れをしたけれども聞かれなかった。私は、警察の取り調べの段階ですから触れませんけれども、もしその直通のエレベーターに乗っていたならば、だれが責任を持つんですか。三台とも動いていた。動いていたことは事実なんです。私は成田空港の機構上の目に見えなかった根本的な問題はこれであると考えました。こういうところに、今後いろいろな運営面において、羽田空港は一点から出てきている、成田空港は二点であるならば、ただ一番大事なこういう管制官の言うことも聞き入れられなかった公団側、ほかのさまざまな問題で問題が集積した場合に、予期しない、思いたくないと大臣の思われる事件が起きると思うんですが、この事実をどのように受けとめられるのか、ひとつ総裁と大臣からお尋ねしたいと思います。
  41. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いまお話しの点は、事実関係は私必ずしも詳細に承知をいたしておりませんが、大変大事な点だと思います。まあ大将とおぼしき名前のついたのが二人おって、それの意見が食い違ったといま御指摘でございますが、私は、そのお話の途中までは両方の意見があって、その話し合いの結果ある結論に到達したのだろうと思っておりますが、しかし、事はそういうような私の推測だけで律せられるべきものではございません。なお私よく調べてみたいと思いますが、そこで、そういうことになり得る原因の一つにもなりかねない点として、空港長というような者ないしそれに類するような者、二人の大将がいるかのごときことであっては、これはお説のとおりそれではいけないと私思います。ただ、まあよく似た名前がついておる——これは名前なんというのは変えさせなきゃいかぬと思いますが、よく似た名前がついているために二人おるというように見えるが、実は権限等はもとより違うわけでございますし、二人がそういうことにおいて著しい競合関係を生ずるような事態では私はないと確信しておるわけでございますが、いま大変傾聴すべき御注意等も伺いましたので、私は、非常のときなんかに二人大将がおってうまうく善処できないというようなことにはならないように、なおよく検討させていただきたいと思いますし、これは急ぐ問題でございますから、関係者からもよく聞いてすぐ処置したいと、そういうように思います。
  42. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) ちょっと補足をさせていただきます。  双頭のワシになっているような感じが見えるわけでありますけれども、機能的にははっきり分けておりまして、いわゆる成田空港の管理者は空港公団でございます。ただ空港公団で管制までやれませんのは、管制というのは成田空港に来る航空機全般を対象といたします。また運輸省でやっております全国の管制ネットワークの一つでございますので、これを空港公団にやってもらうのは不適当というところで、これは管制責任は国が持っているわけであります。  そこで、今度の問題に関連いたしましての建物の管理責任でございますが、同じビルに入っておりますので、今度の場合には、十三階までは公団の管理責任の分野、十四階から上、これは運輸省の管制施設でございますから、その管制施設の管理は運輸省責任でございます。したがいまして、エレベーターも共用、入り口も共用でございますので、その辺についての管理責任はこれは当然空港公団に持っていただく。したって、空港事務所はこの管理者に対しまして要望することは勝手でありますが、最終的にはやはり建物の管理責任者である空港公団の言い分に従って行動するということがいいと思います。もちろん両方の連絡調整は必要でございますが、最終的にはそういったことで運用されていると思います。
  43. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) ただいま航空局長からお話がありましたように、空港空港長が二人おるというようなことはございません。施設全体の管理責任空港公団でございまして、いま局長からお話がありましたように、管制業務だけを航空局が直接やっておられるということでございます。したがって、建物管理と中の機能の分担ということはこれはまた別でございまして、機能はそういうふうに分担いたしておりますが、建物としては全体的に空港公団が管理をいたしておって、ただ管理塔ビルとターミナルビルの一部は、これは区分所有ということになっておりまして、国の所有している部分と空港公団が所有しておる部分がございます。大体、管理棟でいきますと四階以上が国の所有であり、また使用しておるところでございます。三階以下が公団。それから管理棟については十三階だけが空港公団が使いまして、その他は運輸省といいますか航空局で使う、こういうふうなあれになっております。  それで、問題はこの建物の管理の責任ということでございますが、これはそれぞれの所有部分はそれぞれが管理をする、管理責任を持つというたてまえになっております。ただ玄関とかエレベーターとかいう共通部分でございますね、これについては、あの管理ビルについては空港公団が一応責任を持っておりまして、同日のエレベーターのかぎももちろん空港公団の方で持ってやっておりました。そして先生のおっしゃられますような事情で、午前中一番左の十三階直通のエレベーターを使っておったということは事実でございます。ただ事件が始まります時間には、それは一階からは使えないようにされておったという私どもの方の報告でございます。それはしかし目下警察でいろいろ捜査をいたされておりますので、いずれ明らかにされるだろうというふうに考えておりますが、そういうふうなことで、共通部門についての管理を一応公団でやっておりますが、それに対して当日国側の空港長から——公団の方は空港長という言葉を使っておりません。運用局長でございます。国の空港長からエレベーターの使用についての意見の出たということは私も聞いております。しかし公団側の先ほどのおっしゃられたような事情で午前中だけ使わしてもらうと。かぎを公団が持っておるものですからそういうふうなことになったというふうに私は聞いておるのでございますが、そういうふうな連絡は、これはまあどうしても区分所有とか中にいろいろのところが入っておりますとそういう問題がよく起こりがちでございます。そういう意味で、保安委員会というものを実は成田空港ではつくりまして——その準備委員会は大分前からあったのでございますが、正式に保安委員会が発足したのは実は三月の二十四日でございます。そういうところでそうした防護の問題やその他警備の問題とかは、これは警察にも保安委員会に加入をしていただいております。そのほか空港の中のいろいろ官公署その他、エアラインも、航空会社も入っておりますが、そういう方々が集まって保安委員会というものを前から準備委員会をやっておって、二十四日から正式に発足しましょうということで、連絡をとってお互いに円滑にしかも万全に保安問題を処理していこうという、こういうやり方になっておりますので、私は、今後のことについてはその点についての心配というものはそうない。しかし、やはり十分気をつけていかにゃいかぬ、こういうふうに考えております。
  44. 田代富士男

    田代富士男君 もっとこの点はお聞きしたいと思いますが、時間が参りましたから。  それで、大臣、いま私が申し上げたことは大事な問題だと、大臣自身もお認めいただいて検討してすぐ処置をするとおっしゃいますが、それぞれ機能が別であるということはわかっております。これにそれ以外に気象庁だとかいろいろ入っておりますから、そういうことはわかっておりますが、空港で、われわれ自身が話の中で、二人おるような形なんだということを確認してきておるわけなんです。それで、それぞれ権限を持って運営しておりますがとおっしゃるけれども、現実にデモ隊が来るからそういうときに動かしてもらってはなりませんよという、あれだけの全国から一万四千名の人を動員して警備をやっているときに、アリの一穴ということありますわ。もしもということ考えたならば、規定どおりにすべては三階から運んでいるからそれをやるべきであるけれども、それを一階から運んだということは、そういう空港公団過激派が来ても何ができるかというようなそういうような姿勢があったという以外にないわけなんです。だから、そういう二人はありませんというけれども、羽田は空港長一人じゃないですか。そこからすべての機構が出てきているじゃないですか。だから私は、この問題は検討し、すぐ処置をすると大臣おっしゃいましたとおりに、私は厳重にこれは根本問題として取り上げてもらいたいことを大臣質問いたしまして、私の質問を終わりたいと思いますが、よろしくお願いします。
  45. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 御注意をいただいて恐縮に存じます。御趣旨に沿うように速やかに措置をいたしたいと思います。
  46. 内藤功

    内藤功君 まず、公団にお伺いしたいと思いますが、公団からいただいた資料によりますと、公団の所有地上の不法占拠の問題については、昭和四十八年の十月から三百六十四・一三平方メートル、四カ所にわたって不法占拠がなされておる。これに対して告訴をされたということですが、これは何罪で告訴をされたのか。
  47. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 不動産侵奪罪でございます。
  48. 内藤功

    内藤功君 公団としては警察に対して参考人を出し、あるいは現場の実況見分だとか資料の提出だとか、そういう警察から求められた捜査、調査に対しては協力はずっとされてきたのですか。
  49. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 告訴をいたしたものでございますから、当然御要請には協力をしてまいったものというふうに考えております。詳細、実は私も直接は存じませんが、こういうことだと思います。
  50. 内藤功

    内藤功君 自分で告訴を出しておいてそして四年も結論が出ないと、こういうことに対して告訴をされた側として、当然督促をされて調査、捜査の促進を要望されたと思いますが、いかがですか。
  51. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 私、実は直接御催促をしたという記憶はございません。いろいろお話し合いは途中でやっておると思います。
  52. 内藤功

    内藤功君 直接知っているのはだれなんですか。
  53. 角坂仁忠

    参考人(角坂仁忠君) 現地の用地担当の理事でございますが、この場所につきましては、これは告訴と同時にその後しょっちゅういろんな事件がございまして、その都度現地で警告したりあるいは警察当局と打ち合わせまして一部排除したりというようなことで、全体的にその野戦病院の付近のことにつきましてはいろいろな事件がこれ以外にこの節はあるわけでございますので、その都度現地の警告その他等々やっておりますので、いわゆる野戦病院そのものの告訴につきまして催促、督促というようなこととは別個ではございますが、この場所につきましてはいろんなことをやっておりますと、私の現地におきます判断はそういうふうに考えております。
  54. 内藤功

    内藤功君 いつどういうような督促を、だれから警察のどういう人にやったかということを至急調べて報告をしていただきたい、いかがですか。
  55. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 早速調べますが、恐らくそういうはっきりした文書その他で督促とかというような形ではなしに、いろいろ話し合いという形で行われておったんじゃないかというふうに考えます。なお、調べましてはっきりしたことについては御報告を申し上げます。
  56. 内藤功

    内藤功君 その話し合いというのは何の話し合いですか。
  57. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) いわゆる役所間の協議と申しますか、相談と申しますか、そういうことだと思います。
  58. 内藤功

    内藤功君 運輸省に伺いますが、非常に、不動産侵奪罪の取り扱いですね、私いまの話を聞いていて、まことになるまぬるいし、不可解な点も感じられるのですが、監督官庁としては、こういう告訴事件の捜査の促進については何にも手は打たなかったんですか。
  59. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 公団と検察、警察当局との話等もいろいろ伺っておりまして、しかるべき事情があったように私も推察いたしております。それならばそちらの方の判断に任せるしかないと、こういうことでありました。
  60. 内藤功

    内藤功君 告訴以外の方法については公団としては何か考えていたんですか。
  61. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 告訴の前に警告や何かをいたしております。告訴後については別の手段というものはとっておりません。
  62. 内藤功

    内藤功君 こういう場合に所有者として民事訴訟法の七百六十条に仮処分という方法がありますね、不法占拠者に対して行われる法的手段です。これはとらなかったようですが、この検討もしなかったわけですか。
  63. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 民事上の手続についても検討はいたしましたが、しかし、これにはなかなかやはり条件がむずかしい点がございますので、いまでも検討はいたしておりますが、検討中という状況でございます。
  64. 内藤功

    内藤功君 検討中で四年たったわけなんですね。そして民事訴訟法の七百六十条はこういう場合に一番使える条文なんですよ。いいですか。権利関係における急迫なる強暴を避けるため必要と認めるときはと、強暴というのは強い暴れる、断行の仮処分といって権利は何にもなくて人の土地の上に占拠していると、こういう場合のために民事訴訟法がこういう仮処分というものをつくっているんです。明治時代にできた民事訴訟法で私権を守る手続、これはむずかしい点はないんです。時間はかかるかもしれないけれども、やれるんですね。民事訴訟法には訴訟もある。不法占拠ですから建物の収去、土地明け渡しの訴訟だって起きる。いま裁判が長いと言うけれども、四年たっているのですから、もう片づいてますよ。どういう点が難点だと思われるんですか。
  65. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 一つは、相手方の特定という問題でございます。これをだれがつくったのか、だれが占有し、使用しておるのかという点がわれわれでは非常につかみにくい。覆面をしてヘルメットをかぶった男が出入りをしたりなんかしておりますが、その名前やなんかをわれわれとしては確認することが非常にむずかしい。一応告訴の方は、反対同盟の戸村委員長、それから北原事務局長という者、その他数名というようなことで告訴をいたしておりますが、果たしてこれがわれわれには、この野戦病院は中核のものというふうに一般に言われておるわけでありますが、反対同盟のものか、それとも中核のものか、まあ大体見ておりますと、中核のようであります。団結小屋とかいうのはほとんどセクトごとにつくっておりますから、これが全部反対同盟の所有であるというような特定の仕方はなかなかむずかしい。これは相当の捜査をして、だれがつくり、だれが所有し、占有しておるかということがはっきりならないと、訴訟では御承知のように相手の特定ということが必要でございますので、その辺にまず第一のむずかしい点があるだろうというふうに私ども思います。  それともう一つは、いま先生に民事訴訟法のあれを教わりましたが、われわれとしては仮処分というのはやはり緊急性がなければいけないというふうに考えておりまして、鉄塔の場合は緊急性がございましたが、これは航空法違反ということでないし、緊急性の立証というような点にもなかなかむずかしい点が——私がうちの担当者から聞いておりますことでは、そういうふうな点があってなかなか民事訴訟についての結論が出し得ないという状況で今日に至っておるというふうに聞いております。
  66. 内藤功

    内藤功君 これはもうきわめて消極的な考え方ですね。公共財産ですからね、個人だって自分の土地の上に不法占拠なされていたら積極的にこれはあらゆる方法をとりますよ。いわんや国民から預かった財産、しかも、これを排除しなければ国民の生命、生活を守れないという場合でしょう。これは意思あるところ道ありと言うけれども、知恵あるところに道が出てくるんです、こういうものは。二つだけなんです、当時者の問題と緊急性の問題。緊急性の問題は、これはもうそうむずかしい問題じゃない。問題は当時者の問題だけなんです。これは警察と協力して積極的に調べていけば、必ず所有者なり占有者なりの名前を全部でなくても明らかにすることができますよ。そうして、仮処分の申請あるいは本裁判の提起ということは、十分にこれは技術的にも私は可能だと思うんです。これはあなた方の相談されたのはどういう専門家かわからないけれども、やると、ぜひやりたいと、やりたい方向で法律、技術的な問題を解決してくれと言えば、法務省にも相談することはできるし、かなり私はここで名前挙げませんが、いろんなところで国側の仮処分や訴訟は起きてますよ。あれでしょう、北区の、例出しちゃ悪いけれども運輸省関係では北区の新幹線反対の見張り小屋ですね、これに対しても国鉄は訴訟を提起しておる。幾らでも方法はある。こういう提起自体もやらないということ、私はこれは公共財産を守る空港公団のあり方としては、非常に四年間これをむだに過ごしたという感じがするんですね。放置した、こう言われてもしようがないですね。訴訟とか仮処分とかいうものは、起こされたということで相手方に対して一つの影響を与えることができるし、また、起こしたということでこれは責任の一部を果たしたことになるのです。それもやらないということは、私は非常に問題だと思うのですね。監督官庁としての運輸省はどうですか。
  67. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 先ほどから聞いておって私も歯がゆく感じた一員でございますが、内藤弁護士の御説を私も先ほどからごもっともに拝聴しておるわけであります。しかし、まあいままできたということについてはそれなりの理由があったかと思います。あったかと思いますが、それはそれといたしましても、現時点において、先ほどから強調されたように、まさに緊急性のある問題であろうと私は思います。私といたしましては、先ほどからのお話等も参考にしつつ急ぎ対処すべきものである、こういうように考えます。
  68. 内藤功

    内藤功君 三月二十六日の事件の問題について伺いたいと思います。空港公団に伺いますが、事前に空港突入あるいは管制塔占拠あるやも知れずという情報を初めて得たのは公団としてはいつでございますか。
  69. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 実ははなはだ残念でございますが、三月二十六日に管制塔侵入がありそうだというふうな情報は、私ども残念ながら得ておりません。
  70. 内藤功

    内藤功君 三月二十六日以前には、そうしますと、空港突入、管制塔占拠という事態に備えて管制塔自体の防護体制というのは公団としてはとっておったのかどうか。
  71. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 空港に突入するということはあり得るというふうにわれわれもかねてから考えておりまして、フェンス並びにゲートでそれはチェックできると、阻止できるというふうに私どもは考えておりました。したがって、管理棟あるいは管制塔まで侵入されることはまずまずなかろうというような油断があったとおっしゃられれば、まことにそのとおりだというふうに考えられます。
  72. 内藤功

    内藤功君 三月二十六日の直前に、警察当局の方から、管制塔は大丈夫かと、管制塔に突入されて大丈夫かということを何回か念を押して問い合わせを受けたことがありますか。
  73. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 私はそういう報告を受けておりません。
  74. 内藤功

    内藤功君 そうすると、次の質問も論理的に当然なんですが、今度はあなたの方から警察当局に対して、事前に管制塔の防備体制は大丈夫であるということを申されたことはありますか。
  75. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) その辺はどういう——当然事前に警察当局と打ち合わせを担当者同士でやっておるわけですが、そのときそういう話が出たかどうかについては私も一確認をいたしておりません。
  76. 内藤功

    内藤功君 ほかの委員会警察庁の警備局長自身が、事前に何度も空港公団に対して大丈夫かと聞いたら、大丈夫だという答えが返ってきたと、こういう答弁があるのでいまお聞きしたわけです。どうも総裁記憶がないと、ないような方向ですな、いまの記憶がない。ない方向の記憶がない。そうすると、これは警察の方が間違ったことを答弁しているかもしれません。これはまた別個、これは真相究明したいと思うが、総裁の方もそういうような話が中にされたかどうか調べてほしいと要望しておきます。
  77. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 私が聞いていないだけで、あるいは下の方の担当者の間でそういうことがあったかもわかりません。その辺よく調べましてまた報告をさせていただきます。
  78. 内藤功

    内藤功君 総裁は、二十六日当日はどこにおられて、どういう行動をしたか、簡単で結構です。
  79. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 空港の管制棟内の警備本部というのが三階につくってあるのですが、そこにおって総指揮をとっておりました。
  80. 内藤功

    内藤功君 管制塔に暴力集団が突入する時点で、すでに玄関のところに多数の報道関係の方がが、カメラマンの方がそこにいわば待機しているような感じでたくさんおられたということは、あなた確認しておられますか。
  81. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 私が、来た来たという声で、実は警備本部は北側に面したところにございますが、南側の部屋に入ってみたときには、ちょうど二人の若者が火だるまになって、一人は転がっており、一人は燃えているワイシャツを脱ぎ捨てておる、そこへすぐ間もなく警官が消火器を持ってきてかけておったという状況のときでございます。私のところから、三階から見ておったわけですが、そのとき玄関のところがどういう状況で、報道関係がどれぐらいおられたかというようなことまで私は確認をする余裕はなかったわけでございます。
  82. 内藤功

    内藤功君 暴力集団がひそんでいて、そこから突入したそのマンホール、あのマンホールについては公団側からもらった地図に載っていなかったと、そこで調べなかったと警察は言っておりますが、この点はいかがですか。
  83. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) 出てきたマンホールは地図にあったと思いますが、いわゆる入ったと言われる方のあれが地図に、図面になかったと、こういうことではないかと思います。ただそれは五十一年につくったやつですが、つくりますときには詳細な図面を警察にも差し上げて、こういう工事をこういう予定でこうしてやりますという詳細な説明をし、警察からも、承認ではございませんが、同意を得て工事を施工したという状況でございます。ただ、今回の警備の直前あるいは最近の機会に——これは第二期工事の方のマンホールでございますので、二期工事の方のマンホールまで入った図面を警察に差し上げてないということは確かでございます。
  84. 内藤功

    内藤功君 次に、管制室の外側にある約八十センチから九十センチのキャッツウォークという——ネコ歩きというのですが、あの部分について聞きますが、あれは何のためにつくられているものなんですか。それから、歩いて回れなかったと言っておりますが、どうなんですか。
  85. 大塚茂

    参考人(大塚茂君) あれは管制塔のガラスを外側からふくために後からつけたというふうに私は聞いております。大体幅が八十センチというふうに聞いておりますので、まあ回れるか回れないかは、実は私も確かめておりません。
  86. 内藤功

    内藤功君 管制官には、事前にこのような管制塔への暴力集団の突入が何らかの方法で、通信連絡の方法で知らされましたか、どうですか。管制官というのは、あの中にいた管制官です。
  87. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) これは知らされておりません。
  88. 内藤功

    内藤功君 航空局長に伺いますが、そうするとあの部屋の中にいた管制官の方々はどういう事態でこの事実を、突入を知ったんでしょうか。
  89. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 私も直接詳細に聞き取りをいたしておりませんけれども、担当課長からの話では、当日、正常の管制業務をしておりました、そうしますと管制室の入り口をガンガンたたく音がした、ちょうど工事中の日だったもんですからというか、工事もあることでございますから、何か工事の音かな、こう思っていたそうです。そのうちにますます音が高くなって、これは鉄とびらを壊そうとする音ではないかということで初めて、これは怪しいということを感じたと。それですぐに裏側からいすや机をかき集めて、裏側からとびらの補強をするというふうなことをしたのですけれども、もう非常に急迫した事態ということを感じまして、緊急無線連絡をした上で屋上へ移動した、こういうふうに聞いております。
  90. 内藤功

    内藤功君 非常に危険な状態にいま置かれているわけですね。  管制官は全員警察のヘリに救助されたんですか。
  91. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 一部は報道関係のヘリでございますが、含めまして全員救助されました。
  92. 内藤功

    内藤功君 一番最後に救出された人は屋上に出てからどのくらいの時間がたってからですか。つまり、みんなは何時間ぐらい一番上にいたんでしょう。
  93. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 約二時間ぐらいいたことになります。
  94. 内藤功

    内藤功君 屋上はヘリコプターが着地するには、着地と言うか、おりるには何か障害物があるんでしょうか。
  95. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 屋上には風向風速計のようなアンテナが出ておりまして、ヘリコプターはそこへ着けませんので、そこで、やむを得ずロープをおろして、それにぶら下げる形で救出されたわけでございます。
  96. 内藤功

    内藤功君 救出が二時間。寒いところだと思うのですね、六十メートルでね。非常に救出がおくれたということ、一番まず助けなくちゃいけない人たち。これはどういう事情ですか。
  97. 松本操

    政府委員(松本操君) 非常事態が発生しました直後に管制官は、いま局長お答えしましたように、無線連絡もいたしましたし、空港当局も県警に連絡をいたしまして、急遽救助方を依頼したわけでございますが、当時飛んでありました県警のヘリコプターは救出用の装置を持っておりません。したがいまして、特に救出用の、私何と呼ぶのかよく知りませんが、ブームが出ておりまして、そこからつり上げるような仕掛けのついたヘリコプターを動員をいたしまして、これを飛行準備をかけて出てきて、現地において、一人ずつおりては綱をひっかけて上へ上げてやる、こういう作業を行わざるを得なかったために、先ほどお答えしましたように、最後の人間を救出するまでに二時間近くかかった、こういうふうに聞いております。
  98. 内藤功

    内藤功君 そういう事態に備えて屋上にもヘリコプターが着陸できるような改良、少なくとも障害物の撤去、それから空港公団自体がこういう場合に備えて救出用のヘリコプターを用意する、それからヘリコプターも来られないような場合に備えて、管制官の人が表に退避できるような、直接退去できるような、そういう設備を用意する。こういう要求は、大臣、たしか運輸省組合の方から要求が何項目か出ている中で入っていると思うんですがね。こういった点、やっぱり真剣に考慮しなければならぬと思います。この点どうですか。
  99. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 考慮すべき点だと思いますが、いま局長からもお答えさせます。
  100. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) 三月三十一日付で全運輸の労働組合委員長と私との間で話をいたしまして、そのときに出てきました要求事項にいまの点も入っておりますし、そのほかも若干触れてみますと、各部屋のたとえばドアは鉄製にしてくれとか、あるいは緊急時の連絡、避難の方法について完璧を期してくれとか、さらにタワーの中にすぐエレベーターをおりて上がってこられないようにもう一遍そこで彼らを阻む、悪いやつが来たときに阻むシャッターを取りつけてくれというようなこととか、構造的には、空港管制施設が雑居ビル方式になっているものですから、これを別のところにそれだけの管制塔だけのビルをつくってくれ、こういうふうな要望がありました。最後の問題はかなり大規模な話になりますので、検討することにいたしましたけれども、ほかの点については直ちに対応をいたしております。
  101. 内藤功

    内藤功君 その一つとして、現在の羽田空港管制塔のレーダーと成田のあの壊されたレーダーの違いについて伺いたと思うんですが、いまの羽田空港管制塔のレーダーはARTS・Jというものですか、これはどういう特徴がありますか。
  102. 松本操

    政府委員(松本操君) 管制塔の方ではございませんで、計器飛行管制室——IFRルームの方にあるレーダーでございます。羽田にございますのは、先生いまおっしゃいましたようにARTS・Jと呼はれて繁りますが、これは通常のレーダーの情報をコンピューターを使いまして情報処理をいたしまして、たとえて申しますと、いま飛んでおる航空機がたとえばJALの何便であるとか、あるいはその飛行機の高さが幾らであるとかいうふうなことが必要に応じスイッチの操作によって数字で画面の上に出せるようになっているものでございます。
  103. 内藤功

    内藤功君 いま私は「航空管制」という雑誌の表紙に出ていますARTS・Jの画面ですね、これを見て質問しているのですけれども、これによると機名と高度と速度、これが数字でこういうふうに出るようになっていますね。これは成田ではどうなんですか。この間壊されたレーダーはこういういわば世界の最高水準ですね、アメリカの主要空港でも使われている、東京、大阪空港でも使われているこのARTS・Jというのを設備していたんでしょうか。
  104. 松本操

    政府委員(松本操君) この間壊されましたのはちょっと違うのでございますけれども、壊されていないIFRルームの方に置いてあります成田のレーダーは通常型と申しますか、コンピューターの情報処理機能を持っていない普通の、ちょっとややこしくて恐縮でございますが、普通のトランスポンダーからの信号を解読をいたしまして、自分が管制をしている飛行機かそうでない飛行機かを識別するというところまでの能力を持った通常タイプのレーダーでございます。
  105. 内藤功

    内藤功君 技術的なことですから、ちょっと私の言い方は技術用語を使えませんけれども、わかりやすく言うと、成田に設置されてあるやつはこういう最新式のやつじゃなくて、通常型と言って、飛行機の存在といいますか、存在はこう出てくるけれども、高度とか速度とかは数字で表示されないで、要するにパイロットと管制官がいわゆる交信によって高度や速度や現在位置を連絡して知ると、こういうことなんでしょうか。そういうふうに理解していいですか。
  106. 松本操

    政府委員(松本操君) 成田にございますものは、先生おっしゃるように、パイロットと管制官との間の交信の必要度合いが羽田にありますものに比べてやや多いと、羽田の場合には全く要らないというわけではございませんが、羽田のものに比べますと成田のものはその必要性がやや多いというふうにお考えいただいてよろしいと思います。
  107. 内藤功

    内藤功君 ややかどうかは論争の点があると思いますけれども、それだけ管制官の負担が成田の場合大きいわけですね。ところが、成田はあれでしょう、百里の航空自衛隊の軍用機、それから羽田から出る飛行機、それから成田から出る飛行機、おりる飛行機というものが交錯して高さ三百メートルぐらいの高度差をつけてやっと安全を保とうと、そういう予定なんですね。あの近くは非常にやっぱり複雑な空域だと思いますね。そればかりじゃなくて、成田から離陸する飛行機は非常に急上昇して急旋回していくと、おりるときも急に降下して急旋回して戻ってくると、私は素人なりにこういうふうにのみ込んでいるわけですよ。そうしますと、そういう非常に複雑な飛行で、かついろんな心理的な負担も大きい飛行コースに、さらに羽田よりも管制官の負担の多いそういうレーダーですね、交信を必要とするレーダー、これを入れるというのは、これは管制官の仕事から言っても非常に問題じゃないか。予算上の問題もありますけれども、ARTS・Jというのを、やっぱり羽田にあるのと同じものを成田にも、これは設置すべきだと思うのですね。なぜいままで設置してきてないのか、あるいは近い将来入れるのか、入れるとすればどういうときに入れるのか、どういうきっかけでどういう機会に入れようとお考えになっているのか、これもさっきの運輸省職員組合の切実な要求の一つにあると私は理解しているのですけれども、この点を伺っておきたいと思うのです。
  108. 松本操

    政府委員(松本操君) まず現在ARTS・Jと称するものが入っておりません理由でございますが、成田におきます取り扱い機数は当面一日百五、六十でございます。それに対しましてARTS・Jを導入いたしました羽田及び大阪の現状は、御案内のように羽田が四百六十、大阪が三百四十——倍あるいは三倍という数の飛行機を扱っておるわけでありますので、まず重点的にこういうところに入れたと。  次にどういうところに入れていくかというのが当然問題になってくるわけでございますが、成田の百五、六十機という取り扱い機数は福岡とか名古屋とかというところとほぼ類似の機数でございます。したがいまして、一つの理由といたしましては、取り扱い機数の点から言ってARTS・Jをぜひとも導入しないと、先生御指摘の管制官のロードが非常にふえて管制がむずかしくなる、あるいは管制官のロードがふえ過ぎるというふうなことには現状では必ずしもならないのではないかと、したがって、次の順序というのを待ってもいいのではないかと考えておりましたことが一つと、それからもう一つはそう遠くない時点、むしろいまの時点で申し上げればなるべく近い将来に、言葉としてお聞き及びかと思いますが、コモンIFRという、幾つかの空港を一カ所でまとめて管制をするというやり方をぜひとも導入いたしたいと、こういうふうに考えております。そのときにARTS・J的な形でやるのが恐らく当然の結果として、結論として出てまいると思います。その時期に適合させるような形で施設の改善を図るということで改良を図っていくということが当然あっていいのではないだろうかというふうに考えておりましたことが第二の理由でございます。ただ、いま御指摘ございましたように、機器の性能の向上というのは近年非常に速度が早い、めざましいものがあるわけでございますので、そういったような新鋭の機器の設置の基準というものが果たして適当かどうか、もう少しレベルを下げて広いところに新しい機器を入れていくべきではないかという議論も含めまして、成田空港における管制用レーダーの性能向上につきましては、目下部内において前向きの方向で検討しておるという段階でございます。
  109. 内藤功

    内藤功君 私は、次長のように技術的なことは詳しいことは知りませんが、ごく常識的に考えて、やっぱり科学技術というのは何年か先を見通して、予算上の制約はあるかもしれないにしても、やっぱり科学技術の先の方にいっているものをできるだけ選ぶということ、これが一つ。それからもう一つは成田は羽田のかわりとしてここにつくろうとしているということです、いつできるかは別として。それから三つ目はやっぱりその仕事に携わる、特に乗客、乗組員の生命を握っている管制官の意見、要求というのはよく尊重しなければならぬと、これが三つ目。四つ目は全体の安全と国民の安全、乗客の安全という大きな点から政治的な立場からとらえるべきだと思うのです。そういう面で前向きのこれは検討をしてもらいたい。  最後に、こういう点も含めて、いままで私は余り言う機会がなかったんですが、職員の団結した組合が、いろいろな専門家の立場で切実な要求を出している。大臣が五時間ぐらい会われたという話も——五時間ぐらいですか、組合の幹部と会われたという話も聞いています。しかし時間が長いだけじゃなくて、やっぱり実のある方法を空港職員人たちとよく話してやってもらうことが非常に大事だと思うのです。最後にこれを要望しておきたいと思うのですね。
  110. 福永健司

    国務大臣福永健司君) いろいろお触れになりました点につきましてはこれを参考として、よく気をつけて今後に対処いたしたいと考えております。
  111. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  112. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  造船不況問題について参考人の出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  なお、日時及び人選等につきましてはこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  115. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  造船不況に関する実情調査のため委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 御異議ないと認めます。  つきましては派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 三木忠雄

    理事三木忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十分散会      —————・—————