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寺前分科員 そこで、私は引き続いて
内容についてお聞きをしたいと思うのですが、委員長にお願いしたいのですが、時間が短いことでございますので、大臣に
資料をお渡しして、これに基づいてやりたいと思います。お許しをいただきたいと思います。
ただいま大臣に私は、プロ野球の選手の諸君がどういう生活に入っているのかということについての一端を、最近のスポーツニッポンに載っている
資料とかあるいはサンデー毎日に載っている
資料とか、そういうものを使わしていただいて討議をしたいというふうに思います。
いま大臣にお渡ししたその
資料を見ていただきますと、プロ野球の選手がどういう
実態におるのかということがわかると思うのです。一般新聞紙上などで私
たちがプロ野球の選手を云々するというとすぐに、たとえば江川選手が契約金が一億であったとか二億であったとか、そういうような話がいろいろ取りざたされます。しかし、実際にプロ野球界の選手会の幹部の方々に
お話を聞いてみると、契約金として入るのが三百万とか四百万というのが多くの人
たちの中にあるようです。表面華々しく出ている人というのはきわめて限られた人なんだということを言っております。しかも、それでは毎月の生活
実態はどういう
状況にありますかということを聞くと、
自分らのことだから言いにくい、あるいはお互いに言わないことになっているということです。ただ、こういうふうに新聞などに載った
資料についてはどうですかと聞いてみると、大体推定されているのは間違いないというふうに言えると思います。というのがお答えです。
私は、そういう推定値の
資料の
一つをいま大臣にお見せしたわけですが、これを見ますと、二百万以下の年額の収入の人というのが、一番右のところにパーセントを書いておきましたが、五八%、六割近くの人が二百万以下の生活費で毎月の
活動をしている。プロ野球の選手と言えば、それは労働者で言うならば熟練労働者だ、きわめて高い水準の人だ、しかも寿命というのは非常に短いということを、さきの国会でも
文部大臣が言っているところであります。とすると、
社会的に見て、宣伝されている表面と中身とが非常に違う。
ここで私は、黒い霧問題のときに問題になったように、その期間中は相当高額の所得をもらっているけれ
どもやめた後が大変だと言われたけれ
ども、その期間中も低い
状況であるということでは、国民の側から言うたらあこがれの的である人
たちが、そういうことで何か違う事件の方にでも発展していってはこれはまた大変な問題になるということを、改めてこの生活
実態から
感じざるを得ない。
しかも、その
資料の裏の面を見ていただいたらおわかりになりますが、野球協約の第七条によって、みずからがお金を出し合って年金制度というのをおつくりになっております。その年金制度を見ましても、そこに書かれておりますように、五十歳になって初めて、その十年間
活動してきた人
たちが年額二十八万八千円だ。十五年以上
活動した人がやっと三十六万円、十二で割ったら月三万円だ。わずかなお金しか五十歳になってからの話としてやっとそれが、みずからが出し合っている保障の中で存在している。これではやはり、このわずかな期間に全力を注いできた、
活動しておった野球の選手にすれば、その後の姿というのはやはり不安にならざるを得ないではないか。
しかも、その五十歳までの間に一体何があるのだろうか。野球の選手が、それではその能力を発揮してしかるべきところで
活動する条件というのは、果たして保障されるのだろうか。最近、ノンプロの
分野で仕事をすることがやっと話し合いでなったようですけれ
ども、学生その他の
分野では、いろいろな歴史的な諸条件もあって、できない
状況にある。そうすると、そこに待っているものは一体何だろうか。やはりこの
分野においても、日常生活の
分野あるいはやめられた後の
分野、こういうのをどのように保障していくのかということは非常に大きな問題だろうというふうに言わざるを得ない。それはプロですから、それはあなた
たちの契約の話だから私は関知しないということだけでは済まない要素がそこではあるのじゃないだろうか。そこで選手の皆さん方も、せめて何とかしなければならないということで、年金の改善とかあるいは別に社団法人をつくってやっていきたいとか、いろいろな問題提起をお考えになっているというのは、私はそこにあると思うのです。
私は、そういう選手の皆さん方が積極的に
社会的使命を背負って立っていこうという
立場に立っておられるというこの声に、それなりに
文部大臣としても、四十五年の黒い霧事件のときのことを考えるならば、積極的に打って出られてもしかるべきではないかというふうに感ずるわけです。
文部省として、あるいは
文部大臣として、いままでにやってこられたことは一体何だっただろうか、これから何をしなければならぬとお考えになっているのだろうか、そこをちょっとお聞きをしたいと思うのです。