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西宮分科員 大臣は、この二、三年そういう予見をしながら準備をしてきたというようなお話ですが、私は過去三年にわたって、三年前にさかのぼって、毎年行われます
農林大臣の審議開始のときの所信表明、それを見ますと、たとえば三年前の
昭和五十年の
大臣の演説には、「穀物等の国際
需給は、一九七二年の世界的な不作等を契機に逼迫に転じましたが、今日もその基調に変化は見られず、
価格も割り高で不安定な状態で
推移しております。また、中長期的に見ましても、穀物等の国際
需給は楽観を許さない
状況であり、その国際市況も、従来のようなアメリカ等の過剰在庫を背景とした低位安定の時代から高位不安定の時代へと変化しつつあるものと思われます。」「さきに述べましたような最近の国際的な食糧
事情から見まして、一億を超える国民の、水準の高い食生活を支えていくために、将来にわたって食糧の安定的供給を確保する体制を整備することが今後の農政の中心課題である」、こういうふうに述べているのですね。
次の五十一年でありますけれ
ども、ここでもやはり一九七二年の世界的な不作ということを例にいたしまして、「農産物の国際
需給は、一九七二年の世界的な不作を契機に逼迫基調に転じ、最近の
状況を見ましても、昨年の
ソ連の大量買い付け等に見られるように依然として不安定な状態を続けております。今後においても、開発途上諸国における需要の増加、先准諸国を中心とする畜産物消費の増大、気象変動に伴う農業
生産の不安定性等を考慮すると先行き楽観は許されないものと考えられます。」「食糧問題は、」「広く国民の安全保障にかかわる問題であると申さねばなりません。国民食糧の安定的供給なくしては、
わが国、わが民族の存立も全うできないのであります。」これが
昭和五十一年です。
次の
昭和五十二年、つまり昨年であります。昨年の
国会審議の劈頭に述べたのは、依然として一九七二年を取り上げている。「農産物の国際、
需給は、一九七二年の世界的な不作を契機として逼迫基調に転じましたが、最近においては
生産が良好で小康を得ているものの、在庫水準は依然として低く、さらに長期的に見ても、開発途土地域における需要の増加、先進国を中心とする畜産物消費の増大、農業
生産の不安定性等を考慮すれば、予断は許されないものと考えております。」「さきに述べましたような農産物の国際
需給の
動向等から見まして、一億を超える国民の食生活にいささかの不安も与えないようにするためには、
国内生産が可能である農産物については極力これを
国内で賄い、総合的な自給力の
維持向上を図ることが基本的に重要であります。」この「総合的な」云々というのは、いま取り上げている
政府の政策でありましょうけれ
ども、しかしその前提として言っていることは、ことごとく一九七二年当時に起こったそういう不安定な
状況は解消しておらない、これは去年の
国会の劈頭で、二月三十三日にそういうことを述べておる。そして、いまさっきの
大臣のお話だと、三月ごろから
関係方面といろいろ相談を始めたというようなことだけれ
ども、少なくとも
国会で述べたこの見解からいうと、食糧需要はきわめて不安定だということを前提にして物を言っているわけですね。そういう
状況ならば、私は去年突如としてああいう問題が、少なくとも、ある一部ではそういうことを検討していたかもしらぬけれ
ども、現場の農業者が、農民がそれを理解するというようなことはとうていできなかったと思うのですね。したがって、去年発表されたあのやり方は、これはどう言っても非常に唐突な、いわゆるショックを与えたということだけは間違いないと思う。したがって、さっき申し上げたような、非常に現場の混乱が続いているということになるのは当然だと思うのですね。
そこで私は、いまの問題についての議論等は、時間がかかりますから御
答弁いただきませんけれ
ども、例の俗にペナルティーと言っている問題ですね。この問題について、この間の
予算委員会での審議について農林省の方から改めて通知を出し直しをする、こういうことを言っておりますが、これはもし、俗に言うペナルティー、そのペナルティーという言葉は農林省で使ったのじゃないのだというようなことなら私はあえてそれを詮議をいたしません。ですからその
答弁は要りません。しかし、一斉に
日本じゅうにこういうことが広まったということは、まことに不思議千万で、私はどこからそういうことが出たのだろうとまことに不思議に思うのだけれ
ども、しかしいまそのせんさくはいたしませんけれ
ども、もしさっき申し上げたようなやり方でことしの分をできるだけやる、そして足りなかったらそれを来年にその分だけ積み増しをするということをやらなければ、私の言うあるいはこの人の言うところの、一年間期間を置いて十分な検討をするということになるわけですよ。したがって、そういう来年にかさ上げをするということをやらない、そういう
決意があるのかどうか。実は私も農林省で出そうとする通知を、いま理事会預かりになっておりますので、それは私も見ておりますけれ
ども、これにはそういうことは全くないわけですね。だから、これでは私はとうていいまのような要請にはこたえ得ないと思うのだけれ
ども、来年その分だけかさ上げをする、積み増しをするということはやらない、こういう方針を明らかにしていただきたいと思います。