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栗林分科員 昨年は
分科会の際に、不況であるから設備投資に対する意欲等が非常に少ない、そこから資金需要が減退しているということが
一つの理由として述べられて、私はこれに反論したわけでございます。いま長官のお答えによりますと、明確にそう言ってはおらないが、盛り上がりが少ないという話でございます。不況による設備意欲の停滞をまずお考えになっていらっしゃると思うのですよ。しかし私の言いたいことは、大都市と地方はうんと違うということです。大企業と中小企業、特にこの制度の
対象となっておる企業は中小じゃないのですよ。零細な小企業の皆さんです。ですから、そういうような零細な小企業の事業経営を一律に判断するということは、私は誤りだと思う。
一般的に不況でありますから、やはり相当慎重な構えで求める人も資金を求めると思います。しかし小企業の皆さんは、いつでも資金が足りなくて困っておる皆さんなんですよ。景気のいいときも資金が足りない、景気が悪くなったときでも資金が足りない。いつでも資金不足に悩んでおるのがこの制度の
対象になっておる小企業ではないでしょうか。それですから、不況だから資金需要がないのだということで済まされない側面があろう、こういうように私は思います。このマル経資金の方はこのとおり消化率が悪いのですけれども、国民金融公庫の方はそうでないんですね、国民金融公庫の方は、幾ら資金をふやしても足りないようでございます。五十一年度に比べますと、五十二年度はかなり資金量がふえておる。その資金は、第三・四半期までの割り当ては全部消化されております。完全に消化されておる。そして年末には二千六百億程度の追加がされておりまして、これも消化されておる。さらに、特別枠から三百六十億ばかり、これを
一般口の方へ繰りかえる、こういうようにしまして、約一兆四千億の
一般口資金は完全消化なんです。足りないと言われておるのですよ。ですから、一方においては資金が足りない、それほど需要が強いんですよ。保証人も要らない、担保も要らない、しかも利率はかなり下げられておる。国民金融公庫は、昨年までは八・九%であったはずです。それがいま七・六%。それに比べると、ただいまの長官のお話ですと六・八%にするというのですから、非常にこれは利息の面でも、利率の面でも優遇されておる制度だと思います。その資金がこのとおり未消化だ。これはやはりその要因をしっかりとひとつつかんでいただきたい。調査をしていただきたい。その上で、ひとつ改善を図っていただきたいと思うのでございます。
私は、その要因の
一つに——私、ここへ
指導要綱を持っています。この要綱を見ますと、非常にこれはむずかしい。この要綱に基づいて、末端における会議所や商工会の経営
指導員の皆さんが、熱心に
指導されておるんですよ。私、その姿を何回か見ております。しかし、示されておる要綱が非常にむずかしい。
指導員は、とても
指導し切れないという悲鳴を上げております。それですから、この要綱を、もう少し簡便なものに緩和する必要があるではないかと思うのです。
その中の
一つを申し上げますと、六カ月前から
指導を受けているものでないと推薦することができないという規定が
一つあります。これは昨年も私は取り上げましたけれども、そうしますと、いますぐ間に合わない。六カ月間
指導を継続されたものでないと融資を受ける資格がないわけでしょう。手続というか、六カ月の
指導を受けなければならぬ。六カ月の
指導を受けて、ようやく推薦された、今度は国民金融公庫で同じような調査をするわけなんです。二重の調査が行われる。そうしてようやく融資を受ける。私は、六カ月も
指導を受けなければ推薦されないというこの要綱、これは原則と書いてありますけれども、やはりこれが大きな要因の
一つではないかと思う。
それからもう
一つは、この要綱を見ますと、「経営
指導員による経営
指導に基づく設備、施設の近代化、」云々と書いてありますけれども、企業者の企業であるのか、
指導員の企業であるのか、企業者の自主性がもっと侵される。そこまで企業に介入されると、企業者は自主性を侵されますから、やはりいやになると思うんだな。それですから、何とかこういう経営者の自主性というものは尊重する。長い間、その土地で商売をしておる方々ですから、お金がなくても、商売は長い間やっておるというその実績、その営業上の信用というものは、私は莫大なものだと思う。だからそういう信用というものをもっと高く評価されて、六カ月であるとか、あるいは必要以上にその企業に介入する
指導は、この際改めるべきではないだろうか。そういうようにして、その要綱、手続をもう少し緩和する必要があるではないかと思いますけれども、この要綱緩和についてはどんなお考えですか。