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川本分科員 昭和五十年の十一月ですか、高田駅で起工式を挙げました当時、天王寺の
鉄道管理局が発表しました方針の中には、電化後も大体単線でやる、もう一つは、したがって列車の運転本数もおおむね現行どおりでございますというような言い方をしておるわけです。せっかく多額の百億からの経費をかけて電化しながらダイヤをそのままということでは、
地域の住民も納得しないし
国鉄もそれでは赤字がふえるばかりじゃないかと私は思うわけです。
ちなみに、いまちょうど並行して走っております近畿日本
鉄道の大阪線の列車のダイヤについて見てみますと、朝の六時台は急行と準急と合わせて八本、七時台は同じく急行六本、準急六本、八時が急行三本、準急四本、これはみな大阪上本町行きです。こういう形で、七時台などについては一時間に十二本の準急と急行が走っておる。このほかに一時間に三本ないし四本の特急が走っておるわけですから、いわば七時台などは十五本くらい走って、三分間に一回くらいの回数になっておるわけです。これ以上過密ダイヤを編成しようとしても編成できない。ダイヤのぎりぎりのところまで現在輸送
計画を立てておると思うのです。それと同時に近畿日本
鉄道もプラットホームなどを延長しまして連結台数をふやしてきていますけれ
ども、ほぼ現在では限界に近づいておる。これ以上輸送力を倍増するというようなことはとうていできない状態だ。ところが同じ時間帯の
国鉄桜井線、あるいは和歌山線両方あわせましても、六時台が一時間二本なんです。二本ということは桜井から来るのが一本と五条、和歌山から来るのが一本と二本。七時台も二本、八時台と九時台が三本ずつなんです。言いかえますと、王寺とか高田付近の人は別として、桜井とか五条方面から通勤通学する人としてはちょうど通勤通学の時間を外して三本走るというような形になるわけです。ダイヤの編成の仕方としても問題があるけれ
ども、ともかくせっかくこれだけの設備をしながら、一時間に一本じゃ通勤通学用に使えないということはだれが見ても明らかなわけですから、どうしてもこれはダイヤを改正して、そして電化ができましたときにはもちろん増発してもらわなければいけないと私は思うわけです。
と申しますのは、現在奈良県から大阪へ通勤しております人口は、大体五十年の国勢
調査によりますと十三万六千三百九十四人という数字が出ておるわけです。これは近畿で、大阪近郊で兵庫県に次いで奈良県が第二番目の大阪への流出人口です。そのほとんどがいま言います
国鉄三寺駅を始めとして王寺から奈良間、それから同じく王寺から高田間、この区間に集中しておるわけです。奈良県の人口は、御承知のように
昭和五十年の国調では約百七万人でしたけれ
ども、現在百十万を超えています。六十年になりますと、奈良県の総合
開発計画では当初百六十九万という予定でしたのが、現在百四十三万に訂正されました。七十年には二百十二万という予定だったのですけれ
ども、二百万を若干割る、そういうことで、まだまだこれから奈良県の人口はここ十年か十五年の間に倍増していくわけですが、その大部分がこの
国鉄沿線に集中をしておるわけです。これは
国鉄御当局でも御承知だと思いますが、西大和ニュータウンあるいは真美ケ丘団地、こういうところは宅地が
造成されただけでまだ全部張りついていないわけです。これからなんです。こういう大きなニュータウンがあちこちに
造成されておると同時に、中小のデベロッパーがたくさんの宅地を
造成しておるわけですから、人口はこれから数年間に急増することは間違いない、このように私
どもは考えておるわけです。先ほど
国鉄総裁にお答えいただいておりましたけれ
ども、運輸
大臣、私は先ほど来
国鉄総裁にお答えいただいておったように、いわゆる電化とかいうことについては、従来の遠距離の大都市と大都市をつなぐ輸送から、都市近郊の通勤通学用の足をどのようにして確保するかということに重点が変わりつつあると思うのです。やはり都市近郊の通勤通学輸送、これは現在の都市交通上の対策という見地から見ても早急に
充実強化されなければならぬ問題だと私は思っておるわけです。その点について
運輸省としてもそういう方針を明確に打ち出して、こういう都市近郊のローカル線の近代化あるいは輸送力の増強のために力をいたすべきではないかと思うのですけれ
ども、
大臣からこの点について……。