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1978-03-02 第84回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 塩崎  潤君       谷川 寛三君    中野 四郎君       井上 普方君    上田 卓三君       鈴木  強君    栂野 泰二君       中西 績介君    原   茂君       玉城 栄一君    林  孝矩君       宮井 泰良君    宮地 正介君       伊藤 公介君    小林 正巳君    兼務 井上 一成君 兼務 伊藤  茂君    兼務 小川新一郎君 兼務 古寺  宏君    兼務 田中 昭二君 兼務 大内 啓伍君    兼務 瀬長亀次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 金丸  信君  出席政府委員         防衛政務次官  竹中 修一君         防衛庁参事官  夏目 晴雄君         防衛庁参事官  古賀 速雄君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁長官官房         長       竹岡 勝美君         防衛庁長官官房         防衛審議官   上野 隆史君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁人事教育         局長      渡邊 伊助君         防衛庁衛生局長 野津  聖君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 間淵 直三君         防衛施設庁長官 亘理  彰君         防衛施設庁次長 銅崎 富司君         防衛施設庁総務         部長      奥山 正也君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         防衛施設庁労務         部長      菊池  久君  分科員外出席者         警察庁刑事局参         事官      谷口 守正君         防衛庁経理局会         計課長     小田原 定君         環境庁大気保全         局特殊公害課長 波多 秀夫君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 宮沢美智雄君         外務省アメリカ         局外務参事官  北村  汎君         外務省アメリカ         局安全保障課長 丹波  実君         大蔵省主計局主         計官      志賀 正典君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 秋山 雅保君         大蔵省理財局特         別財産課長   松岡  宏君         運輸省航空局監         理部監督課長  松村 義弘君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 増田 信雄君         運輸省航空局飛         行場部環境対策         第二課長    相楽 秀孝君         郵政省電波監理         局周波数課長  森島 展一君         建設省都市局公         園緑地課長   三好 勝彦君         建設省河川局水         政課長     安仁屋政彦君         建設省道路局有         料道路課長   沓掛 哲男君         会計検査院事務         総局第二局長  松田 賢一君     ————————————— 分科員の異動 三月二日  辞任         補欠選任   井上 普方君     鈴木  強君   林  孝矩君     玉城 栄一君   小林 正巳君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     渡部 行雄君   玉城 栄一君     宮地 正介君   工藤  晃君     伊藤 公介君 同日  辞任         補欠選任   渡部 行雄君     原   茂君   宮地 正介君     宮井 泰良君   伊藤 公介君     小林 正巳君 同日  辞任         補欠選任   原   茂君     中西 績介君   宮井 泰良君     林  孝矩君 同日  辞任         補欠選任   中西 績介君     栂野 泰二君 同日  辞任         補欠選任   栂野 泰二君     上田 卓三君 同日  辞任         補欠選任   上田 卓三君     井上 普方君 同日  第二分科員井上一成君、伊藤茂君、古寺宏君、  大内啓伍君、第三分科員瀬長亀次郎君、第五分  科員小川新一郎君及び田中昭二君が本分科兼務  となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算総理府所管  (防衛庁)〕      ————◇—————
  2. 塩崎潤

    塩崎主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算中、総理府所管について審査を進めます。  防衛庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  3. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 最初に、防衛庁長官米韓合同演習の実施についてお尋ねいたします。  きのう、きょうの新聞報道を拝見しますと、アメリカの陸海空と海兵の四軍は今月の七日から十一日間朝鮮戦争以来最大規模米韓合同の大演習を行うそうでありまして、そのためにすでに二月二十七日から部隊移動を開始しているということでございますが、防衛庁長官はこのことについて御了承のことと思いますので、その演習規模あるいは参加部隊等についてひとつ御説明をしていただきたいと思います。
  4. 金丸信

    金丸国務大臣 米韓合同演習という話は聞いておるわけでありますが、その目的等について米韓が何を考えているかということについては私は知りませんが、推測するところでは、私の推理ではということですから、当たる場合もあるし当たらぬ場合もあるかもしらぬ、しかし韓国在留米軍が撤退するというような問題を含めまして、アジアでは各国で米国アジア離れというような状況もあるという推測もいたしておるわけでありますが、アジア離れはしておらないと米当局もしばしば申しておるところでありますから、そういうような面も含めてこの演習をするのではないかという感じが私はいたすわけであります。詳細につきましては政府委員から説明をさせます。
  5. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 米韓合同演習につきましては、実は私どもの方には詳細に連絡があるというようなものではございませんけれども、今回のチームスピリット内容につきまして米軍に問い合わせましたところ、規模といたしましては、アメリカ軍陸軍が五千三百、空軍が一万二千五百、海軍が八千五百、海兵隊は四千、全体で三万三百人の参加でございます。米軍部隊につきましては、陸軍についてはハワイあるいはノースカロライナ州にございますフォートバーグの部隊、あるいはフォートシル部隊海軍については第七艦隊、空軍については沖繩、フィリピン及びアメリカ本土から参加するようでございます。海兵隊については沖繩からでございます。  以上のような規模演習でございまして、実はこのチームスピリットという演習は昨年も一昨年も行っておりますが、先ほど先生が御指摘になりましたように、今回の演習規模というものはかなり大がかりなものであるというふうに聞いております。
  6. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 この演習に際しまして、米本土韓国作戦中継基地として横田基地が使われるというふうに聞いておりますが、この点は間違いないでしょうか。
  7. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 実はけさ新聞にそういう旨書いてございましたけれども中継基地という形で横田を使うということは、私ども米側からは聞いたことはございませんでした。
  8. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 オクラホマとかフォートシル基地から部隊が来る、あるいはグアムからも来るというようなことですから、恐らく中継基地として使うことは間違いないだろうと思うのですが、こういう演習をする場合、日本政府に対して米側からそういった演習をする期日とか内容等については全然連絡はないわけですか。こちらから問い合わせて初めて知り得るということになっているのですか。
  9. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 米韓合同演習につきましては、米韓条約に基づいて行うものでございますから、正式に日本政府通報があるというふうなことは従来はなかったようでございます。しかし、今回は、外務省の方に大使館を通じましてこういう規模演習をやるというような連絡があったようでございます。私どもの方も在日米軍の方にそういうようなことを外務省からの情報として問い合わせましたけれども在日米軍も全体の計画そのものすべてを知っているということではなかったようでございますが、先ほどお答え申しましたような内容のことについて説明を受けたわけでございます。
  10. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 少なくとも日本にある米軍基地使用するわけですから、全然日本内容を知らせない、中継基地になるのかならないのか、そんなことも知らないということはちょっとおかしい話ですから、——外務省条約局はきょう来ていますか、ちょっとその点をはっきりしてくださいよ。
  11. 丹波実

    丹波説明員 お答え申し上げます。  このような米韓合同演習を三月にやるということについては、まず先般一月十六、十七日ホノルルで行われました日米安全保障問題に関する事務レベル会議の席上、アメリカ側から一般的な説明がありました。その後一月の末ごろ、演習の一般的な内容についてさらに先ほど防衛局長がお答え申し上げたような点について在京米大使館から当方に連絡が参っております。  以上でございます。
  12. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 いまの横田基地中継基地としてこの演習に使うかどうかということはいかがですか。
  13. 丹波実

    丹波説明員 ある種の部隊横田基地を経由して行くこともあるであろうという趣旨のことは聞いております。
  14. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 そうでしょう。それは全然知らないというはずはないですよ。少なくともわが国土の中にある米軍基山でございますから、これは今後の問題として事は重大ですよ。  そこで、防衛庁長官にちょっとお伺いしたいのですが、このようにアメリカが大きな演習をするという背景に、いまあなたがおっしゃるように、アメリカアジア離れをしているというような風潮があるので、してないんだというあかしを立てるためにやるのではないか、これは推測というか推察しているということでございますが、それも一つ推測であろうと私は思いますが、防衛庁として、少なくともこういう大演習をするについて、極東における軍事情勢というものはそういうふうな状態にあるのかないのか、そこらの判断はどう持っておられるか。これが一つです。  もう一つは、こういう場合に、もちろん米韓演習でありますから、わが日本自衛隊は全然ノータッチだと思いますけれども、直接的にも間接的にもわが自衛隊は一切関与しない、こういうふうに理解してよろしいかどうか。  もう一つ外務省の方に、安保条約事前協議、たとえば横田基地を使うような場合、これは相当な規模でございますから、そういう必要はあるのかないのか、この点をひとつ明らかにしてもらいたい。
  15. 金丸信

    金丸国務大臣 アジア離れというような問題、またあわせて日中条約を結んだときどうなるというようなこと、情勢というものを模索することは当然だと私は思うわけでありますが、私の知る範囲におきましては、米中ソという三極構造の中で大きな紛争が起きるようなことはないだろうということと、またアメリカ自体極東、西太平洋において、先ほど来からお話しになっているようないわゆるアジア離れというものはない、あくまでも米ソ、この関係の中は均衡を維持していけるという判断をいたしておるわけであります。
  16. 丹波実

    丹波説明員 お答え申し上げます。  その前に、先ほど在京米大使館からの通報が一月の末ごろと申し上げましたが、これは二月の中旬ごろでございましたので、訂正させていただきます。  なお、事前協議云々の点に関しましては、今回の米韓合同演習のため横田基地米軍機が立ち寄ることにつきましては、米軍極東における国際の平和と安全を維持するためにわが国の施設区域使用することが許されている、こういうことでございますので、安保条約上何ら問題はないと私たち考えております。  なお、具体的に事前協議の問題につきましては、先生つとに御承知のとおり、事前協議には三項目があるわけですが、先生考えておられるのは恐らく戦闘作戦行動の点だろうと思います。事前協議交換公文には、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内施設及び区域使用事前協議対象になる、こういうことでございまして、私たちは今回のこのような単なる立ち寄り戦闘作戦行動に該当するというふうには考えておりません。
  17. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これは相当大部隊移動になりますし、特に二月二十二日に米国ブラウン国防長官議会証言で、朝鮮半島の有事の際に在日米軍を緊急出動させる方針を確認しておるわけですが、この有事の際を実際に想定して今回の大演習が行われるものだと見て間違いないと思います。しかも、沖繩海兵隊在日米軍だけでなく、在日米軍基地そのものが重要な役割りを果たすというところに来たわけでございます。しかも、米本土から最新鋭の地対地ミサイルのランスという、これは核と非核の両用があるそうですか、この部隊とともに空輸するというように聞いております。これはまさに在韓米軍撤退後の本格的な戦争を想定したものと見ていいと思う。ですから、安易に物を考えられないで、ひとつ対処してほしいということをお願いしておきます。  それから、防衛庁は五十三年度予算F15を二十三機、P3Cを八機購入されることになるのですが、この発注先、それから発注の時期、それから実際にこの飛行機ができて配備される時期、こういうものは一体いつごろになりますか。
  18. 間淵直三

    間淵政府委員 発注の時期は、予算がいつお認め願えるかということにもかかるわけでございますが、(鈴木(強)分科員「認められた場合」と呼ぶ)認められた場合、まずアメリカ政府から購入する分というのは、予算が成立いたしましてから三カ月か四カ月以内に購入契約を結びたい。それからライセンス生産を行う分につきましては、いろいろの審査を経まして五十三年度中に契約を結びたいと考えております。それから、いつそれが入手できるかということでございますが、F15に関しましては五十五年度に二機、これは輸入機でございます。それから五十六年度にノックダウン機四機、それから練習機四機、五十七年度にライセンス生産機十一機、それから練習機二機、こういうぐあいに入手することを予定しております。したがいまして、五十七年度中に一個部隊を編成する、そういう計画になっております。
  19. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 P3Cは……。
  20. 間淵直三

    間淵政府委員 P3Cに関しましては、五十六年度中に三機、これは輸入機でございます。それから五十七年度中にライセンス生産機五機入手いたしまして、六機程度の一個部隊を五十七年度中に編成したい、こう考えております。
  21. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 発注する先はどこですか、ロッキードさんになるのか。
  22. 間淵直三

    間淵政府委員 輸入機に関しましてはアメリカの国防省でございますが、ライセンス生産機に関しましては、ただいままだ発注先というのは決定しておりません。
  23. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それからもう一つ、わが日本自衛隊装備国産のものとそれから外国から購入しておるものとございますでしょうが、主な装備品でも結構ですから、大体全体としてどの程度のパーセントになりますか。
  24. 間淵直三

    間淵政府委員 主要な装備品に関しましては、自主的な運用、補給、修理というものを維持するため、あるいはその技術を維持するためということで国産あるいはライセンス生産ということを旨としておるわけでございます。  輸入割合が大体どのくらいになるかということでございますが、国産によって主要なものを維持するというようなことでございまして、輸入割合というのが、年によって多少の変化はあるわけでございますが、全体といたしまして大体一〇%程度ということでございます。
  25. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 いま外国に依存をしている一〇%の装備品につきましては、将来国産化をしていくという考え方は持っているのですか。
  26. 間淵直三

    間淵政府委員 非常に機密度の高いミサイルみたいなものの一部とか、あるいは技術的には国産が可能でございますが非常に少量生産のためべらぼうに金がかるとかいうようなものは除きまして、国産化率を上げて、なるべく国産で賄っていきたい、こういう所存でございます。
  27. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 時間がありませんので、非常に残念ですが次に移ります。  次に、北富士演習場の問題で防衛庁長官にお尋ねしますが、長官承知のように、この使用協定は本年の四月十日をもって期限切れになるわけであります。私は、日本のシンボルと言われております霊峰富士山のもとに、煙硝のにおいのするような演習場があることはまことにふさわしくないことだと思います。したがって、この際、協定期限切れ機会にいたしまして北富士演習場をなくしたらどうか、そしてこの一帯を平和的目的のために利用できるようにすべきではないか、こう思うのでございますが、長官、どうお考えですか。
  28. 金丸信

    金丸国務大臣 北富士演習場は、五十二年度におきましても延べ四百九十日くらい使っておるわけでありまして、防衛庁といたしましては返すということはでき得ないという状況であります。まあ、鈴木分科員と私の立場というものは、政党が違いますからいろいろと考え方も違うわけでありますが、しかし私も鈴木分科員と同じ山梨県であります。北富士の問題につきまして問題点は十分わかっておるわけであります。そういうようなことでありますから、できるだけ地域住民との意思の疎通を図りながら、今後の使用という問題につきましては、円満に話し合いをつけて借用をいたしたい、こう考えておるわけであります。  考え方問題点、たとえて言えば、ここでやぶへびのようなお話を申し上げるのですが、東富士北富士という問題を比べてみましても、非常にそこに差がある感じも私はいたします。こういう問題をどうするんだ。東富士は各政党超党派でうまくやっておる。それが北富士はそういうことがうまくいっていないというような面もあって、私はそれを一本にしろと強く言っておるわけでありますが、そういう面で先生にも格段の御協力をこの機会にお願いをいたしたいと思うわけであります。
  29. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 富士山のふもとでございますから、ここに演習場がない方がいいというのはみんながそう認めていると思うのでございますね。何か適当なところがないだろうか、そういう気持ちもございますね。かつて自民党の防衛部会が、もう大分古い話ですが、二十年くらい前でしょうか、北富士演習場をなくしてほかに持っていったらどうかと、ある場所の適地も示してやったこともございます。これは外国からも人が来ますし、日本人の崇敬する山でございますから、ないにこしたことはないわけですから、何かそういう方法がないかという御苦心を防衛庁もおやりになってしかるべきだと私は思うのですよ。そして、日本国じゅうどこを見てもどうも適当なところがない、したがってしばらく置いてほしいというなら、これは理屈がわかるわけです。私は、実はそういう気持ち長官にお尋ねをしたわけでございます。したがって、あなたと私は選挙区も同じでございますし、県民の立場からすれば、みんながなくした方がいい、そしてあそこを平和的に利用したいという気持ちを持っているだろうと私は思うわけでございます。しかし、いまの長官のお考え方もよくわかります。私どもも、ただ単に反対のための反対ということではなくて、前進的な模索をこれからもしてまいりたい、こう思っているわけです。  そこで、どうしてもこれを直ちに返すことができないという事情にあるならば、将来さらに検討していただくと同時に、もう少しこの演習場規模を小さくできないか。前回は大変御配慮いただきままて、千三百ヘクタールの県有地の除外と二百十ヘクタールの国有地の払い下げをしていただきました。これをもう少しできないものですかね。
  30. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣からお話がありましたように、北富士演習場東富士演習場とともに関東地区におきます大演習場として大変欠かせないものでございますけれども、五年前の使用協定改定のときにすでに県有地千三百ヘクタール、それから国有地二百十ヘクタールの返還もございましたし、これ以上着弾地等を縮小する場合には長距離射程演習にも支障を来すわけでございます。また、この演習場本州地区では大変貴重な演習場でございまして、東部方面のみならず中部地区でもこれを使用しておるわけでございまして、これ以上縮小するということは射撃訓練一般訓練同時併用等にも支障がございますし、北富士演習場の多様な演習の形態からいたしまして、これ以上縮小することはとうていできないというふうに私ども考えておるわけでございます。
  31. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで、縮小もできないということになると、現状の形で使用させてもらいたいという結論になると思うのです。その際、地元要求として幾つかの問題が出ておりますが、いま施設庁の方ではそういう御要求を把握されておりますか。
  32. 亘理彰

    亘理政府委員 四月十日に使用協定の期限が切れますので、私どもは引き続き使わしていただきたいということで、この一月の二十四日に私、山梨県へ参りまして、知事さん、演対協会長あるいは地元の市長さん等にお目にかかりましてお願いした次第でございます。その際、私ども考えは、演習場の必要と地元地域の発展ということを両立させるように、私どもとしては防衛施設周辺環境整備法を活用いたしまして、御協力できる面はできるだけのことをいたしたいということで申し上げてございまして、現在、演習場対策協議会を中心といたしまして、地元の御要望をいろいろ取りまとめている段階というふうに伺っております。まだその内容が固まったというところまでは行ってないかと思いますが、御要望がまとまってまいりました段階で、私どもは誠意をもってこれに対処したいというふうに考えております。
  33. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それで、たとえば国有地内における入会権の問題です。これは長官もちょっと差があると言った一つだと思いますが、東富士の方は入会協定というものが認められているわけですね。ところが、北富士はこれがない。これは、ひとつ何とかこの際入会権協定を結んで、今後も国有地内においてこの入会権を認める中で地域人たちがやれるようにしてほしい。それから、林雑物補償なんかの損失についても、これもひとつ継続をしてほしい。あるいは周辺整備事業積極的促進を図るために補助率を上げてもらいたいとか、あるいは補助対象施設範囲をふやしてもらいたいとか、こういう要望があります。前回民生安定事業として百三十億という約束を一応されたでしょう。それが半分ちょっとくらいしか実施されていないので、そういったような不満も地元にはありますから、その点を十分踏まえて、ぜひこの地元要求にこたえる、民生安定と演習場の両立ということが実際にできるような形を模索しなければ、これが最後の手段でございますからね。ほかにないんですよ。それから、たとえば東富士有料道路の建設問題などもあわせて考えていただきたい。これは私、何回も何回も、もう二十年近く主張してきていることですけれども、まだ今日もその路線の決定がうまくいってない。きょうは建設省からも来ていると思いますから、現状どうなっているのか、それらの問題もぜひひとつ聞かせてほしいと思います。  それから、時間が大変なくなってしまいましたので、北富士演習場使用協定によって過去五年間使用された中で、実際にここでもってどの程度演習したか、演習の回数、それから日数、それから演習された人員、それから米軍がどの程度ここを使用したか、こういった問題をひとつ説明していただきたい。  それから最後に、核兵器使用の訓練のことですが、使用協定の別紙の「条件」の中の二で、自衛隊はこの北富士演習場で核兵器とか毒ガス、こういったものは使ってはいけない、こうなっている。そうなると、持っているからそこへ書いたのであって、持ってなければそんなことを書く必要はないと思うのです。どうしてこういうことが入ったのか。核兵器を持っているんでしょう、自衛隊は。そう思うのですが、その辺、ひとつ一緒に答えてもらいたい。
  34. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど来から入会権とか林雑補償とかいろいろありますが、これはわれわれも十分にいままでの慣行を尊重しなければならぬことは当然であります。ただ、私は鈴木委員にもお願いしたいのだけれども、忍野に一つ別に組合がある。こういうものが一本にならないところに演対協というものができておるわけでありますが、これを一本にして、そしてともにできるだけの——日本国民である以上、東富士北富士で一体何が違うのだというようなことをやっていただくところにも、一歩前進というものがあると私は思うんですよ。ひとつそういう面では、先ほど来から申し上げましたように、御協力を願いたいと思うわけであります。
  35. 高島正一

    ○高島政府委員 自衛隊及び米軍演習はどの程度やられておるかということでございますが、自衛隊について申しますと、一般訓練が四十八年度百二十六回、四十九年度二百六十九、五十年度三百三、五十一年度三百十二、五十二年度三百十八ということでございます。  射撃訓練は、同じく、四十八年が五十八、四十九年が四十九、五十年が百七、五十一年が五十五、五十二年が百二十四、総計いたしまして、先ほど大臣からお答えいたしましたように、自律隊が四百九十四日使っているということでございます。  米軍につきましては、四十八年度が百、四十九年度が六十三、五十年度が五十七、五十一年度が四十四、五十二年度が二十三、これが一般訓練でございます。  同様に射撃訓練は、四十八年が六十、四十九年が二十七、五十年が二十五、五十一年が九、五十二年が二十二という状況でございます。  なお、先ほど、核兵器の問題につきまして、なぜそのような協定を結んだかというお尋ねがございましたが、御案内のように、東富士演習場におきましては、昭和三十四年に使用協定を結んだわけでございます。その際、地元から、核兵器は使用しないということの強い要求があったわけでございます。  私どもといたしましては、当然そうことには触れる必要はないという考えが実はあったわけでございますが、地元からの強い要望でそれを明記したということでございます。それに準じて北富士においても協定に入れたということでございます。
  36. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 核兵器を持っているかどうかと聞いているのですよ。
  37. 高島正一

    ○高島政府委員 当然、北富士に核兵器は持っておりません。
  38. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 御説明させていただきます。  東富士有料道路のルートの選定に当たりましては、地形、地質、気象等の自然条件、演習場の機能、自然環境に及ぼす影響等について十分配慮する必要があり、現在まで鋭意調査を進めてきた結果、基本的な路線位置につきましてはほぼ調査を完了いたしております。このルートにつきまして、今後とも関係機関との調整を図り、事業計画を早期に確立してまいりたいと考えております。
  39. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 毎年毎年同じことをあなたはここで言っているのです。もっと具体的に——千二百メートルのところを通るという一応の計画があった。ところが、防衛庁がこれに反対してつぶれている。今度は二百十ヘクタールといまの演習場の間を通そうとしているんだが、そこは払い下げているところですから、それだけまた地積が減るから、それで困っているんでしょう。  それは、防衛庁長官、あなたの方に責任がある。このおくれている理由は、私はそう見ているのです。建設省はもうとっくにそのルートを決めて、やりたいのだけれども防衛庁がそういうことですから、ひとつやってくださいよ。
  40. 塩崎潤

    塩崎主査 時間が経過いたしましたから、簡潔に願います。
  41. 金丸信

    金丸国務大臣 私が建設大臣をやっておりましたとき、あれを調査費をつけまして実施しようとしたら、あそこの山中湖の村長選挙のしわ寄せが、いわゆる反対が出てまいりまして、そうしたら、そのときが石油ショックということで、ああ待ってました、それじゃやめましょうということで……。  しかし、私は、いま鈴木先生がおっしゃっているように、これはやるべきだ、あの夏の日の渋滞を見ておったら、環境庁が何だかんだ——いまの渋滞が環境を悪くしておるということですから、道路をつくらなくてはだめだ、そういう意味で、民生安定の上からもこれをつくりたい、こう考えておるわけであります。
  42. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 どうもありがとうございました。
  43. 塩崎潤

    塩崎主査 以上で鈴木君の質疑は終了いたしました。  次に、小川新一郎君。
  44. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 私は、竹島問題と防衛についての関連性をお尋ねいたします。  竹島は、日本の領土であり、島根県の一部であるということは政府もすでに認めているところであります。私は、昨年の分科会において、外務省に対し早期解決を強く求めました。しかし、依然として今日も解決せず、昨年八月末、海上保安庁の巡視船「くずりゆう」が竹島近海で韓国空軍に威圧的な行動を受けていることなどはきわめて遺憾であります。平和的外交手段によってこの種の問題は解決されるべきでありますが、この際、竹島に対する防衛庁長官の基本的な見解を聞いておきたいと思います。  一つ、竹島にはわが国の自衛権は及ぶと認識しているのかどうか。
  45. 金丸信

    金丸国務大臣 竹島は島根県の領域に入って、日本領土であることは間違いない。しかし、施政が現在行われておらない。いろいろ敗戦の結果のしわ寄せであろうと思うわけでありますが、そういうような状況の中で、基本的な考え方としては、平和的にこれの解決を図ろうということで、自衛権があるかないか、こういう問題については、施政が行われておらないわけですから、自衛権はあるのだけれども、自衛権を行使しておらないということですが、この問題につきましては、これは防衛庁の答弁する筋合いのものじゃない、外務省がやる仕事だと私は思っております。
  46. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 防衛庁長官、領土、領海、領空の保全が防衛庁の任務ですから、わが国の領土であり、わが国の島根県の自治権の及んでいるところであり、行政権はないけれども、島根県の所属であることは政府が認めているわけです。その領土、領海、領空の、わが国の領土に韓国が、これから申し上げますが、海上保安庁の報告によりますと、韓国軍の武装兵十三名、そのほか若干の軍事施設、機銃座ないし砲座があると言われております。この報告は、防衛庁は受けましたか。
  47. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 竹島につきましては、毎年海上保安庁が調査に行っておりまして、その報告を外務省の方にいたしておりますが、それを私どもの方もいただいております。
  48. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 私がいま言いました事実に間違いありませんか。
  49. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 そのような事実があるようでございます。
  50. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 わが国の領土に韓国の軍人十数名、若干の軍事施設が設けられているということは、ただいまの防衛庁長官お話によりますと、竹島には自衛権が及ぶ、こういう認識でございますから、これは侵略、侵入あるいは不法占拠または歓迎、この四つのいずれに当たりますか。
  51. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 お答え申し上げますが、侵略、侵犯という用語は、必ずしも正確に定義されたというわけではないと思いますけれども、現実の問題といたしまして、竹島の状況というのは、わが国の領土に対する不法な占拠であるというふうに理解いたしております。
  52. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 自衛権の及ぶわが国の固有の領土が不法占拠されている事実は、防衛庁としては、わが国の安全保障上支障があるという認識を持っているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  53. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 竹島が不法に占拠されているという現実の問題は、わが国の安全保障上は決して好ましいことではないと考えております。したがいまして、そういう意味では支障があるというふうに言えると思いますが、同時にまた、この竹島につきましては、安全保障の問題も考慮しながら、あくまでも平和的手段により解決をするということで、現在外交ルートで折衝いたしているところでございますので、防衛庁はこの方針を守っているわけでございます。
  54. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 長官にお尋ねいたしますが、ただいまの答弁の中で、わが国の領土であり、島根県の一部であるその竹島に、韓国の軍人が不法占拠しているということはお認めになりましたが、これに対して、防衛庁長官が、わが国の安全保障上の最高責任者として、わが国の安全保障上支障があると思いますか。
  55. 金丸信

    金丸国務大臣 わが国の安全ということで支障があるかないか、それは支障がないとは言えないと思いますが、ただいま説明がありましたように、ただいま平和的にこれを運ぼうという基本方針のもとに国がこれを進めておるということ。いま一つ、いわゆる北方四島の問題につきましても、日本の固有の領土であるということで、これと同じかというような考え方もあるいは持つかもしれませんが、私は竹島と北方四島の問題とは違う、こういうことだと思います。
  56. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 私は何も北方領土のことは聞いておりませんから、竹島のことだけお答えいただけば結構でございます。  竹島はわが国の安全保障上支障があるのですね。
  57. 金丸信

    金丸国務大臣 支障がないとは言えないと思います。
  58. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 ないと言えないということは、あると認識いたします。  そこで、竹島が韓国によって不法占拠されている、しかも防衛庁としてはわが国の安全保障上支障があるという認識が示されましたが、これはきわめて重要なことであります。外交交渉上独立国家であるわが国の主権が——自衛権が及ぶ、自衛の権利がある、しかもその自衛の権利があるけれども発動はできない、こういう外交上むずかしい問題を抱えながら、しかもわが国の安全保障上支障がある。まことに一見矛盾した、わが国の領土、領海、領空を保全する立場にある防衛庁としては初めてこの見解を出されたわけでありますが、かつて衆議院においてこのような見解を出されたことがありますか。あったら、その会議録もしくは委員会の日にちをお示しいただきたいと思います。なければないで結構です。きょうが初めてなら結構でございます。
  59. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私の記憶いたしておりますところでは、その支障があるというようなお答えを申し上げた記憶はございません。しかし、この日本の領土が不法に占拠されているということは好ましい事実ではないというようなことは申し上げたことがあったのではないかという気はいたしますが、私はちょっといま記憶いたしておりません。
  60. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 何もここは偽証罪を問うところのあれではありませんから、あなたの発言をどうのこうの言っているわけじゃないけれども、これは国際上韓国日本の外交上に大きな問題があるので、私も非常に神経を集中していま質問しております。でありますから、書いてまいったことを読み上げております。  あなたも、この問題は外務省の外交の問題の中で、新しく防衛庁がわが国の安全保障上重大な支障があるということを認めてこれから交渉しなければ、五十回も六十回も交渉しても、年々歳々エスカレートし、武装兵まで送り込み、機銃座ないしは砲座というような軍事施設までつくって、これでわが国の安全保障が全くできるということはだれ人も考えられない状態の中であるけれども、平和憲法下におけるわが国としては平和的手段に訴えてこれを解決していくのは当然であります。これは私もその意見には——その考えでありますからこの際明確にしておきますが、そういう立場に立って、平和的外交手段によって解決を求めるという態度は強力に要請すべきであります。その点については防衛庁長官の御苦衷もよくよく私も理解しておりますが、一面から見れば、私どもの国家が、国の主権という問題が侵害され、侵犯され、しかも防衛上支障があるということであれば、それは外務省としては当然それを背景にして交渉すべきであると思いますが、防衛庁長官としての御見解はいかがですか。
  61. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題につきましては、外務省と十分連絡をとりまして善処してまいりたいと思っております。
  62. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そういたしますと、わが国の竹島に対する自衛権がある、安全保障上重大な支障がある、これは福田内閣の意見として私は認めてもよろしいでしょうか。
  63. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたその「重大な支障」という意味の内容でございますが、先ほど来申し上げておりますように、日本の領土が不法に占拠されているという事実、このことはやはり好ましいことではないわけでございまして、安全保障全体から言いますと支障があるということでございます。
  64. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 福田内閣の統一見解として私が理解していいかということです。
  65. 金丸信

    金丸国務大臣 そういうむずかしいことになりますと、統一見解というのは、私一人で統一見解というものは申し述べるわけにはいかないわけでありますから、これは関係官庁と十分話し合いまして、後刻お話を申し上げるということにいたしたいと思います。
  66. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 すると、いまのお話防衛庁長官としての御見解ですね。
  67. 金丸信

    金丸国務大臣 さようでございます。
  68. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 次の質問に移ります。  いわゆる非常時立法、若干の基本的な問題から私は御質問いたしますが、国民にとってもきわめて重要な問題を含んでおりますが、その取り扱いについて慎重を期することは当然であります。いわゆる非常時、一朝有事、このために防衛庁があると私は理解いたしております。非常時立法という名前をつけるかつけないか、防衛庁には防衛庁のいろいろな名称があると思います。そのことをいま私は聞いているのではありませんが、名前はどうでも結構ですが、一朝有事、非常時の際に防衛庁が出動をする、その原則というものはどういうことかということをいまからお尋ねします。  かつて国会においてこの問題に対して研究しているかしていないかという質問がありましたが、これは他党の議員でございますが、質問したときの要点の中で、こういう問題は研究しておるという御答弁があったかに私は記憶しております。  そこで、その研究の枠の中で、平和憲法の枠を逸脱しないという大前提のもとで研究なさっているのかどうか。一朝有事、非常時というものは平和憲法ではもうこれは——平和憲法のもとで立法する、行動するということは、すべてこれは非常時じゃありませんから、一朝有事じゃありませんから、そういうときには平和憲法以外の問題、たとえば非核三原則を堅持されるのかどうか。特に米軍に核兵器の持ち込みを自衛隊が要請することはあり得るのかあり得ないのか、どう理解したらよいのか、これが一点。  二番目は、徴兵制を実施する考えがあるのかないのか。いまの志願制度で、敵弾が飛んでき、戦死者が出る、補充をしなければならない。私も戦時中一兵隊としておりましたが、七百万から一千万の国民に動員令がかかって、国民徴兵制をしいてわが国の防衛、安全ということで戦ったけれども敗れました。わずか十七万の陸上自衛隊の補充さえも、現在十五万五千と聞いております。こういう中で、果たして一朝有事のときに志願制で間に合うのかどうか、そういうときには徴兵制、国民動員というものをしくのかどうか。  三番目は、自衛隊は艦船、航空機その他いかなる手段、方法をもってしても相手国の領土、領域内まで行き行動することはあり得ないかどうか。自衛隊の行動の地理的範囲、限界なども研究なさっているのかどうか。  四番目としては、その研究の範囲の中に、政府は、いわゆる自衛隊の海外派兵は憲法上認められないが、海外派遣は必ずしも違憲ではないとしているようでありますが、海外派兵に当たらない自衛隊の海外派遣、たとえば在留邦人の生命、財産を守るために海外派遣という問題も考えられてまいりますが、そのような研究もなさっているのかどうか。  原子力潜水艦及び原子力を推進力とする自衛艦は、原子力基本法との関係で将来にわたっても防衛庁としては同法の改正なしには一切保持することはできないとされておりますが、これも研究の対象としているのかどうか。  一朝有事、非常時、いろいろな名前がつくでしょうけれども、超立法的な、超法規的な、この問のハイジャック事件のような、もっと大きな、大規模な国家的超法規的な問題を使わなければならないような事態が、不幸ではありますが、できたと仮定したときの非常時立法の研究というものがなされていると聞いておりますが、いま私が申し上げました一つ一つの問題について、まず第一番目は憲法の枠内でやっているのかどうか、憲法を逸脱しないのか、逸脱という言葉はおかしいが、憲法を超えるようなことでいま言ったような幾つかのことを研究なさっているのかどうか、まとめてお答えいただきます。
  69. 竹岡勝美

    ○竹岡政府委員 お答えいたします。  昨年の八月に、三原前防衛庁長官からわれわれに指示がございまして、有事に備えましての防衛庁としての必要な立法があるかどうか勉強しておけということでございまして、これは非常に重要なことでございますので、常に長官の指示のもとに、新しく金丸長官になられましたが、金丸長官の指示のもとにおきまして、官房長の責任のもとにおいていま勉強しておるところでございます。  もとよりわれわれの勉強の範囲でございますので、平時、有事を問わず、現行憲法の範囲内でわれわれは一体どういう法律が考えられるか、現行の憲法の範囲でわれわれは勉強しておるところでございます。御承知のとおり、有事といいますとわが国が戦乱のちまたになるわけでございますから、何といっても多くの国民の避難誘導等もございますし、あるいは自衛隊に対しまして多くの国民が応援してくれることも考えられますし、そういった問題で現在の法律だけで十分であるかどうかということの勉強を続けておるわけでございます。  それで、いまいろいろの御指摘がございましたけれども、われわれの勉強の範囲は、あくまでも現行憲法の範囲内でどこまでできるか、もちろん有事でございますから、憲法で保障された国民の基本的人権が最も危機になるときでございますから、その多くは憲法の範囲内でできると私は思いますけれども先ほど御指摘がございました非核三原則、これを撤廃するようなことは全く考えておりません。  それから、徴兵問題につきましても、徴兵制度につきましては現在の憲法を超えるものであるという従来からの政府答弁がございます。また、われわれも別に徴兵制度まで考えなくても、一たん有事になれば多くの国民が自衛隊を応援すると思うのです。いまの陸上自衛隊が十五万しかいないということでございますけれども、こんなものは完全に十八万の定員は充足できると思っておりますから、別に徴兵制度を考えるようなこともわれわれはしておりません。  それから、有事といいましても、われわれ憲法で認められておりますのは国家の正当防衛権ということで、この自衛権を行使するわけでございますので、ことさらに必要以上に相手方の領土へまで攻撃をかけるというようなことは、いまの有事立法の中でも全く考えておりません。  それから、原子力潜水艦、現在そういうことを、原子力基本法を外してそういう潜水艦を持つことを研究することは考えていませんし、また海外派兵、海外に行きまして武力を行使するというようなことは、現在憲法で認められております自衛権、国家の正当防衛権の範囲を超えるものでございますので、そういった点は全く考えておりません。あくまでも現行憲法の範囲内で何ができるかということの勉強を続けておるわけでございます。
  70. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 たいへん明快な御答弁で、よろしいと思います。  丸山防衛事務次官は、二月二十八日、一昨日午後、東京丸の内の日本工業倶楽部で開かれた政治問題懇話会で、ソ連太平洋艦隊の増強で自由主義国の海上輸送路は平時から影響を受けるので、日本がある程度独自の防衛力を保持しみずからの力で海上交通路の確保に当たる必要がある。今後、米ソのグローバルな対決は、まず北大西洋条約機構であり、以後中東、東アジアと続くだろうが、極東におけるソ連の戦力に関しては注意する必要があり、シベリア開発もそういう観点からながめる必要がある、と指摘されております。これはきわめて重大な内容を持つ発言であります。そこでお尋ねいたします。  一、ソ連太平洋艦隊の増強で平時でも海上輸送路は影響を受けているのか。二番目、ハワイ以西の輸送路確保のために自衛隊がこれに当たるということはすでに決まっているのか、防衛庁長官の方針を伺いたい、三番、極東におけるソ連の戦力に関しては注意をする必要があるということは、ソ連を脅威としてそれに対処する必要があるということではないのか。四番、シベリア開発は防衛庁としてはとめるべきだという考えなのか。これは防衛庁の役人の言うべき筋のものなのかどうか。日ソ経済関係の見直しまたは中止という考えが含まれていると思うかどうか。五番目、丸山発言は特定の国家を名指しで挙げ、まさに自衛隊の仮想敵国視していることにほかならないと思うけれども、以上五点について防衛庁長官の御見解を承りたいと思います。
  71. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 大臣の御答弁の前に事実について申し上げますが、丸山次官が講演の中で海上交通路の保護というようなことを話しておるようでございますが、これは御承知のように、ブラウン長官がロサンゼルスで講演をいたしております。そういったものを引用しながらお話しになったと聞いておりますが、いわゆる海上の護衛の問題でございますが、これにつきましては、海上自衛隊の発足以来私どもは海上の護衛能力というものを整備し、訓練をしてまいっております。した、がいまして、私ども日本の近海、周辺におきます護衛能力というものは持ちたいということでございますが、ハワイあるいはそういった遠距離までのことは当然考えていないわけでございます。  それから、極東のソ連の戦力につきましては、これはソ連という国は日本の周辺の一つの巨大な軍事力を持っている国でございます。したがいまして、この軍事力の動向については私どもは常に検討し、情報を集めているということでございます。  シベリア開発につきましては、これは防衛上の問題ではございませんで、日ソの経済協力の問題でございます。したがいまして、防衛庁がこれに対して反対であるとか、そういうようなことは述べたというふうには聞いておりません。  以上、丸山次官の発言の内容について御報告申し上げます。
  72. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 私どもは丸山さんの発言を直に聞いたわけじゃございませんから、丸山さんの発言の速記録を後日要請いたしたいと思います。  それから、私、いま棒読みでいきましたから、一つずつの反論をいたしますけれども、まずソ連太平洋艦隊の増強で平時でも海上輸送路は影響を受けているのかどうか。
  73. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 失礼いたしました。  平時におきます影響は受けておりません。
  74. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 ハワイ以西の輸送路確保のため自衛隊がこれに当たるということは、いま私は聞きましたけれども、重ねてお尋ねしますが、これはすでに決まっているのか決まっていないのかということを明確にしていただくとともに、なぜこのような発言をしたのですか。
  75. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私どもはそういうことは考えておりませんし、能力も持っておりません。ただ、ブラウン長官の発言の中にそういうものがあったということを紹介したのではないかというふうに考えております。
  76. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 この認識は私とあなたとは違いますから、ここで短い時間でやりとりしても平行線でありますから、後日速記録を見て判断いたします。  三番目に、極東におけるソ連の戦力に関しては注意する必要がある、この「注意」ということは、ソ連を脅威とするか、またはソ連に対するわが国の防衛に何らかの支障があるか、そういった面でこれは防衛庁としても常に研究対処をしているということの裏づけを発表したと思いますが、名指しでソ連という名前を使ってこういう公の場で防衛庁の事務次官が言うことはいかがなものかと私は思うのでございますが、その点について、これは次官の問題でございますから、長官にお聞きしたいと思います。
  77. 金丸信

    金丸国務大臣 私もその講演の内容は新聞でちょっと見た程度でありましたが、ただ本人も、あっちからもこっちからも電話があって、いろいろニュアンスもお互い人間にはあることですから、そういうような面でオーバーに書かれて、実に迷惑しておりますと、こう言っておるところを見ると、先生が指摘するのとはえらく違っておるのじゃないかという感じが私はいたします。
  78. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そういうオーバーに伝えられたり間違って報道されたりすることは、本人にとっても迷惑でございますし、国防上大きな責任を持つ防衛庁の指導者としても、これは遺憾なことと思います。そういう誤解を受けたり、また間違って伝えられるような発言は——これはいずれが正しいかということはいまここでははっきりいたしませんから、防衛庁長官の言を信ずる以外ありません。私もその場にいたわけじゃございませんから、新聞報道を基盤として質問しているわけでございます。御認識いただきたいと思います。  それから、シベリア開発は防衛庁としては云々ということ、何でシベリア開発の発言が——これも間違って伝えられてオーバーに伝わったのですか。これこそ本当に何にも関連性がないと私は思うのですが、いかがですか。これはシベリアなんていう言葉は全く出てこなかったのですか。
  79. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私もこの講演の場にいたわけでございませんので……(「速記録を取り寄せよ」と呼ぶ者あり)速記録が残っているかどうかちょっとわかりませんが、それは至急調べたいと思いますけれども、その点はよくわかりません。
  80. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 特定の国家を名指しで挙げ、まさに自衛隊の姿勢の中で私どもは理解できないことではないと思いますけれども、そういうことが果たしていまの自衛隊防衛庁の幹部としてとるべき姿であるかどうか。それも言ったか言わないか、オーバーに伝わったのか伝わらないのか、ここで何も罪人扱いしているわけではございませんけれども、これから明確にしていただいて、間違ったものならこれは結構でございます。どうかひとつ、その点ははっきりしていただきたいと思います。  私の質問は以上をもって終了いたしますが、最後に一点だけ、地元の問題で恐れ入りますが、所沢に百十五メートルの大鉄塔がいまつくられております。これは完成がいつなのか在日米空軍に問い合わせをして聞いても明確にお答えがいただけません。この鉄塔で付近住民のテレビ、ラジオの受信に非常に影響が出ております。四千五百戸の公団住宅建設が予定されているところでございますし、この建設により所沢基地の全面返還はもうないということが確定づけられたようで、非常に地元所沢市民としてはいま心配をし注目をしておりますこの百十五メートルの大鉄塔、防衛庁はどのように在日米軍から報告を受けているのか、内容について、完成期日について、またその目的、使途、影響等について、おわかりの程度で結構ですから、御説明をいただきたいと思います。
  81. 亘理彰

    亘理政府委員 お話のように、ただいま所沢におきまして百十五メートルのアンテナを建設中でございますが、これはいきさつを申し上げますと、地元所沢市から、周辺の開発に伴います人口増加に対処するために、学校等の建設用地として米軍施設の一部返還について御要請がございまして、対米折衝をいたしました結果、米側から、所沢及び入間にあります通信用鉄塔の代替施設を提供するということを条件として、地元の御要望を含めて、そのほかいま入間に残っております施設等も返還する旨の合意を見たところでございます。現在、この合意に基づいて、この通信用の鉄塔の移設工事を実施しているわけでございますが、これは大体この年度末、三月末までに終わる予定でございます。それから、この目的は、マイクロ通信の鉄塔でございまして、横田との間の通信を行うということでございます。  それからなお、テレビ等の障害の問題につきましては、今後この障害が発生した場合に十分調査いたしまして、しかるべく障害防止措置を図ってまいりたい、こう考えております。
  82. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 在日米軍のその横田との関係は、所沢におけるいままでの基地機能よりも一歩前進していると受けとめてよろしいのですか、その鉄塔が建つことによって。
  83. 塩崎潤

    塩崎主査 答弁は簡潔に願います。
  84. 亘理彰

    亘理政府委員 特に新しい内容ということではないと思います。所沢は航空機との通信をやっているわけでございますが、その横田の通信所と所沢との間のアンテナは、現在所沢及び入間にある施設がございますが、それの代替施設として提供いたすわけでございます。
  85. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 終わります。
  86. 塩崎潤

    塩崎主査 以上で小川君の質疑は終了いたしました。  次に、井上一成君。
  87. 井上一成

    井上(一)分科員 まず、過日、ソ連が一方的に発表したとはいうものの、日ソ善隣協力条約について防衛庁長官はどのような御感想をお持ちでしょうか、お聞きをいたします。
  88. 金丸信

    金丸国務大臣 一方的な条約をソ連が発表したということについてどういう感じを持っているか、日中条約と対比して、とこういうことですか。——外務大臣も一方的な発表につきましては非常に憤慨をしておる話も耳にしたのですが、日中条約が推進されるというようなこともあるからあのようなことも出てきたのじゃないかと私は思うわけでありまして、まあ、これは推測ですから、当たるも八卦当らぬも八卦というようなことになるのですが、日中条約を推進しても、いろいろ問題はあるかもしらぬけれども現状がえらく変わるということは考え得られないというように私は感じております。
  89. 井上一成

    井上(一)分科員 なお、さらにその条約の中には軍事協力的条項が一部含まれているわけなんです。そういう点については防衛庁長官としてどう受けとめていらっしゃいますか。
  90. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま委員長の御指名がございましたので、答弁申し上げます。  私も善隣友好条約を詳しく読んだわけでございませんので、特別の感想というものは持っておりません。
  91. 井上一成

    井上(一)分科員 私は防衛庁長官にぜひこのことについてはお答えをいただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  92. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいま防衛局長お話ししたようなことになるわけでありますが、こんな無礼なものを発表して、読むに至らぬ。内容を私は見ておりません。
  93. 井上一成

    井上(一)分科員 読むに至らない、無礼であるというお答えでありますけれども防衛庁長官としてぜひ一読をされて、内閣の統一見解は示されておりますけれども、やはり長官としてのお考えをいずれかの機会に聞かしていただきます。  さて、次期要撃戦闘機だとして防衛庁が今回採用を決定したいわゆるF15についてお尋ねをいたします。  F15の訓練空域は陸地から最低五十マイルを離れなければいけないし、半径百四十マイルが必要である、最も遠い場所で三百三十マイル離れなければいけないことになるわけであります。そういう訓練空域を果たして設定できるのであろうかということであります。どこにこの訓練空域を設定なさろうとしていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  94. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 御承知のように、現在、航空自衛隊のジェット戦闘機の訓練空域に関しましては、運輸省との話し合いによりまして訓練空域を設定し、その以外のところでは訓練できないことになっておりますが、現在、ジェット戦闘機の高高度訓練空域としてたしか十二カ所、低高度訓練空域として九カ所、二十一カ所の訓練空域が認められております。F15につきましてもこの十二カ所の高高度訓練空域を使用して訓練することになろうかと思います。
  95. 井上一成

    井上(一)分科員 いまのお答えで、それではあくまでもF15の訓練空域は運輸省から許可のある既存の設定された空域内で訓練をするのだということでございますか。
  96. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 現在私ども使用しております訓練空域については、いずれも海上遠くにあるということ、それから狭い、それから数も少のうございますので、全般的にはなお一層訓練空域の拡充増設ということについて運輸省にお願いをしている段階でございますが、現実問題としてなかなかむずかしい事情にございます。したがいまして、われわれとしては、現在持っております訓練空域の中で訓練を重ねるということに相なろうかと思います。
  97. 井上一成

    井上(一)分科員 今後の問題として、たとえばアメリカに派遣をして訓練、演習を行うということはお考えなのですか。
  98. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 ただいま申し上げたような訓練空域の制約というものがございますので、私どもとしては、アメリカで現在西独その他もそういったアメリカ本土における訓練というものを実施しておりますが、そういう形、あるいはどんな形にしろそういうことが可能かどうかということの基礎的な勉強をしておりますが、現在、直ちにそういうことができるかどうか、あるいはいつからできるかというふうな具体的な成案をまだ得ている段階ではございません。
  99. 井上一成

    井上(一)分科員 それでは、アメリカへ派遣しての訓練、演習というものは今後も起こり得ないということが断言できますか。
  100. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 現在検討しているということでございまして、できるかできないかということをいま検討しているわけでございますので、可能であれば、訓練効率を上げるという意味から、しかもそれがわが航空自衛隊の練度向上に役立つということであれば、私どもとしてはそういう方向に持っていきたいという希望は持っております。
  101. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、それはでき得ない、アメリカで訓練、演習をすることはわが国の憲法に反するという考えを持っております。まだ検討中であるということの段階で、いまの既設の設定された訓練空域の中でF15は現実問題として訓練はでき得ないでしょう。
  102. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 現在持っております訓練空域は、先ほど申し上げたように、いろいろな制約、狭いとか遠いとかいうふうないろいろな制約はございますが、現在のファントムにしましても104にしましてもそこで訓練をしておるわけでございます。F15につきましても、同様の制約はあろうかと思いますが、できないというふうには考えておりません。
  103. 井上一成

    井上(一)分科員 おかしいじゃないですか。それでは、このF15の持つ性能を出し切った訓練というものはでき得ないというふうに理解してよろしいですか。
  104. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 F15の訓練がどの程度の機能を発揮した訓練ができるかということについては、いま定かに私、資料を持ち合わせておりませんが、超音速の訓練、戦闘訓練等もできるというふうに私は思っております。  それから、先ほどアメリカに行って訓練することが憲法違反ではないかとういふうなお話がありましたが、現在われわれとしては、海上自衛隊護衛艦、潜水艦、それから対潜哨戒機もハワイに行って、われわれが持っていないところの訓練施設を利用して訓練効率を上げた訓練を実施しておりますし、それからナイキ、ホークの年次射撃等につきましてもアメリカ本土に行って訓練しておるわけでございます。そういった意味で、われわれとしては航空自衛隊の教育訓練をアメリカに持っていくことが直ちに憲法違反になるとは考えておりません。
  105. 井上一成

    井上(一)分科員 いまのお答えで二つの問題が出てきたわけです。一つは、F15アメリカ派遣をすることについては、私はアメリカでの訓練は憲法違反だ、そうじゃないというこの一つの論点。それからもう一つは、既存の設定された空域で訓練が可能であるかどうかわからない、いま検討中である。そういうようなことを検討もしないで購入するということは、まことにもって一般ドライバーがレーシングマシンを買うようなものですよ。そんな不謹慎な形の中でF15の機種選定をされたのか、重ねてこの点についてのお答えをいただきます。
  106. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 私、訓練ができないということを申し上げたのではなくて、訓練空域は現在でも遠いとか狭いとかいうふうな制約はございますが、訓練ができないとは申し上げたことはございません。現在のファントムF4Eでも104でも訓練を実施しておるわけであります。F15についても同様にできると確信をしております。
  107. 井上一成

    井上(一)分科員 それでは、後段での質問、いわゆるアメリカに派遣をすることを検討する必要がないわけであります。
  108. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 先ほど来申し上げましたように、訓練空域が、たとえば現在の訓練空域はいずれも基地から違い海上に設置してございます。そういったことから、訓練空域への往復に時間をとるというふうなことで訓練効率がきわめて阻害されておるわけでございます。そういった意味で、より自由に訓練ができるのであればアメリカに行くことを考えた方が効率的ではないかというふうなことから、いま基礎的な検討を始めた段階でございますし、まだ行くと決まったわけでもございませんが、われわれとしては訓練空域で訓練ができないというわけではなくて、いろいろいま申し上げたような制約がある、それを効率的に実施し得る方法がほかにないだろうかということを検討しているわけでございます。
  109. 井上一成

    井上(一)分科員 非常に詭弁というか、大変矛盾したお答えをいただいておるわけであります。このことについては、私はアメリカでの訓練、演習というものは憲法違反であるということは先ほどから申し上げたとおりであります。  そこで、仮定の問題ということになるとお答えがいただけないかもわからない。では、アメリカで訓練のできるあるいは演習のできることをいま検討中であるというお答えがあったわけでありますが、どの範囲内において検討なさっていらっしゃるのですか。
  110. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 先般もこの種の質問があったわけでございますが、私どもといたしましては、そういうことが可能かどうか、それから西欧各国においてはどういう形でアメリカに訓練に行っているのかというふうな基礎的なところから勉強しているということでございます。
  111. 井上一成

    井上(一)分科員 まさになし崩し的な形の中で憲法の基本的精神から逸脱をしようという、非常に誤った、エスカレートしていく傾向があるということを私はここで強く指摘をしておきますし、鋭い反省を求めたいと思います。  私は、いわゆる核兵器を想定した中での演習ということも、これまたあなた方のいまの論法からいけば想像ができるのではないか、こういうふうに思うのです。もし仮にアメリカに訓練、演習に行く場合でも、わが国の領空外で他国機との不時の遭遇によって威嚇攻撃を受け得る、そんな場合はどのように一体対処していくのか、それが自衛と言えるのかどうか、あるいは大規模な戦闘訓練を行うことは、それ自体が他国に対する武力による威嚇行為だ、あるいは脅威を与えるのだというふうに解釈をされるおそれはないのかどうか、全くその辺についてのお答えがないわけであります。  それとアメリカに派遣すること、派遣して演習することを検討しているというお答えの中で、くどいようだけれども、具体的にいま防衛庁ではどの部分までなら可能であるということをお考えなのでしょうか。
  112. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 どの部分まで可能かどうかというところまで、まだ具体的に先ほど申し上げたように詰まっているわけではございません。ただ、私どもとしては、そういうことが物理的に可能かどうか、西欧各国はどういうふうにしているのかというふうな基礎的な勉強を開始した段階でございまして、いま直ちにどこまでができるか、どういう形でいまわれわれがやるべきかというふうなところをまだ具体的にお話しできる段階ではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  113. 井上一成

    井上(一)分科員 いつの段階をめどに検討なさっていらっしゃるのですか。
  114. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 できるだけ早く結論を出したいと思っております。
  115. 井上一成

    井上(一)分科員 防衛庁長官にお尋ねをいたします。  いまのお答えのように、F15を購入しても、どこで訓練をしてどの程度の訓練ができ得るのかわからない現状である、検討中である、そんなときに、いかがですか、莫大な国家資金を投じてF15を購入する必要がおありなのでしょうか。まさに先ほども申し上げたように、おもちゃとしてのレーシングカーを与えるにすぎぬと言っても過言ではないと私は思うのです。いかがですか。
  116. 金丸信

    金丸国務大臣 私はたびたび申し上げておることでございますが、戦闘機の減耗を埋めなければならぬ、そういうことでございますから、F15を入れるということになったわけであります。  先ほど来から飛行機の訓練空域、あるいはアメリカというような問題も出たわけでありますが、遠方の海上で演習するその行き帰りという問題が相当のロスもあるというようなことの中で、一応ドイツはアメリカへ行ってそういう練習をしておるということ、そういうようなよその国もやっていることであるからやれるのかやれぬのか。えらく差し迫って訓練する空域がないからということでなくて、いわゆる国家経済のできるだけ効率のあるという考え方からそういうような考え方が出ておるわけでありまして、練習空域がない、こういうことでアメリカへその練習空域を求めるという考え方で、いま先生からおっしゃれば、こじきが馬もらって扱いに困っておるじゃないか、こういうような御説明でありますが、そういう考え方ではないということだけは御理解をいただきたいと思うわけであります。
  117. 井上一成

    井上(一)分科員 長官、全くこれはおかしな話で、練習をする場所もない、あるいは計画も立たない、そんな中で高い買い物をしていく、全くこれはナンセンスだということです。私は、F15をいまさら買う必要はないし、そのような国家資金はむしろむだな資金投資である、こういうふうに思うわけです。この点についてはいずれかの機会にまたさらに詳しく質問を続けます。  そこで私は、防衛庁が編集をし、小冊子にしておる「防衛アンテナ」の中に、F15の必要性の中から「米空軍がF14の後継機として開発した戦術戦闘機であり、戦域における制空戦闘を主任務とし、」云々と書かれておるわけであります。この「戦域」というのはどういう意義なのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  118. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 航空機の中には戦略的な航空機があります。それから戦術航空機というものがございます。F15あるいはF16、そういったものはいわゆる戦術航空機でありまして、ある一定の空域において、その空域におきます制空権を確保するための戦闘機であるということでございます。
  119. 井上一成

    井上(一)分科員 私が尋ねているのは、ここに書かれた「戦域」とは何か、すでにいわゆる戦闘が始まっている地域を指すのか、具体的な「戦域」の定義をひとつお教えをいただきたいということであります。
  120. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは戦闘が始まっている場所とか、そういうことではございませんで、非常にグローバルなもの、ある一定の空域——これは定義として何キロ平方ということはございませんけれども、ある一定の空域という意味で「戦域」という言葉が使われているわけでございます。
  121. 井上一成

    井上(一)分科員 さらに角度を変えて私はこのF15の問題について質問を続けたいわけでありますが、限られた時間ですので、このF15についてもいずれかの機会にさらに質問を続けます。  ところで、P3Cについて若干お伺いをいたします。  原潜を探知するという一つの必要性が端的に言えばP3Cの必要な大きな意義だ、このように理解を求めていらっしゃるわけですけれども防衛庁長官、そのように理解をしてよろしゅうございますか。
  122. 金丸信

    金丸国務大臣 そのとおりでございます。
  123. 井上一成

    井上(一)分科員 そこで、私はお聞きをしたいのでありますが、原子力潜水艦を保有する国はどことどこと、どこの国でありますか。
  124. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 極東に配備されておるものといたしましてはソ連がございます。中国がございます。それからアメリカでございます。
  125. 井上一成

    井上(一)分科員 日米防衛協力小委員会というものが発足をしているわけでありますね、五十一年の七月、時の坂田防衛庁長官アメリカ側との。そして防衛に関する打ち合わせがなされているわけです。そういうことになりますと、いま保有国であるソ連、中国、アメリカのうち、アメリカとは有事の場合のそれに対応すべき協力あるいは戦術も含めて打ち合わせがなされているわけなんです。さすれば、アメリカを除いた中国、ソ連ということに位置づけをしていいのですか。
  126. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 現実にいま保有しておりますのはソ連と中国でございます。しかしながら、このP3Cというのは、御承知のように、一九八〇年代から恐らくは九〇年代いっぱい使用することになると思いますが、その時点になりますと、軍事技術の趨勢からいたしまして周辺諸国にもやはり原子力潜水艦の出現ということがあり得るというふうには考えているわけでございます。
  127. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、莫大な国家資金が防衛費に投じられていくことに一定の歯どめをしなければいけないという考え方を持っているわけです。そういう中で、現段階では中国、ソ連の二国である、それに対しての探知を必要としてわが国はP3Cを持ったわけですか。
  128. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 従来持っておりましたP2Jは、主として通常型の潜水艦の探知、捜索というものが可能でございます。原子力潜水艦になりますと二つの点がございまして、一つは水中におけるスピードが非常に増したということ、それから水上に浮いてくるという機会が非常に少なくなったということ。そういうことから、こういうものをカバーできるものとしてP3Cの能力を評価しているわけでございます。
  129. 井上一成

    井上(一)分科員 わが国のP3Cの役割りというものはソ連の原潜——いや中国も保有しているが、まさにソ連の原潜を探知するためであるのかどうか、私はこれを尋ねているのです。
  130. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 大変お答えしにくいわけでございまして、それは仮想敵という問題ともなるわけでございますけれども、現実に原子力潜水艦を数多く持っているのはソ連の海軍であるということは間違いないわけでございます。
  131. 井上一成

    井上(一)分科員 それなら、非常に答えにくい答弁だと言いながら、数多く持つソ連の原潜を探知しているのだ、こういういまのお答えなんです。それは即わが国の自衛のための仮想敵国を位置づけていることになりはせぬでしょうか。
  132. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私どもは仮想敵ということは考えておりませんで、日本の周辺諸国の軍事情勢というものが脅威に転化したような場合に、日本の自衛権を行使するためにはどういう能力が必要であるかというような観点から防衛力を整備しているわけでございまして、ソ連を仮想敵と考えてやっているということはないわけでございます。
  133. 井上一成

    井上(一)分科員 当然、ソ連の原潜を主体にしてP3Cがその任務についている、こういうことですね。そういうことはお認めになるわけですね。
  134. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 現実に多くの原子力潜水艦を保有しているのはソ連でございますから、有事になった場合にはそれが脅威になるであろうということは考えているわけでございます。
  135. 井上一成

    井上(一)分科員 ソ連の原子力潜水艦が脅威になる可能性があるという認識をしていらっしゃるわけですね。
  136. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 周辺諸国の軍事力というものは日本にとりまして脅威になる可能性のある潜在的な能力というふうに考えております。その一つであるということは間違いないわけでございます。
  137. 井上一成

    井上(一)分科員 最後に、私はもう一点。  これは戦後、防衛庁の防衛研修所の戦史室からの著として出版された出版物でありますけれども、これについて再三当局に私の方から、具体的に事実誤認あるいは個人的な名誉のためにもぜひ訂正方を強く要望しておったわけでありますが、この機会に、「昭和二十年の支那派遣軍(2)終戦まで」という出版の中で事実に相反した部分があるので即刻訂正をし、かつ関係者にその経過また結果を通知するようにお願いをしたいわけでありますが、いかがでございますか。
  138. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 先生御指摘のことにつきましては、昭和四十八年三月に発行しました「昭和二十年の支那派遣軍」の第四章江作戦の中の一部であろうかと思います。これにつきましては、当時の作戦が非常に苦戦をした、生き残りの方も少ないというふうなことから、生き残りの方の回想を主にして記述している部分でございますが、それにつきまして大阪在住の尾崎さんという方から、誤りがあるというふうな指摘を受けていることは承知しております。これにつきましては、現在、防衛研修所の方から再三この尾崎さんと御連絡をとりながら、どういうふうに直すべきかということについて具体的に御相談をしている段階でございますが、具体的な指摘がない。それから、尾崎さんからいろいろ手記の提供を受けておりますが、われわれとしては、まだどれが正しいか、間違いであるかというふうなことがはっきりいたしませんので、後刻資料の整備その他を待って、もし誤りがあれば、改訂版の発行に際しては善処するなり、しかるべき措置をとりたいというふうに考えております。
  139. 塩崎潤

    塩崎主査 以上で井上君の質疑は終了いたしました。  午後二時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時三十七分休憩      ————◇—————     午後二時十八分開議
  140. 塩崎潤

    塩崎主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。原茂君。
  141. 原茂

    ○原(茂)分科員 私は、かねてから、防衛施設庁北富士演習場にかかわる林雑補償金の支払いに関しまして、法的にもまた実態的にも多くの疑義を抱いてまいりましたが、きょうはこの問題にしぼりまして伺いたいと思います。  時間がありませんので、一括してまず質問をさせていただきます。  前に見ていただきました資料を見ながら、まず防衛庁長官の総括答弁をお願いして、会計検査院の全体的な答弁をいただいた後に大蔵省、防衛施設庁建設省などから答弁を順次いただきたい。時間がありませんので、時間切れとなりませんように御協力してくださって、要領よく短く答弁をしていただきたいと思います。不満足な答弁や再質問の必要なものに関しては、後日また決算委員会において引き続き補足をさせていただき、いずれにしても前々から申し上げてまいりましたように、何とかして年度がわりまでには北富士関係の諸問題の解決をというのが私の念願でございますので、それを前提にしてこれからお伺いをいたします。  さて、この林雑補償に関しましては、すべてを北富士演対協の会長に白紙一任をしなければならないとするいわゆる処理要領行政、これに対して、法的疑義というよりは、もう疑義の典型だというふうに私は考えております。  だが、それにもまして驚くべきことは、その実態において、全く受給資格のない者へ林雑補償金の支払いが行われている、この点であります。私は、これらの点に関しまして、私の調査した結果に基づいて、防衛施設当局その他に説明を順次求めていきたいと思います。  第一に伺いたいことは、昭和五十一年度分林雑補償金支払い手続に関して、周知のごとく、北富士において林雑補償金を受け取らんとする者は、まず所属入会組合長に申請行為の代理を委任し、さらに組合長は、演対協会長を副代理人とするということにおいて、林雑補償金を受け取ることができるようになっております。これがいわゆる処理要領に規定されている支払い手続であります。  ところで、この処理要領が策定された昭和四十八年二月十七日以降の林雑補償金の支払い手続にあっては、申請者たる本人はその白紙一任の委任状にただ認印を押すとか、ひどい組合においては、本人の了解もとらずに、組合で保管している認印を勝手に押して、委任状を作成することをもって、林雑補償金申請行為がすべて自動的に完了することになっていたのが今日までの実態であります。  しかるに、去る一月三十日、演対協会長は、傘下入会組合長に対し、五十一年度分の申請行為にあっては、いままでのように認印だけではだめだ、実印を押せという変更の命令を出しました。  ここで会計検査院にまずお伺いしたいのですが、国の補償金等の金員の支払い手続にあって、実印でなければその効力がないとするような例があるのか、承知している限りで結構ですから、教えていただきたいと思います。  なるほど、公正証書の作成とか不動産登記にあっては実印が使用されるということは、慣習上重要な取引であると考えられて慎重な取り扱いをするために実印が押されているというふうに考えております。  しかし、私が問題としているのは、国の補償金等の金員の支払い手続に限定してであります。この限定の枠内で、実印でなければならないという例があるのかどうかを教えていただきたいのであります。後で答弁をいただきますが、認印ではだめで実印でなくてはとするのは、きわめて特殊異例と考えられております。  そこで、防衛施設庁に尋ねますが、施設庁当局は、かかる特殊異例な支払い手続をとることをみずから指示したのか、それとも演対協会長独自の判断でこのようにしたのか、そのいずれであるかを明らかにしていただきたい。また、北富士以外、たとえば東富士の場合は一体どうしているのか。もし東富士が認印であるとすれば、どうして北富士だけが実印にしなければいけないのかという問題が起きてまいります。  後での答弁になるので先に言っておきますが、いすせれにしても、申請人は実印を押すことを強制されているのが現状であります。したがって、施設庁は知らぬではまかり通らないと思う。当然知ってやっていると私は思うのであります。  言うまでもなく、防衛施設庁の林雑補償金の支出の根拠は、林野雑産物損失補償額の算定基準(三十六年調達規第三十七号)で決まっておりますが、そこで明らかにしているように、関係農民が入会慣行のある林野において事実上収益してきたいわゆる採取行為が、その林野を演習場に提供することによって阻害された。したがって、現実にこうむる損失を補てんする必要があるということからこの補償制度が起きているところにあります。  このことは、昭和三十六年十月十二日、故山本伊三郎参議院議員の質問に答えた内閣答弁書においても確認されております。すなわち、林雑補償の実損主義、つまり実損ある者のみが受給資格を有するとするのが林雑補償制度なのであります。  したがって、林雑補償の申請をなす者は、その申請につき、申請理由等を記載いたしまして、その実損の立証にかわるものとして、農家経営実態表を添付しなければならないということにもなっております。  しかし、私の調査したところによりますと、どう寛大に見ても林雑補償制度になじむ部落、すなわち農家経営上どうしても採草等のため演習場への立ち入りを必要とする部落は、忍草、新屋両部落以外にありません。  しかも、特に重大な事実は、その採草等を必要不可欠とする忍草、新屋両部落においてさえも、現在は牛草刈り、屋根用のカヤ刈り、十六手切り等以外に立ち入りの事実は全くない。堆肥の状況などは、青草堆肥は皆無であります。  また一方、そだについても、富士吉田市は都市ガスを主として、他はプロパン、石油。山中湖村もプロパン、石油。山村と言われた忍草ですら現在はプロパン全戸普及によって、いろりはあっても、そだの使用は全くありません。  このことは、私が山中湖村、忍野村、富士吉田市内の二回にわたる調査及び演習場内の草刈り、そだ切りの三回にわたる跡地調査、特にそのうち一回は防衛施設庁の指定したその写真の——これをちょっと長官のところに持っていってください。写真を一応ごらんいただきたいのですが、ここの写真にありますように、その写真の第一ページの図示のごとく、山中、忍草、新屋等の草刈りをしたと称する個所の跡地調査をしても、その写真のごとく採草の形跡は全くありません。同じく防衛施設庁の堆肥のある家と指定した新屋部落の小俣英一、小俣末治両家の調査をしても、これまたその写真のごとくその形跡は全くありません。どの面からの調査をしても、野草、そだの採取行為がなされた証拠はないのであります。  したがって、実損主義の前提に立つ現在の林雑補償制度下にあっては、そのすべての北富士農民は林雑補償受給資格者たり得ないことは疑う余地がありません。  その結果、かかる現況下、林雑補償の支払いを受けんとすれば、その申請について要求される申請理由等記載事項、あるいは農家経営実態表等添付事項について、虚偽の事実を記載、添付し、申請するということで初めて可能となるのであります。  事実、すべての申請書は真実に反しております。昭和四十八年以来、防衛施設庁は林雑補償実損主義の原則をあえてみずから破って、現在すでに草刈り、そだ取りのための演習場内への立ち入り許可日の立ち入り事実のないことを百も承知の上で、林雑補償の支払いをしてきた疑いがきわめて濃厚であります。  そのため、これをつくろい、つじつまを合わせるために、横浜防衛施設局係官は、新聞報道やちまたの声のような行為、すなわち演対協を通じ、あらかじめ実態調査日を通告し、関係入会組合がきわめて稚拙ななれ合いの演出を演じてきたことは、必要によっては公にしてもよいという了解を得ておりますエキストラを演じた本人の自白テープによっても明白であることを私は確信いたしております。この点については会計検査院の厳重な調査を要求しておきます。しかし、もうそのようななれ合いの演出ではこの事実を覆い隠すことはできない状態になっております。  そこで、私が何としても承服できないのは、先ほど指摘した実印強制問題であります。確かに一人で何個でも持つことのできるような認印よりは、実印を使わせると、その印影が申請者本人のものであること、申請書、営農実態表の作成者が本人に相違ないことになります。だが、それは同時に本人が法令違反の有無、法律行為の有効、無効、能力、資格、あるいは権限等を本人みずから慎重に調査検討の上で入会組合長や演対協会長に委任したことになりますから、万一その違法な実態があばかれた場合は、そのような虚偽の申請をした途端に、本人は詐欺の着手となり、刑罰の対象とされるのであります。  何となれば、この申請者の申請行為は現行林雑補償制度下では、前述のごとく、実損の一かけらもないからであります。  それを実は百も承知の上で、なぜ一体施設庁は素朴な農民に実印をもって申請させるのか、問題の核心はここにあるのであります。  思うに、それは第一に、北富士農民は金の亡者だ、だから金さえやれば演習場の永久化にも賛成するし、また北富士演習場の最大のがんである入会権擁護の闘いも本気ではしなくなってしまうだろう。それどころか、逆に施設庁のかいらいとなって入り会いの鬼と言われる忍草入会組合に対する攻撃軍ともなる。それには、実損はなくともあるがごとくして金をばらまくこと、これが北富士演習場安定使用の最善の道であるとのうがった見方が住民に定着しつつあります。  第二に、万一の場合でも実印を押させることによって、行政当局の責任を申請者本人に転嫁させることができる。私は、北富士の実態をこの目、この耳、この足でつぶさに調査した結果、どうしてもかく判断せざるを得ないのであります。  一体、認印を実印に変更させた理由は何か。また、このように実損皆無の現状においてあえて申請を受理する理由は何か。  さらに、現地施設事務所の実損に関する報告はどのようになっているのか、施設庁長官の正直な答弁をぜひ願いたいと思います。  第二に伺いたいことは、何ゆえに林雑補償にはいま説明を求めたような実損ということが要件になっているかということであります。  現在の施設庁当局の考えは、北富士における林雑補償は、入会権その他社会的に承認された利益に対する補償の性質を持つものではなく、北富士演習場において従来から野草またはそだの採取をしていた者が、北富士演習場内への立ち入り制限によってそれらの採取が阻害されるので、行政措置として防衛庁が見舞い金を出しているものなのであります。しかし、果たしてこのような理屈が法的にも行政的にも正しいと言えるだろうか。  そこで、大蔵省にまずお伺いをしたいのですが、一般的に言って、国有地に無断で立ち入り、それを使用することは、その国有地上に何らかの権原を有する者でない限り、許すべきことではないと思うがどうか。これは法的に答弁していただく。  さらに、国有地上の天然果実についても伺いたい。国有地上に生育している野草、そだ、ワラビなどいわゆる天然果実は、一体法的にはだれの所有に属するものなのか。あくまでも土地から分離するときに、他に収取権者がいない場合を前提として答弁をしていただきたい。  今度は建設省河川局にお尋ねしたい。  北海道十勝川の天然氷をとっている人たちや、鉱毒事件で有名な旧谷中村、たしか現藤岡町下宮などの農民が調節池に生育しているヨシをとっているが、そのいずれも代価を納入していると聞いておりますが、その事実はあるのか。あるとすれば、採取許可や代価徴収の根拠は一体何か。  後からの大蔵、建設両当局の答弁で明らかになると思いますが、国有地上の林野雑産物は、ほかならぬ国有地上の産出物たる天然果実であって、土地から分離するとき、他に収取権者、たとえば入会権者等がいない限り、土地所有者たる国の所有に属するものであると思います。  防衛施設庁の見解は、北富士農民は、入会権もしくはその他の社会的に承認された利益は、これを有していないと言っている。したがって、当然のことではあるが、北富士農民は、北富士演習場国有地上の産出物、天然果実については適法な収取権者ではないのである。このことを端的に言えば、国の財産の無断取得、言いかえれば窃盗になるのではないか。なぜ北富士農民は窃盗にならないのか。  よしんば、北富士農民が入会慣行を有するとしても、それは施設庁考えでは、入会権もしくは社会的に承認された利益、権利ではないはずだ。そうだとすれば、北富士農民は、適法な林野雑産物収取権者では決してない。だから、施設庁がこれらの北富士農民を排除するか、排除しないまでも、その林野雑産物の採取については何らかの対価を徴収すべき義務が私はあると思う。  そこで、大蔵当局に伺いたいのですが、国の財産は法律に特別の規定のない限り、適正な対価なしではこれを譲渡してはならないということになっていないか、法的に答弁をされたい。  恐らく、大蔵省は後での答弁で、財政法第九条第一項のとおりと答えると思うが、なぜ施設庁は排除するなり、排除せず採取を認めるとするなら、財政法に従って適正な対価を取らないのか。  参考までに聞くが、かつて北海道の矢田別演習場で農民の野草採取について対価を徴収していたのはどういうわけか。その根拠を明らかにしていただきたい。  法は、国有地上に何らかの権原を有するものでない限り、その立ち入り、使用、収益を禁じている。そして、矢臼別では対価を取り、北富士では立ち入り、使用、収益の権原はないと言いながら対価を取らない。それでいて政府は、昭和三十五年以降、数回にわたり、北富士演習場における忍草入会組合の持つ旧来からの立ち入り、使用、収益の入会慣習の存在を確認し、しかもこの入会慣習を「将来にわたって尊重する」との確約文書まで交付し、それどころか、当時の江崎、藤枝防衛大臣及び池田首相は、当時の忍草入会組合顧問である天野重知氏、また組合長である渡辺勇氏、天野茂美氏とかたい握手まで交わして、忍草部落との交渉を円満妥結した。一方、甲府地裁、東京地裁もまた仮処分事件において忍草部落の入会慣習、入会権の存在を決定しました。  それなのに、昭和四十八年、政府北富士演習場には入会権なしとし、さらに防衛庁は社会的利益すらないと言う。それでいて、現実には採草の対価を取らないばかりか、採草、採薪の権原も、事実もなく、はっきりと林雑補償算定基準に該当しないのに、虚偽の申請をなさしめて見舞い金を交付している。この点に関しては特に会計検査院の厳重な調査を求めておきます。  そして、施設庁は口を開けば、その措置を行政措置だと言う。一体行政措置とは何か。財政法規等の規定に反した行政措置なるものが存在するのかどうか。行政措置はあくまで法の枠内であるべきではないかと思う。  入会権も社会的な利益も、また何の権原もない者が国の財産を勝手に取ることは、端的に言えば盗人である。また、それを別としても、実損がないのに実損ありとして、国民の血税をだましとることは詐欺と言って差し支えないと思います。どうして施設庁は盗人に追銭になるようなことをするのか。また、どうして詐欺の共犯的役割りのようなことをしなければならないのか。  最後に、どうしても納得できないことがあと三つあります。  その一つは、北富士関係林雑補償金交付の組合別、個人別の明細資料の提出を防衛施設庁にいかに請求しても、個人の秘密に関するからと言ってがんとして出さない。この種のものは国政調査権の前には当然と思うが、再度提出を厳しく要求しておきます。     〔主査退席、谷川主査代理着席〕  二つ目は、山中湖村浅間神社社地の借上料であるが、これまた林雑補償金同様、絶対に教えない。こんな国政調査権を侮辱した態度を放置するわけにはいかない。必ず出すことを求めます。  その三つ目は、同じ浅間神社社有地が、演習には全く不必要な場所にありながら、どうして解除されないのか、直ちに解除すべきだと思うがどうか。  これで私の質問を終わりますが、最初申しましたように、これらはいずれも捨てておけないきわめて重要かつ重大な問題でありますから、まず金丸長官の総括的答弁を願い、次いで会計検査院のこれに対する決意と今後の方針を伺い、順次関係者の答弁を願って、終わります。
  142. 金丸信

    金丸国務大臣 北富士演習場にかかる林雑補償につきましては、関係住民の民生安定あるいは円滑な演習というような行政措置、こういうことでやっておるわけであります。  私は、この機会に申し上げたいと思うわけでございますが、先ほどの質問者からも質問が出たのですが、東富士北富士というような状況の中で比較してみると、北富士が非常に格段の差があるということを、私も山梨県の国会議員ですから聞くわけであります。それは全く超党派でやっておるというようなお話を承っておりますし、きょうまでいろいろのいきさつがあることは先生も御承知だし、私も承知しておりますが、もうこの辺でお互いに矛をおさめて、手を握り合って、話し合って、そしてともどもよかったというような結果を得るようにすることがきょうの私の立場ではないかなと、こう私は考えておるわけでありますが、そういう面で先生方の特段の御協力をぜひこの機会に私はお願い申し上げる次第であります。
  143. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 第一点の、国の補償金と金員の支払い手続の際に、認め印はだめ、実印でなければならぬ、効力なしとする例があるかというお話なんですが、補償といいましても、用地買収のように土地とか建物、これは不動産の取得を内容とするものがあります。こういった補償につきましては、登記の関係もあって、実印によることとしているのが一般のようでございます。しかし、そういった権利の取得に関係のない補償、たとえば移転費用だけを見てやるとか、そういった補償につきましては認め印でよいとしているのが一般的のようでございます。ただ、建設省の行う公共事業に関係する補償で、内部規定によりまして、一件の補償金額が百万以上の場合には印鑑証明をとるというような内部規定でやっているものもあるようでございますが、しかし一般的に認め印ではだめだとしている例は承知しておりません。  次に、林雑補償に関係します実態の調査その他でございますが、林雑補償に関しましては、その実態がどういうふうになっておるか、私どもは非常に関心を持っておるところでございまして、今後の検査におきましても十分調査していきたい、そう考えております。
  144. 秋山雅保

    ○秋山説明員 大蔵省に対する御質問でございますけれども、この問題につきましては、本来法務省がお答えした方がよろしいかと思いますが、一応大蔵省からお答えしたいと思います。  まず、権原のない人の国有地への立ち入り規制の問題でございますけれども、これは国の所有権に内在する権利に基づく本来的に認められる措置である、かように考えております。  それから、国有地上の果実につきましては、これは民法二百四十二条本文の規定によりまして、国有地に附合するものである、したがいまして、国有である、かように考えております。  それから、対価の問題につきましては、一般的に申しますならば、財政法九条一項の規定どおり、かように考えておる次第でございます。
  145. 高島正一

    ○高島政府委員 施設庁の所管について御説明申し上げます。  施設庁は、従来から林野雑産物を採取しておった方が、演習場内への立ち入り制限によりまして、農業経営上の必要性からの林野雑産物の採取が阻害されておる事実があるものを対象といたしまして、その申請に基づきまして、その阻害の程度に応じて補償措置を講じておるというのが実態でございます。あくまでこれは関係住民の民生安定を図り、円滑に演習を行うための行政措置として実施しておるわけでございます。  先生十分御案内のように、この林雑補償の歴史は非常に古く、かつ複雑な経過をたどっております。生活様式も大変変わってまいりましたし、農家の経営状態も変わってまいりました。したがいまして、御指摘の点をわれわれは理解できないわけではないわけでございますけれども、私どもとしましては、演対協を通じて申請があったものに対しまして、必要に応じて所要の調査をし、林雑補償の支払いを実施しておるというふうに考えております。  なお、先ほど施設庁が実印でなければいけないということで、いわば突っ返したという事実があるかというふうな御指摘だったように思いますが、私どもといたしましては、やはり個人の補償申請にかかわる問題でございますので、御本人の意思であるかどうかということを確認する必要がある、そのためには認め印よりは実印の方がよいというふうなことを演対協会長の方にお話しした事実はありますけれども東富士と同様、絶対に認め印ではだめだというふうな指示はしておらないというのが実態でございます。
  146. 原茂

    ○原(茂)分科員 まず、施設庁にまたお伺いしておきますが、演対協の会長に実印を使った方が望ましいと言ったことがあると言っているその時期はいつですか。  それから、なぜいまになって——いままではずっと認印を勝手に、しかも三文判を組合長が自由自在に押していたのを、それをいつの時期、何の弊害があって実印の方が望ましいという指示を演対協会長にしたのか、それが一つ。  それから、林雑補償というのは、やはり従来そこのそだその他を取って生活をしていたんだが、その生活が演習場によって阻害をされた、その事実に基づいて払っているのだ、こう言うのですが、私が言ったように、その事実はいまはもうない。ないのに、いま払っていることに対しては、私が先ほど指摘したように、盗人、詐欺、あるいは施設庁が共犯的な行為をやっているのだという厳たる事実が現にあると考えていますが、これに対して、会計検査院は一体今後どういうふうに調査をするか。これはもう絶対に解明しなければいけない問題ですから、忍草、新屋の諸君であろうと、あるいはいまの演対協の会員であろうと一切払うべきではないと私は思う。絶対払ってはいけない。国の大切な血税というものをこんなふうに払うべきではないということをさっきから言っているわけですから、絶対にこれは許してはいけないと思いますが、検査院は一体どうするか。  最後に、長官にお伺いしますが、長官先ほどおっしゃられた心情、私も全く同感です。何といってもここらでもう解決をしたいと私も思う。幸いに——幸いか不幸か知りませんが、演習場のいわゆる契約の更改期が七月の初めに参ります。したがって、三月いっぱいには、この北富士に関連するこの種の問題は、長過ぎるし、しかも不当があると言われながら、その不当を摘出するような措置が講じられていないというような状況がずっと今日まで膠着状態のように来ているわけですから、私も長官と同感なんです。何とかしてこれを話し合いによって早期に、この三月いっぱいには解決をしたいというのが前提で、きょうも、あるいはこれからもこの問題と取り組んでいきますが、もう一度長官の決意をお伺いして、終わります。
  147. 金丸信

    金丸国務大臣 私は原先生からそういうお話を承りまして、非常に力強く感ずるわけでありますが、この問題のことにつきまして、私のところへも北富士演習場関係人たちも参ります。私はいろいろな要求もあります。要求もあるけれども、まず一本にしたらどうだ、一本にしてくることが本当に強い姿勢にもなる。私は山梨県の国会議員ですから、一銭でも多く山梨県へ国の予算を持ってくる、これはどこの県の国会議員もお互いに考えていることです。私が静岡のことを考えたり長野県のことを考える必要はない、あくまでも山梨県のことを考えればいい、こういう私は考え方でおるわけでありますから、そういう意味から言えば——それは国会議員ですから国民全体のことも考えるけれども、静岡には静岡の国会議員もいるし、徳島には徳島の国会議員もいる、こういうことでございますから、私はそういう意味で、できるだけ円満に解決して、そうして地元の人もお互いに、いままで犬猿の仲だったけれども、昔から犬猿の仲であったわけではないし、そういう意味で、手を握るような機会をできるだけつくるような、私も微力でありますが、最善の努力をいたしたい、こう考えております。
  148. 安仁屋政彦

    ○安仁屋説明員 先ほど建設省に対しての御質問がございましたので、お答えしておきます。  十勝川におきます天然氷の採取につきましては、四十八年から採取の許可をしております。料金は、五十年までが百キログラム当たり十五円、五十一年以降は三十円ということになっております。これは北海道の普通河川及び堤防敷地条例という条例がございますが、その定めにならいまして北海道開発局において徴改しているものでございます。  それからもう一点でございますが、渡良瀬遊水池におきますアシの採取につきましては、栃木県及び茨城県の区域で行われておりまして、その採取料は両県で定められております。五十二年度におきましては、栃木県で六万数千束、単価は四十五円でございます。それから茨城県におきましては約二千束、一束百三十円という採取料が徴収されております。
  149. 松田賢一

    ○松田会計検査院説明員 林雑補償に対する実態、これは現在のわれわれの検査におきましても、どうも農家の実態が変わっているということは感触を得ております。したがいまして、それが全部の実態であるとすれば、現在の補償基準に関する限りにおいてはまずいことである、そういうような感じがしております。  それで、私どもとしても、補償を要するならば、この補償は一体どういう形ですべきであるか、これをひとつ本当に防衛庁の方に根本的に考え直してもらわなければいかぬのではないかという感触は私は持っております。そういう意味からも、私どももなおこの実態について十分に検討をしていきたい、そういうふうに考えております。
  150. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように、ただいま五十一年度の林雑補償の補償申請書の審査を行っておるどころでございます。したがいまして、先生御指摘の補償申請書の内容について演対協の会長さんの方に御連絡申し上げたのは、ことしの一月でございます。(原(茂)分科員「実印を使うようにした理由は」と呼ぶ)  先ほども御答弁申し上げましたように、私どもとしては御本人の意思を確認するという意味合いにおきまして、認め印よりは実印の方がよろしいということを申し上げた次第でございます。(原(茂)分科員「いままで何十年もそうじゃなかったじゃないか」と呼ぶ)御案内のように、大変複雑な問題が提起されましてから、演対協の会長さんを通じましていろいろ御相談も申し上げました結果、そのような措置をとった次第でございます。
  151. 原茂

    ○原(茂)分科員 これで終わりますが、施設庁に対してはもう一度改めて時間を割きます。全然でたらめな答弁で納得できない。
  152. 谷川寛三

    ○谷川主査代理 以上で原君の質疑は終わりました。  次に、伊藤茂君。
  153. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 私は、昨年九月に横浜に米軍のファントム偵察機が墜落をいたしました、そのことについてお伺いしたいと思います。短い時間ですから、簡潔に質問して、要領よく御答弁をお願いしたいと思います。  大臣、ちょうどあれから五カ月たちました。私は直接の地元ですから、被害者の方にも、また被害地点にもいつも接触をいたしておりますけれども、被害者の家族の方々も言われておりますが、心に残った傷も体に残った傷もまだ消えていないし、消えることはないだろう。それに加えまして、先般問題となりましたミッドウェーの核装備についてのクレーター長官発言とか、あるいはまた、始まっております米韓軍事演習、いろいろな新しい状況が起きております。もう不安がなくなったどころか、不安は消えていない、ますます広がっている。率直に言ってそういう状態もあります。私も、自分の家の上を年じゅう飛んでいることですから、何か爆音がするたびに本当に何とも言えない気持ちがするわけであります。この問題につきまして、去る一月の二十四日に日米合同委員会の事故調査委員会のレポートが出されました。これは、いままでに比べますと大変長い、三十ページに及ぶ報告であります。ただ、これだけ書かれているけれども、一番肝心なことが抜けているのじゃないかということを、私は読んで痛切に感ずるわけであります。言うまでもありませんが、事故原因の究明、そして責任、これが両面明らかにならなければ、これからこういうことを起こさない対策は組めないと思います。  そういう意味で、最初に伺いたいと思いますが、このような事故を起こした加害者の責任、あるいはまたアフターバーナーの組み立てミスということが原因であった、専門委員の人も含めました調査でそうなっているわけですが、いつ、どこで、だれがそういう原因を起こしたのか、その日時と場所と部隊名と責任者、なぜこれが一言も明らかになっていないのか、それをまず伺いたい。
  154. 亘理彰

    亘理政府委員 初めに申し上げますが、事故分科委員会は、事故原因を調査いたしまして、同種事故の再発を防止するということが目的の組織でございます。したがいまして、刑事責任の追及をするという場ではないわけであります。  この事故原因につきましては、報告書中にも詳しく述べられておるとおり、その原因は大体解明できましたし、それからそれを踏まえましたいろいろな再発防止対策についても講ぜられつつあるところでございます。直接の原因といたしましては、このアフターバーナーの組みつけのミスということが合衆国における中間レベルの整備中に起こったということでございます。この合衆国における中間レベルの整備というのは、いつ具体的に米本国のどこで起きたものであるかということについては、米側から資料を入手しておりません。ただ、その点につきましては、事故分科委員会の仕事としては、その点まで解明しなくても本来の委員会の与えられた目的は達成できるというふうに考えられた次第でございます。
  155. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 私は、亘理さんがいま言ったその姿勢自体が問題だと思います。この事故のメカニズムを明らかにするということは、当然、どこでそういうミスが起こったのかということが事故のメカニズムを明らかにすることなんであって、一番肝心なことを、合衆国の某中間地点ぐらいのことでごまかしている。私はレポートを何十ページ書いても、それが述べられていなければ意味がないということだと思います。  亘理さんにもう一つ伺いたいのですが、それでは事故分科委員会なりあるいは日米合同委員会で、これは日本側の主権の問題として、そういうことをアメリカ側に追及したのかどうか。何かうわさに聞きますと、日本側も、分科委員会のメンバーで何かどなたか一人だけが細々と聞いたぐらいで、全体としてアメリカに対するいじらしいほどの遠慮があるという評論もずいぶん聞くわけでありますが、そういうことを一体合同委員会なり事故分科委員会でアメリカ側に追及したのですか。
  156. 亘理彰

    亘理政府委員 私自身は事故分科委員会のメンバーではございませんが、職員が事故分科委員会の運営に終始関与しておったわけでございますので、その状況承知しておりますが、日米間におきまして非常な手続と手数と時間をかけまして、深夜に至るまでの会議も何日も続けるというふうなことで、日米関係者が相互に大変な努力をしてまとめられたものと私は考えております。事故分科委員会の任務に必要な範囲の資料については、米側要求いたしたことはもとよりでございます。
  157. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 という意味は、聞いたけれども返事がなかったという意味ではないかと思います。  防衛庁長官考え方を伺いたいと思いますが、しょっちゅう地元でも触れるわけですが、二人の子供が死にました。そのお母さんはまだ重体が続いています。五カ月目ですね。そこで、そのお母さんが病院の病床のもとで、お見舞いに御主人なりそれから実家のお父さんなりついておりますと、私は何でこんなことになったのでしょうか、一体だれが責任があってこういうことになったのか、それを聞きたいということを苦しい病床で言われるそうです。私は、これは保守、革新の問題というよりも、まさに日本国の主権の問題としてこういうことは明らかにしていく、少なくとも最大限のそういう努力がなされていくということが必要なのではないだろうかと思います。そういう意味で、大臣、やはりこういうことでいいのだろうか。私はこれでは亡くなった二人の子供の魂も浮かばれないということだと思いますけれども、そういうことについていまのままでいいと思っているのか、あるいは大変遺憾であり、残念なことだというふうに思っておられるのか。もしそう思っておられるとすれば、大臣としていろいろな政府としての外交ルートなど必要なルートをとって解明の努力をなさるのが当然ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  158. 金丸信

    金丸国務大臣 この事故につきましてはまことに遺憾なことでありまして、非常に私は、亡くなられた方、また病床におられる方が一日も早く回復されることを祈り、御冥福を祈っておるわけでありますし、また、この償いも一日も早くやらなくちゃならぬ。こういう事故の問題につきましては、私は日米対等の立場でやらなくちゃならぬ。それが日本国民の生命、財産を守る最大の基盤だろう、私はこういう考え方を持っておるわけでありますが、責任追及の問題につきましては、これは刑事関係のことでありますから、この分科会でこれを追及したということでありませんが、それはその方でいま追及をしておると聞いておるわけであります。  いま防衛施設庁として考えておりますことは、この問題を補償によって解決するものではないけれども、しかしそれもできるだけ早くやらなくちゃいけないというように私は考えておるわけであります。
  159. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 長官、もう二つほど伺いたいと思いますが、お気持ちは大臣、言われました。私は、内閣の一員として責任を持たれる大臣ですから、そういう日米対等、当然だと思います。池田内閣当時からイコール・パートナーシップということを言っているわけですから、まさに対等な主権の問題として解決をしていくということが求められていると思いますので、これは自分の所管ではありませんというだけではなくて、防衛庁と深いかかわり合いを持って、日米軍事体制の中でこういう問題が起きているわけですから、やはり担当大臣として、担当でなくてもそのかかわる大臣として、こういう方向を真剣に、やはり日本の主権の問題として原因とさらに責任を含めて明らかにしていくという具体的な行動をとる意思があるのかどうか。これが一つ。  もう一つ、これにかかわりますが、いままでの経過を振り返ってみますと、このエンジンの持ち去りとか、あるいは事故が発生した時点の処理の問題、その他たくさんの問題がこれにはございました。何か日本立場として大変暗い思いをする問題が非常にたくさんついて回ったわけであります。振り返ってみまして、現在の大臣としてどうお考えになるか。昨年の秋以来ずっと指摘をされた問題ですが、たとえば昭和二十七年以来日米合同委員会で合意されている航空管制に関する合意とか、あるいは厚木、横田などのいろんな付属文書とか、あるいは事故発生時点におけるところの処理の問題とか、何か地位協定のたてまえで米軍がわがもの顔に全部やってしまうというふうな状況が続いたわけであります。日本側の権限はあいまいというよりもほとんど感じられないというふうな場合がしばしばございました。これらにつきまして、やはりアメリカ軍の飛行機がわが日本で事故を起こした場合、大臣がおっしゃるように、対等の立場をもってどうやっていくのかということが求められていると思います。そういう意味から言いますと、もう二十何年ごろからつくったいろんな日米合同委員会の合意ですから、これらについて一遍抜本的な見直しをしていく——ほかの国の場合でも対等の権限を行使するという国の例もあるようです。少なくとも権限を一定限度持ったオブザーバーを派遣して対等の相談をしながらやっているという国もあるようです。そういう意味での日米間のいままでの合意を、この際イコール・パートナーシップの立場で改革をしていこうという考え方がおありなのかどうか、その二つをお伺いいたします。
  160. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、現在の航空事故の調査の体制につきましては、二十七年に始まる合意がございまして、米軍機の事故の場合には米軍が一次調査権を持つというたてまえになっているわけでございます。この体制がそのままでよろしいかどうかということについてはいろいろ御意見もあろうかと思いますが、私ども今度の事故分科委員会にかかわった立場で申し上げますならば、米側が十分な協力をする姿勢を示しており、他方において、今回わが方でとりましたように、技術的な吟味、検討の体制等も十分整えてこれに当たるということであれば、少なくとも事故分科委員会の任務、目的に関する限りの目的は十分に達せられたというふうに思っているわけでございます。  この合意そのものの再検討という問題につきましては、これは将来の問題といたしましては外務省等を中心に関係各省で検討いたすべきことかと思います。今回の事故の原因解明の段取りからいたしました感じといたしましては、申し上げたとおり特段の支障はなかったというふうに考えております。
  161. 金丸信

    金丸国務大臣 責任のありかは防衛庁ではないというようなことでちょっと先生誤解されていると思うのですが、私も福田内閣の閣僚の一人でありますし、共同責任の上で、これはなおこの責任が一日も早く明るみに出るように、私もできるだけの努力はいたすわけであります。  ただいま合同委員会のあり方等につきましては施設庁長官からもお話がありました。この問題については非常に合同委員会がうまくいったという意見でありますが、日進月歩の時代でございますし、そういうことから考えれば、日米合同委員会のあり方という内容、組織、そういうものがどうであるか、それは検討することは務めだ、こう私も考えております。
  162. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 大臣から御答弁いただきましたが、施設庁長官、やはり二十七年から結ばれたあの合意、それからあとのいろんな取り決めの中で、それは関係の市長さんからも出ておりますように、たとえばタッチ・アンド・ゴーはしないと言いながら年じゅうそれらしきことがある、あるいは編隊飛行はしないような規定はあるけれども、何か米軍説明を聞くと、たまたま上空で一緒になったからということで、編隊ではないという形で何機か行動しているとか、たくさんな問題があるわけです。ですから、何かいまのままでいいようなことでなくて、やはり国民と市民の立場に立ってこれを大胆に改めていく、大臣もおっしゃいましたが、ぜひそれをやっていただきたいと思います。  先ほどから捜査当局の問題という話がございました。警察庁見えていますか。——捜査当局の責任につきましてお伺いしたいのですが、具体的にこの問題について、捜査権に基づいて刑事責任追及という観点から捜査をするのは当然でありますけれども、それがどこまで進んでいるのか、簡単に。  それから、聞きますと、二人のパイロットですね、一緒に飛んでいたパイロットを何か警察の方でも取り調べをしたとかしないとかという話も聞くわけでありますが、その辺、簡単にお答えください。
  163. 谷口守正

    ○谷口説明員 本事故に対する捜査状況についてでございますけれども、神奈川県警察におきましては、事故発生以来、本件事故の原因究明とそれから関係者の刑事責任の有無につきまして鋭意捜査を行っておるところでございますけれども、いまだ捜査が終了しておりません。継続中でございます。  なお、先生御指摘のパイロット等の事情聴取の関係でございますが、神奈川県警察としては直接の事情聴取は現在までのところは行っておりません。ただ、米軍当局におきまして事情聴取を行っておりまして、その供述書の写しを入手しておるところでございます。
  164. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 警察庁に重ねて伺いますが、国内法で言うならば、民間の場合あるいは自衛隊の場合あると思いますが、今回の事故は明らかに業務上過失致死傷害罪というふうなことに当たる問題ではないかということが一つ。  それからもう一つは、何かアメリカ側の方にもこの内容についていろいろ問い合わせをしているということが新聞でも報道されております。エンジンの整備関係者の具体的な陳述書などを欲しいと言っているようでありますが、これらのことを要請してまだ来ていないのか、あるいはぜひこれをいつまでに欲しいというふうな強力な要求アメリカ側にしているのかどうか、ひとつ説明してください。
  165. 谷口守正

    ○谷口説明員 お答え申し上げます。  本件事故につきましていかなる犯罪が成立するか否かにつきましては、目下その原因の究明と、その上に立って擬律判断すべきことかと思います。  それから、米軍当局に対しましては各種資料につきまして要求しております。すでに送付を受けたものもございますし、まだ調査中であるためか、送付してまいらないものもございます。
  166. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 余りアメリカ側に気を使ったような答弁をしないでほしいと思います。やはりこういう問題が起きれば、航空機の事故てあろう’とほかの場合の事故であろうと、警察としては業務上過失致死ということで直ちに強力な取り調べに入るというのはあたりまえのことなんです。そのくらいの気骨というものは日本の警察ならばちゃんと持ってもらいたい、アメリカの警察でないわけですから。強く要求をしておきたいと思います。  それから、何か新聞報道では、もう間もなく捜査を打ち切るのではないか、アメリカから公務証明をもらってそれでおしまいということにするのではないかというような報道もなされております。そんなことがあったらこれは大変なことですから、徹底的にこの問題を捜査していくというふうに強く要求をしておきたいと思います。  それから、関連をして防衛庁長官に伺いたいのですが、この間、予算委員会の議論の報道を読みますと、法務当局の方でも、これは非常に明瞭な事件であり、因果関係が非常に明らかな事件であり、そしてまた主権に関する問題なので、いわゆる第一次調査権、裁判権などの問題についても検討に値する大きな問題であるということがあるようです。担当は違いますけれども先ほど対等の立場で対処していきたいというお話がございました。これらの問題についても強力な措置をぜひとっていくということが求められている。諸外国に比較をしても権限が非常に低い状態に現実はあるわけですから、そういう努力をされる気持ちをお持ちかどうか、伺っておきたいと思います。
  167. 金丸信

    金丸国務大臣 前言のとおり努力するつもりでおります。
  168. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 あと、この報告の最後に「勧告」というのが載っております。a、b、cとありますが、これについてまとめてお伺いしたいと思います。  非常に抽象的、一般的に書かれておりますので、再発防止のために徹底的な対策をとる、そういう意欲はこの文章からは感じられないと思うのであります。二、三ただしておきたいと思いますが、一つは飛行コースの問題です。人口密度の非常に稠密なところを飛ばないようにということ、しかも可及的速やかに結論を出すというようなことが書いてあります。どっちにしても飛ばれる方は迷惑な話であります。やはり根本的にはこういうものが飛ばないような措置を考えてもらわなければなりません。  当面の状況の中で、この「勧告」のa項にございますけれども、たとえば今後の飛行コースなどについてどのような検討を開始しているのか、あるいは具体措置を講じているのか。さらには、高度の問題などについてどういう改善をするつもりなのか。米軍といろいろな共同作業でというお話も伺うわけでありますけれども、どのようなことになっているのかということが一つ。  それから、b項についてですが、基地ごとにいろいろな対策、調整をとっていくということが書いてあります。これは防衛庁あるいは施設庁を中心にして具体的にどういう対策を緊急にとろうと思っているのか、またとりつつあるのか。  C項のことは別にして、その二つを説明してください。
  169. 亘理彰

    亘理政府委員 第一点の飛行コースの問題でございますが、厚木周辺の航空交通管制の再検討につきましては、現在米軍横田基地、これは厚木飛行場から出発する航空機を含めました進入管制を行っているわけでございます。それと海上自衛隊の厚木基地、これは厚木飛行場の飛行場管制を行っておるわけでございます。米軍横田と海上自衛隊の厚木基地との間で具体的に計器飛行方式の航空機をレーダー誘導する経路につきましていろいろ試行等も行いながら鋭意検討しているところでございます。これは飛行コース並びに高度の両面にわたるわけでございますが、まだ結論を得るに至っておりません。眼目としましては、やはり人口稠密地域の上空をできる限り避ける、そして飛行の安全に最大の配慮を行うということがポイントでございます。鋭意調整中であると聞いておりますので、私どもも速やかにこれが結論を得られるように促進をいたしたいと思っております。  第二点の、万一事故が生じた場合の救助体制その他の現場の仕組みの問題でございますが、これにつきましては、今回の初動の体制についていろいろ御批判を受けた点の反省も含めまして、米軍あるいは自衛隊の飛行場関係でそれぞれのやり方で連絡はとっておるわけでございますけれども地元の自治体、警察、消防当局、米軍あるいは自衛隊関係機関で一丸となった連絡調整体制をきちんといたしたい。これにつきましては、施設庁でそのひな形と申しますか、そういうものを目下鋭意研究中でございます。それに即しまして各現地で各関係地元施設局が中心となって関係機関と御相談をいたして万一に備えたいと思っております。
  170. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 いろいろ伺いましたが、横浜市民だけではなくて、国民の立場から見て、この日米合同委員会の報告あるいはこれからとろうとする対策などについて、この際、こういうことが二度と起きないように考えていこうという努力がなかなか感じられないというのが率直に言った印象だと思います。答弁につきましても大変不満な面がございますが、さらに関係委員会その他の中でも追及あるいは究明をしていただきたいというふうに考えております。  最後に、時間ですから一つだけ、補償、賠償の問題について伺いたい。  御承知のとおり、まだ病人もいらっしゃいます。そしてまた、賠償の方も余り問題のないことから大半片づいてまいりましたが、一番肝心な問題が残っているということだと思います。この問題については施設庁の方にも再三いろいろと要望してまいりましたが、過去に起こった事例あるいはいままでの延長のような形で対応するのではなくて、とにかくこういう重大な問題が、しかも被害者に何ら責任のないところで起こったわけですから、国として考えられるあるいは可能なあらゆる努力をして対応していくということでやっていただきたいと思いますが、その点だけ最後に伺っておきたい。
  171. 金丸信

    金丸国務大臣 まことにお気の毒のことでありまして、できるだけのことはしなければならぬと私も思っておりますが、ただ——ただと言って、私はブレーキをかうわけじゃありません。政府にはいろいろ支払いの規定もあることでありますが、そういうものも乗り越えることができて、やれるものはやって、できるだけの最大の努力はいたすつもりでおりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  172. 伊藤茂

    伊藤(茂)分科員 では、質問を終わります。
  173. 谷川寛三

    ○谷川主査代理 以上で伊藤君の質疑は終わりました。  次に、古寺宏君。
  174. 古寺宏

    古寺分科員 大臣にお伺いいたします。  防衛二法の国会成立に伴いまして小牧から三沢に第三空団が移駐するわけでございます。私どもは三月三十一日までに移駐を完了するというふうに承っておりますが、いつから移駐が始まって、いつ終わるのか。もう一つは、この移駐に際して関係市町村にどういうお話をし、どういう了解を得ているのか。この二点をまずお伺いしたいと思います。
  175. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 二法案の成立に伴いまして第三航空団が三沢に移転してまいりますが、三月三十一日をもって編成を終了したいと思います。したがいまして、いま具体的にいつから出発していくということは検討いたしておりますが、いずれにいたしましても三月三十一日に間に合うような形でF86F、F1の飛行隊、T33の飛行隊が移ってまいるわけでございます。
  176. 金丸信

    金丸国務大臣 この問題につきましては、周辺の市町村、自治体等に対する対策等もあるわけでありますが、そういう意味で施設庁も、こちらからも参りますし、また各関係の市町村長等へも参りましてできるだけの——第三空団が向こうへ移駐いたしまして、地元の皆さんから、これだけのことをしてくれるなら、それじゃ音の高いのも少しはがまんをしようということにもなるでしょうし、そういう意味で民生安定のためには最大の努力をいたしており、きのうは三沢の市長さん等も見え、その前には三沢の議会の人たちも見え、また周辺の市町村長さんたちも見えて、私もできるだけのことはいたしますというお約束はいたしておるわけであります。
  177. 古寺宏

    古寺分科員 そのできるだけのことをいたしますという、具体的な内容はどういうものでございますか。
  178. 亘理彰

    亘理政府委員 地元からいろいろ御要望をいただいておるわけでありますが、正式にはごく最近、去る二十七日に三沢市から市民文化センターの設置、あるいは上水道施設の整備拡充、あるいは学校の問題等、相当の項目にわたりまして周辺対策事業として実施してほしいという御要望をいただいたところでございます。私ども目下できるだけ私どもの運用いたしております周辺整備法並びに予算を活用いたしまして、地元の御要望に最大限誠意をもっておこたえして、円満に御協力を賜りたいというふうに思っておるところでございます。現在鋭意検討中でございます。
  179. 古寺宏

    古寺分科員 私が先日通告した際には、現地からの要望がないので、まだ具体的なお答えはできないというようなお話があったわけでございますが、今回のこの二月二十七日の要望書については、長官は御存じでございますね。この要望書というのは、これは第三空団の移駐に当たって初めて出された要望書ではないのです。以前から出されている要望書でございます。さらに進入表面下の町会、約十二町会ございますが、ここに住んでおられる地域住民八百世帯の方々は移駐に反対でございます。この進入表面下の町会の方々が昭和五十一年五月二十九日に七項目の要望書を提出してございますが、御存じでございますか。
  180. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、七項目の要望事項が施設局長に提出されておりまして、ただいま市長さんを通じて回答するように措置しておるところでございます。
  181. 古寺宏

    古寺分科員 昭和五十一年あるいはそれ以前、約三十年の間、三沢基地の住民というのは航空騒音等危機にさらされているわけでございますが、そういう方々が国防上やむを得ずがまんしてこられているわけでございます。その要望に対して何らこたえずに、理解と協力を求めるという形で押しつけるように第三空団が移駐するということは、これは住民感情としては非常に不信が高まるわけでございまして、こういう点についてはやはり十分に地元の了解を得るように努力をするということが防衛庁の姿勢として大事ではないかと私は思う。そういうことが何らなされていないというのは、これはどういうわけですか、長官
  182. 亘理彰

    亘理政府委員 お話しのように、地元からかねてからいろいろ御要望をいただいておるわけでございまして、私どもは周辺対策事業として、三沢周辺につきましては、全国各地にいろいろの基地がございますが、格別に配慮をしていろいろ手当てを講じておるつもりでございます。たとえば五十二年度におきまして約十七億五千万余りの周辺対策事業を講じておるところでございますが、今後とも予算の配分等の問題はございますが、できる限り地元の御要望におこたえしてまいりたいと思っております。
  183. 古寺宏

    古寺分科員 これはできるだけでは困るのですよ。これは昭和五十年十一月二十日の内閣委員会の議事録でございます。ここにいらっしゃいますが、わが県から竹中防衛政務次官が現在出ておられる。その竹中委員が「前国会で、なぜ愛知県の小牧から第三航空団が三沢に移駐をするのかということをお尋ねしましたら、当時の施設庁長官が、演習をするために非常に過密になっている、それから騒音が非常に激しいということで三沢に押しつけるような表現を使ったわけです。」こういう議事録があるのです。そうしますと、三沢は過密でない、騒音があっても三沢の市民は耐えられる、こういう解釈に立って移駐したとしか考えられない。しかも地元から防衛政務次官が出ておられのですよ。それをこういうような誠意のない移駐の仕方では、地元の住民は納得できないのです。こういう点について、長官はもっと誠意をもってこの問題に取り組まなければならないと思うが、どうですか。
  184. 金丸信

    金丸国務大臣 第三空団が三沢に移駐するということにつきまして、実はたまたま竹中防衛政務次官が誕生いたしたわけでありますし、よき人を得たということで、私は防衛庁の仕事はどっちでもいい、ひとつ青森へ行って県側初め各市町村等に十分な連絡をとりながら理解を得、また向こうからのいわゆる周辺対策等につきましては、いろいろなことがあったらひとつみんな聞いてこい、こういうことで、微力でありますができるだけの努力はいたしておるわけでありますが、今後先生からもいろいろな問題が提起されれば、聞くべき問題は聞いて、ひとつ住民の皆さんに、本当によかったなということにはならぬと思うけれども、何とかひとつ防衛という問題も必要である、協力しようというような体制をつくっていただくように、われわれも努力はいたしますが、何分の御協力をお願いいたすわけであります。
  185. 古寺宏

    古寺分科員 移駐に伴いまして、小学校の生徒がふえるために小学校を新築しなければならぬのです。そうしますと、土地を購入して校舎を建築するまでに相当の時間を要するのです。あるいは上水道にいたしましても、これは旧海軍の老朽化した施設なんです。停電になりますと給水が全市ストップするのですよ。そういうような実情なんです。さらにまた、市民の集会場その他にしましても老朽化して、何とか市民文化センターをつくりたい、こういうことで再三防衛庁に折衝しているじゃありませんか。そういう要望に対して何らこたえずして、竹中防衛政務次官を派遣して、地元ですから、何とか理解と協力を求めたい、こういう形だけで押しつけるということは、私は許されないと思う。やはりこういう問題に対する配慮をきちっとやってこそ、郷土の人も、竹中防衛政務次官が誕生してよかったとみんな喜ぶのじゃありませんか。そういう親心が長官には全くないとしか考えられない、どうなんですか。
  186. 金丸信

    金丸国務大臣 いや、そう言われたんじゃ身もふたもないのですが、実は防衛庁施設庁では、本年度の予算がまだ決まらぬうちにあれだこれだと言うわけにはかいないというつつましやかさがあったと私は思うのですよ。私は、三沢の市長が参りまして学校の問題、これも第三空団が行けば生徒もふえるだろう、迷惑だろう、水道の問題も、先生のおっしゃったとおりのお話を承りました。あるいは文化会館の話も承りました。わかりました、必ず善処します。私はこういうお話はいたしたのですが、本来は予算が決まらぬから、そんなことを言ってはおまえ僭越だと言われれば困るものですから、私は皆さんとお仲間だからちょっと脱線したことを言うんだけれども、お役人はなかなか脱線できないところにそういうつつましやかさがあった、私はこう思う。
  187. 古寺宏

    古寺分科員 大臣のつつましやかさというのはよくわかりませんが、三沢市も予算編成に困っているのですよ。三沢市も予算を組まなければいけないのです。大臣はそういう三沢市やあるいは関連町村の住民の立場考えていらっしやらないのです。そこが防衛の上で最も大事な問題だと私は思うのです。
  188. 金丸信

    金丸国務大臣 考えていないわけではありません。私は本当に真剣に考えている。たとえて言えば、文化会館の問題も、学校の問題も、水道の問題も、この問題について、さあ、じゃあと言ったところが、市長も私の方にも予算規模もありますから、その規模によって、いわゆる一年でやれるのか二年でやれるのか三年でやれるか、そういうこともそろばんをはじいてこなければならぬ、こういう話もあった。私は本気でやるつもりでいたのですから、ぜひその辺は——全然横を向いて、ほおかぶりして、うまいことを言って通るなんという、私はそんな性格の人間じゃないということだけは御理解をいただきたいと思うのです。
  189. 古寺宏

    古寺分科員 結果を見なければこれは判断がつかぬわけでございますが、現在の補助単価にしましても非常に安いのです。確かに文化センターをつくる場合の補助率は三分の二かもわかりません。しかし、自己負担が多いのですよ、超過負担が。そういう面の配慮は防衛庁なり施設庁はお考えですか。
  190. 亘理彰

    亘理政府委員 いまお話しの諸点につきましては、具体的に鋭意詰めておるところでございます。これはそう長い時間がかかるとは思っておりませんが、地元の御要望を踏まえ、実情に即してできるだけのことをいたしたいということで鋭意詰めておる最中でございます。先日も市会議員の方々がおいでになり、市長さんもおいでになり、また第二次の市会議員の方々もおいでになるということでございますが、私どもも時間をかけて具体的な御要望、また地元の実情を承って、それに即した措置をとりたいということで詰めておりますので、しばらくお待ちを願いたいと思います。
  191. 古寺宏

    古寺分科員 そこで長官、学校をつくりますと用地の取得だけでも何億とかかるのです。文化センターが大体十三億から十五億かかるのです。上水道をつくるのに九億もかかるのです。第三空団の移駐によってこれだけ三沢市が事業を起こさなければいかぬのですよ。そういう面に対する財政的な配慮というものをお考えですか。
  192. 亘理彰

    亘理政府委員 私どものやれる限度はございますけれども地元の財政事情等も勘案いたしましてできるだけのことをいたしたいということで、鋭意苦慮しておるところでございます。最善の結論を得て、円満に地元と了解に達したいと思います。
  193. 古寺宏

    古寺分科員 いや、苦慮しているのは地域の住民の方でございまして、そういう苦慮にも——どれぐらいの苦慮かわかりませんが、もう少し地域住民立場に立って苦慮していただきたいと思うのです。  そこで、個々の問題についてお伺いいたしますけれども、現在三沢市では「市民の森」というものを計画して建設中でございます。その隣接する土地でございますが、これは米軍のオートレース場になっているのです。この土地の提供については、現地の米軍の司令官あるいは防衛施設庁の方でも非常に積極的に御賛同を賜っているようでありますが、この開放の見通しについて承りたいと思います。
  194. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  米軍に御指摘の土地の開放を要求するためには実際問題として地元市の御意向、それから大蔵省の意向、そういったものを勘案いたしまして、手続的には、所有者である大蔵省の方からわが方に開放の要請が来るということが前提となるわけでございます。目下その辺の調整について関係者間で協議がなされておるものというふうに承知しております。
  195. 古寺宏

    古寺分科員 大蔵省、いらっしゃいますか。
  196. 松岡宏

    ○松岡説明員 大蔵省といたしましても、ただいまの古寺先生のお気持ちを体しまして、地元の御要望にできるだけ沿う方向で検討してまいりたいとは考えておりますが、現在までのところ、地元からの要望ということでは、正式な申し出が大蔵省にはまだ参っておりません。この対象地域米軍から返還されるということになりました場合には、その返還後の跡地につきまして地元の御要望を十分お聞きし、適切な利用計画を検討してまいりたい、こういう考え方でございます。
  197. 古寺宏

    古寺分科員 これは四十六年の八月から要望している事項でございますが、それでは大蔵省には行っていないわけですか。
  198. 松岡宏

    ○松岡説明員 この計画につきましては、地元の新聞紙等による報道を私ども聞き及んではおりますが、地元からの正式な要望ということでは、大蔵省にまだ届いておりません。
  199. 古寺宏

    古寺分科員 それでは、その正式な要望の手続方法はどういう方法でございますか。
  200. 高島正一

    ○高島政府委員 御指摘の土地の使用計画につきまして私どもの理解しているところでは、三沢市当局の御意向が必ずしも確定しておらないというふうに承知しておるわけでございます。と申しますのは、返還を受けて市がいわゆる跡地利用をするという方法をとろうとされるのか、あるいは現状のまま米側と共同使用の方法をとろうとされるのか、その辺についての結論が必ずしもまだできておらない。その方法論等について、現在関係者問で協議が続行されておるというふうに承知しておる次第でございます。
  201. 古寺宏

    古寺分科員 そうしますと、三沢市の市街地の中心部には約三万平方メートルの国有地が散在しております。この土地についても同じでありますか。
  202. 高島正一

    ○高島政府委員 いま御指摘の三万平方メートルの土地につきましては、米軍の提供地外でございますので、私ども直接には所掌しておらないわけでございますが、仄聞いたしますところによりますと、そのような跡地の利用をぜひしたいという御希望があるということは仄聞しておりますが、恐らく、前段に申し上げました土地等との関連もあり、関係者問の協議がなされているというふうに承知しておる次第でございます。
  203. 古寺宏

    古寺分科員 それから、この進入表面下の地域住民に対しては、現在、市がいろいろな面で交付をしておりますが、そういう直接交付金制度というのはお考えでございますか。
  204. 高島正一

    ○高島政府委員 御案内のように、自治省の所管の基地所在市町村等助成交付金という制度がございます。この交付金は、使途を明示されないという金でございます。恐らくそれを運用されて市長さんが部落の方等に交付しておるものと思いますが、直接御質問にお答えするならば、私どもの方ではそのような交付金はございません。
  205. 古寺宏

    古寺分科員 三沢基地に民航の増便が四月と七月に予定されておったわけでございますが、第三空団の移駐によってこれがおくれるんじゃないかということを非常に地元では心配しているわけでございますが、この認可の見通しについて、航空局にお伺いしたいと思います。
  206. 松村義弘

    ○松村説明員 東京——三沢の利用率は非常に高うございます。運輸省としましては、この改善を早急にする必要があると思いまして、増便を前向きに検討しております。  具体的な手続としましては、まず三沢空港につきまして、防衛庁外務省の方々とよく相談しまして、日米合同委員会の合意を取りつけるように、いま手続を進めております。二便考えております。  それから、受け入れ側の方としましては、成田が開港しますと羽田空港は若干余裕ができますので、成田の開港を待ちまして羽田の方を対処したいと思います。  具体的な増便の日時につきましては、こういう手続が完了し次第、早急にやりたいと思っております。
  207. 古寺宏

    古寺分科員 長官、今度第三空団が移駐します。米軍もおります。タッチ・アンド・ゴーも行われております。これはもう大変な耐えられないような騒音の町でございます。したがって、個人住宅に対する防音、これは完全にやらなければいかぬというのはもう当然のことでございます。  ところが、三沢に対しましては、非常に防音対策がおくれておるのです。しかも、非常に限られた範囲の防音しかできませんので、十分でないわけですね。いままではJIS規格に合わないサッシを使っておったのですが、今度はきちんとしたものをお使いになるそうでございますけれども、少なくとも最低二室の防音——田舎の家というのは、非常に広くて、しかも病人がおったりお年寄りがおったり、非常に防音効果というのは上がらないのですね。そういう面から言いましても、やはり二室以上の防音というのは必要だと思います。今度の成田空港等におきましては、こういう面については非常に考慮しているようでございますが、当然防衛庁としても、今後防音対策には万全を期さなければならないわけでございますので、最低二室の防音というものを実施していただきたいと思いますが、どうでございますか。
  208. 亘理彰

    亘理政府委員 いわゆる個人防音につきましては、施設庁としても予算上も大変努力はいたしておりまして、全体としまして、五十二年度五千戸、来年度は、予算が成立いたしましたら一万戸を実施したいと思っております。  現在は、御承知のとおり、原則として一室でございまして、五人以上の大家族の場合には二室ということで進めております。三沢周辺の場合には、農村地帯でございますので家族数が多いということで、二室防音の割合が平均に比べますとかなり高いように聞いております。これを原則として二室防音にするというためには予算上の措置も要するわけでありますが、防衛庁で手当てをしなければならない対象戸数はまだたくさんございますので、とりあえずは現在の方針で、まず原則一室、大家族の場合二室という方針で一巡いたしまして、これをできるだけ早くやりまして、次いでその施策の内容を漸次手厚くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  209. 古寺宏

    古寺分科員 時間ですからこれで終わらせていただきますが、なお後日、また日を改めていろいろと御要望申し上げたいと思います。
  210. 谷川寛三

    ○谷川主査代理 以上で古寺君の質疑は終了いたしました。  次に、田中昭二君。
  211. 田中昭二

    田中(昭)分科員 御苦労さんでございます。  最初に、これはもう言うまでもありませんが、防衛庁は国民の生命と財産を守る、そういう責任を持っておると思いますが、いまから具体的に空港の問題でお尋ねしていきます。  千歳の空港でございますが、この空港の管制は自衛隊が預っておるはずでございます。具体的に、二月三日でございますが、この千歳空港におきます管制情報によりますと、朝六時ごろから夜二十三時十五分まで空港が使用できない状態であった。いわゆる気象の悪条件ということと、それから積雪のために滑走路の使用不能という、こういう二つの事態があったそうでございますが、この二月三日の具体的な条件がどういうふうに出されておったのか。また、この条件というのはどういうことを意味するのか、関係者の方からお答え騒いだいと思います。
  212. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 御指摘の、二月三日の千歳飛行場の積雪のために閉鎖された問題でございますが、当日、千歳飛行場付近は、一日で四十八センチに達する降雪があったわけでございます。したがいまして、同飛行場からの出発便は全部当日欠航しておりますし、ほかの飛行場から参ります到着便十四便も、いずれも代替飛行場もしくは出発飛行場に帰したという事実がございます。  そこで、こういう状況におきまして千歳基地はどういう措置をとったかということでございますけれども、当然のことながら、われわれ管理しておりますもので除雪作業を行うとともに、千歳の基地から、運輸省の事務所が現地にございますが、そこと協議の上、滑走路、誘導路、エプロンの閉鎖に関するいわゆるNOTAMとわれわれ称しておりますが、航空情報をテレタイプで全国の各飛行場に連絡してございます。  それから、一方、上空に参りました飛行機に対しても、千歳基地の滑走路の状況その他について状況を報告しまして、この十四便に対して、いずれも代替飛行場もしくは出発飛行場に帰るようにというふうな通知をいたしております。
  213. 田中昭二

    田中(昭)分科員 長官が不在ですから、問題を変えます。よく聞いておってもらわないとわかりませんから、その次の航空局の問題に行きます。  航空局の方にお尋ねしますが、福岡でございますが、五十三年度の福岡空港関係の騒音対策費はどのようになっていましょうか。
  214. 相楽秀孝

    ○相楽説明員 お答えいたします。  福岡空港の昭和五十三年度の予算案におきます騒音対策関係の措置といたしましては、空港と周辺地域の調和を図るということと環境基準の五十三年目標の達成のための事業量の確保に重点を置いておりまして、教育施設等の防音工事につきましては、学校等、共同利用施設と合わせまして国費で十五億二千三百万円を計上しております。それから、民家防音工事の助成につきましては、九百七十八世帯につきまして助成をするということで、国費十七億七千万を計上しております。それから、移転補償につきましては、百四十四件ということで国費四十一億七千万を計上しております。それから、五十三年度からの新規事業といたしまして緩衝緑地造成事業を予定しておりまして、これの関係で国費四千六百万円を計上しております。  いま申し上げました事業のほか、機構のいわゆる固有事業といたしまして、代替地造成事業、それから再開発事業を実施する予定にしておりまして、これは福岡空港周辺整備機構が行うわけでございますが、代替地造成事業で四億二百万円、再開発事業で二億五千万円の事業費を予定いたしております。国の方といたしましても、これらの固有事業が円滑に促進されるよう固有事業に対する助成制度の改善あるいは新設ということを図っておりまして、これら固有事業に対しまして合計一億五百万円の補助金を計上しております。  以上でございます。
  215. 田中昭二

    田中(昭)分科員 空港周辺整備機構で代替地の造成、さらに五十三年度から行います再開発の整備など、この事業はどのような規模で、どのように行いますか。
  216. 相楽秀孝

    ○相楽説明員 代替地造成事業につきましては、二カ所で予定しております。それから、再開発整備事業につきましては、現在福岡県知事が定めました福岡空港周辺整備計画を受けまして、同じく福岡県知事が定める周辺整備の事業実施計画につきまして現在福岡県の方が福岡空港周辺整備実施計画策定連絡会議というものを設けまして、ここで事業実施計画の策定を急いでおるところでございますが、再開発事業の具体的な内容につきましては、この事業実施計画の策定を待ってということで予定しております。
  217. 田中昭二

    田中(昭)分科員 同じくここでテレビの受信障害対策としまして——航空機の離着陸が最近変わってきておりますが、こういう現状から見まして、地元から強い要望のあります太宰府、筑紫野市についてはどういうようなお考えをお持ちですか。
  218. 相楽秀孝

    ○相楽説明員 テレビの受信障害に対する助成措置につきましては、現在WECPNLで七十五以上の地域について実施してきておるわけですけれども、ただいま御指摘のありました地域につきましては、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
  219. 田中昭二

    田中(昭)分科員 済みませんがもう一問。  航空公害防止協会にやらせております騒音防止電話というのがございますが、この加入電話は黒の加入電話しかやらないということですけれども、電話には公衆用のピンクとかいろいろありますが、そういうものは私は当然やるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  220. 相楽秀孝

    ○相楽説明員 お答えいたします。  財団法人の航空公害防止協会において騒音防止用電話機を取りつける場合の助成を行っておるわけでございますけれども御指摘のように、現在黒電話しか行っておりません。私どもの方では、公衆電話につきましては、その設置者であります電電公社さんの方で、公衆電話であって電車騒音や航空機騒音等により騒音が激しく、通話に支障を来しておる場所、あるいは設置済みのものでも通話に支障を来すようなときという場合には、調査の上騒音用電話機を設置しているというふうに聞いておりますので、今後運輸省の方にこうした住民の方々等から要望があった場合には、電電公社の方に調査を依頼し、取りつけることができるものについては設置方を要望いたしたい、かように考えております。
  221. 田中昭二

    田中(昭)分科員 長官がお留守でしたからあれしておったのですが、さっきちょっと聞きましたが、二月三日は千歳空港は気象の悪条件、ウェザーと言うそうでございますが、これは視程が八百メートル、雲高が二百フィートというようなことで、飛行機が絶対着陸も離陸もできないという状態。それから、積雪も先ほど説明がありましたが、滑走路が使用不能である。こういうことでございますと、千歳の空港は防衛庁のあれでございますから、航空法という法律に従って防衛庁とのいろいろな取り決めがあるようでございます。その空港管制を預かっておる防衛庁が、航空法の精神から見ましても、また規定からしましても、航空機の発着はできないことを正確に関係者に伝え、乗客にも伝えるべきだと思うのです。当然のことだと思うのです。  ところが、現実、もう時間がございませんから先に行きますが、その日の東京、大阪を初め千歳に向かうための出発地点であります空港では、七時の一番機がありますから、朝は六時ごろから東京空港に何千人、何万人になるぐらいの人間が集まって大混乱しておったようでございます。ところが、乗客には、この管制を預かる自衛隊並びに航空会社、航空行政当局からは適切な情報が全然知らされてないのです。出発の空港はもう何千人の人がごった返していまして、不安といら立ち、そういうふうな状態で混乱しておったわけですが、こういう状態は、こういう混乱した原因は、乗客から見れば航空関係の三者、防衛庁、航空会社、航空当局はもう加害者の立場だ、けしからぬ、こういう非難があるわけでございます。結果的には事故もなく済んでおるようでございますけれども、これは重要なことでございますから、空港管制を預かる所管の長官としましては、今後このようなことがないように特段の処置をとってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  222. 金丸信

    金丸国務大臣 私はたびたび申し上げることでありますが、政治は国民のためにあるということでございますから、ただいまのようなお話を承りまして、そのままのんべんだらり、そういう問題を究明せずにおいたのではいけない、私もその要因、原因というものをまだ——きょう承りまして、ただ、各便乗れなくて非常に困ったというような話は聞いたのですが、先生のおっしゃるような状況まで私、承っておらなかったわけでありますから、そういう点につきましては、今後そういうことのないように関係省庁と十分に連絡をとり、あるいは関係航空会社とも十分な連携をどのような方法でとるか十分に究明してみたいと思っております。
  223. 田中昭二

    田中(昭)分科員 三者の立場というのがありまして、究明するといいましても現実にその方法が、航空法の規定からいっても、また航空法に基づいた防衛庁と航空当局の取り決め事項があるそうでございますから、それからいってもそこまでで、いわゆる航空機に大変な問題を起こすような条件といいますか、そういうものを行政がきちっとする。そのきちっとすることが乗客に伝わらなければ問題じゃないか。ですから、究明していただくと同時にそういうことのないようにしてもらいたい。  極端なことになりますけれども、たとえば防衛庁、お互い平和になれ過ぎましてどうかと思うのですが、私も兵隊の経験がございますが、鉄砲の弾が飛んでくるところを条件の悪いところとしますと、そこに飛び込んでいくようなものなんですね。実際そのときは、東京空港からも大阪空港からも絶対着陸不可能という千歳の空港に飛んでいっているのです。そうしますと、もしもの事故があった場合はどうしますか。これは一朝事あるときじゃないからいいのですが——そういうことがあってはなりませんけれども、一朝事あるときに国民の生命、財産というものを忘れたようなことをやっておるのでは、せっかく防衛庁がいろいろな管制をやっておるということについて責任を果たしたと言えないと思うのです。そのときの模様から見ますと、当然そういう航空法に従いまして情報の提供をしなければならないのが提供されないということと同時に、逆なことが行われておる。飛行機が飛べないという情報がわかっておりながら飛ばすというようなことは私は問題であろうかと思いますから、十分ひとつ御注意いただきまして善処していただきたいと思います。実は、きのうもそういう気象の条件がありましたし、またいつ起こるかわからぬことでございますから、そのようにひとつ十分気をつけていただきたい。  次に、福岡県の筑紫野市というところがございまして、そこに自衛隊の通信基地がありますが、現状は遊休地みたいになっておる。周辺の福岡都市圏が大変発展いたしまして、その遊休地についていろいろな要望が出ておりますが、この現場がどういう経緯を経てきたものか、またその経緯の中で特別変わったことがあれば、その状況も言っていただきます。また、現在この土地についてどういうお考えがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  224. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答え申し上げます。  先生の言っておられますのは、陸上自衛隊の二日市送信所のことではないかと思いますけれども、この二日市の送信所というのは太宰府のそばにあるわけでございまして、当初は五万平方メートルあったわけでございます。そして、これは五十二年の六月に送信所の機能を停止いたしまして、一部の土地は八千七百平方メートルでございますが、これは宿舎用地として五十二年の十月に用途廃止いたしました。残りの土地につきましては、現在陸上自衛隊で野外通信訓練等の用地に使用することにしておるわけでございます。
  225. 田中昭二

    田中(昭)分科員 もう少し親切に答弁してください。  この土地はいつごろからどういう状況で、どういう自衛隊の使い方をしておったか、聞かしてください。
  226. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答えいたします。  この土地は、当初取得をいたしましたのは二十七年の三月に日本自動車株式会社というところから約一万平米を取得いたしまして、その後、三十七年の三月に熊本の農政局から有償の所管がえをして、これが三万九千平米でございます。そこで先ほど申し上げました約五万平方メートルになったわけでございます。  機能といたしましては、先ほど申し上げましたように、福岡の陸上自衛隊の二日市の送信所として機能しておりまして、同時に、第四師団の二日市の講習所というふうな機能もあったわけでございます。
  227. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣も聞いておってもらいましたでしょうか。現実にあるものの説明でも大変把握がおかしいですね。このことは質問通告もちゃんとしてあるのですよ。  細かいことを言うようですけれども、八千七百平米と三万九千平米でどうして五万になりますか。それから、二十七年に八千七百を取得した、そこでどういう意味に使っておったのか。そして、いまあなた三万九千と言ったけれども、まあ約四万ぐらいでしょうね、そこは一体どうなっておったのか。私が現地で調べてきたこととは大分違いますよ。  まあ、数字の間違いは別としまして、それは確かに昔のことでわからぬこともあろうと思いますが、私が知り得た現状では、その四万平米近くのものも九千平米近くのものも現在は何もないのです。先ほど撤去したというようなことをおっしゃったけれども、その八千何ぼ、九千平米近くのものは、お聞きしたところでは自衛隊の官舎を建てるというのですね。官舎を建てるのであれば、もうそれは去年の六月ですから、去年の当年度予算にはその官舎関係の建設費としてどういうふうに見ているのか、五十三年度にはどういうふうに見ているのかということの説明を聞きたかったわけです。また、四万平米については実際問題としてほとんど使われてない。私が調べた範囲では、はっきりしませんけれども、大体昭和四十年ごろから使われてない。  ですから、長官、これはひとつもう一遍厳格にやって、地域住民の本当に理解と納得のいくような処置をとられた方がいいんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  228. 金丸信

    金丸国務大臣 私もその話はただいま聞いて、そのようなずさんな状況であったとすれば、もってのほかだと思いますが、十分に調べまして、なお先生の方にもその内容を御報告いたしたいと思います。
  229. 田中昭二

    田中(昭)分科員 先ほどちょっと聞き忘れましたが、航空局の方から来ていると思いますが、航空法の定めによりまして航空管制をやる。そのほかに航空当局としては、先ほどから言ったような千歳の状態のような場合にはどういう処置をとりますか、またとるべきであるか、お答え願いたいと思います。
  230. 増田信雄

    ○増田説明員 お答え申し上げます。  先ほど御指摘の千歳の件につきましては、私どもも正確な航空情報を得ております。同時に、これはテレタイプで流れてまいりますので、航空会社の運航責任者も同じ情報を得ているわけでございます。  航空機を出発させる場合においては、その飛行機が千歳の空港に着くであろう時刻の気象条件、そういうものをいろいろな情報を得て予測いたしまして、それからさらに流されてきました航空情報で、いつごろ再開される、除雪が終わるという情報を確かめた上で飛行計画をつくり、そして出発させるわけでございます。今回の二月三日の件につきましては、東京から千歳まで約一時間三十分かかりますが、その間に当初の予測と変わった気象条件になった。先生御指摘のとおり、最低の気象条件を割り込みましたので、上空でしばらく待機しましたけれども引き返してきた、こういう状態でございます。私どもといたしましては、当然正確な情報を航空会社に提供するという義務を負っておりますし、そのようにいたしております。  さらに、これから先のことでございますが、これから先は、先生のおっしゃったように、もし旅客に対して適切な情報が与えられていなかったということでございますとこれは大変御迷惑なことでございますので、そのようなことがないように航空会社を指導すると同時に、その出発から着地までの時間的差がある、その差によって変化が生ずるというのはこれはやむを得ない事態ではございますが、なお確実に予測をし、そういう迷惑をかけるような事態がないように指導をしてまいりたい、かように考えております。
  231. 田中昭二

    田中(昭)分科員 どうも航空局はそのときの状態を確認してないからそういうことを言われると私は善意に解釈しておきます。当日はウエザーとクローズが全部出しっ放しみたいになっているのです。航空機が立つときには、立った便がどういう時間に立ったのか、そのときにはウエザーも出ておりますし、クローズもされておる。ですから、それはちょっと違いますよ。  それと、航空会社は乗客に伝えなければならないということは法の精神からいっても当然ですし、法律にも規定されておりますが、実際は全然逆なことが伝えられている。さっきもちょっと言いましたが、気象条件の悪化ということも積雪で滑走路が使用できないということも一回もアナウンスしていないのです。朝七時からずっと何千人のお客がわいわい言っておった。だから、その気持ちはそこにいないとわからない。一回のアナウンスもせずに、夕方の四時ごろになったら、いまから出発できるようになりました。そして飛ばしているのです。飛ばしても、向こうに行って、ウエザーが出ておるし、クローズされておるから当然帰ってこなければならないことはわかっておる。何でそういうことをさせなければならないか。全然法律の趣旨とは逆じゃないですか。  そして、その中にはまだおかしな事故が起こっておりますよ。朝の七時から夕方五時まで、あの東京空港の混雑の中で、飛行機に載せた荷物も出されやしない、帰ろうと思っても帰れない。朝飯、昼飯、夕飯食わぬで高い航空賃出して、その航空賃を返してもらうためにはまた何時間かかっていますか。  まあ、十分ひとつ気をつけて、金もうけだけの手助けをするのが行政当局じゃないはずだ。だから、金をもうけ過ぎていろいろな問題が起こる、それに相乗りして行政が責任を果たせないというようなことでは——今後の航空行政を私たちはさらに国民のためになるような行政に変えていかなければならぬということを強く申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
  232. 谷川寛三

    ○谷川主査代理 以上で田中君の質疑は終わりました。  次に、中西績介君。
  233. 中西績介

    中西(績)分科員 私は、福岡県築上郡にあります築城基地の問題につきまして、昨年もこの分科会で質問をさせていただきまして、その後における状況、第八航空団にF4EJファントムが配備されたためにいろいろな問題がまた出ておりますので、それとのかかわりで質問をさせていただきたいと思うわけであります。  そこで、まず環境庁にお伺いいたしますが、四十八年の十二月二十七日告示されました航空機騒音に係る環境基準について現状どのようになっておるのか、基準の達成がどう進行しておるのか。特に私がこれを申し上げますのは、先般運輸省の発表しました五十八年度分までの、完成期日までの間における内容等が示されておりましたので、中間的にどうなっておるのか、あるいはまたこれからどうなっていくのか、この点をお伺いいたします。
  234. 波多秀夫

    ○波多説明員 航空機騒音に係る環境基準につきましては、自衛隊等の使用する飛行場につきましても一般の公共用飛行場等に準じてその達成に努めるものと定められておるところでございます。現在、関係各省におきまして、環境基準及びその中間目標達成のために鋭意努力が行われているところでございます。  環境庁といたしましては、現在までのところ中間目標の達成状況につきましては正確に把握をいたしておりませんが、これらの中間改善目標が達成されるものと期待をしつつ成果を見守ってまいりたい、今後達成状況の把握に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  235. 中西績介

    中西(績)分科員 いまのお答えによりますと、自衛隊のこのような航空機の基地と一般空港とは、この措置についての適用は同じだということを言われるわけでありますが、それではこれら各基地の基準達成率がどのような状況になっておるのか、この点おわかりになっておるのか、あるいは自衛隊計画がどのようになっておるかの把握をいたしておるか、この点明らかにしてください。
  236. 波多秀夫

    ○波多説明員 自衛隊の対策につきましては、総体といたしまして把握をいたしておるところでございます。
  237. 中西績介

    中西(績)分科員 把握していると言うが、そうなりますと、民間の空港の場合とファントム等が配備されておる自衛隊基地、この間においては差はないのか、同様に措置されておるか、計画が進行しておるかどうかを明らかにしてください。
  238. 波多秀夫

    ○波多説明員 個々の飛行場におきます対策の進展の度合いにつきましてはつまびらかでございませんが、総体といたしまして自衛隊等の使用する飛行場と公共用の飛行場におきます対策に差はないというふうに考えております。
  239. 中西績介

    中西(績)分科員 本当に差がないと考えておられるのですか。それでは環境庁としての把握は、民間と自衛隊の間における基準達成状況というものは環境基準に基づいて差がないというように理解してよろしいですね。
  240. 波多秀夫

    ○波多説明員 そのとおりでございます。
  241. 中西績介

    中西(績)分科員 そうなりますと、大変これは後に問題を残しますので、この点は特に強調し、もし差があった場合にはこの点については後に論議を残しますので、保留をいたしますから、一応おきます。  そこで、お聞きしますが、もし差があるといたしますと、民間といいあるいは自衛隊といっても加害者には変わりはないわけでありますし、したがってそのような状況がもし出た場合には、公害対策基本法のたてまえからいたしまして大変誤っておるということになるわけですね。把握の仕方が誤っておるのかあるいは報告の仕方がどこかが違っておるのか、いろいろ問題があると私は思うのです。そのときにはちゃんと責任の所在なり何なりを明らかにしておいてください、これは大変な問題ですから。  そこで、もう一点お伺いしますが、いまこの基準達成に向けて、大体全地域で民間の飛行場の場合にどの程度関係の世帯数があるのか、それから自衛隊関係でどの程度の数のものがあるのか、この点把握されておるなら、明らかにしてください。
  242. 波多秀夫

    ○波多説明員 申しわけございません。ただいまちょっと資料を携帯しておりませんので、後ほどお答えいたしたいと思います。
  243. 中西績介

    中西(績)分科員 そこで、防衛庁にお聞きいたしますが、昨年私が質問を申し上げた際に、飛行場の区分がどうなっておるかということで、達成すべきこの基準の状況によってまだ十分でないので、この飛行場の区分が検討中であって明らかになってない、こういうことが言われていました。昨年平井参事官の方から、民間飛行場の区分に準じた区分を考えながら環境基準の達成に努力していきたい、こういうように答弁があっています。この点はこの一年を通じてどのように進展したのか、明らかにしてください。
  244. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答え申し上げます。  私、かわりました古賀と申しますが、環境基準によりますと、自衛隊等が使用する飛行場につきましては、平均的な離着陸回数及び機種並びに人家の密集度等を勘案して、類似の条件にある公共用飛行場の区分に準じて定めることとなっておるわけでございます。  そういうことで、私どもとしては、いま自衛隊等が使用する飛行場全般について、その区分の定め方について環境庁と調整をして、いま区分けの作業を行っているところでございますけれども、いま現在、仮に築城基地についてこれを当てはめてみますれば、飛行場区分の第一種に相当するものと私どもとしては考えておるわけでございます。
  245. 中西績介

    中西(績)分科員 そこで、この飛行場区分から申しますと、第一種に適用するということがいま明らかになったわけでありますが、そうなりますと、この基地に対する具体的な対策等がどうなっておるかが大変問題なんです。そこで、それに入る前に防衛庁の姿勢について簡単にお聞かせ願いたいと思うわけです。  昨年も防衛庁長官なりあるいは施設庁施設部長の答弁の中にありましたが、特にこの地元と十分緊密な連絡をとりながら基地の維持について処置してまいりたいということを、昨年も長官は言われましたし、さらにまた施設部長は、お互いに相互信頼でもって今後十分この築城基地については話し合いができる、こういう確認の中からこの市町村を通じて住民の方々とも十分話し合いできる場をつくっていきたい、こういう答弁がありましたので、私の方から確認をいたしましたのは、「各個別の市町村あるいは地域の住民と十分話し合いをする中で円満にこれを処していきたい」ということでよろしいか、こういうことでお聞きしましたところ、そのように承知しておるということの答弁が返ってきています。ところが、いまこの地域でどういう状況が起こっておるかといいますと、たとえばこれはファントムが配備された八月の三日ですから、後になるわけでありますけれども地元説明会を基地司令がやっています。そのときに発言された中身が、大変問題のある発言の仕方をしています。それは新聞にも出ておりますけれども、その新聞の内容を見ますと、「みなさんこそが地元の代表。配備に反対するグループは断固排除する」ということを言っています。これは正式に言っています。ということになりますと、築城町の執行部ですね、それから町議会はこれには参加をしないということを決定したのです。なぜかといいますと、ファントムが配備された後に、住民の騒音に対するいろんな問題からこの要求が強くなってそういう事態に立ち至ったわけです。この久松基地司令の発言というのは、十分なコミュニケーションどころじゃありませんね。     〔谷川主査代理退席、主査着席〕 排除するという立場に立つ、ほかに基地司令の発言の中にはいろいろ問題がありますけれども、これ一点だけ申しておきます。  それからもう一つは、この一市三町の市長なり町長の同意によって相互信頼を得ておるということを言っておりましたけれども協定書もつくらずに、信頼の中でやるということを言っています。ところが、このファントムが配備された七月二十九日、配備通告については七日前、一週間前にはするということで約束しておきながら、実際にやったのは七月二十七日、二日前の午後になって司令が各市町村を回って通告するという、こういう事態が出ていますね。それに対応して市長連中なり町長連中、一つ二つ例を挙げますと、行橋の市長なんかは関係三町に呼びかけまして、こういう事態に立ち至ったので地域住民の安全のために、基地と騒音公害防止協定を結びたいということまで言わざるを得ないようになってきているし、さらにまた、この築城の町長中畑氏の発言は、住民との確認書まで交わしておるわけです。そして問題解決までの間、ファントム飛行停止を申し入れるというこういう状況まで出ているわけです。ですから、昨年ここで言われました内容というのは相当大きく変わってきておる。しかもそれを問題とせずにどんどん進行させ、こういう事態が出ておるということが具体的に出ておるわけですね。この点をどのように防衛庁としてはとらえられておるのか、お答えください。
  246. 高島正一

    ○高島政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、防衛施設庁といたしましては、地域の方々との信頼関係に立ってすべての騒音対策を実施していきたいというふうなことでやっておるということをお答え申し上げたわけでございます。現在もその方針には変わりはございません。地方公共団体の長の方々と密接に連携をとり、私どもの基本姿勢は地方公共団体の長のもとに御意見が集中される、そうあるべきであるということから、当該地方公共団体と御相談を申し上げておるわけでございます。御指摘は、その集約された意見が出ておらないのではないかというふうなお話のようにただいま承ったわけでございますが、私どもは現在までそのようなことにはなっておらないと承知しておったわけでございますが、御指摘でもございますので、早速調査の上、円満な解決を図るように努力いたしたいと思います。
  247. 中西績介

    中西(績)分科員 そうすると、先ほど私が申し上げましたもう一つの問題、久松基地司令のこの発言内容等については、本来的にいままで主張された防衛庁の姿勢とこれはどう対応するのですか。関係はどうなっているのですか。こういう発言が平気でなされるということになりますと、ずいぶん違っていると思うのですけれども
  248. 亘理彰

    亘理政府委員 基地司令の発言というのは初めて伺ったのでございますが、その真偽を確かめまして、もしおっしゃったとおりの発言をしておったとすれば、適切な発言ではなかったというふうに思います。真偽を調べてみたいと思います。
  249. 中西績介

    中西(績)分科員 そこで、騒音対策につきまして一、二お聞きしておきたいと思います。  騒音対策は前回も質問申し上げた際に、五十年度まで終了すべき二十五ジェット基地の調査がまだできていない、これは七十五国会で約束したにもかかわらず、まだこれができていないということを言っておりましたけれども、これはもう全部できたのですか。
  250. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  現在再調査の関係もございますので、再調査をいたさなければならない飛行場が十四施設ございます。その他のものについてはおおむね完了しております。
  251. 中西績介

    中西(績)分科員 そこで、この築城基地の場合には、先ほどお答えがありましたように、第一種に相当するということを言っておるわけでありますけれども、これはファントム配備以前のことで第一種区分にしておるわけですか。
  252. 古賀速雄

    古賀政府委員 御指摘のとおりでございまして、ファントム配備前でございます。
  253. 中西績介

    中西(績)分科員 それではコンターの線引き等が一年間かかるということですから、このファントムが配備されれば、された以降まだ期間的に達しておらないということで、これはまだできていないということになりますね。ということになりますと、この騒音に対する対策を立てる場合に、先ほど申された第一種、これでもっていま対策をしておるというのが実情ですね。
  254. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  多少細かくなりますが、築城のコンターにつきましては、先生から前国会に御指摘がございまして、詳細に調べました結果を御報告させていただきますが、実は昭和五十年度……(中西(績)分科員「それは後で」と呼ぶ)それでは防音の実績について申し上げますが、昭和五十一年度までは百七十世帯、五十二年度予定が約四百世帯でございます。全体計画としては約千八百世帯を考えておるところでございます。
  255. 中西績介

    中西(績)分科員 そこで問題は、そのような措置をするようでありますけれども、実際にファントムが配備されまして以降、市町におきましてそれぞれ測定個所を決めまして測定をいたしておるようです。これは大ざっぱに申し上げて、F86に比べまして大体二十ホン高いというおおよその結果がそれぞれのものから出ておるようであります。ということになりますと、この第一種区分からいたしましても、これは恐らく変わってくる可能性もあるだろうし、先ほどの対策すべき世帯の数等につきましても当然変わってくる可能性がありますね。
  256. 高島正一

    ○高島政府委員 現在、築城につきましては調査を実施しております。ちょうどいまやっておるところでございます。なお、いろいろ地元からの御要望もございまして、こういった個所、西側地区でございますが、西側の方も改めてやってほしいというふうな御要望もございますので、さらに補足の調査も必要と考えております。したがいまして、その結果によりましては、先ほど古賀事官からお答えになった内容も変わってくる可能性もあろうかと思いますが、先ほどの参事官のお答えは、それ以前の考え方を述べたものというふうに理解しております。
  257. 中西績介

    中西(績)分科員 それでは、実際に防音工事をやるに際していろいろな問題があるわけですね。  その一つの例を挙げますと、これは福岡防衛施設局が五十一年五月に示しました「住宅防音工事のしおり」ですが、これを見ますと、この中に示されておる内容の中に、二ページに補助の対象となる工事、そして補助対象にしない工事について示しています。その中で「老朽した住宅で防音工事の実施効果が期待できないもの。」ということになっていますね。ということになりますと、同じ騒音公害を受けておるのに、家が十分でないということで外されるということになりますと、公害を受ける側から言いますと、どういうことになるのですか。
  258. 高島正一

    ○高島政府委員 施設庁の基本的な考え方といたしましては、やはり当該家屋が、物理的に見た場合に、防音工事を施すことによって防音効果が期待できるというものをまずとらえるわけでございます。ところが、はなはだ申し上げにくいわけでございますが、土台等がすでに腐っておる、あるいは柱等も老朽化しておるということから、当該効果が期待できないというのが現実には出てくるわけでございます。そういった方々に対しましては資金の融資あっせん等を行うことによってカバーするという考え方に立っておる次第でございます。
  259. 中西績介

    中西(績)分科員 そこで、これは大変不公平な状況というものが出てくるわけですから、もし本人が資金を融資されでも、その能力がないとするとどうするのか。ここら辺大変な問題になるわけであります。ですから、これは大変な問題があるということを一応指摘しまして、後でまとめて答弁を求めます。  そこで、問題は、冷暖房設置をたとえばしますね。そうしないと、全部防音施設すると大変な状況になるわけでありますから。そのときに生活保護家庭等におきまして、六十歳で二人の場合には四万七千三百円くらいですが、もしそれを稼働させますと、電気料なり維持費というのが大体六千円から七千円かかるわけですね。ということになりますと、これは食事を切り詰めるか何か、生活をずっと切り詰めなければならぬという事態が起こるわけですが、これについてどうお考えになっておりますか。
  260. 高島正一

    ○高島政府委員 原則としてはそういう方々に対する補助はできないという立場にあるわけでございますが、きわめてレアケースでございますので、当該市町村とも御相談を申し上げ、そういった方々に対しては別の観点から施設庁としては善処する方策を考えたい、このように考えておる次第でございます。
  261. 中西績介

    中西(績)分科員 そこで、一般の場合も、やはり維持するためには維持費というものが必ずつくわけです。経済的なものが全部ついてくるという状況にあるわけですから。この点もあわせ、いま答弁を願ったような問題をどうするかということを考えていただきたいと思うのです。  そこでもう一つ、学校の問題を触れておきたいと思うのです。学校の場合に、いまこれはもう大変な問題になっています。というのは、集中力がまず第一に低下します。というのは、音がしますと、集中的にそっちに全部生徒たちの目や耳は集中するわけですね。そして今度は、その音のために難聴の状況が身体的に出てきますね。いろんなことから学力低下というものが出てくる。したがって、いまどうなっているかというと、夏、たとえば梅雨あたりは、全部閉め切りますと室温が三十七度から三十九度くらいに上がるのです。鼻血が出て倒れた生徒が出ていますね。これはお聞きになっておりますか。  それからもう一つは、部屋を閉めるために湿気が非常に多くなって、壁からどんどん流れ出すわけです。それが今度は床にいっぱいになりまして、そこで生徒たちが倒れるという状況等がいま出ております。このように、ただ単に学力低下なり難聴あるいは集中力の低下だけでなしに、身体的なそういう問題等まで含めて大変な状況が出ておるということの認識をしていただいて、積極的にこういう面については、防衛庁の方が、医学的にもいろんな面からの具体的な施策として調査なりやるべきではないかということを私は提案したいと思うのです。いま勝手に任して、言ってこなければ知らぬよ、こういうかっこうになっておりますから、この点をぜひやってほしいと思うのです。  時間が来ましたのでまとめますけれども、いま申し上げましたように、現地における基地司令の態度なるものは、大変地域の住民とのコンセンサスをという状況にはなっていない。しかも、実際にやったとしても、いろんな対策を立てたとしても、こういういろんな問題が出て、いまお答えいただきましたように、善処しなくてはならぬ面なりいろんなものが出ている。あるいは学力等についてもいろいろの面が出ているわけであります。この点。そしてまた、第一種の区分といたしますと、それに沿って具体的に早急にこの対策を立てていくべきではないかと考えるわけですが、長官、どのようにお考えですか。
  262. 金丸信

    金丸国務大臣 防衛という問題は、国民一人一人のコンセンサスを得るということがまず基盤であろうと私は思っておりますから、そういう点につきましては、なお十二分に留意いたしまして対処してまいりたいと思いますし、また学校の防音対策で温度が上がる、湿気が出てくる、そこで生徒が倒れる、鼻血が出るというようなことがあるとすれば、これはまことに重大な問題であります。そういう面で十分調査をさせて善後策も講じていかなくちゃならぬ、こうも考えております。
  263. 中西績介

    中西(績)分科員 終わります。
  264. 塩崎潤

    塩崎主査 以上で中西君の質疑は終了いたしました。  次に、大内啓伍君。
  265. 大内啓伍

    大内分科員 私は、歴代内閣が出してまいりました韓国もしくは朝鮮条項、それと朝鮮半島の有事の事態、それに基づく在日米軍の発動といったような関係についてお伺いをしたいと存じます。  まず手始めに、三月七日から十一日間にわたりまして米韓の合同の演習、つまりチームスピリット78という演習が行われるわけでありますが、この米韓合同演習には在日米軍参加がどのような状況になっているか、主なもので結構ですから、お答えをいただきたいことと、この演習については日本政府は事前の通告を受けているかどうか、お伺いしたいと思います。
  266. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 まず第一の点でございますが、今度の演習には、在日米軍の中で空軍沖繩からファントムあるいは海軍は第七艦隊、それから沖繩にございます海兵隊参加するようでございます。  その規模につきましては、これは在日米軍の中から何人行くかというようなことはつまびらかになっておりません。しかし、米軍として参加いたしますのは、陸軍が五千三百人、空軍が一万二千五百人、海軍が八千五百人、海兵隊が四千人でございまして、計三万三百人ということでございます。  なお、この計画につきましては、私どもの方は最初に情報としてもらったわけではございませんが、ハワイ会談におきまして、こういったチームスピリット演習をやるということを米側が話したようでございます。さらに二月の中旬に、外務省を通じましてこの演習計画について説明を受けたわけでございます。
  267. 大内啓伍

    大内分科員 第七艦隊といいますと、言うまでもなく、横須賀を基地とするミッドウェーが参加をするということだと思いますが、それは間違いないかどうか、それから沖繩の三一三航空師団はどうなったのか、岩国の第一海兵航空団はこれには参加するのか、それからこの米韓合同演習横田基地はどういう役割りを果たすのか、その点について御説明をいただきたい。
  268. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 第七艦隊の中ではミッドウェープラス臨時配備の艦艇というふうに聞いております。  それから、海兵隊につきましては、岩国からか沖繩からかわかりませんけれども、F4それからA6、A4というような飛行隊が参加いたしますので、このうちの一部は岩国かもしれないというふうに考えております。  なお、横田基地の使い方につきましては、私ども正式には聞いておりませんけれども外務省の方に、横田基地中継基地として使うことがあるというような連絡があったというふうに聞いております。
  269. 大内啓伍

    大内分科員 いまの御説明で明らかなように、今回の米韓合同演習を通じまして在日米軍の相当規模の発動が行われるということは明らかでありますが、これと関連をいたしまして、二月二十二日、これはアメリカの下院の国際関係委員会、俗にザブロッキー委員会におきまして、ブラウン国防長官あるいはロジャーズ陸軍参謀総長、さらにはアブラモビッツ国防次官補といったようなアメリカの軍首脳がいろいろな証言をやっておりますが、この中で特に日本にとって重要と思われますのは、朝鮮の有事の事態においては沖繩の米海兵隊、これは第三海兵師団になると思いますが、三個旅団というものをその危機が発生してから二日以内に韓国に急派されることになっている、こういう証言と、もう一つは、五日以内に朝鮮半島に最も近い基地から海軍の機動部隊が出動する。この最も近い基地海軍機動部隊というのは、言うまでもなく横須賀のミッドウェーを中心とする部隊でありますが、これが二つ。それから三つ目は、西太平洋基地からその日のうちに一飛行大隊が急派され、一週間以内に追加飛行大隊がハワイや米西海岸基地から送り込まれる。この場合は言うまでもなく在日米第五空軍、これは横田空軍が急派されるというようなことが証言をされております。これらの証言と今度の米韓合同演習というものはまさに軌を一にするわけでありますが、ここできわめて明白なことは、在日米軍の戦闘参加、つまり朝鮮有事に際しての在日米軍の戦闘参加というこの構図は、アメリカにおいてはすでに既定の事実になっているということが、これらの証言とこれから実行される演習において立証されつつあるわけなんでありますが、防衛庁としては、それらは既定の事実であるというふうに御理解になっておられましょうか。
  270. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 有事の際の在日米軍の派遣あるいは西太平洋にあります米軍韓国への投入等につきましての詳しい証言内容というものは、実は私どもの手元にまだ届いておりません。しかしながら、各紙に報道されたところによりますと、いま先生がおっしゃったような内容のことであろうかと思いますが、ただ一つ横田から一週間以内に派遣するということは、実は横田には実戦部隊というのはございませんで、輸送部隊があるわけでございますから、それはこの中には含まれていないのではないかと思います。しかし、最近、ブラウン長官あるいはその他の国防総省の高官の発言の中で、特にブラウン長官はハワイの記者会見におきまして、今度のチームスピリットというのは韓国の安全保障に対するアメリカの公約の深さと強さを繰り返して示す、また米軍韓国軍が必要ある場合に合同で軍事活動を遂行する用意のあることを示すためのものであるというようなことを申しております。  さらにはまた、在韓米軍の撤退以降、繰り返してアメリカ政府の首脳部が言っておりますのは、公約を果たすという決意と、有事の際にはいわゆる撤退した部隊の再配備を含めてその対処をするということを言っております。  さらにまた、先ほど来御指摘がございましたが、沖繩にございます海兵師団というものは、これは先生も御承知のように、アメリカ海兵師団というものは、前方に配置されておりますのはあの沖繩の第三海兵師団でございますけれども、前方展開の部隊というものは、その紛争が起きたとき早い階段においてこれを終息するという任務を持っておりますから、必要な対処行動をとるということは十分考えられるところでございます。
  271. 大内啓伍

    大内分科員 この二月二十二日の証言にあらわれた在日米軍の出動関係なんですが、先ほど私が申し上げましたように、たとえば西太平洋基地からその日のうちに一飛行大隊が現場に急派され、あるいは沖繩の米海兵隊が二日以内に韓国に急派される、これはきわめて緊急の事態でございますので、なかなか日本との間に十分な協議をするというような時間もあるいはないかもしれないと思われるのでありますが、いま申し述べたような事態は事前協議対象になるのかどうか、その辺は防衛庁長官としてはどういうふうにお考えでしょうか。
  272. 金丸信

    金丸国務大臣 事前協議対象になると思います。
  273. 大内啓伍

    大内分科員 日本の場合は恐らくそういう場合に情報が非常に不足する。アメリカは情報を持っている。情報を持っている者と情報を持っていない者との協議というのは、恐らく一方的にその結論をのまざるを得ないということになると思うのでありますが、その問題は一つおくといたしまして、防衛庁長官も御存じだと思うのでありますが、昨年の日米首脳会談に際しまして、次のような朝鮮条項が合意されているわけです。「総理大臣と大統領は、日本及び東アジア全体の安全のために、朝鮮半島における平和と安定の維持が引続き重要であることに留意した。」これは佐藤内閣における韓国条項あるいは三木内閣における韓国・朝鮮条項を引き継いだ一つの新しい表現だと思うのでありますが、日本政府の基本的な認識というのは、朝鮮半島に有事の事態が起こるそのこと自身が実は日本の平和と安全を脅かすものである。したがって、これに対して、たとえば在日米軍が単に朝鮮半島の平和のみならず日本の平和のためにも出動していくということの方が、実は朝鮮条項の素直な解釈になってくる。防衛庁長官はその辺をどういうふうにお考えでしょうか。
  274. 金丸信

    金丸国務大臣 私は、先生のいろいろの考え方を踏まえてのお話だと思うのですが、あくまでも事前協議がなければ有事の際アメリカ軍がそのまま向こうへ飛び出すということはあり得ない、こういうように信じておるわけであります。
  275. 大内啓伍

    大内分科員 大変慎重なお答えでございますが、物を素直に見てみますと、やはり朝鮮半島に有事の事態が起こるということは日本にとっても大変な事態だと思うのであります。日米安保条約を結んで日本アメリカ基地を貸している。そしてアメリカ米韓相互援助条約に基づいて韓国を支援しなければならない。そして日本は朝鮮条項を通じて、韓国、朝鮮半島の平和は即日本の安全を左右する重要な事態であるということをお認めになっているというこの一連の論理体系からいたしますと、朝鮮半島に有事の事態が起こるというその時点において在日米軍が出動していくということの方がむしろ論理的になり、それを一つ一つ日本政府がチェックできるような事態になるのかどうか。たとえばこの証言等を見ましても、なかなかむずかしいのじゃないかと思いますが、これはむしろ専門家である防衛局長からその辺をもう一回、これは非常に重要なポイントなんであります。私は素直にそういう問題を見ようとしているわけなんでありまして、素直に国民の皆さんにそういう問題をきちっと伝えることが政府防衛庁の使命だと私は思いますので、この辺は率直にお答えをいただきたいと思います。
  276. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 先ほど大臣からお答えいたしました事前協議対象になるというお答えでございますが、それは従来外務省の方からお答えしておりますいわゆる戦闘作戦行動、すなわち具体的に申し上げますと、航空部隊による爆撃とか空挺部隊の戦場への降下あるいは地上部隊の上陸作戦、そういったものを前提にしたお答えであるということを御了解いただきたいと思いますが、いま先生お話しになりました朝鮮半島におきます紛争というものはわが国の安全にきわめて重要でございますし、またあの朝鮮戦争が起きましたときには在日米軍というものがこれに全面的に参加をしているということもございます。しかしながら、この事前協議を行っていく場合もありますでしょうし、またその当初において投入するような場合には、まず韓国移動するというようなことが重点になりますと、移動した上での作戦行動ということになりますと、また事前協議の要らない場合もあろうかと思います。それはそのときどきの状況によって変わってくると思いますが、必要な場合には当然この事前協議というものによってアメリカが協議をしてくるというふうに考えているわけでございます。
  277. 大内啓伍

    大内分科員 いま三つぐらいの例を防衛局長は挙げられましたが、いわゆる緊急発進に属するような、たとえば爆撃等の発進あるいは空挺部隊の下降を前提としたような発進、あるいは上陸作戦を前提としたような地上部隊の発進、これらは事前協議対象になる、こうおっしゃったわけでありますが、そうしますと、直接戦闘に従事することを目的としない在日米軍基地使用ないしは在日米軍の発動、たとえば補給であるとか移動であるとか偵察であるとか、事前協議対象にならない発動というのはどういうことをお考えでしょうか。
  278. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生が御指摘になりました補給あるいは移動、偵察等の直接戦闘に従事することを目的にしない軍事行動というのは事前協議対象にならないということは、従来外務省からもたびたび御答弁のあったところでございますが、たとえば輸送機により補給物資を韓国米軍の飛行場に運ぶとか、あるいは部隊韓国移動していくというようなこと、あるいは現在も偵察飛行というのは行われているわけでございますが、通常の偵察活動であるというものは事前協議対象ではないというふうに考えられるわけでございます。
  279. 大内啓伍

    大内分科員 先ほどブラウン国防長官の証言を見ましても、また今回の演習を拝見いたしましても、アメリカは朝鮮の有事という事態を相当具体的に想定し、それに対する対応を考えている。そして、いま政府のお答えでは、在日米軍が出動する際には、個々の問題について事前協議の必要なものについては協議があるものと理解している、こういうお話なんですが、さっきから申し上げておりますように、この事態は非常に緊急の事態でなかなか十分な協議がしにくいのじゃないだろうか。そしてアメリカはそこまで想定しているとするならば、朝鮮半島の有事という問題は日本にとって、つまり日本の平和と安全にとってきわめて死活的な問題であるとするならば、当然防衛庁というのはそういうアメリカの具体的な構想に対して事前に協議しておくということの方が、防衛という問題を考える場合に重要なことなのではないか。朝鮮有事の事態に対してアメリカ日本がどう対応すべきかということについてこれまで協議をされておりますか。また、協議をされていないとすれば、協議をする意思を現在お持ちでしょうか。
  280. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 朝鮮半島の紛争におきます対処行動というものについて協議したことはございません。いま私どもがやっておりますのは、日米防衛協力委員会におきまして、安保条約の第五条の発動によって日本の安全を守るための対処行動について協議をいたしております。その研究の後に、さらに第六条において極東の安全に寄与するために基地の提供というような問題についても研究をすることになろうかと思いますが、現在はまだそこまで進んでいないというのが実情でございます。
  281. 大内啓伍

    大内分科員 アメリカ議会証言並びに演習というのは、ある意味では新しい事態と言ってもいいと思うのでありますが、やはりアメリカの構想がここまで具体化している以上、この問題について日本は単に事前協議アメリカから協議をされるまで待つというのではなくて、協議するという意思はお持ちではございませんか。これは防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。
  282. 金丸信

    金丸国務大臣 私はいろいろ先生のおっしゃっていることもわかるのですが、現在の状況では、事前協議ということでありますが、ただ事前協議ということだけで日米関係はいいのかということになりますと、私が防衛庁長官になりまして防衛庁へ行きましたが、昨年三原長官アメリカへ行った、今度は向こうの来る番だという程度の対応の仕方で、本当に有事の場合どうするんだ、事前協議というのはどうなるんだというようなことを、パイプがあいていないという場面もあるじゃないか、そういう意味で、今度は向こうの来る番だというようなことでなくて、私もアメリカへ行って十分に国防総省の首脳陣と話し合って、いろいろの場面の話もあるいは出るかもしらぬ、向こうからは来てくれるかもしらぬ、そうしていつも、さあ有事、さあひとつ、こう話のできる体制というものはつくっておくべきだ、こう私は考えておるわけであります。
  283. 大内啓伍

    大内分科員 朝鮮の有事などという事態は余り想定はしたくないのでありますが、しかし防衛というのはあらゆるケースを考えながらそれに対する対応を常に考えておかなければならない。そういう意味で、アメリカが少なくとも朝鮮半島についてこれだけの具体的な想定をもって行動しているわけでありますから、この問題についてはもちろん大臣レベルでアメリカと率直に話し合っておく必要がある。もちろん大臣レベルだけではなくて、各レベルにおいてこういう問題をきちっと詰めておきませんと、有事の際のたとえば事前協議を受けましても、日本はノーと言っていいのかイエスと言っていいのかわからなくなってしまう。したがって、単なる事前協議という問題じゃなくて、ここまで来ているのであれば、少なくとも随時協議というものを活用して、大臣レベル、各級のレベルできちっとアメリカの真意をただし、そして日本のこの問題に対する対応の限界というものもきちっと整備しておくということが私は防衛庁の責任ではないかと思うのであります。この辺はいまお答えをいただきまして、防衛庁長官としても協議をしたいというお話として理解をさしていただきましたので、もし間違いでなければ御答弁は要りませんが、いかがでしょうか。
  284. 金丸信

    金丸国務大臣 私の申し上げましたのは、誤解があってはいけませんが、事前協議ということが当然のたてまえであるわけであります。しかし、事前協議とかそういう問題は別にして、いわゆるいつでも話し合える、おうと言ったらおうと答えられるだけの体制だけはつくっておかなければならぬ、それは大臣レベルもあるだろう、あるいは次官レベルもあるだろう、局長レベルもあるだろう、あるいは制服の場面もあるだろう、そういうような、いつでもお互いが話し合える場がすぐつくれるような雰囲気というものはつくっておかなければいかぬ、こういう考え方であります。
  285. 大内啓伍

    大内分科員 昨年の夏に三原前防衛庁長官が渡米されて、いろいろアメリカの首脳との間にお話をされましたが、金丸防衛庁長官としては、やはりアメリカ極東戦略というものは相当変化してきていると思うのでありますが、渡米されて、そういう朝鮮の有事を含む極東情勢、それに対する軍事的な日米の対応について話し合われる意思をお持ちですか。
  286. 金丸信

    金丸国務大臣 私は着任早々、ただいま申し上げましたような考え方の上に立って、去年三原長官が行ったけれども、今度は向こうから来るということは来てもらってもいいことだし、こちらからも行くということで、訪問するいろいろのいわゆる基本的な問題等についても防衛庁自体で検討しておくというように、下にその私の考え方を伝えておるわけであります。
  287. 大内啓伍

    大内分科員 伝えておるということであると、防衛庁長官としてはそういう意思もお持ちだというふうに理解をさしていただきましょう。うなずいておられますので、そうでございましょう。  そこで最後に、朝鮮有事の場合の日米協力の限界という問題なんですが、たとえば日本自衛隊は、朝鮮有事という事態が起こったときに、どういう協力が日米協力としてはできるのか。これは専門的でございますので、防衛局長からお答えいただきたいと思います。
  288. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 日米協力につきまして、朝鮮で紛争が起きましたとき自衛隊が直接協力することはないわけでございます。
  289. 大内啓伍

    大内分科員 たとえば難民の救済といったような問題を自衛隊がやることはございますか。
  290. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは自衛隊が直ちにやるという問題ではないと思います。しかしながら、政府として難民の救済に当たる場合に、警察あるいは海上保安庁を使う場合もございましょうし、また、その場合に難民救済ということで自衛隊が協力するということはあり得ることだというふうに考えております。
  291. 大内啓伍

    大内分科員 時間が参りましたので終りますが、やはり朝鮮半島の有事という問題は日本にとっても非常に重要な問題でございますので、防衛庁長官とされましても、あらゆる面で日本のこの問題に対する対応が間違わないように、ただアメリカが何か言ってくるまで待って、その応対をすればいいということではなくて、日本の方針という問題を真剣に御検討されますように希望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  292. 塩崎潤

    塩崎主査 以上で大内君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬長亀次郎君。
  293. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 主査金丸防衛庁長官に資料をお渡ししたいと思いますが、いいですか。
  294. 塩崎潤

    塩崎主査 どうぞ。
  295. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 後で説明申し上げます。  長官に最初にお伺いしたいのですが、長官になられる前でもいいし、なられて後でもいいですが、横田基地あるいはその周辺、あるいは沖繩基地、特に嘉手納基地海兵隊のいるキャンプ・ハンセン、そういったような基地をごらんになったり調査されたりしたことはございますか。
  296. 金丸信

    金丸国務大臣 まだ防衛庁長官になって間もないものですから、私は横田基地沖繩基地もまだ見ておれませんが、国会でも済みましたら、早速視察いたしたいと考えておるわけであります。
  297. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私は、安保、基地演習などに関して御質問したいと思いますが、福田総理大臣は、代表質問のときに、私の質問に答えて「在日米軍は、極東の平和、日本の安全を守るためにやってきておるのです。これが、演習もしないでじっとしておったのでは、その役目は果たされないわけです。在日米軍演習をするということは、当然のことと御理解を願いたいのであります。」これは長官もおられました。これは福田総理の米軍演習についての認識であります。  さらに、金丸防衛庁長官は、共産党の不破委員の予算委員会における質問にこのように言っておられます。「米軍の駐留ということは日本の平和と安全に不可欠であります。また、米軍演習するということは、いわゆる練度を高める、向上させるということでございますから、これについて米軍考えることは軍として当然だと思うわけであります。」続けて、不破委員の、演習はいま那覇の防衛施設局からの報告に基づいても、一日に十二カ所か十三カ所がやっているということに対して、こう答えています。「私の報告を受ける範囲におきましては、それほど多いなという印象は受けておりません。」こういった御答弁であります。  そこで、お上げしました資料の番号四、これは嘉手納基地の現実の調査であります。詳しいことは時間の関係で申し上げませんが、これは三日間にわたって、それぞれ七時間ずつ共産党の基地対策部員が行って調査した結果どうなっておるのか。実に二十一時間で五百二十六回やっております。その回数の中にはもちろんタッチ・アンド・ゴーというのですか、向こうからやってきてぱっとすぐ飛ぶ、これなどやられると、上がるときはもう耳をつんざくような音を出すのです。これは割りますと二分間で一回ということになります。その半分以上がいわゆる核部隊と言われておる第一八戦術戦闘航空団、いわゆるF4ファントム、これがやっておるものなんです。これはいろいろ具体的に書いてありますので、後でごらんになってください。  お伺いしたいのは、不破委員が一日に十二カ所ないし十三カ所でやっておると言ったのに対して、それほど多いとは思わないと言われましたが、この表は一方的なものじゃなしに、こっちが確実に調査した結果出ておるのです。二分に一回いろいろな機種がおりたり上がったり、おりたり上がったり、その内容の危険性について後で申し上げますが、この事実をごらんになっても、それほど多いとは思わないという御意見でしょうか。いかがです。
  298. 金丸信

    金丸国務大臣 私は防衛庁におりましていろいろ報告を受けるわけでありますが、ただ、演習ということは、私が不破さんにお答えしたと同じように、練度を高めるため軍としては当然のことだと私は思うわけでありますし、日米安全保障条約を結んでおる以上演習をしてはいけないというわけにはいかないということは申すまでもないと思うわけであります。そういう面につきましては、いわゆる国民かあるいは沖繩県人が騒音その他いろいろ迷惑をこうむっている面もあると私は思うわけでありますが、そういう面については、それをカバーする方法を最善を尽くしてやらなくてはならぬ、こう私は考えておるわけであります。
  299. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 それから、いまは回数を申し上げましたが、内容についてどのように危険な内容か——アジアの平和、日本国民の安全のためにアメリカ軍はいて、それで演習はする、しないのがおかしいじゃないか、こういう結論だな。その内容は大変なことなんですよ。新聞にもありましたが、私がこの前発表したバクスター基地司令官、これは正確には三一三航空師団の師団長であり、その管轄下にある第一八戦術戦闘航空団の司令官も兼ねております。一時間四十五分共産党議員団と会いましたが、この中で六つ明らかになりました。  一つは、復帰前すなわち七二年前と復帰後の核訓練は違っておるか違っていないかという質問に対して、違っておりません、これであります。伊江島でも出砂島でも核模擬爆弾を使って演習しました。これが一つ。  もう一つはブロークンアロー演習地、これはこの前長官もおいでになっての予算委員会で不破委員が説明しましたから説明しません。しかし、一番最悪な事態です。核災害、放射能が漏れる、あるいは核爆弾の一部が爆発する、これはもう一番最悪なのがブロークンアロー演習である。それをいわゆる属地主義とか属人主義とかいう議論はいましようとは思いません。司令官は、この地域には四〇〇部隊もあります。この地域だからやるのだ、別でももちろんやるが、二つの条件がある——これはいま議論はしませんが、まずそういったブロークンアロー演習をやっておる。  もう一つはPAL、専門家だからおわかりでしょうが、核は、いわゆる弾薬庫におさめているときは安全装置があります。その安全装置をやった核爆弾を四〇〇部隊から運搬してきて、いよいよファントムに積むというときに安全装置、起爆防止装置を外す、それでやっていく、またおりてくるとき同じ操作をやってPALをはめて弾薬庫におさめる、PAL訓練、これもやっておりますと、はっきり言いました。すなわち、いまの核兵器の安全装置を外したりつけたりするPAL訓練もやっておる。ブロークンアローもやっておる。何回やっていますかと言ったら、それぞれ三カ月に一遍、だから一年に四回、八回やっているのですね。これが三番目。  いわゆる核ハイジャックについても、万一嘉手納基地に来た場合にはその受け入れる体制はとられておる、これが四つ目。  五つ目は、核要員、核兵器を扱う要員、これが嘉手納におる。  六つ目は、これは大変なことなんです。いわゆる核兵器を取り扱う人間のヒューマン・リライアビリティー・プログラムと向こうは言っているのです。それを取り扱うのは全アメリカに十二万人ぐらいしかいない。毎年三千人余りの事故者が出ておる、これも認めました。これは何名おるか、百人単位か千人単位かと言ったら、千人単位である、千人以上だ。なぜ知っているかと言うと、私のところにチェックする書類が来る、これは不適格、だからあっちに回す、チェックする。  したがいまして、この六つの条件がそろっているわけなんです。嘉手納基地。しかもバクスター司令官のもとにおける第三一三航空師団、これは横田における第五空軍の配下にある。そのほかに今度は、横田でブロークンアロー演習をやっておるでしょうと言ったら、やっておると思いますと。この東京のど真ん中でブロークンアロー演習をやっておる。こうなりますと、この演習は、仕方がない、アメリカは安全のためだからということは言えないのではないかと私は思うのですよ。いま申し上げましたとおり、事実上核訓練をやっておりますから、いま核を部隊が持っているかあるいは持ち得るような体制になっているか、いずれの体制にせよ嘉手納基地の危険な体制なんです。  それから、もう一つ申し上げますが、これ、入っていますか、写真。——入っていないですか。主査、これ、いいですか。
  300. 塩崎潤

    塩崎主査 どうぞ。
  301. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 この写真の上のもの、これはキャンプ・シュワブの入り口にあるものです。これはセメントでつくられまして、これだけの大砲が撃てるということを掲示したものです。これがさきおととい撤去されました。これはだれがやったか、アメリカがやりました。これは防衛施設庁に願ってやったのではなくて、防衛施設庁那覇施設局はどんなに頼んでもできないものだから、結局県知事と名護の市長、市議会が行って、アメリカの戦車通行禁止というふうなことを張ったのです。いまでも張ってある。だから、とうとうこれが撤去されて、アメリカ軍がつくった迂回道路に、今度は新聞紙一ページ大のものを板にちょこっと張っておるのですね。私がこれを申し上げますのは、防衛施設庁に願ってもやってくれない、政府もやってくれない、それで自治体の長は結局、県民なら県民、市民なら市民の生命と安全を守るために、本当に民主主義の根幹である抵抗権をいま示しておるのが沖繩の現実だということであります。  そこで、次は、キャンプ・シュワブ、ハンセン。この演習は、戦車道路をつくると言いながら戦車道路じゃないのだ。この間行ってきましたが、まさに戦車の一大訓練場なんです。戦車がドカン、ドカンと毎日やっておる。水源地が破壊される、森林がやがて壊滅するというふうな状態。そして雨が降る。沖繩は雨が少ないのですね。ただ、アメリカがたくさんおるものだから、降ってもアメリカが飲みますからね。アメリカが帰ればそれだけ節約になるかもしれませんが、いずれにしても水源地の破壊によって、雨が降ったと思ったら泥水が出てくる、赤水が出てくる。アメリカ日本におるのはアジアの平和と日本の安全のためだというふうなことであるならば、アジアの平和は、まずとにかく——この演習というものが、日本国民の生活、さらに財産、これを破壊しつつあるということなんですよ。これが現実なんです。私は向こうへ行ってきましたが。写真も撮ってきたわけなんだ。これもこの前も不破さんがアメリカの資料に基づきましてやったら、これは一方的なものであると言う。これも長官のところへ入っています。しかし、私は、一方的なものとして片づけられないものがあると思って申し上げるのですが、長官、いかがですか。
  302. 金丸信

    金丸国務大臣 沖繩に核兵器が置いてあるという話、それは演習をやっておるのだ、こういうようなお話でありますが、アメリカ軍の核兵器部隊というのは、練度を高めるためにたまたま沖繩にもおる、あるいはヨーロッパにおる、あるいは韓国にもおるかもしれない。私は外国のことはわからないけれども、模擬弾を使っての演習、まさか実物を演習に使っておるとは考えられない。そういう意味で、委員のおっしゃられることにつきましては、ちょっと私には合点がいかない、こういうことであります。
  303. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 水源地を破壊したりしていることは、那覇防衛施設局から何かお知らせがありますか、ありませんか、どうです。
  304. 亘理彰

    亘理政府委員 いろいろお話がございましたが、戦車道によりまして水源地に障害を及ぼしているというふうな点は、あるいは用水の汚染を生じておるというふうな点は承知しておりまして、これはその都度、那覇の局長から米側に被害防止措置をとるように申し入れをいたしておりますが、さらに中央におきましても、合同委員会において、日本側から現地で要請しました補修措置を早急に実施するように、またこのような工事を実施する場合には、事前に日本関係当局と十分調整するようにということについて、米側の善処を求めておる次第でございます。     〔主査退席、谷川主査代理着席〕 米側もいろいろ対策をとっておりますが、施設庁といたしましても、五十二年度または五十三年度におきましても、浄化装置、あるいは水源の施設についてできるだけの手当てをいたしたいと思っております。
  305. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 もう一つ長官に確かめたいと思うのですが、いま申し上げましたように、総理大臣は、演習はむしろやるのが当然だと言い、あなたもそういったような意味のことを言っているという場合に、米軍の駐留による演習、あるいは朝鮮に有事の際に、またまたそこを基地に使っていく場合も想定されておる。核があるかないかは司令官は言いませんでした。皆さんはないと言う。向こうはないともあるとも言わないのですよ。さすがに司令官だけある。戦争屋ですから正直ですよ、その点は政治家じゃないから。  だから、私が申し上げたいのは、この一、これはブロークンアローの向こうの文章、PAL訓練の文章であります。これが向こうの資料であることを認めました。勝手に不破委員が出した個人的なあれだということは否定されました。どういう見方かというと、PALについては演習をこの日にやったか——ブロークンアローについても書かれています。これはいま記憶にないので、改めて瀬長議員に電話でお知らせすると言いました。  それからもう一つ。ブロークンアロー、一の一番最後を見てください。長官、赤で字を書いてあるでしょう。ブロークンアロー、書いてありますね。ジェームズ・R・ウイルスと書いてあるでしょう。この人は副司令官なんだ。それで司令官、副司令官がいて、司令官と名刺交換しまして、帰りぎわに、あなたの名刺もらってないから、名刺をくれと私が言いましたら、私、ナンバーツーだから名刺持っていません。それで、私の名前これですと、これを言いましたよ。司令官も副司令官も、この文書が軍の文書であることをはっきり認めたんですよ。ですから、一方的でないということはこれでもわかります。私、長官がせめて日本国民の、沖繩県民の生活の安全になることをもっと積極的に調査されまして、たとえば地位協定二十五条によりますと、どっちか一方の政府が言って、こういったような施設の使い方はこういうふうにしようじゃないか、制限すると、いわゆる日本国民の側にとって——私たち安保条約廃棄、軍事同盟反対です。基地反対なんです。しかし、せめてベターとして、やはり一方的に勝手気ままに基地を使って住民の生命、財産を危険にさらすようなことのないような努力、これはなさっていいと考えますが、長官、いかがですか。
  306. 金丸信

    金丸国務大臣 先ほど、軍人は正直で政治家はうそつきだというようなお話があったのですが、(瀬長委員「政治家はうそつきとは言わない」と呼ぶ)そうですか。政治家は正直でないと、私はニュアンスでとったんだけれども、案外金丸信は正直ですよ。  そこで、政治は国民のためにあるということでございますから、国民のそういうような問題について無関心でおるわけにいかない。関心を持って、今後そういうような問題につきましても十分調査をいたしまして対処するということが当然だと私は考えております。
  307. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 次は、同じ部隊の第一八戦術戦闘航空団の射撃場の一つである出砂島という射爆場があります。これは渡名喜村、島がありますね。その渡名喜村と約四キロぐらい離れたところです。これがこの前渡名喜村に落とされた照明弾なんです。この点は、お聞きになっているかもしれませんが、比嘉さんという民家の奥さんが井戸で洗たくをして、手を洗って、台所に行こうかなと思うところにぽかっとやってきた。これは長さ一メートルくらいで二十センチくらいの直径を持ったジュラルミン製のやつなんです。これは誤って落としたことを施設庁はこの前認めました。あれはどういうふうに誤って落としたかというと、出砂島だと思って照明弾を落とした、ところが何だこれはというのでわかったわけなんです。私もこれが発表になってから——あそこは約一千名足らずの村民なんです。これはわれわれは戦場にいる。毎日パカンパカンやっていますから、出砂島はいま変形をしているそうです。誤認したということは、もし実弾であった場合には、一体どうなっていたのかという問題なんです。これはファントムあるいはミッドウェーからやってきたということははっきりしております。  それで、私もきょう電話しましたら、あの後防衛施設庁は、比嘉さんのところにお見舞にいらしたそうです。私はそれを了とします。この前行かなかったものだから、大変だったなくらいは言ってもいいのではないかと言ったのです。行かれたそうであります。  ところで、問題は、あの後、夜はやらないそうです。昼はやっています。きょうの電話——向こうに基地対策部員を派遣して、その電話であります。あれ以後も、昼は雨が降らない場合には演習をやっておる。その演習は、八〇%まではその島、いわゆる渡名喜村を通っている。これは現実なんです。施設庁は、島を通らないようにアメリカに言っておるので、アメリカも遺憾の意を表した。多分そうするだろうと言っておりましたが、これは事実に反します。いまでもなお島を通っている。ひどいのは、一例を申し上げましょう。あれは、過疎地帯であります。ほとんど青年は本島に出ております。老人が多いのです。診療所がありますが、診療所のお医者さんが血圧計をはかりますね。昼ははかれぬそうです。これが実態である。長官、こういった場合、これは施設部長が沖特委で答弁したと思いますが、アメリカにこの島を通らないようにするようにと言っておるというのだが、こういったような、単に言うだけではもう済まされないような危険性があるわけなんです。あれは島だからいいのですよ。あれは島だから余り反響がどんどんこない。もし東京のど真ん中にでもあの照明弾が落っこちたらどうなります。金丸防衛長官の家にでも落ちたら、ひどい目に遭うわけなんですが、そこまで事実はきているのですね。だから、この問題をいわゆる水域と空域、これを分けて合意メモに書かれておるのか、どっちであるのか。水域がありますね、海域というのですか、空域がある。その空域の中には渡名喜村が入っているのではないか。これは施設庁長官でもいいのですが、どなたでもいいですから、一言で、空域と海域は違っているなら違っている、違わないなら違わない。それから施設合意ナンバーは幾らか。
  308. 高島正一

    ○高島政府委員 お答えいたします。  合意メモの内容は、再三お答え申し上げておりますとおり、発表できないことになっております。ただ、先般の沖特委でもお答き申し上げましたように、渡名喜村の上空は飛行しないということで米軍の確約を得ておりますので、われわれは入っておらないというふうに考えておる次第でございます。
  309. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 もう時間がございませんので、要望を申し上げて終わることにしますが、先ほど防衛庁長官は、沖繩にも行ってみたいと言われましたが、私がいま申し上げましたこと、不破委員が予算委員会で提起したこと、これは間違いないわけなんです。それでも信ずることができなければ、一応行ってバクスター司令官に会うとかあるいは基地がどのようになっているかをお調べになって、せめて安全のために、それで生活を守る、財産を守るという方向で合同委員会に提起されて、そういう方向で合同委員会の合意事項を決めてもらいたい、この要望一つ。  もう一つは、この前の沖特委での相談でありましたが、外務省の北村参事官は、いまの五・一五メモというのですか、七一年の五月十五日なんでしょう。日米合同委員会で決めたもの、これを少なくとも現在生活に関係する部面は関係省庁と話し合って、アメリカ政府と話し合って、向こうがオーケーを言えば発表すると言いました。少なくとも本土横田、三沢、それから岩国、横須賀、佐世保、これはアメリカ基地ですね。この基地ナンバーと具体的な内容、どういう合意をしているか。沖繩では嘉手納基地、さらにキャンプ・ハンセンとシュワブ、普天間、そういったようなところ、さらにいま申し上げました出砂島、この施設をどういうふうに使うんだという合意事項については早目に提出してもらいたい。いつごろできるか、一言御答弁をお願いしたいと思います。
  310. 亘理彰

    亘理政府委員 外務省あるいは米軍等とよく相談をいたしたいと思います。
  311. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 終わります。
  312. 谷川寛三

    ○谷川主査代理 以上で瀬長君の質疑は終わりました。  次に、栂野泰二君。
  313. 栂野泰二

    栂野分科員 私は、鳥取県の美保基地のCIジェット輸送機の配備の問題でお尋ねしたいと思います。  前国会で防衛二法が成立しまして、輸送航空団の編成がえが行われることになりましたが、美保基地関係では、いつまでにどういうふうに編成がえが行われるのか、お答え願いたいと思います。なお人員も言ってください。
  314. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 防衛二法が成立いたしましたので、五十二年度末に編成がえを行いたいと思っております。現在輸送航空団の美保にはYS九機がございますが、これが機数といたしましては七機になりまして、CIを四機とYSを三機。人員は現在千二百五十人おるわけでございますが、これが約八百五十人に減るわけでございます。航空団司令部と、それから教育関係部隊を配備する計画でございます。
  315. 栂野泰二

    栂野分科員 私があらかじめ聞いた人員の数字とちょっと違いますが、その内訳を言ってください。
  316. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 輸送航空団といたしまして約五百四十人でございます。それから第五術科学校の第三分校というのがございます。これが約百四十人でございます。それからその他の部隊で管制隊、気象隊、プログラム管理隊等々の小さな部隊がございますが、合わせまして約百七十人でございます。
  317. 栂野泰二

    栂野分科員 そこで、C1が配備されますと、いまの訓練飛行の状態がどういうふうに違ってきますか。
  318. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 現在YS11が九機おるわけでございますが、これがいまお答えいたしましたとおり、C1が四機、YS11が三機と、七機の機数になるわけでありますが、この配備予定の部隊は教育を主とした部隊でございまして、訓練内容等については、現在とそう大きな差はないものと考えております。飛行回数等についても大差ないものというふうに理解しております。
  319. 栂野泰二

    栂野分科員 現在のを言ってください。
  320. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 昭和五十一年度の平均飛行回数は一日当たり自衛隊機が約六十回、民間機が約二十回でございます。この飛行回数についても大差ないものというふうに考えております。
  321. 栂野泰二

    栂野分科員 昨年の十二月二日に美保の基地の中島司令が記者会見しまして、それによりますと、午前八時から午後四時三十分ぐらいまで、それから夜間飛行の訓練は日没から午後八時ぐらいまでだ、緊急発進が一日五十回、いまちょっと六十回と言われましたが、こういうことですが、大体今後予想される飛行というのはこの程度なのか。それから、緊急発進というのですから、離着陸回数ですね、これは全体でどのぐらい予想されますか。
  322. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 美保飛行場は輸送部隊基地でございますので、緊急発進というものはございません。  それから、ただいま一日当たり自衛隊機六十回、民間機二十回と申し上げたのは、離着陸訓練、いわゆる離陸と着陸をそれぞれ一回とカウントしてということでございます。
  323. 栂野泰二

    栂野分科員 そこで、いま定期便も週五回飛んでいるようですが、これも恐らく今後とも残ると思いますけれども、飛行訓練としては、C1配備後、美保基地では一体どういう訓練をされるわけですか。
  324. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 先ほど申し上げたとおり、美保飛行場は輸送機の学生教育の部隊になるわけでございまして、細かくなりますが、その教育内容を申し上げますと、離着陸訓練、それから計器飛行、編隊飛行、航法、いわゆるナビゲーションでございます。それからその他地上におきますいわゆるフライトシミュレーターを使った訓練、こういったものになろうかと思います。
  325. 栂野泰二

    栂野分科員 いわゆる戦術飛行訓練といいますか、空挺団の降下とか物量投下訓練、そういうものは現在習志野なりあるいは島松で行われているわけですが、これは今後とも習志野ないしは島松でやるということで、美保では全然考えておりませんか。
  326. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 空挺降下の訓練はかなり広い場所を要するわけでございまして、美保はそういった地積がございませんので、訓練を実施することはございません。
  327. 栂野泰二

    栂野分科員 それから、現在は美保はYS11だけでやっているわけですが、C1のそういう学生教育のための訓練というものは、現在は一体どこでやっているのですか。
  328. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 埼玉県の入間基地でございます。
  329. 栂野泰二

    栂野分科員 今度の編成がえによりますと、いままで飛行教育隊となっていたのが、四〇三飛行隊というふうに名称が変更になっていますね。これは何か特別の意味があるのですか。
  330. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いままでは輸送航空団も一般の航空団と同じような編成になっておったわけでございます。ところが、輸送航空団につきましては、それぞれの飛行隊というものを独立させまして、整備、補給というものがそれぞれの部隊のあるところにおいて行われるという方向が効果的であるという判断のもとに、輸送任務についております部隊、これは入間と小牧でございますが、それぞれに補給部隊を持っております。同時に、美保の部隊は教育を主といたしますけれども、そういった意味の整備、補給ができるという形で、第三輸送航空隊というふうにしたわけでございます。
  331. 栂野泰二

    栂野分科員 美保に輸送航空団の司令部が引き続き残るわけですが、昭和四十四年ごろに国防会議からこれは委託研究されたようですが、「わが国の防衛態勢について」という文書があるのですけれども、これを読んでみますと、現在は一般の軍事航空輸送と戦術空中輸送というのを同一の部隊編成でやっているけれども、これは有事における空中輸送の常態としては、この二つの任務を同一の部隊で遂行することは不可能なんだ、こういう指摘がある。もう一つは、輸送航空団のホームベースですね。これはいまの美保基地では地理的には適当でない、こういう問題指摘をしまして、対策としては、戦術空中輸送と軍事航空輸送ですね、これを二本立てにして分けるべきだ。そこでその輸送航空団のホームベース、つまり司令部は小牧と入間、両基地に集約して、教育飛行隊だけは美保基地にする、これが適当だ、こういうことを言っているのですが、一体美保基地に司令部をどうして残さなければならないか。私ども考えましても、地理的に言って、入間なりあるいは小牧の方が便利だ。それから、戦術輸送の訓練は一切美保でやらない、こういうことになっているわけですね。言ってみれば、もっぱら初歩的な飛行訓練だけということ、この辺はいかがですか。
  332. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 この輸送航空団の司令部を美保に残したという理由は幾つかございますけれども、御承知のように、輸送航空団というものは、美保で最初から育ってまいりました。したがいまして、団司令部には、運用上、輸送部隊の中枢としてのいろいろな機能も持っているわけでございます。そしてまた、輸送航空団の司令部というものが、いわゆる戦術的に見て、どこに置かなければならないという理由も、決定的なものはないわけでございます。したがいまして、従来の指揮系統の設備あるいは施設等を利用して残しておくということでございます。
  333. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 先ほど戦術訓練は美保では実施しないという御指摘がありましたが、先ほど防衛局長が答えたのは、空挺降下をやらないという意味でございまして、いわゆる戦術教育、学生教育の課程にも、初歩の課程からいわゆる戦術課程という高度の課程がいろいろございますが、そういう意味での戦術訓練は美保で実施します。
  334. 栂野泰二

    栂野分科員 YS11も今後かなりの期間、九機残すわけですね、すぐにリタイアするというなら話は別ですが。しかも、現在C1がすでにある入間あるいは小牧あたりは、住民の反対もそれほどないと聞いているわけですね。ところが、御承知のように、美保基地にC1を入れるということについては、関連市町村、地元住民が非常に根強い反対をしている。それにもかかわらず、なぜC1を美保に入れなければならないのか、私はその理由がどうしてもわからない。このC1配備を再検討するという考えはありませんですか。長官おられるから、長官、いかがですか。
  335. 金丸信

    金丸国務大臣 あそこも相当な施設も投資もしておるわけでありますから、また滑走路も新たにつくり直したというようなことも考えてみますと、いわゆる効率的なことを考えてみましても、これを思いとどまるということはちょっとできない、こう思うわけであります。
  336. 栂野泰二

    栂野分科員 できるだけ三月末までには入れたいというふうにかねがね言っておられます。そうなるかどうかわかりませんが、どうもそんなに急いで入れなければならないという理由が、いまの長官の御答弁でも、私、納得できないわけですが、特別いまの時期に、三月の年度末ぐらいまでに何とかして入れたいという理由は、一体どこにあるのですか。
  337. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 自衛隊の輸送機というのはC1にかわってまいるわけでございます。そしてまた、防衛二法が通過いたしまして、C1の配備というものをきちんとして、訓練を開始し、パイロットを養成し、それぞれの部隊に配備して、輸送航空団の任務を果たさせたいというふうに考えておるわけでございます。
  338. 栂野泰二

    栂野分科員 ですから、美保の方はYSの教育隊にしておけばいいのじゃありませんか。どうしても美保でやらなければならぬということはないでしょう。しかもYSは一体今後どのくらい使う予定ですか。
  339. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生は、YSのパイロットだけを教育しておけばいいというお話でございますけれども、御承知のように、主力がC1にかわっていくわけでございますから、C1のパイロットの養成というのはどうしても必要になってくるわけでございます。したがいまして、YSとC1をそれぞれの基地にあわせて配備をするという構想をとっているわけでございます。
  340. 栂野泰二

    栂野分科員 C1の訓練をやらなくてもいいと言っているのではなくて、C1の訓練は入間なり小牧でおやりになればいい、何もいま反対運動があるわけじゃないのですから。平地に波を立てるように、いま短期間にどうしても美保に入れるということは再検討してほしいというふうに私は申し上げているわけです。  そこで、現在境港市あるいは米子市に美保基地があるということでいろいろな交付金なり助成金が支払われておりますが、これを各省別に、どういう種類のものが支払われているのか、その根拠条文をおっしゃってください。金額は結構です。
  341. 高島正一

    ○高島政府委員 周辺整備法に基づきまして、美保基地関係につきまして、補助金を支出しておるわけでございますが、障害防止工事あるいは騒音防止工事、これはいずれも周辺整備法三条でございます。それから民生安定助成、これは八条関係であります。それから道路改修というのは三条もございますし、八条もあるわけでございます。そのほか調整交付金の項目がありますが、これは支出しておりません。集団移転関係が五条でございます。
  342. 栂野泰二

    栂野分科員 この種の交付金は、現在島根側には全然交付されておりませんか。
  343. 高島正一

    ○高島政府委員 鳥取、島根、いずれも交付しておりません。
  344. 栂野泰二

    栂野分科員 いまおっしゃいました三条関係なり八条関係は鳥取にはあるのですが、島根側にはそういうものはいま一切ないのですね。
  345. 高島正一

    ○高島政府委員 いま詳細な資料は持っておりませんが、島根側にもございます。
  346. 栂野泰二

    栂野分科員 ところで、今度C1が配備されるということになりますと、現在交付されている種類の交付金ないしは助成金以外に、第九条の整備調整交付金、これが交付される可能性が考えられるわけですが、この第九条にある「周辺地域を管轄する市町村」、つまり関連市町村の中に入る市町村、これは前回も私、聞きまして、米子と境港だけで島根側は考えられぬというお話でしたが、それは法律上全く不可能なのか、それともいろいろな状況考えて可能性がない、こういうことなのか、もう一度お答え願いたいと思います。
  347. 高島正一

    ○高島政府委員 実際にC1が配備されまして、いわゆるテストフライトをやることによってその辺がはっきりしてまいるわけでございますが、法律上不可能だということではございません。
  348. 栂野泰二

    栂野分科員 配備してみなければわからぬということなんでしょうが、現在のあの辺の状況はよくわかっているわけですから、そういう現時点の状況を勘案した場合に、島根側にはちょっと無理だという前回のお答えだと思うのですが、そのとおりでよろしいですか。
  349. 高島正一

    ○高島政府委員 繰り返して恐縮でございますが、私どもはやはり実態を正確につかみたいという考えでございます。現在考えられるところでは、島根は無理ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  350. 栂野泰二

    栂野分科員 そこで、鳥取の方にこれまで交付されました補助金等がいろいろあるのですが、時間の関係もありますから一、二伺うだけにとどめますけれども、道路改修事業、これは八条の民生安定事業費として出ているわけですが、一億を超える金額が出ている。これは米子市で「横道線外」というふうに書いてあるのですが、私、もらいました採択理由を見てどうもよくわからない。どういう因果関係があるのか、ちょっと御説明願えませんか。
  351. 高島正一

    ○高島政府委員 八条の趣旨は、地方公共団体が、防衛施設の設置または運用によりまして障害が認められる、住民の生活または事業活動が阻害されると認められる場合には、その障害の緩和に資するということで採択することになるわけでございます。したがいまして、地方公共団体の長があくまで民生安定上事業活動等の支障になるかどうかということがわれわれの判断の基準になるわけでございます。
  352. 栂野泰二

    栂野分科員 そこで、採択理由を読んでみますと、「本路線は美保基地周辺に在って未整備な道路であるので、これの整備工事を行って航空機の事故等が生じた場合の消防救難活動に備えると共に基地周辺住民の生活環境の整備を図るものである。」こうなっているわけですね。具体的に一体どういう道路改修をやったのか。それと、いまおっしゃるように、防衛施設の設置または運用で周辺地域住民の生活または事業活動が阻害されると認められる——どういう阻害が生ずるということでどういう道路補修をやったかを言っていただきたい。
  353. 高島正一

    ○高島政府委員 ただいま手元に資料がございませんので、具体的な道路について御答弁申し上げることができないのは遺憾でございますが、考えられるところは、飛行場内で火災等の事故があった場合に消防車等が活動する必要があるだろう、その消防活動上、道路は整備しておかなければいかぬのじゃないかということで採択したのではなかろうかと思われます。
  354. 栂野泰二

    栂野分科員 飛行機の事故がある、それで火災が起きる、消防車が行かなければいかぬ。その消防車が行くには早く行かなければいかぬから道路を直しておかなければいかぬという、こういう因果関係というのはきわめて漠然としている。間接的になるわけですね。大体いままで交付された助成金なり交付金、多くはそういう因果関係が漠然としているように私には思えるのです。  そこで、今回C1が配備されるという。そうしますと、関連市町村周辺では、またしこたま金がもらえるぞといううわさが飛んでいるのです。住民は非常に混乱しているのですね。しかも、この第九条の整備交付金なんということになると、これはつかみ金です。いま地方自治体は金がなくて困っていますね。結局、一般財源になるような金が出されるのですね。  政府はかねがね、防衛の基盤は国民の防衛意識に支えられなければならぬ、こうおっしゃっておられる。長官もそうだろうと思いますよ。しかし、いま実際にこういう補助金なり助成金の交付の実態を見ますと、そうじゃないのですね。本当にこの国を守らなければいかぬ、だから基地が必要だから協力しようというんじゃないのですよ。金がもらえるから、だから協力しようというのですね。これはもう明らかに本末転倒です。  そこで、時間がありませんから長官に御意見を聞きたいのですが、もう少し補助金なり助成金についての基準というものを明確にする必要がある。防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律ということで「その障害の緩和に資するため、」とか「開発に及ぼす影響の程度及び範囲その他の事情を考慮し、」とか、非常に抽象的に書いてあるわけです。だから、言ってみれば腹一つ、胸先三寸でやるかやらないかが決まるようなことにもなりかねない。だから、もうちょっと明確な基準を政令なり府令でつくっておくというお考えはございませんか。
  355. 金丸信

    金丸国務大臣 ただいまの御提言も私はひとつ検討させていただきたい、こう思っております。
  356. 栂野泰二

    栂野分科員 終わります。
  357. 谷川寛三

    ○谷川主査代理 以上で栂野君の質疑は終了いたしました。  次に、玉城栄一君。
  358. 玉城栄一

    玉城分科員 先月の二十三、二十四日にわたりまして、アメリカ海兵隊によって県道一〇四号線を封鎖して実弾射撃演習が行われたわけであります。これは沖繩本土復帰いたしまして二十回目だと思います。その二十回の中には、たしか五回ほどは現地の反対が非常に強くて、その演習中止をしたと思いますが、いずれにしましても、先月の二十三、二十四日、その都度現地では非常に反対の強い中でアメリカ海兵隊は強行をいたしておるわけであります。  御存じのとおり、この一〇四号線といいますのは生活道路でもありますし、またあの実弾演習地域は、地域住民にとりまして非常に隣接をしておるわけですね。またそういう危険な実弾が発射されるわけですから、非常に不安が伴うわけであります。同時に、実弾が打ち込まれるわけでありますから、著しく自然が破壊もされるわけであります。そういうことで、その都度、演習が行われようとする通告のあるたびに、現地においては反対運動が盛り上がり、また私どもも、防衛庁に対しましてもあるいは外務省に対しましても、その演習中止を訴えてまいっておるわけであります。なかなか思うとおりいかないわけですが、ただ、この県道一〇四号線という県民の生活道路、この道路がキャンプ・ハンセンという米軍基地の中を通っておるわけです。このキャンプ・ハンセン内を通っている県道一〇四号線についての法的な地位と申しますか、いろいろ私たちもあいまいな感じがしてならないわけです。したがいまして、その県道一〇四号線の地位協定上の法的な地位についてお伺いしたいと思うわけであります。それで、施設庁の方にお伺いしたいわけですが、この一〇四号線という道路は沖繩の県道であるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  359. 高島正一

    ○高島政府委員 県道でございます。
  360. 玉城栄一

    玉城分科員 それでは、外務省の方にお伺いしたいのですが、ただいま一〇四号線のあの部分は沖繩の県道であるということになれば、当然その管理権というのは沖繩県の方にあると思うわけですが、そのように理解してよろしいでしょうか。
  361. 高島正一

    ○高島政府委員 県道一〇四号線は、施設区域内に含まれておるわけでございます。
  362. 玉城栄一

    玉城分科員 それはわかっていますが、県道であるとおっしゃいましたけれども、県道であるならば、当然道路管理者としての管理権というのは沖繩県にあると理解していいかどうか、こういうことです。
  363. 高島正一

    ○高島政府委員 県道でございますから、当然道路法の適用を受けるわけでございますが、道路交通法の第四条に基づきまして、所要の措置をとられた上で、県道の一時的な封鎖というものがとられているものと理解しております。
  364. 玉城栄一

    玉城分科員 いや、私がお聞きしていますのは、管理権があるかどうかということです。県道ということをおっしゃったわけですから、その管理権は県にあると理解していいかどうかということです。これは外務省の方ですね。
  365. 北村汎

    ○北村説明員 県道一〇四号線道路のキャンプ・ハンセンの中の部分は、これは昭和四十七年の五月十五日の合同委員会の合意によりまして、キャンプ・ハンセンの一部である施設区域として米軍に提供されたものでございます。したがいまして、地位協定第三条によりまして、「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」とございますので、管理権は、このキャンプ・ハンセン内の部分については米軍が持っておるということでございます。
  366. 玉城栄一

    玉城分科員 そうしますと、同じく外務省の方に伺いたいわけですが、地位協定の三条によって提供したキャンプ・ハンセン内の提供施設区域内にある県道一〇四号線についても、地位協定の三条一項による提供施設区域である、このように理解してよろしいですか。
  367. 北村汎

    ○北村説明員 一〇四号線の中でキャンプ・ハンセンの中を通っております部分については、これは施設区域の部分でございますから、そういうふうに解釈していただいて結構でございます。
  368. 玉城栄一

    玉城分科員 そうしますと、先ほどはあの一〇四号線は県道である、そして地位協定上の三条一項による提供施設の適用部分に入っているのだから、これはそういう解釈からすると、当然県には道路管理者としての管理権はないということになるわけですか。
  369. 高島正一

    ○高島政府委員 先ほどもお答え申しましたように、県道ですから、当然道路法あるいは道路交通法の適用を受けるわけでございます。一方、施設区域内の部分につきましては、外務省から御答弁があったように、三条の米軍の管理権の中に入っておるわけでございます。したがいまして、この調整のために、一時的に封鎖をしなければいかぬというときは、道路交通法四条を適用して一時的な封鎖をやっておる。その他は、県が通常の場合は管理しておるというふうにお考えいただいて結構だと思います。
  370. 玉城栄一

    玉城分科員 通常の場合は県が管理しているということをおっしゃったわけですが、そうしますと、この演習以外のときに地域住民並びに県民が通行しているわけです。これは地位協定上から言いますと、どういう法的根拠といいますか、通行できる根拠というのはどういうことになるわけですか。
  371. 北村汎

    ○北村説明員 通常の場合には、一般通行の規制につきましては、現地の警察が道路交通法に基づいて規制をしておりますが、先ほども申しましたように、この県道一〇四号線のうちでキャンプ・ハンセンの中に存する部分につきましては、これは沖繩復帰の際に、キャンプ・ハンセンの提供に係る合同委員会の合意によりまして、施設区域として提供されたものでございますので、県道一 〇四号線の当該部分の一般住民等による通行というものは、この合同委員会合意の範囲内で制限されることもあるわけでございます。
  372. 玉城栄一

    玉城分科員 その辺がわれわれにも明快にわかりにくいわけです。従来、施設庁にしましても、外務省の方にしましても、あたかもあの部分については、県に道路管理者としての権限が与えられているやの感じを与えるようなことをおっしゃってみたり、いまの答弁をお聞きしますと、地位協定三条による提供した施設区域であるということからしますと、道路管理者である沖繩県には実際的には権限が全く及ばないということになるわけですね。そうしますと、演習時以外に住民があの部分を通行するということについて、これはどういう法的な根拠によって通っているのか、通させてもらっているのか、その辺をはっきりさせていただきたいわけです。
  373. 高島正一

    ○高島政府委員 施設区域として提供し、三条の管理権が米側にあるわけでございますから、その管理権の範囲内で、県当局が県道の管理者としての管理をする内容について米側の管理権の範囲内における許容を得て通行しておるというふうに御理解いただきたいと思います。また、管理しておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  374. 玉城栄一

    玉城分科員 簡単に申しますと、その地位協定の三条からいきますと、あの一〇四号線の部分について、県の道路管理者としての権限は及ぶ余地はないということですか、それとも道路管理者としての管理権は及んでいるのか。もし及んでいるのであれば、どの範囲にどういう形で及んでいるのか、その辺をちょっとはっきりお聞きしておきたいのです。
  375. 高島正一

    ○高島政府委員 通常は、米軍の管理権の範囲内で、県当局が施設庁を介し米軍と交渉をし、十分県の管理権が及ぶものと考えておるわけでございます。ただ、一〇四号線の射撃越えをする場合に、一時的にその県の管理権が道路交通法の四条で拘束される、こういう状況にあるものと考えます。
  376. 玉城栄一

    玉城分科員 では、ただいまおっしゃいましたとおり、演習以外のときにおいては道路管理者としての権限はあの部分についても及んでいる、このように理解してよろしいわけですね。
  377. 高島正一

    ○高島政府委員 詳細につきましては、建設省となお協議をした上で先生のもとにお答え申し上げたいと思いますが、現在の私ども考え方といたしましては、地位協定上は米側に三条の管理権はありますけれども、国内法的には、県道としての管理権はその範囲内において許容されておるというふうに理解しておるわけでございます。
  378. 玉城栄一

    玉城分科員 それでは重ねて伺いますが、地位協定の三条一項によって米軍に提供した施設区域範囲内においても、いわゆる日本側の管理権といいますか、沖繩県の管理権は及ぶと理解していいわけですね。いまそういうふうにお答えになったわけですから、そのように理解していいわけですね。
  379. 高島正一

    ○高島政府委員 私の答弁で大変あいまいなところがあったかと思いますが、もう一度整理して申し上げますと、地位協定施設区域として日本政府米軍に提供しておるわけでございますから、その土地は当然米軍の管理権下に入るわけでございます。     〔谷川主査代理退席、主査着席〕 しかし、その中に県民の民生上非常に重大な関係のある県道が通っておる、そういうことでございますから、米軍の管理権の許容する範囲内で県道としての役割りが果たされておるというふうに理解していただきたいと存じます。
  380. 玉城栄一

    玉城分科員 これは施設部長さん、ちょっとあいまいなんです。といいますのは、それだけでは済まされない問題があるわけです。といいますのは、基地内ですから、立入禁止が本来の姿です。特にこれは三条による提供施設区域です。そうしますと、演習時以外において、もし仮に封鎖をしまして、これは危険だからと道交法によって封鎖しているとおっしゃいますが、ある方がその危険を顧みないで一〇四号線のその部分に入った場合に、これはどういう法的根拠でその人に対しては対応するわけですか。
  381. 高島正一

    ○高島政府委員 道路交通法第四条によりまして封鎖をしなければならないというときは、所要の措置がとられるわけでございますので、先生御指摘のような問題は起きないかと存じます。なお、この一〇四号線につきましては、御案内のように、迂回道路をつくりまして、そのようなことのないように調整措置を講じておるところでございます。
  382. 玉城栄一

    玉城分科員 迂回道路ということをおっしゃいましたけれども、この迂回道路にしましてもキャンプ・ハンセン内、基地内を通っているわけでしょう。そこはどういう根拠で住民は通るわけですか。地位協定上からいったら、どういう根拠で通っているわけですか。
  383. 高島正一

    ○高島政府委員 先ほど来申し上げておりますように、米軍の管理権の範囲内で日米両政府間で協議をした上で、これは通って差し支えないということで通っておるところでございます。
  384. 玉城栄一

    玉城分科員 私は、あの部分につきましては、いま御答弁がいろいろありましたけれども、これが先ほど外務省の御答弁にもありましたとおり、地位協定の三条によってキャンプ・ハンセンという米軍基地が提供されたその施設並びに区域であるならば、あの県道一〇四号線のあの部分につきましても、先ほどおっしゃったような管理権があたかも及ぶかのごとき、あるいは何かそこを通行できるかのごときことをおっしゃるというのは、これは地位協定の三条には、米軍は「すべての措置を執ることができる。」こういうふうに規定されているわけですね。そうしますと、これは全面的に米軍の裁量権によって通してもらっているというようなことにもなるわけですね。そのように理解してよろしいわけですか。
  385. 北村汎

    ○北村説明員 玉城委員がおっしゃいましたように、地位協定の上から申しますと、これは全くアメリカ軍の管理権の範囲に属するものでございます。しかしながら、この県道のように、通常の場合、住民の生活に非常に関係のあるこの県道の部分につきましては、米軍の管理権とそれから住民の福祉ないしその便宜を調整するために、政府米軍とも話し合って、その管理権の範囲内で、施設区域の目的に支障を与えない範囲内で利用する、そういうことで運営してきております。
  386. 玉城栄一

    玉城分科員 そうしますと、先ほどお答えがありましたけれども、あのキャンプ・ハンセン内の県道一〇四号線の部分は、これは地位協定上から言うならば、三条一項によって提供された施設であり区域内である、そういうことになるわけですね。そうしますと、沖繩本土に復帰いたしました時点において、ほとんどの道路につきましては公共用の施設というような立場から返還をされておるわけですね。この県道一〇四号線のこの部分、またあと二、三ありますけれども、こういうところについては、全面的に米軍の権限のもとにおいて、ただ米軍の自由な裁量、恣意的判断によって地域住民はそこをお情け的に通らされているわけです。ですから、米軍の一方的な都合によって、いや通るな、通ってもらったら困ると言われれば通れないわけです。それだけではなくして、その部分においていろいろなトラブルが発生したときに、先ほど道交法とかいうような問題がありましたけれども、三条によるそういう提供施設区域であるならば、あるいは刑特法の適用もこれは法的には浮かび上がってくる可能性もあると思うわけですね。その点については、これは非常に大事な問題でありますので確認しておきたいわけですが、外務省の方はいかがでしょう。
  387. 北村汎

    ○北村説明員 米軍使用しております施設区域内におきましては、米軍が管理権を持っております。玉城委員が先ほど読まれました第三条一項のように、「すべての措置を執ることができる」ということでございまして、これも国際法上国内法の適用というものは外されているというふうに解釈いたします。もちろん、米軍がその施設区域使用するに当たりまして、管理権を行使するに当たりましては日本の国内法を十分尊重してその管理に当たるということは当然でございますけれども、法律そのものの適用というものはないというように考えております。
  388. 玉城栄一

    玉城分科員 幾ら補足的な説明がありましても、この三条の一項から、米軍の一方的な判断によって通すも通さないも、あるいは問題によってはそういう地位協定並びに関連法令の適用もできるようになっているわけですね。適用がされる場合もあるわけです。したがって、先ほどからの防衛施設庁の御答弁のように、あたかも米軍施設管理権と、そして県道である道路管理者の権限が併存しているかのごときお話があったわけですが、それは考えられますか。
  389. 高島正一

    ○高島政府委員 私は、併存しているというお答えを申し上げたつもりはございません。あくまでも地位協定米軍に提供した施設であるから、その管理権の中でもって日本政府米軍と話し合った上で、日本の県道としての役割りを果たすような許容を得て使っておる、こういうことでございます。
  390. 玉城栄一

    玉城分科員 これは三条の一項によって提供しているものである限り、幾らどういうことをおっしゃろうが、米軍の一方的な権限がそこに及んでいるということをはっきりおっしゃっていただきたいわけです。どうでしょうか。
  391. 高島正一

    ○高島政府委員 地位協定上の解釈といたしましては、先生のおっしゃったとおりであると思いますます。
  392. 玉城栄一

    玉城分科員 ですから、これは日米安保並びに地位協定によって米軍にそういう区域を設定し施設を提供している以上、それが根拠法になるわけですね。ですから、この問題はいろいろな問題が今後発生すると思うわけです。それに類する道路がまたほかにもありますので、そういう点、明らかにしてまいりたいと思います。  時間がございませんので大臣にお伺いしておきたいのですが、いままでお聞きになりましたとおり、県道がいわゆる基地内を通っておるわけです。そして、演習時において封鎖をして、通行禁止をして実弾演習が行われているわけですね。県道といいますのは、県民が生活上通るべき道路であるはずなんです。それが、いわゆる米軍の一方的な通告によってとめられたり、あるいは下手にその部分に入った場合にはいろいろな関連法が適用される可能性もあるわけですね。こういう状態は非常に沖繩の県民感情として許容しがたいわけです。これが県道でなければ、別にいいというわけでもありませんけれども、特にこの問題については県道という、県民が自由に通れるはずの道路がそういう状態になっているということからしまして、これはぜひ今後の問題としまして何らかの検討をされ、何らかの措置がとられなくてはならないと思うわけですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  393. 金丸信

    金丸国務大臣 道路というものは公道であるということであります。私も建設大臣をやりましたから……。  道路というものに対しましていろいろ質疑が交わされたわけでありますが、地位協定米軍に提供しておる以上、私もこれは県道だという状況が、実際の県道かということについてはいろいろ考えさせられる面もあるわけでありますが、実は私は、ほかにバイパス道路というようなものができるのであればそれもひとつ考えてやるべきじゃないかと言うのだが、図面の上から見ましてもなかなかバイパス道路というものをつくることができないような状況の中にあるということですから、万やむを得ずああいうような状況できょうまできておるだろうと思うのですが、ひとつそういう問題につきまして前向きで検討してみたいと思っております。
  394. 玉城栄一

    玉城分科員 いま大臣から、この一〇四号線の問題について前向きに検討してみたいという御答弁をいただいたわけですが、これは非常に深刻な問題なんです。  それで、もうちょっと念を入れてお聞きしておきたいわけですが、この県道一〇四号線のその部分は、三条一項によって一方的に米軍がすべての措置をとることができるという権限から、一方的な米軍使用権限が及ぶ地域になっているわけですね。ですから、米軍基地を提供する場合に、地位協定の二条四項の(a)あるいは(b)があるわけですが、百歩譲りまして、少なくともこの地域米軍が常時使っているわけではないので、二4(b)というところまでこの県道——これは県道ですから検討することができないかどうか、重ねてお伺いをしたいと思います。
  395. 金丸信

    金丸国務大臣 私も詳細はつまびらかにしておらないわけでありますが、ひとつおっしゃることを踏まえまして十分検討してみたい、こう思っております。
  396. 玉城栄一

    玉城分科員 以上です。
  397. 塩崎潤

    塩崎主査 以上で玉城君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤公介君。
  398. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 私は、昨年の予算委員会分科会で、天皇在位五十周年を記念して指定をされます昭和公園の指定について御質問を申し上げました。その後、昭和公園の指定が内定をしたと伺っているわけでございますけれども昭和公園の指定の経過、どういう状況になっているかをまずお尋ねを申し上げたいと思います。
  399. 三好勝彦

    ○三好説明員 お答えいたします。  昭和記念公園、これは仮称でございますけれども昭和五十年の秋に天皇陛下の在位五十周年の記念事業として関係各省から提案するべき事項がないかというようなことから、建設省といたしまして、立川の現に返還になっております基地の一部並びに多摩の弾薬庫と、さらにそれを結ぶ多摩川の河川敷を利用いたしましたところの緑道という構想で御提案し、それが五十三年度の予算におきまして、これはまだ内定という階段でございますけれども、当面返還ができましたところの立川地区につきまして、五十三年度から建設にかかるべく現在準備を進めているという経過でございます。
  400. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 昭和公園の指定に当たって昨年調査費が六千万円ついていると思いますけれども、その六千万円はどのように活用されているか、詳細がわかりましたら御報告をいただきたいと思います。
  401. 三好勝彦

    ○三好説明員 五十二年度におきまして、仮称昭和記念公園の調査費といたしまして、先生御指摘のとおり、六千万円の予算が計上されているわけでございます。この調査費をもちまして、現在なお進行中になるわけでございますけれども、ただいま申し上げた地区並びにその後神奈川県から御要望のございました逗子、葉山の地区を含めまして、地形あるいは植生、土壌等の自然条件の調査でございますとか、あるいは人口等の社会的条件調査、この中には一部航空写真なども入るわけでございますけれども、さらに本公園の計画に関連いたしまして、どのような公園が望ましいかという一般の方々からのアンケート調査、あるいは学識経験者、さらに各界の代表の人たちの、サンプリングによりますけれども、そのような調査をいたしております。私どもとしまして、これらのアンケートの意向などを踏まえまして、現在基本構想なり基本計画の案をつくるべく進めておるという状況でございます。
  402. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 たしかに三木内閣の時代だったと思いますけれども、この昭和公園の指定に当たりまして、いま御答弁がありましたように、立川の返還になりました基地跡、それと多摩弾薬庫の跡地約二百ヘクタール、これを二眼レフのような形にして、多摩川をはさんでグリーンベルトでつないで、都内ではもちろん随一の公園になるわけでございますけれども、少し大きな計画で進めようという構想がございました。その後も、多摩弾薬庫の跡地の返還も兼ねて、昭和公園の計画が進められているのかどうなのか、お尋ねをしたいと思います。
  403. 金丸信

    金丸国務大臣 立川基地の返還された跡へ昭和公園をつくるという話は建設大臣から承っておるわけでございますが、多摩弾薬庫の跡につきましては、私は、そういう関連性をもってそちらの方にも昭和公園をつくるという話は聞いておりません。
  404. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 多摩ニュータウンは、十五年前には多摩市という町はわずか三万に満たない町だった。しかし、それがいま日本でも最大のニュータウン、四十万を超える、周辺集めて五十万都市というて、高層のニュータウンが着々と進められております。この五十万の高層住宅に住んでいるニュータウンの方々、——その周辺の武蔵野は全部切り崩されて、武蔵野の面影が全くない、多摩川もいま死にかけている、そんな自然の失われた中で、昭和公園というものがこの新しい町づくりの中で私は唯一の救いだ、こう考えて、ちょうど一年前のこの分科会で、多摩弾薬庫の返還については全力を尽くして努力をしていただきたいというお願いをここで申し上げました。その経過はどうなっているのでしょうか。
  405. 亘理彰

    亘理政府委員 私ども立場におきましては、具体的な地元からの利用計画がございますれば、これを関係省庁とも検討いたしまして、米側とも交渉するということでございますが、本件につきましては、現在の階段では、米側在日米軍人等の福利厚生施設として必要であるということで、返還は困難であるという意向でございます。  なお、地元等の具体的な利用計画が進みました段階では、私どももさらに関係省庁ともよく相談をさせていただきたいと思います。
  406. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 地元の多摩市とか稲城市などニュータウンを抱えた関係市町村からは、多摩弾薬庫の返還を求めていただいて、そして立川とセットで昭和公園の指定をしていただきたいという要望は出ておりませんか。
  407. 高島正一

    ○高島政府委員 現在までのところ、そのような計画は出ておりません。
  408. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 これは三木内閣の時代にも、何か総理のところまで書面で出したというお話を私、伺っていますけれども、以前にも出ておりませんか。
  409. 金丸信

    金丸国務大臣 私の答弁範囲ではないと思うのですが、私も国土庁長官をやりましてその問題にも触れたわけでありますが、私もその話は聞いておりません。
  410. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 それでは、改めてお願いを申し上げたいわけでありますけれども、ニュータウンを抱えた各市町村、もちろん市長さんを初め地元の皆さんが、これは新しい単に一つの公園をつくるというだけではなしに、東京をよみがえらせる、まさに東京の一つの大きな核になる昭和公園の指定に当たっては、多摩弾薬庫の跡地、これは先ほど申し上げました五十万のニュータウンとちょうど隣接をしているわけでございますので、この返還を防衛庁長官に私からぜひお願いを申し上げますので、ひとつ返還計画を進めていただきたいと思うのです。いかがでしょう。
  411. 金丸信

    金丸国務大臣 返還計画を進めろと言われてみましても、その利用計画というものが、自治体なら自治体からはっきり出てくることによって施設庁が動くということで、私は、あなたのおっしゃるいわゆる緑を残すということについては、今後最大の努力をすべきだという考え方は持っておるわけでありますが、そういうお考えがあるとするならば、やはりその地域の住民の世論等を踏まえながら、関係の市町村等から、こういう計画でいく、このような利用をしたいという詳細な計画を出していただかないことには、ちょっと手が出ないということじゃないかと私は思っております。
  412. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 建設省の公園緑地課にもお尋ねをしたいのですけれども昭和公園を指定するに当たって、多摩弾薬庫の跡地と立川をセットでやるという計画、これについては恐らくいろいろ計画としてはもう御検討されていると思いますけれども、もし返還計画を進めるということになりましたら、建設省としては、多摩弾薬庫まで含めてやるということについてはどのような御見解を持っていらっしゃいますでしょうか。
  413. 三好勝彦

    ○三好説明員 多摩サービス補助施設、これが多摩弾薬庫の名称でございますけれども、これにつきましては、ただいま現に米軍使用中である。私、先ほど説明申し上げましたのは、構想段階においてということでお話し申し上げたわけでございまして、この施設が返還になりました場合には、この公園化につきまして関係省庁とも十分打ち合わせをさせていただきたい、かように考えております。
  414. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 地元と申しますが、東京はもちろん御承知のとおり、二十二区と多摩地域の二十六市五町一村があるわけでございますけれども、人口はまさに多摩地域に非常に逆転をしてきているわけでございます。しかも、多摩地域に関しましては非常に高層の住宅、住まいというものが多い。そうしますと、個人のそれぞれの住まいの庭先もないという住宅の中に生活をしている方々、またこれからそういう生活をしなければならないという状況の中で、今度の自然公園にしても、あるいはいろいろな施設を含めた昭和公園の指定ということは、住民の生活にとっては、あるいは東京のこれからの都市計画の中でも非常に重要な意味を私は持っていると思う。その意味で、もちろん地元の皆さんのいろいろな具体的な計画も、立川市を中心にしてすでに計画が始められていると思いますけれども、恐らくこれから多摩地域関係市町村の皆様方が、多摩弾薬庫の跡地も含めて昭和公園の計画をしていただきたいという要望が必ずあるはずでございますので、防衛庁長官におかれましても十分ひとつ御配慮をいただいて、これから半世紀たって、この昭和公園の指定ということがまさに東京を救う起死回生の大変大事な作業、仕事になると思いますので、そうした観点から、昭和公園というものの指定、これからの計画をひとつ大胆に進めていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  それから、昭和公園の指定に関連をいたしまして、これはこれからの計画でございますけれども、当然一方では、多摩弾薬庫が返還されますと、恐らく地元の皆様方はできるだけ緑のトンネルを抜けていかれるという自然公園のようなものとして、住民の皆さんの憩いの場にしてほしいという考え方もありましょうし、また立川の基地跡に関しましては、文化的ないろいろな施設をつくるという計画もあるようでございます。いずれにしても、多くの東京都民の方々がこの昭和公園に出かけてくるということは当然予想されるわけでございます。  そこで、昭和公園の指定と公園に来られる市民、都民の足の問題が非常に重要な問題だと私は思うのです。公園だけ指定して、施設だけたくさんつくれば事が足りるということではありませんので、いまのうちに足の問題を十分配慮しておかないと将来大変なことになる。現実でも、東京の二十三区は御承知のとおり交通は全く毎日渋滞をしておりますし、また、かつてお茶の水や神田で学生街だと言われていた各大学は、いま東京の中心部を脱出して多摩地域にここ数年の間に次々と移転をしております。あるいは東京を脱出するという傾向が非常に急速に進行しているわけでございます。そこで、昭和公園の立川あるいは多摩ニュータウンを含めて、多摩地域の将来の足の問題をどうするのかということを、建設省ではすでにお考えになっているのかどうなのか。もしそういうこともすでに多少検討されていれば、お考えを聞かしていただきたいと思います。
  415. 三好勝彦

    ○三好説明員 この記念公園へのいま御指摘の道路あるいはその他の交通機関につきましては、この公園がどのような形で今後計画され、さらにその施設がどのようなものができるかというような問題とも非常に関係があるわけでございます。現在、建設省といたしましては、先ほど申し上げました調査の中におきまして、来園者の予測の調査等につきましても現在実施しているわけでございまして、その結果を踏まえまして、必要な道路その他の交通手段の整備について、地元立川あるいはそのほか関係の方面と十分打ち合わせをしながら、検討を進めてまいりたいということを考えております。
  416. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 間違いなくこの足の問題は、現状でも大変な問題になっているわけでありますから、将来大きな問題になることは明らかでございます。  そこで、いま東京の交通状況を見ますと、道路にしましても、あるいは鉄道にしても、ほとんどが考え方が東西という形で、いままでいろいろな計画が進められてまいりました。したがって、南北にそれぞれの関係市町村を結ぶという道路あるいは鉄道、大量輸送というものは非常におくれていると私は思います。  そこで、いまこの昭和公園の指定が内定をしたということによりまして、立川市あるいは多摩ニュータウン、それから特に多摩地域関係市町村は、新しい東京の都市交通を考えるべきだという考え方が急速に高まってまいりました。  そこで、生まれてきているのが多摩連環都市構想でございます。東京の二十三区は御承知のとおり山手線で結んでいるわけであります。ところが、三多摩の二十六市五町一村というものは、新宿とか東京に出てくるのには何とか真っすぐ出てこられますけれども、隣町に行くのにわざわざ新宿まで出て、それからまたもとの隣町に戻っていくという非常に非能率な交通体系になっているわけでございますので、三多摩の二十六市五町一村を結んで、ちょうど第二の山手線のような形で連環都市構想にすべきだ、これはかつて東京都でも多少考えた形跡がありますけれども昭和公園の指定はまさに新しい歴史的な作業だ、しかも土曜日、日曜日、行楽シーズンになりますと、東京の中央の人口まで含めて、あるいは東京周辺の人口が非常にこの昭和公園に集まる、そうすると、いまのうちに交通体系をどうしてもしっかり基礎づくりをしておかなければいけないということで、各市町村を結ぶ連環都市構想というものが生まれてまいりました。しかも、それは単に山手線のようなものをただつくるというだけではなしに、新しい時代の要請にこたえて、モノレールで各市町村を結ぶ。モノレールで結んだ多摩連環都市構想というものをすでに関係市町村では検討を始めておりますけれども、この新しい時代に即応した東京の交通問題について、この地域でいま検討されている考え方に対しては、どのような御見解を持っていらっしゃるか、お考えをお尋ねしたいと思います。
  417. 宮沢美智雄

    ○宮沢説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、東京の二十三区の人口が減ってまいりまして、三多摩の人口が三百万を超えるような状況になってまいりまして、これからいろいろな都市問題が起きてくる可能性があるということでございまして、私ども国土庁といたしましては、一昨年首都圏の基本計画、昨年首都圏の整備計画をつくってまいったわけでございますけれども、その中で東京の大都市地域、東京周辺を含む大都市地域につきましては、できるだけ東京の都心に依存した形で都市が発展することのないように、周辺の地域がそれぞれ自立していくような方向で整備を進めていきたい、中心都市をその中で育てていきたいというふうなことをうたっております。  先生御指摘のような、三多摩のいろいろの都市が相互に関連し合いながら自立性を高めていくという方向につきましては、私どもも同じような考えをいたしております。  ただ、御指摘のございましたその中の各都市を結ぶ交通機関をどのようにするかという御質問でございますけれども、交通機関の整備につきましては、御指摘のように、各都市を結ぶという方向でいろいろの交通機関が考えられるわけでございますし、それから交通機関の経営問題等も考えなければいけないということを考えておりまして、三多摩地域の都市機能の配置の問題、あるいはどのように環境を守っていくか、あるいはその中の交通をどう結びつけるかということが全体として均衡のとれた計画のもとに進められるよう、今後関係省庁とも相談をして進めてまいりたいというように考えております。
  418. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 大きな計画を申し上げると何かほど遠いような気がするわけでありますけれども、しかし東京の多摩地域に関しましては、このモノレール連関都市構想というものは関係各市町村の中で具体的に進められることになると思いますし、歴史的な東京の町づくりという意味においては、いずれにしても何らかの手をいま打たなければならない。交通あるいは自然、あるいは東京のどの大きな川を見てももうほとんど死にかけている今日の状況を見ますと、物事が死にそうになってあわてて手当てをするというのではなしに、常に予防線を張って新しい時代に備えるということが、私はやはり政治のわれわれのやらなければならない課題だと思いますので、単なる答弁ではなしに、ぜひひとつそれぞれの、これは一つの省でできることではありませんけれども関係市町村、関係の各省庁、その枠を越えて、昭和公園の指定を契機にぜひ地域の皆さんとの連絡もとりながら、具体的に御検討をいただきたいということを強くお願いを申し上げておきたいと思います。  最後に、私は、先ほどの質問に加えて一言だけお聞きをしておきたいのでありますけれども、大蔵省の方お見えでございましたら、多摩弾薬庫の跡地返還後、これは防衛庁の方でいずれ検討していただくとしても、検討していただいて返還をされたときに、昭和公園としてひとつ立川の基地と両方をあわせて利用さしていただくという考え方に関して、大蔵省の考え方をお尋ねしておきたいと思うのです。
  419. 松岡宏

    ○松岡説明員 多摩サービス補助施設でございますが、先ほど説明が繰り返されておりますように、現在のところまだ米軍からの返還の見通しが立っていないわけでございます。しかしながら、将来これが返還になりました際には、大蔵省といたしましては、関係方面からの御要望を総合的に検討をいたしまして、最も適切な利用計画の策定に当たってまいりたい、こういう考え方でございます。
  420. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 防衛庁長官、せっかくおいででございますから、ぜひ多摩弾薬庫の跡地返還についてひとつ積極的に御検討をいただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  421. 金丸信

    金丸国務大臣 伊藤委員の多摩弾薬庫、いわゆる自然公園というような問題につきまして、まあ、同じ昭和公園ということでなくとも、そういうものができ上がれば目的は達するということであろうと私は思うのです。しかし、いま大蔵省が話をいたしましたように、まだこの話が進んでおるということでないわけでありますから、立川にいま計画されておる公園と同一歩調に最後でき上がるというわけにはいかぬだろうと私は思います。しかし、緑を残すということは必要である。そういう意味で、きょうは防衛分科会ですから、公園の話なんかは私は全然当てにしてこなかったのですが、私も福田内閣の閣僚の一人としてひとつ推進するように努力はいたしたい、こう思っております。
  422. 伊藤公介

    伊藤(公)分科員 質問を終わります。
  423. 塩崎潤

    塩崎主査 以上で伊藤君の質疑は終了いたしました。  次に、宮地正介君。
  424. 宮地正介

    宮地分科員 私は、本日は埼玉県の所沢米軍基地並びに入間航空基地を中心といたしまして、防衛庁並びに関係省庁に質問をしてまいりたいと思います。限られた時間でございますので、どうか簡単にして明瞭な、国民にわかりやすい御答弁を最初にお願いをしたいと思います。  まず私は、いわゆる所沢の米軍基地内に昭和四十二年の二月以来五十年六月まで、米本土防衛のための核戦略のいわゆる監視装置としてOTHレーダーが存在をしておりました。しかし、今日撤去後においてもなおこのOTHレーダーのいわゆる電波障害区域と言われるイーズメントエリアが存在をしております。私は、完全撤去というのであれば、当然このイーズメントエリア、防衛庁の皆さんに言わせるならば、維持管理イーズメントエリア並びにいわゆる高度規制イーズメントエリアの二つが存在をしていると言われておりますが、この返還につきましてどのように交渉をしてきたのか、また今後の見通しについて、まず防衛庁の見解を伺いたいと思います。
  425. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいまお尋ねのイーズメントの問題でございますが、最初に、OTHレーダーが撤去されたのにかかわらずイーズメントエリアは返還されていないのはなぜか、こういうことでございますが、これは、現在もOTHは完全に撤去されておりますけれども、航空機との通信の施設があるわけでございます。この電波障害を防止するために、建造物の高度を一定限度規制する条件に同意するならば返還するという米側の提案がございまして、四十六年に返還の実現を見たわけでございますが、この一般通信の現在あります施設に対する障害を防止するために、依然として高度規制のイーズメントは必要であるということでございます。しかしながら、過去にも中学校の増築の際に、当初三階の計画を四階にしたというふうな例もございますので、高度規制を緩和することについては米側と今後鋭意交渉をいたしたいというふうに考えております。  それからもう一つ、所沢の施設の南側にありますいわゆる維持管理イーズメントでございますけれども、これは四十六年に、先ほど申し上げた百九十万平米の施設の返還が行われました際に、その南側の一部に飛び地的に通信設備、給水施設等が返還されずに残されまして、これに付帯する送電線、水道等のためのイーズメント区域も残されたわけでございますが、これにつきましては、現在当庁が、これら飛び地にあります施設を現在の通信所内に移設する工事を進めておるところでございます。この工事は本年度中に完成する予定でございますので、工事が完成いたしまして米軍が移設された施設の運用を開始しましたときには、これら南側の施設及びイーズメント区域は返還されるという見通しでございます。
  426. 宮地正介

    宮地分科員 そこで、いま私は確認したいのですが、いわゆる維持管理イーズメントについては、本年度中に建設されますいわゆる百十五メーターの高さのマイクロウエーブの鉄塔が完成すれば間もなく返還はされる、しかし高度規制のイーズメントエリアについては、規制緩和ということで交渉する、この可能性についてはいかがでしょう。
  427. 亘理彰

    亘理政府委員 緩和についてはある程度の見通しを持っております。
  428. 宮地正介

    宮地分科員 そこで、OTHレーダーが撤去された後、現在木柱六本一組のディスコンアンテナ並びに四本のビームアンテナ、これが存在をしております。まずこの機能と役割りを簡明に説明していただきたい。並びに、現在入間の航空基地内に残存しております米軍の通信基地を、この所沢米軍基地にいわゆるマイクロウエーブとして現在鉄塔を立てておりますが、ここに集約し、横田の通信連絡網に使用し運用する、こういうふうに聞いておりますが、この三つの種類のアンテナ、鉄塔の内容また役割り、時間がありませんから、簡単明瞭に御説明いただきたいと思います。
  429. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいま先生御指摘のように、現在三種類のアンテナが、一部は建設中でございますが、あるわけでございます。このうちLPアンテナといわゆるディスコンアンテナはいずれも航空機と通信を行うための送信施設として利用されておるものでございます。これは同じ目的のために使うものでございますが、ディスコンアンチナは御承知のとおり木柱六本で支えられまして、その内側に円錐状に張られておるアンテナでございますが、これは指向性がございません。そこで遠距離の航空機と交信をする場合には指向性を持っておりますLPアンテナによって交信を行うということになっておるわけでございます。そうしてマイクロウエーブの現在建設中のアンテナは、これは横田の通信所との連絡に当てられるものでございまして、横田の通信をこのマイクロウエーブで受けまして、それをこのLPアンテナあるいはディスコンアンテナを用いて航空機との交信を行う、こういうものでございます。
  430. 宮地正介

    宮地分科員 そこで、いわゆるジョンソン基地内に残存している未返還となっております米一九五六群通信施設の集約がこの所沢のマイクロウエーブ鉄塔になるならば、その返還はいつごろになるのですか。
  431. 亘理彰

    亘理政府委員 現在建設中の百十五メートルアンテナがこの三月末ごろに完成の見込みでございますので、これが完成しまして米側で運用を開始しました時点で遠からず返還になるというふうに思っております。
  432. 宮地正介

    宮地分科員 そこで、現在のこの三種類のアンテナは全くOTHレーダーの機能はとまっておる、単なるいわゆる米軍機の誘導のための送信の通信施設並びに横田の通信連絡施設である、このように断定してよろしいでしょうか。
  433. 亘理彰

    亘理政府委員 この点は、宮地先生から詳細にわたる御質問をいただきまして、私ども関係者を横田に派遣いたしまして精細に調査をいたしたわけでございます。その結果、技術的に言いましてもOTHレーダーと現在ある通信施設は出力も格段に違うもののようでございますし、管理する部隊も、先生御存じのとおり、OTHは米本土の防空を担当しておりますいわゆるADC、防空司令部の管轄下にございます第一四通信中隊が運用しておったわけでございますが、現在この部隊日本には存在しておりません。いまお話しのように、現在の通信施設は米空軍の一九五六通信群が運営しておるということで、組織上もOTHの機構とは全く別個になっておるわけでございます。
  434. 宮地正介

    宮地分科員 そういう意味におきまして、特に地元市民の皆さんは、ただいまの御答弁で、いわゆるOTH機能は完全に停止をしておる、作動されてない、こういうことでひとまず安心をされると思います。しかし、ここで一つの大きな問題があります。それは、所沢の基地にOTHレーダーが設置をされる場合、それ以前は一般のいわゆる通信施設であった——設置をされたそのときにおいては、米側からは前の一般通信施設使用していた周波数並びに出力を運用するのであるからという通告を外務省が受け、そのまま防衛庁あるいは郵政省に通告をしていなかった、こういうことで過去の国会の委員会においても問題になり、指摘をされたところであります。今回いわゆるOTHレーダーが撤去をされるに至りまして、当然いまお話しのように、一般通信施設との間においては周波数も出力も変更をしたわけであります。であるならば、日米合同委員会におきまして、その下部組織にあります周波数分科委員会にこの問題が提言されて当然と思いますが、郵政省、提言されたかどうか、伺いたいと思います。
  435. 森島展一

    ○森島説明員 周波数分科委員会におきましては、どの周波数をどの用途に使うというようなことでは周波数の調整を行っておりませんので、OTHレーダーの撤去に伴います周波数の問題は周波数分科委員会の議題に格別になっておりません。
  436. 宮地正介

    宮地分科員 私はこれが問題であろうと思います。OTHレーダーが日本の国の所沢、そして沖繩の泡瀬、北海道千歳に設置されるときもその電波の周波数も出力も明らかにされないで、日米合同委員会にもかけられない。私はこの日米合同委員会というのは、少なくとも日米安保条約第六条の精神にのっとって外務省が事務局になってやっておる委員会であろうと承知しております。すなわち、これは日米合同委員会の形骸化であり、日米安保条約第六条に抵触する米軍側の行為ではないか、私はこのように思いますが、外務省、いかがでございましょうか。
  437. 北村汎

    ○北村説明員 御指摘の問題につきましては、いろいろ技術的な側面も多うございまして、こうした問題の解決のために合同委員会のもとには施設分科委員会あるいは周波数分科委員会というような各関係省庁の分科委員会が設けられておる次第でございます。しかし、外務省といたしましても、こういう米軍施設区域の存在のためにいろいろ周辺の住民の生活に影響を与えるようなことは絶対避けるべきである、こういうことを認識しておりますので、こういうことで今後ともいろいろしてまいります。  ただ、合同委員会にかけられる問題であるか——この問題が発生しましたときに、当時の外務省としましては、周波数は割り当てられたものの中で行われるということでありましたので、特に合同委員会にかけなかったわけでございます。
  438. 宮地正介

    宮地分科員 防衛庁長官政府閣僚の一人として、このOTHレーダーというのは最初に申し上げたとおり、米本土のいわゆる核戦略の防衛のためにつくられた監視装置であります。その重大な任務を負った監視装置が日本の国に設置されるに当たって、その監視装置が使う周波数なり出力について当然郵政省が掌握をし、また日米合同委員会の中にあります周波数分科委員会に当然テーマとして上げられて、そして検討されるべき事項が、設置されるときも単なる一方的な通告により、また撤去されるに至りましても、分科委員会にすら何ら提言されてこなかった、この事実に対して、ある意味においては日本政府米軍によって大変な扱いを受けたのではないか、国民の目から見るならば、余りにも外務省考えは甘いのではないか、こういうふうに私は思うのでございます。むしろこういうような問題について十分に反省して、今後このようなことのないように、もっと厳重に日米安保条約第六条の精神、また日米合同委員会の運営を行っていく、こういうふうに立つべきであろうと思うのでございますが、長官の所見を伺いたいと思います。
  439. 金丸信

    金丸国務大臣 防衛庁は周波数の分科委員会には関係はいたしておらないわけでありますが、先生は福田内閣の閣僚の一人としてどうだ、こういうことであります。ただいま外務省から御答弁申し上げたわけでありますが、私が防衛庁長官として外務省の答弁を信ずることは当然だと思うわけでありますが、その問題につきましては、私も技術者ではないし、その方に余り明るくないし、防衛庁へ帰りまして外務省とも連絡し、ひとつよく頭に落ちるようになりましたら、判断をいたしたいと思っております。
  440. 宮地正介

    宮地分科員 外務大臣がいませんからこれ以上追及ができませんが、事は防衛庁には全く関係ない問題ではないわけです。どうか長官、本日の議論をぜひ政府部内において十分検討されるように要望したいと思いますが、検討する用意があるか、それを伺いたいと思います。
  441. 金丸信

    金丸国務大臣 先生の御質問に対しまして、各関係省庁と十分連携をとって話し合ってみたいと思っております。
  442. 宮地正介

    宮地分科員 次に、防衛医大の問題についてお伺いいたします。  現在、防衛医大の建物によるいわゆる電波障害が大変大きな問題として、また大変な公害問題として所沢市民に不安を与えておりますが、これに対して防衛庁は現在どのように検討されて対策を打っておるか。
  443. 古賀速雄

    古賀政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおりでございますが、現在防衛庁はその調査と対策を考えておるわけでございまして、まずその電波障害に二つの種類がございまして、テレビ電波が病院の建物にさえぎられることによる遮蔽障害というものが一つございます。このほかにテレビ電波が病院の建物に反射することによる反射障害というのがございます。二様のテレビ受信障害を与えているということでございます。  この対策といたしましては、現在、遮蔽障害地区に対しましては受信の障害の実態と申しますか、被害の実態及びその対策を調査しておる段階でございますが、この遮蔽障害地区については調査も進んでおりますので、共同受信アンテナの設置等を行うことによりまして速やかに受信障害の解消を図っていきたいと私どもとしては考えておるわけでございます。それから、反射障害地区でございますが、これも早い時期に実態調査等を実施いたしまして、所要の措置を講じていきたいと考えております。  なお、その周辺住宅地区のテレビ受信障害はわが防衛医大ばかりではなくて、所沢跡地にできました他の諸機関の建物も原因ということになっておりまして、複合障害も生じておるということでございますので、これらも関係機関と協議の上、実施したいというふうに考えておるわけでございます。
  444. 宮地正介

    宮地分科員 特に反射障害につきまして、大体いつごろをめどに対策を講じられるのか。  また、最近、所沢の基地内におきましては、高層ビルによりまして、いわゆる建物による電波障害ですが、これについては防衛庁の対応策が政府関係の建物の中でも非常におくれておる、こういう厳しい批判も住民の中にはあるわけでございます。またもう一面、先ほど来のいわゆる三種類の通信施設による電波障害、こういうものに加わる複合的な電波障害の危険視が住民の間にも出てきているわけでございまして、そういう面におきまして建物の電波障害の調査、対策は当然でありますが、通信施設によるそういう電波障害に対しましても調査、また対策を講じていく用意があるか、伺いたいと思います。
  445. 高島正一

    ○高島政府委員 先生御指摘の点については十分調査し、対策を講ずる所存でございます。
  446. 宮地正介

    宮地分科員 次に、ジョンソン基地問題につきまして若干お伺いしたいと思います。  まず、ジョンソン基地の騒音コンターにつきまして、現在の騒音コンターはC1ジェットが六機のときの基準で作成されたと言われております。しかし、現在は二十二機にC1ジェットがふえておりまして、人口急増の入間市、狭山市、また所沢市三ケ島地区などにおきましては大変な騒音公害などで悩んでおります。この際、この騒音コンターの見直しを行うべきであろうと私は思いますが、どのような方向で行うのか、伺いたいと思います。
  447. 高島正一

    ○高島政府委員 現在、入間基地周辺におきます騒音の状況は調査中でございます。この調査結果を踏まえまして、NHK等関係機関と調整の上、所要の措置を講じたい所存でございます。
  448. 宮地正介

    宮地分科員 騒音コンターは、飛行機がふえているわけでございますから、拡大の方向で見直しをするのが当然と思いますが、いかがでしょう。
  449. 高島正一

    ○高島政府委員 科学的な調査結果によることでございますので、いまこの席で拡大するということを申し上げかねますが、そのような方向になるのではないかというふうに判断しておるところでございます。
  450. 宮地正介

    宮地分科員 そういういいかげんな答弁は私は困ります。C1ジェットが六機で、それがいま二十二機だ。今後、いわゆる防衛二法の通過によりまして配備転換で、それでも最低十機になる。当然騒音の範囲というものはふえているわけでありますから、拡大の方向になるのがあたりまえであります。そういう方向でぜひ十分厳重な調査をし、住民の要望にこたえていただきたいと思います。  さらに、ジョンソン基地における航空騒音の重要な問題の一つは、いわゆる連続離着陸訓練といわれるタッチ・アンド・ゴーの問題であります。これにつきましては、特に最近日没後においてその訓練が行われている。また早朝及び時間外飛行、原則としてこれは実施をしないということで地元といわゆる話し合いがついておりながら、ナイトフライが通常化されておる。そういうことで地元では、原則を何とか厳守してほしい、こういう強い要請もあります。また飛行コースや飛行高度につきましても、大変に騒音公害に配慮した改善ができ得ないものであろうか、こういう強い要望があるわけでございますが、特にこのタッチ・アンド・ゴーについてはいろいろ訓練基準があるようでございます。この訓練基準の変更をする考えがあるかどうか、この三点につきまして簡単に御説明いただきたいと思います。
  451. 夏目晴雄

    ○夏目政府委員 現在、航空自衛隊の入間基地におきましては、騒音防止の立場からいろいろ対策を講じているわけでございますが、まず第一は、通常の訓練は原則として月曜日から金曜日までの午前八時半から午後五時ごろまでの間に行う。それから夜間訓練を行う場合には通常月、火、水と三日間、天候の悪い場合には木、金に行う場合もございますけれども、そういう夜間訓練は、終了時刻というのは季節によって若干異なりますけれども、日没後約一時間三十分ぐらいでやめるというふうなこと。  それから、さらにはいま御指摘のありました連続離着陸訓練、いわゆるタッチ・アンド・ゴーでございますが、このタッチ・アンド・ゴーにつきましても、パイロットの技量維持のための最小必要限度の回数にとどめるということで従来から努力しておりますが、今後ともなお一層この地元に対する騒音の軽減ということについて努力していきたいというふうに考えております。
  452. 宮地正介

    宮地分科員 さらにこのジョンソン基地の問題につきまして、最近入間市並びに狭山市におきまして市議会においても決議がなされまして、南北縦貫道路のいわゆる暫定使用ができないか、こういうことで大蔵省、防衛庁に要請をしているわけでございます。また、ジョンソン家族住宅地区の返還跡地の暫定管理委託区域、これを市民のためにレクリエーションセンターあるいは野球の運動場、あるいは水泳あるいはちびっ子広場などといったようなことで使用できないか、こういうことで要請が来ていると思いますが、この点についてまず大蔵省の見解を伺いたいと思います。
  453. 松岡宏

    ○松岡説明員 ただいま御指摘のありました要望は、それぞれ大蔵省に届いております。  そこで、南北縦貫道路の件でございますが、現在ジョンソン飛行場住宅地区の一部につきまして、航空自衛隊に一時使用承認を行っておりますが、この縦貫道路がその跡地の真ん中を貫通した場合には、防衛施設が分断されて管理上の問題が生じるということを聞いております。この点につきましては、地元関係者と防衛施設庁との間で十分調整を図っていただく必要があろうかと考えているわけでございます。  それから、第二点の暫定管理委託区域の拡大でございますが、これについては今後検討を続けてまいりたいと考えております。
  454. 宮地正介

    宮地分科員 この南北縦貫道路について防衛庁考えをまず伺い、最後に防衛庁長官に伺います。いわゆるこの入間航空基地は都心四十キロ圏のところにございます。最近は東京都のベッドタウンといたしまして大変人口の急増の激しいところでございます。こういうようないわゆる市街化の地域の中に航空基地があると言っても過言ではない、そういう中に輸送機の目玉でありますC1ジェットがいわゆる増機、増機の形で、当初三機のものがいま二十二機になっている。当然騒音公害の問題など、多くの住民に対して大変な不安というものを与えております。こういうような問題については積極的に防衛庁といたしましても、周辺の整備によるいわゆる基地交付金などをやっておりますが、特にこういうような市街化地域に近いようなところにおいては、地元関係団体と密な意思の疎通を図り、住民本位に立った防衛体制というものを考えていく新しい段階の問題だろうと私は思います。そういう点につきまして最後に防衛庁長官の御見解を伺いたいと思います。
  455. 塩崎潤

    塩崎主査 時間が経過しておりますので、簡潔に願います。
  456. 古賀速雄

    古賀政府委員 先生御指摘の返還跡地の利用の問題でございますが、これは道路問題を含めまして、大蔵省が先ほど御答弁申し上げましたように、跡地利用計画全般の調整をされるわけでございますので、その段階におきまして、防衛庁が利用について検討している計画地元の要請等を十分調整をして解決されるものと思っております。
  457. 金丸信

    金丸国務大臣 周辺対策につきましては積極的な考え方で対処してまいりたい、こう考えております。
  458. 塩崎潤

    塩崎主査 以上で宮地君の質疑は終了いたしました。  次に、宮井泰良君。
  459. 宮井泰良

    宮井分科員 大変遅くまで御苦労さまでございます。  私は主として米軍岩国基地周辺の民家の防音対策並びに米軍所属のジェット機の墜落事故、そして米軍岩国基地の沖合い移設、こういう点を主に御質問をいたしたいと思います。  まず最初に、防衛施設周辺住宅防音事業について御質問いたしますが、現在の防音工事は、一軒の家につきまして一ないし二室について防音化をしておることは御承知のとおりでございます。地域住民の方々の要望といたしましては、全室を対象としてほしいということが非常に強いわけでございます。予算面などで非常にむずかしい点もあると思いますが、運輸省等におきましては、これは民間の空港周辺事業でございまして基地とは違いますが、民間空港の周辺におきましては全室防音、この構想を持って五十三年度は調査費を計上しておるようでございますが、この点につきまして前向きに検討していただく余地はないものかどうか、この点をお伺いいたします。
  460. 亘理彰

    亘理政府委員 ただいまの先生の御質問の御趣旨はまことによくわかるわけでございますが、実は自衛隊等の飛行場の場合には、民間と違いまして運用形態に特殊な事情もございまして、対象となる住宅戸数も大変多いわけでございます。具体的に申し上げますと、八十五WECPNL以上で運輸省の場合には二万六千世帯、防衛庁関係は四万六千世帯ということでございまして、しかもこれに対する防音工事の施工は運輸省より立ちおくれまして、現在までのところ五十二年度までで運輸省は二万世帯近くやっておられますが、私どもはまだ八千三百世帯というように対策もおくれております。来年度はこれを拡大いたしまして、ことし五十二年度の五千戸に対しまして一万戸を計画しておるわけでございますが、それにしましてもまだ大分残るわけでございます。そういう事情でございますので、私どもといたしましては、ただいま原則一室、それから家族数の多い場合には二室ということで進めておりますので、とにかくこの基準でできるだけ早く、これは予算等の確保をいたしまして実現をいたしたい、そうしてこれが一巡しました段階でさらに手厚い措置をとり得るように努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  461. 宮井泰良

    宮井分科員 現在計画しておるものをまず実現をして、それからそういった面を考慮していきたいという御答弁でございます。先ほども申しましたように、私ども直接要求が大変強いわけでございますので、その点計画をスムーズに早く処置をしていただきまして、その間においてもできる限りひとつ検討していただきたい、こういうように要望いたすものでございます。  次に、防音工事の対象区域の拡大についてでございますが、現状では、先ほどもお述べになりましたように、八十五WECPNL以上を対象にしておる、こういうわけでございますが、実際現地で見ますと、路地を一つ隔てまして線引きがされる、これはもうしょうがないことだと思います。どこかで線を引かなくちゃいけませんのでそういうふうになるわけでございまして、大変むずかしいと思いますが、騒音に対します生理的、心理的影響というものは非常に大きいわけでございますので、何とか検討してもらいたい、こういう要望も強いわけでございますが、この点につきまして当局の御見解をお伺いいたします。
  462. 高島正一

    ○高島政府委員 騒音コンターの改定につきましては、配備機種あるいは機数等の大幅な変更がない限りこれをみだりに改定しないというのが私どものとっておる原則でございます。したがいまして、岩国基地についていま直ちにこれを実施するということは困難ではございますが、運輸省等におきましても基準騒音値を改定して区域の拡大を行う計画もあるやに聞いておりますので、そういった面から今後なお検討を重ねてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  463. 宮井泰良

    宮井分科員 それでは、区域の拡大を検討される、こういうことでございますので、それを具体的にひとつ進めていただきたいと思います。  それから次に、話はまた戻るようですが、岩国基地周辺の防音工事の進みぐあいでございますが、対象戸数が現時点でたしか三千戸となっておると思いますが、昭和五十年から施行いたしまして五十二年末で七百戸に満たない。三千戸の対象で七百戸というふうに私がお聞きしたところではなっておるわけでございます。どうもこれでは進んでいないように感ずるわけでございますが、何とか事業の促進ができないものか、この点をお伺いいたします。
  464. 高島正一

    ○高島政府委員 御指摘のとおり、三千戸に対して現在まで七百戸が完成した段階でございます。私どもといたしましては、五十三年度におきましては、いま御審議を願っておる予算の成立を待ちまして、全力を挙げて加速度をつけてこれを増加したいというふうに決意をしておるところでございます。
  465. 宮井泰良

    宮井分科員 加速度ということは言葉ではわかるのですが、具体的に大体どのぐらい進めるものか、抽象的でよくわからないのですが。
  466. 高島正一

    ○高島政府委員 七百戸を二年でやってきたわけでございますが、少なくとも五十三年度においては、その二年分は一年で完全に消化するというぐらいの計画で進めたいというふうに考えている次第でございます。
  467. 宮井泰良

    宮井分科員 二年分を一年でやる、どうかひとつそれを実行し、さらにその上に上乗せして努力していただきたい、このように思います。  次に、防音工事を施行しました後、冷暖房機を設置していただいておるわけでございますが、われわれがよく聞いてみますと、この電気料が住民にとりましてかなりの負担になっておるわけでございます。そこまでは、とこのように言われるかもしれませんが、これらの維持上の補助制度でもひとつ導入の検討ができないものか、この点をお伺いいたします。
  468. 高島正一

    ○高島政府委員 私どもの当面の課題は、先ほど来の御指摘もございましたとおり、防音戸数をいかにして増加するかというところに焦点があるわけでございます。御指摘の維持費については当面、したがいまして考えてはおらないわけでありますが、将来の研究課題となるであろうというふうに存じておるところでございます。
  469. 宮井泰良

    宮井分科員 その点将来の検討事項ということでございますが、具体的にひとつ進めていただきまして、大変虫のいいような話ですけれども、住民の皆さんにとっては大変負担の多いことでございますので、よろしく御検討いただきたいと思います。  この点について総合的に防衛庁長官に御答弁をいただきたいと思いますが、岩国基地などにおきましては住民とのコミュニケーションといいますか、そういう面は比較的うまくいっておる。若干米兵の犯罪等もございますが、ひとつ日米関係のそういった問題も踏まえてこの防音対策、市民に対する福祉の面におきましてもあるいはまた精神面、そういった影響を考えていただいて力を入れていただきたい、このことについて一言御見解をお願いします。
  470. 金丸信

    金丸国務大臣 五十三年度は倍加してやりたいというような考え方でありますが、実は五十三年度の予算は概算要求を五十二年度の八月に要求しているわけでありまして、私が防衛庁長官になりましたのは十一月末であります。そういうお話を承ればできるだけこの予算は取るべきだ。予算を取るのは大臣の仕事のようでありますから、一生懸命に五十四年度の予算は確保して御期待に沿いたい、こう思っておる次第でございます。
  471. 宮井泰良

    宮井分科員 それでは次に、議題を変えまして、去る二月七日米軍岩国基地でジェット機事故があったわけです。これは基地内で起きた問題ですけれども、その概要を報告していただきたいと思います。
  472. 亘理彰

    亘理政府委員 二月七日の午後一時十五分ごろでございますが、岩国基地内におきまして海兵隊のファントムが通常の着陸コースで滑走路の南側から北側に向かって着陸をいたしましたところ、着地は異常なく行われたわけでございますが、タイヤがパンクしたために所定の位地に停止しませんで、横滑りを起こしまして、滑走路の近くにおりました米軍のトラックに接触をいたしました。このためにこのトラックに乗っておりました海兵隊員四名が負傷して、うち一名は死亡したということでございます。  この件について日本側に被害はなかったわけでございますが、その前にも緊急着陸等の事故も続きましたので、私どもといたしましては、岩国の施設事務所がございますので、その所長を岩国基地に派遣いたしまして、米側に対しまして安全飛行と再発の防止等について注意を喚起しております。また、去る二月九日の合同委員会においても、外務省から同種事故の再発防止のために必要な措置を講ずるように米側に申し入れをいたしたところでございます。
  473. 宮井泰良

    宮井分科員 先々答弁されますと困るのですが、いまから聞こうというところでございますから。  一月二十一日、岩国基地所属のファントムがまた航空自衛隊防府北基地に、また二月一日、大阪の伊丹空港に米軍岩国基地所属のファントムが緊急着陸したと言われておりますが、その原因は何か、これを報告していただきたいと思います。
  474. 亘理彰

    亘理政府委員 一月二十一日の件でございますが、これは朝方午前九時四十分ごろでございますが、岩国基地所属の同じくファントムが、当日岩国上空の天候が大変悪うございまして、風速三十四メーター、それに吹雪というようなことで着陸できませんで、燃料も不足を来しましたので、航空自衛隊の防府北基地に許可を得て着陸をいたしたということでございます。  それから、二月一日の件でございますが、これは当日の正午ごろ、やはり岩国基地所属のファントムが大阪国際空港に着陸したわけでございます。その理由は、これは通常の飛行訓練で出発した飛行機でございますが、その訓練中に飛行計器が不調になったということ、それからまた重ねて当日も岩国付近が強風と雪で天候が悪かったということのために、パイロットが大阪空港の許可を得ました上で着陸をいたした、こういうことでございます。
  475. 宮井泰良

    宮井分科員 そこで、防衛庁長官に御答弁いただきたいのですが、このように緊急着陸あるいは基地内でこういった事故が起きておる。その以前にもハリアなんかの事故は二回ぐらい起きておりますし、その近辺の大島郡という島なんかにも墜落事故を起こしましたり、幸い工場地帯とか民家が避けられておりますので、いままでは大惨事になっておらないわけですが、せんだっての横浜市の住宅地に墜落した米軍機事故をきっかけといたしまして、市街地に所在する基地が問題になっておるわけでございまして、市民の不安を取り除くためにも、米軍当局、あるいは外務省の仕事が主でしょうが、そういったことに対して防衛庁としても本腰を入れて取り組んでいただきたいと思いますが、御見解をお伺いします。
  476. 金丸信

    金丸国務大臣 横浜のファントムの事故におきまして、非常に悲惨な事故であって、まことに遺憾なことであります。こういうことをたびたび繰り返すということは相ならぬというように考えまして、この問題につきましては、全く前向きであらゆる手段を講じて、こういう問題が起きないように努力する考え方でおります。
  477. 宮井泰良

    宮井分科員 それでは、最後に一問だけお伺いします。  岩国基地がただいま沖合い移設につきましていろいろと議論もありますし、また今日まで五年間調査費などもつきまして予備調査をしてきたわけでございますが、今年度末には、技術的に可能である、この沖合い移設が可能であるという結論を出す方針であるというようなことを聞いておるわけですが、それは事実かどうか、その点をお伺いします。
  478. 亘理彰

    亘理政府委員 岩国基地の沖合い移設の問題につきましては、ただいまお話しのとおり、四十八年度以来調査を続けておりまして、この五十二年度までに約一億以上の経費を投じまして種々調査をいたしておるわけでございます。この調査につきましては、本年度は、従来行ってきた調査の補完並びに総括、取りまとめということでやっておりまして、これが完了いたしますれば、この五年来の調査結果の取りまとめをいたしたい。これを取りまとめてみないとわかりませんけれども、技術的には可能であろうというふうに思っております。  ただ問題は、経費の点その他あるわけでございますが、さらに五十三年度におきまして約四千万の予算をお願いしておりまして、これは現在まで検討しておりました埋め立て工法以外の建設工法についての比較調査等を関連調査としていたすという予定にいたしております。
  479. 宮井泰良

    宮井分科員 それでは、この件についてはそれ以上お尋ねしませんが、これは大変な費用もかかることでございますし、それをどういうふうにして具体的にやるかということも、技術的にも大変むずかしい問題であります。また、それが実現した暁において基地が永久化されていくのではないか、こういうような危惧を抱く人もあるわけでございまして、この点をよく検討していただきたいということを要望いたしまして、終わります。
  480. 塩崎潤

    塩崎主査 以上で、宮井君の質疑は終了いたしました。  次に、上田卓三君。
  481. 上田卓三

    上田分科員 ことしの二月の十四日に政府の統一見解という形で、いわゆる憲法第九条の禁じている戦力は、自衛のための必要最小限度を超えるものであり、自衛力の具体的限度は相対的である、このように述べられておるわけであります。このような政府見解には、第九条の出発点になったところの戦争の悲惨さへの反省といいますか、あるいは起こり得る戦争の具体的なイメージを描いた判断もない、こう言っても過言ではなかろう、このように思うわけであります。  長官は大正三年生まれだ、このように聞いておるわけでございますが、長官自身が第二次大戦に至る日本の軍国主義の侵略と、そのもとでの国民生活の悲惨さといいますか、そういうものを目の当たりに見てこられた、このように思うわけであります。長官たる者が、最強力を保持すると言われますところの陸上自衛隊の第一空挺団で、敵に脅威を与えずして何の自衛か、こういうことを言ったと、一月八日の新聞でもそのことが報道されておるわけでありますが、そのように自衛官にハッパをかけたということは私どもにとっては理解のしがたいところでありまして、その点について、長官はいまもなおそのように考えておるのかどうかということで問いただしたいわけであります。  戦後の代表的な政治家と言われました故吉田元首相はかつて昭和二十六年の衆議院の本会議で、「いわゆる戦争放棄に関する本条の規定は、直接には自衛隊を否定しておりませんが、第九条第二項において一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争もまた交戦権も放棄したものであります。近年の戦争は多く自衛権の名において戦われたのであります。満州事変しかり、大東亜戦争またしかりであります。ゆえにわが国においてはいかなる名義をもってしても交戦権はまず進んで第一に放棄する、こうした決意をまず憲法において表明いたしたと思うのであります。さらに、国家正当防衛権による戦争は正当なりというようでありますが、私はかくのごときことを認めることは有害であると思うのであります。近年の戦争は多くは国家防衛権の名において行われたことは顕著な事実であります。ゆえに、正当防衛、国家の防衛権による戦争を認むるということは、戦争を誘発する有害な考えである。」、こういうことを昭和二十六年に発言されておるわけであります。  私はこの考えというのは全く正しいと言わざるを得ないわけでありますが、近年防衛庁は非常にタカ派的性格といいますか、戦略兵器としての核兵器、防衛という名のもとでそういう保持も辞さないというような発言もあるわけでありまして、その問題は後からさせていただくとしまして、先ほど申しました長官の発言なり、あるいは故吉田元首相の発言に照らして、長官自身の考え方を明らかにしていただきたい、このように思います。
  482. 金丸信

    金丸国務大臣 私が習志野の空挺部隊の仕事始めに参りまして隊員に訓示をいたしました。しかし、新聞にはその一部が出ただけでありまして、その前言の中に、「われわれは平和憲法を踏まえて、侵さず侵されずという中で自衛隊は防衛をやらなければならぬ。その防衛というものは脅威ない防衛はあるか。諸君は精強の部隊でなくちゃならぬ。」、こう言ったわけでありますが、前に平和憲法を踏まえ、侵さず侵されずという、これが精神だということを申し上げておるわけでありまして、私の本心は、先ほどお話ありましたように、いわゆる戦争の始まる前あるいは五・一五事件、二・二六事件等エスカレートしていく姿、満州事変、そして終戦になった、そういうものを見て、いわゆる軍人でなければ日本人でないというような国家にしてはならぬ。私は骨の髄までそれは徹しています。ですから、防衛庁長官になって、金丸信はタカ派だ——タカじゃないのですよ。まさにハトだ。そういう考え方で私は対処しておるわけであります。  ひとつこういうお話が出たから申し上げるわけでありますが、この問題は政治が優先するシビリアンコントロール、こういうことを思いますと、本当に政治家が姿勢をどうとるのか、あるいは福田内閣がどうとるのか、あるいは防衛長官がどうとるのか、あるいは与党の代議士、野党の代議士ともどもこの姿勢というものがなければならない、いわゆる制服に厳たる態度で臨めるだけの勇気も必要だ。そういう意味で、こういう問題についていろいろ御議論されることは私は非常に結構なことだと思うのです。私はまさにそういう意味で、いま核兵器の問題等もありますが、こういうものを持ってきてまたあのような悲惨な状況にさしたら、これはもってのほかだ。いわゆる非核三原則というものもあるわけでありますし、あるいは核拡散防止条約等もあるわけでありますから、これは当然われわれは本当に遵守しなければならない、こう考えておるわけであります。
  483. 上田卓三

    上田分科員 長官がタカ派じゃなしにハト派である、こういう言葉じゃなしに、やはり具体的な行動で示していただかなければならぬわけであります。先ほど私が申し上げましたように、第一空挺団でのいわゆる敵に脅威を与えずして何の防衛か、これは言うてないんですね。取り消しますか。
  484. 金丸信

    金丸国務大臣 敵が上陸したとき脅威のない防衛で、それじゃ国民の血税を使って一握りの自衛隊だということであれば、これは自衛隊なんというものはない方がいいという結果になり、そういう考え方を踏まえて申し上げたということで、私は言わぬわけじゃない、言ったわけであります。たた、平和憲法を踏まえながら、侵さす侵されすという考え方の中でそういうことを申した、こういうことであります。
  485. 上田卓三

    上田分科員 前後の関係考えていただきたいというようなことのようでございますけれども、しかしながらどういう意図で言われたのかということは、そのときの現場での雰囲気というものもあろうと思うわけでありますけれども、いずれにいたしましても、憲法第九条という規定にありますように、防衛という名のもとで戦争するということがしばしばあったわけでありますから、そういう点で言葉に十分注意を払って、自衛隊に勇気づけるという意図であったとしても、それが戦争をあおるようなそういう言動になってはならない、このように思うわけであります。  次に、長官がハト派だということであるならば、それはこれ以上言うことはないわけでございますけれども、それならば次の問題について明確にひとつ答えていただきたい、このように思います。  いわゆる戦争犯罪人に対して断固たる処分をとるということは当然のことだというように思うわけでありますけれども外国に比べてわが国はその点について非常に甘いのではないか、緩やかではないか、こういうように思うわけであります。特に西ドイツの場合などは、国内法によって戦争犯罪人の処罰ができるようになっておるわけでありまして、戦争犯罪人については、国内法的に時効が完成してもその時効が無効であり、いつまでも追及されるというのがいわゆる国際法上の原則であろう、こういうふうに思うわけであります。西ドイツなどではそういう立場から、自国から戦争の根源を除去しようという熱意というものがそういう法自身からうかがい知ることができるわけでございますが、わが国の場合は、いわゆるA級戦犯が与党の国会議員になっておった、現実になっているという方もあるわけでございまして、外国などでは考えられないことではないか、こういうように思うわけであります。  さて、一九七〇年の十一月十一日にできた国際条約である戦争犯罪及び人道に対する時効不適用に関する条約が発効いたしたことは御存じのことだと思うのですが、果たして大臣は知っておるのかどうかということと、この条約をわが国は批准していないわけでありますが、批准する意思があるのか、それはいつするのか、あるいはなぜおくれたのかということも含めてひとつお聞かせをいただきたい、このように思うわけであります。
  486. 金丸信

    金丸国務大臣 まことに汗顔の至りでありますが、私は承知いたしておりません。
  487. 上田卓三

    上田分科員 防衛庁の幹部の方。
  488. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私どもも直接これを存じていないわけでございますが、外務省がこの点について御答弁なさるべきだと思いますが、仄聞いたしますところによりますと、なるべく早く批准をするというふうに伺っております。
  489. 上田卓三

    上田分科員 こういう国際条約、いわゆる戦争犯罪人に対して時効不適用する、こういうような大事な条約を大臣が知らない、あるいは局長においては、知っているとはいうものの、これは外務省関係だというような形で認識しているところに大きな間違いがあるのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。ハト派だと言われた長官、これを知っていただいたわけでございますから、これは外務省とも十分——私も内閣委員でございますから、別途外務省との発言がございますのでその場でも発言したいと思いますけれども、一日も早くわが国において批准する、あるいは今国会でもできるように外務省とも十分折衝して御努力いただけるのかどうか、その決意というものをお聞かせ願いたいと思います。
  490. 金丸信

    金丸国務大臣 外務省と十分な連絡をとっていけるようにいたしたいと思っております。
  491. 上田卓三

    上田分科員 進めていくようにするということでありますから、ぜひともハト派の本領を発揮していただきたい。国民はじっと見ておるわけでありますから、言葉ではなしに、行動で示していただきたい、このように思うわけであります。  次に、この二月十八日の予算委員会伊藤防衛局長は、先ほども申し上げたわけでございますけれども、憲法上は防衛的戦術核兵器を持てる、こういうふうに答弁しておるわけでありますが、現在の核戦争がいかに破壊的であり、あるいは戦慄すべきものであるかについては何の真剣な検討もないというふうに言わざるを得ない、このように思うわけであります。そういう点で、こういう言葉を発したとするならば、一億一千万国民の願いをじゅうりんする憲法違反の発言だ、こう言ってもしかりだ、このように思うわけでございます。園田外相は、核兵器は憲法上持てないということを国会でも答弁いたしておるわけでありますが、防衛庁はこの問題に対して真偽のほどを明らかにして、国民に明確に答える必要があるのではないか、このように考えておるわけであります。そういう点で、在来の兵器の時代ではないわけでありまして、現在の戦争というものは、いわゆる非戦闘員あるいは戦闘員を問わず、いや、わが国だけではなしに地球を消滅させるような、本当に局地的なものであっても世界戦争にいつ何どき発展するやもしれないということでありまして、とりわけ核の問題について長官自身はっきりとお答えいただきたいし、伊藤局長の見解というものもさらにここではっきりしていただきたい、このように思います。
  492. 金丸信

    金丸国務大臣 わが国は非核三原則の政策を堅持しているので、憲法第九条の解釈上その保有が許される核兵器であっても、自衛隊は一切の核兵器を保有しない所存であります。
  493. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 私が十八日にここで御説明申し上げましたのは、従来の政府の解釈と変わったところは全くないわけでございまして、従来から、憲法第九条の解釈について言うならば、わが国が固有の自衛権を持っておって、自衛のために必要最小限度の実力を保有することはできるということでございまして、核兵器であってもそのような限度にとどまるものであれば、九条によってこれを禁止しているということはないということを御説明したわけでございます。  さらに、二十二日の外務委員会におきましても御質問がございまして、当日は法制局が出席しておりませんでしたので、従来の憲法九条の解釈、これは政府の解釈でございますが、それを繰り返し申し上げたところでございます。しかしながら、わが国は非核三原則もありまして、核兵器を持つということは自衛隊は全く考えていないということを御説明したわけでございますが、二十二日の外務委員会におきましては、さらに、核防条約も批准しているので九十八条との関連でどうなんだという御質問がございました。したがいまして、憲法九条の解釈としては私が従来から申し上げているところでございますが、法秩序全体から言いますと持てないというふうに御答弁申し上げた次第でございます。
  494. 上田卓三

    上田分科員 長官なり局長の発言である程度わかったわけでございますけれども、核兵器は、憲法上あるいは非核三原則並びに核防条約という立場から、いわゆる戦術的核兵器でさえも持てないということは明らかである。にもかかわらず、そういう物議を巻き起こすような軽率な発言は、今後厳に慎んでいただきたい、こういうふうに思うわけであります。何かこう、それは持てるんだというような形で理解された、あるいはある程度そのことを意図したのではないか、こういうような気もいたしておるわけでありますから、その点について特に注意をしておきたい、このように思うわけであります。  さて、核兵器の使用は国際法上も犯罪であり、処罰されなければならないことであろう、こういうように思うわけであります。特に、ベトナム戦争の末期のハノイ地域での集中爆撃が、集団殺害罪を構成する、こういうふうに批判されたことは周知のことだろうと思うわけであります。憲法第九条の規定はもとより、一九五一年より効力を発生しておりますところのいわゆる集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約から見てもそのことははっきりしておるのではないか、こういうように思うわけであります。  そこで、長官なり防衛庁の幹部に聞きたいわけでございますが、この条約は、一九四八年の十二月九日に国連総会で承認を受けて、一九五一年の一月十二日から効力が発生いたしておるわけであります。当時国連に未加盟だったわが国は、賛否の態度を表明していないわけであります。言うまでもなくこの条約は、ナチス・ドイツのユダヤ人大量虐殺や、あるいは日本軍国主義のいわゆる南京大虐殺に代表される戦争犯罪の防止と処罰を目的とするものであるわけでございまして、イギリスやフランスやドイツ、イタリア等の各国はすでに批准しているわけでありますが、今日なお日本アメリカまあアメリカはさておいて、わが国がこれに批准していないということは非常に残念なことだ、こういうふうに思うわけであります。そういう点で、先ほどのものについては外務省と十分相談して云々という長官の話があったわけでありますが、この条約について大臣が御存じなのか、あるいはこれを批准されるのかどうかについて見解をただしたい、このように思います。
  495. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 いま先生お話でございましたが、大変申しわけございませんが、私はその内容を詳しく存じません。したがいまして、外務省に聞いた上で勉強させていただきたいと思います。
  496. 上田卓三

    上田分科員 局長が知らぬということでありますから、これは恐らく長官も知らぬということでありましょうけれども、私は、これはもう本当に、日本の国会でこんな議論が出てそういうような答弁というのは嘆かわしいことじゃないか、いかに戦争犯罪というものに対して日本政府、とりわけ防衛庁が無関心か、こういうように思うわけであります。そういう点で、大臣、いま局長の答弁でございますので、あなたも恐らく知らぬということだろうと思いますけれども、ひとつあなたの、私が申し上げておる問題に対しての決意を、あなたはハト派とおっしゃったわけでありますから、防衛庁だけの問題ではなしに、外務省との関係にもなるわけでございますけれども、認識がないというところに大きな問題があると思いますので、一言お答えいただきたいと思います。
  497. 金丸信

    金丸国務大臣 誉れ高い防衛局長が知らぬというのを私が知るはずはない。しかし私は、大蔵大臣も防衛庁長官外務大臣も、みんな、一人で答弁ができるという人はそんなにないと思うのです。せめて防衛問題だけは何とかひとつ勉強しなくちゃと思うが、私もなったばかりでありますし、とても外務省までは手が伸びない、こういうことであります。
  498. 上田卓三

    上田分科員 それは不まじめな答えだと私は思うのです。ちょっと笑いも出ていたということでございますけれども、やはり真剣に反省してもらわぬと、大臣だといっても局長だといっても知らぬこともあるというような、これはもうわが国が国際人として本当に恥ずかしいことだと私は言わざるを得ないと思うのです。これは厚顔無恥もはなはだしい、このように思うわけであります。そういう点で、この問題については、あなた自身もそういう認識自身、知識自身もないようでございますから、十分に勉強していただくということで、私は別途この問題について追及させていただきたい、このように思います。  いずれにいたしましても、これはもう長官もきょうここにおられる方々も考えることだと思いますし、私は常々言うておるわけでございますけれども、わが日本だけじゃなしに、人間というものはいろいろの悩みがあるが、その中でも、やはり自分はいま若いから働ける、何とか生活できる、しかしながら老後は一体どうなるのかということで、やはり老後は安心して生活ができるような、そういう福祉国家をつくらなければならない。あるいは、元気なときはいい、しかし一たん病気になったら一体どうしてくれるのか。やはり病気になったときには国がちゃんと近代医学の粋を集めたもので完全な治療が施される、お金がないために当然治る病気も治らないということがあってはならないことだろう、私はこういうふうに思うわけであります。また同時に、子供の教育というものも非常に大事であります。家が貧しいために高校や大学に行けないということがあってはならぬわけでございまして、私もやはりそういう状況の中で生活をしてきた者の一人として、痛切に感じるところであります。  そういう点で、自衛隊そのものの存立についてあなた方自身の解釈はあろうとしても、わが社会党を初め私自身、やはり日本自衛隊そのものが、憲法第九条の戦争放棄、軍備を持たないという立場から、全く憲法違反であると、こういうふうに考えるわけでございます。特に、自衛隊の総兵力は現在二十三万五千人にも達しており、五十三年度の予算は一兆九千億が計上されている、こういうことでありまして、こういう予算があればどれだけ教育や医療やあるいは福祉に回せるだろうかというように考えるのは私一人ではなかろう、こういうように思うわけであります。特に、現在一人のお年寄りを扶養するのに生産年齢人口で八・六人が扶養している。昭和八十年にはお年寄りが一千二百六十三万人に達し、四人に一人がこれを扶養しなければならなくなるというようにも言われておるわけであります。あるいは心身障害者、特に電動車いすを給付してもらいたいという、施設のそういう障害者の要求に対してむげに断っているという例があるわけでありますが、こういう予算というのは三十億もあれば十分に足りる状況にあるわけであります。同和問題もしかりであります。差別というものがいかに戦争というものにつながっていくかという立場、とりわけ世界でただ一つの被爆国のわが国が世界平和のためにもっともっと尽くさなければならぬにもかかわらず、日本が核兵器を持ってないというもののいつでも持てる、あるいはますます大きな軍事国家になりつつあるということは、世界の人々に大きな脅威を与えておるのではないか、私はこういうように思うわけであります。  そういう点で、去年も私、内閣委員会で防衛庁の幹部の皆さん方に申し上げたわけでありますが、日本が軍備を拡張していくんじゃなしに、縮小して、ひいては中立の日本をつくっていくことこそが日本の最大の防衛であるという観点に一日も早く立っていただきたい、このように思うわけであります。  そういう点で、ハト派と言われます長官でありますから、そういう点について、私の最後の質問に対して誠意あるお答えをしていただきたい、このように思います。
  499. 金丸信

    金丸国務大臣 いろいろおっしゃられるお話もわからぬわけじゃないけれども、一軒の家で窓にかぎをかう、それは何のためだ、それはわが家族の生命、財産を守るためにかぎをかうということであって、その一軒一軒が集まったものは国家である、そのかぎは要らないのか。私は、本来はそのかぎがないというオープンシステムがいいと思うわけでありますが、しかし世界の情勢判断し、各国全然そういうものは小競り合いがないかといえば、小競り合いもないわけじゃない。日本民族の永遠の存続を考えるならば、せめて相手方が日本に上陸するときはこれに立ち向かう、先ほど二十七万のこんな膨大な兵力は要らぬと、しかし二十七万ばかりの兵力で本当に日本の防衛ができるのかという心配もいたします。しかし、日米安全保障条約という強力な抑止力があるからきょうの日本の安全もある、こう私は考えておるわけでありますが、先生のおっしゃられる説、それも一つ考え方だと思いますが、私は、そういうときはすべての世界民族は神様のようなことにならなければ、これはそんなわけにはいかない。せめてわれわれは攻めてはいかない、侵略はしない、しかし向こう側からこの国に上陸してわれわれに危害を与えるということになるならば、われわれはこれに立ち向かう機会というものは日本民族としてあってもいいんじゃないか、こういう考え方であります。
  500. 塩崎潤

    塩崎主査 上田君、時間が経過いたしましたので……。
  501. 上田卓三

    上田分科員 納得できません。また別の機会に質問したいと思います。
  502. 塩崎潤

    塩崎主査 以上で上田君の質疑は終了いたしました。  これにて総理府所管中、防衛庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。  次回は、明三日午前十時第一分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十一分散会