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工藤(晃)
分科員(新自) 数字の専門家がそういうことをおっしゃるというのは私のような素人にとっては大変
理解しにくい。ただ二十何・何倍になったから——じゃもう一遍置きかえて計算してみていただければどうなるか。じゃ、逆に私が持っておる
資料で御発表申し上げましょう。これは大蔵省から出た数字でございますから間違いございません。国民所得は、
昭和三十年を一〇〇といたしまして、指数は
昭和五十年が一七四五・六、それから雇用者所得が、
昭和三十年を一〇〇といたしまして
昭和五十年が二二四二・八です。国民の医療費が、
昭和三十年を一〇〇といたしまして
昭和五十年が二七〇九・三、それから問題の開業医一人当たり社会保険診療報酬指数が、
昭和三十年を一〇〇といたしまして
昭和五十年が二〇六二・六、こういう数字になるのですね。あなたは二十何・何倍になったから大変な上がり方であるとおっしゃいますけれ
ども、逆なこういう数字を見れば、これが果たして皆さん方がおっしゃっているようなことと一致するかどうか、これも御検討をいただかなければならぬ、こう思います。
それから、こういう
資料を私、手元に持っておるのですが、
昭和四十年を基礎にいたしまして、縦軸を指数とし、横軸を年度とします「診療報酬と賃金・料金の上昇比較」、こういう比較をごらんいただいても、一番下が医療費なんです。報酬です。それから一番高いところが春闘妥結賃金引き上げの率で、あと点々になっているのが理髪業、散髪屋さん、こういう数字もあるのです。これは公務員給与の引き上げの率、それから新聞購読料の率、医療費の引き上げ率、こういうようなこともあって、数字というのは、出し方によって幾らでも自分に都合のいい数字も出すことができれば、都合の悪い数字も出すことができるわけです。だから、こういう問題は目的というものをはっきりしなければならぬと私は思います。
そういう中で私が申し上げたいのは、そういう医者が幾らもうけているかという問題よりも、大蔵
大臣も言われているし、あなたもおっしゃっておるように、制度上不公平だから制度を直すのだということを主眼になさる場合にはそういう別の物差しでやる。幾ら経済的にもうけておるとかもうけてないとか、そういうものを出すと、そういう数字というのはどうしても利益を追求した数字じゃないか、こういう形になりやすいのですね。そうすると、片一方の、お答えになっておる税制上の不公平であるという立場からの不公平税制という
言葉が逆に引っ込んでしまう、誤解を大変大きく生む根本になると思います。もちろん、優遇という
言葉の中に、事実上優遇されている方もいらっしゃるでしょう。しかしながら、優遇を受けていない方も事実いらっしゃるわけで、わざわざ恩典がありながらそれを適用しないで、青色申告しているのが二七%おるわけです。また一千万円以下の所得の人たちはもっともっと低いと私は思うのです。そういう方々がいるという事実を国民の前にはっきりさせなければいかぬ。だから、一概に経済的に優遇されておるのだというふうな感覚でとらえさせるということは判断の大きな誤りにつながる、こういうことをもう一遍
指摘したいと思いまして、きょう申し上げたわけです。
それから、それに関連しまして、医師優遇税制と言われておる問題も、医療制度のいろいろの矛盾点の中の一つとして取り上げなければならないということは、この間の質疑の中でも、大蔵
大臣も厚生
大臣もそういう御見解を述べておられた。そこで、ぜひ
会計検査院にお願いをしてみたいのは、「掲記」ということの中に適用されるかどうかは私は御検討いただきたいと思うのですが、健康保険の制度の中には、
政府管掌健康保険と組合管掌健康保険というのがありまして、これをワングループにしているわけです。ところが、制度間の格差か非常に大きい。給付、負担が非常にアンバランスである。そこに社会保障的な
意味合いが何もない。こういうふうな制度を一つにして、その中で卑近な例を言いますと、貧乏人は貧乏人同士保険をし合い、金持ちは金持ち同士保険をし合い、健康な人は健康な人同士保険をし合い、病人は病人同士保険し合っておる、こういうふうな制度の中で本当に正しい社会保障というのが行われるかどうか、私ははなはだ疑問に思います。
それで、ぜひお願いしたいのは、あと時間がございませんから簡単に申し上げますけれ
ども、そういう不公平についてもこのまま放置していっていいのかどうか。特に高齢化社会をいまから迎えながら医療費も大変かかっていく、こういう時代になって、そういうものの公平化を図っていくというお
考えがなければ、片一方の医師の方だけ公平化して、税制をその面だけ直したって、医療の内容がよくなるのでなければ、かえって医療の荒廃が起きると私は思います。
ですから、そういう中でお願いしたいのは、保険組合のたとえば保険料収入、これが毎年毎年黒字になるわけです。これは私の知る限りにおいては税金がかかっていない、非課税だと思うのです。非課税が公平なのか、非課税であることが不公平なのか、ひとつ見解を伺いたいことが一点。
それからもう一つ、これは私が誤っておれば後で訂正していただきたいのですが、非課税で得た保険料で保険組合の保養所をつくったり、いろいろ不動産投資をしておるわけです。これにも税金がかかってないというふうに私は聞いておるのです。こういう制度をつくらしていることが公平なのかどうかということを、改めて医療の問題としては
考えていかなければならない、こういうふうに
考えるわけです。それで、そういう問題についてぜひ御調査をお願いしたい。そして、そういう不動産に対して永久に税をかけないでいることが、適切な、公平な社会をつくることに妥当性があるのか、あるいはまたそういうことについて税金をかけていくのは、これはやはり税の公平という立場から、医師優遇税制を片っ方で公平化しようというなら、そういう問題を非課税で置いておくことは、なおさら不公平だと私は思うし、それからまた、そういうものを非課税にするのが妥当であるというのは、逆に言って、医師優遇税制二八%も全部非課税にしてしまう方がかえってそういうものが公平感が生まれるのじゃないかというような
考え方も持つわけです。そういう点について、時間がありませんので、簡単にお答え願いたい。