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1978-02-20 第84回国会 衆議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十日(月曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 栗原 祐幸君 理事 毛利 松平君    理事 山下 元利君 理事 安宅 常彦君    理事 大出  俊君 理事 近江巳記夫君    理事 竹本 孫一君       愛知 和男君    伊東 正義君       大塚 雄司君    海部 俊樹君       金子 一平君    後藤田正晴君       笹山茂太郎君    塩崎  潤君       澁谷 直藏君    田中 龍夫君       田中 正巳君    谷川 寛三君       中島  衛君    根本龍太郎君       坊  秀男君    松澤 雄藏君       松野 頼三君    森   清君       渡部 恒三君    井上 普方君       石野 久男君    岡田 利春君       岡田 春夫君    川俣健二郎君       小林  進君    兒玉 末男君       多賀谷真稔君    只松 祐治君       横路 孝弘君    長田 武士君       坂井 弘一君    野村 光雄君       広沢 直樹君    二見 伸明君       大内 啓伍君    河村  勝君       高橋 高望君    工藤  晃君       寺前  巖君    東中 光雄君       大原 一三君    工藤  晃君       小林 正巳君    中川 秀直君  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         外 務 大 臣 園田  直君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         厚 生 大 臣 小沢 辰男君         農 林 大 臣 中川 一郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 福永 健司君         労 働 大 臣 藤井 勝志君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       加藤 武徳君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 金丸  信君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣法制局長官 真田 秀夫君         国防会議事務局         長       久保 卓也君         北海道開発庁計         画監理官    大西 昭一君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁経理局長 原   徹君         防衛庁装備局長 間淵 直三君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         国土庁計画・調         整局長     福島 量一君         大蔵省主計局長 長岡  實君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局長 田中  敬君         大蔵省証券局長 山内  宏君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         厚生省医務局長 佐分利輝彦君         厚生省保険局長 八木 哲夫君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         食糧庁長官   澤邊  守君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         中小企業庁長官 岸田 文武君         運輸省港湾局長 大久保喜市君         運輸省鉄道監督         局長      住田 正二君         労働省職業安定         局長      細野  正君         消防庁長官   林  忠雄君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第一局長  前田 泰男君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   原島 龍一君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員の異動 二月二十日  辞任         補欠選任   奥野 誠亮君     森   清君   川崎 秀二君     後藤田正晴君   正示啓次郎君     谷川 寛三君   白浜 仁吉君     愛知 和男君   藤田 義光君     中島  衛君   松野 頼三君     大塚 雄司君   石橋 政嗣君     多賀谷真稔君   藤田 高敏君     只松 祐治君   浅井 美幸君     野村 光雄君   矢野 絢也君     長田 武士君   河村  勝君     高橋 高望君   寺前  巖君     東中 光雄君   松本 善明君     柴田 睦夫君   大原 一三君     中川 秀直君   小林 正巳君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     白浜 仁吉君   大塚 雄司君     松野 頼三君   後藤田正晴君     川崎 秀二君   谷川 寛三君     正示啓次郎君   中島  衛君     藤田 義光君   森   清君     奥野 誠亮君   多賀谷真稔君     石橋 政嗣君   只松 祐治君     藤田 高敏君   長田 武士君     矢野 絢也君   野村 光雄君     浅井 美幸君   柴田 睦夫君     工藤  晃君   工藤  晃君     小林 正巳君   中川 秀直君     大原 一三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  分科会設置に関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  昭和五十三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、一般質疑を行います。野村光雄君。
  3. 野村光雄

    野村委員 私は、ただいまより、与えられました一時間三十分でございますけれども、すでに各省庁通告をいたしております通告に従いまして、順次質問をいたしたいと思います。  まず最初に、大蔵大臣にこの際お尋ねをいたしたいのでありますが、けさの新聞紙上等によりますと、永大産業の倒産ということで大きな国民の関心となって、この不幸な出来事が国民の前に明らかになってまいりました。特にこの永大産業国民に直結する住宅等の問題が関連いたしておりまして、私ども公明党といたしましても、早くから三月危機経済ということを再三にわたりまして先般来申し上げておりましたわけでございますけれども負債額二千億円余というこの事態に今後どう対処なさろうとするのか、また、直接これに関連する契約立場におります多くの国民に対する救済対策等につきまして、ひとつ大臣対応策を示していただきたいと思います。
  4. 村山達雄

    村山国務大臣 ただいま野村委員質問永大産業の件でございますが、永大産業は、合板、住宅部門その他かなり大規模にやっておったようでございますが、最近はやはり設備投資が非常に大きくなり過ぎて、かたがた、値段との関係で需要が落ち込んできた、特に販売部門が余り強くない、こういう諸事情が加わりまして急速に業態が悪化していったようでございます。  主力銀行大和銀行ほか四行あるわけでございまして、これの再建につきまして大和銀行から社長を派遣するなど、いままで何とか自力更生の道はないかということで鋭意努力してまいったのでございますけれども、これ以上このままやっていきますとかえって傷が深くなるということで、会社といたしましてはいま再建策考えておるところでございます。  ただ、私たちが心配いたしておりますのは、何と申しましても三つの問題があると思うのでございます。一つは、ユーザーの問題でございまして、注文をすでにやっておるがまだ建設中のもの、あるいは建設は完了したけれども、まだ契約に基づいてアフターサービスをしなければならないもの、あるいは頭金は取っておるけれども、まだ建設着工してないもの、こういうユーザーに対してどのような措置をこれからとっていくか、こういう問題が一つございます。第二番目の問題は、債権者がたくさんあるわけでございますが、特に中小企業関係債権者、これの債権保護をいかにするか、こういう問題が一つございます。なお、永大産業関係につきましては、子会社を含めて恐らく四、五千人の雇用者があるのではないか、こういう雇用者対策の問題。この三つの問題がございまして、これに万全の配意をいたしたいということで、万一の場合には万遺漏ないように、いまそれぞれ対策を進めておるところでございますが、まだ最終的に会社がどういう措置をとるかということが、まあ新聞紙上伝えられる程度でございまして、会社最終意思がまだ決定しておりませんので、以上の三点を重点に置いていま内々万全の措置を進めつつある、こういう段階でございます。
  5. 野村光雄

    野村委員 大臣お話によりますと、急激の問題でございまして、その実態がまだ具体的に定かでない、こういうような御答弁でございましたけれども、ぜひひとつ直ちに、速やかにこの実態調査をなさいまして、できるだけ、多くの関連一般国民に対してこの被害を最小限度に食いとめるためにも、また今後の救済対策に対しましても万全の措置を講ぜられますことを、強くこの席から要望いたしておきます。  次に、本論に入らしていただきますけれども、まず最初に、苫小牧東部規模工業地域開発関連をいたしまして、北海道開発庁長官並びに各関係省庁に対しまして、ただいまから質問いたしたいと思っております。  御存じのとおり、苫小牧東部のこの開発に当たりましては、かつて昭和四十四年の五月に当時新全国総合開発閣議決定をされまして、その後正式に開発着工してまいったわけでありますけれども、しかし当初の計画から見ますと、この近年の経済不況のために開発事業というものが相当おくれを来しておるようでございます。五十一年苫東着工以来、火力発電所建設でございますとかさらには当初計画外大型石油備蓄建設、この巨大な開発事業が進められてまいりまして、私といたしましても、ぜひこの開発が将来ともに、国家にとりましても現地関係市町村にとりましても禍根のない開発にしていかなければならない、こういう観点から私はお尋ねをいたす次第であります。  まずお尋ねをいたします第一点といたしまして、苫小牧市を初めとする開発関係各町に対する財政負担の問題、三全総の地方定住圏構想の一環といたしまして、将来人口七十五万人を新たに収容し得る計画のもとに進められてまいりまして、すでに長官御存じのとおり、三千九百ヘクタールに及ぶ用地の買収が完了いたしまして開発を進められてまいりました。  ちなみに、苫小牧市の実態を申しますと、開発前、かつて昭和四十年と五十二年の実態を対比いたしてみますと、人口八万一千に対して現在十四万一千、工場数がかつて百四十三から三百二十三、工場出荷価額がかつて三百六十億が三千六百億円と、これは十倍の大きな飛躍を遂げております。こういうような開発に伴いまして、当然、担当の苫小牧市を初めといたします関係町におきましては、公共事業費というものが年々増大をいたしております。すなわち、各種の施設、公共事業、こういう設備拡大等に対する費用が年々拡大をいたしておりますけれども、この開発がスムーズに進むべきためにも、この関係市ないし町村財政がもし破綻を来しますと、この国家的巨大な開発に大きな支障を来す、こういうことで、ぜひひとつ現地の実情に即した財政措置というものを特段な配慮を講ずべきでないか、こういう考えでございますけれども開発庁長官のこの財政措置に対する対応策について、まず最初お尋ねをいたしたいと思います。
  6. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、苫小牧市を中心にしまして周辺の町村の変貌がきわめて急速なものがございます。かつまた、苫小牧東部につきましては、御承知のように昭和四十六年に基本計画が策定されまして、そしてたしか四十八年だったと思うのでありますけれども、いわゆる第一段階開発計画なるものがオーソライズされておるのでありまして、それに基づいて着々体制がとられておるのでありますが、最大の課題は御指摘のように、地元負担が重くなることによりまして地元では耐え切れない、かような状況の生ずることが心配なのでございます。  そこで、たしか去年の九月であったと思うのでありますけれども、一市三町で昭和六十五年を目標といたしましたどの程度地元負担があるか、この試算をされましたことも聞いておるのでありまして、その金額がたしか二千三百億円近くのものが計算されておったように記憶をいたしておるのであります。仮にこの数字が必ずしも正確ではないといたしましても、相当の負担がかかってまいりますことは事実なのでありますから、幸い、あの地域は新産業都市に指定されておるのでありまして、いわゆる新産都法の運営よろしきを得まして、できるだけ地元負担が少なくて済みますような体制もとってまいらなければならぬのでありますのと、かつまた、今後の段階に応じまして、逐次、たとえば交付税配分等についても心を配ってまいらなければなりませんし、かつまた、御承知のように工業配置促進法がございますから、工業配置促進法運営によりまして地元へその負担を軽減いたします措置をとってまいる、かような総合的な対策をとってまいりまして、できるだけ地元負担が軽くて済みますような体制をとってまいらなければならぬ、かように考えておるところであります。
  7. 野村光雄

    野村委員 一応、長官の前向きな姿勢が示されたわけでございますけれども、すでに長官御存じのとおり、この開発閣議決定されました後におきまして、かつて昭和四十八年の十一月十九日に、開発庁から次官並びに大西企画室長さらに開発局から宜房長地元からは北海道知事を初めといたしまして苫小牧、千歳、早来、厚真、鵡川、また港湾組合東部株式会社、この九者連絡会議の席上におきまして、四十八年十一月十七日にこの開発に伴いました苫小牧市の臨時市議会におきまして、十七項目にわたります開発に対する。要望がございました。その中で、この開発に伴う地元財政負担の増加については国及び北海道において特別の財政措置を講ずる、この十七項目に対しましては、先ほど申しましたように、開発庁が立ち会いのもとでこれを決議なさっております。  そういう立場の中から関係地元といたしましては、もう少し具体的な特別立法でも制定して、安心して国の開発協力ができるもう少し具体的な将来の展望を示していただきたい、こういう強い要望でございますが、これらに対しまする一具体的なお考えにつきまして、もう一回お尋ねをいたしたいと思います。
  8. 加藤武徳

    加藤国務大臣 昭和四十八年の時点におきまして、地元としていろいろ御要望のございました項目も、私は就任後詳細に承っておるのでありまして、先ほど申しましたように、地元といたしましては負担の増を非常に心配していらっしゃるのでありますし、これは国や道が一体となって、できるだけ地元負担が軽くなりますように努めていかなければならぬのでございます。  さような観点からいわゆる新産都法も施行されておるのでありまして、そうではない地域比較をいたしますと破格の処置がされてはおりますものの、まだまだ不十分であることはよく承知をいたしております。ただ、苫東地域あるいは苫小牧中心にしましてのあの関連地域のみに特別立法をいたしますことにはなかなか難点もあろうかと思うのでございまして、いまでも、新産都や工特の指定を受けておらない地域比較をいたしますと優遇措置があるのでありますから、いわゆる特別法が施行されておる地域でございますので、さらにそれを苫小牧中心にします地域だけを別個の法体系の中に組み入れますことはなかなか困難であろうかと思うのでございますけれども、しかし、その御趣旨や、また、おっしゃいました精神はよくわかっておりますので、最大限配慮をいたしてまいりたい、かように考えるところであります。
  9. 野村光雄

    野村委員 最大限協力と、こういうお言葉でございましたので、ぜひひとつただいまの趣旨を尊重いたしまして、今後さらに財政負担に対する関係者との積極的な話し合い等をひとつお願いをいたしたいと思います。  次に、この東部開発に当たりまして先般、昨年の暮れ以来石油備蓄基地建設が問題になってきておりまして、これは最近、わが国の石油備蓄を九十日備蓄、こういう計画がせられておりまして、私ども公明党といたしましても、やはり国民に対する供給安定確保、こういう立場から前向きにこの問題に対応しておる次第であります。しかし、今回、苫小牧東部開発地域に、すでに発表されております内容からいきますと十万キロリットルのタンク五十基の建設、すなわち五百万キロリットル、こういう巨大な石油備蓄基地建設が進められておることが発表になりました。  そこで、この規模並びに計画、また建設に伴う予算、こういうものについて、まず最初に具体的な御説明をいただきたいと思うのであります。
  10. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま御指摘のように、現在五十四年度末を目標に九十日備蓄計画を進めておるわけでございますが、御指摘苫小牧東部基地につきましては有力な石油備蓄基地一つとして検討を進めておるわけでございますが、現段階におきましては、北海道庁あるいは北海道開発庁を通じまして地元理解協力を得るための努力をいたしておる段階でございまして、巨大な工業基地内のどこに具体的に立地するかという点については、まだ最終的に決まっておりません。この立地が決まった段階におきまして、安全、防災対策も含めまして建設計画地元に提示して御検討いただきたい、かように考えております。現在考えられております内容は、まさに御指摘のとおり五百万キロリッタータンク基地でございます。これに要する土地は約七十万坪くらいになろうかと思います。  それから、建設予算については、まだ最終的になっておりませんので確たることは申し上げかねますが、昨今の情勢からいたしまして、キロリッター当たり大体三万円くらいの建設費が要るということでございますので、千数百億円に上る予算額になるのではなかろうか。ただし、これはまだ確定的なものではございません。
  11. 野村光雄

    野村委員 一応基本的な考え方が正式に示されたわけでございますけれども、私はここで一番懸念いたしますことは、先ほど来お話をいたしました、当初北海道開発計画として進められてまいりました東部開発計画の中に、この巨大な石油備蓄基地は当初から計画のなされていなかったものであります。これが突如として巨大な五百万キロリットルからのこういう石油備蓄基地建設する、こういうことにつきまして、もともと当初からの計画にないものをやるわけでありますから、当然この構想は、もっともっと前々から地元に十分なる理解協力を得るためにコンセンサスを得る必要があったのじゃないか。こういう当初からの計画に盛られてないものを突如として発表なさるということに対して、地元としては非常に不満を抱いているわけでございますけれども、このコンセスサスを得る対応策について、今日までの対応に対して反省していないのかということと、今後のコンセンサス対応のあり方についてその方針を示していただきたいと思います。
  12. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいまお答えしたようなことでございますので、正式に発表したというものではございません。まだ、地元理解を得るためにいろいろと北海道庁等にもお願いしておる、こういう段階でございます。ただ、一部新聞等によって報道されたり、かつは地元民がそういった計画を知る前にそういった報道がなされたということがあれば、これはわれわれとしても大いに反省をすべきだと思いますが、まだ最終的に決定に至っておらない。ただ、私どもといたしましても、そういった備蓄基地建設するに当たりましては、当然地元理解なり協力を前提として、その上に立って建設を進めるべきであるということは、現在も、また将来も変わる姿勢ではございません。御指摘のような方向で十分地元コンセンサスを得た上でないと着工に至らない、また着工させないという姿勢で対処いたしたいと思います。
  13. 野村光雄

    野村委員 そうしますと、この構想は実現してもしなくてもいいんだ、こういうあいまいなものなんですか。やはりこの構想を一日も早く正式に示して、願わくば地元理解なり協力をいただいてこの巨大な備蓄基地建設に踏み切りたい、こういう考えはないのですか、確認したいと思います。
  14. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私の表現が十分でなかったので誤解を招いたのじゃないかと思いますが、冒頭に申し上げましたように、九十日備蓄を達成するためにはきわめて有望な候補地一つとして考えておるわけでございます。したがいまして、私どもとしても極力地元理解協力を得るための努力をし、一日も早く着工いたしたいという気持ちでおるわけでございますが、まだ工業基地内におけるどの地点立地するかという具体的地点が最終的に固まっておりませんので、それに応じての具体的計画はまだ決まっておらない、こういう意味でございまして、概要は先ほど申し上げたようなことでございます。したがいまして、北海道開発庁を通じて協議をお願いいたしております具体的立地点が確定いたしました暁には、できるだけ早く安全対策も一含めた計画を提示して御検討を待ちたい、かように考えておるわけでございます。
  15. 野村光雄

    野村委員 ただいまの再答弁によりますと、願わくば、なるべく早く理解協力をいただいて、位置の決定等がなされ次第具体的な計画を提示したい、こういうような御答弁と承ったわけでございます。そこで、ただいまの答弁によりまして、いずれにいたしましても地元賛成さえあれば五百万キロリットルの計画どおり備蓄基地建設したいんだ、こういうことでございます。  そこで、ここでこれが計画どおり地元賛成をいただいて着工に振り向けました場合に、現在国で行っております東部開発の浜厚真の港湾というのは、先ほど申しましたように、当初からこの巨大な備蓄基地というものを建設する予定でない過程の中で、当初計画の中で港湾がいま建設工事をされておるわけです。そういたしますと、この五百万キロリットルの備蓄基地ができますと、当然それに伴いまして大型な二十万、三十万トンというタンカーがこの港に入ってこなければならない。そうなった場合に、当初計画でない港湾でありますから、果たして現在工事をいたしております港にタンカーが接岸可能であるのかないのか、この点に対してお伺いをいたしたいと思います。
  16. 大西昭一

    大西政府委員 お答え申し上げます。  いま先生御指摘のとおり、昭和四十八年の十一月に地元が決めました第一段階開発計画には石油備蓄計画は入っておらないわけでございますけれども石油精製日産三十万バレルの計画が入っておりまして、三十万バレルの石油精製をやるといたしますと、ほぼ年間五百万キロリットルに見合うくらいの原油を入れなければならないわけであります。したがいまして、港湾といたしましては、石油精製三十万バレルの段階で二十万トンタンカーを接岸させるという港湾管理者の計画で、運輸大臣の承認をとっております。  しかし、現在の段階では、石油精製立地について必ずしも明確な見通しを私ども持っておりません。そこへいま石油備蓄計画が出てまいりましたので、むしろ、先ほどエネルギー庁長官から御答弁のように、いまの九十日備蓄は、でき得べくんば五十四年末までに終えるようにするというふうな計画でございます。そういたしますと、現在の港湾計画の中で、石油備蓄のための原油を揚げるのが、石油精製との関連から申しますと非常に早まるわけでございますので、現在の港湾計画の中で備蓄のための原油タンカーが入り得るような港湾の利用形態について、現在港湾管理者がそういう観点から検討されるものと考えております。したがいまして、当初決めました港湾計画のとおりでいいかどうかということについては、地元備蓄を受け入れるという段階で改めて港湾管理者が、現在の港湾計画しております利用のあり方に変更を加えるべきかどうかということについて検討された上、改めて国に要請があるものというふうに私ども考えております。
  17. 野村光雄

    野村委員 そうしますと、いまの答弁を聞いておりますと、当初計画にない大型備蓄基地をやるために大型タンカーが入るようになった、しかし、これはあくまでも、先ほど来繰り返して答弁の中から出てきておりますけれども地元がこの石油備蓄基地のオーケーサインが出てからでないと云々ということが言われておりますけれども、出た場合には、いまのニュアンスからいきますと、いずれにしても現在の設計の中では大型タンカーの接岸はちょっと不可能なんだ、間違いなくできるんだとは言えない、こういうふうに受けとめてよろしいですね。
  18. 大西昭一

    大西政府委員 五十四年度末という時点で原油備蓄のための大型タンカーが入るという場合でありますれば、現在決めております港湾計画では、変更しないとちょっとその時点では間に合わないというふうに考えております。
  19. 野村光雄

    野村委員 いまはっきりいたしてまいりまして、現在東部開発工事進行中にございます港の設計を、タンカー備蓄基地受け入れとともに設計変更、こういうようなお話がございました。ぜひひとつ地元とこの問題で十分協議の上、円滑な状態の中で、開発庁長官、いまの御答弁を伺っておわかりのとおりでございまして、ぜひ責任ある北海道開発庁長官といたしましても、問題のないように、所期の目的が達成できるような対応策をひとつしていただきたい。  ただ、万一設計変更、形態が変わるということになりますと、これは恐らく国でなくて、企業がこの変更に対する工事費というものは負担をしなければならない、こういうふうになるのじゃないかと思いますけれども、ただ、その場合に、第三セクター等でいま買い上げておりますところの三千九百ヘクタールからの用地価格に対しましてもこれが関連いたしまして、はね返りがくるのじゃないか、高くなるのじゃないか、こういう懸念がございますけれども長官、その点はどのようにお考えでございましょうか。
  20. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御承知のように苫小牧開発につきましては、必要といたします工業用地等の取得や、また造成や分譲を地元開発会社、いわゆる第三セクターがこれに当たっておるのでありますけれども、私は、仮に石油備蓄をやります場合に、港の設計変更等が必要になったといたしましても、そのこと自体が直ちに第三セクターの会計に影響がある、かようには考えておらないのでございますけれども、しかし、第三セクターそれ自身が非常な借金をいたしており、かつまた、かような経済情勢でございますから、開発が次第におくれてきておりますために、相当負担は重くなってきておるのでありますから、これが処置につきましてはまた別個に十分な対処が必要である、かように考えておるところであります。
  21. 野村光雄

    野村委員 次に、開発庁長官関連いたしまして御質問いたしますけれども石油備蓄基地ができたとしても、私はそのことによって雇用の促進は図られないだろうと思う。全然ないというわけじゃないだろうけれども、大幅な、五百万キロリットルの基地が建ったからといったって雇用の促進にはならないだろう。そこで、当初計画からございますところの、この石油備蓄基地建設と相まって、石油精製工場、石油化学、こういう基幹資源型の工業というものが、これに関連して立地をされるのかどうなのか。単なる備蓄基地だけができて、一切の当初計画にあるこれらの企業というものはこれと相呼応してやってこないのか、また、この備蓄基地と相呼応して、ただいま申しましたような関連企業がいち早く苫小牧に配置づけされるような見通しなり対策がなされているのかどうなのか、この点を長官一つ確認をいたしたいと思います。
  22. 加藤武徳

    加藤国務大臣 結論的に申しますと、私は、石油の備蓄基地ができますことが、第一段階計画でもくろんでおります石油の精製工場でありますとか、あるいは石油化学企業の誘致に役立つ、その先導の役を務めるのではないか、かように判断をいたしておるところでございます。  御承知のように第一段階計画は、地元で相当もみましてそれを国がオーソライズする、かような形においてでき上がったものでございまして、先ほど大西監理官が申しましたように、石油の精製企業といたしましては三十万バレルを予想いたしておる。なお、石油化学につきましては四十万トン、かような計画があるのでありまして、そこで三十万バレルの石油精製企業を立地せしめるといたしましても、いま予定されておるような五十基五百万キロリッター程度の原油なりあるいは製品の備蓄タンクも必要なのでございますから、むしろ先導役を務めることに相なります。  なお、通産省から昨年の十二月に北海道庁に対しまして石油備蓄につきましての要請のございました場合にも、なお書きをもって、一つには石油精製企業の誘致のためにも努力をいたす、いま一つは民生用石油の備蓄についても格段の配意をいたす、かようなことでございますから、今回の備蓄基地は、単に先導役を務めるだけではございませんで、北海道におきましては御承知のように、年間使用いたします灯油の、地元で供給可能なものは三分の一を割っておる、かような状況でございまして、その他の地域から三分の二以上を北海道に持ってこなければ冬が越せない、かような状況でございますから、日ごろ相当量の民生用の石油を備蓄して備えてまいりますことも必要でありますから、さようなことにも役立つのではないか、かような判断をいたしておるところでございます。
  23. 野村光雄

    野村委員 長官のいまの御答弁を聞きますと、この巨大な備蓄基地ができることは、先ほど来申しましたこういう関連企業というものがやがてやってくる先導の役割りを果たすのじゃないか。まあ先導の役割りの備蓄基地は早く先導をしたけれども、後続してくる企業は何年たっても影形も見えない、これを地元が心配しているわけでございまして、確かに先導役の役割りがごらんのとおり効果をあらしめた、こういう具体的な対応策をいまだ持ち合わせてないようでございますけれども、ぜひひとつ、まさしく先導の役割りがこのように果たせたという、この関係企業立地に対しましての特段の御配慮をすべきである、こういうことを強く要望いたしておきます。  次に、第三セクターにつきましてお尋ねいたしますけれども、巨大な開発によりまして土地の先行取得は第三セクターが代行いたしまして、今日まで三千九百ヘクタール以上の先行取得をした。しかし、経済不況の波を受けまして、当初の計画どおりには企業の立地は遅々として進まない。そういう中にありまして第三セクターは、すでに五十一年度末におきまして五百三十一億円余の借金を抱えております。しかもこの負債に対する利子が、今日まで累計百億円を超えている、こういう現況であります。こういう中で、国の先導役としてやった第三セクターではございますけれども、これだけの膨大な負債とまた利子を年々払っていかなければならない。こういう中にありまして、一向にこの土地の売れる見通しというものは立たない、こういう偽らない実態でございます。  これらに対する今後の対応策につきまして、ひとつ長官のお考えなり決意のほどを示していただきたいと思います。
  24. 加藤武徳

    加藤国務大臣 第三セクターである開発会社が膨犬な借金をしておりますし、かつまた、大変な利息を支払わざるを得ない立場にありますことは御承知のとおりでございます。  そこで、これが対応策といたしましては、結論的に申しますと、早く企業の立地を見まして、第三セクターの抱いております三千九百ヘクタールという膨大な土地を分譲いたしますことが、第三三セクターに対応いたします道であろうかと思うのでございますから、結果的には早く企業の誘致をいたしますことが先決であろうか、かように思うのでございます。  しかし、大変な借金をしておりますので、負担の軽減を図ってまいりまする道をできるだけ広範にとっていかなければならぬわけでございますから、そこで工業配置促進法によりまする利子の補給も受けておりますし、なおかつ北海道東北開発公庫、いわゆる北東公庫の特利によりまして安い利息の金を使うような配意もいたしてまいっておりますし、かつまた、税制面におきましても特別土地保有税につきましてこれの延納を認める、かような措置もとってきておるのでございますが、片や、企業の立地を早め、片や、抱いておりまする土地の負担をできるだけ軽くする、かような方向で今後も努力をしてまいりたい、かように考える次第であります。
  25. 野村光雄

    野村委員 ただいま申しましたような非常に経営危機、こういう状況でございますので、ことのほか長官といたしましても、常に現地実態の把握と対応策をひとつ講ぜられますことをこの際要望いたしておきます。  次に、苫東問題の最後の課題といたしましてこの際お聞きをいたしておきたいことは、御存じのとおり苫東開発がどんどんと進んでまいりますために、隣接地にあります室蘭港の位置づけというものをこの際明確にする必要があるのじゃないか。御存じのとおり、これは戦前、戦後を通じまして、わが国経済の発展のために長い伝統を持つてまいりました自然港でございます。ところが、苫小牧東部開発に相伴いまして、隣接港のために年々、移輸入の苫東に次から次へと転換されていく。加えて最近の鉄鋼、造船等の不況、こういう波を受けまして、室蘭港がともいたしますと、苫小牧開発とともに、すべての荷物の出入りが大きく苫小牧に移ってしまう、こういう中で長い伝統を持ってまいりました室蘭港が衰微をしていく。片一方の開発のために片一方が犠牲になる、これはやはり好ましくないことでございまして、、そういう点から分野の調整、苫小牧と室蘭港の位置づけというものをこの際明確にしておく必要があるのではないか。この点についての対応策とお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  26. 大西昭一

    大西政府委員 苫小牧東部港につきましては、道央の一つのかなり大規模港湾でございますが、現在計画建設中の苫小牧東部港は、いわば道央全体についての流通機能を持つ港湾と申しますよりは、約一万二千ヘクタールにわたる東部工業基地のための港湾でございますので、東部港ができるために、実は道央の室蘭を初め小樽等に影響が出るというふうに、私ども計画いたしておりません。しかし、先生御指摘のとおり、現在の苫小牧港、西港でございますが、西港並びに石狩湾新港というようなものを新たに建設中でございますので、道央全体の貨物から考えますと、当然室蘭に影響が出ることば予想されます。これは東部港の影響と申しますよりも、道央の港湾の整備という中で室蘭港への貨物の影響ということであろうと思います。  私どもといたしましては、確かに、かつて室蘭からかなりの石炭が道外に出ておったというふうなこと等を十分勘案しながら、道央の小樽、石狩湾新港、室蘭、現在の苫小牧港という四港、重要港湾だけで四港ございますが、この四港の機能の分担を図りながら、それぞれの港がそれぞれの機能に応じて発展をしていくというふうな方向で、十分機能分担を考えた上で港湾計画を組んでお刈る次第であります。
  27. 野村光雄

    野村委員 御答弁にもございましたとおり、別に国が計画をして差別をつけている、こういうわけじゃございませんけれども、必然的な中から、いま御答弁にありましたとおり大きな差異が生じてきておりまして、この問題に対しましても国が直接実態を把握しながらぜひ調整を図っていただきたい。このことは、あわせて北海道の総責任者でございます開発庁長官にもぜひひとつ配慮をされますよう御要望申し上げておきます。  次に、青函トンネルにつきまして、最初に鉄建公団にお伺いをいたしたいと思います。  青函トンネルが、御存じのとおり全国民の注目の中で今日まで進められてまいりまして、まさしく、これはわが国の歴史の一ページに残る大偉業である、こう私たちは認識をしております。そういう難工事の中で担当者の皆さん方が非常な努力をなさいまして、いままで大きな事故もなくいたしまして、着々と工事が進められてまいってきております。私は、関係者の皆さん方に、この場をかりて敬意を表する次第であります。  そこで、予算面から見ますというと、本年度いま計上されております予算を加えますと総額三千八百五十億円のうち約三分の二の二千百五十億円、こういうことになってまいりまして、約三分の二がすでに工事が進んできた。先般来、公団側の幹部からいろいろな事情の説明を聞きますと、昭和五十七年度にはあらあら完成のめどが出てきた、こういう公団の幹部の説明をお聞きしたわけでございますけれども、公団側として、直接現場に携わる立場として、完成のめどというものはどういう時点になってきたのか、この際ひとつ明らかにしていただきたい。  第二点には、公団幹部の御説明によりますと、昭和五十七年完成めどということになってまいりますと、大体昭和五十四年度中に青函トンネルの両入り口の陸上部分からレールの設置工事に入っていかなければならない、こういうお話がございましたが、公団側として、このレール敷設の時期はいつごろと考えていらっしゃるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  28. 福永健司

    ○福永国務大臣 野村さんから公団に答弁するようということで、当然公団からさせますが、関係者に敬意を表していただいて恐縮に存じます。質問なすったあなたに対しても私は敬意を表したいと思います。  当初五十三年度に完成する予定であったのが大幅におくれるということになったことは、いろいろの事情もあったとはいえ、私は私なりに残念に思いますが、いまも激励的な御質問がありました。その言葉にこたえて、五十七年度にしかとできるかどうか、五十七か八年にはということで実は言っておるのでございますが、できるだけ早く完成させたいと思いますし、その後、そうすると両方の入り口でどういうふうにつなぐかというふうな問題等がございますが、これらにつきましてもぜひ急ぎたい、こういうように考えております。  ただ、鉄道関係の仕事は、すべてが、つくれば赤字がふえるというようなことになるものでございますから頭の痛いところではございますが、頭が痛いから前進しないというわけにはいかない、そこいらを御了察いただきたいと思います。
  29. 原島龍一

    ○原島参考人 公団といたしまして御答弁いたします。  御承知のように、昨年八月、私どもでF1と名づけております最大級の断層を突破いたしまして、ただいまのところ順調に仕事が進んでおります。しかし、これから海峡中央部に参りますと非常に弱い黒松内層という地質がございましてなかなかむずかしい。それから数本の断層が残っておりまして、鋭意努力いたしますが、順調にいきまして五十七年度中には仕上がるつもりでおります。  それから軌道工事でございますが、軌道工事は完成の二年ぐらい前から始めないと実は間に合わないかと思いますが、いまのところ、まだ、軌道工事の工程についてはっきりとした工程は聞いておりません。
  30. 野村光雄

    野村委員 運輸大臣お尋ねいたしますけれども、いま公団の説明を聞きますと、五十七年が大体めどとして御答弁がございました。その際、先ほどの線路の敷設が二年ぐらい前、こういうことになります。そういたしますと、いずれにいたしましても五十三年度中、おそくても五十四年度の前半ぐらいにはこの線路の敷設というものが、在来線でいくのか新幹線併用という立場で敷設がされるのか、これは当然明らかにしていかなければならないときに迫ってきたわけでございますが、これはどちらで敷設なさる計画なのか、その点につきましてひとつ大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  31. 福永健司

    ○福永国務大臣 ただいま御質問の点はできるだけ早く明らかにしなければならない点でございますが、五十三年度中にはできるだけはっきりさせたい、こういうつもりでございます。工事そのものは、従来の整備計画によりまして在来線も新幹線も共用できるようにということで進めておりますが、先ほども申しましたようなふところぐあいその他のことで明確に、両方にするのかどちらかにするのかというようなことはこれから決める、こういうことでございますが、できるだけ急ぎたいと考えております。
  32. 野村光雄

    野村委員 一応在来、新幹線併用、こういう基本的な考えがいま大臣から示されました。一応運輸大臣に対する質問はこれで終わりまして、次に農林大臣に、ただいまから時間のある限り御答弁をいただきたいと思います。北海道開発長官、ちょっと残っておってください。覚えておいていただいた方がいい問題がございますから……。  中川大臣のお顔を見ますとどうも苦手でございますけれども、特にまず第一点に私はお尋ねをしてはっきりしていただきたい点は、超古々米の管理運営についてまず最初に聞きたい。  実は大臣、一昨日食糧庁から、現在の在庫米の年度別の実態を明らかにしてくれということでいただきました資料によりますと、私はこの際超古古米だけの状態を申し上げますけれども昭和四十九年以前の在庫米が二万二千トンある。その中で四十九年度産米が二万一千八百八トン、四十八年産米が二百四十五トン。そのほか、ただいま米が何年ぐらい保管がきくのかということで実験調査のためにやっているお米が、四十二年度産米百二十三トン、四十三年度米百二十三トン。四十四年から四十七年度産米は、通常の操作米以外は全く在庫はない。しかし、通常操作米以外のカドミウムでありますとか汚染米が現在八万六千トン残っている。こういう資料と御報告をいただきました。  そこで大臣北海道につきましても、先般道内紙にも発表になっておりましたけれども、私も調査をいたしてみますと、四十二年度産米が道内で七百トン、まだ倉庫に詰まっております。四十三年度米が三千五百トン、四十四年度米が二千五百トン、四十五年度産米が二千二百トン。いずれも、大臣、生産調整以前のものが北海道で、いま明らかになっただけでも九千トンから倉庫に山積みになって、農協から確認いたしますと、十年もたっているわけですから、もうほとんど下積みのためにカビが生えている。食糧はもちろん、家畜の飼料にもならない。こういう状態になって山積みされている。こういう実態です。  そこで私は、政府から、ちなみに保管料は一体どれだけかかっているのか調べてみますと、年次別に保管料は年々値上がりになってきています。四十二年産米六十キロ一俵当たり、十年間で保管料が三千八十八円かかっております。いいですか、六十キロ一俵三千八十八円。四十二年産米が、当時政府買い上げが七千七千九十七円、保管料が十年間で三千八十八円かかったために、一万円以上の高い米になって、家畜のえさにもならないで山積みされている。さらに、北海道の九千トンの保管料を私が政府の保管料によりましてつぶさに計算いたしますと、北海道だけで、先ほど申しました四十五年以前の、生産調整以前の米、これだけで保管料で四億一千万支払っていることになります。  食糧庁の資料によりますと、先ほどカビ米とかカドミウム米八万六千トンある。五十三年度、大臣御存じのとおり六十キロ当たり一俵、保管料七百五円にいま予算計上されております。七百五円の保管料をこの八万六千トンに明年支払いますと、十一億円余を突破するわけです。食糧庁のこういう資料によりますと、四十七年産米以前のものは、先ほど実験用以外はないと言っている。本当にないのかどうなのか。この実態を、ないということが私は信用できない。政府は本予算に臨んでも、口を開けば財政難だ、不況だ、予算が足りない、こう言いながら、目的もはっきりしない保管料を毎年毎年膨大に払ってきている。これは大臣、米が余るとか生産調整とか、こういう問題とは問題は別なんですよ。こうやって余っているから生産調整しなければならなくなったのだ、こうは言わせませんよ。生産調整以前の米だ。  そこで私は、大臣にはっきりしていただきたい。まず、あなたはこういう実態を正確にお知りになっていたのかいないのか、これを正直に答えていただきたい。これが一つですよ。落とさないように書いておいてください。  第二点、具体的な対策もなくして、生産調整以前のお米を十年この方、高い保管料を支払ってきた。今後何年置いておくつもりなんですか、はっきりしていただきたい。これが第二点。  第三点、この際全国的に超古々米の管理、一体どれぐらいが残っているのか、これを総点検する必要がある。その総点検をする考えがあるかないか明確にしていただきたい。  第四点、大臣、目下水田利用再編対策で畑作物の収穫が大幅にふえてまいります。私はずっといま、現地の農民団体と懇談に歩いております。いま北海道では、農民はこう言っているのですよ。一番自分の身近です。北海道は今回、生産転換で稲作面積の三五%を麦や何かをつくれと言っている。当然、この麦や大豆や、とれた秋の収穫される作物を入れる倉庫がない。なぜか。こういう超古々米がぎっしり倉庫に詰まっているために、いま農協は、転換された畑作物を入れる倉庫を新設しなければならないということで、農家に、この新しい倉庫をつくるための出資増口をいま提示されてきているのですよ。このしわ寄せが農家にいま来ているじゃないですか。どう対応なさるのか。  この四点をまず明確にしていただきたい。
  33. 中川一郎

    中川国務大臣 昭和四十五年ごろに約七百万トン余りまして、これを処分しなければならないということで、約四、五年かかって大方の米は処分したわけでございますが、御指摘のようにカビ米であるとかカドミウム米とかいったような、処分のしようのない、家畜のえさにも使えないようなお米が若干あることは承知いたしております。しかし、これは御指摘のように金利、倉敷——倉敷だけじゃなくて金利もかかり、非常に財政負担の伴う厄介なものでございますので、こういったものを、のりであるとかあるいは観賞用の動物、人間が直接食べない、そういった被害がないであろうというようなものに、ここ一、二年のうちには完全に処分するよう食糧庁当局に指示をいたしておるところでございます。  第三番目に、総点検する意思ありゃということでございますが、もちろん今後とも、そういったことがあって財政上の負担をこうむったり、特に倉庫等について、畑作の倉庫に支障があるようなことがあってはいけませんので、処分のできるものは早急に処分をする、こういう方針で進みたいと存じます。  また、北海道は米が余るのみならず、御承知のように異常なでん粉の過剰でございます。これは五万トン、七万トン、現在十一、二万トンからの過剰でん粉があって、これが政府で買い上げをしておる、こういうようなところから倉庫事情が非常に厳しいことは事実でございますが、今後とも、そういった過剰のことについては、特に北海道の倉庫の現状も勘案をして早急に処置をしてまいりたい、こう思う次第でございます。
  34. 野村光雄

    野村委員 大臣、非常に御答弁にすぐれていらっしゃいまして、私が四問にわたりましてきちっきちっとお答えをいただきたい、こういうことで、委員長御存じのとおり、質問をいたしております。姿勢をあらあら示しただけで、私の質問に対して的確に答えていないと私は思うのです。  私が一番聞きたいのは、これだけの大量の超古古米を知っていて、保管料を払いながら今日まで来たのか。知っていたとするならば、十年も八年もじゃ少し長過ぎてないかと私は言うのだ、常識から考えて。大事な国税を払っていて、価値があるのかないのか、財政上から言ったって。国民に申しわけないと思わないのか、私はそういう点を正直に——大臣も、まだ御就任なさいまして一年たっていないのだから、知らなかったと思うのです。知らなかった、いいじゃないですか。知らなかったと言ったって恥ずかしいことはないと思いますよ、就任したばかりなのだから。  知らないなら知らないではっきりした上で、今後総点検をして具体的な対策を講ずる。この超古古米を昭和何年度にはこうする、昭和何年度にはこうすると計画対策をきちっと明確にした上で十年間持ってきたのなら、私は何とも言わないのだ。明確な対応策を講じないまま、ずらずらずらずらとこれだけの膨大な保管料を払いながらやってきた姿勢というものを、やはり国民の前に率直に改めるべきは改めるべきだ。こういう姿勢を私は示していただきたい。  もう一つは、大臣、政府は、お米の生産、流通、価格、この需給計画というものを自由自在に使い分けていくだけの食管法というものがあるじゃないですか。やりたいけれども、法的なり行政的に権限がなくて処理ができなかった、こう言うのなら、新しい条例なり法律をつくって、超古々米の処理方法のための法律をつくらなければいけないかもしれませんけれども、食管法によって自由自在の権限を持っていながら見逃してきたということは、私はこれは、やはり管理のずさんさというものを国民から指摘されてしかるべきだと思うのです。その点を、就任早々でございますから無理ないと思いますけれども、ぜひやはり率直にお答えいただかないと、ちょっと私は納得できないのであります。
  35. 中野四郎

    中野委員長 これは大切な問題ですから、食糧庁長官、明確にしたまえ。
  36. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 ただいま北海道におきます超古古米という表現を使われましたけれども、古い米の在庫につきましては、これはカビ米でございます。したがいまして、通常の需給操作に乗せられない米でございます。それからさらにカドミ米というのが、御指摘のように七万二千トンあるわけでございまして、一万四千トンと七万二千トンが需給操作のできない古米、古々米として持っておるわけでございます。  そのうちで、現在私ども考えておりますのは、もちろん食用に供するわけにまいりませんので、工業用の原料として使う方法はないかということで種々研究を続けてまいりました。  カドミ米につきましては、合板の接着剤として利用することが可能だということに最近なりましたので、年間約二万五千トン程度を毎年処理できるという見通しがついておりますので、そのような処理を今後計画的にしてまいりたいと思います。ただ、新たに発生いたしますのが、年によって差異はございますけれども、年同一万五千トン前後、毎年カドミ米が発生する。これは御承知のように、一PPm以上は食品衛生法上で食品として禁止されておりますので、これはもちろん買っておりませんが、それ以下のものにつきましては、食品衛生法上の規制はございませんけれども国民感情を考えまして、現在廃棄に回しておらない、そういうものでございますが、これが年間約一万五千トン、年によって差異はございますが、発生する見込みがございますので、これも今後引き続き、ただいま申しましたような方法で処理をしていきたいというように考えております。  なお、カビ米につきましては一万四千トンございますが、これにつきましても、先ほど大臣がお答えいたしましたように、魚のえさ等に使える道が大体わかりましたので、一万四千トンにつきまして今米穀年度中、といいますのはことしの十月までに全量処分をしたいということで、これはなくなる予定でございます。  カドミ米につきましては、ただいま申しましたようなことで早急に処分はいたしますけれども、新たに発生するものにつきましてはなお引き続き処分をしていかなければいけない、こういうことでございます。
  37. 野村光雄

    野村委員 委員長、ちゃんとしてもらわないと……。今後の処理方法は当然立ててもらわなければいけないし、これも質問の要項に入っているけれども、今日までこうやって放任しておいたことに対して、さっきから言っている、四十二年度産米は何年後にはこうするぞ、四十三年度産米は昭和何年にはこういうふうに処分するぞ、だから十年間こうやって保管しておいたのだ、こういう計画があって今日まで来たのではないでしょう。あるなら示していただきたい。その責任についてやはり国民の前にはっきり示さなければ、監督なり管理の不行き届きは免れないだろう。この基本的な問題を後回しにして、これからああやります。こうやりますと、そんなことを聞いているのじゃありませんから、はっきりしなさいよ。
  38. 中野四郎

    中野委員長 野村君から先ほど、知らないのではないかというお話があったから、事務当局である食糧庁長官に説明せしめた。それで、さらに責任の問題については農林大臣から答弁を願います。中川農林大臣
  39. 中川一郎

    中川国務大臣 確かに、御指摘のように、これは川俣委員からも前の総括質問のときに御指摘のあったところであり、会計検査院もその辺については今後関心を持って検査をしていきたいと御指摘がありまして、私どもも、そういったことについて、長い間あったことについて努力の足りなかったこと、計画の持たれなかったことについては、十分責任を感じております。  ただ、お話をいたしましたように、カドミウムとかカビ米とかということで安易に処分ができないものであった。ところが最近、のり用であるとか魚のえさであるとかというものに使っても支障がないという見通しを得ましたので、今後についてはそういった方法で処理をいたしたいし、それから金利、倉敷のかかるこういったものはなるべく早く処分をする。今後、反省の上に立って、決意を新たにしていきたい、こう申し上げたつもりでございます。
  40. 野村光雄

    野村委員 まあ一応反省の御意思がございましたから、膨大なむだな国費がさらに投じられないようにぜひひとつ善処されたいことを強く要望いたしておきます。  次に、ペナルティー問題でちょっと触れておきます。  これはもうすでにいままで言い尽くされましたから、説明抜きにして、私は大臣に率直に聞きたい。大臣は就任以来、私も何回かこの問題に触れておりますが、非常に必要以上にペナルティーに対して執着をしていらしゃいますけれども、なぜそんなにしがみつかなければならないのか、この理由をまず一点、明らかにしていただきたい。  それから、私が腑に落ちないのは、大臣、過去八年の生産調整の実績を見てまいりますと、一〇〇%とは言わないけれども、ほぼ一〇〇%、農民は農林省の言うとおりにまじめにこたえている実績がはっきりしているじゃないですか。この八年間の実績に対して農民を信頼できないのか。これが第二点。一つ一つ答えてくださいよ。いいですか。さっきみたいなことではだめですよ。  その次に、水田利用再編対策の三カ年に対することしは初年度なんです。大臣、過去の実績から言ったって、この初年度、ペナルティーをかけないで、農民を信頼して、ことし一年一回やらせてみたらどうですか。その上で、どうも農民は今回に限ってはまじめにこたえない、従わない、こうなって、第二年度からペナルティーを用いても遅くないのじゃないか。これが第三点。  第四点、もしペナルティーを科するとすれば、だれにかけるのか、はっきりしていただきたい。私は生産者にかけざるを得ないと思う。その場合、都道府県に割り当てられた目標は一〇〇%達成したけれども、個々の農民に当たってみるとまじめに一〇〇%やっていない、こうなった場合に、政府の目的は達した、しかし個々の農民には必ずできない、やらない者もいるだろう、このペナルティーはどこにかけるのか、これを明らかにしていただきたい。  一つ一つお願いします。
  41. 中川一郎

    中川国務大臣 第一番目は、ペナルティーにしがみつく理由でございますね。これは何度も申し上げましたように、米の過剰ということは非常に困ることなのでございます。先ほど申し上げたように、過剰になった米の処分先がないわけなのです。しかも一、二万トン持っておりましても大変な負担がかかりますのに、現在五百万トンから持っておりますから、これによる国民への負担というものは、北海道の畑作のみならず、財政上大変な負担になりますので、過剰米を出さないということを農政の基本にしなければならない。特に農村は、消費のないところに生産はないということはもうあらゆるものの原則でございますからへ消費に見合った生産ということは、政府の責任であると同時に農民の責任である。とするならば、もしこれが実効が上がらないという結果余ってきたり、その余ってきた分を翌年、まじめにやった方に負担をかけるようなことになったのではこの仕組みが成り立たないということで、しがみついておるわけでございます。しがみつくのかということですから、正しくお答え申し上げます。  二番目に、過去の実績で信頼できないかということでございますが、過去の実績も全体としては何とかなりましたが、やはりまじめにやってくれたところとまじめにやってくれないところがありまして、まじめな方に負担がかかったということで、農民の間に、今度やるときにはあのようなことではなくて、それぞれの県が責任を持つように、まじめな者が損をして、言うことを聞かない人が米をつくって、好き勝手とは言いませんけれども、いい子になっている仕組みは今後はだめであるという、農村や知事段階の強い要望がありまして、信用しないわけではありませんけれども、これは生産者あるいは責任ある自治団体からの強い要望があってやったわけでございます。  それでは、初年度だけはどうかということでございますが、初年度からその仕組みをやってまいりませんと、二年度目からやれるという仕組みはございませんので、どうかひとつこの点は、私たちが押しつけたのではなくして、まじめな農民の間からそうしてもらいたいという、何回も何回も協議した結果出てまいりました結論でございますので、御理解をいただきたいと存じます。  それから、だれにペナルティーと言われるその分の調整をやるのかということでございますが、都道府県に割り当てをし、都道府県が一〇〇%やっていただくならば、その都道府県の中にアンバランスがありましても、私どもは県にお願いしてございますから、その場合には県にはその分は行かないということでございます。県内において今度は町村にアンバランスがありました場合には、今度は県内調整で町村にお願いをしたり、町村の中で責任が負えない場合には個人に行く、こういうことでございまして、農林省としては都道府県にお願いしてございますので、都道府県単位で超過分についての翌年度の御協力を願う、こういう仕組みになってございます。
  42. 野村光雄

    野村委員 制限された時間があと十分足らずでございますので、次に若干具体的な問題で二点だけ、最後に質問いたします。  御存じのとおり、配分が目下、市町村から各農家の部落範囲におりております。そういうことで、私が入ってみていま農家で一番問題になっておりますのは、大臣ある程度おわかりと思いますけれども、今回集落転作というのと農協管理転作と、二つの、いままで農家が経験しない新しい転換方式が設けられました。そういうことで、この転換に当たってまず一番の問題は、その集落転作の規模、これは「おおむね」という言葉が使われておりまして、この「おおむね」というのは一体どの範備なのか。また集落の定義、範囲、これが御存じのとおり、大臣、私も何回か部落の農家の皆さん方とじきじき、ひざを合わせまして実態を聞いてみますと、北海道の場合は三ヘクタール、三町が一つの集落の規模になっております。私が入ってみました、仮に空知なんかに行きますと、大体五町平均といたしまして、二割弱ぐらいの生産調整面積が来ているわけです。そうすると、大体五町経営いたしますと八反から九反、これぐらい一戸で転作をしなければならぬ。そうすると、三町という集落のこの加算金をもらうような該当にしてやるためには、三人ないし四人の面積を一カ所に集めなければならぬ。そういうことで、まあ二人なら二人がお互いに自分のあぜ隣で、両方から一町五反ずつやればいいのですけれども、四人といいますとどうしてもばらばらになる。そういうことで、結局は差額金を出すからひとつおれの分休んでくれないか、こういうようなことをやりながら何とか計画加算金の範囲内にしようということで努力している。そうやって話はまとまるのだけれども、しかし、御存じのとおり、じゃこの加算金というのは今後五年、十年と間違いなくくれるんだべか、こうなる。そうすると、農協も部落会長も、これは責任は持てない。三年でまた動かさなければならないのでは、これは人の分まで引き受けて加算金をもらうためにやることはちょっとできない。こういう問題が起きています。三年後が不明確なために。いいですか。  もう一つは、国道をはさんだらだめだとか、やれ、これだけ離れたらだめだとかと、こういうふうに言われる。しかし、いま具体的に、現場としては非常に困っている。ですから、こういう問題をいま盛んに、まじめに真剣に取り組んでいるわけですから、もっともっと責任を持って——部落会長では、こうやれば必ず加算金が出ますよ、もらえなかったらおれが責任を持つとまで言うだけの説明ができないのですよ。これが現在混乱している最大の原因であります。ですから、この対応策を、混乱しないで納得して、また、応用はこの程度の範囲までできるのだと、一つ一つ実態に即応して責任を持って示唆を与えるような体制を早く講じてやるべきだ、これが一つ。  それから、農協の管理転作。私もいろいろ法律的に勉強しました。いま農家で一番問題になっておりますのは、農協に管理転作をして頼んだ場合に、農業者年金法に関係してこれはもらえなくなるのじゃないか。農地取得資金を借りるというときに、これもまた該当しなくなるのじゃないか。使用収益権というものに対して、これは該当して違反になるのじゃないか。また、保全管理の場合の奨励金、相続税、猶予税、こういうものが、非常に具体的な問題として不安な問題が出てきている。ようやくいま農林省としても、こういう管理転作のパンフレットをつくっていらっしゃいます。大臣御存じのとおり、純朴な農民が、農協に管理転作をするためにこれだけのものをマスターしなければ、おれの土地はどういうふうに該当するのだろうか、もう混乱なんです。農林省に聞いてみたら、農林省自身が、農業六法をひもといて一生懸命、私に説明するのに時間がかかるのだ。こうやってでき上がったこれが、現場では大混乱なんですよ。  ですから、確かにこれはそのために出したのだろうと思うけれども、これを読んだだけではわからないのです。農家は。失礼ですけれども、農協の係員だってマスターしていませんよ。こういうことで農家が大混乱しているので、もっともっと現場に対応できる体制を整えて、農家が納得して協力できる体制をつくるべきだ、こういうように私は思いますけれども、御答弁をいただきたいと思います。
  43. 中川一郎

    中川国務大臣 確かに全国で四十万町歩からの生産調整を行うわけですから、しかも仕組みが、管理転作やあるいは集団加算金等々きめ細かくやっておりますので、現場においては非常に混乱といいますか、わからない点で御苦心をなさっていることは目に浮かぶようにわかるわけでございます。  そこで、そういうことをなるべく避けるようにというので、昨年の四月以来、農協系統の主張、あるいは地方自治団体の方々と、知事会を開き、担当責任者の会議を開き、あるいはブロック会議を開き、あるいは改良普及員等々、きめ細かくやり、そして面積も早く指示をしていただくということで、昨年暮れ、万々やってきたつもりではありますけれども、末端においてそういう混乱があることは事実でございます。  中でも、北海道のように、集団加算のあるところはことし一年じゃないのか、あるいは三年じゃないのかという疑問点があって混乱をしているということでございますが、この点は少なくとも十年間はこの方針は変わらない……(野村委員「奨励金も出るのですか」と呼ぶ)奨励金も十年間は変わらない、いまの段階では。これは何回も言っているところでございますが、ただ、三年たってみて、百七十万トンがあるいは百五十万トン程度でよくなったとか、あるいはまたこれが、やはりもうちょっと強化しなければいかぬとか、これは生産と消費の動向を見なければわかりませんので、これを十年間一つも変えないのでは余りにも固定し過ぎるということでございますが、基本的な奨励金その他については変えない、こういう考え方を示しておるところでございます。そのほか年金との関係とか取得資金の関係とか、あるいは相続税、いろいろ疑問の点もございますので、農水においても公明党の先生から御指摘がございました。そういった点も、農協方面を通じてさらにわかりやすく解説をして、混乱を少しでも少なくするように措置をして、円満な解決をしていきたい、こう思っておるところでございます。
  44. 野村光雄

    野村委員 時間も参りましたので、これで質問を終わりますけれども、どうかひとつ、ただいま農家の手元で生産調整の作業を進めておる段階でございますので、不安のない対策を速やかに徹底されますよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  45. 中野四郎

    中野委員長 これにて野村君の質疑は終了いたしました。  次に、高橋高望君。
  46. 高橋高望

    高橋委員 永大産業の問題がきょう大きく取り上げられておりますので、まず、この件について、大蔵大臣初め関係の方々の御意見をいろいろ伺いたいと思います。  この問題、永大産業の件はずいぶんと前からその企業不安がうわさされておりまして、関係者はずいぶんといろいろ手当てをしてきたかと思います。そして昨日、恐らく最終的な結論として、もうこれは銀行側が手放す、こういう結論に達したかと思います。したがって、まことに突然なことではなくて、かなり長期間にわたっていろいろと検討が加えられ、当然のことながら、大蔵当局あるいは政府当局にもいろいろと相談があったかと思います。  これを踏まえた上でお尋ねをするわけでございますが、早速のところ、大蔵当局が、今度のこの行き詰まりについては、永大産業の「“超積極経営”が裏目に出たもので、不況の長期化による一連の企業倒産とは性格が違う」ということをまずおっしゃる。「これによって景気政策や金融政策を見直す必要はない」ということをとりあえずおっしゃった。     〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕 それからまた、日銀にいたしましても、仄聞するところ、政府、日銀が積極的に救済に動いた山一証券や安宅産業の場合とは事情が違うということを言われた。  こういうスタートからこの問題をお考えになると、今後の取り組み方において、ずいぶんと私たちの期待するようなことが行われないではないのかという懸念がございますので、まず、この辺について大蔵当局の御意見を承りたいと思います。
  47. 村山達雄

    村山国務大臣 永大産業の問題につきましては、主力銀行の方から、いままでできるだけ支援をしてまいってきておるけれども、なかなか非常にむずかしいということで、その経営の再建については逐次報告があったようでございます。しかしながら、最終的な決断はもちろんなかなかできかねるわけでございまして、鋭意努力しておるその経過、そういったものについていままであったわけでございまして、大蔵省といたしましても、主力銀行を初め関係銀行に対しまして、及ぼす影響が大きいからできるだけ支援をするようにということで、ごく最近までその方針で指導してまいったのでございます。  しかしながら、ごく最近、詳しくは後で必要があれば政府委員から答弁させますが、どうも残念ながら、これだけ大きな支援をしたにもかかわらず、銀行の支援だけには限度があるという結論に達したようでございまして、一般の預金者、その人たちの立場考えるときに、銀行としてはおのずから限度があるということに結論が到達したようでございます。  ただいま連絡を受けますと、残念ながら、本日の午前十一時に会社更生法の適用の申請をしたということがいま入ってまいりました。  そこで、どういう事情かというお話でございますが、もちろん、全体として景気の落ち込み、そういった一般の経済情勢と無関係だとは言っているわけではございません。しかし、やはり特に大きい事情はということになりますと、永大産業の過去における積極政策、それと販売能力との関係、それから、やや品物はいいようでございますけれども建設費が少し高い、その辺が非常に需要とお見合いでございまして、ちょうどその商品が品質と価格との関係で必ずしもいまの住宅事情に合っていない、こういう点が大きな破綻を来した最大の原因のように私たちは聞いているわけでございます。  すでに会社更生法の適用の申請が行われまして、今後は裁判所においていろいろな調整が行われるわけでございますけれども、大蔵省といたしましては、主力銀行中心とし、あるいは関係省庁を通じまして今後努力すべき点は、私は次の三点にしぼられているのではないかと思うのでございます。  その一つは、先ほども申しましたユーザー関係でございまして、すでに建設は済み、代金は支払っておるけれども、アフターサービスの問題が契約上残っているという問題。それから、現在建設中であって、代金の支払いはすでに済んでいるという問題をいかにするか。それから、いま契約だけやって、頭金だけ払っておる、その人たちは選択は二つあると思いますが、一つはその建設を進めてほしいというもの、あるいは頭金を返してもらいたい、こういういろいろな需要者側のニーズがあるだろうと思います。この点に対して、やはり銀行を中心にいたしまして、どのように対処していくか、ここが一つの大きな問題点だと思っております。  第二番目は、当然、永大産業との債権債務の関係でございますけれども、特に永大産業に対する債権者のうち、中小企業関係、恐らく担保を持っていない債権者がかなり多いのではないかと予測されるわけでございますが、これの救済をどうするか、この問題が一つあると思います。  それから第三番目は、永大産業に勤めておりました雇用者対策をどのようにするか。一番大きな問題は、そういうことであろうと思っておるのでございます。  私たちは、金融機関にはおのずから限度があるとは申しますものの、やはり何といっても、こういうときにこそ金融機関としての公共性の立場が十二分に発揮されることを願っておるものでございますので、関係の各省庁と連絡をとるのはもちろんでございますけれども、日銀あるいは関係の主力五行、あるいは債権者たる中小企業のメーンになっているその他の銀行、こういったものに広く協力を求めてまいらなければこの問題はなかなかむずかしいと私は思っておりますので、即刻、これから関係の機関を集めて協力方を強力に要請し、指導してまいるつもりでございます。  なお、それは中央だけでなくて、それらの関係者は地方に全部広がっているはずでございますので、それぞれの地域ごとにそういう対策協議会のようなものをつくりまして、そして、先ほど申しました方針に従い、まして可及的最大限に援助をし、この問題がほかに波及しないように最大の努力を尽くしてまいりたい決意でございます。
  48. 高橋高望

    高橋委員 いまお話を伺っておりますけれども、私は先ほども前提で申し上げましたとおり、過去何カ月あるいは一年以上も前から、この会社に対する不安があり、当然話し合いがあり、その中でのいろいろな御相談事にすでに大蔵当局に来ておられると思う。だから、今日時点においては十分なそういう準備ができた上での新聞の発表であり、公表であろうと私は思う。これからやるということでは、私はちょっとのみ込めませんし、これが突然起こった問題でないだけに、すでに大蔵省が主導性を持ち、あるいは建設省との話し合いの中から何らかの対策をすでに用意していらっしゃると思う。この辺を伺いたいのです。  たとえば、すでに売ったというか建ててきた十万戸のアフターサービスに対するその後の対策、資金手当て、お話しのように、未完成部分に対する取り扱い、あるいは頭金等の問題、こういう問題についてはもうすでに皆様は御検討済みで、ある対策を持っていらっしゃるはずだと思う。その年数はあったと思う。この辺については、大臣、いかがでございますか。
  49. 村山達雄

    村山国務大臣 いま、詳細につきましては政府委員から答弁させますが、私の知っている限りでは、主力銀行を初めその他の銀行が、何とかして再建したいということをごく最近まで考えておったようでございます。いよいよ決断しなければならぬと考えてきたのはごく最近でございまして、何とかして銀行の力でやりたいと願っておったようでございます。その点だけは高橋さんに申し上げられると思います。  詳細は政府委員から答弁させます。
  50. 高橋高望

    高橋委員 政府委員のお答えの前に、私からもう少しお伺いしたいと思うのです。  それは、立て直しを図っている期間というのが長かった。今日の社会的な常識から言ったら、この立て直しと同時に、やはり最悪の場合には当然備えていると私は思うのです。だから、ある時期に決断したその瞬間においては立て直しの案と同時に、いろいろな手当を持っておられるはずだと私は思うのです。それがなければ、今日の社会常識の中で、勝手に行き詰まったから銀行が投げ出すということになってしまって、どうしようもない始末になる。同時に一後の始末が並行して行われてこそ初めて今日流の誠意のある姿勢であり、銀行の姿勢であろうと私は思うのです。この辺について、あわせてそれでは銀行局長、御答弁願います。
  51. 徳田博美

    ○徳田政府委員 お答えいたします。  永大産業の問題につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、関係先金融機関に対しましては、その社会的公共性の見地から、私企業の許す範囲のぎりぎりの線までいろいろ対策を求めているわけでございます。  先生御指摘のプレハブの住宅ユーザーに対する対策でございますが、これは建設省その他所管各省とも関連のあることでございますけれども、大蔵省として申し上げますと、大蔵省としても主力銀行関係金融機関を指導いたしまして、次のような措置がとられるようになっておると聞いております。まず第一が、先生御指摘の、すでに販売した住宅のアフターサービスでございます。これが約四万戸ございます。それからもう一つの問題は、建設中及び未着工の住宅でございまして、これが約千百戸ございます。この両者につきましては、現在永大産業が責任を持ってアフターサービス並びに建設の完成を行うということになっておりまして、主力銀行がこれを資金的にバックアップする手だてがついております。こういう意味で、下請業者その他に対しましては、早くから支払いの面で現金払いにかえる等万全の措置をとっておりまして、この点は十分な措置がとられているものと考えております。  それから、これに関連しまして、永大産業の各営業所には相談コーナーを設けます。それから東京、大阪にはユーザー対策センターを設けます。これにつきましては、主力銀行からもあらかじめスタッフを教育してございまして、これを張りつけることになっております。  それからもう一つ、先生御指摘の、キャンセルを希望した人についての前受け金の措置でございますが、これにつきましても返済を確実にやらせる措置をいまいろいろとっておりまして、これは裁判所とも関連するわけでございますけれども、これに必要な資金については、これも主力銀行ですでに金を用意してございます。  それから、あと住宅を買った方についての住宅ローンの問題があるわけでございますが、住宅ローンについても、本日関係各金融機関を集めまして指示をいたしますが、関係各金融機関でカバーし切れない面は、これも同じく主力銀行が引き受けてローンを行う、このような措置がとられることになっております。
  52. 高橋高望

    高橋委員 このことでもう一つ詳しくお伺いしたいのです。概算として、この手当てに総額で幾らぐらい見ておられるのですか。
  53. 徳田博美

    ○徳田政府委員 これは個別取引の問題でございますので、正確な金額を申し上げるのは控えさせていただきたいと思いますが、数十億円のベースでこれを用意しております。
  54. 高橋高望

    高橋委員 それでは、この関連の下請企業三百社、これは恐らくかなり大手の三百社だと思いますし、これに付属して中小零細がくっついていると思います。この三百社の倒産防止について私は伺ってみたいと思うのです。  まず第一に、永大に対するこういう企業の債権は取引銀行が責任を持つということを言っておられますけれども、具体的にはどういうことを意味するのですか。
  55. 徳田博美

    ○徳田政府委員 お答えいたします。  大臣が御答弁申し上げましたように、関連中小企業の倒産を防止することは非常に大事なことでございますので、これにつきましても、当局としてもいろいろと施策を練っていたわけでございます。  その概略を申し上げますと、先生御指摘のように、影響を受ける関係企業に対しては、まず当該企業の主力金融機関が中心となって所要の融資を行う必要があるわけでございます。このために本日、大蔵省は、各金融団体を集めまして、関係企業、特に中小企業に対して各金融機関が、これから月末あるいは来月に出ます手形の関連では必要な融資を迅速に行って、破綻を防ぐよう要請することになっております。それから日本銀行におきましても、本店、大阪支店、関係支店で金融連絡会を開きまして、各金融機関に対して個別に支援を要請して指導することになっております。それから、全国に取引先が散らばっておりますので、各地元では通産局、財務局、日銀支店によります中小企業金融対策臨時連絡会を開催いたしまして、この対策を協議いたします。このほか、政府関係機関でございますが、中小公庫、国民公庫、商工中金に対しましては、中小企業倒産対策緊急融資制度の積極的活用について、本日これを呼び集めて指示することになっております。それから、信用保証協会の関係につきましては、倒産関連特別保証制度の積極的活用を早急に行うように指示しております。それからさらに、これはかなり異例の措置でございますが、いま申し上げたような措置でカバーできない、つまり民間の主力金融機関がないものとか、あるいは特別問題のあるような関連中小企業につきましては、永大産業主力銀行が必要な資金を準備いたしまして、これに対しまして万全の措置をとる、このようなことになっております。
  56. 高橋高望

    高橋委員 万全の措置、万全の措置と一口で言われるのですけれども、この問題についてはまずひとつお考えになっておいていただきたいことは、金額の問題もさることながら、それを展開するタイミング、これを失わないように御配慮を願って展開していただかないと困ると思います。おわかりのこととは思いますけれども、この辺については、中小になればなるほど融資面では、金融面ではタイミングが必要なことであると考えておいていただきたいと思います。  さらに、私いささか不満に思っておったのですけれども、ある新聞によると、国際的問題への発展が少ない、たとえば安宅のような場合にはまさに国際的な影響力が大きいから配慮した、きょうお呼びしなかったですけれども、こういうことを日銀の当局でお考えになっておられるようですが、私は、国際的な問題もさることながら、一般市民感情から言えば、安宅さんのケースよりも、この永大のケースの方がはるかに重大問題として身に迫ってくると思います。そういう点を考えると、この辺については日銀を初めとして何か民間企業の動きの中で国内で、こういうふうな小さな割り切り方ではなしに、むしろ市民の立場に立っての配慮というものをこの際お願い申し上げたいと思います。  次いで、外債処理のことについてお伺いしたいのです。  昭和四十八年だったか、一番永大さんが威勢よく公募をしていたころに外債を手当てしていらっしゃると思うのです。欧州で転換社債で一千万ドルの手当てをしておられると思いますが、これの後始末は政府としてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  57. 山内宏

    ○山内政府委員 大和銀行の保証つきで発行いたしておりますので、そういう関係で処理をされると考えております。
  58. 高橋高望

    高橋委員 そうすると、従来のように会社更生法申請後でも年に二回の利子払いはやったり、あるいは外国投資家から元利償還請求がなされたら大和銀行がこれをそのまま引き受ける、このように解釈してよろしゅうございますか。
  59. 徳田博美

    ○徳田政府委員 外債につきましては、大和銀行の方で全部責任を持って償還するというふうになっております。
  60. 高橋高望

    高橋委員 率直に言って、このことで起こる外国機関投資家筋などへのいろいろな影響を考えると、かなり前向きに説明をしなければいけないのじゃないかと私は思います。この辺についても大臣のしかるべき御配慮をお願い申し上げたい。特に、現在のわれわれの国を取り巻いている環境からいって、こういうことで不安感、不信感を持たすということは大変なことになりますので、ひとつ十分な御配慮をお願い申し上げたいと思います。  最後になりますけれども、ここで考えておきたいことは、構造不況業種というものに対してわれわれは改めて強い関心を持たなければいけないということだと思うのです。たまたまこの問題が発生しましたけれども、むしろ氷山の一角とも言うべきであって、こういう問題はずいぶんと表面化しない、あるいは表面化すれすれの状態で置かれていると私は思います。この辺について通産大臣お尋ねしたいのですけれども、構造不況業種に対しての再検討関係当局に命じていただきたいと思います。いかがでございますか。
  61. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 構造不況業種に対する対策は、かねていろんな形で進めておりましたが、さらにこの際、新しい法律によってこれを強化していくということも必要であると判断をいたしまして、いまその法律の最後の詰めをしているところでございます。今週じゅうには閣議決定に持っていきたいと思っております。
  62. 高橋高望

    高橋委員 それでは、永大問題についてはこの程度にさしていただきまして、また、このことは、分科会等々での席に譲りたいと思います。  そこで、本日お手元に御案内として差し上げてございました事項に沿ってお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず最初に、経済企画庁長官御用がおありのようなので、ひとつ初めにお願いいたしたいと存じます。  かつて民間設備投資が経済成長の牽引力であった状況というのはすっかりさま変わりしたということは、皆ひとしく認めているところだと思います。特に四十九年、五十年両年が伸び率においてマイナスだったし、また五十一年度においても微増だし、五十二年度においても政府見通しには約半分、六%ぐらいだろうと考えられている。今年度九・九%の伸び率を見たその根拠について、実はお伺いしたいのでございます。  まずお伺いしたいことは、この九・九%というものが実勢値か期待値かということなんです。通産省がおまとめになった設備投資動向あるいは意向というものを読ませていただきますと、たとえば石油精製設備は、対前年比五二・六%の増という内容になっております。お読みいただけますか。私はこの内容について、まず政府委員の方から御答弁をいただきたいと思いますが、この五二・六%増の、たとえば精製そのもの、あるいは環境公害問題あるいは備蓄問題、この三つについて五二・六%になった、あるいははじき出した根拠をお示しいただきたい。
  63. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のように、五十三年度の石油関係設備投資額は、本年に比べまして五二・六%増の四千五百四十二億円、こういう数字になるわけでございますが、この内訳について見ますと、本年度に比べての増加の全体額が千五百六十七億円でございますが、このうち貯油設備で約七百億、公害防止、保安、防災及び付帯設備で約四百七十億円、合計いたしまして、この部分で千二百億円程度の増加になっております。それから、精製設備本体につきましては、本年に比べまして約二百七十億円の増加にとどまっておるというのが調査結果でございます。
  64. 高橋高望

    高橋委員 まず一番小さい数字から今度は逆にやらせていただきますけれども、精製設備についてそれだけの計上をしていらっしゃいます。ところが、石油会社がこの精製設備に対してどれほどの設備意欲を持っているかということは、たとえば日本石油精製が山口県の下松に建てようとしていた工場、現有勢力が四万バレル・パー・デーですが、これを二十万バレルに直そうという、この増強工事は一年ずらせているはずでございましょう。そして出光の兵庫の工場も未着工だ。やるにしてもおくらせる。さらに、これはただ一つ認可になった会社の中で、工場を増設する、新設する東亜燃料の和歌山工場だけは、七万バレルだけつくるようにしよう。そうすると、全体で五十六万三千バレルをつくるという目標に対して始まった石油精製設備に対して、これは全く低調な水準であって、いまおっしゃるような金額の投資が行われるとは思えない。特に年度内にはこのようなことが起こるとは思われないのですけれども、この辺についてはいかがでございますか。
  65. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 石油精製につきましては、需要の伸び悩み等からいたしまして精製本体設備の投資が五十年、五十一年においておくれておったことは事実でございます。ただ、いま御指摘のように、昨年凍結いたしておりました能力のうち五十六万三千バレル、ただいま御指摘の東燃を初めといたしまして五社でございますが、こういった凍結を解除いたしまして、五十五年あるいは五十六年までに完成するようにということになっておりますので、そういった関係の投資が来年度は本年度より二百数十億円増加してまいる、こういう調査結果でございます。
  66. 高橋高望

    高橋委員 私の質問にお答えにならないのですがね。そういうふうに計算をしていても、現実には各社がもう需要の伸びを期待できないから計画をずらそうとしていらっしゃるのに、なおかつ、こういった計算をするというところにいささかつくられた数字があるのではないか、こういうことを私はお尋ねしているのです。
  67. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほど来御指摘になっておる数字は、石油企業が提出いたしました計画を集計いたしたものでございまして、もちろん、その後の情勢の変化というものも今後チェックしてまいらなくちゃいけませんが、石油精製関係の四十数億の投資と申しますのは、各社から提出された工事費の合計であるということであるわけでございます。
  68. 高橋高望

    高橋委員 それではお伺いしますけれども、何月何日現在の資料でおやりになっておられますか。すでにこの一月、二月、ごくごく最近に石油会社が軒並み、この工事の延長を発表しているではありませんか。それが公式、非公式は別にしても、この際設備は五十三年度中は見送ると言っているじゃないですか。それを依然としてあなたの方では、従来の古い数字だけにとらわれて、そしてある柱にしているということについては、私は不十分さを感じるのですが、いかがでございますか。
  69. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 昨年の九月時点で取りまとめた数字でございます。ただ、先生も御承知のように、石油精製設備のプロジェクトが一つでも二つでもスタートいたしますとかなりの投資額を呼んでくるということでございますので、私といたしましては、調査時点後の情勢の変化というものはあろうかと思いますが、精製設備で四百億程度工事というものはさほどむずかしいものではない、かように考えております。
  70. 高橋高望

    高橋委員 それではさらに伺いますけれども備蓄に対する姿勢です。備蓄にこれだけの多額の期待をしておられるが、どれほどの具体的な展開が行われていますか。当然備蓄問題には立地問題も絡む。ここらについて、すでにもう今年度が終わり、四月が真近に迫っているのに、いまどれほどの備蓄立地問題で地元との折衝が始まっておられますか、この辺についてお答えを願いたい。
  71. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 五十三年度におきます備蓄と申しますか、貯油施設関係の投資は、先ほど申し上げましたように、五十二年度に比べまして七百億円ほどふえておるわけでございます。これは御承知のように、五十四年度末までに九十日備蓄を進める、五十三年度は八十日から八十五日まで五日分積み増しをする設備を準備しなくちゃいけない、こういうことでございまして、これは石油備蓄法に基づいて関係企業に義務づけられておるということでございます。かたがた、八十日までは既存の設備をある程度活用して賄ってきたわけでございますが、八十日以降においては、増設をしないと必要とする備蓄量を収納できないというような状況にあるということが第一点でございます。  それから第二点といたしましては、これも御承知かと思いますが、昨年共同備蓄会社といたしまして新潟と西海の二つのプロジェクトがスタートいたしております。五十三年度は工事が本格化してくるはずでございます。そのほか、共同備蓄につきまして二、三のプロジェクトにつきまして現在立地対策を進めておる、こういう段階でございます。  そのほか、第三の問題といたしましては、個々の石油企業が備蓄をする。たとえば西部石油といったようなものが自力で個別方式によりまして備蓄義務を達成するためのタンク建設を準備いたしておる、さようなものを集計いたしたものでございます。
  72. 高橋高望

    高橋委員 集計をして、数字をいじっておられることは結構なんですけれども、景気の動向が著しく動揺していると、どうしてもそこで、最も新しい時点で、新しい資料で取り上げなければ、私は今後のいろいろの運営はできないと思うのです。あなたが幾らそうおっしゃっておられても、現実に石油業界では地元対策にそれほど取り組まない。これは電力とはちょっと状況が違う。電力であればすでに国が、仄聞するところによれば、政務次官の方もあるいは局長さんも張りついてでも立地問題の解決に努力しておられる。しかし、石油問題についてはそういった動きは全く見られない。それでいて、あなたがおっしゃるように、古い資料の中でこれだけのパーセンテージの伸び率が期待できますと言ったって、現実に動いている経済の実態からいったら、それは数字のいたずらだと思う。必要なことは、いまたとえばあなた方が石油備蓄に対してどれほどの取り組み姿勢をとり、現実にどう展開しているか、これを伺わないことには、あなた方の出されている数字に対して信憑性をおけない、この辺についていかがでございますか。
  73. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず申し上げたいのは、石油の備蓄は生産設備ではございませんで、石油備蓄法に基づいて義務量を達成しなくちゃいけないといったような、法律上の義務に基づく投資であるということが一つでございます。  それから二つ目には、では何をなしておるかということでございますが、石油につきましても石油備蓄立地推進のための交付金制度を五十三年度から発足いたしたいということで、予算措置あるいは法律措置をお願いいたしておるわけでございまして、これが百五十三億円程度準備いたしております。これも立地促進を図る一つの手段と考えておるわけでございます。  それからなお、投資等につきましては毎年全省ベースで年間二度の調査をやっておりまして、先ほど来の御指摘の数字は昨年の秋の数字でございますが、現在この春時点の調査を実施中であるということでございます。
  74. 高橋高望

    高橋委員 石油業界は、一口に言って政府の援助など当てにしておりませんし、逆に言えば彼らの企業。ペースで何かやるんですね。だから、いい意味での石油業界との折衝、これは政府並びに与党の方にもお願いしたいのですけれども、この折衝を重ねないと、うたわれた伸び率は私は期待できないと思うのです。とかく、このことに限らず、今回の場合九・九の設備投資伸び率、これについて、どうも私は実際の動きとは別に、こうあってほしいという期待、さらに言えば、あらねばならないとお考えになっているのかもしれませんが、そういうふうなプラスアルファが加味されているように思われてならないのですが、長官、いかがでございますか。
  75. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 設備投資を集計いたします際に、たとえば電力業界のように比較的企業の数も少なく、また企業の内部体制もしっかりしておりますところは、かなり具体的に数字をつかむことができます。それがせんだって以来申し上げております三兆一千六百億でございますが、それにつきましてすら当委員会でいろいろ御疑問、お尋ねがあったところでございます。  ただいま石油精製につきましてお尋ねがございました。これは全体の設備投資から申しますと、先ほどエネルギー庁長官の言われました数字を考えますと、ほぼ二%ちょっと割るところでございますが、こういう業界でも確かに、たとえば立地についての住民側の問題でありますとか、あるいは景気の動向によるところの下方修正でございますとか、これは企業家として思ったとおりのことを必ずやるということでない要素がいろいろ出てまいることは事実であろうと思います。私どもは、昨年の十一月の時点で各業界のそういうことをマクロにつかみまして九・九%という数字を出しておるわけでございますが、なお、これは御承知でいらっしゃると思いますが、九・九%のうち、いわゆる製造業につきましては三%程度しか見ておりませんで、非製造が一四%近く、個人金融が一一%近くということでございます。いわゆる昔と違いまして、製造業のウエートがかなり落ちておりまして、五十一年度で見ますと三〇ぐらい、非製造が四〇ぐらいございます。個人金融が二五、六というようなウエートになっておりまして、製造業の設備投資におけるウエートはかつての時代よりもかなり小さくなってきておりますが、その中でもなお、ただいま御指摘のような事情が、経済の動き方あるいは住民側の反応等で、ないとは申せない。ただ、私ども全体としてはマクロでつかんでおりますし、製造業のウエートもただいま申し上げました程度のことでございますので、まず大きく見当を狂わすというようなことは、これは政府の考えております経済運営の方向を非常に間違えない限りは、これに近いものを期待できるのではないかと、私どもとしては実は考えておるわけでございます。
  76. 高橋高望

    高橋委員 それでは、長官、お伺いいたしますが、年間九・九%の伸び、こうおっしゃる。これはどうですか、四半期ごとにこの伸び率をお出し願えますか。
  77. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実はこの点、経済見通しの方は私ども四半期ごとの作業をいたしておりませんで、過去に過ぎました実績につきましては四半期ごとに申し上げることができるわけでございますが、これからの問題については、四半期ごとの見通しを申し上げることが実はいろいろな事情で困難でございまして、御了解をいただきたいと思います。
  78. 高橋高望

    高橋委員 いろいろ御都合のあることも、そうおっしゃられてしまうと、後、突っ込んでお願いできないのですけれども、私がどうしてこの問題にこれだけ深い関心を持つかと申しますと、設備投資の伸びというこの数字は、長官たち御苦心してつくられた、あるいは公約されたとでもいいましょうか、例の七%成長の大きな柱の一つになるということなんですね。だから、これがぐらぐらしてきたら、後の諸指標が全部動揺してくる。極端に言えば、七%自体もぐらついてくる、変化してくる、こういう前提に立てばこそ、より新しい資料の中で御展開を願いたい。私の言う四半期ごとにやっていこうじゃないかというのは、実はそういう提案なのです。私たちの立場にすれば、この問題はどう考えても、細かく分けて一つ一つ詰めていかないとむずかしいですよ。あるいは手当てをその都度その都度していかないとむずかしいですよ。第一・四半期の四−六月の最中にでも、不安感が起こったら再度手当てをする。それが補正というような大きな形をとるかあるいは見込みの修正というような形をとるかは別にしまして、細かく分けて、少なくとも一年を四分の一ぐらいずつに分けて、その達成率をそれこそ神経を使って見ていかないと、なかなかこれは到達できないパーセンテージだろうと思うのです。  また、いま伺っていてわかりましたが、しょせんは古い指標の中から、古い数字の中から出てきているものですから、どうしてもぐらぐらしてくることは私は避けられないと思う。そこで比較的早く修正を含めた見直しが必要になると思いますけれども、こういうことに取り組まれる御意思を長官はお持ちでいらっしゃいますか。
  79. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 四半期ごとの見通しにつきまして、過ぎ去りました四半期につきましてはいわゆるQEと申します方法で推計が出てまいります。たとえば来年度につながります一−三月の実績につきましては二ヵ月余りいたしますとわかってまいります。したがいまして、これは五十三年度につながってまいりますので、それを見つつ、政府の努力によりましていろいろ困難を排除できる部分もあるわけでございますから、これは注意深く見守ってまいりたいと考えております。その上でまた国としてとるべき措置考えなければならないことは当然であろうと存じております。
  80. 高橋高望

    高橋委員 長官、お昼の時間のようで、どうぞお引き取りください。     〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕  それでは、長官にもお引き取りをいただくようになってしまったので、この問題はこの程度にさせていただきまして、ここで私、例の投資減税と言われる投資促進税制について大蔵大臣並びに関係の方にいろいろお伺いをいたしたいと思います。  私は決して通産省の肩を持つわけでもございませんし、何でもないのですが、投資促進税制を取り上げられたことについては賛成いたします。しかし、その内容規模については、再びここで従来の政府の体質を思い知らされて考えざるを得ないのです。それは小出しだということ、それから、すでにタイミングがずれているということ、この二つを私は考えたい。せめて五年前にこのことをもっと大々的にわれわれの国ではやるべきではなかったか。もっと言えば、十年ぐらい前からこのことは真剣にこの場所で討論され、国として方向づけておかなければいけなかったのではないか、こんなふうに考えます。  まず、その内容一つとして、最終的にいま考えられているものの中で、スクラップ・アンド・ビルドの問題について触れてみたいのです。  私は、主税局長にも、大蔵委員会の席でこのことについてはお伺いしました。しかし、今度スクラップ・アンド・ビルドについては全く関心が払われないようになってしまった。この辺について、通産省御当局の、このスクラップ・アンド・ビルドを取り上げなかった、それを私流に言わせればがまんした、この背景をお伺いしたいと思います。
  81. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる投資減税の構想につきましては、私ども少し前から、今後の新しい経済の運営の中におきまして長期的な観点に立って検討すべき課題ではないかと考えておりました。本年度もそういうことで、財政当局に投資減税構想の創設についてお話を申し出たわけでございますが、ただ率直に申し上げまして、今回の投資促進税制は、いわゆる厳しい財政、財源事情と租特の整理という一般的な方針、それとこれからの経済の運営、その中での投資の促進の必要性、いろいろな観点を踏まえられまして税調において出された結論でございまして、私ども、そういう基本的な考え方の中で投資減税制度ができ上がった、こういうふうに了解をいたしております。
  82. 高橋高望

    高橋委員 私、大蔵省にお伺いをしたいと思います。  大蔵省の方は、お仕事の性質からいって、お金に渋くなるのはあたりまえのことだと私は思いますけれども、現在の私たちの国の置かれている環境からいきまして、日進月歩する技術というものを絶えず保有してなければ、われわれの国は国際競争力が欠けてきてしまうと思う。現在の対日感情というものは、無秩序な輸出に対しては非難はありましたけれども、日本の国が国際競争力を持ち、それを高めるということについては何も外国が文句を言っているわけではない。むしろ、日本全体の将来を考えた場合には、国際競争力、特に付加価値を高めるという分野での諸設備に対しては、大蔵当局が今回のこの税制の中でスクラップ・アンド・ビルドを引っ込めさせたかと思いますけれども、そういう意欲では私は、国の将来を誤る、長期的なビジョンに立ったときに非常に危険なことであると考えるわけです。この辺について大蔵の御見解をいただきたいと思います。
  83. 村山達雄

    村山国務大臣 自由主義体制のもとにおきまして国の伸びる方向について、御指摘のように日進月歩の技術に頼る点、そしてまたその方向、これはきわめて大きいということは、高橋さんと私、全く同感でございます。しかし一方、本来やはり市場経済であり自由主義体制でございますから、企業みずからの努力によってやることが私は本筋だと思うのでございます。ただ、政策方向としてある程度誘導してまいらなければならぬことも当然でございます。  しかし、同時に、税制の問題でございますが、何よりも大事なものは、負担の公平という問題は一刻も忘れてはならぬのでございまして、まさにそのバランスの上に立っていると思うのでございます。高橋委員のような御主張の方もございますし、また厳しい、企業優遇税制の是正を求める方方もたくさんあることは御承知のとおりでございます。  政府は、いままでそれに対処する方法といたしまして特別償却制度をもって大体こたえてきた。そのほかにもいろいろありますけれども、いまの高橋さんの質問関連する問題としては、特別償却制度でこたえてきたのでございます。しかし、この一年間が非常に大事であるということを勘案いたしまして、そしていまの特別償却の問題とそれから税額控除制度による投資減税というものをどの程度かみ合わせることが国民的な納得を得るか、負担の公平を維持しながら、しかし相当限られた財源でおっしゃるような方向をできるだけ強く出し、その政策効果を上げるためにはどんな手段があるか、実はこれを税制調査会におきましても、また関係の通産省ともいろいろ相談いたしましてでき上がりましたのが、いま御提案申し上げているような制度であるということを申し上げておきます。
  84. 高橋高望

    高橋委員 全く同じ質問で実は通産大臣にもお考えを伺いたいのです。通産大臣、私は、国策として、付加価値を高めるその分野をしっかりと育成しなければならない。残しておかなければならない。通産大臣はただいまの大蔵大臣の御見解と、同じ内閣ですから無理かもしれませんけれども、通産大臣、私の仕事の分野における大先輩としても、この件についてはいかがでございますか。
  85. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 今回、投資減税を、日本が遅まきながらではありますけれども、一年という短期間を限りまして発足させようといたしておりますのは、一つは、ここ数年間設備投資が低迷を続けておりまして、こういう状態が続けば、科学技術が日進月歩のこの時代におきまして日本の産業が立ちおくれる、国際競争力を失うおそれがありますから、若干でもその促進を図りたいということがその一つであります。それからもう一つは、特にここ一、二年は非常に設備投資が沈滞をいたしておりますので、これを刺激する、こういう積極的な景気拡大策の一環、こういう意味でごく短期間を限ってやってみよう、この二つの目的が私はあったと思います。  いまお尋ねの件は、それにすれば規模が小さ過ぎるではないか、そんなことではとてもこの二つの目的は達成することはできないではないか、なぜもう少し大規模なことをやらないか、こういうことであろうかと思いますが、いま政府委員大蔵大臣答弁をいたしましたこういう背景がございまして、規模が大変小さくなった、こういうことでございます。
  86. 高橋高望

    高橋委員 いまお話が出ましたように、この額がまことにお粗末というか少ない額なんですね。そこで私ちょっと伺いたいのは、今年度、五十二年度で対象品目の一つである省エネルギー、資源有効利用設備、今度の投資減税の対象品目ですけれども、これの設備の見込みは、五十二年度予算の上でどれぐらい見ておられたですか。
  87. 濃野滋

    ○濃野政府委員 今回の減税の対象となります省エネルギー、資源有効利用関係の設備は、五十二年度でいわゆる特別償却の対象になっておるのは一億円でございます。
  88. 高橋高望

    高橋委員 五十二年度に一億円きり対象の設備になってないものを、今年度六百八十七億見ていらっしゃる。私のこの数字は間違いございませんでしょうか。
  89. 濃野滋

    ○濃野政府委員 ただいま私、省エネルギー及び資源有効利用設備といたしまして、手元の資料は両方入っておりますが、今回五十三年度の対象設備の投資額見込みとしましては、七百七十九億、こういうふうに考えております。
  90. 高橋高望

    高橋委員 七百七十九億も見ておられて、大体一〇%、実際には一〇%よりちょっと率としては小さくなると思いますけれども、それを減税の額として計上していらっしゃると思うのです。それを含めても、七百七十億が現実に行われるとしてもわずかに三百八十億円きり減税のあれはない。おはかりになりますか。そうなれば、まことにささやかであって、大騒ぎするほどの減税額じゃないということを私は言いたいのです。減税額自体は確かに千百六十億ありましょうけれども、例の割り増し償却を中止するから、選択になるから、それの増税額が七百八十億ぐらいある。だから三百八十億だ。しかも、その中では去年一億きり見てないものを一遍に七百億も見た上で、その減税額を入れても三百八十億ぐらいにしかなっていない。私はむしろもっと減るんだろうと思うのです。減税は。こんなことで企業が設備投資あるいはこういった積極的な企業意欲というものを持てるかどうか、この辺についてお答えをいただきたいと思うのです。
  91. 濃野滋

    ○濃野政府委員 お答え申し上げます。  ただいま省エネルギーあるいは資源有効利用関連の設備を中心にこの程度の減税額で投資の促進効果が期待できるかという御質問でございます。私ども、今度の対象設備全体は約一兆二千億から一兆三千億ぐらいになると思いますが、投資減税の減税見込み額は、ただいま先生御指摘のように千百ないし千二百億くらいとわれわれ考えておりますが、今回選びました対象設備は、それぞれ特定の、これからの政策の中でもぜひ進めなければならぬような目的を持った設備あるいは中小企業者の取得する設備というようなことで、景気の動きの中で非常に小回りのきく、投資をしようという意思決定が非常に早くできるものを対象に選んでおりまして、先ほど、最初に申し上げました現在置かれておる環境の中でこの程度ということで決まったわけでございますが、私はこれによりましても、いまの投資の沈滞の中で全体の投資規模をそういう意味でかなり前倒しをさせる、あるいは現在の空気の中で投資の繰り延べをしようというのを抑えるというような、いろいろな効果は期待できるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  92. 高橋高望

    高橋委員 それは通産当局、そういうふうにお答えになりますけれども、二月号の通産ジャーナルの中で一番末尾に南学さんが書いていらっしゃるものへまことにかわいそうなことが書いてあるのは御承知ですか。ここにはあなたみたいなことは書いてないのですよ。「今回、政府案に盛り込まれた投資促進税制は、未だ、景気対策として不可欠の制度として確立したものではないにしても、景気対策として産業税制を活用するという税制の今後の在り方を示すものであり、新たな先例を拓いた意義はあろうかと考えている。」こう結んであるんですよ。だから、額よりも、こういう窓口をあけたというところに意味があるんだ、こうおっしゃっている。くやしさもずいぶん入っていると思う。私はその辺をもっと前向きにしっかりと、せっかくお考えになったものを展開してあげなければお互いに困るじゃないか、国が困るじゃないか、それを言いたいのですよ。だから、意欲の前倒しになるなんて、そんな形容詞でおっしゃったって、実際はそうじゃない、もっとやりたい、筋のある、それを皆様方はしょうがないわな、立場上そうおっしゃるけれども、われわれは、いい意味で御援助もしなければいけないときもあるわけですよ。特に私たちの党のような場合には、前向きに取り組むことは取り組むのですから、それについてはもう少し、残念だったぐらいのことをたまにはおっしゃってもいいのじゃないですか、これは非公式の席になろうかと思いますけれども。でも、そのような気持ちの中での御展開をいただかないと運用自体にエネルギーがつかないですね。この辺はひとつお考えになっていただきたいと思います。  それから、現実に不況時にそういうことをやったって企業が機械を買わないじゃないかというようなことをおっしゃる方もある。実際の効果が薄いじゃないかとおっしゃる方もある。私自身の経験からいっても、日本の国で金属プレス加工業というのは中小零細企業の典型的な産業です。御承知のとおり。私がその出身ですから。この中小企業の最たる金属プレス加工業でも、安全対策を盛り込んだ機械が買われるときは国が融資について便宜を図るということをお考えいただいただけで、いま購入意欲が増しているのですよ。このプレス屋さんをお得意にしている鍛造機械は、他の工作機械に比べて圧倒的に忙しいのですよ。金融上でその利子を幾らか下げた程度ですらこういうふうに需要が起こるのですよ。これは諸外国だって、はっきりそれをやっているじゃないですか。西ドイツは言うに及ばず、アメリカだってそうです。スウェーデンも、みんな設備投資減税に対しては前向きに取り組んでいる。後に触れると思いますけれども、期限にしても一年なんてけちなことは言ってない。国の柱にしているのです。確かにアメリカだけは、一九六二年に創設しましたが、六六年に適用を停止した。六七年に停止を解除し、さらに六九年にはこれをまた廃止した。しかし、七一年には復活して、七五年には拡充して、しかも控除率は引き上げているのですよ。何でそうびくびくして、この問題に憶病な展開の仕方をなさるのか。また短期的に見ても、先ほど来申し上げているように長期的に見ても、国の方針として、この設備促進に対してより前向きであって当然であると私は思うのです。大蔵大臣、いかがでございますか。
  93. 村山達雄

    村山国務大臣 先ほど申し上げましたように、わが国は従来、そういう意味の税制面からの支援については特別償却制度でずっとやってきたところでございます。私は、それはそれなりに十分、ある種の効果を持ってきたと思うのでございます。おっしゃるように、金融の問題、これはかなりいけるのではないかと私は思いますが、税制の問題ということになりますと、やはり国民の税金の処理の問題でございますので、どうしても負担の公平という見地がより重視されねばならぬと思うのでございます。  今回とりました税額控除制度、これは評価はいろいろありますけれども、私は、従来の特別償却制度から見ればかなりの効果が期待できるのじゃなかろうか。先ほど通産省の局長が答えておられましたように、中小企業の問題、さらには繰り延べの歯どめの問題、また繰り上げ投資の問題、設備の種類が好不況によらない省エネルギーとかあるいは公害防止であるとか、中小企業関係でございます。それだけに、私はそれなりの効果は上がるのではないかと思っているわけでございます。なお、三年間の繰り越し控除もあるわけでございます。これは絶対額の免税額でございますので、その点は従来よりはかなり大きなものであろう。高橋先生のように、もっと大々的にやったらどうかというのは、わからないことはございません。しかし、ほかの税制のあり方との関連から申しまして、そしてまた、この時期の乏しい財源から言いまして、少ない財源で最大限効果を上げるにはどうかという現実問題として考えますと、通産当局の考えも入れまして精いっぱいやったつもりであることを御了承願いたいと思うのでございます。
  94. 高橋高望

    高橋委員 最後に、私どもの党の考え方だけをちょっと触れさせていただきますと、私たちの党としては、とりあえずの姿勢としては特別償却等の選択というようなことを言わないでダブらしてもらいたい、これを一つ党としては考えております。それからもう一つは控除率を引き上げる。少なくとも向こう一年間は、おっしゃるように期限を切った方が当面の景気刺激につながるというようなことをおっしゃいますから、そうであれば、向こう一年間の着工分については控除率を引き上げて、二年以降については恒久化してほしい、これが私たちの党の考え方であることを、この問題の最後にお伝えをいたしておきたいと思います。  大変時間が迫ってまいりましたので、私、きょうの主題である中堅企業問題を皆様と一緒に考えてみたいと思うのです。  大臣にまずお尋ねしたいのですが、通産大臣、中堅企業という言葉を聞かれたことがおありになりますか。
  95. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 心得ております。
  96. 高橋高望

    高橋委員 お知りでいらっしゃいましたら、どういう分類の中に入っているというふうに御存じでいらっしゃいますか。
  97. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いま資料を配付されましたが、大体中堅企業というのは、中小企業が御案内のように資本金一億まででありますが、一億から十億までの企業を中堅企業と私ども考えておるのです。その数は大体一万前後だと思います。そして従業員は、平均いたしまして大体三百人見当になるのではないかと思っております。
  98. 高橋高望

    高橋委員 そうすると、大臣の御答弁の中で中堅企業の中には上場会社も入るというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  99. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 若干は入っておると思います。
  100. 高橋高望

    高橋委員 いろいろ政府並びに関係の方々からの資料等々伺ったりあるいは読ましていただくと、中堅企業という言葉は、現実に私たちの国の制度なり法律の中で出てきている言葉じゃない。ところが、すでに大臣はそれに対して知っていらっしゃる。あるいは、ある程度内容についての明確なものも持っていらっしゃる。そうなると、中堅企業というものはもうすでに大臣は認めていらっしゃることになりますか。
  101. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 制度として認めておるという段階ではありませんで、大体中小企業と大企業との中間にある、いま申し上げましたようなグループ、このグループに対しましてはやはり幾つかの問題がありますので、地方の通産局等を通じましてできるだけ情報を収集しておるという状態でありますが、そういう意味で関心を持っておるということでございまして、中堅企業に対する制度というものが現在あるわけではございません。
  102. 高橋高望

    高橋委員 おっしゃるとおりだと思うのです。私たちの国の企業の分類の仕方というのは、たった一本の線だけなんですね。中小企業というものを決めるというその線だけで、あとはないのです。ところが漠然として、もう大多数の方々、このことに関心をお持ちの方は大多数が、何か中堅企業というものがあるなということは薄々意識していらっしゃる。あるいは政府としても、立案段階までいかなくても、いろいろなことは考えなければいけないところへ来ている、こういう状況だろうと私は思うのですね。  ここでちょっと大臣に伺いたいのですけれども、中堅企業がふえてきた原因、あるいは中堅企業が現実にこの社会の中で大きな影響力を持って仕事をしている背景に何があったかということを、大臣、おわかりでいらっしゃいますか。
  103. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 一つは、日本には中小企業が非常に多いわけでありますが、その企業数は大体五百二十万ぐらいあると考えております。その中小企業が高度成長期におきましてだんだんと大きくなりまして、ついこの間までは一億だった資本金が二億になる、あるいは三億になる、こういうふうにだんだんと成長していったということが一つだと思います。  それからもう一つ、一万前後の企業数のものが依然として活躍しておるということは、私は、中小企業の経営面でのすぐれたものを中堅企業がそのまま持続しまして、小回りのきく、創意工夫を生かした、中小企業としての特徴を生かした経営を中堅企業になってもなお持ち続けておる、こういうことが企業活力が失われないでおる一つの理由ではないだろうか、このように理解をしております。
  104. 高橋高望

    高橋委員 大臣、私は、経済成長の急激な変化に伴って、要するに急激に成長したので、従来の中小企業が体質をそのままにたまたま資本金がふえ、従業員がふえていった、そして中堅企業になっているという中堅企業が数多くあると思うのです。本来、たとえば上場会社のようなものであればそれなりの体質もあり、組織も持ち、あるいは企業の社会的な影響力、責任もあると思いますけれども、現在の私たちの国の中堅企業というのは、体質としては中小企業そのままに、たまたま経済成長が急激であったがために押し上げられて中小企業の線から上へ行ってしまっている、というよりは、もう中小企業で守られない状態になってしまっていて、中身は依然として中小企業の体質を持っている、私はこういうふうに判断しているわけです。  そこで、大規模の企業であり、また上場会社であれば、金融でも社会的な評価でも、それぞれに行われます。しかし、中堅企業であっても依然として中小企業としての体質を持っているときには、何ら中小企業の恩典に浴さない。もっと言えば、中小企業に対しては国としては、十分とは言えないまでも比較的手当ては尽くしていらっしゃる。大企業はそれなりの力をそれぞれ持っておられる。その間に立って、たとえようはちょっと適当でないかもしれませんけれども、まさに押し出されてしまって、学校を中学まで行ったところが、義務教育を終わったところが、先へ行く学校側にシャットアウトされた、あるいはそういう取り扱いを受けないで困っている、こういう学生と同じように、中小企業の範疇からはみ出してしまった中堅企業というもの、これを皆さんと一緒に考えなければならないと私は思うのです。  そこで、どういうふうに中堅企業がふぐあいなのかということの一つの例を、私は中小企業投資育成会社に見てみたいのです。  中小企業投資育成株式会社、これは私の記憶に間違いなければ昭和三十八年に発足していると思います。すでに十五年になる。この会社は、優良中小企業が上場会社となるための援助をする、特に増資の資金を出してやることによって、その中小企業が望ましくないところから資金援助を受けることを防いでやる、そして上場をさせてやる、こういう目的のために発足した会社であろうと思います。しかし、今日十五年たって、投資育成会社がこうした意味でいわばめんどうを見た会社でどれだけの数を上場しておられますか。まず、この辺、政府委員の方からお答えをいただきたいと思う。
  105. 岸田文武

    ○岸田政府委員 中小企業投資育成会社の投資先で上場にまで至ったケースが五件ございます。
  106. 高橋高望

    高橋委員 十五年たってわずかの五件、五社。それじゃ、このめんどうを見た全体の会社の数は何社になっておりますか。
  107. 岸田文武

    ○岸田政府委員 昨年までの実績で、たしか六百六十六社あったかと思います。
  108. 高橋高望

    高橋委員 六百六十六社めんどうを見ていて、上場という目的を達成したのは五社だ。一%にも達しない。十五年たっても一%に達しないようなこんな会社を、あるいはこういうことを政府が放置してよいものかどうかということ。伝え聞くところによると、この中小企業投資育成会社は特殊法人で見直しの対象になっていたかに伺いますけれども、そんなことはさておいて、六百六十六社を十五年かけてわずかに五社きり本来の目的にはめ込み得なかった、この投資育成会社をこのままの状態に置いてよいと思われますか。長官、いかがでございますか。
  109. 岸田文武

    ○岸田政府委員 投資という方式で中小企業を援助いたしますことは、金融による方式の場合と比べますと、担保も要りませんし、また返済というような問題もございません。したがいまして、投資育成会社が投資先の中小企業と一体になって大きくなっていこうという点が特色であろうかと思っておるところでございます。その意味におきまして逐次投資先の自己資金の増強に寄与してまいったところでございますが、お話の中で五件しか上場に至っていない点はどういう理由かと考えてみますと、一つには、上場基準が逐次引き上げられたということが問題であったのではないかという感じがいたします。しかし、それにもかかわらず、当初投資をスタートいたしましたときと比べますと、投資先それぞれ次第に強くなっているということは事実であろうと思っておるところでございます。
  110. 高橋高望

    高橋委員 十五年間こういうふうにめんどうを見てこられたという言い方は、逆に言えば、その会社の配当金はもらっておられると思うのです。そうしますと、中小の優良企業の配当ですから一〇%を割るということはないと思う。わずかに六百六十六分の五きり上場されないで十五年間そのままになってきたということは、非常にひねくれたというか勘ぐった言い方をしますと、高い金利を取って融資をしたと同じになってしまうのですよ。現在の市中金利から言っても五%、六%ということが言われている。そのときに一〇%も一二%もの配当をもらって投資育成会社がそのままずっとやってきている。本来の目的に達したのは一%にも満たない。こういう組織が現実に私たちの国にあるということは、大変おかしいと私は思う。  長官、重ねて伺いますけれども、この配当問題と金利問題についてはどんなふうにお考えになりますか。
  111. 岸田文武

    ○岸田政府委員 投資先から配当を受け取っておるということは事実でございますが、ただ、これを一概に金利と比較するということはいかがかという気がいたします。  なお、そのほかに、中小企業投資育成会社の投資先であるということがいわば中小企業の一つの資格づけのようになりまして、一般に金融が円滑についていくというような付帯的な効果も見逃すことができないのではないかと思っておるところでございます。投資育成会社が、お話ございましたように発足してから十五年立つわけでございますが、その間にそれなりの成果を上げてきたというふうに私は思っておるところでございます。ただ、いままでのように中小企業の中でも特に優秀な生徒といいますか、投資先だけを対象にするというやり方でいいのかどうか。もう少し幅の広い活用の仕方もあるのではないかということも、実は部内でいろいろ議論もいたしておるところでございまして、さらに投資育成会社をもっとうまく活用する方法はないかという点は、私どもとしても今後研究していきたいと思っておるところでございます。
  112. 高橋高望

    高橋委員 長官、実は問題はその次のことなんですよ。いま、たまたま投資育成会社のことでそのことに触れさせていただきましたが、中堅企業の取り扱いの中での一つの例としてこれからのこと、これが本能寺なんです。  この投資育成会社というのは、資本金一億円以下の会社を対象にして、この会社がだんだん増資をしていって三億円に達するまではめんどうを見るということになっておる。間違いございませんな。そうすると、途中の階段を経ないで、一億以下のときからめんどうを見ていただかないで、現在すでに現実に中堅企業になっている会社がその立場から仮に上場をしようとすると、これに対しては投資育成会社は手を出せないことになっております。こういうふうに私は判断いたしますけれども、私の解釈は違っておりますか。
  113. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御質問の点は御指摘のとおりでございます。
  114. 高橋高望

    高橋委員 そうしますと、前からおつき合いのなかった中堅企業には手を出さない。これは中小企業投資育成会社の看板から言ってもそうかもしれません。しかし、現実に中堅企業になっているところが上場決意をしたときには資金の手当てが十分できない。この中堅企業に対して国としてはめんどう見ない。そこで下手をすれば、というよりは間々例のあることなんですけれども、親企業が、その上場に当たっての資金を貸して、実質面で中堅企業を親企業の中へ引きずり込んでいってしまう、系列の中に取り入れていってしまう。もっと言い方をかえれば、中堅企業になったがためにそういう目に遭う。これについては長官、どんなふうに御判断なさいます。
  115. 岸田文武

    ○岸田政府委員 御指摘の問題は、中小企業対策の対象範囲をいかに考えるべきかという大変基本的な問題につながっておるような感じがいたします。  私どもは、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、製造業の場合であれば、資本金一億円または従業員三百人以下という要件を備えれば中小企業対策の対象にするという方式をとっておりますが、これに対してもう少し引き上げてはどうかというような御意見も、確かに私どもの耳にも入ってまいります。しかしながら、私どもが従来いろいろ勉強いたしてみまして、どこかで線を引くというときには、生産性格差あるいは所得格差等々の各種の指標に照らしまして、一応いま申し上げましたような線がおおむね妥当な線ではないかというふうに考えたわけでございます。  さらにもう一つの問題としましては、この中小企業対策の対象を仮に拡大するということになりますと、やはりより小さい層に対する対策が手薄になるのではないかという疑念も出されておりまして、これは従来からいろいろ議論のあるところでございますが、この中小企業の対象の変更ということについては慎重を要するのではないかと思っておるところでございます。
  116. 高橋高望

    高橋委員 大変残念なんですが、ちょっと時間がなくなったので、質問をはしょらなければなりませんけれども、中堅企業が非常にいろいろな面で谷間にあるということの一つの例に、下請代金支払遅延等防止法についてもこの例があるのです。これは通産大臣、細かなことで恐縮でございますけれども、どうぞ政府委員とのやりとりをしばらくひとつ聞いておいてやっていただきたい。  六十日以内に代金を支払うことということは、中小企業と親企業との間には取り決めができています。ところが、高度成長経済に伴って、その間に中堅企業が入ってくるケースが多くなっている。たとえば組み立て産業なんかそうです。中小企業が大企業との直接の窓口ではなくなってきて、間へ中堅企業があって、そこへ部品なり製品なりを納めると、その中堅企業がそれを組み込んだり活用したりして親企業に納める。だから、中堅企業というのは、自分が親企業であり、なおかつ下請企業の立場をとらざるを得なくなってくる。六十日以内に仮に中堅企業が親企業からお金をもらっても、その対象となる部品は六十日前に買わなければならない。そこで中堅企業が別途の資金枠を考えなければならない、あるいは拘束を受けなければならない。現実にいま公正取引委員会の方々が調査なさるときに、何でもかんでも六十日ということで中堅企業を見ている。だから、良心的な中堅企業であれば、親企業との間の六十日間の支払いの危険性を考えて五日間ぐらい後へずらして支払おうとする、親企業はいつでも調子いいかどうかわからぬし、手形もどう変わるかわからぬから。そうであると、ますますそういう負担が中堅企業のところへのしかかってくる。この現実は、長官、お認めになりますか。
  117. 岸田文武

    ○岸田政府委員 中小企業問題をやっておりまして、いま御指摘のような問題をときどき私ども耳にいたしております。特に機械工業のように組み立て段階が幾つにも重層的に重なっておるという場合には起こり得る問題であろうと思っておるところでございます。ただ、その問題を解決するために、仮に中小企業に適用いたしております下請代金支払遅延等防止法を拡大するということになりますと、いわば手形制度全般にかかわる問題になってまいりまして、国際的な条約等々の関係から、法律規制をするのに適当でない事態も起こり得る、こういう議論がございまして、やはり法律で規制する以上は対象を特定をしまして、しかも中小企業の中で特に弱い下請企業、こういうものを対象とした法律にとどめておるというのが経緯でございます。
  118. 高橋高望

    高橋委員 残念ながら時間が来てしまいましたので、最後にお願いになってしまいます。  私は、きょうこの席で通産大臣、特に大蔵大臣にお願いしたいのは、中堅企業というこのゾーンを国の法律制度の中ではっきりと位置づけてほしい。そして、それに対していろいろと配慮をしていただきたい。決してこれは中堅企業に対する特殊な企業優遇でも何でもない。そういうふうな経済の構造の変化に伴って起こってきた問題に対して国が手当てをしてほしい。私はその立場から、きょう、もう少し時間をいただきたかったのですけれども、残念ながらここで他とかわりますが、どうかひとつこういった意味で、中堅企業というものをより大きく国の全体で取り上げていただいて、関係官庁並びに責任者の方の御関心をいただきたいとお願いを申し上げて、残念ながら私、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  119. 中野四郎

    中野委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。  午後一時四十分より再開することとし、この際、休憩をいたします。     午後一時十分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  120. 中野四郎

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。工藤晃君。
  121. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) 本日は、大蔵大臣、厚生大臣、会計検査院の方々に、ただいま非常にいろいろと物議を醸しております医療問題について率直な御意見を伺いたい、かように考えます。  社会保険診療報酬の所得計算の特例、いわゆる医師優遇税制、これにつきましても、五十三年度以降において何らかの手直しをしていくのだという、こういう御発言がございます。それにつきまして、この問題が非常に大きく社会で取り上げられているわけでございますけれども、これが、先ほども申し上げましたように、医師優遇税制と言われるその点について、何をもって優遇と言うのか、あるいはまた、何をもって不公平税制と言うのか、その点について大臣に、簡単に最初にお聞きをいたしたい、かように思います。
  122. 村山達雄

    村山国務大臣 昭和二十九年に議員立法をもって出発しましたいわゆる医師優遇税制につきまして、従来、不公平であるとか優遇であると言われたのは何かというお尋ねでございますが、従来言われておりますのは、私の理解では、収入に対する経費の割合、逆に申しますと所得の割合というものは、極端に申しますれば一人一人違うであろう、それを一律に経費率が七二%だ、それを法定しているところが、それが優遇であり、不公平税制だと言われていると私は理解しているのでございます。
  123. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) 一般には、そういう税法上のとり方よりも、何かそれによって大変医師が所得上優遇をされている、こういう解釈をされている向きが多々あると思うのですが、やはりこれは、いま大臣がおっしゃったように、制度上の問題点として提起されておるように考えますが、そうでございますか。
  124. 村山達雄

    村山国務大臣 税制としてはそういうことであろうと思います。ただ、その結果として、どれぐらい所得が平均的に安くなり、税額がどれぐらいになるか、この問題はその結果として出てくる問題でございまして、先般の会計検査院が調査した、あれも一例であろうと思うのでございます。
  125. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) それでは、いまの話に関連いたしまして会計検査院の方にお聞きいたしたいのですが、私の方にもその資料が参っております。この資料を読ましていただきましたところが、これは所得一千万以上の高額所得者を対象にした資料であるということが言われております。それは「注四」のところで、約三七%を占めていたというふうな数字もございます。それからその中には、自由診療も含んでいる、こういう数字のようでございます。それから一方においては、昨年の十二月十五日でしたか、これは新聞に大きく報道されましたが、そのときに取り上げられた中で、総平均が、実際経費が五二%である、それは法定経費率の七二%に比べて二〇%開差がある、こういうところが非常に強調されたように思います。  この資料の、まず、こういう高額所得者を対象にしたということと、自由診療を含んでいるということ、それから、それが三七%の対象者を相手にして出した資料であるということは、一般にはまだ知れわたっていないのじゃないか、かように思うわけです。その中で、これは特に歯科と医科が両方とも含まれて合算されているということであり、それからまた医科といいましても、各科非常にたくさん多岐に分かれておりますが、それを全部平均したものであり、それから、そういうものをすべて含んだもので平均したところが五二%である、こういう数字であるというふうに解釈いたしております。それについて、そういう事実をどのように解釈すればいいのか、そういうことであるというふうに確認してよろしゅうございますか、その点についてお聞きいたします。
  126. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 ただいま先生がおっしゃいましたように解釈していただいて結構でございます。
  127. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) それでは、この数字そのものは、すべての診療担当者、すなわち、医科に共通のものではない、そういうことでございますね。要するに、三七%の対象者であり、こういう条件の中で出された数字であるのであって、それは大多数の医科に対して正しく投影された資料ではないというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  128. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 検査報告にも書きましたとおり、われわれは所得一千万円以上のお医者さん、それを五千三百七十二名、そのうち収支が明らかになりました千六百六十九名につきまして出しましたその平均が五二でございまして、その経費率というのは、最高は七一・八から最低は一九・七ということで、科によってもかなりばらつきがある。それからさらに、そのわれわれが対象といたしました五千三百七十二人のうち一千五百五十三人のお医者さんは、これは経費率が七二%を上回るということでもってその恩典に浴していない、こういうことでございます。
  129. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) そのような資料を御発表になった御趣旨を簡単に答えてください。
  130. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 この調査を始めました理由でございまするけれども、会計検査院は従来不当事項というものを中心に摘出してまいったわけでございますが、衆参両院の決算委員会の諸方面から、租税の特別措置といった制度的なものを検討すべきであるという声が非常に強かったわけでございます。それをお約束いたしまして、特に医師の場合には減税額が多いというような発表もありましたので、このいわゆる不公平あるいは優遇と言われております税制の実態というものは一体どういうものなのか、これをきわめて客観的な数値でもって御披露申し上げるということは、独立機関としての会計検査院がやって決しておかしくない仕事であると考えまして、きわめて中立的に客観的な数値をとろうとしたのが今回の調査であります。
  131. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) では、最後にお聞きいたしますが、所得一千万以下の零細開業医を対象にした、この数字でいきますと六三%の対象については、資料はおとりになりましたか。
  132. 前田泰男

    ○前田会計検査院説明員 われわれは、所得一千万円以上のお医者さんを対象といたしましたので、所得一千万未満の方については資料はとっておりません。
  133. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) それはまことに、意図される方向において正しい資料を発表されたとは私は思えない、そう思います。  ところで、大蔵大臣にお聞きいたします。こういうふうな資料を一部分だけ公開されて、それがあたかもすべての開業医がそういうふうに優遇を受けているのだというふうにもし社会がとったとしたら、これはやはり正しい結果には結びつかない、かように私は考えるわけなんです。だから、やはり是か非かという前に、そういう正しい資料をできるだけ多くの国民に正しく伝達して、その上でそれに対する結果を論じてもらわなければならない、かように私は考えますが、その点、大臣はどうお考えになりますか。
  134. 村山達雄

    村山国務大臣 いま会計検査院のおやりになったのは所得一千万円以上だということでございます。少なくとも、私たちが会計検査院の報告を新聞紙上で拝見しまして、私はそのとおり一千万円以上のものであるというふうに受け取っておりますので、私に関する限りは誤解はないわけでございます。  一千万以下のものについてどういう状況になっておるであろうか、これは調査してみないとわからないところでございます。しかし、制度といたしまして全く異例の制度であることだけはもう間違いないであろう。その結果が一千万円以下の人たちはどうなっていようとも、一律に決めるということは全く制度としては異例のことであろう、こう思っておるところでございます。
  135. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) 結論から言いますと、それは不公平ではあっても、必ずしもすべての開業医に対して経済的に優遇を受けているということではないということだけははっきりいたしました。その問題はそれくらいにして、次に参ります。  実は、私ども新自由クラブの西岡幹事長が二月四日にこの問題について触れまして、その一部分にこう書いてございます。  「私ども新自由クラブは、医師の皆様方が果たしておられる社会的な役割り、公共的な使命というものを高く評価いたしております。同時に、いわゆる医師税制というものが今日まで、医療保険制度の一元化の問題と診療報酬の適正化問題と深くかかわってきたという事実も認めます。」こういう前提に立って、不公正税制を是正しなければならぬじゃないかという世論に対して、前向きに政府は考えなければならぬというふうな、こういう御意見を述べられたように思います。  それについて、全く私も同感だと思うのです。たとえば二八%は不公平であるからそれは是正しなければならない。しかしながら、その不公平な税制を是正するのにすべてのそれに関連する——大臣もそのときにおっしゃっておりますけれども、いろいろな諸般の問題を積み残したまま見切り発車してしまえばいいのだということではないというふうに、私はこの文章を見て、大臣のおっしゃっていることについてもそうとらえているわけです。それについてやはりそういう問題をはっきりとさして、あくまでもこれは税制上の問題である、税制上の問題で不公平ということは、やはり社会的な不公平を是正しなければならない、そのために、少なくとも税においても不公平なものは公平化しなければならぬ、こういう大義だろうと思いますが、いまから私が申し上げることは——私もここへ参りますまで、最も平均的な開業医でございました。医師でございます。そうして、この医療制度という問題のしがらみの中で、親に孝ならんとすれば君に忠ならず、制度と患者の命というものの板ばさみになってずいぶん苦しんでまいりました。しかし、私ども医師が何よりも尊重しなければならないことは、また何よりも優先しなければならないことは、私は人命を尊重するということだと思うのです。そういう意味において、医療面における社会的公平というものは、やはりこれは人命を公平に取り扱うということであろうというふうに解釈しているわけです。  そういう意味から考えますと、税制の問題とそれから社会的に人命を公平に取り扱う社会をつくるということとどう整合化するかということが、この問題の焦点になってまいろうというふうに考えるわけです。ところが、税制上の問題についても医療面から考えますと、あるいは私がこのようなことを申し上げますと一般通念からは外れるかもしれない。しかしながら、その一般通念というものが正しい情報のもとにつくり上げられたものでないと仮定するならば、改めてもう一度正しい情報を提供する義務があろうかというふうに考えるのです。そういう意味において、やはり医療の公共性というものを無視して物を考えるわけにはいかないというふうにも考えます。その医療の公共性について、逆に何が公平であり何が不公平であるかという問題について改めてもう一遍考えますと、税制上の問題についてもやはりそういう医療の公共性というものの前提に立って物を考えるならば、それに対する、担保するという制度が公平なのではないか、あるいはまた、そういうことについて十分配慮された制度こそ公平な税制ではないかという意見も、一部分にはあろうかと思うのです。  そういう問題も踏まえて、この問題は、何が何でも五十四年度になればすべての問題を積み残してこれを解決してしまえば社会的公平が図られるのだという飛躍的な論理には、私はなじめない。やはりそういう問題を前提に置いて社会的公平を図り、人命が尊重される社会をどうやってっくるかという問題について、その期限の中で十分討論されなければならないし、そういう問題こそ、そこまで行く過程において一番重要な論議であろうというふうに考えるわけです。その点について、大蔵大臣はその意見についてどのようなお考えをお持ちか、簡単にお答えください。
  136. 村山達雄

    村山国務大臣 医療問題の将来のあり方、こういう問題にたくさんの問題を含んでおるであろうということ、並びに、いま委員がおっしゃいました特に人命を最も尊重しなくちゃならぬ、この点は全く同感でございます。ちょうどいまの経済界におきましても、それぞれが変化の中でどのように対応していったらいいか、こういう問題は永遠不変の問題であると思うのでございます。そういう意味で、公共性の強い医療部門におきましても将来とも多くの問題を抱えましょうし、医療技術はあるいは恐らく世界の中でも最も日進月歩の望まれておる、また変化の多い一つの分野であると思うのでございます。そのことは私は否定いたしませんし、またそうでなければならぬと思うのでございます。  しかし、それだからと言って、そういうむずかしい問題が片づくまではこの問題は結論を出すべきではないということはどの程度評価すべきであろうか、これもまた私は、社会の現実的な問題の中でやはり選択さるべき問題ではないか、私の個人的な見解でございますが、さように思っておるところでございます。  そのような意味で、今度わが党で、とにかく現在の制度は五十三年度末までの制度として、そしてその間いろいろな関連する問題について対応策を決めてまいりたい、こういったことで何らかの形で議員立法をやりたい、こう言っておりますので、政府もそれに対応いたしまして今後検討を進めてまいりたい、かように思っておるところでございます。
  137. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) それでは、いまのお言葉では、十分そういう社会的背景というものも踏まえて、そういうものに関連したものまで一緒に含めて対応したい、こういう御発言のように受け取りますが、それでよろしゅうございますか。
  138. 村山達雄

    村山国務大臣 現時点で考えられる問題については自民党の決定はできるだけ配慮してまいりたい、恐らくこういう意味であろうと思っておるのでございます。
  139. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) ただそれが言葉だけで過ごされてしまうということは、逆に言えば、人命が公平に取り扱われないような結果になった場合には、はなはだ社会的にも大きな責任が生じてまいります。ですから、長い間この医師税制が、好むと好まざるとによらず医療制度というものと深くかかわり合いを持ってきた。それが、すべてそういう前提条件を解決しないうちに、ただ口約束だけで見切り発車をしてしまうということは、逆に言えば、私が申し上げているように、何が大切であり何を選択するかということが十分討議されないままにそういうことにならないように十分御配慮願いたいと思いますと同時に、具体的にそういう問題をどんどん出していただいて国民の前で討議されなければならない、かように思います。そういう意味において、いまのお言葉をそのまま率直に私は受け取っていかなければならない、こういうふうに考えるわけです。  最後に大臣にお聞きいたしますけれども、この歴史的背景を考えましたならば、昭和二十九年にこの特例が制定されましたそのときの附帯決議の中に、「診療報酬の適正化の実現まで」という言葉がうたわれている。ところが、その適正化という言葉は一体何かということはまだ討議されていないのです。診療報酬は何度か改正された、賃金が上がった、診療報酬体系の中で点数が上がった、だからこれはもう適正化されたのだという論議も中にはありましょう。しかしながら、社会保障という立場に立って、そして人の命が平等に取り扱われていくような制度につくり上げることを適正化と考えるならば、そういう問題についてはいままで、政府・自民党と日医との間に昭和三十六年、四十六年に四原則、十二項目という合意もなされていることについても十分配慮された適正な診療報酬体系というものがっくり上げられなければ、それをもって適正と言えるのかどうかについてはまた当分論議されなければならない、こう思います。こういうことについて十分大蔵大臣といえども、税の番人という形でなくて、国益は一体何かということをお考えいただくために、あえてこういう問題についても御記憶をいただきたい、かように考えて申し上げる次第でございます。  ところで、私もいま申し上げているのは、すべて命の番人という立場からお話し申し上げている。私のすべての良心をかけてこの話を申し上げている。厚生大臣、あなたは命の番人として、私がいま申し上げたことについて御所見を承りたい、かように考えます。
  140. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 診療報酬の特例というのが、税だけの面から他と比較してみて、これが非常に特殊な特例措置であるということは、これは何人も否定できないと思うのです。私も否定いたしません。  なぜこういう特例措置が与野党一致の立法化によってできたのかということを考えてみますと、お医者さんの診療報酬というものは、御承知のように、大学を出まして何十年たち、相当の大学において研修も積み、場合によったら多数の医師も養成する責任者にもなったような偉い教授上がりの方も、医師免許を取ってすぐ開業される、あるいは診療に従事される方も、たとえば初診料千円といいますと、全く同じ評価をしているわけでございます。  それともう一つは、自由主義社会において、現物給付という皆保険の制度が持ちます被保険者に対する経済的なすべての保障という面が、まさに医師と患者の間に割り込んでいる。本来ならば保険あるいは医療保障というものは、医師と患者の間に割り込むのじゃなくて、本来の機能は、患者が負担をすべき保険事故に要する費用について、社会保険なり国なり、いろいろな公共団体等が一致協力してこれを保障するというのが医療保険制度のたてまえであるにもかかわらず、たとえばフランスその他の一部の国でやっているように——日本の戦後の国民の所得を考えました場合に、どうしても現物給付でなければ医療を受ける機会を阻害するおそれがあるというので、実は経済の問題が患者と医師の間に割り込んでいる現物給付制度をとっているわけであります。そして一点単価、計算上便宜のために十円としまして、医療費を点数にあらわしてやっておるわけでありますから、いわば自由主義経済社会において、他の企業と違いましてお医者さんの事業、医業というのはあらゆる面で、ただ公定価格というだけでなくて、現物給付であるがゆえに、療養担当規則を設け、あるいは一定の審査機関があって、おまえさんこれだけの治療をやったけれどもそれはむだだというようなことも指摘し得る制度にしたり、いろいろがんじがらめになっていることは、先生もみずから体験をして知っておられるとおりであります。  ですから、そういうような制度であるから、自由主義社会において医師が自由に決め得べき診療報酬というものをそういう形で非常に統制をとっているがために、特に点数についての評価が、現在の医学の水準から見て大変合理的であればともかくとして、そうでない以上は、この特例によって税制面で優遇することによってがまん願おう、こういう制度でできているものでございますから、したがって私は、この本質、これができたゆえんのもの、また社会保険の診療報酬というもの、現物給付というもの、そういう面から、自由主義社会における医業というものをいかに制約しているかをよく考えつつ、この特例の問題というものを御理解をいただかなければいかぬと思っておるわけでございます。  そこで、もしこれを不合理として是正をしていくとすれば、他のいろいろな面で、いま大蔵大臣もお答えになりましたように、また先生もおっしゃったように、医業というものの特殊性をいかにすべきか、健康保険制度の改正、将来の方向というものをどう考えていくべきか、これらの問題と密接に関連していかなければいけませんから、私が急に着任をして、すぐこれを廃止するというようなことはなかなかできないので、せめて一年間の余裕は欲しいということから、それでは五十三年度いっぱい待ってみよう、その結果ひとつその間に何らかの条件整備を図っていこう、こうなったわけでございます。大体質疑応答をいま承っておりまして、そういう御趣旨のお考えに立っておられると思いますので、私も基本的には同意見であるということを申し上げさしていただきます。
  141. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) 時間がございませんので十分な討議もできませんけれども、あと残されたわずかな時間の中で私が申し上げたいことは、やはりいまのような医療制度、十年河清を待つがごとく、いままでやるやると言いながらやってこなかった、そしていまここに追い詰められた状態の中でやらなければならないということも、私は政治責任を改めてもう一遍考えてもらわなければならない。そういうことをはっきりとここで、いままでは諸般の事情でできなかったけれども、ことしは一年間あるのだから、十分そういうものについて根本から洗い直して、すっきりとした社会保障制度の上に立った健康保険制度をつくるという状況に持っていっていただかなければ、ただ見切り発車してしまうということは一番社会的に危険だということを申し上げたいと思うわけです。  それで、まず第一番に結論から申し上げますけれども、こういう自由主義経済体制の中における社会保障のあり方、その中における健康保険制度をどうつくり上げれば一番合目的なのか、すなわちこれは命の保障をするという重要な問題でございます。ですから、人命を公平に取り扱うためには、応分の負担をするということを平等にしていかなければならない、こういうふうな立場に立って物を考えていかなければならぬということはもっともであります。同時に、そういうものを含めた方向、原理、原則というものをはっきりと踏まえた、そういう適正化診療報酬というものをつくっていただかなければならぬ。  それからまた、物と技術を分けて、はっきりと、そういうものについてのいままで国民の大変不満になっておるところを十分改正できるような、そういう問題についても勇気を持ってやっていただかなければならない。それからまた、現在の健康保険制度は数多い各種制度が乱立していて、その間に何ら連係がない。当然これは、社会保障という立場に立てば、この各制度間の財源的なプール化を図っていくということはもっともな話だし、またこれを合理化することも十分考えなければならない、そういうことであろうと思うのです。ですから、いまの健康保険では人の命が零歳から死ぬまで一貫して保障されているとは言えない。負担あるいは給付のアンバランスも大変極端にございます。そういうものをならすことも診療報酬の適正化と一緒にやっていかなければならない、その中に含まれていく。そういう哲学はその診療報酬の中に含まれなければならない、かように私は考えるわけです。  それからまた、いま申し上げたように、好むと好まざるとにかかわらず、医師優遇税制と言われるものが医療の公共性というものに対して何らかの寄与をしていたというならば、その問題を解消するためには、それにかわるべき担保というものを社会が提供していく義務があろうと思うのです。そうでなければ正しい医療の公共性というものが積極的に推進できない、かように考えるわけですから、そういう意味についても十分、各論は改めて社会労働委員会でいたしますが、そういう問題についても大臣にお考えをいただいておかなければならない問題だと思うのです。  それから、医療法の第七条に、利益を追求してはならぬ、こういう厳しい法律がございます。そのために医療法人は、いろいろな制度の中で一般法人あるいはその他の問題に比べて非常に厳しい制約を受けておる、そういう問題についてもやはり整合化していきながら、そういう問題によって、社会の公共性がより推進されるというふうな努力もなす必要があろう、かように考えるわけです。  それからまた、いま最も安い、経済的な診療行為をさせていると思うのです。完全に統制されたそういう経済体制の中に医療というものを詰め込んでおいて、そうして診療させている、こういう状況の中で、それに対する資本はすべて個人によって投下されているという、全く経済的な方法をとっているのだけれども、税の公平を期さなければならぬという問題と絡んで、やはりそういう問題についても十分社会が医療の公共性というものを認めたという——相手を認めてやる、診療担当者に対して、生きがいを持ってわれわれも社会から自分の存在価値を認められているのだというふうに思えるように制度的につくってやらなければいかぬ。たとえばそれは、医療の公共性を踏まえて保険医年金、こういうものもつくってあげて、それで保険診療に携わられた、貢献されたお医者さんが年をとられたときには、そういう年金によって生活が保障されるというようなことも考えてあげるべきではないでしょうか。  それからまた、拡大再生産をされていかなければ、良質の医療を提供していくということはむずかしいと思うのです。そういう意味において、いまの制度ではそういうことに対する配慮が何もなされていない。だから、医療機械なんかを購入する、あるいは医業の近代化のためには割り増しの償却制度の導入ということもやはりまた考えていかなければならぬ問題だろう、かように考えます。  そういうことを含めて、ひとつ最終的にこういう問題を、はなはだ時間がなくて残念ですけれども、やはり二八%を是正するという前提に立って、それに伴う諸般のむずかしい事情はありましょう、ありましょうけれども、社会正義という立場に立って、勇気を持ってやっていただかなければならない、こういうものを絶対積み残してはならないという立場に立って、大蔵大臣、厚生大臣に最後に一言ずつ決意をお伺いして、私の時間が参りますので、その時間になったらやめます。
  142. 村山達雄

    村山国務大臣 いま工藤委員がおっしゃった点、その他あらゆる角度からいまこの問題が批判されておるわけでございます。そういった面を十分踏まえましてやはり今後の問題を検討すべきであろうと思っております。特に具体的にお触れになりました医療機械の償却、こういったものについてやはりもっと配慮を加えるべきではないか、この点は私も同じような考えを持っておるわけでございます。
  143. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 工藤委員はさすが専門家で、いろいろな角度から医療の根本問題として抱えている点を御論じになりました。私も、趣旨は全くそういうようなお説を十分頭の上に置いてこの問題に対処していかなければならぬと考えておりますので、ことし一年かかりまして、制度面あるいは診療報酬のあり方等、全体を踏まえた上で、こうあるべきだという意見を私どもは税務当局に出したい、かように考えております。
  144. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) 厚生大臣に決意を伺いましたが、それじゃ実際の問題として、たとえばそういう問題が解決されなくても大臣はこの問題については見切り発車をさせてしまうのかどうか、その点だけちょっとお伺いしたい。
  145. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 そうはいかないのでございまして、やはり各般の条件整備というものを十分考えてからやりませんとむしろ混乱を起こすおそれがありますから、いまそれが一番問題の点でございます。条件整備に向かって私どもは十分いろいろな角度から検討して、私ども考えをまとめたいと思っております。いまは私ども検討中でございますので、その具体案については申し上げかねますが、基本的な考え方はさように考えております。
  146. 工藤晃

    工藤(晃)委員(新自) 時間が来てしまいましたので、最後に申し上げますが、こういう命にかかわるというような非常に重要な問題を他の問題とすりかえた論議は大変まずいと私は思うのです。ですから、たとえば増税しなければならぬから医師優遇税制をいけにえにしなければならないというような発想は絶対許せない。あくまでも人命を尊重するという立場に立ってそういうものを整合化していくという考え方に立っていただきたい。  同時に、最後に私は申し上げたい。いろんなそういう意味において優遇されているというデータを出す、そのデータは正しいデータを出していただかなければならない。たとえばここにも私は資料を持っている。発表されたものと全然違う。ところが、それは医者がいかにもたくさんの収入を得ていると言わんばかりの資料だけをつくり上げるような、そういう考え方は私はいけないと思うのですね。やはり正しいものを出して、そういうものにのっとって正しい社会をつくっていくというふうに考えていただかなければならない、かように思います。実は私は毎日毎日診療をしながら、そうじゃないのだよ、そうじゃないのだということを叫び続けて人生を送ってきたのです。そしていまここでそうじゃないということを皆さんの前にはっきりと申し上げて、私の最後の締めくくりとしながら、お互いに相違点を突きつけ合う政治じゃなくて、お互いに合意点を見出していこうという、こういう政治への変革を最後に期待したい、かように思います。  これで終わります。
  147. 中野四郎

    中野委員長 この際、中川秀直君より関連質疑の申し出があります。工藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中川秀直君。
  148. 中川秀直

    中川(秀)委員 私は、関連質問といいましても問題は全く違うわけでありますが、わが国の当面する防衛問題と将来の防衛構想についてお尋ねをしたいと思います。  御質問申し上げます前に、私どもがわが国の防衛問題についてどういうスタンスで物を考えているかということをまず明らかにいたしまして、その上でお尋ねをさせていただきたいと思うのであります。  私どもは、国の安全というものが、侵略によって脅かされるだけでなくて、エネルギー、資源、食糧の供給が不安定になることによっても重大な危機に遭遇するということを身をもって体験したあのオイルショックの経過もこれあり、わが国の安全保障政策を総合的に組み立てていかなければならないと考えておるわけであります。したがい、まして、わが国の安全保障は、第一に過不足のない防衛力の整備、特に経済的な制約もありますから、後ほど時間の許す限り細かくお尋ねをさせていただきますが、お金をかけるだけでない良質で効率のよい所要防衛力、これも後ほど詳しく申し上げたいと存じますけれども、単なる基盤防衛力という、それだけでは問題がかなりあると考えておるわけでありまして、効率のよい所要防衛力の整備。それに加えまして第二にやはり外交政策、その外交政策の柱としては日米安全保障条約の維持。第三に、エネルギー、資源、食糧について、国民生活の適正な水準を確保するための対策というもの、この三つを柱として、そういった多様な政策の上に初めてわが国の安全保障というものが成り立つと考えているわけであります。当予算委員会でも再三再四にわたりまして論議をされておりますところの防衛費の問題も、単なる一%の単純な論議にとどまることなく、やはりそういった総合的なわが国の安全保障のためにいま何が脅威であり何をしなければならないか、そういった防衛構想の上で、守るにせよ超えるにせよ、そういった防衛構想が必要である、こう私は考えているわけであります。したがいまして、その点についてまず長官の基本的な御認識をお伺いをしておきたいと思います。
  149. 金丸信

    ○金丸国務大臣 わが国の安全保障という問題につきましていま三つお話をされたわけでありますが、食糧の問題につきましては、食糧保障の点から考えてみましても、また農業問題がこの予算委員会でも非常に論議されておるところを見ましても、いわゆる食糧という問題が大切だというところにあると私は思うわけですが、私はその所管でありませんから多くは申し上げませんが、政治家として重大な関心を持つべきは当然だと考えておるわけであります。  また、資源の中で、たとえて言えば日本には全然資源がないということから考えてみましても、オイルショック等のことを考えると、この備蓄というような問題についても最大な関心を持たなければならぬのは当然であると私は思います。  また、防衛の問題につきまして、効率のある、いわゆる一%とかなんとかということでなくて、効率のある防衛というものを考えるべきじゃないかというお話、まさに私もそのとおりだと思います。  なお、私は、日本の安全というものは防衛だけで日本の安全ができるということでなくて、少なくもアジアの、あるいは東南アジアの、ASEAN、こういうようなところに、防衛に使う金をそちらへ持っていくことも、いわゆる平和を維持するということには最大な要点があるだろう、こういうようにも考えておるわけであります。  なお、日米安全保障条約というものを中心にしてアメリカの強力な抑止力によること、それは日本が自体で防衛をできるという状況ではない、そういうことから考えれば、日米安全保障条約というものは堅持していくことにまって日本の安全は保たれる、このように考えておるわけでございます。(「前半は賛成だ」と呼ぶ者あり)
  150. 中川秀直

    中川(秀)委員 基本認識御賛成、社会党も前半賛成だそうでありますが、ただいまの食糧、エネルギーの備蓄の問題でありますが、長官は確かに直接の御担当ではないわけでありますけれども、そうは言いながらわが国の防衛というものが総合的な見地から考えられなければならないということになりますと、そういった問題についても長官御自身の御意見、閣議の場で国政の連帯の責任を負っておられるのでありますから、長官の御意見もぜひともこの備蓄の問題につきましても具体的にお伺いをしたいと思います。  理想的な形から言うならば、石油や原子力を含めて最小限半年分ぐらいのエネルギーをため込んでおくということがわが国の安全というものにとってはきわめて重要であると私は考えております。いわゆる石油の代金が七二年のレベルに比べましてもうその四倍以上になっているという現状を考えてみて、備蓄自体が非常にやりにくくなっていることは確かでありますが、長期計画で毎年分割して実行すれば、単年度当たりの支出もそういった大規模なものにならずとも可能ではないかと私は思います。  いま一つ食糧の備蓄でありますが、スイスでさえ七カ月分の食糧を備蓄をいたしております。小麦でございますが、政府、製粉業者、穀物商とでそれぞれ分担備蓄をしている。わが国の場合は全部合わせても一ヵ月分の備蓄であります。しかもこれらはいずれも余ってしまったから持ち越したにすぎないという備蓄でありまして、本当の政策としての備蓄はいまのところないに等しいという段階であります。私は、有事の際、あるいは海上自衛隊の将来の問題として船団護衛という問題が出てきた場合を想定いたしますと、エネルギー、食糧の備蓄がもし半年分あったとするならば、海上自衛隊が将来船団護衛という労多くして益少ない任務から解放されて、本当にその分そっくり直接防衛部隊として使うことができると思う。極端に言うならば、船団護衛の分まで含めて三十万トンの海上防衛力よりも、直接防衛部隊として使う十万トン、二十万トンの海上防衛力の方が、より戦略的には威力を発揮するということは明らかであります。こういった問題につきまして、いま一度御見解をお伺いしておきたいと思うのであります。
  151. 金丸信

    ○金丸国務大臣 食糧というものは、有事の際、八割程度を国内で保持するということが政治の考え方でなくてはならぬと私は考えております。そういう意味で現在、米が余っておるということにつきましては、食糧庁の会計というような関係でなかなかそれが許されない面もあると思うのですが、きょう非常にこのように平和でおるということは、食糧が、米がとれるというところにも一因がある、食糧というのは本当に確保しておかなくてはならぬということだと私は思っております。ましてや石油等の問題につきましては、現在円高という問題もあることですから、この際ドル減らしということから持ってくるという。これはドル減らしとかなんとかいうことでなくて、常時そういう考え方を持っていくところに、私は日本の民族を守る基本もある、このように考えておりますし、また輸送船を護衛するというような問題につきましていろいろ詳しい質問がありましたが、その問題につきましてもいろいろ考え方はあると思うのですが、私も先生の考え方も一つ考え方だ、こう考えておるわけであります。
  152. 中川秀直

    中川(秀)委員 それに関連してひとつ具体的にお伺いをしたいのでありますが、米海軍が七八年以後に実用化に乗り出そうとしている計画にアラパポ計画というものがあります。これは将来の海上物資輸送を護衛するという見地から、商船に直接——いまや海上の脅威、海の脅威というのは何といっても原子力潜水艦を含む潜水艦の脅威でありますけれども、その商業船に直接対潜ヘリコプターあるいはコンテナ化をされたASW、対潜機器を搭載しようというものであります。このAS機器の経費は一基当たり大体三百五十万ドルないし四百万ドル、これはヘリコプターは含まれておりませんけれども、そういうものであると伝えられております。また、この商船のヘリ甲板を装備と運用の双方に使用することによって、一隻当たり十機から十二機のヘリコプターを搭載することも可能になるので、有事の際、この五十隻ぐらいの船団の中にアラパポ装置を搭載した商船を二、三隻と数隻の護衛艦を組み込めば、恐らく二十機から三十機近いASWのヘリコプターあるいは装置というものが運用できるということになる。いま自衛隊はいずれASWのヘリを搭載できる、そういう護衛艦をつくろうという御計画があるように聞いておりますが、現在でさえそのコストは四百億円ということになるそうでありますけれども、これは米海軍の場合でありますが、そういうものに比べるとZフパポ計画はうんと安いものになる、こういうことも海軍の資料では出ているわけであります。  そこでわが国の場合、たとえば日米安全保障条約の上でも、硫黄島や小笠原諸島、いわゆるわが国の物資の主要なメーンルートであるところの海上護衛というものについては、二百海里以内については日本で独自でやってくれという、そういう主張も米側から提起をされているやに聞きますか、そういう将来の問題として、こういったアラパポ計画のようないわゆる商船に対潜機器を積み込むというようなことがわが国の法制上可能であるのかどうか、あるいはこういつたこともわが国の海上自衛力、防衛力の一つの限界ということも考えてみて検討なさるのかどうか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  153. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 ただいまの御質問の中にありましたアラパポ計画でございますが、実は私どもこのアラパポという名前の計画というものははっきりいたしませんでしたので、調べてみました。ところが、いま先生がおっしゃいましたようないわゆる商船にヘリコプターを積み、それから対潜作戦に必要な武器を積むとできるというようなことでございまして、実はこれは私ども調べてみましたのですが、一九七四年のアメリカの国防報告の中でスパンス研究というような形で述べられておりまして、この海上輸送の所要調達等の研究の中でそういう提案がなされているようでございます。  実は海上自衛隊といたしましても、御承知のように一次防以来海上自衛隊の勢力として整備をいたしましたのは、沿岸護衛の能力と海上交通の護衛の能力ということでございまして、当時からいわゆるメーンルートというのはアメリカの海軍、すなわちアメリカ本国からグアムなりフィリピンなりのメーンルートはアメリカの海軍というものが力を持つであろうけれども、それから先必要な輸送については、海上自衛隊が日本の商船あるいは輸送船等によって運ばなければならないであろうということで、P2Vあるいは護衛艦を建造した時代からそういったものを研究してまいりまして、その中で、私の記憶に間違いがなければ、海上自衛隊においてもそういった研究をなされたことがございます。しかしながら、日本の輸出入量がきわめてふえているということ、それからまた単にヘリコプターを積むだけで一体対潜作戦というものが有効に実施できるかというような問題……(中川(秀)委員「これはASWを積むのです」と呼ぶ)ASWの機能を持たせることについてできるのか、あるいはそれが運用上可能であるかというようないろいろな問題がございました。アメリカにおきましても、この計画というのはその後海軍の予備役の中佐の研究論文がございますけれども、政府の中ではその後立ち消えになっておりまして、どういう形でこの研究がなお続いているのか、あるいは問題があってやめたのか、どうもその辺がつまびらかでございません。しかしながら、海上自衛隊におきまして検討いたしました結果といたしましては、いろいろな問題点を含んでいるということでございまして、現在これを実行に移すというような計画は持っていないわけでございます。
  154. 中川秀直

    中川(秀)委員 私が持っております資料によれば、七八年度以降実用化に移したいという表現になっていますが、こういったことも、防衛というものは常に先を見て考えなければならないので、いま急にお調べになっておわかりになるようでは困ると思うのでありますが、それはさておくとして、法制上の問題はありますか、法制局長官。
  155. 真田秀夫

    ○真田政府委員 ただいま御提起になりましたアラパポ計画というようなこと、実は全然私たちは考えてもみなかったことでございまして、初めて知ったことでございますので、適当なお答えを即答するにはちょっとはばかるわけなのですが、現行の法制上は、商船がそういう潜水艦に対する攻撃用の武器を備えるということは現行法ではできません。もっとも、それは有事の際になりまして商船が自衛のためにそういう装備をすることがぜひとも必要だというような事態になれば、それはその事態に応じて法制化すれば、それは憲法違反というようなことではないと思いますけれども、現行法制上はそういうことはもちろん考えておりません。また、現行法制上はできないことでございます。
  156. 中川秀直

    中川(秀)委員 わかりました。こういった問題は、先ほどお話しした備蓄の問題、あるいは世界の中の日本で物資の動きが非常に激しくなりまして、それなしにわが国の経済もまた成り立たない、そういう中での安全保障という問題を考えていきますと、当然そういったアラパポみたいな問題にも理論上は行き当たらざるを得ない問題、事態ということにもなるかもしれない。こういった問題は、やはりどこかの機関で総合的に常に検討していかなければいけないのじゃないかと思うわけであります。そのためにこの国防会議というものがあるように、総理も常に議員懇談会をやっているのだ、こうおっしゃるのでありますが、どうもしかしお話を聞いているのと、現実に行われている国防会議の活動というものを見ておりますと、話は話であって、内容は違うような気がしてならないのであります。わが国の国防会議は、いわばそういった総合的な安全保障という問題には一切無関心、と言うと言葉がきついですが、ほとんどやっていない。やっていることと言えばFXの選定とか、本来防衛庁にある意味では任してもいいような低次元の問題に血道を上げているような気がしてならないのであります。  そこで、防衛庁設置法によると、国防会議は、やっていないことだけ申し上げますが、第一に「国防の基本方針」。第三に防衛「計画関連する産業等の調整計画の大綱」。「防衛出動の可否」というのは、そういう事態に幸いなことになっていないのでありますから、やっていないのはもちろん当然でありますけれども、第五に「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」、これだけを国防会議は審議する機関として設置をされておるわけでありますが、ほとんどそれらしき審議は行われていない。私はわが国の総合安全保障という問題を考えていきますと、この国防会議をもっと大いに活用して、あるいは立案機能としても、わずか二十人ぐらいの事務局ではとても手が回らないということを事務局長もおっしゃったことがあると思いますが、そういった部分も強化をしなければならないだろうし、あるいは他省庁の行政に関連する部分については、たとえば総理府なり、そういうところでの調整機能も発揮をさせていかなければいけない、こんなふうに思うわけでありますが、政府の御見解はいかがでしょうか。事務局長、ごく簡単に御答弁願います。
  157. 久保卓也

    ○久保政府委員 国防会議は、防衛に関する文民統制の機能と、おっしゃいますような広い意味での国防あるいは安全保障という見地での二つの機能を果たすものと考えます。そういう意味で申しますと、必ずしも純粋に軍事関係だけではございませんでしたけれども、それに審議が偏っている感じはございます。したがいまして、もう少し範囲を広げる必要はあろうかと思います。  ところが、日本の内閣制度では縦割りの行政になっておりますので、広い意味での国防について立案するようになりますと、いまの制度上ですと、たとえば他省庁関係のない仕事は内閣審議室ということになりますが、国防問題を内閣審議室というのはやはりおかしいので、国防会議事務局もしくは何らかの組織でやるべきであるということになれば、いまの法制をいじらねばならないということになります。したがいまして、私どももそういった問題意識を持っておりまして、事務的には勉強させていただいておる段階であります。
  158. 中川秀直

    中川(秀)委員 大いに御努力を願いたいと思うわけであります。  次のお尋ねでありますが、冒頭申し上げましたまうに、防衛力というものは単にお金をかければいいというものではないと私は思うのであります。お金のかけ方の問題も、今日までのわが国の防衛あるいは装備ということをしさいに検討してみると、どうもその辺にも問題がありそうな気がしてならないわけであります。  その幾つかの例を挙げさせていただきまして、このお尋ねを進めたいと思うのでありますが、たとえばあの第四次中東戦争、いま当委員会でも次期戦闘機でありますF15の装備も含めました予算案が審議をされているわけでありますが、その空の守りという問題についての費用対効果を考えてまいりますと、あの中東戦争は非常に多大な教訓を与えているような気がしてなりません。たとえば、無敵を誇ったイスラエル空軍が、第四次中東戦争におきまして合計百十四機撃墜破されておるわけでありますが、その八割までがSAMいわゆる地対空ミサイル、あるいはトリプルA対空火器、またSAMと対空火器の連携によるもの。SAMが四十四機、トリプルAが三十一機、SAMとトリプルAの連携が六機でございますから、あらかたその八割までは精密誘導兵器というか、そういったもので撃墜破されているわけであります。これはソ連がアラブ側に供与しましたSA6ゲインフルという新しい対空ミサイルがかなりの部分を担っているわけでありまして、その他SA2、SA3、SA7、こういうものでイスラエル空軍の飛行機に対して対抗したわけであります。このSA6とか7、こういったものでございますが、これはもうレーダー装置ごと車両に積んで、非常に軽便に移動ができますし、SA7に至っては兵士の肩から簡単に発射できるものであります。また、この戦闘で、陸の戦闘の場合は、アラブ、イスラエル双方合わせて二千両の戦車を失っておりますけれども、その半数は歩兵が携行しておる簡便な対戦車ミサイルで撃破をされているわけであります。こういつたものの各種新鋭ミサイル、もちろんミサイルといいましても大陸間誘導弾のようなものでなくて、きわめて射程距離の短い局部的な戦闘に使えるミサイルでありますが、こういった精密誘導兵器いわゆるPGMというのは、特筆すべきは航空機や戦車に比べてはるかに低コストの兵器だということであります。たとえば一億ドルの大型艦、五十万ドルの戦車、千五百万ドルの戦闘機に対して、PGMはせいぜい一、二万ドルであります。米国の対戦車ミサイル等のごときは一基大体三千ドルから六千ドルにしかすぎない。しかも精度はまさに百発百中で、平均的能力の兵士が目標を照準器にとらえてボタンを押すだけでいいという、そういう兵器であります。こういつた命中精度抜群というミサイルに高価な最新航空機や戦車がばたばたと撃墜破されている図は、まさに大将の首が足軽、雑兵というようなものに討ち取られるのとよく似ている。わが国の場合、低速、減速経済の中で、しかも人件費の高騰に悩まされているという、そういった防衛の現状の中にありまして、安くて効果の上がるこういつたPGMに思い切って転換をすべきだと私ども考えているわけであります。また、専守防衛を目指している日本にとっても、まさにぴったりの装備ではないかと思うわけであります。いわば旧帝国海軍以来の大艦巨砲主義というようなものはまさにつまらないということはわれわれよくわかっている。防衛のあり方は、常に先へ先へ考えていかなければ有事の際役立たないということを考えてみましても、そういったことは言えると思うのであります。これが、効率的な防衛力というものの第一点であります。  第二点といたしましても、たとえば現在行われている艦艇の発注方式、護衛艦の発注方式、大蔵大臣もよくお聞きになっていただきたいのでありますが、これは日本は本当にむだな点が多い。たとえばNATO諸国でもフリゲート艦の標準化というものは非常に激しく行われております。一隻一隻の艦艇が、別々の設計図で芸術品よろしくつくられているのはわが国だけなんであります。こういうことで低経済成長下における装備というもののあり方、私は本当に好ましいものとは思えないのであります。もちろん航空機の機体や船の船体など、いわゆるどんがらも大切ではありますけれども、今後のあり方としては、むしろそれに搭載する精密誘導兵器の質こそ問題にされるべきだと思うのであります。その他もいろいろあるわけでありますが、こういった基本的な認識として、大艦巨砲主義あるいは芸術品装備時代から、もう世界の大勢は、どこの国だって防衛費の負担は大変なのでありますから、そういった効率的な精密誘導兵器の時代に入ってきている。そういう時代にわが国の防衛力というものの考え方を当然変えていかなければならないと思うわけであります。長官もしくは政府の御見解を厳しく問いたいと思います。
  159. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたこの前の中東戦争の戦訓というものは、現在の戦闘に対していろいろな教訓を与えているのは事実でございます。  その第一点として御指摘がございましたミサイル戦であったということがきわめて顕著に出ているわけでございまして、御指摘のございました飛行機の損害も、地対空ミサイルによる損害がきわめて大きかったというのも事実でございます。私どももこういった防空ミサイルそのもについて、いまおっしゃいましたPGMといいますか、いわゆる命中率を高めた装備品、こういうものの開発については十分研究も一しているわけでございますが、たとえばそれぞれのその地勢といいますか、あるいは国際環境といいますか、そういう中で最も効率的に能力を上げていくという考え方も一方にはあるわけでございまして、日本のような環境の中では、やはりこのミサイルだけで防空というものは完全にできないだろうというようなことも一つあるわけでございます。  といいますのは、きわめて高高度を飛んで来るものに対して、この間行われたようなA7あるいはA6といったものがどういう能力を持っているかという問題でございますが、中東戦争の場合に、まずイスラエルの判断の中に一つ誤っておったと思われますのは、アラブ側の航空戦力というものは余り高くない、したがって、常に航空優勢が保たれるという想定のもとにきわめて自由に出たということがこのミサイルの弾幕に遭ったというようなこともあるようでございます。したがいまして、いま先生の御指摘のように、PGMというようなものについては、今後装備研究を進めてまいりたいと私ども思っております。  艦艇の発注方式につきましては、装備局長から御説明いたします。
  160. 間淵直三

    間淵政府委員 先生御指摘のように、艦艇の発注につきましては、全部が全部一艦一艦新しいというわけではございませんが、年に三隻、四隻というような非常に微量な発注でございまして、運用の要求というのもいろいろ変化があるものでございますから、必ずしも先生のおっしゃるとおりにぴちんとやっておるというわけにはまいらないわけでございますが、運用の要求その他を踏まえまして、今後検討していきたいと思います。
  161. 中川秀直

    中川(秀)委員 装備局長の御答弁は短くて大変歓迎でありますが、いま一つ非常に大切な問題であります。こういうことはお尋ねをしていいのかどうか実は私も迷ったのでありますが、やはりわが国の防衛のためにあえてお尋ねをしようと決心をいたしました。  ここに、私が入手をいたしましたわが国の空の守りについてのシミュレーションがございます。いわゆるオペレーションリサーチ、彼我の兵力を計算し、図上でコンピューターで、こういう戦いになった場合にはどうであろうかという、そういったシミュレーションでありますが、もちろんこれは防衛庁の内部で御検討になっているものであります。これによりますと、私は大変驚いたのでありますが、たとえば、北部日本で不意急襲的に四百機の空からの急襲があった。戦闘機あるいは戦闘爆撃機、まあ名前は言いますまい。戦闘機、戦闘爆撃機四百機が来た。それに対してわが国がF4EJあるいはF104Jあるいはナイキ一群、現在北部日本は一群であります。こういったもので対抗をした。現状わが国には、足の短いSAMとかトリプルAとかいう対空火器はありません。こういったもので対抗した。詳しく言うと、いろいろ国益にも関することでございますから申し上げませんが、結論を申し上げますと、そういう図上演習によると、いわゆるシミュレーションのロー値、シミュレーションの結果どうであろうかというロー値になりますと、彼我の兵力が五分五分という場合はこのロー値は一になるはずであります。ところが、この一番最新のシミュレーションによると、これは〇・四七八、一撃で戦闘能力がなくなる。バッジの管制システムも全部やられます。飛行場もかなりやられます。戦闘機もかなりつぶされます。もう一撃で立ち上がる能力がなくなる、こういう結果が出ている。  わが国の防衛計画の大綱によりますと、限定、小規模な奇襲的戦略には基盤的防衛力で対処する、こうなっている。いまわが国は基盤的防衛力を持っているはずであります。ところが、このシミュレーションで内部で御検討になっても対処していない。一撃でやられている。防衛計画の大綱はうそではありませんか。いまおやりになっていることはうそではありませんか。現実に将来のシミュレーションを見ますと、SAMだとかあるいは短SAM、トリプルAなどの基地防空、PGMを導入して、なおかつF15で対抗した場合、第四世代の敵戦闘機の四百機、その他従来の第三世代の戦闘機を計算に入れても、これで対抗したら何とかロー値は一だ、五分五分である。結局問題は、そういったレーダーサイトに火器一本ない、バッジシステムを守るにもそういったものがない、こういうことに尽きている。その差は何であるかというと、SAMや短SAMやトリプルA、そういったPGMの結局差なんです。のんびりしておっていいのですか。いかがですか。
  162. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 防衛計画の大綱をお決めいただくに当たって、私どももいろいろなシミュレ−ションというのをやってみました。それで、この際にいま先生がおっしゃったような形のものもあるわけでございますが、最悪の場合にはどういうことになるか、あの計画の大綱でやるとどういうことになるかというような検討もいたしました。しかしながら、この最悪の事態に、すなわちある程度の準備期間を置いて一挙に攻めてくるというような場合の所要防衛力というものまで現時点においてこれを維持するとなりますと、巨額の費用が要るわけでございますし、また同時に、この奇襲的な攻撃というものに一応対処できるというのが防衛計画の大綱で検討されたものでございまして、常に四百機が一挙に攻撃してくるというふうには考えておりませんで、奇襲的な攻撃には、現在の防衛計画の大綱でお決めいただいております勢力をもちまして対処できるという見通しを持っているわけでございます。
  163. 中川秀直

    中川(秀)委員 四百機来た場合はどうしますか。その御答弁は、必ずしも国民の皆さんがお聞きになって、わが国の防衛がどうであるかという御関心あるいは御心配というものにこたえた答弁とは私は思いません。  時間がありませんから、詳しくお尋ねをしたいのでありますが、この程度にいたしますけれども、あえていま一つ指摘を申し上げても、たとえば陸上自衛隊にしたって、人件費率はもう八割を超えているのです。まさにPGM、そういった精密誘導化をしなければならない段階に来ているにもかかわらず、今度の予算書を見ても、PGM等の装備はほとんどないではありませんか。まして空でF15を入れるという、このこと自身が全部いけないと私ども考えておりませんけれども、このF15にしても、そういったSAMや、たとえば早期発見機というようなものを入れて、そして組み合わせない限り、シミュレーションをやってもだめだという結果が出ている。そういうものをなぜ並行して装備をしようとしないのか。私は防衛庁の、政府の御発想というものは相変わらずやはり一つのパターンにこだわっておられて、わが国の本当の防衛を考える見地から言うと、私ははなはだ心配であるわけであります。  時間がありませんので、簡単にお尋ねをするのでありますが、F15の問題にいたしましても、国民の疑問に完全に答えているかというと、私はそうではないと思う。たとえば、五十三年度予算案ベースでF15の装備というものは、資料によりますと七千四百億円です。こうなっている。平均単価補用品込み、つまりフライアウエー・コスト、空を飛ぶ経費を入れて七十億円となっている。ところが、この平均単価七十億円、そういうことだということになっていますが、これはアメリカのF15の導入の資料を読みましても、エスカレーション、いわゆる物価の引き上げという金額をちゃんと入れているのです。七百四十九機、基本年コスト一九七六年七十六億一千万ドル、その他八二年までに四十九億ドルのエスカレーションがある。合計百二十六億ドルです。こうなっている。この資料にエスカレーションの部分はどうなっているのですか。ない。あるいは、補用品込み七十億円となっておりますけれども、この補用品込み七十億円も、たとえば今度の第一次導入の経費、米政府から直接買い入れるFMS八機の価格が何ぼで、ノックダウンの価格が何ばで、ライセンス生産七機の価格が何ぼだということも書いてない。あるいは米政府工場渡しの価格は千三百七十万ドルと言われております。この千三百七十万ドルは基本会計レート、一ドル二百六十円で計算すると三十五億円です。その差は何であるのか。これも書いてない。あるいはF15のコストを考える場合は、飛ぶ経費が要るのです。運用費というものが。油の経費、人件費、いろいろなものがある。その全プログラム価格が何ぼであるかも書いてない。  その他、お尋ねしたいことが幾らでもありますが、F15をライセンス生産することによってわが国の航空産業にいかなるライセンスが、技術導入があるのか、ライセンス、リリース、アビリティーというものがどのくらいなのか、ほかの戦闘機と比較してどうなのか、それもこの資料にはない。  そういったものをトータルして費用対効果と言うにもかかわらず、費用対効果はこのたった一枚の紙である。これは幹事長が御質問したとおりです。この問題は、国民の皆さん方が非常に重大な関心を持っている対象であるだけに、私はこれだけの資料では納得できない。具体的な経費の提示、たとえばF15なら、今後十年間にこれだけのお金がかかる、しかしそのときはこれだけ対処力が増す、F16なら今後十年間にこれだけの経費で済むが、それにはこんな欠点がある、そういう説明がなければ国民理解は得られない。性能的な、具体的な数値は出すけれども、経費的な数値は公表できないという理由は、私はないはずだと思う。  こういった点について、きょうはもう時間がありませんから、資料要求を改めていたします。この前、幹事長も資料要求をいたしましたが、いま私がお尋ねしたような点については答えておりません。資料要求を改めていたします。いかがでございますか。
  164. 間淵直三

    間淵政府委員 ただいま先生が御要求なされましたFMS単価であるとかライセンス生産の単価とかいうものにつきましては、すでに資料ができておりますから御提出いたします。  それから、前半の費用対効果につきましては、ただいま修正作業を行っている段階でございまして、それができ次第、できるだけ早く御提出したいと思います。(中川(秀)委員「エスカレーションは」と呼ぶ)  エスカレーションにつきましても、一言御説明申し上げますと、昭和五十三年度の契約単価でございまして、これは昭和五十七年に最後の飛行機が入ってくることになっておりますけれども、その間の物価の騰貴、価格の上昇というようなものは見込んであるわけでございまして、五十八年度以降のものについては、価格の上昇その他が非常に不確定でございますから、見込んでない価格でそのまま転がして一応試算したのが七千四百億円、そういうことでございます。
  165. 中川秀直

    中川(秀)委員 いまお話しになったように、百機のうちの二十三機分だけ物価上昇率を見込んでいる。昭和五十七年度以降は物価はもっと上がっているはずなんです。米政府でさえ四割強のエスカレーションを見込んでいる。その経費は入らないで総経費は七千四百億円、そんな話はないでしょう。私はそう思いますが、いかがですか。
  166. 間淵直三

    間淵政府委員 昭和五十八年以降の物価の上昇その他がどのくらいになるか、あるいは経済変動がどういうふうになるかという予測は非常にむずかしいわけでございまして、従来の経緯から見ますと、大体労賃の上昇の半分くらい、それから物価、GNPの七割くらいの価格上昇が従来の経験ではあるわけでございますが、そこら辺、五十八年以降何%の物価の上昇なり人件費の上昇を見込むかという、非常にあやふやな仮定でございますれば単純に、算術的に出てくるわけでございますが、そこら辺の予測が非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、ただいま予想し得る範囲の五十七年の価格をもって試算をした数字が七千四百億、そういうことでございます。
  167. 中川秀直

    中川(秀)委員 その五十七年度以降のエスカレーションを見込んだ数字をぜひはじいていただいて、資料要求をさせていただきたいと思います。  いわゆる一%防衛費の論議が盛んでございます。政府の御答弁では、GNP一%内の防衛費は五十七年度まで可能だ、こうなっておりますけれども、私は、いまのF15のエスカレーションあるいは防衛庁がいずれ導入をしたいと考えております早期警戒機AEW、あるいは先ほど防衛局長も装備局長お話しになりましたが、やはりPGMを考えなければならぬという経費、あるいは将来F15をもう一編隊追加しなければならないという事態になるかもしれないということも言われている。果たしてそういうものをトータルしまして五十七年度まで本当に可能なのであろうか、あるいはそこから先はどうなのであろうか、私は一つわからない点があるわけであります。  そして、もう一つ大事なことは、基盤防衛力構想について、そういった一%とかいうものにこだわる議論ばかりしていて、基盤的というのは何か防衛費一%イコールである、そういう論議ばかりなされている、私はそこに非常に問題があると思うのです。もちろんわれわれもGNP一%未満は、前述の、申し上げましたPGMのような効率のよい装備でできる限り守るべきだと思います。しかし、そのことだけで、単純にこの論議だけをするのではなくて、その一%を守るにせよ超えるにせよ、わが国に対する脅威は何であってどうであるのか、どう対応しなければならないのかという先ほどの論議が最初にあって、それからどうであるかという議論をしなければ意味はないと思う。先ほどのシミュレーションだってはっきりしている。ひとつぜひともそういう考え方で今後御検討いただきたいと思うのであります。  いよいよ時間がありません。その他、わが国の防衛を本当に考えようとするために、現行の法制度では何もできないではないかということもお尋ねすべく準備をしてまいりましたが、時間がありません。せっかく外務大臣がお越しでございますから、外務大臣にちょっと防衛と外交の関連の問題についてお伺いをしたい。  いわゆる日中平和友好条約の関連にもなるわけでありますけれども、覇権の問題、覇権主義の問題であります。日中平和条約に対するソ連の態度、一番気にしているのは、日本がこれまでの中ソ等距離を転換するのじゃないかということではないかと思うのです。懸念は。これは私の主観でありますけれども、そう思う。わが国はそれに対して、一方の気を引くために一方に流し目を流すような、そんな小手先の対応ではだめだ。両国に対して全く同じ平和国家立場から同じことを言うべきだと私は思うのであります。一こういう見地からしますと、覇権主義反対、覇権反対というのは世界の平和を希求する者にとって理想とすべき当然の理念です。これについては、米中間でも上海コミュニケで各国の覇権に反対する、自分たちは覇権を求めないと入れている。いま一つ重要な点は、その上海コミュニケ、二七年の二月に結ばれた米中共同コミュニケの同じ年の六月に、ブレジネフ・ソ連の最高首脳とニクソン米大統領がつくった米ソ関係の原則に関する共同声明というのがある。この第十一項を読んでください。ちゃんと覇権反対を米ソ間で言っているのです。何も日本だけが遠慮することは一つもない。米中共同コミュニケあるいは米ソ関係の原則に関する共同コミュニケと同じ精神で日中平和友好条約の覇権問題を処理すればいい。ソ連も文句を言えないはずだと思います。  それと同時に、日中平和友好条約を締結したその日に、あるいは次の日に日中双方でソ連に対して覇権反対の声明をしようじゃないかということを持ちかけてみたらいかがでしょうか。日ソ双方は世界の至るところで、なかんずくアジアにおいて覇権を自分たちの利益のためには求めない、第三国の覇権にも反対をする、これにはソ連も反対できないと思います。なぜなら、反対すれば、おまえは覇権を求めるかと言われてしまうことになる。米国と覇権反対をやったことがなぜ日本とはやれないかということになる。私は、そういう論拠が当然あると思うのでありますが、外務大臣、お答えを伺いまして、時間が参りますので、お尋ねを終えさせていただきます。
  168. 園田直

    ○園田国務大臣 御指摘のとおりでありまして、平和を願う世界各国の通念は覇権反対でありまして、いささかの異論もないと存じます。  日中友好条約が幸いにして締結された翌日、ソ連に行って覇権反対を提案することは、事実上としては困難でありますけれども、それはすでにソ連にはそういう意味のことは言ってありますので、これは御意見のとおりであると考えます。
  169. 中川秀直

    中川(秀)委員 ソ連政府に言ったということですが、それはどういうことでしょうか。ちょっと内容がよくわかりませんので……。
  170. 園田直

    ○園田国務大臣 米国、その他の国々ばかりじゃなくて、日本もいままでのたびたびの会合あるいは共同声明で、覇権反対という言葉は使わなくてもその意向は通じてあるはずである、こう思います。私のこの前の訪問の際にも、そういう意味の話し合いはしてございます。(中川(秀)委員「やろうという話し合いはしてあるわけですか。」と呼ぶ)やろうということではなくて、覇権反対というのは世界の通念であるという話はしてございます。
  171. 中川秀直

    中川(秀)委員 質問を終わります。
  172. 中野四郎

    中野委員長 これにて工藤君、中川君の質疑は終了いたしました。   これより理事会協議による保留分の質疑を行います。岡田春夫君。
  173. 岡田春夫

    岡田(春)委員 若干前回残してございますので、総理にお伺いをしたいと思いますが、LNGのバスケット問題、デノミとの関係について、まず政府の方での御見解をお伺いいたしたいと思います。
  174. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 インドネシアから輸入いたしますLNGの輸入価格につきましては、いわゆる通貨調整の方式が導入されておるわけでございます。  その、要領を簡単に申し上げますと、一定の基準日における対ドル為替レートと実際のLNGの取引が行われた時点での対ドルレート、この両者間における対米ドルレートの変化率をまず出しまして、それを十一カ国通貨のそれぞれについて計算をいたすわけでございます。その算術平均値をFOB価格に相当するLNG要素に乗じまして、それをもって通貨の調整金額といたす、こういうことになっております。インドネシアからのLNGの輸入代金の支払いは、御承知のように、米ドル建てで行われておりますし、かつ二十三年間に及ぶ長期のものでございますので、その間において米ドルの価値の変動があった場合、そういった場合に、インドネシアの資源の実質的な価値の保持を図る、こういった趣旨で設定されておるものでございます。  このような通貨調整は、十一カ国の対ドル為替レートの変動に反映されます米ドルの実質的価値の変動に対処するために設定されたもの、こういうふうに理解いたしておるわけでございますが、デノミネーションが行われた場合におきましては、プルタミナ側と日本側の五ユーザーとの間におきまして、デノミなるものが単なる通貨の呼称単位の変更であるという、そのデノミネーションの性格を最も適切に反映させるような単位をどう定めるか、両者間で協議をいたすわけでございます。その結果、相互に合意する単位で調整を必要とする際にこれを使用する、こういうふうになっておるわけでございます。  かような意味からいたしまして、デノミネーションが行われた場合でございましても、その結果としてLNGの価格には変更を生ずることはない、かように考えておるわけでございます。
  175. 田中敬

    田中(敬)政府委員 ただいまエネルギー庁長官が申し上げましたように、いわゆる十一カ国通貨のバスケット方式というものは、ドルの各国通貨に対します実質購買力の強さ弱さを反映して、インドネシア側の受け取る金額というか、実際のドルの価値を保証しよう、こういう趣旨でございます。  そういう点からいたしますと、デノミというものは、これは平価の切り上げでも切り下げでもないわけでございますので、契約条項の中身からいたしましても、これによってLNGの輸入価格が変わるものでないというふうに考えます。  少し平たく申しますと、仮に百分の一のデノミを行いました場合に、対ドル換算率が従来の一ドル二百四十円から二円四十銭に変わります。そうしますと、ドルが円に対して価値が下がったように一見見えますけれども、しかしデノミによって為替換算率が変わるほか、国内の商品価格、たとえば従来二百四十円いたしたものが二円四十銭になるわけですから、実質購買力は変わらない、こういうことでございますので、実質購買力の変化に応じて調整する規定というものがあります以上デノミを行っても、LNG価格には影響ない、かように信じております。  それからもう一つ、しからば一方的にデノミを宣言をした場合に、相手国あるいは世界が、それは平価の切り上げと混乱するおそれがあるという先生の御疑問につきましては、従来、戦後デノミを実施しました国につきましては、デノミを実施する際にはIMF当局に通告をいたしております。それからIMFの当局から、各国、理事国に対しまして、その国のデノミを通報するような仕組みになっております。今後、旧IMF協定あるいは今後発効するでありましょう新IMF協定によりましても、そのような措置がとられるものと思われますので、わが国といたしましても、当然IMF当局に通告をいたします。  また、このLNG輸入契約が私契約でございますので、輸入者側であるわが国企業が、輸出者側であるプルタミナに対しまして、平価切り上げではない、単なるデノミだという通報もいたすものと思っております。しかし、それでも心配な場合、もし誤解が起きるといけませんので、その際の状況に応じまして、わが国から相手国にその通報が必要であるということであれば、通貨当局といたしましても、その通報をすることにやぶさかではございません。
  176. 岡田春夫

    岡田(春)委員 総理、いまのように呼称変更だけであるという場合においても、いま大蔵省が答弁したように、IMFを初めとしてバスケットを採用している関係国に対して事前通報なり事前協議をしなければならないことになっている。ですから、問題は、そういうことがもし行われないとするならば、これはLNGに関する限り、バスケットをとっている限りにおいては、これは上がるわけであります。上がるのですよ。上がらないということにはならない、さっきの答弁で。こういう点は、総理、よく御留意をいただかなければならない。  なぜならば、石油の問題についても、二月の一日にOPECの主要諸国で、大体サウジが中心になりまして、バスケット方式をとろうということで、五カ国のバスケット方式をとるということがいま進んでいるわけであります。しかも、サウジでは、これをわざわざ名前まで、いわゆる呼称までつけて、オイルダラーあるいはオイルリアル、こういう名前でやろうではないかということまでなっているのです。  第三世界は、これからドルがますます下がる限りにおいて、その反面においてバスケット方式をとらざるを得ない、そういう方向にくるわけですから、デノミをあなたがおやりになるというような場合において、単に国内措置だけでこれは決められる問題ではないわけであります。いま大蔵当局の理財局長答弁したとおり、関係国にこれを通達しなければそのような形で上がってしまうということになるわけなんです。こういう点は十分御留意をいただかないと、単に呼称変更であるということだけでは済みませんから、その点はいまの答弁を御確認の上で十分御注意をいただきたいと思うわけです。  そしてまた、どうもデノミ問題についても、必ずしも一十分PRが進んでいるわけではない。たとえばこの間の答弁を聞いておりましても、理財局長は、バスケットの指数計算の中にはデノミの問題は考えに入れておらなかったごとき答弁をしております。ですから答弁できなかったわけですが、こういうような事実を考えましても、そればかりじゃありません。ある大きな経済新聞なんかでも、何かこういうように書いています。呼称が変われば算式も変更することは当然必要になる、こう書いてあるのだが、算式は変わらないのですよ。これは、こういう点から見てもデノミ問題のPRはまだまだ十分行われておらないし、大蔵省当局も研究が不十分である。あなたがもしデノミということをあくまでも実行されるというならば、そこは慎重な態度をもって十分御検討の上で実施されることを強く希望いたしたいと思います。その点についての御見解を伺っておきたいと思います。
  177. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 デノミはまだ政府としてこれを決めておるわけじゃないのです。政府としてデノミをやりましょう、こういう決意表明、デノミ宣言というものをいつするか、これはまだその段階に来ておらない。その宣言におきまして、一年半か二年ぐらいいろいろ準備がその後かかるわけでございます。だからデノミが実施されるのは、いずれにしても相当先の話でございますが、しかし、デノミを実施するというからには、くどくど私が申し上げておりまするように、物価また国際収支、それから景気、こういうものの安定、これが前提条件だ、こういうことであり、かつデノミについて正しい理解と認識を、これは国民が持たなければ困るわけであります。また同時に、国際社会におきましても、日本がこういうデノミをやる考えであるということにつきまして、理解と認識を得るということも必要なので、その辺は万々抜かりなくやるべき問題である、このように考えます。
  178. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これで、私は、いまの国内経済というのは世界経済と不可分の関係にある、このことがデノミ問題によっても明らかになったと思うのですね。そういう点で、経済の福田とおっしゃるのだが、単に日本経済だけの福田では困るのであって、世界経済全体の中で日本経済を位置づける、こういうことがきわめて重要な問題であるということを御認識いただきたいと思うのです。  そこで、世界経済の問題でございますが、この間十六日に、日中民間長期貿易協定、これを結ばれて、それに基づいて十七日には総理大臣と河本通産大臣、園田外務大臣、安倍官房長官、御相談をいただいて、中国の石油を長期的に入れる、五年後には一千五百万トン入れる、こういう問題については、当然重質油でございますからこれの分解施設をつくらなければならない、こういう問題が出てまいっております。そういう点について福田総理も、これはぜひやらなくちゃいけない、こういうことで、国家的なプロジェクトとしてもやらなくちゃいけないという方針をお決めになったそうでございますが、この点について簡単でも御見解を伺っておきたいと思います。
  179. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 政府といたしましては、稲山使節団が行きまして日本財界と中国との間にできましたいわゆる貿易の長期取り決め、これは歓迎すべきことであり、これが実施ということになりますると、また民間だけではいけない分も出てくるから、その際には政府としてもこれを積極的に支援しよう、こういう打ち合わせをいたしたわけであります。そういう中で一つ具体的に問題になりますのは、中国の重質油をわが国において精製する、その施設が今日不足をしておるわけであります。その不足をどういうふうに補うか、こういう問題が出てくる。そこで、そういうことも日中間に出てこようか、こういうことをおもん。ばかりまして、五十三年度の予算では、そのような問題につきましていわゆるフィージビリティースタディーをするということも必要になってこよう、こういうので調査費を予算に計上しておるのです。それを使いましてこの問題をどういうふうに具体的にさばいていくかということを検討しようというようなことを大体合意を見ておる、政府部内において合意を見ておるということでございます。
  180. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もう契約と同時に入ってくるわけでございますから、早急にその施設を政府としてはやっていただきたい。  そこで、先ほどの報道によると、きょうあなたは自民党の幹部の人にお会いになったそうですか、その会談の中で、日中の交渉問題について、先週の土曜、佐藤大使に対して新しい指示を与えたということをお話しになったそうでございますが、その新しい指示といわれる内容はどういうものでございますか。
  181. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 御承知と思いますが、去る十四日でありましたか、北京駐在の佐藤大使が中国外交当局と会談をいたしておるわけなんです。韓という外交部次長の方であります。その報告を私ども受けておるわけです。その報告を受けた政府といたしまして、なお中国の外交当局と会談を進めて、交渉開始の段取りを詰めてもらいたいという旨の指示を土曜日にいたした、こういうことで、それをきょう来た自民党の議員諸公に申し上げた、こういうことでございます。
  182. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そうすると、もう少し詰めてきなさい、こういうことを指示をされた、それは土曜になさったわけでございますね。そうですね。
  183. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 さようでございます。
  184. 岡田春夫

    岡田(春)委員 まあ総理が交渉再開へのめどを詰めようとしてそういうようにやっておられる、そういうことで総理の腹構えといいますか、お気持ちの中では、それが順調にいくならばひとつ交渉再開に決断しようというお考えだろうと思うのですが、大体それに対する総理としての腹構え、めどは、三月中にでもひとつ交渉を決断しようか、そういう方向に進んでいると理解してもよろしゅうございますか、どうですか。
  185. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 この問題は、施政方針演説でも、交渉再開の機が熟しつつある、こういうふうに申し上げたのですが、それは具体的にだんだんと機の熟する状態、これが進行しておる、こういうふうにごらん願っていいと思うのです。具体的に三月に交渉再開となるかどうかというようなお尋ねでございますが、私はなるべく早く交渉再開というように持っていきたい、こういうふうに思っているのですが、そういう状態にいつごろの段階になるかならないか、その見当がまだついておりませんけれども、その見当がつくような環境というものはもう相当熟しつつある、このように御了解願います。
  186. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もう時間がありませんのでこの程度で終わりますけれども、いまのお話を聞いていると、佐藤・韓念竜会談をもう少し詰めなさい、そしてそれによってもっと話ができるような方向へ持っていこう、三月中とは言えないけれども、できるだけ早く何とかしたいと。そうすると、今度の国会に日中平和友好条約締結の批准をお出しになりたいというお考えで急いでいらっしゃるのですか、どうなんですか。
  187. 福田赳夫

    ○福田内閣総理大臣 私は、この問題はなるべく早く決着に持っていく、こういうことが日中両国のために、またアジアの平和のためによろしいことじゃないか、そのような認識でございます。ですから、いつ幾日というふうに皆さんがお聞きになるのでございますけれども、それに対しまして、具体的にいつ幾日というふうにはお答えいたしませんけれども、私の気持ちはなるべく早いがいい、こういうことでございます。
  188. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これで終わりますが、総理のそこら辺がまだ踏み切ってないのじゃないかという感じを与える一つになっているんですよ。やはりここで、私の気持ちとしてはこうしたいんだ、しかしこれは交渉ですから簡単にはいきませんけれども、こういうお話ならばわかるのだけれども、どうも最後のところですかっと変わるんですな。やはり私は総理の決断を要求したいと思います。日中間の問題が日本にとって今後の最大の課題であるという御認識の点については、これは私もあなたも変わらないと思いますので、あなたが最後になってすっとしり切れトンボにならないように、ここではっきり念を押しておきますよ。あなたの時代に、しかもなるべく早い機会に交渉の再開ができることを強く私も要求して、もうこれ以上時間がありませんから、質問を終わらせていただく。特に御見解でもあれば伺って結構でありますが、何もありませんか。
  189. 中野四郎

    中野委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。  大内啓伍君。
  190. 大内啓伍

    ○大内委員 私はさきの二月十三日の質問におきまして、実質成長率七%と並びます五十三年度の経済運営の基本的な柱ないしは数字でございます経常収支の六十億ドルという数字が、単なる作文上の数字合わせではないかという懸念を表明をいたしました。そしてその数字の根拠を示すように政府に求めたわけであります。そして本日ここに「昭和五十三年度国際収支の見通しについて」という政府側の資料をいただいたのでありますが、これを拝見いたしまして、残念ながら私の懸念というものが事実であったように思うのであります。恐らく経済企画庁長官もこの国際収支見通しについて、経常収支六十億ドルは絶対大丈夫だという御確信はなかなかお持ちになれないのじゃないかと思うのです。  そこで私は、お伺いをする前に、なぜそういうふうに考えるのかということを申し上げてみたいと思うのであります。  まず第一に、この経常収支六十億ドルという数字の算定は、これは政府が出した算定でありますが、昨年あるいは一昨年と大変な間違いを犯した算定方式そのままを踏襲されまして、単にマクロ計算に基づいてはじき出された数字にすぎないということであります。これは経済企画庁長官もそうお思いになると思うのでありますが、たとえば鉱工業生産指数一%が予想より狂いましても、もちろん一遍に崩れてしまう、つまりたくさんの不確定要素を前提として、その前提が狂ってしまいますと直ちにこの六十億ドルというのが崩壊してしまうという、言うなれば砂上の楼閣に立った、余り信憑性がない数字であるということが第一であります。  第二に、私が六十億ドルの基礎として求めたものは、過去の数字がどうなっているかということではなくて、その六十億ドルを形成する七八年度の輸出入の見通し、なかんずくそれは品目別の見通しというのが非常に重要なんであります。それからさらには、アメリカやEC、中近東など主要地域の通関収支見通し、こういうものが必要であったわけでありますけれども、今回政府から出されましたこの資料を拝見いたしましても、過去の実績は載っているのであります。一九七五年、七六年、七七年はどうであったということは載っておりますが、私の求めた数字というのは、むしろ七八年については大体どういう見通しになるのだろうかということをお伺いしたのですが、その肝心の数字が全く皆無である。したがって政府がここでも述べておりますように、貿易収支の三十億ドルの黒字の縮小を図る、あるいは輸出増は七%伸ばして五十五億ドル伸ばす、あるいは輸入増は八十五億ドルで十三%増を実現するといったようなそれらの数字というのは、いずれもマクロ計算でございまして、したがって積み上げられた信頼すべき数字では全くないということは、これは経企庁長官もお認めになると思うのであります。特に経常収支六十億ドルを達成する上で重要な要素は、一つはやはり輸出見通しなのでありますが、政府の言うように予定どおり七%に抑えられることが必要なのでありますが、それはやはり一つは輸出プレッシャーをどういうふうに見るかということだと思うのです。その面を見ますと、内需がなかなかそう急に上がらないという情勢の中で在庫率が減らないという可能性の方がやはり強いのじゃないだろうか。もう一つは、内需急上昇が見込めない状況のもとでは、企業の出血輸出というこれはなかなか激しい。現に繊維等を中心にこれは相当の勢いなんであります。したがってこの輸出プレッシャーに対する見方というのがどうも政府は甘い。というごとはもうすでに数字で実証されているのです。というのは、たとえば昨年の、五十二年の十月から十二月の輸出というのは二百五億ドルでございました。このペースでいきますと、五十三年の一−三月の輸出予想額というのは大体二百二億ドル前後です。ところが、いまの実勢というのは、経済企画庁長官もよく御存じのとおり二百十五億ドル近辺いってますよ、いまのペース。つまり、政府が立てた五十三年の一−三月の見通しももう十億ドルも狂おうとしているじゃございませんか。これはやはりまず第一、輸出の見通しがもう春先から狂い始めている。  第二の問題は、やはり輸入の見通しだと思いますけれども、輸入の八十五億ドル増を達成することは、まず主要国別の見通しというものを出さなければなりませんけれども、これはもちろん経企庁の計算の一つの方法論の中にないわけでございますから、したがってそういう主要な根拠が、六十億ドル達成すると言いながらやはり欠落しているように思うのです。思うのですじゃなくて、事実関係がそうだと思う。それで資料は、輸出増一三%を達成する内訳として、たとえば価格上昇分は五%ぐらいになるでしょう、数量増加分は七%ぐらいと見込んでおりますけれども、その数量増加とは一体何でしょう。一つは石油とか原材料でしょう。もう一つは、たとえば鉄鋼みたいな主要原材料ですね。いま鉄鋼の在庫が減る条件ありますか。ないでしょう。この間、塚本質問で半製品の備蓄をやれと言って、では検討しましょうと通産大臣はおっしゃっておりましたけれども、これを一挙にやるのはなかなかむずかしいでしょう。ですから、たとえばその在庫を減らす、つまり輸入素原材料の在庫率を減らすといったって、の在庫を減らすこと一つ不可能じゃないでしょうか。とすると、輸入の一三%増という数字もなかなか根拠が薄弱である。そういう意味から、輸入八十五億ドル増を達成するためには、たとえばこれまでの対米あるいは対ECの通商交渉一つを見ても明らかなように、やはり相当政策決定を必要とする。これはこの間の委員会でも私は非常に強調したのであります。つまり、経済企画庁がやっているようなマクロ計算だけでは八十五億ドルの穴埋めというのはとうていできない。そして、もし自然の成り行きでそれをやろうとすれば、石油や原材料の輸入増でカバーしなければならない。そうすれば、アメリカやECとの貿易の不均衡、インバランスという問題がペンディングとして残って、私の見通しではまた夏ごろから再びこれが国際問題化してくるのではないかという懸念が非常に強い。そういう意味から言いますと、経常収支六十億ドルという数字は、経企庁長官もおわかりのように、いまや国際信義にかかわる重要な数字なんでありまして、したがって、昨年の轍を繰り返すことは許されないと思うのであります。  ですから、そういう轍を繰り返さないためにも、日本が、経済企画庁が立てた経常収支六十億ドルの達成に向かって、通産省も農林省も運輸省も、政府、全官庁というものが挙げて協力し合わなければできはしませんよ。経済企画庁長官は、マクロの計算でできるでしょうと言ったけれども、自信がないと思うのですよ。ですから私はそういう意味で、いまからでも遅くないから経常収支六十億ドルの積み上げ計算を各省庁協力によって真剣に行い、この数字の信憑性というものを確立することが重要な条件だと思うのでございますが、経済企画庁長官、大蔵大臣の御見解をお伺いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのであります。
  191. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 お手元に資料を提出申し上げましたが、これが過般大内委員が言われました問題すべてを解決しておるものでないということは申し上げざるを得ません。御理解いただきましたように、私どもの輸出、輸入の見通しはマクロでいたしておりますので、これを地域別、品目別に積み上げたものではないということは、もうおっしゃるとおりでございます。そのような作業が実際なかなかできないということが現実でございますが、御参考に幾覆るかと思いまして、一九七七年までの品目別、地域別の輸出、輸入についての数字をお目にかけたわけでございます。  それで、これからの問題でございますが、輸出につきましては、ただいまお話を承っておりまして、確かにただいままでのところいろいろな理由から輸出の圧力というものは減っていないということは、最近までの時点でそのとおりでございますが、現在のような二百四十円というレートの中で、精密機械とか輸送機械のように結構非価格競争力があるものもございます。しかし、他方でこのレートは、現実に今度は成約の問題として出てまいりますのはこれから一、二ヵ月のことでございますから、そのような競争力のないものについて輸出がさらに伸び続けるのであろうか。まあ一方の見方では、やむを得ず出血でも内需が起こらない限りせざるを得ないではないかという、そういう御見解もございますけれども、いかにもしかし二百四十円では無理だという産業もあるのではないかとも存ぜられますので、輸出については、ある時期から鈍化の傾向が出てくるのではないかというふうに私としては実は思っておるわけであります。  問題は、あるいは輸入の方がむしろ大きな問題ではないかと存じますのは、先ほど鉄鋼のお話がございました。私ども、鉄鋼の在庫そのものは三月ごろには六百七十万トンという見当をつけたところに落ち込むと思っておりますけれども、しかし、そうかといって高炉の操業率がそれで上がるわけではございません。しかも原材料の在庫は非常に重うございます。ですから五十三年度中に原材料を中心にした輸入がどれだけ伸びるかということは、基本的に私ども考えておりますような経済運営がなされていくかどうかということにかかってまいるので、この辺はなかなか輸入の方にやはりむずかしい要因があるかもしれないというふうに考えております。  もとよりその間、緊急輸入等々でできるものは何とかいたしてまいりたいと思っておりますし、また貿易統計は毎月出ますので、それを見ながら、どうも歩みが思ったとおりでないということになりますれば、さて政府としてどのようなことをすべきかは当然その段階考えなければならない、かように考えております。
  192. 村山達雄

    村山国務大臣 今度の予算編成に当たりましては、もうたびたび申し上げましたように、対内均衡と対外均衡を整合的に進める、これが主題目標でございます。もとより将来に属する問題でございますけれども、われわれは、財政金融政策を通じまして機動的に対処しまして所期の目的を達成したい、かように考えておるところでございます。
  193. 中野四郎

    中野委員長 これにて大内君の質疑は終了いたしました。  次に、多賀谷真稔君。
  194. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 先般私は、公共事業において十七万人の雇用造出を見るという答弁をいただきましたが、実は地域別に見ますると、有効求人倍率が愛知県のごときは一・二一、沖繩は〇・〇七、こういうことで非常に差があるわけであります。地域的に失業の率が非常に違うので、それについてどういうように配分をするか、これはきわめて重要な問題であります。そこで、これについては実際上どういうようにおやりになるのですかと、こう聞きましたら、資料がなかったわけでありますが、これについて御答弁を願いたい。  それから、十分しか時間がありませんから続いて、失業者の多い地域あるいは中高年齢者については、特定地域における措置として、来た公共事業のうちでなるべく中高年を使うとか、あるいは今度の特定産業の離職者を使うように、いわば吸収率というのがあるわけであります。しかしこれは公共事業が来た場合の吸収率でありまして、その公共事業を多くするかどうかということは、残念ながら日本の法律体系の中にはどこにも出てこない。要するに失業者の多い地域には多く配分をするという基本問題がどこの法律にもない。そこで私が質問をしておるわけで、一体この点についてどういうように配慮をするつもりであるのか、関係大臣から御答弁を願いたい。
  195. 村山達雄

    村山国務大臣 去る二月十四日の本委員会におきまして多賀谷委員より重ねて御要求のありました、公共事業等の直接労働需要量の都道府県別内訳にかかる資料についてでありますが、残念ながら現段階においてはその作成が不可能でございます。  その理由を申し上げますと、まず基礎となるべき事業量の地域別、個所別配分は、公共事業の施行促進のため、事前の準備は進めさせていただいておるのでございますが、確定的な数値等は、財政法第三十四条の二の規定により、支出負担行為実施計画の策定、承認を待って初めて決定されるものであります。支出負担行為実施計画の策定、承認は予算成立後に初めて可能となるものであります。一部、予測数値を含む不確定の配分案をお示しすることは適当でないと考えられますし、また事務的にもきわめて困難なことでございます。  さらに、支出負担行為実施計画の策定に当たりましては、最新の諸事情を踏まえて事業の効果的執行を図ることとしておりますから、必ずしも予算成立直後に全事業量について一度に策定するものではなくて、むしろ諸般の情勢に応じ数回に分割して行うのが通例でありまして、その後の諸情勢の変化に即応して弾力的に変更されることもあるものであります。  以上のように、多賀谷委員御要求の資料を作成することは、現段階では不可能でありますが、御要求の趣旨が、公共事業の事業費配分に当たり地域別の雇用情勢を十分考慮して行うべきであるというところにあることは十分承知しておりますので、公共事業等施行推進本部の場を通じて、労働省と事業実施官庁との連絡を密にするとともに、都道府県の段階におきましても、事業所管部局と労働所管部局の密接な連携のもとに事業の補助申請を行うよう指導しており、これに基づく申請に対しては優先的に配意するよう努めてまいりたいと存じておるところでございます。
  196. 中野四郎

    中野委員長 なるべく答弁は簡単に。
  197. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 それでは簡単に。  公共事業への失業者の吸収問題につきましては、従来も関係省庁と連絡を密にしておりましたが、ただいま大蔵大臣から御発言がございました線に沿い、御案内の公共事業等施行推進本部、この場を通じまして関係省庁と密接な連絡をとって、失業者の多発地帯の状況をよくその場に反映をする。それから府県段階におきましては、府県段階で労働主管部局と連絡を密にして、そしてまた県段階における事業関係部と密接な連絡をとり、町村段階におきましては、原則は職業安定所単位に、県の出先機関とそして市町村、これと地域の雇用協議会をつくりまして、そして公共事業への失業者の吸収を図るように万全を期したい、このように考えております。
  198. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労働大臣、特定不況産業安定臨時措置法案を近く出される予定であります。これにつきましてはもうすでに若干質問があったと思いますけれども、首切り法案ではないか、あるいは解雇を容認するものではないか、こういう批判が出ておることは御存じのとおりです。  そこで、これに対していかにしてチェックをするのか。これは御存じのように炭鉱等の買い上げ閉山の場合は、組合の同意を必要とした。そうして事実上混乱なく来た。ですから、いわば組合の同意書がなければ買い上げができない仕組みになっておる。それはこの石炭鉱業合理化事業団の業務方法書に書いてあるわけです。すなわち、これは「調査に関する労働組合の同意書」、同意書がなければ買い上げの申請ができない、こういう仕組みになっておる。しかし実際、労働組合の反対があってできなかったか。そうでない、事実上、これはきわめて円満にいった。ですから、現場の労働者が一番知っておるのですよ。これは反対をしてみても会社がどうにもならないのじゃないかとか、仕事はないとか、いや、これはやがて仕事がくるとか、一番知っておる。ですから、今日少なくとも雇用を何とか確保するというのが最大の問題であるならば、この新しくできる法案に、組合の何らかの形の同意というものが必要ではないか、廃棄するわけですから。すでに日本では経験済みである。現在日本の法制の中にある。これについて一体どういうようにお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。
  199. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 今度の通産省から出されます特定不況産業安定法の法案の準備が現在大分煮詰まっておりますが、先般通産大臣とも協議をいたしまして、雇用の安定、確保ということにつきましては、法に明記する、同時に基本計画あるいは設備の共同処理、こういった問題については労働省と事前に十分協議をする、こういう話し合いをいたして意見の一致を見ておりますから、御説のような線に沿うてスムーズに問題が処理されるというふうに期待いたしておるわけでございます。
  200. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 出てきた労働者の再就職のお話ではないのですよ、私が言っているのは。首を切られた後の話をしているのじゃない。ですから、首を切られる、すなわち、この廃棄によって整理をされる者が出るという場合には、組合の同意書が必要ではないか、こういうことを言っておるわけであります。これについては、ひとつ再度御考慮をお願いいたしたい。これは法案の内容を見て、後日また質問をいたしたいと思います。
  201. 中野四郎

    中野委員長 これにて多賀谷君の質疑は終了いたしました。  次に、只松祐治君。
  202. 只松祐治

    ○只松委員 前回の質問のときに、防衛庁の装備局長から出されました通達に「徴収」という項があるのは、これはきわめて恣意的なものであって、一省庁がこういうことをすべきではない、厳密に言うならば違法行為である。それに対して、違約金というような解釈もなされましたけれども、根本的には違約金と違う、こういうことで理事会扱いということになりました。これに対するお答えをいただきたいと思います。  私はそのときに、「徴収」という言葉を取るべきだ、こういうことを前提として御論議を申し上げておりますので、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  203. 金丸信

    ○金丸国務大臣 そのときの「徴収」という問題につきましていろいろ論議はあったわけでありますが、正確に答弁いたしたいと思いますから、読み上げます。  ロッキード事件にかんがみ、誓約書は過去における不正行為の有無を確認するとともに、将来における発生を予防せんがため提出させたものであり、この提出の有無を機種選定の一つの参考資料としたものである。  この誓約書において「徴収」という言葉を用いているが、このことは強制徴収権という意味ではなく、あくまでも契約関係上における相手方の納付義務を定めるための表現にすぎない。  したがって、この誓約書によって相手方の負う義務は、あくまで民事上の義務であり、刑法等におけるような罰金的性格を有するものではない。  こういうことでございます。
  204. 只松祐治

    ○只松委員 民事上の問題でありましても、これは金銭を伴うものであるわけでございます。したがって私は、防衛庁という一省庁だけではなくて、たとえばこの通達が大蔵省の国税局長通達、こういうようなことになれば、これはたまたまダグラスとの契約あるいはそういう問題で限られておるように見受けますけれども、こういう通達というものが一省庁によって恣意的に出され、しかも片一方は百万円しか贈賄はしておらない、もし発生した場合、片方は一億円だ、こういうふうに双方の意見が食い違ったりしたような場合には、民事上の問題であっても財産権の侵害になる、こういうことで私は、厳密な解釈をする上においてひとつ御撤回をお願いしたい。これはすでに国際的な問題ですから、いまさら取り消すというようなことがどうしてもできなければ、少なくとも次回からはこういうことはしないというぐらいの明言をすべきであって、いまのような解釈による方法ではこの問題は解決しない、こういうふうに私は存じます。
  205. 金丸信

    ○金丸国務大臣 ただいまの先生のお話もよくわかるわけでありますから、今後そういうような場面におきましては、十分検討して対処したい、こう考えております。
  206. 只松祐治

    ○只松委員 それでは、次に私が提起いたしました問題は、その通達からこのF15とF14、16とは回答文が違うはずだ、こういうことを申し上げました。この席でF15の契約書のその誓約書を見せていただきました。時間がありませんから全文通読することができません。  いまこうやっていただきますと、この中にいろいろな問題点がございます。  その一つは、私が違ったと言っておった問題点の一つに、第二項の問題の価格調査を原則として受け入れる、こういうことがありまして、ほかのところにも原則という字がたびたびあらわれてきております。ところがF14、F16の場合にはそういう原則という言葉が一つも出てこないで、この一項、二項の問題を全面的に無条件に受け入れております。ところが、この通達によりますれば、「原価監査により最終価格を決定する契約方式をとるものとする。」ということに関しまして、監査を受け入れることを絶対条件にいたしておりました。したがってF14と16は無条件に受け入れておりますが、このF15は価格調査を原則として受け入れることを約束いたします。こういうことになっておる。原則と無条件受け入れとは根本的に異なってまいります。この点についてひとつ御明示をいただきたい。
  207. 間淵直三

    間淵政府委員 先生御指摘のように、私どもは誓約書の提出を要求いたしまして、関係三社から返答をいただいておるわけでございまして、その場合、もしおたくの戦闘機が採用になるというような場合には、この誓約書を公表することもあるべしという約束で提出していただいたものでございますから、全部をこの委員会に提出するということは御勘弁願いたいと思うわけでございますが、先生御指摘のように、ほかの二社のものに関しましては、原則として、インプリンシプルという言葉はないわけでございまして、この点を相手側と詰めたわけでございますが、相手方の言い分といたしましては、米国の会計法とかその他いろいろの関係と申しますか、非常に複雑でございまして、日本政府に対しましても、日本政府の要求するようなものは全部見せてくれるわけでございますが、アメリカの法律によっても、いろいろアメリカの政府にも提出しなくてもいいというような部分があるそうでございまして、そういう点を非常に良心的に考えますと、無条件でということはその良心に恥ずるというようなことでございます。そこら辺、ほかの各社のものと彼此勘案いたしまして、ほかの各社でも非常に理論的に詰めてまいりますとそういう点に遭遇するだろう、こう予想いたしたわけでございまして、したがいまして、私ども承知したい事柄については全部監査を受け入れるということで了承した次第でございます。
  208. 只松祐治

    ○只松委員 それならば、今後ひとつ問題が起こらないように、あるいは誤解を招かないように、少なくともこれは今後発生する問題でございますから、契約書の中から原則というものを取る、こういうふうにお答えいただきたいと思います。
  209. 間淵直三

    間淵政府委員 私どもの必要とする部門に関しましては、原則ということを入れさせないように処置いたしたいと思います。
  210. 只松祐治

    ○只松委員 三つ目の問題は、これは当面千六百十二億になっておりますけれども、このF15の値上がり、それからそれに伴いますナイキやあるいはいろいろな管制装置、そういうものを合わせまして、いわゆるトータル・プログラム・コストというものをお尋ねいたしましたが、これはすぐにはできない、こういうことでございました。今日に至るも詳細といいますか、微細といいますか、前提となるべきいろいろな問題でまだ未解決の問題あるいは未確定の問題がありますから、これは出ないのは、これまた当然でございます。しかし、少なくとも予算を提出する以上は、総体というものは把握しておらなければならないし、将来幾らかかるかわからないということでは、これは国民を愚弄することになります。通常、大体一兆五千億前後と言われておりますが、いまのままで進んでいけば、将来これは二兆も超す、こういうことになるだろうということを私は恐れてお尋ねをしておるわけでございますが、トータル予算として幾らになるか、お答えをいただきたいと思います。
  211. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 先生の御質問にございました内容について、私、この前のときにも御説明申し上げましたが、いろいろ不確定的な要素がございますので、維持費を含めてどのくらいかというのはなかなかむずかしい問題でございまして、私どもが三機種についてトータル・ライフ・コストをはじきましたときには、一応十五年間、F15につきましては百二十三機と、そしてその他のそれに伴う費用というもの、それに対応いたしましてF14あるいはF16というものは、同じ防空効果を上げるためにはもっとたくさん飛行機が要る、それに対する費用というのはどのぐらいかかるかというような形で比較した内容でございます。  そこで、現在国防会議で御決定をいただきましたのは、百機ということでございまして、これを十年間で取得して運用することになっておるわけでございます。したがいまして、現在、以前に計算しましたときと違う要素が二つございまして、一つは、為替レートが変わっております。もう一つは、整備の機数が百機というふうに変わっておりますので、この十年間の維持運用の費用といたしましては、私ども過去ファントムあるいはF104Jを運用いたしましたときの経験、それから性能の違いに伴って必要になると思われます修理用の部品あるいは修理に必要な費用あるいはその燃料費、そういったものを計算いたしますと、十年間で約三千億強というふうに見積もられます。したがいまして、この飛行機の購入費と合わせましてこの十年間のトータルの費用といたしましては、五十三年度の価格で一応一兆円強になるというふうに見積もっているわけでございます。
  212. 只松祐治

    ○只松委員 通常一兆五千億と言われておりましたが、きょうは一兆円強というふうに大変大幅な値下がりといいますか減額の発表がありました。私はそういうことではとても追いつかない、このことをこの場で断言いたしておきます。それは必ず上がってまいります。F4でありましても、当初購入価格十六億が現在三十二億円になっております。このF15は一機百億を超すことば必然でございます。そういうことを考え合わして、よくいままで、防衛予算がGNPの一%以内であるべきであるとかないとか、あるいは何年度にそれを突破するおそれがあるとかいう論議がなされております。時間がありませんから、最後に一言、防衛庁長官お尋ねをいたしますが、五十六年と言われておるときもあります。五十九年にGNP一%を突破するおそれがある、こういうふうにいろいろ論議されておりますが、こういう諸般の情勢から見た場合に、これも推測といいますか、その域を出ないだろうと思いますが、いま推測すれば、いつ一%を突破する可能性、危険性というものが出てくるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  213. 金丸信

    ○金丸国務大臣 この問題につきましては、前長官である三原長官も、四、五年と述べておるようでございますが、しかし私は、いわゆる経済その他世界情勢の変化のない限り、現状においてはその辺まで持っていけるという考え方を持っておるわけであります。
  214. 只松祐治

    ○只松委員 当面一%を突破することはない、また長官としては一%を突破させない、こういうお覚悟でございますか。
  215. 金丸信

    ○金丸国務大臣 そういう決心であります。
  216. 中野四郎

    中野委員長 これにて只松君の質疑は終了いたしました。  工藤晃君。
  217. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) この前伺ったことですが、四十八年十月九日内閣委員会で、そのときの久保防衛局長が、アジアにおける個々の部隊は核装備をしておらない、現実には核兵器を持っておらないと答弁している。これは現時点でもそのとおり考えておりますかと確認を求めましたところ、金丸防衛庁長官は、同じ考えであると答弁しました。その後、質疑の中で伊藤防衛局長は、シュレジンジャー元国防長官、恐らくと言うよりも、私たちが確めたところ、七五年六月二十日及び七五年七月一日、つまり現職のときに、韓国にも核弾頭があることを初めて認めた、こういうことにも伊藤防衛局長は触れまして、アジア全域については核があることを認める答弁をしました。つまり金丸防衛庁長官は、アジアに展開している米軍には核兵器はないという答弁、伊藤局長の方は、アジア全域についてはあるということで、答弁が食い違ったので理事会に扱いをお願いしたわけでありますが、この点についての答弁をお願いします。
  218. 金丸信

    ○金丸国務大臣 私の答弁あるいは伊藤防衛局長答弁、久保答弁、私は久保答弁はそのとおりだ、こう言ったのですが、これは昭和四十八年の十月の衆議院内閣委員会における久保局長答弁は、中路委員の、核というのは常に使用し得る態勢にあることが核抑止力になるのかとの質問に対し、アジアの個々の部隊そのものは現実には核装備していない、核弾頭は当初から持っていないが、太平洋にある幾つかの島に核弾頭を貯蔵しているであろうと述べたものでありまして、アジアに核がないと述べたものだとする工藤議員の御指摘は当たりません。ここに中路委員の当時の速記録がありますから、差し上げておきます。
  219. 中野四郎

    中野委員長 直取引しないように。
  220. 金丸信

    ○金丸国務大臣 いいですか。
  221. 中野四郎

    中野委員長 いいです。どうぞ。
  222. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) 私は、質問するときに、この前あった中路議員の、質問全部にわたって聞いたのでなしに、その中で特に久保局長がアジアにおける米軍部隊は持っていないというところを取り出して、それでその考えかということを聞いたわけで、そのときは、ないという答弁を肯定的に答えた。その後、伊藤防衛局長の方は、シュレジンジャー元国防長官のその記者会見で発表した内容などに触れながら、そうしてアジア全域ではあるということになったわけですが、それならばそれで、アジア全域をとるならば核弾頭があるというふうに考えているということを、はっきり述べていただきたいと思います。
  223. 金丸信

    ○金丸国務大臣 工藤委員、先般来からの質問から私聞いておりまして、何か話をひっかけて、ひとつ足払いでもするんじゃないかという私は感じをいたすのですが、実際問題、私の言っていることは間違いない。また伊藤防衛局長の言っていることも間違いないし、私は日本にはない。しかし、いわゆるアジアに全然私はないなどということは申し上げたわけでなし、あるかもしらぬ、ないかもしらぬ、それは私の知る必要もないことでありますが、日本には絶対あってはならぬ、こういう考え方であります。しかし、アジアに、久保発言から言えば、あると、そういうことですから、あると見ることも至当だ、こう私は思います。
  224. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) 久保防衛局長は、アジアには個々の部隊は核装備をしておらない、現実には持っていないと、アジアに限定しては言っていて、それで伊藤防衛局長の方は、アジア全域をとるならば持っていると考えられるというふうにして、そこであれがあったんですよ、食い違いが出てきた。やれ太平洋のいろいろな島とかいうことを外して聞いていて、そして食い違いが出たわけですから、では、いまともかくアジア全域ならば——私、日本と言って別にひっかけようと思っているわけじゃありませんから、安心して答えていただきたいのですが、アジア全域についてはあるという考えであるということをはっきり言っていただけばいいと思います。
  225. 金丸信

    ○金丸国務大臣 そのとおりであります。
  226. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) では、大分安心されましたようで、もう一、二問、続きの問題ですが、これはこの前も私、セキュリティー・ブロードキャスターズという、これは米空軍の保安警備監察官事務所発行の公式文書、七五年七−九月、それを示しまして、太平洋統合軍司令官が責任を負う地域に、したがってまた太平洋空軍に核兵器があるという事実は秘密にしていない。つまり、もう少し狭められまして、太平洋空軍も含めて核兵器があるという事実は秘密ではない。これは原子力委員会と国防総省合同の核兵器についての秘密区分ガイド、つまり、どこまで情報を外に出していいか悪いか、それを整理した中で応用問題になってきて、太平洋にある米軍にあるかないか、太平洋空軍にあるかないかという答え方としてそういうふうになっていることを示しました。これはその写しを渡したわけでありますが、この文書をアメリカ政府に確かめましたか。もし確かめたとするならば、こういう回答は、アメリカ政府として、あるいはアメリカの軍としても公式に外で言っていいことになっていることだから、もっと早くこのことが明らかにできたと思うのですが、問い合わせをしたでしょうか。
  227. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 私の方といたしましては、その文書については問い合わせておりません。
  228. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) せっかく渡して、それを問い合わせをしないというところには非常に重大な問題があると思いますが、時間もありませんので、それに加えまして、この前聞いたことでありますが、ティッグブリーフ七五年十二号、七四年十五号に、これは米空軍監軍局長ブリーフィングによりますと、こういう書き方をしているのです。特に米空軍航空輸送軍団MACが、全軍、つまり陸海空への核兵器空輸の任務を遂行するようになったので、その貯蔵庫、ストックパイルから目的地までのプロセスについて、空軍とか海軍とかがばらばらに対応するのでなしに共同して検討するのが望ましいと述べていることと、さらに先ほどのティッグブリーフの中で、C141、C130、それぞれに核兵器を海外へ輸送する取り扱いに関する秘密マニュアルがあるということが出されております。これで御存じのように、MAC司令部というのはイリノイ州のスコット基地にありますが、その第二二空軍、それはカリフォルニア州のトラピス基地を拠点にしていて、太平洋横断の空輸を行っております。そして、そのもとに三七四戦術空輸航空団がフィリピンのクラーク基地にあり、そのもとに三四五戦術空輸中隊があって、横田に来ております。そしてその中で、九百九十五機ありますが、C5が七十七機、C130が二百七十二機、C141が二百七十一機、そのうちC130は横田に常駐しており、C141は常時来ているということから、横田基地を経由して核兵器が空輸されている疑いが非常に大きくなりましたが、この点につきましても米国政府に問い合わせたかどうか、この点についてお答えください。
  229. 伊藤圭一

    ○伊藤(圭)政府委員 前回もお答えしましたとおり、C130、C141が核兵器の輸送能力を持っているというのは事実でございます。しかしながら、これが日本を経由していくというようなことはないということは、すでに輸送機について核兵器を運んでいるのではないかということが、かつて、ある下士官の証言等がありました際に、外務省から問い合わせてございます。そのときにも、そういうことはないというようなことが来ておりますので、改めて問い合わせる必要はないというふうに考えております。
  230. 工藤晃

    工藤(晃)委員(共) 能力があるということは認めましたが、政府の態度は、能力があるすなわちあるということにはならないという誤った理論で、能力があるならばあるかもしれないということにもなるし、非核三原則を求める国民に対する立場から当然調査をすべきことをやらない、これもまた一つの重要な政治姿勢の問題だと思いますが、ここで質問を終わります。
  231. 中野四郎

    中野委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、一般質疑は終了いたしました。
  232. 中野四郎

    中野委員長 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  来る二十二日、参考人として、日本労働組合総評議会事務局長富塚三夫君、全日本労働総同盟書記長前川一男君、中立労働組合連絡会議事務局長岡村恵君、全国産業別労働組合連合書記長富田弘隆君、全国中小企業団体中央会会長小山省二君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  234. 中野四郎

    中野委員長 この際、分科会の件についてお諮りいたします。  理事会の協議に基づき、昭和五十三年度総予算審査のため、五個の分科会を設置することとし、分科会の区分は  第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(ただし経済企画庁及び国土庁を除く)及び法務省所管並びに他の分科会の所管以外の事項  第二分科会は、外務省、大蔵省及び文部省所管  第三分科会は、厚生省、労働省及び自治省所管  第四分科会は、経済企画庁、農林省及び通商産業省所管  第五分科会は、国土庁、運輸省、郵政省及び建設省所管 以上のとおりにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  235. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、分科員の配置につきましては、公報をもってお知らせすることとし、各分科会の主査は         第一分科会主査 塩崎  潤君         第二分科会主査 正示啓次郎君         第三分科会主査 笹山茂太郎君         第四分科会主査 伊東 正義君         第五分科会主査 藤田 義光君 を指名いたします。  次に、お諮りいたします。  分科会審査の際、最高裁判所当局から出席発言の要求がありました場合は、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  237. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次回は、明二十一日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。  午後四時二十七分散会