○土井
委員 その妥協できる点というのを
考えることによって、基準値がだんだん変わっていくのですよ。問題はそこなんです。これは妥協しようと思ったら何ぼでも妥協は続くわけでありますし、現にこのNO2の問題に対する基準値がどう
考えられるかということがいま動いている最中でございますから、いろいろな声があっちからこっちから聞こえてまいります。わけても最近通産省の方には、大変にぎやかな声が聞こえていっているはずであると私は思うわけでありますが、もうすでに産構審の方で、部会を通じてNOXの中身を取り上げて、そうして答申が出されているわけでありますけれ
ども、また、この基準値が御承知のとおり〇・〇五なんです。ところが、この産構審の方の〇・〇五という基準をめぐって、取り上げられたNOXの小
委員会のメンバーというのを見てまいりますと、石油化学協会の副会長であるとか、経団連の環境安全
委員長であるとか、鉄鋼連盟の立地公害
委員長であるとか、石油連盟の環境
委員長であるとか、それぞれは、いまNO2の環境基準に対して、緩められれば緩められる方がいいという
考えを強く持っておられるメンバーによってこれは成り立っている。しかも、いまここに私が持ってまいりましたのは、鉄鋼連盟の立地公害
委員会がまとめられた「NO2の環境基準をめぐって」という、公的発言抄録という、まことにこれは、よくもまあこれだけ集められたと思うぐらい発言の中身がここの中に収録されているわけでありますけれ
ども、しかし、この「環境基準をめぐって」という抄録のポイントを見てまいりますと、NO2の環境基準の科学的根拠がないという発言録を取り上げて集
大成したところに実は問題があるわけであります。科学的に妥当だという発言もあったわけでありますけれ
ども、すべてその点はカットされているというかっこうになっている。こういうことが現に産業構造審議会の産業公害部会のNOx汚染防止対策小
委員会の方で動いていっているわけであります。そうしてさらに今回は、このDルートについて基準値が〇・〇二ではない〇・〇四というものが使われるということが、すでにもう別の行政機関によって行政行為として先行してしまっているわけであります。こういう中での、
最初に
環境庁長官が言われた中央公害対策審議会大気部会の専門
委員会に対して諮問をしているというかっこうに、ただいまなっているわけであります。したがいまして、環境庁の出方というものは一体どういうことになるかというのは、実は大変大きな
意味を持っておる。
実は、「環境保全長期計画」というのが昨年環境庁から出されているわけでございますけれ
ども、この中身を見てまいりましても、窒素酸化物のところについては、五十五年目標と六十年目標というものに対してきちっと明記がされてございます。そうしてさらに、この長期計画の中で触れてありますところで、これは私は非常に大事なただいまのポイントであると思われる個所がございますので、それをひとつ取り上げて申し上げたいと思うのは、こういうことが書いてあるわけであります。「今後十年間に六%程度成長を想定した場合の潜在発生量は年平均一〇%程度の場合に比べて、硫黄酸化物、産業廃棄物では三-四割、窒素酸化物CODでは二-三割減少すると見込まれる。高い
経済成長率は、それに応じた高い汚染除去率を必要とする。このために必要な技術の存否、そのために必要とされる公共、民間の公害防止投資の
可能性について検討を加えることなく、
経済成長路線が策定されるならば、再び環境汚染が増大することとなる。」と、ちゃんと書いてあるわけであります。これは成長率六%ということでこういうことを認識されているわけでありますけれ
ども、ただいま成長率七%ということで、具体的にいろいろの政策の内容に対しての吟味が詰められているやさきでございますから、こういうことから言うと、昨年のこの認識に倍して潜在発生量に対しては抑えていかなければならないという
姿勢を持つことが当然必要になってくるのです。
こういう点から申し上げますと、先ほどのあのDルートに対しての問題、産構審の答申に対しての問題、これを再度
環境庁長官に、一体今後どういうふうにお取り扱いになるかということをお伺いしたいと思います。