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1978-02-04 第84回国会 衆議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月四日(土曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中野 四郎君   理事 小此木彦三郎君 理事 加藤 六月君    理事 栗原 祐幸君 理事 毛利 松平君    理事 山下 元利君 理事 安宅 常彦君    理事 大出  俊君 理事 近江巳記夫君    理事 竹本 孫一君       伊東 正義君    宇野  亨君       奥野 誠亮君    海部 俊樹君       片岡 清一君    川崎 秀二君       坂本三十次君    笹山茂太郎君       塩崎  潤君    島村 宜伸君       白浜 仁吉君    田中 龍夫君       田中 正巳君    谷  洋一君       玉沢徳一郎君    藤田 義光君       古井 喜實君    松澤 雄藏君       松野 頼三君    渡辺 栄一君       井上 普方君    石野 久男君       石橋 政嗣君    岡田 利春君       岡田 春夫君    川俣健二郎君       小林  進君    兒玉 末男君       藤田 高敏君    湯山  勇君       横路 孝弘君    坂井 弘一君       坂口  力君    広沢 直樹君       二見 伸明君    正木 良明君       矢野 絢也君    大内 啓伍君       河村  勝君    浦井  洋君       寺前  巖君    松本 善明君       大原 一三君    小林 正巳君       西岡 武夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  福田 赳夫君         法 務 大 臣 瀬戸山三男君         外 務 大 臣 園田  直君         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         文 部 大 臣 砂田 重民君         厚 生 大 臣 小沢 辰男君         農 林 大 臣 中川 一郎君         通商産業大臣  河本 敏夫君         運 輸 大 臣 福永 健司君         郵 政 大 臣 服部 安司君         労 働 大 臣 藤井 勝志君         建 設 大 臣         国土庁長官   櫻内 義雄君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       加藤 武徳君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)     稻村左近四郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒舩清十郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 金丸  信君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      熊谷太三郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君         国 務 大 臣 牛場 信彦君  出席政府委員         内閣法制局長官 真田 秀夫君         内閣法制局第一         部長      茂串  俊君         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局経済部長 妹尾  明君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         防衛庁長官官房         長       竹岡 勝美君         防衛庁長官官房         防衛審議官   上野 隆史君         防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君         防衛庁装備局長 間淵 直三君         防衛施設庁長官 亘理  彰君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁総合         計画局長    喜多村治雄君         外務省条約局長 大森 誠一君         大蔵省主計局長 長岡  實君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省関税局長 戸塚 岩夫君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         大蔵省国際金融         局長      旦  弘昌君         国税庁長官   磯邊 律男君         文部大臣官房長 宮地 貫一君         文部大臣官房会         計課長     西崎 清久君         文部省初等中等         教育局長    諸澤 正道君         文部省大学局長 佐野文一郎君         文部省体育局長 柳川 覺治君         文部省管理局長 三角 哲生君         厚生省医務局長 佐分利輝彦君         厚生省保険局長 八木 哲夫君         厚生省年金局長 木暮 保成君         社会保険庁医療         保険部長    岡田 達雄君         社会保険庁年金         保険部長    大和田 潔君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         食糧庁長官   澤邊  守君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         通商産業省通商         政策局長    矢野俊比古君         通商産業省通商         政策局次長   花岡 宗助君         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君         通商産業省基礎         産業局長    天谷 直弘君         中小企業庁長官 岸田 文武君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         労働省労働基準         局長      桑原 敬一君         労働省職業安定         局長      細野  正君         労働省職業訓練         局長      岩崎 隆造君         建設大臣官房長 粟屋 敏信君         建設省住宅局長 救仁郷 斉君         自治省財政局長 山本  悟君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         会計検査院長  佐藤 三郎君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員の異動 二月四日  辞任         補欠選任   金子 一平君     宇野  亨君   澁谷 直藏君     坂本三十次君   正示啓次郎君     玉沢徳一郎君   根本龍太郎君     片岡 清一君   坊  秀男君     谷  洋一君   松野 頼三君     島村 宜伸君   渡部 恒三君     渡辺 栄一君   石橋 政嗣君     湯山  勇君   浅井 美幸君     坂口  力君   矢野 絢也君     正木 良明君   不破 哲三君     浦井  洋君   大原 一三君     西岡 武夫君 同日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     金子 一平君   片岡 清一君     根本龍太郎君   坂本三十次君     澁谷 直藏君   島村 宜伸君     松野 頼三君   谷  洋一君     坊  秀男君   玉沢徳一郎君     正示啓次郎君   渡辺 栄一君     渡部 恒三君   湯山  勇君     石橋 政嗣君   坂口  力君     浅井 美幸君   正木 良明君     矢野 絢也君   浦井  洋君     松本 善明君   西岡 武夫君     大原 一三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十三年度一般会計予算  昭和五十三年度特別会計予算  昭和五十三年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  昭和五七三年度一般会計予算昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑を行います。西岡武夫君。
  3. 西岡武夫

    西岡委員 私は、新自由クラブを代表して、福田総理並びに関係大臣質問いたします。  まず初めに、本委員会運営について私の意見を述べさせていただきます。  過去一年間、昨年の通常国会以来、私ども新自由クラブ国会運営のあり方を改めるべきであると主張してまいりました。私が質問をする閣僚以外の閣僚方々局長を初め役所皆さん出席を求めないとする理由は二つあります。その第一は、常任委員会制度前提とする限り、これを有機的に働かせるべきであるという点であります。本来、十六の常任委員会が設けられているのは、予算審議と並行してその歳入歳出を裏づける重要な関連法案審議が行われるということが当然の仕組みだということでございます。したがって、物理的にも、本委員会質問する閣僚が限られている以上、それ以外の閣僚は他の委員会出席して、それぞれの案件審議を深めるべきであります。第二の理由は、国会に行政府全体がくぎづけになって行政の停滞を招くことを改めることです。さらに、国会における論議がもっと議員議員との間で行われるべきだと考えるからであります。  この私の提案は、一部を除く他党の賛成を得られていません。したがって、委員長提案をいたしたいのは、少なくともそれが実現するまでの間でも、私が質問する場合だけでも、答弁を求めている閣僚以外の閣僚方々に、お暇の方以外は退席されてもよいということを認めていただきたい。また、役所皆様方も、本日は防衛庁皆さん方以外はどうかお帰りいただいて結構です。私が答弁を求める閣僚は、総理、大蔵、文部、厚生、防衛行政管理庁、外務、通産、経企庁建設農林労働の各大臣でございます。  すでに各党より多くの問題が提起されましたので、私は、重複を避けまして質問をいたしたいと考えております。  まず、経済政策について質問いたします。  新自由クラブは、一昨年の暮れ以来、景気浮揚のための積極的な経済政策提案し、公共投資の拡大と五十一年度第四・四半期一兆円、五十二年度一兆円の二兆円の減税を主張してまいりました。その財源の大半は残念ながら国債に頼らざるを得ないと考えていました。この提案を一年前に実質的に実現させることができなかったみずからの力の足りなさを、いまなお残念に思っております。  ところで総理、一年前の私とのこの予算委員会における質疑の中で、次のようなやりとりがあったことをどのようにお考えなのか、御感想を聞かせていただきたいと思います。それは、私の積極財政提案に対して、総理はこういうふうにお答えいただいております。「どうも素直にいただけませんね。と申しますのは、いまもう日本財政は、私はこれを見ておりますと、ぎりぎり精いっぱいの危機路線運営されておる、こういうふうに思われるのですよ。それをとにかく、国債発行依存度三〇%という関門を設けて、そしてその中に財政の規模を押し込もうという努力をしている最中、そこへ、その関門は構わぬ、三一%になっても構わぬじゃないかといえば、今度は三二%でも構わぬじゃないかという理論になる。三二%といえば三三%でも」云々、「私どもはこういうなまやさしい状態ではないというふうに考えている。」こういうふうにお答えになったわけでございます。  一年間、そういうことで私ども提案を耳にお入れにならなかったわけでございますが、今回三〇%の枠をこれだけのことをおっしゃりながら、いとも簡単に破られて積極財政転換をされたわけでございますが、過去一年間の経済政策についてどういう御反省をなさっておられるのか、まず冒頭にお尋ねをいたしたいと思います。
  4. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 昨年の国会西岡さんから大変御激励を受けたということはよく記憶しております。私もその御激励のもとに全力を尽くしたつもりなんです。ただ私、昨年はまあ何とかしてわが国経済安定成長路線に定着させる、その年にしたい、こういうふうに念願しておりましたが、それが実際問題としてできなかった。私は大変残念に思います。残念に思いますが、そのわけは一体どこにあったのだろう、原因はどこにあったのだろうということを静かに考えてみますと、私ども国際収支の面で大変な見積もり違いというか展望を誤ったと言わざるを得ないと思います。昨年のいまごろの展望では、国際収支はかなり均衡の方に是正されまして、そしてなお、でき得べくんば赤字にも経常収支がなり得るのではないかというような展望を持っておった。ところが、月がたつに従いまして、それは大変むずかしいことであり、とうてい困難なことである、のみならず、逆にこれが百億ドルを超える黒字になりそうだということが今日はっきりしてきておるわけであります。それに伴いまして、いろいろ国政策上かじの取り方を変えなければならぬ、こういう問題が起こってき、結局、昨年いっぱいで国の経済を安定させたい、こういうふうに思っておりましたが、その目標の達成が大体一年がずれちゃっている。大変残念に思います。  その根本的な原因国際収支だ、これからこの一年努力をいたしまして日本経済を安定させなければならぬ、その上におきましては国際収支政策、これに最大努力をして、また細心の注意を払わなければならぬ、そのように考えておりまして、昨年一年を回顧し、静かにこれを反省してみまして、そういう考え方の上に立ちましてことしは何とか経済を安定させたい。ひとつ御鞭撻、御協力のほどをお願い申し上げます。
  5. 西岡武夫

    西岡委員 総理が持論をお捨てになりまして、遅まきながら積極財政を打ち出してこられたわけでありますが、そのこと自体私ども賛成であります。  ただ、問題が二点あると私は考えております。その第一点は、公共投資にのみ過大の役割りを担わせているのではないだろうか。経済成長七%、経常収支六十億ドルの達成至上命令、命題である以上、公共投資の力の限界というものを冷静に分析すべきであるというふうに考えます。公共投資の前年度比実質増加率は、政府原案一六%強でございますけれども国民総生産中の比率が一〇・三%であることを考えれば、直接効果としては国民総生産を一・六%高める程度しか力を持っていない。  そこで政府は、五十三年度予算編成に当たって、公共投資乗数効果を何倍と見積もられて積算をされたのか、これを経企庁長官にまずお尋ねをいたしたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 せんだっても申し上げましたが、長期の経済計画をいたしますときにはモデルを使わざるを得ませんけれども、単年度の問題につきましては、推計資料が相当最近のものまでございますので、一般モデル参考として使うにとどめております。このたびも参考としては使っております。  なお、一般的に申し上げられますことは、何と申しますか、前に使いましたいわゆるSP17というもののモデルは、公共投資乗数効果は一・八五程度SP18は一・三ないし四ということに出ておりますけれども、単年度見通しを使いますときには、これは参考にしただけでございます。むしろいわゆる段階的接近法というようなことで予測をしております。
  7. 西岡武夫

    西岡委員 それでは、いま長官の御答弁にございましたSP17というモデル基礎にした予算編成ではないということでございますか。そうであるならば、やはり私どもが指摘をいたしておりますように、公共投資乗数効果というものが、高度経済成長の時代、石油ショックの四十八年以前の段階とは相当性格を異にしてきている、乗数効果という点ではかなり低くなっているというふうに政府もやはり御認識でしょうか。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは一般論としてどの程度に言えることか、私自身は多少疑問を持っておりますけれども、しかし、確かに石油ショック以前に使いましたモデルと後につくりましたモデルとでは、先ほど申しましたように、乗数効果は後のモデルの方が弱くなっております。
  9. 西岡武夫

    西岡委員 ここで議論が分かれるわけでございますが、さらに総理府家計調査報告によりますと、昨年十月の全国全世帯の消費支出は、前年同月に比べて実質で〇・五%減少いたしております。十一月はさらに実質一・五%の減少というふうになっているわけであります。こういった傾向の中で、この春の実質賃金上昇について宮澤長官は、昨日来の国会での論議を通じて、昨年より低いという予測を明らかにされております。ところが、個人消費について政府見通しは、実質五%強の上昇という前提を出しておられるわけでありますが、昨年の末に近い段階での消費支出の実勢というものと、この春の賃上げという状況との両方を要素として考えてみても、この五%強上昇という見通しは全く根拠に乏しいのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。さらに、民間設備投資見通しについても、政府実質七%増加という数字は、過去数カ月の傾向から見てどうも無理があるのではないか。これは機械の受注等の指数を見てみましても、ずっと減少傾向が昨年末については続いてきているわけでございまして、こういうことを考えて、私ども新自由クラブとしては、やはり公共投資減税と金利の引き下げという三つ手段を使って景気浮揚にこの際全力を挙げるべきである、こういうふうに考えるわけです。  減税について総理は非常に拒絶反応を示されているわけでございますが、私どもも実は当初、昨年の暮れの党首会談では、総理も御承知のとおり、所得税減税を主張いたしておりませんでした。その後、総理日米共同声明において七%成長を、これは議論が分かれているところでございますけれども、私たちは少なくとも国際的な約束になったというふうに考えておりますし、先月十四日、英国のザ・タイムズはその社説の中でこういうふうに述べております。「日本立場の多くは今後一年間経済を七%拡大し、世界からの輸入品に対する需要を創出するとの約束基礎としている。もし日本成長率が七%よりもはるかに低く終われば、貿易収支黒字が高水準を続ける可能性がきわめて強い。その場合には、日本政府がさらに直接的な措置をとるよう求められよう。」というふうに論じております。  こういった状態でございますから、私どもも、財政の危機的な状況、その中でさらに国債を増発するということについては非常に問題がある、このことは十分認識しながらも、好むと好まざるとにかかわらず、国際的な公約になった七%を達成するためには、いまや与野党立場を超越してこれに取り組まなければいけないのではないか、そのためには、いままで申し上げましたような根拠に従って、この際はやはり所得税減税を実行する以外に、三つ手段を組み合わせる以外に七%成長達成することは不可能なのではないか、それでもなお、なかなかむずかしいのではないかというふうに思っております。  私どもはこういう立場に立ちますので、中途半端な減税ならば景気対策として余り意味を持たないという立場をとっております。現に民間の各機関経済見通しをそれぞれ出しておられますけれども、それは大体五千億から一兆円の所得税減税と公定歩合の引き下げ、これは大体三・五%、こういったことを前提として、なお四・一%から最高の見通しを出している機関数字で五・一%の成長予測しているわけですが、総理はどうお考えでしょうか。
  10. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 民間経済見通し、これは政府予算がまだはっきりしない段階のものが多いようであります。政府は、景気牽引力として公共投資を重視した、しかもその伸び実質で一六・二%伸びるのだ、この相当スケールの大きな公共投資、それなんか民間の多くの経済見通しには考慮されておらぬ、私はこういうふうに思います。  それから、設備投資見方が違うんですね。設備投資にいたしましても、政府の方は電力会社、そういうところとずいぶん折衝いたしまして、そうして中身をちゃんと積み上げて九・九%、これは名目ですが、実質六%程度伸びに見ておるわけなんです。  海外、つまり輸出輸入、この関係については厳しくこれを見まして、そしてこれは経済成長、これに全然寄与しない、それでもよろしい、こういう見方をし、さらに民間と違いますのは、デフレーターが違っていると思うのです。政府の方では、御承知のとおり物価鎮静政策を相当進めておる、また実効を上げておる、その上に立って実質経済成長を確保しよう、こういうので、私は、一つ一つずっと検討していけば、政府の七%、これは大体達成可能である、こういうふうに見ております。
  11. 西岡武夫

    西岡委員 これは今回の総括質問、他党とのやりとりを通じても、どうも水かけ論に終わっているようでありますから、いずれ与野党の間で修正問題が具体化する段階で、新自由クラブとしても私どもの主張を強く政府に申し上げていきたいと考えておりますので、これ以上の議論やりとりは控えさせていただきたいと思います。  ただ私は、過去一年間、やはり率直に申し上げて福田経済政策というものは間違っていた、そういう意味では貴重な一年間の時間というものを空費したわけでありますから、今回の予算はそういう意味ではもう後がないというふうに言っても過言ではないと思うのです。これでだめならそこでまた考えるという考え方は、この一年間の経過にかんがみましても、もはや通用しないというふうに思っております。  これについて総理は、どれだけの決意でこの予算を提出されたのか、また、途中でだめならそこで考えればいいではないかというようなどうも非常に安易な形でお取り組みなのか、その決意のほどをお尋ねしてみたいと思うのです。
  12. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 経済見通しは、昨年はどこの国でもうまくいっていないのです。一番世界の優等生だ、こういうふうに言われているドイツはどうだ、五%を予定したわけですよ、それがいまはどうですか、二・四%までの下方修正というようなことになってきている。アメリカはどうだ、六%、これを予定したわけですが、それがいまはどういうことでありますか、これはいままだはっきりはしておりませんけれども、五%は割ること必至である、こういうふうに言われておる。世界情勢全体がむずかしい。そういう中で日本だけがうまいことをやってのける、これは非常にむずかしいことなんです。それにしても私は、うまいことをやってのけたと思うのです。とにかく六%成長というのが、ドイツのようなことにはならない、五・三でおさまりそうだ、こういうのですから、その点は西岡さん、少しは評価してもらいたいのです。  しかし、そういう世界情勢ではありまするけれども日本はとにかく自由世界第二の工業力を持っておる国である。そういう立場におきまして、アメリカ、ヨーロッパ、これらと共同いたしまして、世界経済をことしは安定させる方向に最大努力をする。その中においてわが国といたしましては、とにかく昨年やりたかったができなかった安定成長への定着、これをぜひやってのける。そのためにはどうするのだというと、やはり主たる任務は財政に担わせるほかない。そこで財政では、あなたは政策転換転換と言うけれども政策転換じゃない。政策の基調は、これはもう少しも変えません。しかし臨時、異例の措置といたしましてあれだけ大幅な公債の発行をやる、財政全体は積極的に拡大する、こういうことをいたしましてやっていこうというのですから、これはまあひとつ、政府の七%成長の内訳を一つ一つ御検討ください。これはもうちゃんと十分な根拠理由を持ってあれを積み上げておるので、責任を持って実現のための努力をする、こういう決意でございます。
  13. 西岡武夫

    西岡委員 総理、私どもは、実はちょうど一年前から積極財政のことを申し上げてきたわけです。国債の問題についても、これは政党の立場国債をどんどん発行していいということはなかなか、特に野党の立場では言いづらい面がございます。責任を持たないじゃないかというような批判もあるわけです。そういう中で、しかしこの際、思い切って景気を浮揚させるためには国債発行もやむを得ないということを、すでに一年前から私どもは強く主張をしてきている。そういう主張があって、それに耳をかされないでこういう結果になったということと、そういう主張は全くなくて、しかし全く無責任な、裏づけのないことだけが言われていてこういう状況になったというときの総理の、野党の意見に耳をかさなかった上でのこの今日の結果の責任というものは、やはり性格を異にしていると思うのです。これは私ども考えだけを申し上げておきます。  そこで、この総括質問を通じてすでに各党から、福祉政策についてあるいは住宅政策について、構造不況の業種についての政策について、それぞれ具体的な提案論議がなされております。したがいまして、重複をする議論は私はきょうは避けたいと思います。ただ、住宅政策の中で一点だけ、他党から触れられていない問題がございますので、具体的な問題これ一つに限って一言だけお尋ねをしたいと思うのです。  私どもも、住宅政策の最終的な目標は、やはり国民みんなが自分の家を持つ、持ち家というものが住宅政策の基本的な方向であろうと思うのです。ただ現実には、一つのサイクルとして家賃を払ってアパートなり借家に入っているという形態が必ずあるわけでございます。ところが、今度の政府予算に見られる住宅政策は、持ち家政策についても、各党からそれぞれ御指摘がありましたように、もう少し公庫の貸付限度を拡大するとかいろいろな提案がございますが、まあかなりのことが行われているということは、私どもも率直に認めます。ただ、片方で持ち家政策を相当推進しながら、非常に所得が低い。これは所得制限を設けるということにもちろんなるわけでございますが、所得が低い中で高い家賃を払っている。大体東京都の各区のいろいろな調査を見ますと、おしなべて一カ月の収入の三分の一近くが家賃として支払われている、住宅費として支われている、そういう数字も調査によって出ておりますが、この賃貸住宅に対する施策というものが欠如しているのではないか。  これは建設大臣お尋ねをした方がいいのではないかと思うのですが、たとえば家賃に対して所得制限を設けた上でこれを所得控除するというような施策が片方にあって、初めて持ち家政策とのバランスがとれるということになるのではないか、こういう考え方についてどうお考えでしょうか。
  14. 櫻内義雄

    ○櫻内国務大臣 一つの御発想と承るのでありまするが、賃貸住宅、特に公営、公団、特定賃貸の住宅などについては、建設事業に対しては財政資金を入れて政府が見ておる、そして政策家賃、低廉な家賃で提供を申し上げておる、これはもう御承知のところだと思うのです。  そこで、いまの家賃も所得制限を置いて税控除を、こういう御意見でございまするが、所得税については御承知のとおりに基礎控除というのがございます。この基礎控除などは、こういう基礎的な生計費を勘案して設けられておるものと私は受けとめておるわけでございまして、したがって、これは建設省側から言えば、先生のような御意向が、われわれもそうだ、それはいいということになれば、その要求する側ですね。だけれども、いまのようなことを考えてみると、ちょっとなじまないのではないか。  それから、これは私がしばしば申し上げておるのでありまするが、いま一般的には勤労者の大半はそれぞれの会社から住宅手当をも受けておるという実情にあるわけです。それは上がってきておるわけですね。所得が上がるとともに住宅手当も上がってきておるというような、そういうことをも考えてみますると、御意見は御意見として承りますが、われわれが積極的に住宅も控除の中に入れろ、こういうところへちょっといかないと思うのです。
  15. 村山達雄

    ○村山国務大臣 いま所得税制に関係するものでございますから、私からもちょっとお答え申し上げたいと思うのですが、御案内のように、所得税の方は生活費は経費に見ない、つまりそれは可処分所得の処分内容になるわけでございますので、家賃収入だけ見るとか、あるいはいろいろな地域によって物価が違うから、だから物価差を見るというようなことは所得税体系の中ではなかなか取り入れにくいわけでございまして、その意味で、基礎控除あるいは課税最低限をどこに決めるかというところで全部吸収した方がかえって公平である、これは恐らくどこの国の税制でもそうだろうと思っておるわけでございますけれども、そういう意味で言いますと、日本の課税最低限は先進国の中では最も高い、こういうことになっておるわけでございます。今度の住宅税制やりましたけれども、これは景気対策を主としてやっているわけでございまして、西岡さんのお気持ちはよくわかりますけれども、所得税の体系で申しますとなかなか取り入れにくい、こういう事情の経費でございます。
  16. 西岡武夫

    西岡委員 片一方で持ち家政策については一歩ずつでも前進をしている。しかし、特に民間の借家、民間の賃貸アパートに住んでおられる方々は住宅費に相当苦しんでおられる。これは私は、やはり片一方の持ち家政策が進んでいけばいくほど片手落ちの政策だというふうに思うのです。これはひとつ今後の課題として御検討になる意思はございませんか。これは総理、お答えをいただきたい。
  17. 村山達雄

    ○村山国務大臣 せっかくの御提案でございますので、今後とも検討してまいりたいと思います。
  18. 西岡武夫

    西岡委員 それでは、家賃の所得控除の方式を御検討いただけるというふうに受けとめます。  次の問題に移ります。  政府は、財政の危機的な状況を打開するために、いずれ増税の方向に向かわなければいけないということを明らかにしておられるわけでありますが、私は、その前にもっと真剣に論じられなければならない問題が幾つかあると思うのです。その一つは、いままでもたびたび言われてまいりました税の不公正、これをどうするか、これの是正にどう具体的に取り組むかという問題、もう一つは、行政改革がどれだけ具体的になされるかという問題であろうと思います。     〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕  まず、行政改革についてお尋ねをいたしますが、大体半年くらい前でございましたか、あの当時は総理が非常な意気込みで行政改革に取り組まれるという姿勢を明らかにされました。私どもは、本格的に福田総理行政改革にお取り組みになるならば全面的にこれに御協力申し上げたい、こういう考えでいたわけでございますが、残念ながら、総理の御決意にもかかわらず、その後ほとんど進展していない。そこで私は、さきの臨時国会において提案をいたしました問題をここで改めて提案を申し上げて、総理の具体的な御見解を承りたいと思うのです。  それはどういうことかといいますと、行政の改革というのは、いままで総理が御体験になりましたように、そう並み大抵のことではできない、よほどのことがなければ大胆な行政改革というのは言うべくして実行しがたい、これは私どもも認めます。したがって、政治がそれを断行できる資格と力を持つことが先決ではないだろうか、こういうふうに考えるわけです。したがって、そのためには国会がみずから議員の定数を削減するということをまず実行する、それだけのことをみずからやれば、私は大胆な行政改革がそこで初めて展開をしていくというふうに思っております。  さきの国会でも指摘をいたしましたけれども、都道府県、市町村の地方議会の議員の定数は、これは町村の合併等ももちろん背景にあるわけでございますが、財政状況ということももちろんございます。大体調べてみますと、この十年の間に定員で七千人地方の議員は減っているわけです。減少しているわけです。地方の議会はやはりそれだけのことをやっている。  日本の議会の規模が一体適正かどうかというのは、これもいろいろ議論のあるところでしょうけれども、米国の下院は御承知のとおり四百三十五人、上院は百人である。これはアメリカの人口と日本の人口との比較から言えば、やはりはるかに日本国会議員の数が多いというふうに思うのです。それを本気でやれば、これは各党が決意さえすればできるわけでありますから、そこで初めて行政改革というものが迫力を持って行われるというふうに思うのです。この点いかがでしょうか。
  19. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 行政改革というものは、これはもう西岡さんのお話しのとおり、相当決意を持ってやらなければできません。その決意というのは行政府だけじゃないのです。やはり国会決意を持ってこれに立ち臨んでもらわなければこれは実現できません。と申しますのは、行政改革と申しましても、そのほとんどの項目がいずれも国会の議決、すなわち法律といたしまして執行されるわけでございまするから、これはやはり国会がその気になってくれなければなかなか実行できないわけであります。  いま政府行政改革案につきましていろいろ御所見が述べられました。私も、とにかく非常に困難な問題だけれども、これは何とかしてやってのけたいと思いまして、一応の昨年の段階の検討の結果を取りまとめまして、そして昨年の暮れ、閣議決定といたしておりまするが、その骨子を申し上げますと、地方の支分部局といいますか、これの整理統合をやる。その具体案でございますが、これは千カ所以上につきましてそういうことを実行する。それから公務員自体の定員管理の問題、また公務員に対しまして初めてとにかく定年制を導入しようという試みに乗り出すということにいたすとか、あるいは年来議論されておるところの特殊法人につきまして、その整理統合、これも十分でありませんけれども、とにかく現実に一歩踏み出す。しかも、渡り鳥というようなことで大変な議論があったあの問題も手をつけることにいたしまして、人事管理をどうする、あるいは給与制度をどうする、また、ずいぶん批判のある退職金、これにつきまして二割を削減するというような方針を打ち出しますとか、それからさらに、これは二十何年来の懸案でありました地方事務官につきましても、五十三年度において一挙にというわけにはまいりませんが、とにかく五十三年度において三つの省のうち一つの省はこれは実現をする、あとはさらに二年をかけてこれが解決をする、こういうようなことに乗り出しておりますので、これは国会段階に移しまして、さあどういうふうに御処理願いますか、御意見を承り、議決を賜らなければなりませんけれども、これはこれからなかなか容易なことじゃないのです。しかし、政府の案といたしましては、いま暮れの閣議決定の概要を申し上げたわけでございまするけれども、今後といえどもこの問題は精力的に取り組んでいかなければならぬ問題である、これでおしまいというふうには考えておりません。  それから、昨年暮れの段階の問題として私の頭の中にありました中央機構、これにつきまして触れておらないのです。おりませんけれども、やはりこれも、昨年の暮れに内閣の改造をした、そのとき、建設省と国土庁、これを一つの大臣が兼摂をしてやる、また対外経済折衝、これが非常に大事な段階になりましたので対外経済担当相を新設する、定員の中においてそれを差し繰りをやる、こういうことにいたしたということで、私はかなり中央の問題も前進をした、こういうふうには思っておりまするけれども、なおこの上とも努力をいたしたい、かように存じます。
  20. 西岡武夫

    西岡委員 私がお尋ねをいたしましたのは、国会議員の定数を削減するということを具体的に進めるお考えはないかどうか、国会の方が本当に力を持って行政改革に取り組む道はそれしかないという意味で申し上げたわけで、自民党の総裁として……(「国会議員行政改革じゃない、院の問題だ」と呼ぶ者あり)ちょっと黙っておってください。自民党の総裁として、その問題について私どもはこれから御相談を申し上げていきたいと思いますが、どうお考えでしょうか。
  21. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 私も、立法府の立場から考えまして、政府行政改革をせい、こういうことを要請する、同時に、みずからも立法府としてそれと同じ考え方の態度をとるべきである、こういうふうに思うわけです。その一つの適用といたしまして、御指摘の議員の定員を減らすということになりますと、これはいろいろ具体的に調べてみる必要もあろうかと思います。とにかく、それはそれといたしまして、院といたしましても、これは政府と同じ考え方で機構の能率的運営、それによって国費をなるべく節するというような配慮は最大限にすべき立場にある、このように考えます。
  22. 西岡武夫

    西岡委員 私が申し上げている意味は、自民党総裁というお立場でそれぐらいの決意を持って臨まなければできないではないか、それを具体的な問題としてお取り組みいただけるかということを申し上げているわけです。これは私は、やはり国民の大きな関心事でもあり、これからの日本財政状況ということを考えれば避けて通れない問題だと思うのです。私は行政府に対してそういうことを——先ほどからやじが出ておりますが……(「やじじゃないよ、これは基本問題だ」と呼ぶ者あり)やじじゃありませんか。やじが出ておりますけれども、これは政治家としての福田さんのお考え方、自民党総裁としての福田総裁にお尋ねをしているわけで、私どもはその決意がございます。したがってそういうことでお進みをいただきたいということで申し上げておりますので、御理解をいただきたいと思います。  次の問題は、予算編成のあり方でございます。  これにはいろいろございますけれども、一つは、やはりいままでの予算編成のあり方というものが増分査定主義、前年度より来年は幾らふやすかという、ふやした部分だけが査定されるという仕組みになっております。これがなかなか冗費を削減するとかいろいろな問題を改善していく障害になっているというふうに考えるわけです。やはり一つ一つの施策を根っこから見直していくということをやらなければ予算は膨張するだけ、これはもう決まり切ったことでありまして、この予算の増分査定のやり方を変えるということが一つ。  それからもう一つは、予算編成の主導権が余りにも大蔵省の主計局に集中し過ぎているのではないか。私は、思い切って時の総理が各省の予算の大枠を御自分の政治哲学に従って、理念に従ってお決めになって、その枠の中で各省が各省大臣の責任においてどれを重点的にやっていくかという形で、原則は各省にゆだねる。もちろんその場合には、施策の整合性ということを内閣が内閣官房のところで見る、総理の直属のところで予算編成の基本的な筋道については常にチェックをしていくということを総理御自身の力でおやりになるという形に予算編成の仕組みを変えるべきではないかと思うのです。この点はどうでしょうか。
  23. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 まず第一点の積み上げ方式、パーセント方式、これは排除すべきじゃないかというお話でございますが、私はこれは全く賛成でございます。つまり毎年毎年の予算というものは、前の年の予算があってそれに対して幾ら積み上げる、そういう安易な仕組みじゃいかぬと思うのです。やはり毎年毎年ゼロから見直しまして、根っこから見直しまして、そして当該年度予算というものを決めるというふうにしなければならぬ。ですから私は、今度五十三年度予算の編成に当たりましても、各省大臣にしつこく言っているのです。これはもうパーセント主義、こういうものをやめてもらいたい、第一歩からこれを見直して、そうして適正な予算は一体どうあるべきか、こういうふうにして要求をしてもらいたい、また大蔵省に対しましてはそういう立場で査定に当たってもらいたいということを要請し、かなりこの考え方は五十三年度予算には通っておる、こういうふうに見ております。したがいまして、冗費の節約、これも、いまだかつてない規模のものが今回は実現されている、このように考えておるわけであります。  それから、第二の予算の編成の政府の機構のあり方、仕組みのあり方、これはいま大蔵省に集中し過ぎておるじゃないか、これを内閣において統一して予算編成をしたらどうだ、こういうお話でございます。これは前からそういう議論があるのです。戦前からずっとある。消えては浮かび、消えては浮かびというような形で議論をされてきておりますが、結局いまのわが国の憲法、そういう仕組みから言いますと、やはり大蔵省が中心になってやる仕組みの方がいいのじゃないか。わが国の憲法、英国式なところが非常に多いわけでありますが、英国式の予算の編成、これがいいのじゃないか。独裁国または大統領制をとっておるアメリカのように、大統領府が予算編成権を握るとか、そういうような仕組みは妥当ではない、こういう結論にその都度なっておるのであります。つまり予算の編成、これはかなり歳出の考え方というものが、財源を一体どうするのだ、これと非常に深いかかわりを持つわけであります。その財源をどういうふうにするか、また歳出をどういうふうにするか、それがまた景気全体の動きとも相当深い関係がある、そういうようなことで、財源主管庁である大蔵省、これと歳出主管庁の立場を分離してやるということはいろいろまた支障が出てくるのじゃないか、こういうふうに思いますので、いま仕組みそのものを変えるということは妥当でない、こういうふうに考えまするけれども、おっしゃることは、国政がもっともっと総合的にコーディネートされなければならぬ、こういうことだろうと思います。その面につきましては、この上ともそういう方向の配慮をすべきである、このように考えます。
  24. 西岡武夫

    西岡委員 次に、不公平税制の是正についてお尋ねをいたします。問題はたくさんございますけれども、特に二点にしぼってお尋ねをいたします。  第一点は、いわゆる医師税制についてでございます。昨年、たしか十月ぐらいの段階だったと思いますが、大蔵省は五十三年度からいわゆる医師税制についてこれを是正する、その第一歩を踏み出すということをほぼ決定したような時期があったと思うのです。ところが、その後いつの間にかうやむやになって、結局五十三年度は見送りというふうになったわけでございますが、どういう経緯でそうなったのか、お尋ねをいたします。
  25. 村山達雄

    ○村山国務大臣 これはこの予算編成過程におきまして、わが自由民主党の税制調査会でいろいろ問題になったわけでございます。かつて一遍出そうとしたいろんな是正案とか、こういったことも問題になったわけでございますが、医師税制が昭和二十九年度からとられました経緯その他が議論になりまして、最終的には、すぐ五十三年から改正するということでなくて、いまの税制は五十三年度限りにしよう、ここでピリオドを打ってしまう、そして一年かかっていまのいろいろ関連する問題もあわせ検討しよう、そのための議員立法をわが党の方で出したい、こういうことでございます。これはまた私は一つの考え方であると思いまして、政府の方もそれを期待し、そして党の検討並びにピリオドを打つということと相まちまして、今後並行的に検討してまいりたい、かように思ったわけでございます。
  26. 西岡武夫

    西岡委員 私ども新自由クラブは、医師の皆様方が果たしておられる社会的な役割り、公共的な使命というものを高く評価いたしております。同時に、いわゆる医師税制というものが今日まで、医療保険制度の一元化の問題と診療報酬の適正化問題と深くかかわってきたという事実も認めます。したがって、社会保険診療報酬の必要経費を一律に七二%とする現行税制を、直ちに全面的にこれを廃止するという立場をとるものでありません。しかし、いわゆる医師税制が明らかに特例中の特例であり、不公平税制の代表的存在であることも、これは否定できないと思うのです。現下の経済情勢、また税をめぐる環境を考えるとき、少なくとも五十三年度において、政府の税制調査会がかつて五十年答申において提案されました段階的な是正、この改正案くらいは五十三年度から是正の第一歩として踏み出すべきではないか、こう考えるわけです。いかがでしょうか、総理
  27. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 この医師税制の問題は、昭和二十九年以来の問題になってきておるわけです。そして御承知のとおり、この問題は、当時議員立法、各党が提案をされまして、そしてその御提案に従って今日の仕組みができた、こういういきさつがあり、またその背景には、税制のほかに、これと診療報酬をどうするか、こういう問題もあり、そこでこれを手直しすべきであるという議論がその後ずっと盛り上がってきておるのですけれども、そういういきさつ並びにその背景を考えまするときに、そう簡単にこれが実現できなかったということになって今日に至っておるのです。私自身は、この問題は、いま今日この段階になりますと、避けて通ることのできない問題であるというふうに考えております。  さてしからば、現実的な解決をどうするかということになると、五十三年度予算に関連いたしましてこれを解決するということが、なかなか諸般の情勢むずかしいのです。そこで自民党の方で一案を出した。一案はどうかといいますと、五十三年度をもって特例措置は終わりにする。終わりにすると五十四年から一体どうするか、こういう問題が起こりますが、それにつきましては、それまでの間にひとつ検討して具体案をつくりましょう、こういうことで、妥協というか折衷といいますか、そういう現実的な考え方を打ち出したわけです。  私も、それも一つ具体的な考え方としてかなりこれは魅力がある考え方だな、こういうふうに考えまして、ひとつそういう方向でお願いしたい、自由民主党はそういう考え方のもとに立ちまして議員立法を考える、こう言っておりますので、その考え方によってこの問題を最終的に処理する、こういうことにしたらどうかな、こういうふうに思っているのです。五十三年度、これは税制調査会からも強く要請されたのですが、実際問題として五十三年度にこれを改正を実現するということが、御承知かと思いますが、なかなかむずかしい情勢である。しかし、次善の策としてそういうような自民党の提案を期待するということがいいんじゃないかという結論になったわけであります。
  28. 西岡武夫

    西岡委員 先ほどから大蔵大臣の御答弁も、自民党の考え方という形で御答弁があったわけでございますが、政府として、それでは五十三年度はできない、五十四年度には医師税制は何らかの是正をしていく、こういうふうに受けとめてよろしいのでしょうか。
  29. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 そのように受けとめていただいて結構でございます。
  30. 西岡武夫

    西岡委員 次の問題は、利子配当分離課税の問題でございます。  わが国経済の回復が非常におくれているというのは、内需がなかなか思うように盛り上がってこない、その一つの理由として、日本の場合には非常に貯蓄性向が高いということが指摘をされております。私どもは、やはり利子配当についての課税は総合課税にすべきであるというふうに考えておりますし、いまの貯蓄性向が非常に高いということが景気の回復をおくらせているということともあせわて考えますと、経済政策の観点からも、この利子配当の分離課税という特例を残しておくことは整合性に欠けるのではないか、こういうふうに考えるわけです。したがって、この際これを廃止すべきであるというふうに考えますが、大蔵大臣、これはいかがでしょうか。
  31. 村山達雄

    ○村山国務大臣 税制理論の問題としては、総合課税がいいということはもうほとんど議論の余地がないわけでございまして、税制調査会その他におきましても、早くやれ早くやれということで言われているところでございます。  ただ、実際問題、これも実行問題でございますけれども、利子配当を総合して、そしてそれが果たして本人のものであるかどうかという確認の問題、それから全部名寄せができるかどうか、この実行問題になりますと、これはかなりの準備を要することは御理解いただけると思うのでございます。この用意なくしてやりますと、これは恐らくはもっと不公平な結果になるおそれが十分あるわけでございます。  現在の特例は五十五年度まで続くのでございまして、われわれは五十六年度以降何とか総合課税の方に持っていきたいということで検討しているわけでございます。  なお、ことしから源泉選択の税率が三〇から三五に上がったばかりでございます。そういったこともございまして、この問題はしばらく時間をかしていただきたい、こう思っておるのでございます。主として実行問題が大きな問題になるわけでございます。
  32. 西岡武夫

    西岡委員 それでは利子配当分離課税については、五十六年度にはこれを廃止する、それまで準備を進めていく、こういうふうに理解してよろしいのでございますね。
  33. 村山達雄

    ○村山国務大臣 その目途でいま鋭意検討を進めているところでございます。
  34. 西岡武夫

    西岡委員 私どもは、現在の日本財政の非常に困難な状況の中で行政改革と税制についての不公平というものを是正しなければ、政府がお考えになっておられるような増税というものを国民の皆さん方に納得していただく説得力を持たない、こういう立場で主張をしているわけでございまして、ぜひ総理もこの問題にいままで以上に積極的に真剣にお取り組みをいただくように要望しておきたいと思います。  次に、私どもは五十三年度予算政府原案について、積極財政は結構だけれども二つ問題がある。一点は、公共投資に余り大きな役割りを課し過ぎたのではないかということを指摘をいたしました。  次に第二の問題点でございますが、どうもその積極財政の内容と性格というものがあいまいではないだろうか。それはどういうことかといいますと、福田総理は施政方針演説においてこういうふうに述べておられます。「われわれがその決意を固めて行動する限り、当面する困難は、すべて新しい飛躍への好機であり、次の発展の礎石に転化し得べき魅力ある課題となるのであります。」と述べられて、さらに「今回の財政措置は、当面の経済対策にとどまらず、物心両面にわたるわが国の歴史的な社会開発を目指しているという点であります。」と、このことを説明しておられます。私どもも、まさに総理のお考え方には賛成でございますが、この実際の予算の内容については、一体日本の目指す目標が明確に示されているのだろうか、どうも疑問を呈せざるを得ないわけでございます。  新自由クラブは、結党以来教育立国を唱えて、さらに先日の河野代表の衆議院本会議における代表質問を通じて明らかにいたしましたように、改めて文化国家の建設ということを提唱したわけでございます。これについて総理の御見解を承りたいと思います。
  35. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 今回、公共事業費を中心とする積極財政、これを採用することになったわけでございますが、積極財政をとりますと、財政運営が非常にむずかしいことにはなります。なりますが、同時に、この積極財政によって多年のわれわれの念願が実現し得るという面もあるのです。それがつまり、私があの言葉で申し上げておりまする社会開発投資、これが進むのだ。しかし、この社会開発投資、西岡さんが余りそういう方向で機能しないのじゃないかというような御懸念を持ちながらのいま御質問のようでございますが、そうは私どもは見ておりません。つまり、政府におきましては、昭和五十年代前期五カ年計画という経済計画を持っているわけです。それからまた、それを基盤といたしまして御承知の三全総、つまり定住圏構想、これを進めていくという計画も持っておるわけであります。そういう計画があるものですから、この際、その計画に従いましてその計画を繰り上げ実行する、こういうような性格のものになるわけでありまして、これはそういう社会開発計画を大いに進めようという、そういうだけの目的でやるわけじゃございません。景気政策ということをにらんでやるわけでございますけれども、同時に社会開発を大いにこの際進めよう、こういう考え方をこの五十三年度予算をもって実現しよう、こういう考えで、内容もそのとおりになっておるというふうに御理解を願いたいのであります。  それから、もう一つは何でしたか。(西岡委員「国家目標です」と呼ぶ)それから私、施政方針演説でも強調したのですが、五十三年度予算を見ますと、やはり景気、景気、その景気というと、物、物、そういうふうにどうもなってしまうのですね。予算を見ると、公共事業費がうんとふえる、しかし一般の諸経費は、その公共事業の伸びに比べましてそう伸び率がはかばかしくいかない、そういう性格の予算でございまするけれども、ここで忘れちゃいかぬ問題がある。  われわれは、物の面だけで国づくりということを考える、そういうことであってはならぬ。ことし五十三年度におきましてこういう予算をつくりますと言うけれども、これは国づくりの一環である。見たところ物に非常に偏った一面があるけれども、しかし、これは国づくりの一つの道程である。国づくりのもう一つの側面である国民の心の問題を度外視してはならぬ、こういうことを強調いたしておるわけであります。そういう気持ちをあらわしまして、あの文教予算、これなんかも、文部大臣の方から御説明してもよろしゅうございますが、かなりの施策と取り組んでおるわけでありまして、やはり物心相つり合いのとれた社会建設でなければならぬ。特に心の面というか、そういう面につきまして非常に重きが置かれた社会であって初めて好ましい社会である、私どもはこのように考えております。
  36. 西岡武夫

    西岡委員 私が申し上げたいことを、具体的な提案を踏まえて申し上げたいと思います。  同じ公共投資を行う場合にも、たとえば先日の参議院の本会議におきましてわが党の有田参議院議員提案をいたしました、公共の建造物についてその予算の一%ないし二%を芸術的作品を設置するために充てるという考え方を具体化する、こういう大きな発想の転換というものが行われる必要があるのではないか。もちろん、これから十年、二十年、三十年、五十年というふうにずっと積み重ねが行われて初めて効果が出てくるわけでありますが、そのとき初めてわれわれの子孫、子供たちや孫たちの時代にそういう精神的な環境というものが整っていくのではないだろうか。また  一方、そういう公共の建造物、建物であるとかいろいろな橋だとか、そういったものも、それぞれ。パーセンテージはそれぞれに対応したやり方が、これはフランス等でも行われておりますけれども、芸術的作品、装飾というものを施すことによって、その地域社会の伝統工芸というものを引き出していく力にもなる。それはひいては雇用の場をふやしていくということにもつながるではないか。こういうような発想の転換が必要だという意味で、私どもの参議院議員が御提案を申し上げたわけです。     〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 この点について、五十三年度予算から、少なくとも文部省の所管からだけでもおやりになるお考えは、文部大臣、ございませんか。
  37. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 お答えをいたします。  参議院で有田先生あるいは柿沢先生にも御答弁を申し上げたことでありますけれども、私はきわめて魅力的な御提案であると心得ております。ただ、御承知のように、たとえば小中学校、これは設置者は地方公共団体、市町村でございます。こういうところとの意思の疎通も図らなければなりません。いろいろな問題が前提にあるわけでございますけれども、現に西岡先生がいま御提案になりましたように、時代時代、これだけ変わってまいりました、文化国家を目指さなければなりませんから、小学校、中学校でもやはりそういう先生御提案のような学校ができていくことがまことに望ましい。当然やらなければならないことでございまして、現にそういう学校ができていっているわけでございます。まだ数多くとは申しませんけれども、たとえば国立にいたしますと、浜松医大の付属病院でありますとか、あるいは筑波大の学生寮でありますとか、小学校におきましても美しいりっぱな壁画を持った小学校等ができていっておるわけでございます。  五十三年度予算におきましては、フランスのようにアンドレ・マルローの発想によります一%をそれに割くというような予算的措置はできておりませんけれども、御提案の趣旨、それを体しまして、なお一層それぞれの施設者と意思の疎通を図りながら、先生の御提案の趣旨を生かしながら仕事を進めてまいりたい、かように考えるものでございます。
  38. 西岡武夫

    西岡委員 これは文部大臣がやるという御決意をなさればできないはずはないと思うのです。五十三年度からでも。  それでは、五十四年度文部省の概算要求のときには、いまの考え方を盛り込んだ予算を少なくとも文部省だけでも出されますか。
  39. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 五十四年度のことをいまから少少早過ぎるのではないかと思いますけれども、たとえば、いま先生から伝統工芸というお話がございました。それぞれの地域社会にあります伝統工芸、フランスの場合はモザイクでありますとかステンドグラスでありますとか、フランス本来の伝統工芸を建造物そのものに利用できないかというようなアンドレ・マルローさんの発想があったように伺っておりますが、日本のそういった建築物にどういうふうに日本の伝統工芸というものがマッチしていくかということも検討させていただきまして、五十四年度予算概算要求の時期までに決心をさせていただきたい、かように考えております。
  40. 西岡武夫

    西岡委員 時間の関係もございますから、次に進みます。  わが国が、総理の言われる歴史始まって以来の転換期にあるということであれば、その認識に対応した具体的な政策転換というものが行われるべきだというふうに思っております。昨年の十月の臨時国会で、私は産業構造、社会構造の変化を促進し、それに対応する一つの考え方として、就業人口を教育、文化、芸術、科学技術というような部門に誘導させる政策というものを進めるべきではないかということを具体的に提案をいたしました。そのときの総理の御答弁は、何か経済問題、雇用問題に絡んで、そういう提案についてはちょっといただきかねるというような、非常に消極的な御答弁しかいただけなかったわけでございますが、雇用の問題が非常に大きな問題と具体化してまいりました今日、総理も多分御理解をいただけるのではないかと思いますので、改めて具体的な提案を申し上げたいと思います。  現在、小、中、高等学校の一学級当たりの児童生徒数は、一クラス四十五人というものを上限に定めております。文部省はこのことに対して、全国で平均しますと大体三十何人になるので、決して欧米諸国のクラス編制に劣っていないということをよく答弁をするわけでございます。ところが、具体的に調べてみますと、人口急増地域を中心とした都市部を見ますと、そのほとんどが四十五人ぎりぎりのクラスなのです。全国全体の小学校を見ましても、大体その四分の一が四十五人ぎりぎり近くの児童生徒数なのです。中学校の場合には、大体全国で半分のクラスが四十五人ぎりぎりになっているわけです。この学級編制については、児童の数を減らすということが、いわゆる落ちこぼれの子供たちをなくすためにも、行き届いた教育ができるためにも、これは教育界の最大の課題の一つになっているわけです。  ところで、一遍にこれを半分にするというわけにもいかないでしょうから、段階的にやるといたしまして、当面、まず一学級当たりの最高限度を四十人というふうに変えたといたしますと、大体五万数千人の教師が必要になるわけです。一方、いま教員免許状の取得状況というのは、五十二年度の場合に、小学校の教員で大体二万五千九百人が教員の免許状を取っております。もちろん教員免許のあり方については、また別途問題はあります。ありますが、現実にそれだけの人が取っていて、実際に教員になられた方は大体その半分でございます。  大体最近の労働省の発表によりましても、若手の失業率というものも、いままではまだまだヨーロッパに比べればはるかに低いのですけれども、若干ふえてきているというような状況も踏まえて考えれば、いま政府が行っております雇用に対する政策というものは、非常に危機的な状況の中に救命ボートを出すというような程度の施策であって、一体どういう方向に雇用を持っていくのかという視点が定まっていないと思うのですね。教員の数をふやすというのは一つの例にしかすぎませんけれども、一方において、教育界で大変な問題を抱えている落ちこぼれをどうするかということは、この六・三・三・四の学校制度全体を揺るがす大きな問題になってきている。こういったことを並行して解決できる道としてこういうことがあるではないか。これは日本の就業人口の構造の変化にも対応でき、将来を指し示す方向づけにもなるではないかという意味で、このことを御提案申し上げているわけです。これについて総理の御見解を再度お伺いいたしたい。
  41. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 義務教育学校の一クラスの生徒定員を減らす、こういう考え方、これは私は、当面の雇用対策というようなそういう次元で考えたくない問題だと思います。国費を使って人をどんどん使う、これが雇用対策だと私は考えません。ですから、そういう雇用対策の面でなくて、さあこれから教育を一体どういうふうに充実していくのだ、よりよい国民を育成する、それにはどういうふうにするのだという角度で考えますれば、やはり五十人の定員よりは四十五人の定員の方が充実した教育ができるでしょう。また、四十五人よりは四十人の方が充実した教育ができるのですから、それは私はよく理解できます。だから、そういう考え方に立ってこの定員問題をどういうふうにするか、こういうことだろうと思いますが、当面の雇用と結びつけて考えるのはどうか、こんな感じがします。
  42. 西岡武夫

    西岡委員 私は別に雇用と結びつけて、その問題だけで議論しているわけではありません。これは前々から、ここ六、七年前からの課題になっているわけでございます。私自身もこの問題に取り組んでまいっておりますが、実際日本の産業構造が大きく変化する中で、産業転換といっても具体的な方向が何ら指し示されていない。少なくとも一例として、こういう教育界にもっと人材を招致するのだというような視点があってもいいのではないだろうかという意味で申し上げているわけですから、そこは誤解していただいては困るわけです。そういうことが余りにも少な過ぎるのではないか、方向づけがなされていない、こういうことを言いたかったわけです。  そして特に、先ほど総理は、文部省の予算も十分見ているというお話でございましたけれども、五十三年度予算について、これもちょうど一年前に私が指摘をいたしましたのは、四十八年、四十九年、五十年、五十一年というふうに文教関係予算というのは、年々国の予算全体の中でシェア、比率を高めてきたわけです。福田総理が初めて予算をお手がけになりました時点で、非常に皮肉なことにちょっと落ち込んだ。これは昨年の予算委員会でも指摘をしたわけです。ところが、五十三年度は、さらに去年よりも、五十二年度よりも落ち込んだという結果が出ているわけです。私はなぜ、五十三年度を、本当に未来を展望した中での教育、文化、芸術というようなものを大事にしていくのだ、精神的なものを大事にしていくのだという意味での予算の第一年次になさるくらいのそういう考え方が出されなかったのだろうか、これは非常に残念だということを考えるわけです。わが国のこれからの取り組むべき課題の一つに、知的な、文化的な、精神的なものを地方にもっと分散させていくということが一つの大きな仕事ではないだろうか、こういうふうに思います。余りにも中央、大都市に集中している。そういう点で、こういう積極財政を推進をしていく中で、大型の公共投資を推進していく中で、いま申し上げたような哲学を裏づけとしてやっていけばもっと別の展開の仕方があるのではないか、こういう意味で申し上げたわけでございます。  一例をちょっと申し上げてみたいと思うのです。わが国の文化的な教育的施設というものが、全体としてもまだまだ充実しているということでもない。十分充実していないのが、さらに中央、大都市に集中してしまっている。ということは、地方の環境というものがいかに文化的な、教育的な、芸術的な、そういう水準が低いかということを意味しているわけです。たとえば博物館を一つとってみましても、総合博物館が一つもないという、不設置の県が十八県あります。科学博物館は二十の県でございません。美術博物館も十三の県で全然設置されていない。また子供たちの一つの施設でございますが、動物園なんかがない県は大体半分以上、二十五の県で動物園が一カ所もない。植物園が三十六の県でない。水族館は三十の県でない。こういうような状況にあるわけです。  公共投資について、確かに下水も不足している。これもやらなければいけません。しかし、いろいろな公共投資の中で、こういう面にもっと目を向けて、文化、芸術の地方への分散、知的な機関というものの分散をもっと積極的に図るべきではないか。これも単なる一例にしかすぎませんけれども、こういう考え方公共投資も見直していくべきではないかという一つの例として私は申し上げたわけです。総理、御感想はいかがでしょうか。
  43. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 考え方は、私はそう違いはございません。政府におきましても定住圏構想、つまり地方と大都市とのつり合いを十分とりながら地方の住みよい豊かな環境をつくっていこう、こういうことでございます。これを背景といたしまして今度の公共事業もやっていく、こういうことでございます。  ただ、文化施設、これはもとより重視しますけれども、それだけを中心にというわけにはいかないのです。やはり博物館ができましても、それに通ずる道も必要でありましょうし、いろいろな関連施設が必要なんですから、事は総合的に考えなければならない。そういう前提づきにおいて、西岡構想には賛成でございます。
  44. 西岡武夫

    西岡委員 総理考え方には賛成だということでございますから、この問題はこの程度にとどめます。  次に、教育改革の問題に進みたいと考えましたが、時間が余り残されておりませんので最後に回しまして、食糧問題について、食糧政策について次に質問をいたします。  私は、食糧問題を考える際に、どうしても一つの原則というものがあると考えております。それは、生物がその生命を維持していくためには自分の生息地、テリトリーにおいてとれるもので自分の命を養うんだというのが一つの原則であろうと思います。したがって、人間もまたその例外ではないわけであって、日本人が日本列島においてとれるものというものを中心にして、基礎に置いて食生活を設計するということが原則でなければならない。この考え方について、総理は御賛成いただけますか。
  45. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 食糧は安全保障、そういうような考え方もできるくらい大事なものでありますから、やはり、ある変化が来た場合においてこの安全保障がどういうふうに実現できるか、これを常に頭に置かなければいかぬと思います。そういうことから考えまするときに、やはり国内でできるという食糧を中心とした農業政策、食糧政策には相当大きな比重を置いて考えなければならぬ、かように存じます。
  46. 西岡武夫

    西岡委員 では、農林大臣お尋ねをいたします。  現在政府が推進しておられますお米の消費拡大という政策は、いわゆる余り米というものを処理することを主たる目的としているのではなくて、国民の食生活、栄養、健康のために望ましいという確信に基づいて農林大臣はなされているのかどうか、お尋ねをいたします。
  47. 中川一郎

    ○中川国務大臣 まさに大事な御指摘でございまして、食糧というものは、その国の風土、気候すべてに合った、こういう古来の米のようなものを大事にしていくということは、まさに国民的課題だろうと私は思うのでございます。  ところが、最近の傾向は米の消費量がだんだん減ってまいりまして、一時期百五、六十キロも食べておりましたものがいま八十キロ台に下がっておるわけでございます。しかもこの傾向がだんだん強くなってまいりまして、逐次減っていく。しかも今度逆に生産の動向は伸びておるというので、昭和四十四、五年ごろ七百万トンから余りまして、一兆円をかけて処理をした。外国に輸出したらいいじゃないかという議論もございますけれども、価格の問題よりはむしろ品質の問題で、日本の軟質米が東南アジアの地域で受け入れてくれない。こういう二重の問題がありまして、外国にも出せる国民経済的に見ていいものではない、さすれば家畜のえさにというようなことで、七百万トンを、当時約一俵一万二、三千円しておりましたものを二千円程度でしか処理できなかったということでございますので、過剰米については何か利用がないかとずいぶん苦慮をいたしておりますが、やはり長期的に見ていいというものはない。  七百万トン整理を終わって、生産調整をお願いしてまいりまして、かなり効果を上げてまいったのでございますが、この二、三年前からまた過剰米が出てまいりました。現在四百五十万トンぐらいに過剰米がなるという状況になってまいりました。そこで、百七十万トン単年で生産調整をしなければ、昭和四十四年、五年ごろの、また家畜のえさ等に処理をしなければならぬという、国民経済的に見るとこんな不都合なことはございません。これをどうしても避けたいとして先般来お願いはいたしておりますが、私はむしろ、やはりこの大事な、日本に一番適した生産力のある、国民の嗜好にも合った米、一時期、米を食べると太るとか病気になるなどというような間違った風潮が流れましたが、われわれの計算では、昔から食べてきておって栄養価値も多いし、ある人はおいし過ぎるからたくさん食べるんだと言うくらいで、日本人に合った炊き方、料理の仕方をすれば、もうこんないい食糧はない。でありますから、国民の皆さんに、一朝有事のときにパンやうどんやラーメンに頼っておったときには、国家安全保障から言っても、国民の安全保障から言っても——スイスその他ではパンを二年、三年と貯蔵して一朝有事に備えるというくらいのことをやっているくらいですから、これは私は、前の本会議でも申し上げたように、米の消費拡大については国民的御協力をいただきたいし、また、これを原料とする酒についても、いわゆる国産品というようなものもひとつ御協力をいただきたい、そして無理な生産調整をしなくても済むようにしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  48. 西岡武夫

    西岡委員 それでは、農林省としては消費の拡大の目途というのをどこに置いているのか。いまの大臣の御答弁ですと、減少傾向、これは確かに、特に都市部では農村の半分ぐらいしかお米を食べないというような実情になっているわけですけれども、いまの水準よりも消費を拡大しようとお考えだというふうに受けとめます。  そこで、厚生大臣お尋ねをいたしますが、最近の栄養学界では、摂取熱量の構成比は、日本人の場合に、たん白質一一%から一三%、脂肪二〇%から三〇%、炭水化物五七%から六九%が適正比であるとされているというふうに聞いております。八年前の昭和四十五年の時点で日本人の食生活はこの適正比率にほぼ近く、四十七年以降は大体この比率に完全に一致しているという数字が出ているわけでありますが、こういうふうにわが国の食糧消費の形態は、栄養的に言って大体問題のない水準に達しているというふうに厚生省としては理解しておられるかどうか。さらに、現在、農林省を中心として進められている米の消費拡大の方針を、国民栄養的な見地から厚生省としてどのように評価されているか。厚生省としても、国民はもっとお米を食べるべきだという考えかどうか。そうだとすればその根拠はどこにあるのか、簡単にお答えをいただきたい。
  49. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 大事な脂肪、たん白につきまして硬いま数字をお挙げになりましたが、大体私どもも現状においてやや不足程度であろう、こう考えております。  それから、米の消費について、国民の栄養の観点から考えて奨励をすべきであるかどうか、これは結局、米がいいとかパンがいいとかという議論ではなくて、総合的な栄養価というものをそれぞれ副食を含めた上で考慮しなければいけない問題でございますので、米だけがいいとかあるいはパンだけがいいとかという議論ではなくて、やはり、米の場合に、いま農林大臣が言われました米そのものの栄養価というものは、これはもう私どもも当然是認といいますか同感でございますので、問題は、副食その他を含めまして総合的に栄養のバランスがとれるようにしていただきたい、そういう方向でできるだけ国民の栄養指導を行いたい。また、最近では特に食生活の様相が非常にインスタント化しております点についても、相当警告を発しなければいけない。そういう面から、できるだけ米の消費の拡大につながるように、食生活改善を担当しますそれぞれの団体について協力をいまお願いいたしまして、具体的に米の消費拡大につながる方向をやっていただくように指導しているところでございます。
  50. 西岡武夫

    西岡委員 農林大臣お尋ねをいたします。  昭和六十年度を目標とした政府の「農産物の需要と生産の長期見通し」によりますと、昭和六十年の米の需要量は千二百十一万トン、これは玄米換算でございますが、昭和四十七年度比で一〇一・四%、想定人口一億二千百八十七万人で割りますと、一人当たり平均九十九キロとなっています。この数字は、昭和五十年における一人当たり九十八キロとほとんど変わらない。農林省のこの長期見通しと米の消費拡大、先ほど大臣もいまより拡大していく方向であるというふうに確認をされたわけでありますが、この長期見通しとの関係をどういうふうに御説明になるのか。これはやはり、改めてもっと米の消費を拡大するのだという目標値を設定されるのか、この点、お答えをいただきたい。
  51. 中川一郎

    ○中川国務大臣 農林省としては、消費を拡大してもらいたいということで、学校給食も従来はパン、牛乳が中心であったものを、約十万トンくらい、週二回程度は米にしてもらいたいということで、そういう方に指導いたしておりますし、また、米についての啓蒙宣伝といいますか、いままさに御指摘があったように、いい食糧であるのだというようなことを知っていただくということに努力もいたしております。そして、いまより消費が減らないようにという努力は今後も続けていきたい。  数字的なことは事務当局に説明させます。
  52. 西岡武夫

    西岡委員 私がお尋ねをしておりますのは、穀物の自給率について、この長期見通しによりますと、四十七年の自給率は四二%、六十年を目標としたこの見通しによると三七%というふうに低下している数字を出しておられまして、その背景としては食生活の一層の欧米型化を挙げているわけでして、いまの大臣のお話とは非常に矛盾していると私は思うのです。ここから農林省が手をつけて、長期見通しのところから変えて、米の消費拡大を図るということを打ち出さない限り、これは説得力に乏しいのではないか。もう一歩進めて申しますと、政府が現在の日本人の食糧消費の型をやはり変えていくべきだという考え方に立つのかどうか。もちろん、食べ物のことでありますから、これはなかなかむずかしい微妙な問題であることは承知しております。しかし、こういう問題に一歩踏み込んでいかなければいけない時期に来ているのではないかというふうに私は認識をしているわけで、農林大臣はこの長期見通しの改定も含めて取り組まれる御決意なのかどうか、これを承りたい。
  53. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いま御指摘のありました、四二%が三七%に長期見通しではなっているというのは、これは米だけではありませんで、穀類、そういうものの数字だと思うのです。これはまさに肉類が鶏、豚、牛肉を含めまして相当量——相当量というより莫大な量が外国から入っておりますので、今後肉その他の消費の拡大ということを考えれば、国内では自給率が非常に低いものですから自給量は下がっていく、こういう方向になるわけでございます。  しかし、米については一〇〇%もちろん自給率を達成したいし、それからいま御指摘があった数字についても、できたら御指摘のように積極的に米をもっと食べていただくというような長期見通しで、できれば百七十万トンというような生産調整がない方向に持っていきたいとは思いますが、これは政府が幾ら考えてみても、あるいは政策をやってみましても、消費者の協力、国民的な御協力がなければ空文に終わってしまうわけでございますので、これからは長期計画を改定するしないは別としても、改定できるくらいの気持ちで国民の皆さんに消費を伸ばしてもらうという仕組みでまいりたい。そしてまた、できればこの見通しも、今後この動きと、また国民の協力の度合いによっては改定も考えるくらいの姿勢でやっていきたいな、こう思っておるわけでございます。
  54. 西岡武夫

    西岡委員 私の申し上げているのは、中川農林大臣が非常な熱意で米の消費拡大にお取り組みいただいている姿勢は先般の衆議院本会議でもよく拝聴させていただいたわけですけれども、ああいう積極的なお取り組みがあるならば、「くらいの」ではなくて、見通しをお変えになったらどうですか。
  55. 中川一郎

    ○中川国務大臣 見通しを変えますと、たちまち生産調整の数量を減らすという方向に持っていかなければならないわけなんです。ところが、いまの段階でこれを減らして実効を上げることができるのかどうかということになると、なかなか容易じゃないわけなんです。これは政府予算を出してどうこうというだけで消費拡大ができるものならば変えたいとは思いますけれども、むしろ、きょうは国民の皆さんに訴えるいい機会をつくっていただいて、本当に感謝にたえないわけでございます。私自身も、これだけの大蔵省に積んであります三億、四億で啓蒙宣伝してもほんの一端にしか渡らないわけでございますが、西岡委員の本当に理解ある、愛国的な、国民の食糧確保というまことに当を得た御質問をいただきまして、これが実効が上がるのではないかと心から感謝を申し上げます。今後とも一層の御協力を願います。
  56. 西岡武夫

    西岡委員 私の質問には明快にお答えにならないで、ちょっとどうかと思いますが、栄養学者の間にも最近、米食の見直し論というのが出てきております。聞くところによりますと、アメリカではお米は美容食の一種であるとさえ言われているということでありますが、米がすぐれた食品であるということは、これは栄養学的にも証明されております。たとえば小麦のたん白質との比較では、たん白価の指標で、お米七〇に対して小麦は四七というふうに、お米の方がすぐれているということが明らかにされております。しかし、残念ながら、戦後欧米型の食生活の改善のキャンペーンみたいなものが徹底的に行われた結果、米食が阻害されて、そうした食習慣というものができ上がってしまった。この食糧消費の型というのは、多分に厚生省によって誘導、促進されたのではないだろうかと私は思っているわけです。そういう意味では栄養政策上の転換というものが迫られているというふうに思うのですが、厚生大臣、いかがでしょうか。
  57. 小沢辰男

    ○小沢国務大臣 先生のおっしゃるとおりだったと私は思うのです。重大な反省をしていかなければならない。米の栄養価についてはもっともっと見直して、そしてこれを国民に周知徹底するような努力を私どももやらなければならない、かように考えております。(発言する者あり)
  58. 西岡武夫

    西岡委員 先ほど農林大臣も指摘されましたけれども、お米の見直しという機運が出てきて、長年、いまも発言があったのでありますけれども、お米をたくさん食べると太る、高血圧になる、がんになる、頭が悪くなるという偏見というものが定着して、米を少なくすることが健康的な食事であるかのような誤解がかなり根強く定着をしていることは事実だと思うのです。こういったお米をめぐる悪い環境といいますか、こういったものを打開するためには学校給食というものを推進する。これは私自身もいままで取り組んできたわけですけれども、こういった場を通じてお米に対する見直しというものを具体的な形で進めていく。政府がそういう啓蒙的な活動というものをもっと積極的にやらなければとうてい打開できないというふうに私は考えております。  現在の農政の混迷の基本は、国民の食糧消費の形態に対するいわば政府の成り行き任せというふうな姿勢というものが、今日の場当たり的な米の消費拡大ではどうにもならなくなっている事態を招いたというふうに思っているわけでありまして、日本人の食生活のあり方の根本に立って食糧消費形態の再検討というものに一歩踏み込んでいくべきだと考えるわけでありますが、総理の御見解を承りたい。
  59. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 私も、わが国の食糧問題を打開するためには、やはりこの米の需要拡大が中心だというふうに考えるわけです。その方途はいろいろありましょうけれども、やはり基本的には学校給食ですね、これを米食中心に持っていく、これが一番手っ取り早くかつ基本的な解決策である、こういうふうに考え、その方向を進めてまいりたい、かように考えます。
  60. 西岡武夫

    西岡委員 お米の問題についての政府の基本的な姿勢というものがかなり明快になったわけでありますが、学校給食につきましては、私もこれまで学校給食に米飯を導入するということに積極的に取り組んでまいりましたが、これを全面的に米飯化するということを進めてきているはずなんです。これについて文部大臣は、いまどれくらい学校給食で米飯が導入されているのか、これを完全米飯化にいつの時点で持っていけるのか、その見通しについてお答えをいただきたい。
  61. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 お答えをいたします。  学校教育の場で米食の普及を図ってまいります点につきましては、西岡先生と同じ意見を私も持つものでございます。  ただいま政府部内で米飯給食の普及の計画ができておりますのは、五十六年を目途にいたしまして、十万四千トン、週二回、こういう計画を立てているわけでございます。五十二年度の計画が二万トンでございますが、ただいまの見通しといたしましては、それを一割ばかり上回る二万二千トンを消化できる、こういう見通しを持っているものでございます。  私も先般豊島区の小学校へ参りまして、ちょうど米飯の日にぶつかりまして、チャーハンを食べてまいりました。子供たちから取材をいたしてまいりました。いままでのパンから米飯がふえてきているけれども、きょうの御飯はおいしかったか——ずいぶん大ぜいの子供たちがおかわりをいたしておりました。私はこれを見まして、米飯給食の一層の普及に自信が持てたという気持ちがいたしますので、五十六年を目途にいたしておりますけれども、その途中におきましてより一層の普及拡大がむしろ児童たちの希望で出てくる、そういうことでありますならば、これを改定して完成の時期を早めることもまた、受け入れ体制の整備と伴って可能ではないか、こう考えております。
  62. 西岡武夫

    西岡委員 以上、食生活のあり方という視点から政府の農政の基本姿勢についてお尋ねをしたわけでございますが、この問題の最後に、農業基本法、農地法を初めとする戦後農政全体が根本的にいま問い直されているのではないかというように私は認識をいたします。いままでの農林大臣の御答弁から出てくる答えというのは、たとえば、現在政府としては何としてでもやりたいとおっしゃっている減反政策というものも実は矛盾をしてくるわけでありまして、こういう根本的なところから手をおつけになるというお考えならば、いまの減反政策を一時中止して、その根本のところから取り組まれるというのが筋ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  63. 中川一郎

    ○中川国務大臣 そういう手段もあろうと思いますけれども、減反をやめて見直しをやって食べていただくようにして、農政のあり方を全部やりかえるという方法もあろうと思いますが、いかんせん、もう四百五十万トンというものは余るのでありまして、これは処理しなければならぬという火のついた時代でございまして、さらにこれが生産調整を一年でも半年でもやめまして取り組むことになれば、たちまち莫大な財政負担がかかって、これは国家経済からいってこんな不都合なことはないことになりますから、生産調整は生産調整で進めていただいて——申しおくれましたが、特に農協あたりも、この米の余ったのは政府と言う前に、農協の大会をやりながらパンやラーメンでは、ちょっとかっこうがつかないと思うのです。やはり農村みずからが米を食べるというような姿勢ができて初めて政策が遂行されるわけでございますので、両方並行しながらやらしていただきたい。生産調整をやめてというような余裕のない、もうぎりぎりの時代に来ておるということを御理解いただきたいと存じます。
  64. 西岡武夫

    西岡委員 やはり農政の問題については、いまの減反政策というものが与えている将来に対する非常な不安というものは、農家にとっては非常に大変なものだと思いますので、私は、繰り返しになりますけれども、農業基本法というところからもう手をつけなければいけないという時期に来ていると思いますし、ひとつ腰のすわった新しい農政の展開というものを大臣に強く希望をしておきたいと思います。  次に、午前中の時間がもうわずかでございますので、一点だけ、教育改革について文部大臣お尋ねをいたします。  大学入試の改善に文部省も取り組まれて、共通一次試験というものがようやく五十四年度からスタートすることになりました。ただ、これまで議論されてまいりましたように、いまのような形で入試の改善が根本的に行われるというふうに私は思っておりません。それは幾つかの点がございますが、一つは、私学がこれから欠落しているという点であります。もう一つは、第一次共通試験の位置づけというものがまだ不明確だ。その上に、第二次の試験というものが、それぞれ勝手に一つの指標だけを——余りたくさん第二次試験では課さないようにということを言っているだけであって、どうも二重負担になるおそれがある。これでは入試の改善ではなくて、改悪になるおそれすらある。これをどうするのか。  もう一つの問題は、いまの共通一次試験というものが一月に行われるわけでありますが、これでは高等学校の三学期というものを文部省自身がもう否定してしまっているということにならないのか。共通一次試験という一つの制度を導入する、いままで各学校でも行われていたわけですけれども文部省としてそういう制度を導入する以上、高等学校の三学期を否定したような形での共通一次試験の実施というものは私には全く納得がいかない。  こういうように考えますと、かねて私ども提案をいたしておりましたように、大学の新学期を九月にしてはどうか。これは、最近大学人の間でもほとんど異論がないというふうに私は承っておりますが、こういった根本的なところに文部省も積極的に取り組むべきではないだろうか。中途半端な共通一次試験ということで、少しは前進したような形だけをつくるということではもう意義がないと思うのですが、文部大臣のこの問題についての御見解を承りたい。
  65. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 最後の御質問が大変たくさんの内容を含む御質問でございまして、一つ一つお答えを申し上げます。  一次共通入試というものの位置づけ、このことは、いまの先生の御指摘の二次試験の科目数では意味がないじゃないかということに絡んできていることでございます。大学の一次共通入試というものは、国立大学協会で完全に意思の統一を見まして、大学みずからが決断をいたしまして踏み切った問題でございます。  これはもう西岡先生も当然御承知のことでございますけれども、その位置づけというものの一番基本にありますものは、有名校に入学希望者が集中をした、そのことが入試地獄と呼ばれる状態に非常に大きな原因と相なっております。こういう事態を避けたい。高等学校の授業内容、高等学校の教育内容、このことを十二分に理解をしておりましたならば及第点がとれる、そういう試験を出していきたい。高等学校の教育内容だけではなくて、そのほかに塾などへ通って受験技術などという無用なものを勉強しなければ大学の入試に耐えられないといういまのあり方は間違いだ、こういう反省から事をスタートいたしておりますから、したがって、各国立大学のいろいろな教授が集まりまして、いま申し上げたような趣旨で、高等学校の授業内容というものを十分に理解をいたしておりましたならば当然及第点のとれる、そういう試験問題を提案していこう、ここに一番大きな意義があるわけでございます。  したがいまして、せっかくそういう段取りをつけておりますのに、二次試験で非常に科目が多いということがありましたならば、せっかくのこの共通一次入試の意義がなくなるということでございまして、大学協会でもその点を検討いたしまして、二次試験の科目数にもガイドラインを設けたわけでございます。二次試験におきましては学科試験を一切しないという大学も出てまいりました。高等学校の調査書あるいは一人一人の個人的な面接によりまして、その高校生の持っております各様の態様にこたえて選んでいこうという学校もあるわけでございますけれども、依然として二次試験の課目の多い大学もまだ残っておりますことは御指摘のとおりでございます。  これらの点につきましては、西岡先生のおっしゃいました大学入試の位置づけから少しそれるではないかという反省が大学当局自身の中にも生まれてまいっておりまして、国大協が引き続いてこめ問題を討議いたしまして、五十四年度の実施までにはなお一層の検討をしようと、そういう積極的な姿勢にありますことをお答えいたしておきたいと思います。  それから、大学の九月入試のことに絡みまして、いまの高等学校の三学期というものを無視しているではないかということは、いま私が申し上げました、大学の共通一次試験がこういう意味を持ってスタートをするのだということを御理解をいただきましたならば、高等学校の三学期の授業を無視してかかっているものでないことは御理解がいただけると思うわけでございます。首を横に振っておられますけれども、私は御理解いただけると思うわけでございます。  九月の大学入学、これは非常に大きなメリットがありますことは先生御指摘のとおりでございます。これには多数のメリットがございます。さはさりながら、今日の日本の大学の実情というものが、私学に非常に多くの大学生がおりますことも考えなければなりません。また、たくさんは申しませんが、私学校の経営にも絡んでまいります。また、それが家計費負担ということにもつながってくる。そういうデメリットも一部にはあるわけでございますので、そういうことをどう克服ができるか、専門家を集めて御相談をするという姿勢で従来はまいりましたけれども、私が就任をいたしましてから、文部省の中にこの問題を専門に議論をいたしますプロジェクトチームをつくりまして、文部省の中でこの問題のデメリット克服についての検討をいたしたい、かように考えておりますことをお答えといたします。
  66. 中野四郎

    中野委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩をします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  67. 中野四郎

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西岡武夫君。
  68. 西岡武夫

    西岡委員 引き続いて教育問題について文部大臣の御見解を承ります。  次に、高校問題を中心とした学制改革についてお尋ねをいたします。  去る一月下旬に沖繩で開かれました日教組の教育研究集会において、これまで日教組内部ではタブーとなってきておりました教育の現場の本音の議論が行われております。  その一例を要約いたしますと、勉強する気持ちが全くないのに仕方なく高校に来ている問題児が多過ぎる、こういった生徒には退学を勧めるなど進路を変えた方が本人のためにもなるという内容であります。また、これも日教組の内部ではタブーとなっていた能力別クラス編制についても、滋賀県の具体的な例として、能力別編制をすることによって低い学力の生徒にある程度の学力をつけることができた、そういう実績を上げることができたという発表もなされております。さらに、七〇%の生徒がたばこを吸う高等学校。学力だけでなく精神的にも高校教育が重大な問題を抱えているということを数々の実例を挙げて明らかにしているわけであります。  このことは、去る二日に警察庁が発表いたしました、昨年一年間の中学校、高等学校の生徒による学内暴力事件の実態調査によっても明らかであります。もちろん、この状況につきましては、親の甘やかしという問題もあることは否定できないと私は考えます。ただ、文部省も、中学校、高等学校における教育がいまや重大な危機に陥っているということをもっと真剣に受けとめてもらわなければいけないのではないか、こういうふうに考えるわけです。  私ども新自由クラブは、かねて六・三制の改革を提案いたしております。本来、高等学校の進学率が八〇%を超えた時点で高校教育のあり方についてもっと真剣に、これからどう高校教育を位置づけるのかという問題を文部省としては取り組まなければならなかったはずであります。ところが、現在すでに九〇%を超えて九三%、九四%になんなんとするという高等学校における進学率が高まった時点で、これを文部省としてはどのように位置づけようと考えておられるのか。また中学校との関連で申しますと、これだけ進学率が高等学校において高まった段階で、三・三という小刻みの区切り方というものが、微妙な発達段階を迎えた十五歳前後の子供たちにとって一体好ましいものなのかどうか、こういったことも根本から考え直さなければいけないと私は考えております。このことは、昨日発表されましたNHKの中学生についての調査によってもかなり明らかにされているわけであります。これは新自由クラブとしては、もう小手先の改革ではどうにもならないところに来ているのではないか、学制の改革という根本的な改革で初めてこういった問題を一気に解決することができるのではないか、こういう認識を持っているわけでございますが、中教審の答申におきましても、六・三制の改革についてはすでに昭和四十六年に具体的な問題提起がなされているわけです。それからもう七年経過している。文部省においてはほとんど何にもなさっておられない。この六・三制の改革の問題について文部省としてはどういうお考えなのか。ごく簡単で結構でございますから、こういう具体的な改革をやってますというような、そういう御答弁は必要といたしません、六・三制の改革に取り組むのか取り組まないのか、この一点だけをお尋ねをいたしたい。
  69. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 お答えをいたします。  非常に重要な問題でございまして、一言だけで答弁しろとおっしゃるのは、文教問題十分御堪能の西岡先生にしてはちょっと御無理な御注文ではないかと思うのです。私は真剣にお答えをいたしたいと思いますが、新自由クラブの御提案についても承知をいたしております。また、新自由クラブのこの学校の区切りの問題に重点を置かれました学制改革、この御提案を中教審にも御提出になりました。中教審もこれを記録にとどめて将来の参考にするというふうに中教審の会長からも承っているところでございます。  なお、一言でとおっしゃいますけれども、私は、重大な問題でございますから、ひとつ前提としてお聞き取りをいただきたいと思うのですが、西岡先生がある雑誌に投稿なされました学制改革についての御議論の最後のところの追記に、だれでもが改革が必要だと考えている、認めている、しかし具体的な提案をした場合に、その具体的な提案にけちばかりをつけて、改革をしなければならないという基本が一緒に葬り去られるわが国のそういう癖がある、こういうことを書かれておられるわけでございますが、私はそういう気持ちを毛頭持っておりません。そういうことを前提にしてお答えを申し上げたいと思います。  六・三制の問題、西岡先生の御提案は、カナダの心理学者のドクター・ローの文献等を御参考になって提案をしておられるわけでございますけれども、十五歳年齢の子供の心身の発達の状況、きわめて重要なことでございますけれども、さはさりながら、いま直ちに六・三・三という、これだけ定着をいたしましたこの学校の区切りということを、一挙に御提案のように六・五・五に変えてしまう、こういうことは、また大変な準備も要ることでございます。私は冒頭にお断わりをいたしましたように、こういった問題の改革を否定するものでは絶対ございません。いまのままでいいという考えもまた持ちません。しかし、それにはそれなりの準備が必要でございます。その準備につての検討を真剣にこれからも続けたい、できるだけ早くその結論を得たいということをお答えといたします。
  70. 西岡武夫

    西岡委員 それでは確認をいたしますが、文部省としても、現在の六・三・三・四という学制について問題がある、改革をやはりしなければいけないであろうという問題意識を持っておられて、その問題意識に基づいて六・三制の改革に取りかかるいま準備の段階である、こういうことですか。
  71. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 どうも少し飛躍をした御議論でございましたけれども、私は現状のままでいいとは考えない。しかし、それが六・三・三というものを御提案のように六・五、そして上の大学も五年にする、そういう制度が果たして一番いいのかどうか、あるいはほかの区切り方も考えられるのか、あるいは教育指導要領というものを中高一貫でやっていくことによって先生の御趣旨が生かされるのかどうか、こういうことをあわせて検討をしたい、かようにお答えをしているわけでございます。
  72. 西岡武夫

    西岡委員 私がいまこういう学制改革という重大な問題を突如として申し上げたならば、いまの文部大臣のお答えでやむを得ないと思いますが、先ほども申し上げましたように、すでに昭和四十六年に中教審が、あれはたしか三年半ばかりの時間をかけた上での答申であったと記憶をいたしておりますが、六・三制の問題について、先導的な試行を行う、そして十年たった時点でその制度に移行するというようなことを踏まえながら改革をすべきであるということを答申を出したわけです。それから七年たっている。本来ならば、その先導的試行がいいということであるならば、六・三制の改革というものはあと三年後にできていなければいけない、そういう経過を踏まえて私は御質問申し上げているわけです。ですから、飛躍したことでも何でもないし、また文部省の立場からいたしますと、そんなにイエスかノーかと迫られるというような問題でもないわけです。これはやはり六・三制の改革の問題について、日教組の教研集会等で出てきている高等学校の教育の現場の実態というものももっと真剣に文部省としては受けとめられなければ、文教行政の責任を負っているということにはならないと私は思うのです。そういう意味で申し上げている。これは御答弁いただく必要ありません。  もう一つは、職業と教育とのかかわりについて。  労働省は、今国会に職業訓練についての法改正を出される予定をしておられるようでございますが、この職業訓練というものは、これからの産業構造の変化の中で非常に大きな問題になってきている。これは教育とのかかわりにおいても非常に重大な問題です。ところが、いままで文部省と労働省との間で職業訓練について一体どこまで真剣に話し合いが行われているのか。今度の法改正についても、文部省の高等学校における教育あるいは新しく制度としてスタートをしている専修学校というものをどう位置づけるか、それと職業訓練とどう関係づけていくか、こういった問題について具体的な御相談があったのですか、あってないのじゃないでしょうか。どうもいままでの様子からしますとないと思うのです。それではいけないと私は思うのです。そういう職業と教育とのかかわりという問題を学校段階においても真剣に考えなければならない時期に来ているということを、問題の指摘として申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、いま私は高等学校の問題だけを申し上げましたけれども、大学教育の問題についても多くの改善を必要とする問題がございます。しかし、きょうはもう時間がございませんから触れません。大学問題については一点だけ申し上げますが、一昨々日ですか、自民党の足立議員から、東大の付属病院の精神科病棟の自主管理の問題が問題提起されました。ところがこの問題は、実はもっと別のところに本質がございます。それは何かと申しますと、戦後新しい大学制度が発足をいたしましたときに、国立大学の運営に責任を持つ大学管理機関というものが設置されることが予定をされておりました。ところが結局、この管理機関というものが設けられないで、暫定措置として教育公務員特例法の二十五条の中で読みかえ規定を行って、教授会が大学管理機関役割りを代行しているというのがいまの国立大学の現状です。文部省は一体いつまで、この大学の管理運営の問題について暫定措置のまま二十年も三十年も過ごそうとしておられるのか、このことについて具体的にお取り組みになるお考えがあるかないか、それだけお答えをいただきたい。
  73. 砂田重民

    ○砂田国務大臣 お答えをいたします。  答弁をさせていただきたいと思うことは答弁は要らないとおっしゃって、また御答弁申し上げる機会が他の委員会であろうかと思いますが、いまの大学の問題、非常に的確に問題を西岡先生とらえておられるわけでございます。大学に政治が持ち込まれている、許されることではございません。ただ、先生御承知のように、文部省と大学との関係というものは、他の一般行政機関の指揮命令系統とは全く様相を異にいたします。学問の自由を守るという憲法の精神がまさにそこに生かされているわけでございます。大学学長の帯びます権限、責務が非常に大きなものがある、これは私は当然のこととして受けとめますけれども、その学長を補佐いたします補佐機関が、先生おっしゃるような特例法で済まされておりますことは、いつまでもこのままでいいとは考えません。積極的に検討をさせていただきたい、かように考えるものでございます。
  74. 西岡武夫

    西岡委員 教育問題につきましても、まだまだ多くの、教員養成の問題、私学の問題ございますが、時間が迫っておりますので、最後に問題提起だけさせていただきます。  それは国防問題でございますが、新自由クラブは、わが国の安全を確保するために、シビリアンコントロールを前提として均衡のとれた防衛力を整備すべきであるという基本的な認識に立っております。その上で、これから新自由クラブとしては積極的に防衛問題について論議を進めてまいりたいと思いますが、きょうは時間もあと数分しか残っておりませんので質問を留保いたしまして、問題の指摘だけをさせていただきたいと思います。それと資料の要求を委員長にお願いをいたします。  今回、五十三年度予算におきまして、防衛庁はF15要撃戦闘機の購入を計上しておられます。これについて、私ども新自由クラブは、F15の導入よりも早期警戒機の導入の方が先ではないかという認識をまず第一点として持っております。  それともう一つは、F15の購入価格について若干の疑問があるという考えでございます。それは具体的に申しますと、航空機、戦闘機を購入いたします場合に、飛行機単体の価格と運用コストというものが一体になったのが購入価格でなければならない。これはアメリカの国防省等が予算に計上いたします場合にはそういう価格で計上をされております。ところが、どうも防衛庁の資料を拝見をいたしますと、価格の点で運用コストが含まれていないのではないか、こういうふうに私どもは見ております。この点について明らかにしていただきたい。  それから、F15を導入するに当たって、費用対効果の問題について一体どの程度の検討がなされたのか。私どもがいただいております費用対効果についての資料は、たった一枚のこんな簡単な図であります。総理、こういう図です。こんな何だかわけのわからない、たったこれだけの一枚のことで費用対効果のことが判断できるはずはありません。したがって、F15の導入については、もっと具体的な費用対効果について、この機種とこの機種との組み合わせがこうである、あるいは従来のF4の何機とF15とを比較するとこうである、あるいはそのほかのF14であるとかF16であるとかというような機種との組み合わせ、そうしたものをもう少し詳細に検討された資料をぜひ提出していただきたい。その提出がなければ、私はこの問題についての具体的な議論はできないのではないかと考えております。  残念でございますが、時間が参りましたので、以上、資料の要求をいたしまして私の質問を終わります。
  75. 中野四郎

    中野委員長 これにて西岡君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田高敏君。
  76. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私は、先日の五十二年度二次補正予算に関連をいたしまして幾つかの問題を保留した形で本日の質問に入るわけでありますが、そういう前後の関係から参りますと、主として財政問題、減税問題を中心として質問をいたしたいと思います。  その前に、今日国民は、いま開かれておる国会に対して多くの期待を寄せているであろう、物価の問題もあるだろうし、失業、雇用の問題もあるだろうし、不況問題克服の問題もあるだろうと思います。その中でまず第一の問題としては、今日の不況業種に対する対策、またその不況業種に対する雇用労働対策、こういう問題は非常に重要な課題であろうと思います。そこで、業種的には造船、アルミ、金属鉱山等について質問をいたしたいのでありますが、その前段として、私はまず通産大臣にお伺いしたい。  いま新聞その他で報道されております。特定不況産業対策の一つとして不況業種に対するカルテル規制の法案が準備されておるやに伺っております。現在の段階では、問題の企業合併に対するいわゆる独禁法の適用除外にする問題であるとか、あるいはカルテルの不参加条項へのいわゆるアウトサイダーの規制の問題、こういう問題についてはひとまず法案提出までの過程において決着を見たようでありますが、カルテルの強制的な指示行為の問題については、通産省自身としては依然としてその方針を貫く形の法案をこの国会に提出しようとしておる。これは言うまでもなく、このようなことがもし行われるといたしますなれば経済の民主化の原則に反する法案でありますし、もっと端的言えば、経済の官僚的な統制を強化することになりますし、その結果はひいては消費者やユーザーなどの利益が不当に侵害されることになる。したがって、結論的にはこのようなカルテルを指示するようなそういう法案は、法案それ自体として提出すべきでない、このように考えるわけですが、大臣の見解を聞かしてほしい。
  77. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 いまお述べになりました法律につきましては、各方面と意見を調整中でございます。
  78. 藤田高敏

    藤田(高)委員 各方面と折衝中ということでありますが、この国会に具体的に提案をする、こういう前提で準備作業が進められておる以上、この法案のいわば一番中心点にもなるべき問題でありますから、いま少しまじめな通産当局の見解というものを聞かしてもらいたい。いまのような答弁は、もし今日段階において考えておる通産当局の見解をまともに発表すると、その反撃がこの国会においても強くなってくる、こういう政治的な考慮の中からいまのような木で鼻をくくったような、そういう答弁をしたんじゃないかと思うわけでありまして、そういうことでは、私はこの国会審議というものは実りの多いものにならぬと思うのですよ。どうでしょうか。
  79. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 これはいまさっきも申し上げましたように、各方面の意見を熱心に聞きまして、そして最終の調整をしておるきわめて微妙な段階でございますから、もうしばらくお待ちいただきたいと思います。
  80. 藤田高敏

    藤田(高)委員 結論的には、このカルテルの強制的な指示条項というものを削除するのかしないのかということを聞きたいのであります。  それに加えて、特にこの準備されつつあります法案の中で、設備の廃棄、処理に関する条項がカルテル行為の対象として問題になっておるわけでありますが、設備の問題は言うまでもなく、それぞれの企業にとっては企業の生命です。ですから、設備を凍結するのかあるいは廃棄するのかということは企業の自主的判断によってやるということをたてまえにしなければ、いわゆる行政的な強制力をもって行政官庁がカルテルによって設備を一律に画一的に破棄するということは、これはやはり独禁法の精神に反するのじゃないか。そういうことを産業官庁がやるということは、中立的な判断によって処理されるべきものが一方的などちらかの側に偏ってくる、いわゆる企業の側に偏った判断によって設備の廃棄というものがなされる結果になるのじゃないか。そういう観点からも、この設備廃棄の問題については現行独禁法の二十四条の三で十分足りると思うわけですが、そういう立場からも、この設備廃棄の問題について伝えられるような法律をつくることについては、これはやめるべきだと考えるわけでありますが、それに対する見解を聞かしてもらいたい。もしそのようなことをやるといたしますと、結果的にはそこから起こってくる労働者の合理化、首切りの問題、これに対して国が全面的な責任を持たなければいけなくなる。こういう事態も覚悟しておやりになるのかどうか、そういうことに対する見解もあわせて聞かしてもらいたい。  この問題については、通産当局と公正取引委員会との間で特にいま対立的な状態に置かれておるというふうにも聞いておりますし、また独禁法を中心とする学者グループ等の中からも、私がいま指摘をしたような観点についての法律はつくるべきでない、こういう強い主張がなされておるわけでありますが、いま質問をしましたことについて、公正取引委員長の見解もあわせて聞かしてもらいたい。
  81. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 繰り返して大変恐縮でございますが、現在は各方面の意見を謙虚に聞きまして、どういう内容にすれば一番いいかということにつきまして最終の調整段階に入っておるときでございますから、中身につきましてはもうしばらくお待ちをいただきたいと思います。
  82. 橋口收

    ○橋口政府委員 通産省から御相談がございました特定不況産業安定臨時措置法案につきましては、いま通産大臣からお答えがございましたように折衝の過程でございます。したがいまして、個個の内容につきまして公の場で申し上げるのは御勘弁を願いたいと思う次第でございます。  ただ、基本的な点につきまして二点だけ申し上げておきたいと思います。  構造不況産業の現況についての認識につきましては、通産当局との間に相違はございません。したがいまして、何らかの立法的措置が必要であるという点につきましても意見の相違はございません。  それから第二点でございますが、独占禁止政策は、申すまでもないことでございますが、産業政策のしもべであってはならないというように考えておりますから、産業政策と独占禁止政策との調和につきましては十分慎重に対処いたしたいというふうに考えております。
  83. 藤田高敏

    藤田(高)委員 この問題だけで時間をとるわけにはいきませんが、私は最後に要望しておきたいのでありますけれども、通産省を中心とする産業官庁がこの種の問題に対処するに当たっては、市場原理が有効に動くような形の基盤整備を行うことについて通産省がガイドライン的な誘導政策をつくっていく、あるいは構造不況産業の再建のための資金確保、伝えられるところによりますと、債務保証基金制度ですか、こういったもの等々についてこの誘導政策を行っていく、ここが限度じゃないかと思うのです。そういう限界を超えて、直接、前段指摘しましたような形でこの設備の廃棄等について画一的な行政行為が行われることは、これは厳に慎んでもらいたい。このことを強く要望すると同時に、公取におきましては、いま公取委員長の独禁法を尊重する、守っていくという立場から毅然たる態度で対処していきたいと、半ば決意の表明に近いものでありましたが、その方向でがんばってもらうことを強く要請して、以下造船問題に移りたいと思います。  まず第一に、造船の問題でありますが、たくさん不況業種がありますが、その中でも非常に深刻な形で問題が起こってきておるのが造船ではないか。この造船の問題は、言うまでもなくドックをつくるにしても、船をつくるにしても、そのすべてが運輸省の許認可事項になっておる。そういう中から今日の造船不況という問題を考えますときに、私は、運輸省当局の行政責任というものが他の業種の不況産業に比べて非常に大きいのではないかと思うのですね。そういう点からまずお尋ねしたいのは、この造船不況の現状、今後の見通し、そうして今日の事態に立ち至った運輸当局の行政責任について福永運輸大臣から見解を求めたい。
  84. 福永健司

    ○福永国務大臣 ただいま藤田さん御指摘のように、わが国の造船業はかつて世界にも誇った産業であります。ところが、ただいま非常に苦境にあえいでいるということははなはだ残念に思いますが、これはその種の関係の仕事、海運から造船というように関連して、これが世界的にいまそういう状況であるということでございます。大造船国であります日本においては特にその傾向が著しいわけでございます。したがって、これを所管する政府なり運輸省なりというものの責任が重いことは申すまでもございません。  最初に御指摘の認許可等につきましても、おのずからその認許可は、いま御指摘のような点に頭を置いて適切な措置がとられなければならぬことは当然でございます。したがって、新たに認許可等をするような場合におきましても、これはいまの造船業の置かれております状況に即応したように大いに慎重に対処しなければならぬ等のことは当然でございます。私どもはそういう責任のある立場でございます。しかも、御質問の一部にもありましたが、いまそういうように苦しんでおって先はどうかということでございますが、少なくともただいま考えました展望としては、にわかによくなるということは、これは考えられない。なお相当苦しい状況が続くというようなことでございます。そこでいろいろ問題はございますが、そういう不況業種についてどういうように対処するかというようなこと等もあり、また同時に、長い将来を考えて、この産業をして新たなる、言うなれば新生面を開拓するというようなことにまで関連して政府は大いに考えていかなければならぬ、かように心得ております。
  85. 藤田高敏

    藤田(高)委員 抽象的な答弁でありまして、率直に言って、今後の対策等については余り聞きごたえのないものでありますが、私は結論から言うと、造船業の問題は半ばお手上げじゃないか、これは率直な言い方ですけれども。かつてのわが国の建造能力のピーク時に比較して今日受注量が三分の一だとか、あるいは半分以下だとか言われておる。私は愛媛の出身で愛媛のことを言うわけでございませんが、今度倒産をした波止浜造船、約五百億ぐらいな負債を抱えて倒産をした。あの瀬戸内海一円は広島、岡山を含めて中小専業メーカーの集中したところでありますが、ほとんどこの造船所が次から次へ倒れておる。もうことしじゅう、この船会社で存続できる会社というのは局限されるのではないかとまで言われているわけです。ですから私は、安易なことではなくて、今後の見通しとしては非常に厳しいのであれば厳しいほど、先日来問題になった財政収支試算ではありませんけれども、たとえば五十五年あるいは五十七年、中期的な見通しを含めて造船業界に対する政府の見識ある方針というものを出す必要があるのではないかということが一つです。  それといま一つの問題は、そうかと言って、現在の設備をできるだけ生かして雇用を守っていく、こういうことも当然やらなければいけないわけですが、そのためには具体的な仕事量をどのようにして確保するかということが問題になると思う。そこで政府としては、これらの造船業界に対してどのような仕事を、少なければ少ない中で仕事量をふやすために努力をしようとしておるのか。このことを第二点として聞かしてもらいたい。  第三点の問題は、先般国会で成立を見ました中小企業の事業分野に関する法律が制定をされましたが、今日の造船業界の現状を見ますと、大手企業が十万トンも、あるいはそれ以上の船が建造できるようなそのドックの中で二千トンや三千トンの船をつくっておる。このような仕事は、本来、中小造船のいわば専業メーカーがやってきた仕事です。ところが、こういう不況時になりますと大企業が中小企業の分野にまで入り込んでくるものですから、もう資本力の弱い専業メーカーというものは生き延びていくことができない。大手の場合は、造船会社と言っても陸が七割、本来の海が三割ということで、他に仕事量を見つけることができますが、中堅造船あるいは中小造船と言われておる専業メーカーは逃げ場がないわけですね。ですから私は、今日の段階までにこういった中小企業の事業分野に関する法律というものが造船にも当然適用される、そういう行政指導がなされてしかるべきだと思うのですが、そういう手が打たれてないことがはなはだ遺憾ですし、政府は当面どのように考えておるか聞かせてほしい。
  86. 福永健司

    ○福永国務大臣 まず最初に、お手上げじゃないかというお話でございます。まさにお手上げという表現に値するような苦しい状況であることはそのとおりでございますが、手を上げたままではこれは話にならないので、何とかしなければならない、こういうことになるわけでございます。  幾つか問題がございましたが、雇用面から見まするならば、なるたけ船がよけい注文されてくるということが最も望ましいのではありますが、いまの世界状況からいたしますと必ずしもそういかないという面から申しますと、新たなる事業を開拓していくということについて政府が大いに考えていかなければならぬ、こういうことにもなりますし、また、その過渡的な時期において、藤田さん御指摘のように、大きな造船会社と小さい工場とにおいて、事業分野等についていまお話のありましたような顧慮がされていかなければならぬ、こういうこと等もございますが、新たなる事業分野等を開拓していくということになりますと、これはすぐにということにはなかなかいきませんが、すぐにというわけにいかぬからと言って拱手傍観しているわけには断じていかないと思います。  そこで、造船業界等でいま手をつけかけております。ないしは検討をしております仕事等の中では、たとえば洋上タンクのようなもの、これはまさしく造船業が深くかかわりを持っていくわけであります。おおむね地元とは話がついたが、その周囲の方面との話がまだ残っておりますが、たとえば一例を挙げますと、上五島における海洋タンクというか洋上タンクといいますか、これは六百万キロリッターくらいのものを目途としていま話が進められております。この種のものができますと、まさに世界で初めてやるのであり、かなり世界的レベルとは違ってくるのであります。私は、そういう観点からこの種のものはぜひうまくいくようにということを望んでおります。大きな船会社がこの種のものに手をつけていくということだと、それだけがいいということだけであってはならぬと思います。その分なるたけ中小の方へも——大きな方はいまのようなことをやって、藤田さんがお話しのごとき小さい船等については小さな造船会社がやるというようなことにも及んでいかなければならぬと思います。  海洋構造物につきましては、いま一例を挙げたのですが、ほかにもまだ考えはあるわけでございますが、そういうように船も大いに販路を開拓するのではあるけれども、いまの事情から言うとそれがなかなか望めないとすれば、新用途の開拓について大いにやっていかなければならない。先ほどお話がございました中小企業の事業分野を決めるというような観点から申しますと、船会社でございますと、もとは何十万トンというような船をつくっておったようなところも、いまそういう大きな船の注文がろくにないものでございますから、大きな会社も小さい船もやるというようなことで、大小入りまじっての状況があることを私も深く遺徳に思うわけでございますが、しかし、なるたけ小さいものは小さい船会社がというようなことにするように、たとえば大きな船会社でも、そう幾つもドックで小さな船をやるというようなことをさせないように等の顧慮をいたしまして、なるたけ御指摘のようなことについて、小さな者が特に困らないようにということについては留意してまいりたいと存ずる次第でございます。
  87. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私は、この事業分野法を適用するということを行政的には考える必要があるのではないか。これは通産省の方も関係があるとすれば、通産の見解も後で聞かしてもらいたいと思います。  私はこの問題だけに時間がとれませんので、私ども社会党が政府に対してもかねてより要望いたしております仕事量の確保については、たとえば政府資金を大量に使って新しい船をつくる、いわゆる保安庁関係、二百海里時代に対応する新造船の建造とか船舶の解体作業というものを造船政策の中に定着させていくとか、あるいは国内のLNG船及び高経済船の建造、こういうものに積極的に力を入れていくとか、こういう具体的な施策をもっと現実のものにしていくという中から造船業界そのものを守るということと同時に、私の出発点は、雇用をいかにして守るかという立場からもぜひ積極的な施策を講じてほしいということが一つです。  それといま一つは、これは建設省や自治省やそのほかにも関連すると思うのですが、この造船関係だけではありませんが、アルミにしても、不況業種の地域で最近非常に失業者が出ておるわけです。政府の今度の五十三年度予算を見ましても、公共事業というものを思い切ってやるような予算になっておるわけですから、従来のようなパターンで公共事業の割り当てをやるのではなくて、造船であれば造船企業の倒産によって失業者がずいぶん出ておる、そういうところにはそういったところを直接にらんだ形で、いわば失業多発地帯といいましょうか、そういう地域には別の角度でこの公共事業をつけていく。それはむしろ特別求人開拓公共事業といいましょうか、たとえばの話ですが、そういう事業を政府の手でつくっていく。そして離職者法の適用もさることながら、現実に仕事を与えていく形の中で雇用対策というものを充実していくべきじゃないか、こういう点に対する政府考え方を聞かしてもらいたい。  一括して申しますが、もう一つは、これは主として労働省あるいは大蔵省にも関係するわけですけれども、こういう不況産業の地域で失業者が続出しておる。公共事業を盛んにするのだ、住宅建設をひとつ景気回復の目玉にするのだ、こう言っておりますが、これから住宅をつくるというよりも、現在住宅ローンその他で住宅に入っておる者がいわゆる構造不況によって月賦で住宅の資金を支払うことができない、こういうことで、いませっかく求めた家から泣き泣き出ていかなければならぬという人たちが多いわけですよ。私はこういう人たちに対しては、ぜひ行政的な指導を通じて損保あるいは銀行等の住宅ローンに対しましては、少なくとも離職者手帳を持っておる人たちに対しては、払えないという離職者手帳を持っておる期間ぐらいは住宅ローンの支払いを一定期間凍結する、こういう雇用政策といいますか労働対策があってしかるべきじゃないかと思うわけですが、それぞれの見解を聞かしてもらいたい。  それともう一つは、これは労働対策になりますけれども、この種の不況業種で企業の合理化が起こる。そうすると、そこで問題になってくるのは賃金を中心とする労働債権の問題です。労働債権の問題については、現在の法律のもとにおきますと、公租公課の税金の方が優先をしてこれを取り立てることになっておる。そうすると、裁判等で争う、あるいは裁判で争わなくとも、それぞれの企業で倒産状態が起こる、取り立て騒ぎができる。そのときに労働者の賃金を中心とする労働債権というものが税金の後回しになるというような事態がしばしば起こっておるわけです。もっとみじめなのは、そういう親会社のもとで働いておる中小企業の下請ですね。下請企業の人件費が、親企業のもとにおける労働者の賃金と同じような取り扱いがなされていない、こういう実態があるわけです。私は、政府が不況対策の切り抜け策として幾つかの施策を講じておりますが、その中の一つとして、不況産業として指定をされた業種の会社で合理化が起こって、そうして税金と労働債権とが競合した場合には、これまた一定期間労働債権を優先して支払うような、そういう行政上の措置を講じる必要があるのじゃないかと思うのですが、これは大蔵大臣を含めて関係各省の見解を聞かしてもらいたい。
  88. 福永健司

    ○福永国務大臣 いま具体的にお示しもございましたが、造船業の仕事量を確保するためにはいろいろございますが、大半を占める輸出船につきましては、どうしても輸銀資金の確保ということも当然しなければなりませんし、二百海里時代に入りまして巡視船等、まあこれは主として海上保安庁の官公庁船の増強等に関連をするものでございますが、ことしはいままでよりは思い切ってふやすことにいたしましたが、この上ともこの種のものをふやして、幾らかでも仕事の助けになるようにしなければならぬ、こういうように考えております。  なお、船舶の解体やLNG船等についても御見解の御表明がございましたが、私どももそういうことに対しては鋭意努力してまいりたいと思います。  なお、公共事業についてのお話がございました。運輸省それ自体にも港湾等若干の公共事業、もちろんございますが、この種のもの、それにまた、私ども役所でなくとも、ほかの役所で大量に公共事業があるわけでございますから、いまお話のありましたような不況にあえいでおりまする産業がこの公共事業の影響を受けて息をつけるようにということも、もとより考えてまいらねばなりませんので、地方自治体等とも相談をいたしまして、なるべくその種のいい影響が及ぶような措置を考えてまいりたい、こういうように存じております。
  89. 村山達雄

    ○村山国務大臣 まず、一般に不況産業がたくさんありまして失業が多発されるような地域に公共事業を重点的に施行したらどうかという点でございますが、いまそのように考えておりまして、具体的な実施計画につきましては、その点に十分重点を置いて各省と相談してまいるつもりでおります。  それから、不況のためにいままでの家を出なければならぬという問題に対しましては、これは民間金融もさようでございますけれども、実は銀行局長通達で、今後いろいろな場合に個々の人の相談に応じ、あるいは条件の変更等含めて相談に応ずるように言っておりますし、それからさらに、近く民間では、住宅ローンの相談所が主要都市で設けられる予定でございますので、そのようなことにならないようにぜひ御相談をしていただきたい。政府の方の住宅金融公庫につきましても、再再言いましたように、今度はいろいろな形をもちまして条件の変更、元本の一年据え置きとか、あるいは償還期限を延ばすとかいうような、いろいろな選択する形をとっておるところでございます。  それから第三点の、一般の賃金とそれから租税債権の関係でございます。私は、何と申しましてもそこまでいかないうちに適当な方法で、徴収猶予の制度もあるわけでございますから、そこまでいかないように徴収法を運用することがまず第一だと思うのでございますけれども、万一そういう場面になりまして優先順位が問題になりますと、実はいま藤田さん御案内かどうかわかりませんが、国税通則法では、登記をしておった債権につきましては登記が優先するわけでございます。納期限前にやりますと。しかし一方、民法の規定でいきますと……(藤田(高)委員「それはわかっているんだ」と呼ぶ)ですから、租税債権だけやりましても、ほかの方が三つ、ぐるぐる回りになるわけでございます。だから、租税債権だけに手当てをしてみてもそれは片づかない問題じゃなかろうか。法律をいじるとすれば全部についていじらないと、その点は確保できないような気がするわけでございますが、私はやはり運用で徴収猶予制度を活用することが先決問題だと思います。
  90. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 お答えいたします。  造船不況を反映しまして、造船関係の雇用情勢は御指摘のごとく大変厳しい状態でございまして、政府は去年の十月発足いたしました雇用安定資金制度を活用してまいったわけでございますが、ことしの一月、御案内のごとく特定不況業種離職者臨時措置法、これによって雇用の安定、失業者の生活の確保あるいはまた再就職の促進、こういった努力をしておるわけでございますが、万一就職できないというような場合には、御案内の求職手帳というものを給付いたしまして、その人たちに対しては雇用手当の九十日延長、こういった制度……(藤田(高)委員「そこはわかっている、そんな中身を聞いているんじゃない」と呼ぶ)それで一応、訓練手当につきましても御承知のとおり手厚い努力をしておりますし、また公共事業に対してはいわゆる失業者吸収率制度というものを活用する、特定不況業種の場合には全国平均の求職倍率、これが二倍という一応のたてまえがございますので、その基準をにらんでこれに対応せなければならぬ、このように考えております。  それから、雇用保険の給付率の問題ですけれども、これまた藤田委員御案内だと思いますけれども、以前は六〇%であったものが八〇%になり、これにはボーナス等の臨時手当も含まれておる、こういう情勢でございますし、また訓練手当につきましては、ことし、五十三年度予算におきまして、訓練待期手当八万三千円であったものを九万二千円に、それから訓練手当については九万七千円が十万七千円、こういうふうなことをやっておるわけであります。  もう一つ、租税と賃金の支払い関係、これはやはり立てかえ払い制度を活用いたしまして、未払い賃金があった場合は立てかえ払いによって政府が一時立てかえる、この制度をフルに活用するということが救済の道ではないか、このように考えます。
  91. 藤田高敏

    藤田(高)委員 少し答弁が解説的なものが多いものですから、質問の時間が制約されることになりますので困っておりますが、そこで、造船だけに質問を集中するわけにいきませんので、金属鉱山の関係とアルミの関係を簡単にお尋ねしておきたいと思います。  金属鉱山につきましては、たとえば備蓄対策であるとか探鉱融資の問題であるとか、雇用保険法に基づく事業転換の雇用調整訓練給付関係の指定であるとか、離職者対策法の事業指定であるとか、幾つか具体的な対策について進んでおりますことは承知しておるわけでありますが、これまた細かいことは申し上げませんが、結論的に言えば、銅の相場はロンドン相場で、海外の相場で決まることは御案内のとおりです。それだけに、円高問題が起こっております今日、円高から来る金属鉱山への影響というものが非常に大きいわけです。  そこで、そのものずばりでお尋ねしますが、昨年の暮れにできました円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法、この業種に銅を中心とする金属鉱山を指定する必要があるのではないか。これは当然指定する必要があると思うのですが、指定される御用意があるかどうか、このことをお尋ねいたしたいと思います。  アルミにつきましては、これまた設備を二五%程度カットする、そういう考え方がいまとられつつあるようでございますけれども、これまた対策は幾つかあると思いますが、なかなか産業政策の面から見てもむずかしい問題がある。電気料金の問題をどうするか、関税の問題をどうするか、いろいろあると思うのですが、その中できょうは一つだけお尋ねしておきたいと思うのですが、いわゆるアルミの関税について第一次割り当て関税制度というものを考えられる用意があるかどうか、この二つをお尋ねしておきたいと思うのです。
  92. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 第一の中小鉱山を今回成立をいたしました中小企業の円高対策に入れるかどうかという御質問でございますが、入れるべくいま準備をいたしております。  それから、アルミの問題でございますが、アルミは御指摘のように約四分の一設備が余っておりますが、これは将来必ず需要が出てまいりますので、ここ数年間は廃棄をしないで凍結をする、こういう方向で処理をしたいと思っております。そういうことに関連をいたしまして、いま御質問の関税割り当て制度を実施する予定でございます。
  93. 藤田高敏

    藤田(高)委員 不況産業の問題についてはこの程度でとどめまして、自余の問題につきましてはまた一般質問なり他の委員会質問をさせてもらいたいと思っております。  続きまして、日米通商交渉のてんまつと今後の対策についてお尋ねをしたいわけでありますが、これまた、限られた時間でございますので、質問事項をまとめて申し上げたいと思います。  その第一の質問は、いろいろ理由はあるでしょうけれども、まとめて申し上げますならば、過ぐる日米通商交渉の焦点というのは、日米の貿易不均衡から、不均衡の是正という形、もっと平たく言えば黒字減らしという形で問題が提起されたというふうに私どもは認識をしておるわけですが、この認識に間違いがないかどうか。そして、今日の日米の貿易の不均衡はどこから来たのかと言えば、もうすでにこの国会でもしばしば論議になりましたが、これまた平たく言えば工業製品の出っ張り、テレビであるとか、自動車であるとか、鉄であるとか、そういうもののアメリカ市場を中心とする輸出ドライブによって、その反動が日本にやってきた。その後始末を農畜産物の輸入枠の拡大という形で決着をつけたというふうに判断をされるわけでありますが、これまた、そのように見ることが当然だと思うのですけれども、見解をひとつ聞かしてもらいたい。  それとまた三つ目には、わが国は農産物の輸入につきましては、去年の十二月の末に農林省が発表しました「食料需給表(速報)」によりましても、日本世界最大の農産物の輸入国であり、世界各国から感謝されている、こういう需給表が農林省の資料として出されているぐらい、わが国は農産物の輸入についてはまさに世界でも一、二を争う輸入国だ、こういう現状であるにもかかわらず、なぜこのような形の日米通商交渉のてんまつにならざるを得なかったのか、その真相を聞かしてもらいたいと思うわけであります。
  94. 中川一郎

    ○中川国務大臣 今回の対米経済調整は確かに黒字減らしということが大きな理由であったろうと存じます。それから工業製品が黒字の大きな理由であることもそのとおりだと存じます。また、わが国世界最大の、特にアメリカからの農産物の輸入国であるということも事実でございます。  そこで、今回の措置によってどれくらい黒字減らしになるかと言えば、三千万ドルから六千万ドルぐらいのものでございます。ドルについて言うなら六十億ドルから調整しなければならないわけでございますので、このことによって六十億ドルの期待にこたえるものではない、きわめてささいなものである。  しからば、なぜこれを行ったかということでございますが、農産品についても向こうから要請がありましたが、わが国としては、やはりこういった対米交渉をまとめなければならぬという大きな目的もありますが、いま大事な総合農政、総合食糧政策をやっている最中でございますので、この政策に支障のあるような調整はできない、農家経済や、特にいまは転作をやっておりますので転作に支障を与えるような調整はできないということで検討いたしました結果、すでに御存じのような内容ならば国内的にも支障がないという判断のもとに調整を行った次第でございます。そしてまたアメリカ側の合意も得られた、こういう次第でございます。
  95. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私は細かい数字を挙げて議論をする余裕がありませんので、そのことは省きますけれども、先ほど指摘をしましたように日本の場合には、農水産物に関する限りは、輸出入の関係から言いましても、輸出はわずか三億ドル程度、輸入が五十五億ドル程度ですから、完全に五十何億ドルという輸入超過なんですね。そういう現状にあるにもかかわらず、日米の貿易の不均衡を是正する、この不均衡を是正するにしても、黒字を減らすといったところで一億ドルにもならないわけでしょう。一億ドルにもならないところへこういう形の結論づけをやって、そうしていますでに、これまた今度の五十三年度予算に関連をして問題になっておりますが、米の減反を中心として戦後第二の農業改革をやるのじゃないかというような大きな問題に直面しておるときに、このような形で農民を犠牲にするような交渉のあり方というものは、私は、今後のわが国農政を守る立場からも決してとるべき態度でなかった、同じ決着をつけるのであれば、工業製品を中心とする貿易収支の問題で決着をつける努力をすべきではなかったか、こう思うわけであります。この点に対する見解をいま一度聞かしてもらいたいのと同時に、交渉のあり方について、これまた率直にお尋ねをしたいのでありますが、牛場大臣は交渉に行く前に、これはことしの一月二十日の朝日ジャーナルでありますが、その中にも出ておりますけれども、ワシントンに行く前に、こんな中身の薄いかばんで交渉に行けるものじゃない、交渉に行く前から手の中を外へ向けて——あなた、にたにた笑っているけれども、真剣なんですよ。そんなばかみたいなことをぬけぬけと言ったとしたら、本当に大変な問題だ。あなた、何がおかしいのか知らぬけれども、このようなことがあるとすれば重大な問題ですよ。笑うのは自由だからいいでしょう。しかし私は、これが事実であるとすれば、こういう手の中を見せるような形で交渉に臨むことは、一国を代表する代表者としてはとるべき態度でないと思うのですね。こういうことを言ったのかどうか。  この種の態度で臨むと同時に、むしろ今日、私がいま問題にしておるような結果が出てくるようなことを、この朝日ジャーナルの記事によりますと、米国の要路に対して、いわゆる対日圧力を強めるように、弱めない形でやってもらいたいというようなことを外務省筋がやったというふうに報じております。このことは、日本のこういった雑誌だけでなくて、イギリスのエコノミスト誌等にも報道されておる。これだけのものを書くわけですから、私は事実のないことを書かないと思うのですね。こういう交渉に臨む前に、先に外国の方に手回しをして圧力をかけて、そうして落ちつけるところはこういう屈辱的といいますか、もう日本の農民にとっては耐えがたいような条件を出すような交渉のあり方は、交渉に当たった牛場さん自身の責任問題を問われると私は思うのですね。それに対する責任をどう考えているか。  二つ目の問題は、今度は総理です。私は、一国の総理ですからそんなことはおやりになったとは、いまだに信じたくないわけでありますけれども、これまたアメリカのニューズウイーク誌の報道によりますと、総理は、選挙の支持層の強いところは農民である、そうかと言って選挙のときの政治資金は財界である、両方の板ばさみになって、この問題をどう解決するかということになると、自民党の中にもこの種の日米通商協定に対する強い反撃もありますように、いまだに強い姿で出てきておりますように、なかなか反撃が強い。これをおさめるための手段としては、先ほど朝日ジャーナルが報じておるような形で、総理までがアメリカの要路に対して私的な形で、アメリカの圧力でどうにもならなかったのだ、そのためにはアメリカは強く出てくれというようなことの手回しをやったということを報じておるわけなんです。これは私は、わが国総理の権威にかけても、この真相は明らかにしてもらわなければならぬと思うのです。こういう実態があったのかどうか。これに近い事実があったとすれば、これまた、牛場さんと同じように、私は重大な政治責任だと思うのです。これは貿易の不均衡一億ドルだという額や何かではかる問題じゃないと思うのです。そういう点について総理及び牛場さんの見解を聞かせてもらいたい。
  96. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 いまニューズウイークの記事のことがありましたが、これは私もそういうことを聞きました。まことに心外千万です。そんな事実は全然ありませんし、それに近い事実もありませんですから、しかと誤解のないようにお願いしたいと存じます。ニューズウイーク社に対しましては抗議を申し入れております。
  97. 中川一郎

    ○中川国務大臣 今度調整いたしましたのは対米関係が動機であったことは事実でございますが、今度の調整をするに当たりましては、国内消費者の動向も見なければならない。牛肉については、安い肉、外国のものを食いたいという要請もありましたし、オレンジについても相当強い要請があったということも踏まえなければなりませんし、これは対米関係だけの調整ではなくてグローバル、国際的な調整でございます。  そこで、オレンジについて言うならば、六月から八月までは全く果物の端境期でございます。この端境期に二万二千五百トンぐらい入れることは柑橘業者には何らの——ミカンも四月でなくなりますし、タンカンも六月でなくなっておりますから、六月以降八月まで三カ月間、しかもその間は貯蔵しない、正規の販売ルートに乗せる、こういうことを条件にしておりますので、柑橘農家には全く影響を与えない、そして消費者にもこたえる、こういうことでやったわけでございます。  また、肉につきましても特に枠をふやしたわけではなくて、いわゆる高級牛肉というものをもう少し買ってもらいたいというので、日本全体の肉の必要な中において高級牛肉が買える者があるだろうかということで、ホテルについては三千トン、そのほか、そういう需要があるならば御期待にこたえますということであって、国内生産農家を、過剰な肉を入れて圧迫するようなことはいたしておらないということでございます。  ジュースにつきましても、国内五万トンございますが、五万トンに対して五万トン買ってくれという要望はありましたけれども、そのようなことはとてもできない。いままで千トンを、ブレンド用としてミカンのジュースにまぜますと非常においしくなるという、ミカンジュースの販売促進という果樹業者からの強い要請もありましたので、これにおこたえをして三千トンぐらいならばむしろ果汁の消費がふえるのではないか、こういう観点から調整をいたしたものでありまして、決してアメリカから一方的に押しつけられたことに屈したものではないし、特に農村がこれによって影響を受けるというようなことがあってはならないということを、農林大臣としての責任をもってやった次第でございます。まして、私の聞いた範囲内で、牛場大臣がこれではとても少ないということは聞いておりませんで、なかなかぎりぎり、よく調整してくれたと感謝こそすれ、不満であるという声は私と牛場さんの間にはございません。
  98. 牛場信彦

    牛場国務大臣 私も、きょう初めて朝日ジャーナルの記事を見ましてびっくりしたのですが、その記事に対する私の釈明を申し上げる前に、日米交渉の性質についてちょっと藤田さんのお考えに誤解があるようですから申し上げておきますが、今度の話というのは、要するに世界的にインフレなき成長をどうして達成するか、その障害になっている日本の非常に大きい経常黒字というものをどうして減らすか、こういう共通の目的について日米両国でもって協力していこう、こういう意味の協議をやったわけでございまして、双方違った立場から交渉したということでは実はないのです。  そういう目的を達成するための手段として、日本はたとえば高度の経済成長を目指す、こういうことは申しております。アメリカの方はまた、ドルの強化を図るためにエネルギーの輸入を減らすエネルギー法案の通過を図るということを申しておるわけでありまして、これは全く双務的な形になっておる次第なのでございます。そしてまた、今度の交渉中におきましてアメリカ側は一度も、日本からアメリカに対する輸入を減らしてくれということを言ったことはございません。また日米のバランスということを言ったこともひとつもないのです。これはグローバルなものであるということでずっと話をしてまいったわけでございまして、この点のアメリカの態度というものは、これはわれわれとしても認めてやらなければいけないところだろうと思っておるのでございます。  それから、何か私が交渉に行く前にそういうことを言ったということでございますけれども、そんなことは実際ないのでございますが、もし私がそういうことを申したというような誤解があるとしますれば、それは私がアメリカへ出発いたしましたのが十二月十一日でございまして、そのときにはまだ政府予算編成の方針等は決まっておらなかった。そしてアメリカとしては、もちろんこれは交渉の対象ではございませんけれども日本がどういう態度で今度の新しい年度予算を組むか、どの程度経済成長を目指しておるかということについては非常に興味を持っておったわけでございまして、これは私が先ほど申しましたような交渉の目的に照らして無理もないところだと思うのでございます。したがいまして、そういうことが言えない段階でもって交渉を片づけるということは、これはむずかしい。もちろんできるだけやってみるけれども、それがはっきりしないとこれはアメリカとしてもなかなかそれでいいと言えないだろうということは、私申したことがございます。それがもしそういうふうに誤解されて伝わったとしますれば、これは全く私の不徳のいたすところで、大変相済まぬと思いますけれども、しかし……(発言する者あり)公約では全然ないのです。これは要するに日本政府の方針でございますね、これをはっきりするということだけでございます。  それから、農産物の関係でございますけれども、これは黒字減らしということよりもむしろ、アメリカとしては、日本が開放体制に動いているのだ、実際そういうことを現実に認めるという意味におきまして両農産物について若干の枠の拡大を求めてきたということでございまして、現に、このことにつきまして日本が苦しい中でできるだけ協力したということで、最近アメリカでもこの点は十分認められておりまして、この交渉で大事なのは、これで一体幾ら黒字が減るかということももちろんあるけれども、それよりもむしろ、日本の基本的な姿勢が変わったということがこれでわかるのだということを申しておる次第でございまして、そういう点につきまして中川農林大臣にはずいぶん御協力を願ったわけでございますけれども政府の部内において、決してこれにつきまして意見の相違はなかったと存じます。
  99. 藤田高敏

    藤田(高)委員 これは、朝日ジャーナルの記事をきょう見てびっくりしたと言いますけれども、朝日ジャーナルだけじゃないのですよ。私が引き合いに出したのはたまたまこれなんだけれども、新聞に皆出ておるでしょう。新聞読んでないのですか。私がたまたま引き合いに出したのは朝日ジャーナルだけれども、ここに私が持っておる日経にだって出ておりますよね。そのほかの新聞にも出ておるはずですよ。  こういうことだからストラウスが、この日米交渉の結果について、どうですか、学校の成績で言えば、最初は、ABCでいけばCプラスアルファぐらいなところだろうか、もしくはBマイナスアルファぐらいだろうかと思えたのが、学校の成績で見たらこれはAだ、実にりっぱな結果を招来した、とアメリカから、相手からべたぼめじゃありませんか。これで双務的な対等、平等の交渉の結果だなんていうことを仮に考えられておるのであれば、それは特定な人はそう思っておるかもわからない。しかし、特にミカンだったら、ミカンを中心とする、あるいは畜産業者からいえば、これは大変な犠牲を押しつけられたということになるわけですよ。  私はそういう点から言って、やはり日米交渉のこのあり方は、アメリカを喜ばして日本の農民を泣かすような交渉の結果になったのじゃないか。農林大臣のなにで言えば影響するところはないと言うけれども、それでは今後、ニュージーランドならニュージーランドと交渉する、オーストラリアと交渉する、そうするとニュージーランドは、今後二百海里の枠の中で、こういうニュージーランドの要求を聞かなければ専管水域の中で漁業をやらせないというような問題が起こってくるんじゃないか、あるいはEC諸国との交渉の面でも、私はこの日米交渉のてんまつというものは決してプラスにならぬと思うのですよ。  そういう点から言って私は、これまた時間の制約がありますので最後にお尋ねをするのですが、日米の貿易収支の均衡とるということが中心的な眼目であったとすれば、ことしはさらに日米間の均衡をとるようにやっていこう、あるいはさらに五十四年度もやっていこうということになれば、貿易収支あるいは経常収支状態が改善されれば、このオレンジにしても果汁にしても牛肉にしても、たとえば五十一年度のベースに返るような改定をやられるおつもりがあるかどうか、これをひとつお尋ねをしておきたい。  それともう一つは、表に出た日米共同声明以外に、農林大臣とストラウスとの間に何か別の将来にわたるメモが取り交わされておるということを聞かされておるわけですが、そういうメモがあるのかないのか、あるとすればその中身を発表してもらいたい、こう思うわけであります。
  100. 中川一郎

    ○中川国務大臣 まずニュージーランドでございますが、ニュージーランドも含めまして、先ほどから申し上げたように、肉の輸入枠を国内消費に見合って考えるということでございますから、これはニュージーランドを排除するものでありませんので、ニュージーランド、豪州も考えて対処をした。そこで結果的にニュージーランド、豪州がどうなるか、これからの折衝で、水産との絡みもあります。しかし、農村や農家に影響のあるようなことで水産問題は解決しない、したくない、水産は水産、農業は農業、ともに生きられる交渉をして決着を得たい、こう思っておるところでございます。  また、これがドル関係がよくなった場合にはまた五十一年に戻るかということでございますが、先ほども申し上げましたように、国内の消費その他とも関連して調整したものでございますから、これは将来に向かってこれぐらいのことはいいだろう、こう思っております。しかし、今後ドル減らしが成った段階においてまた見直すということはあり得ようと存じます。  それから、何か将来にわたって密約があるかということでございますが、密約はございません。堂々とあのときにも——もう一つあったとすれば、向こうの国では、オレンジは季節自由化はいいではないか、影響のないときに自由化してもいいではないかと言うものですから、それはだめです。断固としてお断り申し上げますと。なぜならば、ミカンの貯蔵技術も発達してまいりましたし、またオレンジも貯蔵がきくというような仕組みがあって、季節自由化は通年自由化に通ずるので特に農民の反発が非常に強いから、そしてまた実態上支障があるかもしれないからそれはお断りをする。では、そのことについて、本当にミカンについて影響があるかないか、お互いにひとつ調査をしてみましょう、こういう話はありますけれども、将来に向かって、入れますとか入れませんとかいうような約束は一切ございません。  ただもう一つ、お尋ねにありませんけれども、私どもとしては農村に絶対被害を与えないという範囲内で調整をしたのでございますけれども、農村の方において御理解がなく、大変だ大変だということでむしろ末端に大きな動揺が来て、実質被害、特に小牛価格などは芝浦が下がっておりませんのに、将来下がる下がるというようなことで、農業団体にも言ったのは、農業団体みずからが大変だ大変だと言えば安買いしようとする人に口実を与えるではないか、どうかひとつまじめに研究をして、本当に被害があるものならば私が責任を持って対処いたします。こういう姿勢で臨んでおりますので、どうか不安、動揺のないように、農村を犠牲にして対米折衝をやる、これは保護貿易はもう世界じゅうでございますから、農業についての保護貿易はアメリカも認めておるところであって、保護貿易によって農村を守るという姿勢は守ってまいりたいと思う次第でございます。
  101. 牛場信彦

    牛場国務大臣 さっきの話は、方々の新聞に出ておったというお話でありますが、私は余り気がつかなかったのですけれども、外国の雑誌に出ておった分につきましては、さっきのニューズウイークが一番ひどいことを書いてあるのですけれども、これに対しましては在米大使館からすぐ抗議文を出しまして、それは一月十六日のニューズウイークに掲載されております。ですから、ニューズウイークもこれは非を認めたわけでございますね。それから、エコノミストに出ておりました記事は、どうも私が今度の地位につきますずっと前のことでありまして、私を指しているのでないことは確かですし、外務省がそんなばかなことを言うはずは絶対ないということは、私は過去の経験から申しましても確言できると思います。
  102. 藤田高敏

    藤田(高)委員 通商問題についてはこの程度でとどめます。  続きまして、私ども社会党は一兆円減税をいま政府に要求をしておるわけでありますが、この減税問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  減税問題をお尋ねする前に、私はまず、政府減税に対する基本的な態度についてお尋ねをいたしますが、五十二年度の二次補正予算をめぐりまして私は、赤字公債の具体的な償還計画というものを出す必要があるのじゃないか、そうしましたところが、大蔵大臣を中心とする政府としては、その前段として財政収支試算表というようなものをいままで二回にわたって出しておるけれども、さらに改定したものを出したいということで出してきたのが一昨日までの経過でありました。その出てきたものが、これは公明党の矢野委員の主張によれば、全く私も同感ですけれども経済理論も財政理論も無視したような組み立て方になっておる。そうして現実の政治の中で生かされない——政治はやはり現実を求めるものだと私は思うのですね。ところが、そういう現実的に可能性のないようなものを出してきたということで、この試算表の取り扱いについてはいわゆる総理答弁なり大蔵大臣答弁を通じて、いま御案内のような結果になっておるわけです。資料の出し方についても、これは国会審議をこれだけ真剣にやっておるさなかでありますから、慎重の上にも慎重を重ね、そうしてお互い建設的なもので、そして国民のコンセンサスを得られるようなもので、その前にこの予算委員会だったら予算委員会で、それぞれの立場の違いはあっても一定の合意が得られるような、そういう資料を出し合う中に真の予算審議というものが実を結んでいくと私は思うのです。  ところが、これだけ予算財政収支試算をめぐって問題になっておるさなかに、大蔵当局から「所得税減税に対する考え方」という小冊子が出てきたのですね。この中身は、これは後ほど同僚議員からも指摘を求めたいと思いますが、私はこの中を精読いたしましたけれども、まさにこのパンフは、極端に言えば、減税というものは悪だ、公共事業を善とすれば減税は悪だということが中心になって大変なキャンペーンを張っておるわけです。そういうことになれば、さきおととい出してまいりました財政収支試算表と何ら変わりないじゃないか。あの財政収支試算表は減税を抑えるためのプロパガンダにはしないんだと言いながら、その問題が議会で問題になっておるときに、議会の外に向けてこの種のパンフを大量にか、どれだけ流したか知りませんけれども、出しておるわけです。これは後ほど私は中身の問題についても触れろと言えば触れますけれども、もう冒頭を見ましても、これはたとえばの話ですが、「個人消費支出の拡大より、下水道等の社会資本の充実を図る方が適切である」という形で、あたかも個人消費の拡大を図ることが悪だ、それよりも何だという形で、まあいわば片一方をきめつけるようなかっこうになっているわけです。こういうことになれば、政府の七%成長というようなものもやはり問題が起こるので、公共事業も大事だけれども、個人消費支出の拡大も大事だという、そういう形の中でこの予算審議が発展をしていかなければいかぬのじゃないかと思う。こういうものをどういう意図によって大蔵省はお出しになったのか。大臣はこのことを御承知であって出さしたのか、大臣が知らない間に局長サイド、事務サイドでこういったものを出してきたのか、その点の経過を明らかにしてもらいたい。
  103. 村山達雄

    ○村山国務大臣 五十三年度予算の編成に当たりまして所得税減税政府案では盛り込まなかったことは御承知のとおりでございます。そしてその理由につきましても、総理を初め私も財政演説で述べたところでございます。その後、それらの問題をめぐりまして各方面から、もっとわかりやすくすべきではないか、こういう意見が寄せられておったのでございます。そこで、従来すでに公表になっております税制調査会の答申その他の資料、これをもとにいたしまして、ことしは減税は適当でないという政府の見解を取りまとめたものでございます。この小冊子ができましたのが一月の三十日ころでございまして、やはり同じころ新聞記者諸君も入手したわけでございます。発表がどうなるかということにつきましては、これはもちろんわれわれはいつになるかは——これは新聞社の扱いでございますので、それがたまたまきのうの朝刊に載った、これが事実関係でございます。
  104. 藤田高敏

    藤田(高)委員 大臣がこのことを知っていたのかどうか、指示して出さしたのかどうかですね。指示して発表さしたとすれば、それはいつだったのか。
  105. 村山達雄

    ○村山国務大臣 この小冊子ができたことはもちろん知っております。そして新聞記者諸君から提示を求められておるということはよく知っておったわけでございますが、その日付については後でわかったわけでございます。
  106. 中野四郎

    中野委員長 大出俊君から関連質疑の申し出があります。藤田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。大出俊君。
  107. 大出俊

    ○大出委員 大臣答弁ですが、そうでたらめ言っちゃいけませんよ。私は全部調べてわかっているんだ。二日の日に矢野さんの質問で、ここで収支試算をめぐってあれだけの議論になった。これは重税キャンペーンじゃないのか、減税反対キャンペーンじゃないのかと。そうじゃないと。審議は中断をする。理事会を開いている。私に言わせれば、そこにおいでになる大蔵省の局長さんは三悪人。いつの間にか理事会の横の方に座って、にやにやしているわけでしょう。その前に記者諸君がちゃんと聞いている。先月これをつくり始めた。三日の朝刊にということはちゃんと初めから打ち合わせ済みじゃないか。三日とは何だ。各党の代表質問が一巡をする朝、ぽんとぶつける。ところが一日ずれたから、終わらぬうちに出ちゃった。タイミングがまずかったと、こう言うのです。明確に事務当局の仕掛けじゃないですか、これは。私は、だから主計局長に大きな声を出しましたが、議員はだれももらってないじゃないか。新聞だけ見ているのじゃないか。いま国民の負託にこたえて議論しているのは一体何だ。だれだってこの国の財政経済も心配している。だから負託にこたえて議論しているのじゃないか。その中心点に君たちは合わせて何を一体やったのだ。それじゃなぜ議会に出さないのか。軽視ではないか。何と答えたかと言えば、委員会にお出しするような筋合いのものでございませんので、予算委員会が終わった後で先生のお部屋に主計局の次長以下三人を説明に伺わせますので、と言う。入ってくるなり三人の方は何と言ったか。行き違いがございました、大変申しわけございません。頭から謝っている。大変申しわけない、何とかお許しを願いたい。謝っておられる。じゃ、一体何で出たんだと言ったら、われわれが立案している途中に記者に見られた、見られたので仕方がないからということで三日ということにしていただいた。初めから仕組まれているじゃないか。いつもやる方法だ。官僚諸君が勝手に三日と設定して流した。大臣は知らない。大蔵官僚の諸君がそれをやって、われわれの審議の山にぶつけて、国民一般に誘導認識を与えてつぶそうというなら、これは議会制民主主義の自殺ですよ。こんなばかげた話はないでしょう。われわれ何んにも、一人も配付されていない。こういうことをやる官僚諸君に私は責任をとってもらいたい。大臣は、そういうものがあることは聞いていたが、いつとも何ともあなたは一切知らない、いまの答弁では。三日に合わせて、しかもとんでもない時期に一斉にキャンペーンをする。そんなことは認めませんよ。まともな減税論議にならぬ。だめだ。
  108. 村山達雄

    ○村山国務大臣 私は事実を述べたわけでございますが、重ねて申し上げますが、財政収支試算も、このパンフレットも、この国会の皆様の御論議を封じようなどという意図は毛頭ございません。これだけははっきり申し上げておきます。やはり真剣にやってもらうために財政収支試算は出しておりますし、それからこのパンフレットは、いままでにも中期答申その他でもってずいぶん論じられたところでございます。公にされました資料を集めまして、そして大方のいろいろこれから要求されるでありましょう、そういうものに備えたにすぎないわけでございます。
  109. 大出俊

    ○大出委員 新聞の書き方を見てごらんなさい。いいですか。毎日新聞だが、どこの新聞も一様にそう。「大蔵省が野党に反論」全部見出しじゃないですか。何ですか、これは。ここで政府を相手に私ども議論している。各党の書記長クラスが全部出て、中心点は減税にある。公共事業を認めてないのじゃない。そこに「大蔵省が野党に反論」とは一体何だ。ゆうべの説明もそうじゃないか。そういうばかげたことをされて、私は三人の方に来てもらって話を聞いた。これは大蔵省のいつもの姿勢だ。こんなことで議論ができますか。大臣もつんぼさじき、われわれもつんぼさじき。まして矢野さんの質問が中断をして、理事会は何をやっていたか。重税キャンペーンじゃありません、減税反対キャンペーンじゃありませんと、文書を書いているそのやさきに、九時半から理事会を開いて、それでまとまって、審議に応じましょう。新聞を見たら全部「大蔵省が野党に反論 反減税キャンペーン第二弾」、何だこれは。こんなもので審議ができますか。ふざけてはいけない。冗談言っちゃいけない。
  110. 村山達雄

    ○村山国務大臣 その見出しは、新聞社の方で責任を持ってつけたものでございます。私がいろいろ話しましても——この問題は違うわけでございますが、毎週記者会談をやっております。しかし、その見出しは、おやつと思うような見出しは私はしょっちゅう遭っているわけでございまして、これはどうにもならないことでございます。  なお、もう一つつけ加えておきますが、私は、公共事業が善で、それから減税が悪だなどとはちっとも言ってないのでございます。今日の政策選択の問題としてどうであろうかということにすぎないのでございますので、どうぞひとつ御理解賜りたいと思います。
  111. 大出俊

    ○大出委員 もう一つだけ。大臣、あなたが大臣になってこの予算委員会は初めてだと思うけれども答弁を聞いていると、あなたというのは一々口が多いのですね。そういういまのようなことがね。あなたの方が三日というふうに仕掛けてこれを出さなければ、初めから見出しもないのだ、記事も出ないのだ、こんなものは。そうでしょう。しかも、あなたも、出てくる日にちを知らなかったでしょう。官僚の皆さんが記者の皆さんにPRをし、仕掛けをし、出してきたのだ。全部調べて聞いてみればわかるよ、あなた方は。そうでしょう。だから言っているのだ。ここでまともにその問題で議論しているというのに、まさにこの見出しのとおりの中身なんだ、これは。だから各社がいろいろこう見出しをつけている。それじゃまともな議論ができないじゃないですか。そうでしょう。これでは減税審議はできません。予算審議はできない。
  112. 村山達雄

    ○村山国務大臣 申し上げますが、議論は大いにやってもらうことが本当に願いなのでございます。その点だけは申し上げておきます。
  113. 藤田高敏

    藤田(高)委員 百歩譲って、大蔵大臣の言うようなことであったにしても、いま大出委員から指摘をしたような経過の上にこの小冊子が出されてきているということは、まさに国会議員といいますか、特に予算委員にこういった資料を出さないで、そうして外部にはそれを発表する。しかも一番問題の焦点になっているわけですね。減税問題は、いま予算審議の中でも一番焦点になっている。まさに予算委員なり国会議員の顔を逆なでするようなことをやっておるわけですよ。そういうわれわれの見識を無視するようなことを官僚サイドでやって、それでのうのうと予算審議をやれということは、私は無理があると思う。できないと思うのですよ。これは委員長としても、そういうわれわれのいま主張しておることを十分理解をしていただいて善後策を講じてもらいたい。
  114. 中野四郎

    中野委員長 藤田委員に申し上げますが、先ほど、この点について厳重に大蔵省をしかりおいたのです。このようなやり方は正しくないということをよく言うておきました。したがって、大出委員、恐縮でございますが、後ほど理事会で御相談することにして、そうして、適当なる処置をとりますから、どうぞひとつ質問だけお進め願いたいと思うのです。
  115. 藤田高敏

    藤田(高)委員 これは、委員長が大蔵省を注意した程度で終わるべき問題ではない。極端に言えば、それは一種のやみ取引だと言ったって仕方がないですよ。そんなことではわれわれは承服はできません。委員長が仮に、特別に大蔵省をどうするとかこうするとかというのは、少なくとも理事会を開いて、この予算委員会としての合意に基づいてやらなければだめです。これが一つ。  このような経緯の上に立って、いまこの時点になっておるわけですが、総理大臣、どうですか。これは、いま私ども言っておることは無理でしょうか。私は無理じゃないと思うのですよ。やはりもっと議会制民主主義というもの、議会というものを尊重し、大切にする、そうして、予算審議の中心は何といったってここじゃないかということになれば、私は、この問題の取り扱いは余りにも国会議員なり予算委員会の感情を刺激するようなやり方だと思うのですよ。これは私は、審議をやっていく物の道理から言っても、このような問題の処理の仕方は絶対許すことはできないと思うのです。そういう意味合いにおいて、どうでしょうか、総理の見解をひとつ聞かしてもらいたい。
  116. 福田赳夫

    福田内閣総理大臣 承りましたが、私の感想を申し上げますと、大蔵省は、いま減税か公共事業かとずいぶん国会の中でも論争があるし世間でもいろいろ議論がある、そういう際に、公共事業を中心とする経済政策を打ち出しておる大蔵省として、その立場を解明する、これは私は当然役所としてなすべきことじゃないか、そのように思います。それをとやかく議論があるというのは一体いかがなものでしょうか。ただ、こういうものをたまたま新聞社だけに配って、そして国会に配らなかったという点は、それは手落ちがあったかもしらぬような感じも私はします。しかし、こういうパンフレットが出て、そして役所考えるその立場を説明する、そのこと自体についてそう責められるべき点は本質的にないんだ、このように私は思います。ですから私は、いま申し上げましたように、これがこの委員会に御参考のためにというので同時に配付せられた方がよかったと思います。ですから、いまからでも遅くはない、配付されたらどうだろう、このように思います。
  117. 大出俊

    ○大出委員 だめですよ。これは先ほど野党の皆さんとも相談をしましたが、みんな一様に一生懸命ここで議論しているのに、どこか横の方で、土俵の外で——あなたは親切にと言った、わかりやすくと言った。じゃ、親切にわかりやすい資料をあなたのところがつくったのなら、真っ先に出すのは、その問題が中心で審議されている委員会じゃないのですか。土俵の外で、三日と想定までして、一斉に、大蔵省が野党に対して反論と言わんばかりの、見出しと同じような中身のものをぽんと出しておく。そんなことではまともな議論にならぬでしょう。私どもは相談もしてみましたが、これじゃとてもじゃないがこの減税論議はできない、こういう判断です。だから、これ以上皆さん何と言われても審議はできません。
  118. 中野四郎

    中野委員長 恐縮ですが、各党の理事諸君、ちょっと委員長席までおいでをいただきます。——四時再開をすることにいたしまして、暫時休憩をいたします。     午後三時十九分休憩      ————◇—————     午後四時七分開議
  119. 中野四郎

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  先ほどの藤田君、大出君の御指摘の問題につきましては、委員長から政府に申し上げます。  当委員会を軽視するがごとき書類の配付のいたし方につき、今後かかることのないよう、委員長より厳重に注意をいたします。  この際、村山大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村山大蔵大臣
  120. 村山達雄

    ○村山国務大臣 先ほど来問題となっております二種類の小冊子は、公表資料を中心に大蔵省としての考え方を整理したもので、減税要求の主張に抵抗するためのものではございません。これを委員会に配付しなかったことにつきまして、委員会軽視であるとのおしかりを受けたことはまことに申しわけございません。今後、この種の資料の取り扱いにつきましては、十分御趣旨を体して処理してまいります。  なお、委員会には直ちに提出いたします。
  121. 中野四郎

    中野委員長 質疑を続行いたします。藤田高敏君。
  122. 藤田高敏

    藤田(高)委員 先ほどの問題につきましては、いま委員長から、また大蔵大臣から見解の表明がありました。  私は率直に申し上げて、このような結論でも不満であります。あえて申し上げておきますが、予算委員会が開かれておるさなかに、こういう委員会審議を軽視し、あるいは委員会審議を逆なでするような問題の提起の仕方は、本来の議会制民主主義の立場から見て重大な問題がある、このように私の見解を率直に申し上げておきたいと思います。  特に大蔵大臣には、つい先日、例の財政収支試算表、またこのたびはこの所得税減税に関する問題等々について、五十三年度予算審議が始まってわずかな期間の間に、委員会に対して二回も陳謝をせざるを得ない、こういうような不始末は今後絶対やってもらいたくない、もう少し慎重に事に処せられるように強く要請をしておきます。  せっかく、委員長を中心に理事会で相談をされた結論が出ましたので、私は以下、質問を続けたいと思います。  私は、本来なれば私ども社会党の主張を中心とする減税問題の質問をやろうと思ったわけでありますが、一応この問題は後日に譲りまして、せんだっての五十二年度の二次補正の段階で私自身問題にいたしました財政問題、なかんずく赤字公債の償還の問題につきまして質問をいたしたいと思います。  そこで、前段お尋ねをしたいのでありますが、先般問題になりましたいわゆる財政収支試算によりましても、将来公債額というものはどのように雪だるま式に累積をしていくのだろうか。その中でも、公債を発行して十年たちますと現金で償還をしなければならない赤字公債というものは、どういう形で累積をしていくのだろうか。その累積された赤字公債はどういう具体的な計画で償還をされるのだろうか。これは今日わが国財政が非常にむずかしい局面を迎えておるだけに、国民の立場から見ましても、いわばこれは国民に対する政府の借金でありますから重大であります。  ちなみに、先般出しました財政収支試算表によりましても、五つのケースがありましたが、公債の残高は、いまから四年先の五十七年には、A型でいきますと約百二十三兆円、B型でいきますと約九十兆円、C型でいきますと九十三兆六千億、D型でいきますと九十三兆四千億、E型で見ましても九十兆九千億。最低の場合でも、公債の赤字累積額というものは九十兆円を超えるわけですね。その中で問題になります赤字公債の累積額は、A案によりますと、五十三年度、ことしの末においては十五兆七千億、五十四年度は二十兆円、五十五年度は三十四兆、五十六年が四十六兆、五十七年が六十兆円。赤字公債の累積額だけが、A案によりますといま言ったような数字になる。C案によりますと、五十三年度はA案と同じでありますが、五十四年は二十二兆、五十五年は二十七兆、五十六年が三十兆、五十七年が三十兆円。いわゆる赤字公債額が非常に少ない時点を押さえましても三十兆円の赤字公債というものがふえていくわけであります。  これに対して、政府が一応建設公債、赤字公債を含めての償還計画を立てられておるわけでありますが、この償還計画の中身を見ますと、私は財政法四条に言うところの基本的な精神、具体的な条文に反する償還計画になっていると思うわけです。その点は先般の国会審議の中でも申し上げましたように、いまの償還計画は、建設国債と同じように六十年間で償還をする。ですから六十分の一ずつ償還財源として積んでいく、それにプラス、わかりやすく言えば利子の分だけを付加して償還財源に見る、こういうことでありますから、肝心な赤字公債の償還額は、十年たって、ことしで言えば五十三年度で四兆九千三百五十億、約五兆円の赤字公債は、六十三年の段階にはそのうちの六分の一だけしか積んでないわけですね。六分の五というものはどうするのかということが問題になるわけです。  私は、この前の主張としては、少なくとも毎年十分の一ずつ積んで、そうしてその時点が来れば十年で完全に償還ができるようなそういう計画を盛り込んだ、それこそ本来の財政収支試算というようなものを出すべきじゃないか、こういうことを主張したつもりですが、それに対するまともな回答がいまだに出ないのですね。私はこれは何としても出してもらいたいと思うのですが、出される御用意があるかどうか。そうして、私が主張いたしております見解に対する、赤字公債に対する償還の問題についての大蔵当局の見解を聞かしてもらいたい。
  123. 村山達雄

    ○村山国務大臣 財政法四条並びに特例公債法に基づくところの償還計画、これは予算で出していることはもう御承知のとおりでございます。いま藤田さんがおっしゃったのはその財源をどうするか、こういうお話でございます。  いま財源の方法は御案内のように大体三つありまして、おっしゃるように総合的減債基金として百分の一・六積み立てる方法、それから剰余金ができますと、その剰余金の二分の一を下らざる範囲で積み立てなさい、特例債が出ている間は全額繰り入れましょう、こう言っております。それから第三番目は予算繰り入れ、この三つの方法があるわけでございます。  それで、いまお話しの問題でございますが、何と申しましても特例債の財源の問題を考える前に、特例債そのものから脱却しなければならぬのでございます。一方で特例債を出しながら、それでまた十分の一を積むということになりますと、その十分の一もまた特例債で出さなければならぬのでございまして、これはどう考えてみても財政的に非常に不経済な話でございますから、当然まずやらなければならないことは、特例債からいかにして脱却するか、ここに最大の問題があるわけでございまして、この間、いま十分の一ずつ積めというようなことは恐らく問題にならぬのではないか、こういうつもりで、いま五十七年に脱却するとすればいかなる試算ができるかということでお示しいたしているわけでございます。ですから、結論から申しますと、まず脱却して、それからその後の問題になろうかと思うのでございます。
  124. 藤田高敏

    藤田(高)委員 この前に私が問題を提起してから半歩も一歩も前進をしてない。われわれが具体的かつ建設的に意見を出しておることについて、まさにオウム返し的な答弁でありまして、私は、財政法の精神から言っても、具体的な条文から言っても、いまの大臣答弁は納得できないわけです。というのは、いまさら財政法の四条をひもとくまでもないと思うのですが、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」この本文の条項は、赤字公債は出してはならぬという大原則を書いておるわけですね。「但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」これがいわゆる建設国債ですね。このただし書きの建設国債でさえ、いわゆる見返り資産として返ってくる建設国債さえもその償還の計画を国会に提出しなければならぬというのが財政法四条二項の規定であります。この見返り資産として出す建設国債でもこれだけ厳しい条件がついているのに、見返り資産として返ってこない、いわば消費的経費に充てられる赤字公債の償還計画というものが具体的に示されないというのは、何度考えても財政法違反だと思うのですが、どうでしょうか。
  125. 村山達雄

    ○村山国務大臣 財政法四条ただし書きで言っておりますそれを受けての償還計画、それから特例債、これはもちろん財政法四条の特例法によって国会の御審議をいただきまして出させていただくわけでございますが、その特例法におきましても当然償還計画を出しなさいということになっているわけでございます。そのいわゆる償還計画というのは、財源ではございませんので、いま出したものはいついつまでに今度は返さなければならないかというその償還予定額、それを提出しなさいということを財政法四条並びに特例法にも規定をいたしておるのでございまして、これは特例法を出しました五十年のときからずっと定着いたしているわけでございます。法律解釈といたしましては。いままでもずっと出しておりますいわゆる償還計画というのは、いずれも予定額を出して、そして国会の御審議を経ているわけでございます。従来からも、五十年以来そういうことで、もうほとんどそれでよろしいということでいままで来ているわけでございますし、また財政審もこの問題がありましたときに、あそこで言うところの償還計画とは何であるかということでございます。それは予定額である、なぜならば、一つの財政意図を書いているわけでございまして、その努力というものは、要するにそのときどきの社会情勢に応じてどのように財源を調達するかというのは、その年々の財政政策にかかるわけなものでございますから、予定額を書けば足りるということに定着をしておるわけでございます。
  126. 藤田高敏

    藤田(高)委員 この定着という解釈それ自体に私は無理があると思うのですね。それは財政当局なりあるいは財政制度審議会の一部の中にそういう考え方を持っている人がいるとしても、私どもは当初、昭和四十一年ですか、赤字公債を発行したとき以来、いまは亡き木村禧八郎さんが参議院で、この問題について非常に厳しい条件をつけて主張をいたしました。この財政法四条が生まれてまいりました歴史的な経過からひもときまして、いま大臣答弁したようなそういうことは当たらない。あの計画からいくと、私いまちょっとここに資料を持ち合わしてないのですが、五十三年度であれば五十三年度の今度出します約五兆円の赤字国債は、十年先の六十三年が来たときにほとんど一括して現金で返すようになっておるわけですね。私は先ほどから言っておるのは、建設国債でさえ六十年の耐用年数をとるか五十年の耐用年数をとるかはいろいろ問題はあるでしょう。しかし、耐用年数六十年とすれば、その六十年の中でいわば年度割りで償還の計画をやっておるわけですから、建設国債の償還に対してはそこまで具体的かつ忠実に償還計画が立つのに、肝心な赤字国債で、しかも現金で返さなければならぬということになっておるこの赤字国債に対して、具体的な、建設国債以上の厳格な償還計画が立たないということは、これはやはり私は問題がある。単に問題があるというよりも、財政法なりあるいは特例公債発行に関する法律違反である、こういうふうに思うのですが、どうでしょうか。
  127. 村山達雄

    ○村山国務大臣 これは赤字国債昭和五十年に出まして以来ずっと御論議が続いているわけでございまして、予算面ではいつ返すのかという償還予定額をずっと出しているわけでございます。また、それで大体足りるということで従来もずっと予算でその金額を出しているわけでございまして、今回もまた従来にならいまして予定額を予算に計上しているところでございます。
  128. 藤田高敏

    藤田(高)委員 あえて言えば、定着したとか、あるいは現実的に多数決で予算が採決になってそのことが認められてきたように言っておりますが、私は率直に言って、政府といえども、高度成長の過程では赤字国債を少々出しても自然増収がかなりあれば、先ほど大臣答弁ではありませんが、剰余金ができたときに返すとかあるいは一般予算から繰り入れするとか三つの条件がありますが、そういうことでやるんだ、こういうふうに半ば安易に考えていっておったと思うのです。しかし、大臣がいま言ったように、余剰金から繰り入れると言ったって余剰金なんか五十七年度までは全然ないじゃありませんか、この間のあの試算から見たって。そして一般財源から繰り入れると言ったって、一般財源から繰り入れるどころか赤字公債だと赤字公債それ自体をなくするためにきゅうきゅうとしておるわけでしょう。そういう書いておること自身が現実にできないのですね。できない条件の中でこの赤字公債の償還の問題を、返せるような、そういう償還財源に充てられるような答弁をすることは、これは欺瞞的な答弁じゃないでしょうか。  そして大臣答弁を聞いておりますと、赤字公債を発行するのをやめる条件をいかにしてつくるかということがすべてであって——私はそれを全然考慮に入れたらいかぬと言うのじゃないですよ。それがすべてであって、それができ上がるまでは赤字公債の返還には手をつけられないのだという、オール・オア・ナッシング的な答弁でしょう。われわれ個人はどうですか。借金をして住宅ローンで家を建てた、借金しておる中で、あなた、返していっておるじゃありませんか、翌月から。そうでしょう。これは完全な赤字ですよ。そうじゃないですか。これは建設国債に匹敵するのか赤字国債に匹敵するのか、両方の性格を持っておると思うのだけれども。それはあなた、住宅ローンで金を借りた、翌月からその借金した中から返していっておるじゃありませんか。個人の家庭でできることがなぜ国の関係で、しかもこの法律の中に、この財政法の中に、そして個別の国債発行の法律の中に書いておることに、なぜ忠実にそのことができないのでしょうか。私は、いまのような答弁を繰り返されるのであれば、本当にこの予算審議の中身の問題として私は審議ができないと思うのですよ。私はそういう問題について、この間出したあの五十七年度までの財政収支の試算の中にその赤字公債を現実に返していく、そういう試算というものがどうしてできないんだろうかと思う。あれだけ、ベアもやらない、社会保障も一切伸ばさない、そういう極端な財政収支の試算ができるのに、いま私が言っておるようなことができないというのはどういうことなんですか。これは世間を納得させることはできませんね。どうでしょうか。
  129. 村山達雄

    ○村山国務大臣 まず二つ問題がございまして、いまの償還計画というのは何であるかという問題と、それから、いま実質的な問題で、この五十七年までの間に単に特例債の発行をやめるだけでなくて、将来の償還財源を積み立てたらどうか、この二つの問題があるわけでございます。  まず最初の方の法律解釈の問題でございますが、これは先ほどから申しておりますように、償還の予定額を出せば足りるということになっておりまして、予算では、ことしは特例公債が四兆九千三百五十億でございます。それに対しまして割引公債がありますので、これは五年償還でございますので、ちょうど千億につきましては五十八年度までにお返しします。それから残りは昭和六十三年に四兆八千三百五十億お返しします。こういうことで、それぞれの法律の規定に従いまして償還計画を出しているわけでございます。  それから第二番目の問題でございまして、それはこの償還、単に特例債を減らさないでその上に十分の一ずつ積み立てろと、こういう御主張なんでございますが、これは結局特例債の上積みとして、これはいまの試算によりますれば特例債を出してその十分の一を積み立てなければならぬわけでございます。どういうことかと申しますと、それならば、もしそれだけの余力があるのならその分だけ、特例債の発行を十分の一分だけ減らしていった方が財政の効率がいいことはもう御存じのとおりでございます。それは当然のことでございまして、余裕があるのなら、まずそれだけ公債を減額した方が歳出全体が縮まるわけでございますから、当然だろうと思うのでございます。
  130. 藤田高敏

    藤田(高)委員 私は余り多くを繰り返しませんが、五十年の赤字公債は六十年の段階が来れば一兆七千億、五十一年の赤字公債額は六十一年が来れば二兆九千億、五十二年に発行したものが六十二年の段階では四兆円、同じように六十三年の段階では四兆円、そういう大きなものを現金で返さなければいかぬ。ところが、この間出してきた財政試算表によると、五十七年度までは収支が整わないんだという意味の試算なんですね。そうすると、現実に現金で返さなければいかぬ時限というのは五十七年から六十年までの間にわずか三年しかない。三年の間に現実的に二兆円だとか三兆円だという赤字公債を現金で返さなければいかぬ、これは約束ですからね。いまのような答弁を聞いておりますと、その時点が来たらまた、現金で返さねばいかぬということになっておるけれども、現金で返すためにはその分だけはまた赤字国債を出して返すことになるんじゃないかと思うのですよ。そういう愚かなことをやらないためにも、私が言っておるように、十年間の借金だということになれば十年間で返す計画を立てるというのが常識であるし、そのことを厳格に規定したのが財政法。この財政法というのは、私から申し上げるまでもなく財政上の憲法ですね。憲法的な規定なんですね。単なる一般的な法律とは重みが違うわけですよ。この財政法というのは財政憲法だと言われておる。その財政憲法に、これだけ厳格に、償還計画を立てなければいかぬ。いま大臣が言われたような、この半ぺらの昭和五十三年度で言えば、昭和五十八年が来たら一千億、昭和六十三年度が来たら四兆八千億というふうに、六十三年度でほとんど一括して現金で払うのだというこの計画は、私はどう考えても財政法の基本的な精神なり趣旨なり条文に反すると思うのですよ、これは。こんな安易なことでいままで多数決で押し切ってきたところに問題がある。やはりこれは財政法のたてまえによって具体的な案を出してもらわなければ、財政事情が今日ここまで困窮化しておればおるだけに、やはり私どもとしては六十年の段階が心配です。六十一年の段階が心配ですよ。いまも心配だけれども、十年先に、約束したことが現実に払えるのかどうか。その現実に払えるのかどうかは、いまの払い方で言えば、その段階で金をためておくものは六分の一しかない。それよりも十分の一ずつ積んでいけば、十年たったら完全に払えるじゃないですか。そういう堅実な償還計画こそが、私は財政法に言うところの償還計画の示すところであって、こういういま私が指摘したようなやり方は、どう考えても財政法の精神に反する。したがって、もうこれ以上私自身も同じことを言いませんが、こういう償還計画が具体的に出さないことでは、私自身はこの予算審議にこれ以上応じるわけにはまいらない、こう思うわけです。
  131. 村山達雄

    ○村山国務大臣 一番早く特例債の償還期が参りますのは、いま御指摘のとおり六十年でございます。ですから、この試算が、これは試算でございますが、仮にこのとおり行ったとしても、あと三年でございますから、なかなか容易ならざるあれが必要であると思います。それはおっしゃるとおりだろうと思います。  しかし、もう一つ、いま償還財源というのは、それぞれ特例債は御承知のように十年で参ります。それから建設国債も参ります。どの年次には幾ら返さなければならぬかというのは、それぞれ、いまここに出しております償還計画によって予定額はずっと出ておりますから、これはわかるわけでございます。そして、なかなか容易ならぬ努力は要ると思いますが、返す財源は、御承知のように国債基金はこれは総合的な減債基金でございますから、特例債の分は特例債で返すとか、それは要らぬのでございます。しかし私は、御指摘のように非常な努力は要ると思うのでございます。しかし、この特例債を脱却するまでは、わざわざ特例債を出して十分の一を積み立てるということはますます財政を硬直させるということだけをいま申し上げているわけでございます。(藤田(高)委員「私はもうそれ以上審議できません。やはり計画を出してくれということですからね」と呼ぶ)
  132. 中野四郎

    中野委員長 質疑をお進めいただきたいと思います。(藤田(高)委員「それを出してくださいよ、予算委員会としても必要でしょう。私だけの問題じゃないですよ、この問題は」と呼ぶ)各党の理事で一遍お話しください。各党の理事の方と一遍御相談ください。——ちょっと恐縮でごさいますが、各党の理事委員長席にお集りください。恐縮でございますが、どうぞお集まりください。——ただいまの藤田君の問題は、理事会において取り扱いを協議いたします。よって、暫時休憩をいたします。     午後五時十三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕