○塚本三郎君 ただいま報告されました
成田空港事件について、私は、民社党を代表して、わが党の意見を交えつつ質問をいたします。
本
事件のよって来る原因は幾つかが挙げられ、とりわけ
政府の場所選定の無理及び決定後、これほどに重大なる政治問題を、
空港公団という単なる一管理事業体にのみ任せ切りで過ごした
政府の怠慢が
指摘されなければなりません。
私
どもは、この点を
承知しつつも、なお国家機関が正式決定され、実行に移されつつある今日、
政府のまずさを
指摘することは後日にとどめ、本
事件に憤り、将来に憂いを抱かざるを得ない
国民の立場に立って、次の諸点を質問いたします。(
拍手)
質問の第一は、長期にわたる困難な
開港のための
準備に対して、
政府はその取り組む姿勢が甘く、その任のほとんどを
空港公団に任せ、
空港公団は
反対派の制圧のすべてを
警察当局に依存するというありさまで、
政府が全面的に最前線に立って指揮し、多面的に解決するための
努力が欠けていたことを
指摘しなければなりません。(
拍手)
たとえば、反対のための団結小屋を除去するには、単に
兇器準備集合罪や
公務執行妨害罪の適用のみではなく、建築法
違反による立入禁止とか、
空港公団、
千葉県などの公用地を不法に占拠している約半数の小屋は、不動産侵奪罪を適用することにより、管理権を行使して強制立ち退きを実施するなど、
現行法規を多面的に適用することなど、なお幾つかの方法があったのにかかわらず、なぜそれが実行されなかったのか、不思議でなりません。
われわれ庶民のわずかの交通
違反や税の滞納に対して、
政府は直ちに差し押さえや競売などの強硬手段を用いるのに、これら
暴力で抵抗する無法
集団の目に余る
行為に対しては、なぜそのような手段をとらなかったのか、御説明をいただきたいのであります。(
拍手)
質問の第二は、
極左暴力集団の本拠が大学構内にあることを
政府は十分に
承知しながら、先ほ
ども法務大臣が述べられたごとく、なぜこれを放置しているかということであります。
昨日の参議院本
会議でも、
法務大臣は大学当局に排除をお願いしていると答弁しておられましたが、大学自身がこれらの
集団を排除する意思があるとお思いでございましょうか。また、その意思があったとしても、それを実行する能力があると
政府はお考えでしょうか。
東大精神科病棟が不法占拠されて八年、いまだにその
状態は回復されておりません。聞くところによれば、大学当局の要請がなければ
警察を大学構内に入れないという協定が大学と文部省の間で取り交わされていると言われていますが、これは事実でありましょうか。大学構内に違法
行為が行われていて、なお
政府の権力が及ばぬ治外法権を認めるがごとき協定は、違法にして無効だと信じますが、いかがでありましょうか。(
拍手)
質問の第三は、彼ら
過激派暴力集団は、
警察一万三千名の防備を突破するほどの
装備と武器を用意しており、それら多数の暴徒の行動を容易にしている資金源は一体どこから出てきているかを御説明願いたい。
大学自治会が、その主導権争いのため、各セクトが残忍な死闘を繰り返しているのも、その大学が供給している自治会費という金が目当てだと論評する者もあります。彼らの糧道を断つため、その供給源及びルートを封殺する施策があるかどうか、お答え願いたい。
質問の第四は、
反対派がこれほどまでに抵抗し、
政府がこれに対処するに何か手ぬるさを感じさせるのは、
反対運動の中に政治家が介在したことにも原因がありはしないのでありましょうか。(
拍手)
過激派暴力集団がこれほどまでに反
政府の運動を展開し、公然と凶器を振りかざす心底には、特定政党が地域選定の際行った
反対運動の過去の行動を過信したこと、つまり一坪運動という特定政党の
行為をして、彼らには心強い味方がおるのだとの安心感がひそんでいるのではありませんか。(
拍手)
特定政党幹部を先頭に、五十五名に上る国
会議員が、わざわざ一坪地主となって
反対運動の場所を提供し、それを
政府が強制執行するという、法治国家としては論外の
行為が展開され、いまだに未接収の一坪地主と称される国
会議員がおられると聞くが、差し支えなければこの場でその氏名をお伺いいたしたい。(
拍手)
質問の第五は、
警備当局に対する不安であります。
政府は、日本国の
威信にかけ、三月末
開港を強行し、それなりに自信を持って
準備を施し、万全の
警備陣をしいたと信じたい。
しかるに、きのうの参議院本
会議で、
福永運輸大臣は、
公団周辺のセクトの不法占拠の排除は容易なことではない、困ったことだと答えられ、加藤
国家公安委員長は、解放区、団結小屋という治安当局の目の届かないところがあると
指摘して、あたかも
空港周辺に治外法権地域があって、国家権力が及ばざるかのごとき答弁をしておられます。そこには電灯がともり、
電話が引かれ、郵便が配達され、武器が持ち込まれているというではありませんか。
過激派が学園と結び、近くは裁判にまで及んでいると、ただいまも
法務大臣は憂慮されておりますが、何ら
具体策がとられていないじゃありませんか。一体だれが
政府でありましょうか。
福田総理は、政治的にも制度的にも
暴力に寛容であり過ぎたと、きのうの参議院で答えられております。
政府がこんな態度で、
警察当局がどうして体を張り、命を賭して
警備できるでありましょうか。(
拍手)
警察当局に
警備能力がないのではない。本当は
政府に統治能力がない。統治者としての責任感と法を守る魂がないことを
指摘しておきます。(
拍手)これでどうして治安当局が任務を果たすことができるでありましょうか。
質問の第六は、
警備当局の武器使用についてであります。
過激派暴力集団は、殺人用電気もり、毒薬等を使用し、
火炎びんを投げ、鉄パイプを振りかざし、内戦と豪語しております。これに対するに、
警備は十数発の威嚇射撃をしたにとどまり、一発がはね返って一人の暴徒の足にささったと報道されております。
今回のごとき
事態に際し、武器使用はどのように指示されているのか。まさか
拳銃は
警察の護身用のみを目的に所持せしめているとは思えません。おれ
たちは絶対に安全だと自負する彼らに対し、今日のごとき
状態では、何万の
警察を動員しても防護ができないことは当然でありましょう。(
拍手)
かくて、
施設の破壊と国家
威信の失墜と、民主政治の法の尊厳が無残に踏みにじられてしまいました。これらの被害は、
国民一人一人が負わなければなりません。
一体、
警察は何のために武器を所持しているのか。今回の
事件にかんがみ、一般の
暴力とこれら
過激派集団の
暴力とは、その質と量において根本的に異なっており、内戦を呼号する彼らに対しては、武器使用と
事前警備に対して異なった対処の仕方をとるべきだと思うが、いかがでありましょうか。
質問の第七は、
成田空港開港後の
警備と武器使用についてであります。
成田空港開港後、今回の
事件に照らし、万一再び警護が破られ、暴徒が
管制塔に入らんとした場合、
警察官がこれを阻止するため暴徒を殺傷した場合、過剰
警備となるか否か、単純にお答え願いたい。
航空機は一瞬の問題であり、
事故は直ちに死に直結するがために、これを乱さんとする者に対する
政府の態度と乗客の心理
状態をおもんぱかって、あえて言及しておかなければなりません。航空機の安全は、完全にして完璧を要求し、とりわけ国際
空港は、国家の
威信と国家の安全がかかっております。
政府として可能なすべての力を注ぐことは当然だからであります。(
拍手)
最後に、本日、
政府は
空港周辺警備のための新立法を意図しておられるやに聞きます。私
ども民社党は、必要な立法
措置については
協力することに決してやぶさかではありません。堂々と勇気をもって正面から取り組んでいただきたい。
しかし、
現行法律を厳守せしめずして安易なことのみに手を出す怠惰な行政の態度を改めないならば、どれほどの法律を山と積んでみても、しょせん、その場逃れの議論と法の
威信を傷つけるのみであることを警告しておきます。(
拍手)
たとえば、燃料輸送にかかわる国労、動労の態度であります。彼らが違法の
暴力でしばしば列車運行を妨害し、
国民の目に余る
行為があっても、それが放置され、今回もまた、春闘と称して、違法ストを早くも公言していることを何といたしましょうか。
まして動労の違法ストによる
成田空港燃料輸送阻止行動が、いつの日か
空港反対同盟の
ゲリラ闘争と結びついたとき、もしかすると、恐るべき大惨事を引き起こさないとだれが保証できるのでありましょうか。
政府は、まず法と秩序を守る執行者として、厳然たる態度をとり、民主主義と平和を願う
国民に責任を持つ態度をとることが絶対条件であることを強く
指摘し、
総理の
決意のほどを伺って、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣福田赳夫君
登壇〕