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1978-04-05 第84回国会 衆議院 法務委員会証人及び証言等に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月五日(水曜日)     午前十時八分開議  出席小委員    小委員長 上村千一郎君       羽田野忠文君    濱野 清吾君       山崎武三郎君    渡辺美智雄君       稲葉 誠一君    横山 利秋君       飯田 忠雄君    高橋 高望君       安藤  巖君    依田  実君  小委員外出席者         法務委員長   鴨田 宗一君         法 務 委 員 長谷雄幸久君         法 務 委 員 鳩山 邦夫君         参  考  人         (学習院大学法         学部教授)   飯坂 良明君         参  考  人         (駒澤大学法学         部教授)    林  修三君         参  考  人         (一橋大学法学         部教授)    堀部 政男君         法務委員会調査         室長      清水 達雄君     ————————————— 四月五日  小委員安藤巖君及び伊藤公介君三月二十四日委  員辞任につき、その補欠として安藤巖君及び依  田実君が委員長の指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  証人及び証言等に関する件      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    上村委員長 これより法務委員会証人及び証言等に関する小委員会を開会いたします。  この際、お諮りいたします。  本委員会における小委員外委員発言につきましては、小委員会設置の際の理事会の申し合わせもあり、小委員外委員から発言の申し出がありました場合は、小委員長において随時これを許可いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上村千一郎

    上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 上村千一郎

    上村委員長 証人及び証言等に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として駒澤大学法学部教授林修三君、一橋大学法学部教授堀部政男君、学習院大学法学部教授飯坂良明君、以上三名の方々に御出席をいただいております。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  本小委員会は、証人及び証言等に関する件について調査いたしておりますが、本日は特に議院における証人宣誓及び証言等に関する法律に関する問題について参考人各位から忌憚のない御意見を承り、もって本委員会調査参考にいたしたいと存じます。  次に、議事順序について申し上げますが、林参考人堀部参考人飯坂参考人順序で御意見をお述べいただくことといたし、なお、御意見の開陳はお一人二十分以内に取りまとめてお述べいただくよう御願い申し上げます。  次に、各参考人に対し、委員から質疑がありますので、さよう御了承願います。  それでは林参考人にお願いをいたします。
  5. 林修三

    林参考人 私、ただいま小委員長から御紹介をいただきました林でございます。  本日は、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律、俗に議院証言法と言われておりますが、これについての意見を述べるようにということで出てまいりました。しかしまた、私はこの小委員会においてどういう御議論皆様方の間でなされておるか全く存じませんので、ただ新聞等にときどき出ておりますことを見ている程度でございまして、そういうことをもとにして若干お話をいたします。あるいは余り御参考にならないような、あるいは全然問題にならないようなことをお話しすることになるかもわかりませんが、その点は御了承を願いたいと思います。必ずしも系統的なお話になりませんが、幾つかの項目に分けてお話をしてみたいと思います。  第一は、これも新聞等でよく出ておりますが、証人として出頭を命ぜられた者に弁護士等補佐人をつけることの問題でございます。  現在の法律でこういう補佐人をつけることができるのかできないのか、法律の上では必ずしもはっきりしないように思われますけれども、仮にできないといたしますと、やはり今後の問題としては、法律専門家が主として問題になると思いますが、そういう者の補佐人をつけられるように、これはもちろん本人の、証人として出頭を命ぜられた者の考えでございますが、それがつけたいと言えばつけられるようにした方がいいのじゃないかという気がいたします。  これは言うまでもございませんが、国会の両議院における国政調査は、普通で言えばいわゆるいろいろな国政全般にわたる調査でございまして、議院証言法によって証言を求める場合も、必ずしもいわゆる刑事事件とかあるいは刑事事件かかわりのあるような問題に限られるわけではないはずでございます。しかし、過去の例を見ますと、大体がどうも刑事事件に少なくともかかわりを持つような事案がこの議院証言法の適用を受けておるようでございます。しかも、その証人として呼び出される者が必ずしも純然たる本当の証人なのか、若干被疑者あるいは被告人的な立場にある者か、それが自分の事件とのかかわり合いについて質問を受ける、証言を求められる、そういうようなケースがどうも多いように思われます。そうなりますと、やはりその出頭を命ぜられた証人の人権の問題を相当顧慮する必要があるのではないか。特にどういう場合に宣誓拒否できるのか、あるいはどういう場合には証言拒否できるのか、どういうことに対してはどういう態度がとれるのか、これは普通の素人的な証人ではその点が全くわかりません。それについてはやはり法律家補佐が必要じゃなかろうかと思うわけでございます。  国会における国政調査はもちろん裁判所法廷とは違いますので、裁判所刑事事件等法廷と同じ扱いをする必要はございませんけれども、しかし、やはりその補佐人がそこで助言をするということがむしろ議院証言法の運用を円滑にする上においては必要なのじゃなかろうかという気がいたします。この場合に、補佐人として出た者に発言を認めるかどうかというのがまた一つ問題点だろうと思います。ただ、この点につきましてはいろいろな御議論もあるのじゃないかと思いますけれども、単に証人に対して助言をするというだけでなくて、場合によっては、たとえば質問が関連のない問題であるとか、あるいは伝聞に基づく質問であるとか、あるいは誘導尋問であるとか、そういうような場合に少なくとも異議が言える、これは証人本人異議を言うのはなかなかむずかしい問題でございますから、そういうことの発言はできるようにした方が、これは国政調査場面いかんにもよりますけれども、いいのじゃなかろうかという気がいたします。これは普通の法廷でありますれば、証人として出ますのは、恐らく刑事事件でも民事事件でも、あるいは検察側あるいは被告人側民事事件であれば原告被告かどっちかのサイド証人が出てきているわけでございます。したがって、それに対して証言を求めた方が若干裁判上のルールを外れてきた場合には、一方でいえば検察側、あるいは一方被告人側でいえば弁護士、あるいは原告被告両側弁護士が恐らくそれに対して異議を申し立てる、それに対して裁判長が適切な裁定をしていくということによって、この証言についてのルールが守られていく、そういうことだろうと思うのでございますが、国会委員会における証言の場では、そういうような両サイドの人が、証人に呼ばれた者のサイドでそれを背後で援助と申しますか、若干かばってくれる者はだれもおらないわけでございまして、そういう意味においては、やはりいま言ったような補佐人が若干それについて必要最小限度発言ができるようにする必要があるのじゃなかろうかという気がするわけでございます。これは補佐人の問題でございます。  それから次には、証人喚問手続の問題でございますが、これにつきましては、現在の議院証言法は御承知のように、議院から、いわゆるハウスからということになっておりまして、証人喚問議院が決めるという立場をとっておるように見えます。ところが一方、衆議院規則参議院規則を見ますと、その院、つまり議院のみならず、委員会証人喚問決定ができるようになっております。ただ、その場合には、衆議院規則の場合は「議長を経由して」、参議院規則の場合は「議長を経て」という言葉が出ております。この関係は、この法律が制定された当時から実はこの問題については議論のあったところでございまして、私も当時内閣法制局におりまして、その横でも見ておりましていろいろな意見を言った覚えがあるわけでございますが、これは正直のところ申しまして、当時の国会の中でも法制局事務総局とは若干意見が違ったところでございます。憲法六十二条で言っております国政調査権、特に強制権限証人出頭とかそういうような強制権限の問題につきましては、一体憲法はどこに権限を与えているのかという解釈問題が基本的にあるわけでございまして、これは原則はハウス、院に与えていることは、憲法の条文から言ってはっきりしております。ただ、その場合に、その議院規則等委員会にその権限を委任できるのか、あるいはそれが憲法上はできないのじゃないかという両説があることは御承知のことだと思います。  それで、この点についての、いまの議院証言法なり規則解釈の問題でございますけれども、議院証言法の立案に当たっては、やはり少なくとも証人喚問決定は院がなすべきものであるという立場がとられているように思います。議院から云々ということはそういうことだと思います。ただ、実際の証人喚問委員会でやるあるいは合同審査会でやるということは当然認めているわけでございますが、証人喚問は院がやるべきだというたてまえを議院証言法はとっているように思います。そして、議院規則の方で「議長を経て」とか「議長を経由し」という言葉委員会と院とのつながりを認めている、つまりそれは議長の名前でやるという点において憲法の要請を満たしている、そういう解釈をあの当時とったように思います。ただ、事務総局あたり考えはそうではなくて、当然に委員会規則権限委任ができるのだ、そういう解釈であったようでございまして、この点は、どうもいまだに対立は続いているように思われます。これは、今後委員会において証人喚問手続についてもし御変更を加えられるようなことがあれば、そこがやはり問題になってくることじゃないかと思うわけでございます。私はどちらの意見かと言えば、憲法六十二条はやはりハウス権限を与えている、そう見るべきではないかと思うわけでございます。そうすれば、やはり証人喚問権限議長が院に諮って決めるのがたてまえじゃなかろうかという気がいたします。その前提として委員会でいかなる御決定をなさるか、これはもちろん問題は別でございますけれども、喚問権はやはり院にあると見るべきではないかというような気がいたします。しかし、この点は解釈論は分かれているところでございまして、私の言うようなことだけが唯一の議論じゃないことはこれは言うまでもございません。ただ私は、そう考えているところでございます。  それから、あとの問題では、証人尋問につきまして、いわゆる臨床尋問という問題がよく出ております。病気その他によってどうしても出頭ができない者について臨床尋問を認めるかどうかということでございまして、これは私は必要に応じては臨床尋問は認めてもいいのだろうと思います。ただしかし、後でこの議院証言法に基づいて偽証罪とかなんとかという問題につながってまいりますので、そこはやはり手続は慎重にやる必要があると思いますし、過去の例を見ましても、証人本人の同意というようなことが条件とされて運用されたような例もあるようでございまして、こういうところは、やはりそういうことが必要じゃなかろうかという気がいたします。  それから、臨床尋問に当たられる場合にも、その証言が後で仮に偽証罪というような問題になってまいりますことを考えると、なるべく委員の中で多数の方が立ち会うというようなことがやはり必要ではなかろうかという気がするわけでございます。  それから、余りあと時間もございませんから、若干細かい問題になりますけれども、現在の議院証言法規定を見てまいりますと、正直なところ、この規定には統一を欠いているのではないかと思われるところが若干ございます。幾つかの問題をちょっと挙げてみますと、この第四条では証人宣誓拒否をできる場合、それから証言拒否ができる場合について民事訴訟法が準用されております。刑事訴訟法を準用しないで民事訴訟法を準用したところは、やはり国政調査の過程における証人喚問あるいは証人に対する尋問というのは刑事事件ではない、あるいは刑事事件に近い性質のものであるべきではないということから民事訴訟法が準用されたと思うのでございまして、この点は適当だと思うのでございますが、細かい点を挙げますと、宣誓拒否証言拒否につきまして民訴の二百八十条が準用されております。ところが、民訴の二百八十条は証言拒否規定でございまして、宣誓拒否については二百九十一条という規定がございます。大体同じでございますが若干条件が違っております。これは、やはり細かく言えば、むしろ宣誓拒否については二百九十一条の方を準用した方がよかったのじゃないか、そういう気がいたします。  それからもう一つは、いまの二百八十条は証人本人とか証人近親者の場合の問題でございますが、二百八十一条の方で、一定の他人プライバシーについていろいろな知識を持っているような職業についての証言拒否規定がございます。これは民事訴訟法にも刑事訴訟法にもあるわけでございますが、この場合は民訴を準用しているわけでございますが、これは民訴自体の問題になるかと思いますが、細かい点を申しますと、民訴刑訴では若干その職業範囲が違っておるわけであります。たとえば刑訴には看護婦が入っておりますが、民訴には入っておりません。こういうのはやはり民訴自体の問題でございますけれども、看護婦なんかはやはり証言拒否ができる範囲に入れるべき性質のものではなかろうかという気がいたします。それから、刑訴でも民訴でも共通の問題でございますが、たとえば公認会計士、これは刑訴ができる場合あるいは議院証言法ができる場合には公認会計士の制度はまだなかったわけでございますが、これなんかもやはり弁護士とか弁理士とかそういうものと並んで、その職業証言拒否の問題に入れるべき問題ではなかろうかという気がいたします。  それから、民訴の二百八十一条の一項の三号、つまり技術または職業上の秘密、これは議院証言法では証言拒否範囲から除外してあります。これは制定のときに非常に御議論のあったところのように私は聞いておりますが、たしか国会における国政調査ということから、私企業における技術上の秘密あるいは職業上の秘密について証言拒否を認めるのは適当でないというお考えだったと思うのでございまして、これは理解できるのでございますが、ただ、場合によってはやはり個人の、その当時は余りプライバシーという問題もございませんようでございましたが、それから企業においても、たとえばその当該企業にとってフェータルな技術、特許なんかの問題についてその内容を開披しろというようなことは、若干無理を強いる場合もあるのではなかろうかという気がいたします。もちろんこれは秘密会でそういうことをやればいいわけでございますが、ただ秘密会については、これは事実上の問題でございますが、どうもそう申してはなんでございますが、秘密会議事外部に相当出るケースが多いわけで、そこらについてはやはり証人になる側にも若干の懸念が出てくるのではないかという気がするわけでございます。  それからもう一つは、この五条公務員守秘義務との関係でございます。これは非常に議論のあるところで、恐らく今後もいろいろ御議論のあるところだろうと思います。ただこれについては、国政調査ということの重要性あるいは公共的な性格から考えて、守秘義務範囲を制限すべきではないかという御議論が当然あるだろうと思います。しかし、これは事項でたとえば防衛上の問題とか外交上の問題等だけに限るといっても、これはちょっと問題があるのではなかろうかという気がいたします。たとえば税務行政なりあるいは統計行政なんかにおいて、当該公務員他人の、一般私企業のいろいろな営業上の秘密とかいろいろなプライバシーの問題を知るチャンスはあるわけでございます。こういうものについての秘密国会国政調査の場で開披しなければならないとなりますと、これはやはり、当該本人個人の問題もさることながら、むしろ行政に対する信頼性の問題に触れてくるわけでございまして、そういうふうに公務員に対していろいろな申告をした、あるいはいろいろなことを告げた、これがどんどん外部に出るようでは、今後における税務行政とかあるいは統計に関する行政が円滑に運営できない、そういうような問題も生ずるのではなかろうか、そういう気がいたします。したがって、この秘密の問題につきましては、やはり現状のような形で、実際はこれは行政府の方も当然に最大限に国政調査には協力すべきものでございまして、やたらに秘密云々を言うべきではないと思いますけれども、事項法律的に制限するということは私は必ずしも適当ではないのではないか、そこらはやはり現在の手続で、最終的には内閣声明までいくというような形で解決するのがいいのではなかろうかという気がいたします。  それからもう一つ、この公務員証言拒否の問題に関連して、これは証言のほかに書類提出要求のことがございます。この書類提出要求についても、証人として喚問された場合には、最終的には内閣声明までいくようになっております。ところが、同じようなことが国会法百四条では、議院なり委員会からの記録なり報告の提出要求については、そういう手続がないわけでございます。この点はちょっと、平仄が合ってないのじゃないか。国会法についてはこれはいろいろな議論のあるところでございますが、議院証言法五条のような規定はございませんけれども、やはりどうしても当該官公署秘密にしなければならぬものについては拒否ができるのではないかという解釈が従来行われておりますけれども、ちょっと議院証言法国会法との平仄が合っていないのじゃないかという気がいたします。  もう一つ、これはごく細かい点でございますが、五条国会議員から国務大臣が除外されておりますが、これは二十三年でございますか、議院証言法ができるときには政務次官がまだなかったのじゃないか、除外するなら当然政務次官も加えるべきじゃないか、そういう気がいたします。これはごく細かい点でございます。  以上、若干精粗必ずしも一貫しておりませんけれども、私として思いついたままのことを申し上げまして、一応私の公述を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  6. 上村千一郎

    上村委員長 ありがとうございました。  次に、堀部参考人にお願いいたします。
  7. 堀部政男

    堀部参考人 堀部でございます。  ただいまの林先生の御意見立法論解釈論にわたっておりまして、それは大変貴重な御意見だと思います。私は少し別の観点から意見を申し上げてみたいと思います。私の意見は、主として学界における最近の議論を踏まえまして申し上げることになると思われます。  議院における証人宣誓及び証言等に関する法律につきましては、学界でもいろいろな意見が最近出てきておりまして、その一つに、この法律及びそれのもとの規定になっております憲法六十二条を国民の知る権利観点からとらえてみてはどうかというような意見が出てきております。  そこで、委員先生方は先刻御承知のことではありますが、一応簡単に知る権利につきまして申し上げてみたいと思います。  知る権利という概念は、元来アメリカで発達したものでして、ライト・ツー・ノーというものに由来しておりますが、わが国でも裁判所学界で定着しつつあります。早くは昭和三十三年の大阪地方裁判所判決が、これは監獄拘禁中の者に関する事件ですが、そこで知る権利という概念をすでに用いておりますし、また、同じく昭和三十三年には、東京地方裁判所判決がこのように言っております。「公務員はすべて国民全体の奉仕者であり、公務員選定罷免は、国民固有権利であるから、主権者選挙権者)である国民は、公務員またはその候補者の適否を判断するため、当該公務員またはその候補者について知る必要があり、また知る権利を有するものである」というふうに主権者の知る権利を承認しております。このように、すでに昭和三十年代に知る権利という概念を用いた判決が出ていることは、大変注目に値するところだろうと思います。しかし、これらの判決一般にはほとんど知られておりませんで、この知る権利というものが一躍有名になりましたのは、昭和四十四年の二つの最高裁判所判決であります。  その一つは、わいせつ罪に問われました「悪徳の栄え」事件に関する判決でして、その中で、少数意見ではございますが、色川裁判官は「知る自由」という言葉を使いまして、これについて「憲法二十一条にいう表現の自由が、言論出版の自由のみならず、知る自由をも含むことについては恐らく異論がないであろう。」「けだし、表現の自由は他者への伝達を前提とするのであって、読み、聴き、そして見る自由を抜きにした表現の自由は無意味となるからである。情報及び思想を求め、これを入手する自由は出版頒布等の自由と表裏一体、相互補完関係にあると考えなければならない」という位置づけをしております。  もう一つは、新聞等でも盛んに取り上げられました博多駅テレビフィルム提出命令事件の最高裁大法廷決定でございますが、この決定はこう言っております。「報道機関報道は、民主主義社会において、国民国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供し、国民の『知る権利』に奉仕するものである」というふうに、報道機関報道と「知る権利」とを関連させております。  知る権利は、その後昭和四十六年のニューヨーク・タイムズのベトナム秘密文書報道事件、それから翌年の昭和四十七年の沖縄密約漏洩事件——いろいろな名称で呼ばれておりますが、この事件などを経ましてきわめて一般的な概念となりまして、また、沖縄密約事件に関する昭和四十九年の東京地方裁判所判決がその法的構成をするに至っております。このように、わが国では、知る権利として知られるようになった概念がかなり一般化したというふうに言えるのではないかと思われます。  ところで、こういう知る権利という観点から見てみますと、幾つかの観点が出てくるのではないかと思います。  その前に、知る権利法的根拠がよく議論になりますので、その点について若干申し上げます。  まず、この知る権利は、本質的には主権者であります国民国政に関与するにつきまして、必要な判断材料を入手する法的権利であるという意味におきまして、国民主権を定めております日本国憲法基本原理にその根拠を求めることができると思われます。  また、判決学界での議論を総合いたしますと、その根拠は、憲法二十一条の言論の自由、憲法十三条の幸福追求に対する国民権利参政権観点から憲法五条公務員選定罷免権学問の自由の観点から憲法二十三条の学問の自由、精神的、文化的最低限度の生活を営む権利という点で憲法二十五条、二十六条の教育を受ける権利などに求められております。  しかし、これら以外にも、私は憲法五十七条の両議院会議公開、八十二条の「裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。」という条項等も、基本的には知る権利考え方からとらえ直すことができると考えております。  私は、従来の判例、学説に加えまして、積極的な意味での知る権利の行使の根拠といたしまして、憲法六十二条の国政調査権規定及びその行使に関する法律、その一つの代表的な例が貴委員会で検討中の議院証言法でございますが、これを挙げることができるのではないかと考えております。このような議論は、最近注目を集めているところでありまして、まだ学界でも十分に検討されているというわけではございませんが、しかし、新たな観点として重要な意味を持ち得るのではないかと思います。  こういう知る権利観点から国政調査権及びその関連法規を検討してみますと、次のような点で、従来とは違った観点が出てくるのではないかと思われます。  まず第一に、国政調査権につきましては、その本質をめぐって、従来独立権能説と補助的権能説が対立しておりまして、諸外国における把握方法にも影響されて、補助的権能説が通説となっております。これらの説に共通しております点は、その権能の本質を権力分立論からとらえているところにあります。このような権力分立論による理論構成に加えて、またはそれにかわるものとして、国民の知る権利を基礎に理論構成するといたしますと、一方におきまして、国民の側から国政調査権の発動を法的に要求する権利、これは恐らく国政調査権発動要求権とでも言うことができるのではないかと思いますが、そういうものが生じますし、他方におきまして、国会議員国民に対してその知る権利にこたえる義務を負うということになると思われます。言うまでもなく国会議員国民の代表でありますので、国会議員を通して国民はその知る権利を行使するということになると思います。  それから第二に、国政に関する情報は、したがいましてかなり広い範囲が明らかになるということになると思います。これはやはり国民の知る権利を充足するためには可能な限り多くの情報が明らかにされることが要請されてくることになります。しかしこのように言いましても、他方におきまして証言を求められる証人の人権、それからその証言の中で言及される者あるいはその記録の中で言及される者の人権も保護されなければならないことは言うまでもないところでございます。これが、私が考えております国政調査権及び議院証言法に関する一般的な理論的フレームワークであると言うことができると思われます。  このような理論的フレームワークからいたしますと、現行の議院証言法幾つかの問題点があるように思われます。特に今回のロッキード事件の経緯との関係で見ますときに、その幾つかは次のように述べることができるのではないかと思います。  第一に、議院証言法の第一条に関連してですが、まず国民の知る観点から申しますと、不出頭を防止し、真実の証言を得るということが必要になってまいります。そうなりますと、院外証言制度を設けることが考えられてくるのではないかと思われます。この院外証言制度を設けることによりまして、国民の知る権利が充足される程度が高くなりますので、やはりこの制度は何らかの形で設けることが必要ではないかと思われます。これは先ほど林先生臨床尋問ということで言われたことと共通しております。こういう院外証言制度を設けることが憲法六十二条の国政調査権に関する規定との関係でどうなるかということが、恐らく憲法論としては一つ問題になるのではないかと思われます。この点につきましては、もちろん具体的な適用でいろんな問題が出てくると思われますが、制度そのものを設けることは憲法六十二条の趣旨には反しないだろうと思われます。むしろ反しないどころか、その趣旨を実効あらしめる意味を持ち得るのではないかと思います。したがって、院外証言制度を設けましても、憲法違反の問題は私は生じないのではないかと思われます。もちろんこれに対する反対意見は当然予測されるところでございます。  第二に、第二条の「証人宣誓」それから第四条の「宣誓証言書類提出の拒絶」それから第七条の「不出頭書類不提出・宣誓証言拒絶の罪」に関連いたしましては、ここではいろんな問題がございますが、一つ宣誓証言拒否事由が一つ問題になってくると思われます。この拒否事由を狭くすることも、国民の知る権利観点からは考えられると思われます。しかし同時に、これは他方におきまして証人等の人権の問題もございますので、それをどのように立法化するかという点につきましてはまた議論の分かれるところだろうと思われます。  また、この規定に関連いたしましては、六条の偽証罪と七条の「不出頭書類不提出・宣誓証言拒絶の罪」とが罰則が異なっているという点に注目しなければいけないのではないかと思います。六条と七条とを比較してみますと七条の方が軽いわけですので、証人の心理といたしましては、まず宣誓を拒絶するという段階を選ぶことになるのではないかと思われます。そうなりますと七条の罰則を重くする、まあ一案といたしましては六条と同じにするというようなことも考えられるのではないかと思われます。  これらの条文に関連いたしまして、もう一つ、ここでは「書類」という用語が出ておりますが、この「書類」という用語の範囲がどの程度のものかということが問題になるのではなかろうかと思います。よく訴訟法などで問題になりますが、写真とかテープとかが一体どうなるのか。それからさらに最近では、コンピュータリゼーションに伴いまして各種の情報がコンピューターの磁気テープに入っております。これが果たして「書類」に含まれるのかどうかというあたりも今後議論されなければならないところだろうと思われます。  それから第三に、いままで申し上げましたのは主として国民の知る権利観点から申したわけでございますが、他方におきまして証人等の人権保障の問題を考えてみなければならないだろうと思われます。この点につきましては、すでに林先生補佐人の問題について触れておられますので詳述は避けますが、私も人権保障との関係では補佐人、あるいは弁護人といいましょうか、それをつけることを考えてよろしいのではないかというふうに思っております。その具体的な運用等につきましては、これまたいろいろ議論のあるところだろうと思われます。  第四に、第五条公務員の職務上の秘密に関する証言書類の提出に関連いたしましては、これは国家公務員法の百条に守秘義務規定があるわけですが、もちろんそれ以外にも個々の法律幾つかの守秘義務に関する規定がございます。ここで問題になりますのはプライバシー権利との関係である。プライバシー権利自体が日本で、言葉としてはずいぶん出ておりますが、法律的には余り定着はしておりませんけれども、一般的にプライバシーという言葉で呼ばれておりますのでそれを使わせていただきますが、ここではそのプライバシーの保護の問題をやはり考えなければならないと思われます。しかし林先生言われるように、これを非常に一般的に決めておきますと、国民の知る権利という点では欠けるところが出てくると思われます。アメリカのプライバシーに関する議論参考にいたしますと、特に国民の関心を持たれるような人物、パブリックフィギュア、公の人物といいましょうか、公の存在とでもいいましょうか、そういう方のプライバシーの場合にはかなり制限されることもやむを得ないというふうに考えることができると思います。  時間の関係もありますので、あともう一つだけ申し上げますが、第五に、この国政調査権の行使を実効あらしめるためには、現行の議院証言法を母体としつつ、もう少し包括的な立法を考えてもよろしいのではないかという感じを私は持っております。その具体案等につきましてはなかなかむずかしい問題もあるのではないかと思われますが、やはり国政調査権というものを実効あらしめるためには、先ほどの林先生の指摘にもありますような本法の不備を直しつつ、より包括的な立法をつくるということも十分考えてもよろしいのではないかというふうに思っております。  以上で私の参考意見を述べるのを終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  8. 上村千一郎

    上村委員長 ありがとうございました。  次に、飯坂参考人にお願いいたします。
  9. 飯坂良明

    飯坂参考人 ただいまの両先生のお話に続きまして、蛇足をつけ加えさせていただきたいと思います。お断りしておきたいと思いますのは、私は法学部に所属しておりますけれども、法律専門家と申しますよりは政治学が専門でございます。そういう意味におきまして、両先生の法律専門家としてのお立場からのお話とやや趣を異にするやに思いますけれども、お許しを願いたいと存じます。  国政調査権の一環といたしまして、証人喚問していろいろなことをお聞きになるということは、両先生のお話にもございましたように、これは国会といたしましてきわめて重要な権能でございます。ただ、現実にこの権能の行使の仕方におきましてこれが理想的に行われますならば、ただいま堀部先生のお話にございましたように、国民の知る権利というものを代表なさるという意味においてきわめて重要でございます。特に、今日の国家が御承知のように三権分立をたてまえにいたしておりますけれども、行政国家の台頭とかあるいは執行権の優位と言われますように、現実には情報を握っております官僚の方が実は政策決定に対しての発言権を持っておる。したがいまして、議会は、しばしば官僚のなしますことに、いわばやさしく申しますとけちをつけるというか、あるいは官僚のやります政策決定に対するチェック機能ということがせいぜいになってまいりまして、そして立法機能の実質は実は官僚に任されていくというのが全世界的な議会制の傾向でございます。  となりますと、なぜそのような変質が起こっておるかということの一つは、国会、そして具体的には議員の方々が情報を持ち合わせていない、国政判断する情報をお持ち合わせにならない、あるいはそれの組織的な収集やあるいは評価がなされないということが実はあるのであろうと思います。その意味におきまして、今日のような情報化社会におきましては、国民の知る権利、そして具体的には国会国政調査権は、ますます国会をして国会たらしめる、つまり国権の最高機関たらしめるために必須の機能になってきておるわけでございます。  ところが、悪くこれはいたしますと、ウォルター・リップマンのパブリック・オピニオンという本からとったのでございますけれども、彼は、議員の判断の材料となるべき情報というのは非常に限られておる——これは実は半世紀前の本でございますけれども、言っておることは御参考になるかと思います。ただし、これはアメリカ議会についてでございまして、先生方に直接御関係するとは思いませんけれども、それによりますと、議会の国政調査は「公認された残虐行為」である、こう警告的に言っております。そして続けまして「そこでは議員達は……野蛮で熱狂的な人間狩りを続け、人食い以上のことをする」こう語っております。何度も申し上げますが、これはウォルター・リップマンというジャーナリストの記載でございます。アメリカ議会に関して申しておることでございます。  ところが、これが下手をいたしますと、国政調査権の最低限でございます。そして、同じようにウッドロー・ウィルソンが申しますには、国政調査に関しまして「国政のあらゆる部面に目を光らし、その見たことについて大いに語るのは代表機関」すなわち国会でございますけれども「のしかるべき義務である。議会は選挙民の目となり口となり、選挙民の英知と意志とを体すべきものである」こう語っておりますが、これは国政調査権が、特に今日の情報化社会において正しく行使された場合のことであろうと思います。私は、このいわば天使にもあらず野獣にもあらずという人間が、最も理想的な形と、最も実は怪しげな形とのはざまに、具体的な現実の国政調査は揺れ動いておる、そういうふうに思うわけでございます。そうした観点から、特に最近の一連の、人間狩りとも言わるべきマッカーシズムの旋風と言われました、われわれの記憶に新しいものがございますし、それから国民の目となり口となるということで、ロッキード事件やウオーターゲートの証言がわれわれによく知られているわけでございます。  ただし、この場合も、政治心理学的な分析をしておる人たちから言わせますと、証人喚問なすって御質問をなさる議員の方々が、余りに張り切ってぎゃあぎゃあおやりになりますと、実はこれはマスコミの法則から申しますと逆効果だそうでございます。むしろ冷静に、しかも十分な事前の調査に基づいてポイントをおつきになるということが、特にテレビのような視聴覚のメディアにおきましては絶対に必要なことだそうであります。つまり、質問をなさる御本人は相手の証人しか念頭にないという、小集団の中のダイナミックスしか御存じない。しかし、テレビを見ている多分数十万、数百万の人たちという、その関連においてどういう効果が出てくるかということは、しばしば欠落をするわけであります。そういうときに証人喚問、そして、それに対していろいろと聞いただしなさることの効果というようなものは、改めて政治心理学的に考えられなければいけない、こういうふうなことも私は考えるわけでございます。  ところで、私は必ずしも法律専門家でございませんけれども、議院証言法を拝見いたしまして、一つは、私も気がつきましたことは、すでに堀部先生が御指摘なすったことでございますが、憲法六十二条では「並びに記録の提出」とございますけれども、この法におきましては「書類の提出」になっております。この「記録」と「書類」との相違は一体どういうふうに理解すべきであろうかということが私の一つは疑問でございます。  そして、少なくとも憲法六十二条の「記録」ということに関連いたしましては、すでに昭和二十八年七月九日の衆議院内閣委の国会答弁の中でこれが問題にされておりまして、そのときの理解に基づきますと、たとえば「役所の文書として整理保存の対象とされ、たとえばその手段として文書簿に登録されているというようなものが、一般に今まで記録と観念され、立法例にも使われて来ている。」ということですから、きわめて狭いのでございます。ところが先ほどの堀部先生のお話にもございましたように、今日の情報化社会になりますと、多様な記録メディアというものがございます。そういう意味で、これまでの憲法六十二条における「記録」という概念にあてはまらないものがたくさん出てくるだろうと思います。  ところが、本法におきましては、これは「書類」でございます。そうして、この「書類」というものが「記録」よりもより大きな範囲のものなのか、あるいは「書類」というのは、先ほどお話のございましたテープその他は、文言の上で素直に読みますと、どうも入らないような気もいたしますけれども、しかし、単なるお役所の文書というよりももう少し広いような、どなたかの走り書きであっても重要な意味を持っているものがあるかもしれません、そういったものも一応カバーするような感じもいたしますので、私は法律の素人といたしまして、むしろ「記録」そして「書類」というこの文言の相違を指摘させていただいて、これがこれからの法改正のときの一つ問題点になりはせぬかということを申し上げたいと思ったわけであります。  次に、同じ第一条の後段でございますけれども「何人でも、これに応じなければならない。」という「何人」でございますけれども、実はロッキード事件のように多国籍企業の問題になってまいりますと、「何人」の中に外国人の問題が当然入ってまいります。そして、外国人を証人喚問するときの問題というものが、法的にこれまたもう少し整備されておかなければいけないのではなかろうか。これも便宜私が調べてみましたところによりますと、この「何人」の中に入る外国人は、これまでは日本に在留しておる外国人でございまして、しかもその出頭を求める場合には、外国人の所属国政府の事前の了解なしには、強制的に国政調査のための証言を徴することは妥当ではない、こういう国会答弁が、これは昭和三十二年四月五日の衆議院の外務委でなされておるわけでございます。詳しいことは別にいたしまして、少なくともこれからのこうした証人喚問の問題におきましては「何人でも」というときに、外国人をどう取り扱うかということをもう少し法的に整備されてよろしいのではなかろうかということも私の疑問の一つでございます。  ところで、国政調査権に基づきますところのこの法律に関連いたしまして、幾つかの問題点を私も申し上げさせていただきたいと思いますが、一つは、ロッキード事件に関連いたしまして並行調査の問題がございます。一方で現に刑事訴追を行っておる事件に対して、これについて証人喚問するということがよろしいかどうかというようなことが最近もまたいろいろと言われているようでございますけれども、これも昭和三十年の衆議院行政監察特別委の理事会の御発表といたしましては、現に刑事訴追を行っている事件については取り上げないということをやっていらっしゃるように思いますが、私は、そうする必要はないのじゃなかろうか、つまり並行調査はなされてよろしいのではなかろうか。もちろん、裁判官の自由な心証に基づいての裁判に影響を及ぼすような仕方でこちらの証人喚問がなされることは望ましくないと思います。しかし、そうしない範囲において並行調査を行うということは、技術的に多分可能であろうと思います。そういうことにおきまして、並行調査はとにかく初めからこれはだめなんだという考え方は果たしてどうであろうかということが、私の一つの疑問でございます。  それから、それに関連いたしましては、したがいまして、ある場合には公開、非公開秘密会議等を自由に使うということも、これまた十分に考慮できることではなかろうかと思います。  守秘義務、特に国家公務員の、国家の重大な利益に悪影響を及ぼすという問題についての守秘義務につきましては、国家の重大な利益、バイタル・ナショナル・インタレストの問題は、政治学及び国際政治学におきましては実によく論ぜられておる問題でございます。そして、せんじ詰めますと、アメリカのモーゲンソーなどの言うところを分析いたしてみますと、結局は、時の政府が、これが国家の重大な利益だと考えたところのものが実は国家の重大な利益になるという傾向がございます。ということは、つまり与党及び政府が、自分が教えたくないものは教えないということに乱用される危険性が絶えずございます。そういう意味で、私は法技術的な側面では林先生がおっしゃいましたような配慮が必要かと思いますけれども、私は、国家の重大な利益あるいは国家機密とか防衛秘密とか、こうしたものはなるべく狭く解釈するということが、実は、国民の知る権利堀部先生がおっしゃいましたことにも関連いたしまして、必要なのではないかと思うわけでございます。  堀部先生がお挙げになりました沖縄密約の西山記者事件、ベトナム機密文書のエルズバーグ事件と俗に言われておりますこうした事件などの経過を見るにつけましても、私は、国家機密というものはきわめて狭く解釈をしなければいかね、そうしないとますます国会そのものがつんぼさじきに置かれまして、執行権の優位をますます助長せしめる。そして、与党は知っておるけれども野党は知らないということで果たして国政調査権が全うできるかどうか、そういうような疑問を抱くわけでございます。  先ほど両先生もお話しになりました補佐人ないし弁護人の立ち会いという点につきましては、私もこれはもっともな制度であろうと思います。ただ、補佐人、弁護人にどこまで関与させるかということが一つの大きな問題点であろうと思います。私はその点で、補佐人や弁護人がおりますことは、それ自身証人にとりましては不必要な心理的な不安を取り除くことになるであろうとは思いますけれども、しかしちょうど大臣が、都合の悪いときにはすべて技術的なことは政府委員にかわって答弁をさせますように、それと同じような仕方で補佐人ないし弁護人が証人にかわるということは望ましくない。証人はやはりその人の知っておることについて正直に言わなければいかぬのでございまして、弁護人がそれにかわっていろいろなことを言えるようであるといたしますならば、これはその前にございますところの宣誓といったようなことと一体どういうふうにかかわってくるのかという問題が出てくるであろうと思うのであります。したがいまして、先ほど堀部先生のお話もございましたように、弁護人ないし補佐人は、助言をする程度、あるいは質問者の側でこれは当を得ていない、外れておるというようなことについては、つまり法技術的な手続事項についての発言は自分でできる、あと助言をする程度で、自分で何か証言の代行をするというようなことは望ましくないのではなかろうかというようなことを考えるわけであります。  それから臨床尋問、あるいは堀部先生によりますと特に院外での審問と申しますか、これも私はなされてよろしい制度ではなかろうかと思うわけでございます。ただ、これは林先生が御指摘くださいましたように、臨床尋問の場合には、これが後の偽証罪その他の問題と絡んでまいりますと、一体だれが審問をするのか。なるべく多い方がよろしい。一人ないし二人が行きまして、それで後でどうであったというようなことではやはり問題ではなかろうか。ただ、病気のところへどかどかとたくさん行くというのは、これはまた事実の問題といたしましていろいろ考慮しなければいかぬところがあるかと思いますけれども、基本的には臨床尋問ということは考えられてよろしいのではなかろうかと思います。  よくアメリカの例などを見ますと、罰則による喚問やそれをつけない喚問ということがあるようでございますけれども、私は、証人が天地神明に恥じないことを述べるということにつきまして、それに偽証やうそをつくようなことがあれば、当然罰則に当たるというのが普通の考え方であろうと思います。ただ、外国の証人の場合の免責をどうするかというようなことが、ロッキード事件に関連いたしましてございました。ただし、これは刑事事件の場合の証人だろうと思いますが、国会の場合にも、偽証に関連して、外国の証人を呼びます場合にそういった問題があるかもしれません。そういうときの手当てをどうしておくかということが罰則との関連で問題になるのではないかと思います。  それから召喚の手続の問題といたしまして、定足数、あるいは証人からのヒヤリングをいたしますときにどれだけの出席者数が必要であるかというような問題が論ぜられているように思いますけれども、そしてある党の案としましては過半数、別の党としては三分の二、また別の党といたしましては全会一致というような御案が出ているようでございますけれども、私は少なくとも全会一致というのは無理だろうと思います。と申しますのは、御承知のように、全会一致というのは、逆に申しますと一人の反対ですべてをつぶすことができるということでございますから、これは無理な話である。ですから、過半数か三分の二か、そのあたりのことが考慮に入れられてよろしいのではなかろうかというような気がいたします。  それから、証人喚問する場合の猶予期間の問題でございますが、私は猶予期間は必要じゃないと思っております。とにかくその証人が、われわれ参考人のように——何か私もどろなわで勉強させていただいたわけでございますけれども、こういうときにはなるべく猶予期間をちょうだいいたした方がよろしいかと思いますが、そうでない証人の場合には猶予期間は要らない。そのかわり補佐人が、猶予期間がなくても、正直なことを述べておればよけいな人権侵害というものから守ってくれるということがあるとすれば、猶予期間は必要ではないのではなかろうか、こう思ったりいたします。  最後に、特別調査委員会というようなものをお設けになるときには、与野党が同数の方がよろしいのではなかろうか。こういうふうにして、少しでもその調査委員会が単にそのときの政治情勢に左右されないで良識ある調査がなされるようにというためには、与野党の同数制が少なくとも特定の調査委員会については望ましいのではなかろうかというようなことを考えておるわけでございます。  私は、先ほど申し上げましたように政治学が専門でございまして、法的なことには暗うございますけれども、何かの御参考になれば幸いと思います。  これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  10. 上村千一郎

    上村委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 上村千一郎

    上村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎武三郎君。
  12. 山崎武三郎

    ○山崎(武)小委員 ただいま三人の先生方に貴重なお話を承りまして、大変参考になりました。ありがとうございました。  質問時間が、答えまで入れまして十分間と限定されておりますから、簡単に御質問を申し上げます。  現行議院証言法を、先生方が——先ほどの飯坂先生のお言葉ではございませんけれども、野獣と天使の間をさまよっておりますこの議院証言法の改正問題でございまして、これが国民の知る権利に合致するためにはどのような方法で、どういうぐあいに改正したならば最も理想に近づけるかということが本委員会の焦点でございまして、その意味から、先生方だったならばどこの点をどういうふうに改正したならばもっとよくなるということを、いままでお話をくださいましたけれども、これとこれとこれをこういうふうにしたらいいということがもし頭の中にお浮かびでございましたならば、大事な順序に御指摘くださればありがたいと思います。  特に私どもとしてお伺いしたいのは、証人喚問決定手続の問題については先ほど飯坂先生がお触れになりました。ほかのお二人の先生方についてもこの点についてのコメントでございます。  それから現に係属中の事件について裁判官の心証に影響を与えない方法で調査することは可能ではないかという御発言がただいま飯坂先生からございましたが、どのような方法でそれが可能であるかということになりますと、具体的な問題になりますと実にきわめて微妙であり、むずかしいのではないか。後追いの形だったならばと私どもの頭には浮かぶわけでございますが、それもまた再度、裁判所でやっていることを後追いでやっていきまして、それが違った形になってきたならばということもまた考えられます。先生の頭に浮かんでいらっしゃることはどういうことなのか、ちょっとお聞かせくださればありがたいと思います。  それから、私ども自民党の案といたしますと、つまり野獣と天使の間にならぬための方法論としまして、ラジオ、テレビというのが公開放送されますと、どうしてもそういうふうにエキサイトしがちなものでございますから、人権保障という観点からも、この点については、証人がよろしいと言った場合だけ、ラジオ、テレビの同時公開というのはした方がいいのじゃないかというような案を持っております。もしよろしかったならばこの辺の点についてもコメントを賜ったならばありがたいと思います。  お一人二分か三分ずつ、頭に浮かんだ程度で結構でございますから、別にそう拘束いたしませんから、いま私が申し上げたことを頭に入れまして御回答いただけたらありがたいと思います。
  13. 林修三

    林参考人 それじゃ、私、先に申し上げます。  順序と言われるとちょっとむずかしいのでございますけれども、やはり一つのポイントは、先ほど申しました補佐人あるいは弁護人と申しますか、これがつけられるように——現行法でつけられるか、つけられないかの問題はございますが、もしつけられないとすれば、やはりこれが一つの問題じゃなかろうかという気がいたします。  それから、いまお話しございました公開問題でございますが、これはさっき私は申しませんでしたけれども、これは委員会は原則として非公開、あるいは委員長の許可があった場合だけ公開というようなことだろうと思います。その運用で解決したらいいと思いまして私は申し上げませんでした。しかし、現在の状況を見ますと、やはりこれは一般に非常に影響を与えている。これは先ほど堀部先生の言われたような国民の知る権利ということから言えば、なるべくそういうラジオ、テレビで流した方がいいのでございますけれども、しかし他面から申しますと、やはりそのためにせっかくの国政調査のあり方が、若干テレビ、ラジオの、そう申してはなんでございますが、効果ばかりをねらったようなふうにいって、本来の目的と若干違うような、先ほど飯坂先生の言われた天使と野獣の間の揺れ動きの問題と関連するような気がいたします。したがいまして、これはことに刑事事件に関するようなものについての場合には裁判に影響を与えない、現に係属しておる裁判がある場合には、影響を与えない場合にもやはり非公開というようなことが考えられるべきじゃないかという気がいたします。これは私は法律問題ではないような気がするわけでございます。  あとは、私の申しましたのは大体実際上の手続でできることでございますが、証人喚問の問題でございます。これは手続については、一般原則で言えば、原則は恐らく委員会の定足数も表決も過半数の一般の原則であろうと思います。ただ、証人喚問ということが非常に重大なことだと考えると、これを特別決議的に加重するがいいかという問題が出てきますが、全会一致というのは、これは相当問題があるじゃないかという気がいたします。ただ、証人喚問は、本来言えば、本当は刑事事件刑事事件の類似の問題ばかりであるはずはないわけでございまして、国政上の参考としてはそういうことでなくて、実際単なる行政上の問題あるいはいろいろな問題もあるわけでございまして、そういうことを全体を通じて申しますと、余り条件を加重するのは問題かというような気がいたします。これはやはり委員会における良識をもっての判断証人喚問をしていただく。  それから、余り刑事事件と並行したような、あるいは後追い的な調査、これは国会裁判所でも検察官でもないわけでございますから同じことができるはずもないわけで、そこはおのずから国会の機能に応じた調査がされればいいのではないか、そういう気がいたします。  あと、私が先ほどいろいろな技術的な点を申しました。これは大体、どれが先ということはございませんが、今度改正の機会には考えていただければ幸いだと思います。
  14. 堀部政男

    堀部参考人 ただいまの山崎先生の質問に関しまして、まず第一の大事な順序ということでございますが、私は、知る権利というような観点から申しますと、一つは、やはり真実の証言をできるだけ多く得るために、院外証言制度を設けてもよろしいのではないかということです。もちろん、これに伴います臨床尋問等の問題、それから、各委員会委員の先生の場合に、受命裁判官のような形がどのようにしてとれるのかというような問題等技術的には残ってくると思われます。  それから第二は、やはり人権保障という観点からいきまして、補佐人制度を早急に設けていただけるとよろしいのではないかと思います。これもまた、技術的な問題になりますと、飯坂先生が申しましたように、いろいろな問題点があると思われます。しかし、やはり証人の人権というのも大変重要な問題でありますので、これはどうしても必要なものではないかというふうに思います。  それから、質問の第二の、証人尋問を始めるに当たっての定足数、それからその表決の問題でございますが、通常の表決は過半数というのが原則でありますし、憲法改正のような重要な問題になりますと三分の二の多数を要するというのが従来の民主主義のルールではないかと思われます。証人喚問意味するところがどのようなものであるかということによって、その数というのはもちろん変わってくると思われますけれども、通常の場合であれば、やはり過半数という従来の原則でよろしいのではないかと思われます。  それから第三に、現に係属中の事件との並行審議の問題でございますが、これはいま林先生が言われましたように、刑事事件とかかわる問題ばかりでないこともあるわけですし、いろいろこれもそのときによって違ってくると思われますが、原則的に考えてみますと、裁判所の機能と議院の機能というのはおのずから異なっているのではないかと思われます。裁判所の機能は、そこで真実を発見して、その場で被告人が一定の法規に違反しているということがわかれば、それによって国家の刑罰権が発動されるということになると思われます。それに対しまして、議院における調査といいますのは、そういった国家の刑罰権の発動を求めるものではないという点において大きな違いがあるのではないかと思います。別の表現を用いれば、恐らく、特に政治家の場合などになってきますと、その政治的責任、社会的責任、道義的責任というようなことが問題になるわけでして、私は、原則的には並行調査も認められてよろしいのではないかと思います。  それから第四の、ラジオ、テレビの公開の問題ですが、これは私が申し上げました知る権利立場からいたしますと、やはりできるだけ公開していただいた方がいいというふうに思います。公開の傾向は、いろいろな国でも出てきておりまして、実は、イギリス議会は伝統的にラジオの放送も認めてなかったわけでございますけれども、たしか一昨日の月曜日から議院でのラジオ放送を認めるようになっております。  ただ、これは国政調査に関連したことではないと思われますし、一般的な討論についてのラジオ放送でありますので、証人喚問あるいは証言を求めるというような場合は、やや異なった問題も生ずるかとも思われます。特に、証人に対する心理的な影響というものは大きいわけですから、ここはやはり、その証人から証言を得ることによって得られる利益がどういうものであるかということを各委員会判断されて、それと、一方における国民の知る権利という利益との考量をされて、やはりその都度判断されるということが最も実際的な解決方法ではないかと思います。  しかし、これは裁判所の中の写真撮影とも関連して非常に大きな問題になっているところでして、恐らく新聞協会加盟社などは常にこのラジオやテレビの公開ということを要求すると思われますし、この辺は法的な問題というよりは、その辺のマスメディアと国会とのいろいろな議論の中で実際には解決されていくという問題にもなるのではないかと思っております。
  15. 飯坂良明

    飯坂参考人 両先生のおっしゃいましたことをただ裏書きするということになるかと思いますが、やはり弁護人の立ち会いということを、私は非常に大切な点ではなかろうかと思います。  第二に、臨床尋問を含めました院外の証言というものがその次に大切ではなかろうかと思います。  それから、公開、非公開の問題につきましては、堀部先生のおっしゃいますように、国民の知る権利というものと、それから、その証言国会として得ることによってどういう利益があるかということとの考量の問題になるだろうと思いますが、ただいまイギリスの一番新しいところを私、伺いましたが、昔、政治学者のリンゼーという学者が、もしもマスメディアに国会のいろいろなこうした審議及び証言その他が乗っかれば、全国民の前で国会が審議をすると等しくなるであろうという楽観論を言ったのでございますけれども、ところが、そう簡単にいかない問題が、メディアの性格上、テレビとかラジオというものの媒体の性格上ございます。いま詳言することはできませんが。そういうことで、ましてや並行調査の点につきまして、私が申し上げましたように、そして堀部先生もある程度そうした御方向かと思いますけれども、これは刑事的なものと、それから国会での証言を得ることとはおのずからその機能、目的が違います。特に、たとえば具体的に申し上げまして、議員の方が刑事訴追を受けておるというような場合に、その方に国会証人喚問するかどうかというような問題がありますときには、私は、議員といたしましては刑事責任と政治責任とは別だと思っております。つまり、どういうところが違うかと申しますと、刑事責任と申しますのは、あなたがこれこれこういうことをして法に触れることをしたということの挙証責任は検察側にあります。しかし、政治責任というのは、国民から委託を受け、信任を受けて政治家におなりになった方々は、むしろ御自分の方からしかるべく申し開きをなさらなければいけない。つまり、道義的には、挙証責任はみずからの側にあります。それが刑事責任と、政治家の政治責任ないし政治家の道義的な責任との区別であろうと思います。そういう意味におきまして、この二つは原理的に違いますので、並行ということがあり得るであろうとは思います。  しかし、先ほど申し上げましたように、この二つの間に干渉関係があっては、裁判に悪影響を及ぼすというようなことがあってはいけませんから、この点は、たとえば公開、非公開原則というようなものを技術的にお使いいただくなりというような配慮は必要でなかろうかと思います。  最後に一言。先ほどもちょっと触れましたが、外国のこうした証人喚問の場合には、喚問なさる前における国会ないし委員会としての調査機構の充実は目覚ましいものがございます。その点においてわが国国会は明らかに劣っております。したがいまして、この点の充実がなければ実は国政調査権の実質化というものは非常におぼつかない。これは実は単に法律的な法改正の問題より以上のものだと思いますけれども、この点を政治学の観点から強調させていただきたい、こう思います。
  16. 上村千一郎

    上村委員長 次に、横山利秋君。
  17. 横山利秋

    ○横山小委員 私も時間がございませんので、一応お名指しはいたしますけれども、お名指しをしなかった先生にも御意見があれば付言していただいて結構でございます。  いま飯坂先生からお話がございました政治家の刑事責任と政治責任の問題でございます。確かに私どもは選挙に当たって自分の全人格を裸になって票に訴えている。単に政策の問題でなくて、個人横山利秋の人生体験をも訴えておる。その意味では、公職にある者は一般国民と違ってプライバシーなり人権についてある意味ではみずから放棄しているのではないか、そう私は信じておる者の一人であります。しかしいま先生がおっしゃったように、挙証責任、みずから行動に出るべきだという倫理的なものだけではまだいけないのではないか。したがって法律的に、たとえば税務申告はすべて政治家は公表さるべきであるとするか、何らかの法律上のチェックをする必要があるのではないかと思いますが、いかがでございますか。これが一つであります。  それから堀部先生と林先生にお伺いをするのですが、免責条項の問題であります。ずいぶん私もアメリカへ行きまして、アメリカの習慣つまり法廷における取引の認められているものと、日本においての情状酌量論といいますか、その国情の違いがいやというほどわかっておるわけであります。しかし現にいま最高検と最高裁がコーチャン、クラッターで免責を発動しておるという事実は争えない問題だと思います。したがって、証言法を改正するに際しましても避けて通れないのがこの免責条項であります。私は、少なくとも免責条項を設定すべきであるが、それは必要最小限、厳重な制限列挙方式のもとに免責条項を策定すべきであると思いますが、お二人の御意見を伺いたいと思います。  それから林先生に伺いますが、いま飯坂先生からお話がございましたように、確かに痛いほど私どもは指摘を受けたような気がいたします。官僚をチェックするのがせいぜいではないか、また、スタッフはあきれ返るほど不十分であるという指摘は私ども本当にそのとおりだと思います。アメリカを見れば見るほどそういうことが考えられます。どうしたらいいであろうか、林先生の御体験の中で具体案があればお聞かせを願いたい。  また細かい問題では、林先生に、国外での証人調査を一体どうお考えか。あるいは証人の安全でございます。証人が悪いやつばかりでなくて、いい証人といいますか、それに危害を及ぼす問題について、どういうふうにチェックをしたらよろしいか。以上でございます。
  18. 林修三

    林参考人 ただいま幾つかのことで御質問でございました。  その免責でございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、アメリカは横山先生もよく御承知のああいう取引社会でございまして、比較的軽い罪を免じて重い証言を得るということが、必ずしも刑事事件のみならず、国会における証言等においても認められているところでございます。ただ日本においてはどうも伝統的に、たとえばそれは一種の利益誘導であるというような考え方が非常に根強くあるわけでございまして、こういう点で、得られた証言というのはどうも信用できないというようなことが一般国民的感情にもあるのじゃないか、そういう気がいたします。国会における証言だけにそれを認めていいのか、これは私は若干疑問じゃないかなという気がいたします。そこで、さっきお話があった外国人だけについて、たとえばアメリカのようにああいう免責をした上の証言を求めるというような制度をあるところだけについてそれを適用するのかという問題がございますが、これも本当を言うと、私は、ロッキード事件の場合でもいろいろ問題になっておりますが、それだけをどうも木に竹を接いだように入れることはやはり問題があるのじゃないか。私は余り積極的な意見は持っておりません。全体が、まあ日本の気風がアメリカ式になればこれはまた別問題でございますけれども、ちょっといまの日本の風土では一般の感情がどうも利益誘導的なことである、しかも日本のような、それがいいか悪いかは別でございますが、極端なことを言えば、多少の利益に目がくらんで仲間を売ったということに対する非常な反発心があるわけでございまして、そういう制度がうまく日本で定着するかどうか、これは私は若干疑問を持っているわけでございます。  それから調査機構の充実は、これは私も、さっき申しませんでしたけれども、当然必要なことだろうと思います。これは国会全体でいろいろお考えを願うということで、国会には御承知のようにいろいろな専門員、調査員の制度もございますし、あるいは国会図書館にもいろいろな制度がございます。こういうものを充実していくこと等の問題があるだろうと思います。しかしそれには予算も要りますし、いろいろな問題がございまして、こういうところはどういうふうに考えるか、結局やはり各党がよくお話し合いになって決める以外に方法がないことだろうと思います。  それから同時に、各党における調査機構の充実ということも、これはその前提としては必要だろうと思いますが、いままでも私たちも見ておりまして、確かに国会におけるいろいろな質問がたとえば雑誌、週刊誌とか新聞等の記事をもとにして質問される。あれではなかなか真相追及ということに遠いのじゃないかという気がいたします。やはり質問される側で相当準備をされて、ある程度の資料を握った上で証人に対して質問すればこれは迫力があるわけでございまして、それについては調査機構ということがございます。ただ日本においては、この調査機構を仮に設けましても、その調査する職員に強制権限を与えるということは非常に問題がございまして、アメリカあたりではある程度持っているということもあるようでございますが、日本の場合にはどうもいわゆる立入検査とかなんとかいうようなことがそう簡単にできるのかどうか、そういう権限を与えられるかどうか、これは非常に問題があるところでございまして、そこらはやはり、アメリカの完全な三権分立のたてまえの国と日本のような議院内閣制の国とでは、同じ国会における国政調査権の運用につきましても若干違うところが出てくるのじゃないか。そういう枠内でなるべく調査機構を充実させるということしかないのじゃなかろうかという気がいたします。まあ余り煮え切らないような御答弁になりましたが……。  それから証人の人権問題でございますが、私、先ほど申しませんでしたが、これは非常に必要なことであろうと思います。たとえば証人が後でのいわゆる俗に申しますお礼参りを恐れて真実の証言ができない、あるいは仮にした場合に後で危害を加えられる、こういうことの保護については、御承知のようにいま裁判所証人なんかについての制度がございます。あるいは検察官に協力した場合の制度もございます。ああいうものを場合によってはこの国会における証人にも適用するようなことがあってしかるべきかというような気がするわけでございます。  国外の問題については、これは日本の国法の範囲外でございますから、どうも議員の方が行って、いわゆる議院証言法に基づく証言をそこで得るということは、外国の管轄権のある区域においては私は恐らくむずかしいのだろうと思います。必要があれば外国に委託するかというような問題になりますけれども、これは委託したものについては、なかなか国会間の委託というのは、裁判の司法共助と違いまして、そう簡単にはまいりません。したがって、これは実際上そこに行って会って聞いてくるというようなこと以上には、どうもなかなか証言法の適用としてやることはむずかしいのではないか、そういう気がいたします。やはり、必要な証人があれば日本に呼んできて証言をさせるということだろうと思います。この場合に、先ほど堀部先生でしたか、お話がございましたように、やはり外国人については、それに対するいわゆる外交的保護権を持っている国がございますから、これの事前了解がないと、本人が任意で出てくる場合は別といたしまして、強制的な喚問についてはやはり問題があるだろう、そういう気がいたします。  一応不十分でございますが、御答弁いたします。
  19. 堀部政男

    堀部参考人 横山先生の御質問は、私に名指しのは免責条項の問題でございます。  これも、先ほどから申し上げておりますように、国民の知る権利という観点からいたしますと、何らかの免責を与えて真実の発見に努めるということは、理論的には成り立つのではないかと思われます。しかし、この免責条項の考え方は、いま林先生も触れられましたようにアメリカの社会で発展したものでありまして、この運用の実態を私、ほんのちょっとしか知りませんですけれども、見てみますと、確かに真実の発見という点で効果を上げている側面と、それからそれに伴う乱用も非常に大きい、あるいは弊害が大きいということもあるわけでございまして、この辺は法律関係の雑誌等でもずいぶん論じられているところでございます。たしか一九五五年だったでしょうか、あのイミュニティーアクトができましたのは。でありますが、その以降かなり議論のあるところでございます。したがいまして、私まだこの点についてはほとんど検討したことはございませんが、やはりその実態を検討して、参考になる点があれば取り入れるということもあるいは考えられるかと思いますし、特に、取り入れるといたしましても、厳格な要件を課する必要が大きいのではないかと思われます。  もう一つ、ついでに申し上げますと、海外での証人調査の問題に触れられたわけですが、これも理論的な問題からいたしますと、他国の主権との関係がございますので、非常にむずかしい問題をはらんでいるのではないかと思います。ただ、相手国がそれに同意した場合にどうなるのかとかいろいろな問題も出てくると思われますし、ともかく二国間あるいは多数国間の問題になってきますので、一国のみでは決めることはできないのではないかと思います。  以上でございます。
  20. 飯坂良明

    飯坂参考人 二、三の点について申し上げます。  横山先生おっしゃいました、政治家は全人格をさらけ出してそして選挙民と対峙していらっしゃるということがそのとおりであれば、大変結構でございます。と申しますのは、政治家におきまして必要とされるものは、どこの国でも、一つは人格的な高潔さと、もう一つは政策的能力であります。この二つが兼ね備えられなければいけないわけでございまして、その人格的な高潔さを疑われるようなことが発覚したときに、どんなに政策的に優秀な、たとえば西独のブラントでありましても、プロヒューモでございましても、あるいは最近の一連のアメリカ議会における議員の女性問題でございましょうとも、すべて失墜をいたします。ところが政策的な有能さだけで、もう一方の方で問題が起きても失墜をしないでのうのうとできるのは、私は日本の国会だと思います。ですからこういうところでは、私は日本の政治家の資質というものがもう少し考えられなければいかぬのではなかろうかというふうに思うわけでございます。そして、そういう面から申しますと、プライバシーの定義や何かいろいろむずかしい問題がございますことはすでに堀部先生のお話もございましたのですけれども、ある程度公人としてはプライバシー一般の人間同様にはいかないことはやむを得ないと思います。したがいまして、たとえばアメリカの例におきますように、政治家はみずから進んで財産の公表をするというようなことを、あるいはそれが事によると法的に裏づけられるというようなことにまで至りますならば私は大変結構だと思っておりますけれども、これだけを申し上げましてもいけませんので、これは政治家をめぐる精神的な雰囲気全体の転換の中で考えられなければいかぬことでございますから、そういう意味におきまして、政治家というものが御指摘にございましたようにプライバシーにおいてやや制限されるのはやむを得ないという点は私は同感でございます。  私は調査機構が、林先生お話がございましたけれども、もう少し完備されなければいけない。現在の法的な一応の手続や何か定められておりましても、果たしてそれがフルに利用されておるかどうか。それから、アメリカの議会のようにそれ専門の調査マンと申しますか、これが実に優秀なのがたくさんついておるというような、ウォーターゲートのときのある小委員会は九十人とか百人とかいうたくさんの人を動員しているというようなことを何かで読んだことがございますが、そうした機構が果たしてできないものだろうか。私は日本の行政府がきわめて有能であるということの一つは、審議会あるいはアドバイザリーコミッティーといいますか諮問委員会等々、民間の知恵を相当に利用し導入しておるということがございます。ところが政党につきましては、それぞれ政党色のはっきりした文化人や知識人の知恵を導入するだけでございまして、この方は文化人、知識人の方も、ほかから見られますと色目で見られます。でございますから、私はちょうど行政府と同じように、たとえば文都省の教育審議会、これも集める人はどういう観点で集まったか、いろいろ御議論ございましょうけれども、国会のこうした委員会におきましても、必要な調査のためにはそういうごく政党色がはっきりしたりするということのない、大所高所から民間の知恵や知識を十分に利用するような、そうした機構というものができないものであろうかというようなことを考えるわけでございます。具体的な点はわかりませんけれども、構想としては日ごろそうしたことを思っております。
  21. 上村千一郎

    上村委員長 次に、稲葉誠一君。
  22. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)小委員 お話をお聞かせ願いまして大変得るところがございまして、喜んで感謝をする次第でございます。  林先生堀部先生にお聞きをいたしたいのは、弁護士補佐人をつけるという話でございますが、一体弁護士補佐人とがそういう簡単に並列に並ぶべきものではないと思うので、補佐人というものの範囲ですね、これをどういうふうにしていくかということが一つと、それからもう一つは、たとえば私は、証言法で弁護士補佐人証人につけるということが、ほかの刑事裁判や民事裁判においても証人が希望するならば弁護人なり補佐人をつけることができるというふうに改正をしないというと首尾一貫しないのではないか、こういうふうにちょっと考えるわけです。さっきお話がありましたのは、たとえば刑事事件においては一方に検察官がおり、一方に弁護人がおる。民事事件では原告の代理人、被告の代理人がおる。こういうわけではございますが、申請は片方からされるわけですけれども、必ずしも片方の利益を代表する形において証人が出てくるわけではなくて、その証人自身が将来被疑者なり被告人になる可能性もあるというような場合も考えられると思うわけです。その他ございますが、そういうところを考えまするというと、証言法の改正が刑事訴訟法なり民事訴訟法の改正ということにまでいかないと、何か一貫しないのではないかということをちょっと考えるものですから、私も煮詰まっているわけではございませんが、その点についてお二方からお聞かせを願いたいというふうに思います。  それから、堀部先生が包括的立法ということをおっしゃったわけでございますが、時間の関係で内容の御説明がなかったわけです。包括的立法というのは、議院証言法を含めて具体的にどういうものをつくろうとされるのかというふうな点、何と何がどういうふうに含まれるのかという点についてお聞かせを願いたいというふうに思うわけでございます。  それから、飯坂先生にお聞かせをお願いいたしたいのは、並行調査お話で、議員が刑事事件被告人であった場合においても、国会委員会法律的な責任ではない別個の責任を問うことができるというふうなお話がございました。刑事事件被告人、議員でない全然別の被告人をそのまま引っ張ってきて政治的、道義的責任や何かを問うことはちょっと無理だ、こういうふうに私は思うわけですが、議員である被告人の政治的、道義的責任を国会で並行調査で問うことができるならば、現在、被告人となっていない人、被疑者ともなっていない人、将来もそういう可能性がない人であって、たとえば一方において金をやったと言い、片方においてその議員はもらわないと言い、そのことが政治的、道義的責任の一つのポイントになっておる、こういう場合には、当然進んで証人として出てきて事実関係を明らかにし、政治的、道義的責任がないならないということをみずから主張すべきである、こういうふうに思いますし、また、そうでなければ当然国会証人喚問というものに応ずるべきである、こういうふうに考えるのでございますが、こういう点についてどういうふうにお考えなのでございましょうか。その点についてお聞かせをお願いいたしたい、かように存ずる次第でございます。
  23. 林修三

    林参考人 私に対する御質問は、補佐人をつけることに対する問題点でございました。  これは稲葉先生法律専門家でいらっしゃいますから、私が申すのは釈迦に説法をするようなことになりますけれども、補佐人弁護士に限らないことは、仮にこの制度を設けた場合は当然だろうと思いますけれども、ただ問題となるのは、現在の議院証言法における証人喚問の運用が、刑事事件に類似するような事件あるいは刑事事件になっているような事件、そういうものが主として取り上げられておるような状態から申しますと、そういう場合の証人として呼ばれた者の人権問題、法益から考えますと、やはり法律専門家がつく、またそのためにこそ補佐人が必要じゃないか、かように思うわけでございます。原則として法律専門家がついてくるというべきものじゃないかという気がします。それ以外の者をそうつける必要は余りないのじゃなかろうかという気がするわけでございます。  それから、証人にそういう弁護士をつけることは訴訟法との関係で一体どう考えるかというお話でございました。これは稲葉先生、そういうことの御専門家でございますから私が申し上げるのもどうかと思いますが、先ほど御指摘のように、私も申しましたけれども、刑事事件においても民事事件においても、法廷においては確かに証人は、申請はどちらからするにしても、それは真実を述べるたてまえでおります。おりますが、しかし仮に相手方から誘導尋問があったりあるいは伝聞証拠に基づく質問があったり、あるいはその証人に対する本来証人を呼んだ筋を離れた質問があった場合、これは裁判長が当然注意すべきことかもわかりませんが、それは当該証人を申請した方、検察官なり弁護人の方から、あるいは原告被告両側の代理人から恐らくそういうことに対するオブジェクションが出るだろうと思うのでございます。ところが国会におきましては、仮に補佐人がつきませんと、実はそう申しましてはなにでございますが、実際の運用で申しますと、委員会委員長以下各委員全部が検察官のような立場になっております。証人被告人でも被疑者でもございませんけれども、何か一人で被告人席に着いたようなかっこうになっております。そういう意味においては、この質問等に対して少なくともオブジェクションを言うような、またそれを助言するような者がついていることが必要じゃないかと私は思って先ほど申し上げたわけでございまして、これがあるからすぐ訴訟法の上で証人にもそういう弁護士的な補佐人をつけなくちゃならぬということにはすぐはつながらないのじゃないか。いまのような問題は、国会における議院証言法の運用問題と関連して考えていただければいいのじゃないか、かように私は考えておるわけでございます。
  24. 堀部政男

    堀部参考人 稲葉先生の私に対する御質問は二点にわたっております。  そのうちの第一点につきましては、私は最初弁護人という言葉を使わせていただいたわけですが、それを使いましたのはアメリカの例が念頭にあったからでありまして、法律専門家としての弁護士証人補佐といいましょうか、あるいは弁護と言うとちょっと言葉が問題になってきますけれども、ともかく補助をしていただくということが考えられるのではないかと思ったわけです。アメリカでも、これはたしか一九五〇年代になってから議院規則で設けるようになったのではないかと記憶しておりますが、またそれはアメリカなりの事情もあるのではないかと思います。したがいまして、すぐそれを日本に持ってくることができるかどうかという点は恐らく実際的な問題としては議論になってくるかとも思われます。といいますのは、アメリカの場合、弁護士の資格を持っている方の数が非常に多くて、恐らく現在でも四十万人近くおられるのじゃないかと思いますが、日本はそれに対して日弁連に属している方が一万人ぐらいでしょうか、というところで弁護士さんの活動する範囲も大分違っているというような点があるわけでございます。そうなりますと、アメリカのようなローヤーがつくということが日本では必ずしもそうはいかない場合も出てくるのではないかと思われますので、その場合には一般的に補佐人というような表現を用いて、その方が何らかの形で補佐するようにして、証人の人権保障を考えるということができるのではないかと思います。  訴訟法との関係をやや違った観点から申しますと、日本の場合には弁護人強制主義はとっていないわけでございますから、国会においても希望があればというか、あるいは弁護人を依頼することができる、あるいは補佐人を依頼することができるというような表現でいきましても、訴訟法とのふつり合いというのはそれほど生じないのではないかと思われます。  それから第二の包括的立法についてでございますが、憲法の条文のかなり多くというとちょっと語弊がありますけれども、幾つかのところではその条文をもとにした包括的な立法がありますことは改めて言うまでもないところでございます。地方自治に関するところでは地方自治法というふうになっていくわけでございまして、六十二条につきましてもそのようなものが考えられないだろうかというふうに思っております。この六十二条に関連いたします条文はかなりの数があるわけでございまして、これをどのように並べてどうするかという具体案まで私は持ち合わせておるわけではございませんが、何らかの形で国政調査の目的とか範囲とかいろいろなことを法律でさらに細かく決めておく、そういう包括的な立法が必要ではないだろうかというふうに考えた次第でございます。特に、やはり証言を強制するためにはこの議院証言法が非常に重要な核になるのではなかろうかというふうに思われます。
  25. 飯坂良明

    飯坂参考人 ただいまの稲葉先生の御質問の御趣旨は、並行調査の問題もさることながら、一方で刑事訴追を受けていないような場合でも議員を証人として喚問するということがもう少し自由にできるようなことを考えられないかというような御趣旨かと思いますけれども、その点は私もそのとおりに思うわけでございます。  ただ、具体的に申しますと、このごろよく灰色高官と言われております方で、実は刑事訴追は受けていないけれども、しかもいろいろなうわさに上っておる、そういう方を証人に呼ぶというときには、むしろこれは政治的な配慮と喚問手続の問題に関連するのだろうと思いますが、そういうように証人にさせないというような政党側の配慮がしばしばなされるやに伺っておりますけれども、そのあたりは私よくわかりませんので、つまりそういうふうに灰色高官の場合でも証人にお立ちいただくような喚問手続の方を法的にどう整備するかということに問題が一つはありはしないかというふうに考えるわけでございます。  それくらいでございます。
  26. 上村千一郎

    上村委員長 次に、飯田忠雄君。
  27. 飯田忠雄

    ○飯田小委員 飯田でございます。先生方お話の中で、疑問点五点ほど御質問を申し上げたいと思います。  まず最初の問題は、林先生もおっしゃいましたように、憲法は、証人証言の問題は両議院権限を与えておる、それはそのとおりでございますが、しかし憲法の五十八条によりますと、会議その他の手続、その他の内部規定については規則でこれを決めることができる。こうして規則によって両議院権限委員会に委任することができるような規定がございます。  そこで、そうした内容のものは、これは両議院の内部の問題でございますが、これが外部の問題に関連する場合、その内容も法律で決めるということは差し支えないのではないか、このように私考えます。つまり、委員会国政調査権を委任するということを法律で決めるということは差し支えないのではないか、このように思うのですが、林先生の御意見を承りたいと思います。  それから次に、並行調査の件につきましてお話がございました。刑事訴追事件につきまして並行調査ができるではないかというお話でございます。私もそれはできると思いますが、ここで強制証言制度の問題、いわゆる免責条項の問題が当然関連をしてくるわけでございます。憲法の三十八条第一項によりますと不利益供述はしなくてもいい、それから強制による自白は証拠とならぬ、こういうようなことが書いてありまして、刑事訴追事件の問題はすべて不利益供述になるのでございます。すべてというのは語弊がありますが、多くの場合不利益供述になるのではないか。そういたしますと、並行調査をやるということは、強制証言制度を設けなければ実効がないのではないか。つまり免責の問題を決めなければ実効がないのではないかと考えられるわけです。これは憲法の三十八条との関連でございます。この点につきまして先生方の御意見をお聞かせ願いたいと思います。  それからさらに証人喚問決議でございますが、憲法の五十六条二項によりますと、憲法に特別の定めがある場合を除いては出席議員の過半数で決めるんだ、こう決めてあります。でありますから、証人喚問決議はもちろん過半数で決めなければなりませんが、ここで問題になりますのは、証人喚問される——ここで私申しております証人というのは、証人参考人全部含むわけですが、証人喚問されるということは人の状態を拘束することであります。したがいまして、それは人権の問題に関連をしてまいります。そういう点から人権保障という点で慎重を要するのではないか。  それからもう一つの点は、この証人喚問という問題が政争の具に供せられるおそれがある。一人の人を呼ぶと報復的にほかの人を呼ぶ、こういうようなことになってまいりますと、政治の破壊につながります。したがいまして、当然ここでも慎重を要するのではないか、こういうことが考えられます。そこで、議決はもちろん過半数でありますけれども、それに何らかの歯どめを設ける必要があるのではないかというわけで、これまで国会では事実上委員会の全会一致ということが行われておりました。しかし私は、全会一致はむずかしいという御意見があれば、むしろ、今日法的には理事というものが決められております。したがいまして、少なくとも理事の総員の合意ぐらいは必要ではないか、そしてそれを委員会にかけて過半数で決める、このように考えますが、この点につきましての先生方の御意見をお伺いいたしたいと思います。  それから次に五番目の問題ですが、これは簡単な問題でお聞きするのはどうかと思いますが、証人喚問する場合に猶予期間は不必要だ、こういうふうにおっしゃった先生がございます。飯坂先生の御発言でございましたが、憲法の六十二条によりますと、証人とのみありまして、この国政調査における証人といいますのは当然、宣誓をして証言をする証人だけではなくて、そのほかいろいろの事実問題なり法律問題、いろいろの問題を証言してくださるお方、つまり参考人も含めて証人というておるように私は思いますが、そうなりますと、猶予期間はやはり必要ではないか。この点についての先生方の御見解をお聞かせ願いたいと思います。  以上でございます。
  28. 林修三

    林参考人 最初の問題でございますが、憲法六十二条の解釈議院規則の問題でございますが、これはいろいろな説のあるところであるということはもう先ほど初めにも申し上げました。憲法六十二条はハウス権限を与えたもので、したがって、それを、少なくとも証人喚問決定委員会に委任することはできないのじゃないかという説と、しかし、これは一般の法理と申しますか、いま御引用になりました議院規則、五十八条で議院内部の手続規則で決められるというようなことから、当然議院規則委員会権限を譲ることができるんだと、両方の見解があることは最初に申し上げました。どちらかと申しますと、憲法六十二条はやはり特別の規定でございますし、特に「両議院は」云々と書いてあるところから申しますと、やはりこれはハウス権限を与えたものではないか、私はこう解釈するのが素直な解釈ではなかろうかという気がいたします。実際の喚問委員会、必ずしも本会議で全部やる必要はなくて、委員会で行われてもいいと思うのでございますが、証人喚問決定はやはり議院がやるというたてまえでいくべきだろう。いまお話しのように、議院規則でなくて外部関係することで、法律なら委任できるのじゃないかというお話でございますが、その点はやはり憲法解釈とつながることでございまして、議院規則ではできないけれども、法律ならできるという問題ではないのじゃないかという気がいたします。  したがって、現行法の解釈問題は、先ほど申しましたように、議院証言法の一条で議院から云々と書いてある、あれは議院証言法を立案された福原さんのものを見ましても、やはり憲法解釈としては議院に、ハウス権限ありと……。それで衆議院規則なり参議院規則で、委員会で要求できると書いてあることとのつながりは、いわゆる「議長を経て」あるいは「議長を経由して」という言葉でつながっているというふうに読むのだという解説がございますね。それから、後で事務総長になられた鈴木さんの解説では、それは違う、当然に委員会に委任できるのだという説が出ておるわけでございます。両説があることは御承知のとおりでございます。私はどちらかと言えば、やはり憲法解釈としては議院ハウス権限あり、したがって、これはやはり法律によっても委任できないのじゃないかという気がするわけでございます。  それから二番目の、憲法三十八条との関係でございますが、並行審査に限ったことではございませんけれども、いわゆる免責を与えて証言を強制する。つまりアメリカの制度は、そういうもので免責したかわりに証言拒否ができなくなるわけでございます。自分に不利益なことでも、あるいは自分が罪をかぶるようなことでも証言をしなければならぬことになるわけでございますが、これはアメリカの憲法から申しましてもセルフインクリミネーションはやはり拒否できることになっておりますが、この場合は、刑事事件としては訴追されない。その範囲のことならばいわゆる刑事免責を与えて、後で刑事訴追は受けないよということで自白を強制する。本来なら自分が刑事責任をかぶるべかりしことを強制するということは、憲法三十八条から言えば、そこで自白を強制されないということは、これは恐らく刑事事件——自分が刑事責任を負わされることであろうと思いますので、それは必ずしも憲法三十八条にすぐ抵触はしないのじゃないかと思われます。ただしかし、そこで自白したことを何か別の問題の、いわゆる刑事免責をしたことではないほかの問題に持っていって、おまえはああいうことを言ったじゃないかと言って、そこで別の事件に関連して、それを証拠として別の事件の刑事責任を追及することは、やはり憲法三十八条の趣旨から言ってできないのじゃないか、私はさような気がいたします。  それから第三番目の問題は、委員会証人喚問決定する場合の議決の方法の問題でございますが、現在はお話のように全会一致でやる、これは慣行だろうと思いますね。恐らく法律上は、議院規則では出席議員の過半数ということになっているのだろうと思います。これは慣行として全員一致あるいは理事会による全員一致というようなことで行われているのだろうと思います。これは、ある政党が数によっていろいろなことを押すということは、こういう問題については人権にもかかわる問題でございますから必ずしも好ましくない場合もございます。でございますから、そういう場合にはいまのような慣行を維持されることは私は結構なことだろうと思います。ただ法律的に申すと、先ほど申しましたように、果たして全会一致というようなことを法律的に議院規則で書いてしまうのがいいかどうか、これは若干問題があるように思います。先ほど御引用になりました憲法五十六条は、これは議院における議決の問題でございまして、これは憲法に特別の規定がない限りは過半数ということでございます。委員会については、議院規則でその表決の方法は決め得ることだろうと思います。決め得ることだろうと思いますから、場合によっては三分の二というようなことでやっても、必ずしも憲法に抵触することはないのじゃなかろうかという気がするわけでございます。  それから四番目で、証人の問題でございます。猶予期間を証人に置かなくてもいいのではないか、これは飯坂先生からお話がございました。これはあるいは私にも御質問なのかどうかわかりませんけれども、これは参考人のような場合には、一定の事項を調べてそれについて意見を述べよというわれわれのような場合があるわけでございます。これはやはり猶予期間を与えていただきませんとちょっと困るわけでございます。飯坂先生の言われたことは、ロッキード事件みたいなああいう場合のことを言われたのだろうと思うわけでございます。だから、必ずしも一般的にすべてと言っていいのかどうか私は若干疑問を持っております。
  29. 堀部政男

    堀部参考人 ただいまの飯田先生の御質問ですが、私に対しましては恐らく第二、第三、第四点だろうと思います。しかし、まず第一点につきましても若干申し上げてみたいと思います。  まず第一点は、六十二条「両議院は」というふうにありまして、これはハウスに限定されるのか、それとも委員会まで広げることができるのかということになってまいりますが、私は国政調査を実効あらしめるためには、目的的な解釈になってしまうかもしれませんが、委員会にも委任することが可能ではないかというふうに考えております。この「両議院」の中に委員会を含めて読むということもできるかというふうに思います。  それから第二点の並行調査と関連したところでございますが、確かに御指摘になられましたように非常に多くの問題があるところでして、議院証言したことが今度は刑事上の訴追の証拠にされるというような問題となってまいります。しかし並行調査そのものは、先ほど飯坂先生も言われておりましたように、政治的責任、道義的責任、社会的責任というものを議院におきましては問うということが目的になりますので、ここら辺は分けて考えてもよろしいのではないかと思います。  しかし、現実の問題としては、それが証拠として使われるということになってきますので、三十八条一項との関係が問題になってきますし、イミュニティーについて、先ほども申し上げましたように非常に厳格な要件のもとに認めるということも検討する必要があるかとも思っております。ただこの辺は、先ほど申し上げましたようにアメリカにおけるイミュニティーはいろいろな弊害があるというふうに聞いておりますので、その辺をどう克服するかということが残ると思われます。  それから第三点の、証人尋問の際の議決の数の問題でございますが、私は先ほど申し上げましたように過半数でよろしいのではないか、そのかわり、そこのまず窓口と言いますか入り口のところは過半数にしておいて、あと、実際に証人として喚問された場合に、そこでの人権保障を、弁護人とか補佐人をつけるとか、あるいは先ほどのイミュニティーの問題ですとか、さまざまな方法で保障していくということができるのではないかと思います。  それから、第四点の猶予期間につきましては、ちょっと私よく考えてないわけですけれども、事実の証言をするという方の場合には、あるいはすでに知っていることについて述べるわけですから必要ないというふうに言えると思いますが、国政調査の目的となりますのは単に事実だけでもない面もあると思われますので、そのような場合にはやはり若干の猶予期間があった方が国政調査の目的にかなうのではないかと思います。  以上でございます。
  30. 飯坂良明

    飯坂参考人 ただいまの飯田先生の点でございますが、すでに両先生おっしゃっておりますので短くさせていただきたいと思います。  権限の主体の問題につきましては、両先生どちらも法律家でいらっしゃいますけれども、御意見がちょっとニュアンスが違っているように思います。私は、委員会に委任するといたしましても、たとえばその召喚状は議長の名前においてというような仕方で国会の威信を召喚に持たせるというような配慮ができる可能性はないのであろうかということを思います。  それから、この並行調査の場合の刑事責任の免責ということにつきましては、これまたその国会での証言が直ちにあちらでの証拠として使われるということのないような配慮をやはりある程度しなければいかぬのじゃなかろうか。この点は細かくすでに林先生がおっしゃったとおりでございます。  それから、出席委員の過半数で法的にはそれでよろしいのだけれどもということでございますが、慣行では全員一致である。私はやはり全員一致というのは本当は問題があろうと思っております。全員一致というのは、極端に言いますと、先ほど申し上げましたように、一人の反対ですべてをぶち壊すことができるということでございますので、過半数という五十六条二項の問題とあわせますと、その妥協といたしましては、たとえば理事の一致というような先ほどの御指摘はきわめて実際に実行し得るプラクティカブルな解決のように思いますが、それも結構ではないかと思います。  猶予期間につきましては、先ほど証人参考人を御一緒に御質問いただいたように思いますが、私は、やはり証人参考人とは性質が違うのじゃなかろうか、そしてこれは堀部先生おっしゃいましたように、事実の証言でございますと、猶予期間を置く必要はないし、猶予期間を置いてなまじいろいろなラショナリゼーションといいますか、心理的な合理化をどんどん自分の中で理屈をつくり上げるというようなことがあっては望ましくないと思っております。しかし参考人のようなことに関する限りはなるべく猶予期間を置いて、良心的な勉強をさせていただいて臨むということがやはり望ましい。これだけでございます。
  31. 上村千一郎

    上村委員長 次に、高橋高望君。
  32. 高橋高望

    ○高橋小委員 議院証言法の問題の審議が、残念なことに過去にあった私たちの先輩議員の中での動きの中から取り上げられてきたことは大変遺憾なことだろうと思っております。特に議院証言法自体は私はもうそれこそ国会議員の矜持として持たなければならないことであって、政党間のいろいろの、政党の立場に立っての発言などがあってはならないと思いますし、その点では当法務委員会では皆様それなりのお考えをきちんとお持ちで、いまこの問題の合意を求めようといたしているかと思っております。  そこで、私は補佐人の問題についてちょっと先生方の御意見を伺ってみたいと思いますが、たしかアメリカでも、補佐人制度を改正したときは、補佐人はそれほど発言のチャンスといいましょうか、場は与えられていなかった。ところが時間の経過並びに年数の重ねによって最近ではかなり補佐人というものが証言者に対してカバーするというのでしょうか、ある場合にはそれをオーバーしてまでも行動するようになってきておると思います。こういう状態が現実にありますものですから、われわれのあり方としても、補佐人の仕事というものに対していまのうちからかなり歯どめと申しましょうか、考え方を固めておかなければいけない、そんなふうに思うわけでございます。  そこで、飯坂先生にお尋ねしたいのですが、先ほどもちょっとお話は触れていらっしゃいましたけれども、補佐人の仕事、現実の証言の席をお考えいただいて、たとえば証言を求められている人が相談したためにその場が中断してしまうというようなことも考えられますし、また延期されるといったような場合も考えられる、こういうことを含めて補佐人の方の仕事に対する歯どめをどの辺までにお考えになるか、まず飯坂先生の御意見を承り、あわせて林先生もこの辺についてひとつお考え方をお述べいただきたいと思います。飯坂先生、いかがでございましょうか。
  33. 飯坂良明

    飯坂参考人 ただいまの高橋先生のお話でございますが、私は先ほど申し上げましたように、補佐人の仕事は、証人証人の人権にかかわるような、不必要な、当を得ない質問質問者から浴びせられたときにこれを保護するという、そうした手続的な保護を、法的な側面につきましては証人は必ずしも知らないと思いますので、そうした場合に、補佐人であろうとみずから発言をすることは許されるであろうという考えでおります。それ以外は、証人証言の途中でございましても、やや中断されることがあるといたしましても、助言にとどまるということがよろしいのではないか。したがいまして、補佐人証人にかわって内容的な証言をするようなことがあるとすれば、証言というものは本来その証人の知悉している、その個人の知悉している内容を明らかにするという趣旨から見て、これは望ましくないのではないかというのが私の考え方でございます。
  34. 林修三

    林参考人 私に対する高橋先生の御質問でございますが、結局いま飯坂先生が言われたことと大体同じことになるわけでございまして、やはり補佐人というのが、証人自体が法律的な知識がない、それによって答弁をあるいは証言拒否できるようなことにもなかなかそれができないというようなことについて助言をするようなことが主たる仕事であるはずでございます。補佐人証人にかわって答弁をするというようなことは証人を呼んだ趣旨から逸脱するわけでございますから、そういうものは認めるべきでないというように思います。ただ、証人補佐人が相談をするために時間が中断するとか、場合によってはあしたに延ばしてくれというようなことが出てくる、それを認めるかどうかは委員会の御決定だろうと思いますけれども、そういうことがあってもこれはやむを得ないかと思います。ただ、補佐人が直接発言することを認めなければならないかと思われるのは、先ほど飯坂先生が言われたように、委員の御質問がちょっと当を得ないようなところに来た場合、法律的にちょっとおかしなところに来た場合、こういうことに対して異議を言って質問者の反省を求めたりあるいは委員長の裁定を求める、そういうようなことは認めてもいいのじゃないか、それに限っては認めてもいいのじゃないか、かように考えるわけでございます。
  35. 高橋高望

    ○高橋小委員 それでは私、国政調査権公務員の方のあり方についてちょっと御見解を伺いたいと思います。  私たちの立場からでございますと、公務員が在職中またはやめられた後でも、その間において知り得たことに対して国政調査証言を求められたときにはこれを拒むことができないという姿勢をとりたいと思っております。もちろんそれには外交問題、防衛問題等々の二つの条件は除外するように考慮しておりますが、公務員の方がこの辺についていろいろな配慮の中から、あるいは圧力がかけられて発言を制限する、あるいはかげんしていくという段階になってくると、国政調査というものにはもうほど遠いものになっていってしまうと私は思いますので、林先生、この辺については御見解、どのようにお持ちでいらっしゃいますか。
  36. 林修三

    林参考人 いまの高橋先生の御質問でございますが、公務員については、いわゆる法律的に守秘義務がかかっておるわけで、あるいは公務員をやめた後も、公務員である間に知り得た秘密は漏らしてはならないということになっております。こういうことを認めている趣旨はいろいろございましょうけれども、やはり国家的な秘密、どうしても外部に漏らしてはならないような秘密があることも、確かに外交問題とか防衛問題ではあり得ると思います。それからそのほかでも、たとえば政策決定の過程中においていろいろな意見が出るのを一々外へ漏らしていたのではとても政策決定もできない、そういうような問題もございましょう。それから、先ほど申しましたように、税務行政とかその他の行政面で、個人のあるいは私企業秘密をいろいろ知ることがあるわけであります。そういうことについても、これを外部に簡単に漏らすということが、当該個人なり私企業プライバシーあるいは権利の問題もございますけれども、それ以上に、公務あるいは行政に対する信頼性の問題でございまして、将来の円滑な行政ができないというような点からこの守秘義務をかぶせているのだと思います。これは御承知のように、アメリカあるいは西ドイツでも情報公開法なんという法律がございまして、国民の知る権利に対応するために一般的な情報公開の義務を政府にかけておりますが、しかし、これも見てみますと、非常に大きな例外がたくさんあるわけでございまして、ただ原則と例外が、果たしてどっちが原則か例外かわからないような状況もあるようでございます。そういうところで、日本でも確かに国民の知る権利というような点から、政府の持っておる秘密について、国民の側に若干いわゆるアクセス権と申しますか、それの公開を求めるような権利を場合によっては認めてもいいのじゃないかという議論もあるわけでございます。  そういうことはさておきまして、いま申しましたように、やはり公務の信頼性行政信頼性というところからこの守秘義務の問題があるのだと思います。これはかってたしか行政管理庁あたりで調査したところによりますと、公務に対する信頼性というものはわりあいまだ現在ではある。あるのは何であるかというと、結局役人は秘密を守ってくれるというようなことだということがこの調査でも出ております。これはそれだけをとっていいかどうかわかりませんけれども。  そこで、守秘義務についてはやはりある程度認めていかざるを得ない。ただ、秘密だからといって、役所の実際においていろいろな書類にべたべたと秘とか極秘とかいう判を押して、押した以上これは秘密なんだというのはやはり問題でございまして、最近は政府もそういう見解をとっていないようでございます。公務員が守るべき秘密は、いわゆる俗に申します自然秘ないし実質秘、つまりそれが客観的に合理的に秘密を要するというような事項でなければいけない、単に役所において形式的に秘密とされたものだけということでは足りないのだ、そういう見解をとっておるようでございますね。それから最高裁の判例もそういう点で出ております。したがって、秘密範囲についてはやはり厳格に解釈する必要はあると思います。いま申したように客観的合理性のあるものに限るべきだと思いますが、しかし、公務の信頼性というようなことから、あるいは行政の円滑な遂行ということから言うと、秘密保持の義務をそう簡単にみんな解除してしまう、仮に国政調査については秘密会の制度もございますので、秘密会で開披をさせることも一つの方法かと思いますけれども、やはりそれでもそれに適当しないような問題もあり得るということは考えなくちゃいけない、かように考えるわけでございます。
  37. 高橋高望

    ○高橋小委員 ありがとうございました。
  38. 上村千一郎

    上村委員長 次に、安藤巖君。
  39. 安藤巖

    安藤委員 三点にわたってお尋ねをしたいと思います。  第一点は、先ほどもいろいろ質問と御意見があったわけですけれども、補佐人発言の問題でございます。  これは飯坂先生、それから林先生から先ほどいろいろ御意見を伺いましたので、堀部先生にお伺いしたいと思うのですが、堀部先生は先ほど国民の知る権利というのを基本的にお教えになって、いろいろおっしゃってみえるわけですね。それから裁判所における司法と、議会における証言による国政調査の問題との違いというふうにおっしゃったのですが、その問題はもちろんあるわけですね、法的な責任と政治的あるいは道義的、社会的な責任を明らかにする問題との違い。  そのほかに、法廷の場合は、刑事でも民事でもそうですけれども、やはり当事者主義というのが支配するわけですが、議会におけるあるいは委員会における証人証言を求めるという問題は、そういう当事者主義が支配するところではないというふうに思うわけなのです。当事者主義があって、その上に事実認定は裁判官が認定するということなんですけれども、国会の場合は、判定者はやはり国民ということになろうかと思うのですね。だから、そういうような違いもありますので、そういうことも踏まえて補佐人発言、これは林先生飯坂先生からはいろいろ御意見がありまして、技術的なとかあるいは関連性の有無の問題とか誘導とかといろいろありましたけれども、この辺については堀部先生はどういうふうにお考えになっているかお尋ねしたいということと、一緒にずっとお尋ねしていきますが、二番目は、アメリカの上院あるいは下院のいろいろな調査委員会、ウオーターゲートでもロッキード問題でもそうなんですが、相当国政の問題についてあるいは外交上の問題について事実関係を明らかにして、調査をして、相当な効果も上がっていると思うのですが、具体的に現在の議院証言法で、先ほど守秘義務の話がございましたけれども、これは林先生も、先ほど守秘義務関係で最初にお述べになった意見の中では、結局は内閣の声明というのが出て何かそれでおしまいということになるような印象を受けたのですけれども、この問題についてアメリカであれだけの成果が上がっているのに日本で何とかできないものかなというふうに思っているものですから、新しく議院証言法をつくる、あるいは改正するというようなことになった場合に、現在の五条をもう少し何か改善するというような方向は考えられないのかどうか。具体的にどうこうということまでは私まだ考えておりませんけれども、アメリカであれだけのことができるというのはやはり日本との相違があるからじゃなかろうか。詳しくお話しいただく時間的な余裕がございませんので、そのポイントのところを堀部先生と飯坂先生にお願いしたいと思うのです。  最後に、公開、非公開、結局秘密会にするかどうかの問題ですが、これは三人の先生にお願いしたいと思うのですけれども、たしか林先生だったと思うのですが、結局最終的には委員会で決めるというふうにおっしゃったと思うのですが、本人の希望を一応聞くにしても、本人がそういうことを言ったらそのままになっちゃうのか、やはり最終的には委員会でどうするということを決めるかどうか。それから、現在でもこれは委員長判断あるいは委員会の意思でいろいろな委員会がテレビ放送されたりしておるわけですけれども、現行のような運営の仕方でいいのかどうかということも含めて教えていただきたいというふうに思います。以上三点です。
  40. 林修三

    林参考人 私に対する御質問は二点だと思いますが、最初の議院証言法五条守秘義務内閣声明関係でございますが、これは私は、一切守秘義務なんということを言ってはいかぬということはやはり言えない。守秘義務のその秘密の内容いかんにもよりますけれども、やはりどうしても、仮に秘密会でも言えないような問題もあり得るわけでございます。それについて委員会なり議院の側と政府の側で意見が対立することもこれは当然あり得るわけで、それを調整する方法としては、いま内閣声明という制度が出て、この場合には、内閣が声明する以上はそうなまやさしい秘密の問題ではいけないので、国家の重大な秘密というような場合に内閣声明を出して、そこでこれ以上は出せませんということで一応のけりをつけることになっております。これは、私はやはり最初に申しましたように一つの妥協の問題、調整方法でございますが、いいのではないかと思うのでございます。仮にこれを削ってしまいまして、たとえば委員会なり議院の側ではどうしても出せ、政府の方ではどうしても出せませんと言って、そこで対立した場合、その解決方法は、結局はそうなるとあとは政治的な決着方法になります。結局、内閣不信任か何かの方法で決着するというような方に行くわけでございます。これもまた一つの方法かもわかりません。現在、記録の提出につきましては、国会法の百四条では「求めに応じなければならない。」と書いてありまして、それを、たとえば秘密だから出せないというような規定はないわけでございますね。ないわけでございますが、いままでしばしば、仮に百四条で提出要求があっても、政府は、秘密でございますと言って出しておらない例はたくさんあるだろうと思います。これはいままでそうぎしぎしした議論にならずに大部分は済んでおるわけでございますが、先ほど飯坂先生がちょっと御引用になりました昭和二十八年でございますかの内閣委員会の問題は、実はそこまで行くかと思われた事件でございますが、あのときは「記録」の意味ということをめぐっての論争でけりがついたわけでございますが、やはりあれがもしも記録であったとすれば、あのときは結局内閣不信任ということまで行くかどうか、あるいはそこで衆議院解散をして民意を問うというところに行くかどうか問題になるわけでございます。そういうものも一つの決着方法と言えるのかもわかりませんけれども、一々そこまで持っていくのではなくて、内閣が責任を持って声明を出す、そういうようなことで決着をつけるというのもやはり方法ではなかろうかという気がするわけでございます。  それからもう一点は、委員会における表決問題でございましたか。
  41. 安藤巖

    安藤委員 公開、非公開の問題です。
  42. 林修三

    林参考人 どうも失礼いたしました。  公開、非公開の問題でございますが、これは現在、先ほど申し上げましたように、委員会の運営でいいのじゃないかと私は思います。委員会は原則はいま非公開、という意味は、秘密会じゃなくて、たとえば傍聴人を入れないとか、テレビ等を入れないという意味の非公開が原則でございますね。ただ、それは許可した場合にはそれができるということでございます。これは、やはり委員会における良識ある運営でいいのじゃないかと私は思います。  ただ、傍聴人を入れるということは別問題といたしまして、テレビとかラジオによる全国放送ということは、確かに国民の知る権利にこたえるという点においては非常にいい面もあるのでございますが、デメリットの面もいろいろあることは言うまでもございません。ここらは、やはりその事案の性質によって委員会で良識を持って決定していただく。これを、たとえば本人がいやだと言った場合に、当然それを聞くというのもこれはやはりちょっと行き過ぎだろうと思います。これはやはり委員会が良識を持って決定すべきことだ、かように思うわけでございます。  以上でございます。
  43. 堀部政男

    堀部参考人 ただいまの安藤先生の御質問ですが、まず第一点の補佐人発言の問題でございます。先ほど私、弁護人という言葉を使いましたが、証人と弁護人とは、あらかじめ述べる内容などについて打ち合わせをしているものと思われます。補佐人ないし弁護人は、そこでの証人に対する質問が、その証人の非常に不利益な供述になる、アメリカで言いますようなセルフインクリミネーションの問題になるというような問題になりますと、これは法律専門家として、それだと大変な問題になるというあたりでチェックをかけるということができるというふうに見ていいのではないかと思います。それを途中での発言にするのかどうか、その辺も実際的には非常にむずかしいと思われますが、法廷を念頭に置いて考えます場合には、弁護人が質問に対しまして何らかの異議といいますか、何という言葉を使っていいかわかりませんですが、述べた場合に、その委員会委員長判断でそれを認めるかどうかを決める。あるいは非常に重要な問題になってきますと、委員長だけの判断で決められないというような問題も起こってくるかもわかりませんですが、そこは委員会の運営の問題になってくるのではないかと思います。  もう一つは、その質問がその調査に関連しているかどうか、これはアメリカで言いますパーティネンシーといいますか、関連性といいますか適切性といいますか、そういう問題でもありますので、これもプロフェッションとしての弁護人が、これは関連があるかどうかということにつきましてやはり判断をして、証人に、この点は関連がないから証言する必要がないのじゃないかとかという助言をするとか、あるいは異議の申し立ての制度を設けて、委員長に対して、いまの質問は適当でない、あるいはパーティネンシーがないというようなことを言わせる権限を認めてもよろしいのではないかと思います。  それから第二の、守秘義務との関係は、これは大変大きな問題でして、アメリカの場合ですと、個別的な法律の中に、特に外交上、防衛上の問題などで秘密に関する規定があるわけでして、日本の国家公務員法の百条のような一般的な規定はたしかないのではないかというふうに私は考えております。これは、あるいは事実間違っているかもわかりませんが、多分そうではなかったかと思います。しかし、一九六六年にできました情報公開法、これは七四年に改正になっておりまして、先ほど林先生もこの法律については触れておりますが、この法律ができたことによりまして、一方では国民の知る権利を充足するのに大変大きな役割りを果たしている一方で、そこにいろいろな例外が規定されておりますために、かえってそれが秘密の保護につながるというような問題が出てきております。ここに関連して、これもアメリカの情報公開法からの一つの示唆になるかとも思いますが、どうしても政府の側が、これは主として政府の持っている情報に関する問題ですけれども、どうしてもこれは秘密になる問題だ、したがって出せないという場合に、この秘密につきましては、先ほどから林先生が言っておりますように、形式秘説と実質秘説とありまして、通説は実質秘説になっておりますが、真に秘密を保護するに値するかどうかという判断裁判所にゆだねるような手続はとれないだろうかということは考えられます。裁判所も、この場合にはもちろん秘密で、アメリカの言い方でいたしますと、インカメラという言葉を使いますが、そこで秘密裏に裁判官が判断をするというような手続考えられると思います。しかし、非常に重要な国家的な秘密について、裁判官が果たして判断ができるのかどうかということはアメリカでも議論のあるところでして、これはなかなか現実にはむずかしい問題かもしれませんですけれども、一つ手続的な規定としては考えてもいいのではないかというふうに私は考えております。  それから、第三点の公開、非公開の問題ですが、これも先ほど申し上げましたように、公開することによって得られる利益と非公開にすることによって失われる利益とを比較考量するということが問題になってくると思います。確かに本人の希望で非公開にしてほしいというような場合にどうするのかという問題は出てまいります。たとえば、一般国会の場などに出てきたことのないような一般の方が出席を求められて証言をするというような場合で、しかもそれが刑事犯罪と関連したようなものになってきますと、非常にみじめな状況が出てくる。それをテレビカメラでもって全国に放映されるというのは、本人の精神的な苦痛というのも非常に大きいのではないかというふうに考えられます。そういう希望は一応聞くといたしましても、しかし最終的には国民判断ということになってきますので、そこはやはり委員会でその最終的な決定権を持つということが手続的には重要ではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  44. 飯坂良明

    飯坂参考人 三点について申し上げたいと思います。  一つは、守秘義務の問題に関連いたしまして、これは高橋先生のお話もございましたが、たとえば外交、防衛問題は除外、この除外の仕方はこれも私は非常に包括的であろうと思います。でございますから、これももう少し細かく詰めなければいかぬのではなかろうか。先ほど申し上げましたこういう情報化社会における知る権利の問題との兼ね合いで、なるべく守秘ということ、あるいは秘密事項範囲というものは厳格に解釈をしなければいかぬというのが私の観点でございます。  そして、公開、非公開の問題を先に申し上げさせていただきますが、この公開、非公開の問題につきましても、私は本人が望むならばというのは望ましくないと思います。これは、もしも個人として個人的な場において、たとえばカメラマンがわあわあやってきて撮らせてほしい、それを拒否するということはあると思います。しかしたとえば、よく御存じのように影像権の問題その他と関連してくると思いますが、通行しておって、そこでだれかに撮られて、そのフィルムをよこせと言えるかどうか。いろいろな判例があると思いますが、少なくともこれはこうした公の場で呼ばれた証人でございますから、その証人が自分の判断に応じて公開、非公開を——マスコミに対する公開、非公開でございますが、それを決定して、それをそのまま受けるということはやはりおかしいのじゃないか。ですから、委員会の公正なる判断ということがやはり公開、非公開にとりましては大切なのではなかろうかというのが私の意見でございます。  最後に、安藤先生おっしゃいましたアメリカの証人制度及び委員会はきわめて効果的に動くのに日本はそうなっておらぬ、これは一体どこに基づくのだろうというようなお話がございましたけれども、この点におきまして、私たまたま知っておりますことを一言だけ申し上げさせていただきたいと思いますが、たとえば多国籍企業の問題をアメリカのチャーチ小委員会が取り扱いましたときに、実はそれよりも前に国民の側からのいろいろな援助や助言がございます。それはどういうことかと申しますと、具体的に申し上げますと、アメリカのキリスト教会でございます。キリスト教の連合会、これの世論形成力は日本の労働組合以上でございます。きわめて大きな世論形成力になっておりますが、このアメリカのキリスト教会がアメリカの多国籍企業の倫理基準の問題を実はずっと研究してまいりました。そしてその成果を発表いたしました。これをチャーチ委員会が取り上げまして、そして議会の議事録の一部としてこれを採用する。そういうことが日本では可能なのかどうか、私は国会法の方はわかりませんでございますが、実は私はそれが議事録の一部になっておりますものを送付されまして、持っております。そういうことで、民間の側にもそうした多国籍企業の、アメリカのあり方というのはよろしくないんだという道義的、倫理的な国民世論が実はございます。そして、そういうものに裏打ちされまして、このチャーチ委員会がそうした証人を呼びまして問いただしますときに、実は主権者である国民とこうした委員会との連携が実にうまくいっておる。そのゆえに私は非常に効果的な証人喚問と、それから得られる成果が出てくるのであろうと思います。残念ながら日本の場合には、実はロッキード事件が起きましたときに、国民の方は本当の意味でのこうしたアメリカの道義的な世論というような水準における世論はございませんでした。むしろ、政治家というものはそういうものだ、大体そういうふうにして政治というのはできておるんだという初めからの政治家不信、政治家に対するきわめて低い倫理的な期待の上にこれが出されたものでございますから、一部のためにする人は非常に張り切りましたけれども、そうでない一般国民の世論は、マスコミの影響でやや高まりを見せましたけれども、急速にこれが低落してまいりました。私は、そういうところに両方のむしろ社会の政治的、道義的な水準の違いがあるのではなかろうか、これは政治家の皆さんのみならず、われわれ国民の責任であろうと思います。そのことを一言申し上げたいと思いました。
  45. 上村千一郎

    上村委員長 次に、鳩山邦夫君。
  46. 鳩山邦夫

    ○鳩山委員 鳩山でございます。  憲法六十二条を受けて何らかの包括的な立法をできるものであろうか、これが私の一番大きな疑問点でございます。先ほど稲葉委員から堀部先生に対しまして、先生のおっしゃった包括的立法というものをもう少し具体的に説明をしてくれないかというお話がありましたが、そのお答えは非常に一般的なお答えでありまして、具体的な項目に及ぶものではありませんでした。国政調査権が補助的権能であるか独立した権能であるかというのは、むしろ補助的権能説が通説に近いという残念なお話がありました。しかし、国会というのは立法機関でありまして、立法するためには十分な調査がなされなければならない。したがって立法権というものと国政調査権というものとは切っても切り離せない密接な関係にあり、私たち国会議員の仕事の中に国政調査というものがもっともっと大きな比重を持ってこなければいけないわけであります。ところが、アメリカの国会議員が二十数人の国費の秘書を持てるのに対して私たちはたった二人だ、しかもその二人を国政調査に使うのではなくしてもっぱら選挙区回りに使うというのが通例でございます。その辺がまた横山委員がアメリカから帰られて一番大きな問題としたところだろうと思います。  そこで、稲葉委員の御質問の繰り返しになりますが、堀部先生、何か具体的な項目というものを挙げていただけないか、お尋ねを申し上げます。  そして同時に、飯坂先生も、いまの日本のこの政治がお役人さん主導であるということを何度もおっしゃった。それは裏返して言えば、議院国政調査権というものが確立していないからだろうと思います。したがって、飯坂先生にもそのような包括的立法のお考えがあるかどうか、あるいはその場合にはどんな項目をほかに入れようと思っているのか、その点についてお尋ね申し上げます。
  47. 堀部政男

    堀部参考人 ただいまの鳩山先生の御質問ですが、包括的立法につきましては、先ほども稲葉先生に対してお答えしましたように、私まだ何か具体的に考えて提案するという段階には至っておりません。ただ、やはり国政調査権ということを実効的にするためには、いま国会法議院証言法ですとか、あるいは議院規則の中ですとか、あるいはさらに恐らく国会図書館法なども関係してくると思うのですけれども、そういうところにばらばらにある権能といいますか権限をともかく一カ所に集めて、言ってみればその重要性を強調するということを考えてもよろしいのではないかと思います。  具体的には先ほど言いましたように十分まだ検討しておりませんので、全体のたとえば法案の大綱みたいなことはちょっと申し上げにくいのですが、いずれにしましても、最初に総則的な規定を置き、総則的な規定の中には国政調査権の目的や範囲ということが入ってくると思われますし、それからその後には、やはりこれをいかにして実効あらしめるかということで現在の議院証言法に当たるようなところが入ってくると思われます。そこには先ほどから申し上げておりますような幾つかの重要な項目が入るということになると思いますし、それから次のところあたりには、その国政調査をさらに実効的にするための調査委員制度……(鳩山委員調査員ですか」と呼ぶ)調査員といいますか、調査委員といいますか、調査官とか、それは言葉はいろいろあると思います。現在は専門員と調査員というふうに分かれておりますが、かつて、たしか専門調査員という言葉が三十年改正前の国会法では使われたと思います。それをどういうふうに位置づけるか、これもまた問題だろうと思いますが、その調査員なり調査委員というのでしょうか、その権限をそこで明確にしていくというようなことも考えられると思います。それから、先ほど出ましたのでは立入調査権の問題等が恐らく出てくると思われますが、条例のレベルでもかなり立入調査権については設けられているところなどを考えますと、若干の権限はやはり与える必要があるのかなというふうに思います。ただ、あくまでも国政調査の場合には犯罪捜査が目的ではありませんので、そこの兼ね合いがかなり重要な問題になってくるのではないかと思います。  いずれにしましても、申しわけありませんが、いまのところはまだ大綱を持っているという段階ではございません。
  48. 飯坂良明

    飯坂参考人 ただいまの鳩山先生の御質問でございますが、一つは立法という機能を円滑かつ完全に行う、そのために国政調査権があるということであるとすれば、それを堀部先生は補助的権能説とおっしゃったのではないかと私は理解しておるのでございますけれども、その点でちょっと御理解の相違があったように記憶しておりますが、とにかくこの国政調査権というものを完備するために、ただいま堀部先生お話しございましたが、やはりアメリカのように調査機関といいますか、これを充実させることが先決であろう、そしてそのためには、先ほどもちょっと申し上げましたように、たとえば行政におきましては民間の知恵を吸い上げる、アメリカの司法におきましてはジュアリー、陪審員制度でやはり民間の良心を吸い上げる、それと同じように、先ほど申し上げましたように各党だけが吸い上げるというのではなくて、国会国政調査権に関連いたしまして何か民間の良識を吸い上げる、そうした公的な制度というものが可能ではなかろうかというようなことを漠然と考えております。
  49. 上村千一郎

    上村委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五分散会