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香川政府委員 後でおっしゃいました御質問を先にお答え申し上げますと、併用の場合というのは結局仮
登記の面から見ますと、これは将来のことでございますが、将来その債務が不履行のときに所有権を移転するという契約による仮
登記があるわけでございます。したがって、現時点におきましてはまだ所有権は移転していない、債務者の手元にある、したがって、その債務者の手元にある不動産を
目的として抵当権を設定するということは可能だ、こういう理屈だろうと思うのであります。ただ、おっしゃるように抵当権と仮
登記を併用するということ、これは何も私
どもが奨励しておるわけでもないのでございます。
登記の
申請が出てまいりますれば、これは受けざるを得ないということになるのでございますが、特に積極的に認めるというふうなことではもちろんないのであります。これは私の口から申し上げるのははなはだ越権のそしりを免れませんけれ
ども、確かに
日本の金融機関の金融取引のあり方といたしまして、抵当権を設定し、しかも仮
登記をつけるということは、債務者にとっては経費等の面あるいは
登録免許税の面から見ましても相当の負担であるわけであります。しかも、抵当権をつけながらさらに仮
登記をつけるとなりますと、さらに余剰担保価値を利用するということが非常に困難にもなるわけだと思うのであります。したがって、望むらくは金融取引のあり方として、少なくとも余分のと申しますと語弊がありますけれ
ども、併用というような形で債務者の負担を増し、不利益を招くようなことは、むしろ正常な金融取引としては避けるべきではないかというふうに思うのでありますけれ
ども、いろいろの競争がやはり金融面においてもございまして、金融機関として大事をとると申しますか、よその銀行がやれば自分のところもやるというような一種の風潮的なことで併用ということが戦後非常に多くなってきたように承知いたしております。だから、私
どもとしては機会あるごとに、そういう
登記所の手数も大変でございますので、そういうことはなるべく避けた方がいいのではないかということを意見としては申しておりますけれ
ども、なかなか改まっていない現状だろうと思うのであります。
ただ、今回の仮
登記担保法が制定されますと、仮
登記の担保的な機能という面を
法律で公認している面もあるわけであります。たとえば第三者が
目的不動産の競売をした場合には、抵当権と同じような扱いで優先弁済権が受けられるということにはっきりするわけでございますので、そういう面から
考えますと、なおさら抵当権と仮
登記を併用するという必要性はますますなくなってくるというふうに思われるわけでありまして、併用はなるべく避けるようにひとつ良識を持って対処していただきたいというふうに希望いたしておる次第でございます。