○吉久
政府委員 第五小
委員会につきましては、昨年の十月から設置をされまして、大体毎月一回ぐらいの頻度で
開催をいたしております。先生御
指摘のように昨日も行ったわけでございますが、現在のところ、いろいろ一般的な討論の段階で出てきた問題点を整理をいたした上で、さらに問題ごとに議論を詰めておる段階でございます。
それで問題点といたしましては、まず、
著作権法第三十条による録音、録画の許容から生ずる問題ということでいろいろな問題点が
指摘をされておるわけでございますが、たとえば、録音、録画機器の非常な盛行によりまして、いわゆる
著作権者及び著作
隣接権者の経済的な利益が不当に侵害されているという意見があるわけでございまして、芸団協等からもそのような陳情が昨年三月参っておるわけでございますが、そのような事実についてどう判断するか、あるいはどういうような立証ができるのかというようなことでございます。
これは一例でございますが、さらに、仮にそのような経済的な損失があるという場合に、それらをどのように救済するかという方法につきましても、芸団協等からは昨年三月、いわゆる西ドイツ方式の採用ということの
法改正を含めた陳情が参っておるわけでございますが、これにつきましては
委員の先生方に実は西ドイツ、ヨーロッパ等の
調査もしてきていただきまして、それらについての
調査結果もこの小
委員会で開陳をいただいておるわけでございます。
さらに、西ドイツ方式のような、録音、録画機器の販売価格の上に上積みをする、つまり録音、録画機器、ハードの面からフォローをしていくという方法しかないのかどうか。仮に
実演家等が録音、録画の盛行によって経済的損失を受けているということが事実だとすれば、それの救済策といたしましては、たとえばハードの面からではなくてソフトの面と申しますか、
実演料だとか
放送料だとかいうような面、あるいは
レコードの二次使用料の増額とか、そういうような問題からも別途検討すべきではないかというような意見も
委員の中から出てまいっております。特に機器メーカーの方からも問題提起がありまして、そういうことに関する問題点。
さらに、これは当然のことでございましょうが、適法な三十条の私的
利用についてまでも、西ドイツ方式の適用によりますと消費者が最終的に負担をすることになるが、果たしてそういうような対策は妥当であるのかどうか。これは
委員さんの中に一般婦人の代表の方あるいは高等
学校の校長先生等も入っておりますが、
教育的な面あるいは一般消費者の面から、西ドイツ方式は最終的にはいわゆる適法な使用をなさっておる方々にまで負担をかけていくことになるが、そういう政策は果たして
文化政策なり
教育政策として妥当なのかどうかというような突っ込んだ意見も昨日かなり出たわけでございます。
詳細につきましては御
質問によってまた申し上げることとして、いままである程度いろいろ意見が出てまいっておりまして、実はまだ整理する段階ではございませんが、一応論点を整理した上、それぞれの論点ごとの意見を闘わしております。それも途中でございまして、毎月一回行うことによりまして、私どもとしましては来年三月あたりまでには、できたらそれらに対するところの考え方及び国としてこの際いかなる対策が考えられ得るかというようなことをまとめていただきたいと思っております。実は、先生方も御
承知のように、複写、
複製の問題につきましては、フランスでは税金を課しておるという方法もございますが、いわゆるハードの面から、録音、録画機器の購入、販売価格にプラスするという西ドイツ方式、これはイギリスあたりで検討しているという
調査が出ておりますけれども、一体どういう方法をとればいいか、各
委員さんごとにかなり意見が出てまいっておりますが、私ども一緒になって勉強しているということでございます。まだ抽象的でございますが、そういう段階でございます。