○山原
委員 一言、いまの歴史的な経過を申し上げまして次へ移りますが、いまの
教育の
荒廃の問題について行政としてやるべきこと、それは何かということで幾つかの最近資料が出ています。非行の問題を見ましても、
学校から疎外されるということが非常に大きな
原因になっておるわけです。そういう意味で
学校の責務というのも非常に重要ですが、その中で
学校の仕事といえば、一人一人の子供に
基礎的な力をつけて
子供たちに自信を持たせて、そして同時に、生き生きと
学校へ行ける、何といいますか、いそいそと
学校へ行けるという、このことは大事なんですね。全く、いわば、ある人が言っていますが、恋人に会えるような気持ちで
学校へいそいそと子供が行けるという、そういう
学校にしたいというのがみんなの気持ちだと思います。そうすれば、かなりいまの非行とかそういう問題が解決されていくんだろうと思うのです。
これは先ほ
どもちょっと出ましたけれ
ども、NHKの二月十一日の中
学校教育に関する
調査結果、これは都内の
公立中学校の
先生千四百八十五人、
生徒、父母九百人を対象に昨年十一月に
調査をしたものだと言われていますが、これは諸澤さんよく御
承知のことと思います。その中で、
教育に対する
批判もずいぶんありますが、
中学校で身につけてほしいものは何かということで父母に聞いておりますけれ
ども、五三%が
基礎学力をつけてほしいということですね。これはずば抜けておるわけです。それから、
生徒のよりよい
教育のためにどうすればよいかという
先生方に対する
質問で、一番多いのは一学級当たり
生徒を減らすこと、これは一番目の答えとしては三二%ですが、
教育内容を精選することが二二%になっています。この設問の仕方によりますけれ
ども、設問の一、二、三をトータルをとりますと、何と学級定数を減らしてほしいということが六二%にも達していますね。これはずいぶん大きな比重を占めておりますから、大体父母にとりましても
教師にとりましても非常に重要な、
生徒数をもう少し減らしてもらいたいというのが本当に
一つの焦点になってきたように思うのです。
そこで、読売
新聞の二月六日の社説を読みますと、
荒廃問題を取り上げていますが、「現行の学級編成基準は、一学級四十五人になっているが、欧米のように上限を三十人程度にする
改善が、とりわけ急務であろう。」というふうに、こういう世論がずっと構成をされておるわけでありますが、この点から見ますと、上限を見ると、外国と比べるというのはどうかと思いますけれ
ども、やはり
日本の四十五というのは多いですね。それから平均をよく言われるわけですが、これは
文部省の国際比較を見ましてもやはり多い数字になっております。
それからもう
一つ、学級定数が四十人以上の過密学級数と
生徒数はどれくらいということで、もう時間がありませんから私の調べておるところで申しますと、
小学校で学級数が二六・五%、それを
生徒数にしますと三二・二%で三百三十万の
生徒が四十名以上の学級で
勉強しておるということになります。
中学校の場合は、学級数にしまして四九・九%、五万八千五百七十二学級、
生徒数にしますと二百五十二万という数字が出てきまして、パーセントで五五・一%ですね。相当な過密の学級で
勉強をしておる子供が大体半数に達しておる。そういうところに、御
承知の田舎よりは都市地帯に非行問題なんか起こるわけですね。ここのところにメスを加えなければいかぬというふうに思うわけです。
そこで学級定数の減の問題について、これはアメリカのカリフォルニアの
小学校の例を見ますと、一人の
先生に三人のペイドヘルパー、有給ヘルパーとでも申しましょうか、この三名のヘルパーが教室の中に入っておる。一学級二十三名から二十四名がカリフォルニアの例でありますが、結局一人
先生がいらっしゃって、そこへ三名の有給ヘルパーがついておりますから、本当に
生徒の一人一人に見合った
教育ができますし、それから五人、六人のグループ学習をやる場合にはそれ一人一人に
先生とヘルパーがつく、こうなってくると全く
先生の表情と子供の表情とがぴたっと合うわけですね。こうして初めて進度もよくわかるし、子供の
性格もよくわかるという
状態で、この点についてはイギリスにしてもスウェーデンにしても、東欧、ソ連などに行っても学級規模の問題は最大の関心事になっております。これはもう
文部省よくおわかりのことと思いますが……。
そこで、四十五名というのが昭和三十九年に決められまして、すでに十四年を迎えたわけですね。これをどうするかということなんです。私はいろいろ隘路もあると思うのです。
文部省、この四十五名を四十名にせよといってもいろいろな隘路があるわけですね。だから私は、ここで
文部省と私
どもがけんかをして事が済む問題ではないと思っております。それから、きょうは
文教委員会、皆各党を代表して文教
委員がおるわけですけれ
ども、四十九年に、先ほどお話があったように衆参両院で、少なくとも学級定数は四十人という努力、それから複式学級をなくすという国会の決議があります。その決議がある限り、各党の文教
委員としてはこれを実現する任務があるわけですね。そうしますといままでのように、
文部省に対して四十五名を四十名にせよ、そう言うと
文部省の方では、そんなことを言われたってお金が第一ありません、東京なら東京でいま学級を二つに割ってしまえば教室がありません、用地がありません、校舎がありません、こうなってくるわけですが、ではどうするかということをもう
考えなければ、この
子供たちの非行に走る実態を放置することができないということになってくると、本当に衆知をしぼって、この問題について各党一緒になって、
文部省も一緒になって、大蔵省も一緒になって
考えなければいまの父母の
教育に対する不安を
解消することはできない、子供を守ることもできないというふうに思うのです。
だから
一つは、先ほど
中西議員に対する御答弁の中で、第四次の定数
改善が行われれて第五次に移るという
段階で、今年度の予算に
調査費を組んで
調査するというお話があって、今度は
調査が中へ入って、そして五十四年度から第五次が始まると私
どもは思っていました。それからいままでの答弁でも、次の定数
改善期には相当
改善をするという答弁も私
たちはもらっているわけですね。ところが、いまの諸澤
局長の御答弁によりますと、ここへ緩衝地帯ができて、第五次の定数
改善が先へ延びるという。これは重大な問題ですよ。私はそんなことを夢にも思わなかったわけですが、この点はもう一回お聞きしますけれ
ども、今年度ついております新規の予算として千五百万でしたか千二百万でしたか、その
調査費でことしじゅう
調査をして、それから立案をして、そうすると第五次
改善はいつになるのですか。