○
近藤(鉄)
政府委員 いま
水平委員から
教育、文教政策全般について大変重要な諸点の御
指摘がございましたし、また大変貴重な御
意見がございました。非常に参考になったわけであります。
実は、例の落ちこぼれ、英才
教育にもちょっと関連するわけですが、私思うのですが、私も実は三人の小学生の父親でございますから思うのですけれども、小
学校、中
学校ぐらいまでは、人間に能力の差もありますし、頭のいい人、悪い人、体も大きいの小さいの、声のいいの悪いの、いろいろあるわけですが、世の中というのは、そういういろいろなタイプの人間、できる人もできない人も、能力のある人もない人も、才能の違う者も一緒になって世の中に育っていくんだという基本的な人間としての考え方、これは私は教える必要があると思うのです。したがって、小・中
学校の
段階で余りえり分けをして、おまえは優秀だ、おまえはだめだという形でえり分けをした
教育をすべきではないので、できる者もできない生徒と一緒になって勉強もするし、場合によってはできない子をできる子が教えるというぐらいのことをまず
義務教育で教えていかなければならない、こういうふうに考えるわけです。ただ、と言っても、中
学校、高校、大学と上がっていきますと、それぞれ才能の違いも出てくるわけですし、またいろいろな意欲も違ってきますから、そういうものを一律に高校に持っていき、大学に持っていく、しかもいわゆる一般
教育でいくということは私は穏当を欠くと思います。ですから、先ほど高校についても義務か準義務か、全入かどうかという御
指摘がございましたけれども、私はむしろ、ある程度能力に応じて、また本人の意欲に応じて、それぞれの道にそろそろ分かれていいのじゃないか、かように考えております。ですから、全部高校に行かなければならないということは、必ずしも本人の将来を考えてないのじゃないかというふうに個人的に考えます。その
段階で……(「
大臣と違うな」と呼ぶ者あり)個人的に考えていますから。ですからその
段階で……(
発言する者あり)ちょっと先生、最後まで聞いてください。
そこで専修
学校の問題それから職業高校の問題が出てくるわけでありますが、私は前に労働省の秘書官をした経験がございまして、この問題をよく考えてみたんですが、やはり職業高校じゃなくて専修
学校の方が、実際の
教育の内容を考えますといい面もあると思うのです。ただ、やはりいまの子供たちだって高校卒という資格がいろいろ本人にも望ましいということもございますので、その辺はいろいろ考えていかなければならないと思うのです。私はあえて申しますが、たとえば工業高校を出た人が
東京工大でもいいし東大工学部でもいいですよ、商業高校を出た人がたとえば慶応経済学部でもいいし一橋でもいいですし、そういう職業高校で勉強したことの試験で大学
教育まで行けるような道を開いてやる必要が絶対にあるので、さっきも共通一次試験の話がございましたけれども、どういう絡みかわかりませんが、私はやはり、いわゆる一般教養からずっと最高学府まで行く道だけじゃなしに、高校ぐらいからよしんば商業高校に変わったってもとへ戻れる道をもっともっと開く必要があるのであって、たとえば今度の大学入試なんかでもそういうことを一流大学でぜひやってもらいたい。これまた個人的な
見解で恐縮でございますが、私自身も実は海軍兵
学校から高等商船に入って、そしてまた一橋に戻った男でございますし、先年まで総理
大臣をやった三木武夫さんは商業
学校の卒業生ですからね。商業
学校を出てちゃんと総理までなるわけですから、やはりそういう道が
日本国に開かれていることは大変必要なんで、
文部省としても十分に考えなければならないと思うわけであります。
小
学校の先生について、私も繰り返し申しますように小
学校の子供の父親ですから、できるだけいい先生に来ていただきたい。これは私の持論なんですが、
教育は試作品をつくれないところですよ。テレビだとかステレオだとか机だとかいすとかは、少々間違ってつくったってどうってことはないですよ。だけれども、人間の一生は一回しかないのですから、たまたま悪い先生に習って試作品をつくられて、この先生が五年、十年たったらいまにりっぱなものをつくりますよでは間に合わぬ。ですから私は、
学校の先生の養成について、また資質の向上について、何よりも大事だ、かように考えておりますので、ただいまも局長から話がございましたけれども、
文部省として万全の措置を期してまいりたい、かように考えます。
私学の問題につきましては、いま
水平委員の御
指摘のとおりでございますので、
文部省としても管理局長から話をいたしましたようにいろいろやっておりますが、私はまだまだ不十分だと思いますので、この点、いろいろな
意味の格差の是正、
負担の是正については努力をしてまいりたい。ただ
一言申し上げたいのは、現在の私学の現状は、
水平委員からいろいろパーセントの議論もございましたけれども、いわば戦後の急激な
教育需要を
国公立で完全にカバーできなかった、カバーできなかったものを不当に、不当というか、急激に私学に、しかも内容が必ずしも十分じゃなしに任せてしまった、こういうことだと思うのですね。ですからそういう
意味で、私は、私学
教育が本来の個性ある
教育じゃなしに、いわば
国公立をただ水増しした形になってしまう、
負担だけが非常な格差がついた、こういう状況になっておることを大変憂慮しておる一人でございまして、そういう
意味で
負担の格差の是正に私は努力いたしますが、同時に、私学は、高校、大学、さらに小学、中学、あるわけでありますが、私学本来の姿に返って、私学らしい個性ある
教育を各それぞれの
教育段階でしていただけるように、私学当事者にもいろいろ御
配慮いただきたい、かように考えるわけであります。
いまいろいろ御
指摘があった点につきましては、
大臣がいなくて申しわけございませんが、帰って
大臣に話しまして、できるだけ御希望に沿うようにいたしたい、かように考えております。