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1978-05-09 第84回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月九日(火曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 美濃 政市君    理事 加藤 紘一君 理事 片岡 清一君    理事 堀内 光雄君 理事 金子 みつ君    理事 武部  文君 理事 中川 嘉美君       関谷 勝嗣君    中西 啓介君       野口 幸一君    長田 武士君       藤原ひろ子君    安田 純治君       依田  実君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁総合         計画局長    喜多村治雄君         資源エネルギー         庁公益事業部長 服部 典徳君  委員外出席者         国土庁土地局地         価調査課長   久保木哲彦君         大蔵省主税局税         制第一課長   矢澤富太郎君         建設省計画局宅         地開発課長   渡辺  尚君         建設省計画局宅         地開発課宅地企         画室長     木内 啓介君         建設省都市局都         市計画課長   海谷 基治君         建設省住宅局市         街地建築課長  和田 友一君         物価問題等に関         する特別委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   田中美智子君     藤原ひろ子君 五月九日  辞任         補欠選任   藤原ひろ子君     安田 純治君 同日  辞任         補欠選任   安田 純治君     藤原ひろ子君     ――――――――――――― 四月二十五日  ネズミ講禁止法立法化に関する請願西宮弘  君紹介)(第三四〇三号) 同月二十六日  ネズミ講禁止法立法化に関する請願中村茂  君紹介)(第三六二三号)  同(上田卓三紹介)(第三六五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月一日  物価安定対策に関する陳情書  (第三五九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 美濃政市

    美濃委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田純治君。
  3. 安田純治

    安田委員 私は、円高による国民経済への影響と国の政治の対処のあり方について質問したいと思います。     〔委員長退席武部委員長代理着席〕 その中でも、円高メリット国民生活にどう還元するかという点、とりわけ電力会社円高差益についての対処の仕方にしぼって質問したいと思います。  まず最初に、宮澤長官に伺っておきたいのですが、あなたは、経済企画庁機関誌「ESP」の一九七八年二月号に次のように述べておられます。企画庁人たち政府政策気がねなぞをせず、思うことを自由に発言してほしいと思っています。こうおっしゃっていますね。つまり他省庁所管事項であり、他省庁一定政策的判断を持って行政を進めていることであっても、経企庁として言うべき意見は言うべきである、このように言っておられるというふうに考えますが、この点はいまも変わらぬお考えでしょうか、まず伺いたいと思います。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 確かにその雑誌にそういうことを申しましたのですが、私の言おうとしておりましたことは、いわゆるエコノミストとして、企画庁の役人は、見解を発表するときに、政府経済見通しというものがいろいろあるわけでございますけれども、余りそれにこだわらなくても構わないぞ、エコノミストとして、思うことはいろいろな機会に自由に言って差し支えないことだという意味のことを主として言いたいために申したわけでございますけれども、他方でもう一つ経済企画庁には各省間の調整という機能がございますので、調整者としての立場がもう一つ別にある、こういうことも事実でございます。無論、調整者としての立場は、違った意見調整するのでございますから、調整者自身としてのそういう役割りももう一つあるぞということを申したつもりでございます。
  5. 安田純治

    安田委員 確かにおっしゃるように、その前の方を見ますと「各省庁の言い分を調整するというのは非常に難しい。役所のセクショナリズムや権限争いは、今に始まったことではなくて昔からあることです。」というふうにお述べになって、しかし、そういうことで自分たちのことだけ主張し合っているのでは、迷惑するのは国民で、企画庁に期待されている政策調整役割りは非常に大きい、こうおっしゃっていますね。そういうお考えはいまも変わりないということだと思います。  そこでさらに、今日到達しているわが国の経済実態に照らして、今後の経済政策について基本認識を伺うわけですが、この点で、経企庁宮崎調整局長が「人間の顔をした経済政策」と題する著作を発行されておりますけれども、私も一読させていただきました。その中でこう述べられているわけですね。「われわれはここまで大きくなってきた経済力を今後、いかに有効に使うかという問題にも直面しはじめている。われわれの前に選択の地平線が広がりはじめているのである。」と述べた個所がございます。また「もっと人間基本的な自由や公正を満足させるような時代でなければならない。そういう社会を作りあげるための経済政策とは、いってみれば、人間の顔をした、新しいルネッサンスをめざす経済政策ということであろうか。」とも述べられております。私は、宮崎局長認識は明らかに、今後の経済政策は公正とか福祉増大とかに重点を移すべきであって、従来の枠とか原則とかをすべて否定はしないけれども政策選択の幅は広い、こういうことではないかと理解するわけですが、この点、宮澤長官はどう考えられるか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま安田委員の言われましたような御理解が基本考え方であろうと私も思っております。
  7. 安田純治

    安田委員 この考え方で今日の円高問題、そして電力会社石油会社などに生じたいわゆる円高差益について対処すると、どういう政策を実行すべきかも明らかではないかと思うわけです。  そこでまず、円高差益国民還元すべきであるという点は長官も否定されないと思います。問題還元やり方だと思うわけです。円高差益は広く国民が享受すべきものであるという、この点はお認めになりますでしょうか。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 さように考えております。
  9. 安田純治

    安田委員 さてそこで、電力会社差益還元方法問題を移したいと思いますけれども、今日までの国会論戦では主として電力料金を値下げすべきであるという主張が展開されてきました。しかし、現行の料金体系をそのままにして料金改定をするということは、一般消費者小口需要家への還元計算してみますと少額であります。そして、円高差益が出ている大口需要家、大企業には何千万という利益が上積みされることになるようにどうも計算されるようです。通産省に確認の意味で伺いますけれども、この点どうですか、そうなるでしょう。
  10. 服部典徳

    服部政府委員 電力会社為替差益でございますが、五十二年度、年度間をとりまして約九百二十五億というふうに算定をされております。全体の総括原価が約六兆でございますので、比率から申しますとごくわずかということに御指摘のとおりなっておるわけでございます。
  11. 安田純治

    安田委員 私の方でちょっと計算してみて、円高差益の五十二年度分、これは五十一年度の電力消費実績で試算してみたのですが、五十一年度の電力消費実績と五十二年度の差益ですからちょっと違いますけれども、しかし五十一年度の電力消費実績計算してみてもそれほど大きな違いはないと思うのです。東北電力の場合に、一般家庭の値下がりをもし円高差益でやるとすれば、一年分で一戸当たり四百二十三円ほどになるのじゃないか、東京電力では八百八十六円くらい、全社平均で一戸当たりで一年間分が六百十四円くらい、五十二年度分の円高差益を五十一年度の各電力消費実績で試算するとそうなるのじゃないか。ところが、大企業大口電力ですね、一社平均、一年間分見ると、東北電力の場合二百七万三千六百九十一円、東京電力の場合二百八十六万一千六百四十三円、全社平均でも二百五十八万一千七百五十二円くらいになるようにどうも計算されるようです。もちろんこれは平均ですから、大きな企業によっては何千万も電気料金が安くなるところもございますけれども一般家庭で見るといま言ったように平均で一年間に六百十四円しか安くならぬことになるような計算です。料金体系をいまのままにしての料金変更はこういう問題も結局あるわけでございます。しかし、料金据え置きという形の還元方法には同意できないのです。やはり何らかの手段、方法で数千万日本国民の汗と努力が報われたという施策が必要だ、まさにそれこそ人間の顔をした経済政策であると思うわけです。その点でいまこそ知恵を出すべきだというふうに思うわけであります。電力会社の中に差益が蓄積されたままおったのではとうてい国民納得は得られないと思うのです。この今日の円高をつくり出したいろいろな要因がございますけれども、これは全国民の汗と努力の結晶である部分もございまして、企業努力によって得たものではない。ある会社、たとえば電力会社がその企業努力によって得たものではなくて、これは日本経済力全体の、いわば国民努力によって得たものだ。こうなりますと、まさに電力会社の中に差益が蓄積されたままではどうも国民納得は得られないんじゃないかと思うわけです。  そもそも為替差損が出たり油代が上がったり、いろいろ理由があって電力会社の経営が苦しくなったときは、とにかく料金値上げという処理の仕方がございます。料金値上げにわれわれが賛成するかどうかは別として、そういう処理方法があるわけです。しかし今回のように思わぬもうけが出ても、一般国民には何も返らない。電力会社を売り手とすれば、買い手は何のメリットもないということになります。これは契約条件一つである円レート三百円とか二百九十八円とか、こういう基礎に変更があってもその償いが結局契約の継続でしかない、つまりいままでの料金をそのまま値上げしないということで継続しているということにしかすぎないということになるわけです。これは明らかに公正ではないし、このままそれを認めることはまた人間の顔を持った経済政策とは言えないと言わざるを得ないわけです。やはり円高差益還元方法でもっともっとみんなでひとつ知恵を出すべきだと思います。問題円高利益還元方法なんですから。この点は宮澤長官、どうお考えになられますか。国民感情にも思いを寄せてお答えを願いたいと思います。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題につきましては、過去において加藤委員からもそういう御趣旨のお尋ねがございました。金額いかんにかかわらず、とにかく戻すという形で還元をすべきではないかという議論は実は私どもの党内にもございます。したがってこれは考え方の分かれるところであろうと思っておりますが、所管通産大臣とされましては、非常にわずかな金額利用者にこの際還元すべきであるのか、あるいは今後の発電コストが上がるということはもう目に見えておりますから、そのためにこれを留保しておいて円滑な安定した電力の供給に資する方がいいのか、どちらであろうかという行政判断をなさって、結局、何かの形で将来の発電コストの上昇に備えておく方がいいのではないかという行政的な判断をなさったのでありまして、私もそれに同意をいたしたわけであります。  そこで問題は、そうなりますと、そうやって内部留保をいたしましたものが、これは法人税等課税対象になりますことはやむを得ないといたしましても、確実に将来の発電のための財源に有効に使われるかということをどのようにして担保するかという問題がやはりあるであろうと思います。これは具体的には口で申しますほど簡単ではないと思いますけれども、何かのことでやはりこれが無意味流出をいたさないような行政的な担保の仕方はあり得ないであろうかということは、実は通産大臣には御検討をお願いをしておるところでございます。
  13. 安田純治

    安田委員 少し話を戻しますけれども電力料金体系では御承知のように総括原価主義がとられております。しかし最近、とみにこの原則にプラスアルファが伴い始めたようです。たとえば五十一年の料金値上げに際しても、値上げ申請を早く出した四社については暫定料金と称して一定率の割引が採用されたのもそのあらわれであります。そして後発五社にはこれが採用されなかった。これも政策でございます。そういう点では、電力会社の経理など法律で決められてはいるけれども、その運用においては弾力性が発揮されることもまた必要であるとの判断通産当局にあるということです。この点お認めになりますね。
  14. 服部典徳

    服部政府委員 御指摘のように暫定料金制、五十一年の料金改定の際に先発四社に対して適用したわけでございますが、その考え方は、電気料金の大幅な値上げというものが、社会的あるいは産業界に対する影響というのが非常に大きいという観点に立ちまして、原価計算の枠の中で一時的、臨時的に企業合理化の範囲内と申しますか、修繕費とかあるいは諸経費、これを一部一定の期間切り詰めまして、その切り詰めた額だけ値上げ幅を一時的に低くするという考え方でとった制度でございまして、あくまでもそれは原価主義の枠組みの中で暫定的にとらえた措置であるというふうに私どもとしては了解しておるわけでございます。     〔武部委員長代理退席委員長着席
  15. 安田純治

    安田委員 少なくとも総括原価主義という原価の枠内ではあっても、いま挙げました例のように、弾力性が発揮されておるということは事実だと思うんですね。もし石油値上がりがなくて、さらに円レートが二百二十円前後という状態が続くとしたら、通産省としても何らかの措置を考慮せざるを得ないのじゃないかと思うんですよ。きのうの夕刊、けさの新聞にも出ておりますけれどもOPEC原油価格年内凍結見通しというふうに出ております。しかも、新聞報道によると、ここ数年は値上げができないのではないかというような報道もございますね。少なくともことしは値上げは無理だ、OPECではどうもそういうふうになるようだと報道されております。そういう見通しになってまいりますと、ことしは石油値上がりがない。さらに、円レートが二百二十円前後で、どうも円が安くならぬという状態が続くとすれば、これは通産省としても何らかの措置を考慮せざるを得ないというふうに思うのですけれども、いかがですか。
  16. 服部典徳

    服部政府委員 閣僚会議におきまして、北海道電力を除きまして、ほかの八電力会社につきまして、五十四年度いっぱいまで料金据え置きという御決定をいただきました際にも、その前提といたしまして、為替レートが二百二十円で推移をする、それからOPECにおきます原油値上げがない、こういう前提におきまして試算をした結果、五十三年度は為替差益をカウントいたしますと黒になりますが、五十四年度につきましては、為替差益を考慮いたしましてもなおかつ赤が出るということで、五十三、五十四年、二年間の収支というものを見通しますと、やはりかなり電力会社収支というものは悪化するという見通しでございますので、差益還元という方法よりも、むしろ現在の料金をできるだけ長く据え置くということで御決定をいただいたわけでございまして、その際に、先ほど申しましたように、OPEC値上げがない、また二百二十円で推移する、こういう前提考えまして、そういう結果になったということでございますので、仮にOPEC据え置きというものはわれわれとしても非常にありがたいことでございますけれども、それは、もうすでに考慮済みであるということで御理解いただきたいと思います。
  17. 安田純治

    安田委員 続いてお聞きしますけれども電力会社が自主的に社会福祉団体公共団体寄付をするという行為をとった場合、当局はそれを抑えることはすまいと思いますけれども、いかがですか。
  18. 服部典徳

    服部政府委員 地方公共団体等電力会社寄付をすること自体につきましては、電気事業社会的な使命と申しますか、その面から別に問題はないというふうに考えるわけでございますが、ただ、先ほど申しましたように、今後の収支考えますと、やはりかなり悪化が予想されますので、そういった面から、仮に大幅な寄付ということで社会流出が増大するという結果、将来の電気事業の健全な運営を阻害し、また料金安定性を損なうというような結果となることは好ましくない、こういうふうに考えるわけでございます。
  19. 安田純治

    安田委員 ですから、前に私、質問申し上げたのですけれども、要するに、人間の顔を持った経済政策ということになり、社会的公正ということが経済政策目的であるというようなことになれば、円高差益をそのまま電力会社に蓄積したまま推移するということは、どうも国民感情納得しないというふうに思えるわけですよ。その点についてはそういうことである。ただ値上げをしないということで還元するというやり方しかお考えにならないようなのですけれども、とにかく還元する必要がある。それについては、やはり蓄積をそのままにしておいてはまずいということはどうも事実だと思うんですね。五十一年度の実績で、法人企業寄付金はどのぐらいになっておりますか。
  20. 矢澤富太郎

    矢澤説明員 五十一年度分の税務統計というのがございますが、これによりますと、法人企業寄付金総額は千四百八十五億六千七百万円でございます。
  21. 安田純治

    安田委員 この寄付行為はすべて税金がかけられることになりますか、どうですか。
  22. 矢澤富太郎

    矢澤説明員 寄付金には、税法損金算入のための一定基準がございます。大ざっぱに申し上げますと、一般的には資本金あるいは所得を基準にいたしまして限度が設けられております。そのほか、国または地方公共団体に対する寄付金全額損金に算入されますし、それから公益法人等公益に貢献し、緊急なものとして大蔵大臣が指定したものに対する寄付金指定寄付金と呼んでおりますが、これも全額損金算入認められますし、それから公益法人等試験研究法人という税法上の特殊の法人格がございますが、これに対する寄付金も、先ほど申し上げました寄付金一般算入限度、これを別枠でそれに対する寄付金認めている。それに該当するものは損金算入認められるという制度でございます。
  23. 安田純治

    安田委員 宮澤長官、いまお聞きになったとおり、寄付金の中にも、全額課税対象から外す、損金に算入されるというものがあるわけです。そこで、大蔵大臣が、法人から使途それから期間を指定して、電力会社が自主的に差益国民生活に役立つものに還元できる道を開くということは、宮澤長官、ひとつ経済対策閣僚会議で検討されてよいことではないでしょうか。この点、いかがですか。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは、私の所管をいたします行政ではございませんわけですが、もしいまの御指摘の点について意見を求められたといたしますならば、私は、この差益はやはり利用者還元をすべきものであると考えますので、その他の公目的慈善目的等々、それは有意義なことはいろいろございましょうと思いますけれども、やはりそうではなくて、利用者のために使用されるべきものである、利用者利益に直接結びつく形で使われるべきものである、もし意見を求められますれば、私はそう考えます。
  25. 安田純治

    安田委員 それは、料金値下げという形で利用者に直接還元されればそれにこしたことはないわけで、われわれもそれは望んでおるので、国会でもあらゆる委員会でいろいろこういう論議は出るわけなんですけれども、この料金値下げということでは応じない、値上げはしないということで還元しているんだとおっしゃるのできょうの質問になったわけなんでして、そこで、私、前からお伺いしているように、各省庁間の調整機関としての企画庁役割り宮澤長官は述べておられますので、意見を聞かれたら述べるというのではなくて、むしろ積極的に経済対策閣僚会議などで検討するイニシアチブを経済企画庁長官としてとるべきではないかということと、もう一つは、前に御質問しましたように、直接利用者還元することが望ましい。われわれも望むところなのですが、一方考えると、一軒頭、先ほど言ったように大した金額にならないという一つ問題がございますし、それから、円高なるものが、結局国民全体の努力の結果であるということから見て、一つ方法として何千万国民に対する還元ということもまた一つ考え方ではないかということで知恵を出してもらいたいということを一番最初に申し上げたわけなんです。ですから、利用者還元していただくならこれが一番いいことなんです。しかし、これがどうも値上げをしないということだけで非常にガードがかたいので、われわれとしては別な知恵を出す必要があるのじゃないか。しかも、それは全く理屈に乗らないわけじゃなくて、円高差益なるものが国民全体の努力によってできたものであって、そういう点では国民全体にバックする何らかのことを考えるべきだという趣旨なんです。ただ、この方法はあくまでも電力会社の意思にゆだねられているという一つ弱点があるわけです。電力会社寄付する気ならそれでいいのですが、まさか寄付を強要するわけにはいきません。ただ、いま言ったように指定寄付金や何かの制度をつくって、電力会社円高差益国民納得のいくように寄付するという道を開いてやるというだけで、それを実際実施するかどうかは、各電力会社寄付ですから任意にゆだねられるという弱点があるわけです。  そこで、最も合理性のある方法といたしまして、特別立法を制定することも考えていいんじゃないか。これは公共福祉社会福祉に役立つ部門に差益を集中的に吐き出させるという方法特例法で定めるというやり方なわけです。これは一つの提案といいますか、料金値下げをしてもらいたいというのが第一の願いなんですが、それ以外の知恵として、たとえば公衆街路灯の設置、これは現在、住民自治会とかあるいは自治体負担でやられておるわけです。ただし、私調べてみましたところが、若干は電力会社寄付しているようでございまして、たとえば福島市の場合をとってみますと、東北電力防犯灯寄付をやっております。昭和四十九年十灯、五十年二十灯、五十一年三十灯、五十二年四十灯、五十三年は、二期に分けるのかどうかわかりませんが二十灯というように予定されておるので、円高差益があるにもかかわらず、むしろ五十二年度より五十三年度の方が減っているような感じがしますが、とにかく東北電力もちゃんといままで為替差益や何かが問題にならないときでも地方自治体に防犯灯寄付しているわけです。この推定価格は大体五十三年度で一灯一万五千円くらいで、ポールを入れると二万五千円、既存の電柱につければ一万五千円くらいで間に合うそうです。郡山市の場合は、人口二十七万の都市ですが、これで見るとやはり東北電力が四十九年度十八灯、五十年度二十三灯、五十一年度三十一灯、五十二年度三十七灯というふうになっておりまして、五十三年度寄贈計画灯数は大体三十灯前後と言われ、上半期としてすでに十六灯が大体決まっておるそうです。下半期も同じですと三十二灯で、これまた円高差益問題になっている今日の方が寄付灯数は意外と少なくなっている。これは不思議な現象と思うのですが……。  こういうように、実際円高差益問題になる前から街路灯の寄付なんか多少やっているわけです。こういう点で、自治体の財政不足でまだまだ街路灯が足りなくて、暗いところがあって防犯に問題があるというようなことが言われておりますし、また新興住宅街といいますか市街地の開発が行われておりますようなところで、どうも暗いところが非常に多いという点もございます。これは一つの仮の提案ですが、こういうところに回せば、一気に改善が進むわけです。一カ所一万五千円で済むわけですから。全国に円高灯というともしびがともって非常に明るくなって、名実ともに町が明るくなる話じゃないか。こういう知恵を出してもいいんじゃないかと思うのですよ。ただ料金を下げるのは大した金額にもならぬし、だから抑えるのは還元だというだけにとらわれずに、ひとつそういう公共的なものに使うということだって一つ方法ではないか。こういうことを特別法という手段でやるのは合理性があると思うのです。通産省もその点は、内容は別として、そういういろいろな知恵を出すということが合理性があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  26. 服部典徳

    服部政府委員 御指摘のように、電気事業社会的使命の達成という意味から公共的な資金を応援、助成をするということは、一定限度が必要かと思いますが、それはそれなりに望ましいことだというふうに考えております。いま御指摘のございました街路灯につきましても、九電力会社で年間大体一億内外の助成を、地元の防犯協会の要請によりまして行っているようでございます。地域社会との触れ合いということを考えますと、一定限度の中でそういった社会的使命を達成する、役割りを果たすということは望ましい、かように考えておるわけでございます。
  27. 安田純治

    安田委員 いま申し上げましたように円高差益問題にならないころからもずっとある程度は寄付していられるわけです。九電力でもって一億円と言いますが、まあ円高差益全部を防犯灯にぶち込めと言っているわけじゃないです。東北電力は去年は五十五億円の円高差益があるようですが、仮にそうするとすれば東北全体がばっと明るくなる。まあ全部使えとは言っていませんけれども、そういう知恵だってあるのではないか。ただ料金値上げしないとか、下げても大した金額にならぬとか、そんなことだけにこだわるのではなくて、円高差益還元の手段としての話ですけれども、そういう知恵もあるだろう。  それで、私は差益の全額を投入しなくてもいいと思うのです。その還元方法一つに限ることもない。防犯灯をつくれということだけを主張するわけではない。将来に備えて金利のかからない資金を持っていることもそれはあっていいと思うのです。しかし、福祉施設などへの寄付もやる、自治体を受けざらとして公共利益に使うための協力金として吐き出すこともやる、必要ならば特別立法があってもよいというふうに私は考えるわけです。  この中には、もう一つたとえば農業用電力、これは御存じのように、農業用電力を引いておきましても農繁期とか必要なときしか使わない。たとえば電熱苗床なんかつくる場合、苗を育成するときだけ使うわけですが、基本料金は一年じゅう取られているわけです。これは不合理だということが言われておりますけれども、そういうような問題もございます。だから農業用電力のうちの農閑期の基本料金をまけるというようなやり方還元するということも一つ考えられる。  あるいは、地方自治体の水道料金に含まれている電力料金、これも私の地元の福島市、郡山市でその電力料金を調べてきましたけれども、相当な金額に達するわけです。ですから、地方自治体、公営企業体の水道料金における電力料を軽減する、こういうやり方で吐き出す方法もある。だから、何でもかんでも従量制の電灯料を一キロワット当たり〇・何銭というような細かい計算をしてまけろと私どもは主張するのではなくて、いろいろなやり方が本気でやる気ならあるのではないか。  あるいは、定額制の電灯料、たとえば街路灯なんかそうですが、これは地方自治体である程度補助をしたりして町内会で負担しているのですね。この定額制の電灯というのは、東北電力で見ますと、去年でしたか電気料金が十九億円なんです。そうすると、五十五億の円高差益ですから、十九億円を二年分やったってまだおつりが来るわけです。そうすると、町内会負担でなくて防犯灯がともる。まさに円高差益が目に見えた形で国民還元される。宮澤長官のおっしゃるように利用者還元されるべきものだとすれば、水道料の中の電力料金あるいは防犯灯における町内会の負担——これは定額制の電灯ですから、料金計算もめんどうくさくなくて事務手続も非常に単純だと思うのです。一灯幾らでしょう。だから数を掛ければ簡単にわかるわけです。一キロワット幾らという従量制のものをまけろといったら、それは事務手続もいろいろ大変でしょうけれども。そういう知恵もあるのではないか。  そういう意味でもありますし、あるいは不況産業に対して特別割引という暫定料金を定める方法もあっていいんじゃないか。現行法と制度の枠内ですぐできることが幾つも考えられるのじゃないかと思うのです。宮澤長官いかがですか。特別の緊急立法という方法もある。あるいは、寄付をしやすいように大蔵大臣の指定による指定寄付という形、これも先ほど提案したようにやっていく。こういうことであらゆる方法を組み合わせ、駆使することを提案したいわけなのです。料金変更は、円高差益の出ている大企業にも電気代をサービスすることになってしまいますし、さまざまな手続、事務量もかかります。もっとよい方法があるのではないかということなのです。  以上、宮澤長官通産省に答弁を求めたいわけです。また、物特委としても理事会で私の提案を御検討いただきたい。つまり、料金値下げをするかしないか、従量制の電灯料金を値下げするか、据え置くかということ以外に、いろいろな知恵があるはずだということです。宮澤長官のおっしゃるように、どうしても利用者に対する還元ということにこだわるならば、まさに自治体の水道、屎尿処理などの電力料金をまけるとか、定額制の街路灯などの地元の負担をまけるとか、こういうことになれば電気の利用者還元するということにもなります。こういうあらゆる方法を駆使する必要があると思いますし、国会でできることをまずわれわれはやらねばならないというふうに思うわけです。そのためにこそ円高問題で集中審議を生かすことにもなるし、立法措置ができればそれは最大のものと思います。  まず宮澤長官通産省に、いままでのような考え方だけにこだわるのじゃなくて、私が提案申し上げましたようないろいろなやり方をひとつ知恵を出してやってみようということで検討するお気持ちがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  28. 服部典徳

    服部政府委員 私どもも、御意見はよくわかりますし、内部でいろいろな面を検討いたしたわけでございますが、先ほど申しましたように、今後の電力会社収支というのを見通しますと、どうしてもかなりコスト増と申しますか、特に設備投資関連で資本費の高騰というのも今後経理をかなり圧迫する要因というふうに考えられるわけであります。五十三年、五十四年、二年間の収支を見ますとかなりむずかしい情勢になるというふうに見通されます。  そういう状況から申しまして、たとえば料金引き下げ、あるいは御指摘のございましたような公共的な部門に限って料金を下げる、不況産業について下げるということをいたしますと、どうしてもその分だけ収支を悪化させますし、還元する前に比べて次の料金値上げというものがどうしても近く予想されるという事態が考えられるわけでございます。そういった収支の予想から申しまして、一定の額を還元に使うということは必ずしも適当な方法ではないのではないかという結論に達したわけでございまして、収支の許す範囲で社会的な使命と申しますか、地域社会とのつながりという面でできるだけの還元策を考えるのは当然でございますけれども特別立法等によって大幅な還元を図るということは今後の収支からいってむずかしい、かように考えております。
  29. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 せっかく一つの御提案をしておられますので、それに反論を申し上げることは私は余り気が進まないのでございますけれども、しかし、お答えしなければならないとすれば、円高差益電力会社に生まれた、したがって利用者はそれを返してもらうという、いわば期待権を持っているというふうに原則として考えるべきではないかと思います。  そこで、その期待権を還付という形で返しますならば、これで問題は解決するわけでございますけれども、そのことが国民経済的に余り有意義でないという判断をいたしますならば、将来利用者の期待権に沿った形でこれを使う、原則問題としてはそうなければならないのではないかと私は考えておるものでございますから、御提案の意味はよくわかっておりますが、どうも筋道からはただいま申し上げましたように考えざるを得ないと思います。
  30. 安田純治

    安田委員 時間が来ましたので押し問答しておってもしようがないのですけれども長官みずから先ほどおっしゃいましたように、円高差益が蓄積されておる、これを何らかの形で還元する必要があるということが一つ。もう一つは、これが将来還元されるようにちゃんと取っておくといいますか確保される道がなければならないという意味のことをおっしゃいました。また昭和五十四年度の収支の方を見るとどうとかこうとかおっしゃいますが、国民の側から見れば、電力会社円高差益が本当に別建ての会計にでもなって、今度は赤字のときにそれを補てんしていって、幾らとはっきり公表されて、東北電力で言えば五十五億なら五十五億というものがきちっと別に取っておかれて、ほかのことに絶対手をつけちゃいかぬ、そしてどうしても原価計算して値上げせざるを得ないときにそこからびちっと取り崩す、そういう何かきちっとした枠でもあれば別ですけれども、全体的な収支となると、円高でもうかった部分がいつの間にかいろいろな形でにじんでいって、五十四年度に値上げが必要になるか、五十五年度に値上げが必要になるか、そのときに円高差益の分は一体どこへ行ってしまったのだということで国民納得しない計算だってされる危険があると思うのです。ですから、そういう点ではぜひ検討していただきたいと思うわけです。  今度は委員長にお願いしたいわけですけれども、従量制の電灯のキロワット当たり電気料金をまけるということ以外に、こうした公共的に使うあるいは地方自治体の水道の電力料金を下げるとか、農業用電力のうちの農閑期の部分の基本料金をどうかするとか、定額制の街路灯の地元負担をなくすとか、私が提案したのは仮の提案でして、これに限りません。知恵を出せばいろいろな知恵があると思うので、物特委でこういう提案を何らの形で具体化するようにひとつ理事会でも御検討いただきたいというふうにお願い申し上げたいのです。  時間が参りましたので、宮澤長官も、人間の顔を持った経済政策を実行していただくという意味で、余りコンクリートな形でやるのじゃなくて、柔軟に考えて、みんなが働いて、いろいろトラブルはあったけれども円高になったものの一部はそういうことがある、そうしたら、街灯が明るくなったとか、水道料金が幾らか安くなったとか、あるいは水道料金における地方自治体の赤字がそのことによって幾らかでも解消したとか、何らかの形で国民納得するという政策を実行していただくように強く希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  31. 美濃政市

    美濃委員長 安田君の提案は理事会で検討してもらうことにいたしたいと思います。
  32. 安田純治

    安田委員 よろしくお願いします。
  33. 美濃政市

    美濃委員長 依田実君。
  34. 依田実

    ○依田委員 きょうは、土地の値段、また最近よく取り上げられておりますミニ開発の問題、この二つの問題を絡ませていろいろお聞きをしたい、こういうふうに思うのであります。  もうちょっと古くなりましたけれども、四月一日にいわゆる地価の公示価格、こういうものが発表になっております。それを見ますと、東京圏などでは住宅地の地価の上昇率が約三・五%、おおむね安定的に推移、こういうふうに書いてあるんであります。しかし実際のいわゆる実勢価格、実際の取引の価格を見ておりますと、この公示価格とは極端に離れておるとわれわれは思うのであります。この公示価格というのはそもそもどういう目的でお出しになっておるのか、その辺をひとつお聞かせをいただきたい。
  35. 久保木哲彦

    ○久保木説明員 お答えいたします。  地価公示制度でございますけれども、これは昭和四十四年に地価公示法が成立いたしまして、四十五年から地価公示を行いまして今回第九回目を迎えたわけでございます。この地価公示制度は土地の価格、この正常な価格というものが一般人にはなかなか識別できないというようなことがございますので、専門的な不動産鑑定士というものが育成されておりますので、それの鑑定評価活動を通じまして適正な価格、これを一般に公示する、それによりまして一般の土地取引、これを適正なものへと誘導しようというようなことを目的としてつくられたわけでございます。  この公示価格は、御案内のように公共用地の取得に際しましてはこれを基準として価格を算定して補償するというようなたてまえを法律上とっておりますし、そのほか、それが収用というような段階になりますと収用委員会でこれが尊重されるというような形で法律の効力というものが担保されておるわけでございます。その後四十九年に国土法ができまして、これによりまして届け出制等ができておるわけでございますが、この届け出制におきましてもこの地価公示価格というものを基準にした価格で地価の取引の規制というものが行われているというようなことでございます。  このように適正な地価というものを一般に公示して地価を、一般土地取引を適正化させるというものと同時に、いろんな法律的な取り合わせをもちまして地価の適正な誘導化、これを図っていこう、こういうことでございます。
  36. 依田実

    ○依田委員 いまの目的の中の公共用地の取得や何かの場合にこれを基準にする、これはきっとそれでいいだろう、目的は達しられていると思うのでありますけれども、しかし一般の取引の目安にするという方は、私はいまのこの公示価格と実勢価格が余りにもかけ離れているということで役に立たないんじゃないか、こういうふうに思うのであります。  私が住んでおります板橋区、この公示価格の場所は板橋区常盤台二の二十というところが出ておるのであります。これは私の事務所のすぐそばでありますからよくわかるのでありますけれども、この表によりますと、坪に直しますと大体五十五、六万ということでございますけれども、先般私の友人がすぐそばで買いましたときは坪八十五万であります。そうしますと、約三十万近い差があるわけであります。東新町一の二十八の二というところ、これも出ております。これも公示価格によれば、坪に直しますと約四十三、四万になるところでございますけれども、私の自宅から百メートル以内でありますから、よく取引が行われるのを聞いておりますけれども、坪七十万で取引される、これも約二十万以上の差がある。こういうことで、どうも公示価格が余りにも低過ぎるのではないか、こういう気がするのであります。こういうのはどういう計算方法あるいはどういう地点を選んでおとりになっておるのか。実際の最近の宅地取引価格と余りにかけ離れているという気がするのでありますが、その点、いかがでしょうか。
  37. 久保木哲彦

    ○久保木説明員 ただいま実際の地価と公示価格とが乖離しておるというような御質問でございますけれども、私どもが地価公示をしておりますのは、これはあくまで経済社会の実勢に合った適正な価格という意味で正常な価格を公示しておるわけでございます。  ただ、鑑定評価の手法といたしまして確かに取引事例比較法というようなもの、これは現実の取引価格というものを調査いたしまして、その中で、実際の取引におきましては個別の相対の取引でございますので、その中にはいろいろな正常でない動機、事情といったものが介在しております。したがいまして、実際の取引の中からそういう動機あるいは特殊な事情といったようなものを捨象いたしましてその価格というものを算定する方法というものがございます。そのほか、地代等を基礎にいたしまして土地の価格を推定する収益還元法といったような方法もございます。そのほか、造成費用でございますとか、そういった土地の原価の方面から価格というものを推定してまいります原価法といったような、こういう三つの方式がございまして、そういう方式というものを駆使いたしまして練達した不動産鑑定士あるいは不動産鑑定士補といったような方々が評価に当たるというようなことでございます。しかも、その一地点につきましては二人の不動産鑑定士等がこれの評価に当たるということでございますし、また、全国で百八十二の分科会というものを設けまして、一分科会十人程度の不動産鑑定士が相集まりまして、一月一日の公示価格に対しましてもう七月段階ころからいろいろな地価情報といったようなものを相集まって検討するわけでございます。こういうようにいたしまして練りに練ってこの公示価格というものが最終的に決定されるというようなことでございますので、私どもは実勢に合った適正な価格であるというように考えておるわけでございます。
  38. 依田実

    ○依田委員 これは水かけ論になりますが、実際問題として私が見聞きしております私の周辺の実際の土地の取引される価格とここに載せられておる価格の間に非常に乖離があるということだけはぜひひとつ御記憶をいただいて、これからのいろいろそういう計算方法などについてもう一つ御検討いただきたい、こう思うのであります。銀行などはこれを非常に参考にしておりまして、担保に取るときにはこの価格で担保に取るわけですから銀行には非常に便利でありますけれども、実際問題として土地をお買いになる方にはほとんど役に立たない、こういうふうに思うのであります。  ところで、ここへ来ましてまた一つ土地が値上がりしつつある、こういう心配があるわけであります。これはことしの年初の福田総理大臣のデノミ発言、こういうものがありまして、いわゆる換物運動、こういう方が活発になっておるのではないかと私は思うのであります。資産を持っていらっしゃる方は非常に敏感であります。自分の資産が減ることについては非常に敏感でありますから、この発言があってからいろいろな貴金属、そういうものの取引も活発になっておりますけれども、土地の方も非常に活発に動いてきている、そういう傾向があるのであります。先般もある大きいデベロッパーの方とお会いしていろいろお話をいたしましたけれども、ことし一月から三月の間で去年一年分に相当する売り上げを上げておる、こういうことを言っております。また私の家などに入ってくる広告などを見ておりますと、最近非常にまた別荘地などの宣伝なども激しくなっておるようであります。宅地の方も、これも私の身近な問題でありますから数字を挙げて申し上げますけれども、昨年の十一月に坪約七十万で売買された土地のすぐ隣がこの四月には八十万で売買されている、こういうようにこの正月から三月ぐらいまでの間の値動きというのは大変なものじゃないか。これは例の過剰流動性というものが土地に流れ込んできているのかどうか、その辺はわかりませんけれども、いずれにしましても地価の高騰というのは最近非常に目に余るものがあるのじゃないか。特に銀行が、宅地ならば幾らでも貸すから買え、こういうようなことを最近いろいろ業者などに言っておるようでございまして、そういう意味での地価の高騰に対して、最近の動きというものを把握されているのかどうか、そしてまた、それに対するお手当てを早急になさろうというお考えがあるのかどうか、この辺を伺わせていただきたいと思います。
  39. 久保木哲彦

    ○久保木説明員 最近の地価動向につきましては、これは地価公示もそうでございますけれども、土地鑑定委員会が公示をいたしておるわけでございますけれども、この土地鑑定委員会が四半期ごとの地価の状況というものを調査いたしましてこれを公表してきておるわけでございます。この一月から四月にかけての、これも私ども第一・四半期と呼んでおりますけれども、この第一・四半期におきます調査結果においては、過日発表いたしたわけでございますが、これによりますと、全国では〇・七%の上昇、住宅地でまいりますと〇・八%という上昇率を示しておるわけでございます。
  40. 依田実

    ○依田委員 どうもその統計が遅いのかあるいはとり方に問題があるのか、いつも後手後手、実際の価格の高騰を反映してない統計、そういうような気がするのであります。ひとつこの点についてはいろいろ御検討いただきたい、こう思うのであります。  そこで、きょうの主題でございますけれども、そういうふうに宅地が高騰してくる、その中で住宅を取得するというのは非常にむずかしくなってくるわけであります。大体ある所得以上の方はもうすでに住宅をお持ちになっておる。あるいはまた大企業にお勤めの方はいろいろ社内のそういう住宅に対する融資制度が発達しておりますからよろしいのでありますけれども、そうじゃない、本当にこれから住宅を求めようというのは、ある程度、非常に低所得者になってくるわけであります。いままで宅地、住宅を買えなかった、そういう方々にだんだん層が下がってくるわけであります。そうしますと、ますます宅地が上がる、所得が低い人が買う、こういうことで、結局求められる住宅の規模と範囲というのは限られてくるわけであります。それがいわゆる最近問題になっておりますミニ開発、こういうところへ典型的にあらわれてきておるのじゃないだろうか、こういうふうに思うのであります。  国会で、社会党の方だったかと思いますけれども、の質問に対して、福田総理が、ミニ開発は規制するのだ、こういうことを言われたのであります。確かにミニ開発住宅というのはいろいろ問題を含んでおりますが、これはいろいろこれから申し上げますけれども、住宅政策都市政策のなかった、そこの谷間に咲いたあだ花でありまして、ただこれを規制するんだ、いまのままで規制するんだ、ほかのことをやらないで規制するんだということですと、貧乏人は家を持つな、こういうことでありまして、この福田総理の発言があった後、行政官庁の方はどういうふうな方針をいまお立てになっているのでしょうか。
  41. 渡辺尚

    ○渡辺説明員 ミニ開発に対する対策をどう考えておるかという御質問だと思いますが、御指摘のように、ミニ開発がわれわれの所管しております開発許可、この制度から見ましても、年々いわゆる小規模な開発がふえているという実態があるわけでございます。こういったミニ開発が都市の防災上、居住環境上も非常に問題があるということは御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましては、まずやはり計画的な宅地開発、こういったものに誘導していく、あるいは防災的な観点から再開発というものを進めていくということが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。  当面の対策といいますか対応といたしましては、都市計画法の開発許可の規模の引き下げ、これもいろいろ地方に事情がありまして限界があるかと思いますが、こういったものを都道府県に指導していくといったこと、あるいは建築協定の活用、こういったものによってその対応をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  42. 依田実

    ○依田委員 後でまたもう少し詳しく伺いますけれども、現実としては、宅地の規模というものはだんだん小さくなりつつある、これはもう厳然たる事実じゃないかと思うのであります。  東京の例を見ますと、昭和三十八年に宅地の所有者の数が約六十八万人、それが五十一年には百二十三万人、つまり約二倍近くなっておる。ということは、持っておる土地の広さは必然的に平均二分の一になる、こういうことだろうと思うのであります。昭和五十年の一月から十二月までの東京都で宅地を新しく持った、つまり増加した数は三万五千七百人でありますけれども、このうちいわゆる百平米以内、つまり三十坪未満の人が約六〇%以上を占めておる、これはもう現実じゃないか、こういうふうに思うのであります。  国土庁の方で、最近ミニ開発の実態調査をなさったと伺っておりますけれども、その実態調査の結果はどういうように出ておるのでしょうか。
  43. 久保木哲彦

    ○久保木説明員 国土庁でミニ開発実態調査を行いましたが、その結果について申し上げます。  これは昭和五十年七月一日から昭和五十一年八月末までの十四カ月間に売り出されました第一種住居専用地域、第二種住居専用地域及び住居地域にある建て売り住宅について調査いたしたものでございますが、東京地区三百件それから大阪地区におきまして二百件、計五百件についての調査をいたしたわけでございます。開発面積が二千平方メートル未満、一団地の区画数が四以上のもののうち、私道敷地面積を含む一区画の面積が百平方メートル未満のものというような条件を一応当てはめまして、五百地点についての調査をいたしたわけでございます。この調査には不動産鑑定士、不動産鑑定士補が当たりましたが、ミニ開発業者の売り出しパンフレット等を基礎にいたしまして、必要に応じまして関係者からの聞き取り等をいたして行ったものでございます。  この調査結果でございますが、まず第一点といたしまして開発面積あるいは平均区画面積がどうであるかということでございます。開発面積につきましては、東京地区、大阪地区若干違っておりますけれども、全体といたしますと六百二・二平米ということでございました。それから一区画当たりの有効宅地面積の平均は、東京地区では六十八・七平米、大阪地区では六十五・九平米、きわめて小さくなっております。その土地の上に延べ床面積、東京地区では六十四・三平米、大阪地区では六十八・三平米といった建物が建築されておりまして、この結果、有効宅地面積当たりの容積率は、東京地区では一〇一・三%、大阪地区では一〇八・三%というような状況になってございます。  次に、販売価格がどうなっているかということでございますけれども、これはパンフレット価格から値引きをいたしておりますので、聞き取り等によりまして割引率、そういったものも調査をいたしまして推定をいたしたわけでございますが、この結果、土地建物全体の販売価格の平均につきましては、東京地区では千九百八十五万円、大阪地区では千五百九十万円といった状況にございます。また、それでは販売価格でなくて適正と認められる標準的な価格はどうであろうかということを一方で推定をいたしたわけでございますけれども、この推定標準価格の平均につきましては、東京地区では約千七百五十万円、大阪地区では千三百七十万円、これが適正な価格ではないだろうかという推定を行ったわけでございます。その結果といたしまして、推定標準価格の平均に対します実際の販売価格の平均の比率、これは東京地区では約一一四%、大阪地区では約一一六%ということで、全体平均をいたしますと一五%割り高であるという結果が出たわけでございます。
  44. 依田実

    ○依田委員 いまの実態調査を見ましても本当に土地は二十坪そこそこ、その上に大体大阪は千五百、東京千九百、いずれ平均しても千七百万円、このくらいで販売されておる、こういう実態であります。これは五十年ですか、いまから約三年前の統計でこういう数字が出ておるわけであります。そうしますと、この販売価格という方は、これはいまでも大体このくらいの値段じゃないと売れないはずであります。二千万を超してくるとなかなか売りにくくなる。そうなってくると、販売価格が三年前とそう違わないでおるということになるとますます土地は少なくなってくるはずであります。そうしませんと買えるような住宅が建たない、こういうことになるはずであります。実際問題としてこういうミニ開発をお買いになっていらっしゃる方の支払い方法というものがどういうふうになっているか、その実態調査ではお調べにならなかったというお話でございますけれども、本当にもう頭金というのは二百万円か三百万円しか払えないのであります。あと千五百万円以上はローンになる。そしてそのローンもいわゆる銀行ローン、その買われる方が自分で銀行からローンを借りられる、そういう所得の方々じゃないのであります。その方々はせっかく都心のアパートにいて、そのときは銀行へある程度積み立てなどをするのでありますけれども、実際今度はミニ開発の場所を買う、少し郊外へ出る、そうしますと取引銀行が変わる、そうしますともう今度の新しい銀行は同じ系列の支店があっても貸してくれない、そういうような低所得者の人たちがこういう住宅をお買いになっておるのです。われわれもこの支払い方法をよく調べましてびっくりいたしましたけれども、もう少し現金をお持ちになっておるのじゃないか、少なくとも七、八百万は現金でお出しになっておるのじゃないか、こういうふうに思いましたところが、本当にもう三百万現金で出せばいい、こういうところであります。ですから、もちろん住宅金融公庫の金なんぞは利用できませんし、ローンもいま申し上げましたことでいわゆる提携ローンという金利の高いローンを借りざるを得ない。こういうことでこの方たちは仕方なくこのミニ開発の住宅をお買いになっているわけであります。確かにこの弊害はあるのであります。先ほど課長が言われましたように、隣と軒を接するように建っておりますから、もちろん日照権はありませんし、通風もない。あるいはプライバシーの問題からすれば、これまた最悪の状態であります。災害時にはこれは大変なことになるだろうし、もちろん町の美観から言えば、これも損なう。ましてや十年後にはスラム化してしまうのじゃないか、こういうような心配があるのがこのミニ開発でございます。しかしながら、実際問題としてこれだけ数があり、そしてまたそれを要求する人がいるんだという実態はわれわれはよく考えなければならぬのだろう。ですから、大きい家に住んでいらっしゃる方が、自分の周りにそういう細かい家が出てくれば、それは規制してもらいたい、そういうことを言われるだろうし、いろいろ福田総理が規制する、こういうふうにおっしゃるのも、実態をおわかりにならない方は簡単にそういう言が吐けるのじゃないか、こういうふうに思うのであります。しかし、本当にそういう問題が現実にある。そうして、ではそれがなぜ増加しておるのかということをわれわれは考えてみなければならぬ。一つは、もちろんいま申し上げました買う人の所得と購買力、この問題ではございます。しかし、そのほかにもいろいろ外的条件があるのであります。  幾つか申し上げますけれども、そちらの方はもうよく御存じであります。  一つは、いまいろいろ広い、大きい開発をする場合には開発許可が必要になっております。地方自治体でいろいろ許可をするのでありますけれども、その場合に、本来ならば地方自治体で整備すべき公共関連施設をその開発業者にやらせる。われわれの東上線でありますけれども、ここは非常にミニ開発が多いのであります。埼玉県もその中に入るのでありますけれども。こういうところの例を幾つか聞いておりますけれども、三百坪以上開発をするようになると集会所をつくれとかいろいろ無理難題を地方公共団体が言ってくるわけであります。そして、では土地が提供できないならばその分お金で出せ、こういうわけであります。地方自治体に吸い上げられたそのお金が果たして公共関連施設に使われているのかどうかということになると、これも問題がある。そういういわゆる開発に要する負担金が高い、こういうことでそういうものの必要のないミニ開発に業者がいく傾向がある。これが増加の一つの原因であります。  二つ目は、建築の許可の行政のあり方、これも絡んでいるのじゃないか。最近は日照権あるいは公害問題で、マンションをつくりたいということで区役所などへ参りますと、基準に合っておっても、隣近所から不平が出ておる限りはその問題を解決しないと許可をおろさない、こういう状態になっておる。こういうようなこともマンションみたいなものをつくるよりは、ではめんどうくさくない小さい木造住宅を建てようか、こういうことになるわけであります。いろいろ原因があるわけでありますけれども、その中から幾つかの点について御質問をさせていただきたい、こういうふうに思うのであります。  まず、さっき最初に申し上げました公共施設。地方でいろいろ整備費を不当に——不当という言葉が当たるのかどうかわかりませんけれども、非常に過重なそういうものを要求しておるケースが多いのであります。そして、それが先ほど申しましたように、公共施設をつくるときに、そのお金で地方自治体がつくってくれればいいのですが、そうではない、財政難の折ですから、雑収入みたいな形で一般財源の補てんに使われておるというケースがどうも多いような感じがするわけであります。こういうような点については、どういうふうにお考えになりますでしょうか。
  45. 渡辺尚

    ○渡辺説明員 関公負担の問題についての御質問かと思いますが、御指摘のように、三大都市圏とか、要するに人口が非常に急増するところでは、市町村が宅地開発に伴って非常に財政的に負担がかかるというようなことから、言ってみればやむを得ざる措置として、開発指導要綱という行政指導の形で、いま先生御指摘のような負担とかいうものを課しておるというのは確かに実情だと思います。  この場合に、その基本的な問題というのが、いわゆる市街地の膨張に対する都市施設の整備がなかなか追いつかないということ、それから地方財政というものがなかなかそれにたえていけないということにありまして、したがって、こういう観点からわれわれは、地方財政負担を軽減したということで、従来から、たとえば立てかえ施行制度を、これは年々拡充してきておるわけでありますけれども、そういったものによって地方財政負担を軽減していく、あるいは、そういった人口急増あるいは児童生徒急増市町村について国庫補助率を引き上げる、これをやっておるわけでございます。さらに、そういった関連の公共事業、公共施設あるいは公益施設を整備する際の地方債について、かさ上げ地方債という制度をつくりまして、それについて一定の利子補給をする、こういったようなことをやっておる。さらに、先ほど申しました基本的な問題であります公共施設の整備につきましては、極力国庫補助に採択して整備をしていくという形でやってまいったわけでございますが、五十三年度、今年度からは、三百億という予算を計上していただきまして、特に住宅あるいは宅地開発に伴う関連公共施設の整備に充てるという別枠の制度をつくっているわけでございます。こういう形で対応していきたいというふうに考えております。
  46. 依田実

    ○依田委員 きょうの朝の新聞などを見ておりますと、いまおっしゃった関連公共施設の整備促進のための費用三百億、これをいま受け付けを募集しておる、こういうことでありますけれども地方公共団体としてある程度負担をしなければならぬ、こういうことで果たして需要があるのかどうかという心配の記事もございました。しかし、私は、今度の景気対策を見ておりましても、住宅金融公庫の金をふやしたり、そういうことでと、こういうわけでありますけれども、やはり本来はいま申し上げた三百億、非常に少ない額でありますけれども、こういうものをもっと大幅にして、そしてまた地方への負担を軽くするように補助をする、そういう形にして、郊外の、いわゆる都市社会基盤整備、こういうものをもっともっとやることによって公共事業から景気を刺激する、それがいいのではないかと思うのであります。外国人がよく言うように、日本というのはたくさん所得があるのに、本当に何か下水もない、マッチ箱みたいな、道路の曲がりくねったところに住んでおる、そういうことでは困る。そっちの方から先にしろ、それから輸出してこい、こういうことをよく言われるのでありますけれども、そういう意味でも私は、もっともっと国がいろいろな都市の基盤整備をしまして、本当に便利な郊外づくりをやてくれれば、いい宅地も出てくるであろうし、業者がそんな過重な開発負担金に泣く、そういう必要もないだろう、こういうふうに思うのであります。この点、われわれはひとつ、今度はもっとこちらの方からいわゆる景気刺激をやっていただきたい。  ついでですから、住宅金融公庫の枠を広げられておりますけれども、これを借りられる人は、実際は新しく住宅を建てる方じゃなくて、いま住んでおるところが少し古くなった、それを建てかえよう、こういう方がほとんどであります。私の実家が杉並にありますけれども、杉並の永福町の近所は軒並み新築ブームであります。それもみんなまだ十年か十五年、板橋の方に住んでいる人から言わせれば、もうぜいたくの限り。そういう家に住んでおりながら、この際、住宅金融公庫の金が借りられるということで、それをつぶして、今度は冷暖房つきの洋風の家に建てかえておる、こういう現実であります。非常にアンバランスになっておるわけでありまして、金のある人は幾らでも国の便宜を計らってもらえて、住みよい住宅に住める。しかし、お金のない人は、本当にますます劣悪な城東圏のところへ追い込まれてくる。そういう意味で、これからの住宅政策というのはもっときめの細かい、ただお金を出せばいいというんじゃなくて、そのお金がだれに使われているのか、本当に住宅に困っている人にお金が出されているのかどうかということをぜひひとつ御検討をいただきたい。本当に永福町のあんなりっぱな家を建てかえる必要がどこにあるんだろう、こういうふうに思うのであります。  二番目の、先ほど申しました住宅の建築許可の行政の中で、いわゆる木造住宅は善だ、つまり、これは大体個人が住むのだからいい。しかし、マンションというのはそれでもって利益を図るのだから悪だ。こういうことで、行政区や行政自治体が建築基準をおろす場合にいろいろ差別をしているんじゃないかと思うのであります。どうもマンションだとなかなか許可がおりてこない、そういう点があるのでありますけれども、この辺のことの行政指導というのはどういうようになっておるのでしょうか。
  47. 和田友一

    ○和田説明員 建築基準法上では、木造の建築物であろうとマンション等の鉄筋物であろうと、特段の規定上の差異はございません。一般的に、鉄筋の構造のものが規模が大きいという関係がございますので、周辺の住民の方々が、木造の建物ですと自分の建物とそう違わないということでそれほど抵抗ないんだろうと思うのですけれども、いわゆる鉄筋の建物即規模の大きいものというものにつきましては、やはり非常に異和感があるといいますか、そういう意味でいろいろと問題にされることが多いわけでございます。ですから、法律の規定上はそういうことで両者についての一般的な差別がない。ただ、鉄筋の場合にはいろいろとチェックしなければならない部分がございますので、確認をしなければならない期限が三倍ぐらい、二十一日間というふうに長くなっております。木造の場合には一週間ですが、そういうようなチェックのために必要な時間ということでの差異がございますけれども、法律上は特段の差異はございません。
  48. 依田実

    ○依田委員 一番窓口で許可をおろす方々がもう少しいまの住宅の意識を変えていただいて、東京ではそろそろそういう一戸建ちの家よりもマンション、そういうものの方が効率的である、そういうふうな考え方を少し持っていただきたいというふうな気がするのであります。  三番目のことで、最近宅地が非常に出なくなっておるわけでありまして、宅地がないから、出た宅地には業者が殺到してこの値段をつり上げる、こういうことになる傾向があるわけであります。その一つの解決方法として、これは各方面から言われておることでございまして、先般櫻内建設大臣も、たしかこのことについて御発言になっておると思うのでありますけれども、いま個人の土地を売った場合の税制が非常に厳しくなっておりまして、二千万円以上売りますと非常に高額な税金がかかってくるわけであります。たとえば二千万円ですと四百万円の課税でございますけれども、それの二倍の四千万円になりますと千二百万円、つまり土地のお値段は二倍になると税金は三倍になる、こういうふうになっておるわけであります。  じゃ、二千万でいま何坪売れるかと申しますと、先ほど申し上げましたように、板橋区のような、東京の中でもわりあいへんぴというか場末の方でも——場末というと恐縮ですが、私の方ですから、場末じゃないですけれども、そういう方でも大体坪七十万円くらい。そうすると、たった三十坪しか売れない。三十坪以上売ると物すごい税金がかかってくる。これはもう、少し手直しをする時期に来ているのじゃないかと思うのであります。この際、東京ならば大体五千万円ぐらい。五千万円でも、坪七十万円といいますと七十坪ぐらいしかないわけでありまして、これでもまだまだ不平のある方はいるかもしれませんけれども、ししか最初にこの税制ができたときの目的から考えると、一挙に外すわけにはいかぬだろうと思うのであります。段階的で結構でありますけれども、過疎地の田舎の方は三千万円ぐらいをラインにしてもいいのではないかと思うのであります。そういう意味で、いまの個人の、特に長期で持っていらっしゃる方が譲渡した場合の税制について少しお考えをいただく余地があるのではないかと思うのであります。櫻内建設大臣がたしか一カ月ぐらい前でしたか、御発言になったと出ておりましたけれども、この点は建設省はいかがな御方針でこれから大蔵省当局とお話し合いになるのか、その点を聞かせていただきたいと思います。
  49. 木内啓介

    ○木内説明員 お答えいたします。  個人の譲渡所得税につきましては、先生御指摘のように昭和四十五年から五十年までの間は分離軽課で非常に軽課されまして、段階的な分離軽課ということでだんだん高くなって、最終的に二〇%になるという形で軽課されました。それによりまして、土地がかなり出てまいりまして、いわゆる土地成金を輩出させたとかあるいは社会的不公平を増大させたとか、そういう非難があったわけでございます。もう一つは、供給された土地が最終需要者に必ずしも渡らなくて、法人に渡ってしまったのではないかということもありまして、四十七、八年のいわゆる一億総不動産というような情勢も醸し出しましたので、五十年度の改正が行われまして、五十一年度からは先ほど先生御指摘のように、長期の方は二千万円までは二〇%の分離課税でございますが、二千万円を超える部分につきましては四分の三という総合課税でございますから、先生の御計算のようにかなり高率な税金がただいまかかっているということでございます。  この税制が土地取引を阻害して宅地供給上の一つのネックになっているという声がかなりございますし、われわれとしましても、現在土地取引が停滞している理由は幾つかありますけれども、その一つの要因というふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今後良好な宅地の供給の観点から、やはり慎重にこの問題は検討してまいりたいと考えておるわけでございます。この場合の良好と申しますのは、一つはかつての軽課のときのように所期の目的を必ずしも十分達しないような形で、変な取引に利用されるとか社会的な不公平を増すとかいうことにならないようにということと、もう一つは、出てきた土地がなるべくいわゆるミニ開発とかスプロールにならないような、良好な宅地開発につながるという保証をどこに求めたらよいかということを総合的に検討してまいりたいと考えているわけでございますけれども、ただ一つ問題ございますのは、この制度がいわゆる租税特別措置法で五十五年度、いわゆる再来年までの期限を切りました約束になっておる制度でございますので、その五十五年を待たずしてどんな改正をやるかということが問題でございますし、もう一つは宅地供給という立場だけから譲渡所得税の問題を云々していいのかどうかという問題がございますから、当然関係各省ともいろいろ御相談して勉強してまいりたいと考えているわけでございます。
  50. 依田実

    ○依田委員 いま室長がおっしゃったような社会的不公平にならないように、あるいはまた優良な宅地が出るようにという線で、これはぜひ前向きに御検討いただくのがいいのじゃないか。先ほどの土地の価格と二千万円というラインを見てみますと、いかにももう現実に合わない、そういうふうになっておるわけであります。そういう意味で、これはぜひ前向きに御検討いただきたいと思っております。  それからもう一つ、これも同じように、例の土地ブームのときに行われたいわゆる調整区域という問題がございまして、中には、もう市街化区域に近いところで市街化調整区域からそろそろ外してもいいようなところもあるはずであります。そういう意味で、こういうものを少し微調整するようなお考えがあるかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  51. 海谷基治

    ○海谷説明員 お答えいたします。  先生いま御質問のいわゆる市街化調整区域の線引きの問題でございますけれども、これは現在全国で三百十二ばかりの都市計画区域につきまして線引きが行われております。そのうち、昭和四十六年までに線引きが行われました二百八十程度の都市計画区域につきましては、五年程度経過しておりますので、都市計画法に基づきまして、人口あるいは産業の動向とか土地利用の動向とか、こういう基礎的な調査を行いまして、それに基づきまして線引きにつきましても見直しをするという時期にかかっておるわけでございます。したがいまして、現在二百八十程度の都市計画区域につきまして、都道府県、関係市町村におきまして線引きの見直しの作業が行われております。それで、現在までにそのうちの大体八十ぐらいのものが完了しておるということでございまして、あとにつきまして、は現在いろいろと作業を進めておるという段階になっておるわけでございます。  この線引きの見直しの今後の推移といいますか、どんな見直しの状況になるかということでございますけれども、市街化区域全般につきましては、まだ中にかなり宅地化すべき農地等もございますので、一般論としましては、この見直しによりましてそうたくさんのパーセントの市街化区域の増大になるというふうに考えておらないわけでございますけれども、やはり良好な宅地を供給するという観点の土地政策上の問題、あるいは先ほどから御議論ございますミニ開発の問題、そういうことにも関連いたしますので、優良な、良好な宅地供給事業、開発事業が予定されております区域、こういうものにつきましては、事業主体が公的であれ民間であれいずれを問いませんけれども、そういうちゃんとした宅地開発事業の予定があるところにつきましては、これをできるだけ市街化区域に入れていくということで見直しを行うように指導をしてまいりましたし、また今後ともそういう方針で指導をしてまいりたいと考えております。
  52. 依田実

    ○依田委員 ぜひこれを合理的な、そしてまた実勢に合う線引きの見直しをやっていただきたい、こう思うのであります。ただ、いわゆる大企業が持っている市街化調整区域を外すというような政治的なことば余りなさらぬで、本当に宅地になるようなそういう線でやっていただきたいと思います。  それから、これはミニ開発とは関係ございませんけれども、いまの都心——だんだんUターン現象といいますか、通勤電車で二時間も三時間も通うというのは大変でありまして、都心へ近いところに住みたいというのは人情であります。一方顧みて、東京の都心なんかを見てみますと、環状六号線の中で広い庭を持って一戸建ちで悠々自適という方がまだまだ多いのじゃないかと思うのでありまして、いまの社会情勢から言いますと、こういうところへ庭つきで住んでいらっしゃる方は、逆を言えばちょっとのいていただく方がいいのじゃないかと思うのであります。こういう方は、固定資産税を上げるなりして、容積率の高い建物でなくては後で採算合わない、こういうふうにしていただきたいのであります。宮澤長官には大変申しわけありません、宮澤長官の家は環六の中ですから固定資産税が高くなって申しわけありませんけれども、そういう方向はいかがなものか。つまり都心に近いところの固定資産税を大幅に引き上げるというようなことをしていただきたい、こう思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  53. 和田友一

    ○和田説明員 固定資産税の問題についてどうかというお話でございますが、いささか所管も違いますのでこれは勘弁していただきまして、実際に容積率そのものがどういうふうになっているかということで見ますと、先生御指摘のとおりに、都心部の方の容積率というのはかなり高くなっております。いま環六というお話でございましたけれども、ちょうど環六の中だけをとった資料というのはございませんけれども、おおむね山手線の中におさまっているような都心の四区でございますか、千代田、港、新宿、文京、一応こういったところをとってみますと、住宅を建てることを予定しております第一種住居専用地域、第二種住居専用地域、住居地域、こういった住居系の地域が現在指定されている面積が約三千二百ヘクタールございます。そのうちで特に高い容積率、と申しますのは三〇〇%、四〇〇%といったような高い容積率の地域が約二千五百ヘクタールぐらいございます。ですから、都心四区をとりますと、一応住宅地として予定している地域の七八%程度は三〇〇%、四〇〇%という高い容積の地域である。これは商業地域等に比べますと容積は低いわけでございますけれども、住宅地として使うということになりますと、必要最低限の採光とか通風あるいは日照といった問題が出てまいりますので、通常の場合ですと、住宅だけでは幾ら高層にいたしましても二〇〇%というような容積率にはなりませんので、そういった意味で十分住宅地として高度利用していただける、そういうような容積には一応指定されているというふうに考えております。
  54. 依田実

    ○依田委員 最後になりましたので、長官に御質問させていただきたいと思うのであります。  きょう、ミニ開発の問題をいろいろ申し上げました。国会の議論は大体ミニ開発を規制しろという派でありますけれども、私の方は、いまの現状でこれを規制するということは、本当に所得の低い人に家に住むな、こう言うに等しい、これが果たして政治かどうか、非常に疑問を持つわけであります。特にいろいろ大衆のために政治を行うという政党がそっちの方で反対のことを言っておるわけでありまして、そういう意味で私は問題があるのではないか、こういうふうに思うのであります。ただ、きょう申し上げたのは私はあくまでもミニ開発が結構だと申し上げておるのじゃないのでありまして、いまの住宅政策の中ではやむを得ない現象になっておる、ですから、根本的な対策を打たないうちは、これをいたずらに規制するということは行き過ぎではないか、こういうふうに思って、いろいろ質問させていただいたわけであります。  いろいろお聞きになって、最後に長官に一言だけ。長官は平河会の政策研究グループなどでもいろいろ土地政策を含めて御提言をなさっていらっしゃる。そういう意味で、根本的にはどういうふうにしたらいいのか、広い視野からの土地政策、住宅政策について、御私見で結構ですから、一言だけお話しいただきたいと思います。
  55. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどから依田委員のお尋ねを伺っておりますと、一々、私自身もかねて疑問に思い、どうかならないものかと思っていたような問題ばかりを御指摘になられました。また、政府側の専門家の各位のお答えを聞いておりましても、これもきちんとした答えをしておられるのですが、しかし、それでもやはり非常に問題がいろいろあるということは、どうも事実でございます。今年のように政府が先頭に立ちまして公共投資、ことに住宅等にも重点を置いて施策をやってまいりますと、これは不況克服ということには確かに役立ちますし、その徴候があらわれておりますけれども、どうもその結果として本当に住みよい国土をつくっていくという方向が、不況克服ということを急ぐあまり見失われる、あるいは損なわれる心配があるのではないかということを私も実はかねがね思っております。ミニ開発の問題どもやはりその一つ問題ではないかと思っておりまして、どうもその辺、少し遠い将来を考えますといろいろ心配なところがございまして、私自身もすぐにこうというお答えは申し上げられるわけではございませんけれども、ただいま御指摘のようなことは政府内部で十分やはり考えてまいりまして、たとえば先ほどからいろいろお話が出ておりましたが、都道府県に対して許可規模の引き下げを指導するというふうなことも一つでございましょうし、あるいは税法等についてもぽつぽつ考えなければいけない時期ではないか。かつていたしました施策がいまになりますと今度は逆に働いているらしい形跡もございます。それらのことを総合的に関係各省で鋭意考えなければならないと思っておりまして、ただいま十分なお答えを私できませんことは申しわけないことでございますけれども、御指摘問題は、これは私自身も非常に大事な問題をたくさん含んでおると考えますので、十分検討させていただきたいと思います。
  56. 依田実

    ○依田委員 終わります。
  57. 美濃政市

    美濃委員長 次回は、明後十一日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十七分散会