○武部
委員 もう時間がありませんからあと二、三でやめますが、やはり私は納得できません。公平の原則と言いながら、
差益の全くない北海道
電力に対して一年も二年も据え置け、これこそ公平の原則にもとるのであって、そういうことを言うのはおかしいと思うのです。ですから
電気事業法の第二十三条、その根拠に基づいて——むしろこの二十三条によると通産大臣は、「
電気の
料金その他の供給条件が社会的
経済的
事情の変動により著しく不適当となり、公共の利益の増進に支障があると認めるときは、」
料金の「変更の認可を申請すべきことを命ずることができる。」言ってこなかったら、あなたの方から行って、変更の申請をせいと言うことすらできるようになっておるのですよ。まさに社会的
経済的
事情の変動により著しく不適当となっておる、公共の利益の増進に支障がある。これを適用して、
料金について申請してきたらどうだということをあなた方がなぜ命令しないか、そういうことすら私
どもは言いたくなるのです。論争すれば長くなりますからこれ以上のことは申し上げません。
そこで、いろいろやりとりいたしましたが、弱者の救済についても
皆さんは前向きの姿勢をお示しになりません。大変私は残念に思います。それならば、いま
電力会社がどういう資産を持っておるか、こういうことの
一つの例を私は申し上げてみたいのですが、退職給与引当金を見ても、これはとてもじゃないが他の
会社には見られないような莫大な金を積み立てておるのですよ。これはなるほど税法の許容限度だというふうにおっしゃるかもしれません。たとえば東京
電力は、現在退職給与引当金は五十二年九月期で千二百十六億、平均年齢三十五歳、一人の積立金三百五万円。一番大きいのは中国
電力、一人の積立金四百九十二万円、平均年齢四十歳。仮に半分やめたとすると、一遍に半分、そんなことはありはしませんが、仮に半分やめたとすると、中国
電力は四十歳で一千万ですよ。四十歳で平均一千万の積立金ということになるのですよ。そういう莫大な金額が九
電力で四千八百七十五億円も積み立てられておるのですよ。こういうことを
考えたときに、それは、私はこのことが全部を支配するとは思いませんよ。しかし、他の
会社には見られない、そうしてつぶれる心配がないのです。ちゃんと法律で守られておるのですから。そういう
会社なんだから、たった四億や何ぼのガス
料金の
還元やあるいは二百五十二億の
電力料金の弱者に対する
還元ができないはずがない。やろうと思えばできることだ。それをぜひ前向きで検討していただきたいということを私は申し上げたいのであります。
そこで、最後に
宮澤長官に申し上げますが、先ほど西宮
委員からも
お話がございましたようにこの
為替差益の問題をめぐって
国民生活審
議会も開かれましたし、物価安定政策
会議の政策部会も開かれて、
円高の効果を物価の安定に反映させるように公共
料金の引き下げも含めて
政府はあらゆる
努力をすべきであるということを決定しておりますね。われわれは
委員会で一年以上もこの
差益の問題を論議してきたのです。
福田総理は一年前の二月にこういうことを述べておられました。
輸入原油への依存度の高い
電力、ガスなどの公共
料金体系について、
為替相場は変動するのですぐに結論は出せないかもしらぬが、
円高相場が一年
程度の幅をとって定着するなら価格政策上問題も出てくるので、
相場の推移を見ながら
料金体系を検討していく、こういうふうに述べておられるのですよ。これは
福田総理がそういう答弁をされたのです。あれから一年三カ月たっているのですよ。そうして円は二百九十円台だったものが二百二十円、こういう
段階になっておるわけです。
なお、あなたの前の倉成
長官とわれわれはこの
為替相場の
差益のことについていろいろやりとりいたしました。そのときに倉成
長官も、いわゆる物価担当の企画庁としてはこのことに非常に関心を持っておる、そうして
消費者というのは
為替相場の知識に乏しいのだ、だから
輸入業者が
円高によるところの利益を値段に反映しなくてもこれに対抗する手段を持たない、だから行政が厳しく監視をしてこの
円高差益というものが現実に反映されるようなことをわれわれはやっていきたい、こういうことを何回も述べておられました。まさにそのとおりだと思います。しかし、残念ながら急激にこのピッチを上げてきた
円高がこういう
状態になっても、一向に
国民の側としては納得できない、理解に苦しむ、そういう
状態が起きていることは先ほど新聞の投書の例を挙げて申し上げましたけれ
ども、間違いのない
国民の意識だと思います。ですから、聞くところによると何か明日
経済対策閣僚
会議を開催されるようですが、その座長は
宮澤長官であります。どうか私がきょうここで述べました具体的な問題、各
委員からのいろいろな御
意見、そういうものをぜひこの閣僚
会議に反映をしていただいて、
国民が納得のいく、そうしてまさに
国民自体が理解できるようなそういう
為替差益の
還元の
方法というものをぜひ政策として打ち立てていただきたい、このことを最後に強く強く要望しておきたいと思いますが、
長官の御
意見をお聞きしたいと思います。