○鈴木(強)委員 その次、物価が安定した、こうおっしゃるわけですね。この点はこの
委員会でも、
委員会の使命がそこにあるわけですから、いろいろな角度から
質疑が行われると思うのでございますけれ
ども、この物価が安定したと長官のおっしゃる言葉が、もちろん統計局あたりの指数等も根拠にされていると思うのですが、実際に消費者の実感からすると、そうは思わない。これはいま始まったことではございません、長い間、その資料のとり方、いろいろな角度から実感としてどうもぴんとこないという意見もこれは現実にあるわけでございます。
それで、発表になっております点を見ますと、確かに卸売物価等もかなり下がっておる。しかし、その卸売物価の下がっている割りには
消費者物価というものがこれまた下がっておらない、こういう疑問も持っておるわけでございますね。特に
円高の状態の中で、もう少し差益が還元できないんだろうか、特に輸入物資等につきましては。そういう不満の声もあるわけでございます。それで、四月以降公共料金等もかなり
値上がりをしてまいると思います。国鉄運賃、私鉄運賃これがいずれ
——長官の頭の中にも描かれておることだと思いますが、そう簡単ではないように思うのでございます。
特に、二百海里問題に端を発して魚の
値段、野菜等は天候次第でございまして、もう少し計画的な生産と出荷をしなければいけないし、中間の流通機構をもっと各部門にわたって簡素化して、そういう面の
価格の引き下げを
考えなければならぬし、かなり実際に工夫すればできる点がありますけれ
ども、なかなか何十年同じことを聞きましても同じような答えしか返っておらない、若干の前進があったとしても、消費者の納得できるような流通機構の簡素化というものは行われておらない、まことにこれは残念に思うわけです。ですから、本年度の
消費者物価指数が本当にそのとおりいくのかどうなのかということは、まだ現段階においてはにわかに
判断はできないと私は思うのでございます。
特に、けさちょっと新聞を拝見しましたら、
消費者物価の中で
地域格差が大分出ておるのですね。たとえば十七日に総理府統計局が発表されました五十二年度の
全国物価統計
調査というものによりますと、
大都市と町村間の
消費者物価地域差というものが九・一もあると書いてあるわけですね。これは
大都市における住居費の値上げとか、さっき
愛知委員も御
質疑になっておりましたが、そういった問題もあるでしょう。いずれにしても
日本国民としてそれぞれの
地域に生存しておる限りにおいては、そう格差があっては困る、これは当然のことでございますね。そういう格差をどういうふうに是正していくかということもいまの段階で工夫されなければならないことだと私は思います。
それからもう
一つは、日銀が四月十四日に発表しました三月の卸売物価指数というのを見ますと、五十年度を一〇〇として最近のを見ましても一〇五・六%、前月に比べて〇・一%下落し、前年同月比で一・八%下落、年度間
比較で見ても三十二年度に六・五%下落をした以来二十年ぶりの大幅値下げになっている、こういうふうに
数字が示しているわけです。ところが、この面は確かに物価安定の
一つの方向をたどっておるのでございますが、残念ながらいまさっき申し上げましたような
円高の差益というものが卸売段階で詰まってしまって、そこからどこへ行ってしまったのかさっぱりわからない、これは不思議なことだ、こういうふうに消費者は思っていると思うんですね。
ですから、
円高差益等の問題についてはいずれ集中審議があるそうでございますから次回の
委員会に譲るといたしましても、最近になりまして日銀総裁が
円高差益を還元すべきだという御発言があり、それから経団連の土光会長もそういうふうな御発言がございまして、どうもそれまでわれわれが
円高のメリットを消費者にという長い間の要求がちっとも進まなかったのですが、最近になってこういう方々が物を言い出した。そうしますと、ちょっと最近の動きを見ましても、たとえば私
ども道路を通っていますと、ガソリンスタンドでいままで無鉛で大体百十円くらいしておったものが九十円とか九十五円というのが出ていますね。それから有鉛でもいままで百二十円くらいしておったものが百十円というような
値段で現金で買えますし、最近何かぐっとリッター
当たりのガソリンの
値段が下がっているように思うのですね。それから
東京電力の方でも二年間は料金を上げない、
東京瓦斯の方も、もし通産省が、
政府のそういう
経済閣僚
会議で方針を決められれば、
東京電力と同じように二年間据え置いても結構です。受け身ではありますが、そういうことを言い出しましたね。それから森永乳業が十七日から出荷分のインスタントコーヒーについて、「カフェイグアス」というのですかね、これが一二%ぐらい値下げになっておる。こういうふうにかなりメリットが消費者の方に還元されつつある、これは私は非常にいいことだと思うのですね。ですから、本当は
経済企画庁あたりが音頭を取って早目にそういう警鐘というか方針を国民にわかるようにどんどん打ち出して、もっと強くやってほしいと私は思うのです。なおやっておられるのでしょうけれ
ども、そういう外部からの動きが大きく出てくると、それに従って動いていくというような、そういうふうに受けとれているのですよ。ですから長官は、
経済企画庁というのが発足された由来というものをよく御存じでございますから、とにかく各省がばらばらになっておるものをどこかで調整しなければならぬというのが
経済企画庁の生まれたゆえんだと私は思うのですよ。ですから、そういう官庁との十分な連携の上でもう少し
円高のメリットというものをぐっと出していくようなことができなかったのでしょうかというように思うわけでございますが、長官として
円高の差益を消費者に還元するという思い切った
政策を一層やっていただきたいと私は思うのでございますけれ
ども、いままでどんなふうなことを
考えておったのか、その辺も含めてお答えをいただきたい。