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堀内委員 ただいまのお話の中にも、
卸売物価について
マイナスというような
状態は余り芳しいことではないというふうに
お話しになりました。私も全くそのとおりだと思います。
卸売物価の面では、
マイナスというのは、やはり
企業活動が非常に圧迫をされて
産業活動の低迷化しているもの、これを物語っているのではないかというふうに思うわけでございまして、手放しでそう喜べることでもないような気がいたします。
しかし一方においては、
円高による
卸売物価の
引き下げというものが大分あるようにも
感じられるわけでございまして、この点については、この
委員会における
政府からの御答弁でも、たしか
卸売物価を二・五%ぐらい
引き下げる
効果を
円高が行っているというふうにも聞いているわけでございます。
そういう
意味から考えてまいりまして、今度は来
年度の
物価というものを考えてまいりますと、ことしは
円高が昨年と比べて、同じ二月二十八日と昨日を比べましても、昨年の二月二十八日は二百八十三円三十銭から二百八十一円五十銭、昨日の
数字のドルの
取引は二百三十八円十銭から二百三十九円というような
状態で、約一八%以上ダウンをしているということ、円にとっては切り上げになっているということでございます。こういう
効果が二・五%の
卸売物価の
引き下げに貢献をしているというふうに考えますと、五十三
年度では、当初においてはこの
効果が残っていくかもしれませんが、その先ではそれほど
円高というものがことしのような極端なものが出てくるというふうにはちょっと考えていくわけにはいかないと思います。そうなりますと、非常に
卸売物価の面でも厳しい点も出てくるのではないか。
片方では、
景気刺激策がどんどん打ち出されてまいりますので、そういう
意味合いからも、今度の五十三
年度というものは、
卸売物価においても、またこの
卸売物価が
消費者物価にも響いてくるということを考えてまいりますと、なかなか五十三
年度の
物価というものは厳しい面を持っているように思われます。
そこで、一月二十四日の
閣議決定の五十三
年度の
経済見通しというものを見ますと、
卸売物価が五十二
年度対比二・七%の増加、
消費者物価が
プラス六・八%というような
数字になっておるわけでございます。そこで、こういう新しい
状況、
円高の
効果がもうなくなってくるような
状態、
片方では
景気刺激策がどんどん打ち出されてきて、
物価を突き上げる要因も出てくるというふうな
感じになっているときに、現在は比較的
物価は鎮静化している、安定をしているというような見方で余り問題にされていないような面があるような気がいたしますけれども、五十三
年度はこういう点で考えますと、
物価問題として一番重要なときになるのではないかというふうな気がいたします。同時に、非常にむずかしいときになるのではないかというふうに思うわけでございます。特にそういう事態の中で一歩かじ取りを誤りますと大変な
状態になるのではないかというふうな気がいたします。それだけに、
経済企画庁を
中心とする
物価に対する監視、リードというようなものは、ぜひいままで以上にお
取り組みをいただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。
そこで、昨日の二月二十七日に
物価担当官会議というのが行われておりまして、ここでまとめられた当面の
対策というものを拝見いたしたわけでございます。その中で第一は野菜の
値上がり対策というものが出ておりまして、これとともに重要なものとして、第四項目に
建設資材の
値上がり対策というものが挙げられております。私は、当面の最大の
物価の問題というのはこの
二つではないかというふうな気がいたしております。特に
公共事業と
住宅建設、この
二つが今
年度の
景気対策の重要な柱になっているわけでございまして、そういう重大な柱になっているものに関連する
建設資材に対しまして細かい配慮が行われないと、気がついたときは大変な
値上がりをしているというようなことにもなりかねないと思うわけでございます。
ところが、
建設資材というものを見てまいりますと、すでに
値上がりが始まっているのですね。
一つには、
鉄鋼を見ましても、小形の
丸棒あるいは
H形鋼などが一月から非常に上がり始めておりまして、特に二月に入ってからは急
上昇をいたしていると思います。たとえば、異形の
値段を見ますと、昨年いっぱいは大体トン四万九千円から五万一千円ぐらいでずっと安定をしておりましたけれども、一月には五万三千五百円になり、その後二月になって最近の十日ほどの間には五万八千円にまで上がってきているというような
数字が出てきているわけでございます。また、
木材の方を見ましても、この間の
経済企画庁の
輸入品の
動向調査の
数字を見ますと、非常にいい
数字が出ておりまして、何か下がっているというようなことが出ているのでございますが、実際に末端の小口の
需要家のところあるいは
建築会社、こういうところへ参りますと、値下がりなんというのはほんの一部にあっただけで、全く恩恵には浴していないというような
数字でございます。それどころか、
ベニヤ板あたりはもうすでに上がり始めていたり、丸太についてはこれからの
需要期に向かってどうも
強気含みで動き出してきているというような話が出てきております。
こういう問題についてそれぞれ伺おうと思っていたのですが、時間が一時間から四十分に短くされてしまいましたので、この辺は少し私が申し上げるだけで割愛いたしますが、その上さらに
一つ重要なことは、
基礎建設資材としての生
コンですね。生
コンクリートについては少し問題があるような気がするわけでございます。
きょう
委員長のお許しをいただいて
資料をお配りいたしてございますが、この
資料の二枚目のところをもとにしてちょっと御説明をしたいと思うのです。この
資料は、生
コン業者が
販売統一価格表というものをつくって、この
値段で生
コンを売るようにということで出している、各
組合員に配布した
資料そのものでございます。五十二年の八月に、
関東地区の生
コン業者が
協同組合法による
共販制度というものを実行することになりまして、
組合員に
統一価格表に基づいて
販売をするようにということでこの
価格表を配布したわけでございます。しかし、この
価格は八月から十月までの間においては実際には守られておりませんでした。上の表にもございますように、
実勢価格というのは、五十二年の八月以前では八千五百円から九千円
程度になっておりますし、九月から十一月についても九千五百円ぐらいになっておりまして、この表では大体一万三百円から一万七百円で売るようにという
数字が出ておりますが、それ以下で推移をいたしてまいったわけでございます。
この
共販制度を
実施に移しましてから、並行して、今度は生
コンの
協同組合の
メンバーと全く同じ
メンバーで構成されておりますところの生
コンの
工業組合というのがございます。この
工業組合がいわゆる
団体法によるところの
カルテルの
数量制限の
申請をいたしたわけでございます。そして十一月にこれは
通産省の
認可になったということになっております。この
カルテルが
認可になった途端にこの表が非常に
効果を発揮して、この表の
統一価格が守られることになってしまったわけであります。
最初共販制度を敷いていって
統一価格を決める、これは
一つも問題になることでもないと思います。また、今度は
中団法からの
カルテルというものを一方で
申請をいたしまして
数量を
制限するということ、これも
一つを取り上げてみれば問題ないことであると思います。それぞれ合法的なことだと思うのでありますが、この
共販制度の
統一価格に追い打ちをかけて、
数量を
制限する
カルテルを
実施をしたというところによって、
統一価格が本当に今度は完全に守られる
状態になってしまったということ、これはちょっと問題が出てくるんではないかというふうに思うわけであります。この
カルテルの
数量需給の
関係を、
認可をとりましてからは
組合全体では
シェアを全部分けまして、それぞれの
業者の
シェアを超える分は
組合で全部吸い上げて、ほかの足りない
業者に配分をするというようなこともやっているわけでございまして、そういう感覚からまいりますと、窓口を一本化したり、完全な
独占価格形態を行えるような
状態になってきておるというふうに思えるわけでございます。
特に
共販制度を行っている
東京地区の場合をながめてみますと、
協同組合の
メンバーは百四十七社、それと全く同じ
メンバーの
工業組合の
メンバーが
カルテルを
申請しておる。
代表者が違うだけだということになるわけでございます。こういう
一つ一つをとったならば合法的なんだ、しかし
二つを合わせて一本という形になって考えてまいりますと、実質的に競争の
制限を行うようなことが可能になり、現に行われてきてしまっておるということを考えてまいりますと、この
共販制度並びにこの
カルテルという問題はやはりちょっと問題があるべきものが存在するんじゃないかというふうに私は考えるのですが、公取の方の御見解はいかがでございますか。