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1978-03-27 第84回国会 衆議院 農林水産委員会農産物の価格等に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和五十三年二月九日(木曜日)委 員会において、設置することに決した。 三月七日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       加藤 紘一君    片岡 清一君       倉成  正君    國場 幸昌君       佐藤  隆君    玉沢徳一郎君       羽田  孜君    福島 譲二君       森田 欽二君    山崎平八郎君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       芳賀  貢君    馬場  昇君       瀬野栄次郎君    野村 光雄君       神田  厚君    津川 武一君       菊池福治郎君 三月七日  山崎平八郎君が委員長指名で、小委員長に選  任された。 ————————————————————— 昭和五十三年三月二十七日(月曜日)     午前十時四分開議  出席小委員    小委員長 山崎平八郎君       加藤 紘一君    片岡 清一君       倉成  正君    國場 幸昌君       佐藤  隆君    玉沢徳一郎君       羽田  孜君    福島 譲二君       堀之内久男君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       芳賀  貢君    瀬野栄次郎君       神田  厚君    津川 武一君  出席政府委員         農林省畜産局長 杉山 克己君  委員外出席者         農林省農林経済         局統計情報部長 柳井 昭司君         参  考  人         (日本養鶏協会         副会長)    青木 宅治君         参  考  人         (全国農業協同         組合畜産団地連         絡協議会会長) 大山久エ門君         参  考  人         (前農林中央金         庫理事長)   片柳 真吉君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会農政         第二部長)   桜井  誠君         参  考  人         (北海道農民連         盟酪農委員長) 松川 牧夫君         参  考  人         (日本放送協会         解説委員)   三神  茂君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 三月二十五日  小委員馬場昇君同日小委員辞任につき、その補  欠として島田琢郎君が委員長指名で小委員に  選任された。 同月二十七日  小委員森田欽二君同日小委員辞任につき、その  補欠として堀之内久男君が委員長指名で小委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農産物価格等に関する件(畜産問題)      ————◇—————
  2. 山崎平八郎

    山崎委員長 これより農産物価格等に関する小委員会を開会いたします。  農産物価格等に関する件について調査を進めます。  本日は、畜産問題について、参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、日本養鶏協会会長青木宅治君、全国農業協同組合畜産団地連絡協議会会長大山久エ門君、前農林中央金庫理事長片柳真吉君、全国農業協同組合中央会農政第二部長桜井誠君、北海道農民連盟酪農委員長松川牧夫君、日本放送協会解説委員三神茂君、以上六名の方々でございます。  参考人各位に申し上げます。  参考人各位には、御多忙中にもかかわらず、本小委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。畜産問題につきまして、参考人各位のそれぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、議事の都合上、まず、御意見をお一人十分程度青木参考人大山参考人片柳参考人桜井参考人松川参考人三神参考人という順序でお述べをいただき、その後、小委員から質疑がございますので、これにお答えいただくことにいたしたいと存じます。  それでは、青木参考人お願いいたします。
  3. 青木宅治

    青木参考人 私、ただいま御紹介いただきました日本養鶏協会青木でございます。  日ごろから、諸先生方には、私ども養鶏安定のために格別な御尽力をいただきまして、まことにありがとうございます。この席をかりまして厚く御礼を申し上げます。  私、つい先日、ある婦人会の会合に出ましたところ、主婦の方から突然妙な質問を受けたのでありまするが、青木さん、私きのうスーパーへ行って卵を買ってきた、そうすると、十個入っておって百四十七円だ、一個十五円にもつかないのだが、あんなに安くお売りになって、それでもまだ養鶏家はもうかっているのですかという質問を受けたので、いや奥さん、いまのような安値になりますと、私どもはもう赤字で、これが長く続くと首つりをせにゃならなくなるのですよと申し上げたところが、どうしてそんなに赤字を出して安くお売りになるのかと言うから、これは、私ども決して採算を無視した価格で買っていただきたくないのでありますが、しかし、いまの流通機構やこういった情勢に置くと、われわれの意思を無視して、やはりこういう結果になるのであって、まことにどうも困ったものですと申し上げたのでありまするが、その節、その奥さんが言われるのには、何か最近の卵は質が昔と違って悪くなったのじゃないでしょうか、それで安くなったような気がするのですがと。これはとんでもない、奥さん、昔の卵よりかいまの方がいいんですよ、と申し上げるのは、むしろ昔と違ってえさの方も非常に吟味して改良されていいものを使うし、それから管理方面、いわゆる飼い方も清潔になってきておりまするから、卵の内容は、むしろ昔の卵よりかいまの方がいいのですよと申し上げたところ、そうですか、私は、安かろう悪かろうで、値が安いから悪くなったかと思ったというような、しまいには笑い話になったのでありますが、これをお伺いしまして、つくづく思うのであります。  戦後、私どもも、先生方や国の御支援によりまして、養鶏を復活さして、現在は、恐らくどなたも御承知のように、全国の総飼養羽数から申しますると一億二千万羽、そして総生産個数は三百十五億個、そして、重量にいたしますと百八十八万トンになるのであります。そしてまた、同じ養鶏のうちでブロイラーは、これは戦後の産業でございますが、急速に伸びまして、年間出荷羽数は五億四千万羽、生体量にいたしますと百十万トンという膨大な数に成長いたしまして、両方合わせますと、生産額年間八千億円余になりまして、世界有数な養鶏国になったのでありますが、これもひとえに国なりまた諸先生方の御支援のたまものだと感謝いたしておるわけであります。  しかし、これだけ大きくなって、国民方々には非常に喜ばれて、安い卵、安いブロイラーということになっておるのでありますが、生産者は決して恵まれておらないのであります。  特に最近の国内では、御承知のように農業の面からも、また食糧供給の面からも、重要な産業としての位置づけを確立しておりますが、反面、いま申しましたような採算を割るような価格が続いておるということでありまして、これによって非常に悩みが多いのであります。  これにはいろいろな原因もございますが、このために、私どもといたしましても、何とかこうした採算を割るような価格にならないように、せっかく、国民皆さん方に安くてそうしていつでもどこでも手に入るように栄養価の高い新鮮なたん白供給をしておるのでありますので、これがそのまま継続をいたしていきたい。特に、昔と違いまして、いまの養鶏家はそれに生命をかけておるような方々が多いのでありまして、以前は総戸数は三百余万戸と言われたのでありますが、現在は十分の一、約三十一、二万戸でございます。ところが羽数の方は急速にふえまして、そしてその当時の八千万羽前後がいま一億二千万羽以上になっておるのでありますが、これは時代の要求によりまして、飼い方の研究、あるいはまた、一面、当然改良もしてきた結果でございますが、これがこういうような問題になったのは、最近は消費がどうしても頭打ちになりまして、伸び悩んでおるということが一つ原因で、卵価安になっております。これはアメリカでもそうでありますが、以前アメリカでも一人頭年間四百個以上食べておったのが、現在三百個台になってしまったというのでありますが、これもやむを得ぬかと思います。  こういうようなわけで、生産は上げましたが、消費頭打ちということから値段が下がってきたということがございます。  それともう一つは、昔は重要な貴重な食料でございましたが、やはりこうした改善によって、いまは国民の本当の必須食になってきたということもございますが、需給とのバランスを考えて生産しないと、養鶏家が自滅するということになったので、先般来いろいろ協議いたしまして、国のお力をかりて、やはり需給に合った生産をやろうじゃないかということから生産調整を始めたのでございます。これが四十九年でございます。  この結果、一応国の指導のよろしきを得たし、また、私ども養鶏家努力もございまして、成果をおさめてまいりましたが、しかし、これはなかなかむずかしい問題でありまして、一応卵価が安定すると、やはり中にはわがまま勝手でこれに造反する者が一、二、出ております。こういう問題が、やはり法で行うものと違って、自主的にやる生産調整のむずかしさでございまして、何とかこれを抑えていきたいと考えておるのでありますが、特に今年に入りましてから、私どもが予期し得ないような、一月、二月と連続に卵が暴落いたしまして、キロ八十円以上も暴落した。これは本当に予期していないのでありますが、これにはいろいろの原因もございましょうが、せっかくまじめに国の指導により生産調整しておるにもかかわらず、こういうことになるのは一体どういうことなんだろうというような不満と、一面、われわれの反省も出ております。これは、ただ造反者があるというのみならず、機構的にもあるいはまた消費の問題からも、いろいろな問題が絡み合わさってこうなったと思いますが、こういう際に、国の方で卵価を安定するために御協力いただいておりまして発足いたしました卵価安定基金制度がございます。これにまじめに生産調整する者はみんな参加して加入しておるのでありますが、かような席で申し上げてまことに恐縮なんでありますが、ここで一つ先生方お願い申し上げたいのは、この卵価基金が、われわれの積み立てと国の方の御支援等によって、基準価格を割った場合にはその差額を補てん支払いをやらせていただいておりますが、これが一月、二月の暴落によってほとんど補てん金が底をついてございません。そうすると、今後もっと予測されるような低卵価が続いた場合、もう補てん準備金がないから支払いはやらないよと言われたんでは、やはりまじめに国の方針に従ってきた者が見放されたというような、裏切りの不信感が出てきますので、こういう場合は、規定はどうあろうと、どうかひとつ、先生方お力をおかりいたしまして、補てん金の、いわゆる準備金貸し付けを国の方へお願いをいたし、そして、これの支払い継続をさせていただきたいと思います。それでないと、われわれ養鶏家では、力の弱い者はほとんど倒産しかねないのでありますので、こういう事態が目前に迫っておりますので、どうかひとつ、この際には、補てん金準備金がございませんので、これを一時貸し付けいただいて、そしてこれの支払い継続お願いいたしたいと思います。そして、この際は、こういうような金でございますので、ぜひどうか利子だけは補てんしていただいて、無利子でお貸しいただきたい。これは決して下さいと言うのじゃございません。必ず積み立てでお返しする金でございますので、ぜひ、そういったことで急場を救っていただきたい。ぜひこれをお願い申し上げます。  それから、ついでに申し上げて恐縮なんでありますが、時間の制限で十分申し上げにくいのでありますが、お願いを先に申し上げておるのでありますけれども、こうした国の方で卵価安定のためにいろいろ施策を講じていただきまして一応成果を上げておりますが、もう一つわれわれが納得しかねるものがございます。これだけ国内で卵がだぶついて採算を割るほど安くなって余っておるのに、外国から液卵輸入されてくるということであります。これもやはり養鶏は、貿易自由化でございますから、当然、国内生産品が高くて、外国の方が安くて入ってくるんなら、これはまた対策の打ち立て方もあるでしょうが、そうでなくて、むしろ向こうの方が高いところもある。それを、向こうの方の国内価格調整のためにダンピングをもって半額以下でこっちへ入ってくる、こういうことがわれわれは納得しかねるのであります。ですから、こういうような一つ自由貿易を無視したような価格輸入されてくる液卵は、何とか規制していただきたい。もし、自由貿易だから規制できないとおっしゃるんならば、関税を引き上げてもらって、そしてこれに応ずるようにしていただきたい。これについては、国の方も非常に御苦労なさって、そうした輸入業者を集めてたびたび行政指導をしておられますが、これはひとつ先生方の方からも、ぜひこういった点を御理解いただいて、こうした低卵価で困っておる先に、なお以上に、捨て場のようにして、日本価格を無視して入れてくるようなものはぜひ中止させるように、あるいはそうした処置をとっていただきたい、かように考えます。  それからもう一つ、これもお願い申し上げておきたいのですが、卵価の安定のために基金制度がございます。これともう一つ、そのてこ入れの形で液卵公社をつくって、安いときに買い上げたものは液卵貯蔵して、冷凍してこれを液卵業者に出すのでありますが、ところがこの液卵公社機構が、現在の機構では何らの活躍もできないのでありますから、これを大幅に改正して、そうして余って卵価がどうにもならないときは、これを冷凍液卵にして、輸入液卵にかわるべき処置をとっていただくような機構改革をひとつお願いいたしたい、かように考える次第でございます。  それからブロイラーの方でございまするが、これは戦後の発展でございまして、これも非常に努力によって急速に出まして、現在までに先ほど申しましたような大きな数字に伸びてまいりました。しかし、これは採卵養鶏とはちょっと趣が違っておりまするので、主体権はやはり、インテグレーターと申しますか、いわゆる加工販売業者が握っておりますので、どちらかというと生産、いわゆるわれわれのような育てる方の者はちょっと考えると委託育成のようなかっこうになりまして、そして活殺権はほとんどがそうしたインテグレーターが握っておりますので、数が少ないから、これは彼ら自体によっての市場に見合った調整はある程度やっておると思いますので、この点もひとつ、いまのように安くなってきて困っておるときでありますので、輸入の方も、国内国民から、高くてけしからぬから入れろというものではなくて、安過ぎてそれでいいのですかと言われているようなものに対して、何であえて輸入するかということがわれわれとしては非常に残念でたまりませんので、この点もひとつ、ブロイラーの方もそういう面でぜひ輸入制限をお考えいただきたい、かような点を申し上げたいと思います。  時間の関係でまことに簡単でございまするが、また先生方の御質問によっては私の知っている範囲をお答えいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。まことにありがとうございました。(拍手)
  4. 山崎平八郎

    山崎委員長 ありがとうございました。  次に、大山参考人お願いいたします。
  5. 大山久エ門

    大山参考人 全国農協畜団協のただいま責任者をいたしております大山でございます。  私は、現在茨城霞ケ浦湖畔で小さな農協組合長昭和二十四年から約二十九年ほどやっておりますが、本日は、私たち仲間のいわゆる無告の民の代表として発言の場を与えていただいた諸先生方に厚くお礼を申し上げたいと思います。  本日は畜産問題が当然一番の主眼であるわけですが、私は、現在農協組合長という立場で、いまの水田の生産調整の問題にどうしても触れざるを得ないというふうに考えまして、そのことを当初簡単に、いま百姓がこの問題をどう受けとめているかを申し上げて、ひとつ御理解をいただきたいと思うわけであります。  私はいま毎晩各部落の生産調整の割り当ての会議に引き出されております。私は、終局的には生産調整の問題は行政が行うことであって、われわれ農協組合長という立場生産調整の問題に協力するとかしないとかという問題とは違うわけでありますが、私は農民組合運動者でもありませんし、あるいは評論家でもありません、毎日第一線で米をつくり豚を飼い牛を飼っている農家毎日接触をしている立場でありますし、現在の与えられた生産調整の問題を、このまま行政責任であるといって見逃すわけにはいかないので、そういう実務家であるという立場から組合員と話し合いをしているわけであります。  それは、明らかに現在の米の問題は、私は農政失敗であるということはもう百姓——私もたんぼを一町歩クリ畑を三町歩、豚を六十頭ばかり飼っている百姓であります。せがれが百姓をやっております。そういう立場から言えば、これはもう明らかに農政失敗であるということでありまして、それをわれわれ百姓の犠牲によってかぶせてくるということにはきわめて不合理を感じております。しかし、不合理を感じていても、現在の置かれている立場から、やはり組合員には、生産調整はしなければならないのではなかろうかということを、涙をのんでそのことを毎晩毎晩説き回っているわけであります。このことは、陸田に安い低利の金を貸しつけて陸田造成をここ十数年来行って、米の増産を図ってきた農林省失敗であるわけですが、この問題は何ともわれわれ納得できない。どうしても生産調整するということならば、その転作した作物に米と同じような所得の保障をぜひ考えていただきたい。特にわれわれは霞ケ浦湖岸地帯でありまして、湿田が大半であります。他作物をつくるのにも、現在のところでは農協管理委託ということで緊急避難をせざるを得ないような状態であります。このことをひとつしっかりとお考えいただきたいと思うわけであります。  次に、当面の畜産問題でありますが、私は、ただいま養鶏につきましては青木さんから細かに話がありましたので、余り養鶏の問題は触れませんが、いまおいでになっている片柳さんが畜審の会長ということで、現在豚の保証価格の問題が審議されようとしております。聞くところによると、農林省は、えさが下がる、あるいは生産性が上がるということで、本年は保証価格を上げる要因はないというふうに言われているやに聞いておりますが、私は、決してそうではない。なるほど豚のえさは一トン八千円から一万円程度下がったわけでありますが、昨年の一月以来ですか、えさの中に動物薬を添加することについてきつい規制がされました。そのために昨年の春以来、一時動物薬で抑えておった豚の病気が暴発いたしまして、現在は萎縮性の鼻炎あるいは流行性の肺炎あるいは豚赤痢というものがかなり多数出てまいりまして、そのために約百キロにするまでの豚の肥育日数というものは十五日から二十日、あるいは長くかかるものは一カ月程度いままでからしますと日数を要しております。そのために豚舎の回転率が落ちる、あるいはそのために余分なえさを食わせるということで、大体八十キロから九十キロになりますと一日当たり三キロぐらいのえさを与えます。三キロのえさを二十日間よけい与えるということは、六十キロの余分な飼料を与えなければならない。六十キロのよけいな飼料を与えることは、えさトン当たり八千円ないし一万円下がったということは、差し引き勘定すれば、その病気によって休薬飼料によってえさの出費がふえたことの方がかなり額が多くなるということをひとつ指摘したいと思うわけであります。  それからもう一つは、現在の畜安法による価格保証でありますが、ある一定の線まで来れば、畜産事業団が買い上げをするということで豚肉の暴落の下支えをするという仕組みになっておるわけでありますが、御案内のように、畜産事業団が買い上げる豚というものは上物に限られております。現在の上物率は大体五〇%を割っております。ですから五〇%以上の物は中物落ち物ということで、特にそういうふうに畜産事業団が買い出動に入ったようなときには落ち物の値幅が非常に値下がりをいたします。そのために、価格保証は表面はされているようですが、現実に豚を飼っている農家の手取りはきわめて少ない状態になってきているというふうなことであります。  それから、ただいまもお話がありました採卵養鶏の問題ですが、採卵養鶏では、四十九年五月現在で全国的に当時の一億何千万羽の鶏に凍結をいたしまして、生産調整をするということになっております。現在生産調整をまじめにやっている者は、農協傘下のきわめて零細な農家ばかりであります。三千羽、五千羽あるいは七千羽という程度の者のほとんどが私たちと一緒に仕事をしている組合員養鶏家でありますが、三千羽程度ではとても食えないから一万羽にしたいあるいは七千羽にしたいということと、企業養鶏あるいは大型商社インテグレーションのもとにある養鶏家が、五万羽ではもうけが少ないから十万羽にしてくれということとは、同じ増羽をしたいということでも質が違います。そういう中にあって、一蓮托生に増羽ができないというふうな矛盾がきわめてあります。現在、農協傘下小規模養鶏農家は、毎年逐次大きな数が減っております。それにつけ込みまして、先ほどもありましたように大型企業養鶏あるいは商社につながったインテグレーション養鶏家がどんどん、特に茨城へは進出しております。  実は、私はこの会議に出るために、一昨日——私の付近に小川町というところがあるのですが、そこには現在二百万羽鶏が飼われていると言われております。町役場でも実際の数はつかみ切れないということなんですね。私は一回り見れる範囲だけ回って案内してもらったのですが、その二時間ぐらいのうちに見た範囲でも、あれが十万だ、あれが十五万だ、二十万だという鶏舎を合計いたしますと、約五十万羽ぐらいの鶏舎を見てまいりました。これは全部がほとんどインテグレーションにつながっているいわゆる企業養鶏であります。それらの人は、その生産調整にはお構いなしに、ほかの県からどんどん進出をしてくる、あるいは新たに大きな資本の力によって進出をしている養鶏家でありまして、先ほどお話がありましたような現在の鶏卵の暴落というものは、そういうことが一番大きな原因になっております。  この生産調整については、とてもわれわれの力では、あるいは県の畜産関係職員等では手がつけられません。私は、農林省生産調整会議にも二年ほど出ましたが、これはもう農林省が英断をふるってそれらの増羽をしている者を厳しく取り締まる以外には方法はないということを申し上げたわけでありますが、この辺もひとつ御理解を願いたいと思います。  少し時間が延びるかもしれませんがお許しを願います。  次に、肥育牛あるいは酪農は、専門家おいでになるようでありますので酪農の問題には触れません。肥育牛の問題について申し上げますと、私どもの方でも多少の牛の肥育をやっております。一番問題なのはやはり飼料です。その粗飼料を自給するあるいはえさ自給率を上げようということで、粗飼料をつくるべく営林署に、官林の貸し付けといいますか、貸与のことについて何遍か交渉をしたわけでありますが、私ども筑波山と霞ケ浦のちょうど中間にある地帯でありますので、筑波山系の一部には国有林で牧野に適するところもかなりあります。それを借りたいということで営林署に参りましたところが、造成費がかなりかかるようなところで反当六万だと言うのですね。林野庁の貸し付け価格というのは反当六万だと言うのです。反当六万も出してかなり造成費をかけて粗飼料をつくったのでは、これはとても引き合いません。そういうことでありますので、もし農協が中心になってそれらの事業を行うときには、国有林貸し付けあるいは払い下げ等については特段の配慮を願えるように、ぜひともお願いをしたいというふうに考えております。  ブロイラーについては先ほどお話がありましたので申し上げませんが、とにかく、いま、全中のある職員の言葉をかりて言いますと、われわれ百姓昭和二十年代には米を取られた、昭和三十年代には百姓の労働力を取られた、四十年代には土地を取られた、五十年代に入ればいま作付の自由を奪われたと言う。このようなことで、日本人の食糧を果たして日本国内生産するということができるのかどうか。私は以前、大和田啓気さんが私の地区へ参りましたときに、一体農林省は、日本人が食う食糧は、百姓がつくるものでも外国から輸入するものでもあるいは商社がつくるものでもだれがつくるものでもいいから、日本人の腹さえ満たせればいいのだというふうに考えているのだろうかというふうに質問をしたところが、大和田さんは、まさか農林省はそうは考えていない、やはり日本人の食糧は日本百姓生産をしてもらうような施策をとるに違いないというふうなことを聞いたわけでありますが、私は、現在の農政のあり方については、決してそのように思っておりません。百姓がそう思っておりません。この辺も、ぜひ、日本人の食べるものは日本百姓生産をするということを基本に置いて、食糧の自給率の向上を図れるような施策をひとつお願いをしたいと思うわけであります。  最後に、私は、この前私の地区で現在の保証価格の問題についての茨城県の農民大会を開いたわけですが、そのときに与党のある代議士が、現在の国の農政あるいは一般の国の施策というのは、代議士がやるのではない、みな役人がやっているんだ、役人に振り回されているんだ——これは名前を言えと言うなら名前を言っても構いません、これは千数百人の前でその代議士がそういうことを言ったわけですから。現在の日本の国政というのは役人がやっているんだというふうなことを言っていました。もう一人の、これも参議院の与党の代議士ですが、先ほどだれだれ君の言ったようなことなので、私は今後の政治を議員の手に取り戻したいということを明言しておりました。ですから、どうか本日の畜産の小委員会の諸先生には、そういうことが代議士諸公の口から出ておりまして、私はまさにそのとおりだと思いますので、ぜひとも国政をわれわれの代表である皆さんの手によって運営をされて、われわれが安心して日本人の食糧の自給率を向上できるように、特段のお骨折りをいただきたいということをお願いをいたしまして、終わりにしたいと思います。  どうもありがとうございました。(拍手)
  6. 山崎平八郎

    山崎委員長 どうもありがとうございました。  次に、片柳参考人お願いをいたします。
  7. 片柳真吉

    片柳参考人 私は、本日は個人という資格でお呼びをいただいているわけでございますが、畜審の会長もしておりまして、観念上は区別はできまするが、実態的にはなかなかデリケートな状況でございまするが、せっかくの国会の御要請もございましたので、あすあさって牛乳なり食肉の価格を審議するわけでございますが、この審議会で主たる問題として十分審議をしていただきたいというような事項を挙げまして、若干の私見を加えまして御参考に供したいと思うわけであります。  もう先生方承知のとおりでございまして、一時の畜産危機も、国会なり政府の適当な御配慮、御指導、特に畜産農家の非常な御努力の結果、牛乳も牛肉も豚肉も相当生産が順調に回復をしてまいりました。かつての、数年前の頭数の減も回復をしてきておりますし、牛乳等の生産も非常な増産をされてきておりますことは非常に結構なことでございまして、私は、この間の農家方々の増産の意欲あるいは飼育管理に対する御精進に対しまして、深く敬意を表し評価をしているわけであります。  したがって、ことしの牛乳なり肉の価格の問題は、昨今の情勢からしますと、なかなか価格を上げるという情勢はむずかしいと私は見ております。しかしながら、一時大分沈滞いたしました畜産あるいは酪農生産がせっかく回復し、農家の意欲も非常に出てきておりますので、きわめて抽象的でありますが、このような盛り上がった増産の意欲に水をかけないように、せっかくの増産意欲を逆行させないような温かい御配慮が必要ではないかと考えております。  これは単に価格の面だけではないのでございまして、特に昨今のような外国からの牛肉なり酪農製品等の輸入に対する外圧を徹底的に排除すべきではないかという感じでありまして、特に、私ども農政審議会の一員でもございますが、食糧の自給計画を慎重に審議して、政府もそれに応じまして計画を策定されておるわけでございますが、どうも牛乳等が年度計画を少しく超過すると、それはけしからぬという感触で見られることはきわめて遺憾であって、これはむしろ計画が予定以上に早まっていくわけでございますから、食糧の自給が国是でありますれば、むしろ前向きに評価をしてよろしいのではないか。牛乳が、生産が九・一%ふえて、消費がたしか五・八%ですか、ちょっと余り過ぎておるということで、やり過ぎではないかという意見は、どうも食糧自給力向上という大きな国是からしても、私はおかしいという感じがいたしますし、加えまして、いま大山さんからもお話がございましたが、いま農林省を中心として、米の生産調整に末端では非常な苦労をされておるわけでございます。また、近く農業白書を国会でも御審議いただくことになるはずでございますが、ことしの農業白書を見てまいりましても、農業経営の中で一応最も安定しているのは畜産経営だというのが農業白書の指摘でございまして、したがって、米の転作の対象としては最も希望性なり将来性のある畜産なり酪農に冷水をかけて抑えてしまいますと、米の転作等についても非常なマイナスが出てくるということでございまして、国会の先生方でありますからよけいなことでございますが、米の問題と畜産の問題とを総合してひとつお考えをいただきたいということが実は私の根本的な態度でございます。  牛乳を申し上げますと、もう御承知のとおりでございますが、いま言ったような、生産が九・強増して、消費が五・八%ぐらいしかふえない。しかしやはり消費はふえているわけですね。私どもは、牛乳でございますとか乳製品とか食肉等の消費量は、申すまでもなく外国と比べれば低いわけでございますから、今後生活水準が回復し、特にいまのような不景気が多少よくなってまいりますれば、所得がふえてまいりますれば、牛乳なり肉に対する需要が当然ふえる筋合いだと思うのでありまして、いま牛乳の生産に対して消費がちょっと追いつかぬというのも、いまの不況をバックとする一時的な現象だと私は思うのでありまして、この牛乳の需給の問題はやや長期的に見ていただきたいという感じであります。  特に、これは後で桜井さん等からも御指摘があろうかと思いますが、全中等の話を聞きましても、いわゆる正規の乳製品以外に擬装乳製品がいま相当入ってきておりまして、たしか全中の調査では生乳換算二百二十四万トン、政府の方でもこの間の審議会では二百万ちょっとということを言っておりますが、これだけの牛乳をどんどん入れておれば国産の牛乳の消費の減ることも当然でありますから、これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、そういうような輸入がどんどん入ってきておる環境においての牛乳の消費生産に多少ギャップができるということも、御理解をいただきたいと思うのであります。  特に、いま問題になっておりますのは、本年度の牛乳の、要するに乳業メーカーの買い入れます限度数量の超過の問題でございます。これはもちろん、審議会では限度数量をことしはたしか百五十八万トンで決めておるわけでございまして、もうあと二、三日でこの年度が終わってしまうわけでございますので、いまさら限度数量を変えろとか変えないという問題ではないのであって、予算を超過するという問題とやや似ている問題であります。しかし、限度数量を実際超えておることは事実でございますので、これに対して、どうして限度数量が超えたかという実態をつぶさに検討いたしまして、これが農家の善意、特に農家の積極性に基づく増産が主な原因だということになりますれば、私は、冒頭に申し上げましたようなせっかくの増産意欲に水をかけるなというアイデアで、その辺を温かいお考えがされてよろしいのではないかという感じであります。  私はまだ不勉強でありまして、詳しくここに数字は記憶をしておりませんが、約二十万トン近い限度数量が発生するという状況のようでございますが、これは御承知のように、農家の自家消費、それから飲用向けの牛乳の消費量、それから加工向けというふうに用途別に計画を立てまして、それで限度数量を決めておるわけでございますが、たとえば飲用向けの牛乳の用途拡充を怠って、そちらで余ったものを加工用に持ってくるのであれば、これはどうも余り性質はよろしくないという感じでありますけれども、飲用向けの消費もふえておりますが、農家努力の結果、それ以上に増産された結果、最後は加工乳に持っていかざるを得ないという情勢のようでございまして、これはどうも飲用牛乳の拡大を怠って簡単に加工乳に持ってきたということではないようでありますので、その辺を踏まえて、国会なり政府においても適当な措置をぜひとってもらうことが、この際増産意欲をさらに発展せしめる上で必要ではないかという感じでございます。  ただ、振興審議会の総会でも意見が出ておりましたが、さっき言った外国からの輸入が増大しておることも困りますけれども、また、日本国内において、いま米の消費宣伝は政府も熱心にやっておりますけれども、牛乳なり乳製品の商品化に対する工夫努力がどうも少し足らないのではないか。私どもも牛乳は毎日飲んでおりますが、やや理論的に牛乳を飲んでおるので、栄養的によろしいということで、むしろうまいまずいを超脱して飲むということであります。子供さんにはそんなことはないのであって、やはりいま少し子供さんに歓迎されるような牛乳の消費形態ということがとられてよろしいのではないかということ。  それから、乳製品にしても、もう先生方承知のような、ヨーロッパその他に行きますれば、チーズなんかは何十種類のチーズがあって、非常に好みに合ったチーズが口に入るわけでございますが、どうも日本のチーズは、多少いまバラエティーは出てきておるようでありますが、きわめてシンプルである。したがって、いま少し牛乳なり乳製品の商品化について、政府もわれわれ民間も消費拡大の努力をしていくべきではないかということでありまして、いま言った限度数量をめんどう見るにしても、現在畜産振興事業団が一万四千トンの脱脂乳を買わざるを得ないということになっておりまして、ともかく値段は値崩れをしておりまして滞貨現象が起きてきておりますから、外国からの輸入を抑えることは当然でありますけれども国内においての乳製品の販売についても配慮されてもよろしいのではないかという感じであります。  時間がございませんから簡単に申し上げますが、それから牛肉、豚肉も、冒頭に申しましたような非常な増産の傾向にございまして、また、卸売市場価格も法律の所期する中心価格水準でほぼ一カ年は推移しております。私はこの問題に、実は会長という資格もございまして、消費者その他からいろいろ陳情なり苦情も言われているわけでございますが、現在の畜産物価格安定法、これに基づいていまの肉の価格が操作されておるわけでございますが、この一カ年中心価格にほぼ近い水準でずっと順調に推移しておるということは、法律の趣旨に最も沿っているわけです。ですから、畜産物価格安定法の制度が悪いという根本論になってくれば別でありますが、国会で審議されて、国会意思として確定した法律によっていま大体所期のとおり運営しておるということは、どうも一般の消費者なり報道関係もやや認識が足らないのではないかという感じであります。  ただ問題は、円高という問題からこの問題が非常に消費者の関心を引いてきたわけでございます。円高ともう一つは、事業団等が払い下げて、いま言った卸売価格が中心価格水準で推移しておりますが、卸から消費者へ渡る間の流通経路が実は私にもまだしっかりした詳細がつかめないほどきわめて複雑なわけでございます。したがって、私は、円高によるメリットは、これは畜産農家の御努力と無関係な一般の国民が享受すべきメリットでありましょうから、方法論はむずかしいと思いますが、何か適当な方法で消費者にも円高のメリットを還元するということ。それからもう一つは、せっかく畜産物価格安定法で卸売価格は安定しておるわけですから、それから消費者に渡る過程の流通経路、これを何としてもこの際合理化してまいりますれば、消費者側からの不満も大分解消されるのではないかということであります。  特に、これも申し上げるまでもないのでございますが、FAOなりOECD等の最近の発表によりましても、数年後に牛肉の需給は国際的には不足することがはっきり出ておるわけでございます。したがって、日本がいつまでも外国からの肉に依存するということは、これは近い将来むずかしい段取りにも入るというふうに見込まれるわけでございます。しかも、牛の方は、一たん減らしますと回復には数カ年かかるということは申すまでもないのであります。ただ、私は、鶏卵とか豚肉にしても日本生産条件からやむを得ないということでありましょうが、確かに牛肉はやや国際的には高過ぎますね。ですから、私は、政府にも申し上げておりますが、特に国会においては、特に牛肉、豚肉もそうでありましょうが、牛肉については自給力を図ることは当然でありますが、やはりそのコストを下げるという方向がもっと強く積極的に出てよろしいのではないかということであります。今回の牛乳の増産も、やはり配合飼料価格の安定ということが非常な大きなメリットとして出ておるようでございまして、したがって、この三月に実はその価格を決めることは時期的にはおかしいのでありまして、ことしのまた出来秋のアメリカの穀物がどうなるかによって値段が上がってくると苦しくなるわけでございますが、やはり現在程度価格水準を、ひとつ価格補給金の制度なり特に備蓄の面で強力にこの安定を図っていただきたいということ。それから、北海道等では大分最近は経営規模が拡大されておりますが、先ほど大山参考人からもお話がありましたが、何としても畜産の経営規模の拡大には牧野の拡大が必要でございますので、国有林——民有林もございましょうが、特に北海道、東北、九州等の国有林の多いところが概して畜産、酪農の盛んな土地でございますので、これは畜産振興審議会も何遍も実は附帯決議でやっておるわけでございますが、余り実効を上げておらぬわけでありまして、特にこれは農林水産委員会先生方に、林野庁も相当な赤字で苦しんでおる、恐らく北海道の国有林あたりは赤字要因の大きな原因をなしておるのではないか。私は、きわめてシンプルな推測でございますが、そういうことでひとつ国有林の活用で規模拡大を図っていただきたい。  それから輸入を抑えること。これはいまのピンチに入ってきたんじゃ、全くこれは壊滅をしてしまいまするから、その辺を折り目を正して、ECにも、豪州にも、ニュージーランドにも、アメリカにも、はっきり国内事情がまだわかっておらぬという感じを私は持っておりますので、外国にもこの辺をはっきりひとつ説明をして了解を取りつけていただきたいと思います。  それから金融措置について、相当酪農家等は多額の借金をしておりますので、より低利な金が出ますることも対策の一つではないかと思うのであります。  時間がもう大分過ぎましたので、以上簡単に申し上げまして、また御質問にお答えいたします。(拍手)
  8. 山崎平八郎

    山崎委員長 ありがとうございました。  次に、桜井参考人お願いいたします。
  9. 桜井誠

    桜井参考人 五点にわたりまして意見を述べさせていただきます。  まず第一点は、政府の保証価格並びに安定価格に関する算定の問題でございますが、保証価格につきましては、御承知のとおり生所方式が政府におきましてもとられておりますけれども農家にとりまして一番大きな問題は、家族労働がいかに評価されるかということであります。去年の場合ですと、家族労働につきましては飼育管理の場合七百二十九円、自給飼料におきましては六百三十円ということでありますが、全国酪農民、特に畜産農民全体を通じて同じでございますけれども全国の勤労者が得ておる賃金水準ぐらいは畜産の場合でもぜひ欲しいということであろうかと思います。去年の米価決定におきましては家族労働評価は九百十九円。本年同様な算定の場合には一時間千円以上になろうかと思いますが、そのぐらいの水準の賃金がやはり欲しいというふうに酪農民は考え、畜産農民も考えておる、こういう点をやはり考慮すべきじゃないか。  また、食肉の安定価格につきまして、生産費をもとにする算定を政府はいたしておりませんけれども、仮に百歩譲りまして、現在政府がとっております需給実勢方式、これを基礎にいたしましても、いろいろな問題があるわけであります。その一つは、現在、肉牛、肉豚の農家販売価格をもとにいたしまして政府は算定をいたしておりますけれども、基準になります肉豚あるいは肉牛販売価格、これが上位価格に見合う価格以上に出ますと頭をちょん切ってしまうというやり方をしておるわけでありまして、いわゆる頭切りを実施をいたしておりますが、これでは本来の需給実勢方式になっていないのじゃないかという点を指摘をいたしたいわけであります。  また、生産費指数、いわゆる生産費の値上がりを示す指数算定におきまして政府が現在行っておりますのは、名目価格を物価修正をいたしまして実質生産費に戻し、再び名目生産費に戻す、いわゆる複雑なやり方をとっているわけでありますが、これは畜産農家にはなかなかわけのわからないことでありまして、やるならば、初めから名目生産費で生産費指数を出すべきじゃないか、この方がずっとわかりがいいということでございます。  第二点の問題につきましては、加工原料乳の限度数量の問題でございますが、酪近の計画によりますと年率四・二三%、ところが五十二年の生乳生産の伸びは九%、大幅に生産が伸びたわけでありますが、この生産の増大あるいは脱脂粉乳一万四千トンの買い入れというふうな事態をとらえまして、限度数量オーバー分の問題あるいは五十三年度の限度数量をどうするかということが問題になっております。ところが、この限度数量というのは、米の予約限度数量とは大幅に性格が違うと思います。米の場合は、外国から米を輸入をいたしていないわけであります。ところが乳製品の場合には、やはり外国から相当の乳製品が入っております。ココア調製品、生乳換算で十八万トン、それから学校給食用の脱粉を初めといたします乳製品二十六万トン等の数量が、国内生産されない乳製品は別といたしましても入ってきておるわけでありますから、酪農民にとりましては、そういうふうな乳製品が外国からかなり入ってきておるということを前提にしないで、ただ酪近をオーバーする生産であるから限度数量を抑える、こういうことでは、なかなか納得がいかないというふうに思います。五十三年度の限度数量につきましては、生乳生産の伸びを七%、飲用牛乳の伸びを五%と推定いたしますと、およそ二百万トン近くになるわけでありまして、これを目途とした五十三年度の限度数量設定が必要であろうというふうに考えます。  第三点の問題は、牛肉の価格、豚肉の価格でございますが、御承知のとおり、先週の土曜日を除きまして最近の牛肉価格は、和牛で千四百円台、乳雄につきましては千百円台に下がっております。五十二年度の農林省の和牛の生産費一頭当たり五十三万四千円、これをごみ皮を引きまして枝肉換算いたしますと千四百九十円、中間経費を百円といたしましても千五百九十円水準で販売をされないと採算が合わないわけであります。また、乳雄につきましては一頭当たり四十万七千円の生産費でありますが、ごみ皮等を引きまして枝肉換算では千百三十五円、中間経費八十円と見ましても卸売価格は千二百十五円の水準になります。御承知のとおり、枝肉キロ百円値下がりをいたしますと、生体では大体三万六千円から三万七千円の損失、値下がりになります。したがって、二百円の下落でありますと一頭当たり七万円水準の手取り低下ということになり、現状からいたしますと、特に畜産農家におきましては、和牛では千六百円、それから乳雄につきましては千三百円水準以上のところが欲しいというのが偽らざる気持ちではなかろうかと考えます。  そういう意味で、現在の中心価格割り込みの実態は非常に畜産農家は心配をいたしておるわけでありまして、私どもの気持ちといたしましては、国の事業団の輸入牛肉の売り渡しに当たりまして、国産の牛肉の価格はいま申し上げました千六百円あるいは千三百円を中心に価格形成がされるように、場合によりましては売り渡し量の圧縮、さらには輸入牛肉の放出の停止、こういうことが必要ではないかと考えるわけであります。  次の問題は、先ほど参考人からも話がございましたが、生産費の中で一番大きく占めますのがえさの問題と素牛の問題、それから家族労働費の問題でありますが、子牛の価格安定制度、これが現在ございますし、五十三年度から保証基準額も引き上げるわけでありますけれども、この内容をさらに拡充強化していただきたい。また、去年実施をされました子牛の出産奨励金一頭一万円につきましては、さらに大幅にこれを引き上げていただきたい。また粗飼料増産のための対策につきましては、従来からもやられておりますけれども国有林の活用を含めましてさらに対策を拡充をしていただきたいと考えるわけであります。また、去年実施をされました負債整理の畜産経営改善資金につきましては、五年という期間でございますし、据え置きが一年でございますけれども、去年の八月現在で打ち切りということでなくて、先ほど申し上げましたような価格低落の現状にかんがみまして、この制度を継続をいたしまして、金利の問題あるいは償還期限の延長、そういうもの、あるいは対象範囲の拡大等含めて十分内容を充実をさせていただきたいと考えるわけであります。関連いたしまして、農協預託の肉畜につきましても低利資金の供給措置が確保されることが必要であろう。  最後に第五点目でありますが、去年の十一月以来日本全体でいろいろ問題になりました牛肉の枠  の拡大でありますとか、オレンジ問題であります  とか、あるいは最近では指定乳製品のニュージーランド等からのあるいはECからの輸出要請、これがございますけれども、やはり基本的には国内で賄えるものは国内で賄う、どうしても足りない分だけを外国から輸入をする、こういう原則をぜひ国の政策としてはっきり確立をしていただきた  いと考えるわけであります。   また、三十九万一千ヘクタールの膨大な転作に現在農家が取り組みをいたしておるわけでありますから、その出口になります畜産、この農家生産意欲をそがないで、安心して畜産生産ができるというところにやはり農政の基本が置かれるべきじゃないかというふうに考えます。  以上、五点にわたりまして意見を述べさせていただきました。(拍手)
  10. 山崎平八郎

    山崎委員長 ありがとうございました。  次に、松川参考人お願いいたします。
  11. 松川牧夫

    松川参考人 私、北海道の十勝浦幌町におきまして酪農経営に従事しております松川牧夫と申します。  すでに参考人の多くの方々から、いろいろと私の述べたいと思うような点につきましては申し上げてございますが、重複する面はお許しいただきまして、ただいまから私たちの考えておりますこと、お願いいたしますことを申し述べたいと思うわけでございます。  政府は、米の需給均衡化対策の推進に関する通達を出されました。そして、単に米の減産にとどまることなく、総合食糧政策は、供給面において自給力向上の主力となる作目に思い切って傾斜する農政の展開であるというふうに私たちは聞いております。そして農業生産の再編成による事態の克服をうたっているわけでございますけれども、幸いにして加工原料乳その他畜産関係生産が拡大中でございます。これが自給力の向上の主力となる作目であると私たちも信じておりますし、今後、米の減産分をどうしても酪農、畜産、畑作等によりカバーをする必要があろうか、そして現在以上に自給力を下げないような方策がどうしても必要であろうと考えるわけでございます。そういう一つの観点から、いろいろと御意見を申し上げたいと思うわけでございます。  まず、先ほども申されておりますが、五十二年度におきまして加工原料乳として認定された全量に対し、不足払いの措置を講じていただきたいと思うわけでございます。  また、五十三年度も加工原料乳は引き続き増産傾向にありますので、限度数量を思い切って拡大していただきたい。  第三番目に、加工原料乳生産者補給金は、保証価格の単位と整合する乳脂肪三・二%換算乳量に対して交付していただきたい。  四番目に、五十三年度加工原料乳生産を抑制または阻害するすべての外国乳製品、指定乳製品及びその他の乳製品でございますが、その輸入は必要最小限度に削減していただきたいと思うのでございます。この点につきましては、私たち生産者立場から考えますと、まず輸入する量をベースに置いて、その上にわれわれが生産したものを、その量によって多く生産し過ぎたというふうに考えられるきらいがあると私たちは思うわけでございます。  次に、昭和五十三年度加工原料乳保証価格並びに指定食肉安定基準価格の算定方式の改善と適正な価格への引き上げをお願いするものでございます。  昭和五十三年度農政の課題は、米しかつくれないような従来型農政を脱皮して、畜産、畑作も米並みにつくれる農政の確立であるというふうに思うわけでございまして、したがって、五十三年産の加工原料乳保証価格並びに指定食肉の安定基準価格の算定に当たっては、作目間の相対価格関係の是正をお願いし、こういう観点から米価並みの算式を用いることが不可欠の要件であるというふうに思うわけでございまして、政府は保証価格並びに安定基準価格の算式改善のため次の措置を講ぜられたいとお願いするものでございます。  一つは、価格算定に用いる生産費は、過去三カ年のものとしていただきたい。  次に、採用する生産費の対象地域を拡大していただきたい。  三点目は、家族労働の評価は、当面少なくとも製造業五人以上規模労賃によることとして、米との差別または飼育管理と飼料生産の差別をなくしていただきたいというふうにお願いするものでございます。  次に、四点目は、適正な限界農家生産費及び所得を補償するため、評価がえ生産費の平均値によらず一定の基準によってこれを上回る限界農家生産費を想定して価格の算定をしていただきたいということでございます。  また、当該価格決定年の物価、労賃、これは想定されまして経済企画庁等からも発表になっておりますが、一応の想定した物価、労賃を算定の中に加えていただきたいということでございます。  それから牛肉、それと生きた牛、その他畜産物などの輸入の抑制、それから国境保護の堅持でございます。  わが国の農民が、米の減産に伴う農業生産の落ち込みを防ぐため、畜産、酪農の拡大に必死の努力を続けているやさきに、貿易黒字の解消その他、いかなる理由にせよ、これを阻害する輸入の拡大、国境保護措置の緩和等は断じて行っていただきたくないというふうに思うわけでございます。  なお、畜産振興事業団による牛肉の需給操作は、中心価格の維持に万全を期していただきたい。  また、乳用雄肥育素牛、肉用子牛並びに鶏卵等の保証基準価格及び補てん率の引き上げについてでございますが、安定基金制度に基づく乳用雄肥育素牛、肉用子牛並びに鶏卵の保証基準価格は、その生産費と所得を補償する水準に引き上げるとともに、補てん率を大幅に引き上げていただきたいということでございます。  なお、昭和五十三年産加工原料乳及び指定食肉等の生産数量の保証並びに価格決定に関し、われわれ生産者意見も十分に取り入れていただきたいというふうに思うわけでございます。  以上、その申し上げたいことのごくかいつまんだことでございますが、私、ちなみに北海道における、いわゆる、先ほどお話が出ておりましたが、米の生産調整によってどのような変化をもたらすかを若干数字を挙げて申し上げてみたいというふうに思うわけでございます。  北海道における農業の総産出額は、昨年八千九百億余り、約九千億でございますが、その中で、米は二千七百八十億、牛乳は一千六百億でございます。この米と牛乳を合わせますと、北海道の農業の総産出額の半分を若干超えるぐらいの数字でございます。この中で、現在北海道が八万八千八百二十ヘクタールの水田を規制しなければならないという問題に直面し、先ほどお話がございましたように、いまそれぞれの農村、水田地帯におきましては、これが国に協力する形のもとに大変な作業に入っております。北海道におきましては、何といいましても最も生産額の高いものは米でございます。その次は牛乳でございます。そして、その次にバレイショがございますけれども、バレイショは牛乳の約半分でございます。六百億程度でございます。こういう現状を見ますときに、特に北限地帯としてきらわれております米の生産を、私たちは何とか畑作、酪農、畜産によってカバーしなければならない。そうでなければ、規制を受けた農家は今後生きていかれないという現実にぶつかっております。  こういう意味からも、どうか国の食糧の自給向上を図るという見地に立って、今後強い政治的御配慮をお願い申し上げるものでございます。また、牛乳の算定に当たっては、私たち北海道農民組織独自の中身も持っておりますが、時間の関係もございますので、諸先生方の御質問の中でまたお答えしていきたいと思います。  以上をもちまして、私の陳述を終わります。(拍手)
  12. 山崎平八郎

    山崎委員長 ありがとうございました。  次に、三神参考人お願いいたします。
  13. 三神茂

    三神参考人 三神でございます。  これまで、実務家、実際家の具体的な当面の施策に対する御指摘あるいは要望などがございました。私は、立場上、いわばごく常識的な一般論あるいは抽象論ということになるかと存じますが、御了承願います。また、全体の趣旨においては、これまでの各参考人の御発言、御趣旨とそう大きな違いもあるまいと存じますが、したがって、五十三年度畜産物価格はどうあるべきかというような意見を申し上げることができにくいのでございます。  ただ、今日の畜産物、畜産生産、牛乳、牛肉あるいはその他の停滞というものの姿を見ておりますと、どうも古いことを思い起こします。つまり、先ほどお話がある米の過剰という問題は、実は戦前にも幾たびか過剰は経験しておりますけれども、それでは全国民が満ち足りて米を食べておったかというと、むしろそうではなくして、戦前長きにわたって米は絶対的な不足の時期を経過し、戦後、恐らく四十年代に至って、ようやく国民あまねく米が三度三度十分に食べ得るというようになったのだろうというふうに感ずるわけでございます。  つまり、今日畜産物の消費において、消費者一般はその潜在需要はなかなかに旺盛なものがあるにかかわらず、相対的に価格が家計負担において高いということから、今日の大きな需要の停滞を招いておるのではなかろうか、こういう感じがいたしますし、また、今日米の減反というものを一つの象徴的な事柄として、食生活は著しく変革しつつある、変革のまさにさなかにあるというように私ども理解をいたします。  一例を述べますと、戦前は、栄養カロリー量の七、八〇%を米を給源として得ておったが、今日に至りますと、一日国民一人当たり二千五百カロリーの中で、おおよそ米の供給するカロリー量は三分の一、言いかえますならば、かつて主食であり副食であった米が、むしろ副食の地位も失っておるという比喩的な言い方もできようかと思います。したがって、その残るところのカロリー量、米によらないところのカロリー量は六〇%を今日すでに超えておる。さらに米の消費は微減をしつつあり、そして、主として動物たん白、畜産物を供給源とするカロリー構成への転換という姿を示しつつあるということは、これはまさに食糧消費構造の構造的な変化と言ってよろしかろうと思いますし、まさに今日そういうさなかにあるのだろう。いわゆる畜産物の消費の旺盛な潜在需要というのは、こういうところに構造的にあり、これからも当然のこととしてそれは続いていくものであろう。にもかかわらず、後に申し上げますように、今日消費者一般が十二分にあるいは相当程度に畜産物消費をスムーズに生活の中に取り入れておるのかということになると、必ずしもそうは思われないというふうに感ずるのでございます。  これからの私の短い意見を要約いたしますと、これまで各参考人が御指摘になりましたことと重複をいたしますけれども、要するに、今日の政府のもろもろの畜産物価格支持水準というものは、それは生産者サイドに立てば、るるお話がありましたように、まことにお気の毒な水準ではあるのかもわかりませんけれども、しかし、それにしても、その価格水準は今日ようやく家計の負担のほぼ限界に達しつつあるのではなかろうか、このことが需要停滞の主たる要因となっておるように私には思われてならない、こういうことが一点。  したがって、それでは末端消費価格を安定低位ならしめつつ、一方で生産者がそれぞれの畜産物作目について十分な収益を上げ、展開をしていくためにはどうすればよろしいのか。これについても、基本的には、幾たびか参考人が御指摘がございましたように、要するに、非常に困難ではございましょうけれども生産者価格を、コストを相対的に低からしめていく。相対的に低からしめて、家計負担とのバランスをとり得るような価格水準を目標として生産を続けていただきたい。それが、より長期的に見れば、ある時期に至りますとあるいは飛躍的に畜産物消費の需要を拡大する契機にもなるかもしれないというふうに考えるのでございます。つまり今日、非常に酷な言い方かもしれませんけれども、私どもは、生産者方の、生産者委員と申しますか、主としてそういう感じの方々と同席させていただいており、私もまた心情において生産者サイドにあると自分自身思っておりますけれども、非常にお気の毒、困難ではありましょうが、生産価格の水準を引き上げるということを期待して生産をすることよりも、収益、利潤を引き上げるために生産性を引き上げる、そういうところに関心を持つように努力をしていただきたいと存じますし、何ほどかの価格の上昇があるやなしやということの議論は別といたしまして、少なくとも国の政策の方向もそういうところに向けられることがよろしいのであろう、こういうふうに考えます。  そこで、まず消費者の家計負担について、牛肉、牛乳などを例としてその推移を見ますると、これは総理府の家計調査あるいは農林省の統計でございますけれども、たとえば牛肉につきまして、これは全国全世帯四十五年度から五十一年度に至る推移でありますが、家計の中で牛肉支出金額だけを取り出してみますというと、四十五年度八千四百五十六円であった、五十一年度五年後二万一千九百十一円になっている。購入量はどうかと見てみますると、これは世帯年間購入量でございます。その世帯といいますと、まず四十五年度——五十一年度四・二三人、ざっと四人というところで、余り変わらぬと思いますが、四十五年度の全国世帯の牛肉の購入量は六千八百六十一グラム、五十一年度購入量は八千百五十二グラム。つまり購入量はやはり年々微増をいたしております。とりわけ四十八年、四十九年時点のいわゆる石油ショックを契機にしまして、いわゆるけちけちムードというようなことがございまして、かなりに消費が切り詰められましたものの、なおかつ四十八年を除いては翌四十九年一二%、五十年一%、五十一年五%というふうに伸びてきておる。この間五カ年間の伸び率一五%で購入量がふえておる。価格はどうか、四十五年対比実に二倍半に値上がりをしておる、こういうことであります。  それから、牛乳の方はどうか。これはこの三月の総理府の家計調査でございますけれども、五十二年まで牛乳の消費量は、同じく全世帯四人世帯で、四十五年が四十八キロ、五十二年が四十五キロと若干減っておる感じがいたしますが、この推移をたどっていきますと、四十六年四十五キロ、四十七年が四十四・六キロ、四十八年が四十四・四キロ、四十九年四十一キロとかなりに激減をし、五十年四十三キロと低下が続き、逐年一ないし二%ずつ低下をするという推移をたどっております。  この間の牛乳の価格の推移を見ますると、これは同じく家計調査で同じ出典でありますけれども、トータルではございませんで一例でありまして、すぐ統計がつながりませんが、東京で一本当たりの牛乳の価格の値上がりを見ますると、四十五年の平均価格が二十三円でございましたものが五十一年には五十二円になっておる。これまた二・三倍に価格は上昇をしておる。消費量は逐年わずかながら減退をし、価格が二・三倍になっておるという姿がございます。試みに十年前を見ますると一本十七円、十カ年間に小売価格は三倍余りになっておるという状況があるわけでございます。  以上のような細々した数字を申し述べまして、要約してどういうことを私ども感じておるのか。つまり、この五カ年間の家計支出といいますものは、年々の所得の増加ということがございますのでおのずから消費支出が増加をするということで、四十五年が月額九万八千円、五十一年には二十一万、つまり二・二倍に家計は伸びておるのでございます。所得が伸び、したがって一般物価が上昇する、食料品価格も上昇する、当然のこととして牛肉、牛乳とともにその価格は賃金上昇に肩を並べてそれぞれ二倍半もしくは二・三倍という価格に値上がりをしておるわけでございましょう。なおかつ牛乳消費量の微減あるいは牛肉消費量の若干の増加があるということは、言いかえますると、消費者が価格高騰にもかかわらず、それまでの消費量を維持するために相当の支出を費やしてきているんだ、個々の家計において、いわゆる食肉、乳製品、牛乳消費のための努力はされておるんだ、にもかかわらず牛肉消費の若干な増加もしくは牛乳在庫の大幅な貯留、滞留というかっこうになっておりますよということでございましょう。つまり、消費者の努力生産者努力が相互にかみ合いませんところに、それが価格という形にあらわれて今日の状況を招いておるというのではなかろうかと存じます。  さて、いまのようなそれぞれの世帯の牛肉、牛乳の消費量とはいかなるものか。先ほど片柳参考人から御指摘もございましたように、少々細かいことを申しますと、四人世帯、恐らく夫婦子供二人ということでありましょうが、一カ月牛肉七百グラム、一日では牛肉二十三グラム、しかもこれが四十五年に対比いたしまして一五%増加をしておるということであります。農林省の長期見通しなどによりまするというと、牛肉消費はこれから六十年に至る間およそ七〇%程度伸びるであろう、こういうふうに予測をされておりますが、その七〇%伸びるということは、世帯において一日二十三グラムのものが四十グラム弱になるにすぎない、こういうことであります。あるいは牛乳について見ますると、世帯消費量は一日一本少々、こういうかっこうになりまして、微減でありますがまあまあ五年前とほとんど変わっていない。いささかくどく繰り返しますけれども、牛乳の価格は、四十−四十五年には三〇%上がり、四十五−五十一年の五年間に二・三倍に上がる。およそ十カ年、三倍に上がる、こういうかっこうになっておるということでございます。少なくとも、四人世帯において一日二十三グラムの牛肉消費、一日一本の牛乳消費、これが過剰であるということにはならぬのだろう。これはさまざま統計的な調査がございますけれども、どうも感覚的に見て納得しがたいという感じは免れません。  これまでの間に、この五年間、十年間、エンゲル係数は逐次引き下がっております。恐らくこれからも下がるでございましょう。つまり、年々の所得の増加に応じてその増加分を食糧に向けることの割合が幾らかずつ低下をしていく。五十二年度のエンゲル係数は、つまり家計の中に占める食糧消費の割合は二九%余、前年は三〇%を超えておった、こういうことでありますが、これからは逐年エンゲル係数は相対的にわずかながら低下していく、つまり所得の増加分と同じ割合を食糧消費にふやすということにはなかなかなりにくいということであろうかと思います。これは消費者が、格別計算をして、理論的にあるいは栄養的に等々を考えてそういう志向をとるのではなくて、国際的にも国内的にも、きわめて慣習、伝統的にこういう一つの志向をたどるということであろうと思います。  したがって、畜産消費の将来というものも、消費者の家計において見ます限りは、やはりこういう畜産消費もしくはその支出金額のバランスというものはそうにわかに崩れていかない。にわかに急増もせず急減もせずということが実際では現実なんだろう。そういう現実というものを頭に描きながら、生産者側がこれに対応していくということにやはりならざるを得ないのではなかろうか。おのずから相当に生産性を引き上げ、年々コスト低下の努力をしつつ末端消費者に対応していくというのが、やはり本来の畜産生産展開のための基本的な姿ではなかろうか、こういう感じがいたします。  それでは、価格は相対的に下げるよ、収益は引き上げるんだよ、そういううまい方法はどのように今日あるのか。申すまでもございません、いわゆる畜産を制するはえさを制するというのが戦前からの一つのスローガンであるやに聞いておりますが、これまでの各参考人の御指摘もございましたけれども飼料自給率を引き上げつつ、それに対応して、個々の適正規模の拡大を図る、あるいは規模の適正化を図るというほかには、特段の奇策というものはないのではなかろうかというふうに私どもは考えます。  先ほど桜井参考人からも御指摘がございましたが、農林省調査によりますというと、これは五十一年の数字でありますが、生産費の五七%が飼料である、家族労働、雇用労働を込みにした二四%、生産費のおよそ四分の一は労働費である、いわゆる牛の導入、牛の償却費七・五%である、こうなっておりますが、これらの三つの費目を合わせますと生産費の八九%になります。そして、飼料のコストに占める割合は六〇%弱ということになっております。そしてこの資料は北海道、内地を含んでおる平均の資料でございましょうから、北海道の場合には当然、その基盤に恵まれたところでは自給飼料比率はもっと高くなる。逆に内地の場合を考えますと、全面的に購入飼料に依存している内地の飼料費比率ははるかに高くなるかと思われる。ごく常識的にそういう推測も成り立つかと思います。  そこで、簡単な算術計算を試みますと、仮に自給飼料の拡大等によって飼料費を二割下げることができたとすれば、それは直ちに一二%の生産費の低下ということになること、きわめて初歩的な計算でございますが、そういう数字にもなるわけでございましょう。  それから、生産者の飼養規模について見ますと、全国平均では乳牛で十二頭とは言われますものの、四頭未満が四六%、いわゆる酪農家といわれるものの半数が四頭程度の牛を飼っておるということであります。また、肉牛に至っては二頭未満というのが八三%。最近はいわゆる乳雄の肥育専業農家がふえまして、はるかに肥育規模は拡大しておりますから、逆に、こういうきわめて零細な多くの肥育農家ときわめて少数の多頭肥育農家とが混在をしておるということも、やはり一つの問題ではなかろうかという感じがいたします。  この同じ生産調査によりますと、飼養頭数の規模が三十頭までの酪農家のところでは、牛乳の、飼料費、労働費、牛の償却費、つまり九割を占めます三つの費目はそれぞれ低下していく。つまり、生産性が上がりコストが低下をしていくというのが三十頭水準までであります。今日の日本の北海道、府県を含む飼料基盤の中でそういうことが可能である。そして同時に、一日当たり労働報酬あるいは利潤、労賃、地代、資本利子というものを含めた利潤はやっぱり上がっていくという姿に、これはだれが見てもそうであろうと推測されるような常識的な結果になっておるということでございます。  価格の若干の仕組みないし若干の展望を申し上げたにすぎませんで、政策的なお話は一向に私ども特にここで用意はございませんけれども、最近の見聞の一例をちょっと御紹介しますと、霞ケ浦周辺の開拓地で、一週間ほど前でございましたが、なかなかりっぱな酪農家のところへ見学に参りました。この酪農家は、開拓入植農家でございましたが、戦後の開拓ですから、配分面積も、酪農専業、畜産専業ということで、かなり多くの配分を持っておられましたが、今日時点で、水田の裏作が百三十アール、草地が百二十アール、合わせて二百五十アール、二町五反の草地基盤を持っておる。年間の乳量は、これは恐らく五千五百キロというのはほぼ平均もしくは全国平均を若干上回る程度の水準であろうと思いますが、年間一頭当たり搾乳量が五千五百キロ、キロ当たり乳価が百四円。この百四円というのは地域酪農協の中では二、三円高い、つまり乳脂率がよろしい、それから雑菌のランクがきわめて低いということで、良質乳価である数字でございますが、一頭当たり年間の乳代というものを計算すれば簡単に算術できるわけでございますが、五十頭からただいま搾乳しておりますから、年間の牛乳販売代金は二千七百五十万円ということになるわけです。  お話を聞いてみますと、飼料自給率は六〇%、二町五反あって、内地府県で酪農を主とする農家努力をなさるというと、六〇%飼料の自給ができるということ。しかもその牛は、耐用年数はおおよそ平均十カ年だということで、いわゆる搾乳専用というような形で、一腹しぼりというような形で三年、四年で、たったっと牛をかえていく、おのずから投資額は増大をするというような形はとっていない。あるいは一腹しぼりのために、全面的に濃厚飼料に依存するという形もとっていない。それが、同じ関東周辺の、比較的都市に近いところで十二分に営まれておるという実例を見たわけでございます。仮に、この五十頭搾乳というものを、草面積と頭数を半分に考えましたところで、やはり恐らく自立経営の専業農家たり得るのだろう、これがそう遠い目標であろうかという感じもいたしたわけでございました。  以上のような、これは今日きわめて数少ない熱心な農家、後継者の息子さんとお父さんと二人でこれだけの所得、収益を上げておられるという実例を見たわけでございます。ひとつ、こういうところを努力目標として、価格の問題もさることながら、もちろん満たされる価格なくして経営を続ける、拡大をするということは困難ではございましょうけれども、個々の農家方々の目標も、最終的にはその消費の拡大とともに歩むというような姿でお考えをいただきたい。食糧消費構造は、向後相当多年にわたって変化をしていく。いま苦労する努力というものは、先が楽しみなんだということで、耐えがたきを忍んでいただくということもあるいはあってよろしいのではなかろうかという感じがするのでございます。  肉牛について一言だけつけ加えますると、やはり今日、乳雄、その乳雄子牛の肥育というものは、肉資源の自給力、自給活力、こういうことでございますから、当然のこととして乳牛の飼養、それに伴う雄子牛の供給の安定というものが、とりもなおさず牛肉価格の安定にも端的につながっていく。その意味では、わが国の食糧消費構造の中ではきわめて重要なものでございましょう。牛乳、乳牛、肉牛というものはきわめて重要なものでございますが、それらは多様なつながりの中で、ぜひとも向後発展をさせていただきたい。かつはまた、くどいようでございますが、多少生産者方々の御意見に賛同しつつも、若干の違和感、不協和音をきょうは申し上げたような感じがいたしますけれども、やや長い将来にわたってのわが国畜産の発展を考えるに当たって、私どもはそういう感じを持っております。  飼料資源の規模拡大ということで、先ほど幾人かの方々から、林野の活用ということを申されました。これも多年にわたって私ども聞いておりますし、それこそがまた飼料の基盤の拡大については勘どころかなめであろうと思いますから、その点についても国会等の方々には、ぜひとも奮発をされて、ひとつお取り組みをいただきたいと思っております。  以上で終わります。はなはだ抽象的、散漫な御意見を披瀝いたしました。どうも失礼いたしました。(拍手)
  14. 山崎平八郎

    山崎委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  15. 山崎平八郎

    山崎委員長 各参考人に対し、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀之内久男君。
  16. 堀之内久男

    ○堀之内小委員 本日は、参考人皆さん方には大変お忙しい中を御出会いただきまして、大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、非常に参考に拝聴いたしたところでございます。  実は、きょうの場合は、生産者側に立っての貴重な発言でありまして、私の一部聞き違いでありましたが、消費者の方が出ておられるのじゃなかろうかと思いましたので、そのつもりである程度考えてまいりましたところ、きょうは、ほとんど生産者側を代表した意味の発言でありますので、もうほとんど質問するようなことはないわけでありますが、特に片柳先生初め、私どもの最も信頼しております皆さん方から本当に貴重な御意見がありました。  片柳先生の述べていただきましたこと、これには私ども全くもう賛成でありまして、このような方向でやっていただかないと、最近の農林省というか役所側というのは、どうも消費者サイドというか、最近のマスコミ世論に左右されたような形でいろいろやられるのじゃないかというように私は考えております。特に牛肉のごときは、最近は、この牛肉をやり玉に上げさえすればいいようなかっこうで、常にマスコミあるいは報道機関のえじきに上がっておる、こういう実態であります。  ところが、日本の牛肉が安く売れるかどうかということを考えるときに、日本生産状況あるいはそういうのから考えますと、これはとてもできない。私も実際大生産地帯から出ておる議員でありますが、農家の実態を見ましても、和牛農家なり——まあ養豚農家は最近ちょっともうけたような気がいたしますが、和牛農家で、もうけてりっぱな家が建ったというような農家はなくて、あべこべに、最近のオイルショック以降の問題から、負債が大きくなって、とうとう田畑を手放さなければならないという——いま私の農協では十四人ぐらい、もう負債整理で全部売らしております。昨年、一昨年、二カ年にわたって経営安定資金とか負債整理資金とかいう名前で出されましたけれども、実際は、いままでのその資金ではとても及びません。五分の金利でも、いま、幾ら百頭ぐらいをさらにやってみたところで、資金の返済ができないという形から、農協としても財産処分に踏み切っておるというのが畜産農家の実態だ、私はかように思っております。そういう意味で、きょうは片柳先生から大変貴重な意見を聞きました。  そこで、最近は、牛乳の生産がちょっと伸びて、一二%か一三%伸びたとなると、今度はどうも生産過剰というような形で表現されて、いかにもよけいつくったことが悪者のような表現をされてきた。私も、農家生産意欲を伸ばすという立場から、食糧の自給率を上げるという立場からは、これはまことにいかぬ表現でありまして、でき得るならばこれはほめてやるべき問題で、今後意欲を伸ばすためには大変大事だ、私はかように思います。  問題は、いろいろ指摘されましたとおり、これだけ伸びましても、生乳換算で約二百二十万トン近い乳製品が輸入されておるわけでありますので、今後は、個々の問題にメスを入れていくということが大事であります。こういう畜産の方向を図っていかなければ、御指摘のありました米の生産調整、こういうのもとうてい達成できない、かように存じます。  私ども皆さん方のこうした御意見を受けながら、これから十分努力をさしていただきたいと思う次第でございますが、第一回目に述べていただきました青木さんにちょっとお伺いしますが、私、ちょっと不勉強でありますのでわかりませんが、この日本養鶏協会というのは、大体企業養鶏農家の集団になるわけですか。商社系というのですか、どういう団体になりますか。
  17. 青木宅治

    青木参考人 お答え申し上げます。  これは、商社養鶏とか企業養鶏ということではなしに、全国のそれぞれ組織されておりまする、いわゆる日本養鶏団体、何団体ございますか、各養鶏の団体が全部網羅されております。全農さんを含めて。そしてこの養鶏協会は、それぞれ事業はやってお互いに末端の組織は違った組織へ入って、専門農協は専門農協でやっておる、あるいはまた総合農協は総合農協の方へつながってやっておるということもございまするが、そういうそれぞれの組織がまとまってきたものが日本養鶏協会に皆入っております。ですから、各府県に必ず一つの支部がございまして、ここを通じて下から意見がまとまってまいります。ですから、これは特別の事業でもございません。ほとんどがいわゆるそうした指導関係をやっておる事業でございますので、特にこうした低卵価のときに問題になりますると、ほとんどがやはり養鶏協会を通じてこれを先生方お願いを申し上げたり、いろいろな運動をいたしておるわけでございますので、この点は特別偏るということではなしに、全部のそうした方が入っておりますが、一部問題になっておりまするような特別大きなそうした問題のような企業のものは入っておりません。
  18. 堀之内久男

    ○堀之内小委員 採卵養鶏農家が非常に最近困っておることはもう事実でありますが、農協系の方々は、先ほど大山さんからお話がありましたが、やはりある程度生産調整をやるのですけれども企業養鶏というのが、これは私の周辺も相当おるのです。企業養鶏が。これは商社系です。農協が幾ら調整をしても、指導をしたすきを見てどんどん拡大をしていくから、これでは私はもう——ブロイラーも一緒なんです。ブロイラーと、この二つは、これは始末に負えぬなということで、われわれが保護をするとするならばこれは別個のことを考えなければいかぬなというふうに考えておりますが、特に昨年度国会で中小企業分野調整法というのができたのです。私は最近、いまやあちこちで言っておるのですが、農業にも農業分野調整法というのがあって、大手商社企業は絶対に農業の分野には手は出してはならないという法律をつくらなければ、これはもうだめだ、幾ら農林省が、農政が基本を立てながらやりよるけれども、いまの商社金融というのは、御承知の都市金融機関というのは四分から五分なんですよ。政府資金なんか、あなた六分五厘や七分五厘で借りておるよりは、商社を通じて借りて施設設備した方が安いわけなんです。だから、最近私の宮崎県で、いまブロイラーがこれだけ大暴落しているのに、また処理工場やらブロイラー団地をどんどんある商社でつくらしておる。私は、これがあると大変これは問題がある。だからこの協会の性格というのをお尋ねしたわけでありますが、私どもも、この採卵養鶏農家の問題、これは深刻な問題でありますので、ともに努力していかなければなりませんが、協会である程度、ほかの不況産業のように封印でもしていくとか、そういうような強力な処置までされないと、ただ政府がやれ、かれがやれ、政治がやれと言われても、一方ではどんどん拡張しっ放しということでは、これはなかなか卵価の安定ということは期せられないと思いますが、これまた一点お尋ねしてみたいと思います。  それから、先ほどちょっと私が申し上げました農業分野調整法というような形で、大手商社系の農業の分野に進出する問題を規制する方法、こういう問題については、農林の大ベテランであられます先輩の片柳先生方がどういうふうにお考えになっておられるか、ひとつ御意見をお聞かせいただければありがたいと思います。
  19. 片柳真吉

    片柳参考人 私もはっきりした御答弁がまだできないわけでありますが、特に養鶏ブロイラーでは、商社を頂点とするインテグレーションにつきましては、私は農林中金に在職中も大分気を使ったつもりでございまして、ただやはり商社の力が強いものでございますから、これをただ排除しても、結局力がありますると出てまいりますので、何かお話しのような法律が要るのか、そこまでは別といたしまして、やはり農林省行政指導をもっと強化して、法律をつくるとちょっとどきつくのではないかという感じでありますが、しかし、金融をつける際に一つの条件にするということも一つの手でもありましょうし、まだ法律はなかなかちょっと手ごわいのではないかということでございますが、ほうっておきますると、これはなかなか養鶏生産過剰ということになるようでありまして、したがって、ただ農協の方も、やはりあんまり人のことばかり言っていないで、手前の方でもわりあいにできる仕事でありますので、農協も負けずにひとつみずからの力を発揮するというようなことも、農協サイドでも必要ではないかという感じでありまして、以上で御了承いただきたいと思います。
  20. 堀之内久男

    ○堀之内小委員 ほかのいまの不況産業が、ある程度カルテルを結んで、ある程度の工場を封鎖するとか閉鎖するとかしますが、いまそんなに多いのならば、先ほども話が出ましたように、五十万羽、百万羽というのが私の近所でもたくさんおるわけです。だから、この際、この鶏舎は閉鎖するというようなことを協会自身でも、せっかくの日本全体をまとめた協会だとおっしゃるから、であれば、みんな集めてそれくらいして、市況の立て直しを図るということも一つの方法だと思うのですが、それはできませんか。
  21. 青木宅治

    青木参考人 お答えします。  いま先生のおっしゃったように、そういう養鶏協会に権限とそしてまた実力があると、これはまことに喜ばしくて、養鶏家もいいと思いまするが、いまの機構ではそれができないのでありまして、このために、私どもでも、そうした勝手なことをやる者を何とか防がなきゃいけないということと同時に、これは全部の養鶏家の総意であろうということで、過般全国の重立った団体から全部集まって、そうして自主的にひとつ需給に合った生産調整をやろうじゃないかということで、国の方にお願いして、国もひとつてこ入れをしようということから例の生産調整が始まったのであります。ところが、当時はある程度はこれによって自粛されたのですが、現在の養鶏はほとんどが自由業でありますので、法的の権限はないから、なかなか協会といたしましても、あるいは全農さんの方にいたしましても、言うことを聞かない者を抑える方法がないのだということが一つ。  そうして、これではいけないので、いまの行き方としては、まあ先生がおっしゃるように養鶏を中心にやっておる人は本当にまじめに実行されておるのですが、たまたまそうした、人のことはどうでもいい、おれさえよければいいんだというような不心得者が二、三出ておりますので、このために市場が撹乱されることもあるし、またほかの要因もございまするが、養鶏自体の性格がちょっとこれ問題があると思いますが、これはちょっと御説明いたしますと、同じ畜産の中でもちょっと違っておりまして、酪農の方に言わせますれば、つくった牛乳は勝手にすぐそのまま商品として売れないということになりますが、これがどうしても、ですから協同体をつくって、そうしてそこで衛生法に合ったような製品にしなければだめだし、製酪業者を通じるというチェックの場がございます。ところが養鶏は、鶏が生んだ卵がすぐそのまま商品になって、自由にどこへだれが幾らで売ろうとこれは構わないという、束縛されない、チェックのしようがないのがこれが美点であり長所であるのでありまして、このために流通経費も少なくて、生産価格消費価格が非常にわずかな価格でされておるということが美点なんですが、これを逆用されると、おれはだれの制限も受けぬのだから勝手だ、どこへ売ろうがいいんだということをやられるので、これが非常に困るということから、自主的にこれをひとつ守ろうということで申し合わせをして出発したのでありまするが、大半の方は守っておるのでありますが、いま先生の御指摘になったような者が二、三出ております。  これは機構の中ではできるはずなんですが、と申しまするのは、全部の養鶏家一つの登録制になりまして、そうして羽数を登録して四十九年の五月以上これ以上ふやさないのだという自粛をやったのですが、そういう方々はそれを守らないのです。そうして、登録もしてあるかないかわからぬような人もあるということです。だから、これはその各末端の市町村で、養鶏家を中心にして養鶏関係の団体の代表の方、市町村の方も入って、各地区の市町村調整協議会をつくったのです。そして県もございます。ですから、そういう地元でやはりそうしたものを糾弾しながら反省を求めるということが大事なんでありまするが、なかなかそういう者は地元の言うことも聞かなければ県の言うことも聞かないのだということが問題になってきまするので、これを何とかひとつわれわれとしても団体の力でこれを反省させなければいけないのと、あわせて国なり県なりの方々もこれをひとつ強力に後押しをしていただいて、そういう無法者をいつまでものさばらせては困るということを考えておりますので、こういう点は、先生方の方からもある程度法的にもできるような後押しをひとつお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  22. 堀之内久男

    ○堀之内小委員 それでは酪農の問題でちょっとお尋ねいたします。  先ほどの前部の問題ですか、松川さんにちょっとお尋ねしてみますが、この脱脂粉乳がいよいよことしは買い上げということになりましたけれども、しかし、私はそう心配ないと思う。これの処理が、無税の飼料用としての脱脂粉乳が相当入れられておりますので、日本の内地の過剰の脱脂粉乳というのは、抱き合わせ政策をとれば、もうこれはすぐ解消することだと私は思う。そうした場合に、酪農家が生産する場合に、脱脂粉乳を大体一俵ぐらい飲ませるのだそうでありますが、そうすると、十対一ぐらいの比率であるとか、あるいは七対一がいいのか、その辺はまだ私どももわかりませんが、そうした場合に、酪農家の方が率直にこれを受け入れられるかどうか。いや、それはそんな高い飼料脱脂粉乳はいかぬのだということになると、これはまた問題は振り出しになりますが、それぐらいのことは酪農家としてものむのだということになると、これは相当脱脂粉乳の輸入というのも抑制できるわけです。  あとそのほか、チーズなりいろいろ乳製品たくさんありますので、これは今後の課題として、私どもも、相当輸入がなされておるその入れよう等については、先ほど片柳先生の中で、やはり消費拡大ということで、これは役所もお互いに勉強しなければなりません。チーズは日本ではできないのだとかなんとか言ってナチュラルチーズを相当入れるようですが、そういうことでなくて、日本自体でこれをやって、あるいは乳製品の指定の中に入れてこれをやるとかいう方法も検討したいと思いますが、さしあたってすぐできることは、脱脂粉乳の問題がありますので、これを一つお尋ねをしておきます。  さらにもう一つ、これは松川さんの考えがちょっと違うと私は思うのですが、食肉の場合は、いまの畜安法の中で中心価格というものが決められておりますが、この中心価格肥育農家採算が合いますか。私はこれは絶対合わないと思うのですよ。いままで農林省行政指導しておったのは、中心価格と上限の中間、たとえば和牛で言えば千六百円ぐらいを中心にしてやるのだということを言っておった。ところが、昨年の暮れあたりから円高だ何だと言われて、とうとうそれの放出を早めて、いま千五百十七円の中心価格に持ってきたのが、今日の肉用牛の暴落を招いたところなんだ。しかも、その中心価格へ持っていくようにチルドなんかをどんどん放出されたら、中心が守れるはずがないのです。現在だぶついてしまって、いま千四百円そこそこまで落ちてきた、これが実態なんです。だから、松川さんは中心価格に持ってこいということですが、恐らく生産農家は、いまの中心価格であれば、乳雄にしてもあるいは和牛にいたしましてもこれは引き合わないだろう、私はかように考えましたので、一応お尋ねをする次第でございます。
  23. 松川牧夫

    松川参考人 ただいまの御質問でございますが、私たちも事業団で一万四千トンの脱粉を買い上げされたというふうに聞いております。私なりにただいま計算してみますと、生乳換算九万一千トンくらいになるように思います。私この問題に絡んでやはりもう一つ考えてみなければならない問題があろうかと思います。それは、学校給食用の脱粉を輸入しているという実態でございます。それで、なぜパック詰め等にした生乳を全国的に学校給食に用いていただけないだろうか、私は、そういうことから、まず生で飲む牛乳の消費の増大に絡んで、いわゆる原料乳がある程度減るということは、これは当然考えられることだというふうに考えます。  また、輸入脱粉と国産脱粉をミックスしたものでというお話でございますが、私、輸入脱粉はどのくらいで入り、それがどの程度のいわゆる国産物とミックスした場合に引き下げ要因になるかというふうなことについては、まことに申しわけございませんけれども、その内容については考えを述べるわけにはまいりませんが、私まず第一に、生で飲む乳の消費を拡大する、そしてそのために相当量の輸入脱粉を入れているという、これをまず解決することによって、いわゆる加工原料乳に認定される乳量全体の縮小を図るということが一つ前提でなかろうかというふうに考えます。  また、先ほど私、肉牛の肉価格のことについて申し上げたわけでございますけれども、これはいわゆる要求価格に対して中心という意味でございまして、いま確かにいわゆる国で決定されております指定食肉の価格では、当然、特に和牛等においてはただいま先生の御指摘のとおりであろうというふうに存ずるわけでございます。北海道はごく少数しか和牛がございません。ホルスタインの雄牛を肉に生産するという形でございます。したがって、このどちらにとりましても、和牛もそれからホルスタインの雄牛につきましても、私たちの要求価格における中心を維持してほしいということが私の意見でございます。  以上でございます。
  24. 堀之内久男

    ○堀之内小委員 もう時間が来たのだそうでございますので、あと片柳先生にお願いを申し上げて質問を終わります。  国有林の問題等も言われましたが、これは昭和四十六年の国有林活用法をつくっていただいたときに、ただし書き条項があるのです。あのただし書き条項が今日非常に悪いことをしておるわけで、保安林を除くというのがあるわけです。だから、営林署、林野庁は全部保安林にしてしまった。これは私ちょうどそのとき末端の市長をしておりましたけれども、われわれ市長も油断だったのだ、まさかと思ったのですが、里山までみんな保安林にしておる。水源涵養保安林——山は水源涵養保安林であることは事実なんです。それを全部保安林という名前にしてしまったから、いや、あれは保安林だ保安林だということで、全然活用ができない。だから、この法律改正については、今度私どもも当委員会あたりで十分論議したいと思っておりますが、やはり国有林の活用というのがこれからの日本の畜産を伸ばす一番大きな原因だと思う。大山さんが言われましたような形で営林署が貸すというならまだいいのですが、ほとんど貸さない、あれは保安林だということで全部けってしまっておる、こういう実態であります。  今後審議会等でいろいろ御審議があろうと思いますが、きょう先生からお聞きいたしましたこと、私どもは全く同感でありますし、そうした意味で今後十分努力さしていただきますが、さらに附帯決議等においてはぜひ生産農家が意欲を失わないような方向の答申をいただかないと、やはりどうも消費者サイドばかり言って、消費者というのは本当に農業というのを知らないから、安ければいいんだ、安ければいいんだという——これは人間だれしもそうなんです。安いほどいいに限ったことはありませんが、実態というものは、一たん失った畜産というものを回復するためには、牛のごときは、これは酪農と言わず和牛と言わず、回復するためには恐らく五、六年じゃとうていできないと私は思う。豚でさえオイルショックから四年かかってやっと現実にその当時に戻ったというのが現在であります。したがって、ここで農家が本当に意欲を失ってしまうという状態になってしまいますと——今回の畜産物価格決定というものは、将来の日本農政をあるいは農民の信頼をつなぐためにも大変大事なことだ、かように考えておりますので、ぜひ片柳会長のところで十分な御審議を賜りまして、本当にりっぱな御答申をいただきますように御要望を申し上げまして、質問を終わります。
  25. 片柳真吉

    片柳参考人 お答えをする必要がないかもしれませんが、実はこの間の畜産振興審議会の総会におきましても国有林の利用を強く要請しておる、それから農政審議会でもこの間そういう意見が出ておるわけです。同じ農林省の中の委員会で、畜産振興審議会も農政審議会も国有林の活用等について強い要望をしておりながら、同じ農林大臣のもとにおける林野庁の審議会がこれを無視するということはおかしいじゃないか。したがって、国会の例をとりますればあるいは連合審査ということもできるのかもしれませんが、そうはいかぬでしょう。そこで、畜産振興審議会も近く林野庁の首脳部を呼んで、畜産振興審議会の総会なり懇談会で林野庁と篤と話をするというふうにも考えておりますので、できるだけ期待に沿いたいと思いますが、ひとつ国会から強力な御支援を重ねてお願いいたします。
  26. 山崎平八郎

  27. 島田琢郎

    島田委員 参考人の皆さんには早くから大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、当面非常に重要な畜産物の価格決定に国会の私どもが政府を勉励してまいります上で多くの参考になる御意見をいただきましたことに、冒頭厚くお礼を申し上げておきたいと思います。  時間がわずかしかございませんし、後ほど芳賀委員の方からも質問がございますので、私はおいでいただきました中から、青木大山松川の三参考人にお尋ねを申し上げたいと思います。  まず青木参考人にお尋ねを申し上げますが、養鶏業界、とりわけ農家養鶏におきます苦衷の実態などをるるお述べになっておられまして、私も、私の選挙区という限られた中でありますけれども養鶏農家の人たちと多く接してまいりました中でさこそとうなずけるお話でございました。それだけに大変身につまされる思いなんでありますし、この委員会においてもしばしば養鶏問題が取り上げられておりまして、厳しく行政責任において果たさなければならない点なども指摘をしてまいったところでありますが、その中で特に、予測しなかったこの正月以降の卵価の大暴落に伴って、せっかく積み立ててあった安定基金が底をついてしまった、大変深刻な訴えでございました。当面、卵価の保証基準価格の決定を前にして、政府はその補てん率等で鋭意検討を進めているようでございますが、この先の卵価の見通しについてどのように見通しておられるのか、それを前提にして——先ほどぜひひとつ準備金を借り入れしたい、こういうお話でございましたが、幾らぐらいを必要と具体的にはお考えになっておられますか、これをまずお聞きをしたい。  それから二点目は、液卵輸入の抑制をやってもらいたい。これもまた当然のことだと思うのでありますが、現行の関税をどのように具体的に手直しをすれば抑制効果が上がるとお考えでしょうか。この二点、お尋ねをいたします。
  28. 青木宅治

    青木参考人 お答え申し上げます。  まず初めの、卵価の補てんに対する準備金が底をついた、ですからもし不測のときにはどのくらい必要かということでございまするが、これはもう一にかかって今後の卵価のいわゆる低落とかそれの見通しなんですが、この見通しがなかなか、神様でなければちょっと判定しにくいというのですが、業界でも昨年の暮れに全農さん初め鶏卵の業界がことしの見通しをやったのですが、これがまんまと外れた。当初からキロ平均二十円を格下げしなければいけないとかいうような問題になってきて、先ほど申しましたように本当に予測できないということであります。ですから、相当の準備金ができたのが、この一、二月でもってもうほとんど底をついてしまって、ない。全農さんあたりの基金も赤字じゃないかと思いますが、今後の卵価は、問題はこれから本当に下がってくるのですから、一、二月なんていままでほとんど補てんするような余地はなかったのが突発が起きた、これが大きな見当違いでございます。そして、実際に下がってくるのは、ほとんどが鶏卵の不需要期と産卵との重なったときの五月以降、六月、七月、八月というときがそうなんです。ところが、そのときもう何もない、すでに割ってしまっておるということでありますので、そのときの卵価の下がりぐあいによって、果たしてどういう数字が必要になってくるのか、ちょっといま計算ができかねておりますが、この場合、前もってことしは、その体制で国にお願いするにはこのくらいの場合はこのくらい要るのだという予測をひとつわれわれでも立てようじゃないかというので、計算をやっておる最中でございますので、この点もいましばらくちょっと御猶予をいただきたいと思います。  それから卵価基準の問題、ちょっと御説明申し上げますが、基準価格の方も、いまちょっと先生がおっしゃるように、昨年度はキロ当たりが二百六十七円の基準価格だ、そしてこれは一カ月平均でございますので、一カ月平均がこれを下回った場合は、いわゆるそれの差額の九〇%を補てんとして支払うことになっております。この基準価格がいろいろ論争の的になるのでございますが、これはあくまでも最低保障とわれわれは考えておるのでありますが、これは決して生産原価の最低保障じゃございません。これは無理もないと思います。われわれもそれは十分承知しておりますが、最低の生産原価が保障されると、これは損することがなくなってくる。それなら当然今度は上も抑えなければならぬということになると思いますが、上は青天井でございますので、だから最低ではなくて、いわゆる原価を少々割った価格でこれは決定されておると思います。  やはりそういった算定をする場合は、一番指数の中心になっておる飼料価格でございます。今年は昨年と比較すると、飼料が大幅に値が下がったということから、これから算定していくと、ことしの基準価格は、恐らくそういう計算でいくとキロ二十円ぐらい引き下げなければならぬ。そうすると二百四十七円ぐらいになってしまう。これはとんでもないことだ。ほかのものはみんなこうなっておるし、果たして飼料が今後去年のとおりいくかということになりますので、先生方に昨年の暮れからお願いいたしたりして、国の方へも頼んで、これはまだはっきり聞いておりませんが、そうした中から、先生方お力だと思うのでありますが、相当大きくアップしてもらって、一応昨年とは大きな差がないような八円下げぐらいで、二百五十九円ぐらいで決まるのじゃなかろうかということを聞いておりますが、今後もし飼料が大幅に上がるようなことになってくると、これもまたひとつ考え直してもらわなければならないということでございます。  それから、先ほど申しましたように、どうしてもことしは、現状がこんな相場ですから、もう六、七月になれば当然基準価格を割ることは必至でございますので、そのときはもう、先ほど申しましたようにどのぐらいの数字になるかわかりませんが、われわれの方からも先生方お願い申し上げたいと思うので、何としてもこれはひとつ補てんを継続していただくようにぜひお願いいたしたいと思います。  それから輸入液卵の件でございますが、これは現在ではわれわれたびたびそうした不法だということでお願いしておって、関税でいきますと、いま撤廃だ、引き下げだとやっておる最中でございますが、卵の方は一応現状では、何年前ですか引き上げしてもらって、キロ六十円の関税がかかっております。そして逆に二〇%、このどちらかの方を使うことになっております。ところが、最近のように円高ドル安になってくると、これはもう相当の差が出てくる。ですからますます輸入に拍車がかかるということになると思うので、これはもうわれわれが先般計算したような数字ではとても追いつかない。だからこれはもう一遍計算し直して、ドルが一体どのぐらいまでくるのかわかりませんが、これをやらないと、本当にうっかりこれで結構ですとやったところで、またこれではとてもじゃないが、どんどん入ってきたら困るということになるので、一遍この点も目下それぞれ検討しておりますので、ちょっといまここで数字を申し上げかねるのでございますので、よろしくごらんいただきたいと思います。
  29. 島田琢郎

    島田委員 大山参考人にお尋ねします。  冒頭で、農政の一番基本に触れる米の生産調整に対してのお考えをお述べになりまして、まさに農政失敗によるものだと厳しい口調で御指摘になったわけでございますが、まさに私どもも同感という考え方に立って、いま農政の大転換を求めているところでありますが、間々この影響について畜産あるいは酪農家の間でも大きな動揺があるというふうに私どもは聞いているのでありますが、幸いあなたは農協組合長さんという、大変、農民とは最も接点に立たれて、日常的な御苦労をされている立場にいらっしゃるわけであります。この畜産農家の間にどういう米の生産調整に対する反響が起こっているのか、これは大変私ども無視できない点だと思うのです。畑作には畑作地帯の米の減反政策に対する不安や不満があるわけでありますが、この際、率直な、茨城県という限定された中におけるだけではなくて、幸いあなたは全国の畜産団地連絡協議会の会長さんという大変重職にもございますので、その点については相当の御見識をお持ちではないかと思いますので、現状農民の反響はどのようにあるのかという点、ぜひお聞かせ願いたいと思うのでございます。  二番目は、先ほど牛肉、豚肉の買い出動の問題でお触れになっておりましたが、主として牛肉の点に触れておられたようでありますが、どうも適切でない、畜安法の法の運用が適当でないのではないかという御趣旨であったと思いますし、また、買い上げの際のやり方が上物に集中しているというのはおかしいという御指摘でございました。実態的にそういうふうになっているのか、私ども現地の実態というものをつぶさに、その都度都度の買い出動の場合の畜産事業団の買い上げの方法について具体的に調査をしておらないので、この際、大変貴重な御意見だと思いますから、聞かせていただきたい。この二点をお尋ねをいたします。
  30. 大山久エ門

    大山参考人 米の生産調整の問題ですが、これは、先ほど申し上げましたように、農家にとっては、一般勤労者ならば何%かの給料の賃金カットというふうなことにも相通ずるかと思うのですが、そういう面で大変大きな問題になっております。  これはそれぞれの地域で立地的な問題もあろうと思うのですが、特に、最前申し上げましたように、私の地区では霞ケ浦湖岸の湿田が大半の地帯でありまして、現在転作をしようにもやりようがないというのが実態であります。これを私はこういうふうに話をいたしております。農林省は今後十カ年間、とりあえず五十三年から五十五年までは三カ年間に限って百七十万トン、約四十万町歩生産調整をするんだと言っている。しかし、これが十年続くか、十五年続くかわからない。だから、そのためには、幸い土地改良をやりまして田面の基盤整備だけはできておりますので、暗渠排水に重点を置いて将来田畑輪換できるようにして、飼料作物なりあるいは大豆なり麦類なりを生産できるように全力を挙げて準備をしようじゃないかということでやっているわけなんですが、ただ、たとえば飼料作物をつくりまして青刈りの作物をつくった場合に、その流通の問題——畜産地帯とそれから平場の水田地帯でたとえば契約をしましても、青刈り作物をつくって乾燥し、それを畜産地帯に供給をする、そういう流通の問題で、これは農林省の役人が机の上で考えたようなわけにはなかなかまいらないのではないかというふうな心配がございます。  それから麦作にいたしましても、現在は、日本自給率はいまさら申し上げるまでもありませんが、昭和三十年代には全国で、三麦で約四百万トン程度の麦の生産があったと思うのですが、現在はその一〇%程度ということでありますので、麦類についての価格も現在農林省が特別見ておられますが、これがかなりの面積の水田転換によって、生産調整によって麦類が増産された場合に、いまと同じような麦に対する奨励補助というものがされるのかどうか。ネコの目農政と言われる現在の農政の中において、いまのように手厚い麦作に対する保護が将来とも期待できるかどうか。私はその点不安に感じております。  しかし、総じて申し上げますと、この苦情は言いましても、先生も御承知だと思いますが、農家というものはきわめて従順なものでありますから、とにかく、自分のところへ割り当たった生産調整の面積だけは、何とか自分の責任で消化せざるを得ないだろうというふうなことを大半の者は言っております。私はきわめて気の毒であると思いますが、農家の性格というものはそういうふうなものだということを御理解の上に立って、ひとつ今後、それらに対する手厚い保護といいますか、施策を十分お考えをいただきたいと思うわけであります。(島田委員「大変恐縮ですが、もう一人質問したいものですから、簡単にお願いします」と呼ぶ)わかりました。  それから飼料安全法による動物薬の添加の問題ですが、これは私は、動物薬が肉の中に残留して消費した者に対してその健康上害があるということであれば、動物薬の使用の規制はやむを得ないと思います。これは動物薬の使用の規制についてそのことを非難するものでありませんが、先ほども申し上げましたように、その動物薬が規制されたために、これは数字で申し上げますと、たとえばえさ価格トン当たり八千円、一万円下がるということは、キロにすると八円から十円なんですね。しかし生育が十五日ないし二十五日おくれるということになると、中間の二十日をとりましても、一日三キロずつ与えると、これは六十キロ食べるわけですよ。現在の飼料価格というものはトン五万四千円から五万六千円くらいです。平均をとりましても五万五千円、キロ当たり五十五円。これを六十キロよけいに食わせるということは三千三百円ふえることなんですね。しかし、片方でキロ十円下がっても、これは大体二百七、八十キロ、この二十五キロから百キロにするためには、えさが必要です。ですからキロ当たり十円下がったということは、二千七、八百円の飼料費が節約になる。片方では値下がりのために二千七、八百円節約になるが、反面二十日程度のものをよけいに食わせるので、三千三百円。差し引きますと実質六百円程度飼料が値上がりになったと同じだ。六十キロの枝肉に換算すればキロ当たり十円程度のものが原価として加算されるというふうなことでございますので、よろしくお願いをしたいと思うわけです。
  31. 島田琢郎

    島田委員 松川参考人に、時間が余りなくなってしまいましたがお尋ねをしますが、一つは、冒頭で非常に大事なことを述べておられるわけです。農業生産が年々落ち込んで、つまりわれわれの働く場所がどんどん狭まっている、その上にさらに米の生産調整、追い打ちをかけられている、非常に大きな不安を酪農の段階でも覚えている、こういう指摘でありました。これはつまり日本農政の大転換をしなくてはいけないということを示唆したものと受け取っているわけであります。  そこで、あなたの北海道農民連盟では早くから春闘要求を出されまして、百二十一円二十七銭という価格を算定されたわけでありますが、それが先ほど二番目に、五十三年の加工原料乳の保証価格の算定に当たっての幾つかの指摘といいますか、基本になっている点で、これは政府の試算とは大変大きく食い違うものであります。しかもまた、全中試算とも中身において大分異なるものがあるわけでありますが、たとえば価格算定に用いる生産費のとり方とか期間のとり方、あるいは対象地域を拡大していかなくてはならないとか、幾つかの指摘があったわけでありますが、この点について、もう時間が余りないのでお述べいただくのが大変限定されますけれども、こういう要求を掲げられて、現地で闘いを進めるにしても、東京段階における要求を成功させるという一つの限定されたこれまた行動がありますから、片や百四円五銭という要求との間の整合性を求められるなんというのは運動の上では大変つらいことなんでありましょうけれども、私は、いろいろ申されております中身の算定方式などは、わが党が算定をしていく上に当たってかなり採用に値する事項があると思うのであります。そういう点について、簡単で結構ですからお述べを願いたいのと、もう一つは、何といっても農政の大転換を図っていく上で一番大事なのは、農民参加の価格決定の機関となっていないという点に、大変、生産に携わっている原点の農民の不満があると思うのであります。そこを、農民の団体交渉権の問題について触れておられたわけでありますが、しかし、そうは言っても、現段階、法的なよりどころもない団体交渉権を振りかざしただけでも問題解決しないという現状認識の上からいって、それにかわるべき方途を出してもらいたい、ひとつ直接われわれの意見を吸い上げるというようなそういう方式をぜひ確立してもらいたい、こういうわれわれ国会に対しての要請であったように思うのであります。これは、審議会における三者構成等、いろいろやり方はあるのでありますが、その点について、簡単で結構ですが、具体的にはどのようにお考えになっておられるのか、この二点についてお尋ねをしたい、こう思います。時間がなくなってしまいましたので、大変相済まぬことですが、簡単にお願いをしたいと思います。
  32. 松川牧夫

    松川参考人 第一に御質問ございました、どうして算定がそういうふうに大きく違うのかということでございますが、私たち、五十二年度において政府が決定されました乳価の、算定したその内容、それからまた、私たちの系統でもございます全国中央会で出されました要求乳価等の中身を、検討といいましょうか、見たわけでございますけれども、その中で一番の違いは、酪農、畜産ばかりでなく、米以外の畑作物にしましても、どこでもだれでも同じ所得水準で経営ができるということが私基本になるのじゃないかというふうに思います。  したがいまして、米がこれほど、北限地帯だと言われたり、あるいは高台で気候が悪いと言われても水田がふえていったということは、やはり米の有利性といいますか、そこにひそむ魅力が大きな力になっているというふうに思います。したがって、北海道において八万八千町歩余りの米が減反される形に現在なっているわけでございますけれども、それにかわって、酪農、畜産、畑作の生産によって、その減産分、概算して一千百六十億ともわれわれはつかんでいるわけでございますけれども、その分を補わなければ農民が生活できないとするならば、やはり米と同様の処置による算式、これが基本であるというふうに考えます。  そういう基本の上に立って見ましたときに、もちろん、生所方式とは言いながら、国でわれわれに示しております内容はかなり低いものになっております。そしてまた、全中の出しております計算によりましても、米並みではないんだという前提に立って計算がなされております。われわれはそういう観点の違いで計算しますと、あのような差が出てくるということになるわけでございます。  まず第一に、国が決めます価格とわれわれとの間にはかなり大きな差があるわけでございますけれども、その中に何といっても大きなウエートを占めますのは、労賃評価の問題であり、また二本立て労賃評価を何とか一本にしてもらいたいという問題。それから、同じわれわれの加工原料乳でつくるいわゆる指定乳製品のバター等の中身を見ますと、労賃が一千二百円以上になっている。われわれは七百二十九円なり六百三十円なりという内容でありますから、かなりの差がある、こういう点。それからもう一つは、政府は生産費を階層別乳量ウエートで加重平均しているわけでございます。したがって、この中身を検討してみますと、上位偏向型、どうしても頭数を多く飼うものでなければ有利性が出てこないという、したがいまして、中、下層農家はどうしても脱落するというふうな危険をはらんだ内容になります。これでは私は、零細農民の多い日本においては真に農家が安心して経営をやれるという算定の中身ではないというふうに考えます。ちなみに農林統計情報部で出しております中から拾ってみますと、十頭以上の乳量ウエートで見ますと七八%、それから十頭以上の戸数ウエートによりますと四一%であります。したがって、どうしてもわれわれは、先ほど限界生産農家という言葉を使ったわけでございますけれども、この限界生産農家は、それほど限界的に考えるわけでもございませんけれども、それを相当加味した算定をするならば、戸数ウエートを用いて保証乳価を算定していただきたい、これが非常に大きな違いであるというふうに私は考えております。  次にもう一点のいわゆる団体交渉権の問題でございますけれども、私も実は一単協の理事をごく最近から務めております。そういう中でいろいろ考えるわけでございますけれども、零細農民が集まって経済的に力を合わせ、そして擁護し合いながら生活する、経営するというのが農協の原点であろうというふうに思うわけでございます。そういうことから考えまして、それがかなり大きく組織化されてきたわけでございます。  最近の傾向を見ますと、どうしても、経済団体である農協の中身は、国からの仕事を請け負う形のものが相当入ってきておる。そういうことになって、農民を代表した形の国に対する要求等を掲げた場合、過去数年間の例を見ましても、いろいろと荷物を持ってそれぞれの農協に帰るという状況が見受けられます。で、そういう中身を見ますと、やはりその中には、何といいましょうか、原点に立った農協の運営と農協組合員との間にどうしても矛盾が若干出てきている。こういう中では、やはりそれらに関係のない、たとえば英国等で、戦後食糧の自給率を高めるために、そういうものから切り離して農民組織に交渉を移し、そして政府がその農民団体、いわゆる農民組織といいますか、そういうものとの話し合いの結果、かつて非常に低かった自給率が六〇%を上回る状況になっているというふうなことを聞きます。で、やはり経済的な立場と、そういう国と話し合いをするという立場をそれぞれ分担した形のもので今後構成していく必要があるのじゃないかという考えでございます。  以上でございます。
  33. 島田琢郎

    島田委員 どうもありがとうございました。
  34. 山崎平八郎

    山崎委員長 芳賀貢君。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 参考人の皆さんには多忙なところ御出席を願いまして非常に貴重な意見を述べていただきまして、当委員会としても、今後わが国の畜産あるいは酪農問題の処理、審議に当たっても非常に参考になりまして、心から敬意を表する次第でございます。  私は、この際、時間の関係もございますので、片柳参考人桜井参考人の御両人に率直な御意見を聞かしてもらいたいと思います。最初にこちらから問題を提起いたしますので、意見を述べていただきたいと思います。  第一の問題は、畜産審議会の運営の問題でございますが、ことしの審議会の総会は十五日に開会されたわけでございます。これは例年のように農林大臣から諮問が発せられるわけでございますが、諮問は出ても、内容のない抽象的な諮問ということに終わっておるわけです。その後で審議会が日程を定めまして、まず二十二日に飼料部会、二十八日が食肉部会、二十九日が酪農部会、しかも現在は審議会令に基づいて部会の決定をもって総会の議決にかえることができるということになっておりますので、会長として勇断を持って、特に総会をこの期間の中で開くということでなければ、あとは部会で済ませてしまう、部会で審議会の名をもって答申をするということになるわけです。飼料部会については、片柳参考人会長と兼ねて部会長をやっておられまして、これはもう審議を終わり答申が出たことは私も承知しております。  そこで、各部会等が答申あるいは審議会として建議を農林大臣に行うわけでございますが、この答申の重要な事項あるいは建議の重要な事項等について、政府としてはこれを尊重して真剣な実施をほとんどしていない。尊重実施を怠っておるということをわれわれも痛感しておるわけでございます。私も、昭和三十六年に畜安法が国会で審議して成立した後で、第一回から畜産審議会の委員を数年やった経験もありますけれども、こういう点について、きょうは正確に会長としての立場出席を願ったわけではありませんが、とにかく人間が一個ですからしてそう使い分けはできないと思うので、この際、国会と審議会との関係等も十分踏まえて、審議会運営についての見解を聞かせてもらいたいと思います。  次に、片柳参考人あるいは桜井参考人からも述べられましたが、限度数量の問題であります。限度数量の問題については、昨年も、五十一年度の認定数量が五十一年度の限度数量に比べておおよそ十三万七千トン超過するということが判明いたしまして、この点については国会においても十分具体的な審議を行いまして、限度数量の改定という手続によらないで、この限度数量を改定したと同様の補給金額あるいは当時の乳質改善奨励金の一円を合算したものが、この超過分全量に対して畜産振興事業団の助成勘定から支出が行われたことは、参考人各位も御承知のとおりであります。昭和四十一年からいままで限度数量が超過したという年は、昭和四十三年におおよそ七万六千トンの超過、四十四年に一万三千トンの超過、昨年が十三万七千トンでございまして、四十四年は非常に数量が少ないわけでございますから、これには格別の対策というものは講じなくて、つまり、十二年の間に、四十三年、五十一年の両年については、いずれも畜産振興事業団の助成勘定からこれを賄ったということになっておるわけです。ところが、ことしはまた、昨年と同じようにおおよそ二十万トン、この認定数量の見込みに対して限度数量が不足する、こういう事態が生じたわけです。限度数量の認定数量というのは、会長桜井参考人も御承知のとおり、これは法律に定めてありまして、一年を四期に分けて四分の一半期ごとに生産者農協を通じて指定生産者団体に販売の委託を行う。団体はこれを、たとえば用途別に区分をいたしまして、その中の指定乳製品の原料乳に相当するものについては、指定生産者団体から乳業会社に供給した数量を当該都道府県知事に報告して、四半期ごとに集計して認定して、これを農林大臣に報告するということになっておるわけです。このような内容を考えた場合、限度数量がオーバーしたから迷惑であるとか、これに対して補給金を支払いできないというような、そういう理由というものはどこからも生まれてこないのです。  この点については、審議会として、大臣からこの件に対して諮問がないから全然審議もしないし、具体的な答申、建議もしないという消極的な態度では相ならぬと思うのですね。五十三年度の保証乳価等を決定する前に、一体五十二年に発生した二十万トンの超過分に対しては政府としてどうするつもりか。諮問をしないのであれば、積極的に審議会として諮問することを求めるとか、それでもあえて大臣が行わない場合には、審議会として議決を通じこれに対する具体的な建議をするというような、そういう権能というものはこれは法律上も付与されておりますので、五十三年度の限度数量の決定に当たっても非常に重大な問題でございますので、この点を十分に留意して善処される必要があると私は考えておるのです。  国会においても、十七日と二十三日の両度にわたって、この問題を政府に厳しく指摘をしておるわけでございます。ところが、現在の中川農林大臣、畜産担当の杉山畜産局長は、加工原料乳の補給金法の中にある限度数量というものがどういうものであるかということを熟知していないのですね。ちょうど米の限度数量の予約と同じような、そういう考えを全く混同してしまって、超過したのはしようがない、財源に苦しむとか野放しにしておけば幾ら生産されるかわからぬというような、こういう不可解な答弁で終始しておりまして、去年は三月十五日に時の鈴木農林大臣が委員会を通じてその方針を明らかにしたわけでございますが、ことしは同じ自民党政府の中の農林大臣、その内閣の中で働いておる畜産局長が、何ら具体的な見解、方針を述べることができないというような、まことに遺憾な状態に置かれておることを私からも参考までに申し上げておきます。  元来、限度数量の算定というものは、これはもう参考人も御承知のとおり、まず第一に、その年度一年間国内における生乳の生産見込み数量というもの、これを把握して推定生産量というものを決めて、その数量から、一年間の飲用向け生乳の数量、それから指定乳製品の原料以外の乳製品の原料生乳の数量、それに自家用と称する自家用生乳の数量、この三つの数量を加えた数量を年間生産数量から引いた残りが、いわゆる指定乳製品の原料である限度数量ということになるわけです。だから、一番最後に残った数量がこの限度数量ということになるわけでありますからして、限度数量が年を通じて結果的に増減があっても、これは生産者責任に帰する問題ではないのですね。残った数字が限度数量ですからね。だから、中間において飲用牛乳の消費が伸びたとかいうことになれば、いやでもおうでもこの限度数量が減少傾向をたどるということに当然なるわけであります。  しかも、この超過分というのは、二十万トン別にこれ保管しておるわけじゃないのですよ。毎日毎日、生産者農協を通じて乳業会社にもう搬入済みなわけです。毎日毎日搬入して、それは指定されたとおり指定乳製品として製造が終わっておるわけです。それに対して、限度数量の改定ができないとか、これに見合った助成金の支出ができないということは、これは理由にならないわけですよ。当然これは、方法としては、限度数量の正規の改定を行うべきでありますが、それが事情によってできがたい場合は、昨年同様の措置を講じ、畜産振興事業団においては先日太田理事長が参考人出席いたしまして、この分の財源措置としてはおおよそ九十五億円程度の財源の用意がございます。この中から五十二億円出せば、全部これは解決ができるわけでありますからして、こういう点について見解を聞かしてもらいたいと思うわけでございます。  その次にお尋ねしたいのは、市乳化促進の問題ですね。これは毎年毎年審議会が、政府としては極力生乳の市乳化対策を進め、法律の目的に合致したような消費の拡大をやれということを答申、建議しておるわけですが、国内に非常にでこぼこが出ておるでしょう。ことしからは、全国都道府県の中で、北海道を除く内地の都府県は、全部飲用乳向けがその府県の生産量の二分の一を超えているわけですね。だから、法律に言うところの主要なる加工原料乳の生産地域ということになれば、これはもう北海道だけということになるわけです。ところが北海道は、この法律ができてから十二年たつわけでございますが、あるいは酪農近代化計画がもう第三次に入るわけですが、いまだに生乳生産量の中の一二%しか飲用向け牛乳というものは消費されていないんですよ。しかも、昭和六十年を目指した第三酪近の到達のときには、北海道で三百四万トンの生産を計画は期待しておる。その中で、飲用向けはわずかに十九万トンですよ。ことしは二十万トン突破しておるわけだ。六十年には十九万トンということになれば、昭和六十年には総体の乳量のわずか六%しか北海道は飲用向けの消費がないというような、こういうでたらめな近代化計画というものができておるわけです。  これも恐らく、かつて審議会においても皆さん方が十分審議、検討された点だと思うんですよ。そうなれば北海道というのは、米と同じように、ことしは稲作で三五%は転作、休耕、生乳についても将来は全部北海道は加工原料乳という不利益な状態の中に追い込まれていくわけでしょう。こういう点も、やはり具体的に、全国各地の市乳の消費動向というものを十分に把握して、漠然たる市乳化を拡大するということでなくて、十分な具体的な推進をしてもらいたいと思うわけです。  それから次に、えさ問題です。飼料問題。これはもう部会長をやられておるわけですが、一体飼料の増産をやってもその生産された飼料というものが価格問題との関係の中でどういうような作用をしておるか。一体、生産者に対してマイナスを与えておるかプラスを与えておるかということを、価格問題との関係の上でこれは考えてもらいたいのですよ。それは、購入飼料は実績主義でしょう。粗飼料等の自給飼料はこれは費用価計算でやっておるわけですからね。費用価計算の価格と、その地域でそれを販売した場合の価格は、ちょうどこの倍になるわけです。二分の一しか費用価の価格というものは計上されないということになるわけですね。だから、購入であっても自給であっても、濃厚であっても粗飼料であっても、牛や家畜にこれを給与する場合の飼料の価値、可消化養分というものを十分に計算をして、そして統一的な飼料の評価というものをやらせる必要があると思うわけです。酪農部会で承認した飼料需給計画も総体的には可消化養分総量によって計算がされておるわけですから、こういう点についても、自給飼料の増産というものが生産者の所得に寄与できるような価格の算定、あるいは水田転作の中で相当飼料作物が期待されておるわけでありますからして、水田専業家が飼料作物を栽培して経済性を与えてこれを販売するという場合に、一体有利性の中でこれが処理できるかどうかという取り扱いの問題を親切に検討して、その方向を示していく必要があるのじゃないかというふうに考えますけれども、これに対してはどういうお考えを持っておるか。  それから最後にもう一点、これは主として桜井参考人の御意見をお聞きしたいわけであります。桜井さんは過去二十年間にわたって全中の価格問題の権威者ですよ。米価の算定にしても、牛乳あるいは畜肉の算定にしても、畑作農産物の算定にしても、全くわれわれとしてもこの一貫した真剣な態度に敬意を表しておるわけです。ところが、時の政府がそれを完全に受けとめて実現に当たるかというと、そうでないでしょう。場合によると、それを逆手にとることがあるわけですね。それはもう桜井参考人が十分痛感されておると思うわけです。  そこで具体的に申し上げますと、まず農林省の統計情報部の生産調査では、実乳量を三・二%の乳脂肪率に換算をするという方式をとっておるわけです。何もそういう必要はないのですね。実際農家が搾乳した年間四千八百キロとか五千キロに対して、第二次生産費に対応して一キロあるいは百キロの乳価がどうなるかということは、何も三・二%に薄めなければ計算ができないというわけじゃないでしょう。農林省価格算定をする場合、この統計の方式をとって実乳量の平均脂肪率というものを三・二%に薄めて数量をふやして、それを分母にして、第二次生産費を分子にして、そこで計算をするわけですからして、御承知のとおり分母が大きくなればなるほど答えは小さくなることは私の孫でもよく知っておるわけです。そういう政府当局が逆手にとったような三・二%の水増し方式というものを、特に加工原料乳に対して算定する必要があるのかどうか、それは何をねらっておるかという点がいま地方においても問題になっておるわけです。  具体的に数字を挙げて申しますと、五十三年度の農協の要求の基礎要素をなす一頭当たり平均乳量は五千四百五十四キロ、これが実際に搾乳した実乳量ですね。これが三・四四%の脂肪率になっておるので、これを三・二%に薄めると、なるほど五千八百六十五キロということになるわけです。薄めたことによって四百十一キロ乳量がふえるわけですね。それから、これに対応して二十五日に農林省の統計情報部が昭和五十二年の生乳の生産費を公表したことは御承知のとおりであります。これによりますと、搾乳牛一頭当たりの平均実質乳量は四千九百七十九キロ、脂肪率は三・四七%でありまして、実乳量を比較すると、全中の乳量よりも農林省の方が四百七十五キロ少ないわけです。これを農林省は三・二%に薄めまして五千四百三キロというふうに計算をしておるわけです。三・二%で計算しても全中と農林省の数字では四百六十二キロ違うということになるわけですね。これを分母にいたしまして第二次生産——全中の場合は第二次生産費の中に租税公課は入っておりまして、農林省の方は租税公課は第二次生産費の外に置いておるわけでございますが、この第二次生産費で三・二%に薄めた乳量で答えを出す場合と、実乳量で出す場合とでは、相当の価格上の差が出てくるわけですね。全中の三・二%の場合には、これは桜井さんが計算されたのですが、キロ当たり百四円五銭、これを実乳量で計算すると、百十一円四十一銭ということになりまして、その差が七円三十六銭もあるわけです。それから統計情報部の生産調査によりますと、これも三・二%換算でございますので八十五円八十銭。これは去年の値段ですよ。全中のは五十三年度の要求価格でございます。これに農林省が昨年試算した租税公課、集送乳経費、販売手数料の五円九銭を加えますと、この価格というのは九十円八十九銭ということになるわけです。この九十円八十九銭というのは去年政府が決定した八十八円八十七銭よりも二円程度価格が高い、そういう生産調査の結果というものが生じておるわけです。これを、農林省の分についても実乳量で計算をして第二次生産費以外の分を足しますと、五十二年の生産費というものは九十八円二十銭ということになるわけであります。  そこでもう一つは、わざわざ三・二%に薄めた場合、これを乳業会社に売り渡すときに、それでは三・二%に薄めた数量で乳業会社が購入するかというと、そうでないでしょう。農協が集乳する場合にも、これは実乳量ですからね。薄めて持ってこいなんてだれも言わないわけです。生産者団体は会社に対して今度は実乳量を輸送手段を通じて供給するわけです。これもやっぱり実乳量なんですよね。その時点で会社が個別に乳脂肪率というものを検定いたしまして、これは保証乳価等の農林省告示のただし書きに三・二%を基準にするということは書いてありますから、三・二%を基準にして八十八円八十七銭で取引される。その場合三・二%を超えた分は一体どうしているかというと、農林省とか全中の計算と違うのですよ。超えた分について、〇・一%に対してわずか一円ということにしかならぬわけですね。だから三・五%にしたって〇・三%しか多くないわけだから、〇・一%で一円だからわずか三円でしょう。そういうことを農林省は認めてやらせておるわけです。何も生産者団体とかわれわれの側において、わざわざ農林省の低乳価計算のまねをして、十分に脂肪分のある生乳を薄めて擬制計算をしてまで答えを低くする必要はないのではないかというふうに——これはきょう始まった問題じゃないのですよ。加工原料乳の制度ができたときから、かつて農林省でなくて厚生省の省令によって、飲用牛乳を販売する場合の乳脂肪率は三・二%でなければならない、これが基準であるということになっておったものだから、その当時乳業会社は、その三・二以上の濃い生乳に対してはわざわざ脂肪分のない脱脂乳をそれに入れてかきまぜた。そうすればちゃんと量がふえて三・二%になるでしょう。いまは脂肪分を破壊して多い分だけ抽出するから、水を入れたり脱脂乳を入れてかきまぜるというような古い仕事はしておりませんが、そこからこの三・二%というのは始まっている。加工原料乳は三・二だろうが、三・五だろうが、三%だろうが、まずそこから脂肪を、バターをとるのでしょう。何にも薄める必要はないと私は考えておるし、生産者諸君もこれは七不思議だと言っておるわけです。別にこれをとがめるわけではないが、政府のやり方が、何とかして据え置きにするとか、生産者団体のまじめな資料というものを逆手にとって、去年よりも要求が二円下がっているじゃないか、政府が計算しても去年より下がるのはあたりまえじゃないか、据え置きならありがたいと思えということをすでに考えておるわけですからね。  率直なことを申しましたけれども、こういう点について、これから委員会においても、きょうの午後、さらにまた二十九日に農林水産委員会を開いて——そのときでなければ試算内容がわからないのですよ。何もこんなものを秘密にする必要はないのです。もったいつけていかにも大事な宝物のようにして、あしたにならなければ畜肉の政府試算が出てこない、あさってにならなければ乳価の試算が出てこない。それより早く出せば審議会軽視になるから勘弁してくれということになるのです。一体われわれの国政調査権を何だと考えているかということなんですよ。片柳参考人農林省の長老だし、参議院においてもかつて非常な業績を残されておるのだから、国会の調査権が何たるかという問題とか、当然審議会の行う審議資料が何だということは、これはお互いに承知の上でございますから、ぎりぎりのときしか検討資料を出さぬというようなけしからぬことをだんだん農林省がやっておるわけでございますからして、そういう点についてはひとつ、農林省の大元老という貫禄もあるわけだし、審議会会長としての権威があるわけですから、そういう点については、私が老婆心で言わなくても参考人の皆さん十分御承知でございますから、どうか、日本農業あるいは畜産、酪農の発展のために営々として汗を流しておる生産農民のために十分に力をふるって努力していただきたいということを申し上げまして、これに対して御意見があれば、率直に聞かしてもらいたいと思うわけでございます。
  36. 片柳真吉

    片柳参考人 それでは、できるだけ簡潔にお答えをいたします。  畜産振興審議会の運営につきましては、できるだけ頻繁に開きまして、また、農家なり農村の実情なり、あるいは消費者の意見も十分参酌いたしまして、適正に運営をいたすように努めていきたいと考えております。  ただ、部会にすべてを任しておるということでございますが、これは従来の慣例上さような措置をとっております。しかし、酪農部会なりあるいは食肉部会は、最も重要な部会でございますので、私は部会長は務めておりませんが、過去この両部会には私は完全に同席しておりまして、各委員の意向をすべてつぶさに聞いておりますし、最終の取りまとめ段階にも必ず参加をいたしておるわけでございますので、その辺の努力でひとつ御了承をいただきたいと思います。  附帯決議が尊重されぬということは、先ほど国有林の活用問題でもそういうことを感じたわけでございまして、ただ、最近の畜産局長の報告としては、前回の審議会で決議されました附帯決議に対する実施状況をつぶさに報告をいただいておりまして、それに対して今後質問等をいたしまして附帯決議が生きていくように努力していきたいと考えております。  限度数量の問題は、先ほどちょっと触れましたが、三月の年度の前に一年度の限度数量を決めるわけでございますので、途中で変更すると限度数量の趣旨に反するわけでございますから、一たん決めました限度数量は大体これをそのままにいたしますが、現にあと三、四日で五十二年度は過ぎてしまいまして、限度数量超過の現実が起こってきておるわけでありまして、したがって、限度数量が発生した事由を探求いたしまして、これが農家の善意なり特に農家の増産意欲に基づくものでありますれば、これは尊重すべきであるということを私は先ほど申し上げたわけでございまして、今回も委員会で十分審議をされていくのではないかと思っております。正式の諮問事項にはなっておりませんけれども、これは従来の例からいたしましても、当然限度数量超過分の問題は審議会で論議になるわけでございまして、先般の十五日の総会におきましても、すでに北海道の知事さんからも相当強い発言が出ておりますし、その他生産者側の委員からも、五十二年度の限度数量についてはこの際政府が積極的な対応をすべきではないかという意見を述べておりますから、当然二十九日の部会でもその議論が取り上げられまして、恐らく審議会の模様によると存じますが、附帯決議として五十二年度の限度数量の措置についての決議がつくものと考えておりまして、またつけてしかるべき重要な案件ではないかと考えております。  市乳化促進の問題、北海道と内地と大分むらがあるという点は、十分調査をいたしまして、むらがないように今後努めていきたいと思っておりますが、北海道の牛乳が内地に市乳として入ってくるという問題はいろいろ問題があるようでございます。その辺も含めまして検討していきたいと思っております。  えさの増産の問題でございますが、特に酪農等においては草資源が最も基本的な飼料でありますことは申すまでもないのでございます。昨今のように円高等に縁由して輸入飼料が相当下がってまいりますと、自給飼料との価格のバランスの問題は考えていくべきではないかと思うのでありまして、したがって、自給飼料の増産については、極力、コストが安くつくように、国からの適当な補助なり、またすでに議論が出ております国有林野の活用等についても、できるだけこれが有利に利用できるような措置も考うべきではないかと考えるのでありまして、自給飼料と配合飼料価格のバランスは、今後審議会でも十分注意して見ていきたいと存じております。  以上でございます。  最後の御要望は、篤と承っておきます。
  37. 桜井誠

    桜井参考人 芳賀先生から、団体の要求につきまして、三・二%換算乳量で団体の方もやっておって、これは要求を低めるように作用せぬかというお話でございます。  この問題につきましては、農協におきましても種々論議をいたしましたが、現在の制度におきまして、保証価格が三・二%換算のものである、それから基準取引価格がこれまた三・二%の換算のものであるという前提になっておりますので、私どもとしましては、その制度を前提にいたしまして、農協の要求の方も三・二%換算のもので保証価格を要求いたしております。  ただし、問題は、先ほど御指摘のように、農林省の五十二年度の生産費におきましても、実乳量は四千九百七十九キログラム、それから換算乳量ですと五千四百三キロということになっておりまして、私どもの要求は、保証価格も三・二%換算、基準取引価格も三・二%換算のたてまえでいけば、実際補給金が支払われます乳量につきましても三・二%換算のものでいくべきである。つまり、農林省統計からいきますと、四千九百七十九キロを前提にするのではなくて、五千四百三キロに対して補給金が交付されるべきであるというふうに考えておりまして、すでに国会の先生方にも御連絡をいたしておりますが、要求におきましては、補給金は乳脂率三・二%基準の乳量に対し交付することという要求をいたしておるわけでありまして、芳賀先生の考えと同様、方式は違いますけれども、同様な趣旨であろうと考えております。  終わります。
  38. 山崎平八郎

  39. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 各参考人には貴重な御意見を陳述していただきまして、大変ありがとうございました。午後政府当局に、皆さん方の参考意見をもとにして、さらに政府の考えをただす予定でございますので、以下、若干参考に御意見を承りたい、かように思うわけでございます。  まず最初に、片柳参考人にお伺いいたしますけれども昭和五十二年度の加工原料乳の限度数量超過分の問題でございますが、ことしの畜産価格決定に当たってはこの限度数量超過問題が最重要課題というふうにわれわれは認識をいたしております。いまさら形式上の変更の手続をとることは避け、その発生原因をよく調べ善処をすべきであり、その考え方を探るべきだ、こういう趣旨の陳述をなされましたが、さらにこの問題についてどういうように、変更の手続をとることは避けて、その発生原因をよく調べ善処すべきである、こういうお考えであるか、もう少し意見をお伺いしたいのでございます。
  40. 片柳真吉

    片柳参考人 冒頭にも大体の趣旨は申し上げたつもりでございますが、まだ正式の部会なりが開かれておりませんので、ある程度の含みを持つ程度でひとつ御了承いただきたいと存じますが、要するに、五十二年度の限度数量超過分の発生原因は、やはり基本的には農家の増産意欲に基づきます増産でございまして、もちろん加工原料以外の飲用関係も相当数字がふえておりますが、それ以上に生産がオーバーしておりますので、最後は加工に持っていかざるを得ないということでございまして、基本は農家生産努力によるところでございますので、この辺を政府は十分検討して善処すべきではないかということでありまして、その辺でひとつ賢明な先生の御推量をいただきたいと存じます。
  41. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 片柳参考人にさらにお伺いしますけれども、この加工原料乳の二十万トンの超過分問題は、いま申し上げたように最重要課題ということでありますが、片柳参考人はこの限度数量はどのようにして決めているのかということについてどういう認識を持っておられるか。これもひとつこの機会に、御意見を述べられる範囲で結構でございますから、お答えいただきたいと思います。
  42. 片柳真吉

    片柳参考人 この辺は、先ほど芳賀先生からも御質問の中に御開陳がございましたような点でございまして、生乳の生産数量から、自家消費分、それから指定乳製品以外の加工向けの数量、それと最後は指定乳製品の加工原料、それからもう一つの一番大きな用途が飲用牛乳向けでございまして、要するに、農家が、できました生乳を適当に配分するというたてまえで策定されるべきものだと考えております。
  43. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 片柳参考人にお伺いしますが、これも御意見として承っておくので、何も追及する意味の質問じゃございませんが、今回のこの二十万トンの超過分についての補給金交付の問題ですけれども、これは補給金交付の対象とすべきである、こういうふうに参考人は御意見をお持ちですか、どうですか。
  44. 片柳真吉

    片柳参考人 その辺が、私どもは多少含蓄が多いのかもしれませんが、手続上は限度数量の変更をするのは適当でないので、しかし現実に限度数量を超過しておって、その事由が農家努力にまつものであるから適当に善処すべきということでありまして、したがいまして、正式には限度数量そのものに即する補給金ではないわけでございますが、実態的にはそれに準じた措置を、過去もそういう例がございますので、交付金一本でなくして金利の補給等でやった例もございますので、要するに、適当な方法を総合してこれをひとつ解決をしていただきたい、こういうふうに私どもは考えております。
  45. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 もう一つ片柳参考人に、この問題が最重要課題であるがゆえにお伺いしておくのですが、超過分を政府が保証しないということに仮になれば、生産制限以外の何物でもない、こういうことに農民の皆さん方理解をしておる方も多いわけでありますが、片柳参考人はその点はどういう程度に認識しておられますか。
  46. 片柳真吉

    片柳参考人 限度数量は年度初めにおきます一定の計画数量でありますから、しかも農業という自然を相手にする仕事でございますから、農家の増産意欲によってこれが増産された場合にはその実績を尊重すべしというのが私ども立場でございまして、したがって、これを見ないと、冒頭に言ったような増産意欲に水をかけますと、五十三年度の限度数量が幾らになるかという問題とも関連してくるわけでございまして、今後の酪農家の増産意欲に非常にマイナスになりますので、やはりその前提として、限度数量超過が農家の善意、努力に基づくものとして、政府はこれを適当な方法でめんどうを見てもらいたいということで私は考えております。
  47. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 桜井参考人にお伺いします。  いま片柳参考人からいろいろお伺いしてまいりましたが、この問題が重要であるがゆえにあえてお伺いするわけですけれども、限度数量オーバー分については、全中としては、農民の代表として、あくまでも補給金の交付の対象にすべきであるというふうに強力に推進しておられるのか、その点が一点と、もし政府が保証しないということになれば、これは生産制限に通ずるという認識なのか、また別の認識をお持ちなのか。さらに、全中としては、この限度数量については、どういうふうな決め方をすべきであるとお考えであるか。その三点、かいつまんでお答えいただきたい。
  48. 桜井誠

    桜井参考人 五十二年度の限度数量オーバー分につきましては、生産者の要求といたしまして、当然これは補給金並びに乳質改善奨励金の交付対象にすべきであるということであります。  五十三年度の限度数量をいかに設定するかということが、これまた大きな問題でございますけれども、御高承のとおり、五十二年は生乳生産が対前年比九%の伸びでありました。五十三年におきまして、どのような生産を予想するかということがきわめて問題でございますが、私ども立場といたしまして、いま主張いたしておりますのは、生乳生産は七%、飲用牛乳消費は五%という伸びを前提にいたしまして、加工原料乳の五十三年度の限度数量は二百万トンをめどとして決定すべきであるという考え方であります。
  49. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 桜井参考人に引き続きお伺いいたしてまいりますが、今年の畜産価格問題は、一円も上がらないというようなことがちらちら報道されたり、またわれわれも仄聞するわけでございますけれども、そうなると、農家手取りは変わらないということになるわけでございます。しかし、農家は、その収益で生活をしておるわけでございますから、再生産費または生活費を賄っていかなければならないので、昨年と同じになるということになりますと、大変なことになってまいります。仮に再生産費をつぎ込むのが昨年と同じであっても、生活費から見れば、昨年の消費者物価でも七・六%の上昇、また五十三年度は六・八%というように、年々上昇をしている傾向であります。そうしますと、生活費をどうするかということが問題であります。いずれにしてもこの問題は、農家にとっては大変な問題でございまして、前年と同様の生活を確保するということになりますれば、今年と同じ経営規模ではやっていけないということに、理屈からもなるわけであります。規模拡大を迫られるとなりますと、先ほども言いましたように借金をして拡大をするということになりますから、いまでさえ大変苦しい経営の中にありまして、なかなかそういったことが期待できない。これ以上にやるとなれば、これはもうまさに重労働も限度を超して、徹夜でやるというような無理な労働を強いなければ、とても農家は立ち行かないということになりかねない状況になります。  こういったことから、ことしの畜産価格というものは、前もって飼料値下がりというようなことから——これにもいろいろ問題があるわけですが、ムード的にかなり厳しいということが前ぶれされて、畜産農家は先々大変不安に思っておるわけです。いよいよ数日後に価格決定を控えまして、重要な段階でございますが、私は、一定規模の経営で生活が保障される体系だけはつくってやらなければならない、かように思うわけです。  それで、最低譲歩しまして、少なくとも消費者物価上昇分ぐらいは毎年保証していかねばならぬ、かように考えるわけですが、あなたは全国の農民を代表して、参考人として、そういったことについて、厳しい情勢の中でどういうふうに分析し、国会に訴えられるのか、その点を改めて明確にお聞きをしておきたい、かように思います。
  50. 桜井誠

    桜井参考人 新聞報道等で、五十三年度の畜産物の政策価格が据え置きになるのではないかとかいうふうな予想がございますが、私ども立場といたしまして、確かに政府が去年と全く同様な保証価格あるいは食肉の安定価格の算定方式を用いました場合には、値下がりをするということが予想されるわけでありますが、私どもが求めておるのは、値下がりないし据え置きということではございませんで、前段申し上げましたとおり、労働に対する正当な価値評価をすべきではないか、そのためには保証価格につきましても、少なくとも全国の勤労者がもらっておると同様の賃金を飼育労働、企画管理労働あるいは自給飼料生産労働にも付与してほしい。それから食肉の場合でも、政府の算定ではいろいろ問題がございます点は前段申し上げたわけでありまして、そのような算定要素の改善を積み上げるということになりますれば、当然、私どもの主張に近いものが出てくるわけであります。お尋ねのように、消費者物価が六%ないし七%上昇する中で、仮に保証価格が据え置きあるいは安定価格も据え置き、あるいはそれに関連いたしまして実際の牛肉の価格、豚肉の価格、こういうものが中心価格を割り込んでいくというふうな状態になれば、農家の生活資金は減るというようなことになるわけでありますから、少なくとも、農家の心情といたしましては、最低限実質的な生活水準の確保だけはしたいというのが偽らざるところではないかと考えます。
  51. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 桜井参考人にもう一点お伺いしておきますが、豚、牛肉価格は安定帯価格形式をとっておりますが、この安定帯の幅の中で自由に動く方式であって、しかもこれまでは、当然その中でも中心価格より上の方で実勢価格というものが保持できる考え方であったようにわれわれは理解しておるのですが、しかし、相次ぐ輸入攻勢の中で、最近はどちらかというと、中心価格を中心に、または中心価格より下位の方に落ちつくという運営の仕方の色彩が強くなっておるように思うわけであります。これは皆さんもそうだと思いますが、そこで私は、安定帯に対する考え方を検討すべきだということを政府にも見解をただしたいと思っているわけですけれども桜井参考人として、そこら辺は全中でどういうふうに検討しておられるのか、御意見を承っておきたいと思います。
  52. 桜井誠

    桜井参考人 これまた前段申し上げましたとおり、現在の情勢からいたしますと、農家が再生産を肉牛並びに肉豚で確保するということで考えますと、和牛につきましては千六百円、乳雄につきましては千三百円、それから豚肉につきましては七百五十円水準が確保されなければいけないというふうに考えます。したがいまして、政府の五十二年度の安定帯を前提にいたしますれば、中心価格と上位価格の真ん中水準が常に確保されるような状態に、政府は、たとえば輸入牛肉の放出の操作でありますとか、あるいは輸入豚肉の規制につきまして業界を指導するとかいうことが必要ではないかというふうに考えます。したがって、安定帯価格も、私が現状から申し上げましたような形での設定が行われてしかるべきであろうというように考えます。
  53. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 次に、養鶏問題で日本養鶏協会会長青木参考人にお伺いします。  青木参考人先ほどの陳述の中で、一、二月の暴落補てん金が底をついた、まじめに国の方針に従って養鶏をしてきた者は大変打撃を受けている、これは当然であります。補てん金貸し付け継続していただきたい、支払い継続をぜひともすぐ国会で御検討いただきたい。たとえば利子補給をぜひしていただきたい、将来基金の積み立てをしていずれは返すのであるからと、こういうふうなことをおっしゃいましたが、もっともなことだと思う。大変なときになっておりますが、まずこの補てんの基金が底をついておるために金の貸し付けをしていただきたいとおっしゃいますが、どのぐらいの資金量を想定しておられるのか、計算をしておられればこの席でお答えいただくと幸いであります。
  54. 青木宅治

    青木参考人 この問題、先ほどちょっとお答えいたしたのでありまするが、御承知のように、私申し上げましたように、一、二月の暴落が大き過ぎるので、ですからいままでの積み立ててありました準備金がもうすでに支払うとほとんどないということで、そうすると引き続いて価格がここで下がってきますと、これはもう下がるのは必至でありますので、いま先生がおっしゃるようにもう補てんができなくなる。だから、これはどうしても継続してもらわないと、やはり基金に加入している者がほとんどまじめに生産調整に協力して安定を願ってやっておるのでありまするから。ただ、基金の内容からいきますると、いわゆる支払い方法は準備金範囲内というようなことがちょっとあるように聞いておりますが、それでは、もうないから知らぬよとなってしまったのではこれはもう何もならぬことでありますので、この点についての御質問だと思うのでありますが、この価格がこれはやはりいまなかなか算定がしにくいのは、どれだけそれじゃ用意してもらおうかということでありまするが、価格のやはり値下がりの額によって補てんが違ってまいりますので、これが見通しがなかなか困難でございまするが、今年度は恐らく昨年と違って相当大きくなることは間違いないという考えを持っておるのですが、この点は先ほどもちょっとまだ数字的にいまここで明確に出しにくいということで、われわれとしても値下がりの時期の見通しをつけていま業者同士で団体でも検討中でございますので、いずれこれができますれば、また先生の方にもお伺いしますが、この見通しも、いま言った、あのときそう言ったけど何だそれよりか少ないじゃないか多いじゃないかと言われるとちょっと困るのですが、なかなかこういった点では困ることがございまするが、ぜひそういう場合は、やはりそれに応じた一つの資金だけは出していただくようにお骨折りをいただきたいと思います。
  55. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 その資金量がわかりましたら、また後日御連絡いただければ幸いです。  そこでさらに、青木参考人にお伺いしますが、先ほどの陳述の中で液卵公社の問題に触れられました。もちろんこういう卵価が安いときに外国液卵輸入するとはけしからぬ、ぼくもよく承知しております。午後政府にもいろいろと厳しく追及する予定にしておりますが、この液卵の問題で、青木参考人機構を大幅に改正せよ、こういうことをおっしゃいましたが、時間も詰まってきましたので、機構を大幅に改正するということはどういうふうに考えておるのか、そのさわりの部分で結構ですからお答えをいただきたいと思います。
  56. 青木宅治

    青木参考人 申し上げます。  これは運営の中の機構が出資金、準備金ですね、これから出た金利だけの範囲内でのいわゆる買い上げをして、そして放出する場合の損を出さないということになっております。そうすると、わずかなものしか買い上げもできなければ損もできない。これでは何のためになるのかということになるので、この点をひとつ大幅に変えてもらって、安いときにはひとつこれをどんどん買い上げて、そうしてその差額がもし出た場合はやはりこれはひとつ国の方でお考えいただくというように、内部の機構を変えないと、いまの状況ではどうにもならない。本当のいわゆる出資金の金利だけの、いわゆる積立金の中の運営でございまするから、これじゃ動くにも動けぬということでありますので、この点はひとつ大幅に動けるようなふうにお考えいただきたいということであります。
  57. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 大山参考人にお伺いしますけれども、いまの養鶏問題で、先ほど大山参考人の陳述の中に茨城等の増羽の問題の話が出ました。私も数日前の当委員会で、茨城県、岩手県とか、いわゆる商社によるインテグレーションの問題を取り上げまして、数十万羽増羽している問題等を取り上げまして、いろいろ問題にしたわけですが、まじめに生産調整をしている養鶏業者に対して、そういったのが見放しにされているということになりますと大変な問題になるというので、これらの規制その他について政府に検討を迫ったわけですが、時間の関係で詳しくは申されませんけれども大山参考人は小川町の例をとられて先ほどインテグレーションによる企業経営を厳しく取り締まれというふうにおっしゃいましたが、これについてどういうふうにすべきだ、具体的にはどういうふうに考えておるか、もう少しく御意見を述べていただけば幸いです。
  58. 大山久エ門

    大山参考人 この生産調整は、御承知のように四十九年の五月時点で一応鶏の全国羽数を凍結したわけでございます。そのときに、米の生産調整についてはペナルティーがつくわけですね。何か農林省はペナルティーではないと言っているそうですか、明らかにわれわれはペナルティーであるというふうに理解しています。それですから、農家に対してはそういう罰則つきの生産調整を強要しながら、商社系の資本がやるものに対してどうしてできないのか、それが私は不思議なんです。やっぱり罰則つきの生産調整に対しては、たとえば無断で増羽した者に対しては、鶏舎を取り壊しても増羽をやめさせるというくらいのことがなければ、私は日本養鶏業は守れないというふうに考えます。その方法としては、あるいは種鶏場を厳しく調査するとか、あるいはふ卵業界を規制するとか、こういうことで私はある程度のものができるのであろう。しかし、それは農林省が本気になってやる気があれば必ずできるものだというふうに理解をしております。  いま牛乳の限度数量の問題で大変御心配を願っておってありがたいわけですが、私はこれの問題も、やはり米の生産調整についても、まじめに生産調整に協力した農家がたとえば七俵半のところを九俵とった、一俵半はよけいだというときには、それは買い上げ数量を増して同じような価格でぜひ買っていただくように、これは農林水産委員会でぜひ御検討を願いたい、こういうことをつけ加えてお願いしたいと思うのです。
  59. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 最後に青木参考人にお伺いしますが、ただいま質問した問題について大山参考人からもいろいろ御答弁がございましたが、このインテグレーションによる大量増羽の問題が大変問題になって、私も大変心配いたしております。これについては、政府にもいろいろと午後また追及し、また将来早い機会に何とか手を打たねばならぬ、こう思っております。これは日本養鶏業者を守るためにも当然のことである、かように思っております。  それで、具体的なことを申し上げる時間がございませんが、いまの問題に対して日本養鶏協会としてはいまと同じような御意見であるか、また別な意見があるのか、それに対してひとつ最後に御意見を承れれば幸いです。
  60. 青木宅治

    青木参考人 先ほどもちょっと申し上げましたが、われわれの方はやはりいまの御意見と同じように、何とかひとつこれを法的に規制してもらいたいということで、一つの案をつくって国へ提出しておりまするが、この検討した結果が、いまの自由な経済の中で個人の自由を奪う、いわゆる職業自由の権利を奪うようなことが、なかなか法的にむずかしいんだというような御回答でございました。ですから、まだ、ああそうかというわけにいきませんので、再度これをひとつ検討して、それではどういうふうな行き方でいけばそういった不法者が是正できるかということでわれわれもまた案を練るし、国の方へもお願いしておるわけでありますので、基本的にそういうことが法的にできれば非常に結構であるし、それに全面的にわれわれも賛成しておるわけであります。それが先生方お力で何とかできるような方法があればぜひやっていただきたい、よろしくお願いいたします。
  61. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 この辺の問題については、いまお伺いしましたが、やはり協会としてもまたわれわれもいろいろ知恵をしぼり、政府を督励して何とか対策を練らねばならぬと思っております。そういったことで、今後また御意見等をぜひひとつお聞かせいただいて、早急に対策をとりまして、暴落を迎えまして大変な時期になっておりますので、慎重に対処してまいりたい、かように考えております。  本日はお忙しい中、貴重な御意見をいただきまして、皆さん方の御意見を国政に十分反映すべく努力していきたいということをお誓いいたしまして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  62. 山崎平八郎

    山崎委員長 神田厚君。
  63. 神田厚

    神田委員 参考人の皆さんには大変お忙しいところを貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。大変限られた時間でございますので、全員の皆さんに御質問できないことはまことに残念でございますけれども青木参考人片柳参考人、それから桜井参考人、この三人の方に御質問申し上げたいというふうに思っております。  まず最初に、日本養鶏協会青木参考人に御質問申し上げます。  先ほど大体私の聞きたいことはほかの委員の方から御質問があったようでありますが、一つだけ、ブロイラー輸入の実態と、それからそれの国内価格に及ぼす影響の問題、私も畜産物の輸入の問題が大変大事だというふうに思っておりますので、その辺のところで御意見がありますればお聞かせいただきたいというように思っております。
  64. 青木宅治

    青木参考人 お答え申し上げます。  ブロイラー生産者努力で、こうした流通業者の問題もございましょうが、大きく発展して、非常に安い肉を大量に供給できるようになってきたのでありますが、それと同時に消費も非常に伸びて、数年前あるいは十年前から、毎年停滞することなく伸びてまいりました。しかし、ここへ来て一つ頭打ちのようなかっこうになって価格が下がってきた。そこへもってきて最近のように輸入で入ってくると、いままででも輸入は四、五万トン入っておるのでありますが、しかし、こういう際にそういうものが入ってくるとよけいに拍車をかけるということから、何とかこれを規制して、せっかくここまで持ってきた生産意欲が減退しないようにお願いいたしたい。  ただ、これは採卵養鶏とは違った面があって、生産者の意思ではなかなかやれない。やはりインテグレーターという生産から加工処理、販売まで一貫して握っておる者の方が強いのでありますので、そちらの方へ、こちらの先生方の方からも十分御理解をいただいてやっていただきたい、かように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  65. 神田厚

    神田委員 次に、全中の桜井参考人に御質問申し上げます。  全中の要求価格が昨年度の要求を下回ったというようなことがかなり大げさに宣伝されまして、非常に話題になっているわけでありますが、私どもがいろいろそれらを考えていく場合、価格要求の中で、たとえば先ほどちょっと質問がありましたが、頭切りの問題、さらには飼料の問題、飼料価格にいたしましても、昨年の農村物価指数から五十一年度全体を見ますと、三%近く飼料が上がっておる。さらには、農業生産資材は約五%近く上がっておる、こういうふうな資料も出ているわけであります。  そういう中で、政府算定方式の問題点、桜井参考人はどのところが一番問題であるのかということを簡単にお話をしていただきたいと思うのであります。
  66. 桜井誠

    桜井参考人 前年に比べて確かに要求価格は下がりました。同じ算定方法を用いておりますが、ただし政府の方と大幅に算定の考え方が違うわけであります。私どもが要求しておりますのは、全国勤労者の——たとえば保証価格でいきますと、飼育労働、それから企画管理労働、それから自給飼料生産労働、すべて全国ベースで評価をすべきではないかということを主張しておりますが、それを用いました場合には、大体八円五十銭くらいの差は当然出てくるわけであります。  それから、豚肉でありますが、頭切りをやめましただけで五十円は必ず上増しをするわけであります。  それから、牛肉につきましては、先ほどちょっと述べませんでしたけれども、枝肉換算係数がございますが、去年の場合、五十一年度のものをそのまま据え置きにいたしまして畜産局の方は算定をいたしておるわけですが、本来は実態の基準期間に見合うような形で枝肉換算係数が算出をされるべきである。実態に見合うものを新しく算定をいたしまして計算をいたしますと、六十円は必ず値上りするということでございますので、そういった要素の改善を本来はやるべきではないか。  現在の政府算定ではいろいろ問題があり、納得のいかないところがあるというのが現実でございます。
  67. 神田厚

    神田委員 私、十分しか時間が与えられておりませんので、詳しくいろいろとお話ができませんで申しわけございませんが、次に片柳参考人に御質問を申し上げます。  先ほど来大変貴重な御意見をたくさんお聞かせいただきました。その中で、米の転作の中で畜産の占める割合、それからさらに、これが長期的に日本の食糧政策の中で占めていく割合というものは非常に大きいと私ども思っておるのです。そういう中で、これを基本的に支えていくのは価格問題だ、こういうふうに考えているわけでありますけれども、その点につきまして先ほど来いろいろ御意見をいただいておりますが、たとえば外圧の排除をしなければならない、こういう御意見も述べられたようでありますし、さらには、いわゆる消費拡大の努力ももっとしなければならない、ごもっともな御意見でございます。  そういう中で、今年度の加工原料乳の価格の問題におきまして、片柳参考人におかれましては、飼料労働費のとり方につきまして、いわゆる農村雇用労賃をとっておるのは多少問題があるのではないかというような御意見もお持ちであるようなことを聞いております。その辺のところはどういうふうなお考えでありますか、お伺いしたいということが一つであります。  さらにもう一つは、先ほど芳賀委員の方から話がありましたが、私も先日の委員会で申したのですが、畜産審議会の建議というものは非常に大事なことを建議しておるのです。あるいは附帯決議もそうでございます。しかし、それが一向に反映されない。先ほど飼料部会の方で、国有林の問題につきまして附帯決議に沿ったことが出ているという話でありましたけれども、私、ことしと昨年の局長説明を読んでみましたが、片柳参考人が好意的に解釈をしておるようなことではありませんで、国有林の問題一つとりましても、努力すると言いながら、国有林飼料関係の活用面積が昨年は二万八千ヘクタールで、ことしは二万八千八百ヘクタールと言っておる。一年間のうちにわずか八百ヘクタールしかふえていない。これは附帯決議を尊重されたというような状況ではないのです。ほかにもいろいろ書いてありますけれども、同じような状況であります。  附帯決議なり建議なり、こういうものをもっと審議会の権威におきましてもひとつ尊重させるように、その辺のところをさらに御努力をいただきたい、こういうお願いを申し上げまして、お答えをいただきたいと思うのであります。
  68. 片柳真吉

    片柳参考人 私は、自給飼料生産は普通の飼育管理費と同様に、都市の五人以上の労務者の賃金で評価するのが正しい、労作の実態からも私はさように見ておりまして、これをどうも畜産局が余りがんばっているのは少し因業過ぎておかしいではないかということを、プライベートではありますが、畜産当局には私の意見を申し添えておるような次第であります。  それから、附帯決議の実施状況にもっと誠意をもって尽くせということはまことに同感でありまして、ことに国有林問題は一番さしあたった問題でございまして、さっき言ったような保安林になってしまうと利用するにも利用できませんし、北海道では開放すると言ったところが大分賃貸料や売却値段を上げてしまって、これではコストが合わぬというような問題、いろいろ問題がございますので、さっき言ったような連合審査までいきませんが、同じ農林省の中における審議会でやればできる問題が協力できないことは残念でありますから、あるいは畜産振興審議会で林野庁の首脳部全部を呼んでひとつとくといろいろ相談をするということを今後やってみたいと思っております。
  69. 神田厚

    神田委員 ありがとうございました。
  70. 山崎平八郎

  71. 津川武一

    津川委員 参考人の皆さん、本当に御苦労さまです。たくさん教わりまして、ありがとうございます。  そこで、片柳さんにお伺いしますが、今度の畜産物の価格、これは五十三年度の農産物価格全体のトップを切っております。これでこの次に生産者米価がまた大体同じように扱われていく。今度はサトウキビだとかてん菜だとかバレイショだとか、そういうことまで全部影響していきますので、私たち日本農業を守るために今度の畜産物の価格、非常に大事だと思っておるわけです。  そんなときに、世論というのかマスコミというのか、けさの日本農業新聞も、加工乳で言うと二円くらい諮問が下げる、政治加算して据え置きぐらいになるのじゃないか、こんなことを言って私もびっくりしておるわけですが、片柳さん、こんなところの感触はいかがでございましょうか。いいのか悪いのかわかりませんけれども、まずひとつお願いします。
  72. 片柳真吉

    片柳参考人 まことにむずかしい御質問でありますが、基本的には私は、先ほど申し上げましたように、せっかくの増産意欲に水をかけないという考え方を持って、値段を上げるか下げるかという問題もそういう全体の姿勢が農家理解されていただければある程度了承できるのではないかと思うのでありまして、特に昨今の牛肉その他酪農製品等、最も農家が苦しいときにああいう外圧が強まってきておりますので、そういう問題にもっと筋目を立ててはっきりすべきではないかということ。私ども多少外国との関係が深いのですが、話をしてみると大体わかっておるようですが、少し日本側の、これは農民団体もそうかもしれません、どうも日本農家の実態についていま少しPRが足りぬではないかという感触もいたしておりまして、何とかせっかくの意欲がさめないように私も微力ながら努力をしていきたいということで、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  73. 津川武一

    津川委員 どうも片柳さん、ありがとうございました。日本の農民の意欲に水をかけないように、外国農産物においては価格のことを話していただきまして、私たちその気持ちを体してこれからがんばります。  そこで、桜井さんにお尋ねします。  こういう形で据え置きになったらせっかくの意欲に水かけられてしまうし、農民の生産意欲がどうなるか、日本農業の将来というものに対する影響というものをどう考えておられるか、お伺いしたいのです。
  74. 桜井誠

    桜井参考人 御承知のとおり三十九万一千ヘクタールの水田の転作を農家はいま苦しみながら取り組みをしておる。結局米を減らした分は畜産なり果樹なりあるいは大豆なり麦なり野菜なり、そういうものに転換をしなければいけないわけでありますから、私どもが主張しておりますのは、入り口を締めまして出口の方をあけておいてもらわないと、とてもじゃないが農家はどうしようもなくなってしまうのではないか。したがって、価格におきましても先ほど片柳さんからも言われましたとおり、生産意欲の減退するような形のものにするな、これを特に念を押して政府にはいま要求をいたしておるところであります。したがって、農家生産意欲が落ちないように、ますます国内生産が自給度向上の方向で高まっていく、必要なものは国内生産をし、どうしても足りなければ輸入せざるを得ないかもしれませんけれども、不必要なものは輸入しないという原則を農政の基本とすべきであるというふうに考えます。
  75. 津川武一

    津川委員 そこで、先ほど大山さんが話してくださって、生育するためには、病気が出ているために二十日もよけいかかる、その分のえさもかかる、非常に胸を打たれて聞いていたわけなんですが、桜井さん、そこで、飼育の労働時間を考えるときに皆さんのところでは、政府は三・二時間、農民は実際五時間、六時間かかっていると言っているのですが、ここらの要求の仕方が全中が甘いのじゃないですか、事態を何かはっきりさせてないのじゃないかという気持ちが農民の中にあるのですが、いかがでございます。
  76. 桜井誠

    桜井参考人 飼育家族労働につきましては、保証価格につきまして百キロ当たり三・二一時間ということでありますが、これが実態をあらわしていないのではないかという御指摘でございますが、全国農協中央会の方が県の中央会、それから農協、それから農協の方からそれぞれ酪農家の方にお願いをいたしまして具体的な生産調査を積み上げたものでありますから、私どもはこれを操作いたしまして故意に低めておるということもございませんし、実態の積み上げをそのまま出しておるということでございます。  ただ、階層が上層に偏っておるのではないかというふうな御指摘もあろうかと思いますけれども、これらにつきましては記帳の関係からいきまして上層の階層にやや偏るというきらいがあろうかと思いますが、努めて現実の酪農経営の実態に合わした形での生産調査農家の依頼ということをやっておるわけであります。
  77. 津川武一

    津川委員 もう一回片柳さんにお伺いします。  先ほど、卸まで来てから後流通が大変だ、よくわからない、ここに問題があるということなんですが、この間実は参議院で私たちの安武という議員が、シンガポール産業の牛肉を輸入してきて、そして畜産振興事業団に入れたのです。そしてそれが卸市場に入った、今度卸市場から小売店に行っているかというとそうじゃなくして日本畜産株式会社、それから今度日本ハム、二つの会社に入って小売店に行っていることが明らかになったのです。畜産事業団が買ったときには七百十円、それが卸売市場は手数料なんか入って千六十円、これが小売店で二千三百円になってしまった。この日本畜産株式会社と日本ハムだけで千二百十五円、これを吸い取ってしまっているわけです。  ここのところに大変な問題があるわけで、ここいらあたりの分析、推計というのが片柳さんたちの審議会でできたらしていただきたいという感じなのです。ここに入ってくる日本ハム、伊藤ハム、プリマハムなどというのは部分肉を売っているのです。ハムやソーセージを売っているのかと思ったら、あにはからんや、五十一年度で日本ハムは売り上げの中の六五・三%が部分肉だったのです。伊藤ハムが五二・五%、プリマハムが五七・六%。こんなことで少しずつ私たちは解明できると思いますが、畜産審議会あたりで、いま林野庁を呼んできてくださる、非常によろしいのですが、ここのところを解明していただいて、政府のしりをたたいていただきたい。  政府のあれをやっていてもなかなか出てこないのです。なぜ出てこないかというと、いろいろな問題がありますけれども大山さんおいでになるからあれですが、小川町の養鶏のことです。何ぼしても政府は出してくれない。ヒヨコのイセが何ぼやっているのか、タケクマが何ぼやっているのか出してくれないので、とうとうこの間航空写真を出して、ヒヨコのイセの決算書を出して、それでふえている量を出したら、まあ幾らかいくと思うのですが、日本の政府はどういうことか、なかなかそこいらになってくると商社に対して弱い。  そこで、片柳さんにこういう流通過程をもう少し克明に論議していただきたい。われわれもやりますけれども、これはお願いなのですが、いかがでございますか。
  78. 片柳真吉

    片柳参考人 流通機構がきわめて複雑で、また個体も格差が非常に多いようでございますので、流通の実態がなかなかつかみがたいわけでございます。しかし、これを放任するわけにいきませんので、また部会なり委員会の皆さんの意見等も聞きまして、少なくとも畜産当局には流通の実態をもっと調査してはっきりしてほしいという要請は当然いたすべきだと思っております。それがどうしてもうまい答弁がない場合には、別途に調査会をつくるとか、何か適当な方便を考えるということになると思いますが、とりあえずは、畜産当局なり畜産事業団あたりが直接の当事者でございますから、自分の売っているものの流通経路がわからぬということをいつまでも認めるわけにいきませんので、まず、そういう責任ある答弁を求めた上で適当に今後のことを考えていきたいと思っております。
  79. 津川武一

    津川委員 ありがとうございました。  これで終わります。
  80. 山崎平八郎

    山崎委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)  この際、午後三時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後二時二十三分休憩      ————◇—————     午後三時一分開議
  81. 山崎平八郎

    山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島田琢郎君。
  82. 島田琢郎

    島田委員 時間が限定されておりますので、的確にお答えを願いたいと思います。  一つは、北海道で新全総を踏まえまして開発計画が策定されるその以前に、実は北海道としての北海道発展計画というのを立てました。この中で、酪農というのは北海道にとっては非常に重要な基幹作目の一つでございますから当然なんですけれども、それに対して一つの分析なりあるいは基調にかかわる部分の意見集約などをやった資料がここにあるわけであります。  私は、きょうこの自分たちの道がつくった発展計画にいちゃもんをつけたり何かするという意図じゃありませんけれども、残念ながら、北海道における営農改善の目標、それは五十三年度の考え方に限定されているのかもしれませんけれども酪農経営の一戸当たりの所得目標というのは水稲とかあるいは畑作に比べても非常に低く見ている。これはつくったものを責められるべきではなくて、全体にこういう風潮といいますか、考え方があるのですね。  それで、私はこの間一時間近くもかけて、こんなに日本農業の総生産が落ち込んでしまった、その上今度生産調整の問題も出てきてそれに追い打ちをかけるというような形になっている、米で落ち込んだ、米で失った分を一体どうやって何で補おうとお考えになっているのかとしつこく聞いたのはこの点なんです。この考え方を基本から改めていただかないと、乳価の算定、畜産物の価格算定に当たってもなかなかいい答えが出てこない。しかも、法律の志向するところ、その範疇で計算をしていくとすれば、私どもが言っているような価格が実現するはずがない。だから、基本のところを変えてもらいたいという趣旨で何回もしつこく言った。局長もそのことはわかっておって私の質問にまともに答えていないのだろうと思っているのですが、たとえば北海道における営農改善の目標として挙げておりますのが、水田で八ないし十ヘクタール、畑作で十ないし十五ヘクタール、酪農で十五ないし十九、そして、それらの平均所得目標を三百万円と踏んでいるようです。  それを細かに中身で見てまいりますと、営農形態の中で畑作と酪農だけで比較してみますと、水田なんかとても問題になりません、高いものでありますから。規模的にはいま言ったような規模なんでありますけれども、単位当たりの、たとえば畑作で言えばヘクタール当たりの収入、酪農で言えば一頭当たりの所得ということになりますが、これを一戸当たりの所得に置きかえてみますと、畑作では三百四十八万四千円という目標を達しているのに対して酪農では二百六十四万七千円、一戸当たりの所得目標の差は八十万円もあるのですね。これを是認しているのです。ここのところを直さないと、先行投資等ものすごい大きな負債を抱えて、それがちょっと油断すると固定化の方向に向いてしまうという酪農のまだ抱えている脆弱性などを考えますと、むしろ畑作や水田を上回るくらいの所得を酪農で確保させるという方針が出てこないと、私は、酪農経営も畜産経営も安定せぬのではないか。ですから、北海道発展計画でつくられていることにも私は文句を言いました。言いましたが、きょうはそんなことをここで言う場所ではございませんけれども、大体社会的な通念にまでなろうとしているこういう所得格差、酪農がほかの作目と比べて低いのはあたりまえという考え方が根底にあったら、局長、これは絶対いい答えが出ようはずがない。この間の中で私申し上げましたように、需給のバランスが崩れているから云々というお話がありましたけれども需給のバランスが崩れているのではなくて、崩そうとしているし、また意図して崩れる方向に政策は志向してきた、こう言い切ってもいいと思うくらい私は不満を持っているのです。ですから、そのことについてきょうは改めてまた申し上げるようなことをやろうとしても時間がございませんから、きょうは復習をするという程度にとどめさしてもらいます。  さて、そういう認識をきちっと持って、やがてあさって乳価に関しては政府の試算価格が出てまいります。こういう認識は一つもいまの段階では変わっていないのでしょうか。この間私が本当に長時間かけてこの点を力説いたしました。それが改まらなかったらいい答えは出ないよということを言ってきました。そして、米で失ったものを畜産、酪農で補うのだ、政務次官も局長もそうおっしゃいました。だとしたら、これから決められていく乳価にそれが反映してこないことには、言ったことと結果とが実は大きな違いになってしまうという心配を私は強く持っているのです。  簡単で結構ですが、そのお考えは依然改まっていないのでしょうか。
  83. 杉山克己

    ○杉山政府委員 今日水田からの転換ということで、その転換先作物を何に求めるか、さらにまた水田で失うところの所得を何で補うかという問題、確かに農政上の大きな課題となっております。  五十三年の乳価を決定するに当たりましてあるいは限度数量を設定するに当たりましてそれらのことが念頭にあることは当然でございます。ただ、米の所得で失ったものを直接的にそのまま金額でもって酪農の所得で補うというような計算の仕方は成り立たないのでございまして、基本的な考え方において今後日本酪農を大きく振興させ、伸ばしていくという前提でもって再生産を確保する、その考え方のもとに価格決定を行ってまいりたい、かように考えております。
  84. 島田琢郎

    島田委員 どうもこれは相当これから根を詰めた議論を局長と私の間だけでもしなければ、これはとても変わりそうにない。そんなことを言っているうちにどんどん時間が過ぎてしまって、五十三年の乳価決定を迫られてしまう。まことに残念なことでありますので、私は一年間かかってでもこの基本の論議をねちっこく繰り返したい。そうでないと、米対策だって生きてこないということをお感じにならぬのでしょうか。きわめて遺憾なことであります。  さてそこで、先ほどのいろいろの参考人の御意見ども踏まえまして、政府ももう鉛筆をおおよそなめ終わっているころだろうと思うのでありますが、まだあさっての朝になりませんと国会にもこの内容について明確にすることは恐らくしないのでありましょうが、私は次の点についてぜひ解決をしてもらいたい。  その一つは、先般ちょっと積み残した分でありますけれども、家族労働報酬の見方であります。なるほど酪農の場合は高度な技術が要るし、また高度の技術を駆使して経営を行っていくという特殊な立場にあるということを認めて、従来の家族労働報酬の基本にかかわる問題については若干の前進をさせてきたということを繰り返し政府は説明をしているのであります。  酪農経営の場合、先ほど申し上げました畑作に比べてさえも八十万以上にわたる所得格差、こういうものが実態的にあるということ、あるいは政府やそのほかの関係機関においてもそのことを是認しているというようなことから脱皮していくためには、算定にかかわる部分で改定すべきところは思い切って改定するという気持ちが出てこないといかぬのではないかと私は思うのです。とりわけ何年も乳価の時期が来たら攻防戦になっていく、その最大の課題はやはり労働報酬の一本化でありましょう。牧草づくりの場合の労働の評価と、乳をしぼったりする労働の評価とが区分けされているというのは、経営をやっている酪農家の実態から言ったら、とてもこれはがまんのならぬことであります。これはどんどん詰めていったら、臨時雇い労賃に戻してしまうなどという暴論を吐く向きも過去にはありましたけれども、いまはそうじゃなくて、高度な食品、しかも完全栄養食品と言われている牛乳を生産する、こういう立場にいる者は、過酷なまでの近代化と装備の革新を迫られてきました。したがって、これを回収していくためにも技術を革新してこの経営に当たっていかなければならないというのは他の業種にも類例のない特殊な技術であります。そのために、どうしても牧草もいいものをつくっていかなければならない。この是非がその年の経営の方向、成否を決めるとさえ言われているのが牧草づくりの労働であります。ですから、昔は確かに牧草づくり労働と区分けして、牛舎で働くのは特殊な技術を持っているからとして格上げしたという歴史はあるのでしょうけれども、私はそうではなくて、もはや酪農経営を整合性ある経営に持っていくという認識をこの際持っていかなければならないとすれば、労賃に区分けをするなんというやり方はおかしいのではないか。一部それを認めて半分管理労働に置きかえをするというようなこそくなやり方ではなくて、全部一本にするという考え方をぜひひとつ持ってもらいたいと思うのですが、どうですか。
  85. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いま先生自身が質問の中で述べられましたように、酪農労働のうち飼育管理家族労働につきましてはその労働の特殊性、つまり周年休みなく続く、拘束性もきつい、それからまた乳牛というような非常に価格から言っても高価な生きているもの、その飼育管理を担当する、これは特別の緊張も要るし、熟練も要するであろうということで、この特色に着目しまして、主要加工原料乳地域の製造業労賃で評価がえをいたしておるところであります。これはほかの労賃評価に類を見ない特別な措置であるわけでございます。他方、自給飼料家族労働につきましては、これは飼育管理労働に見られるような特色というものは薄いのではないか。もちろんほかの作業と違った特殊性、その立場の方から言わせればそれなりのむずかしさというものはおありでございましょうが、飼育管理労働のような本当の特殊性というのは見られないのではないか。むしろ、ほかの耕種作物の栽培労働と質的には同質の労働ではないかというふうにも考えられるわけでございます。そこで、農林省の畜産物生産調査の一般的なルールに従いまして、五十一年の生産調査から改められたところの農村雇用労賃を採用しているところでございます。  労賃の評価の仕方については長い経緯があったわけでございますが、五十一年の生産調査によって改められた農村雇用労賃は、先生がおっしゃられるようなそれなりの家族労働に対する評価というものを是正してまいった歴史でございまして、今日採用している農村雇用労賃は、製造業、建設業、運輸通信業等他産業をも加味した当該農村地域における標準的な労賃水準でございます。ウエートから言えばしかも製造業のウエートが高いということになっておりまして、私どもとしては、自給飼料生産労働の評価基準としては妥当なものであろうと考えているところでございます。
  86. 島田琢郎

    島田委員 考え方の前進は全くないということでありますが、私はそれならひとつこの際新たな労働費計算という方式も考えられるのですが、これも農業団体、農民団体から強く要求が出ている点だし、国会でもしばしば取り上げられてきましたし、昨年も大分論議をしたのでありますが、経営全体を見直していくという必要が常に経営を前進させ、革新させていく上では大事な事柄でありまして、私どもはそのために非常に緻密な計画と企画と、そして、それに必要な研修あるいは勉強が必要であります。それも相当の時間に上っています。この実態調査をすると昨年は約束をされたと私は記憶しておりますが、もうそろそろ企画管理労働に対して考え方が煮詰まってもいいと思うのですが、企画管理労働費も認めるお考えはないですか。
  87. 杉山克己

    ○杉山政府委員 物を生産するには、その生産に当たってコストとして評価される必要な労働と、そうでない労働が観念としては分かれると思います。その場合、企画管理労働はどうなのかということでございますが、一般的にこれはコストとしては原価性がないということで調査の対象から外れているわけでございます。いま一つは、この種の労働というのはきわめて不規則でございまして、調査するといたしましてもなかなか明確な調査資料が得られない。それから、そういう技術的な困難性があるだけでなく、いま申し上げましたような基本的な原価性の問題、さらにそういう観点から、ほかの農産物行政価格におきましてもこれを算定するということはいたしておりませんので、畜産物の価格算定に当たりましても、これを労働時間として織り込むということはいたしておらないわけでございます。
  88. 島田琢郎

    島田委員 それは昨年の答弁から見ると大変後退です。実態的に確かに把握しづらい面があるけれども、しかしこれは調査といいますか、検討してみたいと昨年は答えているわけであります。その考えも全くありませんか。イエスかノーだけで答えてください。
  89. 杉山克己

    ○杉山政府委員 算定するかしないかという基本的な問題処理は別にいたしまして、そういう実態について、役所としても、これは調査はむずかしゅうございますが、把握する必要はあると考えております。
  90. 島田琢郎

    島田委員 それから、ずいぶん生産性が上がった、これはお認めになりますね。
  91. 杉山克己

    ○杉山政府委員 特に五十二年度において著しく向上いたしております。
  92. 島田琢郎

    島田委員 それは農民が努力をしたということも認めますね。
  93. 杉山克己

    ○杉山政府委員 認めます。
  94. 島田琢郎

    島田委員 全部返せとは言わぬが、何割か、せめて半分くらいは返すという考え方が出てきてもいいと思うのです。これは長い論議が続いておりますが、この辺のことについてはどうですか。
  95. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いまの乳価について不足払いの仕組みというのは、いわば底支えの価格支持でございます。その観点からいたしますと、むしろ生産性が上って、そういう底支えを必要としない事態になるということが一番望ましい事態でございます。これは実態から言って当分の間望むべくもないとは思いますが、そういう不足払いの趣旨、性格から考えても、私どもとしては、できるだけそういう生産性を上げていただく、そして、それを不足払いの対象としては考えないというのがやはり筋であろうと考えております。
  96. 島田琢郎

    島田委員 私は前回のときに、三・二%の脂肪率に換算すればまだ二十五億くらいもらい不足なんです。悪く言えばそれだってみんな政府が吸収してしまっているじゃないですか。それを全部返せとぼくは言いたいけれども、それもできないというなら、生産性向上で農家努力したことを認めている、認めた分くらいはせめてどうですか。こういう制度はほかにもあるんだし、一般的には社会的にもこれは通用する概念なんですから、返すくらいの前向きの検討がされてもいいじゃありませんか。  ついでにお答え願いたいのですが、最後に輸入問題です。  先般輸入の問題については追跡調査を約束されたわけでありますが、ぜひ二十九日の、いま試算をやっているさなかで大変忙しいのでしょうけれども、これは重大な問題でありますから、ココア調製品の問題だって、日本でも粉乳は十分とれる。カゼインとか乳糖などというのは、早速つくるといってもことし間に合わないという点について私は百歩譲るとしても、ココア調製品などというのは九割粉乳が入っているものであります。粉乳は国内でできる。ココアは日本でできません。だから、ココア単品輸入に切りかえるべきだ。所管する農林省としては、生産者の段階に大きな影響を及ぼすという認識がおありなら、通産省とこの問題について積極的に話し合うことが必要であると思うのですが、追跡調査結果などの国会への報告とあわせて、この点についてもひとつ通産省と話し合うという構えに立ってもらいたいのですが、いかがですか。
  97. 杉山克己

    ○杉山政府委員 ココア乳製品の調査につきましては、私どももその実態を把握する必要があると考えております。ただ、この問題、通産省ももとよりでございますが、大蔵省その他関係省庁と打ち合わせる必要がございます。私ども、実態についていろいろむずかしい問題はあろうかとは存じておりますけれども、先般来の御質問の趣旨も体して、できるだけ努力いたしたいと考えております。
  98. 島田琢郎

    島田委員 以上で質問を終わります。
  99. 山崎平八郎

  100. 柴田健治

    柴田(健)小委員 私は、時間が余りございませんから、和牛だけにしぼってお尋ねしたいと思うのです。  同僚議員から乳価の問題、加工原料乳の問題、その他養鶏の問題を言われましたから、私は、現在和牛の肉牛肥育をしておる農家が本当にもうけているのか損をしておるのか、農林省はどういう認識をしておるのか、まずその点を簡単にお答え願いたいと思います。
  101. 杉山克己

    ○杉山政府委員 五十二年の調査に基づいて収益性を試算してみますと、経過の計算は省略いたしますが、一頭当たりの粗収益は五十七万二千九百五十九円ということになっております。これに対しまして、一頭当たりの労働費を除く総費用は五十二万八千三百六十四円ということになっております。一頭当たりの労働報酬は、いま申し上げました粗収益から労働費を除く総費用、これを差し引きまして四万四千五百九十五円ということになっておるわけでございます。これから一日当たりの労働報酬を計算いたしてみますと、五千八百四十九円ということになるわけでございます。  これが高いか低いかということになりますと、ほかの一日当たりの労働報酬と比較してみる必要があるわけでございますが、稲作に比べてまずまずの水準であろうかというふうに考えております。ただ、いま申し上げました数字は五十二年でございますが、最近におきましてこれが依然維持されているかどうかということになりますと、牛の価格が若干下がったというようなこともありまして、その点懸念されるところではございますが、五十二年の秋、それから本年の一月に行いましたところの飼料価格の大幅な引き下げ、これが徐々に浸透しつつある、そういうコスト面でプラスに働く面もありますので、まあ私どもとしては、五十三年においてもいま申し上げましたような労働報酬は維持し得るものであろうというふうに考えております。
  102. 柴田健治

    柴田(健)小委員 いまの局長の答弁を聞いておると、四万四千円ほどもうかっておるようだが、われわれ計算してみると、どうにももうかってない計算が出るのですね。農林省の畜産局が調査をした数字と、われわれ農家の実態を調査してみて、そういうもうけが出ていない、ほとんど赤字だ、こういう数字をつかんでおるわけですが、なぜこんなに違うのかということです。問題は、枝肉として屠場で取引される価格、この格づけの問題に農林省とわれわれとの違いがあるのではなかろうか、こういう気がするのですが、格づけの方法が、各県また地域において非常に差異があるのではないか、この点どういうふうに認識しておられますか。
  103. 杉山克己

    ○杉山政府委員 格づけにつきましては、これは公正な第三者機関として権威のある日本食肉格付協会が責任を持って行うということにされておるわけでございます。柴田先生御指摘のように、和牛におきましては格づけ比率、上位のものが近年次第に低下してまいっております。それから、地域的にもかなりばらつきが見られます。  これの原因は何であるかということでございますが、私ども格づけそのものが公正を損なっているというふうには思っておらないわけでございます。やはり最近格づけに出す絶対数、全体の頭数がふえたということに伴って、比率としては、すそ物も出てくるというようなことから、上位比率が低下してきておるのではないかというふうに考えるわけでございます。それからまた、やはり物としてそれに値するような、実質的な、若干規格の下がったものが出回ってきておるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。こういう品質の向上については、別途生産対策の面で、あるいは飼養技術の指導の面で努力していかなければならないと思いますが、そういう実態があるのではないかというふうにも考えるわけでございます。  この点、乳牛の方は品種的にも統一されている、飼養管理の仕方も比較的整っているというようなこともありましてか、格づけのばらつきは和牛の場合ほど差がないわけでございます。
  104. 柴田健治

    柴田(健)小委員 局長は、この格づけの差異について余り自信がないようですから、いずれまた二十九日に根拠を示して質問したいと思うのですが、何としても農林省のつかみ方が実態に合っていない。たとえば、生産農民が、屠場まで行って枝肉が取引されるまでの経費を、単協はどれだけ取っておるのか、三段階制ですから、経済連がどの程度取っておるのか。屠殺料というのはほぼ同じですから、そう差はないのですが、一頭六千円だ、こういうことで平均の数字が出ておりますけれども、その運賃であるとか販売手数料であるとか、そういう一頭当たりの必要経費、たとえば六百三十キロの体重のあるものはどの程度経費がかかっておるのか、そのつかんでおる数字を具体的に説明願いたいのです。
  105. 杉山克己

    ○杉山政府委員 これは生産調査の中でもって処理されている数字でございまして、子牛の販売農家にしてみれば、販売価格、それプラス経費、プラスといいますのは、販売価格から差し引かれるという意味での経費ということになってまいると思います。これを買う方の肥育農家立場からいたしますと、これは価格の中に織り込まれるということになると思うわけでございます。  その具体的な数字をということでございますが、私はいまここにその数字は持ち合わせておりませんけれども、当然生産調査の中ではそれらの経費は適正に、出す側では経費として、受ける側では価格の構成要素として算入されているというふうに承知いたしております。
  106. 柴田健治

    柴田(健)小委員 卸売手数料というものがあるのです。卸売手数料というのは目減りも含んでいるのです。生産農民は消費者の手に行くまでの目減りまでかぶっているのですよ。農民が全部かぶっているのですよ。そして、業者の御都合主義で——屠場で屠殺されて、格づけされて、すぐその場でもう取引価格というものが決まらなければならぬ。ところが、一週間も十日も保管して、保管料を取られた上に、一番安くなった時点で取引価格を決めていく。農民はいつ価格が決められるのやらさっぱりわからない。ただ、農協支払い伝票か何か、五十二万何ぼで売れましたよ、五十三万幾らで売れましたよというだけの通知書しかもらわない。一週間も十日も保管をしている。業者の御都合主義でやっている。  こういうところの改善をしてやらない限り、農民は常に取引価格については不安な気持ちで待っているということですね。この点の改善策をしない限りよくならないと私は思うのですが、そういうもろもろのものの実態を農林省がつかんでいないんじゃないか。それだから、幾らもうかっておるんだという大ざっぱな計数で生産農民を抑えつける、その価格をはじき出すためにこじつけの数字をわれわれに示している。どうも現場での生産農家の実態調査をしてみて、その点の不合理というものがわれわれにはよくわかるわけです。農林省はその点わかってないのじゃないか。それから、業者の御都合主義をどうとめるか。この点のお考えを少し聞かせていただきたい。
  107. 杉山克己

    ○杉山政府委員 間に立つ業者がむやみな手数料を取るとかあるいは御指摘のような長期間保留しておいて、その経費も徴収するというようなことは、仮にあるとすれば大変によろしくないことでございますが、そういうようなことが一般的にどこでも行われているというわけではなくて、それはまれにあるケースではないかというふうに考えます。ただ、家畜の取引が全部きちんと公正に行われていて、農民の利益が一〇〇%代弁され得ているかと言えば、先生御指摘のような問題点、幾つかあると思います。  私どもといたしましては、家畜取引の明朗化を促進するということのためにはできるだけ組織販売、和牛の場合はどうしても一頭一頭個々の飼養している農家立場というものが強く反映するわけでございますが、これをできるだけまとめて農協とかグループで組織販売に乗せるということが一つ必要ではなかろうかと考えております。この点、乳牛の場合は、組織販売の仕組みが和牛の場合に比べて進んでおりまして、現実に形成されている価格を見ましてもそれほどの変動、ばらつきはないというふうな状態になっておりますし、手数料等についても比較的おかしなことになっていないのではないかというふうに考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、和牛の取引についてもっと明朗化するということについては、食肉センターの整備、組織販売の促進といったようなことを通じて今後政府としても努力してまいりたいし、関係方面に指導してそういうことが実現できるようにしてまいりたいと考えております。
  108. 柴田健治

    柴田(健)小委員 私は、農林省は十分反省してもらいたいのは、平素の飼育管理、肉牛育成についてそれこそ御都合主義の指導をやっているのではないか。たとえば、標準を決める、生産単位を決めてある。三十頭を五十頭にしなさい、こう言う。そういうことをすれば借金がふえてくる。それから、畜産公害論でいろいろな施設改善をしなさい、こう言う。たとえば、霜降りの肉、肉質をよくしなければいけませんよ、肉質をよくしないと売れませんよ、こういうことで肉質をよくするためにだんだんと飼育の管理方式というか、飼育の技術というか、そういう面に相当金がかかる。たとえば、えさの調合でもいろいろ工夫する、研究もしなければならぬ。だから、要するに飼育管理労働というものがだんだんふえてくる。研究しなさい、研究しなさい、研究時間がどんどんふえる。講習も受けなさい。コストの上がるようなことを平気で指導しておいて、それを見ないというのはおかしい。外国から輸入すると安い肉が入りますよ、国際価格論で日本農産物を比較したら太刀打ちできないのはあたりまえのことなんですよ。東南アジア、南西アジアへ行ってごらんなさい。一日の賃金が日本円で百円や二百円の労働賃金でやっておるところと、日本はもう六千円、七千円、太刀打ちできるはずがないんですよ。それを、農産物だけを国際価格で比較して日本生産農民を抑えつけるやり方、これは少し私は不合理であるし、不都合だという気がするんですね。  だから私は、何としても、農林省がコストが上がるような平素の飼育管理の指導をしておいて、日本のはコストが高いんだ。たとえば、肉質でも霜降りの肉をつくりなさいよ、霜降りの肉をつくるのと赤い肉をつくるのとではえさの与え方が違う。そういう霜降りの肉で日本の畜産は勝負をするんだ、こういうことでコストの上がるような指導をしておいて、今度はいよいよ価格問題については、そういう質の問題は一つも言わない。私は農林省というのは少し無責任だと思うのですが、その点の責任を感じてもらわなければいかぬと思うのです。どうですか、局長。
  109. 杉山克己

    ○杉山政府委員 確かに肉牛は土地はそれほど要らないかもしれませんが、高い牛を抱えなくてはいけない、それから飼養するための施設が要る、そのための投資がかさむということは事実でございます。しかも、規模拡大を促進しているということの関係から借入金の額も年々ふえてまいっております。  それから、飼養の仕方について、これは品質を向上させる、できるだけ経済的にも有利なものを生産させるという指導も行っているわけでございます。ただ、先生御指摘のように、こういうことによって経営自体の経済性が逆に損なわれるというようなことが出てくれば、これは問題でございます。そこで、私どもとしては、そういう施設等の整備のために必要な、あるいはそのほかのコストがかかることについて必要な資金については制度資金の道をできるだけ開いておるところでございます。また、昨年の牛肉価格あるいは牛乳価格の決定の際に、経営改善資金というようなことで焦げつき資金についての借りかえ等の措置も行ったところでございます。  それから、品質の問題、これを向上させるということはそれ自体は基本としては必要でございますが、やはりかけた労働、手間と、でき上がったものの価格と経済性というものを比較して、そこはバランスを保つような飼養のあり方というのがあってしかるべきだというふうに思います。そういう点では、今後指導の上では十分配慮していかなければいけないというふうに思うわけでございます。  それから、国際的に日本の牛肉価格が高い、競争し得ないのは当然ではないかということはだれもが認めるところでございます。その場合、先生仰せられるように、日本の肉は確かに特殊な育て方をして特別な肉が一般的につくられております。その意味で、和牛は輸入される肉に比べれば品質的にははるかに上等、高級であると言ってよろしいかと思います。そういう意味で、国際価格日本の牛肉の価格の三分の一であるとか五分のであるとか言われますが、品質を考え、また、その品質に対する日本人の嗜好というものを考えますと、実質的な価格差はそんなには大きくないのじゃないかということは言えます。ただ、そういう品質差を除いてもいまの価格差は余りにも大きいので、言われるほどではないにしても、国際価格に比べて日本の牛肉価格はまだかなり高いということは言えるところであろうと思います。
  110. 柴田健治

    柴田(健)小委員 いずれ二十九日に私は質問したいと思うのですけれども、問題は、畜産行政の基本政策というものが農林省にないというのがわれわれ非常に不満なんですよ。ただ、価格を決める時期に来て価格論議だけをする。価格政策だけにとらわれ過ぎる。いまそういう日本の畜産行政の中で、畜産の基本政策、たとえば生産体制のあり方、流通のあり方を基本的にもう少し考えたらどうか。それから、税制の問題。それから、素牛がいま二十五万から三十万する。なぜこんなに高くなるのかということにもっと国が責任を持って、素牛価格をうんと下げていく供給体制をつくり上げていく、その構想があるのかないのか。  流通の改革でも思い切って、たとえば五十七、八万円で六百三十キロの牛を出したとして、五十七万円で全然もうけになっていない。それが上中下の平均価格でキロ千五百円で生産農民は出している。そうすると、五十四、五万円にしかならない。いま五十四、五万の取引が多い。ところが、素牛が三十万円近くかかって、えさを三千キロから三千五百キロ食わして、ようよう二百七、八十キロ、三百キロ前後の素牛が六百二、三十キロになるわけでしょう。そうすると、えさ代だけでも、いまキロ五十八円八十銭で買っても、一頭に二十万円からの膨大なえさが要る。素牛三十万円出して、えさを二十万円出したら五十万円かかるでしょう。いまの借入金の償還もあるでしょう。屠殺場へ行く必要経費もかかるでしょう。それから、畜産の施設に対する設備投資も、一頭当たり相当大幅な額があるわけです。これをもっときめ細かく計算してみたらおのずからわかるはずですよ。  どこに矛盾があるのか、価格が安いとか高いとかという論議でなしに、基本政策として、素牛価格をどれだけ安く供給するか、流通で生産者価格の手取りをふやしていく、消費価格をどうして下げるか、これをもっと真剣に考えたらどうかという気がする。  それから、えさの問題。大体一キロ当たり三十五円に抑えてしまう、それだけは政府が責任を持つ。四十円以上には出さない。いまは円高でうんと下がっているのだから、三十円ぐらいで来ているのですから、もう三十五円より上はとらない、そのくらい強い基本政策というか、基本方針がなければ、日本の畜産農家というものはたまったものじゃない。  それから、この経営資金についても償還年限を倍にする。五年を十年にしてやる。そして、共済制度をもっと充実してくる。そういう基本政策がないから、いつも不安定な要素で生産農民は苦しんでおるというのが実態なんだ。たとえば税金でも、同じビニールハウスでも、蔬菜類については固定資産税がかからない。畜産の方は、屎尿処理をするためにはどうしても下はコンクリにしなければならない。コンクリを打っただけで、もう固定資産税がかかる。なぜ免除してやらないのか。国民健康保険税だってそうだ。牛を二頭百万円で売ったとして、四十万円しか必要経費を認めない。六十万円は利益だということで、国民健康保険税をかける。一つももうかっていないのに、四十万円しか必要経費を認めない。こんなばかなことはない。片一方、お医者さんを見なさいよ。七二%も必要経費を認めておる。一千万円水揚げをしたら、七百二十万円必要経費じゃないですか。農民は、養鶏でも酪農でも和牛でも、水揚げをしたら四〇%しか必要経費を認めてくれない。  生産農民にこんな不合理なことをするから、農民は頭に来て怒っておるわけです。農林省が本当に生産農民のことを考えるなら、自治省なり大蔵省に折衝して、税制の面からでも思い切って優遇してやれ。優遇じゃない、当然の措置をしてやれ、農民は優遇は要求してないんだから。ほかと同じようなつり合いのとれた税制改革をしてくれと、こう言っているのです。農民だけになぜそんな不都合な、そして不公平な、そういう政策をとっておるのか。税制の問題は、一例を申し上げたのですよ。そういう基本的なものを解決せずにおいて、ただ価格がどうだ、家族労働賃金がどうだとか、雇用労働賃金がどうだとか、管理労働費がどうだとかいうような、そういう論戦だけでごまかそうとしておる、もうかっておるとか、もうかってないとか。基本的なものをもっと農林省は勉強して、たとえば流通改革するなら、思い切ってこういう方法でやりますと、こういう構想があってしかるべきだ。いずれ二十九日にやりますが、いま私が申し上げたようなことについて、見解があればお答えを願いたいと、こう思います。
  111. 杉山克己

    ○杉山政府委員 たくさんのことをお尋ねいただいたわけで、非常にはしょった答弁になることをお許し願いたいのですが、私どもも、価格対策が単に一般的な畜産行政一つの柱にしかすぎないということは十分承知いたしております。基本対策全体として考えていく、その中での価格対策であろうというふうに考えております。たとえば、生産基盤であるところの草地造成でありますとか団地の育成でありますとか、あるいは飼料対策、こういったもの等を総合的に考えていく必要がございますし、いま先生御指摘の素畜の価格、これもできるだけ生産性を上げて安く供給できるように、買う側からすれば買うことができるようにということでのそれなりの対策は講じているところでございます。  流通対策についても、これは現在までもそのときそのときにおいての措置は、消費者に肉を安くお届けするための措置はとってまいっているところでありますが、特に五十三年度以降におきましては、食肉センターの大幅な整備を図る、さらに大都市には部分肉センターを設けるというようなことを構想しているわけでございます。  なお、税金につきましては、牛の販売代金の所得税については、現在特別措置で無税となっているところでございます。そのほかの税制につきましても種々検討いたしておりますけれども、特段不利な扱いになっているというようなふうには思っておらないところでございます。
  112. 山崎平八郎

  113. 角屋堅次郎

    ○角屋小委員 三月末までに加工原料乳の保証価格を初め、牛肉、豚肉の安定価格等を含めて、いよいよ新年度に対する価格決定が大詰めに来ておるわけでございますが、これまで本委員会においても、きょうは参考人を招致いたしましていろいろ真剣な議論が行われてまいりました。  私は、ことしの場合、価格決定に当たっては、特に昭和四十七、八年ごろからの例の国際的なえさの異常な高騰の波動を受けて、畜産農家が大変な苦労をいたしてまいりまして、最近の国際的な飼料価格の安定化傾向の中で、畜産農家としては上昇体制をとろうとするやさきにおいて新年度の価格を決定をするという重要な段階に来ておると思うのであります。結局こういう価格決定のときに、私も国会で二十年農政の問題を議論しておりますけれども農林省側の算定の方式あるいは算定要素の中の価格のとり方、畜産農家の主体的な構成ででき上がっております農業団体関係からの算定方式あるいは算定要素の価格のとり方、これがずっとやはり食い違いのままで今日に来ておるわけでございます。私はやはり、畜産局が畜産農家立場に立って、あるいは農林省生産農民の立場に立ってということからいけば、こういった重要な価格政策の問題についても、算定方式あるいは算定方式内における算定要素の価格評価といったようなものについては、価格の決定の時期が来ていろいろ違いをお互いが一覧表であらわすのではなしに、やはりもっと恒常的な双方の討議や合意という点の努力というものがコンスタントになされなければならないのではないかということを感ずるわけでございます。  もちろん国会といたしましては、本委員会におきます農産物価格等に関する小委員会というのは、本来日本における主要な農畜産物の価格決定方式あるいは算定要素の評価等の問題について現状をどう打開をし、前進体制をとるかということが重要な基本任務でございますけれども、それと並行して、農林省自身が、たとえば畜産局でいえば、畜産物の価格決定の時期にいろいろするのではなしに、畜産物の価格決定を含めて、主要な農畜産物の価格決定の問題について、きょう参考人が見えましたが、そういう方々の間に検討会を恒常的に設置をし、そういうところでいろいろ議論したところのものが算定に生かされる、あるいは国会論議の爼上にも上る、あるいは畜産振興審議会あるいは農政審議会等にもそういうものが反映をされる、こういった価格決定一つの問題についても積極的な努力というものが、今日国際的な外圧あるいは国内的ないろんな困難な条件の中で特に必要になってきているのではないのか。  申し上げるまでもなく、われわれ自身も米、畜産、果樹、蔬菜、これはやはり農政上の重要な柱である、従来からも畜産は成長財である、果樹は成長財であるというふうなことが農林省側からも言われてまいりましたけれども、そういう成長財が成長財らしく発展をしていくためには、その重要な柱の一つである価格決定の問題についていま言った考え方で取り組むということが畜産局自身に必要ではないか、こういうふうに思いますが、価格決定の重要な段階でありますけれども、今後の問題として関連がありまするので、局長の見解を承っておきたい。
  114. 杉山克己

    ○杉山政府委員 農産物価格はそれぞれの農産物の特性に基づいて、あるいは生産費所得補償方式あるいはパリティ方式あるいは需給実勢方式というようなことで種々の決め方がなされているわけでございます。  畜産物について毎年のように価格算定の方式なり要素の取り扱いの仕方について議論が起こる、これについてもっとふだんから恒常的な討議を関係者と重ねておく必要があるのではないかという御指摘でございますが、この点に関しましては、私ども価格決定に際しては、もとより価格算定方式だけの問題でなく、需給についてもあるいは生産対策の面につきましても特に生産者団体と事前のいろんな意味における話し合いといいますか、討議は必要だと考えております。その意味で毎年のように公式、非公式に生産者団体の意見をかなり詳しくお聞きするというような会合も持っているところでございます。  ただ、価格算定方式あるいはそれをめぐる要素のとり方等の問題につきましては、これは率直に申し上げましてたてまえの大きく食い違うところがございまして、今日までなかなか一致を見ないというのが実情でございます。従来、私ども現在とっております方式によりましてそれぞれの畜産物の生産奨励なり再生産の確保を図ってきたという経過がございまして、これは一つのルールになっているというふうにも考えているわけでございます。そういうものを乗りかえることが一体どういう考え方でできるのか、あるいはどういう手続なのかというようなことになりますというと、これはなかなか筋論といいますか、考え方の基本において問題となるところがあるわけでございまして、せっかくの御指摘でございますからもちろん検討はさしていただくし、農業団体の意見も今後とも十分聞いてまいりたいと思いますが、ほかの問題に比べてこの価格算定方式の問題はなかなかむずかしいところがあるというふうに考えております。
  115. 角屋堅次郎

    ○角屋小委員 いま非常に逃げ腰で杉山局長がお答えになりましたが、これは大臣にも関連することでありますけれども、真剣に検討してもらいたいというふうに私は思うのです。  たとえば、立法的に言えば、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法というのは、第一条でも明らかなように、これは「当分の間」ということになっているわけです。法律も暫定措置法ということになっている。たとえば、生乳生産価格をどう決めるかという問題についても、加工原料乳については加工原料乳生産者補給金等暫定措置法ということで当分の間この法律の運営でやっていこう、それから飲用原料乳については別建てのやり方でやる。われわれのこの議論の舞台にも必ずしも正式には上がってこない。イギリス等のそういう加工原料乳あるいは飲用原料乳も含めて牛乳法的な体系でやろうというのも一つの行き方だと思う。だから、酪農家から言えば、加工原料乳に向けるかあるいは飲用原料乳に向けるか、仕向け先は別として、いわゆる自分の酪農経営によって得たお乳をどう売るかという問題がある。これがばらばらになっておる。一つの立法体系として、こういう問題をいわゆる酪農家の立場に立って、仕向け先は別だけれども、どう価格を決めていくのかということについても本来は畜産局としては真剣に検討しなければならぬ問題である。また、そういうことについては生産者団体側の意見を聞くということも重要であるということも含めて、主要な農畜産物というと畜産局のなわ張り以外のことにも関連してくるから杉山局長としては答えにくいかもしれませんけれども、やはりこれからの問題から言えば、畜産の問題そのプロパーについても、そういった面で、あるいは指定食肉に今日牛肉と豚が入っておる、その他のものは指定食肉として要るのか要らないのかというふうな問題も含めれば、その問題自身についても畜産物の価格安定等に関する法律のこれからの問題の取り扱いとして検討の素材になるといったようなことで、これはひとつ前向きに考えてもらいたいということを第一点として申し上げておきたいと思います。  たとえば、加工原料乳の保証価格それ自身について考えてみましても、いわゆる限度数量、これが二十万トンことしの場合オーバーするだろう、これはぜひ限度数量と同じ取り扱いをしてもらいたい、われわれもそういうふうに考えます。ぜひそういう方向で努力してもらいたいと思いますが、具体的には加工原料乳の五十二年四月から五十三年一月までの認定数量実績から見ましても、北海道は百二十三万二千トン、八三%を占めておる。したがって、他のところは、百四十八万トンと百二十三万二千トンのその残額ということになる。北海道のウエートが八三%、異常に高い。したがって、加工原料乳の保証価格というのはもちろん飲用原料乳に関連していく問題ではあるけれども、そのこと自身についても酪農家全体から言えば、飲用牛乳の価格がどう決まるかということが直接的な問題である。  そういう意味で、いずれにいたしましても今後の法の立て方、決め方、そういう問題も含めていま言った問題については前向きに検討してもらいたい、団体側とも連携をとってそういうことについて検討することが必要である、私はこういうふうに考えております。  それから、畜産局長が畜産振興審議会に畜産情勢についていろいろ説明をされております。そういう説明の中で、いわゆる酪農家についても、あるいは牛、豚等の畜産農家についても、飼育戸数がどういう状態である、あるいは飼育頭数がどうである、一戸当たりの頭数はこういうふうに経営としては拡大をしてきているということがそれぞれ畜種別に説明がされております。そういうことを見ても、ようやく前進態勢に入ろうとする、そういう気構えが畜産農家に非常に強く出ておるということが看取されます。ただ、私は機械的な議論として言うのではありませんけれども、畜産局は価格政策と関連をして構造政策というものについて基本的に考えたことがあるのかどうか。農家の自主的な努力として構造的な改善をやっていくということに待つのか、あるいは生産者団体とも十分連携をとりながらこれからの国際農業に競争し得るような畜産農家というものをいかにつくるかという面における構造政策というものについても、これからの問題として真剣に考えていかなければならぬのじゃないか。  そういう点からいけば、先ほど柴田さんからも話が出ましたけれども、経営規模を拡大をする、あるいは団地をやろうということになると、当然畜産公害的な問題とぶつかってくる。これは単に農林省だけではなしに環境庁その他と関連をして、国土の全体的な計画の中で畜産の位置づけあるいはそういうところの場所、こういう問題についてもやはり総合的な立場から考えていかなければならないし、同時に、そういうものを進めるに当たっては、これからの畜産セクションにおける構造政策をどうするのか。構造政策というのは、価格のように瞬間的なものではなしに、長期にわたって非常に苦労の多い問題であるけれども、この問題はやはり農業政策上は重要な柱である。こういった問題については、これからの宿題として真剣に考えていかなければならぬじゃないか。こういう問題を今日畜産局としてどう対応しようとしておるのか、お考えを聞いておきたい。
  116. 杉山克己

    ○杉山政府委員 前段の方で、加工原料乳について、これは飲用乳との関係が種々絡み合っている話である、どう売るか、売り方等についてイギリス方式も参考にしてその辺は検討すべきではないかという御指摘でございますが、私ども原則的にはやはり飲用乳へ優先的な処理というか、一般的な日本の流通はそういう形であるというふうに理解しておるわけでございます。ただ、飲用乳の消費される大消費地域に遠い、いわば裏返して言えば、加工原料乳生産地域、この地域におきましては、飲用乳にさばき切れない分についてはやはり加工原料乳についての価格支持が必要であるという考え方のもとにいまの不足払い方式が成り立っているというふうに考えるわけでございます。私ども需給を検討し、その数量について限度といいますか、枠を設定する際には、やはりそのような売り方、売り先というものを想定いたしましてこれを決めるわけでございます。自由経済のもとで市乳にどの程度さばけるであろうかという考え方も一つ大きな要素になってまいるわけでございます。  それから、畜産行政価格行政だけがすべてではない、一般的な構造対策、長期の基本対策が必要ではないかという御指摘、これは全くごもっともでございます。私どももそのような観点でふだんから畜産行政、構造対策に力を入れているつもりでございます。  すべてを申し上げるようなことになりますので、そこは大変はしょって答弁させていただきますが、やはり一番基盤として必要なのは、肉用牛にせよ酪農にせよ、自給飼料の対策をどう立てていくかということが一つあろうと思います。その点、六十年見通しにおきまして自給飼料の作付地を百四十六万九千ヘクタールまでふやすということを一つの大きな柱にして、公共事業の草地造成であるとか既耕地からの転作であるとか、これは目下力を入れて進めているところでございます。  それから、経営改善対策といたしまして、肉用牛の団地育成事業でありますとか、あるいは肉用牛の子牛生産の奨励でありますとか、さらには酪農について言いましても、同様に酪農団地の育成、乳用牛の貸し付けというようなもろもろの構造改善対策、経営改善対策というものを展開してまいっているところでございます。  こういうものを今後さらに進めるに当たって、役所だけの考えでなく、各農業団体、関係者等の意見も広く聞くべきであるという御指摘はごもっともでございます。畜産振興審議会におきましても、そのような観点からの御議論をたくさんちょうだいしているわけで、私ども行政上の指針としてこれを活用させていただいているところでございます。
  117. 角屋堅次郎

    ○角屋小委員 杉山局長がとらまえておる構造政策というのは、いわば構造改善的なものだというふうに私は思うのですけれども、もっと基本的に、構造政策の問題については、これからの宿題として、日本の畜産にどういう方向が考えられるか、個別経営的なものもあれば、共同経営的なものもありましょうけれども、そういうことの経営方式も含めてどういうシステムに持っていくのがいいのかということは、畜産局自身としてもやはり長期展望に立って真剣に考えなければならぬ宿題である、こういう立場で私は申し上げたわけでございますが、私ども三重県の場合でも松阪牛とかあるいは伊賀牛とかいうふうなことで、牛肉一つをとっても全国的に一つの名前を持っておりますが、肥育牛にいたしましてもあるいは豚肉にいたしましても酪農にいたしましても、現在日本農家の場合は兼業化がどんどん進展しておりますけれども、何といったって畜産の場合は兼業化の中で日本農業を支える専業的な農家が多いわけでありまして、したがって、そういう点からいけば複合経営の中で畜産経営がしっかりしておるということは、日本農業にとっては欠くことのできない重要な視点であります。そういう点で、しかもこれはやはり非常な投資が要るという関係もございまして、四十七年以降のあの波動の中で、意外なほど負債を背負っておるという実態がございます。恐らく北海道は、芳賀先生等からもいろいろ出ますように、相当な深刻さであろうと思いますけれども、同時に、それは北海道のみでない。私の親しい養鶏の場合も、最近負債で倒産というような非常に不幸な事態を迎えておりますけれども、やはり意外に投資に金がかかるということもあって、負債を相当抱えておるという実態がございます。資金の面でいろいろなことをやっておりますけれども、やはり負債整理という観点から畜産農家の実態を見きわめてみる。それに対してどういう立法的な、あるいはどういう政策的な方法でこれを段階的に解決していくかということが、長期展望の中で非常に重要であるというふうに思うわけでありますが、この点についての局長の考え方を伺いたい。  時間の関係もありますので、もう一点申し上げて、二十分の制約時間でございますから終わりたいと思いますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、畜産公害というのは、畜産農家から言えばある意味では大変反発のくる表現でございますけれども、世にいわゆる畜産公害と言われておる。豚を飼うにいたしましてもあるいは鶏を飼うにいたしましても、大規模になろうとすれば場所の選定がむずかしい。従来の場所ではなかなか周辺地区からいろいろ苦情が出てくるといったような問題で、これからの畜産の経営のためには、やはりこういった環境の問題と関連する畜産公害対策というものについては、系統的な政策が必要になってきておるというふうに思います。現に三重県の場合でも、近く伊勢湾の総量規制、これは漁業サイドその他から見れば当然必要なことであって、これを進めなければなりませんけれども、そういう場合は工業からの排水問題、あるいは生活からの排水問題もございますが、同時に、畜産からの排水問題がいま県下では畜産農家の間で検討問題といいますか、これからどういうふうに規制されてくるのか、どういうふうに対応するのかということが、やはり非常に重要な問題として提起されてきております。こういった問題は瀬戸内海もそうでありましょうし、いろいろなところでそうでありましょうけれども、いわゆる海との関連における総量規制との関連で、畜産の問題も公害対策の諸施設をやらなければならぬという時期にそれぞれの地域では直面をしておるわけでありまして、こういった問題は環境庁の関連もございますし、他省の関連もございますけれども、そういう面でも単に畜産の振興というだけではなしに、そういう視点にもやはり目を向ける必要がある。こういった点の畜産局としての今後の対応についてお伺いしておきたい。
  118. 杉山克己

    ○杉山政府委員 構造改善的な将来の生産の体制をどういうふうに考えていくのかということ、これは今後の課題であるということでございますが、私どもとしても同様の問題意識を持っておりまして、それぞれの地域に応じた、また畜種に応じたそれなりの生産体制というものを考えていくべきだということで種々検討を進めているところでございます。たとえば、肉専用種の経営につきましては、適地における多頭飼育経営というようなことで、混牧林経営なども取り入れた飼料自給率の高い安定的な多頭飼育経営を育てるということを一つの基本にしておるわけでございます。  それから、その他の地域におきましては複合経営、これは畜種間でもって単一の畜種でなく、牛と豚とかあるいは鶏とか、それから牛も乳牛といいますか、生乳の生産と肉牛というようなことで組み合わせた複合経営ということを考えておるわけでございます。さらにまた畜産と他の耕種部門との複合というようなことも考え、育てていかなければならないというふうに考えておるところでございます。  それから、融資の問題、特に北海道等において負債が大きくなってきているではないか、これに対する……(角屋小委員「北海道のみと言ったのではない、北海道は深刻であろうかと言ったのです」と呼ぶ)北海道に限りませんが、ほかの地域も含めて、確かに畜産は比較的ほかの農村に比べて負債の額も大きゅうございます。特に四十八年以降、配合飼料価格の高騰に伴って経営が著しく悪化した、それに伴って固定負債も焦げつき負債が出てきたというようなことから、五十一年、五十二年と、従来の一般的な制度融資とは別に、畜産振興事業団の財源を活用しての経営改善資金特別融通事業といったようなことでその肩がわりを措置してまいっているところでございます。一志これによりまして今日まで発生した固定化負債はかなり軽減されたというふうに考えております。今後の問題として、そういう措置をとってもなおどういう状況になるか、それは事態の推移を見てさらに検討する必要はあるいはあろうかと思いますが、現在のところ私どもとしては、昨年の肩がわり措置によって相当の改善が実現し得たものと思っておるところでございます。  それから、公害問題でございます。確かに先生御指摘のように、単にこれは畜産経営という立場からだけでなしに、一般的な環境問題というような視点も取り入れた対策が必要であろうかと考えております。  環境庁的な角度から見た規制というようなことについては、従来からも種々調整を役所としても図っているところでございますが、経営の面から言いますならば、むしろふん尿、特に豚等でございますが、その資源的な有効活用ということも図るべきではないか。そのためには、先ほども申し上げましたが、畜産の経営と耕種の経営を地域で結びつける、その間の彼此融通を図ってふん尿の処理、これは公害問題に対処するということと同時に、その資源的な活用を図るというような事業を進めていく必要があろうかというふうに考えております。
  119. 角屋堅次郎

    ○角屋小委員 時間の制約がありますので、これで終わります。
  120. 山崎平八郎

    山崎委員長 芳賀貢君。
  121. 芳賀貢

    芳賀委員 前回、二十三日の当委員会において私が政府当局に重要な点を指摘したわけでございますが、杉山局長の答弁の不十分な点については、文書で整理をして提出するように要求しておきました。一部出てまいりましたが、まだ内容において不明な点もございますので、その点も含めて、二十分の約束でございますから、局長に申しますが、きょうはコンピューター方式で答えは一分間以内で明快にしてもらう、いいですか。  第一点は、昭和五十二年の限度数量の改定問題等については、二十三日から四日経過しましたが、その後政府としてどこまでこれが煮詰まったかですね。
  122. 杉山克己

    ○杉山政府委員 なお結論は得てない段階でございまして、これは審議会におきます御議論もちょうだいした上で最終的な方針を決定いたしたいというふうに考えております。
  123. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは審議会に諮問するのですか。
  124. 杉山克己

    ○杉山政府委員 五十二年度の限度数量自体をどう考えるか、オーバー問題をどう処理するかということについて、直接諮問はいたしておりません。ただ、五十三年度の限度数量の枠をどういうふうに設定するか、このことについては諮問の内容となっております。その議論と関連させて当然五十二年度の問題も御議論いただけるものと思っておりますし、すでに先日行われました畜産振興審議会の総会の席におきましても、一部の委員の方からこの問題についての御意見の開陳がございました。さらに続けて意見が出るという情勢になっておるわけでございます。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、五十三年度の牛乳、乳製品等の需給計画の案というものがもうすでにまとまったかどうか。
  126. 杉山克己

    ○杉山政府委員 事務的な一応の数字と言いますか、案は何通りかあるわけでございますが、まだ検討中でございまして、最終的には固まっておりません。
  127. 芳賀貢

    芳賀委員 当然これは五十二年の実績を基礎にするのが従来の慣行ですから言っておきますが、統計情報部の発表によると、昭和五十二年一−十二月に、生乳生産量の実績は五百七十三万六千六百四十九トン、このうち、処理の内訳として、飲用牛乳向けの生乳が三百五十五万トン、乳製品向けについては二百六万五千五百四十九トン、その他十二万四百五十三トン、これを基礎にして五十三年度の生産の動向あるいは飲用、乳製品等の消費見込みというものを勘案して、年度末に狂いのないような需給計画を立てるのが当然でございますが、その準備が今日まで固まったかどうかということを聞いておるわけです。
  128. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いま先生の言われました統計情報部の計数等も一つの基礎としてこれは検討の対象となっております。
  129. 芳賀貢

    芳賀委員 五十二年の統計情報部の実績を基礎にしないでどうやるのですか。これは基礎ですよ、参考じゃないですよ。これ以外の数字が畜産局にあれば、この際示してもらいたいと思うのです。
  130. 杉山克己

    ○杉山政府委員 わが方のは——わが方と言いますか、限度数量の設定は……(芳賀委員「限度数量じゃない、需給計画が固まったかどうかということを聞いているのだ」と呼ぶ)需給計画にしても限度数量にしても、その点は期間的には同じなわけでございますが、四月から三月ということになっております。その点、統計情報部の期間は暦年でとっております。  それから、限度数量自体の考え方についての議論がどうあるかということが一つ、私どもはことしの大きな問題であろうかというふうに考えておりますので、単一な一義的な考え方でなく議論を進めていただきたいというふうに思っているところでございます。
  131. 芳賀貢

    芳賀委員 小委員長に申し上げますが、短時間の中での質疑ですから、たとえば畜産局長が答弁不能の場合は、同じ政府委員である審議官とか、あるいは説明員であっても乳製品課長、これはだれでもいいのですよ、自信を持って正確に答えられる者が、きょうは事務的な答弁でいいですから、そういうことで小委員長として計らってもらいたいと思います。  第三点は、これは統計情報部にもお尋ねしますが、先日、二十五日に、生乳等の生産費が五十二年度の分が公表されたわけでございます。  これはしさいに内容を検討いたしましたが、当委員会でも問題になっているのは、生産費を計上する場合に乳脂肪率を三・二%の数量にいわゆる擬制計算をするということをことしもやっておるわけでありますが、わざわざ全国的な搾乳牛の実乳量というものを把握しておりながら、それを生産費の面では使用しないで、三・二%換算で水増し乳量で百キロ当たり生産費を計上しておる。これは何ら意味がないわけです。この点は畜産局からも文書で説明が出ておりますけれども、飲用向けであっても加工向けであっても、実際に取引をする際に、この三・二%を超える分については、会社側と生産者側における一定の合意に基づいて〇・一%現在は一円でありますが、そういう取引基準ということになっておるにすぎないのでありますからして、こういう計算は何十年来の慣行になっておるから変更することはできないというような頑迷な方式でなくて、やはり実態に合った、こうやることが大きな効用を生むということがあれば別でありますけれども、そういうことがないわけですから、この点を抜本的に改める必要があるという点についてはどうですか。
  132. 柳井昭司

    ○柳井説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の乳脂率三・二で表示しておるではないかという点につきましては、先生もお話しございましたように、生乳の取引につきまして三・二%基準というような慣行になっておるということと、それからやはり統計を利用される方にとりまして、その利便に供するというようなことで、実脂肪率でございますと生産量も非常に変動してまいりますので、その年次的な系列変化といいますか、そういうものを見ていただくために、三・二というような基準でもって換算しておるという従来の考え方を踏襲いたしまして、本年度におきましても、五十二年の生産費につきまして同じような考え方を踏襲したわけでございます。
  133. 芳賀貢

    芳賀委員 これは百害あって一利ないじゃないですか。年間統計にしても月間統計にしても、水増し数量というのは全然使っていないでしょう。生産調査の中の百キロ当たりの乳価というものを計算するためにだけ水増し数量というものを三・二%換算で使用しておるわけでしょう。それ以外は何にも使っていないじゃないですか。先ほど私が杉山局長に示した五十二年年間生産量にしても、飲用向けの乳量にしても、全部実乳量でやっておるわけでしょう。それであればいいのであって、それ以外のことを非常に繁雑にやるというのは、統計の職員や労力が過剰で、ひまで困るから何かやってみるというなら別だが、特に乳価とか生産者価格ということになれば、そのことを今度は所管の、たとえば畜産局なら畜産局がその点だけを悪用するのですよ。統計の場合には、これで取引するというのじゃないから、結果だけを統計上あらわすわけだから、それは問題がないが、部内で悪用されて、それが農業政策上あるいは価格政策上、生産農民を苦しめるような手段に使われるというところに問題があるわけです。この点は厳重に戒めてもらいたいと思うわけです。  その次は自給飼料生産費の問題ですが、これは前回の委員会でも指摘しましたけれども、自給飼料の場合は、特に粗飼料の場合は、費用価計算方式で統計の方では作業しておるわけですね。それには、たとえば地代も入っていないわけでしょう。それから、その生産された牧草が乾燥されて、乾燥牧草として、生産された地元で他の需要者に販売された場合の実績販売価格というもの、費用価計算による百キロ単位と、それから地元で販売した百キロ当たり価格というものを比べると、非常に大きな差があるのですよ。たとえばチモシー、オーチャードの場合は、費用価計算でいくと、乾牧草で大体キロ当たり十五円ないし十七円しかかからぬということになっておる。それを地元で販売すれば、生産した者は販売だし、買う方は購入ですけれども、その価格は大体三十円ないし三十五円ということになっておるのです。販売すれば倍になるのを、自家用に使うから半額の十五円ないし十七円でそれを乳価に計算すればいいというようなやり方は、こういう点を畜産局が悪用しているわけですからね。同じ農林省の中でも、これは油断ならぬですよ。統計情報部は全部まじめ先生ばかりだから、政治的配慮はないことはわかっているのですよ。それが他の部局で政治的に悪用されて農民を苦しめるということになれば、こういう点は十分に内部でも警戒をして作業をする必要があるのではないかと考えますが、その点はどうですか。
  134. 柳井昭司

    ○柳井説明員 お答え申し上げます。  生産調査といたし値しては、農産物生産過程で投入されました物財なりあるいは労働の消費額というものを客観的に把握する、こういう見地に立ちまして、現実に流通飼料のごとく、購入したものにつきましては、実際の購入価格に、購入に要しました費用、労働費等を含めまして購入価格としておりますし、それから飼料を目的といたしました牧草等につきましては、先生御案内のように、費用価計算によって計上しておるわけでございまして、生産費の性格からいたしまして、大体そういうふうにやっておるわけでございます。  それとともに、地代につきましては、別途地代につきまして計上しておるわけでございます。
  135. 芳賀貢

    芳賀委員 冗談じゃないですよ。費用価計算のどこに地代が入っていますか。
  136. 柳井昭司

    ○柳井説明員 これにつきましては、二次生産費という形で、地代につきまして、たとえば全国でございますれば二百六十八円というものを計上しておるわけでございます。
  137. 芳賀貢

    芳賀委員 私の言っているのは粗飼料ですよ。牧草等の生産費というのは、費用価計算でやっているわけでしょう。その生産費の費目の中には、地代というのはないのですよ。
  138. 柳井昭司

    ○柳井説明員 牧草生産をするに要しましたその土地の地代につきましては、いま申し上げましたように、一括いたしまして計上している次第でございます。
  139. 芳賀貢

    芳賀委員 おかしいじゃないですか。百キロ当たり幾らだという費用価を出しておるわけでしょう。その中に入っていないわけだから、別に出したってこれは百キロの生産費の中に入っていないじゃないですか。そういう問題がたくさんあるのですよ。統計の場合、それで売りなさいとか買いなさいということを示すわけじゃないから実害はないが、そういう結果になる資料というものを、畜産物の価格のときには畜産局が最大限に悪用するわけだから、農民をいじめる武器になるでしょう。その点を同じ部内においても厳重に警戒して、百害が生ずるようなやり方は改める方がいいのではないか。うちの角屋委員は皆さんの大先輩ですよ。農林省統計調査部出身ですからね。いま先輩からもいろいろ注意があったでしょう。だから、この点は速やかに改めてもらいたいと思うのです。  その次は自家労働の計算ですが、以前の臨時日雇い労賃方式よりも、いまの農村雇用労賃の方が若干改善になったですが、たとえば畜産物の価格を決める場合は、これは法律によっても、主要な加工原料乳の生産地域における他産業の労賃というものをもって自家労働を評価するということが決まっているわけです。だから、その乳価の中に自給飼料が入るということになれば、その自給飼料生産する自家労働というものは、生乳生産とか畜肉生産の労働行為の一環ということは明らかなわけなんです。それを区分して、自給飼料の方は費用価計算だから安くても構わぬ、自家労働だけは統計情報部の方式だから全部農村雇用労賃にする、畜産局がやはりそこだけ使っておるでしょう。そのほかの飼育管理労働というのはやはり地域における製造業労賃を採用しておるわけだから、そういう点も統計上からいってうそのない、ごまかしのないように統一されるようにきちんとやってもらわなければならぬのです。  それから、いまの農村雇用労賃は、他産業の雇用労働の中の常用の月給制労働というふうに位置づけしてやっているのでしょう。まさか製造業の臨時日雇いの日給制賃金ということでやっておるわけじゃないと思うのですが、この点が大事ですから、常用の通年雇用の月給制賃金で位置づけをして、それに基づいてやっているのならやっている、やっていなければいないということを明確にしてください。
  140. 柳井昭司

    ○柳井説明員 農村雇用労賃につきましては、先生御案内のように、六業種につきまして常雇、日給制を両方含めまして計算している次第でございます。
  141. 芳賀貢

    芳賀委員 日給制が入れば、それは臨時じゃないですか。私の言うのは、農業労働というのは、他産業の労働と比べた場合、雇用労働と比べた場合、常用労働者と同じ位置づけでしょう。一人で三十年も四十年もやっているわけですからね。私自身だって、四十四歳で国会へ出るまで二十何年一貫してやってきているのだから、常勤制の労働と同じことをやってきているわけです。まして本百姓の皆さんは、少なくとも三十年あるいは四十年同一的な労働に従事しておるわけだから、それが一部日雇いになるなんというのはおかしいのですよ。そうでしょう。ところが、日雇いと月給制では手当の問題とか賃金の問題で非常な格差があるでしょう。そういうものを一時間当たりの労賃に改めるということになれば、農業労働の位置づけというものをどうしてやるかということが非常に大事ですからして、この点は後でまた文書で、どうなっているのだということをはっきりしておいてもらいたいと思います。  それから、後は、時間の残りが少ないですから、以上の点に対して畜産局長から格別の答弁はないでしょう。何か前向きなものが一つでもあれば答弁してもらうし、なければ……。
  142. 杉山克己

    ○杉山政府委員 大変申しわけありませんけれども、先生がいま、ほかの部局でもって統計の公正な数字を悪用するとおっしゃられたものですから、私ども公正な立場でもって厳正な生産費あるいはその価格算定をいたしておるということでひとつ御理解いただきたいと思います。
  143. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ一つだけ、せっかくあなたが反論したので言いますけれども、牛乳の取引というのはどうなっているのですか。畜産局は、三・二%がもう昔から慣例になっている、三・二を超えた分の取引上の格づけは会社側と生産者側相互間で話し合って決めればいいのであって農林省は関与していないということを言っておるわけです。それじゃ何のために水増しをする必要があるかというのです。水増しをした乳量で取引をさせるというのならそれでいいですよ。生産者も喜ぶが、実際取引はその搾乳したそのものの実乳量で取引をしているわけだから、それが三・二を超える分については——私はこれは不当だと思いますけれども、いまだに三・二を超える分については〇・一%当たりキロ一円加算するにすぎないわけですから、これは微々たるものなんですよ。ところが、農林省方式で三・二%換算をすると一キロ当たり七円五十銭乳価が下がるわけですからね。こういうことをしなくても、実際に検定して三・二を超えた分については、もう昔から慣行として超過分の加算が行われているわけだから、水増しをする必要はない。そうなれば、低乳価をつくるためだけに三・二%の擬制計算をやっているのじゃないかということになるのです。これが文書による説明にも何も載ってないのですよ。だから、もう少し、局長が読んでもわかるような説明をちゃんと次は、これはあしたでいいですから、文書で整理して出してもらいたいと思います。  それから、統計情報部でも、これは統計上わからぬという要素はないのですよ。そういう要素が一つでもあったら正確な統計の答えというのは出ないのですから、何も遠慮することはないのですよ。委員会であろうと、畜産局長がいようと、大臣がいようと、そんなものは遠慮することはないのですよ。堂々と軌道に乗ってちゃんとやって、それを、あしたでいいですよ、これも資料で出してもらいたい。
  144. 山崎平八郎

  145. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 昭和五十三年度加工原料乳保証価格及び豚肉、牛肉の安定基準価格等について農林省当局に質問いたします。  先日も当委員会で二時間にわたりいろいろと政府当局の見解をただしたところでありますが、いよいよ明日は食肉部会、明後日二十九日は酪農部会と、大詰めに来ております。そこで、午前中から六人の参考人にそれぞれ貴重な意見を数多く拝聴してまいりましたが、それらを踏まえて重要な問題について再度政府の考えをただし、畜産農家が安心して再生産に意欲を燃やして生産にいそしむことができるように十分なそれぞれの価格決定をしていただくために、私は、いままでに数回質問した問題を、さらに角度を変えながら政府の見解をただしてまいりたい、かように思うわけでございます。  まず、最初にお尋ねしたいことは、午前中も参考人に申し上げてまいりましたが、本年度の畜産価格問題で最重要課題となっているのは、加工原料乳の限度数量の超過分の二十万トンに対する財源措置の問題であります。これを片づけることが本年度の畜産物問題の最重点課題であるとしばしば申しておりますが、政府はこの件については、ことしはいつもとは違う、こういうようなことでしばしば見解を述べておられます。五十二年に発生した超過分十三万七千トンについては事業団の助成勘定で措置したわけでありますが、五十二年は、御承知のように、一つには需給がだぶついていなかったし、二つには事業団が国内産乳製品を買い入れる情勢もなかったわけであります。しかし、当時と違ってことし五十三年は、事業団が脱脂粉乳一万四千トンを買い入れ、需給がだぶついております。こういった要素が五十二年とはずいぶん変わっているということはだれもが認めている事実であります。  また、財源がないわけではありません。財源については、この助成金は約五十億ぐらいと見られますが、十分財源はある、こういうようにすでに局長も大臣も答弁をいたしておるわけでございます。ただ問題は、大蔵省が出せない、こういうように言っているというようなことからいろいろ問題が困難になっておるやにわれわれは認識しておりますが、大蔵省としても、われわれがいろいろ仄聞するところによりますと、一たん出してしまえば、今年出したことによって来年以降もまた出さねばならぬという既成事実をつくるというのを大変懸念しているところであるやに聞いておるわけでございます。そういったところから、水かけ論でなかなかはっきりした答弁が得られない。そういったことで、農林省としても、ことし出すならばどうする、出さないならばどうするということで、一部助成の対象にし、来年度は限度数量を少しふやすとかいうようなことを考えたり、あるいは出さないかわりにどうするというようなことでいろいろ試算をしておるようなことも聞き及んでおりますが、いずれにしても、私は、この限度数量を一体どのようにして決めているのか、その問題をここで改めて当局の見解をお聞きしておきたい。いわゆる大詰めに来た現段階において再認識するためにも、もう一度はっきりと当局から、限度数量をどのようにして決めるか、こういったことを明らかにしていただきたい。  最初にそのことをお聞きするわけであります。
  146. 杉山克己

    ○杉山政府委員 五十二年度の限度数量をオーバーしている分、これは二十万トン前後出るであろうということはもう客観的な事実となっておるわけでございます。この分について生産者方々からは、これは正規の不足払いの対象と同じように措置をしてもらいたい、また乳質改善奨励金も払ってもらいたいというような御要望が出ていることは十分承知をいたしております。  これについて私どもが現在まだ取り扱いを決めかねておりますのは、先生御指摘のように、財源問題ということもあるかもしれません。あるかもしれませんということを申し上げましたのは、今日の財源だけとして見れば、畜産振興事業団の助成勘定にあります財源を利用するならば特段一般会計の財源を利用しなくても金そのものとしてはあるということの事情があるわけでございます。  ただ、この問題について金があるからいいじゃないかというような安易な考え方をとりがたいのは、それは一つは、やはり基本的に今後の牛乳の需給事情がどうなっていくであろうかということについてはっきりした見通しを持ちたい、あるいはその議論を通じての問題の所在、対応のあり方というものを十分検討したいと思っているからでございます。  よく言われますように、五十二年、これだけ、一時的か恒久的かわかりませんが、需要をオーバーする生産ができたということにはそれなりの原因があるはずでございます。前年七%台、五十二年その九%台の増というのは、これはかなり農産物としては大幅な生産増でございます。こういう傾向が仮に今後続くのであるとすれば、これを需要の面で果たしてどう受けとめていけるだろうか。また、需要を拡大していくためにどういう本格的な運動なり措置が必要であろうか。それがまた拡大していくことが十分対応し切れない場合、構造的に過剰が生ずるということもあり得る。その場合にどう対応するのか。さらには、それは長期的に見れば需要も安定的に伸びる、六十年見通しで需要も生産も伸びるということになっておりますが、現在の問題は一時期の問題であって、そのロングランの中では吸収し得るというようなことであればいいのかどうかというようないろんな問題があるわけでございます。  従来足りなかった牛乳についてこういう議論が本格的に行われたことはなかったわけでございますが、昨年に引き続いて、しかも先生申されましたように、事業団の脱脂粉乳買い入れというような事態のもとでの限度数量オーバーの問題というのは、きちんと議論をした上で扱いを定めるべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  147. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 これも数回もう論議してきた問題でありますけれども農林省も統計情報によりまたいろいろ試算をされて、そうしていまも局長が申されたように、需要の見通し、こういったものを的確に立てて来年の計画を立てられれば、私はそんなに余るとか余らぬとか言って騒がぬでも、十分これは計画によって農家も協力していただくということで、もっといろんな要素から検討して立ててもらうということによってはっきりしてくるんじゃないかという気もしてならぬわけですが、毎年こういったことで、まあ二年続いてこういう超過分が出てきたわけですけれども、こういったことを続けていくことになりますと、農家としては、いわば農林省指導によってやってきたことが、超過したからといってこれを買い取らぬとなると、いわば買い入れ制限をすることになるというので、いま農家も限度数量をオーバーした分を政府は認めないということになると生産抑制に通ずるじゃないか、こういうような認識になっておりますけれども、政府は生産を抑制するという、そういうことじゃないんでしょう。その点は農家に対してはどういうふうに説明なさいますか。
  148. 杉山克己

    ○杉山政府委員 構造的な供給過剰であるということならば、これは生産を抑制する必要が生じてまいりますが、現在の段階で牛乳についてそういうような判断をするのはまだ早いと私は考えております。それであるがゆえに、やはり審議会においてもデータを十分分析し、検討をしていただき、御論議を賜りたいというふうに考えておるわけでございます。
  149. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 それで私は、やはり限度数量を決めるに当たって方式を変える以外にない、方式から検討せねばならぬ、こういうふうに思うわけですけれども、そういったことは前回もいろいろ指摘したことでございますが、どんなふうに検討しておられますか、率直にひとつお答えいただきたいと思う。
  150. 杉山克己

    ○杉山政府委員 方式自体を変えるかどうかというようなことも含めて審議会で御議論を賜りたいと考えております。
  151. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 午前中も片柳参考人または大山参考人といろいろ御意見を伺ってきましたけれども、この二十万トンの超過分については、これはもう当然交付金の対象にすべきである、こういった考えのいわゆる示唆がございまして、それについては農家生産に水をかけるようなことはしないようにというような意見があったわけですけれども価格決定を前に重要な段階になっておりますが、私は昨年に引き続きことしも十分財政的措置をすべきであると思うのであります。そういったことについては十分検討する用意がある、ここで、なかなか公開の席では、微妙な段階ですから発言もむずかしいと思いますけれども、十分踏まえて検討していただくように要求したいわけです。  それに対するお考えを改めて伺っておきたいと思います。
  152. 杉山克己

    ○杉山政府委員 関係者の多くの方の中で、限度数量を超過したものを満度に見るべきであるとする御意見の方もありますし、一部カットすべきであるというような御意見の方もありますし、いろいろあるやに承っております。  ただ私ども、どのような決定をいたしますにいたしましても、生産者がまじめに毎日生産労働に励んでおられるという事実は認めざるを得ない、これは何としてもその意欲を阻害することのないよう慎重に配慮するということは必要であるというふうに考えております。
  153. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 次に、ことしの畜産価格問題、これについて伺っておきますけれども、前回もいろいろ政府に申し上げてまいりましたように、また、きょうの参考人にもいろいろ伺いました結果、参考人からもことしはなかなか厳しい状況下にあるということで相当悲壮な意見の開陳がございました。  そこで、私はあえて伺いますけれども、ことしの価格というものは現在の価格より下回る価格で決定をして、後ほど政治折衝等によっていわゆる据え置きに持っていくというようなことがすでに巷間流れておりまして、けしからぬ、こういうふうにわれわれは思っておるわけですが、一円も上がらないというような情勢が醸し出されつつ、何となく沈滞ムードみたいなことが言われております。  しかし、農家にとってみればその収益で生活をしているわけでございますので、素朴な意見として申し上げますと、農家は再生産費並びに生活費を賄っていかなければならぬわけでございますから、収益が一円も上がらずに昨年と同じというようなことになりますと、仮に再生産費でつぎ込むのは昨年と同じであったにしても、生活費から見れば、昨年の消費者物価指数から見ても七・六%上昇しておりますし、五十三年度は六・八%と言われておるわけでございます。こういうふうに消費者物価が年々上昇しておるわけですから、この生活費をどうするかということから見れば、それだけでも当然農家は大変な苦境に立たされることは素人でもだれでもわかるわけでございますね。  そこで、前年と同様の生活を確保するとなれば、ことしと同じ経営規模ではやっていけないということになりますから、規模を拡大しようとすれば、またそのようになれば、借金をして拡大せねばならぬということになります。いまでさえ朝から夜遅くまで働いて重労働に従事しておる畜産農家の皆さんが、これ以上いわゆる年中無休で働くということになりますと、これは全く生活のゆとりもなくなって大変なことになってしまう。これはもう病気で倒れるということになります。こんなことはだれが見てもわかるわけです。仮に生産費は同じであっても生活費は物価上昇で当然上がるわけです。こういったことから考えたときに、一定規模の経営で生活が保障される体系だけはつくってやらなければならないのではないかという最もありふれた、素朴な、だれにもわかる結果になると私は思うわけでございます。  なぜこんなことを言うかというと、ことしは何となく飼料の値下がりによって一円も上げない、最終的には政治折衝で据え置きにするというようなことが巷間聞くまいとしても耳に入ってくる。こういったことから私はあえて素朴な意見として申し上げるわけでございます。そこで、少なくとも消費者物価上昇分くらいは毎年保障してやるべきであるということになると私は思うが、このささやかな畜産農民の声に対して、また願いに対して、近く価格を決定をする前に、局長はどういうふうに考え、認識され、諮問されようとしておられるのか、このこともあわせてお伺いをしておきたい。
  154. 杉山克己

    ○杉山政府委員 ことしの一般的な生産をめぐる状況は比較的好転をいたしておるわけでございまして、コスト的に見て飼料価格が下がっている、それから牛乳の場合一頭当たりの泌乳量はふえている、労働時間は短縮しているといったような現象が見られるわけでございます。これらのことを考えますと、なかなか上がる要素は少ない、あるいは小さいということになるわけでございますが、私この段階で諮問の数値をどのようにするかということはちょっとお答えをいたしかねるわけでございます。  それから、農家の所得を決める要素は、もちろん価格水準も大きな要素でございますが、そのほかに、生産規模、それから生産性、これは乳牛の場合でありますと一頭当たり泌乳量のようなものに代表的に象徴されますが、それでありますとか、労働時間、それからもろもろのコスト、特に飼料費がどうなるかというような要素、これらによっても決まってまいるわけでございます。したがいまして、私ども価格が上がらないからといってそれで所得がふえないという話でもなかろうというふうに思っておりますが、いずれにしても適正な価格を決めて農家の再生産に支障のないように措置するように考えたいというふうに思っておるところでございます。
  155. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 全く生産性向上メリットが図られていないように私は局長の答弁を聞くわけです。先ほども答弁がありましたように、ことしは上がる要素はない。上がっても小さい。上がっても小さいという声が特にまた小さいわけですけれども、本当に希望のない、農林水産冬景色で、まさに春は来ない、逆に酷寒景色が戻るというふうに私は指摘しておりますが、そういうような感じがしてならないわけです。  そこで、いま畜産農家が生活のゆとりなど考えられない状態の中で、そのような考えで諮問されたのでは結果もまたしたがって想像にかたくない結果になる。果たして今後ともこうした畜産政策、価格政策でいいのかということは私は疑問になっていくわけです。私は、何としてもそういった最低生活は見てあげる、物価の上昇分は見るというようなことで検討していかなければ、今後日本の畜産は壊滅していく、かように思うわけですけれども、そういったことは十分ひとつ当委員会の質疑を通じて認識を新たにして諮問をしていただきたい、かように思うのですが、改めてあなたの見解を承っておきたい。
  156. 杉山克己

    ○杉山政府委員 畜産農家の経営はいろいろ問題をたくさんはらんでいることは事実だと思いますが、ただ従来苦しんできた環境の悪かった状況に比べれば、五十一年、五十二年にかけて畜産経営の条件はかなりよくなってきていると私は思うわけでございます。五十三年も比較的その傾向は続くのではないかというふうに見ておるわけでございます。  価格の問題をどうするかについては先ほど御答弁申し上げたところでございますが、農家に対する対策といたしましては、価格政策だけでなく生産対策、そのほかもろもろの国の行います対策の面で充実を図っていく、たとえば草地の造成、飼料の安定的供給、また特に流通飼料価格の引き下げというようなことを通じてコストダウンを図る、それから長期的には団地の育成等を図って生産性を上げるように措置していくということが必要であろうというふうに考えております。
  157. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 次に、牛肉、豚肉の価格問題で若干お尋ねしておきます。  牛肉、豚肉の価格は安定帯価格形式がとられておるわけでございます。午前中も各参考人に質疑をしていろいろ見解を承ってまいりましたが、安定帯の幅の中で自由に動く方式であって、しかもこれまでは当然その中でも中心価格より上の方で実勢価格が保持できる考え方であったように私たちは見ております。しかし、相次ぐ輸入攻勢で、最近はどちらかというと中心価格を中心または中心価格より下位の方に落ちつく運営の仕方の色彩が強いようにわれわれは認識しておりますが、畜産局長はその点どういうふうに認識しておられるか、明らかにしていただきたい。
  158. 杉山克己

    ○杉山政府委員 生きている価格水準は、これは毎日動くわけでございます。これを終始安定帯の幅の中におさめるということはなかなかむずかしいのでございますが、最近におきましては、これは比較的安定帯の中で安定的に推移しているというふうに見ております。ただ、その絶対水準が安定帯の中でも比較的上位の方に上がっているか比較的下位の方に下がっているかということになりますと、一時期に比べて最近は中心価格を下回るような水準で推移いたしております。
  159. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 そういうことですから、私は午前中も参考人にいろいろ意見を承ったのですけれども、どうしても今後安定帯に対する考え方を検討すべきではないか、かように提案したわけでありますが、その点は当局はどういうふうに考えておられますか、その点もお答えいただきたい。
  160. 杉山克己

    ○杉山政府委員 統制価格みたいなはっきりした価格ではございませんので、なかなかその水準を安定的に維持することはむずかしい問題がございますが、畜産振興事業団の輸入肉の売買操作等を通じまして、今後とも価格安定帯の中で安定的に推移するように価格を見守ってまいりたい、あるいは操作によってそういう価格をできるだけ維持してまいりたいと考えております。
  161. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 豚肉の安定価格算定値に関連して伺いますけれども昭和五十二年度の主要農畜産物政策価格の要求決定の内容を見ますと、基準期間の第一次生産費に占める各費目の金額が、昨年の政府資料によりますと、豚百キログラム当たり獣医師料・医薬品費が四十九年二百五十円、五十年が二百九十八円、五十一年三百五円、五十二年三百三十九円、四十七年から五十一年が二百五十四円というようになっておりますが、これに間違いございませんか。
  162. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いま先生のおっしゃられた数字、全部メモをしておりませんでしたが、多分この数字で合っているのだと思いますので、こちら側の資料を読み上げさせていただきます。  獣医師料・医薬品費は四十七年二百八円、四十八年二百八円、四十九年二百五十円、五十年二百九十八円、五十一年三百五円、五十二年の推定が、これは昨年のその段階ででございますが、三百三十九円ということになっております。(瀬野小委員「四十七年から五十一年は」と呼ぶ)四十七年から五十一年の平均は二百五十四円ということになっております。
  163. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 私が言ったことと同じでございます。  そこでお伺いするのですけれども、五十一年の七月より飼料安全法施行に伴ってその生産性が低下し、事故畜の増加状況等の新しい要素が入ってきております。午前中の参考人であった全国農業協同組合畜産団地連絡協議会会長大山久エ門氏に私いろいろ質問した中で、そのようなことが陳述されましたが、農林省はこのような生産性の低下、事故畜の増加ということについてはどう把握しておられるか、またその認識は十分持っておられるか、その点を明らかにしてください。
  164. 杉山克己

    ○杉山政府委員 飼料安全法の制定実施に伴いまして、飼料に対する添加物の規制が厳しくはなりましたが、医薬品等につきましては、別途薬事法に基づく動物医薬品投与、これは獣医師の承認を得てなされるということになっておりまして、事実上特別に飼料安全法に基づきまして飼料の安全性がぐあいが悪くなった、あるいは特別に生産性が低くなったというふうには考えておりません。ただ、取り扱いが幾分、それらのことに関連して手間がかかるというようなことがあるいは出てまいっているのかもしれないと存じます。  ただ、これらに伴う経費なりあるいは生産性ということになりますと、収量という点であらわれてくるわけでございますが、その影響は結果として調査の上の数値に実現してくるものというふうに考えております。
  165. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 それは畜産局長、あなたは認識がずいぶん誤っているようですが、午前中も各参考人にずいぶん私は意見を求め、午後の質問でこれは明らかにするということでいろいろ約束したわけですが、各参考人意見を聞いても、こういったことはずいぶん影響が大きいということで意見開陳もあったわけです。局長は午前中の参考人質問に対しては同席していなかったので直接は聞いていないかもしれませんが、当局の担当者は、そのことは参考人意見を聞いて十分知っておるわけです。地元の実態と実際に皆さん方が検討していることが食い違っている、そういったところに私は問題があると思うのです。  きょうもいろいろ質問しているのは、いままでずいぶんいろんなことを政府の考えをただしてきたわけですので、皆さん方がどうしても値上げをしない、据え置くんだというふうな考えがあるやに仄聞するものですから、少なくともこういった点を十分踏まえれば、仮に飼料は値下がりしても、当然牛肉、豚肉にしてもまた加工原料乳にしても上げなければならぬという要素は明らかになってくるわけです。そういった意味で、はしょっていろんな問題を制限時間内でかいつまんで質問しておるわけですから、そういうつもりで十分聞いていただいた上でお答えをいただきたいと思うのですが、参考人もそういったことについては、午前中から午後の三時にわたって意見開陳がございましたけれども、再三述べておられました。そういったところの認識が違った見解で諮問をされて、結局先ほど言ったように今回は一銭も上がらないというような極端な言い方をするようなことに仄聞しておりますけれども、なりかねない。そうなると大変なことになるということで、私は認識を変えていただくためにも申し上げておるわけです。  そこで、この飼料安全法施行に伴っての生産費指数算定を見ても、また農協の試算等を見ましても、千五百円の加算がなさるべきである、こういうように農協も言っております。また、参考人意見の開陳もございました。私は当然じゃないかと思う。最近は生産性の低下、事故畜の増加ということが、飼料安全法の施行に伴って起きていることも事実であります。また、そのことを畜産農家は声を大にして言っております。まことに重要な問題を農林省は見過ごしているわけじゃないと思いますけれども、こういったことを算定要素に十分加えて検討しなかったならば、価格というものが厳しいものになるというので私は指摘をしております。  聞くところによると、農林省は、二十八日の畜産振興審議会食肉部会、二十九日の酪農部会を前に大蔵省との折衝を続けられて、諮問内容を固めつつあるが、その中で、牛肉、豚肉のいわゆる基準価格は、規模拡大、生産性の向上などを理由に、かつてない値下げ試算、こういうふうに考えておられる。現状ではまだ流動的で、いろいろ検討しているというようなことも事実のようでありますけれども、私が次に申し上げるようなことを十分踏まえて、この一点だけででも検討すれば、当然価格算定の要素というものは値上げに通ずることになるということを認識していただくためにあえて申し上げるわけです。  この農林省の値下げ諮問といいますか、内容等を仄聞すると、牛、豚肉の安定基準価格も値下げ要因だけが表に出て、実際に豚肉の場合等は牛肉価格よりも値下げ幅がかなり大きくなる、こういうようなことまでわれわれの耳に入ってくるわけです。そういったことまで検討しておるのかということで、実はわれわれもあっけにとられているわけでございますが、審議会の答申を受けての政府は、恐らく政府与党である自民党と折衝した結果、最終的には政治加算をして、そうして現行価格に据え置くということでちょんにする、こういうようなことになりかねないようなことまで、国会内でちらちらとわれわれの耳に入ってくるわけです。  そういったことで、本日も委員会を設けて参考人を招致し、意見を聞き、政府の考えをただし、そして二、三日のうちに決定する価格に対して、十分生産農民にこたえて価格決定をしていただきたいということでわれわれもこうして政府の考えをただしているわけでございますが、私は、この価格据え置きにプラスして何らかの構造政策、たとえば子牛の生産奨励とか、粗飼料生産対策、こういったことの政治的配慮を行ってお茶を濁すというようなことも聞いておりまして、こんなことでは農民は納得できません。そういったことから、今回の畜産価格の諮問というものは、いわば一つの据え置きを前提としたセレモニー的色彩がある、こういうようなことまで酷評されているのも事実であります。  そこで私は、いま申したように、農協試算による飼料安全法施行に伴っての生産費指数の算定を見ても、また一頭当たり千五百円の加算がなされるべきであるという、こういった生産農民、農業団体の意見等を見ましても、豚肉並びに牛肉について当然値上げの試算の要素はあっても、値下げ試算の要素はない、かように思うわけで、いま重要な段階であるからなかなか言明がむずかしいとはいいながらも、数日後に決定する価格の問題について、その辺は十分認識しておられると思いますけれども、農民を代表し、これらの問題、いろいろある中でも、先ほど申し上げた物価値上がりの分だけでも農家は最小限生活に困るわけですから、そういった素朴な、ささやかな、筋の通った当然の理由によっての値上げは当然である、こういう意味で私はあえてそういった問題を取り上げて政府当局の認識を改めていただくという意味で申し上げているわけでございますが、いまの問題について畜産局長はどういうふうに認識しておられるか、また、どういうふうに考えて対処されるつもりであるか、ひとつ十分に検討した結果をお答えいただきたいと思う。
  166. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いろいろ参考人の御意見もあったことは承知しております。詳細につきましては私もさらに勉強していく必要があろうかと考えております。  価格の問題につきましては、何分諮問前のことでございます。政府部内で種々検討もいたしておりますが、どういうような考え方でどういう具体的な数値を決めるのかということについては答弁を御容赦願いたいと存じます。
  167. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 答弁を御容赦願いたいということでございますけれども、いままで私が価格決定に当たっていろいろなことを申し上げてきましたけれども、いまの飼料安全法の施行に伴ってこういったことが農家の大きな負担になっているということは、午前中の参考人意見もございましたが、牛、豚にしても飼料によっていま、従来から見ると二十日ないし長いのは一カ月も飼育をせねばならぬ。そうすると、一日に相当量の飼料をとることになりますので、月には相当な価格が影響するということで、いろいろ参考人から指摘がございました。そういったのは十分計算してもらわないと、こういった飼料安全法の施行に伴ってずいぶん飼育期間が長くなっているということは事実でございます。そういったことを十分計算に入れていただかなければならぬ。こういった当然なことを政府としては十分踏まえてない、こういうふうになっているので、特にきょう指摘したのは、いままで数多く質問した中で、そういったありふれた問題が見落とされているのではないかと言って畜産農家が特に声を大にして指摘をしておりますので、はしょって私申し上げたわけでございますが、そういったことはひとつ十分に認識をして検討に入れていただく。で、認識は十分しておられる、こういうふうに理解してよろしいですか。
  168. 杉山克己

    ○杉山政府委員 必要な要素についてはこれを適正に算定上の中に織り込むということで、すべての環境、あらゆる条件について慎重に吟味さしていただいております。
  169. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 最後に一点お伺いしておきますけれども、せんだっての農林水産委員会でもいろいろ指摘しておきましたが、養鶏問題で、きょうは青木参考人からまた大山参考人からも大変貴重な意見を伺いました。インテグレーションの、いわゆる養鶏について企業経営による大変な問題があることはせんだって指摘したとおりでございますけれども、それに加えて、安定基金によるいわゆる液卵公社価格安定の機能はもう少し内容を変えていただきたい、改善していただきたいということの指摘がございました。と同時に、国内の過剰鶏卵についても液卵にしてこれを保存する、そして調整するということもぜひしていただきたい。さらには、外国液卵輸入を抑制していただきたいというようなことでございました。  せんだって質問した以外に、こういった問題について、国内でも過剰であるのに、しかも卵が安いのに外国から液卵として入ってくる、自由貿易とはいいながらもまことにわれわれは認識を疑うものである、こういった強い指摘がございましたが、時間の制限もあって詳しく申し上げられませんけれども、そういったことをはしょって申し上げましたが、これらについて、せんだっての質問の際も時間がなくて追及できませんでしたが、この機会に、最後にこのことを局長から明快にお答えをいただいて今後の対処方針を示していただきたいと思います。
  170. 杉山克己

    ○杉山政府委員 鶏卵の価格につきましては、最近の供給過剰のため価格が著しく低落いたしております。そのため、液卵公社の凍結保管というようなことも必要が出てまいってきているわけでございますが、液卵公社の状況を申し上げますと、昭和四十九年度の卵価の異常低落の際、約五千トンの鶏卵を液卵にして凍結保管したわけでございます。このときの赤字が約六億五千万円、現在、しかしこれを差し引きましても資本の残、現有資産は約十億円弱ということになっております。しかし、こういうように資金力が弱まっておるということで、これを強化するために畜産振興事業団から五十一年度に一億五千万円の助成を行ったところでございます。  今後、いま申し上げましたように、卵価安定のための凍結保管ということになってまいりますと、新しい赤字が出てくる可能性が高いわけでございますが、できるだけそういう赤字を少なくするという考え方として、分離卵の製造保管というようなことで、約千二百トンの鶏卵について市場隔離を行ったところでございます。この程度の損失の範囲ですと液卵公社の資本金の運用益で賄い得るという程度に見ておるわけでございます。ただ、一般的に今日のような市況が続きますと、なかなかその運営がむずかしいのじゃないかということで、本年度に鶏卵価格対策調査検討会という会を催しまして、そこで公社の資金力、それから機能の強化が検討されたわけでございます。今後、まだ出資をしていない団体もあるわけでございますので、それらの方に対する出資要請を続ける、それから検討結果報告の趣旨に沿ってともどもその具体化、強化の対策に努めてまいりたいと考えております。  それから、液卵について輸入が行われるのではないかということでございますが、これにつきましては大手の実需者に対して、個別具体的に国内の鶏卵の優先使用ということでその自重を求め、種々指導に努めているところでございます。
  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 液卵輸入については大手の指導に努めておるとおっしゃるけれども、それがさっぱり効果がないのでありまして、もっと強力に効果のあるような指導をひとつしてもらわなければなりません。  それからもう一つは、一、二月の鶏卵の価格暴落しましたね。そこで、そのために補てんをした関係から、補てん金が底をついているわけです。十分当局は御存じだと思いますが、いわゆる国の指導によってまじめにやってきた養鶏業者は、この補てん金が底をついたためにいま大変苦境に立たされておるのは御存じのとおりです。したがって、補てん金貸し付け継続していただきたいというのが日本養鶏協会青木参考人からの切なる叫びでございました。当然のことであります。  そこで、無利子で貸す、もちろんこの金は将来積み立ててお返しするわけですから、これらについては十分配慮してこの苦境を乗り切るために政府は手厚い対策を講じてもらいたいと思うが、このように無利子貸し付けということについては継続してやるというようなことで十分対策、資金の用意があるのか、その点を明らかにしていただきたい。
  172. 杉山克己

    ○杉山政府委員 卵価安定基金は、これは農業者団体系統のものと業者系統のものとあるわけでございますが、そのうち全農系のものはすでに若干の借入金を行っております。今後の鶏卵価格の動向によってはさらに補てんが増加するということが予想されるわけでございます。そこで、先ほども答弁の中で申し上げましたが、卵価が著しく低迷するというような場合には、生産者団体による調整保管、さらには液卵公社による割卵、卵を割って液にして保管するというようなことを考えなくてはいけないわけでございます。  一方、基金からの補てんは、生産者等の積立金、それと国の補助金とで行われるわけでございますが、財源が不足する場合はよそから借り入れてくるということができることになっております。可能な限り安い金利で借りるという努力が必要でございましょうが、それでも金利負担はかなりなものになるということになってまいるわけでございます。  その場合、負担軽減のため利子補助を考えられないかということでございますが、これは現在卵価がどういう方向で推移していくのか、見通しを立てる必要もございますし、それから、これに対する借入金等の措置が現実どのようなことになるのか、そこら辺の状況を見た上で今後検討すべき課題だというふうに考えております。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 最後に一点、簡単にお伺いします。  外国から液卵が入ってくることはもう御承知のとおりでありますが、いま養鶏業界では大変な苦境になっておりますので、私は、基金の補てん並びに貸し付け継続してやるというようなことは当然国としても手当てをしていただきたい、かように思うと同時に、この液卵に対しては自由貿易であるとは言いながらも、関税を引き上げる、そして国内養鶏業者を守るということも当然考えるべきじゃないかと思うのですが、それについては当局はどういうふうにお考えであるか、お答えをいただきたい。
  174. 杉山克己

    ○杉山政府委員 自由貿易のたてまえのもとに現在自由に入ってまいります液卵、この関税を上げるということは今日のような国際事情のもとではなかなかむずかしい問題でございます。ですから、関税というような直接的な手段ではなくても、先ほど申し上げましたように、行政指導でもってできるだけ自粛を求める、それから一般的な国内の鶏卵の供給についての生産調整を行うというようなことでの本体的な面での価格調整対策を検討する、これを強化するということで総合的に対応してまいりたいと考えております。
  175. 瀬野栄次郎

    ○瀬野小委員 時間が参りましたので、以上で一応終わります。
  176. 山崎平八郎

    山崎委員長 神田厚君。
  177. 神田厚

    神田委員 五十三年度の畜産物の価格の問題につきまして御質問を申し上げます。  まず最初に、きょう参考人からの意見を聞きました。その中で大部分の人が、順調に畜産が伸びているこういう状況というものを大事にしなければいけない、こういうふうに言っているわけであります。そして、御案内のように、米の生産調整が行われている。そして、そういう厳しい農業の中で畜産、酪農というのはこれから日本農業を支えていく一つの大事な方向を持っており、非常に大切にしていかなければならない、こういうことを言っているわけであります。先ほど局長の答弁を聞いておりましたらば、生産意欲を阻害してはならない、こういう御答弁がありました。しかし、私はちょっとこれで不思議に思ったのは、先日局長が新聞のインタビューやその他で答えているのは、生産を刺激するようなものはとらない、生産を刺激したくない、こういうことを言っているんであります。生産意欲を阻害しないということと生産を刺激しないということは一体どういうことなんですか、この辺のところをちょっと説明してください。
  178. 杉山克己

    ○杉山政府委員 直接的な生産水準をどのような高さで決めるかというような話とは別に、基本的に生産そのものについての意欲を高める、これを保持するということは、これはある話であろうかと存じます。私ども、今日畜産が長いトンネルから脱して光明が見える段階に至ったということは、これは皆様方と恐らく認識を同じにしているところであろうかと存じますし、せっかく芽の出た畜産を育てていかなくちゃいけないという意味では問題認識は十分いたしておるつもりでございます。これを育てるために、単に価格ということだけでなく、全体的な生産対策、構造対策含めましてこれを推進していくということは考えなくてはいけないというふうに考えております。  ただ、生産を刺激すること云々というようなことが新聞等に出ておったというお話でございますが、これはもう少し内容的に詳しくお話し申し上げる必要があるのではないかと存じます。私、長期見通し、第三次酪近の方向に沿っても、これは牛乳の場合でございますが、需要はまだかなり年々伸びますし、生産も伸ばして差し支えないと考えておるわけでございます。ただ、五十二年の生産の伸び方というのはいかにも異常である、これは一体どういう原因に基づくものであろうか、それがまた今後の需給の見通しにどのように影響していくものであろうか、そこは十分分析しなければいけないと考えております。そして、それが長期見通しの目標の期間のうちに、期間的な出入りがあって調整されるというものならばそれほど気にする必要はないのでございますが、もし構造的なものがあって、今後の需給が本当にアンバランスになっていくんだというようなことが断定されるならば、それはいたずらにただ生産を伸ばせばいい、やれ進め、それ進めという話ではなくて、やはり長期見通しの線と調整のついた安定的な成長を図っていく必要があるのではないかというふうに考えるわけでございます。  そういう意味で、農家生産意欲を阻害しないように努める、十分の御理解をいただくために努力もすることは必要でございますが、やはり長期見通しの線に沿った全体的な調整のとれた安定した成長ということを考えていくべきだ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  179. 神田厚

    神田委員 このことで余り議論していてもしようがないのでありますけれども生産が伸びたということは好ましいことだといってそれを評価すべきであるというのが大方の意見ですね。局長の話を聞いていますと、長期見通しやなんかの関係でそれにまさに水を差しているような感じでありまして、私はそういう態度は非常に問題だと思うのです。生産意欲を阻害しない、阻害しないというのは一番消極的な言い方ですよ。むしろ構造改善やその他の問題も含めまして積極的にもう少し畜産の発展のために政府みずからも寄与していくという態度を示していかなければいけない、こういうふうに考えるわけであります。  いろいろ前に、再生産を確保するということが畜産の今後の一番大事な問題だというような話をしていた中で、私は、局長とも再生産というのは一体どの程度の適正な飼養頭数を見るのだというような話をしてきました。そういう中で、どうも局長は、ちょっとその場その場で何か思いつきみたいな形で言い過ぎるような感じがしているんですね。あのときもたとえば適正な飼養頭数というのは約三十頭だというような話をしていましたね。ところが、それじゃ現在、肉牛にしろあるいは乳牛にしろ、全体の飼養頭数の構造というのはどういうふうになっているのですか。三十頭以上あるいは千頭以上が何%、そういうようなことを見てきますと、その割合というのは大体どういうふうな分布状況を示しておりますか。
  180. 杉山克己

    ○杉山政府委員 乳用牛についての頭数別の分布を申し上げますと、飼養規模は、四十年と四十五年と五十二年の時点で比較を申し上げますと、三十頭以上のところが、四十年は〇・二%、四十五年は〇・五%、五十二年は七・一%となっております。これは戸数でございます。それから、頭数自体でいいますと、四十年は二・五%、四十五年は五・一%、それから五十二年は二八・八%ということになっております。  それから、肉用牛の場合について申し上げますと、年次が四十六年、五十年、五十二年の比較でございますが、一番この分類で大きいところは五十頭以上でございます。この五十頭以上のところをとってみますと、戸数でシェアは四十六年〇・一、五十年〇・七、五十二年一・一。これが頭数でいきますと、四十六年五・四、五十年一九・五、五十二年は二五・〇。  こういうような傾向をたどって、かなり規模の拡大、それから多頭のところのシェアが大きくなっているという経過が見られるわけでございます。
  181. 神田厚

    神田委員 その中で、私はその当時の議論のことをちょっと思い出したのですが、たとえば再生産確保の問題で話をしたときに、八〇%バルクラインの問題をとるか、そういうふうな話を局長がされました。しかし、現実にこういう飼養戸数、飼養頭数で八〇%のバルクラインをとったって、本当に現在の日本の畜産農家がそれによってカバーできるような状況じゃないわけでしょう。その辺のところはどうなんですか。
  182. 杉山克己

    ○杉山政府委員 八〇%バルクラインのところと結びつけて申し上げたわけではなくて、規模別の頭数の分布なりシェアの一部を申し上げたわけでございます。
  183. 神田厚

    神田委員 そんなことはわかっていますよ。ただ、この前の議論の発展から言えば非常に矛盾した現象を言っているという話を私は指摘しているわけです。思い出しませんか。
  184. 杉山克己

    ○杉山政府委員 大変恐縮でございますけれども、どの点でございましょうか。
  185. 神田厚

    神田委員 再生産を確保するという話をいろいろ論議をしたことがありましたね。そのときに局長は、この再生産確保というのは大体三十頭あたりが日本では確保できる適正な飼養規模である、そういう中で、ただしかし八〇%バルクラインをとっていろいろ考えていけば、どの程度に適正さというものを求めるかというのは非常にむずかしい問題だ、こういう議論のやりとりをしたことを私は言っているわけであります。  そうしますと、現在示されたような状況の中で果たして八〇%バルクラインでどの程度カバーできるかというのを見ますと、それでは非常に議論の根拠が薄い、そういうふうな考え方を私が話をしているわけであります。
  186. 杉山克己

    ○杉山政府委員 私、八〇%バルクと特に結びつけて御説明した記憶はないのでございますが、あるいは誤りかもしれませんけれども、適正な規模、安定的な経営が続けていける頭数とはどのくらいかというお尋ねがあったときに、もちろん多々ますます弁ずるみたいな、規模の大きいほど生産性が上がるということはありますが、いまの日本農家の現状からすると、まずおおむね三十頭程度を飼養していれば安定的な生産が毎年確保できるのではないか、こういう答弁を申し上げたわけでございます。現実にはこれを超えるもの、あるいはこれに満たないものもあって、それから安定的な生産が維持できない農家もあることは事実でございます。ただ、そのことと、八〇%バルクとをどういうふうに結びつけて議論するのか、ちょっと私いまここでもって考えを持ち合わせておらないのでございます。
  187. 神田厚

    神田委員 乳牛の午前中の参考人の話などを聞きますと、大体四頭未満を飼っている農家というのが四二%もある、肉牛については二頭未満というのが八三%もある、こういう状況の中で、ですから局長が前にそういうふうな中で、いわゆる再生産を確保できて適正な飼養規模は三十頭以上だ、そういうものを中心にしたものの考え方をしておること自体に、私は問題があるのじゃないか。その中でたまたま局長の方から八〇%バルクラインの話が出たものですから、私はそれをちょっといま、後で議事録を見てもらえばわかりますけれども、話をしているわけであります。  いずれにしろ、そういうふうな現実の日本の畜産農家の現状というものをもう少し正しく認識した上で、畜産行政について責任を持った行政をしてほしい、こういう要望をしておきます。  それで、畜産物の要求価格の問題につきまして、要求価格そのものが、いまの算定では政府の試算では上がる要素がない、これはしばしば言われているわけです。したがって、それならば算定方法そのものに問題はないかということで、これをわれわれは見ていかなければならないと思うのであります。そういう中で、たとえば系統農協等で算定要素についての疑問を出しております。そういうものにつきまして二、三問題を指摘していきたいと思うのであります。  まず最初に、これは何回も言われましたけれども、加工原料乳の保証価格につきましては算定の基礎のとり方自体に一つ問題はないか。保証価格全国の加工乳を対象とするのであります。しかし、政府はこれを一道一県のものによってやっている。もちろん政府の方はそういう根拠を、法律に基づいてやるという言い方をするわけでありますけれども、過去にもそうじゃない算定の方式をとったこともありますし、この際算定の方法を変えるというふうなお考えがありますかどうか、お聞きしたいのであります。
  188. 杉山克己

    ○杉山政府委員 算定の方式というのは、きわめて重要な、そのときそのとき適宜に差しかえるというような性質のものであってはならないと思います。その点いろいろな問題点があるわけでございまして、いま先生の御指摘になりました問題点は、生産費の算定の際、対象地域をどういうふうに押さえるかということでございますが、法律上の規定から言いましても、生産される生乳の相当部分が加工原料乳に向けられる地域、いわゆる主要加工原料乳地域における生乳の再生産を確保することを旨として定めるということにされております。そのことから、従来、飲用向け比率が五〇%、これは過去五年平均で調べているわけでございますが、それに満たない地域の生産費を採用するということにしておるわけでございます。そこで、昨年は一道一県ということで算定をいたしたわけでございますが、これは考え方におきましても、それから従来やってまいりました経過におきましても安定した一つの方法でございますので、その考え方で五十三年度も算定をいたしたいと考えております。
  189. 神田厚

    神田委員 これは時間の関係で議論を深めていくことができませんが、私は、そういうふうなことでは、飼育家族労働の問題なども含めまして、非常に問題があるというように考えているわけであります。やはり全国平均をとるべきだと考えているわけであります。  さらに、ここで一つ問題なのは自給飼料生産家族労働の評価。自給飼料生産家族労働の問題につきましては、午前中の参考人意見等を聞いておりましても、特に畜産審議会におきまして非常に権威のある参考人等も、農村雇用労賃で評価をするのは余り感心しない、こういうような御発言もあったようであります。したがいまして、私どもも、この自給飼料生産家族労働の評価につきましては、少なくとも農村雇用労賃でのあれをすべきでないというふうに考えているのですが、その点はいかがでございますか。
  190. 杉山克己

    ○杉山政府委員 自給飼料の家族労働については、これは飼育管理労働のような特殊性、つまり高度の緊張と技術を要するというような特殊性はなく、むしろほかの農作物一般、耕種作物の栽培の労働と同質の労働であるというふうに考えられますので、農林省の農畜産物生産調査の一般的なルールに従って、五十一年の生産調査から改めました農村雇用労賃を採用しているわけでございます。これはむしろ一般的な議論が畜産物に限らずございまして、労賃のとり方をどうするかということを検討した結果、このような五十一年からの新しい改善がとられたわけでございます。
  191. 神田厚

    神田委員 私どもはそれは納得しませんし、これは農村雇用労賃で評価をすべきではないというふうに考えているわけでありますが、時間の関係で、次に、豚肉と牛肉の安定価格の問題について、その算式の問題で御質問申し上げます。  まず、牛肉の問題ですけれども、牛肉につきましては、一つは、豚肉に使用している需給調整係数をなぜ牛肉に使用しないのか、その点をお伺いします。  さらにもう一点は、枝肉の換算係数です。五十二年度の牛肉安定価格が五十一年と全く同じ枝肉換算係数によって算定されている。なぜ同じようにこういうふうな算定をしたのか、この二点を牛肉についてはお伺いしたいと思うのであります。
  192. 杉山克己

    ○杉山政府委員 牛肉の場合は、豚肉の場合と需給の事情が異なるわけでございます。豚肉はおおむね国内的な自給が可能である、しかし足りないときはこれを輸入に依存する、ときに供給過剰になるという自給度の変動がございます。価格算定に当たっては、その自給度の変動を要素として取り込むということが必要であろうと考えております。  ところが牛肉は、今日の段階では絶対的に国内で完全自給することはできないわけでございまして、これは一部の数量を毎年輸入するということになるわけでございます。そういうことからいたしますと、輸入をもって補うという前提のもとに需要量は満度に満たされるということで、需給係数は特段豚肉のような扱いはしておらないということでございます。  それから、枝肉との換算の問題でございますが、これは従来から牛とその枝肉との価格の間には一つの相関関係があるわけでございますが、ただ牛の価格というのは個体差が大きくてその相関関係が年によってかなり変動をもってあらわれるということがあるわけでございます。そのようなことから、これは大きく動くということは好ましくない、安定的な係数であるべきであるというような考え方から、昨年はその前年にとった枝肉換算の係数をそのまま採用したという事情があるわけでございます。
  193. 神田厚

    神田委員 どうも価格を低く抑えようというようなことで、一つのトリックに使っているような感じがするのです。私どもは、価格の算定というものは、その都度その都度変わるようなことではなくて、もう少しきちんとした形でやっていただいた方がすっきりすると思うのです。説明も非常にむずかしいだろうと思うのですよ。ですから、そういうふうなことで今年度の算式、どういうふうな形で諮問されるかわかりませんけれども、そういうことにつきましてはそういう点を十二分に御留意いただきたいと思うわけであります。  時間がなくなってしまいまして余り論議ができませんが、最後に肉豚、肉牛の農家販売の価格、これも頭切りと言われている問題ですね。これもきちんと係数を追ってとっていきますれば、政府が出しているようなものよりも相当価格が上がる計算になっているわけなんですね。ところが、上がっているところについては頭を切ってしまうというようなことをやっておりますから、依然としてそれも低く抑えられてしまう。ですから、農家の販売価格の問題も、そういう意味で低く抑えるための手段に使わないようなきちんとした係数としてとっていただかなければならないというふうに考えておりまして、最後にその点について御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  194. 杉山克己

    ○杉山政府委員 価格算定の年々の安定性を確保するように努力するということは当然必要なことでございまして、今後とも一層心がけたいと存じます。  それから、豚肉の生産者販売価格、これについて頭切りがあるのは妥当ではないんではないかというお尋ねでございますが、政府は安定帯の価格の中でこれを維持するという考え方のもとに価格支持を行っているわけでございます。したがいまして、その安定帯価格を飛び出た高い水準の価格についてはこれは正常なものでないという考え方で、これを除外して従来の基準価格を算定するというやり方をとっているわけでございます。
  195. 神田厚

    神田委員 終わります。
  196. 山崎平八郎

  197. 津川武一

    津川委員 きょうの日本農業新聞を見ましたら、加工乳の価格で二円ほど去年より安いもので諮問する、諮問の結果また政治加算して据え置きにする、こんなふうな記事が出ておりますが、よもやそんなことはなさるまいと思いますが、いかがでございます。
  198. 杉山克己

    ○杉山政府委員 どのような内容で諮問をするかということは答弁を差し控えさせていただきますが、新聞が自分の取材に基づいて御自分の判断でいろいろの記事を書かれることは、これは残念でございますが、ときに事実に反することもあるわけでございます。
  199. 津川武一

    津川委員 そこで、畜産農民は非常にそういうことで心配していまして、一番心配するのは生産意欲が落ちるということ。したがって、喜んで畜産をやっていくとすれば、農民の気持ちが非常に大事なわけです。  北海道の酪農農民が私たちの要請にこたえて、こういう記事を送ってくれました。労働時間なんです。飼育労働時間。五十一年度生乳生産調査、これは農林省の統計です。そうすると、これは飼育労働時間を三・五時間と見ているが、この人は生乳生産量は七万一千五百七十五キログラムで実際は五時間以上必要だと言うんです。というのは、今度は飼料安全法なんかできて、豚でもそうですか、病気が非常に多くなって、きょうも参考人が豚一頭で二十日間、売り出すまでによけいかかる。そうすると、一日三トンと見ても二十日で六十トン、飼料がよけいかかる。二十日間やはり労働時間がよけいかかる。この青年は、さらにお産の場合、それ自体は三十分もあれば十分ですが、はっきりした出産日時がわからないために出産予定日の前二、三日は夜中にも見回りしている。こんなふうなことなんか何にも数えないで三・五時間にしている。実際は五時間以上かかる。この酪農農民はそう言っているのです。  また、今度はえさの方です。オーチャードの乾燥したもの、干草。こちらの方の統計事務所の統計では五十一年に十四円三十四銭。農協で十八円四十一銭。しかし、ここいらの実際の酪農農民がやってみますと、四十円はかかるというんです。政府や農協で数えている勘定は天気の非常にいいときに一番牧草を刈ってひっくり返して梱包して、こういう条件のときで十四円、十八円と数えているんじゃないでしょうか。実際は曇りもあるし、雨もあるし、曇天で日数が延びる。雨が来ると今度は敷料として自家用に回さなければならぬものが二〇%も出てくる。ここいらを一体考えているんだろうか。これを考えていただかないと私たち生産に喜びも意欲もなくなると言うんです。  あした諮問されるので、要素もいろいろあるでしょうけれども、こういう実態に即してやはり再生産を保障する価格を決めるべきだと思うんですが、いかがでございます。
  200. 杉山克己

    ○杉山政府委員 生産費の調査は、統計情報部がその組織を動員して正確な調査を行った結果が集計されて出てくるものであると存じております。個別農家の具体的な条件がそれぞれ差がありますので、平均的なものとして出てくるそういう統計上の数値とは若干の差が出てくることは、これはあろうかと思います。  いずれにいたしましても、生産調査はそういう実態を正確に反映するものでなければならず、そのために十分正確を期して努力していることと思いますが、それは直接は統計情報部で行っている作業でございますが、今後とも努力してまいるようにしてもらいたいというふうに考えております。
  201. 津川武一

    津川委員 統計とるときのこの乾燥のときに、天気のいい日でそれを見ている。そこのところを曇天や雨の日は入っていないと言っているので、したがって、これは統計情報部のものも検討しなければならない。お産の場合も三十分あればいいと言う。ところが、二日も前から、三晩も前から寝ないで見ていると言う。そこいらあたりが抜きにされた統計だから生産意欲を失う、こう言っているのです。あしたの諮問に当たってそこいらを十分検討していただきたいと思います。  実はきのう日曜で、私のうちに三十歳になる農夫が来て、友達が五、六人来て、嫁をもらってくださいと言う。嫁の相談になったわけです。そのときにその人たちが持ってきたのは地元の東奥日報の社説です。「働きすぎる農村婦人」。なぜ嫁に来ないかという点で、嫁さんの働いたものがそのまま価格に保障されていないというところが大議論になったわけであります。  そこで、総理府統計局国勢調査、労働調査という五十一年のシリーズですが、農業以外のもので女子の働いているのは、男の三千二百万人に対して女子が千六百六十八万人、比率で言うと女子が三六%、これが日本農業以外の仕事における女子の働きぶりです。これは政府の統計。今度皆さんのところで出した、農林省農蚕園芸局普及部生活改善課が昨年の十二月に発表した「婦人農業従事者に関する諸統計」、これによりますと、農業就業人口は五十二年の一月一日現在で七百二十三万六千人、このうち女の方が四百四十八万二千人、男が二百七十七万五千人で女子が六二%、また同じ統計によりますと、基幹的農業従事者は四百七十三万八千人のうち女が二百五十七万六千人、男が二百十六万二千人、ここで女の方が五四%。多くなっている。さっきの六二%、五四%。  そこで、この女子の農民の労働賃金をどう見るかというわけであります。男子労賃一時間千百九十四円、女子労賃五百七十九円、これは北海道農協中央会のガイドラインです。こういうことなんです。また、政府に言わせると、五人以上千人以下の賃金の平均でやるから女子の方はそうだと言う。しかし、工業では女子の方が三六%、農業の方では六二%、五四%。安い婦人の労働が農業生産価格を決めているわけです。したがって、ここで低農産物価格が出る。工業は三六%なのに農業は五四%、六二%だから、この大多数の労働に報いるとすれば、同じ労働していれば男子並みにかけていかなければならぬ。企業の大きい千人以上となってくると、男子、女子と差別がだんだん少なくなっている。ここのところに非常に大きな問題があるわけです。  そこで、これだけ大きな主力を占めておる女子の家族労働賃金というものを国の憲法の定めるところに従いながら、また労働基準法にも同じ労働をしたら同じ賃金を払えということがありますので、ここいらを——きょうは小委員会で基本的な問題なんです。今度の場合に間に合うか間に合わないかわからぬけれども、そういう女子の労働が大きく農産物をつくっているということで、これは当然同じ労働には男子と同じに報いなきゃならぬ。したがって、価格をつくるときに女子の労働をもっと尊重しなきゃならぬ、高く評価しなきゃならぬ。皆さんが全国の五人から千人というところでやるとだめなんだ、私はこういう考え方なんですよ。これはいかがでございます。小委員会なので、きょうだめならば、来年でもまたこういう点について考え直さなければならぬと思いますが、いかがでございます。
  202. 杉山克己

    ○杉山政府委員 加工原料乳の保証価格の算定に当たりまして、労賃単価の評価でございますが、これにつきましては、男女平均の単価を採用しております。五十一年の毎勤統計から参りますと、製造業における男女労賃平均額は、一時間当たり九百六十一円ということになっております。この単価を採用しているところでありまして、これは農業労働は確かに婦人のウエートが高い、今日の農業生産は婦人が大きく支えているということは事実でございますが、その平均賃金を採用しているということは、妥当な水準の労賃が織り込まれているということに理解してよろしいのではないかと考えます。
  203. 津川武一

    津川委員 女の方が安いでしょう。安い労働力をたくさんつぎ込んでいって、それを平均するから低くなるのはあたりまえなんだ。したがって、女子を同じ仕事をする男子並みに考えるともっと高くなるのはあたりまえで、局長のいまの答弁はおかしいですよ。もう一回答えてください。
  204. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いま若干答弁が不十分だったところをもう一遍補足をいたしますけれども、その前に、製造業における男女労賃の平均が九百六十一円と申し上げたのは、これは全国の水準でございまして、私どもの方は、このうち、地域別の加工原料乳生産地域の賃金単価をとっているわけでございます。  私申し上げましたのは、労賃単価については、男女平均のその地域の農村雇用労賃を採用しているということでございまして、特に女子を優遇しているとか、女子を差別してこれをおとしめているというわけではなく、そういう平均賃金をとっているならばこれは妥当な水準ではなかろうか、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  205. 津川武一

    津川委員 これは基本的な価格問題だから後でまたゆっくり論議するが、普通の製造業では、女子の方の三十六人分、これを足して、男の六十四人で平均をとるわけだ。ところが、農業の方は、女子の方が六二、五四と多いわけです。したがって、ここでこういうふうな平均をとると農業の方が低くなってくる。したがって、ここのところは考え直してもらわなきゃならぬ。わかりましたか。三六というのは、女子の労働者の三六を足すんだよ。そして、男子の方の六四を合わせて、それを平均しているんだから、そうすると女子の少ないところほど違ってくるわけだ。そうすると、女子の労働の多いところほどその生産物に対する労働の役割りが多い。その多いものが安く見られているということだ。したがって、低農産物価格一つの基準をつくる材料になっておりますので、これはいまここでは論議しない。後で十分考えていただきたい。基本問題なので、これはまた後で適当な機会に、私の意見も申し上げてやっていきます。  答えがなければ、時間が来ましたので、これで終わります。
  206. 山崎平八郎

    山崎委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後六時四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕