○菊池
委員 時間がきわめて限られておりますので、質問の要旨、あるいは
農政、
米価に対する
考え方を先に申し上げますので、後で大臣の御答弁をお願い申し上げます。
今回の
米価の
据え置き諮問というものは、
農民に対して大変大きなショックを今日与えております。大きなショックを与えておるだけではなくて、
日本の
農業のこれからの政策を推進していく上において大きな支障を来すのではないか、大きな悪影響を与える
ような
米価の
諮問ではないかというふうなことを非常に心配をするわけでございます。
いままでのいろいろな議論を通じて出ておりまする一番の問題は、
米価据え置きの原因というものは、大臣の発言でも、その他の発言もありますが、過剰
生産である、非常に米が余っておるということが最大の
一つの問題点の
ようでございますが、確かに米は五百万トン前後秋になれば余るというふうなことが言われております。ただ、米が余っておるということは、それではそれに対しては
政府は責任がないのか。米が余っておるというこの現状は、いままでの
農政を展開してきた推移の結果そうなったのではないかというふうな認識もあるわけでございます。
たとえば、いまいろいろ質問のやりとりを聞いておりますと、大臣は四十五、六年にも大変な過剰があったのだ、それを消化するために莫大な金を使ったのだという
ようなことを言っております。そうであるとするならば、たとえば学校給食という
ようなことをいま言っておりますが、もちろんこれは半分も完全にやっておりませんが、二年も三年も、四年も五年も六年も前から米が余っておるということがわかっておるのですから、わかっておるのであれば、その消費の拡大にも本格的に取り組むべきではなかったか。学校給食にしても最近、ことしあたりやや騒いでおりまするけれ
ども、まだ来年になるのか再来年になるのか、完全なことは見通しがない。こういう、はっきりわかっておって、そこでたとえ何十万トンでも消費できる可能性があるとするならば、そういう問題に全力を挙げて取り組むべきものでなかったか。
その他、消費の拡大というものはいろいろ挙げられております。そういうことについて、本年度の米の消費の拡大についての予算は、文部省、農林省合わせて七十億前後、七、八十億だろうと
思いますけれ
ども、たとえば
減反政策等に二千百億円かけるのでありますから、それをそのままというわけにもいきませんでしょうけれ
ども、一千億ずつ五年も六年も消費の拡大に金をかけてやってみた、毎年毎年二千億円も金をかけたんだけれ
ども消費の拡大はできなかった、こういうのであれば別ですけれ
ども、そういうふうな取り組み方はいままでなかったのではないか。こういう点が今日米の過剰にあらわれてきたんだということになると、
政府が余っておる、余っておると言うことだけではなくて、余っておるのは
政府がやるべきことをやらなかったからであるというふうな認識もやはり必要なんではないかというふうに
思います。
また、他の作物のことにつきましても、いま大臣のお話もありましたが、何で皆米へ米へといくかというと、これは明らかに米以外の作物をつくっておったのではいろいろな条件、
価格の点において十分でない。まことに不十分である。好むと好まざるとにかか
わらず、米へ米へと傾斜していったというふうなことがあるわけですから、六年も七年も八年も前に米が余っておるという現状を厳粛に直視するならば、そういう問題についても、他作物に対する政策のとり方はもう少しましなとり方があったのではないかというふうにも考えるわけであります。そうすると、これもやはり
政府のやり方が万全であったということにはならないのではないかと思う。
また、農作物の輸入の問題につきましても、これは一度に外麦を何割減らすという
ようなことはできないにしても、政策的なさまざまな誘導をして、たとえば何カ年で二割か三割減らす、そういうふうな方向は、いろいろな形において政策を総合的に進めて、あるいはそういうことができるのではないか。そういった
ようなことも何もしないで、その結果米が余ったというふうになっておるわけであります。
さらに、米が余ったといっても、四百万トン、五百万トンというのは、本当に余っておるという
数字になるのかどうか。備蓄というふうなものも、いま異常天候だとか、地球上にはいろいろ栄養失調の民族があるとか言われております。餓死者も何十万人と世界的にあるわけですから、輸出をするというのであれば、これは
価格が、単価がどうだとかという問題がありますけれ
ども、輸出ではなくて、人道的に援助というふうな方法もあるのではないか。エコノミックアニマルといって、盛んに黒字減らしという
ようなことも言われておる、こういう世界経済の貿易環境でありますから、それを積極的に援助というふうなものにも向けたって、これは決して悪い方法ではないのじゃないか。備蓄の方法にしても、さまざま言われておる
ように、金さえかければいろいろ方法はあるのではないか。あるいは家庭の備蓄とか――私は宮城県でありますが、この間大変な地震が起こりました。地震に対して個々の家庭、市町村等に何らかの形で備蓄をさせるというふうなことを政策的に誘導していくという
ようなこと等々を総合的にやった場合には、四百万トン、五百万トンというものを余った、余ったという
ようなことでなくても方法はあるのではないかというふうに思うわけでありまして、少なくとも来年度からこういうふうにして具体的に学校給食では何十万トンふやすとか、あるいは酒米についてはこうだとか、あるいはさまざまな方法があるわけですから、そういうものを計画的に
数字を詰めて、それに対して何百億円でも予算をつけるといった
ような本格的な消費の拡大に取り組むということが――やたらに、余ったからすぐ短絡的に
減反をして、それで
農家の
所得を減らす、場合によっては
農政を転換する場合もありますけれ
ども、
農政の転換を、
農民の
所得が減るということによって転換するということは余り賢明な方法ではないのではないか。もっと別な、
農民も喜ぶ、また問題も解決するというふうな方法において
農政を転換するというやり方もあるのではないかと思うわけで、その点、備蓄の問題、援助の問題、消費拡大の問題を大々的に国政上の大問題として本格的に内閣が取り組むならば、そして
国民的な合意、コンセンサスを得るならば、これは私は二百万トン、三百万トンというものを消化する方法はあり得るんではないかというふうに思うわけで、その辺のことを御要望かたがた御質問申し上げます。
さらに、その
減反政策でありますが、百七十万、トンを三年間というと五百十万トンです。さらに推移を見て十年間やるというのですから、大体七百万トン減らそうとするのか、八百万トン減らそうとするのか、それははっきりしておらないわけでございます。こういうふうにしたならば
日本の米と米作というものは一体どうなっていくのであるかという
展望というものはないのじゃないか。しかも、米以外の作物が何と何がどの
ように定着していくのであるかという計画、
展望というものもない。とするならば、これは五年後、七、八年後には米もだめ、米以外のものもだめだというふうになりかねないわけです。そういうことになった場合には、人間は、御承知の
ように、だれでもわかるとおり、どんどんふえていくわけですから、ふえ方の多寡はあっても地球上の人口はふえていくわけですから、穀物はそれに比例してふえないということは小学生でもわかるわけです。そういうことになった場合、
日本の
食糧問題というものは一体どうなっていくのだろう。
さらに、
減反政策というふうなことが、ことしこういうふうな大問題を抱えておりながらも、市町村とかあるいは皆耐えがたきを耐えて、
食管制度を守るとかというふうなことのためにこれは協力しているわけでありますから、この際、将来の
農業政策、
食糧政策は別にいたしましても、
減反政策というものはそういうわけで五百十万トンも減らすとか七百万トンも減らすという
ようなことは実際上できるのかどうかという不安をわれわれは持ちますけれ
ども、そういうものには余り賛成はできないと
思いますが、仮に百歩譲って、農林省の方針のとおり水田を再編成していくのであるとするならば、これはことしの
米価を据え置くという
ようなことは、これはその方法についてもまことに……(発言する者あり)三年間で五百十万トンでしょう。それは違うのですか。そういうふうなことを来年も再来年もするのであれば、今日ここで
米価を上げておいて
農民の信頼感を得れば、
農政の推進ということはスムーズにいくわけだけれ
ども、今度はそういう
農政の転換の協力者である優等生ですから、優等生に対してごほうびをやるというのであればわかりますけれ
ども、ごほうびをやらないで罰として
米価を据え置くというふうなことをやったならば、来年からそういう困難なむずかしい問題にだれが一体協力すると
思いますか。
これは農林省の政策の推進のために、今回の
米価据え置きの
諮問は
撤回して、大幅に引き上げて、そして信頼感を得て、その信頼感の上に新しい困難な
農政を展開していくということが正しいのではないかと
思いますので、
数字のことはこちらで言うのとそちらで言うのとさまざまな問題の組み合わせ方もある
ようでありますが、ぜひ大臣には政治的な大英断をもって
米価を大幅に引き上げる、そうして
農民との信頼関係をつくり上げて、しかる後にむずかしい
農政の転換を図っていく、
日本の
農業の将来の発展を目指していくというふうに持っていくべきじゃないかと
思います。
時間がありませんので、その点の御答弁をお願いしたいと
思います。