運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-06-14 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月十四日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       江藤 隆美君    加藤 紘一君       金子 岩三君    熊谷 義雄君       佐藤  隆君    玉沢徳一郎君       平泉  渉君    福島 譲二君       森   清君    森田 欽二君       角屋堅次郎君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    芳賀  貢君       野村 光雄君    吉浦 忠治君       神田  厚君    津川 武一君       大原  三君  出席国務大臣         農 林 大 臣 中川 一郎君  出席政府委員         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         食糧庁長官   澤邊  守君         林野庁林政部長 石川  弘君         水産庁長官   森  整治君  委員外出席者         経済企画庁調整         局調査官    三原 和夫君         外務省経済局国         際機関第一課長 池田 廸彦君         農林大臣官房企         画室長     佐竹 五六君         農林省農林経済         局統計情報部長 柳井 昭司君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 六月十四日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     加藤 紘一君   白浜 仁吉君     森田 欽二君   根本龍太郎君     堀之内久男君   武藤 山治君     日野 市朗君   菊池福治郎君     大原 一三君 同日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     木村 武雄君   大原 一三君     菊池福治郎君     ————————————— 六月八日  農畜産物輸入自由化等の問題に関する請願(稻  富稜人君紹介)(第五八七四号)  米の生産調整反対及び地域農業振興等に関す  る請願武田一夫紹介)(第五八七五号)  商社養鶏インテグレーション進出阻止に関する  請願中村重光紹介)(第五八七六号) 同月十日  米の生産調整強制的配分及び買い入れ制限中  止等に関する請願津川武一紹介)(第六三  二一号)  鶏卵生産調整強化及び養鶏の経営安定に関す  る請願工藤晃君(共)紹介)(第六三二二  号)  同(小林政子紹介)(第六三二三号)  同(津川武一紹介)(第六三二四号)  同(不破哲三紹介)(第六三二五号)  同(松本善明紹介)(第六三二六号)  農畜産物輸入枠拡大反対等に関する請願(津  川武一紹介)(第六三二七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件  鶏卵生産調整強化等に関する件      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 この際、前回に引き続いて、今年度決定される生産者米価並びに麦価の問題を中心にして、主要な点について質問をいたします。  きょうは食糧庁長官出席されていますが、血圧はいいですか。健康状態を先に聞いておかぬと……。
  4. 澤邊守

    澤邊政府委員 大分御心配いただきましてありがとうございました。塩気を断っておりますので、目下のところ安定いたしております。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 今月の十日に全中を中心とした農協関係全国農業会議所が五十三年度の新しい生産者要求米価を公表したわけでございます。この主要な点については前回委員会で私から指摘をしたわけでございますが、従来の八〇%バルクライン方式、いわゆる限界地生産費方式を改めて、おおよそ農林省と同じような平均生産費方式でことしは要求米価算定したわけであります。同じ平均生産費といいましても、その要素採用の点については相当相違点があるわけでありまして、主たる点は、まず地代のとり方自家労働による製造業労賃とり方、それから労働時間につきましても、農林省が認めておらないところの企画管理労働投下労働時間に算入するというような問題、これらの三点に昨年農林省算定した要素との一番大きな懸隔があるわけでございます。さらに、社会党といたしましては、六十キロ当たり生産費の最大の基礎をなす、いわゆる生産費計算分母となるべき収量とり方については、農林省の最近行っておる数量のとり方については根本的に問題がある、この点を特に指摘しておいたわけであります。  そこで、この点についてさらに詳しく質問をいたします。先般統計情報部長に対して具体的な問題点について質問をしたわけでございますが、時間の関係でまだ十分尽くせない点もありますけれども、この際、毎年毎年農林省が設定する水稲の平年収量というものが公表されるわけでありますが、この平年収量というものはいかなる目的をもって設定されて、これがどのように活用されておるか、すなわち四十八年から昨年五十二年までの五年間に毎年の平均収量というものがどういうように変化をして、それに対して毎年の実収量がどういう実績を示して、この関係作況指数としてあらわれておるわけでありますから、そういう点について資料に基づいて説明をしてもらいたいと思います。
  6. 柳井昭司

    柳井説明員 平年反収について申し上げますと、平年反収は、その年の気象推移やあるいは被害状況発生など、これが平年並みであるというふうに見まして、その上で最近の栽培技術進歩度合いやあるいは作付変動等を考慮いたしまして、実収量趨勢をもとにして作成しておるものでございまして、その年の予想される十アール当たり収量というものを平年収量と私たち称しておるわけでございます。  それで、その平年収量設定状況でございますが、水稲でございますが、四十七年が四百四十二キロ、それから四十八年が四百四十四キロ、四十九年が四百四十六キロ、五十年が四百五十キロ、五十一年が四百五十五キロ、五十二年が四百五十五キロ、こういうふうになっておるわけでございます。  それで、作物統計におきましては、これは一般に全作付農家におけるところの生産量反収において見ておるわけでございますが、その数字でございますと四十七年に四百五十六キロ、四十八年が四百七十キロ、四十九年が四百五十五キロ、五十年が四百八十一キロ、五十一年が四百二十七キロ、それから五十二年が四百七十八キロ、こういうことで、過去六年の推移を見ますと、五十一年、米が不作でございましたこの年におきましては平年収量を実際の収量が下回ってございますが、それ以外の年におきましては、いわゆる作物統計一般収量の方が平年収量を上回っておる、こういう状況でございます。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、最近は平年収量算出をどういう方法でやっておるのですか。     〔委員長退席、林(義)委員長代理着席
  8. 柳井昭司

    柳井説明員 平年収量算出につきましては、いま申し上げましたように、気象条件とか被害状況等は平年並みというふうに見まして、最近の栽培技術等進歩度合いというようなものを見る、こういうふうな考え方のもとにおきまして、過去七年間なりあるいは過去五年間の最高あるいは最低の数字を除いた平年のとり方とか、あるいは長期的に見ましてどのような趨勢になっておるかとか、そういうようないろいろな諸要素といいますか方式でいろいろ検討いたしました上で、各農政局局長の御意見等を十分勘案するとともに、農林統計審議会における作況部会先生方の御意見等をお聞きした上で決定する、こういう方式をとっているわけでございます。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 それは違うのじゃないですか。そういう漠然とした抽象的な基礎の上に立ってやるのじゃないでしょう。一定方式というものがあるのじゃないですか。これは担当課長でもいいですよ。全く頼りないような平年収量とり方ということじゃ、何のためにこういうものが必要だということになるのですか。担当者でいいです。
  10. 柳井昭司

    柳井説明員 ただいま申し上げました点に若干補足して申し上げますと、過去の趨勢値算出する過程におきまして、やはりワンシグマと言いますか、以内のものをとるということで、たとえば五年なりあるいは七年なりさらに長期の趨勢値の中におきまして、ワンシグマ以上のものは除いてワンシグマ内に収斂するような、そういう数字をとっておるということを補足して申し上げます。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 それも違うのじゃないですか。何も無理することはないですよ、担当課長がおるでしょう。どういうわけで毎年毎年平年収量というものが決められるか。その中で五十一年度、五十二年度だけがどうして四百五十五キロになっておるかという問題とか、何か一定の法則の上に立たぬとこういう数字は出てこないと思うのですよ。これはだれか計算する人おるのでしょう。柳井部長といったって昔は統計にいたわけじゃないのだから……。
  12. 柳井昭司

    柳井説明員 その算出方法につきましては、一つ方式ということではございませんで、先ほど申し上げましたように、過去の実績をベースにしてそれに最近の技術を勘案する、こういうことでございまして、その場合には、長期的に見る場合、それから七年、五年というようなそういうような形の中で大体標準偏差内の数字を出して、それが最近における各県の作付がふえているとか減っているとか、あるいは新品種が導入されて伸びてきているかどうかとか、そういうような諸条件というものを考慮いたしまして、学識経験者等意見を聞いて決めておるということでございまして、必ずしも一つ方式によって定めておるというわけではございません。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 具体的な論議は後ですることにして、それでは統計情報部長に聞きますが、こうした平年収量なるものは、単に毎年毎年のたとえば八月から始まる各期別作況指数基礎に使うだけの目的じゃないのでしょう。
  14. 柳井昭司

    柳井説明員 平年反収使用目的でございますが、これはやはり、いま先生からお話のございましたように、作柄というものを見る場合における一つの基準というふうな形になりますほか、やはり共済等におきましてこの数字というものが利用されるというようなふうに、非常に多角的に利用されているというふうに考えております。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは意見として聞きますが、農林省が毎年算定する生産者米価収量採用方法ですが、いままでのような統計情報部の毎年の生産費調査収量よりも、むしろ平年収量なるものを生産者米価算定分母となる収量に使うというようなことの方が妥当性が強いというふうに私は考えるわけですが、その点はどう考えていますか。
  16. 柳井昭司

    柳井説明員 ただいま申し上げましたように、平年収量は、その年の気象推移なりあるいは被害発生状況、そういうものを平年作と見まして、それに最近の作付動向というようなものを勘案いたしまして、ある程度その年の予想される十アール当たり収量算出しておるわけでございますが、一方の生産費におきましては、米を一俵以上販売する農家の中からランダムに抽出した農家単位といたしまして、その農家作付地平均反収をとっておりますとともに、農家単位に見まして、異常災害、これは減収率が二〇%以上の農家、こういうものを除きまして、通常の米作農家平均反収というものをはじいておるということでございまして、生産費と平年収量のそれぞれの目的なりあるいは性格の違いというものがあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いておるのは、性格の違いはそれはもちろんありますよ。しかし、分母とする収量とり方の場合は、わずか二千七百戸の委託農家平均収量だけを頼りにするということになると非常に実態とかけ離れておるでしょう。それは前回も指摘したように、もう一度言いますと、昭和五十一年度の平年収量は四百五十五キロ、実収量は四百二十七キロ、生産費収量は四百八十六キロでしょう。この実収量は平年収量に対して作況指数が九四ということになって平年以下になっておる。ところが生産費収量は平年収量を三十一キロ上回っているわけですから、そういうような収量というものは、全国を襲った冷害年における平均生産費米価計算する場合の分母として採用するということに対しては、これはここに大きな誤りがあるのですよ。分母が大きくなれば米価が低くなるというだけのねらいで、こういう全く科学性のない数字を毎年毎年使っておるわけでしょう。だから、むしろ、平年の生産が期待されるという基礎になる平年収量というものはあらゆる角度から検討して設定するということになれば、たとえば五十三年度の平年収量はまだ設定していないかもしれぬが、五十一年、五十二年は四百五十五キロということになっておるわけです。これは昨年の実収から見ると作況指数は一〇五ということになっておるわけですから、こういう数字を使った方が、過去三年の平均も何も要らぬでしょう。過去三年とか五年の平均値もこの平年収量の中に含まれておるわけですから、凹凸のある実績収量を三年間平均するという必要も何もないわけだ。こういうものを使っても何もそれは計算にならぬというわけじゃないでしょう。意見がなければいいですよ。それも一つの有力な方法であるという意見がもしあれば、ここで率直に述べていただきたい。
  18. 澤邊守

    澤邊政府委員 米価算定に関連する問題でございますので、私の方からお答えを申し上げたいと思います。  平年収量分母にして割って算定すべきであるというような御意見のように承ったわけでございますが、現在の米価算定生産費所得補償方式と申しますのは、その基礎となる生産費も、これはまた評価替えを始終やっておりますけれども評価替えも過去に実現したデータ……(芳賀委員分母になる収量とり方について統計情報部長の見解をいま聞いておるのだ」と呼ぶ)米価算定に関連しますので私の方からお答えしたいと思いますけれども、過去において実現したデータをもって算定するという現行のやり方になっておるわけでございますので、割る方の収量だけ——平年収量といいますものは過去のデータではございません。今年度の平年作の場合の予想収量という性格のものでございますので、そういたしますと、生産費そのものも過去の実績ではなくして今年度の予想というものをとらなければ分子分母が整合しないというようなことにもなる。そういう点で、現在の私どもやり方といたしましては、あくまでも過去のデータ評価替えする際も直近の過去のデータをすべて使うというやり方をしておりますので、そのように分母を過去のデータでないものを使うということになれば、分子生産費自体もあるいは評価替え仕方自体も今後の予想を用いなければいけないというようなことになるのではないかというふうなことがございますので、整合性を持ってやりますためには過去のデータで一貫すべきではないか、こういうような考えに基づいてやっておるということでございます。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 これは別に議論に値しないのは、たとえば五十一年の四百五十五キロにしても五十二年の四百五十五キロにしても、この数字は五十一年、五十二年の収量実績の中には含まっておるでしょう。全然ないですか、この水準というものは。あるでしょう。ないものを言っているんじゃないですよ。完全な実績基礎にするということになれば、これは毎年の実収量基礎にする方がいいじゃないですか、米の全生産農家とか全販売農家。これは調査農家平均収量を出す場合にも、生産費調査農家の総収量を総面積で割るから五十一年度四百八十六キロなら六キロになるわけでしょう。そうじゃないですか。それから実収量の場合は、全国の全生産量を全耕作面積で割るから、五十一年の場合には四百二十七キロということになるわけでしょう。全部を対象にするか、ごく一部を対象にするか。対象戸数面積はそうしても、とにかくその対象の全収量を総面積で割って初めて収量というものが出るわけですからね。だから、実収量はだめで調査収量が適当だなんということにはならぬですよ。そういうでたらめなことをやるから、前回も言ったとおり五十一年度は実収量は四百二十七キロ、生産費収量は四百八十六キロで、これは十アール当たり五十九キロ差があるわけだから、五十九キロというのは六十キロ、一俵でしょう。しかもこの年はかってない冷害年である。冷害年で、作況指数は平年収量に対して指数九四であるにもかかわらず、生産費農家収量は平年をさらに上回る四百八十六キロ、こういう調査農家収量というものが出ておるわけでしょう。     〔林(義)委員長代理退席委員長着席〕 これを昨年も一昨年も使ったわけです。だから、これは確かに収量は多いですよ。多い収量分母に使う場合と、全国収量とか極端な災害とか豊作を上下除いた中庸的な平年収量をとっても、何もこれはだめなんだということにならぬじゃないですか。ほかの算定要素も、大体過去三年を修正値を使って決定年に全部修正をして、そこで要素数字を決めているわけでしょう。これは全部置きかえているのじゃないですか。これだけはだめなんだということじゃないですよ。  それから長官は、私が平年収量をとるのが望ましいと言ったということを言ったが、そうじゃないですよ。社会党は以前から、生産費とり方についてはあくまでも限界地による生産費方式でなければならぬ。だからその方法としては、たとえば八〇%バルク方式であるとか、昭和四十二、三年ころに農林省採用した生産費収量に対してワンシグマを引いて、そして標準偏差によって大体販売農家の八四%程度がカバーできる。これもやはり限界地生産費方式ですからね。社会党は、あくまでも米生産農家のどれだけの範囲というものを政府が毎年決める米価算定あるいは価格の中に包容できるかということを考えてやっておるわけだから、その点は間違えないようにしてもらわぬとね。農協政府と同じ平均生産費の土俵に上がることになったことはもう前回から大臣にも言っているわけだから。しかし、上がるのはいいが、要素とり方がその中で違うと——大きな相違点については、当然決定前に事務当局でできるだけ事前協議をやるとか、あるいは首脳部大臣の会見の中で詰めるとかということはどうしても必要じゃないかということは、前回事務当局にも大臣にも私から指摘してあるわけなんです。だから、ことしのやり方というものは問題はどうするんだ、収量とり方というものについてはどうするかということについて、事務屋責任者長官から説明してもらいましょう。
  20. 澤邊守

    澤邊政府委員 今年度の算定やり方につきましては、生産費所得補償方式でやるという大枠はもちろん決まっておりますけれどもデータの一番重要な基礎になります昨年度の生産費調査そのものがまだ出されておりません。それからまた、五月という、七月に決定いたします場合の最近月の物価とか賃金等データももちろん出ておりませんので、現在具体的に算定するところまで至っておりませんけれども、私どもといたしましては、今後検討する際、従来の考え方基礎にしながら検討してまいりたいというように思っております。  そこで、先生先ほどちょっとおっしゃいました統計によります実績反収、これと生産費調査反収、それから私ども米価算定上割る場合の分母として用いております反収が違うわけでございますが、これは先生すでに御承知のように、実績反収といいますのは、実際にとれたものを農家全体について、災害農家とかあるいは非販売農家、それから一俵以下の販売農家等も全部入っておりますので、そこでおのずから反収差が出てくるわけでございます。私どもといたしましては、従来の算定やり方といたしましては全農家生産費調査をやっておるわけではございませんので、統計情報部がやっております生産費調査対象農家生産費を調べまして、それを割るのは同じ生産費調査農家反収、ただし私どもの場合は、これまではそれを五俵以上というものについてのみ取り上げまして割っておるわけでございます。したがいまして、分子生産費調査を用いざるを得ない、そのほかの生産費はわからぬわけでございますので、ということでありまするならば、分母で割る方も生産費調査農家反収を用いるというのが整合性を保つ意味からも必要であるというように考えておるわけでございまして、この点につきましては、農業協同組合の例年の御要求やり方も、その点に関する考え方は同じようなやり方をやっておるわけでございます。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは昨年の政府の行った計算によると、いま長官の言った米販売農家の何十%がカバーされておるのですか。
  22. 澤邊守

    澤邊政府委員 詳しいデータはいま手元にございませんのでラウンドで申し上げて恐縮でございますが、五十一年度におきまして、販売農家につきまして平均生産費で四〇%をカバーいたしております。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 五十一年が四〇%。五十二年はどうなっていますか。
  24. 澤邊守

    澤邊政府委員 五十二年は、先ほどお答えいたしましたように、生産費調査が出ておりませんのでまだわかりません。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 五十二年というのはもう米価決定をして買い上げをやっておるじゃないですか。わからぬということはないじゃないか。
  26. 澤邊守

    澤邊政府委員 五十二年産生産費調査そのもの統計情報部において現在鋭意集計中でございますので、米価算定までには間に合わせていただくように毎年急いでお願いしておるわけでございますが、公表されておりませんので、ただいまの御質問にお答えするデータがございません。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 傾向的に聞きますけれども、毎年毎年米価が据え置きになれば、結局そのことは、販売農家カバー率が下がるということになるのじゃないですか。
  28. 澤邊守

    澤邊政府委員 一般的な御質問でございますので、生産費調査生産費が毎年上がるか下がるかということは、現段階微妙なときでございますので、五十二年産について出ておりませんので何とも申し上げかねますけれども、従来の傾向で上がる傾向が続くということでございまして、仮にいま先生がおっしゃったように平均生産費が上がりながら米価そのものは据え置くということになりますれば、先ほど申しました戸数でのカバー率おおむね四〇%というのは低下をするということは理論的には推定されるところでございます。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 これは大臣からでもいいのですが、去年の結果がどうなったかということがいまの時点でまだわからぬわけですからね。そうすると、ことしの政府買い入れ米価というのは七月に決まるわけですけれども、その場合の生産費は、平均生産費方式所得補償を原則にして計算する。その場合、政府の決めるいわゆる平均生産費によった米価というものは、予測としてはその年度の米販売農家の全体の何十%を決定米価によってカバーしなければならぬということを念頭にして計算するのですか。そんなことはどうでもいいということでやるか。これは大事な点ですから…
  30. 澤邊守

    澤邊政府委員 いまの御質問大臣からお答えいただくことでございますが、私のお答えいたしましたことがちょっと舌足らずの点がございましたので補足だけさせていただきますが、先ほどお尋ねになりましたのは生産費調査によるカバー率ということでございますけれども、私ども生産費調査の結果そのもの米価算定をしておるわけではございませんので、評価替えをいたしておりますから、先ほどのカバー率というものを五十一年度について申し上げましたけれども、これは四〇%というのは、実際の米価がどの程度の農家生産費をカバーしておるかという点は四〇%より上がることになります。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 長官、おかしいじゃないか。一回一回答弁が違うじゃないか。最初はあくまでも実績値を採用しなければ米価計算はできないのだ、推定ではだめなんだということを言っておきながら、今度は、いやそんなものを使っているのじゃないと言う。一貫性がないとだめなんだよ、答弁というものは。それでは、わからなければ、収量カバー率はどうなっているのですか。米販売農家収量カバー率が毎年何十%になっているか。
  32. 澤邊守

    澤邊政府委員 あくまでも五十一年産についてでございますが、平均生産費カバー率を、戸数でいきまして四〇%というふうに先ほど申し上げましたけれども、これは生産量ではちょっとやっておりませんが、販売数量では六〇%ということでございます。  なお、先ほど私が補足で申し上げましたのは、決定米価生産費そのものでやっておりませんので、生産費よりは高いところで決めておりますので、それによるカバー率というものはおのずから生産費そのものによるカバー率とは違うわけでございますので、それよりは上がる、こういうことを申し上げたわけでございます。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 何にも違わぬじゃないか。違うのは、自家労賃のとり方統計調査の場合と米価決定の場合、その分だけが違うのでしょう。所得の分ですね。自家労賃の評価だけが違っているわけであって、それはちゃんと生産費所得補償方式でやりますということになっているから、いやでも他産業労賃、製造業労賃農家の自家労賃に当てはめる、この分は最初から約束事として違っているわけだから、それ以外は全部生産費調査の季節的な要素というものを使っておるわけでしょう。一貫性がないじゃないですか。農家収量面では、この分母を使った場合に何十%ぐらいカバーしているんですか。
  34. 澤邊守

    澤邊政府委員 ただいま申し上げましたように、販売数量でのシェアをいま押さえておりますけれども生産量でのシェアは現在手元に持っておりませんので、お答えいたしかねます。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 食糧庁長官、これは大事ですよ。米の生産あるいは需給見通しというのは、毎年毎年生産費調査収量とかでやっておるんじゃないでしょう。やはり実績基礎にするか、平年収量というものを基礎にして毎年の需給計画というのを策定しているんじゃないですか。その場合には生産費調査収量というのは何も使っていないでしょう。こんなものは使えないわけだからね。これでやったらまたまた何百万トン米が余り過ぎるということで、大臣もこれはどうしようもないということになるわけだからね。それほどにこの収量とり方は、これだけが絶対のものだということではないことを明らかにしておいてもらいたいと思うのですよね。農林大臣としてあなたがことしはどういう収量を使うということを決裁するのでしょう。この際、大臣からその点を説明しておいてもらいたいと思います。
  36. 中川一郎

    ○中川国務大臣 お米につきましては、所得補償方式という基本はありますけれども、その計算の仕方というものはいろいろあるだろうと思うのです。したがって、戦後三十二年間計算いたしましても、収量とり方とか、バルクラインとか、労賃のとり方等々いろいろ議論はあるところでありまして、これが絶対いいものだということではない。しかし、全体として米が過剰傾向にあるときにはなるべく自粛したとり方を、それから米が少ないときには、やはり意欲的に生産ができるような所得補償方式の枠の中でときどきに応じてしんしゃくするということはもう実績から見ても明らかなところであり、またその辺が運用の妙味でもあろうと思います。ですから固定的には考えませんけれども、今日のような異常な過剰傾向のときに、はっきり言えば上がる方というか、そういうような要素、従来なかったものを足すというような仕組みがいいかどうかについては、これはまた議論をさせなければいけませんが、芳賀委員の言われるように、これが絶対のものであるというものでないことだけははっきり言えると存じます。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 いまの答弁は非常に率直でわかりやすいですよ。問題は、米価決定に当たってその価格をどうするという調整手段というものは、結局分母になる収量によるよりしようがない。据え置きにしようとすれば、据え置きになるような分母をつくって使えばいいわけですからね。それから生産促進をしなきゃならぬということになれば、実態に合ったような分母である収量を使えばいいということになるわけですね。ただ、それにも限度があるでしょう。何が何でもことしは据え置きにしなきゃならぬから、一番上位の収量を使って据え置きになるようにしろというようなことまでやり出すと、これは信頼性というものは全く失ってしまうですからね。それはもう方程式でなくなっちゃうわけですからね。この点は、生産者団体もせっかく同じ土俵へ上がるわけだから、相当慎重に、生産者が見ても一般国民が見ても妥当性があるということで、この収量についても十分な検討をする必要があると思うのですよ。その点はどうですか。
  38. 中川一郎

    ○中川国務大臣 先ほど申し上げましたように、これが絶対的なものとは思いませんが、生産費調査の場合には、一定農家対象として、幾ら経費がかかり、そして幾ら収量があったか、こういう調査をつまびらかにするわけでございます。したがいまして、その平均的な経費、そしてまた平均的な収量というもので割っていってコストをはじく以外にない。要るだけの生産費を、生産費調査でやったものを、今度は全国平均災害農家も、あるいは五俵以下の農家のものも含めまして実収が少ないからということで割ることは、まあ無理してやれといえば絶対やっちゃいかぬということではないけれども計算の仕方としてそういうことはなじむのかなあという疑問は持ちますけれども、いまの場合には、生産費調査によるコストと、そして生産量で割って反収を出していくというのがまあまあいい方法ではないか、こう思うわけでございます。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、生産費調査収量のその大きな問題点一つだけ指摘しておきますが、昭和五十一年の生産費調査は、特に北海道、東北等においては被害率三〇%を超えているわけですからね。米の生産費調査ですから、調査農家というのは当然無作為で抽出して全国的に分布してなければならぬはずでしょう。ところが、この生産費調査を集計する場合には、まず被害率二〇%以上の農家というものはこの対象から外すことになるわけですからね。せっかく調査農家に依頼をして、一年じゅう生産費の記帳とか実測をやってもらって、結果的に不可抗力の天災等によって生じた災害が二〇%以上あるという場合には、おまえさんのやつはだめだ、こういうことで生産費調査の集約をするわけですからね。  そこで、これは統計情報部からでもいいですけれども、五十一年度の対象農家の中で、三〇%以上被害があるということで除外した調査農家というのは一体どのぐらいあるわけですか。これは野帳でわかるでしょう。これは場合によっては北海道は全部外してあるかもしれませんよ。東北も被害甚大な県は全部外しているかもしれぬ。これが一体どうなっているかです。
  40. 柳井昭司

    柳井説明員 五十一年の米生産費調査結果で、いま先生のお話がございましたように、減収率二 〇%以上の災害農家を除いているわけでございますが、全調査戸数が三千百八十八戸のうち、災害農家としましては二百三十五戸ということでございます。ちなみに、北海道の場合におきましては、六十一月の調査農家のうち二十九戸は除かれておる。それから東北の場合におきましては、六百九戸のうち七十一戸が除かれている、主要な地域について申し上げますとそういう状況でございます。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなると、北海道は六十一戸の半分を除外してしまった。そういうものを除くから、結果的に平年収量よりも被害年の収量の方がはるかに上回るという結果になるわけでしょう。こんな数字で、これが分母として一番都合がいいなんというわけにはいかぬじゃないですか。だから、結局、かつてはこの生産収量から標準偏差、つまり一シグマを除いた収量をもって分母にする、これは大体毎年の実収量とそう違いがないのです。そういうことをいままでやっているわけだから。いまやれと言ったってやる力はないでしょう。強いてこれはこの程度でとどめておきます。  その次には、地代についてお尋ねいたします。  前回は食糧庁だけに対して地代の問題をただしたわけですが、きょうは構造改善局長から、まず地代について、地代の定義というか概論というか、地代というものが一体どういうものだということを基礎にして、そうして生産費の場合の地代とか米価決定の地代というものは、総体の地代の中のこういう部分だけを抽出して、統制小作料とかあるいは小作地の実納小作料とかをやっているとか、そういう点について、担当局長として具体的に説明をしておいてもらいたいと思います。
  42. 大場敏彦

    ○大場政府委員 小作料、地代は、土地の利用関係の対価という形で、貸し手と借り手の間の自由契約によって決まっているというのが現状でございますが、その中には、昭和四十五年以前の個人にかかわる小作地についての小作料につきましては、御存じのとおり、経過的に十年という経過期間がありますが、統制小作料というものが設定されている。それ以外の四十五年以降に設定されました小作関係につきましては、これまた御存じのとおり、標準小作料制度というものが設定されて、それを基準にして当事者間の自由な取引によって小作料の具体的な価格が決定されている。こういうような形で現実に小作料の具体的な対価が決定されて支払われている中で、統制小作料という方式で統制価格がかぶさっているもの、あるいは統制小作料が外されて自由な取引に任されているもの、こういったことに分かれているというのが実態で、その中で現実の小作料関係の具体的な額が決まっているというのが実態であろうと思います。  それから、具体的にその統制小作料あるいは標準小作料というものがどういうような関係になっているかということにつきまして御説明申し上げますと、現在時点で申し上げますと、大体小作地の総体が、ラウンドナンバーで申し上げますと、現在時点におきまして二十五万三千ヘクタール、その中でただいま申し上げました統制小作料が適用されている小作地というものが二十二万ヘクタール、それから標準小作料が適用されている小作地面積というものが約三万ヘクタールというふうに類推しておりまして、それぞれ八七%、一三%、こういった状況でございます。  それから、具体的に形成されている小作料とそれから米価の中に算定すべき小作料、ことに米価算定の中でいろいろ御議論になっておりますものは、小作地の小作料ではなくて、自作地における小作料というものを擬制的にどういうぐあいに評価するか、こういった問題であろうかと思いますが、これは現実に形成されている小作料とは一応別個の問題として、いわば擬制的計算として、どういうぐあいにそれを原価性を持つものとして、ほかの方の原価要素との関係から米価算定上考慮するかという問題と実はかかわってくるだろうと思うわけであります。そういう意味で、これは食糧の管理という立場からの、米価形成という立場からの別の御判断にお任せしているというのが現在の実態でございます。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 大場局長は、地代というものはもうすべて小作料というふうに考えておるわけですか。大場局長というより、農林省としては、現在の地代の解釈というものは、地代即小作料というふうな狭い概念に立っておるわけですか。これは大事な点ですから、農林省として統一的な見解を述べてもらいたい。
  44. 大場敏彦

    ○大場政府委員 これは地代の概念は、経済学の基礎的な議論として昔からあるわけでありますけれども、私が申し上げましたのは、地代が現実に具体的に形成されているという場合には、それは小作料という関係で発現されている、具体化されているということでありまして、地代、それは土地の使用料という形でありまして、それが自作地あるいは小作地という場合にはそれぞれの形成の仕方というものがあり得るわけでありますけれども、現実にそれが対価というかっこうで形成されている場合には小作料というかっこうで出てくるということであろうと思います。
  45. 芳賀貢

    芳賀委員 地代というのは小作料によっても一部表現されておるけれども、それでは、小作料ということになれば、賃貸借契約等に基づいて借地をして耕作をする場合の地代という形で小作料が納入されるわけでしょう。それが日本においては全体から見ると小部分のものである。ところが九〇何%これは自作地ですからね。不在地主とか不耕作地主というのはいまはほとんどいないわけだから、自作地ということになれば、自分の所有農地において、家族を中心にして自家労働を行って、その土地から生産を上げておるわけでしょう。その場合の地代ということになれば、もちろんこの生産の手段となる土地そのものに対して付与される地代部分、あるいは自作地において農耕に従事しておる耕作者に対する利潤と合わせての地代部分というのは、当然これは付与されなければならぬわけですからね。だから、自作地についてこの統制小作料の五千六百六十四円あたりでも、これは必要がないとか、多過ぎるとか、ありがたく思えというような、もし農林省としてそういう思想を基礎にして、それを米価算定の地代の重要な要素に使うということになれば、これは問題ですよ。その点を農地制度担当の大場局長としてどう考えておるか。これは地代が安ければ安いほどマイナス要素だから、米価は下がるのですよ。収量が多ければ多いほど米価は安くなるのですからね。これは余りでたらめ過ぎるじゃないかと私は思っておるのですよ。それを、かつては全体に対して実納小作料を採用した時代もある。ある時代には、統制小作料と実納小作料というものを折衷して地代とした場合もある。現在の場合には、昭和五十一年は生産費地代は二万一千五百七十七円、統制小作料は五千六百六十四円、米価算定の地代は七千五百三十六円。だから、生産費調査の場合の地代のちょうど三分の一が米価算定の地代ということになっておるわけですからね。この点は農協平均生産費基礎に立った地代との相違点というものが非常に大きいわけですから、これは当然大きな論争になると思いますからね。こういう点についても大臣として十分な事前の検討をしてもらいたいと思います。  それから、時間の関係でもう一点でやめておきますが、生産費調査の租税公課諸負担の金額と、米価決定の場合の租税公課諸負担の額が非常に違っておるわけですね。生産費調査の租税公課諸負担というものを米価算定上それを採用するということになっておるが、この点について、米価決定の場合の物件税及び公課諸負担というのは、五十一年が十アール千百六十八円、五十二年の千二百六十三円。それから生産費調査の場合は、五十一年が三千三百八十五円、五十二年はまだ公表されませんが、こうなると、この部分だけでちょうど生産費調査の三分の一程度しか米価算定の場合にはこの要素というものは使われておらないということになるわけですね。こういうのは明らかな相違点ですが、特に米価決定の場合は土地改良とか整理費等の費用というのはどこで見ておるわけですか。
  46. 澤邊守

    澤邊政府委員 御質問の趣旨を全部あるいは理解できなかった面もあるかと思いますけれども、現在米価決定に組み込んでおります租税公課は、物件税と公課諸負担でございますが、物件税は、固定資産税、自動車税、軽自動車税、家畜または牛馬税、水利地益税、その他の物件税からなっておりますし、公課諸負担というのは部落協議費、農業協同組合費、農事実行組合費、農業共済賦課金、それから農民組合費その他の公租公課諸負担からなっております。生産費調査において行っております租税公課も物件税と公課諸負担からなっておりまして、物件税につきましては、いま申し上げました米価算定に組み入れられているものと同じでございますけれども、公課諸負担につきましては、先ほど申し上げました米価算定に組み入れられるもののほかに、農業共済掛金——賦課金は入っていると先ほど申しましたが、共済掛金が生産費調査の分に入っておりまして、私ども米価算定の際には入れておらないということでございます。  なぜ私の方の米価算定を行います際にこれを入れておらないかといいますのは、共済掛金というのは農業共済の受取金という形でいずれは返ってくるという意味で相殺されるというふうに考えられますので、米価の中に掛金を含んで米価として実現する、そしてまた別途共済金としてそれが返ってくるということになりますと二重払いになるというような考え方から、それらを除いておるというやり方をいたしておるわけでございます。農業協同組合等が出しております要求の中でも、その点だけは違って、あとは大体同じ考え方、もちろん額のとり方につきましては調査が違いますので差がございますけれども、入れておる租税公課の範囲はただいまの点一点を除きましてあとは同じになっております。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は金額の相違が明らかになっておるわけだから、その内訳について食糧庁とそれから統計情報部双方から対照した資料を出してください。  大臣に最後にお尋ねしますが、農協関係生産費米価の中には企画管理労働、これは過去三年平均で十アール当たり三時間を投下しておる。だからこれを労働時間の中に取り入れるべきであるという要素が出てきておるわけです。これについては検討されたのですか。
  48. 中川一郎

    ○中川国務大臣 企画管理労働については、われわれも米価の際に長年議論したところでございます。しかし、一体企画管理労働がいかほど実際使われておるのかということになりますと、数字の上では出てこないということが一番のネックでございまして、そういったはっきりしない数字米価に入れることはなじまないということで、議論はしますけれども、なかなか入り得なかったところであります。農協で今度数字を出しておるそうでございますが、根拠がどういうことで、実態に合った数字が出ておるか、これから相談はしてみたいと思いますが、従来はそういった観点からなかなか入り得ないところであるということでございまして、研究はさせていただきたいと存じます。
  49. 中尾栄一

  50. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農業基本法問題、農産物輸入、北洋漁業の減船に伴う漁船乗組員救済等について、農林大臣質問いたします。  農林大臣は去る五月十五日、日本農業新聞主催の藤田全国農協中央会会長との対談で、農業基本法の改正問題に触れ、「国民にも農業を理解してほしいし、農業の方も消費者のことを理解する。これがどうしても必要な時代ではないか。こうしたことから農業基本法を見直してみようということで、この中で農業の意義づけをきちっとし、その上で何をやるか考え直してみようということだ」と述べ、農基法を消費者対応の面からも見直しをする意向のようでございますが、これに対して藤田会長も「農業基本法については、まずたたき台として、農基法が農政の憲法として妥当かどうか、研究することが必要だ」、こういった趣旨のことをおっしゃっておられるようですけれども、過般、当委員会政府当局にこの点もいろいろお伺いしたところでございますが、重要な問題でございますので、米価シーズンを前に農林大臣のこの発言の真意を改めて当委員会でお伺いしておきたい。
  51. 中川一郎

    ○中川国務大臣 現在の農業の基本をなしております基本法は、今日の農業においてもそれほど間違いないといいますか、現在の農政を遂行する上に支障のあるものとは思いませんけれども、今日また農業というものは、食糧を確保する、あるいは農家経済を安定的なものにする、あるいは国民食糧の確保は国防的意義を持つ、あるいはまた農業人口というものは国家社会形成の上に民族発展の上に大事である、こういう幾つかの要素も議論されておるところでございます。したがいまして、そういった今日の農業の位置づけを農業基本法を含めまして検討してみたらどうかという御意見が農業団体からもございましたので、それは結構ではないか、りっぱな基本法ではあるけれども、これを議論する、検討してみようということは結構なことであろうということで、改正を前提としたというわけではありませんけれども、今日の農業基本法が今日の農業にぴたっとしたものであるかどうかということを含めまして、農政全体のあり方について検討の場をつくりたい、お互いに勉強してみようではないか、こういうことでありまして、今後、きょうも開いておりますが、農政審議会等において広い意味で農業というものをひとつ見直してみよう、こういうことでございます。
  52. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣はこの農業基本法に対する発言において、農林省に対して事務レベルの検討を指示されたのか。その点はどうなんですか。
  53. 中川一郎

    ○中川国務大臣 指示したというわけではありませんが、私がそういう考え方であることは農林省全体の考え方でもございますので、農政審議会等今後のスケジュールその他については、当然のこととして事務当局も対応していくということになっておるわけでございます。こういう内容でこう改正しろというような中身は触れておりませんけれども、先ほど申し上げたような趣旨で今後検討の場をつくっていく、そしてまた、その場合の材料提供等は当然農林省がしていく、こういうことになろうと存じます。
  54. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣は、改正を前提としたものではないが検討の場をつくっていくという、こういった意味のことをおっしゃいましたが、農家を初め団体の皆さんも、私、各地を回っていろいろお伺いする中で、今回の農林大臣のこの発言というものはある意味では前向きの考えで結構である。むしろ農業基本法の改正については遅きに失した、当然のことである、こういう意見があると同時に、また反面、消費者の立場から見直す、こういうふうに言っているが、どういう立場から見直すと言ったのであろうかというところにいろいろ疑問が持たれる。ということは、確かに消費者の立場から見直すことについてはわれわれもやぶさかではございません、必要であると考えております。とりわけ現在のように内憂外患という、農産物の輸入外圧に神経過敏になっている農家に対して、また苦境に立たされている農家に対して、このような状況下でこういった示唆をなさったということについては、農産物輸入拡大を容易にするための状況づくりのにおいがせぬでもないという、こういういわば逆の見方をする農家また団体の皆さんもかなりあるわけでございます。  そういうわけで、二つにいろいろと意見が勘ぐられておるわけでございますけれども、以下いろいろ質問する内容にも触れることになりますが、こういったことを国民の皆さんがいろいろ疑念を抱いておりますけれども、この点についても大臣の明快なる所信をお知らせいただきたい、かように思うわけです。
  55. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いまの御質問の中に、農業の位置づけをはっきりした基本法の改正は歓迎するという意見と、もう一つは、その裏には消費者本位になって輸入を促進するのではないかという懸念がある、その辺はっきりしろ、こういうことでございますが、後段の外国から輸入して日本の消費者だけを考える、そういう意図では毛頭ないということだけははっきり申し上げておきます。  むしろ、農業についていろいろの意見がある。輸入した方がいいのではないかとかというような意見もありますので、農業というものは単なる国民に食糧を確保するというだけではないという意味で、農業の持つ意義というものを明確にするということから発想したものでございまして、消費者本位にいこうじゃないかということではありません。しかし、農業を行うに当たって消費者を無視した農業というものはない。やはり消費者に喜ばれる農業、これは外国から入れるという意味では決してありません。外国から入れるのは国内で自給率の足りないものを補足的に安定的に入れていくということを基本といたしておりますので、消費者本位のために日本の農村をおかしくして入れるという姿勢は私は二度もとったこともありませんし、そうあるべきではない。これはわが国だけではなくて、農業はそれぞれの国が保護政策をやって守っておるわけでございますから、特にわが国のような零細農業においてはその考え方を外してはならないということを基本として、農業を見直していきたいということでございます。  重ねて申し上げますが、輸入を容易にするという意味ではありませんし、消費者のことはいま言った生産を通じていろいろなサービス、流通コストを下げるとか、あるいは生産コストについても、国あるいは農家の皆さん、団体とが一体となって、安く生産され安く供給されるという努力はこれは当然必要でございますが、外国から入れるということを裏に持っているなんということは断じてないことを、重ねて重ねて申し上げておく次第でございます。
  56. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農業基本法の問題については、私も国会に籍を置くようになりましてからもう八年有半、何十回となく触れてきた経緯がございますけれども、今回の中川農林大臣のこの農業基本法に対する示唆に対しても、農業団体は次のように言っております。「日本の農業は有史以来の問題である米の百七十万トン」——三十九万一千ヘクタール「の生産調整に当面している。また、一面では外圧は強まるばかりである。政府が先に決めた国土利用計画では、ブロック別に農業サイドの問題、課題を提起している。三十六年にできた農業基本法はもはや色があせてきた。」すなわち、農業基本法制定当時は、農業の憲法としてわれわれはこれを大いに歓迎をし、また農協内部等でもずいぶん論議をしたところであるけれども、国民の中で、この農業基本法の制定というものは一つの宣言だということから、自主経営の育成、選択的拡大などをうたいまして、農業構造改善事業がスタートをしたわけであって、現在の農政の基本的な方向になっていることも事実でありますが、確かに色あせてきたということは改めて言うまでもなく、従来から指摘されたところであります。  そういったことで、さらに農業団体は、「政府は日本農業があるべき基本的な施策を確立すべきである。そうでなければ、農民が安心して生産に取り組み、自信を持って農業にいそしむことができない」、このように言っております。国民の中で農業の位置づけがあいまいのため外圧がある、こういったことでは農民もなかなか安定した農業を営めない。農家に不安を強めておるのであるから、何としても早急な検討をしていただきたい。確固たる基本方針を法律で定めなければ、要するに外国からも何だかんだと日本農業に対して外圧がかかってくるのは当然である、こういったことを団体等農民は各地で言っております。  そこで私は、この農業団体の意向を踏まえて、むしろ農業基本法の改正というものは遅きに失した、農林大臣の今回の発言というものは時宜に適した発言である、かように受けとめておるものでありますから、積極的にむしろ取り組んでやるべきでないか、こう思うのですが、大臣は積極的に取り組むというお考えはどういうふうにお持ちでございますか、お答えいただきたい。
  57. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私は私なりの意見もありますけれども、やはり多くの人の意見を聞く検討の場をつくりまして、各界各方面の意見を聞いた上で、その結果を踏まえまして強力に推進していきたい。審議会あるいはその他多くの人の意見を聞く前に、私からこういう方向でやってもらいたいと言うことは、むしろ民主的なこういった農政を取り扱う上の方法としては妥当でありません。しかし考え方としては、いま瀬野委員御指摘のように、今日の農業情勢は厳しくありますから、この厳しい時代に対応して農業の使命というものはどういうものであるかということを画然としたものとし、そしてその使命感に燃えまして、農業者が希望と誇りを持ってやれるような仕組みを考えていきたいということが基本にあるわけでございます。
  58. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、要は、私はタイミングの問題といいますか、時期の問題ではないかというふうに思うわけです。あなたもなかなか勇気ある発言をする方でありますけれども、ずいぶん慎重に発言なさっておるようですが、各界の意見を聞いても、また米審の委員のいろいろな意見等を個人的に聞いても、農業基本法に対する批判というものはかなり強いものがあります。そういった意味で、要は、生産者と消費者の相互理解が農業基本法の改正をどうするかということにかかっているのじゃないかというふうにも思いますが、時期の問題、タイミングの問題じゃないかというふうにも思うのですが、その点はどうですか、率直な意見をひとつ承っておきたい。
  59. 中川一郎

    ○中川国務大臣 こういう基本的に大事な問題でございますから、急がなければなりませんけれども、余り短兵急にいついつまでにこういうことでという性質のものではない。やはり十分意見を交換する時間と場を持ちましてやっていきたいと思いますが、やるに当たってのんびりゆっくりやっていいということではありませんで、それなりのスピードアップはいたしますが、タイミング、いつをめどにということは申し上げられませんが、できるだけ早い機会にしっかりしたものをつくっていきたい、こう思っております。
  60. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農基法については早い機会にしっかりしたものをつくっていきたいということでございますが、スピードを上げてということもございましたので、今後の農林大臣初め農林省当局の検討と積極的な推進を大いに期待をいたしまして、この問題については一応終わります。  次に、日米欧委員会における宮澤長官の発言についてお伺いしますけれども、宮澤経済企画庁長官は、去る六月十一日、ワシントンで開かれている日米欧三極委員会に参加した後記者会見して、米国が日本に強く要望している農産物の自由化問題について、米国の主張をある程度聞いて牛場対外経済担当相の帰国後国内で調整することになろうと米側に譲歩する姿勢を示したということで、われわれも大変ショックを受けております。これに対して農林大臣は宮澤発言を否定しているやに私は聞いておりますけれども、たしか昨日、十三日の閣議後の記者会見で、宮澤企画庁長官がワシントンで農産物輸入に関し対米譲歩を支持する発言を行ったことに触れて、否定的な感じの発言をなさったやにも聞いておりますけれども全国農家は大変なショックとまた影響を受けておりますが、大臣からこの席をかりて明快にひとつその考えを明らかにしていただきたい、かように思います。
  61. 中川一郎

    ○中川国務大臣 御承知のように、ことしの一月対米経済調整というのがございました。その中で、農業に関係いたしまして牛肉あるいはオレンジ、オレンジジュース等の調整が行われたわけでございまして、この点はいろいろの御批判はありましたが、基本的姿勢としては、日本の農政に影響を与えない、牛肉については高級牛肉ということのアメリカの関心に消費がどうこたえられるかということで対応しようとしたことでありますし、またオレンジについては、季節自由化というので温州ミカンのない六、七、八の三カ月対応するということで、温州ミカン農家に影響を与えない対応をしたつもりでございます。ジュースもブレンドという方向で国内のミカンジュースの消費の拡大あるいは品質の向上という範囲内での対応でございました。その後、東京ラウンド、MTNの調整が必要である。そのために、いまアメリカ、あるいは今度豪州にわれわれ参りますが、豪州、ニュージーあるいはEC、そういった個別会議なりグループ会議なりを通じて、この七月までにはその調整をしなければならぬということでございます。したがいまして、牛場さんがいまアメリカへ行きましても、そういったことについて話し合いをしていることも事実でございます。それをとらえまして宮澤企画庁長官のいまお述べになりました考え方というのは、そう間違ってはおらない。アメリカとの話し合いをして今後どうすべきか決めていく。その中で、アメリカの意向をかなりのんでというところがひっかかるところでございまして、アメリカの言い分をのんで日本の農村をおかしくする調整を行う、こういう受け取り方をすると、これは非常に迷惑でございまして、そういうことではない。今度の調整に当たりましても、ことし一月に行った調整と同じように、日本の農村に支障を与えない範囲の調整は行いたい。しかし、何ももう一切だめでございますと言うわけにもまいらないことも御承知のとおりでございまして、宮澤さんの言われたことは、そういった日本の農村をおかしくしてもアメリカの言い分をしゃにむに農村に押しつけるんだ、こう解釈されておるとすれば、大きな誤りであり、そうではなくして、東京ラウンドを控えてアメリカとの話し合いも十分してみて、そして最終的に対応できるものはどの辺かな、日本の農村に影響を与えない調整というものはどの辺かなということをこれから相談していく、こういうことでありますならば間違いではない、こういうことを記者会見で申し上げた次第でございます。  それでは宮澤さんがなぜそんなよけいなことを言うのか、こういう話もありましたが、宮澤さんはそういった方面の調整をする経済対策閣僚会議の議長役、まとめ役としてやっておりますので、全般をにらまれておる方でございますので、その責任の範囲内で申されたことであって、決して農林大臣の職域を侵したものでもない、こういう判断である、こう申しておるところであります。
  62. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私は、先月の五月二十二日ですか、牛場対外経済担当相が訪米する前に、たしか五月十九日に農林大臣と宮澤経済企画庁長官、それから牛場対外経済担当相との三閣僚でいろいろ打ち合わせをして行った、こういうように思っているのですけれども、その内容が明らかになっていないままでございましたので、これらについても私は明確にしてもらいたいと思っていたのですが、時間もございませんので、一応大臣の公式発言を受けとめておきまして、いまも答弁の中にございました六月の二十六、二十七日にキャンベラで開く日豪閣僚委員会に出席し、その後ニュージーランドを訪問することが検討されておるようであります。言うまでもなく、ニュージーランドのマルドーン首相から中川農相の訪問の招請が福田首相のもとに届いておる。福田首相も親書を出すというふうに言われておりますが、本当に大臣が乗り込んで問題解決に当たるという決意なのか、その点、どうですか。
  63. 中川一郎

    ○中川国務大臣 豪州に参りますのは、定期閣僚会議出席のためであり、もちろん参りましたならば、日本の農業の事情等も十分説明し、今後も円滑な貿易を進めていきたい、そういうための話し合いの場といたしたいし、また先ほど申し上げましたように、東京ラウンドに向けて豪州の考え方もあるでありましょうから、考え方も聞き、それに対してはわが国の農業の現状も話し合って、よく申し上げて理解を得るような努力をしたい。  引き続いてニュージーでございますが、ニュージーとは魚の問題が膠着いたしておりますので、まだ正式決定はいたしておりませんが、二百海里を迎えてニュージーとのこの問題の解決もわが国漁業にとっては非常に大事なことでございますので、ぜひとも解決したいな、こういう決意で乗り込みたいという気持ちはありますが、向こうの事情等もありますので、まだ正式に決まっておりませんが、大体そういう方向でまいりたい、こう思っておるわけでございます。  なお、せっかくお尋ねがございました牛場さんと宮澤さんと三人で話し合ったその内容でございますが、それもまだアメリカその他から具体的数字が出ておりませんので、いろいろ想定をいたしながら、日本の畜産、あるいは特にミカン農家が非常に厳しいという事情をさらに牛場さんに御説明を申し上げ、無理な難題は言わないようにひとつよろしく、どうぞという話し合いはしましたが、何を何ぼどうするという話はいたしておりません。
  64. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 カナダのウィーラン農相が、このほど世界の食糧輸入大国のカルテル結成を呼びかける演説を行っております。世界の輸入大国であるわが国にも大きな波紋を与えておるわけです。私たちもいろいろ調べてみましたが、この構想は、世界的な自由貿易を図るねらいで現在積極的な交渉が進められている東京ラウンドに水を差すものだとして、われわれはいろいろ受けとめておりますけれども、農林大臣は東京ラウンドを前にこれに対してはどういうふうに受けとめておられるか、お考えを聞いておきたい。
  65. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 カナダの農林大臣がそういう話をしたということは聞き及んでおりますが、これは全体的に小麦協定を今後どうしていくかという問題にも関連するわけでございますけれども、現在のところ、そういうことに同調をしてカルテルをどうやらこうやらするという動きは諸外国にはまず見られないところでございます。私としましては、この問題を十分監視はいたさなければなりませんけれども、そのような事態になる可能性はきわめて少ないのではないかと考えておるところでございます。
  66. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 最後に大臣に、北洋漁業の減船に伴う漁船乗組員救済の問題で簡潔にお伺いしておきます。  もう御承知のように、被害漁船いわゆる減船された漁船に乗っていた乗組員の職場保護に対して大変不安を持っております。転換のための対策を講ずると同時に、新規事業等についても被減船者と乗組員に優先的に認めてほしい。また今回の減船により失職する母船、独航船の乗組員に対し、減船補償すなわち期待所得の損失分を補償してほしい。この場合、業界の共補償が困難な実情だ。いわゆる残る者が多く、出ていく者が少なくなりますから、共補償も大変困難になってきておるので、国で補償していただきたい。また国から補償される交付金については、労務費の区分を明らかにしていただきたい。  さらにもう一点、北洋漁場の着底トロール漁法がいろいろ問題になりましたけれども、ことし政府の交渉で一応出漁できましたものの、どうか日ソ漁業交渉に当たっては、今年もまた来年以降も北洋漁場の着底トロール漁法ができるようにぜひともやってほしい。ことしは大分厳しいソ連からの警告、拿捕等も行われたわけですけれども、そういう不安がないようにしてくれ、こういったことが大変要求され、昨日から本日にわたって請願、デモ、また要請が出ております。ぜひとも大臣に一言聞いてほしいということであったので、時間がまいりましたけれども、最後にこの点かいつまんで大臣からお答えいただきたい、かように思います。
  67. 中川一郎

    ○中川国務大臣 まず北洋漁業の減船対策でございますが、減船補償につきましては、いま財政当局とも相談をして、できるだけのことはしたいということで鋭意努めております。  転換対策についても、調査船その他優先的に転換ができるように措置をしたい。  それから、乗組員に支払われるべき労働費を明確にするという話もありましたが、この点についてはいろいろと慎重に配慮しなければならないところもありますけれども、働く皆さんの希望もわからないわけではありませんから、実態上、乗組員の皆さんの御期待にこたえられるような仕組みで鋭意努力いたしたい。公表というような形式をとるかどうかは別として、できるだけ期待にこたえたい。  税金の問題もありましたが、所得税というものがそこまで及べるかどうか、これはなかなかむずかしいところではないかと存じます。  そういうようなことで減船に伴う船、経営者あるいは働く皆さんに対しては万全の措置を講じていきたい。鋭意詰めておるところであり、数日中には決着できるであろう、こう思っておる次第でございます。  なお、着底トロールにつきましては、ことしソビエトからいろいろな意見がありましたが、幸い、先般われわれが交渉に行きました際、関連をしてことしはまず話がついた。来年以降もこれが支障のないように、今後の交渉を通じて最善を尽くして御期待にこたえたい、こう思っておる次第でございます。
  68. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたから、以上で終わります。
  69. 中尾栄一

    中尾委員長 神田厚君。
  70. 神田厚

    ○神田委員 私は、当面、米価の問題を中心に、大臣に二、三点御質問申し上げたいと思うのであります。  まず最初に、全国農協中央会と全国農業会議所が今度新しい方式米価算定しまして、いまその要求額を出しまして政府にその決定要求しているわけでありますが、このように全中、農業会議所が要求方式を変えたという点につきまして、大臣はどういう御見解をお持ちでありますか、基本的にちょっとお聞かせいただきたいのであります。
  71. 中川一郎

    ○中川国務大臣 農協中央会並びに全国農業会議所が従来とは違って、一番ポイントでありました生産費とり方平均生産費でとられたということは、かなり政府の試算と近寄った土俵になってきたということで非常に評価はいたしております。しかし、その他全体としてこれはどうであるかということについては、まだ中身を詳細に聞いておりませんので評価は避けたいと存じますけれども、農業団体も厳しい姿勢を受けとめて現実に近い御要求をなさった。今後、こういった農業団体の意向等も含めまして、生産費所得補償方式を基本とし、今日の需給事情というものを勘案しながら、再生産が確保され、農家所得が補償されるという適正な米価決定いたしたい、こう思っておるわけでございます。
  72. 神田厚

    ○神田委員 この要求考え方にありますのは、現実的な要求をしていきたい。それは、労働者の賃上げあるいは米の問題というのはもはや消費者に理解を持ってもらわなければいけないということも含めまして現実的な要求だ。したがって、いま農林大臣からそういう評価をいただいたことを考えれば、全中あるいは農業会議所が出しております一万九千二百七十六円というのは非常に妥当な要求米価であると私どもは考えておりますが、これの実現につきまして農林大臣も御賛同をいただけるかどうか、この点はいかがでございますか。
  73. 中川一郎

    ○中川国務大臣 一歩前進した米価であること、農業団体の要求であることは評価いたしますけれども、これが今日の消費者なり生産事情なりあるいは従来の米価算定方式等を勘案したときに妥当であるかというと、私はまだそこまで行っておりません。これから勉強いたしましてその真意を明らかにしたいとは思いますが、何分にも、五百万トンからの過剰米の処理、これから十年に及ぶ長期的な生産調整、さらにはほかの、自給率の低い麦、飼料作物、大豆、甘味資源作物といったような伸ばさなければならない農産物の価格との相対関係、こういったことを総合的に判断をして最終的な適正米価を決めたいと思いますが、いまあの米価がいいから努力するというまでは残念ながら申し上げられないわけでございます。
  74. 神田厚

    ○神田委員 そういう意味で大臣の方から前向きな考え方についての賛同が示されたわけであります。私どもといたしましては、したがって価格の問題についてもひとつこれに御賛同をいただきたい、こういうような要望を申し上げるわけでありますが、なお算定要素につきましてやはり違っているところがございます。大臣すでに御案内のように、この算定要素の大きな違いといいますのは、製造業五人以上の規模の全国平均賃金をとっておる、さらに企画管理労働についてこれを要求している、さらに三番目には地代の問題で実納小作料を要求している、こういうような違いもございまして、これらにつきましてもひとつ御理解を示していただきたい、こういうふうに考えるわけであります。その点はいかがでございますか。
  75. 中川一郎

    ○中川国務大臣 労賃のとり方、あるいは企画管理労働を入れるか入れないか、あるいは地代をどう見るか、いろいろ議論のあるところでございます。必ずしも政府のとっておることがいいことかどうかとは言いませんけれども、少なくとも、昨年とりましたやり方にプラスをして、そして米価を上げるような情勢ではないのではないか。いまの考え方、農業団体の考え方が決して不当、けしからぬものだとは申しませんけれども、仮に正しいとしても、今日の米を取り巻く事情が昨年のやり方等にプラスをしてやるべき情勢にあるかどうかということは、この辺は慎重に考えてみたいと存じます。
  76. 神田厚

    ○神田委員 やはり生産者米価を上げなければならない、どうして上げなければならないかということは、何割かの米の減反政策がとられているわけであります。したがいまして、農家経済というのは非常に落ち込んでいる。所得の問題一つとりましても、あるいは第一種兼業の農外就労の問題をとりましても、非常に農家経済全体が落ち込んでいる状況になってくるわけであります。そういう中で米価そのものもまた据え置きというような状況になりますと、いわゆる日本の経済に対する非常に大きな問題になってくる。したがいまして、減反政策を進めている現況の中で、やはり生産者米価についてはこれを引き上げる方向で前向きにその検討をしていかなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、いかがでございますか。
  77. 中川一郎

    ○中川国務大臣 確かに、減反といいますか、稲作転換がスムーズに行われた、これは農家の協力、理解でありまして、この点は非常に感謝いたしておるわけであります。ただ、神田委員御指摘のように、米をやめたから収入が非常に少なくなったという御指摘ではありますけれども、転換作物による収入並びに政府の奨励金等、全国的に総体的に見るならば、まずまず米をつくっただけの収入は、大ざっぱでございますけれども確保できるのではないか。そういう意味で四万数千円から七万五千円というような奨励金制度を二千億からの財源を使ってやりましたし、かなり転作によって収入もあるのではないかと思います。  したがって、転換したからといって、もちろん地帯により農家によっては非常に減収になるところもありますけれども、総体的にはそれほど大きな影響を与えておらないのではないか。私ども米価は上げて農家の皆さんに喜んでいただきたい気持ちはやまやまありますけれども、いまこの異常な生産調整をやらなければならないという過剰なときに、生産者米価を上げ、消費者米価をまた上げざるを得ないというようなことになって、これまた消費の減退というようなことにつながって過剰米というものがまたまた出てきたときには、また厳しいと言われる生産調整を相次いでやらなければいけない、あるいは生産調整をやっていることに真っ向から逆なでするような政策というものは、そこには限界があるのではないか。どの辺に落ちつくかは別でありますけれども、姿勢としてはそういう気持ちで取り組まざるを得ない、こういう気持ちでございます。
  78. 神田厚

    ○神田委員 減反によります農家経済、農家所得、そういうものがどういうふうになるかというのは、これは予測ではきっとできないかもしれませんですが、いわゆる統計が集まった段階でさらに御質問申し上げますが、私は、減反政策そのものも、そのやり方あるいはこういうふうな形で今後何年間も続けていくというような方針を固定したこと自体は非常に問題があると思うのです。したがいまして、ことし一年これをやりまして、来年度以降減反政策について再検討する必要があるというふうに考えているのですが、大臣はどのようにお考えでありますか。
  79. 中川一郎

    ○中川国務大臣 もちろんことしやりましたことをそっくりそのまま来年以降やらなければいかぬというわけではございません。また、やるということでもないのです。ただ、今日の米の需給状況というものを考えると、少なくとも長期的に、一年や二年や三年でこれが解決できるものでないということだけははっきりしているのではないか。少なくとも十年ぐらいは長期的にやらなければならない。しかし、やり方方法については、ことしやりましたことを踏まえまして若干また直していかなければいかぬ。固定的にことしそのままだというわけではない。しかし、大筋から言って、今日五百万トンからの過剰米を抱えており、単年百七十万トンの需給のアンバランスを調整していくのには、少なくとも三年間はそう大きな変化はなくやっていかなければならないし、また農家の皆さんにも、ただことし一年のことですよと言うのと、長期的にこういうことは取り組まなければいけないと正直に申し上げて御協力いただくとでは、農家の方々の心構えも大事だと思いますので、その辺のところは率直に申し上げて、単年度で終わりというようなものではありませんということだけは申し上げておいた方が農家の皆さんのためにもなる、こう思って、基本的には長期にわたるものでございますということをお願いしているわけでございます。
  80. 神田厚

    ○神田委員 減反問題につきましては、これももう少し時間をかけて、はっきりした段階でいろいろと私も御質問したいというふうに考えております。  次に、先ほど大臣にも申し上げましたが、私は、米の問題というのは消費者についても非常に理解を得なければいけない、そういう意味で、消費者米価につきましても考え方を少し変えていかなければならないのではないかというふうに考えているわけであります。いわゆる逆ざや解消ということを前面に出しておりますけれども、このように米が余っている状況の中では、逆ざや解消ということにこだわらなくて、むしろ消費拡大のためには消費者米価を値下げするような方向で考えていかなければいけないのではないか、こういうような考え方を持っているわけでありますけれども、この点につきましてはどのようにお考えでありますか。
  81. 中川一郎

    ○中川国務大臣 基本的には神田委員のおっしゃるとおりだと思います。やはりこういう過剰傾向のときでもありますから、なるべく米価は安くして消費者の皆さんにたくさん食べていただく、こういう姿勢で臨まなければなりませんけれども、今日食管の逆ざやというのが非常に大きくなりまして、食管制度、仕組みから言ってもおかしいではないかという議論があるくらい問題がある。そこで、大幅な消費者米価値上げということはもちろんいけませんけれども、今日、米の家計に占める割合は三%というもので、それほど大きなものではないというような点や、長期的にしっかりした食管というものを守っていくためには、若干なりとも姿勢として御協力を願えるところはないかな、こういうことの考え方で、姿勢としては神田委員のとおりでありますけれども、若干の調整はできないかな、そして食管というものを健全にしていく、こういう仕組みをとらしていただきたいものだなという気持ちを得ておりますが、これらも、今後いろいろの議論を踏まえ、米審等の意見も聞いて慎重に処置をしてまいりたい、こう思う次第でございます。
  82. 神田厚

    ○神田委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、ことしの米価、いわゆる生産者につきましては、そういう農業の非常に厳しい状況があります。また、消費拡大につきましても格段の努力を図らなければならない、そういう状況で、ひとつ大臣の御英断を期待いたしまして、あと細かい問題につきましては後日御質問申し上げることにして、終わります。  ありがとうございました。
  83. 中尾栄一

    中尾委員長 島田琢郎君。
  84. 島田琢郎

    ○島田委員 きょうは貿易に関する東京ラウンドを前にして、農民にとって、あるいは日本の農業の将来にとって重要な問題を含んでおります輸入問題に限定をして、大臣にお尋ねをしたいと思います。大臣の時間の都合があるようでございますから、十五分間だけの与えられた大臣とのやりとりしかございません。私も端的にお聞きをしますので、ひとつ例のごとく歯切れよくお答えいただいて時間をむだにしないようにしたい、こう思っております。  まず、牛肉問題でありますが、先ほども質疑の中で、ただいまアメリカで牛場、宮澤両大臣が行っていろいろ前段の話をしているようでありますが、最近カーター大統領がアメリカの牛肉輸入について九万トンほど増枠をするという政治的発表がなされたわけでありますが、端的に言ってこれは日本の牛肉に対して、あるいは日本の農業に対してどういう影響をもたらすというふうに大臣はお考えになっておられますか。
  85. 中川一郎

    ○中川国務大臣 確かにアメリカが最近事情が変わりまして、牛肉の輸入枠の拡大ということで、九万トンとか十万トンとも言われておりますけれども、そういう事情にある。そこで、アメリカから入ってまいります情報では、アメリカが日本に関心を持っておるのは高級牛肉である、いま言いました先ほどの九万トン、十万トンというのは高級牛肉ではないというところから、アメリカの日本への輸出については基本的に変わるものではない、こういうことでございます。しかも、これは短期的なものであって、長期的なものではない、だから、日本に協力してもらうものは協力してもらわなければいかぬ、こういう考え方をとっておるようでございますが、牛肉の事情はかつてのようなことではない。若干そういったことも反映して厳しさが減るのではないかと期待はいたしておりますが、アメリカからの流れてくる情報ではそういうような感じでございます。
  86. 島田琢郎

    ○島田委員 われわれは、一月の経済協議のときも、アメリカについては、率直に言って輸出国ではない、国内における牛肉の需要の状態から言って、たとえホテル用の牛肉であろうとも、よその国に売るというような考え方というのは出るはずがないじゃないか、それを出してきたというのは背景に非常に政治的色彩、においが濃いのではないかというように見てきました。あらぬかな、十万トンに及ぶ牛肉の輸入をやるということを発表した。これは一月の事情とずいぶん変わってきたというふうに私は思うのです。ですから、日本もこうしたアメリカの国内事情を的確に反映した交渉というのが現時点では必要である、いわゆる方針の転換をすべきだ、私はこういうふうに強い考えを持っているのでありますが、いま長期的な問題ではない、短期的な問題だというふうにおっしゃいますけれども、もともとアメリカはかなり長期にわたって牛肉が国内で不足をするという状態が続いている国であります。牛肉を押しつけてくるなんというのはふらちきわまりない、私はいまも強くそう思っているのですが、いかがでしょうか、重ねてお尋ねします。  あわせて、国際的にはこれはどういう影響が出てくるでしょう。たとえば、日本に対して牛肉を買ってもらいたいという国があります。具体的に挙げればオーストラリア、ニュージーランド、あなたがこれからお出かけになる国々も日本に対してはかなり積極的に牛肉の売り込みをしようという考えを持っている国であります。こういう国々に対しても、対日本だけではなくて、アメリカの牛肉輸入政策の促進というのは私は大なり小なり影響をもたらしてくると思うのです。ですから、対アメリカとの関係だけで牛肉の輸入問題を考えるということには私はならぬと思うので、この際、国際的なアメリカの牛肉の輸入をめぐる動きというのは一体どのように状況として判断をし、把握をされておられるのでしょうか。
  87. 中川一郎

    ○中川国務大臣 御承知のように、アメリカが日本に関心を持ち、いろんなことを言ってまいりますのは高級牛肉について買えないかということであり、わが国も、買えないものは買えないのです。しかし、需要開発を行って需要がありますならば御要望にこたえましょう、こういうことでございまして、アメリカにおいて高級牛肉が不足をするというような事態になってくれれば幸いでありますが、どうも情報では、高級牛肉じゃなくて、ハンバーグとか低級牛肉というか、下級というのですか、余り品質のよくないものが不足しているというのが現状のようでございます。国際的には、今日まで牛肉が余っているということでありましたが、長期的に見れば不足するかもしれないという情報は前から流れておりまして、そのためにこそ、わが国の畜産をおかしくしてはならない、いつまでも牛肉が余っておると考えておると消費者の皆さんも大変ですよ、やはり足りなくなることもあるのだからと言ってきたところであり、この辺専門家にひとつこれからの国際的な牛肉の動きについては答弁させたいと存じます。
  88. 島田琢郎

    ○島田委員 ちょっと待ってください。大臣のおられる時間が限られておるから、局長からの答弁もあるのでしょうけれども、これは後にさせてもらいたいと思うのですが、いいですね。  そこで、大臣は、先ほども話題の中でも出ていたのですけれども、率直に言って宮澤方式を御存じだと思うのです。グロスフォーミュラ、計画的漸増方式、これは宮澤方式といって、非常にこの問題に対してはわれわれも先鋭的になっているのでありますが、いまのおっしゃり方から言いますと、高級牛肉に限定されるものであるならばという限定つきで輸入問題をお考えになっているようでありますけれども、そもそもホテル用牛肉の一万トン、つまり高級牛肉というのは日本の国内における消費というのはきわめて限定されておって、それだけだって手いっぱい、そんなにも消費できないのではないかというふうに私は思っているのです。しかも、こういう経済の不況の状態でありますから、牛肉の高級なものを食べようなんという階層はだんだん減っていってしまっている。そういうことを考えますと、計画的漸増方式というのは、いまのように高級ホテル用牛肉についてこういう方式をお考えになっているというふうに私は宮澤方式は考えられない。そうすると、大臣のおっしゃることとは宮澤方式は違うというふうに私は思うのですが、率直に言って宮澤方式をあなたは支持なさいますか、それとも御意見がありますか。
  89. 中川一郎

    ○中川国務大臣 宮澤方式というのは私わからないのですが、農政に関しては中川方式しか私はないと思っているのです。中川方式というのは、やはり牛肉については価格を下げる。国際的にも高いわけですから、これを引き下げをするというので、御承知のように、流通過程の合理化とか生産対策についてもことしもかなりの策を講ずる、こういうようなことで消費の拡大を図る。牛肉が世界的にも消費量が少ないわけですから、その消費の拡大を図ることによって国内生産者についても安定的希望を持って畜産にいそしめる、かたがた、それについて不足の分があれば外国から補完的に入れていく、その結果外国の要望にも、十分はこたえられませんけれども、まあまあこたえられるのではないか、これが全体的な考え方であり、この考え方を希望しているのが豪州、ニュージーランド等でございます。  これは総枠としての議論でございますから、総枠についてはいま言ったような考え方で、国内生産者にも、また消費者にも、また外国の皆さんにも対応できるようなやり方をやっていきたい。アメリカが持っておりますのは、その中で今度は高級牛肉についてはもっとふやしてもらいたいということの要望がありますから、高級牛肉については一万トンを目標にして、消費があればおこたえするでありましょう、また今後についても、国内で需要がないのに入れませんけれども、需要があるならば御期待にこたえていきましょうというぐらいのことは言ってもいいのではないか。これは言う、言わぬはアメリカとはまだ話は決まっていませんから。そういうような方式をとろうとしているのが私の考え方、これは前々から御答弁申し上げておるところで、無理な輸入をしたり畜産農家を押さえつけてしまったりということではなくして、消費者にも御協力願うし、消費者のためにもまたわれわれはする。生産がふえる、生産農家が希望を持って安定的に生産ができる、また余裕があれば外国からもということでございまして、これが農林省といいますか、私の考えているところであり、宮澤さんもそれ以上のことはない、こう思っておるわけでございます。
  90. 島田琢郎

    ○島田委員 宮澤方式を御存じないと、こうおっしゃるから、それなら私は申し上げたいのですが、宮澤さんの考えている構想というのはこうなんですよ。いまの国内の牛肉の消費の伸びを見ますと五、六%伸びている。そのうち一定割合を対アメリカから漸増方式で輸入を拡大していくという案なんです。御存じないわけないと思うのですよ。一定割合とは一体どれぐらいを指すかという説もありますが、私は二%ないし三%というふうに考えているのではないかというふうに宮澤発言から受け取られるわけであります。しかも、これはなかなか実際問題、需給の調整ということになりますと、大臣がいま言っているように、価格を下げてというようなことをおっしゃっていますが、一つの価格の安定帯というものの中で調整はなかなかむずかしいぞ、こういうふうに思うのです。それで、国内的に増産された場合あるいは伸びない場合、こういう場合の調整もなかなかこれはむずかしいわけですから、そういう点はどうかというふうに考えますと、宮澤方式は、そういう特定な急増するような場合というのは例外的に取り扱っていく、ここまで構想としては述べておられるのですよ。大臣おっしゃるのは、アメリカに対しては高級牛肉だという限定したところでおっしゃっていますけれども、実は高級牛肉であろうと何であろうと、牛肉である限りは、これは国内の牛肉価格に及ぼす影響というのはきわめて大きいのですね。ですから、あなたは宮澤さんがきのうアメリカでおっしゃったことに対して先ほどお答えになっていましたが、牛肉に関しては、漸増方式について私は宮澤さんは間違ったことを言っていないと思う。こうおっしゃっているのですから、それは宮澤方式を御存じないとおっしゃっても、この辺のところは政府部内でやはり考え方がある程度詰まっているのかと思ったら、そうでないとすれば、これは大変心配なんですね。政府部内まちまちの考え方で対アメリカ交渉に臨むなんというようなことだったら大変なんで、経済企画庁長官に牛肉の主導権をとられることになったらこれは困ってしまうのですよ。大臣、ひとつしっかりしてほしいと思うのですよね。いかがなんですか、これを支持するのかしないのかという問題もありますが、宮澤方式を支持されないというなら、これを絶対守るという毅然たる中川農林大臣の姿勢をこの席でお示し願いたいと私は思うのです。
  91. 中川一郎

    ○中川国務大臣 島田委員は、アメリカの高級牛肉でも牛肉は牛肉だと言うのですが、ここでちょっと間違えてもらっては困るのは、グローバルな総枠の中での高級牛肉であって、高級牛肉だけを枠の中から別にまた五千トンとか一万トン入れるというなら、国内の牛肉の量がふえますから、これは大変ですが、そうじゃなくて、輸入枠というのはもうきちっと上半期、下半期で決めるわけなんです。その決める枠というのは国内の生産と消費の動向を見て、これぐらい入れなければ足りないなというものを入れるわけなんです。その中で、いま年間九万トンとか十万トンになっておりますが、その中での一万トンに達したいという高級牛肉、座敷は同じなんです。その中での高級牛肉ですから、国内の肉の量を特別圧迫される、こういう性格のものではない。  それから、宮澤方式はどうであるかどうかは別として、全体としては、国内の消費がふえて国内生産では間に合わない分を漸増的に入れていきたい、こういうことであり、その全体の枠の中での高級牛肉についても、同じような仕組みで考えられれば考えてもいいということは、宮澤さんが言っているのかどういうことか知りませんけれども、私の考え方であり、そういう方向で対米折衝なり国内対策なり講じていきたい、こういう考え方でございます。
  92. 島田琢郎

    ○島田委員 委員長、時間が来ましたから、私の話はこれで中断さしていただきます。大臣に対しては、また別な機会に……。きょうはもう一日おっていただいて、私もぜひこの問題をやりたいと思ったのですが……。      ————◇—————
  93. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、竹内猛君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブの共同提案に係る鶏卵生産調整強化等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。竹内猛君。
  94. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、鶏卵生産調整強化等に関する件について御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     鶏卵生産調整強化等に関する件(案)   わが国養鶏業は、鶏卵の供給過剰等により長期にわたり卵価が低迷し、生産農家は著しい苦境に追い込まれている。   かかる時に一部養鶏業者が「鶏卵生産調整」に関する行政指導に反し、大規模な増羽を行つている事態は誠に遺憾である。   よつて政府は、生産調整等の実施に当たつては、左記事項の実現を図り、養鶏業の安定的発展を期すべきである。     記  一、養鶏を農業の一部門として位置づけ、農民が生産意欲をもつて取り組める基本的養鶏政策を確立すること。  二、養鶏の実態を的確に把握し、鶏卵生産調整の実効があがるよう指導を徹底すること。  三、鶏卵生産調整の実施に当たつては、補助事業、制度資金、卵価安定基金及び飼料価格安定基金等の行財政措置を有効に活用し、その実効があがるよう努めること。  四、最近における卵価の低迷状況にかんがみ、卵価安定基金、調整保管及び液卵公社による価格安定機能を十分発揮できるよう努めること。   右決議する。  以上の決議案の趣旨につきましては、先般来の質疑の過程等を通じ、すでに各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  95. 中尾栄一

    中尾委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  竹内猛君外五名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  96. 中尾栄一

    中尾委員長 起立総員。よって、動議のごとく決しました。  この際、本決議に対し、政府より所信を求めます。中川農林大臣
  97. 中川一郎

    ○中川国務大臣 ただいま御決議のありました鶏卵生産調整強化等に関する件につきましては、御決議の趣旨を十分尊重し、今後とも一層指導の徹底を図り、養鶏業の安定的発展に遺憾なきを期してまいる所存であります。(拍手)
  98. 中尾栄一

    中尾委員長 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らうことにいたします。      ————◇—————
  100. 中尾栄一

    中尾委員長 農林水産業振興に関する件について質疑を続行いたします。島田琢郎君
  101. 島田琢郎

    ○島田委員 畜産局長が先ほど私の質問に対してお答えをしようという構えのようであったから、まず、そこから質疑を始めたいと思います。
  102. 杉山克己

    ○杉山政府委員 アメリカの牛肉の需給事情は、先ほど島田議員御指摘のように、特に昨年の後半から本年の前半にかけましてやや供給不足という事態が出てまいりました。そこで、伝えられるように、アメリカ合衆国は輸入の枠について九万トン、これは輸入の中身がどういうものであるかということについての詳細はまだわかっておりませんが、情報では、九万トンの増枠をするということが伝えられております。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  このことによりアメリカの対外的な交渉の態度なり、あるいは国際的な牛肉需給に及ぼす影響、また、それを通じて対外的な各国の交渉の態度がどう影響を受けるか、変わるかということでございますが、アメリカの問題につきましては、大臣から御答弁申し上げましたように、全体の需給だけでなく、牛肉の品質等の観点からやはり日本に対する輸出拡大を求める、特に高級牛肉についてのその声は依然残るというふうに考えております。まあ一時のような、過剰の時期におけるような強い声ではあるいはないかもしれませんが、しかし、この問題は短期の問題ではない、長期の日本の貿易体制全体に対する要請を込めての話でございますから、私は、この点は油断することはできない、やはり依然としてアメリカからの要請は強いものが続くのではないかというふうに考えております。  それから、アメリカが九万トンの輸入を増枠するということによって、特にオーストラリア、それからニュージー、そのほかの若干の各国のアメリカに対する輸出量が今年度ふえることが想定されます。その点では、その輸出各国はそれぞれ輸出量がふえるということによって、ほっとするといいますか、メリットが出てくる点はございますが、いま申し上げましたように、現在のMTNの交渉は、単に一時の需給だけの問題ではなく、各国ともそれぞれに全体の貿易体制の問題を含めて日本に要請を出しているわけでございます。  それから、需給の問題は、私ども、将来全体的には世界的にも不足する動向にあるというふうには考えておりますが、それぞれの国別に増産計画を立てるなり、それらの見通しをそれぞれ持っているということもあり、さらに牛の需給についてはサイクルもございます。いまの時期だけの、特にアメリカの需給が逼迫したということだけで、世界的に日本に対する要請が弱まるというふうにはむしろ考えない方が、こういうむずかしい問題でありますので、用心した方がいいと私は考えております。
  103. 島田琢郎

    ○島田委員 いま局長がお述べになりました点で大変重要なことが幾つか含まれています。牛肉を初めとするアメリカからの強い攻撃は、単に牛肉を入れればいいんだというだけではなくて、確かにいまおっしゃるように、長期的な一つの戦略がある、こういうふうに見なければ基本的には間違いを犯すだろうと私は思うのです。しかし、どうも最近の動きを見ていますと、アメリカの国内事情というものがかなり背景にある。たとえば、カーター人気の低落、そして十一月に上下院の改選、こういうアメリカ国内の政治的状況を反映して動いているという節があります。それと、もう一つは、日本に対する攻撃目標に挙げた理由は、ドル減らし、黒字減らし、こういう一つの目標を立ててきているわけですから、この辺のところを区分けする対応の仕方は非常に大事だと私は思うのです。その点は責任ある大臣にお答えいただくということでないと、杉山局長に、どうするんだ、どうするんだと言ったって、それはなかなかうまくはいきますまい。しかし、農林省の幹部の皆さん方がやはりしっかりした、しかも一致した考え方に立って、この辺を整理しながら対抗していかないと、国内だって、外務省は外務省なりの考え方を持っているし、経済企画庁の長官も要らぬことまで言ってくれる、また通産省もそれなりの貿易拡大に対しては積極的な姿勢を見せている、こうなりますと、いま農林省の置かれている立場は、感じとしては、まさに孤立無援のような感じさえするかもしれませんが、しかし、われわれがついております。そういうことにはさせない、こんな気持ちで私はいま質問をしているわけであります。そういう複雑に絡み合ったアメリカの国内事情、あるいは国内における不統一な状態、これはやはり早急に情勢分析をしながら国内体制を固めていくという方向で進んでいかないと、してやられてしまう、私はそう思って、心配でならぬのです。そこで、話題をちょっと変えますが、先ほどオーストラリアに行くというお話がありました。この中に、大臣と一緒にオーストラリアに行かれる方はおられますか。杉山局長が行かれるわけですか。——はい、わかりました。
  104. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いや、ちょっと申し上げたいことがございます。まだ正式には決まっておりませんが、オーストラリアに行くときには、牛肉問題がやはり一つの大きな話題になると思っておりますので、私、当然行くものと考えております。
  105. 島田琢郎

    ○島田委員 ぜひ行ってください。私は、オーストラリアに限らず、ニュージーランドにも牛肉問題のけりをちゃんとつけてもらいたいと思うから、ぜひひとつこれは責任ある、責任といいますか、専門家がついていかないといかぬわけで、そうでなくたって、鈴木善幸前農林大臣が行ったって、これは不調に終わっているというなかなか厳しい情勢が向こうにあるわけですから、今度は新たな幾つかの問題をかばんに詰め込んでいかないと、ただ行っただけでは問題は解決しない、こういうことになりますが、仮に、まだ決まっていないというから仮にと申し上げておきますが、牛肉問題、オーストラリアに行って、あるいはニュージーランドで日本の考え方をどのように示して、理解を求めようとしているのですか。外交上の問題だから、言っていいことと悪いこととあるということも私は十分わきまえるのですが、しかし先ほどの、アメリカの牛肉の国内事情というものも変わってまいりました。それはメリットとして抑えられる要因だ、あなたもこういうふうにさっきはおっしゃっているのですから、これはオーストラリアに対してだって、その辺のところはやはり戦術的にしっかりしたものを持っていく必要があると思うのです。どういうお考えで行かれようとしておりますか。
  106. 杉山克己

    ○杉山政府委員 やはり私の立場は、日本の国内には国内の事情があるということをきちんと向こうに伝えるということが第一の使命であろうかと思います。そういう国内事情を前提にして、将来の牛肉の需給がどのように予測されるであろうか、その中で輸入はどのような位置づけが行われるであろうか、また将来に向かって何らかの約束を考えるという場合に、日本の制度、日本の実情からしてどのような点までが限界であるか、そういうようなことについて実態をよく説明して、向こう側の理解を求める、それがまずベースであろうかと思います。その上に立っての交渉ごとというふうに考えております。
  107. 島田琢郎

    ○島田委員 局長、それはいままで行かれた人はみんなそのベースを持って行っているのですね。なかなかうまくいかない。表敬訪問じゃないんでしょう。かなり具体的な閣僚協議がなされると思いますから、向こう側からは具体的な数字が示されてくるんじゃないでしょうか。国内事情を幾ら説明しても、それだけでは問題の進展は図れないんじゃないか、こんなふうに思います。  実はことしの一月にニュージーランドの国営放送の記者が私のところにやってまいりまして、あなた何で牛肉に反対するのか、のっけから私に対して反対議員と決めつけて、えらいけんまくで私にインタビューを申し込んできたことがございます。三十分という約束でしたが、延々二時間半にわたりまして、通訳つきだから当然倍になるのですけれども、私はかなりニュージーランドの国内事情というのは深刻で、われわれが考えている以上に厳しいものだということを、そのときには実感として受けとめました。当然二百海里閉鎖の問題も持ち出されてまいりました。それでもあなたは反対するかとかなり詰問されましたが、私は反対というのではない、国内的にまだ需給の不均衡の問題を抱えておる限り、一キロたりとも入れないなんということを私は言っているのではないけれども、しかし、あなた方が不必要なまでの攻撃をしかけてくるということについては私はがまんならぬ。私も牛肉生産農家の一人だ。国内の状態を考えた場合に、それだけ詰問されるなら私も申し上げるが、日本の農民とニュージーランドの農民とどっちを大事に考えるかと言われれば、私は日本の国会議員であります。日本の農家を守るのは当然の責任と私は切り返したのですが、納得しませんでした。これはなかなか厳しいですよ。  ですから、いまのような単なる理論ベースで物事を解決しようというふうにお考えになって大臣がおいでになるのなら、これは表敬訪問にすぎない。日本の農民の不安は解消されないばかりか、さらに増幅される懸念もあります。必要な限りにおいてあなたのお考えをもう少しお聞かせください。
  108. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いま申し上げたことを繰り返すようなことしかないわけでございますが、大臣が豪州へ行かれるのは、全体の閣僚会議のために行かれるわけでございまして、特に牛肉だけを解決する交渉のためということではございません。ただし、行けば、私どもといたしましては、事務的にはそれなりにやはり相互の理解を深めるための努力が必要であるという前提で申し上げているわけでございます。  それから、ニュージーの問題につきましては、これは経済局長から御答弁申し上げるのがよろしいかと思いますが、確かに一時きわめて厳しい対立関係にあって、日本側の実情が必ずしも理解されていなかったというようにも思われるわけでございますが、私の所管する牛乳、乳製品の問題につきまして、最近におきますニュージー側のそれぞれの応対ぶりを見ておりますというと、一時よりかなり日本の実情についての理解が深まったというようにも思われます。やはり相互の理解、需給の実情なりあるいは農民そのほかの背景の状況というものについて理解し合うことが、すべての交渉の前提であるというように考えます。
  109. 島田琢郎

    ○島田委員 経済局長、どうお考えですか。あなたはついていらっしゃらぬようでありますけれども、所管の局長でありますから。
  110. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 日豪経済閣僚会議は、日豪の経済関係全般のことを二日間でやるわけでございますから、会議そのものにおきまして、個別具体的な品目をぎしぎし詰め合うということでは私はないと思います。しかしながら、大臣がおいでになりますれば、向こうの農林大臣なり、あるいは日本で言えば通産大臣に当たる貿易大臣等にもお会いになるわけでございますから、そのときに恐らく牛肉の輸入問題というのが議題に上ると思いますが、しかし、これは交渉でございませんから、そこで話をまとめなければいけないとか、あるいは決定をしなければいけないという情勢では私はないと思います。  ただ問題は、オーストラリアといたしましても、MTNについて一定考え方を示しておる、牛肉についても一定考え方を示しておるわけですから、それについての日本側の考え方はどうかということはただすと思います。その場合におきましては、ただいま畜産局長が御説明申し上げた日本の実情というものをよく説明をしなければいかぬし、また相手方によくその実情を理解してもらうという努力を必要とすると思います。  問題は、牛肉につきまして、基本的にいろいろありますけれども、要するに、枠が安定的に決められる、あるいは安定的に拡大をしていくというところが問題でございます。日本とすれば、それはあくまでも自給ということの前提に立っての話でございまして、国内で生産されて足らないものを入れていくということですが、しかし、それはやはり牛肉の需要が伸びていくに従って、国内生産で賄えないものについていかに安定的に入れていくかというところが、問題点の最後に残る基本的な問題ではないか。これは何も議論がありましたようなグロースフォーミュラというような形で行うようなことを必ずしも必要としないわけでございますから、そこはオーストラリアの会議のときに直ちにその問題がぎしぎししたことになるというふうには理解をしておらないわけでございます。
  111. 島田琢郎

    ○島田委員 今村局長は、輸入漸増方式というのを言いかえて輸入安定方式、これはどれぐらい差があるのか私はわかりませんが、これもまことにどうも危険な考え方で、枠が緩めばなだれを打つという心配が十分あるわけです。おっしゃるとおり、国内で需給が均衡しないという今日的な事実について私は否定するものではないのですが、宮澤方式といい——まあ宮澤方式を御存じないとおっしゃった農林大臣も、漸増方式については、その中身のやり方は別として認めていらっしゃるということを考えますと、私はそのことが国内においてガード固めは終わっていない、単なる輸入さえすれば価格が下がるという単純な考え方に短絡していく危険が非常にあると思って、心配しているのです。ですから、東京ラウンドの前段として、オーストラリア、ニュージーランドの牛肉の事情、わが国に対する輸出の考え方というものを的確に把握するというのは非常に大事な作業だ、こう思っておるから、豪州、ニュージーランドにせっかくおいでになるのであれば、その問題についてはやはりしっかりした考え方で、向こうのペースに乗らないような態度が必要だというふうに私は指摘をしたのであります。  さて、大臣がおられないものですから、どうも余り政治的なお話を聞くことができないのですけれども、私は先ほど杉山局長とのやりとりの中で、アメリカの国内の複雑な政治情勢ということを一つ指摘をしました。この認識については外務省、おいでになっていますな。あなたはどういうポジションにいらっしゃるかわかりませんが、お答えができれば、ひとつぜひ外務省としてアメリカのこういう状態というものをどういう分析をしていらっしゃるのか聞きたい。
  112. 池田廸彦

    ○池田説明員 私は、外務省経済局の国際機関一課長を拝命いたしております。したがいまして、いま御提起の問題につきまして、率直に申し上げまして十分な知識を持っている者とは言いかねる地位にございますけれども、私のアメリカ大使館に在勤いたしました経験から若干申し上げますと、御承知のとおり、アメリカの選挙は各州の地位というものが非常に大きな重要性を占めております。したがいまして、アメリカが交渉を行う際のもろもろの要素の中にも、かなりの程度州の利益を反映したものがあるやに見受けられます。こういう意味で、東京ラウンド交渉とアメリカの国内の政治というものはかなりの程度の関連性を持った問題である、かように考えております。したがいまして、私どもといたしましては、米国内の事情、政治事情を含めましての事情でございますが、そういうものの情報も鋭意収集いたしましてこれを交渉の上に役立てていく、こういう考え方で対処いたしております。
  113. 島田琢郎

    ○島田委員 さらに外務省は、東京ラウンド、もう幾らもありませんが、この東京ラウンドに対してどういう認識といいますか、見解をお持ちですか。
  114. 池田廸彦

    ○池田説明員 まず最初に申し上げたいことがございますが、東京ラウンド交渉の推進に関しましては、たとえば農産物の問題であれば農林省、それから鉱工業産品であれば通産省、その他物資を所管しておられる各省と緊密な連携を保ちまして、常時各種のレベルにおきまして協議、打ち合わせを行ってわが国としての対処方針をつくり、これによって措置いたしております。  基本的に東京ラウンド交渉についてどのように考えておるかと申し上げますと、この交渉は世界貿易の拡大や世界の各国民の生活水準や福祉の改善、こういったもろもろのことを目的として工業品及び農産物の双方にわたりまして関税や関税外の措置の引き下げについて交渉を行う、これが本来の目的でございます。わが国といたしましては、この交渉の成功が今後の世界経済及びわが国自身を含めまして各国の国内経済の発展にとってきわめて重要である、こうした基本的な考え方に立ちまして従来より交渉に積極的に参加し、何とかこれが成功裏に妥結するように取り進めたい、このような基本方針で対処いたしております。  それで、農産物の交渉に関しましては、ただいま申し上げました交渉の一般目的に沿い、一方において交渉相手国の要請をも踏まえ、また、あわせましてわが国農業部門の特殊性、また特別な問題、こういう点にも十分な配慮を加えながら各国と真剣な交渉を行う、こういう方針で対処いたしております。
  115. 島田琢郎

    ○島田委員 教科書をお示しになったわけですから、教科書を否定するつもりはありません。しかし、それならお聞きするが、日本の農業を外務省はどう考えているのですか。余り漠としてお答えしづらければ問題の焦点をしぼりますが、牛肉、オレンジ、アメリカが日本に対していわゆる戦略輸出物資と考えている果汁を含めたこの三品目、日本の国内の農業を守る立場からというお話がいまあったのですが、これらについては外務省としてはどういう認識を国内農業にお持ちですか。
  116. 池田廸彦

    ○池田説明員 交渉事でございますので細目については意見を述べるのは差し控えさせていただきたいと存じますが、ただいまも申し上げましたように、外務省といたしまして日本の農業がかくあるべし、かような考え方で本件交渉に対処いたしておるものではございません。交渉でございますから一方において相手方の要請というもの、これは真剣に考え、分析し、これがどの程度の強い要求であるかということは十分に秤量いたさねばなりません。そして、他方におきまして、たとえばいま言及のございました品目につきましては国内にどのような困難があるか、この双方を冷静に秤量いたしまして、何ができるのか、何ができないのか、あるいは何もできないのか、こういう点につきましては私どもだけではなく、先ほど申し上げましたように、それぞれの物資を所管し、それぞれの政策を担当しておられる省庁と十分に協議、御相談して、その上で合意のできた交渉方針をつくり上げて、これを携えて交渉する、こういう考え方で臨んでいるわけでございます。
  117. 島田琢郎

    ○島田委員 私はなぜこういうことを申し上げるかというと、牛場大臣は省を持たないので、結局外務省にもう一人外務大臣がいると同じことなんですね。しかも、いまあなたのおっしゃっている中では、外務省の役割り、関係する省庁の調整に当たるという役割りが外務省であります。第一、調整機関というものが設置されているかどうか私はわかりませんが、ばらばらの意見が出てきてそれを調整するのが外務省です。こういうふうにおっしゃるなら、いま問題になっている東京ラウンドの最大の課題と戦略目標は何かと言ったら、私はさっきからくどいように言っていますが、農産物の自由化、拡大であります。牛肉、オレンジ、果汁そのほか八十六品目にわたる農業関係品目がある。国内情勢をきちっと踏まえていて外交に当たっていただかなければ日本の外務省とは言えないのじゃないか、私はそう思うのです。あなたを詰問するつもりはございませんよ。しかし、あなたのところから牛場大臣が出ているのですから、現にいまアメリカに行っていらっしゃるのだから、あの人にひとり歩きさせたらこれは問題ですよ。外交上の手練手管だけで今度の問題は解決するというふうに私は思っていないのです。国内の置かれている事情というものを外務省自身がよく理解をしておかなければ東京ラウンドは大きな過ちを犯す、私はこういうふうに思うのです。きょうは質問の通告をした以外のことをあなたにお尋ねしているから困ってしまうかもしれませんけれども、お答えいただけなければそれで結構でありますが、私はそういう願いを外務省に対しては持っています。     〔山崎(平)委員長代理退席、片岡委員長代理着席〕  右を向いて左を向いて、ときに農林省の方の顔をうかがい、ときに通産省の顔をうかがいながらの調整なんというのは私はおかしいじゃないかと思うのです。ですから、その辺のところは調整機関としての役割りを国内的に果たす、そして、それをひっ提げて対外折衝に当たる、東京ラウンドは重要なそういう外務省としての出番ではないかと私は思うのです。どうもいまのお話を聞いていると、あなた自身はよく農業のことを御理解になっているのかもしれないが、外務省全体についていままでの動きを見ていますと、宮澤さんの不注意発言なんというものではなくて、貿易と日本の農業にかかわって非常に重大な発言をしていますね。きょうは大臣がおられれば大臣にここに来ていただいて私はこの問題もお話をしたいと思ったのですが、アメリカでの大事な交渉があるということで東京におられぬそうでありますから、ぜひひとつ外務省としても部内で大いに日本の農業の現状を農林省からヒヤリングを受けて認識をしっかりと身につけておいていただかないと私は困ると思いますので、そのことは一つ御注文を申し上げておきたいと思うのです。  ところで、経済企画庁はお見えでございましょうか。——どうぞ前の方に来てください。  そんなにたくさんは聞きませんが、また宮澤大臣がいまアメリカに牛場さんと一緒に行っていますね。先ほどちょっと大臣の悪口を言ったのですけれども、宮澤方式というようなことを持ち出して、それがどうもさっきの農林大臣の答弁を聞きますと、国内的に必ずしも合意されていないものをかばんに詰めて持っていっているような気配がある。大変心配です。牛場大臣は牛場大臣で勝手に世界各国ひとり歩き、宮澤経済企画庁長吉は今日の日本の経済事情というのを十分わきまえておられるはずなのに、これまた国民感情を逆なでするような発言を海外でなされる。福田内閣の末期的症状と言ってしまえばそれっきりのものでありますけれども、どうもそれだけで問題は解決しない。経済企画庁長官の立場でおっしゃったことかどうかわかりませんが、あなた方はこの牛肉を初めとするアメリカのいわゆる日本攻撃の主要な目標になっている具体的な牛肉とかオレンジとか果汁とかいった農産物の輸入拡大について、経企庁内部においてはそういう論議というのはおやりになっていらっしゃるでしょうか。そしてまた、東京ラウンドに備えてどのように経済企画庁として御見解をお持ちなのでしょうか。その点をお聞かせいただきたいと思うのです。
  118. 三原和夫

    ○三原説明員 私は、経済企画庁の調整局におきまして、対外関係、特に東京ラウンドその他に関しましての窓口をいたしております調査官の三原でございます。いま先生のおっしゃったことに関連して、順序どおりになるかどうかわかりませんが、私の承知しておるところだけお答えをいたします。  宮澤大臣のワシントンでの御発言の内容につきましては、事務当局といたしましてはまだ十分に承知していない状態でございますが、宮澤、牛場両大臣が御帰国になりましてから大臣のお話を伺った後、事務当局としていろいろ努力もし、関係各省間において十分協議を進めていくということになるのではないかと思っております。  それから、いま先生のお話しになったいろいろな宮澤長官の発言に関することが庁内で十分論議されておるかということでございますが、さっき自己紹介で申し上げましたように、私、調整局の対外関係の窓口でございまして、ほかの局に関しましてその話の論議はあるかもしれませんが、私のところにおきまして特にそれをこれこれこうであるということは申し上げる立場に実はございません。それは御了承いただきたいと思います。  それから、ガットの東京ラウンド交渉につきましての企画庁の基本的態度でございますが、これは先ほど外務省の池田課長から御説明がありましたが、実際に日本の事務局におきましてこの交渉をいかに進めるかということにつきましては、関係各省庁間の協議体制がいろいろの段階でできております。私どもも経済官庁の一環といたしましてその協議に参加させていただきまして、いろいろ諸般の事情を考慮しながら、その協議、コンセンサスをつくり上げていくという体制の一環として参加しております。  ガットの東京ラウンド交渉につきましては、現在、関係諸国間におきまして七月ごろまでに実質的な妥結を図るということが確認されておりますので、この基本目標に従いまして、各国は相互にオファー等の改善につきまして交渉している段階ということでございます。  私どもとしましては、世界経済発展のための本件交渉の重要性にかんがみまして、交渉が実質的な成果を上げて早急に妥結するよう最大限の努力をしていくという立場に立っております。
  119. 島田琢郎

    ○島田委員 オレンジにつきましては、先週の本委員会でわが党の馬場理事からかなり詳しくこの点に触れておりますから、私は簡単に一つだけお聞きしたいと思うのです。  十二日に日米柑橘会議、これは民間ベースでありますけれども、話し合いがなされましたが、結果はけさの新聞で報道されているように物別れになった。当然物別れになるだろうということは私ども予想はしておりました。今後は政府間協議に移されるということでありますが、馬場委員質問に対して答えておりまして、これは今村局長からだったと思いますが、かなり微妙な言い回しをしていて、私はかなり気になっていたのであります。先ほど大臣も、一月の協議のときにはそれほど国内にその後大きな打撃を与えないで済んだという趣旨の発言がありました。そうでしょうか。私はとんでもない話だと思うのです。牛肉だって、農林大臣が就任早々の発言で、市場価格は百円も値下がりしたと伝えられております。一月に入っての日米交渉の中のやりとりを反映して、さらに国内では牛肉ばかりではない、オレンジだって大暴落するという状態になった。政府間の今後の協議においてオレンジ問題あるいはオレンジジュース等が持ち出されるようでありますが、基本的にはこの問題についてどういう態度で臨むことをお考えになっているのか、私は再度ひとつ念押しのためにお聞きをしておきたい、こう思うのです。
  120. 野崎博之

    ○野崎政府委員 この問題につきましては、前々から大臣もおっしゃっておりますように、今回の一月に、対外経済の問題に農業の面からどれだけ協力できるか、あるいは農業の面へ支障を及ぼさないか、そういう点をいろいろ総合勘案いたしまして、輸入枠、それからミカンが出回らない季節の季節枠、そういうものを設けて入れたわけでございます。  その影響等につきまして、いまのところはオレンジは安くなっておりますけれども、その他の価格に影響しているというような話はまだわれわれとしては余り聞いておりません。  今回の柑橘調査団としても、いろいろ向こうと事前の打ち合わせをしたわけでございます。それは向こうが依然として自由化なりジュースのブレンドをして拡大をすることを要求する、それに対しましてわが方といたしましては、とにかくいまミカンの減反を進めているような国内の状況である、そういう事態から見てとうていこれ以上のことは無理である、一月の決定が最大限のものである、そういう反論をいたしております。われわれとしましても、現在国内でそういうミカンの減反をやっている最中といいますか、従来も続けておったわけでございますし、また民間側からもそういうミカンの減反をやろうというような話が出ている現状を考えますときに、やはり現在考えられますのは、ことしの一月のものがわれわれとしては最大限のものである、そういうふうな考え方でおるわけであります。
  121. 島田琢郎

    ○島田委員 もう時間がなくなりましたから最後に。  そういう戦略目標をかわすための一つの措置として、関税の引き下げ、これは当然向こうからは、東京ラウンドにおきます一つの目標というものがありまして、その中の一環として関税の引き下げというのを持ち出されてくるわけです。時間がないから私の方から申し上げますが、農林省としての関税の引き下げ品目は八十六品目あるというふうに聞いています。その中身は、新たに引き下げをするもの六十一品目、また、すでに引き下げて通告してあるのだけれども一ランク下げてオファーをするもの二十五品目、こんなふうに情報として聞いております。間違いありませんか。
  122. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 追加品目の数は別といたしまして、東京ラウンドについてできることにつきましては積極的に協力をする、そういう立場でございますから、大臣も申し上げておりますように、総合農政に支障を来さないという点において協力すべきものは協力するという観点から、現在いたしておりますオファーをさらにどのように改善できるか、そういう観点から追加をできる品目につきましては検討をいたしておるところでございます。
  123. 島田琢郎

    ○島田委員 戦略目標、攻撃目標をかわすための幾つかの手だてを考えておるのでしょうけれども、うっかりすると取られっ放しで、それはそれだ、それはよこせ、しかしオレンジ、牛肉は規定どおりですよ。いまのアメリカの果敢な攻撃を見ておりますと、どうもそうなりかねない。取られっ放しで、最後に何も残らぬようなやり方はせぬように、この点だけはひとつ厳重に今後の東京ラウンドを前にして作戦を練ってもらいたいと思っております。  きょうは時間が来ましたから、私はこれで終わります。
  124. 片岡清一

    ○片岡委員長代理 野村光雄君。     〔片岡委員長代理退席、山崎(平)委員長代理着席
  125. 野村光雄

    ○野村委員 通告どおり、ただいまから米麦価決定問題に関連いたしまして、与えられております時間内、質問をいたしたいと思います。  まず最初に、米価決定問題に入る前にお尋ねいたしたいことは、昨年来大幅な水田利用再編対策というものが打ち出されてまいりまして、全国的に稲作農家作付が大体完了した、こういう時期を迎えてまいりました。最終的な細かい数字までは別といたしましても、大半この減反政策の実績がほぼまとまってきている、こう思いますけれども、昨年指示いたしました減反政策の実績をこの際お聞きをいたしたいと思います。
  126. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 お答えいたします。  本年の生産調整目標面積三十九万一千ヘクタールでございますが、ただいま詳細につきましては市町村に照会し、その数字が上がってくる過程でございまして、まだ正確に幾らということを申し上げる段階ではございませんけれども、現在段階で都道府県から私ども報告を聴取したところによりますと、目標面積の達成はほぼ可能ではなかろうか、かように判断しておる次第でございます。
  127. 野村光雄

    ○野村委員 ほぼ目標達成、こういうことでございますが、北海道は私、地元でございまして、いろいろな苦節はございましたけれども、一〇〇%かろうじておこたえすることができた、こういうふうに伺っておりますが、他府県の実態の中で、正確とは言いませんけれども、最も目標に遠い数字の実態はどういう実態であるか、この点をひとつ聞きたい。
  128. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 先ほども申し上げましたとおり、数字につきましては的確にお答えできませんが、一般的に申し上げまして、大都市近郊都道府県におきましては、特に飯米農家が非常に多いというようなことがございまして、そのような米作農家を多数抱えております府県におきましては生産調整の達成に非常に苦労しておる、かように承知しております。
  129. 野村光雄

    ○野村委員 そういたしますと、都道府県、市町村単位、また個人単位にも目標達成ができなかった、こういうところに対しては、昨年来問題になっておりましたペナルティーはそのまま効用を発して用いる、こういうことですか。
  130. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 そのような事態につきましては、当委員会においても再三御説明申し上げましたとおり、公平確保の見地から所要の措置をとることになろうか、かように心得ております。
  131. 野村光雄

    ○野村委員 いつごろの時点になりますか、大体正確な数字をつかんでペナルティーの作業に入るのは。
  132. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 最終的な数字が判明いたしますのは、ほぼことしの出来秋、十月ごろになろうかというふうに心得ております。
  133. 野村光雄

    ○野村委員 それでは、本題に入らせていただきますが、一つ米価決定の時期を迎えてまいりまして、いずれにいたしましても生産農家にとって米価というものは農家経済を左右する最大の関心事でございます。そういうことで、いよいよその時期を迎えたわけですが、この米麦決定に対するスケジュール、審議のあり方、それから米麦価決定の基本的な考え方、どういう基本的な考え方を持っておるのか、従前どおりの米も麦も農家のあくまでも生産費所得補償方式、こういうものを基本としてやるという考え方を持っているのかどうなのか、こういう価格決定の基本的な考え方、審議のあり方としては従前どおりやってきた審議会のあり方をまた継続してあのままやるのか、こういう点につきまして、このスケジュールと審議のあり方と決定の基本的な考え方、この三点をまず最初にお尋ねいたしたい。
  134. 澤邊守

    澤邊政府委員 三点のお尋ねでございますが、生産者米価の審議の日程でございますが、例年のように七月の上旬にやりたいというような考えを現段階として持っておりますが、七月の幾日ということはまだ決めておりません。例年のように上旬中には開きたいという希望を持っております。  それから、審議のあり方といいますか、やり方という点につきましては、御案内のように、昨年、一昨年と二カ年間生産者米価につきましては審議会といたしまして答申が行えなかった。昨年はたしか経過報告はできましたけれども答申が行えなかった、こういう事情がございました。また、審議の会場その他審議の進め方についても混乱もございました。そういうことがございまして、審議会の中で昨年の生産者米価審議会から売り渡し米価審議会も全部終わりました段階で、今後の米価審議会としての任務を全うする点から見て、いままでのような審議のやり方については種々問題がある、したがいまして、正常な審議を進め、一本の答申が行い得るようにするためにはどのようにしたらいいかというようなことにつきまして、昨年の秋、数回にわたりまして委員懇談会におきまして種々フリートーキングが行われました。その結果、申し合わせができたわけでございまして、それに基づきまして農林省にも申し入れがございました。  その内容、逐一詳しく言葉の細部まで覚えておりませんけれども、要点だけ申し上げますと、なるべく短時日の間に生産者米価についても能率的に審議を進めて、できるだけ一本の答申を行うようにしたい。夜間、深夜の審議などということはできるだけ避けたいというようなこと。また、会場の秩序の維持、審議の部屋そのものと、会場外のいわゆる三番町の秩序でございますが、そういう点につきましても、政府としてできるだけ審議に支障のないように秩序立ててもらいたい、かような趣旨の申し合わせができ、また政府に対する申し入れも行われました。  その結果の一つといたしまして、例年七月上旬に行っております生産者米価の審議の際は、生産者米価に限定をして論議を能率的にやるということにして、その生産者米価を審議する場合の参考になるといいますか、前提になるといいますか、あるいは背景になる生産事情、生産調整の進捗状況も入ると思いますが、あるいは流通だとか消費だとか需給だとか、そういうものは、これまで生産者米価の米審においてかなりの時間を費やして論議をしておりますけれども生産米価そのものではなくて、それをめぐるこれらの諸問題については、七月の生産者米価審議の前に政府からも説明を受け、論議を終わっておきたい、そのために七月上旬の生産者米価諮問の審議に先立って、別途ただいま言いましたような生産、流通、需給、消費等の問題について論議の機会を持つように米価審議会を開催してほしいという申し入れがございまして、したがいまして、それを受けまして、ことし初めての試みでございますが、俗に前広米審と称しておりますけれども、十九日と三十日でございますが、ただいま申し上げました趣旨での前広米審というものを米について開催することにいたしております。  これは重ねて申し上げますけれども米価そのものの諮問もいたしませんしい答申もいたしませんし、この段階では米価の論議はほとんど行われない、こう思っております。  それで、本番の生産者米価の諮問答申は七月上旬にできるだけ一本の答申が得られるように審議会としても申し合わせがされておることでございますので、私どもとしても、そのような努力が実るように期待しているところでございます。
  135. 野村光雄

    ○野村委員 スケジュール的な考えも大体明らかになってきたわけですが、ちょっといま問題といいましょうか、確認しておきたいのですが、十八ないし十九日ごろから正式米審の事前にあらあら何か下打ち合わせをしたい、これは予定される審議会委員が集まってなさるのですか、参考人みたいな、学識経験者みたいな人の意見をあらあら別な形で聞くというのですか。
  136. 澤邊守

    澤邊政府委員 十九、二十日の二日間にわたる正式の審議会でございます。したがいまして、外部の人を入れるとかいうような予定はいたしておりません。
  137. 野村光雄

    ○野村委員 そうしますと、十九、二十日ですでに米価があらあら決定するんだ、こういうことであって、七月上旬に開かれる、正式に対外的に公表してやる審議会は、過去の審議のあり方から言って、非常に外部的な圧力、騒音、時間的にいろいろなふくそうしたものが入って、結局は無答申、無答申にならざるを得なかった、また長期の時間も必要とする、こういうことなので、事前にあらあら決めておきたい、そして本番は、形式上この前決まっておったことだけれども、五分や三分で決まりましたというようなわけにいかないから、時間をとって形式を整えて、正式に公表するのは七月上旬の手続、本番は十九、二十日でやる、こういうことに受け取ってよろしいですね。
  138. 澤邊守

    澤邊政府委員 ただいまの御趣旨と全く違いまして、これは私どもが申し上げているわけじゃございませんので、米価審議会の委員生産者代表の方を含めて、去年の九月からたしか十月にかけて数回フリーな議論をされまして一致されたところに従って、私どもはそれの申し入れを受けてやっておるわけでございますので、先ほど申し上げましたような趣旨でございますから、十九、二十日には、価格に関するデータ等を私どもで提出するつもりは一切ございません。過去のことは、あるいは出せと言われれば出しますけれども、そういう論議はやらないというたてまえになっておりますので、価格に関する、いわんや試算などはできるはずもございませんけれども、そういうものに何か直接予断を与えるようなものをわれわれの方から積極的に出すつもりは私どもはございません。
  139. 野村光雄

    ○野村委員 そうすると、その十九、二十日に行われる米審というのは、正式に農林省から、米価審議会の決定に当たって審議をお願いします。こういうことでやるんでなくて、もともとあるこの審議会が、過去数年来のいろいろなふくそうした問題もあるし、みずからいろいろな資料を寄せながら、農林省の正式な委託を受けないで、自発的に米審というものの立場で論議をしておく、こういう形態で行われるんだということですか。
  140. 澤邊守

    澤邊政府委員 米価審議会の開催は農林大臣が招集するといいますか、そういうことになっております。ただ、これは先ほど来申し上げておりますように、米価審議会の委員懇談会において全員一致して申し入れがあって、米に関する前広米審を事前に開けということでございます。それを受けて、形式は農林大臣が招集をいたしますけれども、農林大臣が思いついて、委員の意思にかかわらずやる、こういうものでは全くございません。
  141. 野村光雄

    ○野村委員 これは非常に重要な問題でございまして、これを論議していますと、私の持ち時間は三十分でございまして……。  考え方とスケジュールだけはわかりましたけれども、あくまでも米価というものは生産者の意向を反映して決定する、生産者が自分でとったお米ですからね。その意見を無視して決めるということに対しては、これは審議のあり方としては、私どもとしては何となくうなずけない問題がございます。本審議のあり方に対してはぜひ慎重を期してやっていただきたいことを、御忠告と申し入れをしておきます。  そこで、いま生産者の立場で一番心配いたしておりますのが、米の生産過剰ということを口実とした米価の抑制をしよう、こういうことがどうも政府の今日までのあらゆることの中から出てきておることでありますが、確かに米の過剰というものは米価を抑制さえすれば必ずなくなるんだ、そう簡単なものではないと私は考えているのですけれども、その点の基本的な考え方をちょっと確認しておきたいのです。
  142. 澤邊守

    澤邊政府委員 私どもは現段階で、食管法に基づきまして適正に米価を決めたいというつもりでおるわけでございますが、いま算定の際に具体的な資料をいろいろ使いますけれども、一番基本になります生産費調査の最近のものは、といいますのは、過去三カ年のものを使うわけでありますが、その最後の年の昨年産米のものがまだ集計が終わっておりませんので、出ておりません。また、生産資材等あるいは賃金等評価替えします場合に、五月の最近時の物価なり、それから賃金を資料として用いるわけでございますが、五月のものは現在出ておりません。したがいまして、具体的な検討をことしのものについての数字についてやるところまで至っておらないわけでございますが、生産費所得補償方式にのっとってやるという考えは、これまでのを変えるつもりはございません。  ただ、御案内のように、生産費所得補償方式と申しましても、中の要素とり方評価替えやり方等、いろいろ議論のあるところでございまして、生産者団体がこれまで毎年要請されるところと、われわれが試案で示し、あるいは最終決定しますところとはかなり大きな開きがあることも先生よく御承知のとおりであるわけでございますが、そういう大枠は生産費所得補償方式の中で、法律にございますように、物価その他の経済事情を参酌して再生産を確保するということを旨として決めろ、こういうことになっておるわけでございますので、その際、現在非常に問題になっております需給事情というものを何らかの形で反映させていくことは、私どもとしてはこれまでもやっておることでございますし、今後もやる必要があるのではないかというふうに考えております。何も生産事情だけを反映させるということを申し上げておるつもりではございませんけれども、御承知のような深刻な事態にあることは事実でございますので、それらを反映させながら算定をしていくべきだという気持ちは、一般論として現在持っておりますが、具体的なことはまだ決めておらないわけでございます。
  143. 野村光雄

    ○野村委員 私は強力に申し入れをしておきます。米の生産が過剰だからそれを口実にして米価を抑制する、もしもこういう考えがみじんでもありとするならば、じゃ米が足りないときには経済の原則にのっとって高く買い上げてくれるのか。そうでなくて、国民の生活を守る使命と責任があるのだ、こういうことで、足りなければ足りないで安くさせる、こういう実績農家は強いられてきたわけですから、どうかそういう過去の農家が国民に奉仕してきた実績というものを踏まえながら、これは十分に農家の立場に立って基本的な姿勢で臨んでいただきたい。  次に、農業団体すなわち農業協同組合または農業委員会等の系統的組織の方で、先日六十キロ一万九千二百七十六円以上、こういう基本方針が出たようでございます。これに対して農林省はどういう認識を持っているのか。  もう一つは、麦についても生産費所得補償方式、こういうものを基本としてやるべきだ、こう考えておりますが、その際、生産調整ということの中で、特に北海道あたりは大幅に麦の作付がなされているようでございます。そういう中で、麦の価格決定に当たっては生産調整の奨励金、こういうものは目的が違うわけですから、麦価算定の中には一切含まれないのだ、別個な立場で、麦価は麦価という立場で価格を決定するのだ、こう思っておりますけれども、また、そうあるべきだと思いますけれども、この点について確認をいたしたい。この二点。
  144. 澤邊守

    澤邊政府委員 全国農業協同組合中央会から、ただいま御指摘ありましたように、一万九千二百七十六円という米価の要請が十日に出されております。実は農協大臣なりわれわれクラスとのこの問題を中心にした話し合いをすでに二回やっております。三回目を近く、十七日にやる予定にしておりまして、そのときに詳しい御説明があるのではないかというように期待しておりますが、これは私どもはもらっただけで、説明を実は受けておりません。受けておりませんので、私どもがざっと見渡して判断をしておるのが現状でございまして、十七日にはあるいは詳しい御説明があるのかなというふうに期待をいたしておりますが、御承知のように、大きく変わりましたのは、八〇%バルクライン生産費方式というのを、政府のこれまでやっておりますような平均生産費方式といいますか、そういうのに今年度は変えたという点が、要求ベース、要請ベースとしては一番大きく変わった点だと思います。その結果、一三・三%という昨年度の決定米価に対する引き上げ要請になっておるわけでございまして、この点は、従来二十数%というような大幅な前年対比の値上げ要請に比べますと、私どもから見まして確かに一歩近づいたという点はございますけれども、なお他の要素とり方につきましては従来とほとんど変わっておりませんので、私どもとはかなり見解の相違がございます。  一々申し上げるのもいかがかと思いますので、主要なものだけ一、二申し上げてみますと、たとえば都市の製造業労賃に家族労賃を評価替えするわけでございますが、私どもは五人から九百九十九人の製造業者の平均労賃に評価替えをするわけでございますけれども、農業団体は一貫いたしまして製造業の五人以上青天井と俗に称しておりますように、大規模の大企業まで全部含めろ、それの平均賃金で換算しろというようなことの御主張があるわけで、この点は変わっておりませんので、この辺は計算をいたします場合にはかなり食い違ってくるところではないか。  それからもう一つは、企画管理労働といいまして、生産関係は直接性は薄いけれども、研修だとか帳簿をつけるとか、あるいは共同作業の打ち合わせをするとかというようないわゆる企画管理労働といいますか、そういうものを私ども生産費調査の中で調査しておりませんし、米価算定の際にも入れておらないわけですが、そういう直接的な生産労働時間以外のものも入れるべきである、これもかねての主張でございますが、この点についてはことしは私どもはまだ決めておりませんけれども、これまでの農林省側の考えとは依然として大幅に食い違う点であるということでございます。  それからもう一つは、地代のとり方でございますが、地代のとり方につきましては、農林省側は実際の小作地で小作料を払っている場合には実納小作料をとり、自作地について擬制計算で、実際に払っておらぬわけですけれども、小作料が払われるはずである、その自作地の地代をどう見るかという場合、私どもは法律に基づきます統制小作料で計算をしておりますけれども、農業団体は一貫いたしまして自作地についても実納小作料、小作地において実現をしておる実際の小作料をとるべきである、こういう御主張があるわけで、ことしもその点は変わっておりませんのでへこの辺は計算をいたしますとかなり食い違いが出てくるということが予想される点でございます。  それから、麦の点でございますが、これは奨励金の問題ですが、昨年から従来のパリティ方式を変えました。パリティ方式のほかに、四十九年度から、麦の生産振興を図りますために一俵一昨年までは二千三百円の奨励金を出しておったわけですが、これは流通するものにほとんど一律に出るものでございますので普遍性がある、価格的性格がかなり強いということで、これを織り込んだ新しいパリティ方式といいますか、そういうものに変えました。これは米価審議会におきまして研究会をつくっていただきまして、生産者代表の方も入っていただいて、半年ばかり研究した結果報告が出まして、こういう新しい方式に直すべきである、価格性の強い奨励金を織り込むべきであるということの答申がありまして、それを受けて昨年からその方式に従って新パリティ方式といいますか、それで算定して前年に比べて四四%ですか、引き上げを行ったわけでございます。  その算定方式は米審で結論が出たものに従ってやっておることでございますので、今年もその方式に従ってやっていっていいのではないかというように考えております。
  145. 野村光雄

    ○野村委員 あとわずか一分少々というところでございまして、最後にぜひお尋ねしておきたいことは、特に北海道、東北を主体といたしました米作農家は、御存じのとおり、農家経済というものをこれによって支えておる農家が大半でございまして、米作収入が農家経済を即左右するという運命に置かれております。そういう中で、御存じのとおり大幅な減反の強制、しかも最近の不況によりましてだんだんと若い労働者もUターン現象を起こしまして、都市から農村へ帰ってきている、しかし、不況によって農閑期の出かせぎの場所はなくなってきた、必然的に米の生産によって経済を支える以外にない、こういう農家が多い。そういう中で、さらに海外からの農畜産物の輸入という圧力によって農家経済は二重三重の圧迫を受けていると言っても過言でない。こういう中で農家経済の最大の基本である米価を決めるわけでございます。  今回の国会召集の冒頭から、福田総理は口を開けば経済成長を七%必ず上げるのだと言っておりますけれども、いま言ったような悪条件の中で農家経済というものは著しく圧迫され、低下をするという余儀ない事態を私は非常に心から憂えている一人であります。農林省としてはどこまでも国民の食糧の確保という立場ではありますけれども農家あっての経済でありますから、そういう点から農家経済を安定せしめるという立場の中で、ただいま言ったようなふくそうした悪条件を基本的に考え直して、農家経済のあり方というものを抜本的にひとつ洗い直して長期展望に立った施策を講ずる時代がやってきたのじゃないか。あっちこっち一つや二つ手がけて解決するという問題ではなくなってきたと私は思っているわけですけれども、こういう農家経済の置かれている立場に対してどういう認識と対応策を持っていらっしゃるのか、これが一点。  もう一つ、どうしてもお聞きしたいことは、特に生産調整で麦の作付がふえております。これは二月の予算委員会でも私、若干触れておきましたけれども、いま特に北海道の方の農業倉庫は満杯でございます。ところが、米と違いまして麦の生産出荷は八月末から九月の上旬にされるわけですから、私が歩くと農業協同組合から陳情を受けるのですが、麦の出荷が始まる前に何とかしてこの満杯のお米の出荷指令を計画的にしていただけないものか、そうしない限り、麦の出荷の時期を迎えても入れる倉庫がない、こういう心配をいたしておりますけれども、この対応策についてお伺いいたしたい。  以上、最後に二点をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  146. 佐竹五六

    ○佐竹説明員 前段についてお答えいたします。  減速経済のもとにおいて農産物需要の停滞に伴う過剰基調の定着化、あるいは兼業機会の減少等農家経済をめぐる情勢が非常に厳しいことは確かに先生御指摘のとおりでございます。このような状況にあって農家経済の安定を期するためには、需要に見合った生産の増大による土地利用率の向上、経営の複合化等を進めることがやはり政策のあり方としての大道ではないかと思うわけでございます。現に、確かに農村へのUターン等はふえておるわけで、このことは一面においては農業生産への意欲を盛り上げるきっかけにもなっているわけでございまして、本年の裏作麦等については相当な生産の回復も見られているわけでございます。  このような見地から、私どもといたしましては、これに必要な基盤整備の推進あるいは技術指導の徹底等に従来から努力してまいったわけでございますが、今後さらに事態の推移に即応して、その成果を点検しつつ所要の改善措置を図ってまいりたいと考えているわけでございます。
  147. 澤邊守

    澤邊政府委員 農業倉庫についてのお尋ねでございますが、昨年も御承知のように米は豊作でございましたので、収容能力は政府指定倉庫で千五百万トンを若干上回ったところでございますが、主要産地において一時的に倉庫事情が逼迫したというような地域もございましたが、特別指定倉庫を指定するとか、ほかの余裕のあるところへ運搬するとかいうことでしのいできたわけでございますけれども全国的に見れば昨年は二百四十二万トンぐらいのまだ余裕があったということでございます。  ことしは、古米の在庫もふえておりますし、反面百七十万トンの減反によって生産量はやや減る面がありますけれども、御指摘のように、麦がふえる地域もございますので、先生の御出身の北海道とか青森とかいうようなところは確かに倉庫事情が逼迫するおそれがございます。全国的にはなお余裕があると思いますけれども、地域的にはそういうところがございます。したがって、そういうところについては何とかいろいろやりくりをしてやっていかなければいけないわけでございますが、たとえば、そういう倉庫事情の逼迫する地域においては高はいと言って普通よりもっと高く積む、通路も少し狭くして通路によけい積む、あるいは直行発送といたしまして産地でできたのを倉庫に入れずすぐ消費地へ持っていってしまう、あるいは特別指定倉庫を去年と同じようにさらに指定をしまして、普通なら買って最寄りの倉庫で保管するのを少し離れたところでやる、その運賃を政府が負担するというように、生産されたものが倉庫に入らなくて困るというようなことのないよう、産地の倉庫にも御苦労を願いながら、政府も需給操作上いろいろきめ細かな配慮をしていくことによって支障が出ないようにしていきたいと思っております。
  148. 野村光雄

    ○野村委員 以上で終わりますが、ちょっと申し上げておきますけれども、倉庫事情というのは、いま長官がおっしゃったような、もう少し高く積み上げればもっと広くあくところもあるんだ、そんな状態ではないのです。あなた、一回ごらんになったらいいと思う。積めるだけ高く積み上げた中で満杯だという事情で、しかも麦とお米とまぜて一つの倉庫の中に積み上げることはよくないのでスペースは当然別に必要になってきた、その対策に迫られている、こういうことでございますから、よく事情を調べた上で対応策をとっていただきたい。
  149. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 次回は、明十五日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十九分散会