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堀川政府委員 大変広範な範囲にわたるお尋ねでございますので、なるべく簡潔に申し上げたいと存じますが、時間等の
関係もございますので、もし冗長にわたる節がございましたら御指摘をいただきたいと存じます。
まず、基本計画
関係でございますが、この計画の策定の手続でございますけれ
ども、直接的には作物
関係の
育種に関します試験
研究の推進についての検討会というものを事務局お世話の
もとにつくりまして、これは参画いたしましたのは学識経験者、
試験研究機関の職員、それから主として作物ごとの
普及なりあるいは奨励行政を担当する
農林省の部局の
関係者、こういった者が加わっておるわけでございますが、ここで入念な検討をいたしまして、報告が出ましたのが
昭和四十九年六月でございます。これを
もとにいたしまして、なお事務局といたしましてはさらに内部検討を行い、
関係の方面との調整を了した上、この計画を案として策定をいたしまして、
農林水産技術会議の議に付し、そこで御了承されまして、
農林水産技術会議としてこの計画を決定をし、公表をした、それが五十年六月のことでございます。そういう手続を経ているわけでございます。
次に、どのような作物かということでございますが、六十三の作物を対象にいたしておるわけでございますが、これらの作物は、現下の農業事情、農政上の要請、そういうことを十分考慮いたしまして、緊急的に取り上げる必要性の有無、そういうことを考えて、普通作物については十七種類を対象にしております。稲の
関係では
水稲、陸稲、麦では小麦、大麦、子実用の燕麦、豆の
関係では大豆、落花生、小豆、いもの
関係ではカンショ、バレイショ、コンニャク、
雑穀類では子実用のトウモロコシ、同じく子実用のソルガム、それからこれは甘味資源
関係ですが、私
どもの言葉で糖料作物類と呼んでおりますが、てん菜、サトウキビ、それから油料作物といたしましてなたね、工芸作物としてイグサがございます。以上十七。
それから、牧草なり
飼料作物関係が十五ございます。寒地型の稲科の牧草といたしましてイタリアンライグラス、オーチャードグラス、チモシー、ペレニアルライグラス、トールフェスク、メドゥフェスク、スムーズブロームグラス、こういったものでございます。暖地型の牧草といたしましてはダリスグラス、バヒアグラス、それから豆科の牧草といたしまして赤クローバー、アルファルファ、白クローバー、
飼料作物といたしまして青刈りなりサイレージ用のトウモロコシ、それから青刈り、サイレージ用のソルガム、同じく青刈り、サイレージ用の燕麦、こういうことでございます。
果樹の
関係は十一ございまして、かんきつ類でリンゴ、ブドウ、日本ナシ、桃、カキ、クリ、梅、スモモ、アンズ、ビワ、こういうことでございます。
それから、
野菜と花の
関係でございますが、全体で十八ございまして、
キュウリ、メロン、
トマト、ナス、ピーマン、エンドウ、キャベツ、
白菜、大根、ハナヤサイ、ニンジン、タマネギ、
イチゴ、アスパラガス、それから花でございますが、ユリ、チューリップ、菊、ツツジ。
それから、お茶、桑、これがそれぞれ独立した項目になっております。
これで全部で六十三あるわけでございますが、これのほかに最後の項目といたしまして、その他新しい作物及び新用途の開発の可能性のある作物というのも機動的に取り上げ得るということにしておりまして、これはまだ具体的に
育種の目標をつくって進めるというところまでいっておりませんが、この当時想定をいたしましたものには、いわゆる糖料作物でございますが、ステビアというのがございます。それから、たとえばアカザの一種でございますが、キノアというのがございまして、これは実の中にたん白含有量が非常に多いという特色を持つものでございますが、こういったものについてやる必要が出てくるかなということも考えまして、いま言った最後の項目を持っておるわけでございます。これはまだ具体的に
育種試験というところまでいっておりませんが、たとえばステビアなどは熱帯農研を
中心といたしまして、これの
育種素材としての試料の収集を図っておるということでございます。
なお、
育種の
体制は幾つかの段階があるわけでございますが、その段階に入ります前に
育種試験という、作物の交配をやり、それから選抜をやりというのが
育種試験と称されているものでございますが、これを
中心といたしまして、そういう試験が的確に、あるいは効率的に行われるための
一つの
基礎的な
育種研究という部門が機能的には必要でございます。なお、
先生からもお話のございました
育種支持でございますが、
育種支持と申しますと、
素材を外国から入れて交配の材料としてそれを貯蔵しておくというようなことが
育種支持に当たります。また、特性を検定する等のことも
育種支持に当たりますが、そういった
育種支持機能、この
三つの機能をうまく結びつけまして、しかも、これから申し上げる
試験研究機関で適切な機能分担をして進めていくことが必要であるということで、そういうことを
試験場別になり、あるいは作物別に明らかにしておるわけでございます。
そこで、具体的にどうなっておるかということでございますが、まず第一に、作物
関係の
育種の推進機能の整備ということで、五十年以降作物
育種についてこれを試験
研究の
一つのパートと申しますか、部門ということで位置づけた。従来は一般の栽培部門の中に作物別になり入っていたわけでございますが、それを独立した、いろいろの作物がございますけれ
ども、それをひっくくって作物
育種という部門を設けて進めることにした、これは後ほど申し上げます専門別総括検討
会議等との
関係がございます。後で御
説明申し上げたいと存じます。
それから、
育種推進機能の分担の明確化ということで、まず、こういった作物
育種に共通する問題をどこで担当するか、これは
農業技術研究所が行うということにしてありまして、その内容は、作物共通の問題についての連絡調整、それから大変
基礎的な
研究、たとえて言えば麦の
育種をする際に
利用できると考えられている方法でございますけれ
ども、遠縁種あるいは近縁種のものとの間の交雑をするというような場合に、
基礎的な理論とその技術、こういったものについては、これは麦に限る話ではございませんが、作物共通の
基礎研究ということになるわけでありますから、技術
研究所が主体になってやっておる。それから、
育種支持に
関係するものといたしまして、技術
研究所には種子の貯蔵施設を持っておりまして、所要の種子を一括してここで貯蔵をし、
育種の材料としてこれを使うということをやっております。これは平塚にいまありますが、現在のところ二万数千種類くらいの種子が集まっているわけでございますけれ
ども、筑波に技術
研究所が移転した際には五万種類くらいの種子を貯蔵し得る、そういう能力施設を持ったものにしたいというふうに考えているわけですが、これらは作物
育種共通の問題として技術
研究所が扱うということにしております。
なお、これは今度作物の
関係にあります。たとえば
果樹とか
野菜でございますが、
専門場所がございます。それから、一般普通作物等で農事
試験場とか、
水稲の
関係でも農事
試験場は
関係してまいりますが、そういうふうに作物によりまして部門内の
育種の共通問題を扱うところはどれかということを位置づけておるわけで、いま申し上げましたような
果樹とか
野菜につきましては、それぞれ
果樹試験場あるいは
野菜試験場が部門内
育種共通の問題を扱う
試験場であるというふうに位置づけ、それから農事
試験場は全体、
水稲とか畑作物についての
育種共通問題を扱う
試験場であるというふうにしておるわけでございまして、具体的には、こういった部門内
育種共通のやるべきことというのは、各部門内の連絡調整、それから共通の
基礎研究ということをやります。麦の場合の例をとっても、たとえば染色体等の遺伝的な因子の組み替え
育種をやるという方法がございます。こういうことは農事
試験場でやるというふうに分担が決められておるわけでございます。それから、やはり共通的な支持ということで、たとえば麦でございますとか
野菜でございますとか、そういうようなことについて農事
試験場なりあるいは
野菜試験場が外国からの
種苗の導入を行う。さっき貯蔵して保管しておくというのが技術
研究所ということを申し上げたわけですが、そういうことをやる。それを検定するために若干つくってみるということも含むわけでございます。これらは共通支持という内容ということで理解をされております。
それからさらに、そういった
試験場がいろいろやるわけでございますが、そのほかに作物別に
育種の試験地と
育種の
中心地というものをつくるという考え方がございまして、
育種の試験地と申しますのは、
育種試験、つまりさっき申しましたような意味でこの
育種の
中心をなす部分でございますが、そういったことを県の
試験場などにもお願いをいたしまして、そうして具体的にどういう作物でどういう目的の
育種をやっていただくかというようなことを考えて分担を決めておるわけでございます。それから、
育種中心地と申しますのは、そういう試験も一部やりますが、麦なら麦あるいは小麦なら小麦、そういうふうに細かく分かれていくわけでございますけれ
ども、それの試験の取り
まとめをやると同時に、みずからも必要な試験を行う、それから
研究も必要に応じて行う、
育種支持もしかりというようなことで、作物別に
中心をつくって取り
まとめ、かつ
研究なり
育種試験なり支持をやる、こういうのがあるわけでして、例を申し上げますと、たとえば小麦につきましては東北の
農業試験場、それから大麦につきましては九州の
農業試験場というふうに
育種の
中心地が決められておる、かようなかっこうになっております。
それからなお、特性検定試験地、系統適応性の検定試験地というものを設けて実行いたすということにしております。
それから、先ほ
どもちょっと触れたんですが、作物
関係の専門別の総括検討
会議というのを毎年開くことにしておりまして、
育種のこれまでの経過、それから成果についての評価、それから今後の取り組み、どういった問題を取り上げていったらよかろうかということについての検討をやり、毎年これを取り
まとめておるわけでございます。そういうようなことで、これはブロック別にも行いますし、全国レベルでも行うわけでございます。
こういうようなことを通じましてやってまいるわけですが、この
育種の
研究を行う
体制といたしましては、これも申し上げておりますとおり、国では九十六の
研究室で三百十二名の職員を擁してやるということにしておるわけでございます。
指定試験の
関係では、四十二
単位で百三十名というようなことになって、
補助員を入れますと百八十名というようなことでございます。
それから、この機会に、大変恐縮ですが、
小川先生の御質問で県単の
育種をやっております人員の
関係についてお尋ねがございまして、
小川先生には別途御報告申し上げておるわけでございますが、この
関係では全国で百二十カ所で延べ百六十人というのが県単
関係の
育種に従事をしておる、かように御理解を賜りたいと存じます。
それから、予算の
関係でございますが、予算の
関係では
資料で御提出をしてあるわけでございますけれ
ども、総体といたしまして約十三億弱の予算に
育種の試験
研究関係の予算はなっておるわけでございます。これはこういう形で実行いたす基本
体制に必要な予算として組まれておるわけですが、それ以外に別枠予算なり大型別枠の予算というのがございまして、これは特定目的のために予算を取って特定の目的
研究をやるということになっておるわけでございますが、こういう
関係の中に、たとえば一般別枠で行っております稲麦の合理的作付体系の確立に関する
研究があるわけでございますが、五十三
年度予算で約一億七千万でございますけれ
ども、こういう予算の中にも
育種の
関係は含まれておるわけでございます。ただ、
育種分が幾らということで明示できるような形になっておりませんので、このうち幾らと明確に申し上げられないのですが、そういうものがございます。それから、いわゆるグリーンエナジー計画といって、大型別枠のいわゆる新プロ
研究と申しておりますが、これは本
年度から具体的に実施に入っておるわけでございまして、予算額は六億八千万円でございます。今後も継続いたしまして、十年くらい続けて総体としては百億円規模ぐらいの試験
研究を考えておるわけですが、太陽エネルギーの光合成による
利用を飛躍的に拡大をするというのが目的でございますので、その中に
育種の
関係も当然のことながら入ってくるわけでございまして、これもこの六億八千万なり今後総体としての百億のうち
育種関係が幾らというふうにびしっとは申し上げられないのですが、相当なものがこの
育種の関連に充当されることになろうというふうに思っておるわけでございます。
それから、施設の
関係でございますが、施設の
関係につきましては、筑波の整備は、御
案内のように、あの
法律に基づきます計画的な整備ということでやっておるわけでございますが、これ以外に一般会計におきまして施設整備を年々やってきておりまして、これも
育種の部分が幾らであるかということはなかなかむずかしいのでございますが、いまのところ大体二十二、三億くらいの規模でいっておるわけでございます。五十三
年度は不動産購入費を一部含むわけでございますが、二十三億二千七百万ということになっておりまして、このうち
育種関係は共通のものが非常に多いわけでございますのでなかなかむずかしいわけでございますが、
育種に直接
関係いたしますような温室なり網室、貯蔵庫というようなものに限定してみた場合に、五十二年の場合でございますけれ
ども、約一割
程度ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
そのほか、
育種の材料の導入等につきましても予算を持っておりまして、現在予算を持ちまして探索導入と申しまして、特定の目的を持って特定のところへ行きましてある種の
品種を入れてくるということを国みずからやっておるわけでございますが、それの一年間の実績は約五百種類くらい入れておるわけでございます。こういった予算を直接使いましてやっておりますもののほかに、いろいろのルートで私
どもはこの
育種に役立つだろうと思われるものの収集に努めておりまして、これは技術
会議が窓口になってやっておるわけでございますが、そういうものも含めて考えますと、年間およそ千を下らないような種類のものが集められておるというふうに思うわけでございます。かようなことで、
育種推進のための基盤づくりということにも努めておるわけでございます。
なお、今後ともこの
育種の
体制の整備充実、それから試験
研究が効果的に推進をされる方策というようなことについては真剣に
努力を続けてまいりたいと思っております。