○島田
委員 私は、場所柄もわきまえずこの営林署の廃止はよもややるまいと思っておるのでありますけれ
ども、ああいう大事な
状態にあります営林署なんというのは、私は南木曽町に二カ所あるから不必要だというような議論はここには成り立たないと思っています。ぜひひとつ現地の人たちに、いま秋山さんが言われたように、これからも治山に大いに力を入れていく、そうしてそのためには、
国有林が撤退するようなことのないように現場でがっちりとがんばる、こういう安心感を与えてやってほしい、ぜひここは要請をしておきたいと思います。
さて、だんだん時間が詰まってまいりました。私はいままでいろいろな事例も挙げ、現地調査の実態な
ども披露しながら
政府の
考え方を聞いてまいりましたが、このように見てまいりますと、いかにも山づくりというのは厳しく、そしてなかなかにして道遠く息の長い仕事だ、だから、単年度であるいは近視眼的に物を見たり足元を見るだけで割り切ってしまうことのできない、まさに宿命的な
一つの産業体質を持っている、こういうことが言えると思うのです。私がいままで言ってまいりましたことについては恐らく否定し得ないものだと思います。それを否定するのだとしたら、私は山づくりをおやめくださいと言います。
そういう中にあって、
農林省設置法とセットになって、いま
国会が最大の山場を迎えておりますのがこの林野改善措置法でありまして、私がこうした前段で議論をいたしました点を踏まえて、心配の余り、対置してわが党からも
再建整備措置法を出したのであります。
比較いたしますと、中身において大変大事な点で大きな相違点があります。これはとうてい歩み寄ることのできないものだとして拒否し続けるのか。私
どもが
提案をしているのは、本当の山づくりを山を愛する人たちみんなが集まってやろうじゃないか、それは、やがて
国民の合意を得ながら、
国民の
財産をつくっていくのだという
立場で、
国有林が先導的
役割りを果たしていかなければならない、こういうふうに
考えるからであります。
そういたしますと、私は、先ほど冒頭に石川部長から
目的と趣旨の違いということについて説明を受けたから、その点は不承不承ではあるけれ
ども納得はしますが、どうも気構えにおいて、この
法案をおつくりになったその過程が気になってならぬ。それはまさに、
財政当局からかなり厳しい注文がつけられたというのは想像にかたくありませんし、また、
財政上相当のお金をつぎ込むということであれば、担保なし、手形なしにお金を出すばかはいないということになりますから、厳しさを要求されることは当然でしょうけれ
ども、しかし、私は、日本の政治の中で、目先で処理しなければならぬことと国家百年の大計という
立場に立って物を
考えなければならぬものとはおのずから違うと思うのです。ですから、そういう点で、何といったって山づくりの
基本は、山を愛する人たちががっちりとそこに腰を落ちつけていくということでなければいい山はできないと私は思う。ところが、いろいろな
審議会の答申といったようなことを言いながら、大事な
国有林を守る人たちの生活にまで不安を与えるような状況が今日生まれているというのは、はなはだ遺憾なことであります。そう
考えてまいりますと、私はこの
法律の中でも幾つかの問題点のあることを指摘しなければなりません。
その第一の点は、先ほ
ども角屋委員が最後に政務次官のお
考えをただしておりますが、
国有林経営というのを人手に渡すようなそういうことであってはいけない。現在七万人の
国有林労働者、
職員がいらっしゃるわけでありますけれ
ども、この人たちに、活力ある山づくり、そして山を愛する人たちの気持ちが生きていくような行政、こういうものが生まれ出てくるようなことでなければいけない。おまえら横に寝ておるからもう直営やめた、めんどうくさいから請負に回してしまう、こう簡単なことで済まされる問題ではないと思うのです。
昨日も農林大臣の
意見を聞いておりますと、言葉の端々にそういうにおいのする
答弁が返ってきておりますし、また、ある
委員の
質問に対して、直営直用論反対の
立場からの
意見も述べられていたようでありますが、私はじっと聞いていて、そういう安易な道をたどるということで果たして今日の山づくりができるだろうか。専門以外の素人が山にやってきて山なんかできるものではありません。私も頭でっかちで、現場では七、八年山に通っただけの経験しかない私でありますから、おまえ山に行ってやれと言われたってできないです。山の学校出ておるからできるじゃないかと言われても、それは、現場における毎日毎日の貴重な体験の中からベテランとしての実力を備えていくのであります。
国有林に、特に現場で働いておる皆さん方は、最近ようやく常勤化が一定規模なったとはいいながら、その多くの人たちは非常勤の
立場で何十年と、三年や五年じゃありません、長い人は二十五年も三十年も
国有林で働き続けてきたという人たちがいます。まさに押しも押されもしない山づくりのベテランであります。こういう人たちをいま大きな不安に陥れるような請負の話なんというのがちらちら出てくるというのは、私はいただけない。特に
与党筋はそういう点についてかなり厳しい
意見を持っておるようであります。きのう私は
堀之内委員の議論を聞いておりまして、その感を深くいたしました。あえてやじは飛ばしませんでしたけれ
ども、そういう
考え方では今日の山づくりはできない、私はこう思うのです。
先ほど
角屋委員からだめ押しのようにお話がございまして、政務次官からも丁寧にこの点についてはお答えになっていたから、私は政務次官にだめ押しをするつもりはありませんが、請負制にしたからといってそれほど不都合な実態が生まれていないということも事実でしょう、先ほど政務次官お答えになっておるように。しかし、それは表面上の話であって、雇用の不安を抱え、職業病である振動障害にかかっておることがわかっていても、それをひた隠しに隠して仕事をしなければならないほど生活の不安にさらされている一般山林労働者を
考えますときに、安易に請負よしとする
考え方に私はくみするわけにはまいらぬのです。確かに、それは厳しい監査もありますし指導もありますから、請負者は今日でたらめな工事ができるなどというような筋合いのものではありますまい。もしもでたらめなことが行われているとしたら、これはやっている本人より監督指導に当たる
林野庁の
責任だということになってしまうのであります。そういう点で、働きのぐあいというようなことを
考えますれば、いまは労働の問題に対して非常に神経を細かく使っていかなければならない時代ではないでしょうか。山に命をかげながら、そのために振動障害にかかって
自分の命を落としてしまうなんというような事実が野放しにされておるようなことがあったら大変なんですが、現実には
民有林のサイドにまでなかなかそれが及んでいかない。私
どもは、
国会で繰り返し繰り返しそういう点について行政の温かい手が今後伸びていく、そういう姿勢に返るべきだということを言ってきました。幸い
国有林におきましては、そういう点については若干の前進を見ておりますから、相当
程度解決できる道も開けたと思います。しかし、単に振動障害によるそういう問題ばかりではなくして、そのほかにもまだまだ幾つかの問題を持っているわけでありますから、
お互いに協力し合ってやらなければならないという点を私は否定するのではないのです。
しかし、今日、大事な
法案の
審議をしておる過程で直営直用否定論が出てくるというのは、私は危険だと思うのであります。そんな安易にできるような仕掛けでないとは思いますけれ
ども、私は、この点は
国有林でお働きの皆さん方に、安心して職場が守れますよ、こういう点が担保されないと、なかなかこの
法案を納得して
理解するというわけにはまいらぬと思うのです。どうも話を聞いておりますと、働かなくなった、こう言います。しかし、
考えてみれば、いまの時代はまさに週休二日制が
実施に移されようとし、日本人の働き過ぎが世界各国から寄ってたかっていま指摘を受けているときじゃないでしょうか。働かなさ過ぎというのには問題はあるけれ
ども、長い人生、六十年、七十年、八十年と生きていくためには、人間の生命のローテーションというのは崩してならないことでありますから、その点に対していま労使間において若干の問題点が俎上に上っているのは、
一つの歴史の過程では避けることのできない問題ではないでしょうか。そこまでまだ到達し得ない
民有林の
状態、一般民間山林労働者の実態というものを
考えますときに、むしろそういう人たちを引き上げていって、体をだめにし、命まですり減らして働かなければならないような
状態から救済していくという道こそ、私は今日最も必要なことではないかと思うのです。私のこの
考え方は誤りでしょうか。