○島田
委員 私は、その辺をのみ込んで話をしていたつもりなんですがね。だから、何回も、いずれも自主的だけれ
ども二通りの健診をやりました、これは一体法的な立場で言えばどういう部門に該当するのですかと聞いたのは、
白ろう病のいわゆる疑いがあるという前提に立って
調査をしたものでないとあなたは今度おっしゃるから、それならこのうちにそういう疑いを持った人の検査というのは何人含まれていますかと聞いたんだけれ
ども、それもわからぬと言う。
私は、労働安全衛生法という立場からいって、そういう区分けをするということ自体これからの政治課題ではあるんでしょうけれ
ども、そんなことにちゅうちょするというのはおかしい、そうでなければ
白ろう病根絶
対策なんということを口にすべきでない、こう思っているのです。現に
チェーンソーを持っているというのは、事実関係を調べれば明らかなんですから、そうすれば、それは特殊健診しなければならぬということはもう明らかでしょう。きのうきょうに始まった
白ろう病じゃないんだもの。
チェーンソーを持っている者は一応
振動障害にかかっているかどうか疑って健診をするという態度でなかったら、根絶
対策にならないでしょう。
そういう意味で、私は事前にきょう聞く
質問の内容をあなたの方にやっておいて、その的確な答えをもらいたいと思ったから、その点はよく理解済みの上で私の
質問に応じているんだと思ったら、全然中身が違っているわけですものね。むだな時間を費やしてしまったわけですけれ
ども、私はしかし問題がこれで明らかになったと思うのです。そういう事実認識を、いわゆる事態の認識を正確に持った上で
健康診断をやるという態度に欠けているという点は、これは明らかになりました。みんな網にひっかけて
調査をしてみたら、そのうちから疑わしきものを抜き出していってやるという方式だ。これでは私は
白ろう病根絶
対策にはならないと思う。
健康診断がまず何よりも大事なんです。
しかし、
健康診断は大事だと言ってもなかなか、実はこの
健康診断が先ほど
数字が示されておりますように、全体の三〇%、三九%でしかない、進まないですね。この進まない原因はやはり明らかにしておかなくてはならない、こう思って、私はまたなぜこの
健康診断が進まないのかをいろいろ調べてみました。事実は幾つか明らかになってまいりました。
たとえば、和歌山県の古座川町の
実態を私は聞いてきました。そして、それは今日置かれている山の、いわゆる木材価格の低迷とかあるいは林業政策の貧困とか、いろいろそういうものが原因になって積み重なっているということの事実、これは言うまでもなく明らかなことでありますけれ
ども、しかし
林業労働者の皆さん方がきわめて低賃金で毎日毎日が生活に追われているという、こういう
実態からこの
健康診断、あるいは不幸にして
認定を受けた患者そのものも完全な
治療ができないという状態にあることがまずわかりました。
ついせんだってまでは、高度経済成長といったような中で、山で働く人たちの人数が足りないと、こう言われたのでありますが、最近は逆に山で働く場所がどんどん狭められているという状態にある。そのことが、いみじくもこの古座川町における雇用の
実態調査の中で明らかになってまいりました。毎日毎日が追われるような状態の中で、山の男たちは
仕事を続けている。だから、よっぽど健康に赤信号でも出るか、きょうは頭が痛くて頭も上らぬというような、そういう状態にならない限り、なかなか
健康診断を受けるということは、生活に追われている状態の中ではこれはできないということです。そこのところを
行政の立場で積極的に手を差し伸べないと、この
健康診断というのは進んでいかない。
しかも、その手を差し伸べるやり方というのは、二つの手で払い落とし、選別をするという、こういうやり方でありますから、いま明らかになったごとくの
健康診断の状態でありますから、これじゃまるでブレーキかけながら
健康診断をやっているような結果になってしまうんです。受ける者だって、休業補償もないという状態の中で
健康診断を受けなきゃならぬ。いま言ったように、法的な位置づけということになれば、そんなにも大きく法律的な問題が前に立ちはだかっているということが明らかになったら、
健康診断に出かけるというようなことにこれはならぬのではないか、こういうふうに思うのです。
現に、それじゃ休業補償という名のもとに
健康診断が行われているという
実態は、どれくらいの数に上っているのですか、それもつかまえていないのですか。——きょうはのれんに腕押しといいますか、私の真剣な議論に対して受けて立つ
労働省の大事な窓口が
一つも反応を示さないというのは、これはいかなるものか。呼び方間違ったんでしょうか、担当でないんですか、改めて聞きましょう。