○阿部会計検査院説明員
お答えいたします。
昨年の検査の状況についてでございますが、当時
畜産振興事業団の
輸入牛肉の売り渡し等につきまして世間でもいろいろ問題がございましたので、
年度末に検査をいたしますのはこの団体だけということではございませんけれ
ども、通常の定期検査と申しますか、最終的な決算をまとめた後に行う九月の検査のほかに、
年度末の三月に三日間をかけまして事業団の会計実地検査を行ったわけでございます。
その場合、その検査におきましては、
輸入牛肉の買い入れあるいは売り渡し等の適否について検討したわけでございますが、その結果、勧告というほどの大げさなものではございませんで、実地検査の最終日に検査の結果感じました所見を申し上げまして、事業団側と
意見の交換をする、私
ども検査結果の打ち合わせと称しておりますが、その場におきまして申し上げたことがあるわけでございます。
それは、五十一
年度当時
輸入牛肉の中の冷凍肉、いわゆるフローズンといわれているものでございますが、これにつきましては競争契約で売っているものと随意契約で売っているものと
二つの種類があったわけでございます。随意契約で売る方につきましては、買い入れ
価格に調整金を上乗せして売る、競争契約の場合には、競争の結果落札者に売るという形でございますが、競争契約で売った場合の売買差額が、随意契約で売ります場合の上乗せの調整金の額よりも大きな
数字になっている、こういう事実を踏まえまして、こういう点から
考えて現在の調整金の額が適当であるのかどうか、そういうようなことも含めて検討する必要があるのではないか、そういう検査結果の所見を申し上げたということは事実でございます。
ただし、これは中間検査と申しますか、そういった感じの検査でございましたので、さらに九月に定期検査と申しますか、最終的な検査をいたしました。この九月の検査の
段階におきましては、冷凍肉につきましては、事業団自身その時点では、五十二
年度は経過的に若干の随意契約を行うけれ
ども、五十二
年度いっぱいで随意契約はやめて、全部競争契約にしようという方向が大体打ち出されておりましたので、チルド牛肉の方に関心を寄せまして、このチルド牛肉の売り方はどうあるべきかということにつきまして——事業団の
輸入牛肉につきましては、法律上、中央卸売市場において売り渡すいわゆる競争的な売り方をするのが原則であって、例外として随意契約もできるわけでございます。チルド牛肉の方につきましては、原則はそうなんですが、競争契約で売れないようないろいろな事情がある。保存期間が短いというようなことその他の事情がありまして、随意契約でやってきたわけでございますけれ
ども、私
どもといたしましては、冷蔵牛肉の方につきましても、かなりの期間継続的に売買をやってきておるのであるから、仕事が始まったころと事情も変わってきていると
考えられるから、この辺で本来の原則に戻って、競争契約そのもの、あるいはずばり競争契約ができないにしても何らかの競争原理を導入したような売り方ということを
考えるべき時期に来ているのではないか、それが第一点でございます。それから、いろいろの事情からいって、もし競争契約を導入するという
方法がどうしてもむずかしいという場合には、第二段の
方法といたしまして、現在の調整金の額が内外の実勢
価格から見て適切であるかどうかという再検討が必要なのではないかという趣旨の御
意見を申し上げたわけでございます。
これに対しまして事業団側からは、先ほ
どもちょっと触れましたように、冷凍肉の方につきましては、昨年の七月から随意契約を
段階的に縮小して、五十二
年度限りで随契はやめて全部競争契約にする、それから冷蔵牛肉の方につきましては、なかなか競争原理の導入といいましても技術的にむずかしいけれ
ども、方向としては競争原理を導入するという方向で検討を進めたい、それからそれまでの間、調整金の水準が適正になるように
努力をしたいという御返事をいただいたというのが、昨年の検査のあらましでございます。