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1978-04-04 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月四日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       加藤 紘一君    金子 岩三君       熊谷 義雄君    國場 幸昌君       佐藤  隆君    玉沢徳一郎君       羽田野忠文君    福島 譲二君       森   清君    森田 欽二君       柴田 健治君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    芳賀  貢君       馬場猪太郎君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君  出席政府委員         農林政務次官  今井  勇君         農林大臣官房経         理課長     江上 幸夫君         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         農林省食品流通         局長      犬伏 孝治君         食糧庁長官   澤邊  守君         水産庁長官   森  整治君         建設大臣官房会         計課長     加瀬 正蔵君  委員外出席者         環境庁自然保護         局企画調整課長 新津 博典君         文部省体育局学         校給食課長   坂元 弘直君         海上保安庁燈台         部長      高橋 顕詞君         建設省河川局開         発課長     堀  和夫君         建設省道路局企         画課道路経済調         査室長     鈴木 道雄君         自治省税務局固         定資産税課長  吉住 俊彦君         会計検査院事務         総局第四局長  阿部 一夫君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   太田 康二君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 四月四日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     馬場猪太郎君 同日  辞任         補欠選任   馬場猪太郎君     小川 国彦君     ――――――――――――― 四月三日  国民のための国有林経営に関する請願小川仁  一君紹介)(第二六七二号)  同(島田琢郎紹介)(第二六七三号)  同(田邊誠紹介)(第二七二七号)  同(山口鶴男紹介)(第二七二八号)  同(山本政弘紹介)(第二七二九号)  同(佐藤敬治紹介)(第二七六二号)  同(島本虎三紹介)(第二七六三号)  同(清水勇紹介)(第二七六四号)  同(竹内猛紹介)(第二七六五号)  同(塚田庄平紹介)(第二七六六号)  同(中村茂紹介)(第二七六七号)  同(日野市朗紹介)(第二七六八号)  中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(近江  巳記夫君紹介)(第二七二五号)  農畜産物輸入自由化等の問題に関する請願(竹  内猛君紹介)(第二七二六号)  同(二見伸明紹介)(第二七六一号)  同(塚原俊平紹介)(第二七九二号)  同(中村喜四郎紹介)(第二七九三号)  米の生産調整反対及び地域農業振興等に関す  る請願瀬野栄次郎紹介)(第二七九一号)  農畜産物輸入調整等に関する請願江崎真澄君  外一名紹介)(第二七九四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月三日  長期食糧基本政策の確立に関する陳情書外一件  (第二五九号)  水田利用再編対策に関する陳情書外五件  (第二六〇号)  昭和五十三年度畜産物価格等に関する陳情書  (第二六一号)  森林組合法制定等に関する陳情書  (第二六二号)  国有林野事業特別整備計画実施反対等に関する  陳情書外二件  (第二六三号)  林道事業国庫補助に関する陳情書  (第二六四号)  木材価格の安定に関する陳情書  (第  二六五号)  韓国漁船の操業による漁具被害対策に関する陳  情書  (第二六六号)  東京都青ケ島近海海産資源保護に関する陳情  書(第二六  七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件につきまして、本日、畜産振興事業団理事長太田康二君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 中尾栄一

    中尾委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  5. 柴田健治

    柴田(健)委員 私は、米の生産調整に関連して、少し掘り下げて、細かいことについて御質問を申し上げたいと思うのであります。  私たちは、基本的には米の生産調整に対しては反対であります。しかし、政府の方は一方交通で強硬にこれを押しつけておるわけでありますから、末端ではそれぞれの立場で、地域においては混乱を起こしておる、そういうのが今日の現状であります。  生産農民の声としては、米が余るから生産調整だという単純な論法押しつけをしておるわけですが、農業経営であるとか農民の所得を考えて、また農業従事者の雇用問題、そういうもろもろのことを考えての生産調整ではないのではないか。ただ単なる、米が余った、食管会計が赤字が出る、こういう論法でやるので、生産農民にとっては非常に苦痛であるし不満がある。そういう立場から、長い歴史を持ってきた、日本民族は米を食うてきたのだからもっと米を食うべきではないか、政府はもう少し力を入れて米の消費拡大をやったらどうか、そういう具体的なものがあるのかどうかということを問われるのでありまして、それにわれわれがどう答えたらよいのか。野党野党立場で、たとえば酒にアルコール添加をやめる、これも一つ方法である、また学校給食に完全に米食を取り入れる、これも一つ方法である、そしてまた、あらゆる工場、官公庁の食堂は米食に切りかえる、これも一つ方法である、また、収穫量から見て、もっと転作をやって米の収穫を減らすのも一つ方法ではないか、こういうことで、米の消費拡大なり、生産性の面から見る米の減収策をとったらどうか、いろいろな方法があるではないか、それをもっと具体的にどうするのかということを明確に説明してくれ、こういうのが生産農民の声であります。  それに答えるために、農林省は具体的にどういう御意見なり方策を持っておるのか、お答えを願いたい、こう思います。
  6. 澤邊守

    澤邊政府委員 今年度から実施をいたします米の需給均衡化対策の柱といたしまして、水田利用再編対策という生産面対策とあわせまして、消費拡大ということを一つの大きな柱として進めることにいたしておるわけでございます。  わが国の食糧の総合的な自給力の向上を図るというためには、国内食糧資源に依存する食生活を進めていくということが、長期的に見て大事であるというように考えております。  そういう点から、これまでもやっております各般消費拡大対策につきまして一段と強化をしてまいるというふうに考えておりますが、ただ、この問題は、国民一人一人の嗜好にかかわる問題でございますので、上から強制するとか規制をするとかいうようなことではなしに、時間をかげながら段階的、漸進的に、国民的な理解を得ながら無理のない形で消費拡大をしていくということが必要ではないかというふうに考えております。いずれにいたしましても、三十八年ころをピークといたしまして、一人当たり消費量が一貫して減っておりますので、これを維持し、さらに一人当たり消費量をふやしていくようにするということにつきましては相当な努力が要るというように考えております。  そこで、私どもとして具体的にそれでは何を考えておるかという点につきましては、一つは、米に対する国民の主食としての見直し、認識を改めてもらい、米を中心とした食生活というのがわが国民食生活の安定上必要であるというような点につきまして、あるいはまた、栄養上米が他の食品に比べて劣っておるというような誤解が一時ございましたので、それらを解くというような意味での、テレビ宣伝だとか、展示会とか、各種の資料、講習会等によります啓蒙宣伝といいますか、そういうようなことを従来以上に力を入れていきたい。これまで国、都道府県段階各般のことをやっておりましたけれども、それを市町村の段階まで、全面的というわけにはいきませんけれども、おろしてやっていきたいというのが一つでございます。  それからもう一つは、先生の御指摘ございました学校給食でございますが、これを全面的に米のみの学校給食をやりますと二十五万トンばかりの消費が期待できるわけでございます。ただ、これも一気に切りかえるということにはいきませんし、現在パン給食をやっておりますと、パン業者の生業問題ということもございますし、米飯給食に切りかえる場合の施設の問題あるいは労務の問題等もございますので、漸進的に段階的に切りかえていきたいということで、現在の計画といたしましては、五十六年に完全給食校について週二日の米飯給食をやるということを目標にいたしまして、来年度玄米ベースで四万五千トンを目標にいたしております。失礼いたしました。五十二年度が二万二千トンでございましたが、来年度と申しましたのは、実は新年度になりましたので、五十三年度におきましては四万五千トンを目標にして進めていきたい。五十六年までに週二日ということにいたしますと約十一万トン余りになるわけでございます。  それからもう一つ指摘ございました、酒米に対するアルコール添加の問題、その他米を加工用にもっと使っていくということでございますが、これも酒米に対します政府米売却等措置を通じまして、アルコール添加が少しでも減るように助成をしておるわけでございますが、その他の食品に米を使う、パンだとかあるいはめんだとかクラッカーだとか、あるいはワイン等も新しいものが出ておりますが、そういうものに米を活用していくということにつきましても、実験段階につきましては無償交付するとかいうような形で援助をしていきたいと思っております。  それからまた、良質米生産するということは、これは先生の御指摘ございましたような減収にもつながることでございますので、これは生産対策一環といたしまして、また消費拡大にも非常に寄与することでございますので、進めていきたいというように考えております。いずれにいたしましても、かなり息の長い仕事といたしまして、着実に一歩一歩推進をしていくというような考え努力をしていきたいと考えております。
  7. 柴田健治

    柴田(健)委員 長官は、こういう考え方をしておるというだけで、これからもう一歩強く推し進めて、たとえば今年度中にこういうことをやるという具体的なものが余りないわけですね。長期にわたるということであって、もう少し期限を切って、目標をちゃんと定めて、今年度は何と何とやるのだ、明年度は何と何とやるのだ。ただ学校給食を去年が二万二千トンでことしは四万五千トンだ、これだけふやしたというだけであって、私は学校給食は思い切ってやるべきだと思う。施設改善は、貿易差益金がもうかっておるのですから、これを充当して施設改善に振り向けたら、要するに消費者に還元することになるのじゃないですか。差益金の還元ということは、消費者に返せという声があるわけですから、この円高において相当の黒字がある、それを施設改善に何十%か回していく、そして施設改善をやって米食に切りかえていく。ただ週に二日というだけでは、学校給食だけをとらえていくと二十五万トン、大した数字じゃないじゃないかと言うけれども、やはり米を食わせる習慣をつけることが一番大事だ。これが基本でなければならない。習慣をつけることが、将来日本米作農民に希望と夢を与えていく、こういうことにつながっていくわけでありますから、ぜひ学校給食には思い切ってやるという考え方を明らかにしてもらいたい、こう思うのですが、長官いかがですか。
  8. 澤邊守

    澤邊政府委員 学校給食についての重要性につきましては、先生と同じような認識を持っておるつもりでございます。  具体的な対策がないじゃないかという御指摘でございましたけれども学校給食につきましては、文部省で自校炊飯あるいは共同炊飯というものに対します施設補助をしておりますが、これを今年度は、前年の十七億に対しまして二十六億というかなり大幅の増額予算を組んでおられます。  私どもといたしましても、施設に対する補助農林省としても計上いたしておりまして、これはパン製造業者が米の委託炊飯等をやります場合の施設整備につきまして助成をする。それからまた、米飯弁当を持参するという場合の学校におきます加温保温庫等の設置につきまして、無償貸し付けという形で援助をするというような予算、合わせまして去年が二億ばかりでございましたのを今年は八億以上計上をいたしておるわけでございます。  その他、具体的な対策といたしましては、学校給食に対しまして三五%の値引きをしている。これは三十九億ぐらいの財政負担になっておるわけでございますので、それらの対策を具体的に講じておるわけでございますが、今後さらに先生の御趣旨等もくみまして、予算の拡充には努力をしていきたいというように思っております。  五十六年に完全給食校について週二日を現在目標としておりますけれども、現在の計画をさらに繰り上げることにつきましても、諸施設補助等の関連も含めまして、さらに検討してまいりたいというふうに思っております。
  9. 柴田健治

    柴田(健)委員 二千億も生産調整奨励金を出すぐらいなら、もっと米を食う方へ金を使った方が、日本の民族的な立場に立っても、より効果的だ、こう思っているのですが、文部省が見えておると思うので文部省の方にお尋ねしますが、施設改善ができるまでは弁当持参で副食だけを学校で、調達する、こういう方法をとろうとするならば、それは給食法に違反するから栄養士を引き揚げるというのが文部省方針である、各都道府県教育委員会方針である。施設改善ができるまで弁当持参をなぜできないのであるか。それは違反であるから栄養士を引き揚げるという考え方は、どうも農林省文部省考え方が食い違っておるのじゃないか。なぜ弁当持参が悪いのか。それは業者に委託して委託炊飯でやれるということも一つ方法だろうと思いますけれども、当面そういう施設改善ができない、膨大な予算が要るからというて、自宅から弁当持参をさせる場合には栄養士を引き揚げるという考え方はどうも少しおかしい。多少の矛盾があっても、運用面でそれだけの幅を持たせるべきじゃないか、こういう気がするのですが、文部省食糧庁との考え方を明らかにしてもらいたい。
  10. 坂元弘直

    坂元説明員 暫定的に弁当持参を認めたらどうかというまず弁当持参の問題でございますが、弁当持参の問題につきましては、私ども学校給食のそもそもの発足と申しますか、存在意義というものは、すべての生徒先生と全く同じものを食べるというところに大きな存在意義があろうかと思いまして、今日まで完全給食を目途に学校給食普及充実に努めてまいったわけでございますが、弁当給食に踏み切りますと、たとえばかぎっ子の家庭では弁当を持ってこられない子供もいるのではないか。あるいは母親がいない家庭でも同じような問題が起きるのではないか。したがいまして、都心部等におきましては、忘れたときの手当てをどうするか。結局、忘れたときの子供というのは、パンをそのまま持参するようになる、あるいは学校のそばのパン屋さんで買い食いをするというようなことにもなりかねない。言いかえれば、米の消費を急ぐ余り、結果としてはパン弁当持参とが混合いたしまして、必ずしも米の消費に結びつかないのではないか。それよりもむしろ、学校で自校炊飯なりあるいはパン屋米屋炊飯委託をして一斉に出した方が米の消費にもつながるのではないか。それともう一つ、先ほど申し上げました教育的な観点から見ましていかがなものであろうかという気持ちは持っておりますけれども、ただ条件の整うところ、いま私が申し上げましたような問題が生じないような地域では、あるいはいま先生が御指摘になりましたちょっとの間暫定的に、学校で一斉に米飯給食までするには施設設備整備やなんかで時間がかかるので、暫定的に弁当持参をするというようなところにつきましては、私どもそれまでいけないというような指導はいたしておりません。ただ、全国的に、一律的に弁当持参を踏み切ったらどうかという指導までは、先ほど申し上げましたような種々解決すべき問題点がございますので、いま直ちには踏み切れないということでして、暫定的なところあるいは条件の整う地域におきましては弁当持参も否定はいたしておりません。  二点目の栄養士の問題ですが、これは学校給食法に違反するとかしないとかという問題じゃございませんで、ただいま栄養士につきましては、完全給食実施校児童生徒二千五百人に一人という割合で、国で半額給与費を負担し、あと半額は県で負担する、いわゆる小中学校先生と全く同じような県費負担教職員制度の中の一環としまして給与負担を国と県でしておるわけですけれども、その際に、弁当持参のところは完全給食実施校ではないではないか、したがってそういうところについては栄養士を引き揚げるんだというような意見が強く県教委から恐らく出たかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたとおりに、私ども、三年後ぐらいには学校で一律に弁当給食ではなくて米飯給食実施するというようなところで暫定的に弁当を持ってくるようなところにつきましては、栄養士を引き揚げるというような考えは持っておりません。やはり一般的なそのような学校につきましても、完全給食実施校と同じような取り扱い方をしていくということで現在県にも話をしておりますので、もしかそのような事例がございましたら、私どもの方で十分調査して指導をいたしていきたいというふうに考えております。
  11. 澤邊守

    澤邊政府委員 現段階での取り扱いなり考え方は、ただいま文部省から答弁ございましたとおりでございますが、この問題は、私どもの所管しております食糧政策という観点と、もう一つ学校教育という観点二つ観点をどこで調和させるかというような問題ではないかと思います。私ども食糧政策だけの立場からいたしますと、米飯弁当を持参するということは、児童国内でできる米による食事という点に対する認識を深めてもらうという意味ももちろんございますけれども、そのほかに波及的な効果といたしまして、家庭における消費拡大するというような効果も期待できるというふうに私ども考えておりますけれども、ただ、学校教育の問題といたしましては、ただいま文部省からお答えがありましたような種々の問題がございますので、現段階としては、米飯弁当持参による給食は経過的な措置ということでやっておるわけでございますが、この問題については私どもとしてはさらに研究を深めていきたいというように考えております。
  12. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間がどんどん進みますから、この問題についてはいずれまた後の機会にいたしますが、転作奨励、要するに畑作で、あれも植え、これも植え、何でもやりなさい、こういうことで奨励金制度をつくって押しつけをやっておるわけですが、つくったものをどこへ売ったらいいのか、だれが買うてくれるのか、たとえばこの麦類大豆類は大体それは決まっていますが、その他の品目については買うてくれるところはないじゃないかという農民の声がある。それについて、この販売先政府が責任を持ってくれるのか、そうして最低価格、要するに保証価格というもので保証してくれるのか、この二つの問題お答え願いたい。
  13. 野崎博之

    野崎政府委員 私どもの方の局で担当しております大豆その他雑穀等について申し上げますと、大豆につきましては、これはいま先生もおっしゃいましたように大体余り供給過剰になる心配はございませんし、例の全農、全集連で集めるということもございますし、大豆なたね交付金暫定措置法、こういうようなことで価格の安定を図っているわけでございますし、価格下落心配はないわけでございます。  小豆につきましては、現在需要量の半分程度を自給しておるわけでございまして、あと輸入に頼っているわけでございますが、これはIQ物資でございまして、国内生産がふえればそれだけ当然輸入を減らす、そういうようなことで価格の安定も図っていきたいと考えておるわけでございますが、ただやはり、いま先生おっしゃいましたように、非常に転作でふえますと、これは特に北海道でございますが、価格下落のおそれがある。そういうようなことで、今回の転作につきましても、小豆については昨年同様面積制限をする。これは道庁協議をいたしまして、昨年は一万五千ヘクタールでしたが、ことしはまだ道庁とはっきり協議をもちろん進めておらぬわけでございますが、そういう意味で、道庁協議をしながらその面積制限をして価格の暴落を防止したい。  それから、ソバにつきましては、これは自給率が現在三〇%、これは将来六十年に向けて五割に持っていくということで、いま生産奨励をやっているわけでございます。これもことしから積極的に始めておるわけですが、契約栽培という方法でやっておるわけでございます。これは日本蕎麦協会、それが全国需要等に基づいていろいろ数字を持っておりますし、それから各県の経済連、そこへ集めて……(柴田(健)委員特定作物はわかっている、野菜について言うてくれ」と呼ぶ)私どもの方の関係はそういうことでございます。
  14. 犬伏孝治

    犬伏政府委員 転作におきまして、野菜地域におきましては相当の面積を占めるという実情にございます。したがいまして、水田利用再編対策におきまして、野菜生産動向、それが需要とどのようにマッチするかということについては、われわれも非常に重大な関心を持って指導に当たってきておるところでございます。  御承知のように、野菜はかなりの広域にわたる流通の実態でございまして、現在進めておりますのは、出荷団体が各地の市場におきます需要とそこに向けます各産地からの出荷状況につきましての情報を持ち寄りまして、これを全国段階都道府県段階及び産地段階におきまして、それぞれ生産出荷協議会という形の協議会を持ちまして、情報の相互の交換、提供を行っております。われわれといたしましては、できるだけ的確な情報をそれぞれ作付段階までの各時期におきまして提供いたしまして、需要を超えて過剰の供給が行われることのないように指導をしてまいりたい。そのために二月の八日に農蚕園芸局長食品流通局長の連名の通達を出しまして、産地ごと、それから種類ごと作型ごと需給動向を見た上で作付を行うような指導をいたしておるところでございます。  それから、もし仮に生産過剰になった場合、価格が低落するという心配がございます。したがいまして、五十三年度におきましては価格補てん対策につきまして、指定野菜につきましては保証基準額の引き上げ、補てん率の引き上げを行っておりますし、指定野菜以外の地域的に重要な野菜、われわれ特定野菜と言っておりますが、これにつきましても品目の追加、保証基準額の引き上げ等の補てん措置の内容の充実をいたしておるところでございます。
  15. 柴田健治

    柴田(健)委員 答弁を聞いておるとまことにうまいことを言われるのですけれども、実態は農民はそうは受けとめておらない。いままででも豊作貧乏、不作貧乏という形で、不作になっても豊作になっても農民は手取りは一つもふえていない。それは特定の作物については部分的にはある。全体的には豊作貧乏、不作貧乏、どっちになっても農民の手取りというものは余りふえていない。ことしは特に野菜類は過剰生産ということで、ホウレンソウにしてもニンジンにしても、ゴボウにしてもネギにしても、キャベツ、レタスにしても、もう白菜に至るまで。大根は一本二円ぐらい、ホウレンソウは一束二百グラムを二円ぐらいで出して、消費者は八十円も百円もする。こういう矛盾を毎年毎年繰り返して体験してきているのがいまこの生産農民の歴史なんだ。そういう立場から申し上げると、もう少し価格保証を品目別にはっきりしないと、つくれと言ったってつくる気持ちにならない。特に一般作物にたばこを、奨励金制度に入れた。たばこというのは専売公社が握っておる。増反は一切認めない。増反を一切認めないのにたばこをつくりなさい、奨励金を上げます。こうなっている。専売公社と農林省はどういう話し合いをしておるのか。
  16. 野崎博之

    野崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、たばこの耕作面積は専売公社で例の審議会に諮って毎年の面積を決めるわけでございます。ただ個々の葉たばこの耕作農家は、その許可された面積の中では水田でつくろうと畑でつくろうとそれは農家が決めることでございますが、われわれといたしましては、水田転換という意味もございまして、水田でそういうものをつくっていただくように誘導するという意味もございまして、転作奨励金を出しておるわけでございまして、葉たばこ全体の増反を認めないということと、それから水田に対して植える場合に奨励金を出すということとは、われわれとしては矛盾をしていないというふうに考えておりますし、また昭和五十年のときもそうでございましたし、今回も水田地帯のたばこ耕作農家からは、ぜひ奨励金の対象にしてくれという強い要望もあったわけでございます。
  17. 柴田健治

    柴田(健)委員 いまの答弁を聞いておると、へ理屈を言うておる。いままでたばこを植えておるところはやめて、たんぼに植えなさい、簡単に言えばそういう説明なんですが、あなたはたばこというものをつくったことがあるのかね。たばこというものはそう簡単に——線虫があったら、たばこは病害虫に非常に弱い。たばこをつくったことがない者がそういう論理を言うのです。きのうまでたばこをつくっているところをすぐやめて、今度水田へたばこを植えなさい。できるはずないじゃないですか。そんなお粗末な答弁をして日本農民が納得すると思いますか。まことにお粗末な限り。いずれもっと皆さん勉強して、筋が通って、生産農民の納得するような、そういう方策を出さないと笑われますよ。何年農林省におるのかと言われますよ。  私は、まず、いろんなものをつくらせるのはいいけれども、ただそのままで流通に乗せるのか、それとも地域地域における県なら県、市町村、農業団体に呼びかけて、第一次加工から第二次加工まで農産物を加工さして、備蓄にも、また鮮度の下がらぬように将来そういう施設もつくらせるように奨励していく、それに対する奨励金も出すとか施設融資も考えるとか、何らか方途がなければならぬと思うのですが、その点について、この農産物の加工という面で考えたことがありますか。
  18. 野崎博之

    野崎政府委員 いまおっしゃいましたように、転作の円滑な推進を図るためにその条件整備は当然必要でございますし、いまおっしゃいましたようなそういう加工施設整備等も当然必要になってくると思います。  そこで今回、例の百二十億の転作促進対策特別事業というものを設けたわけでございますが、その中に、一つ地域利用施設整備事業、そういう新しい事業が入っておるわけでございまして、この中に加工施設、これは野菜等をつけものにするような加工施設、あるいは畳表のイグサ等に対する加工施設、それから野菜、果樹等につきます集出荷施設、それから麦、大豆、たばこ、そういうものに対します乾燥調製施設、そういうものがつくれるようにいたしておるわけでございます。そのほかに、一般的な事業といたしまして、これは転作も含めて対象になるわけでございますが、構造改善事業とか、あるいは野菜広域流通加工施設事業、これは選果場等でございますが、あるいは畜産関係の自給飼料生産向上特別対策事業、そういうところでいろいろな飼料の加工をする、そういう施設を、転作もひっくるめてつくれるようにいたしておるわけでございます。
  19. 柴田健治

    柴田(健)委員 もう少し具体的に将来研究していただいて、農民に安心を与えるような方策、行政指導をやってもらいたい、こう思うわけです。いまのような形では農民はもう不満を持つだけでありまして、正直言うてわれわれも末端で説明ができなくて困っている。  それからもう一つは、この奨励金の算定基準なんですが、それぞれ特定品目五万二千円だとか、一般作物三万七千円、四万円だというように決めてありますが、具体的に品目別に算定基準を説明願うと時間がかかりますから、一覧表でひとつ出してもらいたい。どういう基準でそれぞれ品目別に出したのか。それをひとつ委員長から要求してもらいたい。どうでしょうか。
  20. 中尾栄一

    中尾委員長 提出いたさせます。
  21. 柴田健治

    柴田(健)委員 それでは基準価格については書類で出していただくことにして、ちょっと自治省にお尋ねしたいのですが、土地の固定資産税の基本は賃貸価格。賃貸価格というものはどこからどういう方法で出たのか、まず説明いただきたい。
  22. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 お言葉でございますけれども、現在の固定資産税制度は賃貸価格ではなくて売買実例価額を基準に課税標準を定めておりますので、現在の固定資産税では賃貸価格を税金の基礎に据えているわけではございません。それは戦前のことでございます。
  23. 柴田健治

    柴田(健)委員 売買価額で。それならそれぞれ取引は地域的に標準価格というものを出しているのでしょうね。
  24. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 地域ごとに基準地あるいは標準地というものを市町村ごとに設けまして、その正常な売買実例価額になるべき価格を市町村ごとに評価をいたすわけでございますが、これを基準にほかの田畑その他の農地につきましてもそれぞれ評点を付していく、こういう手続をとって評価をいたしております。
  25. 柴田健治

    柴田(健)委員 たとえばいままで水田で米づくりをしていた。それでいままでの固定資産税の税率は同じであっても、評価額が違うのですね。宅地が一番高くて、その次に田が高くて、それで畑、順番が決まっておるわけですが、田が畑に今度下がって、田が林地になる場合、雑種地になる場合、これはもう取引価格が大きく狂ってくるわけですが、その場合に取引価格が、いままで田としての取引価格、今度は畑や林地や雑種地になった場合の取引価格が大きく狂ってくるわけです。その場合に、今度の米の生産調整で約四十万ヘクタール今年度から入るわけですが、いままでも何回かの休耕地政策で、山になったり雑種地になったりいろいろあるわけですが、現況が変わっておる。それを全部評価がえをしていますか。
  26. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 先生おっしゃいますように、田が畑に変わるという場合には、私どもは賦課期日、つまり一月一日でございますけれども、一月一日の地目の現況によりまして評価をいたすということになっておりますので、田から畑に変わっておれば畑としての評価をいたして、それに基づきまして固定資産税を負担していただく、こういうことにいたしております。
  27. 柴田健治

    柴田(健)委員 取引価格だけでいけば、たとえば市街化区域内における宅地並み課税、これもただ田として見た場合と、そのときの取引条件価格で評価していけば、それは高くなるのはあたりまえなんですが、しかし、山村地域では、現在の地域における取引価格においても、場所によっては取引がない、売れない。反十万円でも要らない。米をつくらないようなところは要らない。こういうふうに非常に取引価格が下がっておる。そういうところは、ますます雑種地や林地に入っていく場合に条件が非常に悪くなる。ところが、あなたが言われるように、一月一日に町村はやってない。その場合に、今度の生産調整で、自治省は地方交付税の中でどれだけ固有財源の変動における補てん策をどう考えておるのか。
  28. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 まず、一月一日の地目の現況に応じて課税がされてないという御指摘でございますが、制度のたてまえ上は地目の現況によってやるべきものでございますので、もしそういう事例がありとすれば、私どもとしては適切な指導をいたしたいと思っております。  さらに第二点でございますが、市町村の評価額が下がったことによりまして、固定資産税が自動的に減少いたします場合には、その分地方交付税による補てんがいわば自動的に行われる、こういう地方財政の仕組みになっておりますので、そういう道を通じて財源の補てんがされる、かように理解をいたしております。
  29. 柴田健治

    柴田(健)委員 それなら、自治省は都道府県を通じて市町村に、今度の生産調整に関して田が畑になり畑が山になったりする、田がいろいろな形で現況が変わった場合には固定資産税の固有財源が増減があるかもしれない、その場合は適切な処置をとりなさいという通達を何月何日に出されたか。
  30. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 ただいまお答え申し上げましたのは、一般的な仕組みを御説明申し上げたのでございまして、いま先生のおっしゃいました趣旨のいわゆる生産調整に関しての通達はいまのところ出しておりません。
  31. 柴田健治

    柴田(健)委員 そういう不誠意きわまる——これは国策でやっている。そういう田が、いろいろな形で現況が変わってくる。直ちに生産農民に迷惑をかけないように適切なる、この状況を把握して、無理のないようにしなさいよというのが親切みのある、生産調整に対する指導ではないでしょうか。農林省と自治省はこの問題について打ち合わせをしておるか。何月何日どういう打ち合わせをして、本問題についてこういう方向でやりますという打ち合わせをされたか。自治省、まず説明願いたい。
  32. 吉住俊彦

    ○吉住説明員 再三御説明申し上げておりますように、地目の現況に変化があればそれに応じて評価を変えるというのはいわば固定資産税の一般原則でありますので、現在までのところそういう打ち合わせばいたしておりませんけれども、そういう一般原則によりまして適切に行われることを期待いたしますとともに、また必要がありとすれば、適時、適切な指導をしてまいりたい、かように存じております。
  33. 柴田健治

    柴田(健)委員 自治省にお尋ねしますが、個人個人が勝手に地目変換をしてやる場合は、法治国家であるから原則に従ってやられるであろうという独自の判断でも結構です。ところが、今度は四十万ヘクタール、これからずっといくわけでしょう。これは農林省だけの立場だから、農林省がやるのだから、自治省の方は知らぬというわけにはいかない。政府みずから挙げてやる問題なんだから、この点について適切なる処置をすべきではないか、指導すべきではないか。それが、われわれが市町村へ行って、どうなんだ、どういう通達が来ておるんだ。何にも来ておりません。われわれはそういうことを、一筆調査やなんか全然わかりません、そういう人手がありません。これが市町村の実態でありますよ。  それから農林省、今井次官、どうですか、この問題は。自治省に呼びかけて、そういう生産農民に対して税制の面から不合理のないように指導いたします。こういうことができるのか、できないのか、ちょっと次官、お答え願いたい。
  34. 高橋顕詞

    ○今井政府委員 先ほどからお尋ねの、転作について万般影響するところが多岐にわたるということで、先生御案内のように、この問題は単に農林省というだけではなくて、その方針、方策につきましては閣議の了解を得ておるところでございます。したがいまして、先ほどからのお話にありました米飯給食問題等々、また、いまお尋ねの税制等の面についても、これは積極的に農林省の方から各省に御連絡を申し上げまして、閣議了解の線に沿いまして、ひとつ農民の皆さん方に安心をしていただこう、このようなことを進めるつもりでおりますし、またそのように現在いたしておると確信をいたしております。詳細につきましては局長の方から答弁させます。
  35. 大場敏彦

    ○大場政府委員 私の方の局が担当局でございますので、お答えいたします。  農地に対する課税の原則は、いま自治省の担当課長からお答えいたしました原則に従ってやっているわけで、当然その原則に従って忠実に課税というものは行われていると私どもは思っておるわけでございますけれども、いま先生が御指摘になりましたように、全国的に大きな変革があって、水田から他の地目に変わる、こういうようなときには、やはり混乱というものは起こり得るわけでありますから、私ども、末端において徹底しないということがありますれば残念なことでありますから、その点は自治省にもよく連絡して、万々そういう混乱あるいは不合理な税制が行われないよう注意いたしたいと思います。
  36. 柴田健治

    柴田(健)委員 十分注意をして手落ちのないようにやっていくのが行政の責任だと思うのですよ。いろいろ農民の方から不満が出てくる。この不満を一つでもなくしていくような行政指導をするのが農林省や自治省の責任だと思うんで、十分配慮してもらいたい、こう思います。  次に、構造改善局長にお尋ねしたいのですが、昭和四十五年から休耕政策をとって、今度思い切って四十万ヘクタールやるわけですが、一番いま問題になっておるのが灌漑用施設。その中でため池に関してだけ申し上げますが、ため池は三カ年ぐらい築造年月がかかる。あれは御承知のように借入金をしてやる。それで償還が二十年ないし二十五年ということで借り入れをしているわけですが、この前の休耕政策で三カ年奨励金を出した。奨励金を出している間は、水はもらわなくても奨励金に入っておるんだから土地改良区の工事負担金については負担をいたしましょうということで、また土地改良組合の方も負担金の徴収をやった。ところが奨励金が打ち切られた。ぴしゃっと打ち切られた。もう今度は現況は田を山になしおった、山やら畑やら、何もやらぬからもうおれは水は要らぬ。三年間奨励金をもらったんだから奨励金もらっている問は負担金を出したけれども、今度は奨励金も来ないし、収益も上がらないし、水ももらわないんだから負担金は出しません、こうなった。今度の生産調整でまたこれが出てきた。そうすると、残った耕地面積、農地面積、灌漑面積に負担金をかけるというのなら増額するわけです。そこに不合理が起きて、農民同士の中で紛争というか、けんかが起きる。土地改良区の役人は困っておる。どうしたらいいものか。私は、方便として、生産調整金の百二十億円の中で、各都道府県に配分するんだから、それで多少補てんしてもらえばいいじゃないかという軽い気持ちで申し上げた。そういう事態が起きて、今度の生産調整で土地改良区、農民同士が内輪げんかをする。過去にそういう事例がある。そういう問題が起きた時分に、農民同士にけんかをさせるような、紛争を起こすようなことは極力避けなければならぬ。その避ける方法としてはどうしたらいいのか、局長の見解を聞きたい。
  37. 大場敏彦

    ○大場政府委員 生産調整の結果転作した場合には問題は比較的少ないということだろうと思うのです。結局、転作した場合には奨励金の交付ということがありますし、それによって稲作とのバランスということもある程度確保できる。それから基本的にはため池等の受益ということも継続するわけでありますから、土地改良区の負担金を従来どおり負担する、こういったことに根本的な支障は必ずしも生じない、そういうことだろうと思うわけでありますが、問題は、先生が御指摘になりましたように、休耕した場合でありまして、休耕した場合にはやはり受益というものがなくなる、あるいは他に転用するということになりますれば、事業の受益ということがなくなるわけでありますから、場合によっては土地改良区から脱退するというようなケースが間々起こり得るということであります。法はそういったことを想定いたしまして、そういった際に、債務が残っている、土地改良区が債務決済上非常に困る、こういうことがあり得るわけでありますから、その場合の対策としては、過去において、休耕奨励金があった場合、つまり四十六年から五十年の第一期のときには休耕奨励金があったから、その休耕奨励金でそっちに補てんをする、こういった対策がとられたわけでありますが、第二期、五十一年から五十二年、それから第三期、これからお願いしようとしているわけでありますが、そういう場合には休耕奨励金というものがなくなって、転作をお願いいたしたい、こういうことでありますから、休耕奨励金というものでそれに流用するということはできない、こういうことであります。そういうことに対しましては、私どもといたしましては、自創資金による融資措置が講じられているわけでありまして、受益がなくなって、土地改良区から場合によっては受益地としての除外をしなければならない、あるいは組合員としての脱退をしなければならない。その場合にも、土地改良区との債務決済ということは当然伴うわけでありますから、それに必要な資金を自創資金で長期低利資金ということで手当てする、こういったことで対応を考えている、こういうことであります。
  38. 柴田健治

    柴田(健)委員 末端では今度の生産調整でいろいろな問題で紛争が起きている。組合を脱会する、おれはもうだめなんだということで、たとえば農協へ管理委託する、農協に払うてもらいなさい。農協は、管理委託、まだそんな話はしておりませんよ。こういうことで、いろいろな形で紛争が起きているのですが、問題は、そういう自作農でなしに、もう少し形が変わって市町村が補てん策をとれるような方法がとれないのか。もうけんかしないように、たとえばいままで灌漑面積が二百町歩あった、一割やると二十町歩減反だ。それも十アール、要するに一反十万円以上奨励金出すならいいよ。三万や四万の金で、借入金の償還いうたら、償還しているのを調べてみると、いま少なくとも平均反二千円から三千円。二千円、三千円というのは農民にとったら正直言ってなかなかこたえる。だから、二十町歩なら二十町歩分を市町村がかぶってあげましょう、だから転作に協力しなさい、こういうことで市町村がかぶるか、県がかぶるか、そういうかぶる財源については国がある程度いろいろな形で調整金を出してやる、こういう方法をとる方が一番手っ取り早いのじゃないか、そういう方法をとれるのかとれないのか。局長どうですか。
  39. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いまの制度は休耕ということを予定しておりませんで、あくまで転作をお願いをいたしたい。過去において行われたいわゆる緊急避難的な形で休耕ということは考えていないわけでありますから、やはり転作という形で受益を継続して負担金を払っていただきたい、こういったことを前提としているわけであります。しかし、実際問題として休耕とかあるいは転作ということ以外に、つまり自分は農地を農地として耕作することをやめてしまった、こういった場合には、法的には、そういった負担金というものは、やはり一たん賦課処分されておりますから、やめていく者が負担するというのは法的原則としては曲げるわけにはいかないんじゃないだろうか。そこは、実際の負担関係において問題が起きることは重々承知しております。あと結局残った者が負担するかどうか、あるいは第三者としての地方公共団体、市町村あるいは県が何かの形でめんどう見るかどうか、そういった問題は、現地の実情に即して解決していただかざるを得ないわけでありますが、いま直ちに構造改善局長何か妙案があるかということでお尋ねありますれば、残念ながらいまそういう財源手当ても国としてはいたしておりません。いろいろ検討してみたいとは思いますが、当意即妙な返事ができないのでお許しを願いたいと思います。
  40. 柴田健治

    柴田(健)委員 同じ土地改良区でやった事業で、農道だとかその他の圃場整備であるとかいうものは案外問題がないのですけれども、問題は、灌漑用施設で、ため池だけです。もう水が要るか要らぬかで正直、物の判断がつくわけですね。おれはもう水を使わない、もらわないのだから負担金を出さぬよと、簡単なんですよ。だから、利益があるかどうかで問題になるわけですね。農道や何か、米をつくろうと何をつくろうと、土地がある限りはあんたが通るんだ、年に一回通るか三回通るかだけの違いですね。農道だとか圃場整備というのはそういう問題が起きないけれども、この灌漑用施設の中で特にため池の問題、これは全国的な問題だが、四国なんかは特にため池が多い。ため池の多いところにはそういう問題が起きている。岡山県でも起きているわけです。そういうことで、ぜひ善処して、百二十億もう少しふやして調整金を各市町村にやったらいいのじゃないですか。簡単なものじゃないですか。なるべくけんかさせないように、地域で紛争を起こさせないようにするのも一つの政治じゃないですか。ただ公式論で、四万円の中にこういうふうに入っていますと言うことだけでは——びっくりするほどくれるのなら農民も負担金出すでしょうけれども。この点もう少し研究してもらいたいということをつけ加えておきたいと思います。  私は、最後に澤邊長官にお尋ねしたいのですが、岡山県は今度米祭りをやるわけです。本気で米の消費拡大をやろうということで、国からもらう金は少ないけれども、県を挙げて独自の予算を大幅に計上して、米の消費拡大に全力を挙げる、こういうことで、県民の英知の集約ということで米祭りをやるわけです。これに対して、食糧庁なり農林省はどれだけの理解と協力、そしてモデル県としてそれに一つの評価をしてくれるのか、その点を聞きたいのです。
  41. 澤邊守

    澤邊政府委員 各地方公共団体におきまして、各種の知恵をしぼって、また予算も組んで、消費拡大対策をお進めいただいているところがかなり多いわけでございます。中でも岡山県は、知事さん以下各種団体も含めまして非常に御熱心にやっておられるという意味で、非常に先駆的といいますか、一番進んだ県の一つだというように評価をいたしております。そういうこともございまして、近く米祭りというような行事もございますので、私も一回伺ってよく見せていただき、また、米祭りだけではなしに学校給食その他の面でもいろいろな御苦心をなさっておりますので、その辺の実情もよくお聞かせいただきまして、各県の模範にすべき点も多いのではないかというふうに思いますので、国会関係が許せば伺いたいと実は思っているわけでございます。  米祭り、その他の消費拡大のための援助につきましては、この行事でなければいけないという言い方はしておりませんが、県の各種の行事に対して若干の財政的な援助もいたしておりますけれども、今後の問題といたしましては、さらにあらゆる知恵を私どももしぼり、あるいは地方団体にもお願いをし、あるいは流通業者の方にもお願いし、また生産者団体、特につけ加えますと、農家の消費が減っているという点は非常に深刻だと思います。そういう点もありまして、農業自体にもさらに一層力を入れていただきたいと思っておりますので、それらの方々の自主的な御努力もお願いしながら、援助すべき点はさらに検討して拡充をしていくということにつきまして、今後とも検討してまいりたいと思っております。
  42. 柴田健治

    柴田(健)委員 時間が参りましたから要望だけ申し上げておきたいのですが、長官ぜひ岡山へ行ってください。これを希望しておきます。  それから現在の米の流通のあり方、これに思い切ってメスを入れるということで検討されておると思いますけれども、ぜひ早急にやってもらわないと米の消費拡大にならぬと思う。いまは古いレールの上を走っておるだけです。もうこの辺で多少レールを修繕する必要があるのじゃないか。流通の流れ、販売の方法、小売店のあり方、そういうものについてもう少しメスを入れて改善してもらいたいということを要望して、質問を終わります。
  43. 中尾栄一

  44. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 赤字経営で苦しんでいらっしゃる畜産農家の方々、また国際価格からいって割り高だからもっと安く牛肉をという消費者の方々、両方の立場から、先月末畜産物価格を審議なさった経過を国民の皆さんは見守っていらっしゃったわけですが、実際に畜産物の安定と振興について実務を担当していらっしゃる畜産振興事業団のお仕事というのは非常に大事なものだと思います。昨年の二月、たまたまモーモーフライトの事故があったり、あるいはまた今日の円高問題のきっかけになって去年のちょうどいまごろから円高が進み出した。そういうことから、総理自身ももっと率直に消費者価格に反映するようにということで、牛肉問題が非常な論争の種になりました。  そのときに、定期検査でもないのに二月に会計検査院がわざわざ畜産振興事業団をお調べになったということについて、ひとつ検査院の方から、その時期にあえて検査をなさったその意図、そしてまたどういうふうに畜産振興事業団に対して勧告をなさったかをお伺いしたいと思います。
  45. 阿部一夫

    ○阿部会計検査院説明員 お答えいたします。  昨年の検査の状況についてでございますが、当時畜産振興事業団の輸入牛肉の売り渡し等につきまして世間でもいろいろ問題がございましたので、年度末に検査をいたしますのはこの団体だけということではございませんけれども、通常の定期検査と申しますか、最終的な決算をまとめた後に行う九月の検査のほかに、年度末の三月に三日間をかけまして事業団の会計実地検査を行ったわけでございます。  その場合、その検査におきましては、輸入牛肉の買い入れあるいは売り渡し等の適否について検討したわけでございますが、その結果、勧告というほどの大げさなものではございませんで、実地検査の最終日に検査の結果感じました所見を申し上げまして、事業団側と意見の交換をする、私ども検査結果の打ち合わせと称しておりますが、その場におきまして申し上げたことがあるわけでございます。  それは、五十一年度当時輸入牛肉の中の冷凍肉、いわゆるフローズンといわれているものでございますが、これにつきましては競争契約で売っているものと随意契約で売っているものと二つの種類があったわけでございます。随意契約で売る方につきましては、買い入れ価格に調整金を上乗せして売る、競争契約の場合には、競争の結果落札者に売るという形でございますが、競争契約で売った場合の売買差額が、随意契約で売ります場合の上乗せの調整金の額よりも大きな数字になっている、こういう事実を踏まえまして、こういう点から考えて現在の調整金の額が適当であるのかどうか、そういうようなことも含めて検討する必要があるのではないか、そういう検査結果の所見を申し上げたということは事実でございます。  ただし、これは中間検査と申しますか、そういった感じの検査でございましたので、さらに九月に定期検査と申しますか、最終的な検査をいたしました。この九月の検査の段階におきましては、冷凍肉につきましては、事業団自身その時点では、五十二年度は経過的に若干の随意契約を行うけれども、五十二年度いっぱいで随意契約はやめて、全部競争契約にしようという方向が大体打ち出されておりましたので、チルド牛肉の方に関心を寄せまして、このチルド牛肉の売り方はどうあるべきかということにつきまして——事業団の輸入牛肉につきましては、法律上、中央卸売市場において売り渡すいわゆる競争的な売り方をするのが原則であって、例外として随意契約もできるわけでございます。チルド牛肉の方につきましては、原則はそうなんですが、競争契約で売れないようないろいろな事情がある。保存期間が短いというようなことその他の事情がありまして、随意契約でやってきたわけでございますけれども、私どもといたしましては、冷蔵牛肉の方につきましても、かなりの期間継続的に売買をやってきておるのであるから、仕事が始まったころと事情も変わってきていると考えられるから、この辺で本来の原則に戻って、競争契約そのもの、あるいはずばり競争契約ができないにしても何らかの競争原理を導入したような売り方ということを考えるべき時期に来ているのではないか、それが第一点でございます。それから、いろいろの事情からいって、もし競争契約を導入するという方法がどうしてもむずかしいという場合には、第二段の方法といたしまして、現在の調整金の額が内外の実勢価格から見て適切であるかどうかという再検討が必要なのではないかという趣旨の御意見を申し上げたわけでございます。  これに対しまして事業団側からは、先ほどもちょっと触れましたように、冷凍肉の方につきましては、昨年の七月から随意契約を段階的に縮小して、五十二年度限りで随契はやめて全部競争契約にする、それから冷蔵牛肉の方につきましては、なかなか競争原理の導入といいましても技術的にむずかしいけれども、方向としては競争原理を導入するという方向で検討を進めたい、それからそれまでの間、調整金の水準が適正になるように努力をしたいという御返事をいただいたというのが、昨年の検査のあらましでございます。
  46. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 ただいま検査院の方から、勧告というほどのことではないけれども、事業団といろいろ協議をして意見を申し上げたということでありますが、それに対して事業団としてはどういう処置をおとりになったのだろうか。
  47. 太田康二

    太田参考人 お答え申し上げます。  事業団といたしましても、いま検査院の局長から御答弁のございましたような経過は十分承知いたしておるわけでございまして、私どももその勧告を受けまして、調整金の問題、それと競争原理の導入の問題についていずれも検討いたした次第でございます。  そこで、まず最初に調整金の方から申し上げますと、調整金の問題につきましては、実は昨年の九月に、大体海外の価格も安定的に定着してきた、それから円高もはっきりしてきたということで、御承知のとおり調整金の算定は国内の売り渡し予定価格と海外での買い入れ価格との差でございまして、国内価格は、安定的に推移いたしたものでございますからこれは特に変更する必要はない。しかし、買い入れ価格が安くなりましたから、その分だけ調整金を引き上げるべきであるということで、従来の三百五十円を六百円に引き上げる、実施は、御承知のとおりチルドでございますから二カ月先からということで、十一月の輸入のものから六百円にするということにいたした次第でございます。  それから、調整金の改定はいま申し上げたようなことで実施いたしたわけでございますけれども、競争原理の導入の問題につきましては、ずっと検討いたしてまいったわけでございますが、一つは、一番の難点としていま問題になっておりますのは、競争原理を導入しますと、やはり価格が従来考えていたよりも高くなるのではないかということ。これは入札制度になりますと、どうしてもそういうことが出てくることは一般的に予想されるところでございまして、先ほど会計検査院の御報告にも、フローズンビーフにおいてもそういった結果が一部出ていたではないかというようなお話もございました。そういうようなことがございまして、そういった点を回避しながらどういう形で競争原理を導入するかということについて、なお引き続き検討をいたしておるというのが今日までの状況でございます。
  48. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 五十一年の四月からもうすでに一年間、調整金を課して新しい制度を運営してこられたわけですね。ですから、事業団としては、検査院から御指摘があろうとなかろうと、当然いい面と悪い面というものは十分御承知のはずですから、御指摘があってから検討するというのはまことにおかしな話なんですよ。ですから本来から言えば、勧告があった時点ではある程度の調整金——制度的な欠陥を直すというのは時間もなかなかかかるということはいまおっしゃっておるとおりですから、当然調整金をその時点から検討しなければならない。いま、円高の問題も安定したとおっしゃる、国内価格も安定したとおっしゃる。なるほど前年度、すでに国際価格はずっと下がりづめに下がってきておりますよ。円高の問題も安定したどころか、去年の六月、七月ごろからさらに下がっているのですから、もっと早い時期に調整金を上げるべきじゃなかったでしょうか。去年のちょうどいまごろだと思いますけれども、前局長も、国際価格の差益あるいは円高の差益については中間段階で吸収されてしまっておるということを、各委員会でも御答弁になっておるわけですから、指摘があるまでは何もやらない、指摘があってもなかなか腰を上げないというような実情じゃないでしょうか。そういう意味では、事業団としては、この円高問題とか国際価格の変動に対して余り積極的に対応していらっしゃらなかったのではないかと思うのです。そのために、あえて定期検査以外に検査院もお入りになったと思うのですが、その点はいかがでしょう。
  49. 太田康二

    太田参考人 十月に文書による照会を会計検査院からいただきましたときにも申し上げたわけでございますけれども一つは、海外相場の見方の問題として、従来に比べてアメリカあたりの輸入も相当積極的にふえてきておるようです。それと、ソ連や中近東も買いに入った。それから現地で冷害、干ばつが回復してきまして草が非常によくできましたので、生産者の出荷が少し停止されるのではないかというような見通しのもとに、現地価格が上がるのではないかということを実は想定しておったわけでございます。しかし、いま先生が御指摘のように、結果として、実は終わってみた段階におきましては必ずしもさようにならなかったという意味で、私どもの見通しが誤ったということは率直に認めざるを得なかった点が一つございます。  それといま一つは、調整金を引き上げますと末端の小売価格がそれだけ上がるのではないかという議論が、実はまた非常に一般論として強くなされておったことがございます。したがいまして、消費者物価問題が大変うるさい段階でやっていいかどうかというようなことについて検討をいたしておったことも事実でございます。あれこれいろいろ検討した結果、調整金につきましては、先ほど申し上げましたように、海外相場につきましてもおおむね安定をしましたし、円高の傾向もはっきりしたということで、買い入れ価格は大体この辺で定着するだろうということが見通されましたので、その段階において先ほど申し上げたような改定をした、かようなわけでございます。
  50. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 いまのは結果論だと言われたんですが、実施に踏み切られた九月から十月にかけては一時ちょっと上がりかけていたんですよ。そしていま言われるけれども、ほとんど大部分は、八〇%がオーストラリアでしょう。そうすると、ほかの動向あるいはアメリカなんか、資料を見てみますと、非常にその月の輸入が少ないところは千何百円のものが二千何百円に上がっているようなときがありますよ。ですからそんなの大して影響ないのですよ、八〇%がオーストラリアなんですから。オーストラリアの動向というものが一番大きな影響があるんですよ。そして十月ごろにオーストラリアの価格がちょっと上向いているのですよ。そうすると、いま言われるようなことであるならば、九月に決定するときに、相場が上向いているということで調整金を上げるのは不適当だという御判断が出るはずなのに、上向いているときに調整金を乗せて、そして三月、四月、五月の下向いているときには調整金を据え置いている。これはもう故意にやられたのか、怠慢でやられたのか、あるいはまた圧力があったのかそれは知りませんよ。しかしそういうふうにとられてもやむを得ないような上げ方をしておるんじゃないでしようか。
  51. 太田康二

    太田参考人 私が先ほど申し上げましたのは、五十一年の夏以降、アメリカが豪州から買い入れ数量が相当ふえましたので、豪州の現地価格が上がるだろうということを申し上げたので、アメリカの価格を気にしてどうしたということではない点をまず一つ御了解いただきたいと思います。  それから速やかにそういった事態において対応しないで、故意に上がったときに上げたではないかというような御意見でございますが、私どもといたしましては、できる限り調整金というものは、そう短期間に動かすべきものではないという基本的な認識がございます。しかし、大体二カ月置きぐらいに、いま申し上げましたように国内の売り渡し価格、これはまあ御承知のとおり、チルドビーフの場合には国内の乳雄の価格を基準に考えておりますので、これの価格動向を見ながら、それとの品質格差等を勘案して決めておる売り渡し予定価格があるわけでございます。これはほとんど昨年の一年間はほぼ安定的に推移をいたしましたから、こちらからの変動要因は特にないわけでございます。海外の価格が一番大きな影響がある。それにかつ円高の問題も起こったというようなことで、私どもとしては、九月の段階で再計算をした結果、この際改定をすべきであるということで、先ほど申し上げたような改定をいたしたということでございます。
  52. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 それじゃ先ほど、結果から見れば見通しを誤りましたということだったのですね。見通しを誤ったということについて、もし直ちに調整金を改定して、三月からすぐできるわけじゃないでしょうけれども、もし三月から十月までの間、ということは、これはこの七カ月でなしに前年度からの傾向もあるわけですから、本来三月に直ちに手を打てるはずなんですよ。ですから、もし直ちに改定しておったとするならば、どれぐらいの試算になっておりましょうか。
  53. 太田康二

    太田参考人 私どもが一応仮に計算をいたしたわけですが、一つは、一番最初に話が出ましたのが五十二年の二月であったわけでございますから、五十二年の二月、三月分、これを三百五十円を六百円の調整金にしてフルセットで売ったと仮定いたしまして計算をいたしますと、この二月間では八億四千五百万円です。それから同様に、五十二年四月から十月までの間にいまの計算をいたしますと三十四億八千万ということでございますので、合計で四十三億二千五百万ということに相なる次第でございます。
  54. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 これは国際価格価格差だけですね、一応。円高計算もなさいましたか。
  55. 太田康二

    太田参考人 先ほども申し上げましたように、六百円という調整金は円高のことも入りまして買い入れ予定価格が下がるということで六百円になっておるわけでございますから、それはもうカウントされておるわけでございます。
  56. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 いまの、理事長自身がかつてもうずっと畜産局長もおやりになったわけですから、そんなこともう後ろで聞かなくても自分でお答えになれるはずじゃないですか。一々そういうことを聞かないと、入っているのか入ってないのかわからないようなことでは、判断できないんじゃないですか。またことしも見誤りを起こすんじゃないかというふうな危惧を持たれてもしようがないですよ。  総トン数からいきますと三万九千九百五トンですね。そうするともっとこれは、部位別にいろいろ調整金は違うようですから——いまでも違うんですか。そして、五十一年一月以後はもう全部三百五十円一律でいっているのかどうか、そこらのところもひとつお尋ねしたいと思いますし、フルセットというのは大体標準的な見方だと思いますが、もし三百五十円としたら約九十九億ほどになりますね。これについて検査院もそういう計算はなさいましたか。
  57. 阿部一夫

    ○阿部会計検査院説明員 ただいまの御質問は、五十二年の二月、三月あるいは四月から十月という、まあ五十一年度が一部入っておりますが、五十二年度の売り渡し数量が調整金三百五十円でなくて六百円であったとしたならばという御質問かと思いますが、私ども昨年の検査では五十一年度を対象にして検査しておりましたので、五十二年度分の数量につきましての試算というのはいたしておりませんけれども、六百円と三百五十円の差額の二百五十円というものをもとにいたしまして五十二年の十月までの売り渡し数量で計算いたしますと、事業団側から御答弁のあったあの数字で多分間違いないのではなかろうか、このように思います。
  58. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 部位別にいろいろ調整金の額は違うのじゃないかと思いますが、その点はいかがでしょう。
  59. 太田康二

    太田参考人 フルセット一本でやっている分と部位別にやっている分がございますから、部位によってもちろん違っておるわけでございます。
  60. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 そうすると、フルセット以外の調整金の安いのが多かったということですか。もし平均的にいくならば勘定としては九十九億ぐらいになりますよ。
  61. 太田康二

    太田参考人 私が申し上げましたのは、フルセットとして売った場合にということでさっきの数字になるわけでございまして、いま先生の御指摘のように部位別にやりますと、またその計算も、たとえばいまの六百円が幾らになるのかというようなこともございますから、私の方でいまその計算をいたしておりませんので、ちょっとお答えいたしかねるわけでございます。
  62. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 金額の面はまた詳細に検討して結果を出していただきたいと思いますが、いまお答えになっただけでも四十三億、事業団としての見通しそのものが正しかったならばこれはもう当然事業団に入る。ということは、あるいは生産者にまた畜産振興という意味で使われるとか、あるいは消費者対策に使われるとか、何らかの形で国民に還元されるのですが、それが、いま言われた数字だけでも中間に七カ月問流れておって吸収されておったということに結果はなりますね。
  63. 太田康二

    太田参考人 六百円と仮定して計算すればというふうに私は申し上げたわけでございまして、二月、三月にすぐ六百円にすべきであったということを申し上げておるわけではないのでございます。その辺は先生もひとつ御了解をいただきたいと思います。  したがいまして、一体幾らがよかったかということになりますと、確かに議論のあるところでございますが、さような次第でございまして、何も全部が全部あの額が、まさにそのとおり中間の利潤として流通段階に吸収されたというふうに考えるのはどうかと私は考えております。
  64. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 本来、検査院でお調べになって、勧告をするとか留意事項として指摘するとか、いろいろの項目があると思いますが、今回の見解を示されたということはどういう効果があるのですか。
  65. 阿部一夫

    ○阿部会計検査院説明員 私どもが検査官会議の決定を受けまして正式の会計検査院の意見として表明いたしますものは、会計検査院法の規定に基づく処置要求とか改善意見の表示とか、あるいは国会にお出しいたします決算検査報告に不当事項として、不当であると言って批難する事項、こういうものがございます。これらは会計検査院の正式の意見の表明あるいは判断の表示ということでございますが、この最終的な結論が出るまでの過程におきまして、検査の実施部隊と申しますか、具体的にはそれぞれの担当の検査課でございますが、これが実地検査に参りまして、調査官という立場で、自分としてはこんなふうに思えるのだけれどもどうであろうかというようなことを申し上げて、相手方と意見の交換をするという過程がいろいろあるわけでございます。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 そうした過程を通りまして、最終的に会計検査院として公式に是正、改善の処置を要求するとかいうふうになったものは、御承知のように決算検査報告に併記されているわけでございますが、私ども処置要求をしたものについては、そのとおり本当にやってもらわなければいけないということでございますが、この検査の過程におきまして、担当調査官として、こういうふうに思われるのだけれどもどうであろうかというふうに申し上げて、その意見を入れていただいて事実上改善されていくという場合もございますが、なかなかむずかしい問題であるということで、直ちに問題が解決されないということがございましてもやむを得ないと申しますか、そういう事態もあり得るというふうに考えております。
  66. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 わざわざ定例の検査以外に期末検査をおやりになって、そこにはいろいろ世間の疑惑があるのだと当初おっしゃいました。そして、定例のときじゃないけれども指摘をなさって、こうしたらどうですかという程度のことであるかもわかりませんけれども協議をなさった。それに対して事業団の方も、将来の見通し云々ということでぼやかしてこられた。それでは何のために検査をやったか意味がないのじゃないでしょうか。
  67. 阿部一夫

    ○阿部会計検査院説明員 この輸入牛肉の買い入れ、売り渡しの問題につきましては、私ども検査を実施する立場の者としては、いわゆる会計検査院法に基づく処置要求とか改善意見とかいうところまでまとめることができればそうしたいという気持ちで実施していたわけでございます。結局、検査の過程におきまして、現在の調整金がこのままでいいのかなという感じは持ちますが、同時に、この調整金を幾らにすべきであるということを検査院の方から数字を出して示すことはなかなかむずかしい。先ほど事業団の理事長の方からもお話がございましたが、調整金というのはある程度制度的な形になってしまいまして、時々刻々の情勢の変化に応じて動かしていくということにはどうもなじまないようなものである、そういう壁にぶつかりました。そういたしますと、この問題は調整金を幾らにするという形で解決するのではなしに、法律の原則である競争売り渡しという方向で適正な価格で売っていく、そういう方向に持っていくのが望ましいのではないかと考えるようになったわけでございます。方向としてはそういうふうにあるべきだという気持ちを持ったわけでございますが、先ほど来話が出ておりますように、冷蔵牛肉の方につきましては、方向としてはそういうふうにやりたいと思いながら、いざどういうふうにやったらいいかという具体的な方法がなかなか見出しがたい。私どもの方といたしましても、こういう方法で競争原則を導入した売り方をすればいいではないかという具体案がもし出せるものであれば、会計検査院法の規定に基づく処置要求というような形にまとめることができたかもしれないという気持ちもいたしますが、競争原則を導入する方向に行くべきではありませんかというような抽象論までしかどうも問題の性質上言えないということで、われわれとしては、検査の結果を正式の検査院の意見というところまでまとめることができなかったことを残念には思っておるわけでございます。  そういうことで、先生指摘のように、検査をやっただけでその効果が上がらないことをどう思うのかというふうにおっしゃられますと、その点は残念でございますが、昨年の検査の経過を申し上げますと以上のようなことでございます。
  68. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 それでは、農林省の方は、会計検査院が検査をし、そしてその実態も十分御承知だと思います。それで農林省としては、そのときには何もお思いになりませんでしたか。
  69. 杉山克己

    ○杉山政府委員 昨年の春以来、会計検査院の中間検査あるいは定期検査というようなことで、その過程で種々御意見を承っておることは承知いたしております。所見であれあるいは正規の勧告であれ、会計検査院の御意見は、当然それなりに改善すべき傾聴すべきものを含んでいると思いますので、できるだけこれを実施、改善に移していくということは必要であると、私ども一般論として考えております。  ただ、この問題につきましては、先ほど来事業団の理事長が答弁申し上げておりますように、何分にも実際に現物が入ってくる数カ月前に調整金の額を設定しなければならない、そういう予測の問題がありますのと、それから、最近特に国際価格、安い価格の牛肉を国内にもなるべく安い形で供給するようにということでの一般世間の要請もこれあるわけでございます。そういった中で調整金をどのように決めていくかということは実際問題としてなかなかむずかしい。それから、国内価格動向なり国際価格動向をいろいろ検討しておりますうちに、これはどうしてもある程度期間がかからざるを得ないという状況があったわけでございます。私ども、検査院の検査を受けました当初から事業団の方でもこれに対応して検討している、それからそれを誠実に受けとめてしかるべき対応をとるようにということで、私の方も指示してまいったわけでございます。その結果、十一月には調整金の額をその時点において適正なものという水準に改定することにいたしたわけでございます。  これは遅いではないかといまおしかりを受けておるわけでございますが、事柄の性格上、それから、検討してまいりましたその間の種々の経緯からして、結果論としてはあるいは遅かったという御指摘があるかもしれませんが、やむを得なかった事情もあるということで御理解をいただきたいと思っております。  そのほか、フローズンについて随契をするのは好ましくないという御意見については、これはこの五十二年度限りということで、五十三年度以降は随契をなくすということにいたしております。  また、チルド肉の販売については、競争原理を導入すべきではないかという御意見、これは事業団の理事長が申し上げましたように、種々実行上困難な問題はありますが、目下その方向で検討をいたしているところでございます。
  70. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 問題が五十二年三月から始まったわけじゃないのですよ。事業団が二月に調べ三月に調べて指摘されたけれども、その過去一年間の間にずっと国際価格が下がってきているわけでしょう。その間全くみずからの力で、どこからも指摘を受けずに、調整金これでいいのかなという疑問をお持ちになるということはなかったのですか、過去一年間の実績を考えて。
  71. 杉山克己

    ○杉山政府委員 ただいまも御答弁申し上げましたように、国際価格動向というのは、必ずしも下がりっ放しでもっていつまでもそれが続くかというようなことについては見定めがなかなかつきがたかった。ときには反騰するのではないか。それから、国内価格の方もかつてある程度高かった水準のものがだんだん低くなってくるという状況もありましたし、そこら辺のところは、結果として振り返ってみれば、確かにその後も相当期間国際価格が下がり続けてまいった、それから国内価格の方は、若干の上下はあったものの比較的安定帯価格の中で推移したという結果は出ておりますけれども、当時としては、先々のことについてそのような見通しは十分には持ち得なかったという事情もあったわけでございます。
  72. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 それじゃもう一つさかのぼって、三百五十円に調整金をお決めになったとき、そのときの根拠をお示しいただきたいと思います。
  73. 杉山克己

    ○杉山政府委員 三百五十円を決めるときは、その時点におきますところの国際価格国内におきますところの価格、この間の格差を種々の計算をいたしまして、おおむねその程度の格差でもって推移するものという見通しのもとで決めたものでございます。
  74. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 数字が三百五十円と出ているのですから、やはりその前の一年とか半年とかの基準をとって、それの価格国内の安定価格との差とか何とか、やはり算式があるのでしょう。漠然と三百五十円が出てきたわけじゃないでしょう。
  75. 杉山克己

    ○杉山政府委員 それは事業団が実際上の価格の推移を見通して、それなりの内部におきますところの価格算定のルールをつくって見通しを立てるということは承知いたしております。計算の個々の内容については直接農林省が計算しておるわけでございませんので、細部についての計算自体は私どもの方ではやっておらないわけでございます。
  76. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 それじゃ、調整金の額を決めるのは、これはどこの権限に属するのですか。これは事業団の理事長の権限なのですか、それとも農林省ですか、その関係はどうなるのでしょうか。
  77. 杉山克己

    ○杉山政府委員 これは経済ベースの問題でございますから、法律的な権限は事業団にありましても、実質的には恐らく農林省が決めているのではないかという御趣旨からのお尋ねかと思いますが、権限としては、これは畜産物価格安定法に基づいて事業団が農林大臣の承認を得て定めるということになっております。
  78. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 そうすると、そういった場合の事業団の理事長と農林省との責任関係はどういうふうになるのでしょう。
  79. 杉山克己

    ○杉山政府委員 法律的には、これは事業団の理事長が決めたということで、決めたこと自体についての責任は当然事業団の理事長が負います。ただ、そのことについて事業団の理事長限りであるかと言えば、これは農林大臣が承認をするということになって、もちろん個々の計算の細部まで一つ一つ経済の実態について農林大臣が承知しているわけではございませんけれども、信頼して、その検討の結果について承認をいたしたという以上は、農林大臣にも当然監督上の責任があるということになるわけでございます。
  80. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 事業団の方でその三百五十円を算出した基礎を教えていただきたいと思います。
  81. 太田康二

    太田参考人 いままで調整金の考え方について申し上げてきたわけでございますけれども、要するに、事業団の売り渡し価格、これは国内産の牛肉、輸入牛肉との品質的に同等のものの卸売価格を基準に算定したいわゆる事業団の売り渡し価格というものがございます。それと事業団の買い入れ価格、これは海外の牛肉実勢価格を基礎として算定した価格でございますが、その差額に相当する額として設定されるものが調整金、こうなるわけでございまして、これがいずれも、とにかく私どもの機密に属する事項でございますから、その点は御勘弁いただきたいわけですが、このいわゆる内外の価格差、いまの事業団の売り渡し価格と事業団の買い入れ価格の差が調整金ということで三百五十円ということになった次第でございます。
  82. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 機密と言われるけれども、三百五十円という答えは出ており、そうして安定帯価格というものも発表されておるわけでしょう。あと国際価格だけの差なんでしょう。秘密にならないんじゃないですか。そんなものを明らかにできないのですか。
  83. 太田康二

    太田参考人 これはいままでも明らかにはいたしておりません。と申しますのは、国内の売り渡し価格につきましても、安定帯価格をそのまま使っているわけではございませんので、市場に実現した価格と、やはり品質格差等を算定いたしまして売り渡し予定価格を決めております。これが売り渡し予定価格です。買い入れ価格はまさに私どもの全く機密に属する事項でございますので、これも公表いたしていないということでございます。
  84. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 これからのことについては問題があるかもわかりません。すでに過去の実績じゃないですか。そうして、もうすでに取引も済んでいることじゃないですか。だから、調整金の三百五十円が六百円になるとき、その二百五十円についても問題になり、したがって、そのプラス二百五十円になる以前の基礎についても、いろいろ疑義があるというふうに思われるのは当然じゃないでしょうか。そうすれば、明らかにしなければ国民の疑義を解くことにならないのじゃないですか。
  85. 太田康二

    太田参考人 いま申し上げましたように、計算のルールははっきり決まっておるわけでございますから、そこにそれほど主観の入る余地はないわけでございます。したがいまして、買い入れ予定価格につきましては、これは全く私どもの業務の基本に関する事項でございまして、機密でございますから、それは過去のものといえどもちょっと御勘弁をいただきたいと思います。
  86. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 そうすれば、その当時の安定帯価格の中位はどのくらいですか。
  87. 太田康二

    太田参考人 ちょっといま調べておりますから、調べがつきましたらお答え申し上げますが、ちょっとお伺いいたしたいのは、実際に市場で実現した価格をおっしゃっておられるのか、そのときの政府が決めた安定帯の価格の上限価格なり基準価格を言っておられるのか、どちらを言っておられるのかをちょっとお伺いいたしたいと思います。
  88. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 中心価格と言っているのですから……。
  89. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いま私手元に持っております資料は、これは決定時点というよりは、五十二年の九月、十月、十一月、このころのものだけでございますが、その時点のものは別途また申し上げます。
  90. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 五十一年のを聞いておるのです。
  91. 杉山克己

    ○杉山政府委員 五十一年のはちょっと手元にございませんので……。
  92. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 ついこの間、安定帯価格の問題でいろいろ議論があったのじゃないですか。去年、おととし非常にやって、参考になっておるはずですから……。
  93. 太田康二

    太田参考人 五十一年度の中心価格は、千百二十五円でございます。
  94. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 中心価格が千百二十五円だったら、上下大体想像できますね。そうすると、そこから三百五十円引いたら輸入価格はそれぐらいになりますか。
  95. 太田康二

    太田参考人 私どもは、市場に実現した価格を基準にして、そこから格差を引いて出しておるわけでございまして、千百二十五円を基礎に置いておるわけではございません。というのは、当時はどちらかというと上限に近い、あるいは上限を超えておるような価格で推移いたしておりますから、それを国内の牡犢の時価と見て、それとの品質格差をはじいて買い入れ予定価格を決めておるということでございますから、千百二十五円に直に結びつけてお考えになると、その辺がちょっと間違えるのではないかと思います。
  96. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 直に結びつけておりません。中位価格があって、上位価格と下位の価格の幅が決まっておるわけですから、その幅で計算すればすぐに出てくるじゃありませんか。それと三百五十円の差がその当時の国際価格ということなんでしょう。
  97. 太田康二

    太田参考人 ちょっと、すみません、もう一度。
  98. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 実勢価格というのは、安定帯価格を設けたんだから、中位価格と上位価格と下位価格の間におさまっておるわけでしょう。出たら、そのときには放出して値を下げるようにやっているわけでしょうから、その大体の額というのはほぼ想像がつきますね。当たらずとも遠からずという額というのはほぼ出てくると思うのです。違ってもそんなに大きな差はないのですよ。そうすると、三百五十円とその価格との差というのは、試算してみたらもう全部、ほぼ幾らぐらいから幾らぐらいまでというそのときの価格が出てきますね。その国際価格があなた方の試算に使われた基準に合っているか合ってないかを知りたいわけなんです。
  99. 太田康二

    太田参考人 先ほどの数字、ちょっと計算違いをいたしまして、千百二十五円と申し上げましたが、千百七十五円でございます。  それから、くどいようでございますが、私が申し上げておりますのは、御承知のとおり、現在の法律で、安定上位価格を超えているときには、安定上位価格を基準にして、それから内外格差を引いて売り渡し予定価格を決めなさいというのが政令の六条に書いてございまして、安定帯の中に入ったときには時価を参酌して決めなさい、こうなっておるわけです。  そこで、私が申し上げましたのは、五十二年の九月から牡犢については安定帯の中に入ったわけでございます。それまでは上限価格を実は超えておりましたから、そういう意味では、上限価格を基準にして、そこからチルドビーフの品質格差を見て算定をした。そして、それを売り渡し予定価格として考えて、一方に先ほど申し上げました現地での買い入れ価格があるわけでございますから、その買い入れ価格を差し引きまして調整金を決めたということでございます。
  100. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 計算方法が明らかにできないけれども、何が何でも三百五十円に決めた、そういうふうにしかとれませんが、それでは疑惑がとれないじゃないですか。なるほど算式の基礎があって調整金が三百五十円に決まったのなら納得ができる、といってこそ初めて皆さん価格についても不安感をお持ちにならないのです。明らかにならないというのはやはり何らかの問題があるのですか。それじゃ明らかにできるじゃないですか、価格のことですから。
  101. 太田康二

    太田参考人 私は、大体いま算式を申し上げたつもりでおります。と申しますのは、国内の売り渡し予定価格というのはこういうふうに決めております。それから海外の買い入れ価格というのはこういうふうに決めております。その差が調整金でございますと、ただ、国内の売り渡し予定価格は、上限価格を超えているときには上限価格を基準にして格差をとって決める、それから安定帯の中に入りまして、先般の三百五十円を六百円に変えたときのように、大体安定帯の中心価格と上限価格との間にあるときには時価を基準にして品質格差を求めて決めますと、こう申し上げているので、もう算式ははっきりそういうふうにルールとして確立をいたしておりまして、その算式については農林大臣の承認を受けて、また個別にそれによって算定された額につきまして農林大臣の承認を受けて決めておるということでございますので、私としてははっきりやっているつもりでおります。
  102. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 それじゃ、その輸入価格は大体幾らぐらいとしていつごろ、金額を言えなかったら、いつごろのものを基準におとりになったのですか。四十何年ごろか、五十年か五十一年か、どこか知りませんが、いつの時期のものをおとりになったのか。
  103. 太田康二

    太田参考人 私が事業団に参りましたのは五十一年の十二月に参ったわけですが、たしかチルドビーフの買いが始まったのは五十年九月からでございます。当時としてはまだ何も基準がございませんでしたので、たしか四十八年ごろチルドビーフをやったときの価格を基準にしてはじいたというふうに聞いております。しかし、最近におきましては、できる限り直近のものを使うということで、私どもは、二カ月ごとに検討するというようなことを原則として、そのときの最も直近の買い入れ価格を算定してはじいておるということでございます。
  104. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 四十八年ごろと漠然と言われるのですが、四十八年一年間なのか、半年なのか、あるいは二カ月なのか、そこらはどの程度のものをおとりになったのか。
  105. 太田康二

    太田参考人 四十八年度の一年間をとったようでございます。
  106. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 じゃ、算式の基礎についてきちっとした数字は出せないということですから、その点はまた改めて別にお願いしたいと思いますが、先ほどの議論の中で、昨年のちょうどいまごろから八月にかけて、円高の差益だとか国際価格等については結局なかなか小売値に連動しないのだというふうに前局長お答えになっておる。そして、結局中間の流通過程で吸収されておるというふうに言われておるのです。ということは、事業団から出される価格と市場価格との間にいろいろな差があるからこそそういう問題点がいろいろ出てくると思いますし、そしてまた、ときに横流しというような言葉も使われておるのです。横流しというのはあるのかないのか、その定義についてどういうふうな見解を持っていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
  107. 杉山克己

    ○杉山政府委員 一般的に言って、特に食肉の場合はそうでございますが、卸売価格の変動は、日々かなり激しく、といいますか、相当程度あるわけでございます。それに対しまして小売価格の方は比較的安定している。これはやはり、消費者に対して物を供給しているという立場からいたしますと、卸売価格が上がったからといってこれをすぐ上げるというわけにはまいらない。逆に、下がったからといってこれを下げる一方では損もするというようなことで、動向を見ながらある期間安定的な価格で小売価格は推移するものと考えるわけでございます。しかし、相当期間続けて卸売価格が下がるという傾向にあるならば、これは若干のタイムラグはあってもやはり小売価格の引き下げにつながるというふうに私ども考えております。先生指摘のように、そうあるべきところが、卸売価格の下がり方を見ても小売価格の方はそれにスライドしていないではないかというお話、これにつきましては、一部で横流しという言葉が使われておりますが、横流しとかあるいは中間段階における不当なマージンを取るというようなことで、消費者に及んでいないではないかという御指摘だと存じます。  この問題につきましては、私ども当然、特に輸入牛肉について、国産牛肉より割安になっておるという実態がございますので、それが各方面で好まれる、喜んで引っ張られるというようなことからして、適正なルートで流れることを期待いたしておるわけでございます。そのために種々の指導も行っているわけではございますが、ただ、法律に基づいてこれを統制物資のようにこのルートでこの価格で売りなさいということで規制しているわけではございません。私ども、やはり既存の流通のメカニズムを利用いたしまして、この中で消費者に対して適正な価格でスムーズに流れるということを期待しているわけでございます。そういう既存のメカニズムのルート、その中で期待されるように流れるということになりますと、組織によっていろいろ違うわけでございますが、中央団体から県の団体、県の団体からさらに地域の、そして末端小売店へというふうに流れるのが通常でございます。そういう流れからそれまして、別な形でもって横へ流れたということで横流しという言葉が使われたのかと思いますが、こういう経済現象について、期待どおりに個別に流れなかった事態が、これはもちろん好ましいことではありませんし、そうならないように指導するわけでございますが、流れたからといって、それを直ちに横流しというような言葉で、いかにも刑事犯にもつながりかねないようなニュアンスの言葉で表現するのは、実は私どもいかがかと思っております。その意味では期待に背いた流通の仕方であるということではございますが、何か法律上の違反とかなんとかというようなことでの横流しというのとは、やや意味が違うのではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、現在、定義はともかくといたしまして、そういう流通のあり方が好ましくないということで、私どもとしましては、既存の流通機構、流通組織を通じてこれを売り渡し、消費者にお届けすることにしているわけですが、その流れが適正に行われるよう報告を求める、そして特に末端の指定店の場合には、モニター等によって、適正な売り方が実現されているかどうか、これを監視する。それからさらに、特別極端な事例があるというようなことが情報等、また私どもの一般的な聞き取り等によってわかれば、個別に調査を行う必要もあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  108. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 この問の参議院の予算委員会でも、七項目ほどの指摘があって、一項目だけは、それは誤解だ、しかし六項目については正常な期待しているとおりの流れ方をしておらないというふうな答弁を佐野審議官がなさっていますね。そういう事実はあったわけですか。
  109. 杉山克己

    ○杉山政府委員 情報等でいろいろ耳にするうわさといいますか、話もあるわけでございますが、神戸の食肉の流通について、参議院の予算委員会でもお尋ねがございました。そして幾つかの具体的な、質問された方の調査による指摘がございましたので、その件について個別の調査を行った事実がございます。  まあ期待されているとおりの売り方をしていないではないかというのも、いろいろ内容あるいは段階がございまして、一様ではございませんが、完全に私どもが期待しているような形でもって、問題がなかったと思われるのは一件。それから途中までは適正なといいますか、期待されているような流れ方をしておったけれども、一番最終の卸と小売を兼ねているような業者の手に渡って、これは正規の期待されている経路を通ってそこに渡って、なおかつ一番最後の段階でもって期待に背くような売り方がされたというケースが残りについてあったわけでございます。
  110. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 一項目以外は、全面的かどうかは別として、期待されたとおりに流れていない、いわゆる横流しということになると思うのですよ。その横流しも、私どもから言ったわけじゃなしに、前局長委員会で答弁なさった。私は委員会で、そんな横流しというのがあるのですかと聞いたら、横流しという言葉をお使いになったぐらいですから、そこらはあなた方の方からお出しになったのです。それはさておいて、そういうふうな期待どおりの流れ方をしていない場合、農林省としてあるいは畜産事業団として、それをとめる歯どめになる措置を何かとっておられるのですか。
  111. 杉山克己

    ○杉山政府委員 横流しという言葉自体の適否はさておきまして、事柄自体が好ましくないということでは、私ども一致した見解をとって、その対策を講じているところでございます。  そこで、事業団が輸入肉を売り渡します場合に、そういう期待に違反するというか、期待に背くような売り方をしたときは、その状況いかんによって、その後の売り渡しをとめる、あるいは減量することがあり得ますということを条件として入れることにいたしております。  それから、私ども農林省といたしまして、その基礎となるような強力な指導が必要であると考えまして、昨年の八月に局長名をもって、まさにそういう期待に背くような売り方をする者については、売り渡し数量の削減または停止ということがあり得るということを言っております。同時に、この通達の趣旨について、関係各団体等に十分徹底するよう伝達をいたしまして、特に最近このようにいろいろ問題とされております事態等も踏まえて、さらに密接な指導を行うということに心がけているところでございます。
  112. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 時間が参りましたが、最後に一つだけ申し上げたいのですが、当然歯どめになるのが、指定団体に対する指定要領であるとかあるいはまた契約書だと思うのです。そうすると、現在使われている契約書にも指定要領にも、歯どめになるようなものは一切何も載っておらないのですが、検査院の方ではこの点についてお調べいただいたかどうか、そしてそれが効力があるかどうかをお答えいただきたい。
  113. 阿部一夫

    ○阿部会計検査院説明員 現在農林省なり事業団なりで措置しておりますことは、期待されるような流し方でないということが起こった場合には、今後は売り渡しの相手から外しますよというようなことでございますが、契約書の中に入れるというごとになりますと、今後は売らないとかいうようなことではなくて、もしそういうことをした場合には違約金を取るぞとか、そういうかなりきつい制度というものが契約条項の中に入るといたしますと、将来の契約についてのことではなくて、本件契約についてのことになるかと思うわけでございますが、現在そういう非常に厳しい契約条項というのは入っていないわけでございます。私どもといたしましては、この事業団の売り渡し価格が適正な価格で、まさに時価という値段で売られるならば、いわゆる横流しというようなこともなくなってくる、そういう姿が本来望ましいのではないかというふうに思いますけれども、現実の姿におきまして、中間で不当な利益を得るというような者がある場合には、御指摘のような条項などを契約書の中に入れるというような方法一つ方法ではあるかとも思いますが、現在農林省、事業団の通達で、少なくとも今後は売り渡しの相手としませんよというような措置がとられているということでございますので、その推移を見守りたいというふうに考えているわけでございます。
  114. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 一片の通達ではなかなか十分なことはできないと思いますし、そしてまたそういう事実があるのかないのかについても、調査自体も大変なことだと思うのです。そういう意味では、大臣はおいでになりませんけれども、ひとつ次官の方から、契約条項について、いま検査院の方から御指摘がありましたように、いまの契約のままでは歯どめもかからないというふうな話ですし、そして通達だけでもまだ十分でないと思いますので、ひとつ次官として、何らかの歯どめを考えるというようなことも考えていただきたいと要望申し上げたいと思いますが、その点についてお答えいただきたい。
  115. 太田康二

    太田参考人 ちょっと私から御説明させていただきたいと思います。  私ども売り渡しの都度、売り渡し条件等についてというものを出しまして、そこではっきり、いま先生が御指摘のように、売り渡し条件に反したような方は自今売り渡しを停止したりするようなことをうたっております。ちょっと読んでみますと、「売渡しの本来の趣旨に違反するがごとき事実が明らかとなった場合には、輸入牛肉の売渡しの停止、売渡し対象団体からの除外等の措置を講ずることもある。」というようなことで、はっきりとそういう条件をつけてやっておるわけでございます。
  116. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 いつの分ですか。
  117. 太田康二

    太田参考人 いま私がちょっと読みましたのは、五十二年十一月二十五日に出した分でございます。
  118. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 それは指定店だけでしょう。五団体にはないでしょう。
  119. 太田康二

    太田参考人 関係の五団体にも全部出しております。
  120. 高橋顕詞

    ○今井政府委員 先ほどからの御質疑を聞いておりまして、いやしくも、正当なルート以外に物が流れ、それがひいては消費者に御迷惑をかけるということは、私は社会正義に反すると思います。したがって農林省あるいは事業団等についても、そういうものについて万々意を用いていると私は信じておりますが、ただいま事業団の理事長が御答弁したとおり、もしそれについて不十分な点がこれありとするならば、これを訂正するにはやぶさかではございません。ひとつ事情を調べまして、善処をいたしたいと存じます。
  121. 馬場猪太郎

    馬場(猪)委員 終わります。
  122. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 この際、午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  123. 中尾栄一

    中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内猛君。
  124. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、米の生産調整のその後の動き並びに地元に起きている幾つかの問題を取り上げていきます。  特にこの際、農林省の方に伺いたいわけですが、過ぐる十一月十九日に次官通達によって全国に米の生産調整を要求した、その後、その進捗状況、どういうふうになっているかということ、その中で特にどのような意見が出ているか、農業団体あるいは自治体、うまくいっているのか、それともそうでないと思われるのか、その辺を、そういう感じについて御答弁をいただきたいと思います。
  125. 野崎博之

    野崎政府委員 いま先生おっしゃいましたように、十一月十九日に都道府県別の内定通知を出したわけでございますが、各都道府県は、市町村別の内定通知は全部終了いたしておりまして、現在市町村でいろいろ集落懇談会等を開きまして、末端の仮配分を行っているという段階でございまして、三月末日現在で見ますと、全国約九六%が末端農業者あるいは農協、集落段階までの仮配分が済んでおるわけでございます。  それからまた、先生おっしやいましたいろいろな御意見ですが、末端では一様に厳しいという判断をしながらも、集落懇談会等を通じまして次第次第に、いまのような米の需給事情であればまことにやむを得ない、食管制度の問題もあるしやむを得ないということで、協力をする体制が一応整ってきたのではないかというふうに見ておるわけでございます。また、きのうの地方農政局長会議でも話が出たわけですが、これを契機として、新しい農業地域づくりといいますか、そういうものに取り組んでいこうという気分も一部の地域には見られるというような状況でございます。
  126. 竹内猛

    竹内(猛)委員 九六%おりたことは事実でしょう、多分。これは上から下へおりなければどうにもならない。ところが、私は、各農家を回ってみたり懇談会をしてみたのですが、これはやむを得ない、賛成はできないけれども仕方がないということですね。そういうことなんですよ。だから、これを、やむを得ない、仕方がないということではなくて、自主的に喜んで転作ができるように指導するのがこれは政治の仕事だろうと思うのですね。そういう点で、これはこの年末になってみなければわからないけれども、いま現在、私たちが歩いたところでは、依然として非常に不満が強いということだけは明らかです。それについてはいずれ明らかにされるから、これ以上ここで議論しても意味がない。  次いで、歩いてみて一番問題になっているのは、陸田の問題でしょう。陸田をどう抑えるかということですね。生産調整を一方にさせておきながら、陸田は依然として開発をしている。いま私の県なんかは、行ってみると、陸田に対しては二五%の調整をし、水田は四%という形になっているところがある。ところが、陸田はさらに開田の方向に進んで、東京電力に対しては、地下水をくみ上げるためのモーターの電気ですね、それの許可申請がたくさん来ている。これをどうされますか、この陸田の問題は。
  127. 野崎博之

    野崎政府委員 陸田につきましても、やはり従来と同様に水田利用再編対策の対象と考えておるわけでございますが、いま一般的に申し上げまして、五十年産の水稲の収穫期以後水稲の作付が可能となった新規開田地を除いて、現況において水稲作付が可能な水田を対象にいたしておるわけでございます。この水稲の作付が可能な水田といいますのは、その水田に湛水施設あるいは灌漑施設を備える等、社会通念上大体稲が植わるというような機能を持つものを水稲作付可能水田と言っているわけでございます。したがいまして、畑地に畦畔をつくって湛水可能な状態にしたり、あるいはポンプアップ等によりまして灌漑を行って水稲を作付する、そういう陸田についても、やはり今回の水田利用再編対策の対象にする、これは従来と同じことでございます。従来もそうやってまいったわけでございます。
  128. 竹内猛

    竹内(猛)委員 水田利用再編対策だから、陸田というものは対象にならない、文字どおり、言葉の上から言えばね。だから、農家はやはり、水田はだめだけれども陸田はいいだろうということで、陸田に依然として集中している。これは県の方でも取り押さえることができないと言っている。だから、この問題は重要な問題だということが一つ。  それからもう一つは、これも茨城県の現地の声、状況ですが、常磐高速道路に協力をして土を取らせたという地域があります。そういう地域においては、陸田はやむを得ない、こういう形で陸田を許している。これはおかしいじゃないか、こういう声が農民の間から出ている。だから、このような問題について、これは農林省だけの問題じゃなくて、高速道路に関係をする者もこれについては関心を示してもらわなければ困る。この点はどうですか。
  129. 大場敏彦

    ○大場政府委員 自己開田の問題ですが、これは国営事業あるいは補助事業で、開田を含む面積は原則として新規は採択しないということをとっております以上、自己開田部分につきましても、抑制措置農林省としては当然とらざるを得ない。そういう意味で、公庫資金だとかあるいは近代化資金、こういったものにつきましても融資は原則として行わない、あるいは自己開田面積に対しましては、農業共済の引き受けとして原則的には引き受けない、こういったことも講じております。  それから、これは農蚕園芸局長から答弁なさるのが妥当かもしれませんが、自己開田した面積について、それの倍になる面積を——これはいろいろ御議論があるところでありますが、例の公平確保措置という意味で、倍になる面積を翌年度目標面積に加える、あるいは自己開田部分から発生する米の生産量を予約限度数量から調整する、こういった措置もあわせて講じているわけであります。  ただ、そういった形で抑制措置はもちろんとっておりますが、法的にこれを強制する、自己開田禁止というような措置は、これは憲法上の論議もありできないわけでありますから、そういった措置で自己開田の抑制を図っている、こういったことであります。  それから、第二番目のお尋ねになりました、茨城県下で常磐高速道の建設の過程において盛り土を取った、その地区において、跡地を陸田として認めているではないかという御指摘があったわけでありますが、私ども、県庁等にも照会しておりますが、まだある町村では五十三年度、五十四年度においてそういった盛り土を採取する予定地区として考えている町村がある。それについては、その跡地は陸田というかっこうで稲を植えるというようなことではなくて、いろいろ整備をした上畑地として利用する計画であるというふうに聞いておりますが、先生が御指摘になりましたことがあるかどうか、それはもう一回調査してみますが、もちろんそういうことがあれば、私ども、片方においていろいろ農家の方々にごめんどうをかけている関係上、やはり陸田というものは厳に抑制していただく、こういった形で折衝したいと思います。
  130. 竹内猛

    竹内(猛)委員 まあいずれにしても、問題点であるということだけは指摘をしておきますから。これはあるとかないとか言っていても、現にそういう声が地元にある。それは筑波郡谷和原村の東楢戸というところでありますから、それはまた調査をすればすぐわかることですから……。  次いで、公平確保の原則というようなこともわからないことはないけれども、一体、飯米をつくっている農家に、一俵も出さないような農家にも同じように減反をして何の意味があるのか、農家からそういう声があるわけであります。これはどうなんです。銘柄米でもない、自主流通米でもない、限度数量でもないという、この農家に割り当てをしている。この農家の戸数とかあるいはそれが生産をしている米というのは一体どれくらいになっているのか。この点は、数量はいいですよ、数量はいいけれども、そういうことはどうなのか。
  131. 野崎博之

    野崎政府委員 今回の水田利用再編対策は、農村全体あるいは農家全体それぞれに応分の御負担をいただく、そういう趣旨でございますので、市町村内のいろいろな仮配分等については、その実情に一番詳しい市町村長にお任せいたしておるわけでございますので、市町村内で十分集落懇談会等を開いて、そういう飯米農家等の事情もいろいろ考慮しながら、皆さん集まっていただいて、割り当てといいますか、仮配分を行っていく。そういうことで、地域の実情に応じて市町村長にお任せをいたしているところでございます。
  132. 竹内猛

    竹内(猛)委員 非常に画一的だからそういうことになるわけで、弾力性がないという形になるわけで、どうだね今井政務次官、飯米農家に対する減反の割り当てというのは何の意味があるか。
  133. 野崎博之

    野崎政府委員 飯米農家でも、やはり転作実施していただけるということになれば、国全体の米の過剰がそれだけ減ってくる、そういう意味では意味があると思っているわけでございます。
  134. 竹内猛

    竹内(猛)委員 飯米農家は転作なんかしないよ。やる必要がないじゃないの、自分のうちで食うだけの米で、まだ足りないのだから、そんなもの。そういうことを考えること自体がおかしいじゃないですか。それはいいや。そういうことだけは言っておきます。議論してもしようがないですからね。  その次に、これは食糧庁にお尋ねしますが、米の検査規格というものを一等、二等、三等と一区切りにする、四等、五等をもう一区切りにする、あとは等外米、そういうのは——これは実施するのかしないのか、まずそこから……。
  135. 澤邊守

    澤邊政府委員 現在の検査等級は一等から五等まである、それから等外、こういうことになっておるわけでございます。五等級区分になっておる。これは三十一年からそのようになっておるわけでございます。  ところが最近、生産事情、流通事情等の変化もございまして、最近では、米の品質の評価は、等級区分によるよりは、どちらかと言いますと、食味に関連しますのは産地、品種、銘柄でございますので、品質全体の評価が銘柄に重きを置いた評価が行われるようになってきているというようなこと、あるいはまた、稲作の省力化に伴いまして、一、二等の玄米の出回り率というのは非常に減っております。  若干、数字について申し上げてみますと、全国でございますが、一等は、ここ五年ぐらいの平均をとりますと〇・〇%で、ほとんどない。かつては、三十年代の前半は、これは二%前後あったわけです。それから二等は、現在は四・三%、五カ年ぐらいの平均でございますが、かつては、三十年代の前半は二〇%を超えておった。二五%前後というようなことでございました。三等が、最近の五年では五二%、四等が三九%、五等が四・四%ということで、ただいま数字で御説明しましたように、一、二等の玄米の出回り率が非常に減少してきておる。  それからもう一つは、精米機の性能がよくなったとか、搗精技術が向上いたしましたこと等によりまして、現在では消費地で、精米段階でふるいにかけたり処理をするようになりますので、産地において必ずしも等級を細分化して五等級にやらなくても、それほど差し支えないというような情勢が出てきました。  また、倉庫の収容力の増大とか運送効率というような点からいたしますと、あるいは売買業務の簡素化というような点からいたしますと、もちろん等級が簡素化した方がいいわけでございますので、そのような物的流通の合理化の観点から簡素化すべきだ、こういう議論がございますし、私どもがいたしております検査業務の能率化といいますか、そういう点からいたしましても、もちろん等級区分が少なくて簡素化されたにこしたことはない、こういうような事情もあるわけでございます。それらの種々の事情から、農業団体あるいは販売業者の関係の方々からも、できれば等級の整理簡素化をしてもらいたい、こういう要請がございますし、片や昨年の七月に行政監理委員会からも、行政簡素化という面から、検査業務について等級も簡素化すべきではないか、こういうような勧告が出されております。それらの要請も総合的に勘案いたしまして、できますれば簡素合理化する方向で進めたいということで、現在検討をいたしておる段階でございます。
  136. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それは現在検討して本年じゅうには実施をする、そういう考えですか。
  137. 澤邊守

    澤邊政府委員 現在各関係者の意見を最終的にお聞きして、検討も最終段階でございますので、できますれば今年産米からそのような扱いにしたい。その場合、何等級区分にするかということにつきましては、いろいろ意見もございますけれども、現在が実質四区分になっているという点からいたしますと、三段階ぐらいに、三等級区分にしたらいかがかということで最後の詰めをしているところでございます。
  138. 竹内猛

    竹内(猛)委員 農林大臣がかわったら、畜産物の価格も抑えちゃったし、米の等級も今度は簡素化するし、どうも生産の米の値も上げないと言うし、農林大臣がかわると大分農政が変わるという感じがするんだけれども、そういうことのないようにひとつ、等級はそれは簡素化してもいいけれども、米の値段の方だけはこれはしっかりしてもらわなければ困るわけで、そういう点は特に言っておきます。  先般ある新聞を見ると、どこの政党かちょっと覚えていないけれども、新聞を見ればわかるが、食糧の検査員、米の検査員というのはどうもこれは仕事をしてない、こういうことを言う人がいる。私はそうは思っていないのです。よく仕事をする。確かに検査をするときには非常に忙しいけれども、検査のないときでも仕事はずいぶんあるわけですよ。管理の仕事もあるし、調査もあるし、指導もある。そういうことを抜きにして、あれは検査員だから検査のないときは遊んでいるだろう、こういうことを言われるのは、その仕事をしている皆さんにとってずいぶん失礼な話だと思っているんです。実際に検査員というのは名前がどうもぐあいが悪いんで、だからあれは食糧事務所の職員なんだから、やはり検査もする、倉庫に入れる管理もする、輸送もする、需給の仕事もするわけでしょう。そういう形で、もっと仕事の問題についてこれは正確に答えてもらわないとまずいと思うのですが、それはどうですか。
  139. 澤邊守

    澤邊政府委員 検査業務につきまして、ただいま御指摘にございましたような種々の外部からの批判もあるわけでございますが、米の検査自体は、生産調整によって生産量が減り、流通量も減ってまいっておりますけれども、御承知のように最近は六十キロ一俵というよりは、三十キロの小型の包装というものがだんだん普及しておることもございまして、検査量としては米については必ずしも減っているというわけではございません。しかし、かつてに比べますと、麦その他他の農産物の検査もあわせて検査員は検査をしておるわけでございますが、それらが非常に減ってきておるという意味では、米に集中し、しかも米の検査時期も最近の生産、出荷の事情から見ますと、兼業に早く出たいということもございまして、非常に短期間に集中をするということに伴いまして、検査業務が短期集中の度合いを一層深めておるということは、これは否めない事実でございます。  それから、検査員はもちろん検査だけやっているわけではございませんで、検査、買い入れ業務のほかに、保管、輸送、売却その他調査事務というものが年間を通じてあるわけでございますので、一部の御批判のような実態ではもちろんないわけでございますけれども、ただ、いま言いましたような検査対象農産物が米に集中をし、しかもそれが短期集中をしておるということがございまして、年間の業務量が平準化しにくい面があるわけでございます。したがいまして、人員の配置等につきましても、それらの点も考慮しながら調整をいたしておるわけでございますが、さらにこれまでの米麦関係の業務以外に、最近行政需要として非常に強い野菜、加工食品等も含めまして、食品関係の流通価格対策について、食糧事務所の網の目を全国に張りめぐらしておりますので、職員を活用していくというようなことにつきまして検討してまいりまして、数年前に野菜業務については一部すでに始まっておりますけれども、今年度五十三年度予算からお願いしておりましたように、新たに畜産物なり水産物まで含めました食品類の価格流通関係のチェック、調査等の事務に食糧事務所の職員を活用するということで、仕事の平準化を図るということに努力をしてきておるわけでございますが、今後ともそのような方向で一層努力をしていきたいと思っております。
  140. 竹内猛

    竹内(猛)委員 何も食管法のもとにおいて検査員がきょう、きのうできたわけではないのだから、特にそういうことを言って活動の士気を鈍らせるようなことについては、これはやはり正確な仕事内容を与えることによって、もっと勇気と生きがいを感じるような、仕事にやりがいを与えなければ非常にまずい。そういうことでは末端は非常に萎縮してしまうからね。特に、人が採用されなくて平均年齢だって五十歳近くなってしまっている。そういうことですから、きょうは時間がないからこの問題についてはこれだけにとどめておきますが、この検査の問題については、いずれ別な時間にしっかりやりたいと思っておりますから、問題があるということだけでとどめておきます。  次いで、これは畜産局長にお尋ねしますが、前に畜産の集中審議で小委員会等三日間やって、その答申がゼロ、実に厳しいことになって農家は本当はえらいがっかりしている。どうがっかりしているかと言うと、金を貸すということを言いますが、金を借りようと思っても借りられないというのが現実なんですね。規模拡大をした、だから生産力が高まった、だから値は安くてもやっていけるではないか、こういう需給実勢方式というものがある。ところで、規模拡大をしたのは、自分が金を借りていままでやった。その金の元利の償還というものがなかなかむずかしい。そして新しい金を借りようと思っても、担保物件がない、保証人がない、これでは金が借りられない。近代化資金でもいろいろあるけれども借りられない。そういう場合に、これをどうするかということについてもっと考えてくれないと、この金はあっても借りられないという事実をどう克服するか。この点、畜産局長どうですか。
  141. 杉山克己

    ○杉山政府委員 畜産農家の借入金の状況は、いま先生指摘のとおり、負債もかなり多額に上っておりまして、一般の稲作農家等に比べても、養鶏、養豚それから特に酪農については、その残高が大きくなっておるわけでございます。酪農の場合、北海道はまた大型経営で特に大きいというようなこともあるわけでございます。煩瑣にわたりますので一々金額は申し上げませんが、五十一年の数字について比較して申し上げますと、稲作平均が百八万四千円に対して、養鶏の場合は百七十万、養豚の場合は二百三十八万、酪農は平均でもって四百二十二万、北海道の場合は八百二十二万、こういう多額に上っておるわけでございます。  これらの畜産経営に対する融資ということについては、基本的には農林漁業金融公庫資金あるいは近代化資金、これら制度資金による融資ということが行われているわけでございます。ただ、資金制度はあっても現実の借り入れがなかなかむずかしい、あるいは返済が困難であるというようなことは、しばしばお聞きする話でございます。最近におきまして、借入金返済が困難であるということに対しまして、昨年五十二年の価格決定の際、私どもといたしましては、畜産経営改善資金ということで低利資金の借りやすい特別融資の措置を行ったところでございます。資金枠は全体でもって一千億ということでかなりの用意をいたしたわけで、実績も八百億台でもって借り入れが行われているという状況にあるわけでございます。  それから、一般的な制度資金にいたしましても、もっと借りやすくすることについてどうかということ。具体的には担保の問題ということになってまいるかと思います。担保、つまり債務の保証ということにつきましては、農業者等に対する資金調達の円滑化を図るという趣旨から、農業信用保証保険法による各都道府県の信用基金協会に基づく保証制度があるわけでございます。これによりまして、担保力がない場合においても融資を受けることができるということになっておりますので、今後ともこういった仕組みの活用を進めてまいりたいと思っております。  なお、五十三年度、今回の価格決定に伴いまして、畜産物価格は据え置きということになったわけでございますが、畜産農家、特に経営上資金的に問題が多い肉牛の肥育農家を対象に、今回改めて肉用牛生産合理化資金特別融通助成事業というのを措置することにして、その面の資金手当てを図ったところでございます。
  142. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いまも話されたように、借金をして規模を拡大して生産を高めても、そのメリットは価格の面にはあらわれてこないというところに実は問題がある。だから、価格決定の方式自体に問題があるということは前から指摘をしているとおりだ。金を借りようとしても結局新しい金が入ってこなくて、金はあっても借りられない。農業信用保証協会が承認をされなければ、その場合においても借りられなくなってしまうということになるわけで、金融問題、資金問題についてはなお検討の余地があるのではないかということを私は申し上げておきたいと思います。まだその点に対して何か研究するという答えを出してくれますか。
  143. 杉山克己

    ○杉山政府委員 いま申し上げましたように、一般的に畜産農家の負債は、ほかの農産物に比べてかなり額も大きくなっております。私ども、従来の制度資金のほかに、価格決定の際に畜産振興事業団の助成事業による利子補給というような形で融資の補いといいますか、かなりな手当てをいたしてまいっておるわけでございます。一応、昨年、ことしと引き続いて行ったことにより相当な改善を見ているところでございますが、今後全く資金面で問題がないというふうにも断定しているわけではございません。これらの問題については、今後の状況の推移に応じてさらに検討を加えていく必要はあろうかと考えております。
  144. 竹内猛

    竹内(猛)委員 次に、構造改善局にお尋ねをしますが、茨城県の霞ケ浦を一部埋め立てをして、そこに当初は水田をつくろう、その後変化をして野菜をつくる、今度は畜産だ、こういうぐあいに二転、三転をしております。補償金も十何億かを出していて、現在その管理をするために管理事務所はあるけれども仕事が進んでいない。仕事をすればいろいろな災いが起こってくる。この問題は長い議論をしてきたことであるし、会計検査院もこれにはかなり目をつけていて、あれを一体どうするのだということを言われていますね。  私は、しばしば本委員会で、この問題はもうやめたらいいじゃないか、やめるについては、いままでの経過もあることだから簡単にはできないだろう、それはわかっております。一部は裁判になっている部分もあるし、補償金をもらった者もいるし、もらわない人もいる。そのことを考えると、それは簡単にはいかないことはわかっているが、あのような状態で置くこと自体は、大変金もむだになるし、いろいろな形で問題がある。この機会に、せっかく米の生産調整をやっているのだから、りっぱな水田に米をつくらないで、草をはやさなければ四万円管理料をやるというようなところまで苦労して頭をひねっているときに、何もあれをやる必要ないじゃないか。そして、水がないというのだから水をためて霞ケ浦の美観をそのまま残しておけばいいのではないか。  この点、まず霞ケ浦の高浜入の干拓について、現段階でどう考えているのか、やめるにはいま一番いいチャンスだと思うのです。
  145. 大場敏彦

    ○大場政府委員 高浜入の干拓でありますが、これは御存じのとおり地元の混乱を回避するということ、それから地元の知事さんの環境条件整備したいという御意向を踏まえて現在休止中であります。  今後どうするかという話でありますが、これは竹内先生よく御存じのとおり、茨城県議会の中でも、霞ケ浦の水利用をめぐっての特別調査委員会というものをつくって、そう遠くないうちにその結論が出るだろうというふうに聞いております。  私どもといたしましては、もちろん地元の意向を無視して事業をするつもりはございませんので、その結論を踏まえて慎重に対処したいと思っております。
  146. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これはいまがやめる一番いい時期だから、諸般の関係について話をして、中央でも、霞ケ浦の中止の一番いいタイミングだということですから、今井政務次官も、この問題は政治問題にもなっていますから、ぜひ取り上げて研究をして中止をする方向に進めてもらいたいと思っております。  今度はこれと関連をして、茨城県の県西用水、当初は霞ケ浦用水という形で土地改良一本で進めてきたものが、その後工業用水が入ってきて、やがて都市用水、こういう三本立ての総合用水になってきて、県西用水事業というように名前も変わった。そうして霞ケ浦の水を筑波山まで持ち上げて、調整池を幾つかつくって畑、水田等に灌漑をしようというのです。  今日のように、農家は米をつくった方が一番安心だと言っているのに生産調整を上から押しつけてきた。そういう中で、県西用水の計画、企画というものは当然再検討されるべきものだと思うのです。前進をするにしても、従来のものは、これは二万三千ヘクタールぐらいの大きな国営事業ですから、そのときに問題になっているのは農家負担がどうなるのか。当初は反当六千円と言った。現在は一万二千円だと言われている。どれが本当かさっぱりわからない。このことについての中央の取り組みと展望はどういうふうになっているのか、その粗筋をちょっと答えてもらいたいと思うのです。
  147. 大場敏彦

    ○大場政府委員 御指摘の県西用水、霞ケ浦用水でありますけれども、これは調査事業も終わりまして、いま全体実施設計に入って、全体実施設計の残事業が若干残っているということでございまして、五十三年度には全体実施設計を終わって、できるならば五十四年度に着工をしたい、こういった希望を持っているわけであります。  そこで、これからの仕事の進め方でありますけれども、当然、着工する場合、つまり全体設計が終わった後には土地改良法等に基づく法手続を完了して、地元の意見を調整した上で着工に持っていきたいということでございますから、いろいろ他の用水との調整の問題あるいは地元負担の問題、それから計画内容等につきましては地元の意見を十分尊重して、コンセンサスを得た上で実施していきたい、かように思っているわけであります。  そこで、地元農民の方々にとって問題になりますのは、受益者負担が高いという御批判を聞いております。私どもいま国営の茨城県西用水につきましての事業費は、五十一年度単価で申しますと約九百三十億円といったことでございまして、国庫負担が六〇%、あとの四〇%の半分、二〇%を県が持ち、残りの二〇%を地元で負担していただくといったことになるわけでありますが、十アール当たり国営事業についての地元負担額は、仮に計算してみますと八万三千円ということになるわけであります。これは決して安いという状況ではございません。一般の普通の国営地区に比べますとやや高い。八万三千円で、これを十五年間で毎年毎年元利均等いたすわけでありますから、年償還額は大体八千円というようなことになるわけであります。それが普通の国営地区の趨勢に比べますとやや高い、こういったことでいろいろな御議論があるわけでありますけれども、この事業は、御存じのとおり、パイプラインでかなり遠距離のところを水を運ぶということ、それからまた畑灌事業が半分近くあるわけでありますから、その畑灌の末端支配面積は百ヘクタールまで幹線水路を通す、普通水田だけでしたら五百ヘクタールでありますから、そういう意味で事業量が末端細部のところまで延びるわけで、こういった関係で事業量がふくらむ、そういったことで、率直に申し上げますればほかの一般の国営地区に比べてやや割り高になっている。事業費は九百三十億円、国営事業についての十アール当たりの地元負担額八万三千円、これを二年据え置き十五年間で返すとすれば十アール当たり年償還額は大体八千円、こういったことが私どもの現在の試算でございます。
  148. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題も、これは局長、問題があるんですよ。  それは、農業用水に関しても桜村と出島村とはその仲間から外れた、工業用水だけだとするならば欲しいというところも出てきている、こういうように、各関係町村が、これならばいい、これならばやめるというようなそういう意見が出ているというのは、その中にいろいろな問題があるからだと思うわけです。だから、こういう点についてはもっと調整をして、早い機会に説明なり何なりをしないと、いろいろな形で混乱をするおそれがある。  私は、これについてまだ賛成とも反対とも申し上げない、なぜなら中身がさっぱりわからないから。その都度その都度変わってしまったのではこれは同意しようもない、意見の出しようがない。だから、いつごろまでに完全なプランができ上がって、そしてそれを土地改良法によっての、仮調印はしているのだが、本調印に入るかどうかということについてもまだまだ不十分です。ため池の位置にしてもはっきりしない。あちこちに反対のくいやあれがありますね、グループがありますから。それをまた一生懸命反対であおっている政党もあるわけだから、そういう点で誤解のないように、正確に問題を伝えるようにしなければいけない、こういうことだけはこの段階で申し上げておきます。  次いで、建設省に尋ねますが、これははなはだ小さい問題で恐縮であったわけですが、実は私は、国会法によって農道の管理に関する質問をいたしました。これは三月三日に回答を受領したわけですが、その中に、「茨城県への照会によれば、御質問に係る道路に隣接する土地が掘削されたことに伴う当該道路の保全等については、同県と土浦市において対策を検討しているところである。右答弁する。」ということになっている。それからかれこれ一カ月もたつわけでありますから、一カ月もたったらその責任の所在はほぼ明らかになっているだろうと思うから、その辺はどういうふうになっているのですか。
  149. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問の中にございました農道は、実はいわゆる法定外公共物といいますか、道路法の適用のない国有敷地の道路でございまして、その管理の所在は、国有財産法に基づく管理を、建設省所管国有財産取扱規則という建設省の訓令がございまして、この訓令で都道府県知事に委任をしておるわけでございます。したがいまして、知事が財産管理をやっておるというお立場でございます。  一方、茨城県の場合には、茨城県の公共物管理条例というのがございまして、この種の財産についての公物管理は、やはり茨城県がやるというお立場であるわけでございまして、地元の土浦市と県との間でこの問題についてはいろいろ御協議の経緯があるようでございます。  おっしゃるように、非常に、御質問の農道といいますか、法定外公共物でございます道路の周辺の土取りの影響で農道が危険になっておるという関係から、行為規制等についての配慮も当然しなければいけないわけでございまして、通行人に対する危険の指示はやっておったようでございますが、一方、現状を見ますと、民事関係だけでこの問題を解決するについても非常に容易ならざる問題があるようでございますので、その農道の存する地区が市街化区域でございまして、現在、第一種住居専用区域の用途指定を受けておる、こういう関係もございまして、その地域を含みます総合的な土地利用の観点から、問題の道路の処理を含めた土地区画整理事業の実施というものについて、県、市において協議をし、地元と早急に御相談したいという段階であると承知しております。
  150. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題を提起をされている人は四人おるのです。それで、長い間働いて土地を買って、いよいよ住宅を建てようということで、何遍か金融公庫に申し込んだけれども落選をした、ようやく公庫が当たって家を建てようとしたところが、道路が十六メートルも土を取られてしまった。そのことによって許可をされないという。だから、その責任は県にあるのですか、それとも建設省にあるのか、その責任の所在はどこにありますか。
  151. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 通常こういう土取りというものの行為規制がどうなっておるかという問題があるかと思うのですが、茨城県の場合には公共物管理条例というものがございまして、その管理条例で、みだりに公共物に影響を与えるような行為をしてはいけないという規定がございますので、その規定に違反している疑いがあるわけでございますが、そういう観点からの行為規制ということについての行政措置をしなかったということであればこれは県に責任があるかと思いますが、何分にも法定外公共物の存在というものが全国非常に広範囲にわたっておりまして、その実態の把握というのが困難な状況にございますので、実情を調べませんと一概にどこに責任があるかと言うわけにはまいりませんが、そういう公共物の破損のおそれがあるという観点からの問題でございますと、これは条例により県に責任があるかと思います。  ただ、別個の国有財産の保全という観点からまいりますと、これは民事上の問題でございますので、隣接土地の所有者との関係で、民事上のお話し合いをするか、あるいは裁判手続を踏むかということになるかと存じます。
  152. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この関係者はその責任機関に対して代替地を要求しているのです。代替地でこの始末ができないかということを言っているけれども、この点についてはどうですか。
  153. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 その辺は私どもまだ詳細に承知をしておりませんが、先ほどお答え申し上げましたように、仮に当該道路の処理を含めました区画整理事業というようなことの土地利用がお話し合いいただければ、あるいはそういう方面での解決も可能ではないかと考えております。
  154. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いまかなり明確な話が出たから、ぜひこれは区画整理も含めて——あの十六メートルの農道をもう一遍つくるということは困難です。あそこに四世帯が家をつくるわけで、この人たちは全く善意な人間ですよ。そういう者が、この管理の不行き届きのために大変な実損を精神的にも物質的にも与えられているわけだから、これに対しては早く区画整理なり何なりをやって、そこに家が建てられるようにしてやるのが政治の方向だと思うから、早急に県なり市に対する指導を建設省はしてもらいたいと思います。また、いずれこのことについては、こういう場所でなくても要求をしたいと思いますから、そういう指導を要求をします。  続いて、これは建設省にまた質問なんですが、石岡の六号国道バイパスの関連について質問をします。この点については、前に連絡をして答えをいただいたから、本当はやめようと思ったのですが、この間、あるところに行ったときに、さらにこれは質問をして確かめなければならないというような事情が出てきましたから、この際質問します。  この問題は、目下工事中の常磐高速道路がやがて千代田村の幕の内というところで六号線に合流しますね。そうなると、この国道はさらに混乱をする。その混乱を予見をして、石岡のあそこに約四キロぐらいのバイパスをつくるというように考えられたと思うのですが、四十六年ごろから計画をされた場合に、A、B、Cぐらいの路線が考えられた。ところが、いまの反対をしている皆さんのところ、これは四十九年十一月十二日の私の農林水産委員会の質問のときに明らかにしたわけですが、地域的に言えば、兵崎というところ、それから貴地というところ、小目代、東大橋、こういうところで三千七百三十六名、それから交通安全母の会が四千三百名、こういう約八千名を超える地元の反対の署名が出た。なぜ反対するかというと、ここは都市計画法に基づくところの特別住居地帯になっている。そういうことでありますから、住居がそのときも建っていたし、現在も家が建っております。そこの合流する先には中学があり、小学校がある。だから、居住地帯であるということと学校があるということで、一方においては移転が大変だ。もう一つは、交通が、子供の登校のときに非常に不安である、こういったことが反対の理由になっているわけでありますから、これは学校を取り除くか何かしない限りは、この線をもう一遍復活することは困難だろう、こういうふうに私は思うわけです。  そこで、市の方に話をしてみたら、市としても、あそこ以外にないから何とかつくりたいと、こう言っている。だけれども、市長が再三地元に話をしようと言っているが、地元はこれに対して応ずる考え方はないと明確に回答をしております。  そういうところでありますから、建設省としても、ぼつぼつあの土地でないところに実は六号バイパスというもの、石岡のバイパスをつくったらどうかというように私は思うのですが、この点はどうですか。
  155. 鈴木道雄

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  石岡バイパスは、御指摘のとおり、石岡市内の六号線の混雑を解消するために、四十八年と四十九年の二カ年にわたりまして計画調査あるいは実施調査を行っておりまして、いま先生指摘のように、現道拡幅を含めまして、三案を比較検討して一つの路線を得ております。  路線選定の理由といたしましては、恋瀬川の左右岸の軟弱地盤がございまして、それをなるべく短く渡りたい。それから、現在の六号線を利用している交通で、石岡市内に出入する車がかなり多うございまして、常磐高速で通過交通が将来市内から逃げた場合にもかなり交通が残るということで、余り石岡市内から離したところに道路をつくっても効果が少ない。それから、文化財とか学校等がいろいろ点在しておりまして、それを避けるルートということで、現在一つのルートを選定しておりまして、現地の事務所長から市議会の方に御説明をした経過がございます。  それで、ルートの問題でございますが、現在、このバイパスにつきましては、まだ事業化をいたしておりません。それで、この住宅地域はかなり広い範囲にわたっておりまして、現在、先生の御指摘されている路線は住居地域を通っておりますが、それから東の方に行きますと、住居専用地区一種、二種というところも通ることになりますので、そういった住居地域を通る場合に、沿道環境の問題をどうするかというようなことにつきましても今後引き続いて調査実施いたしまして、地元と十分協議をした上で、こういった道路は都市計画決定をしてから事業化をするということになっておりますので、そういった都市計画決定の過程の中で御相談をして進めていきたい、かように考えております。
  156. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そうすると、いまの道路をやはり実行するという考え方ですか。そうじゃないでしょう。
  157. 鈴木道雄

    ○鈴木説明員 ただいま申し上げましたように、まだ事業化をしておりませんので、この路線につきましては、過日、市議会の方にお話ししたわけで、まだ地元の方と直接事務所の方でお話ししておりませんので、たとえば住居地区を通る場合に、構造上どういう問題があるかとか、そういったことについては具体的な御相談をしておりませんので、いますぐここで路線を変更するというようなことは、ちょっとお答えしかねるわけでございます。
  158. 竹内猛

    竹内(猛)委員 バイパスの長さというのは、大体どのくらいのものを考えているのですか。
  159. 鈴木道雄

    ○鈴木説明員 現在、取りつけ道路を含めまして約五・三キロでございます。前後、若干現道がかかっておりますが……。
  160. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、ある人は、十キロも十二キロも離れたバイパスというものはバイパスでなくて、これは別なものになる。バイパスというのは非常に短いものだ、こう言っているのだけれども、一体バイパスの常識というのは、どれくらいのところをバイパスというのか、その辺の基準はどうですか。
  161. 鈴木道雄

    ○鈴木説明員 バイパスにつきましては、十キロ以上を大規模バイパスというふうに通称私ども呼んでおりまして、それ以下のものも、四キロのものも五キロのものも幾らもございます。一キロ未満になりますと、局改というふうに呼んでおります。
  162. 竹内猛

    竹内(猛)委員 では、要請をしておきます。これは国道ですから、市長あたりががたがた言う前に、国がもっと前に出てきて、やはり地元との間の接触をする、あるいはわれわれも国政に参加をしているのだから、やはり説得をするなら一緒に説得をしなければ、あそこは了解ができないですよ。八千人も反対をしているようなところへ、しかも二百戸も二百五十戸も家があるところを、四キロのバイパスをつくるためにそれをどかしていくと言ったら、当時でも百億ぐらい金がかかったのだから、そういうようなことは財政的にも無理だから、やるならもっと大胆に、やはり国会議員も県会議員も全部ひっくるんで相談をして、大がかりでこれをやっていかなくてはできないだろうと思うから、この点は、国道が混乱するのだから、国の責任でぜひ相談をさせてもらいたいし、やるときには一緒になって検討をさせるようにしてほしいということだけは要求しておきます。  時間もありませんから、最後に、渡良瀬川の遊水池の水がめ化の問題について、建設省と、あわせて環境庁にも聞きたいと思います。  渡良瀬川の遊水池の面積は三十三平方キロ、古河市の一・五倍に及ぶ広大な湿原地帯であります。この位置は古河市の西北にあって、栃木、群馬、埼玉の四県にまたがっている。ここはわが国の公害の原点とも言われる足尾銅山の鉱毒の問題で、谷中村という一つの村がそれから取り除かれた。有名な田中正造代議士がここで活躍をされた歴史を持っているところであります。  そういうところに対して、遊水池ができて、その遊水池に対して、古河市が一番近いというような形になっていて、その古河市を中心として、いろいろ研究をする人たちがおります。その研究は、特に谷中村がその遊水池から引き揚げるときに、古河に引き揚げた者が多いというようなことがあって、古河市を中心に周辺都市でこの研究が進んでいる、これは学者も入っております。  昔から渡良瀬川の下流が大いにはんらんをして、何とかこのはんらんから守るために、三十八年にこれを防ぐためとして大規模な人工の調整池が建設されました。これは三つの巨大なプールがつくられております。渡良瀬川から利根川に流れ込む水量を調節をするという計画でできている。ところが、五十一年になってから、計画が単に治水だけではなくて、利水ということを兼ねることになって変更された。そして、これは八年計画で、五百億の金を投じて調整池の中に四・五平方キロ、深さが六・五メートルの人造湖をつくって、約二千五百トンの水をプールする、こういうことで夏場において首都圏の水のため池という形でこれを考えているようであります。そうしたことについては、当然現在の水の事情から反対する理由はありませんが、ただこのために、地元の古河市を中心とした群馬、栃木、埼玉の四県は、建設の過程において幾つかの不満を持っている。  その不満の一つというのは、建設優先のために、現地に対して、いままでそこにあったところの古い役場あるいは雷電神社、そしてお墓もあります。そういうような当時の遺跡、遺物、文化財、こういうものを非常に粗末にする、これが一つの問題だ。それだけではなくて、そこにはいろいろな植物が繁茂しておるし、水鳥やあるいは昆虫類もおります。そういうものも絶滅されるのではないかという心配もある。  そういう中で、何とか史跡を守りたいということで、最近この周辺の人々が、七団体が集まって、この史跡を守るための運動が始まっている。こういうことについて建設省の方は御存じかどうか、あるいはまたそういう計画をするときに、その地元の人たちと何か話をされたかどうか、この点はどうですか。
  163. 堀和夫

    ○堀説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、渡良瀬遊水池の第一調節池の一部を利用いたしまして貯水池をつくるという計画を私ども進めております。その中で、先生指摘の旧谷中村関係の遺跡あるいは神社、こういうものにつきましては、第一調節池の中にありまして、私ども第一調節池をつくる場合に、こういう昔からの在来の遺跡につきましては十分尊重いたしまして、この地区がそのまま保存されるように計画から外しまして、それ以外のところで四・五平方キロの貯水池をつくるということでやっております。  それからまた、よしあしの問題につきましても、この辺の問題については、遊水池の一部を貯水池化する際に、地下水の変動とか、そういうものに対して十分配慮いたしまして、植物あるいは野鳥、こういうものに対する影響がないように十分配慮して計画を立てております。  なお今後も、進めるに当たりましては、地元関係者の意向を十分に尊重して計画を進める、工事をやるということにしております。
  164. 新津博典

    ○新津説明員 先生指摘の渡良瀬遊水池の自然保護の問題につきまして、地元の自然保護団体等の動きがございますことは県の情報あるいは報道等で十分に承知をしておりますが、最近では自然保護団体も、県の枠を越えて、近く関係の県に陳情に及ぶというような動きもあるように聞いておりますので、ひとつ県を通しまして十分に地元の御意見を伺いまして、自然保護の見地から万遺憾なきを期してまいりたい。場合によっては関係行政機関にも働きかけてまいりたい、かように思っております。
  165. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は最後に要請をしますが、足尾銅山の鉱毒問題で余りにも有名な田中正造代議士が活躍をした歴史的な土地であります。そこの歴史と風土、そこの環境、それから民意、こういうものを大事にする、水のためにそういうものを踏みつぶさないように、環境庁もあるいは建設省も、場合によれば文化庁にも要請をして、水をためるということとそういうものを守るということは両立をすると思いますから、両立をさせるようにぜひ取り計らってもらいたいということを要請をして、私の質問を終わります。
  166. 中尾栄一

    中尾委員長 野村光雄君。
  167. 野村光雄

    ○野村委員 私は、最初に、日ソ漁業協力協定交渉につきまして、水産庁長官並びに今井政務次官に対しましてお尋ねをいたしたいと思います。  現在、中川農林大臣の特使という立場で、内村農林省顧問が訪ソいたしましてソ連側と折衝中のようでございますが、何かけさあたりの新聞等を見ますと、大臣が十一日訪ソか、こういうような見出しも拝見いたしたわけでございますけれども、現在訪ソしておりますところの内村顧問の交渉に当たっての現時点における状況と見通しについてまず最初にお尋ねいたしたいと思います。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
  168. 高橋顕詞

    ○今井政府委員 詳細については長官から御報告をいたさせますが、いま先生お尋ねの日ソ漁業交渉についての最後の詰めといいましょうか、これからが正念場でございまして、したがいまして農林大臣も、自分から訪ソされましてこれの妥結に持っていこうという大変な熱意を持っておられます。  そこで、その日程等でございますが、先生指摘のように、ただいま内村顧問がモスクワへ参りまして、先方と日程等について打ち合わせ中でございます。イシコフさんが現在不在でございまして、おっつけお帰りになるというふうなこともありまして、ただいまのところ、内定ではございますが、先生のおっしゃいましたような日にちに訪ソをされまして、翌日から数日間にわたってイシコフさんと直の談判をされるという予定でございます。
  169. 野村光雄

    ○野村委員 大体現在の時点としての訪ソが十一日をめどというお話でございますけれども、いずれにいたしましても、すでに御存じのとおり日ソ協定というのは来る二十九日をもちまして期限切れ、こういう最終日程というものは必然的に決まった中での交渉なわけでございます。そういたしますと、ソ連側のイシコフ漁業相がいま留守のようでございますが、いずれを問わずわが方としては十一日に訪ソするのだ、若干向こうの日程がどうあろうともこうあろうとも、そういう受けとめ方でございますか。
  170. 高橋顕詞

    ○今井政府委員 相手がいなければ訪ソいたしましても実りは多くないわけでございますから先方の都合を聞いておりますが、いまのところ先生の御指摘のような日にちに訪ソをするということで段取りをいたしております。  なお、御指摘のように、二十九日で条約がなくなります。その前に国会の御審議を賜りまして決めなければならないわけでございますから、その日にちも当然見込まなければならないわけでございまして、逆算をいたしまして今月の中過ぎにはどうでもこうでもひとつ妥結に持っていきたいというのが政府の決意でございます。
  171. 野村光雄

    ○野村委員 政務次官おっしゃったように、逆算いたしますと、最終的に少なくとも十日ないし遅くとも中ごろまでには交渉に入ったとしても、一日や二日で妥結しない、国会決議も必要だ、逆算いたしますと当然そうなります。  そこで、もう一遍、新聞紙上を通して若干心配な問題で確認をいたしたいわけでございますけれども、先般、松浦代表が帰国をなさいまして、そのときに非常に難航をきわめておりました沖取りに対して、ソ連側が一応沖取り禁止を撤回、こういう意向であるということが発表されまして、関係漁民をほっとさせたわけでございます。しかし、ソ連側はこの問題に対しましてはあくまでも非公式見解であって、公式でないものをあたかも公式のような方法日本がマスコミに発表してそういう宣伝をするということに対しては非常に遺憾である、こういうようなことで、ソ連側が非常に立腹をしているというような感触を受けておるわけでございますけれども、引いてはそのことが日ソ交渉に対する大きなネックになるのではないか。このいきさつに対してはどのように受けとめていらっしゃるのか、確認をしたいわけでございます。
  172. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のように、ソ側の案では両締約国はサケ・マスの海上漁獲を差し控えるという規定を入れて、大分議論しておったわけでございます。これは松浦部長が会談の席上、もうここまで詰めてもあれだから本国へ帰って大臣とも相談をしたいという提案をした後で非公式会談が行われたという経過がございまして、その際に、いま御指摘のように、本年は海上沖取りを認めてもいいということでございます。  いまそれを発表するかしないかという話につきましては、これは私どもがやったわけではないので、現地のモスクワの代表団の判断でそういう一応の新聞の発表を行ったわけでございまして、その辺ソ側と十分打ち合わせができていなかったようでございます。  ただ、御心配の御指摘の問題は、それが今後の交渉に何か影響するのではないかということでございますれば、いまのところ内村顧問が第一回会談を行いました感触では、それを深く問題にするというようなことではないように私ども感じ取っておるわけでございます。
  173. 野村光雄

    ○野村委員 もう一つ見通しについて若干触れておきたいわけでございますが、昨年も関係漁民が不安の中で長い間待機をされたわけでございます。最悪の場合、二十九日までに国会決議をいたしませんと、無協定状態になるようなことになりますと、これはまた大変な問題になると思うのであります。そういたしますと、逆算して国会決議等の日程を踏まえながら日ソ間の協定は最終的にいつをめどにしているのかという期日的な問題と、協定に対する見通しというものが、最近の日中問題等が非常に絡んできて日ソ漁業協定に対して影響していないとは言えないようなニュアンスのことも聞いているわけでございますけれども、日中との関係性が日ソ間の漁業交渉の中でどういう状況としてあらわれてきているのか。この期日的な問題と交渉の見通しは、漁民の立場としては当然期待をしたいわけですけれども、期待をしていいのか、そう簡単に期待できる状態でないのか。日本側としてはできるだけやるという努力方針は当然出るだろうと思うけれども、日ソ漁業交渉というものは初めてやるわけじゃございません、毎年毎年の交渉でございますから、専門的な立場としていまの状況からいっていつごろをめどにこういう方法でできるというめどなり対応をちょっとお聞かせをいただきたい。
  174. 高橋顕詞

    ○今井政府委員 妥結の時期につきましては、私が先ほど御答弁申し上げましたように、国会の審議等を踏まえますれば、今月の中旬をめどに妥結をしない限りは先生おっしゃいます無協定の状況に陥る可能性があるということで、強い決意で大臣も臨まれるというふうに御理解を賜りたいと存じます。  また、日中の問題等につきましては、これはいろいろ論評をされておりますが、少なくも大臣の決意は、わが国の国益を守り、かつ沿岸の漁民の皆さん方が御心配にならないようにひとつ最大限の努力をしてくるのだという決意をしておられますので、ひとつ御信頼を賜りたい、このように思います。
  175. 野村光雄

    ○野村委員 それでは、妥結するのだ、任しておけ、こういうことでございますね。——それでは信頼をして、そのように確認をしておきますけれども、次に交渉に当たっての漁獲量、手続条件、これは昨年度の漁獲量に対しまして六万二千トン最小限度確保ということは当然関係漁民の期待をしているところでございますけれども、この漁獲量と手続条件、原則的にどういう基本的な考えで交渉に臨もうとしているのか、この点の原則的な基本的な交渉の考えを明らかにしていただきたいと思います。
  176. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のように、当然ことしの漁獲量を確保するということでございますが、いずれにいたしましても、少なくとも減船に追い込まれるということ自体だけは避けたい。もちろん、ことしの漁獲量は維持をする。ただ不漁年、豊漁年という関係もございますからいろいろ問題はありましょうが、とりあえずは六万二千トンの確保ということを目標に対応をしてまいりたいということでございます。ただ、今回のサケ・マスの交渉の特徴は、日本も今後のサケ・マスの資源の保存、育成、そういうものに協力をいたしますという、そういう条件のもとに、それではその条件について話し合いがつけば海上沖取りはことしに限って考え直しましょう、こういうことでございますから、その辺の絡みの問題が、一つことしの交渉といたしましては出てくる問題でございます。  もう一回申し上げますと、漁獲量の割り当て等の規制措置の問題、それからソ側に対しまして、私が先ほど申しました漁業協力を共同でやるというような問題、それにつきましてはやはりある程度の資金が必要でございます。そういう問題も含めましての交渉ということに相なるわけでございまして、手放しで私どもは楽観はいたしておりませんが、ただ、ともかく交渉の窓口がここで開けまして、内村顧問がいろいろな、そういういま私が申しましたようなものを詰め上げまして、大臣の訪ソまでの問鋭意交渉の努力を続ける、こういうことで対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  177. 野村光雄

    ○野村委員 いま長官も御答弁の中でちょっと触れておりましたが、御承知のとおり、漁民側の一番心配しておりますのが、先ほど来の沖取りの問題でございます。先ほど申しましたソ連から松浦代表に話のありました沖取り撤回の問題、これは全面的に撤回をした、恐らくこういうのではなくて、とりあえずことし、こうなりますと、当然また同じことを来年繰り返していかなければならない。これは何といっても最大の課題になってくると私は思うのでございますが、本年度のことはもちろんでございますけれども、この際、少なくとも、沖取り問題に対しては本年というだけの条件を撤廃して、将来展望に立った交渉をすべきだ。  もう一つは、最小限度の漁獲量というものも、同じ漁場で関係深いソ連と、毎年毎年繰り返した折衝ではなくて、原則的なものくらいはこの際思い切って妥結をしておく必要があるのではないか、交渉する必要があるのではないか。向こうがのむ、のまないは別としても、そこまでの腹を決めて折衝すべきではないかと思うのでございますが、この辺に対してどのような基本的な考えでこれからの折衝に臨もうとしているのか。
  178. 高橋顕詞

    ○今井政府委員 交渉の形式等につきましては、これから毎年こういうことを繰り返さざるを得なくなるであろうと覚悟はいたしております。まだ、その内容等につきましては、いま先生のおっしゃいましたこと等を十分踏まえまして、強力な折衝をいたしたいと存じますが、先生御案内のとおり、これは相手のありますことでありますし、これからますます微妙な内容になってまいりますので、十分いまの御議論を踏まえて折衝をいたすということで御寛容を賜りたいと存じます。
  179. 野村光雄

    ○野村委員 次に、もう一つ。これはソ連側としても意向が出てきておるようでございますけれども、今後のサケ・マスの共同ふ化放流事業といいますか、ソ連とわが国は運命共同体というか、永久にこの問題は続いていく課題でございまして、わが国の国民食糧確保の立場からいっても、長期展望に立った友好というものが図られていかなければならないと思うのでございまして、この共同ふ化放流事業というものに対してもっと突っ込んだ話し合いで、願わくはお互いに運命共同体という立場、資源保護、増殖のためにこの事業を推進する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるのでありますけれども、この点に対して水産庁は具体的にどういう折衝なりをされるのか、また今後の考え方を示していただきたいと思います。
  180. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のように、人工のふ化放流事業というものにつきましてわが国の技術が最近非常に進んでおるということはソ連側もよく認めておるわけでございます。したがいまして、今回の交渉に当たりましても、ソ側の河川におきまして共同でそういう事業をやってはどうかという提案はいたしております。これにつきまして、その効果なりは否定はしておりませんけれども一つは即効性がないといいますか、そういう話、あるいはもっと基本的にはいろいろ北海道と事情が違って、道路もないし、いろいろそういう問題があるから、ソ側としてはむしろ天然の産卵場を保護、育成していく、それにはおれだって相当金はかけておるぞということを申しておるわけでございます。そして、これは口に出ておりませんからこちらの類推も含まれますが、ソ側としてのいろいろな事情があると思いますが、今後といいますか、もう近く交渉で出てくるはずでございますけれども、どういう反応を示してくるか、関心は示しておりますが、そういう話が今回実現するかどうかということにつきましては、まだ確定的な手ごたえは持っておらないというのが現状でございます。
  181. 野村光雄

    ○野村委員 わが国としては積極的に進めていこう、こういう姿勢はあるということでございますね。——いずれにしても、相手があることでございますから、これは時間がかかるかもしれませんけれども、資源問題というものはわが国とソ連との永久にわたる漁獲量を決めるときの最大の論議の集中になっていくわけでございますから、ぜひこの点も積極的に進めていただきたい。私はこれは要望いたしておきます。  次に、この機会にぜひもう一つ念を押して、水産庁に手を打っていただきたいことは、これは御存じのとおり、昨年二百海里水域という問題が起きてまいりまして、そのときに非常に大きな社会問題になってまいりました問題は、魚隠しでございますとか魚ころがしという問題が、この資源がだんだんと窮乏に達していくのをいいことにして一部の不当な業者によって魚が不当に高くなっていく、こういうことが大きな課題になったわけでございます。いずれにいたしましても、もうかつての豊富な時代はそう簡単に戻ってこないと思うのでございますけれども、この機会にやはり関係各省庁との連携をとりながら、明年、また将来に対するこのような不祥問題のないような対応策に対して、各省庁間の今後の連携形態に対してどういうような基本的な姿勢で臨もうとしておるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  182. 森整治

    ○森(整)政府委員 二百海里の問題で交渉が非常に難航をしてまいりました昨年の春から六月ころにかけまして、確かに御指摘のような異常な魚価の暴騰等があったということでございますが、その後は逆にかえって高い魚をつかんで大損をしたという事態も出ております。これは業界の間の問題としてそういうことでございますが、逆に消費者の方からやはり高い魚は買えないという基本的な購買行動といいますか、そういうものがございまして、私どもとして非常にいやな言葉でございますが、あえて使わせていただきますが、一時魚離れという一つの異常な現象が出てまいり、事実、昨年の年間で見ますと、購入の量が魚につきまして若干落ちたという事態を招来しておるわけでございます。  このことは逆に申しますと、価格をつり上げるだけで物事が片づくわけではない、お客さんに逃げられてしまうということの水産業界全体の反省があるわけでございます。したがいまして、そういうことに任せておくだけではいけないと思いますけれども、そのことは私どもしばしば強調をいたしておりまして、関係業界にそういうことの再び起こらないということは肝に銘じて、一つの、ある意味ではいい体験、いままで上げっ放しできたわけですから、そういう体験を踏まえまして、今後とも私どもは、当然のことながらそういうことのないように、もし必要とあれば関係各省とも協議をいたしまして必要な手は打ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  183. 野村光雄

    ○野村委員 長官、必要であれば手を打つというようなちょっと物足りない対応策なんですが、こういう実態が、すでに昨年苦い経験をしたわけですから、当然やはり二度と再び同じことがあってはならない。こういう立場で、監視体制を強めるなり各省庁と必要な協議をしない限り、水産庁だけでこの取り締まりなり監視が完璧にできると私は思わないのですが、この点はやはりあれだけの苦い経験を生かして、二度と再び不当なこういう価格のつり上げというものは起こさない、こういう事前対策はもっと具体的にしていくべき必要があるのじゃないですか。その点もう一回、ちょっと手ぬるいような感じがするので。
  184. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘の問題につきまして、いろいろな品目がございますが、ことしの作柄といいますか、色産が非常に停滞をしておる、たとえて申しますと、スケコ、タラコ、そういうようなものもございますし、逆にカツオ・マグロみたいに非常に暴落をしておりまして、その調整保管に日鰹連が買い出動をしてもずっと相場が戻らないというようなものもございます。むしろ、そういう需給の実態から出てくる価格の変動につきましては、これはやむを得ないと思うのです。もちろん、そういう魚ころがし的な要素が今後起こらないような措置は当然私どももとってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  ただ、申し上げたいことは、一つ一つの物によりまして非常に事情が違っておるということをいま私申し上げたかったわけでございます。
  185. 野村光雄

    ○野村委員 それでは長官、ちょっと別な問題で質問さしていただきますけれども、これはもうすでに私が昨年三月に本委員会で取り上げた問題を確認をさしていただきたいということで質問するわけであります。  御存じのとおり、北海道沿岸を初めといたしまして、かつて十二海里、二百海里制度がまだ明確でない時代に、頻々として、ソ連漁船の不法な操業によりまして各沿岸漁民の漁網なり漁場が荒らされました。そういうことで、ソ連との問で処理委員会というものがございまして、その処理委員会で鋭意この損害補償については話し合いをいたしております。こういう御答弁もございました。そのときの答弁の内容から言いますと、簡単に言いますと、この問題に対しては処理委員会で交渉中でありまして、この処理件数等、飛躍的に増大をする考えであります。そういうことで、どんどんとこの問題は処理して飛躍的に問題は解決する見通しに立っておりますと、当時こういう御答弁でございました。  そこで、これは二百海里時代に入ったのだから、十二海里時代のかつての沿岸漁民の受けた被害はもうたな上げしていいんだ、こういうのでは決してないのでございまして、当時モスクワ処理委員会に上がっておるのは二件、こういう御答弁も聞いておりました。私は当時、具体的な、漁船を沈められてしまった実例も挙げながら質問をいたしております。しかもまた、日ソ漁業交渉で私が昨年党代表といたしまして、櫻内団長を中心にいたしまして日ソ漁業交渉で参りましたときに、イシコフ漁業相に対しても直接、この紛争処理に対しては前向きに取り組んでほしい、これが何といっても日ソ間の不信を解消する最大の根本だ。当時イシコフ漁業相は、早速、担当官がちょうどたまたまモスクワヘも来ているから、指示をして、円満な早期解決に対して具体的な話を進める、こういう答弁もいただいてきているわけでございますが、ちょうどすでに一年有半たちまして、どのような飛躍的な処理ができてきたのか、具体的なこの損害賠償に対する経過、現況について御答弁をいただきたい。
  186. 森整治

    ○森(整)政府委員 実数から申し上げますと、申請の受け付けの件数が九百六十五件。御承知のように、東京の委員会とモスクワの委員会がございまして、東京の委員会で審査をしてモスクワに送る、こういうたてまえになっておりますが、東京の委員会での審議件数が百五十一件ということになっております。そのうちモスクワの委員会への送付件数は、延べにいたしますと十三件ですが、十件。ただ、これはまだ決着を見たものはないということになっております。したがいまして、非常に画期的に何か進んでおるということではございませんけれども、従来の考え方といいますか、漁業の損害賠償の請求の処理委員会の発足が非常におくれた、それから、その関係の機構の整備がおくれたというようなことから考えますと、最近の運営も一応軌道に乗りまして、今後円滑な処理を行うということに期待をかけたいというふうに思っておりますし、また今後そういうことでむしろ積極的に進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  187. 野村光雄

    ○野村委員 いまの長官のお話を聞きますと、遅々として進まない、こう言って過言でないと私は思うのです。  先回の私に対する答弁は、先ほど言いましたように、飛躍的に解決をしていく時期に入ったので、これは即刻次から次に解決をすると、大した調子のいいことを言っておりましたが、そのとき逃れの答弁では困るのです。もう一年も二年も、長いのは三年もたっていまだに見通しがつかないことに、非常に関係漁民が不満を抱いております。十二海里ができたから、二百海里時代が来たから、もう過去のことはいいんだ、そうは済まされないと思うのです。  そこで、遅々として進まないながらもようやくモスクワに十件送付されたわけでございますが、この十件に対しては、因果関係がはっきりして、日本政府としてはこれだけの罰金は必ず取るぞ、取れるんだ、こういう見通しなり確信の中で請求しているのか。しかも、私が前回質問したときにすでに二件モスクワに送付されておりましたが、この二件もまだ罰金はもらえないのですか。どうなんですか、これは。
  188. 森整治

    ○森(整)政府委員 中身についての資料がちょっと手元にございませんから、明確にはお答えできませんが、いま手元にある資料では、ともかく解決をしたものはないということになっておりますから、その二件がどういう理由でおくれておるかということについては、ちょっといまお答えできないわけでございます。
  189. 野村光雄

    ○野村委員 じゃ、資料がないそうですから、ここで委員長にお願いしておきますけれども、百五十一件の件数の内容と金額、それからモスクワに送付されました十件の内容と金額、これをひとつ文書によって後ほどいただきたい。これは委員長を通して要請をいたしておきます。よろしいでしょうか、長官。  それでは、次にもう一つ。私の今日まで質問した中で、どうしても確認をしておきたい問題がございます。これは、私は十月二十五日に質問をいたしておりますけれども、これまた同じく北海道沿岸で、ソ連の監視船によりまして不当な罰金を連続取られております。なぜどんどん漁民が罰金を取られたのかといいますと、簡単に申しますと、日ソ間ででき上がった内容を関係漁民に正確に徹底していなかったために取られた罰金、それから勘違いをして徹底をした、こういうことで取られた罰金、こういうのを実例を挙げまして当時私は質問いたしております。一つの実例を言いますと、漁業日誌のひものとじ方、これをハの字にして両方テープでひも先をとめていない、こんなことで四十万の罰金を取られたとか、それから水産庁の言うとおり、漁業日誌の中に記入する魚種が、オヒョウという欄がないからオヒョウは「その他」の中に入れても構わない、それである漁師はカレイの欄にこれをまぜて書いておいたら、不当だと言って五十万取られた。カニは匹数で書く必要はない、トン数で書け、こういう指示だったからカニはトン数で書いておいたら、匹数で書いてないからというので百万円の罰金を取られた。こういうことを具体的に私は指摘をしたわけでございますが、そういうものについてはソ連と交渉いたしまして罰金を取り返しますと、そのときにこういう確約をなさいました。  これに対しては、どのように罰金を取り返してきたのか、まだ取り返してきてないのか、だれがどういうふうにして交渉しているのか、この交渉の内容と結果、これをはっきりしていただきたい。
  190. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のような、ソ連の監督官から違反として指摘をされました事件が、昨年非常に多発をいたしました。昨年末の日ソ漁業長期協定の交渉の際に、日ソ両国間の専門家間で、協定の実施に関し詳細な検討を行いまして、特に昨年違反の指摘の、いま御指摘のございましたような、問題になりました操業日誌の記載要領の問題を初めといたしまして、いろいろツブ、ヒトデ等大陸だな資源の混獲の問題、あるいは食用のための禁止魚種の船内持ち込みの問題等につきまして、日ソ間で合意をいたしました。これら合意を見た事項につきまして、非常に膨大なものでございますが、関係漁業者への指導、徹底を行っておるわけでございます。その結果と言ってよろしいと思いますが、本年に入りましてからのソ連水域におきます罰金の徴収は、一月から三月三十一日まで十一件ということでございます。去年の六月から十二月が百五十二件、そういうことから比べますと相当激減をしておるということでございます。  なお、それでは最近はどんな問題で取られておるのかということで調べてみますと、やはりいま先生指摘のような、操業日誌の記載方法というのが六件ということで、これが過半数を占めておるということでございますが、さらにこれにつきましての指導を徹底いたしまして、ゼロに持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、かつてのいろいろの違反につきまして罰金を取り返すということにつきましては、ちょっと私ども、そういうことで御答弁をしたというふうにいま拝聴いたしましたけれども、そういう事実の御答弁があったのかどうか、調べませんと、私いま直ちにお答えができない。逆に申しますと、過去の折衝で罰金を取り返したというふうな話は聞いておりません。
  191. 野村光雄

    ○野村委員 水産庁、議事録なんかあるのだから、すぐ確認しなさいよ。答弁しているのだから。そんなこと答えた覚えがあるとかないとか、冗談じゃない。私はちゃんと自分で確認しているから言っている。政務次官、これははっきりしておいてくださいよ。いまごろになって……。  もう一つは、一体何件、何ぼ、こういうものだけは不当だから罰金は返すべきだとソ連に対して交渉している件数と金額は何ぼなんですか、はっきりしてください。  もう一つ。一応こういう不法な罰金の件数は減ってきた。ことしになりまして、三月三十一日現在でまだ十一件だ、昨年は百五十二件あった、こういうお話。裏を返していけば、最初からきちっと、操業日誌はこうつけるのだぞ、こういうことはしてはいけないぞ、ソ連とはこういう内容で話し合いができているのだから、こういうことだけは守ってくれよと周知徹底せしめていたならば、百五十二件の不当な罰金は、私から言わせれば、取られないで済んだ。私は現地全部、漁業協同組合を回りまして、罰金を取られた十数人とひざを交えて懇談してきたのです。そうすると、形式的な操業日誌のつけ方に対しては、水産庁の言うとおりにやっていて罰金を取られた者は、これは漁民の責任じゃないのですよ、いいですか、そういう問題が不徹底なために取られていたのです。指摘されて、どんどんどんどん事件が起きるから、罰金を取られるから、あわてふためいて再徹底したら減ってきたじゃないですか。ソ連の取り締まりが緩まったのじゃありませんよ。再徹底したから、向こうの監視船に乗り込んでこられても取られるような内容がなくなった、こういうのであって、言いかえるならば、水産庁がこの大事な問題の周知徹底を確実に行わないために、それだけ漁民が大きなむだな罰金を取られたのだ、こういうふうに私は考えるのですけれども、その点に対しては、この結果から見てどのように反省していらっしゃるのか。  もう一つは、何件、何ぼ請求していらっしゃるのか。  それからもう一つ、この問題を未然に防ぐために、ナホトカに関係係官を派遣すべきだ、当時こういう主張をいたしました。当時、鈴木前農相は、直ちに係官をナホトカに常駐させる、こう言ったのですが、いまさせているのですか。  三つ、御答弁いただきたい。
  192. 森整治

    ○森(整)政府委員 第一の御質問の罰金の取り仮しという問題につきましては、私ども、そういう事実をまだ聞いておりません。要するに、取り仮したということは聞いておりません。至急そういう処理の状況につきまして調査をいたしまして、御報告をいたしたいと思います。
  193. 野村光雄

    ○野村委員 そうでないのです。何件、何ぼ請求しているのか。取り返していないというが、取り返していないことはわかった。何ぼ請求しているのか。
  194. 森整治

    ○森(整)政府委員 ですから、そういうことも含めまして御報告いたしたいと思います。  それから最後の、ナホトカに係官を常駐させておるかということにつきましては、水産庁の職員を派遣いたしまして常駐させております。
  195. 野村光雄

    ○野村委員 もう一つ答弁漏れ。ことしになって十一件、昨年度百五十二件ということは、言いかえれば徹底しなかったということについて反省しているのかということです。
  196. 森整治

    ○森(整)政府委員 当時の、二百海里を引きまして漁獲の割り当てを受けて、ともかくとりに行けないという状況で、一斉に許可証を急いで発行してソ連水域へ入った、そういう事情からいろいろ問題を起こしたことにつきましては深く反省はいたしております。したがいまして、先生指摘のように、その後さらに細かい詰めを行いまして、今後は事件の発生をさせないということで努力をしたわけでございます。そういう問題につきましては、確かにいろいろ時間がなかったとはいえ、まことに残念なことだったというふうに思っております。
  197. 高橋顕詞

    ○今井政府委員 先生の御質問、まことにごもっともなことでございます。水産庁長官も御質疑に対しまする十分な準備がございませんでしたことをまことに遺憾だと存じます。ただいま長官が答弁を申し上げましたとおりのことでございまして、ひとつ資料としてお出しできるものは可及的速やかに提出いたしますので、ひとつ御了解賜りたいと存じます。
  198. 野村光雄

    ○野村委員 私の方も十分関係官とのレクチュアがなくて、急に質問をした内容もございまして、準備が不足であったということに対しては反省してはおりますけれども、しかし水産庁長官、ぜひはっきりしておいてほしいことは、委員会なり国会審議の中で政府が正式に答弁したことは、やはり実行してもらわないと、この場だけ答弁して終わればいいのだ、これでは困るので、ぜひひとつ議事録をもう一回見ていただいて、いまの罰金の取り返しに対しても、正式にもう一回件数を全部洗い直して、これとこれとこれだけはやはり不当だから、漁民のために、これは折衝すれば当然返してもらえる——当時の私への答弁の中では、何件か返してもらったものもあります。こういう答弁もあるのです。そしてなおかつ、いま御指摘のあったものは、そういう実績もあるから折衝して罰金は取り返します。こういうことまで言っているのですから、それが何件、何ぼ返してくれということを折衝しているのだかわからないのでは、これではまるきり漁民から水産庁は怒られますよ。  長官、よろしいですか。この内容はひとつ委員長、同じく現在の折衝の状況、何件、何ぼ罰金を返してくれということを折衝しているのかしていないのか、していないならしていない、こういう点に対しても後ほど資料をいただきたい。  最後に御質問いたしますけれども、去る一日に沿海州に出漁いたしております小樽の底びき漁船第十七北光丸がソ連監視船の臨検を受けまして罰金三千二百万円を請求されてきた、こういう問題が明らかになってまいりました。しかし、今回は罰金は取らないけれども、今後違反をいたしました場合には罰金は取ると日本水産庁に連絡をしてくれ、こういうことで帰ってきているようであります。小樽の第十七北光丸、御存じでしょう。  これで日本の方の漁民の立場から言うと、着底びきトロール漁というのは日ソ協定によって規定されていない、だから罰金を請求される筋合いのものではないのだ、こういう理解のもとでこの北光丸は認識をしておったところが、ソ連からはそうでないのだということで三千二百万の罰金を請求された。これも日ソ漁業交渉の中で明確にしておかなければ、関係漁民がえらい損害を受けたり被害を受けたりする問題がまたぞろ起きているわけでございますけれども、この問題に対する善後処置と水産庁の見解並びに今後の対応策、これを最後にお尋ねをいたしたいと思います。
  199. 森整治

    ○森(整)政府委員 実は、三月十五日、二十八日、ソ連の監督官から、いまの着底のトロールは各層トロールではなく違反であるという警告を受けました。その後、道庁の取締船北斗丸とソ連監督官が洋上会談を行ってそういう申し入れを受け、四月一日から摘発を行うという通告を受けたわけでございます。  水産庁としましては、直ちにモスクワ滞在中の日ソ漁業協力協定の代表団に打電をいたしまして、ソ連に対しまして直ちに抗議を行い、その指導徹底を申し入れたわけでございますが、四月一日にいま御指摘の北光丸につきましてそういう事件が発生した。ただ、本件は、着底トロールを行わないという約束をされまして罰金の賦課は撤回をされておるわけでございますが、わが方としましては、三十一日に本件につきましてソ連へ抗議申し入れを行いましたところ、その当時各層トロールの決め方を審議した担当官がおらないということで、今後の具体的措置をどうするかということで、一応は現場で、いろいろ具体的措置を向こう側としてはとらないように指導しましょう、なお今後のその担当官との話、実際に交渉を行ったソ連側の担当の者が帰ってきて、さらに向こう側としても見解を明らかにしたい、それまではともかく今後暫定的に、具体的にそういういろいろな事件が起こるようなことはしない、端的に言いますとそういう趣旨の発言があったということで、さらに、この問題は、わが方としては各層トロールという中に現在のいわゆるかけまわしの漁業というのは入っておるという理解をしておるわけでございます。その辺、早急に調整を行いまして、はっきりするつもりでございます。
  200. 野村光雄

    ○野村委員 わかりました。  時間がございませんので、御要望申し上げておきますけれども、次官、ただいま言ったような内容で、ソ連自身も監督がいなくて、わからないで罰金を請求してしまった。しかし、受ける漁民側は、水産庁の言うことを信用してやっている、ところが罰金を取られる、これはこういうふうに大きく新聞に出ておりますから、関係漁民、同じような船を持っている者は、水産庁からそう言われているけれども、やはりこれはソ連の考えから言うと、こういう操業をやったら罰金を取られるのではないか、どっちが本当なんだということで、現実にこういう問題が起きているだけに、同じ型の船を持っている人は非常に不安がっておりますから、これはもうあくまでもソ連の一方的な勘違いで、この船だけあったけれども、自信を持って、おたくの船はもういままでどおり操業していいんですよ、こういうことをきちっと再徹底してあげないと、これだけ大きな問題になっているだけに、関係漁民がえらい不安がっておりますので、ぜひひとつ関係の漁民に、安心していままでどおり操業しなさい、こういうものを関係省庁を通じて趣旨の徹底をひとつ漁民のためにしていただきたい、これだけを要望いたしまして、質問を終わります。
  201. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 吉浦忠治君。
  202. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 同僚の野村議員に引き続きまして、水産問題でお尋ねをいたしたいと思います。  最近の沿岸漁業の不振についてはいろいろ説がございまして、学識経験者等の種々の論議はありますが、その不振の原因の一つというのは、高度経済成長下における高度の科学技術の投入による猛進的な漁業による乱獲が大きな影響ではないかというふうに考えられます。いわゆる魚がつくところの魚礁漁場でございます。あるいは増殖漁場、養殖漁場等の造成及び漁場環境の維持保全を進めなければならないのが現状でございます。沿岸漁場整備開発の政策等を踏まえまして、沿岸漁民も、過去を振り返りながら将来を見詰めて、今後体験を生かし、漁民主導型の判断による漁場利用をすべきであるというふうな点で考えられているわけであります。  最近における外房関係の地域の問題でございます。この外房地区漁場の環境の変化の実態を見てまいりますと、零細沿岸漁民は、公平を求めながらも、その社会をつくるべく日夜努力をいたしているわけであります。この海域は、御承知のように、根つぎ性の強い回遊魚、いわゆるタイとかヒラマサとかワラサ等の中高級魚の一本釣りの好漁場地でございます。年間を通じましてその延べの船等を見ますと、〇・八トンから二トン級の漁船三万数千隻が利用しておりまして、その経営の安定を支える漁場でありますし、この数年、その地域において、漁具、漁法の発達によりまして、大型の底びき網漁船が操業の邪魔をするような状態になってまいりました。いわゆる大型あるいは中型のまき網漁法が、夜間と言わず何と言わず、岩礁にかかった網は放棄してそのままにするような無秩序な状態になって、関係漁民は天然の好漁場を追われるような状態でございます。このまま放置しておきますと、沿岸の零細漁民の生活はもちろんのこと、天然の好漁場を失ってしまうような現状でございます。  そこで、お尋ねをいたしますが、この地域に最も魚のついておりますいわゆるみぞというところがございますが、そのみぞの地域のところでは、沿岸小型船の操業が中心でありまして、あらゆる漁種漁法が行われておるところでございますが、漁民の命を守るような生命線ともいわれている地域であります。このために小型船の方々はこの区域を大切にしてまいりました。しかも、沿岸の小型船の組合発足以来二十有余年になっておりますが、夜間の操業もしない、また根つぎ魚でありますとか主にイカの資源保護または乱獲の防止に努めるという、自分たちの手で自分たちの漁場を守ろうということで努力をしてまいりました。ところが、現在、沿岸漁船の従事者は魚がとれなくなった上にその生活を守るということから転業する人さえ出てまいりまして、その後継者の問題等も憂慮されているのが現状であります。小型船が大切に保護をして、禁止までして守っているその魚を底びき網に根こそぎとられて、そして、むざむざとその漁場をなくしてしまうというのがいまの現状でございます。  そこで、地元の漁民の方は、去年の四月二十日と四月二十六日に底びき網漁船代表と沿岸小型船の代表との話し合いが持たれておりますが、農林省はどのようにこの話し合いの報告を受けていらっしゃるか、どういう内容で御指導をなさったかをまずお尋ねをいたしたいと思います。
  203. 森整治

    ○森(整)政府委員 昨年の四月、業者間の話し合いが県が仲介をして行われたということにつきましては、最近まで水産庁は報告を受けておらなかったというのが実情でございまして、当時は水産庁としてはタッチをしておらなかったということでございます。  このことは、われわれは、調整問題の当事者が双方ともある一つの自治体の中、たとえて言えば今回のものでございますれば県内に限られるということでございますから、第一次的には県あるいは県の海区の漁業調整委員会等によります地元の調整にゆだねるということを原則としておりまして、千葉県としても、この原則に従いまして、昨年四月の時点では県内の調整で解決し得るという判断で仲介をしておる、また水産庁へも報告を行わなかったというふうに理解をいたしておるわけでございます。逆に申しますと、ごく最近になりまして、いろいろと地元の関係の諸先生方からも御要請もございますし、実は県からも農林省に要請がございまして、ごく最近これにつきましての調整に割って入ったというのが実態でございます。
  204. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 水産庁長官のいまの御答弁は、問題のないところは農林省はわからない、水産庁はわからないということのようでございますが、こういう小型漁船の組合の方々の死活問題というのは、報告がないからわからないというのではなくて、アンテナを高く上げる。何のために水産庁があるのかということを私は問いたい。と申しますのは、死活問題で去年の四月に行われていることが本年になってしかわからない。それはわからないということがまずいのであって、それでは、どうして最近になっておわかりになったのかをお尋ねをいたしたい。
  205. 森整治

    ○森(整)政府委員 先ほど申しましたように、三月の下旬になりまして、県庁から要請がございました。そこで、農林省も入って調整をしてもらいたいという御要請がございまして、三月二十五日の第六回目の話し合いに入ったわけでございます。
  206. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そういう点は農林省、水産庁はその専門の立場にあるわけでありますが、いま、漁民の生活を守るという先ほどの同僚委員問題等も踏まえまして、一連的に見てあらゆる問題に対する対処の仕方が緩慢であるというふうに思うわけです。  次にお尋ねをいたしますが、四月二十六日の時点で沿岸小型漁民がいわゆる海溝の線引きを要求したときに、底びき網の漁船の方々は、その調停に入られた方でありましょうが、操業の能力がないといってその地域を指定をしなかったわけでございますが、スターントロールという漁法が現在行われているわけでございます。これは県が奨励をして補助金等を出してスターントロール漁法を行っているわけです。この漁法では根つぎの魚まで全滅するような現状でございます。こういう魚が完全に死滅してしまうようなものに補助金を出してその漁法に切りかえられていらっしゃる。こういう点を水産庁はどういうふうにお考えになっておられますか、お答えを願いたい。
  207. 森整治

    ○森(整)政府委員 沿岸と沖合いの底びきの漁業の調整の問題とやはり資源保護ということでございますが、そういう問題につきましては、底びき網漁業というのは効率的な漁法である、逆に言いますと、資源保護上問題がある、また漁業調整上の問題があるということで、操業期間なり操業の区域なり、また操業の隻数なり、またトン数の規模等を限定をいたしまして、適切な制限を加えながら、その地域の漁業の実態に応じまして、第一義的には業者同士の話し合いで資源保護を行っておるということでございます。そういう話し合いがどうしてもつかないという場合には、水産庁としましても必要に応じまして地元の調整が円滑に行われるような指導なり措置をとってまいるということで対処をいたしておるというのが実情でございます。
  208. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 先ほど申しておりますように、スターントロールの漁法一つだけを取り上げているわけではありませんけれども、漁場を死滅させるようなそういう漁法にお金をかけている、県が奨励金、補助金を出して、そして早く死滅してしまうようなものに金を出しているということもおかしくはございませんか。こういうものを調整をしてというふうにおっしゃっておられますけれども、小型漁船組合の方々が自分たちの死活問題になるようなものを、国もそういうものは地元に任せるということで、将来お魚がとれなくなってしまえば各地域の漁業協同組合もつぶれてしまいます。そういうものにも補助金を出して、そして、つぶれてしまえばお金も取り返すことはできない。これは矛盾したことをおやりになっているようでございます。その点で水産庁も明確な計画を持っていらっしゃらないと、こういう問題が起こったときに地元に任せておられるようでは困ると思うのです。明確な指導をしていただきたいと思うわけでございます。  続きまして、五十二年の四月に話し合いをなされておられますが、その報告は、先ほど聞きましたところ、先月お聞きになったようでございます。その怠慢ぶりはお認めになったようでございますけれども、去年の八月でございますが、五年ごとに行われております法改正をなさったようであります。このときに、四月に、これは県の段階でございますけれども、県で話し合いをしたときに、一言も法改正の話はなさらなくて、要望があれば八月の法改正のときに取り入れましょうとか、あるいは十分御意見を承って善処するようにいたしますということがあってしかるべきなのに、その段階では何ら相談も報告もなされないで、組合が知っていらしたかどうかわかりませんけれども、ことしになって法改正になったということを御通知なさったようでございます。組合の方々は法律の専門家ばかりいらっしゃるわけじゃないわけです。法改正すれば当然そういう説明等あってしかるべきじゃないか、文書等を出してその内容等について詳細にお知らせするのが当然じゃないか、こういうように思うわけですが、底びき漁船の方には連絡をなさったのですか。小型漁船の方にはなさらなかったのか。その点をお答え願いたい。
  209. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘の問題は、昨年の八月に底びき漁業の許可の一斉更新——五年ごとに更新があります。その一斉更新が八月にあったということに関連した問題だと思います。  そこで、この問題は、むしろ水産庁といたしましてはあらかじめ地方自治体、この場合には県でございますが、千葉県に対しましても資源調査、調整上の問題を総合的に判断した上での意見の聴取を行うということを行っておるわけでございます。水産庁はこれらの意見を体しまして許可を更新するということをたてまえにいたしておるわけでございます。  この本件に関します千葉県の場合は、沖合い底びきの更新に当たりまして何ら別段の意思表示が述べられておらなかったわけでございます。私どもは、千葉県におきましては、本件が一部の海域におきます操業の調整の問題でございまして、県内の自主的な話し合いによりまして解決すべき問題であるという考え方に立ってそういう措置がとられたものというふうに判断をしておったわけでございます。したがいまして、むしろもしそういう問題があって、事前にいろいろお話し合いができれば結果的によかったかもしれません。結果論でございますが、遺憾ながらそういう段階で本年のいままで紛争が長引いたというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  210. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 続きまして、五十二年の四月二十六日に三者会談、いわゆる底びき網の方と小型漁船の方々と県の合意で——実際はその合意書を踏みにじるような結果になっているのが実情であります。したがって、私は取り上げているわけでございますが、調停役の県の水産部でございますか、その責任というものはどういうふうになるのか。調停だけでは何の責任もないのかどうか。今後このような問題を水産庁長官はどのように御指導なさるのが。まあ森さんが水産庁長官におなりになられて、私は一味違った形の温か味のある行政が行われるものだ、こういうふうに思っております。いままではいままでといたしまして、今後水産庁は、こういう調停の合意を踏み破るような場合の御指導をどのようになさるのかをお尋ねをいたしたい。
  211. 森整治

    ○森(整)政府委員 私どもが聞いております四月二十六日、これは第二回目の話し合いのようでございますが、これにつきましては、双方の主張が平行線のまま次回の話し合い、すなわち七月から八月ごろもう一回話し合いを行うということを約束して打ち切りをしたというふうに報告を受けておるわけでございます。で、その次回、すなわち七月から八月ごろまでの間で話し合いがつくまでは沖合い底びきの方で自粛をするということで来たようでございます。それが本年まで続いてきておって、要するに、七月、八月に話し合いが持たれなかったというところに、どうも今回の禍根が残っておるように思うわけでございまして、まあいままでのことはともかくといたしまして、早急に、一日も早くこの問題が解決できるように調整をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  212. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 磯根資源確保の観点から見てまいりますと、特に現在は二百海里の厳しい段階を迎えているわけでありまして、暫定協定までしても守れなかった海溝というものを、底びき網漁船の場合は根こそぎとってしまうというふうな漁法でございます。ちなみに申し上げますと、ソ連の船もここには当然来れたわけでございまして、十二海里を宣言するまでは、この地域にはソ連の漁船も来ていたわけです。そのソ連の漁船ですらも、中層トロール関係でもありますが、とらなかったわけです。要するに、海底までもさらうようなことはしなかったわけです。それが、銚子関係並びにその他の県の船も来たようでございますが、底までさらうような、海底の岩までひっかじっていくようないまの漁法であります。稚魚まで死んでしまう、全く海底をさらってしまうようなそういう漁法でありますので、今後この問題は、漁場を狭められた上に、地元漁民の立場から見まして、資源確保という点から見ても、何としてもこれは自粛が守れなければ話し合いによってきちっとした線を確保して、小型漁船の方々の生命を守るためのそういう手だてをしなければならない、こういうように思いますが、長官はどういうふうにお考えか、時間が来ておりますので、なるべく簡潔にお答え願いたい。
  213. 森整治

    ○森(整)政府委員 これは地元のいろいろな歴史と、いろいろな従来の漁法、そういういろいろな問題の絡み合った問題でございますから、私どもが何か強制的あるいは強圧的に物事を解決するということでなしに、やはり長い目で見てお互いの利益につながる問題でございますから、ともかく精力的に話し合いを詰めていただいて、一日も早く問題が解決できるように指導もしてまいりたいというふうに考えております。
  214. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 御指導なさる場合の心構えといたしまして、やはり強い者が弱い者を取り締まるのは簡単であります。したがいまして、いわゆる競合する狭い国土の海域でありますから、そこで一千隻もの小型船の方々が一本釣りでやっていらっしゃる漁法と、数えるほどしかない、いわゆる十隻未満のそういう大型漁船の漁法によって一千隻もの漁民が干上がってしまうような行き方、どう考えてみても競合する場所であるとはいえ、弱い者を守るのが、そのためにあるのが政治ではないか、私はこういうふうに思うわけであります。長官、よく踏まえまして、その点を心して御指導いただくようにお願いをしたいわけであります。  時間の関係で最後にお尋ねをいたしますが、これは海上保安庁かと思いますが、硫黄島及び八丈のロランA基地は出力八百五十キロワットでございましたが、硫黄島のH七基地が廃止になりまして、八丈及び沖繩の慶佐次H六というふうに出力が百三十キロワットと低下しております。このためにH七ロランAの所有船が使用できないような状態になっておるわけであります。この点につきましてロランAが使用できるような方法はないものかどうか。この零細漁民の方々がその機械を全部取りかえるというのは大変な費用でございまして、いつこのような硫黄島のロランA基地がなくなり、その影響で漁民が困るようになったか、その点をまず最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  215. 高橋顕詞

    ○高橋説明員 本年の一月でございます。
  216. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 この地域のイカの漁業が大変不振にありましてカツオ漁に最もウエートが置かれている状態でありまして、その漁期は霧が多いことと伊豆大島周辺が漁場となっている関係もありまして、位置及び漁場の探知のためには、昨年まではロランAの使用が可能でありましたが、硫黄島局が廃止になったことによって位置測定に支障を来しております。できますならば沖繩の慶佐次より発信する電波は硫黄島と同じ出力を出していただくようにお願いをしたいわけでございますが、この点についてはどのようになさるのか、お答え願いたいと思います。
  217. 高橋顕詞

    ○高橋説明員 ただいまの点でございますが、これは沖繩慶佐次の電波を上げましても電波伝搬上の限界等がございまして、ただいまの問題についてはそのパワーアップではちょっと対応いたしかねる、パワーアップいたしましてもやはり届かない、こういう地域になっております。
  218. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 そうしますと、その地域の検査なり調査なりをぜひしていただいて、漁民の方々が安全に操業できるような電波のそういう届く範囲なり、恐らく死角になる場所があると思うのです。そういう関係の調査等をぜひやっていただいて、安全に操業できるように、また安全にその場所がわかって、自分のいる場所もわかるし、帰ってもこれるというふうな安全操業が大事でございますから、そういう点に対する保安庁の対策をやっていただきたいわけでございますが、いかがでございますか。
  219. 高橋顕詞

    ○高橋説明員 率直に申し上げまして、硫黄島のをまた復活するということは大変困難でございますが、現在でも、御指摘の海域の近辺でございます犬吠、勝浦、野島それから伊豆大島、この辺にはすべて私どもの方の中波ビーコンという、これもやはり電波標識がございます。これはかなりの範囲まで届いておりますので、これと、私どもが慶佐次との間につくりましたロランのラインあるいはその他のロランのライン等の組み合わせで、現在でもかなりの精度で船位の測定ができると存じます。  それからまた、前後いたしまして大変恐縮ですが、御指摘のような調査は私どもの方でも十分いたしたいと思います。  いま申し上げましたような方法が現在でもございます。それから、またさらに、もともとロランAはいずれかと申しますと古い電波システムでして、世界的に廃止の方向にございまして、これにかわるものとしてはデッカとかロランCとかというものが世界的に広くなっております。私どもの方ではこのデッカで対応いたそうといたしておりまして、関東周辺も今年度末にはデッカの利用も可能になるというふうに存じております。
  220. 吉浦忠治

    ○吉浦委員 ロランAの機械を備えつけたばかりでそれが聞き取ることができないというふうな現状もございますので、やはり徐々に変えていく方法なら変えていく方法でも指導というものを十分なさった上でおやり願いたいと思うのです。  以上で終わります。
  221. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 津川武一君。
  222. 津川武一

    ○津川委員 リンゴについて若干の質問をいたします。  昨年の十一月後半から十二月、ことしの一月にかけてリンゴの売れ行きが不振になり、しかも安値で、この先どうなるかと心配されました。このとき、私の質問もあって、農林省は現地に出かけていって出荷の促進やいろいろな調整に当たってくれたことを私はよかったと思います。そのときの私の質問で、いままでリンゴ行政は、土地基盤整備、矮化奨励、腐乱病などの病虫害対策などで、どちらかと言えば生産体制に重きを置いた趣もある、したがって今後流通価格保証の点についてもいままで以上にやらなければならないというふうな答弁があったわけであります。そこで、きょうはリンゴの流通価格などを中心に若干の質問をしてみたいと思います。  昨年の暮れからことしの一月初めにかけてあのような状態になりましたので、リンゴ生産県の生産者、リンゴ関係の団体、県庁などがあれこれと原因の対策の検討をしております。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 そして、その検討の中から出た結論は、期せずして、安くておいしいリンゴを生産者の所得もふえるようにつくっていく、こういうことになったのであります。私も全くそのとおりだと思います。  そこで、この検討の中で第一に問題になったのは無袋栽培のリンゴです。無袋では、御承知のとおり、手数も少なくて済む、袋かけも要らない、袋も要らない、少ない労働で生産できますから安く上がります。しかも、太陽の光線を十分に吸収しているのでおいしい、こういうことでございます。これほど理にかなった正しい結論はないのでございます。  ところが、この無袋栽培のリンゴに問題が二つばかりあります。一つは、国民のリンゴに対する考え方であります。リンゴの団体が銀座で無袋リンゴの試食会をやりましたら、消費者はおいしいと言ってほめてくれました。そう言ってくれた消費者が帰りに買っていったリンゴを見て唖然としたのです。袋をかけた、色のよくついているリンゴを買っていったのです。消費者としての国民には、リンゴは無袋でつくるもの、無袋は安い、無袋はおいしいという知識といいますか、リンゴ観といいますか、そんなものが十分でないのでございます。そんなものを国民の身につけていただかなければならないのです。そのために生産者や移出商の団体や県庁などが、先ほど申しましたように、全力を挙げてその宣伝をやっておりますが、その力にも限界があるというのです。国としても、政府としても、消費者がこういうリンゴを正しく見る立場で、もう少しリンゴ観を国民に正しく植えつけていただかなければならない。生産者団体や地方自治体の力にも限界がありますので、ここいらで政府援助していただきたい、出ていただきたい、こういうのが一つの検討の結論でございますが、いかがでございます。政府の所信を聞かしていただきます。
  223. 野崎博之

    野崎政府委員 リンゴの消費対策全般について見ますと、農林省といたしましても、本年の一月十六日から二十日まで、テレビ番組を通じましてリンゴの消費宣伝を行っております。それからまた、新しい需要先である果汁の消費の促進策につきまして、御承知かと思いますが、中央果実基金からいろいろ宣伝費等を出して、消費拡大を図っているところでございます。  いま先生おっしゃいました無袋栽培リンゴにつきましても、従来からりんご協議会全国団体でございますが、りんご協議会を通じましてその普及なり消費拡大に努めてきたわけでございます。これはちょっと古くなりますが、五十年の十二月とそれから五十一年の一月に、農林省でやっております流通業者それから消費者代表を集めました業種別の消費者懇談会というのを開きまして、そこで大分宣伝をやったわけでございますが、おっしゃいましたように、確かに無袋栽培というのは、リンゴの栽培については非常に省力化になりますし、合理的な栽培の仕方だと思いますので、今後も農林省で行うテレビ番組あるいは農林省助成をいたしております雑誌とか新聞等がいろいろございますので、そういうものを通じまして、普及なり消費宣伝をこれから拡充をしてまいりたいというふうに考えております。
  224. 津川武一

    ○津川委員 ぜひテレビなどいろんな手段で無袋の宣伝をしていただきたいと思うのです。  無袋リンゴについてもう一つの問題は、栽培のために使った農薬が有害物として残留しているのではないだろうかという、国民の一部の中にある心配でございます。この点では、農林省こそだれよりも心配がないということを知っておるのです。たとえば、リンゴに使う農薬の一つのスミチオン、限度量である、安全であるのは〇・二ppmまで、これは農林省が決めたものです。ところが、リンゴの皮全部、実全部、全皮全果を口にしてみても〇・〇〇二六ppmより入っていません。こうした安全性についても、生産者などの団体がPRに努めておりますが、生産者の団体がやったのでは、てめえの宣伝だとしか国民は受けとめてくれません。この点でも国民のリンゴに対する考え方政府の施策で教えていただく、ここが非常に大事になってまいりました。この点での政府の見解も伺わしていただきます。
  225. 野崎博之

    野崎政府委員 おっしゃいましたように、私どもの方でやっております農薬の安全基準から言っても、当然安全であるということはわかっておりますので、先ほど申し上げましたような、そういうテレビを通じたりあるいは新聞等を通じた宣伝でそういう点も十分ひとつ普及といいますか、啓蒙をいたしてまいりたいというふうに思っております。
  226. 津川武一

    ○津川委員 期待して待っています。実態を見てまた質問するかもわかりませんが。  第三番目の問題は、リンゴは北は北海道、青森などの比較的冷たいところから、南は栃木、福島、山形などの比較的暖かいところ、そして長野などの盆地で栽培されております。そのうちで昨年の暮れからことしの始まりに問題を起こしたのは、比較的南の方でつくられたスターキング、デリ系のリンゴがやわらかくなってまずくなり、値崩れし、売れ行きの不振を招いたのであります。しかも、一部南のところでは、気温も例年よりも高かったのです。私も心配して神田の市場に行ってみましたが、一部南方の暖かいところで生産されてきたリンゴは、冷蔵庫に入れられないで送られてきておりまして、私も食べてみましたが、お世辞にもおいしいとは言えない。消費者に勧めるわけにもいかなかったんでございます。それが消費不振、値崩れの原因となり、リンゴの将来を心配させたわけでございます。新鮮で、かじるときりっと歯ごたえのある、そして食い気を誘うようなリンゴを消費者に届ける、これが今日の課題でございますが、そのためには、もいだリンゴを冷蔵庫に入れて、そして適時に出荷してよこす必要がございます。その冷蔵庫が一部の地域で、問題の地域で足りない。  たとえば冷蔵庫、青森県には千九百十万箱分、一箱十八キロないし二十キロ、長野県では百三十万箱分、秋田で百万箱分、岩手で十万箱分、昨年値崩れの、消費減退の原因となった一部南方の方では、たとえば福島県では四万箱分、山形県三万箱分の冷蔵庫よりない。そこで山形、福島ものの品質低下となったのです。おいしいリンゴを安定した形で消費者に届けるためには、リンゴ産地の一部南地帯、山形、福島、ここにもっと多くの冷蔵庫をつくることがぜひぜひ必要になってまいりました。こういう点での政府の施策を聞かしていただきたいのでございます。
  227. 野崎博之

    野崎政府委員 いまおっしゃいました南東北のリンゴにつきましては、一般に出荷時期が早い関係もございまして、貯蔵施設の必要性というものも北東北に比べてはやや少ないというふうに考えておるわけでございますが、確かにその出荷時期をいろいろ調整するということの必要性は南東北においても当然あるわけでございます。したがいまして、今後南東北の各県の産地とも協議をしながらやっていきたいと思いますが、具体的にまだそういう南東北の産地等からの要望もございませんので、そういう産地等の要望もあればまたそれを十分検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
  228. 津川武一

    ○津川委員 福島でとれたデリ系が、暖かいところでとれで、温かいままで送られてきて出荷されて、これを一たん冷蔵庫に入れてやるということは非常に大事で、いままでそういう事態はなかったけれども、昨年はそれが大きな原因だった。そこで、政府としても、南の地帯にこういう提言をひとつ指導してほしい。出てくるのを待つのじゃなくして、積極的に政府が出ていってやるべきだと思うわけです。この点ぜひひとつやってほしいと思うのです。  いろいろ検討された中でもう一つ問題になったのは、品種問のアンバランスなんです。デリ系が昨年の消費不振、値崩れの原因になったのですが、昨年のリンゴは全部で九十五万五千トン、このうちデリ系が三十五万七千トン、三七%にも達しているのです。検討会などでも、検討の中で、一つのリンゴが三分の一以上を占めて、そこに問題があると決定的に打撃になる、こういう形のことは健全でない、こう言うのです。そこで何にすればいいか、デリ系の前に津軽というこのごろいいリンゴが出てきて、おいしいし、長もちする。津軽がとれてからデリ系が出てくる。その後に富士が出てくる。陸奥が出てくる。国光が出てくる。デリ系と同じ時期に紅玉が出てくる。この中でデリ系だけが三七%を占めておるから問題がややこしくなるわけであります。特にこの点で、福島ものは四八%がデリ系なんです。福島ものはデリ系で、しかも冷蔵庫がなくて、暖かい去年みたいなところに出てくるから問題が多くなってくる。  そこで、適地適産のことが非常に具体的な問題になってきて、六十年の計画政府もデリ系で二六%まで落とすと言っているのです。だから、いまこの去年の経験を踏まえて、二六%どころか二〇%ぐらいに、しかもスピードを上げて、問題の福島を中心にしてデリ系よりももっといい津軽あたりに品種更新をしていく、そういう指導が必要なんじゃないか、こういうことでございます。これは各県の生産者や生産者の団体、出荷業者、市場なんか、全体的ないろいろな話し合いをしておりますが、なかなかそこには地域セクトが出てきて思うようにいかないので、こういう指導が欲しいということと同時に、農林省がそういうことのために、先ほど話したように、全国のリンゴ関係者を集めていろいろな協議もする、指導もする、こういうことが必要になっている、こういう状態なんです。いかがでございます。
  229. 野崎博之

    野崎政府委員 いまおっしゃいましたように、スターキングの比率が一番高くなっていることは御承知のとおりでございますが、昨年の低価格につきましては、スターキングの生産増の面もありますが、天候不順によります品質の低下による末端の需要の停滞ということもあったわけでございます。その詳細につきましては今月実は検討会を持つことになっておりまして、今月下旬にひとつまたその原因等についていろいろ検討をいたしてみたいと思っているわけでございます。  いまお話しになりました津軽、これも非常に早生品種でございまして、確かに値段も高いわけでございますが、まだ非常に普及がおくれておりまして、ごくわずかしか出回っておりませんが、今後その需給動向全体を調査いたしまして、品種別あるいは時期別にどういうものがいいのか、品種構成の改善が必要であれば、そういう方向で津軽をふやすのか富士をふやすのか、そういうことを全般的にひとつ適切な措置をとれるように検討をいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  230. 津川武一

    ○津川委員 特に山形、福島のデリ系の品種更新は日本のリンゴの運命を決める非常にかなめになってきますので、そこいらの検討をひとつお願いして、たくさんの種類で、一種目に特定に偏らないかっこうの生産指導がぜひぜひ必要だと思うのです。  リンゴについて最後の質問はジュースです。局長も先ほど話されたが、東京のデパートに行ってみてもスーパーに行ってみても、オレンジをジュースにしてお客さんに飲ましております。これはレモンもやっている。イチゴもやっている。ところが、リンゴはやっていないのです。ここのところに問題があるわけです。  そこで、検討の中で一部に出た意見は、加工に回す、ジュースにするリンゴは色がなくてもいい、形がよくなくてもいい、また風などで落ちたリンゴでもいいという。こういうリンゴを家庭の中にどうして届けるかという点、これは加工して、経費をかけて、かん詰めにして売ることも一つの非常に大事なことで、これも進めていかなければならぬが、もっと手っ取り早いのは、こういう加工用のリンゴを袋に詰める。そうすると、安く売れる。これを家庭に持ち込んで家庭のジューサーでやる。こうなってくるとかなり国民は栄養に富んだジュースを得られる。これも一つ方法じゃないか。こんなこともひとつ農林省考えてほしいというわけなんですが、いかがでございます。
  231. 野崎博之

    野崎政府委員 リンゴのジュースの消費拡大全体につきましては、例の四千九百万円の消費宣伝事業がございまして、その中で青森の国体の試飲会でやったりあるいはその他の消費宣伝事業でやったりいたしておるわけでございます。それから、中央果実基金から青森県農村工業農業協同組合ですか、そこへ自動販売機の補助もやっているわけでございます。  いまの家庭用のジュースリンゴ、これも確かにおっしゃいましたように一案ではあろうかと思いますが、なかなか最近の家庭は手間暇かけるのをみんなめんどうがる。若い人たちは特にそういう傾向もございますし、そういう小玉のリンゴを袋詰めで家庭へ持っていってジュースにまたやるというよりも、もっと簡単に初めからジュースのままの方が飲んで、ふえるんじゃないか。そういう意味では、いま青森県や山形県にも搾汁工場に対して助成もいたしておりますし、そうした近代的な設備で果汁の製造もやっておりますので、基本的にはやはり果汁そのものの消費拡大というものがむしろ必要ではないかというふうに考えるわけでございます。
  232. 津川武一

    ○津川委員 リンゴの対策検討の中で、家庭用ジュースの話は一部かなり強く出ているところとかなり消極的なところもなきにしもあらずで、先ほど話したのはみんな実は一致した意見なんですが、この点はかなり大事なアイデアなので、ひとつ農林省も慎重に検討してみていただきたいと思うのです。農林省が何か一言そういう道があるということになってくると、またかなり急速に発展する可能性も持っておりますので、その点の検討をひとつお願いしておきます。  これでリンゴを終わりますが、もう一つの問題は、青森県の尾上町というところで米の高能率集団営農推進対策事業を始めることになりまして、二十四台のコンバイン、一台四百万円で導入する計画を立てて、みんなで討議して、五十二年から準備活動を県の指導のもとに行ってきて、去年の秋からは組合に説明し、承諾をとって、ことし一月の組合結成にこぎつけたのです。カントリーも入るし、二十四台のコンバインも入るので、農民の皆さんが持っておる乾燥調製施設を処分した人もいるのです。また手入れしないでほったらかしておいた人もいる。ここで二十四台のコンバイン、一台四百万円、二分の一補助で導入されることが前提になって仕事を始めてきたところ、農林省からそれはまかりならぬ、いままでの二分の一の補助は三分の一だというのです。四百万円二十四台ですから九千六百万円、二分の一補助で四千八百万円、三分の一補助に落とされて三千二百万円。ここで千六百万円という大きな穴がこの小さな組合にあいちゃって、すったもんだしてどうしていいかわからなくなってしまったわけです。  それで、理事者も困る、組合員たちは政府の農政に対する不信、こういうことなんです。どうしてこうなったのか。この点でぜひ計画したときの状態を進めていただかなければならないと思うのです。隣の平賀という町では一年前にこれをやったので、二分の一ちゃんとついている。行政の不公平もここに出ているわけですね。どうしてこうなったかと農林省に聞いたら、よく教えてくれました。米麦の高能率集団でいままでコンバインは二分の一、乾燥調製施設も二分の一の補助、格納庫も二分の一の補助、トラクターは三分の一、こういうものであって、育苗施設も三分の一。コンバインは二分の一だったのを、コンバインだけ二分の一から三分の一に落としているんですね。そして、乾燥調製施設は二分の一の補助、格納庫は二分の一の補助に置いて、ここのところだけ、組合が集団の中で当てにして、そのつもりで指導を受けて計画をしているところを落としたので問題が出てきたわけです。国全体としてせめてもう一年二分の一でやるべきだと思うのです。これは農林省方針を聞かせていただいて、私たちまた大蔵省ともかけ合わなければならないと思っておる。この点が一つ。  もう一つは、尾上の集団をこんな状況に陥れないために特別な何か指導援助をいただかなければならないと思うのですが、この二点答えていただきます。
  233. 野崎博之

    野崎政府委員 高能率の集団対策でございますが、いままで見ますと、この中身で機械に関する部分は大体三分の一であったわけです。栽培用機械、それから移植用機械、それから収穫用機械でも三条用の自脱型コンバインというのは三分の一の助成率であって、四条刈りの大型コンバインだけが二分の一以内という補助率であったわけです。これは従来普及の程度も非常に少なかった。したがいまして、経営上のリスクも大きい。そういう意味で、特にこれだけ、機械の中では例外的に二分の一補助としておったわけでございますが、最近見ますと、収穫作業の機械化が著しく進捗をいたしまして、普及度も非常に高くなってきた。したがって、経営上のリスクもそれによって少なくなってきた。  それからもう一つは、これはやはり予算全体に関連するわけですが、本事業に対します要望が非常に強いわけです。したがいまして、可能な限り多くの要望を全国的に取り入れたいということになりますと、やはり補助率が高ければそれだけ台数が少なくなるわけでございますので、そういう全体の要望等も考えまして、本年から三分の一ということにいたしたわけでございますが、予算全体を見ますと、五十三年度予算案は、前年度の五十七億に対しましてことしは七十億ですから、約二割一分、二一%も増額いたしておるわけでございます。いま申し上げましたように、本事業に対します要望が非常に強い、できるだけ全国的に多くの方々にそういう希望をかなえる、そういう趣旨と、それから先ほど申し上げましたような経営上のリスクも少なくなってきた、そういう点で三分の一にしたわけでございます。  この事業全体について、機械の利用率を高めるとか、いまおっしゃいました、何か特別な方策はないかというお話ですが、いまのところちょっと考え当たりませんけれども、機械の利用率を高めたり、いろいろな機械銀行とかそういうようなものを利用する、そういうような方法でひとつ進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  234. 津川武一

    ○津川委員 国の方針を聞かされて、県の指導計画を進めて、皆さんそこまで進んで、今度政府のやり方でそれをほったらかす、苦しめる、つぶす、これでいいかという問題なんです。指摘されましたこの状態に、私は何らかの形のものが政府からなければならない、あってしかるべきだと思うのです。この尾上の事態に対して、再質問します。
  235. 野崎博之

    野崎政府委員 もう予算も通りまして、大体そういうふうに決まったわけでございますので、これをまたもとへ戻すというわけにはなかなかまいらないわけでございます。地元の方には県を通じてもよく御説明を申し上げてあるはずでございますし、あるいは農協の方々のそういう会合でもそういう事情を十分御説明をしてあると思います。そういうようなことで、ひとつ今回の場合の事情を御理解を賜りたいというふうに考えるわけでございます。
  236. 津川武一

    ○津川委員 納得してないからこんな質問になったのです。納得すればだれもこんなことをやらなくともいい。  そこで、何らかの形で、これは償いと言えばおかしいが報いていく、不信を取り除くために、政府が、農林省が施策を講じなければならないと思います。相談してみてください。来週私また直接局長のところに行って、何か道があるかを尋ねに行きますから、ひとつ検討して相談していただくようお願いして、私の質問を終わります。
  237. 中尾栄一

    中尾委員長 次回は、明五日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会