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芳賀委員 きょうはこの程度にしておきましょう。しかし、これは逃げ切るわけにいかぬですよ、いつまでたったって。四月一日以降になったからもう安心だというわけにいかぬですよ。いつまでたったって、二十万トンも生乳を農協が、単協それから指定集乳団体の連合会が集めて、もう会社に預けちゃったわけですよ。供給したわけだから、この事実というのはどこまでも残るわけですからね。責任不履行などということで逃げるわけにはいかない。それだけは覚悟して、しかし、できるだけ年度内にこれはやった方がいいと思うのですよ。たまたま来週二十七日にも当
委員会の小
委員会を開くことにきょう決めましたから、そのときまでに方針が決まれば、そこでまた報告をしてもらう。その後ということになれば、
酪農部会の日、二十九日に
委員長が
委員会を招集することになっているから、それが一番ぎりぎりの時期だと思いますけれ
どもね。
次に、新しい五十三年度の
決定に当たっての重要な点だけ二、三申しておきたいと思います。
一つは、加工原料乳の保証
価格を決める場合、一頭当たりの年間の
生産費を計上してそれを百キロ当たりの
価格あるいは一キロ当たりの
価格に最後には計算をするわけですが、一頭当たりの
生産費を年間の生乳数量で除して、つまり割って、そしてできた答えが百キロ当たりあるいは一キロ当たり幾らということになるわけですね。その場合、従来
農林省のやっているのは、分母になる生乳の数量は、乳脂肪率が三・二%を
基準にして、それを超えたものは三・二%に換算をしておるんですよ。ことしは大体北海道だけが法律で言うところの主要加工原料乳の
生産地域となると思いますが、ならぬのであれば後また言ってもらえばいいですが、北海道の場合は、この資料によりますと、これは統計情報部、まだ三月の速報は出ていませんが、たとえば五十二年の一‐十二月ということになれば、北海道の
生産量合計が百七十七万四千八百八十トンということになっております。これの平均の乳脂肪率は三・四四%ということになると、三・二%との差は〇・二四ということになるんですね、脂肪差というのは。その差額がちょうど七・五%になるんですよ、算術計算でやると。
農林省において、そういう方式でなければどういう換算表を使ってやっているということを示してもらえばいいんですが、七・五%だけ実際の搾乳量よりも換算乳量の方がどうしてもふえるわけですね。ふえるということは、
価格を計算する場合の分母がそれだけ大きくなるわけだから、そうすると答えは小さくなるわけですね。そういう計算方式を毎年毎年続けるべきかどうかということをこの際検討すべきだと思うのですよ。昨年の
生産費、もう時間の関係で余り詳しく教えるわけにいかぬですけれ
ども、去年の
政府試算は第二次
生産費までをとると八千三百二十八円ということになっておるわけです。これは百キロ当たりの
生産費ですね。これは三・二%に換算した数量なわけです。換算しない実乳量で計算すると、ちょうど一キロにして三・二に薄めるわけだから、結局水を入れるか、脱脂乳でも入れているのです。それだけ量をふやすから答えが安くなるんだけれ
ども、これが一キロ当たりにするとおおよそ七円五十銭違うのですよ。分母を水で薄めてふやして答えを出す場合と、実際に搾乳した実乳量だけでやる場合と、それだけ違うわけです。計算の方式によって、一キロ当たり七円の差が、毎年毎年三百六十五日出るということは、やはり
生産者にとっては大きな損害なわけですね。
そこで、どうして三・二%というものを採用しているのかというと、これは市乳、飲用向けの
牛乳の場合には、厚生省の省令によって、乳脂肪率三・二%というのが
基準になっておるわけです。だから従来は、乳業会社は三・四なら三・四というものを三・二に薄めても構わないわけですよ。往々にして、水よりはましですけれ
ども、脱脂乳を実際の乳に混入して薄めるわけですね。そうして処理して市乳として販売する。三・二というのはそこから出ているのですね。加工原料乳に使う場合は、何も三・二に薄める必要はないのですよ、そこからバターをとるとか脱脂乳をとるということをやるわけだから。わざわざ水で薄めて数量をふやして答えを小さくしなければならぬということは、どの点から考えてもそういう必要性というものはないのですよ。低乳価を実現する以外にこれは採用する必要のないところですからね。
ことしは
農林省としても、実際に
生産された搾乳量、これの一頭当たりの年間平均乳量を分母にして正確な答えを出すべきだと思うのです。会社の方は、三・二%を超えた分については、〇一%当たりわずか一円しか加算してないのですね。それが五年も六年も続いているのですよ。三・四四では、〇・二四%脂肪が多くても、これは〇・一%で一円だから二円四十銭しか合算されないのですね。水増しして割った場合も、搾乳そのままで持ってきても、脂肪分というのは変わりはないのです。これは一円なら一円というものは合算されるのが当然なわけです。三・四四%の場合、正式にやれば、水増しをしない場合はキロ当たり七円五十銭値段が高くなる。それに脂肪の多い分の二円四十銭を足せば九円九十銭、農家の手取り
価格というものはふえるわけですよ。こういう計算の根拠というのは、
生産費の場合、
農林省の統計情報部は、毎年毎年何のためにやっているのかわからないのですよ。実乳量は幾らということを統計上明らかにして、そのわきに三・二%換算で幾らという、必要のない
数字をわざわざ公表するでしょう。
畜産局は得たりと、その方の換算数量を使って、いかにもこれがあたりまえだ、何が文句あるかというようなことで、これを使っておるわけですね。
とにかく
農林省としても、値段が上がる余地はないとか、下がりますよとか、もう来年から余り
生産してもらっても困る、米並みに
生産数量を抑えますとか、盛んにおどかしているでしょう。その前に、正すべきものはちゃんと正すということでやるべきだと思うのですね。皆さん、座って聞いているからわかるだろうけれ
ども、これが
一つです。
その次は、北海道が対象ということになれば、えさですね。飼料費の内容というものは非常に変わってくるのですよ。恐らく統計情報部の部長も来ておると思いますが、北海道の飼料の割合は、
自給とそれから購入の区分は、恐らく
自給が六〇%を上回っておるのじゃないかと思うのですよ。この
自給の大
部分は粗飼料ということになるわけです。そうなると、えさ代の
自給飼料あるいは粗飼料の適正な評価というのは、非常に
価格を左右する大きな要因になるわけです。この
自給飼料については、
自給飼料作物の
生産に対する別の費用価計算でやっておるわけだから、購入飼料とは、同じ単位で計算すると全然
価格が違うわけですからね。だから、たとえば統計の資料を見ても、北海道における牧草のオーチャードとかチモシーを収穫して、乾燥して、ちゃんと畜舎に収納するまでの経費が、乾牧草一キロ当たり約十五円ないし十六円ということになっておるのですね。ところが、これが同じ地域で販売された場合、
生産者という立場で牧草を販売する、それから
畜産農家がこれを購入するという
価格は、一キロについて大体三十円ないし四十円になっておるわけです。そうすると、本来は購入しても
自給であっても、飼料の価値に変わりはないわけですから、費用価計算だけによるところの半分ぐらいの額の低い飼料費を、そのまま加工原料乳やあるいは畜肉の
生産費に計上するということは、非常に問題があるわけですよ。特に二十二日、飼料部会を開いたわけでしょう。その答申とかあるいは
畜産局長の
説明の中にも、今後もできるだけ
自給飼料の拡大を図る、あるいは米の転作関係についても飼料化の
方向に
施策を講ずるということを言っておるわけですね。そういうことになれば、
水田地帯で
生産された牧草とか飼料、これはやはり経済価値を与えて販売するとか何かしなければ収益にならぬですから、こういう点についても、家畜の飼料としての
自給飼料の
価格評価というものは、この際やはり根本的に理論づけをしてやる必要があるのではないか。私の以前から言っているのは、これは可消化養分総量、TDN方式によって、飼料の
需給計画や何かも全部可消化養分に換算した場合は幾らというのが載っているわけだから、そういう計算のできる能力が
農林省にあるわけだから、それを使って飼料費の計上というものはきちっとやる必要がある、そういうふうにできるだけ統一したものにしろということなんです。
その他、先般も言いましたが、北海道ということになれば、専業
酪農家の固定化負債が非常に多額なわけです。去年も乳価を上げるかわりに、負債整理等についても経済局として相当な配慮をしたことは私も承知しておりますが、この借りかえ等だけで減るものではないのですね。だから、焦げついた
酪農家の多額のもの、全道平均、一戸当たり千四百万以上ですからね。そういうものも、専業
酪農家の場合には、生乳の
生産とかあるいは畜肉の販売の中から元金を払うとか利子を払うということ以外に返済の道がないわけですから、
生産費を計算する場合には、やはり実態を把握してきちっとやる必要があると思うのですよ。
最後になりますが、自家労働の計算にしても、
自給飼料だけは別途の賃金評価をしているわけですから、これが畜肉とか生乳の
生産手段の一環であるということになれば、その枠内において農家の投入した自家労働というものは、同二方式によって労賃を計上するのが当然だと思うのです。金額にしてわずか何十銭とか一円幾らとか、そういうことにこだわって一銭でも安くすればいいということは、
農林省の役人である以上はとるべき姿勢じゃないと思うのです。
まだいろいろありますけれ
ども、ちょうど予定の二時半ですから、きょうはこの程度にいたしますが、実効が上がらぬ場合はまた次回に
質問をするし、
答弁の足りぬところは後で資料で提出してもらいたいのです。
いま私の挙げた重要な諸点等について、
畜産局長からあるいは関係
局長から率直な
答弁をしてもらいたい。