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1978-02-09 第84回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十二年十二月十九日)(月 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 金子 岩三君    理事 片岡 清一君 理事 菅波  茂君    理事 山崎平八郎君 理事 竹内  猛君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       加藤 紘一君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    倉成  正君       國場 幸昌君    佐藤  隆君       玉沢徳一郎君    中野 四郎君       羽田  孜君    羽田野忠文君       平泉  渉君    福島 譲二君       堀之内久男君    三原 朝雄君       森   清君    森田 欽二君       小川 国彦君    角屋堅次郎君       柴田 健治君    島田 琢郎君       新盛 辰雄君    高田 富之君       野坂 浩賢君    馬場  昇君       日野 市朗君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君       田中 角榮君     ――――――――――――― 昭和五十三年一月二十一日  金子岩三委員長辞任につき、その補欠として  中尾栄一君が議院において、委員長選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 昭和五十三年二月九日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 片岡 清一君 理事 羽田  孜君    理事 林  義郎君 理事 山崎平八郎君    理事 竹内  猛君 理事 馬場  昇君    理事 瀬野栄次郎君 理事 稲富 稜人君       江藤 隆美君    加藤 紘一君       金子 岩三君    久野 忠治君       熊谷 義雄君    倉成  正君       國場 幸昌君    佐藤  隆君       玉沢徳一郎君    羽田野忠文君       平泉  渉君    福島 譲二君       堀之内久男君    森   清君       森田 欽二君    小川 国彦君       角屋堅次郎君    柴田 健治君       島田 琢郎君    新盛 辰雄君       野坂 浩賢君    芳賀  貢君       日野 市朗君    松沢 俊昭君       武田 一夫君    野村 光雄君       吉浦 忠治君    神田  厚君       津川 武一君    菊池福治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 中川 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  今井  勇君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林大臣官房技         術審議官    川田 則雄君         農林大臣官房予         算課長     田中 宏尚君         農林省農林経済         局長      今村 宣夫君         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         農林省食品流通         局長      犬伏 孝治君         農林水産技術会         議事務局長   堀川 春彦君         食糧庁長官   澤邊  守君         林野庁長官   藍原 義邦君         水産庁長官   森  整治君  委員外出席者         国土庁計画・調         整局計画課長  星野 進保君         外務省アメリカ         局北米第二課長 福田  博君         大蔵省主税局税         制第二課長   水野  勝君         農林大臣官房審         議官      小島 和義君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   松尾 道彦君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員異動 昭和五十二年十二月十九日  辞任         補欠選任   高田 富之君     芳賀  貢君 昭和五十三年一月二十日  辞任         補欠選任   菅波  茂君     林  義郎君   中野 四郎君     中尾 栄一君 同月二十六日  辞任         補欠選任   三原 朝雄君     江藤 隆美君   津川 武一君     不破 哲三君 同月二十七日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     津川 武一君 同月二十八日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     山田 芳治君 同日  辞任         補欠選任   山田 芳治君     日野 市朗君 二月六日  辞任         補欠選任   玉沢徳一郎君     根本龍太郎君 同日  辞任         補欠選任   根本龍太郎君     玉沢徳一郎君 同月七日  辞任         補欠選任   新盛 辰雄君     兒玉 末男君   武田 一夫君     矢野 絢也君 同日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     新盛 辰雄君   矢野 絢也君     武田 一夫君 同月八日  辞任         補欠選任   新盛 辰雄君     岡田 春夫君 同日  辞任         補欠選任   岡田 春夫君     新盛 辰雄君     ――――――――――――― 同月九日  理事今井勇昭和五十二年十一月三十日委員辞  任につき、その補欠として羽田孜君が理事に当  選した。 同日  理事美濃政市昭和五十二年十二月十七日委員  辞任につき、その補欠として馬場昇君が理事に  当選した。 同日  理事菅波茂君一月二十日委員辞任につき、その  補欠として林義郎君が理事に当選した。     ―――――――――――――一月十九日  農業の新生産調整計画撤回等に関する請願(吉  原米治紹介)(第一六五号)  農業基本政策確立に関する請願椎名悦三郎  君紹介)(第一八二号)  農畜産物輸入規制に関する請願椎名悦三郎  君紹介)(第一八三号)  水産物輸入規制に関する請願椎名悦三郎君  紹介)(第一八四号)  スルメイカ資源の回復に関する請願椎名悦三  郎君紹介)(第一八五号)  幼稚魚保護対策早期実施に関する請願椎名  悦三郎紹介)(第一八六号)  漁業権侵害に対する罰則強化に関する請願(椎  名悦三郎紹介)(第一八七号)  加工原料乳生産者補給交付金対象枠拡大に関  する請願椎名悦三郎紹介)(第一八八号) 同月二十三日  水産庁釣り人課新設に関する請願瀬野栄次  郎君紹介)(第三四三号) 同月三十日  牛乳販売業者の経営安定に関する請願中尾栄  一君紹介)(第四四六号)  水田利用再編対策に関する請願丹羽喬四郎君  紹介)(第四六五号)  国民のための国有林経営に関する請願安島友  義君紹介)(第五一四号)  同(井上一成紹介)(第五一五号)  同(池端清一紹介)(第五一六号)  同(大島弘紹介)(第五一七号)  同(岡田利春紹介)(第五一八号)  同(加藤万吉紹介)(第五一九号)  同(川崎寛治紹介)(第五二〇号)  同(川本敏美紹介)(第五二一号)  同(沢田広紹介)(第五二二号)  同外一件(新村勝雄紹介)(第五二三号)  同(竹内猛紹介)(第五二四号)  同(栂野泰二紹介)(第五二五号)  同(西宮弘紹介)(第五二六号)  同(松本七郎紹介)(第五二七号)  同(山口鶴男紹介)(第五二八号) 二月四日  国民のための国有林経営に関する請願伊賀定  盛君紹介)(第五四七号)  同(小川仁一紹介)(第五四八号)  同(斉藤正男紹介)(第五四九号)  同(渋沢利久紹介)(第五五〇号)  同(新村勝雄紹介)(第五五一号)  同(田邊誠紹介)(第五五二号)  同(武部文紹介)(第五五三号)  同(只松祐治紹介)(第五五四号)  同(野口幸一紹介)(第五五五号)  同(広瀬秀吉紹介)(第五五六号)  同(松沢俊昭紹介)(第五五七号)  同(山花貞夫紹介)(第五五八号)  同(川口大助紹介)(第五八五号)  同(栗林三郎紹介)(第五八六号)  同(田畑政一郎紹介)(第五八七号)  同(伊藤茂紹介)(第六四一号)  同(小川国彦紹介)(第六四二号)  同(新盛辰雄紹介)(第六四三号)  同(鈴木強紹介)(第六四四号)  同(馬場昇紹介)(第六四五号)  同(渡辺芳男紹介)(第六四六号)  同(矢山有作紹介)(第六七三号)  同(吉原米治紹介)(第六七四号)  同(水田稔紹介)(第六八三号)  同(八百板正紹介)(第六八四号)  同(渡部行雄紹介)(第六八五号)  農畜産物貿易自由化阻止等に関する請願(藤  田義光紹介)(第六七一号)  米国材等外材適正輸入に関する請願藤田義  光君紹介)(第六七二号)  小麦粉米粉源泉混入反対に関する請願(佐々  木良作紹介)(第六八六号) 同月七日  小麦粉米粉源泉混入反対に関する請願(小林  正巳君紹介)(第七一九号)  同(土井たか子紹介)(第八四六号)  国民のための国有林経営に関する請願(阿部未  喜男君紹介)(第八〇二号)  同(後藤茂紹介)(第八〇三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月六日  食糧備蓄法制定に関する陳情書  (第五五号)  米の消費拡大に関する陳情書  (第五六号)  予約限度超過米全量買い上げに関する陳情書  (  第五七号)  水田利用再編対策に関する陳情書外二十五件  (第五  八号)  農畜産物輸入抑制等に関する陳情書外二件  (第五九  号)  林政の転換に関する陳情書外二件  (第六〇号)  林業振興に関する陳情書外四件  (第六一号)  木材価格安定に関する陳情書外一件  (第六二  号)  森林病害虫等対策拡充強化に関する陳情書  (第六三号)  石川県に全国植樹祭誘致に関する陳情書  (第六四号)  漁業基本法制定に関する陳情書  (第六五号)  北方漁業の大規模減船に伴う救済措置に関する  陳情書外一件  (第六六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件(農林水産業の基  本施策)      ――――◇―――――
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、はからずも私が農林水産委員長の重責を担うことになりました。  御承知のように、国民生活基本をなす農業食糧問題は引き続き当委員会中心的課題でございます。また、わが国農林水産業体質強化を図らなければなりません。  このような当委員会の重要な使命にかんがみ、委員皆様方の格別の御協力と御鞭撻を賜りまして、委員会の円滑な運営に努め、微力ながらその職責を果たしてまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。  簡単でございますが、委員長就任のごあいさつといたす次第でございます。ありがとうございました。(拍手)      ————◇—————
  3. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が三名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、理事に       羽田  孜君    林  義郎君       馬場  昇君 を指名いたします。      ————◇—————
  5. 中尾栄一

    中尾委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち  一、農林水産業振興に関する事項  二、農林水産物に関する事項  三、農林水産業団体に関する事項  四、農林水産金融に関する事項  五、農林漁業災害補償制度に関する事項 以上の各事項について、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を要求することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 中尾栄一

    中尾委員長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  農産物価格等に関する調査のため、小委員十九名よりなる農産物価格等に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って公報をもってお知らせすることといたします。  次に、小委員及び小委員長辞任の許可、補欠選任並びに小委員会におきまして参考人出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人出席を求めることとし、その人選及び出席日時、その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  11. 中尾栄一

    中尾委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、中川農林大臣から、農林水産業基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。中川農林大臣
  12. 中川一郎

    中川国務大臣 農林水産委員会の開催に当たりまして、私の所信の一端を申し述べます。  最近のわが国経済社会動向を見ますと、わが国は過去数カ年にわたる経済社会の波乱と停滞を乗り越えて、安定成長社会への道を全力を傾けて切り開いていくことが強く求められております。資源問題、通商上の摩擦の増大等多くの制約を克服し、均衡のとれた安定社会へ大きく転換していかなければならないのであります。  かかる状況のもとに、農林水産業は、国民生活安全保障にかかわる食糧を安定的に供給するという使命のほか、健全な地域社会維持形成国土及び自然環境の保全という重要な役割りを担っております。こうした農林水産業役割りは、わが国経済社会が、今後、健全にかつ調和のとれた姿で発展していく上で不可欠のものであり、まさに農林水産業の発展なくしてわが国の真の繁栄はないと申しても過言ではありません。  しかしながら、最近における農林水産業を取り巻く内外の諸情勢には、まことに厳しいものがあります。  国際的には、昨年来わが国の大幅な国際収支黒字等をめぐって、農林水産物貿易問題がきわめて厳しい状況にあり、一方、わが国農業の現状を見ると、高度経済成長の過程を通じて労働力土地が流出し、都府県においては、過半数の農家が第二種兼業農家になるなど、その体質は脆弱化しております。  また、農業生産動向も、米が再び過剰の状態を強める一方で増産の必要な飼料作物、麦、大豆等生産が伸び悩むという事態が見られ憂慮されております。  林業につきましても、近年、木材需要の伸び悩む中で、外材輸入に主導され需給緩和基調にあり、木材価格低迷等国内林業を取り巻く経済条件は一段と厳しさを増しております。  さらに、水産業につきましても、一昨年、昨年と米、ソ、加、EC等の二百海里水域設定が相次ぎ、二百海里時代の幕あけとなり、総漁獲量一千万トンのうち外国の二百海里内において四百万トン近くを漁獲しているわが国は、多大の影響を受けたところであります。今後は、さらに南太平洋諸国等における二百海里水域設定、あるいは既設定国による漁獲割り当て量等制限強化が予想されるところであります。  このような情勢を見るとき、将来にわたり国民食糧安定供給農林水産業振興を図るため、総合的な政策を強力に推進することが、いまや緊急の課題となっていると言わなければなりません。  まず、農林水産行政展開に当たっての基本的態度について申し述べたいと思います。  私は、農林水産行政基本は、農林漁業者が誇りと生きがいを持って農林水産業にいそしめるようその体質強化を進め、国内生産可能なものについては極力国内で賄うよう総合的な自給力向上を図ることにあると考えており、わが国国土資源等制約から今後とも海外に依存せざるを得ない農産物の安定的な供給と相まって国民食糧安定確保国民生活の安定に資するよう努めてまいりたいと考えております。  農政の当面の課題は、米の過剰の問題であり、私は米の需給均衡を回復するための対策全力を傾ける決意でありますが、これは単に米の減産を目的とする後ろ向きの対策として実施するのではなく、総合食糧政策基本的考え方に立脚して、国内資源に依存する食生活への誘導を図る観点から米の消費拡大を積極的に推進しつつ、自給力向上の主力となる作目中心農業生産を再編成し、日本農業の新たな展開を図るということで対処してまいりたいと考えております。また、その確実な実施食糧管理制度を堅持するゆえんでもあると考えております。  また、農産物貿易問題につきましては、最近の国際収支大幅黒字等を背景に、米国等の諸外国からわが国に対し輸入拡大の要請が一段と強くなっております。本問題につきましては、わが国経済の置かれた非常な事態にもかんがみ、農林水産業関係においてもできる範囲の協力は必要であると考えていますが、水田利用再編対策等総合食糧政策農家経営の安定に支障を与えないことを基本として対処していく方針であります。  さらに、以上のような見地に立って農林水産行政を推進するに当たっては、私は、農林漁業者はもとより消費者対策に配慮する等幅広く国民の理解を得ながら進めることが大切であると考えております。  私は、以上申し述べたような基本的考え方に立って、従来から進めている総合食糧政策を一層強力に推進することを基本とし、需要に即応した生産増大農林水産業生産基盤及び生活環境整備価格の安定と所得の確保生産担い手及び後継者確保等各般施策を推進してまいる所存であります。  次に、昭和五十三年度の主な農林水産業施策について申し述べたいと思います。  第一に、需要動向に即応した農業生産の両編成を進めることが必要であります。  まず、当面の農政の最大の課題となっております米につきましては、稲作志向がきわめて根強い一方で需要の減退が続いているため、再び生産調整開始時期の昭和四十五、六年当時のような事態を招きかねない状況にあり、今後米需給均衡を図るためには、需要増大を積極的に図るとともに、従来の水準を大幅に上回る規模生産調整を行う必要がある情勢となっております。  他方、飼料作物、麦、大豆等増産の必要な農産物国内生産は依然として伸び悩んでおり、生産拡大のためには一層の努力が要請されております。  このような情勢にかんがみ、昭和五十三年度より、長期的視点に立って、米の消費拡大を積極的に推進しつつ、米の生産を計画的に調整し、飼料作物、麦、大豆等生産拡大とその農業経営における定着化を図り、もって需要動向に安定的に対応し得る農業生産構造確立を期するための米需給均衡化対策を推進することとしております。私としては、このため、構造生産価格等のあらゆる施策を活用し、関係各位の御協力を得てぜひとも本対策の確実な実行を期してまいりたいと考えております。  また、麦につきましては、麦作集団育成土地条件整備米麦一貫栽培推進等を図るとともに、野菜、果樹、養蚕、大豆甘味資源作物その他の畑作物につきましても振興対策を強力に推進することとしております。さらに、畜産につきましては、特に、畜産団地育成事業拡充飼料自給力強化を図ってまいることとしております。  第二に、需要動向に即応して農業生産の再編成を図るため、その基礎的条件である農業生産基盤について、水田利用再編及び畑作振興に重点を置いてその整備強化を図ってまいることとしております。  このため、灌漑排水事業圃場整備事業等により水田汎用化を積極的に推進するとともに、畑作振興に資するため、畑作振興に必要な基盤整備事業を重点的に実施することとするほか、新たに、畑地帯水源整備事業実施することとしております。  また、農用地開発事業積極的推進を図るため、農用地開発公団事業拡充国有林野等の活用による開発適地確保農林地の一体的な開発整備等を進めてまいる所存であります。  さらに、優良農用地確保し、計画的な土地利用を進めるため、農振法、農地法等の適切な運用を図るとともに、農地保有合理化促進事業強化することとしております。  第三に、農産物価格安定対策について申し上げます。  需要動向に即応した農業生産の再編成を進めるためには、生産対策構造政策等各般施策と相まって価格政策役割りが重要であり、このため、農産物相互間の相対収益性改善に留意しつつ、各種農産物価格安定制度の内容を改善するとともに、その適切な運用を図ってまいる所存であります。  まず、米価につきましては、食糧管理制度の適正、円滑な運営に資することを旨とし、このためにも、諸般の経済事情に配慮しつつ、引き続き売買逆ざやの段階的解消等適切な価格決定を行ってまいりたいと考えております。  また、米以外の麦、野菜、果実、生糸、大豆甘味資源作物畜産物等についてもそれぞれの価格安定制度の適正な運営に努め、米ばかりに偏ることなく農業生産需要動向に即応して再編成されるような条件作りを進めてまいりたいと存じております。  第四に、私は、需要動向に即応した農業生産の再編成を進めるためには、これを担う主体の側面から、農業への意欲と能力を有する中核的担い手となる者の育成後継者確保を図ることが肝要であると考えております。  このため、地域の実情に即し、農業者自主性創意工夫を生かして、担い手中心とした農業組織化土地利用管理適正化地域農業複合化生産条件及び生活環境整備等を総合的に行う新たな農業構造改善事業を行うとともに、従来から進めている地域農政特別対策事業拡大実施することとしております。また、集団的生産組織育成農地保有合理化等を図ってまいることとしております。  さらに、すぐれた後継者確保するため、研修教育体制整備後継者育成に関する金融措置充実等を図ってまいることとしております。  第五に、農林水産業生産体制整備するため、農山漁村を活力に満ちた豊かで安定感のある地域社会とするような諸条件整備に努めてまいる考えであります。  このため、生産基盤とあわせて生活環境条件整備する農村総合整備モデル事業について第二期事業に着手するとともに、新たに林業及び漁業集落環境条件を総合的に整備する事業実施することとしております。  また、山村等振興対策農業者年金制度充実を図るとともに、生活改善普及事業農業者の健康対策、高齢者、婦人対策の推進を図ってまいることとしております。  第六に、農産物を適正な価格供給し、国民の消費生活の安定を図るため、流通加工の近代化、消費者対策拡充を図ってまいることとしております。  このため、卸売市場の整備、小売業の近代化等を進めるほか、特に、国民的関心の深い食肉流通につきましては、総合食肉流通体系整備事業拡充を図るとともに、新たに部分肉流通適正化施設設置事業及び食肉共同処理合理化事業実施することとしております。  また、わが国の風土、資源に適合した食生活の普及を図るため、米の見直しを基本として、消費者への啓蒙普及、学校給食における米飯給食の計画的拡充等を通じ、米の消費拡大を進めるとともに、牛乳消費の安定的拡大、多獲性魚等の消費拡大等に努めることとしております。  第七に、農林水産業生産力を高めるとともに、その生産性の向上を図るため、農林水産技術の開発と普及に努めてまいる所存であります。  このため、麦、大豆飼料作物等の安定的増収技術、畑地新管理方式等の開発研究、自然エネルギーの効率的利用、海洋牧場、地域農業複合化に関する試験研究を推進するとともに、これらの試験研究が効率的かつ高水準で行われるよう筑波研究学園都市における研究体制を整備することとしております。  また、農業生産の再編成に対応した農業改良普及事業展開を図るため、水田利用再編農業生産担い手育成地域農業組織化等についての指導を充実することとしております。  第八に、わが国国土資源の制約等から、海外に依存せざるを得ない農産物につきましては、輸入の安定的確保を図ることとしております。  このため、主要輸出国との緊密な情報交換、穀物等の安定供給に関する取り決めの円滑な履行、備蓄対策の推進を図ってまいることとしております。  また、開発途上地域等の食糧増産等を積極的に支援するとともに、これにより輸出余力が生じた場合にはこれをわが国への安定供給にも結びつけていくため、これらの地域への農林業開発協力を行うこととしております。  以上のほか、制度金融につきましては、北海道及び南九州における畑作営農改善資金制度の改善等農林漁業金融公庫資金の充実を図るとともに、農業近代化資金、農業改良資金等の拡充を図ることとしております。また、畑作物共済及び園芸施設共済の本格的実施農業災害補償制度の充実を図るほか、農林水産統計の整備充実等を図ることとしております。  次に、林業振興について申し上げます。森林・林業につきましては、近年、森林の持つ木材生産機能のみならず、国土の保全、水資源の涵養、自然環境の保全形成等公益的機能の維持向上と農山村地域振興の上からもその役割りに対する国民の要請が高まっております。  林業を取り巻く情勢につきましては、木材価格の低迷等一段と厳しいものがありますが、このような国民の要請にこたえ、その役割りを一層高めていくため、森林資源の整備林業振興を強力に推進してまいる所存であります。  このため、造林・林道等の林業生産基盤整備及び治山事業を計画的に推進するほか、林業構造改善対策、マツクイムシ対策、間伐対策の推進を図ってまいることとしております。  また、新たに林業労働者の就労の実態に即応した退職金共済制度の適用の促進を図るとともに、特用林産物の振興対策強化、森林組合制度の強化を図ってまいることとしております。  さらに、国有林につきましては、その経営がきわめて悪化しておりますので、その計画的改善に積極的に取り組むこととし、事業規模に見合った組織機構の簡素化及び事業運営改善合理化とあわせて、新たに国有林野事業の基盤の整備のため、一般会計資金の導入を行うこととしております。  次に、水産業振興について申し上げます。冒頭でも申し上げましたように、近年水産業を取り巻く諸情勢には、まことに厳しいものがあり、これに対処するため、水産施策を強力に展開する必要があります。  このため、まず、わが国周辺水域における水産資源の維持培養とその高度利用を図るため、資源調査拡充、沿岸漁場の整備開発、栽培漁業の充実を積極的に図ってまいることとしております。  また、遠洋漁業の新たな展開の場を見出すため、新資源、新漁場の開発を推進するとともに漁業外交の強力な展開、海外漁業協力積極的推進等により海外漁場の確保を図ってまいることとしております。  以上のほか、多獲性魚等の利用加工技術の開発等水産物の高度利用を推進するための施策を講ずるとともに、漁港整備事業及び沿岸漁業構造改善事業の計画的推進並びに流通、価格、経営対策、漁業公害対策等各般の施策充実を図ってまいる所存であります。  なお、特に水産行政機構の拡充強化を図るため、これら施策拡充強化とあわせて省名を農林水産省に改めるほか、わが国周辺水域内の漁業の振興を図る振興部の新設並びに養殖研究所及び水産工学研究所の新設を行うこととしております。  五十三年度予算におきましては、これらの施策を推進するために、必要な経費について、その重点的な確保に努めたところであります。  また、施策展開に伴い必要となる法制の整備につきましても鋭意法律案の作成を進めているところでありますので、本委員会においてよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。  以上、所信の一端を申し述べましたが、私は今日の農林水産業をめぐる厳しい情勢の中で、農林水産業体質強化し、総合的な自給力強化を図るため、全力を傾けてまいる覚悟であります。  本委員会及び委員各位におかれましては、農林水産行政推進のため今後とも御支援御協力を賜りますように切にお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
  13. 中尾栄一

    中尾委員長 次に、昭和五十三年度農林水産関係予算について説明を聴取いたします。今井農林政務次官
  14. 今井勇

    今井政府委員 昭和五十三年度農林水産関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十三年度一般会計における農林水産関係予算の総額は、総理府など他省庁所管の関係予算を含めて三兆五百六十七億円であり、前年度の当初予算額と比較して一五・八%、四千百六十六億円の増加となっております。  以下、予算の重点事項について御説明いたします。  第一に、食糧需要動向の変化に対応した農業生産の再編成に関する予算について申し上げます。  最近、稲作志向がきわめて根強い一方、米に対する需要が引き続き停滞しているため、米過剰の基調は一層強まっており、他方麦、大豆飼料作物等今後増産の必要な農産物生産は伸び悩んでおります。  このような状況を踏まえ、米の生産を計画的に調整するとともに、農地利用の中核的農家への集積を図りつつ、水田の高い生産力を活用して今後増産の必要な農産物生産拡大し、またその定着を図ることが肝要であります。このため、新たに昭和五十三年度以降おおむね十年間の対策として水田利用再編対策実施することとし、昭和五十三年度から昭和五十五年度までをその第一期として、各年百七十万トンに相当する水田を対象に転作等を推進することとしております。  また、本対策の円滑な推進に資するため、奨励補助金の水準を適正に定めるとともに、都道府県が地域の実情に応じて転作条件整備するのに必要な諸対策を機動的に実施するための転作促進対策特別事業を創設するなど水田利用再編対策として総額二千百十二億円を計上しております。  次に農業生産基盤整備については、農業生産の再編成を図るとともに、あわせてわが国経済特に農山漁村の景気対策にも配慮し、近年にない大幅な予算額の増大を図ったところであります。特に、水田利用再編対策畑作振興を強力に推進するため、圃場整備事業、畑地帯総合土地改良事業土地改良総合整備事業等を積極的に推進することとし、新たに水源工事を必要とする特殊土壌地帯を対象として畑地帯水源整備事業を創設することとしております。また、農用地開発事業の積極的な推進を図るため、補助事業の採択要件の緩和を行うとともに、農用地開発公団事業として、干拓地において農畜産物生産団地を形成するための事業を創設することとしております。これらを含めた農業生産基盤整備費として、総額七千二百八十二億円を計上しております。  次に、主要農産物振興対策について申し上げます。  まず、麦については、農作業の受委託、営農排水等営農条件整備等を総合的に行う高度麦作集団育成総合対策事業等を引き続き実施するとともに、新たに麦を取り入れた合理的輪作体系の確立畑作麦の担い手確保等を総合的に推進するための畑麦作集団育成特別対策事業実施することとしており、麦生産振興対策として総額百七十三億円を計上しております。  また、大豆甘味資源作物、特産農産物については、それぞれ既存事業拡充実施を図るほか、新たに、地域の実態に応じた大豆作の受委託を推進する事業、簡易な土地基盤整備、栽培の機械化等を推進するサトウキビ生産団地育成事業、営農的土地基盤整備、省力機械の導入等を行う特産畑作振興対策事業等を実施することとし、総額百十三億円を計上しております。  養蚕対策については、新たに桑苗主産地の育成及び罹病桑園の改善を推進する桑園生産改善緊急対策事業実施する等施策充実を図ることとし、総額三十九億円を計上しております。  また、野菜生産対策については、野菜生産供給の安定を図るため、野菜指定産地を中心とする集団的な野菜産地の育成強化対策を進めるとともに、地方都市周辺の地場野菜産地について、水田における野菜への転作の推進にも配慮しつつ、その維持育成を図るため、新たに地場野菜産地生産流通対策事業実施することとしております。なお、以上のほか、野菜の合理的輪作体系の導入定着の促進を図るための事業、園芸用廃プラスチックの適正処理を推進するための事業等についても、引き続き実施することとしております。  野菜価格対策については、水田利用再編対策の推進に資する観点からも制度の拡充を図ることとしており、指定消費地域拡大、補てん率及び保証基準額の引き上げ等価格補てん制度の改善、都道府県段階で行われている特定野菜価格安定事業の対象品目の拡大等を行うこととしております。  これら野菜対策として、総額三百二十三億円を計上しております。  果樹の振興対策について申し上げます。温州ミカンについては、その需給及び価格の安定を図るため、果実生産出荷安定基金を活用して、生産価格、流通にわたる総合的な対策を講ずることとしておりますが、特に加工原料用果実の価格補てん事業につき保証基準価格及び補てん率の引き上げ等を図ることとしております。また、新たに温州ミカンを中心として栽培の省力化、品質の向上等を図る柑橘産地の再整備対策実施するとともに、果汁仕向け量の増大に対応するため、果汁工場の主要施設の整備を新たに実施することとしております。リンゴ、桃、ナシ等の落葉果樹については、引き続き生産振興対策実施するほか、オウトウにつきましては、内外の諸情勢にかんがみ、生産、出荷の合理化対策拡充強化することとしております。これらを含めた果樹対策として、総額七十六億円を計上しております。  次に、畜産振興対策について申し上げます。  まず、飼料対策については、既存の畜産地域再編整備し、新たな畜産主産地の形成を図る公社営畜産基地建設事業の創設等により草地開発事業を積極的に推進するとともに、新たに飼料基盤の脆弱な大家畜経営の健全な発展を図り、また水田利用再編対策の推進にも資するため、土地条件整備飼料作物生産利用の合理化施設の設置等を行う自給飼料生産向上特別対策事業等を実施するほか、飼料穀物の備蓄対策及び配合飼料価格対策を推進することとしております。  酪農、肉用牛、養豚の各部門についても、団地育成事業拡充し、地域の実情に応じて他畜種を組み合わせた畜種複合型の団地の育成を図るとともに、牛肉生産体制を緊急に整備する必要があることにかんがみ、肉用牛団地育成事業につき計画の繰り上げ実施等を行うこととしております。また、家畜導入対策、家畜改良増殖対策充実にも努めることとしております。  畜産物の価格、流通加工対策については、肉用子牛の価格安定事業につき、保証基準価格及び補てん率の引き上げ等を図るとともに加工原料乳に対する不足払いの実施価格対策及び牛乳の消費拡大対策充実するほか、牛肉をめぐる内外の諸情勢にかんがみ、総合食肉流通体系の整備を繰り上げ実施するとともに、新たに部分肉の物流と取引の拠点としての部分肉センターの設置、食肉の小売店の協同組織による共同仕入れ、処理等を促進する食肉共同処理施設の設置等を行うこととしております。このほか、畜産振興事業団の指定助成対象事業においても牛肉の流通改善を図るための事業に要する経費を別途計上しております。  これらの畜産振興対策として、総額千四百九十七億円を計上しております。  以上のほか、農業機械の効率利用及び農作業の安全確保を総合的に推進する等の農業機械対策、畑地の重粘土等の不良土壌を改良する耕土改良対策等の地力対策実施することとしております。  第二に、農業構造改善地域農業振興に関する予算について申し上げます。  食糧需要動向の変化に対応した農業生産の体制を整備するためには、長期的視点に立って、農業への意欲と能力を有する担い手育成後継者確保を図るとともに、これら担い手後継者への土地利用の集積による農業生産構造改善を推進する必要があります。  このため、地域の実情に即し、担い手中心とした農業組織化土地利用適正化生産条件及び生活環境整備等を総合的に推進する新農業構造改善事業を当面前期五カ年計画として総事業費一兆円の規模で発足させることとし、昭和五十三年度は、計画樹立を行うほか、水田利用再編対策の推進にも配意し、一部即着工を図ることとしており、総額五十六億円を計上しております。なお、第二次農業構造改善事業については、これを計画的に推進することとし、総額六百五十三億円を計上しております。  また、意欲的に農業に取り組む者の自主性創意工夫を生かして地域農業を推進し、担い手育成、農用地の利用増進等を図るため、地域農政特別対策事業等を拡大実施することとし、百三十六億円を計上しているほか、農地保有合理化促進事業の推進を図ることとしております。  農業後継者対策については、県の農民研修教育施設の計画的な増設を図るとともに、農村青少年活動促進対策等の推進を図るほか、農業後継者育成資金及び総合施設資金の貸付枠の拡大を行うこととしております。  第三に、農山漁村生活環境整備と福祉の向上に関する予算について申し上げます。  農林漁業の生産体制整備するためには、生産担い手である農林漁業者が居住する農山漁村を、活力に満ち、豊かで安定感のある地域社会とすることが肝要であります。  このため、農村地域を対象に農村総合整備モデル事業の第三期事業に着手するとともに、農村基盤総合整備事業を積極的に推進するほか、新たに林業及び漁業集落環境条件を総合的に整備する事業をモデル的に実施することとしております。  また、農山漁村における就業構造改善に資するため、農業就業改善総合対策の推進に努めるとともに、新たに生活環境整備、高齢者活動の推進等を行う山村地域農林漁業特別対策緊急補足整備事業実施する等山村等振興対策を促進することとし、所要の経費を計上しております。  農業者年金制度についても、農業者年金基金法を改正し、未納保険料の納付を特例的に認める救済措置を講ずる等制度改正を行うこととし、三百八十四億円を計上しております。  次に、農業者の健康の維持増進を図るため、農業者健康モデル地区育成事業等を推進するとともに、生活環境改善対策の一環として、新たに地域住民の共同作業により身近な生活環境整備を行う手づくりのむら整備事業実施するほか、農村婦人の福祉の向上に資するため農村婦人の家の増設等を行うこととしております。  第四に、食品流通加工の近代化と消費者対策充実等に関する予算について申し上げます。  農産物を適正な価格供給し、国民の食生活の安定に資するため、さきに申し上げましたように、野菜、果実、畜産物等について生産価格、流通加工対策拡充強化するほか、生鮮食料品の流通のかなめである卸売市場の整備について百六十四億円を計上しております。また、新たに食糧事務所の職員を活用して、食品の製造、流通段階における品質管理、価格需給動向の予察等を行う食品流通改善巡回点検指導事業実施する等食品流通の改善効率化等のための諸施策を推進することとしております。  消費者保護対策、食品産業等農林関連企業対策、生鮮食料品等小売業の近代化対策についても施策充実を図っております。  第五に、農林漁業金融の拡充に関する予算について申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫資金については、新規貸付計画額を六千三百二十億円に拡大するとともに、貸付限度額の引き上げ等融資内容の充実を図ることとしております。また、さきに申し上げました新農業構造改善事業について補助事業のほか融資事業実施するとともに、北海道及び南九州における畑作営農改善資金制度につき内容を改善して延長することとし、所要の法律改正を行うこととしております。  以上の貸付計画に関連し、同公庫に対する補給金として七百五十六億円を計上しております。  次に、農業近代化資金について、貸付枠四千五百億円を確保するほか、農業改良資金、林業改善資金、漁業近代化資金について、それぞれ三百二十億円、四十三億円、千億円と貸付枠の拡大を図っております。  第六に、森林、林業施策に関する予算について申し上げます。  森林、林業施策については、林業をめぐる内外の諸情勢に対処して、国内林業生産振興と森林の公益的機能の発揮とを調和させつつ、その強力な展開を図ることとしております。  まず、林業生産基盤整備については、林道事業として六百三十二億円、造林事業として三百三十八億円をそれぞれ計上し、事業の積極的な推進を図ることとし、新たに林道網の整備と一体的に林業集落の環境整備をモデル的に進める林業集落基盤総合整備事業に着手することとしております。  国土保全対策充実については、第五次治山事業五カ年計画の第二年度として、治山事業につき千百九十五億円を計上するとともに、森林開発公団による水源林造成事業のための出資金百四十八億円を計上しております。  次に、林業構造改善事業については、二百十億円を計上し、事業の進捗を図るとともに、新たに構造改善事業終了地域等において、間伐促進等のための生産基盤生産技術高度化施設等の整備に重点を置いた特別事業実施することとしております。  また、林業担い手たる林業従事者及び後継者確保を図るため、新たに、林業労働者の就労の実態に即した退職金共済制度の適用促進対策実施するとともに、林業普及指導事業の一環として総合的な後継者対策を講ずることとし、所要の経費を計上しております。  さらに、特用林産振興対策については、シイタケ、ナメコ等の特用林産物の安定的供給と農山村地域における住民所得の安定に資するため、樹林造成、生産、流通改善施設の設置に加えて、新たに生産基盤整備、広域流通基幹施設の設置等を含めた総合的な対策として拡充実施することとしております。  また、森林計画制度、保安林制度等の適正な運用を図るほか、マツクイムシの防除を計画的に推進することとし、森林病害虫等防除対策として五十二億円を計上しております。  以上のほか、木材の流通消費改善対策等についても、施策充実に努めております。  第七に、水産業振興に関する予算について申し上げます。  二百海里時代の到来に対処して、水産物の安定的供給確保わが国水産業振興を図るため、水産関係施策の大幅な拡充を図るとともに、水産行政機構の拡充強化を図ることとしております。  まず、わが国周辺水域内の水産資源の維持培養とその高度利用を促進するため、大陸棚斜面の未利用資源の調査等を含め、資源調査を大幅に拡充するほか、沿岸漁業の生産基盤である沿岸漁場の整備開発を積極的に促進することとしております。また、栽培漁業の推進を図るため、栽培漁業センターの施設整備等を促進するほか、沖合い養殖及び浮き魚礁等新方式による増養殖技術の開発を推進するとともに、サケ・マスふ化放流事業等を拡充することとしております。以上これらの事業に要する経費として、総額二百十八億円を計上しております。  次に、遠洋海域の水産資源開発と遠洋漁業の新たな展開の場を見出すため、海洋水産資源開発センターによる新資源、新漁場の開発調査拡大実施するほか、漁業外交の推進、海外漁業協力拡充等を図ることとし、これらの事業に要する経費として、総額百五十一億円を計上しております。  また、水産資源の有効利用を図るため、イワシ、サバ等の多獲性魚、オキアミに重点を置いた利用加工技術の開発を推進するとともに、多獲性魚等の消費の促進を図ることとし、所要の経費を計上しております。  漁港施設の整備については、第六次漁港整備長期計画に基づき、沿岸、沖合い漁業の基地の整備を重点としてその整備の促進を図るほか、漁港の整備とあわせて漁業集落の環境整備を行う漁業集落環境整備事業に着手することとし、漁港関連道の整備を含めて、総額千三百十四億円を計上しております。また、沿岸漁業構造改善事業についても、五十三億円を計上し、その計画的推進を図っております。  さらに、水産物価格、流通加工対策については、水産加工原材料の供給事情の著しい変化に対応し、新たに水産加工業の原材料の転換等を促進するため設備の導入を推進する等施策の推進を図っております。  また、最近の漁業を取り巻く国際環境の変化等の情勢に対処して、水産業経営の維持安定を図るために必要な長期低利の資金を融通するとともに、漁業近代化資金等制度金融を拡充することとしております。  以上のほか、農林水産業施策の推進のために重要な予算としては、試験研究費として八百三十六億円を計上するほか、農業林業水産業の普及指導事業及び生活改善普及事業について、総額三百七十八億円を計上しております。  また、農業災害補償制度の実施について千二百五十億円、農林漁業統計情報の整備充実に百七億円を計上しております。  次に昭和五十三年度の農林水産関係特別会計予算について御説明いたします。  まず、食糧管理特別会計については、国内米、国内麦及び輸入食糧につき食糧管理制度の適正な運用を図るとともに、国内産芋でん粉の価格の安定並びに飼料需給及び価格の安定を図るため、所要の予算を計上しております。特に、米の消費拡大を一層積極的に推進するため、米穀需要拡大宣伝事業充実を図るとともに、学校給食用米穀の特別売却の継続実施に加え、学校給食米飯導入促進事業の大幅拡充等を行うこととしております。食糧管理特別会計への一般会計からの繰入額は、調整勘定へ六千二十億円、国内米管理勘定へ二百八十八億円、農産物等安定勘定へ十九億円及び輸入飼料勘定へ五十四億円を計上しております。  また、農業共済再保険特別会計については一般会計から七百七十六億円を繰り入れることとしたほか、森林保険、漁船再保険及び漁業共済保険、自作農創設特別措置及び特定土地改良工事の各特別会計についてもそれぞれ所要の予算を計上しております。また国有林野事業特別会計については、国有林野における林道及び造林事業につき一般会計からの繰り入れを行う等の措置を講ずることとしております。  最後に、昭和五十三年度の農林水産関係財政投融資計画については、農林漁業金融公庫等が必要とするもの等総額六千八百九十九億円の資金運用部資金等の借り入れ計画を予定しております。  これをもちまして、昭和五十三年度農林水産関係予算の概要の御説明を終わります。
  15. 中尾栄一

    中尾委員長 以上で説明は終わりました。      ————◇—————
  16. 中尾栄一

    中尾委員長 農林水産業基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢俊昭君。
  17. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 いま新しい農林大臣の方から所信の表明がございました。私がまず最初にお聞きしたいことは、農林水産業振興を図るという所信表明でございましたけれども、経済企画庁が出しましたところの「昭和五十三年度の経済見通しと経済運営基本的態度」、これを見ますと、経済指標からいたしますと、鉱工業生産の指数が見通しといたしましては一〇六・八%、農林水産業生産指数が九七・八%、こういうぐあいに大変大きな開きが出るというところの見通しであるわけであります。そういう見通しの中で、今度新たに水田利用再編対策、こういうものを政府の方でおやりになるということになりますと、農業の経済の中に占めるところの割合というのが大変低下してくるんじゃないか、こんなぐあいに実は考えますが、この点大臣はどうお考えになっておるか、この点がまず一点であります。  それからもう一つの問題といたしましては、米の消費拡大ということを何回となくこの所信表明には言っておられるわけであります。しかし、一面におきましては逆ざやの解消、そしてもう一つは米価の面においても触れられておりまして、この文言からいたしますならば、生産者米価がどうも余りことしは引き上げが行われないような節が見られるわけなんでありまするが、そういう点からいたしまして、大臣は、現在の食糧管理法を守り、そして食管制度を堅持するという、そういう姿勢をお持ち合わせであるのかどうか、まずお伺いいたしたいと思います。
  18. 中川一郎

    中川国務大臣 まず、経済企画庁の経済見通しと運営についての計数的な問題でございますが、昨年は御承知のように農業は非常に大豊作であったことから、かなりよかったのでありますが、来年は、ことしに比べてそれほど期待ができないということでございます。  その中で再編対策でございますが、これは、御承知のように昭和四十四、五年ごろに七百万トンから余りまして、約一兆円の莫大な財政資金でこれを処理し、その後また一兆円かけまして生産抑制といいますか生産調整を行ってまいったわけでございます。なおかつ一昨年あたりから、年間百七十万トン、累積約五百万トンの過剰米が出る、今後も毎年百七十万トンはどうしても過剰ぎみである。そこで、消費拡大ということもずいぶん努力はいたしておりますけれども、どうしても過剰米を生じないためには百七十万トンは生産調整をしなければならない。この生産調整に当たっては、単に先ほど申し上げましたように米を減らすということだけではなくして、自給率の低い麦であるとか、あるいは大豆、そして飼料作物、北海道におけるビート、こういったような自給率を伸ばさなければならないものをこの際飛躍的に伸ばしていく、こういうことを組み合わせた水田再編対策を講じたところでございます。  一方、それでは米は一体どうなるのかということでございますが、私は、食管制度は堅持しなければならない、そのためにはいまのような過剰傾向というものを、これをなくして、やはり需給のバランスのとれたものにしていくことが絶対必要な条件である。それから逆ざやにつきましては、食管運営の上からいっても、これまた一遍になくすわけにはまいりませんけれども、年限を切ってだんだんなくしていくべきではないだろうか。それから米価についてはやはり所得補償方式によってしかるべく計算をされなければなりませんけれども、取り巻く情勢としては大幅な値上げというものはいかがかなあ、こういうことを感じております。  いずれにいたしましても、主食であります米が何と言っても安定的に国民供給される姿勢が必要であるというためには、食管を堅持しなければなりませんし、その運営はいま申し上げたようなことで適切に処理していくことが必要ではなかろうか、こういう態度で農政に取り組んでいきたい、こう思っておる次第でございます。
  19. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 農林省にお伺いいたしますけれども、いままでの生産調整、これは正式な名前からいたしますと、最初の四十六年から五十年まで、これは稲作転換対策、こういう言葉が使われておったわけであります。それから、その次には水田総合利用対策、こういう言葉が使われております。今度五十三年度から実施されまするところの対策というのは水田利用再編対策、大分名前が違っているわけであります。これは一体どういう法令によってなされるのか、まずお伺いしたいと思います。
  20. 野崎博之

    ○野崎政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように確かに名前は変わってきておるわけでございますが、需要動向に即応した農業生産の再編成を図るための米の生産抑制の徹底と水田利用の再編成ということで、今回は水田利用再編対策と言うておるわけでございますが、これは、こういう農林行政を徹底をさせるという意味の農林省設置法に掲げてある農林省の職務権限として行っているわけでございます。
  21. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 最近よく言われるわけでありまするけれども、国会軽視なんじゃないか、通達行政になっているんじゃないか、こういうことが言われるわけなんであります。中川農林大臣は役人行政というものに対しては反対しておられる態度を常に示しておられるわけなんでありまするが、そういう点からいたしますと、要するに、一片の通達によって、日本の水田をやっているところの農家にとっては大変大きな打撃のあるところのこういう政策というものを打ち出すに当たりまして、まだ国会では予算は審議の途中なんでありまして、成立していないわけなんであります。でありまするから、要するに、去年の十一月ですか十月ごろからいろいろと情勢が動いてきておりますけれども、その情勢が国会を先行して動くということについて一体どうお考えになりますか。行政機関というものが国会に先行して動く、これは確かに通達行政、官僚政治、こう言われてもやむを得ないのではないか、私はこう思うのですけれども、どうですか。
  22. 中川一郎

    中川国務大臣 この件につきましては、予算委員会でもずいぶん議論のあったところでございます。  まず通達行政でございますけれども、これを法律によってやったがいいかどうか、通達行政は役人先行ではないか、こういう議論でございますが、私も役人行政はなるべく少ない方がいい、こう思っておりますから、御趣旨には賛成でございますが、むしろこういうものは、役人がやるというよりは自主的に生産者が理解をしてこの生産調整をやるということが好ましいのではないか。消費のないところに生産というものはあり得ないわけでございますから、やはり自主的に米の需給バランスをとるという農民の協力、それに行政が協力をしていく、こういう趣旨でやるべきではないか。  法律の根拠は何かというと、農業基本法二条に、足りないものをふやすこと、増産していくこと、余ったものは生産の転換を図ること、第三番目に、輸入農産物に対処するような措置を講ずること、こういう事業農業基本法の第二条に書いてございます。第四条はこれを受けて、そういった施策を行うに必要な立法並びに予算措置を講じなければならない、こううたってございます。そこで、だからこれは必要なのではないかという議論がございましたが、法的解釈としては、必要な場合には、こういうふうに解釈できる。これは法制局の見解でもございます。  そこで、必要であるかどうかということでございますが、いま申し上げましたように、理解と自主的協力ということでやる上においては、法律でもってこれを強制するよりはむしろ行政的な御援助を差し上げて、そして生産調整をした方がいいのではないか、こう思って、法的よりはむしろ自主的な理解によって生産調整を行う、こういうことでございます。  その場合、予算に先行してやるというのはけしからぬという議論が二番目にございました。予算が決まらぬうちに大体このくらいの金を出して協力するぞ、だからひとつという、現在のところは案でございますけれども、示すというのはよくない、これも一つの議論でございますけれども、予算が決まりましてからこれをお願いしたのでは、まきつけとかあるいは営農計画に、種子、肥料の準備等、農家自体が協力したい、自主的にやりたいと思っても、もうできないということでございますので、こういう考え方でやっていただくわけにはいくまいかとお示しをして、正式に決定いたしますのは御審議をいただいて予算が通過した後、こういうことになるのでありまして、予算を無視してやったという御指摘もあると思いますが、実効あらしめるためには農家の方々に先にお知らせをする、特にこの点については農業団体あるいは地方自治団体からも先に示してもらいたいというむしろ生産者側の強い要請にこたえたということでございますので、御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
  23. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 昭和五十二年の十一月十九日の農林事務次官通達ですね。これには最後の方に確かに「内定」というふうにして書かれておりますけれども、これを受けたところの県知事は、「昭和五十三年度転作等目標面積及び昭和五十三年産米事前売渡申込限度数量の配分について(通知)」こういうことで市町村に正式な配分をしておるわけであります。そういうことになりますと、これは「内定」というふうにして次官通達は言っておりますけれども、受け取ったところの県知事は、これは内定じゃなしに正式なものとして受けとめている。そしてまた、それを受けたところの市町村長は、農家に対しましてやはり通知という形で各農家に配分をやっておる、こういう状態が現実に出ておるわけであります。しかも、この通達配分をやるに当たりましてはパンフレットだとかいろいろなものがたくさん出されております。私は、このことにつきまして、そういうパンフレットとか指導要領だとか、大綱だとか、その印刷物の経費というのは一体どこから出したのか。とにかくいまの生産調整というのは、さっきも申し上げましたように去年の生産調整とは違っておるわけでありますから、違ったところの予算というものは国会において議決をされなければ使われないということに憲法でなっておるわけだ。そういう点からすると憲法違反の行為を行政機関がやるということは一体何事だ、この点は大臣どうお考えになりますか。
  24. 野崎博之

    ○野崎政府委員 先ほど先生のおっしゃいましたのは、次の年の指導推進費を何でいまの予算から出しておるのかという御説問だろうと思いますが、これは従来もそういうことでやっておりまして、推進指導費の中には本年度分のいろいろな生産調整の推進費と、それから次年度の分の農民の方々の理解と協力を得るための広報宣伝だとか、あるいは推進指導とか、そういうような経費も両方が含まれておるわけでございます。これは従来も一緒でございまして、過去に米の生産調整から水田総合利用になった場合も同じようなかっこうで取り扱ってきたわけであります。
  25. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 これは明らかに、去年の生産調整とことしの生産調整は違うのでしょう。違うということになりますならば、やはり国会で予算が通らなければその金は使うというわけにはいかぬでしょう。憲法の八十三条には、「國の財政を處理する權限は、國會の議決に基いて、これを行使しなければならない。」明らかになっておるじゃないですか。そういう明らかになっておるものを何で先行して使うのかということです。私は具体的に協組を回りまして全部調べたのですよ。いままでの生産調整というのは総合利用対策というところの金なんだ。今度の生産調整は利用再編対策というところの金なんだ。はっきりと分かれているのだ。だから、分かれておるのに、その予算というのは国会ではまだ審議中なんじゃないか。しかも、十一月ということになりますと予算もまだ固まっていないじゃないか。固まっていないのになぜ憲法違反をやって金を使っておるのかということです。これが許されるということになれば、日本には国会というものは必要なくなる、こういうことになるんじゃないかと思うのです。大臣どうお考えになりますか。
  26. 中川一郎

    中川国務大臣 御質問の予算というのは二通りあるだろうと思うのです。一つは農家に差し上げる補助金、これはもちろん一銭もまだ使っておりませんし、予算が通りませんと、これは行使できないものでございますから、憲法違反の疑いはない。先に通知したらどうかということは、先ほど申し上げましたように円滑に推進するために内示をしたものでございますから、使用に当たっては当然国会の承認が要るわけでございます。それではそれを準備するための推進費、県の使っている金は一体どうなんだ。二番目の予算として出てくるだろうと思います。実はこの金は、五十二年度分で水田総合利用対策指導推進費補助金として、それぞれ県に生産調整のために行っておるわけでございます。その金の内容は、当該年度、五十二年度に必要な金と五十三年度の実施を進めるための準備費ということで行っておりますから、名前は変わりましても内容については、従来より量が少し多くなったことと、それから先ほど申し上げたように、足りない農作物をふやすということになったことと、また後に御議論があるだろうと思いますが、未速成部分は翌年これはまた責任を持ってもらうように指導する、こういうことが入っておりますけれども、経費が何にもないのを使ったのではなくして、五十二年度予算に基づいて御決定をいただきました予算を県に配分したその事務費をもってやっておるわけでございますので、憲法違反ということではない、こう解釈しておるわけでございます。
  27. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 まだ町村の方ではその金が配分されていないんですよ。配分されていないものだから町村で工面をして——だから、印刷物なんというのはまだ印刷屋に払っておりません、こう言うんだ、五十三年度の予算が成立してからその金が来るわけなんだから、そのとき払えばいいという、こういう処理の仕方を現実にはやっているのですよ。
  28. 中川一郎

    中川国務大臣 県に参りました金が市町村に行っているところもあるようですし、まだ行かないで前払いでやっているということになっておるところもあるようでございますが、市町村に御迷惑をかけないように今後措置をして対処してまいりたい、こう思う次第でございます。
  29. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 市町村に迷惑をかけてもらっちゃ大変困りますのですけれども、その前の議論といたしまして、やはりこの水田の利用再編対策の事務費というのは必要なんですよ。必要なんだから五十三年度の予算でいま審議をやっているわけです。だから、三月三十一日までの間に予算が通ってしまうということになれば、四月一日から使われるわけです。それまでは使われないじゃないかと言うのです。使ってはならないというふうに憲法でもまたちゃんと決まっておるじゃないかということですよ。要するに、それをいろいろな工面をして使っているから、これは憲法違反じゃないかということですよ。憲法でははっきりしているじゃないですか。だから、そういうやり方というのはやはり間違っているんじゃないか。しかも、その行為といたしましては、農林省の方では内定だと言っていますけれども、県や市町村の方では正式な通知だとして受けとめて作業をやっておるわけなんです。これはやはり、大臣日ごろ言っておられるように、官僚行政、役人行政、こういうことなんじゃないか、国会を軽視するところのやり方なんじゃないか、こういうぐあいに私は指摘しているのです。
  30. 中川一郎

    中川国務大臣 やり方その他については今後改善してまいりたいと思いますけれども、その方に重点を置いて、もし生産調整の配分ができない、御協力いただく仕組みができないとすれば、農家の皆さんにも将来的にはもっと御迷惑をかけることになりますから、やはり農家の皆さん方の御要望のありました事前に知らしてもらいたい、そしてこれは町村も県も国も協力してやらなければならないことであって、このことは全部国の事業である、したがって、かかった経費も全部国が持つという性格のものではない。したがって、補助金という形で県なり町村に行くものでございますので、やり方については改善はいたしますが、憲法や法律に違反したやり方ではない。運営改善については努力をしてまいりたいと存じます。
  31. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 時間がありませんから、これはまだ私の方としてはもっと詰めなければならぬところの問題だと思いますので、たな上げしまして、次に進みたいと思います。  それで農林省の方から資料が出ております「水田のうち田畑輪換利用が可能な水田面積」、これは全部で百七十七万四千ヘクタールというふうにして出ているわけであります。  そこでお伺いしたいわけでありますが、こういう面積というものが全国的に公平に配置してあるという場合におきましては、それなりに田を畑にする、そういうことはできるということになると思います。でありますけれども、そうでなしに、あるところでは水田を畑にすることができる、あるところではできない、こういう問題が全国的な立場から見ますと当然起きてくると私は思うわけであります。  そこでお伺いしますが、そういう水田が畑にならぬというところにもどうしても転作を強要しなければならない、こういう必要があるのでしょうか、どうでしょうか。
  32. 大場敏彦

    ○大場政府委員 水田のうち田畑輪換といいますか畑利用が可能な水田面積は、いま御指摘になりましたように全国ベースで言うと百七十七万四千ヘクタールということになっております。これも当然のことでありますが、北海道、東北、関東とかいろいろそういった地域区分によりまして、全体の水田面積の中に占める割合といいますか、構成比は違ってくるのは当然でございまして、濃淡というものは当然ございます。全国ベースで言いますと、大体水田面積の総トータルに対して五八・七%というような状況になっておるわけであります。  そこで、私どもが田畑輪換が可能な水田という形で把握しておりますその理由は、結局、夏作でございますが、夏の場合には水稲が植わっておりますから地下水位を把握できませんので、冬の間の地下水位七十センチということで把握してそういった面積を出しておるわけであります。いま御指摘になりましたように地域によってはあるいは圃場によっては当然そういった地下水位がもっと高いというところがあるわけでありますが、それについての転作の問題ということは確かにあるわけであります。しかしながら、これは一般的に申し上げた基準でございまして、作物の種類によりましてはもう少し高い地下水位でも十分に耕作は可能でありますし、あるいはもう少し掘り下げて言いますれば、地下水位ということも一つの考慮要素ではございますけれども、地域の傾斜によって地下水の流れる度合いといいますか排水度、冠水度の程度が低い、そういったものも大きな判断要素でございますので、地域によりましては地下水位はいま申し上げました七十センチ内というような要件を満たしてない圃場におきましても、作物の選択あるいは地下水と表面水の流れ方という形で対応できるたんぼはまだかなりある、こういうふうに考えております。
  33. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 局長気軽にそういうことを言っておられるけれども、それは話になりませんよ。農林省の方で田畑輪換のできるところの面積はこれだけだ、はっきりと出しておられるわけでしょう。逆に言うならば、それ以外のところは輪換ができないということを言っておるわけなんです。それを輪換のできないところにも割り当てをやってやれということは無理なんじゃないか、こういうことを私は指摘しているのです。農林省がみずからちゃんと資料を出して、そして輪換のできるのはこれだけの面積である、輪換のできないところの面積はその残りだ、こういう規定づけをやっておりながら、それならば輪換のできないところに割り当てするというのは無理な話なんじゃないか、こういう質問に対しまして、いやそれでも努力してやればいいじゃないかという話なんで、それじゃ話にならないということになるのじゃないですか、大臣。これは一体どういうことですか。大臣にお聞きします。
  34. 中川一郎

    中川国務大臣 実は、転作面積約四十万町歩を配分するに当たりまして、幾つかの条件、一つは地域指標、将来のあるべき姿をにらまなければいけない。もう一つ大事な点は、いま御指摘のありました排水を中心にして転作ができるかどうか。水田ならできるけれども畑作ではとてもできないというような点もありますから、そういうところが県によって違いますので、その点も配分面積のときに考慮をして配分した。したがって、転作しやすいところの県に面積が配分されるようになっている、こういうことでございます。  それで、個々の農家にいって、それじゃできないじゃないか、そう言われても、私のところはできませんよという農家に対しましては稲作転作特別事業というのですか、正式な名前はあれですが、百二十億円計上してございます。県がこの百二十億円を自主的に使って条件整備をしてできやすくするように努力していただく。なおかつどうしてもできない、いやおれは土地条件も悪いし転作したくないという人には、これまた管理転作という仕組みで農協に管理を委託をする、農協が集団的なり単独なりで条件整備して、そして中核的農家にまた転作をしていただく、こういうような幾つかの仕組みをつくりまして、できるだけできやすいようにする、こういうふうにして協力をお願いしておる、こういうわけでございます。
  35. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 もう一回聞きますけれども、さっき私が申し上げましたところの田畑転換のできるところの面積、これは農林省の方ではっきり出しておられるわけです。それに基づきまして県の方でも、転作できるところの可能面積というのはやはり、要するに農林省のこの面積の中から選び出して数を出しておるわけです。でありますから、これ以外のところは常識的においてやはり転作ができない、こういうふうに理解して差し支えないのでしょうか、どうでしょうか。
  36. 大場敏彦

    ○大場政府委員 先生が御指摘になりました面積、それから私がお答えいたしました面積は、要するに冬季の地下水位が七十センチメートル以下の水田という形でそういった面積を選んだわけであります。先ほどお答えいたしましたように、冬季の地下水位が七十センチメートルというふうに選んだ理由は、結局夏の作物の可能な地下水位をどの程度に把握したらいいかということで、五十センチメートル以下であるということが必要であるというふうに把握して、それを冬場の地下水位の面積から類推しているわけであります。  そこで、夏の五十センチメートル以下であるかどうかということで、以下のところでなければ転作ができないかどうかということになるわけでありますけれども、それにつきましては、もちろん五十センチメートル以下の方がいいわけでありますが、畑作物の中では地下水位が必ずしも五十センチメートル以下でなくとも十分栽培し得るものがあるわけであります。これは作物によってかなり差がありますが、そういうものもある。あるいは高畝栽培とかそういったことをやりますとかなり労力を要するということで、問題はあるわけでありますけれども、みぞ掘りだとかあるいは弾丸暗渠、そういった営農努力をすれば作物の湿害に対する生育条件改善することも可能である。そういう意味で、作物の選択あるいはそういった簡易な土壌条件改善等によって対応し得る面積はかなりある、こういうふうに考えておるわけでございます。
  37. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 わからないですね。それじゃこういう無責任な文書を出す必要はないじゃないか。私は、やはり常識的に栽培技術的な立場に立ってその転作可能面積というものが出されていると思うのですよ。無責任なものを農林省は出す必要はないんで、責任があるから責任あるところの文書を出しておられると思うのですよ。それに基づいて県の方でもやはりそういう立場に立ってちゃんとこういう指標というものをつくっておられるわけなんです。こういう点はやはりはっきりしておかなければならぬと思うのです。やはり技術的な立場からいたしまして利用再編可能面積、こういうものは県でも出しております。国でも出しておるわけなんでありますから、その面積のないところは転作ができないはずなんであります。転作ができないから農協管理でも何でもやってくれやということをいま農林大臣言われたわけでしょう。そういうことでしょう。転作のできないところに転作をやれと言うことは、男に子供を産めと言うのと同じですよ。そういう、大臣……(発言する者あり)まあちょっと聞いてください。そこで私はお聞きしたいわけなんでありますが、これに基づきまして私は現地で調べたんですよ。調べましたところが、五カ町村調べたんですが、そうしたらこういう結果が出てくるわけなんですね。要するに、ある市におきましては可能面積が四十ヘクタール、ところが転作目標面積というのが二百四十七ヘクタール、六倍であります。その隣の町が可能面積が三十五ヘクタール、そうして転作目標が百十三ヘクタール。その次が六ヘクタールしかないところに百二十二ヘクタール、その次は全然ないというところに百十九ヘクタール、こういうぐあいに出てきているわけなんであります。そうなると、ここは全くむずかしい話、こうなるわけなんであります。しかも、農林大臣は、そういうところは管理転作でもやってもらわなければならぬだろう、こういうお話でありますが、そこまでいけばこれは、転作というのは強制力を持っていないと私は思いますが、強制力を持ったところの新生産調整、そういう性格になるのじゃないか、こう思うわけなんです。  そこで、この生産調整というものの買い入れ限度数量、こういう問題はどこから端を発して出てきているかということになりますと、申し上げるまでもなしに売り渡し政令であります。この売り渡し政令ができた昭和四十六年、これはこの場におきましてみんなでやはりいろいろと政府と詰め合ったわけなんであります。そうしたら、当時の亀長長官は、予約限度数量を設けるのは生産調整の実効を期するためというねらいでやっておるものでありますが、生産調整そのものはもちろん法的強制力を持っているものではありません、政府の期待であります。こういうふうに答えているわけなんであります。それによって買い入れ限度数量というのが割り当てが行われておるわけなんであります。でありまするから、期待だけであって強制力はないわけなんであります。強制力がないのに転作のできないところは管理転作をやればいいじゃないかというのは余りにも無責任なやり方なんじゃないか、できっこないじゃないか。そうして、それをやらなかった場合においては次年度ペナルティーを実施するというような、そういうことは間違いであろう、私はこう思うわけなんでありますが、この点、どうでしょうか。
  38. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘のように、地下水位が高くてほかの作物ができない、そういうところにほかの作物をつくれと言っても無理じゃないか、これはまさにそのとおりだと思うのです。そこで、そういうことのないように、先ほど申し上げたように転作のしやすいところにたくさん御協力をいただく、こういう仕組みにしてまず第一段の調整を行っている。第三番目が、これまた従来にありませんでした転作促進対策特別事業、これは百二十億、当初百十億だったのですが、百二十億。これは大事なことだ、まさにいま御指摘ありましたように、地下水位が高くてできないというようなところには県知事さんが重点的に配分をして転作しやすいようにする、こういうことで思い切った予算をつけたのもまさにそのことにこたえるためである。それから第三番目に、絶対できないと雷ってみても、絶対できないかというと、たとえば畝を高くしてやるとかいろんな工夫をすればできないこともないのではないか、こういういろんな努力をして御協力をいただくのであって、そしてまさに、またどうしてもということになれば管理転作というような仕組みもないわけではない、こういう幾つかのことをやっておるわけでございまして、末端といいますか、現地に参りますと、いろいろな事情があろうと思いますが、全体的にはそれほど無理のない仕組みをいろいろと考えて御協力を願っているということでございます。恐らく全国としてもそういう配分をしておりますが、県は県でやはりいまの転換のできるかできないかも、また県内の調整において配分しているでしょうし、それで町村にまいりましてから今度は町村の中でも、農家単位でそういう苦労をしながら御努力願っているものだということで、できないものを絶対強制的にやれというようなことのないように、いま言ったような仕組みをさらに工夫しながら御協力を願えるようにしてまいりたい、こう思う次第でございます。
  39. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 それで、大臣に聞きますが、そういう不可能な場所に割り当てをやって、そしてそれができなかったと言ってペナルティーをやるということは、これはやはり強制ということになるんじゃないですか。
  40. 中川一郎

    中川国務大臣 このペナルティーという言葉がどこから出てまいりましたのかわからないのですが、私も英語が不得意ですから聞いてみたんですが、罰則ということだそうですか、生産調整やらないから罰則をかけるという仕組みではないのでございます。やはり公平確保の最小限度の措置として、いろんな理由で私はやりません、そして来年度はその分はまじめにやったというか協力した人にそれがおっかぶさっていく。それじゃ協力した人が、もう来年からやめた、いろんなことの理由でやらないやつをおれのところに持ってくるんだなということから、農家みずからの声として、やる以上はそれぐらいのことを公平を確保するという措置をやっていただきたい。農業団体その他ともいろいろ話した結果、実効あらしめるためには、まじめに実行した人と、全部がふまじめだとは申しませんけれども、いやおれはいやだということで協力しない人の間に不公平ができ、しかもそのできなかった分が正しくやった人の方に翌年以降かぶさってくる仕組みでは、この仕組みが成り立たない、こういうことをやったのであって、罰則でもってやらないからどうのこうのという仕組みではない。これが町村によっては、ペナルティーをかけるという言葉でパンフレットで出ておるというところからそういうことが出てまいったわけでございますが、そういうことでないことを農家の方々に御理解いただくように、今後われわれとしても指導をしてまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  41. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 これは町村が各農家に配ったところの文書なんでありますが、それによりますと、「五十三年度に実施しない、あるいは達成しない場合は、ペナルティ(罰則方式)であくまでも次年度以降に加算され限度数量も控除されます。」こういうのが出ているわけなんです。だから、農林省の方では、私たちはあくまでも御協力を願っているところなんであってそんなことしません、こう言っていますけれども、町村段階ではペナルティーというふうに受けとめているし、ペナルティーであるというふうにして受けとめていないのは政府だけなんですよ。あとは全部ペナルティーというふうな受けとめをやっているわけだ。また内容は、実際不利益をもたらすような措置をやることなんですから、これは常識的に言ってペナルティーということになるんじゃないですか。  要するに、そういう立場から考えると、転作のできないところ——政府がちゃんと面積は、転作ができるのはこれだけですよ、県もそれに基づいてこれだけですよと、そういうふうにしてちゃんと規定をしている。要するに、その規定をしている範囲から出て、転作のできないところの場所に転作をやれというのはこれは無理な話だ。無理だということであるとするならば、高畝をつくってやれと言う。高畝をつくってやったら採算がとれるかという問題です。とれないです。そんなことをやったって。採算のとれないことを強要するということもおかしいと思いますし、それもだめだったら農協に管理転作させたらどうか、これを強要するということもおかしいんじゃないかと私は思うんです。  ですから、そういう立場からいって、そういう場所にはそういう要するに強制力を持ったようなことはしないということをはっきりと言ってもらいたいと思うんですよ。道理にかなわない話を言っているんじゃないのであって、道理にかなった話なんじゃないか、私はそう思うんです。
  42. 中川一郎

    中川国務大臣 この仕組みについていろいろ議論のあるところでございますが、何も政府がやらないで面積だけ割り当てたのではなくして、反四万円から最高七万円というげたをはかして経済的立場を配慮しておる。アメリカなどでも参考に聞いてみたのでございますが、小麦の過剰生産という場合、生産調整をお願いして、生産調整をお願いした分については何らの助成措置を講じていないんです。講じておるのは、割り当てに従った人は、残った面積は、政府がある程度の下支え価格でありますか、いま一俵千三百円とちょっと聞いておりますが、数字はまた別として、買い上げて差し上げますよ、市況が下がりましても、転作に協力した人はあるいは休耕に協力した人は買って差し上げますよという仕組みであって、休んだその者に四万円から七万円という血のにじむ国民の税金で御協力を願って、農家の経済の悪くなった点をカバーして差し上げておる、こういうことも配慮していただくならば、生産調整が、何もこれは政府のためにやるんじゃない、やはり日本の食糧を安定的に国民確保するんだ、これは国だけの責任じゃなくて、県も町村も農家の皆さんにもあるんだろうと思うんです。そこで最大の御協力をいただいて、配分に当たってはいま言うような、できないところにはなるべくやらないようにする、そしてまたいくようになった場合には、排水をやってこれに協力をする。こういうことをやっていけば、部分的にどうしてもできないところに無理ということがあろうかと思いますが、全体としては私はこれはできない数字ではない、こう見ております。  しかし、現実やろうと思っても、絶対できないというような例外的なことが認知されるような仕組みでもあれば、私は考えて結構だと思いますが、それを理由にして、おれもできないんだ、あれもできないんだということで、この仕組みができなくなるというようなことになれば、政府が困るだけじゃなくて、やがて農家も困ることでございますので、その辺のところはみんなで後ろ向きじゃなくて前向きで工夫をして、その中に何かまたどうしてもということがあれば考えられますが、ペナルティー方式と言われておりますこの方式は、私どもはペナルティーだとは思っておりませんが、前年度できなかった分は後年度はやはりやっていくんだ、ことしは排水が悪くてできなかったが、来年はひとつ県庁とも相談をして排水をして、来年は私はこれはやっていくんだ、こういう仕組みにしていくことが実効あらしめる方法でございますので、御理解と御協力をいただきたいと存じます。
  43. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 いま大臣の方からちょっとお話がありましたけれども、どうしてもということになればこれは考えなければならぬ、こういうお話ですね。そこで、いま申し上げましたように、まるっきり政府の転作可能面積の中に入っていない、ゼロという町村があるのですよ、現実に。そこへ百十九町歩の転作面積の割り当てがきているのですよ。こういうようなことはやはりできないのだから、できないのをやれと言ったって無理な話ですね。そういうのはやむを得ないじゃないか、こういう点はやはりはっきりしてもらわなければ困ると思うのです。
  44. 中川一郎

    中川国務大臣 そういうところは排水もできないところでしょうか。やろうと思っても排水もできないから困るというならわかりますが、ことしは排水は間に合わないけれども、来年排水を掘っていただくならば、たとえば七%来たならば、ことしはできないが来年一四%は排水さえやってくれればできますからどうぞ県知事さん排水をしてください、こう言えば、そういう仕組みはありますから、やろうと思えばできるのじゃないか。排水まで絶対できないんですという地域ならばこれは無理な割り当てでございますけれども、排水不可能地というところはまずまずないのではなかろうかと思いますので、そういうところは、ひとつ県知事に常々と排水の黄門をいただきますという仕組みで御協力いただきたいと思うわけでございます。
  45. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、午後一時二十五分より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時二十六分開議
  46. 中尾栄一

    中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。松沢君。
  47. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 そこで、午前中に大臣の方からも、転作の条件のないところはそれなりに考える必要もあるのではないかというお話でございましたが、私は、やはり農林省が出しましたところの文書というのは責任のある文書だと思いますが、その点は、どうでしょうか、たとえばいまお話ししておりました「水田のうち田畑輪換利用が可能な水田面積」、これは出ているわけですから、これは無責任な文書ではないと思います。大臣、そういうふうに確認して差し支えないでしょうか。
  48. 中川一郎

    中川国務大臣 先ほど来御議論ございましたが、新潟県の場合は確かに水田主作地帯でして、畑作をやるのには非常にやりにくい土地が多いだろうと思うのです。したがって、出た結果も生産調整の面積が、あれはたしか一四%前後でございますけれども、一番多いところの私の選挙区北海道では三五%になっているわけです。新潟県はそういう事情であるから、たしか一番少ない方の六%か七%だったと思います。ですから、全国的に見て、いま言う土地条件が悪いということ、そのほかの条件もありますけれども、恐らく日本で最低の方の生産調整の割り当てになっているわけです。したがって、土地条件の悪いことはわかりますけれども、割り当てされた面積も非常に少ないというので、消化はできるのではなかろうかな、県全体としては少なくとも七%程度のものはできる。しかし、今度は県が町村に配分する場合、これまた町村ができないような面積の配分はないのではないかと思いますが、先ほど来御指摘があって、ゼロのところへ何がしかの生産調整が来たということになると、それではできないじゃないかという御議論でございますから、それに対しては、土地改良を来年、できればことしお願いする。そうすれば、ことしか来年のうちにはできるし、七%程度なら三年かかれば、二年分来年にやってもできないことはないのではないか。しかし、土地改良もどうしてもできない、三年、五年ではとてもできないんだ、こういうような事情がありますれば、そういうところについては、やはり県、町村、農林省も入りまして、できないものを強要するようなことはこれは研究してみる必要がある、こう思う次第でございまして、ここで特にお願いしたいのは、そういうことがあるから、生産調整できないものを翌年にまた協力を願うという仕組みを弾力化してしまって、全体が崩れるような仕組みには断固としてこれはできない、そういう仕組みの中でレアケースとして研究する、こういうことでありますれば検討することについてやぶさかじゃない、こういうふうに考えるわけでございます。
  49. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 それならば、しつこく聞くようでありますけれども、新潟県の配分の方法といたしましては、配分要素及びウエートというのがございまして、そこには水田本地面積の要素百分の五十、こうなっているわけなんです。だからどうしても一律に五十はかかる、こういうことになっておりますし、それから農林省の方の配分基準の場合におきましては、地域指標をもとにして求めた六十年の転作面積の要素百分の三十、こうなっているわけでありますから、そこには相当の違いがあるわけなんですね。だから平均的にやってくるということになると、午前中から指摘しておりますように一つの矛盾が出てくる、こういうことになるわけなんでありまして、したがって、いま大臣言われましたように、私は緊急勅令的なものではないかというふうに考えるわけなんですよ。まだ条件整備されていないのにすぐ転作をやる、降ってわいたような話が出てきたところにこの無理があるんじゃないか。やはりやるのであるならばやるなりに準備期間というのが必要であった、その準備期間がないのに割り当てをするというところに無理が起きてこのような結果が出ているんじゃないか。その点について大臣の方としては研究する、こういう御答弁でありますので、これは御答弁を確認をさせていただきたいと思います。
  50. 中川一郎

    中川国務大臣 その前に、先ほど申し上げました、新潟県は六、七%と言ったのですが、五・九%なんですね。(松沢(俊)委員「パーセントには関係ないのです」と呼ぶ)関係ありませんけれども、排水状況が悪い等のいろいろなことがあったからこういうことになっているので、それぞれ苦しいことを言えば、北海道が三五%ということになれば、三分の一休まなければならないわけですから、それなりの事情を言えばまた言えるところもあるわけなんです。何しろいままで水田をつくっておったものを水田以外のものをつくるわけですからなかなか問題もあろうと思います。  そこで、先ほど申し上げたように、そういうことではあるけれども、なおかつ、また厳しいという点については、これは農林省も研究はしてみますが、一義的には、これは県知事さんにお願いした分は県知事さんに責任を持ってもらう仕組みになっておりますから、県にもよくお話し合いをしていただいて、そしてまた農林省もその間に指導して無理のないような仕組みを考えていきたい、こういうふうに思うわけでございます。できたら、土地改良等の仕組みでやれば大体そういうレアケースはないんじゃなかろうかなと思うのですが、それでもさらにレアケースとして、土地改良もできない、何としてでも先ほど言った高畝対策もできないというようなことがありますれば、また研究させていただきたいと存じます。
  51. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 そこで、大体百七十万トンは割り当てたものをそのまま固定化してしまうという農林省の方針なんですが、その固定化をした場合、府県間の調整もやらない、市町村の調整もやらない、こうなりますと、いま私が申し上げましたように、できないところはできませんから米をつくるということになるわけですよ。何はともあれ、できるところはやれるでしょう、できないところはやれないということになるから米をつくる。そうすると、そこにやはりバランスが崩れてくる、こういう問題があると思います。食管法のたてまえからしまするならば、やはり需給の調整というのをやって国民の生活安定を図る、これが食管法の一つの目的ということに実はなっているわけなんでありますから、したがって、固定化してしまえばそれはバランスが崩れて、そして需給均衡も図られないという結果が出てくる可能性があるんじゃないか、これが一つであります。  もう一つの問題といたしましては、つくってしまった米というのは、いわゆる限度数量以外、このものについては一体どうなさるという考え方なのか。いままでの方法といたしましては、政令がありまして、そうしてそこには政府に売るところの米、これが一つ、それから政府が指定するもの、もう一つは自主流通米、この三つのルートがあるわけですね。いままではこの三つのルート、限度数量が仮にオーバーしたという場合におきましても、去年あたりにおきましては百十円の五百円ですか、計六百十円というところの準自主流通米の手当てをしながら流通ルートに乗せる、そして政府が管理をしていく、こういう形をとられたわけでありますが、いま私が申し上げましたような状態からして、できないのだから米をつくる以外ないというふうにしてつくった場合、そのできた米というのは、これはつくるなというものをつくったんだからしようがないだろうというふうにしてほったらかしてしまうということになると、冒頭に私が大臣に聞きましたところの、食管制度を守りますかという質問に対しましての御答弁は、守ります。こう言っておられるわけなんですが、守るということになると、やはり自主流通米以外のいわゆる超過米というものも何らかの手を打たなければ、自由市場が別につくられてしまうという問題が起きてくるじゃないか。そうなると、食管というものを守ろう守ろうと言っても守り切れない、こういう状態になると思いますが、その辺、大臣はどうお考えになっているのか、食管法に関連いたしましての御質問を申し上げます。
  52. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 お尋ねになりました二点でございますが、私どもは三カ年間生産調整の目標数量を原則として固定する、それのうらはらといたしまして、買い入れ限度数量についても三年間原則として固定するということでやっておるわけでございますが、来年の計画といたしましては千百七十万トンの需要を見込んで、それにマッチした生産量を実現する、こういうことでやっておるわけでございます。  そこでお尋ねの、転作目標面積を達成せずして、翌年公平確保措置といたしまして転作目標面積が上乗せされ、その関係で食糧庁の私どもでやっております買い入れ限度数量が減るということになった場合、需給上困りはしないか、こういう趣旨のお尋ねかというふうに理解したわけですが、これは前年度予定よりも生産がふえておるわけでございますので、その分が古米の持ち越しとしてふえておるわけでございますので、翌年度におきまして買い入れ限度数量を減らしましても需給計面上は何ら支障はないということでございます。  それから第二点のお尋ねの余り米の問題でございますが、これは先生御指摘ございましたように、流通する米は、政府が買い入れるものと自主流通米と、それからいわゆる予約限度超過米につきましては自主流通ルートで流通させるということで従来もやってきておったわけでございます。五十二年産米につきましても、その自主流通ルートによりまして、というのは農協等から卸売業者等に直接販売をさせる計画を立てまして、それに基づいて販売をさせるということをやっておるわけでございます。  そこで、超過米につきましては、発生の原因が実は二つあるわけでございまして、目標面積を達成いたしましても豊作等によります超過米というものが出る場合、これは目標を達成しますればそれほど大量に出るということはないと思いますが、もう一つは転作目標が達成されなくて超過米として出てくる場合と、二つあると思いますが、いずれの場合も、先ほど申しましたように、買い入れはこれまでもしておりませんし、今後もしなくて、自主流通ルートを通じて集荷、販売をさせるということで処理をしていきたいというように考えております。  ただ、達成した場合と達成しない場合とは、今後のこの対策の推進上、取り扱いについて影響がございますので、私どもといたしましては、豊作等によりまして達成したにかかわらず発生いたしました超過米につきましては、水田利用再編対策を円滑に奨励をしていくというような見地から、適正な流通円滑化のための措置は考えていかなければいけないのではないか、こういうふうに考えております。
  53. 中川一郎

    中川国務大臣 簡単に言いますと、三年間は生産調整数量についての県間調整はしない、この三年間だけはことしお願いした分を継続してやっていただく、ただし、予約限度数量については、豊作の地域もあればあるいは不作の地域もあるというようなことで、その範囲内での調整はあり得ることである。  そこで、いま答弁があったとおり、作付調整に応じなくて、できなくて余ったという米は一体どこへ行くのか。米には四種類あるわけです。予約限度数量の中の政府が買い入れる米と、自主流通米で流れる米と、それから先ほど言った、生産調整はやったけれども豊作のためにとれたという米、それから生産調整に応じなくてできた米と、この四通りあるわけでございますけれども、それぞれ、政府が買い入れるものは当然のことでございますし、自主流通米、予約限度数量の範囲内での米はまた当然の措置、しっかりしたものがございますが、いま言った生産調整をやったけれどもよけいとれた米、それからやらないでとれた米、この二つも自主流通米としてルートに乗るように措置をする。しかし、そこの生産調整をやって余った米とそれからそうでない米のルートへの乗せ方の政府の援助の仕方といいますか、協力のやり方には当然差が出てくるだろう、こういうことでございます。
  54. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 その差が出てくると言うけれども、本年度も差が出ているわけですね。自主流通米とそれから準自主流通米という差が出ているわけなんです。その場合でも、「準」というふうに名前をつけてルートに乗せようとするわけ、だから、それに対してはどうしてもある程度の手当てをしなければならぬということで、たしか五百円ですか、ことしはやっているはずですね。そういう方法でおやりになるというのかどうか、その点、確認をしておきたいと思うのです。  それからもう一つは、ペナルティーではない、盛んにこう言っておられるわけなんですけれども、じゃ、ペナルティーでなかったらこういうものは一体何と言うのですか。いわゆる政府の買い入れ限度数量の米というのは高く売れるのですよ。それ以外の米というのは安くなるのですよ。要するにそういう格差がつくわけですね。格差をつけて制裁を加えるというのは、やはりペナルティーじゃないですか。
  55. 中川一郎

    中川国務大臣 格差をつければあたかもペナルティーのようには見えますけれども、私どもは三年間に固定して考えているわけなんです。ですから、三年間でやっていただくなら結構だ、こういうことでございますから、罰則とは私どもは考えないのです。  それと、さっきから言いますように、やらない人の分を、まじめにやったというか協力した人のところへ翌年それが荷物になっていくとすれば、この仕組みは成り立たないと思うのです。ですから、ぜひともことしやっていただきたいし、できない場合は来年御協力をいただく、こういうことで三年間を通じて御協力をいただく。そしてまた、三年先に若干の見直しはありますが、いまの米の需給の状態からいけば少なくとも十年間はそういうことを続けていかざるを得ない、こういうことでございまして、ペナルティー、罰則だと考えずに、公平確保、しかも三年間で固定的に御協力をいただく、こういう仕組みの中にできたものだ、こういうふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  56. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 公平公平と言われますけれども、土地条件がすでに公平じゃないのですよ。だから、そういうところは当然つくりますよ、幾ら大臣がつくるなと言っても、条件がないのだから。そういうものに制裁を加える。公平を期するために制裁を加えるというのはおかしいじゃないかと言うのですよ。できないものはできないじゃないかと言うのですよ。そういうのにまた上乗せしてとにかく安いところの米をたたいていくということは、私は制裁だと思います。だから、そういうことはペナルティーじゃないということになれば一体何か。  もう一つは、私たち、問答集というものを要求したわけです。私は見ましたけれども、水田利用再編対策の問答集が農林省から出たのです。その中で特に問題なのは除いたものをこういうきれいなパンフレットにして出しておりますけれども、その中に、たしか農業共済の対象にもそれはしないようなことが載っていたと思うのですよ。そうすると、転作の目標達成をやらぬ場合においては、あるいはまた転作をやらなかった場合においては農業共済からも外すなんというようなことになれば、まさにペナルティーということになるのじゃないかと私は思うのですよ。そういうことが一体やれるのかどうかということですね。憲法では、法によらずして政令で罰則を加えるということはできないという規定があるわけなんです。そういう点からすると、これは明らかに罰則なのじゃないか。政令ですらできないということになっているのに、行政で罰則をやるということの道理はないじゃないか、こういうぐあいに私は考えるわけなんです。だから、そういう一連の動きの中で、これは明らかに制裁、罰則なのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  57. 中川一郎

    中川国務大臣 確かに、新潟県で水田条件の悪いところでやらないからペナルティー、大変だと言うのですが、それじゃ北海道の人は三五%も、新潟県の六倍も七倍もやらされているのはペナルティーだ、こう言われたらどうするのか、そんな強いものを持ってきたのは北海道に対するペナルティーではないかということで言ってきたら、これもペナルティーになる。いろいろ言えばあるのです。鳥取県に行けば、島根県より多いのはどういうわけだ。去年より倍になったのはどうだ、倍率からいっておれの方が悪いじゃないかと言えば、その悪い条件というのはいろいろあるわけなんで、その面を一つ一つ皆取り上げていったら、この制度、仕組みは成り立たないと思うのです。ですから、これは皆さんがやっていくのだ、そうでなければ農家がよくならないのだという、農家みずからの御協力と、市町村、県そして国と一体となってこの仕組みを実りあるものにする、そのためにはそういうことで達成していくということが必要なのであって、やらない方のためにやる仕組みのものがおかしくなるということはいかがかと私は思うのです。  それから、法律でと言いますが、法律でそういうことを強制することを好むか、それよりはむしろみんなで話し合って、つらいけれども、北海道は三五%持ってくれ、新潟は条件は悪いけれども五・九ならがまんしようじゃないか、いろいろあるけれどもということの理屈じゃない、その盛り上がりというものでこれをやっていかなければ、これは法律や仕組みや掛け算や足し算でやろうとしてもなかなかできることではないということで、御協力をいただきたいと存ずるわけでございます。
  58. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 私、新潟のことを言っているのじゃないのですよ。全国的にこういう問題になっているのじゃないかと言うのです。きのうはこっちの方では全国の代表者会議を開いているのです。全部こういう問題が出てくるのですよ。それで権威あるところの田畑輪換利用というところの数字というもの、これでやっていくと、それは中央の方ではそれで済むでしょう。県へ行ったら、町村へ分けなければならぬわけだから、条件のないところにもおろすわけでしょう。今度町村へ行けば、これまた要するに公平にやらなければならぬとかいろいろなことを言うと、また全然条件のないところへおりていくわけなんでしょう。だから、無理なんですよ。言ってみますなら、緊急勅令的なものだというのです。こういうことをどうしてもやらなければならない、やらぬ場合においてはこうするぞ、ああするぞ、こういうことは行政府としてはできないんじゃないかというのですよ。できないでしょう。私はもちろん法律でやってくれなんて言っているのじゃないのですよ。憲法でも、できないということになっているんだ。あるいはまたどの法律、政令を見ましても、そんなことは書かれていません。ただ、あなたがきらいな役人センス、これが押しつけてきているんじゃないかと言うのです。これを、やはり農林大臣になられたんですから、それはよくないじゃないか、条件のあるところはやっていいし、条件のないところはできないし、ましてやペナルティーなんというわけにはいかぬじゃないかというぐらいなこと、そういう見解というものを出してもらわなければ——あなたも農家の出身だというんだ、私も農家なんでありますが、それは農家の立場に立って農林大臣は農政というものをやってもらいたいと思うのですよ。そういう意味で、できないのを押しつけて、そうして今度やらなかった場合においては二年分罰するぞなんという、あるいは農業共済の対象にはしないぞとか、こういうことはおやめになったらどうかということなんです。
  59. 中川一郎

    中川国務大臣 ですから、先ほどから申し上げておりますように、農林省がお願い申し上げたのはできないとは思わないのです。一つ一つの県についても、北海道ならば三五%大変だけれども、やはり転換できる作物もあるのではないか、ほかの県に比べて、ということで、無理ではありますけれどもお願いしているわけです。新潟県はそういう事情があるから、非常に少ない五・九%をお願いしている。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 新潟県下で作付転換できそうな土地が五・九%ないとは言えないと私は思うのです。恐らく一〇%や一五%のものはあるだろう、その辺のところは知事さんと地域の皆さんとで、その中でどういう受け持ち方をしてもらえるか、こういうことを工夫してやってもらわなければ、この仕組みは成り立たないわけなんです。ですから、県には県の応分のお願いをしているつもりであり、県はまた町村に応分のお願いをし、その町村はまた個人に、農家に応分のお願いをする、こういう仕組みでやっていきませんと、いやこれはできない、あれはできない、これにペナルティーかけるのはいかぬ、ほかのできそうなところへ持っていけ、こういうことでは、生産調整をやらぬで済むならばいいのでありますけれども、生産調整をやっていかなければどうにも農政の根幹がおかしくなるという前提からいくならば、こういう仕組みで少々無理があっても御協力願わなければならぬし、願えるような農林省としては各県の配分をやった、こういうことでございますので、ひとつそういう事情が県内にもあろうと思います。県内でもできそうな地域とできない地域とありますから、それは県内でひとつ皆さんで御理解、力を出し合って、譲り合って、助け合ってやってこの制度の全きを期したい、こうお願いする以外はございません。
  60. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 いや、これは押し問答になりますけれども、やはりここのところだけははっきりしてもらわなければならぬのは、それじゃ要するにこの文書はでたらめな文書であるかどうかということですよ、農林省。でたらめな文書を出してもらっては困りますよ。「水田のうち田畑輪換利用が可能な水田面積」、これはでたらめかというのですよ。これがでたらめだ、こうなれば、農林大臣の言うとおり、しようがない話じゃないか、こうなる。これは一体でたらめなんですか。どういうことですか。
  61. 大場敏彦

    ○大場政府委員 いまお示しになった文書は、恐らく私どもが先生のお手元へ提出したペーパーだと思うわけでありますけれども、その中で全水田面積のうち百七十七万四千ヘクタールが田畑輪換利用の可能な水田であると一応数字は出してあります。ただ、これは先ほど累次御答弁申し上げておりますように、この面積の出し方は「冬期田面から地下水位を七十センチメーター以下とすることが可能な水田を表わす。」という形で、注にはそういう注をつけてございます。そういう意味で、一つの約束事としてそういった地下水位の水準をある一定の高さで切ればこういうことになっています。そういうものを可能な水田という形で表示した、こういう約束事で数字を出してありますことを御了解願いたいと思うわけであります。
  62. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 それじゃやはりでたらめじゃないわけなんです。これに基づいて各県は要するにいろいろな文書を出しているのですよ。ところが末端に行くと、さっき申し上げましたように、私の調査いたしました四、五カ町村を調べてみますと、たとえば例を出しますと、笹神村という村は面積が二千三百五十町歩あるのですよ。そのうち水田が二千二百町歩、輪換可能な水田面積ゼロと、こうなっているんじゃないですか。そのところへ百十町歩押しつけて、やらなかったら来年要するに上乗せするぞなんという、こんなばかな話が一体あるかということですよ。農林省、責任あるところの文書を出したならば、数字を出したならば、それに基づくところの配分をやってもらわなければ困るじゃないですか。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕 要するに、そんなできもしないやつをやれと言って、やらなかったからペナルティーだということで来年また上乗せするなんというのはとんでもない話じゃないか。だから、こういうことはできないんじゃないかということですよ。
  63. 中川一郎

    中川国務大臣 現況地目は仮にゼロであっても、全体面積の五%や七%のものは排水その他によってできるのではなかろうか。そのために百二十億の予算を計上してあるわけなんです。ただ、配分のときに傾向としてそういったような政策を講じなければならぬところは少なく配分する。しかし、最小限度のものをお願いして、排水その他で、たとえば千町歩のところを五十町歩ぐらい排水をちょっと掘ることによって地下水位が下がる、ほかの作物ができないということはまずないんではなかろうかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  64. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 それじゃ大臣、聞きますけれども、そういうところにどうしてもやれということになれば、それはやってやれないことはないでしょう。たとえば高畝を盛ってやるという方法はありますよ。その場合、それじゃ収穫のときに一体機械をどうするのかということですよ。手刈りでしょう。手で刈る以外ないでしょう。機械は入れませんよ。あるいはまた、そんなところへ豆をつくったら一体どうするのだというのです。脱穀機もないところの状態ではないですか。だから、こういうにわかづくりの新生産調整というのは、はっきり言うと無理なんですよ。私は、大臣が言われるのはわかりますよ。順々に構造再編をやっていきたい、そういうお気持ちはわかりますよ。わかるけれども、そんなににわかにできるものじゃないんじゃないか。やるのであればやるなりに、ちゃんと一年や二年の準備をやってからやらなければならぬはずなんじゃないか。それを降ってわいたように、要するに今度は百七十万トン余るからどうしてもやらなければならない。やらぬ者に対しては制裁を加える、こういうことは無理と言わなければならないんじゃないですか。私は、本当に農家の生まれとして出られたところの農林大臣に期待しているわけなんでありますけれども、こういう無理なことはやめた方がいいじゃないかと言うのです。できるところはいいでしょう。これは新潟県だけじゃありませんよ。全国どこでもこういう問題が起きてくると思うのですよ。農林省が要するに机の上ではじいたところの表でやっていけばこういう問題は起きていく。末端へ行けば行くほど矛盾が起きてきます。こういうことはやっぱりやめた方がいいじゃないか。そうして、それじゃ来年はこういうふうにして、再来年はこういうふうにして、その翌年からこういう状態ができるようにするから、できたところで皆さん協力してくださいよというのが本当の農林省のやり方というものじゃないですか、どうですか。
  65. 中川一郎

    中川国務大臣 その方法をとることが一番いいことだと思うのです。そうすれば、農家の人も準備もできるし、やりやすいだろうとは思うのですが、何しろ米がもう五百万トン前後余り、消費の状態、生産動向から見て、一年とか二年とか三年待っていられないぐらい火のついている事態になっているわけなんです。それですから、少々無理はあってもひとつ御協力を願いたい。いま御指摘がありましたが、高畝でやれというのは大変だといえばそうですか、私がお願いしたのは、高畝にしなくても、千町歩の村なら五十町歩や六十町歩のものは排水ぐらいでできるところがあるのではなかろうか、こう思うわけなんです。ですから、若干無理なところはあろうと思いますが、御協力をいただける仕組みもあるだろう。そこでどうしてもできないならば、その間管理転作ということで農協にお預けいただくものも、ぎりぎりの最後の手段としてそういう方法も講じてございますということで、これが全部水田やめてくれとか、北海道のように三五%も新潟にお願いしたって、これは無理だということは言えると思いますが、米どころであり、米だけしかつくっておりません新潟では五・九%ぐらいであり、しかも、新潟の中にも県内事情があって、全部平均五・九%でないはずです。恐らくそういう地域は二%とか三%、ほんの少しのお願をしていることですから、私はできるだろうと思うし、そしてまた、だからといってそういう事情に合わせて、これを二年、三年待って準備をするほど過剰米の情勢は甘いものではない、厳しいものがある、こういうことで御協力をいただきたいと存じます。
  66. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 時間が来ましたのであれですけれども、大臣、どうですかね、時間がなくてなかなか大臣に納得をしてもらうこともできないようなままで終わるわけなのでありますけれども、これは本当に自民党だとか、あるいは社会党だとかという党派の問題ではなしに、いま全国の農村でこういう問題がたくさん出てきているわけなんです。ですから、所信表明の中にもありますように、米の消費の拡大というものも考えるのだ、こういうことを言っておられるわけなんだから、どうしても百七十万トンにこだわるというものでもないと思うのですよ。方法によってはいろいろの方法があると思います。そういうことで、これはやはり各党の代表の方々と大臣と、こういう問題について、もう少し生産調整について詰めてもらう機会をひとつつくっていただけないですか。予算委員会なんかでは、農業団体の意見も聞いたし、そして農水の意見も聞いたのだというようなお話があったように実は聞いておりますけれども、まだ農水の問題につきましては、生産調整そのものがどういうものであるかはっきりしない時点で、いろいろの提案だとか開陳をやっているだけの話であって、意見を述べて、政府がそれを受けとめてやったという機会はまだ全然なかったわけなんです。今度いよいよこういう問題が起きているわけなのでありまするから、大臣と各党の代表という者が、こういう末端で起きているところの混乱というものをどうするかということで、一度この委員会で話し合いをする場所というものをつくってもらうということになれば、ここで私は質問を終わりたいと思うわけなんです。
  67. 中川一郎

    中川国務大臣 この問題は、わが国農政の中でも大きな、特に古来固有の本当に神代の時代からつくっておりました米を、それが当分の間変わるということですから、末端におきましても大変なことだと思うのです。でありますから、もう議論は十分さしていただきたい。これでもう議論は終わりで押しつけるというものでもございません。どうぞ真剣に、今日の米の事情、やるとしたらこうした方法があるということについて十分御議論を賜りたいと思います。ただ、これはひとつ前向きにやっていかなければ、過剰米がまた七百万トン、八百万トンとなりますれば、これはそれこそ自民党とかなんとかではなく、政治に対する不信というものになってくるぐらい大変な事態を迎えるわけでございますので、今後とも御理解をいただきたいし、特に私は、この問題を処理するに当たって、もっと消費の拡大ということに、農家の皆さんを先頭に、政治の場も行政の場も、そしてそれが国民課題となって、無理な生産調整をしないというところに力点を置きたい。そういう意味では、特に農協あたりでまだパンを売っておったり、ラーメンを売っておったりして、みずからつくったものをみずから消費していく努力などが足りないのではないかということで、政府としても、閣議でお願いをして、行政の場で、政治の場で使われる公式のパーティーとかその他については、まず隗より始めよで、米の消費拡大ということで新規開発とかいろいろなことをやっておりますが、やはり国民の皆さんに米飯で食べてもらうというのが一番向いているわけでございますので、この辺のところもひとつ党派を超えて御協力を賜って、総合的に生産調整の進め方、消費拡大というものについては真剣な御議論をお願いしたい。これからもひとつ御指導、御協力をお願いする次第でございます。
  68. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 時間が参りましたので終わりますが、とにかく、大臣も言われておりまするように、特に無理なところについては再検討してもらうということで理解をして、質問を終わりたいと思います。
  69. 中尾栄一

  70. 野坂浩賢

    野坂委員 中川農林大臣の所信表明の演説を聞きました。もっと荒削りで重点的にピックアップをして激しく迫ってこられると思いましたが、きわめてスマートで優等生的な所信表明の演説を聞きました。  そこで、この説明をお聞きをして、国の農林予算は三兆円ではなしに三十兆円ではないかというのでもう一遍予算書を見たわけでありますが、やはり三兆円は間違いない。  そこで私がお尋ねをしたいのは、いま予算委員会でも議論をされておりますように、実質的な経済成長率が七%達成できるかどうかということが一つの議論になっております。農林大臣は経済閣僚としてこの達成についてどうお考えだろうかということが一つと、同じく委員会で、いわゆる歳入の面から見て、経済企画庁長官は、春闘に対しての労働者の賃上げ率というものは昨年よりも若干下回るではないか、こういうことを述べております。それで、いま農家の皆さんに減税の問題を提起いたしますと、農家の皆さんの農業所得というものは非常に低位にある、税金もなかなか払えない、全国の農家のうちで税金を払っておるのは〇・五%だというのが実情であります。農林大臣は、こういう政策を進められて、ここに農家の所得の安定と生活環境充実がうたわれておりますが、ことしは去年に比べてどの程度農家の所得の上昇率というものはあり得るのかという点についてはどうお考えでしょうか。
  71. 中川一郎

    中川国務大臣 国の経済成長七%につきましては、これはできるのではないか、そしてまた、やらなければならない目標である。その中において農家経済はどうなるのか、確かに農産物生産の見通しとしては九七・八でございますから、若干下がっておりますが、これは昨年豊作であったことと、それからことし米が百七十万トン生産調整をお願いするというところから下がっておりますが、全体としてみれば、農産物価格の問題や、まあ所得としては伸びるのではないかというふうに見ておりますし、いろいろ御批判はありますけれども、この土地条件の悪い厳しい日本でまあまあ農家経済も、きのうも議論ありましたが、兼業所得というものも確かにありますけれども、最近農家の所得は非農家に比べてかなりよくなっている。ただ、専業農家農業収入においては、確かに少ない面はありますけれども、価格政策なりあるいは金融政策なり土地条件整備なり環境整備事業なり、農村にはかなり手を入れておると思うのです。これは世界諸国に比べても、相当万般にわたってやっているのではないか。特にいま経済が安定してまいりますれば、高度経済成長についていけなかった農村に比べて、安定成長下ではまた農村に活気が出てくるのではないか、こう思って、ことしの予算は少ないとはいいながら、農業基盤を初め生産体制については相当思い切った予算を講じておりますので、長期的には安定し得るものだ、こう思っているわけでございます。
  72. 野坂浩賢

    野坂委員 公共事業は三四・五%伸びたのに対比して、農業の公共事業の場合は三七・八ですから伸び率はある。しかし、所得にそれが直接にはね返るかどうか問題なんです。いま一番問題になっておる生産調整というのは、米が非常に安定をしておるという立場から、百七十万トンの生産調整については非常に大きな問題を投げかけておるということだと思います。生産調整をやってたんぼが畑になって野菜をつくる。いまの野菜でも、暖冬で私どものところで大体十キロのキャベツや結球白菜なんかを大阪市場へ持っていきますと百円ですよ。運賃が八十円で袋代が二十円、これで終わりなんです。労働賃金と農薬代だけは損をする。だから箱詰めで送れないで袋詰めで送らなければならぬというのが実態なんです。そういう畑がたくさんあります。だから、そういうのがつくられていくということになれば、もっともっと深刻になるのではないか。  私がお聞きをしたいのは、農業所得も経済成長率あるいは労働者賃金の上昇率には負けることもないというような示唆に富んだお話ですが、ここにもありますように、「わが国の風土、資源に適合した食生活の普及を図るため、米の見直しを基本とし、」と書いてありますね。そうお話しになりました。そういう米の基本なのだが、十九ページでは、あなたは、米価については「食糧管理制度の適正、円滑な運営に資する」、いまもお話があったように、食管制度は守ります。こう言明されました。それで、「諸般の経済事情に配慮しつつ、引き続き売買逆ざやの段階的解消等適切な価格」、これは率直に申し上げて、売買の逆ざやをやめて消費者米価を上げますよというような示唆ですよ。もし間違っておったら指摘をしてください。しかし、生産者米価のことについては農林大臣は全然お触れになっていない。生産者米価は、いわゆる農業の主体は米価である、米価の決定によって農業の所得はある程度の展望ができる、だから労働者の賃金といわゆる労働者の賃金に匹敵する米価というものは非常に相対的な関係を持つだろうということは、あなたも過去おっしゃっておりました。そういう意味で、米の生産者米価は据え置かれるというようなうわさをわれわれはよく耳にするのでありますが、所得向上のために、経済の実質的な成長率に合わせて農業所得拡大のために、米価の算定は据え置くということではなしに、算定のいろいろな議論が米審等でやられておりますけれども、上げることは確実であろうと判断してもよろしいでしょうか。
  73. 中川一郎

    中川国務大臣 米作農家が非常に苦しい状況にあることは御承知のとおりでございますが、そのために生産調整していただいた農家には、いままでよりは張り込んだ四万円から最高七万円というもので農家経済に対処しようという仕組みが一つございます。  次に、米価でございます。米価はこれからの生産調整の実態やあるいは春闘その他の労賃その他すべて勘案して計算しなければなりませんが、初めから据え置くとか初めから上げるとかいうことではなくして、これから米審等にも審議をお願いをして、いかにあるべきかを最終判断いたしたいとは思いますが、四十五、六年ごろやったような生産調整の段階は米価は据え置く、こういう厳しい態度を前はとっておりましたが、今回はそういう厳しい、きちっと五年なら五年、十年間は米価を上げない、こういう姿勢では取り組まない、上げなければならないものがあれば上げなければならぬ、こう思って農家経済のことも配慮しておるわけでございます。  ただ、生産調整をやりつつ三、四年米価を据え置いたわけでございますが、その後米価をかなり大幅に三十数%引き上げたこともございます。その結果、米についての生産意欲が非常に強くなって、いわゆる自力開田というような時代もございました。そして今日の過剰米を生じた一つの原因ともなっておりますので、これからまた自力開田をやるような意欲のある米価に持っていけるかどうか、その辺も勘案して、据え置くとか下げるとかいうようなことではなく、縛らずに弾力的にこれから判断してまいりたい、こう思う次第でございます。
  74. 野坂浩賢

    野坂委員 中川さんは政治家ですからぐるぐる回った答弁でよくわからぬのですよ。据え置くとか引き下げるなんということは大臣らしからぬ答弁ですけれども、物価の上昇率は六ないし七%はいきますということを総理なり経済企画庁長官が述べておりますね。あなたも参画されておりますね。それに見合うようなことをやらなければ経済成長はないでしょう。日本の国内経済はいわゆる個人の消費経済が五〇%以上のウエートを占めておるということはあなたも御存じなんですから、農業人口も何千万といるわけですから、そういうものから考えれば、逆ざやの段階的解消ということだけに力点を置いてやるのではなしに、生産者という立場をどう守るかということも農林省の大きな意義ではないですか。だから、それについては生産者が、いわゆる生産費所得補償方式といいましょうか、いまの物価上昇率程度は当然最低といえども考えて、農家が安心をして農業に従事することができる体制をつくるという意味で、ただ、米と他の作物との相対価格関係、米が高いから米にいくのだ、だからこれを上げるのではなしにこれを下げようというねらいと野心が農林省にあるのではないかというのが一般の農民の受け取っておる今日の状態なんです。そういうことではないということを、この委員会を通じて全国の農民に安心してもらうように、その程度は考えますというのが農民の立場に立つ農林大臣としての姿勢ではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  75. 中川一郎

    中川国務大臣 御存じのように、米価の決定は労賃、資材、地代、金利、多くのものの複合体ででき上がっているところでございます。そこで、最小限度守らなければならないのは、所得補償方式すなわち都市工場労働者の賃金だけは確保するということでございますから、米価そのもので労賃そのものをしんしゃくできませんが、少なくとも労賃の上がった部分は見るという姿勢で取り組んでいく。その結果、全体として、労賃にプラスするに肥料代とかあるいは農機具代とか地代とか金利ということを加えますと、結果としてどうなるかということで御了承いただきたいと存じます。
  76. 野坂浩賢

    野坂委員 昭和五十年の一月ですか十月ですか、「農産物需要生産の長期見通し」というのをいただいておりますね。その後、これの経緯は、いわゆるだんだんとこの自給率というものが高まっておるというところがそう見当たりませんね、今日の段階で。どういう努力をされたわけですか。少しも伸びていない。むしろ自給率は減少の一途をたどっておるということは、農政に欠陥があるということではないでしょうか。農民の期待にこたえていない、だから自給率が向上しないということではないでしょうか。
  77. 中川一郎

    中川国務大臣 自給率が上がりません大きな理由は、穀類の輸入が多い。穀類は飼料作物ですね、飼料穀類、これがわが国土地条件からして、なかなか家畜の飼料国内でつくるというわけにはいかぬ。ところが、肉の需要というものは非常に伸びてくる。したがって穀類の輸入がふえてくる。そして、全体として自給率が微減をするといいますか、そう伸びない、やや停滞ぎみというのが実態だろうと思います。しかし、姿勢としては、自給率の低い麦だとかあるいは大豆、あるいは飼料作物、ビートというようなものの生産増強に、自給率の向上に政府としては最大の努力を払っておるところでございます。
  78. 野坂浩賢

    野坂委員 努力はされておるでしょう。努力はされておるけれども実績は上がっていない、こういうのが現実ですね。たとえば、肉の話をいまされたわけですけれども、四十九年度の自給率は八六%、五十年度は八一%、五十一年度は六九%、こういうふうに漸次減少しておりますよね。全部ですよ。何にもないということですよ。そして、外国から押すな押すなと攻めてくる、こういう結果ですから結果的にこうなっておるんじゃないですか。努力をしてやはり実績が上がらなければ見直さなければならぬじゃないですか。やりたいことをやっていかなければならぬじゃないですか。そういう点については、もっと深刻に考えてもらわなければならぬじゃないか、こういうふうに思うのです。  また、初めて御就任になった今井政務次官が、予算の説明をされて、基盤整備事業はかつてない大幅な予算をやった、いまこういうお話がありましたね。これを見ましても、五十三年度の一兆三千億を加えましても、面積としては六年間でわずかに三八・五%ですよ。十カ年計画の土地改良計画の実績というものは三〇%に満たない、六年間でそうなんだ。だから、ひとつも農政に対する、やるやるという熱意はこの委員会で示されますけれども、実績としてはマイナス点しか出ていないというのが実態じゃないですか、どうでしょう。
  79. 中川一郎

    中川国務大臣 農業基盤の整備につきましては、確かに御指摘のように進捗率が遅いわけでございます。これは御承知のように、昭和四十八、九年ころからでございましたか、緊急避難として、公共事業費の前年同額ということで、たしか三年か四年近く足踏みをいたしたわけでございます。これはまあ農業基盤だけは何とか別枠で道路とは違うんだということであったのですが、あの当時火のついておった経済、物価狂乱という時代に対処するためには、異常、異例の措置として三年間か四年間近く横ばいであった、こういうことが大きくこの長期の土地改良計画にマイナスになりましたが、昨年、もっと言えば一昨年あたりから、昭和五十一年度予算あたりから、公共事業費とは違うのだということで、ほかの公共事業費に比べて姿勢としてかなり前向きでやってきた。そしてことしようやくかなりの伸び率を見たということでございますので、そういった異常、異例のことが長期計画の達成率を少なくしたわけでございますが、去年あたりを初年度としてこれから大幅に伸ばしていって、このおくれを取り戻したい、こういう取り組み方、そしてまた反省をいたしておるところでございます。
  80. 野坂浩賢

    野坂委員 余りここに力点を置いて話してもだめなんですけれども、大したことないのです。実績はあなたがおっしゃるほどではないのです。五十年度が七千八百六十五億です。五十一年度は九千六十二億。わずかに一千億ですよね。五十二年と五十三年と比べてもわずかに一千億なんです。そう大したことないです。大幅じゃないです。小幅。これが実相です。だから、これを、いままで四年間足踏みをしたというのであれば、この計画自体がずさんですよ、変えなければならぬようになりますよ、こういうことになるわけです。これについては、変えるのですか。それとも、この後四年間で予定どおり百二十万町歩の圃場整備というものはやらなければ、生産調整で一方は農民を痛めておいて、こういうことは予定どおり進みませんでは、農民ばかり苦しい目に遭わせるという結果になるじゃないですか。田畑輪換とか米麦一貫栽培とか、美辞麗句はたくさん並んで、なるほどなと思わせるようですけれども、裏づけは全くないということにこれではなるじゃないですか。どうでしょう。
  81. 大場敏彦

    ○大場政府委員 土地改良長期計画の進捗状況ですけれども、ただいま先生が御指摘になりましたようにおくれているということは、これは率直にそういうふうに申し上げざるを得ないと思います。  金目あるいは事業費で申し上げますと、五十三年見込みを入れまして六年間で四六・七%、こういった進捗率になっております。あと四年間残っているわけでありますが、これをどの程度の年率で伸ばしていけば当初の基調計画が達成できるかということになりますと、大体六ないし七%程度の年率で伸ばしていけば可能ではないか、かように思っております。金目の点あるいは投資実績という点では確かにそういうような見通しが立つわけでありますが、実質ベースという意味で面積というようなことを・見ますと、御理解願いたいのは、土地改良長期計画は全部が全部面積という形で把握しているわけではございません。たとえば圃場整備だとかあるいは農用地の造成といったところの代表的な項目につきまして面積を出しましているわけでありますから、すべてのものにつきまして面積を表示して、それを目標にしているということではございませんので、その点は御理解願いたいわけでありますけれども、圃場整備、農用地造成事業、先ほど先生が御指摘になりましたように、圃場整備でいいますれば約二九%弱というようなことでありますし、農用地造成事業でありますれば二六%弱というようなことでございまして、今後かなり努力していかなければならない、こういった状況であります。
  82. 野坂浩賢

    野坂委員 圃場整備だけではない、農用地の造成や農地の造成、草地の造成がある。こんなのは五カ年の進捗率というのは二〇%見てないじゃないですか。面積は五カ年間で二〇%弱ですよ。金額では四六%ある。物価は上がりますからね。いわゆる自民党内閣の経済政策が失敗しておりますから、物価は上がる。だから、金目といわゆる予定しておった面積とは正比例をとっていかないというのが実情なんであります。私はいいところだけをとっておるのですよ、二八・五%推定でできるのでしょうと。しかし、あなたが言ったように農用地造成だったら全体数量に対して二五・五じゃないですか。われわれ、五十三年を含めて農地造成だったら二三%じゃないですか。全く、六年間でこの実績ですよ。あと四年間で七三%なり七七%できるという自信が農林大臣にはありますか。責任を持ちますか。
  83. 中川一郎

    中川国務大臣 五カ年計画の性格というのは、面積、事業量もございますが、この間にどれぐらいの金を投資するという面と両面あるわけでございます。したがいまして、金の面では確かにインフレ、物価等の関係でまあまあいきそうだが、実績はいかぬのではないかという御指摘でございます。これは先ほど言ったように、これができた年前後を境にして三年間休んだという異常、異例なことでああいうことになりましたので、今後は最善を尽くしてこれを取り戻すということで努力をしていきたい。これはまじめに、農業基盤の整備というのは長期的に農業にとって一番大事なことでございますので、私も農業土木出身でございますから、いままでも一生懸命やってまいりましたが、何とか目的達成に近いところまでがんばるということで、ひとつこの上ともの御協力をお願いしたい次第でございます。
  84. 野坂浩賢

    野坂委員 時間がありませんが、すべてがそういう実績なんです。だから、農家の皆さんは信頼できぬのです。  私は、これから生産調整の問題について聞かなければならぬと思うのですが、昨年生産調整をいろいろ議論をしましたですね。農協からもいろいろな意見が出ております。そのときに農協団体はこういうことを述べておりますね。今日に至った点を次のように指摘しています。政府の需要拡大施策の不徹底、転作でき得る条件の未整備需給計画の不備、天候の影響などによるものであって、稲作農家の責任に帰すべきものではないと考えておる、こういうふうに前段本文に書いてありますね。私もそのとおりだと思いますが、あなたもそうお考えですか。
  85. 中川一郎

    中川国務大臣 そういう一面もないわけではございませんけれども、やはり何といっても食生活の多様化と申しますか、消費の減退ということが一番大きなことであって、これが政府の責任であるのかどうか、ないとは申し上げませんけれども、やはりこれは農業団体においても、消費の拡大について政府を批判するだけで自分の方の努力があったかということで、ともどもの責任ではないかという面もあろうかと存じます。
  86. 野坂浩賢

    野坂委員 政府の責任もある、あるわけですから、農民の責任はない。  この生産調整による法的な根拠ですね。先ほども農業基本法の第二条でしたか、お話しになって、需要の減退をするものについての物の考え方、あるいは輸入の問題についての合理的な問題、あるいは農林省設置法の二条でしたか、三条でしたか、増進をしたり改善をしたり調整をするというところが根拠なのだというようなお話があったようであります。これは松沢さんからもお話がありましたけれども、この設置法にはこう書いてありますね。「生産の増進、改善及び調整を図ること。」調整の前に改善をしなければならぬ、生産調整に力点を置く前に消費の拡大をどういうふうにやるべきか、どうそれを改善するかということが、農民に対する期待にこたえる道ではないか、こういうふうに私は思うのです。  消費の拡大は努力をした、努力をしたと言いますけれども、いま農林大臣のお話を聞いておると、政府も責任があるけれども農協の責任もあるのだ、そういうお話だ。しかし、消費の拡大は一向に伸びていない。今度の消費の伸びですが、いままで一年間八十六キロ食べておるじゃないですか。今度は八十一キロで計算しておるじゃないですか。こういう点も、全くもう減退するのだ、そういう認識でこの消費の計算をされておるということについては、私は問題があり過ぎると思うのです。これを生産調整に使って抑え込もうとする。そういうことは消費の拡大で、本会議でも、日本酒を飲んでくれ、スプーンで三杯飲めば二十五グラムになる、だからそれだけを食ってもらえれば百万トンは消化できるとあなたは堂々と述べられたじゃないですか。それをむしろ食わぬようになるのだという計算の根拠というものは、私らには納得できません。あなたの発言ともこれは違っておりますね。これを直されたらどうですか。
  87. 中川一郎

    中川国務大臣 過去においても消費の拡大については、新規需要の開発とかずいぶん苦労はしたのです。政府は政府として。また、学校給食も、学校給食会の反対等もあったりしてなかなか大変だったんですが、週二回はということで五十六年までに約十万トンは食べていただく。あるいは最近ではうどんやパン粉にまで二%入れるということで、消費者やあるいはメーカーから反発を食うぐらい努力はしてきた。しかし、なおかつ消費は減退傾向にあって、残念ながら八十一キロしか望めないというところで、私もおしかりをこうむりながら国会の場でも国民にお訴えをする、茶わんに一ぱい食べてください、一回三口食べればこの無理な生産調整をしなくていいのです。こうお願いしております。今後もお願いするし、また御協力いただける面もあろうと思いますが、農林省が何ぼお願いしてみても、やはり消費者や国民の皆さんがこれに対応してくれるかどうかということにかかっておるわけでございまして、これが八十六キロで計算をしておいて、そうして八十六キロ食えるようにしろということも一理でございますが、これを八十一にしておいてなおかつ八十六キロ食べたということになれば、これはもういいことでございますから、字は何と書いてあっても農家の方々が喜ぶことでございます。しかし、私がお願いしてみても八十一キロ協力がいただけなかったときに、これはもう過剰米が生じて異常なことになりますから、やはり安全をとって厳しい事態に対処するようにしておき、これから消費の拡大をする分は、何も政府がよくなることじゃなくて、結局は農家の皆さんのところに消費拡大のメリットがいくわけでございますので、数字は数字としてありましても、最善を尽くして、私は、米の消費拡大ということで現実八十六キロになったというふうに持っていきたい、こう思います。
  88. 野坂浩賢

    野坂委員 私は、大臣、あなたに言っておるのは、八十六キロは実績なんですよ。それから、あなたは、消費を拡大するのですから九十キロも食べてくれるでしょう、その九十キロで計算をしてそういうことに向かっていくならいいですけれども、実績よりも下げて、この生産調整のために消費は少なくなるのだ、こういうことは間違いではないですかと言っておるのですよ。実績よりなぜ下げるのですか。あなたは消費拡大に向かって努力をしておるのに、実績よりも下がりますここに置くというのは間違いだ。実績どおりやったらどうですか。それで百七十万トンが十万トンでも下がるということになれば、それだけ農民の期待にこたえる道ではないですか。どうですか。
  89. 中川一郎

    中川国務大臣 御承知のように、米の減り方というのはこれは大変だったのです。もう一時は百二十キロも食べておったものが、だんだんだんだん下がってきておるわけなんです。ですから、消費拡大と言ってみても、現実は横ばいに持っていくことも拡大の一つであって、あるいはまた七十五とか七十四とか下がっていくものを、とりあえずは八十一程度に抑えておいて、そうして万々にもまた昭和四十四、五年ごろの異常な過剰米ができないという安全策をとっておくことが、むしろ農民に親切なやり方ではないか。目標はどこに置こうとも、姿勢としては一粒でもたくさん食べてもらうという姿勢だけは貫いていきたいが、ただ消費者の皆さんや国民の皆さんが協力してくれる担保というものが現実ないわけですから、これが法律や仕組みや私が言ったことで食べてくれるという担保があるならば絵は描きかえますけれども、いまのところなかなか容易でないのが実態であろう、こう思うわけです。
  90. 野坂浩賢

    野坂委員 いま農家の皆さんは、米をつくらしてくれ、生産調整に賛成をしておる農民は一人もいません。みんな不満なんです。ただ、権力で押しつけてくるから、それでざわざわしているというのが現状なんです。だから、それをやはり少なくするという意味では、実績よりも上げるというのが私は政府の方針だと思います。それよりも下げておいて、それで生産調整に追い込むというのは、農民の期待を裏切っておると言っても私は過言ではないと思うのです。幾らだれが何と言ってもそうだと思うのです。そうでしょう、自民党の皆さん。  改善するというのは、消費拡大に努力をするということをいつも言って、やあ日本酒を飲めだとか、やあ何だとか言って、口では言うけれども、裏では、これよりも来年は食わぬだろう、だから抑え込んでいこう、だから思い切り生産調整を押しつけていこう。しかも法的な根拠は全くない。そして、公平の原則と言いながら全く公平ではないんですよ、これは。あなた方のやっていることは全く強制なんです。だから、その消費の拡大生産調整をしなくて済む方法をあなたとこれから時間の許す限り議論をしたいと思うのですが、まずその前に、やはり地方自治法の問題等がいろいろ問題になっております。地方自治法の二条十五項等は、こういうことをやってはならぬということが書いてあって、生産調整やれというような委任事務はないですね。それらについては法的な根拠で——法律をつくれと言っているわけじゃないのです。だから、この生産調整はいろいろありますが、時間がありませんが、あくまでも自主的で、農家の皆さんがあなたの言うことを理解をし協力をする、その協力の限度を示されたものであって、協力するかどうかはみんなが考えてやればいい、あくまでも自主的なものだ、こういうふうに考えていいわけですね。
  91. 中川一郎

    中川国務大臣 法的に数量を守らなければならないというものではございません。こういう事態に対処して、全国的な動き、それぞれの県の、先ほど言った新潟県には新潟県の特徴、北海道は北海道と、みんなで苦しい中に協力をしてやっていこうというものであって、やらなければならないものであるということにはなりません。
  92. 野坂浩賢

    野坂委員 非常によくわかりました。  これはあくまでも目標であって、努力目標だけれども、できないものはやむを得ないよと。自主的にどの程度理解度があるか、どの程度協力度があるかということであって、農民の自主性を尊重いたします。こういうふうに考えてよろしいわけですね。
  93. 中川一郎

    中川国務大臣 全くそのとおりでございます。  生産調整が行われなかったときには将来どうなるかということの判断も農家の判断であって、先々判断してもおれはやるべきでないと思ったら、それもいたし方ないところでございます。
  94. 野坂浩賢

    野坂委員 非常にいい答弁です。いままでで一番よかった。  それから、作物別の転作目標面積が出ております。飼料作物が十一万三千ヘクタールとか、野菜が六万七千ヘクタールとか、いろいろありますね。これは地域別に十分計算をしてこの面積をやられたものであって、これはどのように府県、地域別に考えられておるものですか。それとも机の上でやられたものですか。どうですか。
  95. 野崎博之

    ○野崎政府委員 地域別の作物別指標といいますか、地域指標でいろいろ計算しているものがございますが、これはあくまで一つのガイドポストとしてそういう生産地域指標の試案として作成したものでございます。ただし、地域別にどういうものをつくるか、幾らつくるか、そういう割り当て的なことをやることは、非常に需給上に問題がある作物もございますし、やはり関係者の自発性に基づいて転作の推進を図るという見地でございまして、特別にどの地方で野菜をどれだけつくらなければいかぬ、そういうようなことでいろいろ強制していくものではございません。
  96. 野坂浩賢

    野坂委員 特定作物というのは、たとえば麦とか大豆とかソバとかあるいはビートとか、総合自給率を高める、こういう意味で書いてはありますが、これについてはまあまあこういうふうに政府は考えておるのだという程度のもので、その自主的なものを選んだらよろしい、こういうことですね。そうすると、いま中川大臣がお話しになったように、その米の生産調整も自主的に協力をすればいい、こういうことになりますな。そういうことですね。そう言ってください。
  97. 中川一郎

    中川国務大臣 全くそのとおりでございます。そこで、自給率の悪い作物については、これを戦略作物として奨励金を加算して、そちらがつくりやすくなるという誘導をいたしておりますが、まさに自主的に判断していただくことでございます。
  98. 野坂浩賢

    野坂委員 そうすると、先ほどから議論になっております。自主的な協力ですから、世に言われるペナルティーというようなものは全然考えなくてもいいということになりますね。
  99. 中川一郎

    中川国務大臣 でありますから、私どもはペナルティーはかけておらない。ただ、その年つくれないならば翌年、翌年つくれないならばその翌年おつくりをいただくという努力目標を差し上げてあるだけでございます。
  100. 野坂浩賢

    野坂委員 それは努力目標であって、努力してもだめだということになれば、これはまあやむを得ない、できたものは買います。こういうことでしょう。
  101. 中川一郎

    中川国務大臣 できましたものは買うわけにはいかない。予約限度数量——食管法では必要な米というものが決まっておるわけですから、そういった生産調整協力できない、それでできた米は、やはり自主流通ルートに乗って流れるように協力をしたい、こういうことでございます。
  102. 野坂浩賢

    野坂委員 先ほど話があった公平の原則というのはどういうことでしょうか。公平というのとペナルティーとの違いをちょっと教えていただきたい。
  103. 中川一郎

    中川国務大臣 生産調整は、地域とか農家によって事情は違うと思います。しかし、これはやはり理解と協力ということで多少なり皆さん苦労しながらやっているわけです。その苦労をしてやっている方、そして実行した方と、実行しない方とがあった。そうして翌年は汗を流した人のところへ、汗を流さなかったかどうかは別として、しなかった人の分を乗っけていく。その者それだけで処理できればいいのですが、結局は一生懸命やった人の上にさらにまた汗を流してくれ、こういうことでは公平を欠くのではないか。やはり汗は公平に流していただきたい、こういう意味で、公平確保の最低の措置である、こういうことでございます。
  104. 野坂浩賢

    野坂委員 農家は何をつくっても汗を流すのです。これは、あなたの奨励金というのは、汗を流さぬ方に奨励金をやるというかっこうですか。言うなれば、土地条件が違っておる。たとえば米麦一貫栽培ができる、あるいは私どもが圃場整備をしていただいたところは、大体日本の圃場整備事業というのは稲をつくるのを目的にして圃場整備ができておりますから、耕運機等が入らないところの圃場整備があります。沼地みたいなところは。私どものところは立って田植えはできないものですから、座ってやる。立っておると、ずるずる下に沈んでくる。座ってやったら、押さえる面積が広いからそれでやる。秋のときにはいかだを浮かべてやるというようなところだってあるのです。そういうところにもいまお話があったように調整が来るわけですから、そういたしますと、なるべくそういうところはのいて乾田のところで米をつくって、そこは残る。だから、そこは何をつくるかということで思案するわけですね。そういう事情ということになると、日本の農業が全体的に発展しないじゃないか、こういうふうに思うのです。そういうところの土地条件がずいぶん違ったところと、いいところとは同じような条件でないのですから、これは同じことをやったら公平の原則を欠く。たとえば、よく働く人とよく働かない人は労働に応じて賃金が考えられるということと同じように、土地条件が違って、一生懸命にみんな働くけれどもそれができないということになれば、それぞれの条件というものは水平ではなしに高低がつくということになると思うのですね。それが私は公平の原則だと思うのです。だから、そういう意味は、その実情に応じてやはり理解するところはするということで、温かい農政を推進をしておる中川農林大臣の一律一体方式というものは大きな間違いですね。だから、その実情に合わせてやむを得ません、こういうふうに私は理解すべきだと思うのですが、どうでしょうか。
  105. 中川一郎

    中川国務大臣 一番公平にやるとすれば、百七十万トンを現在生産している量に応じて全国各県ともに一三・何%ですか、約一四%やってくださいと北海道から九州までやれば、ある意味での公平かとは存ずるのです。しかし、それじゃ地域農政というものはどうするんだということから、その条件も入れていかなければいかぬ。それから、排水のできていないところに十何%押しつけられても困る、いや、市街化区域で一生懸命やるべきだ、あるいは過去の実績を見るべきだ、いろいろな要素がありますから、それら配慮しなければならない項目を取り上げて、それらがすべて満足する条件、どこここというのではなくて、日本全国の水田を変わっていただく条件として、配慮しなければならない項目を七つ挙げて、そしてそれにウエートを置いて配分をした。この方が実態に合った公平感ではなかろうか。したがって、鳥取県のようなひざまで入る、腰まで入るというような排水の悪いところは排水の悪いところとして、余りたくさん行かないようにそこに配慮をした。(野坂委員「よけい来ています」と呼ぶ)よけい行ったとすればそのほかの条件で行ったのであって、排水の条件では必ずマイナスになっておるわけでございます。
  106. 野坂浩賢

    野坂委員 だから、矛盾のあるところをやはり是正していかなければならぬと思いますね。先ほども同僚議員が言ったように、十一月十九日の農林事務次官の通達を見ますと、これは内定なんです。だから、あなたがおっしゃったように、予算審議が終わるまでは正式決定ではない。内定だから、決定までにはまだ議論があるところですから、やはり決定までに十分その内定の矛盾を直して、それで矛盾がなければ理解と納得が得られるけれども、矛盾があるということになれば、それはやはり是正をして正式決定までには持っていくということが私は筋だと思うのですが、それはそのとおりですね。
  107. 中川一郎

    中川国務大臣 もちろん内定でございますから、決定までの間に徹底的に直さなければいかぬ観点が出てくれば、直さなければならぬことになるわけでございます。
  108. 野坂浩賢

    野坂委員 たとえば、大変こういうことは御迷惑なんですが、一例を挙げますと、先ほども質問をしないのに答えていただいたのですが、鳥取県と島根県の例を挙げますと、四十六年は鳥取県は一万七千五百トンの割り当てをもらってやったんですよね。島根県はそのときには二万九千トンだった。四十七年は鳥取県は一万五千三百トンだった。島根県は二万五千三百トンだった。四十八年は鳥取県は一万三千八百トンで、島根県は二万二千八百トンだった。いいですか、ずうっとそういうふうに協力してきたのです。五十二年になったら、今度は四千三百町歩いただいておるわけですね。島根県は三千二百町歩、そういうことになっておるわけです。七項目でいろいろあると言いますけれども、ずいぶんいろいろありますよ。たとえば市街化区域の面積の要素なんかを百分の十一とるからそうなんだろう、圃場整備状況だろう、こうおっしゃいますけれども、鳥取県は四つしか市がないし、島根県は七つありますね。一つ一つ検討するとずいぶん矛盾があります。計算してみました。ここで言うと長くなりますから多くを申し上げませんが、そういう矛盾をわれわれは是正してもらわなければならぬという声は高まっておるわけです。だから、先ほどそういう矛盾というものはやはり是正をするとおっしゃったわけですから、是正をしてもらうということになりますね。
  109. 中川一郎

    中川国務大臣 計算に誤りがあれば直すにやぶさかではありません。計算していたものが間違っていたということであれば直しますが、恐らく私の見るところでは、そう作為的なものであったりはしないだろう。これはもうどこの県でもあるのです。隣の県に比べて去年よりおれのところは二倍になった、三倍になった。隣の県は去年とそう変わらぬではないか。しかし、根っこが大きいものですから変わらない。二倍、三倍になった方は根っこが少なかったから、今度は御協力いただくかっこうにいまの七つの項目でやった。私の見る範囲では、七つの計算においてそう重大なミスはしておるとは思わない。しかし、ミスがあれば訂正していかなければいけない、こう思う次第でございます。
  110. 野坂浩賢

    野坂委員 まあ直すということですから、それでいいでしょう。
  111. 中川一郎

    中川国務大臣 ちょっと事務的に……。
  112. 野崎博之

    ○野崎政府委員 ただいま島根県と鳥取県のお話があったわけでございますが、先ほど大臣がおっしゃいましたように、いろいろな要素が絡んできておるわけでございます。御承知のように、島根県というのは全国で一番乾田の多いところでございますし、そういうようないろいろな要素、あるいは自主流通米の要素、そういう要素をいろいろ勘案しまして数字を配分、内定をいたしたわけでございますので、われわれとしましては非常に合理的な根拠で配分の内定を出したというふうに考えておるわけでございます。
  113. 野坂浩賢

    野坂委員 いつ園芸局長局長になられたのですか。
  114. 野崎博之

    ○野崎政府委員 一月十四日でございます。
  115. 野坂浩賢

    野坂委員 それまで知ってないでしょう、去年ですよ、これは。十一月十九日。下の下僚が紙に書いたものをもらって読んで。農家の皆様は切実なんですよ。しかも、あなたの上司の農林大臣がちゃんと矛盾は直すと言っておるじゃないですか。あなたは書いたもので、ないだろうというようなことだけでは納得できぬ。答弁は要らぬ、こういうことは。  そこで、生産調整の問題については、何といってもあなた方が根拠にしておる農林省設置法なり基本法でも、改善をするということが大切なんです。消費の拡大をやるということですよ。あなたがいつも御答弁になっておるように、消費の拡大をやる。この消費の拡大をやるという方法をやはり考えてみなければならぬじゃないか。だから、あなたがいまおっしゃっておる麦作ですね。いわゆる麦の需要というものは四%、五%ですから、これをどうやって伸ばすかということを考えなければならぬ。だから、関東以西にはたとえば来年度から、百十二万ヘクタール程度の麦作ができる、裏作ができるところがあるわけですから、たとえば三十五万ヘクタールやる。いま種がない、そういう状態なんです。何の用意もしてない。だから、来年度いわゆる五十三年の暮れからそういうことをやれば、いわゆる麦をつくれば米の減収につながるということは当然ですから、一〇%として三十五万トン程度考えられるじゃないか。いまのこの所信表明にも述べられたように米麦一貫の栽培をやるということになれば、土地改良を思い切ってやる、いまあなたが全力を挙げるとおっしゃったわけですから。十カ年計画でやります。来年は二兆円くらい取りましょう、こういうことを言わんばかりのお話ですから。そうすれば、湿田を乾田にするために七十センチ程度まで下げて、一斉に年間十万ヘクタールを目標にしてそういうことをやれば、いわゆる通年施行でありますから、その方法というものを考えれば百万トンぐらい出てくる。そして、いまお話しになったように、学校の給食のお話があった。このごろ大学の受験においでになって、私のところにも泊まっていらっしゃいます。飯を食わせてやろうと言うと、パンがいいと言うのですね。なぜかというと、小学校のころからパンにならされて、飯を食わぬでも結構です。飯を炊くのは厄介ですからパンで結構です。子供がこう言うのですね。やはり子供の習生というのはなかなか厳しいものです。われわれの時代には米を食ってきた、いまごろの子供たちはパンを食う、このことが米の需要に大きな影響を来しておるということを痛感をしました。そのやりとり、話を聞きながら、なるほどなと思わせました。だから、思い切って大胆に、学校給食を努力をされて、週に二日というのを四日でも五日でも全週やっていくということになれば、もっと二十万トンぐらい上がるじゃないか。そして、あなたのお説で、二十五グラムをやれば百万トンが出ると言われておるわけですから、その程度のことは学校給食に三五%で出せるわけですから、出すということになれば、この消費拡大のために三五%減にして引いてやれば、そうすれば農家の皆さんが安心をして米をつくって、ペナルティーだとかそういうことを議論をしなくても済むような体制になるのではないか、そういう方式だって検討すべきじゃないか、私はそう思うのですよ。それこそが、与えられた農林大臣の職務に忠実であり、常に消費拡大を本会議委員会を通じて述べられておる農林大臣としてのふさわしい態度ではないか。そういう点をやったらどうでしょうか。その点、どうですか。
  116. 中川一郎

    中川国務大臣 生産調整のようなどぎついことよりは、なるべく生産が減退するように、それには麦の裏作ということをわれわれ着目しまして、ここ二年ほど前から、裏作でつくってくれた人は一般の奨励金のほかに反六千円差し上げますということで、裏作をつくることによって表作の米の生産を若干なりともおろすという仕組みもやってまいりまして、いまもやっておるところで、かなりの効果を上げておりますが、まだまだ、麦というものが倒伏するとかあるいは種の問題とかありまして普及しておりませんが、これは前向きでやっていきたいと存じます。  それから、学校給食でございますが、これもわれわれとしては、全部毎週学校給食は米飯とするという気持ちでやりたいわけです。それは、御指摘のように、単に学校で消費が拡大されるだけではなくて、将来にわたって、その人が大人になって社会に出て米になじむ。学校の段階、生徒の段階でパンになじむという仕組みはおかしいというので、学校給食については最大前向きでやり、とりあえず週二回という御協力をいただいております。そして、これには計画より早目に実施できるように——実効も上がっております。私としては、できれば全部、週五回でございますから、五回は米飯とするというふうにしたいのでありますが、従来、長い間御協力願った学校給食会、現実にこれを取り扱っておる人方の御理解、そしてまた御協力がなければ、政府が一方的に押しつける——民主主義の世の中でございますから、この方々の御理解も得られるように最善を尽くしていきたい、こう思っておる次第でございます。
  117. 野坂浩賢

    野坂委員 だから、私が提案をしたようにやれば、米の生産調整はやらぬでもいい、こういうことになりますね。提案を申し上げておるわけですから、いい方法があったら言ってみいということですから、それでやられたらどうですか。そういうことになりますよ。だから、生産調整は思い切って少なくする、そういう姿が今日の農政発展の基礎になるような気が私はします。私の提案はだめですか。
  118. 中川一郎

    中川国務大臣 それをやるにしても、来年からできるというものではなくて、学校給食の問題も、あるいは裏作の問題も、一年、二年ではなくて、二年、三年、四年とかかりますので、とりあえず三年間だけは、こういう厳しくはありますけれども、御理解、御協力をいただいておいて、これも重ねて申し上げますが、一方的に押しつけたのではなくして、四万円から七万円という相当の財政負担で、経済負担もかけないようにということで、しかも、きめ細かい——先ほど園芸局長が立って御答弁申し上げたのは、何か計算の仕組みでも変えろと言ったんじゃないかと思って青くなったのでございますが、あの仕組みはなかなかよくできた仕組みだと思うのです。あの仕組みできめ細かくやっていただいて、そして願わくば、三年たったら生産調整は続けなくてよくなった、こういうふうになるように最善を尽くしてみたいと思いますので、これは当農林水産委員会ではこういう方向に全力を挙げての御協力をいただいて、先々そういうことのないようにしていただきたい。先々なるならないがまだはっきりしない段階で、これをことしからやめてというわけには、私は農林行政を預かって責任ある者としては、どうも危険である、こう思うわけでございます。
  119. 野坂浩賢

    野坂委員 大臣、あなたの責任であるかどうかわかりませんが、この生産調整というのはつじ切り強盗みたいなものですよ。突然やみから出て、緊急避難的なものから構造生産、いままでと変わってきた。麦をまけといっても、町村はもらってまだ下にはおろしてないわけですから。これからどうしようかなと考えておるわけですから。四月、五月になってから麦をまくのですか。だから、一年間ぐらいは準備期間というものがあって、頭の整理をして、余ったからこれだというような、突風、烈風が吹くようなそういうことじゃなしに、じっくり理解を求めるためには、強権発動的なことじゃなしに、話し合いの中でやっていかなければならぬ。もうしようがないんだというようなかっこうでは問題があると私は思いますね。だから、来年、再来年からは考えてもらいますよ、いまから話し合ってくださいというのが、温かい農政といいますか、思いやりのある農政ということをあなたもおっしゃっておるわけですから、そういうかっこうにすべきじゃないですか。
  120. 中川一郎

    中川国務大臣 そういうことができる余裕があれば結構なんですが、厳しいことが一つと、もう一つ申し上げておきたいのは、実はこれ、突風のようにやったとおっしゃいますが、昭和四十五、六年ごろも今日より厳しい情勢になりまして、そしてああいう形、今度と同じような形でやりまして、今回よりはもっと大きな面積で御協力もいただいて、そしてそれがまたスムーズに行われて、数年間ではありますけれども、生産調整がなし得たという実績もあることでございまして、過去にないことではない、過去にも経験のあったことであり、それを耐え抜いてきたことだということでございますので、この点も御理解いただきたいと存ずるわけでございます。
  121. 野坂浩賢

    野坂委員 いままでは緊急避難的だったのですね、その年、その年ですから。今度は十年間で三年を一期に締めくくっておるわけですから、そういうところに今度は性格が変わっておるというふうに理解しておるわけです。農家の皆さんもそう見ておるわけです。だから、そういう烈風や突風で、そのときはスムーズにやってきた、やってきたが、協力をしたけれども、限度数量で、でき上がったものについてはまた自主流通米ルートに乗って、全量買い上げじゃない、こういうことなんですよ。今度は全部買い上げるわけですか。今度は全部買い上げるわけじゃないでしょう。マル超が出れば、余分のところに、自主流通米ルートに乗せます。こういうことじゃないですか。協力したら全部買うわけですか。
  122. 中川一郎

    中川国務大臣 前回も緊急避難ではありましたけれども、五年間というかなりの長期目標でお願いをして、そして、しかも、あのときは休耕という異常な手段までお願いして、そして少なくとも五年間は大体生産調整、まあ九八とか九七とかいろいろありました。時期によってはお願いしたよりもむしろ多い県もあって、少しやり過ぎちゃって困った、何とかもう少し米をつくってくれないかというような協力ぶりが今日の減反奨励補助金より少ない金額であった時代もございますので、そう前のときと大きな変化はないのでございまして、今回も相願わくば、大変ではございますが、前回同様に何とかひとつ御協力をいただいて、調整しないことによる過剰米が出ない仕組みをぜひともお願いしたい。しかし、出た場合どうするかというと、先ほど申し上げたように、買い上げの限度数量というものは法で決まったとおりでございますから、これを増枠して買うわけにはまいりませんけれども、自主流通米制度に乗るように処理をしていく。これを投げだとか、どこかへ持っていってしまえということではない、日本の食糧として大事に配給のルートに乗るという仕組みを考えたい、こういうわけでございます。
  123. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたの力点というものは、米をつくらせぬというところに力点を置いておる。私は、消費拡大をどうやっていくか、それとあわせて生産調整というものを、あなたの言をかりれば考えてもいいじゃないか。この五年間でいままで生産調整をたくさんやったのだから、今度も大したことない、だから協力したらどうだ、こういうようなお話ですけれども、全く農家の皆さんはそういう実情にないわけです。町村だって県だって深刻ですよ。これは、農林大臣はここにおって県にやれと言っておればいいのですけれども、県はそれを受けてどう言っておるかというと、全国の知事は、農林省は全く先見性がない、計画性もない、思いつきのようなことをやってくる、こう言っておるわけです。この五年間生産調整をやったのなら、一方でなぜ消費拡大に努力しなかったのですか。やったので、やり過ぎて困っちゃった、米をつくってくれと言ったこともあった。それは一生懸命やって、国が言うことならしようがない、だから甘く見てやるわけです。今度はそうはなかなかなりません。だから、なぜ五年間に消費拡大を、いまの学校給食の問題とかあるいは酒米とかそういうことをおやりにならなかったのか。なぜ努力をされなかったのか。外国の援助米というものを日本の米で出さないで、外国の米を買ってそれを外国の援助物資として出すというような、そういうところから、農民の不信、不協力というものが醸成をしてくるのではないですか。それはやめるべきじゃないですか。日本でできた米を援助物資でやる、こういう方法をとるのが私は当然だと思いますが、今後はそうされるでしょうね。
  124. 中川一郎

    中川国務大臣 農政に対していろいろな御批判はあります。しかし、一貫してそう間違ったことはないと私は思っているのです。というのは、戦後は何といっても食糧増産ということでお願いをした。ところが昭和四十五、六年ごろから過剰米が出だした。そこで生産調整をお願いする。そして、消費の拡大もかなりやってきた。しかし、それ以上に需給の事情が変わってきた。生産は意欲的になり、消費の方は伸びない。こういう事態に対処して、さらに二段の生産調整をやらなければならぬということでございます。その間、消費の拡大なり外国への援助物資等への努力が足りなかったと言われれば、確かにあったかとは思います。ただ、御指摘のように、日本でできたものを海外の援助物資に経常的にやれと申されましても、価格の面で四倍も五倍も、場合によっては六倍も高いわけです。国民の税金でもって、五倍も六倍も高い、言ってみれば六割補助、八割補助というようなもので、これを恒常的に援助物資で対処するということが国民経済的に許されるかどうか。やはり援助物資でも、国益を考えて有効なものを援助していくというのが、考えなければならない大事なことだと思うということでございます。今後とも緊急援助はいたしますが、余った米は援助にどんどん出す性格のものである、だから、米はつくっていいという姿勢にはなりかねる、こういうわけでございます。
  125. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたの前の鈴木善幸さんという農林大臣は、これからの援助物資は、いまお話しになったように、日本の米と外国の米と非常に価格が違うというお話もありました。しかし、麦の場合の円高の問題等を考えても、七十八億の赤字がいまや六百三十億を上回って七百億に近まらんとしておるわけですから、そういうことも考えてケース・バイ・ケースでそのことは前向きに考えよう。よく福田総理がおっしゃいますね。三木さんもおっしゃった。いまの物価高とか不景気というのは心理的な問題もある。農家の皆さんが、おれたちに米をつくらせないで、外国から米を買ってそれを外国の援助物資に出すというのはけしからぬ、それはやはり農民の声だと思いますね。そういう立場を十分政治的に考えて、できたものは、余っておるならば当然それを外国に出す。それが十五億円や二十億円であってもいいじゃないか。そういう点は、麦の円高の問題でも、一応ことしなんかはめどがあるじゃないか、そうお話をしたら、それはケース・バイ・ケースで前向きにやりましょう、こうお話しになったのですよ。私はやはりそういう方向というものを農民の目を十分考えてやるべきではないかというふうに思うのですが、その点はどうでしょう。
  126. 中川一郎

    中川国務大臣 全くそのとおりでございまして、ケース・バイ・ケースで援助物資として利用する。今日までも使ってまいりましたし、今後もそういうことがあり得る。しかし、援助物資にやるんだから生産調整はやらなくてもいい、こう直結はしないのではないかと思う次第でございます。
  127. 野坂浩賢

    野坂委員 私どもは、「調整」という法律用語の前に「改善」ということがある。その改善ということは消費の拡大だ、その点はあなたと一致しておるわけですから、消費の拡大ということは、そういうことの一つ一つを取り上げてやっていけば、生産調整をできるだけ少なくする方が農家の皆さんはお喜びになるわけですから、その方向でやるべきだ、こう言っておるわけですよ。しかも、あなたは、自主的な協力によってペナルティーというものは考えていないということです。公平の原則というのも一律一体ということではないということもお話しになったわけです。だから、そういうことについてはこれから詰めてお話しにならなければならぬ。もう下の方に行っているわけですから、予算審議と同時に正式決定だ、いままで内定しておったものだからという、そういう矛盾がこういうところに出てきたわけですから、それらについては、皆さん方とひざを合わせて十分話し合って、この問題については再度やはり協議をしていかなければならぬじゃないか。いまの八十六キロ問題なり八十一キロ問題でも、こういう現実に食っておるものを避けてまで生産調整に追い込むというようなことについては、私どもはなかなか納得ができない。しかし、もう時間が来てあと二分しかないわけです。それらについては、これからの話し合いの場で十分詰めてもらうということは、いまの内定から正式決定までは時間があるわけですから、それらの矛盾と問題というものを整理していかなければならぬじゃないか。そうしなければ、一方的に協力せい協力せいと言っても、それは協力はできないという結果にしかならぬわけでありますから。それらについては法的にもたくさん問題があります。自治法の二条十五項を含めて、農林省設置法の三条一項にしても、あるいは農業基本法の二条一項にしても、たくさんの問題を含んでおる。調整ということよりも前に改善ということが先に考えらるべきだということが法律の根拠だ。しかも、食糧管理法は全量買い上げというものがたてまえだけれども、政令で必要な数量というものが出ておる。こういうところであなたはそれを抑えて進めておるわけですから、そういう全体の流れの中で改善をする方向というものを考えていくために十分みんなと話し合って、正式決定までにはそれぞれの党派の皆さんと話し合うというふうに御理解をいただく、こういうふうに考えてもよろしゅうございますか。
  128. 中川一郎

    中川国務大臣 生産調整は、あくまでも農民の方々の理解による自主的協力でこの問題を処理したいし、消費の方も、政府が強要して米を食べるようにして、これを八十六キロにする、九十キロにするということはできないです。これも国民の皆さんの理解と協力ということで過剰米の問題は処理していくことを基本とする。そして、政府はそれに対して、生産調整協力してくれる人には最善の協力をする、土地改良あるいは補助金、技術指導、また消費者に対しても、学校給食を初めいろいろの政府のできる範囲内のことを最善の努力をする。そして、この正式決定までにまだ改善すべきものがあったなら、これはもう当然直していかなければなりませんが、部分的な意見では困るので、やはり全体として合意の得られる改善策があり得るならばそれで対処していきたい、こう思う次第でございます。
  129. 野坂浩賢

    野坂委員 話し合うということでありますから、そういうふうな理解をします。消費の拡大ができれば生産調整は非常に少なくなる、こういうことになります。そういう方向を目指さなければなりませんし、法的にも疑問があります。だから行政でやるんだ、行政が国会に先行しておる、そして終わったときにそれをやるんだ、こういうかっこうでずっと下におろされておるというところには今日なお問題を残しておることは間違いありません。そういうことを含めて十分にこれから話し合い、それらの問題についての対処の仕方というものを考えていかなければならぬ。そして矛盾と問題点、この生産調整なり各府県の割り当てについてもその問題点なり矛盾というものは是正をするという立場を明らかにされたわけでありますから、ぜひそのような措置をしていただきたいと同時に、今日の農家の皆さんは、この経済成長の中、不況の中でさらに追い込まれる、そういう点で非常に国の農政に対して非難をしておる、批判というよりも非難をしておるというのが実情であります。だから生産調整というものはできるだけ避けるという方向が一番望ましい。だから私たちは、いまの生産調整をやらないで済む消費拡大方向をとるべきだというふうに考えておるわけです。その方向で努力をされるように、正式決定まで相当の時間があるわけですから、それらの問題についても十分各党の代表と話し合うということを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  130. 中尾栄一

  131. 島田琢郎

    島田委員 同僚委員が、当面の農政の最大の課題であります米の生産調整の問題について、大臣のけさほど来の農林大臣としての所信表明をめぐっていろいろと議論をなされておりましたのを私聞いておりまして、中川さんが、今日の日本の農業をめぐります認識の基調において、あなたは国民党の農林議員としては最右翼をもって自認されてきた人だという認識を私どもは持っておりましただけに、私ども野党の立場から見ますと、今日の日本の農業の危機的な状態を打開していくために、果たしてあなたのお考えでわれわれがあるいは農民が手放しで安心してついていけるんだろうかという点についての若干の危惧を持たざるを得ませんでした。そうした全般の問題をいまここで論ずるのには、いささか限定された時間の中では消化し切れないものがございますので、私は、角度を変えまして、八十分という時間の中で、前段は畜産関係、後段で山の問題を提起いたしまして、所信を伺った大臣のさらに具体的なおやりになろうとしている考え方をお尋ねをしてまいりたいと思うのでありますが、余り時間をかけることができませんので、どうかひとつ率直な、歯にきぬ着せないことでは有名なあなたでございますから、こういう大事な、農民の皆さんあるいは国民の皆さんが注目をしております点については、具体的にしかも率直にお答えをいただきたい。私は冒頭にそういうお願いをしておきたいと思うのでございます。  そこで、大臣は、昨年の就任に当たりまして幾つかの公約をされましたが、そういう中で、特に食糧問題、とりわけ畜産物の流通問題について真剣に取り組みたいという考え方を冒頭で明らかにされました。時あたかもアメリカの牛肉輸入あるいはオレンジとか果汁等をめぐります外側からの大変騒々しい環境の中にあったということもこれは一つありますけれども、私は、毎年同じような問題をこの場で提起をして、この畜産物の流通問題というのは、ともかくいままでと違った考え方と視点で弱気ある、つまり私どもの言葉で言えば、革命的な流通のいわゆる改善がなかったらこれはとても大変なことになるということを指摘をしてまいりましたし、また、そのために幾つかの具体的な提案もしてきたのでございます。  今回、私はぜひお聞きをしたいのは、あなたがそういう発言をされ、そういう気構えでいまも臨もうとお考えになっているに違いないのでありますが、新規事業として今回実は示されております中身について、示されております言葉の表現では余り明確に大臣がお考えになっていることが理解ができないところがあります。  したがって、私は、まず冒頭に牛乳の流通問題について大臣がどのようにこれをお考えになっておられるのか、そして新規事業で二つ三つ具体的なものを挙げていらっしゃるようでありますが、これはもう少し中身について、あなたらしく、これはこういうふうにやるのだ、こういう流通はこういうふうに改めていくのだ、こういうことをひとつ明らかにしていただければ、話題を展開していく上で大変参考になると思うのですが、冒頭にそれを伺いたいと思います。
  132. 中川一郎

    中川国務大臣 牛肉については、まず第一番目に私が申し上げたのは、もう少し安い肉が消費者に当たる仕組みはないだろうか……
  133. 島田琢郎

    島田委員 ぼくは最初に牛乳を聞いております。通告してあります順序に従ってお尋ねしますから、どうかときどきその回答集をお読みいただいた上で順序よく答えてください。
  134. 中川一郎

    中川国務大臣 牛乳ですか。牛肉と思いましたものですから。  牛乳については御承知のように十二、三年前になりますか、例の不足払い制度というのをつくったのです。この仕組みはどういうことかというと、生牛乳の地帯はまあまあ消費者との間で価格が維持される、ところが、消費者地帯に向けられない北海道を初めとする加工原料乳地帯では、消費者価格にも非常な差がある。そこで、これらの地域農家の方々の生産が安定するまで暫定措置として不足払いという制度をつくって生産確保されるようにというので、不足払い制度というものができたわけでございます。かくて十数年たったわけでございますが、最近は、どちらかというと加工原料乳の方に市乳が流れていく、逆流をする、こういう仕組みがあるわけでございます。そこで、何とかやはり市乳は市乳として処理をされる、そして余った牛乳で製品をつくるという本来の仕組みに返してはどうかということで、この辺の牛乳の流れというものをどういうふうにするかということで、生産者とメーカーとそれから流通段階の人が相談をし合う、こういう仕組みがありますので、まずこれに政府も助成金を出して、この流れについて積極的によりよいものを生み出したい、こういうことを基本としてやりたいと思っておる次第でございます。
  135. 島田琢郎

    島田委員 これはまあ私が悪うございました。あなたは就任のときには確かに牛乳のことはおっしゃらなかった。ただし、流通機構に手をつけるとおっしゃったので、その具体的な面で牛乳からお尋ねをしたのであります。  ところで、実は新規事業の中で、第一の牛乳の流通機構を改めるという項目の中で、生乳広域供給方式開発調査事業をこれから展開しよう、こう言っているのですね。これは余り大した金額じゃないので、私は、まず第一にこんな金額で一体何をやろうとしているのでしょうか、そういう疑問がわいてきました。調査といったって、とても一千万ぐらいの金で私どもが期待しているような調査ができるのでしょうか。さらに、牛乳の流通を広域的に、しかも効果的にとあります。そして、合理的な需給調整方式を開発すると言っています。とてもこんなことでは——あなたがお考えになっているのはどの辺にそのポイントがおありなのか、私は理解に苦しむのと同時に、私どもが長い間期待してきた期待とは大きくかけ離れた内容ではないかと思うので、調査を進めるという調査費としてはこの程度のもので節約しながらやればできるという自信がおありなら別でありますが、私は、いままで指摘をしてきた流通の大改善、革命的な流通機構の改善なんというような面では余りにもちゃちに過ぎる、こう思うものですから、具体的に通告の中でこの項目をそちらに差し上げてひとつ明快な内容の御発表を願いたい、こういうふうに注文をつけていたところであります。  ついでのことですから、飲用牛乳消費普及宣伝事業、これは一億ほどの金を使うそうでございますが、従来の米の消費宣伝にしたって、あるいはそのほかの肉の消費宣伝にいたしましても、ポスターをつくって張るとか、テレビでコマーシャルとダブってようわからぬようなテレビの宣伝をやるとかいうぐらいがせいぜい政府のおやりになったいままでの宣伝活動なんであります。これではとても宣伝なんという名に値しない。それこそ民間のコマーシャルの方がよほど効果があるというふうに私どもは酷評をしていたのでありますが、今度は一億をかけて、同じことをやるのではないと思いますが、一億をかけて普及する宣伝をやる、こういうことでありますが、この中身についてもひとつお尋ねをしたいと思うのです。したがって、その後で私は私なりの考え方をひとつ提示をして、議論に入ってまいりたい、こう思うのです。——なるべく大臣から答えてくれませんか、きょうは私、大臣の所信表明に対する質問なんですから。
  136. 杉山克己

    ○杉山政府委員 具体的な事業の中身でございますので、一応私から答えさせていただきます。  最近におきましては大都市の生乳の消費量がきわめて大きく伸びてまいっております。一方生産の方は遠隔地化する。したがって、生乳の供給は長距離輸送を必要とするというような事情になってまいっております。四十一年ごろはブロックを越えるような大都市地域への生乳の搬送というのは十万トン程度でございましたが、今日では四十万トン以上になっております。しかし、この内容を見ますというと、生乳流通は時期によりそれから地域によりましては市乳圏から生産地へ逆流するというような状況も出てまいります。それから市乳圏におきましては、加工原料乳の発生、さらには同一地域における加工原料乳と還元乳の発生といったような合理的でない動きも見られるところでございます。こういった動きに対しては、できるだけロスを少なく需給をバランスするというようなことでの供給体制をとりたいということで、広域需給調整を図るために、五十一年度から生産者、乳業者を構成員とするところの需給調整協議会を開いてまいっているところでございます。  先生は、予算的に五十三年度それほど大きな額を措置してないということを指摘されましたが、私ども、もちろん金はたくさんあったに越したことはないかとも存じますが、むしろ関係者間のそういう調整をしようとする意欲、気分の一致ということが非常に大事であろうかと思います。そういうことで、需給調整協議会を入念に開催させ、その中での調整を図る、さらにそういったところに集められますところのデータをできるだけ合理的な処理をする、できればこれをコンピューターに入れて新しいシミュレーションをこしらえることはできないか、流通体制についてのそういうようなものができればきわめて望ましいということで、そういう相談のため、それからデータを集積してコンピューターにかけるための調査費としての予算を五十三年度計上することにいたしたわけでございます。  それから消費宣伝の問題でございますが、これは一般的には当事者が当然心がけておかなければならない問題でもございます。最近におきます飲用乳の消費は幸いにして増加を見せておりますものの、生産の増加はこれを上回るというようなことで、さらに一層の飲用乳の消費増加を期待する、あるいはそれに向かって努力する必要があるわけでございます。その点、生産者、メーカー、販売業者間で、最近におきましては幸いにそのためのPRをやろうじゃないかという機運がこれまた流通についての需給調整と同様高まってまいっております。これを助長しながら、政府におきましても直接的なPRを補助事業でもって行うということにいたしたわけでございます。国の金は一億でございますが、そのほかに畜産振興事業団からも一億五千万ほどの金をやはりこの消費宣伝の事業に投入するということにいたしておるわけでございます。当然関係者の負担もありまして、これに倍する事業規模となるわけでございます。事業の内容としては、確かに先生御指摘のように、特段に新味のある、これがもう決め手だというようなものはなかなか出てまいらないかとは思いますが、じみちなそういう関係者閥の努力、協力を基礎にしながら、テレビあるいは特別な消費主体に対する働きかけ等によりまして牛乳の消費の拡大を図っていくということにいたしておるわけでございます。
  137. 島田琢郎

    島田委員 私はいまのお話を聞いておりまして、これはこれからお尋ねしようと思っています大臣お得意の食肉の流通問題でも同じことが言えると思うのですけれども、これじゃとても、私が言っているような革命的な流通改善にはなり得ない。いまさら私が大臣に長々と実情をお話しする必要はないと思いますけれども、牛乳は日本の場合は足りないのでありまして、余っておらないのですね。それなのに北海道では牛乳があふれているというこの現象、これは実に不思議な現象だと言わなければならぬと思うのです。そして先ほどお話しになったように、十二年前に不足払い法ができて、北海道のいわゆる加工原料乳地帯においての一つの将来への展望が開けたとあの当時言われておりましたのに今日依然として低迷の状況を続けなければならぬというのは、まさに牛乳の流通に問題があるということは、もう識者に限らず、全部一致して指摘をしている点でしょう。北海道における牛乳、これが内地府県にいかに円滑に流通されてくるか、そこにあの不足払い法の精神も目的も当時あったと思うのです。指摘するとおり、依然として一割のシェアでしか実は生乳で流通されていないというのが今日の北海道の実態でしょう。足りなくて、一昨年の統計によれば外国から生乳換算で二百万トン輸入されている、こういう事実を前にしても、依然北海道で牛乳が流通せず、農民は、一生懸命しぼってもその後の牛乳の処理が一体どういうふうになるのかに大きな不安を抱え込んでこの十年間やってきたことも事実なんですね。ですから、今度中川さんが農林大臣になったということに一面の期待を持つのは、北海道出身で、北海道のこの牛乳の実態を知っているから、今度はあなたは牛肉と同じように牛乳についても円滑な流通のこういう道開きをしてくれるであろう、こういうように期待しておったのです。しかし、最近の農林省、政府当局からいろいろ言われていることは、限度数量をかなりオーバーする分についても、なかなか首を縦に振るというような空気が出てきませんね。そうしますと、あとは流通をどう円滑に進めて、北海道のあり余ると言われる牛乳を全国各地に供給する道を開くことができるかにかかっていると思う。ところが、一生懸命流通問題をやりますとおっしゃったとしても、いまの局長から御説明のあった程度のことでしかないのだとしたら、依然この重要課題はたなに上げられたままにことしも終わってしまうのだろうか、こういう危惧を私は持っていますので、せっかくお得意の牛肉問題も含めて、流通に対する私の指摘に対する大臣の御見解をこの際承りたいのです。
  138. 中川一郎

    中川国務大臣 牛乳の流通については、もう一つ問題があるのです。  実は、北海道あたりの市乳を東京やその他の消費地に安く飲ませるのには、運賃助成というものをやれば、これはかなりうまくいくというので、運賃助成をひとつ考えてみたことがあるのです。そうするとどうなるかというと、今度は、栃木県や宮崎県のような市乳地帯に大打撃を与える。そこで、これはまさに南北戦争になってしまうわけでございます。せっかくの座敷を北海道に取られてしまうというので、なかなかこれがなじまない。そこで、せいぜい濃縮乳ということに対して国が助成をして、たしか北海道で二カ所か三カ所でありましたか、つくったはずでございます。そうすると、濃縮乳にすると輸送費が非常に安くなるというので、このルートをひとつ開いて市乳化対策をやったわけでございます。そこで、北海道にとり得る措置としては濃縮乳制度しかない、あとはやはり本州の皆さん方にたくさん飲んでもらって、本州のものがはけた後北海道がはける、こういう仕組みということでいろいろやってまいりましたが、ことしは、いま説明がありましたように、約二億五千万と言えば相当なものだと思うのです。普及宣伝をやって、そして消費を拡大する、こういう方向を前向きでやっていって、北海道の牛乳も余るというようなことのないようにしなければいかぬ。しかし一方、北海道の伸び方も、島田先生は酪農の専門家ですが、私は素人でございますが、じいっとながめておって、地域によっては悪いところもあるし、また農家によっては非常に苦しいところもありますが、全体としてながめて、非常に安定し将来に希望を持ってきたのじゃないか。ただ、最近伸び方が一六%も単年で伸びる。こういうようなことで、オーバー傾向にあることは事実でございます。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 そこで、これは限度数量のオーバーの問題が出る。一体これをどうするかということでございますが、これはまた三月末、乳価決定ないしは来年度の限度数量というもので対処してまいりたい、こう思うわけでございますが、牛乳の流通については、いま言ったようなことで、将来余らないような方向に最善の努力をいたしたい。  それから、牛肉については、ルートそのものの根っこに問題がある。牛肉というものが日本人になじまなかったのか、宗教から出てきたのか、牛肉は食べるものじゃないという時代があったものですから、しっかりしたルートができておらなかったというので、ここ数年前からやっておりました食肉流通センター、産地においては島田先生の選挙区の東藻琴にできましたように、生産者団体が中心となって、部分肉までつくる、こういうことで、産地の流通を非常に簡潔なものにする。これを北海道のみならず日本全国にネットワークをつくって、生産段階の流通の抜本的改革を図る。そして今度は、消費段階のルートとしては、いままで全くなかったのでございますが、東京に今年度、五十三年度から二年間でございますけれども、部分肉センターというものをつくって、そこに消費者が買いにこれる。品物は全国の食肉センターでできた部分肉を並べて、産地直結をする。そうすれば生産者と消費者とが直結をする、こういうことによって流通の革命的改革を図りたい。こうするならば、生産者も安心して生産ができるし、そしてまた、消費者も安いものが食べられる。そして牛肉の需要拡大される。生産者も安心する、外国からもまた足りない分は買うルートもできる、こういうことを根っことしてやりたい。それまでの暫定措置としては、畜産振興事業団の手持ちの肉の放出量を増すとか、あるいは指定店制度を強化するとか、特に部分肉センターに似たような朝市というものをことしの一月早々から開いていただきまして、いままでは芝浦からいろいろなルートを通じて肉が肉屋さんに配達をされておった。それを野菜やあるいは魚のように朝市を開いて、小売人が直接買いに行く。そして自分の嗜好のものを買ってくる。ここには産地からも入ってこれるような仕組みというものをとりあえず緊急的につくりまして、将来の部分肉センターに備える、こういう幾つかのきめ細かいことをやって、緊急にできるもの、そして長期的にできるもの、こういうことをやって、牛肉、ひいては畜産、酪農農家の安定に寄与したい、こういう方向でやっておるわけでございます。
  139. 島田琢郎

    島田委員 牛乳の問題については、私は大臣と、限られた時間でとても意見を出し合うというようなことはできないわけですから、間もなくまた牛肉、牛乳価格決定の時期を迎えますから、これから先、幾度かこの問題をひとつ議論をし合いたい、こう思っているのです。  余り時間もないのですけれども、先ほど南北戦争というようなことを表現としておっしゃったわけです。確かに三分の一濃縮乳を関西方面に主として送って、そして北海道の牛乳を消費するという点で、そういう道は開かれたわけでありますが、しかし、関西を中心にして、夏場非常に暑い時期に本物の、つまりわれわれが言うところの生乳が期待されるようなルートで消費者に供給されているのかというと、これはなかなか濃縮乳という問題だけで解消できない状態を幾つかはらみながら今日までこの制度が進んできた。で、関西の奥さん方としばしばこの牛乳問題について話し合う機会を私は持っているのであります。というのは、私は牛飼いだというようなこともありまして、ぜひ北海道東北の新鮮な牛乳を関西にダイレクトに送り込んでもらうということができないのだろうか、こういう切実な訴えを私は受ける。そのときに、大臣おっしゃるように、私どものところは運賃を考えて濃縮乳をあなた方のところに送っているが、これを最大限にひとつ活用してもらいたいという話をしましても、消費者の中からはこういう声が返ってきます。水も一緒に持ってきてくれますかと言うんですね。つまり、関西の水を増して飲むのなら、何も北海道の牛乳をもらったという意味がありません、だから本当に牛の乳房から出てきた本物の牛乳をダイレクトに送ってくれ。ダイレクトに送ってくれということは、牛乳の本質を損なわないように新鮮な牛乳を即日送るような体制を、何としても国会の議論を通じて確立してもらいたい、こういう願いがこもっているというように私は受けとめているのです。こういうふうに消費者の方からも非常に大きな期待の高まりがあり、片や北海道では、ふろを沸かして入らなければならぬほど牛乳があふれているという実態が放置されている。問題は何にもむずかしくなくて、そこに思い切った消費、流通の新しい機構がつくられていけば、つまり従来の古いパイプを直すのではなくてバイパス式に、私が常に言っておりますのはミルクバイパス論というのでありますが、この新しいパイプを通して、内地府県の期待される地域に思い切ってダイレクトにこれを送り込んでいくというような消費流通体系の新しい週あけを、ぜひ私は、中川さん、あなたの農林大臣のときにやってもらいたい、こういう希望を強く持っている一人だから、きょうは流通問題を特に取り上げたのであります。ところが、大臣の所信表明の中ではどうしても私はあなたの決意はうかがい知ることができなかった、こう思ったものですから、少ししつこくこの問題に私の意見を加えて、あるいは消費者、生産者の願いをこの大事な国会の場で御披露申し上げながら、ぜひひとつ思い切ったやり方をこれからとってもらいたいと思います。先ほどおっしゃったように、牛乳についても二億五千万、こういう大きな金をつぎ込んで、畜産振興事業団からの助成なども受けながらやるんだ、こういうことですから、そのことを私は否定をしているのではございませんよ。それも大事なことでしょうが、もっとあなたらしい思い切ったやり方をぜひひとつやってもらいたい、このことを申し上げておくのでありますが、決意はいかがですか。
  140. 中川一郎

    中川国務大臣 これはまさに消費者対策でもあり、また北海道の生産対策でございますので、新鮮な北海道のいい牛乳を本州、特に関西、東京方面に送るということはまことにいいことでございますので、大いに促進をするようにこれからも努力してまいりたいし、農業団体あたりはその辺のところを特にホクレン等が先頭に立ってやっていただく。これに国が運賃助成——直接助成をやりますと、先ほどの南北戦争になりますから、やはり自主的努力と国の協力とによってやっていくという仕組みをつくりたいと思います。  ここでよけいなことをまた申し上げて怒られるのかもしれませんが、その場合、一つネックになるものは何かというと、北海道の加工原料乳そのものが高いということによって、関西方面に流れるのではなくて、むしろ原料乳地帯である北海道へ市乳が流れていくという問題が出てくるわけなんです。ですから、私は、加工原料乳の価格というものはよほど慎重にしていかないと、水田農家が今日困っているように、加工原料乳が余って余ってどうにもならないというので、価格政策も大事であるが、むしろ構造政策、あの広大な北海道で安い牛乳が生産されるという仕組みを、金融政策なりあるいは生産対策なり、血のにじむ苦労をして、政府も最善の努力をして、市乳地帯に北海道のが流れる仕組みになるように、逆流をしないようにと私が言い続けてきたのはこの辺にあることもひとつ考えていただいて、短期的に値を上げることはいいことでありますが、長期的にはそれが逆流をする、逆流をすることによって北海道の酪農の乳が余る、そしてやがては生産調整というようなことが出てこないように、やはり苦しくとも長期的な配慮をする、そういうことも流通を考える場合の大事な根っこである、こういうことを思っているということでございます。
  141. 島田琢郎

    島田委員 それこそ私はあなたと違う考え方で申し上げているのではないのであります。こういう議論を続けていけば時間が幾らあっても足りないのでありますけれども、一言だけ申し上げておきます。  そうおっしゃるなら、せめて北海道でしぼった牛乳は限度数量以内しか買わないなどとおっしゃらないで、政府がやはり責任を持つという姿勢が明確に打ち出されてこないとこれはいかぬのではないでしょうか。それは買わないわ、飲用乳の方に北海道の新鮮な牛乳が欲しいと言うところには南北戦争があって、それは政府としては手をかすわけにはいかぬ、こうおっしゃる。それなら、北海道の酪農家はどうやって生きればいいというのでしょうか。もちろん私は、内地府県の酪農家はどうでもいいと申し上げているのではありません。そうではないのです。せめて夏場の足りない時期だけでも、本物の牛乳が枯渇する時期だけでも北海道の牛乳をダイレクトに送り込んでいくということは必要ではないでしょうか。そういう流通機構をきちっとつくらないといけないのではないかということを言っているのであって、私は、南北戦争をやれ、それに政府も手をかせ、こんなことを言っているのでは決してありません。ただ、経営に物すごい不安を感じ、しぼらなければしぼらないで量的にも生産が落ち込めば、酪農家の一年の収支の帳じりが合わなくて大変な苦しい状態に陥る。昨年のように少し気候条件あるいはそのほかの牛の一つのサイクルでの条件がいい時期にぶつかれば、あなたの言い方で言えば、爆発的な生産になる。これはそういう時期をねらって、本当に一生懸命苦しいときもがまんしながら酪農家はいままでやってきたんですね。ところが今度、余ったのはおまえらの乳価が高過ぎるからこんなことになったんだと言わんばかりの抑制策で、米と同じような方式で、たくさんしぼったやつはけしからぬ。何だかだんだん聞いていますと、今度は政府の言うとおりの量で大体うまくしぼったものは別として、それ以上とったやつは、法律をつくって手錠をかけてしょっ引くぞみたいに聞こえるような、そんな話を聞かされたら、私どもは本当にどこを信じていいんだかわからぬ、農民がそう言うのは無理ないと思うのですよ。そこのところを、私はおっしゃっている点について非常に心配するから、これは何とか流通という問題については、牛乳の本物——水が出回るのと違うんですね。本物の牛乳が出回るのに、南北戦争というようなことは、同じ酪農家の立場にいれば、そういうことはやがては理解され、話し合いの中で解消されていくものだという自信を私自身も持っています。そこのところを逃げ回っておられて、たくさんしぼったのはけしからぬというふうな調子でおっしゃられるなら、酪農家畜産農家は一体どうやって牛肉生産をし、豚肉を生産していけばいいのでしょうか。私は本当にそこのところを大臣に改めてお聞きしたいのです。
  142. 中川一郎

    中川国務大臣 私は、生産が伸びたことをけしからぬなんということは言った覚えもありません。市乳の消費拡大もしなければなりませんし、それには政府も協力します。しかしその場合、直接的なことをやると本州の酪農家との間にトラブルがあって、政府がやりたくともできない問題がありますよ、ですからその辺は話し合いで、夏場だけなんだからということで話し合いがつくならばまことに結構なことですから、協力をいたしたい、そういう問題があるということを指摘しただけでございます。  それから、北海道の酪農家がたくさん牛乳をしぼったのが悪いというようなことを言っているのじゃなくて、長期的な問題としてそういう問題もありますから、価格を私は上げないと言ったのじゃなくて、価格もほどほどにしておかないとそういう問題も出てまいりますよということで、問題点を指摘しながらお互いに理解し合って、政府が悪いんだ、農家が悪いんだじゃなくて、問題を出し合ってひとつ前向きで検討していこうという意味でございます。農家が一方的に悪くて政府がいいんだなんということは言ってないのです。政府も協力するし、農家も政府を理解をするし、理解の中に長期的にも安定したものでなければいけない、こういう意味でございます。流通については、前向きでしかも北海道の牛乳がスムーズに消化されるように最善を尽くしていきたい、こう思う次第でございます。
  143. 島田琢郎

    島田委員 まあ私は言ったと言うのではございませんが、そういうふうに聞こえますよ、こう言ったのであります。  ところで、昨年の農業白書を見ますと非常に大事な指摘をしています。「農業生産動向」で、農業生産の実態というものが表にもなっていますし、中で解説も加えられています。これを見ますと、昭和四十年代前半では農業生産は、畜産、果実、野菜、こういうものが非常によく軌道に乗ったという感じがあって、二・四%年率で増加したという表現がなされています。私はこれの中身では非常に異論があるところでありますが、しかし、このことよりも、その次の段階で大変重要なことが指摘されているのであります。それは、四十五年以降四十八年までわずか三年間の高度経済成長の時代に入ってまいりました日本の農業生産というのが、非常に大きく落ち込んできて、先ほどの二・四%という年率で推移してきたものが、がくんとここで年率〇・五%に落ち込んだと白書で報告されているのです。つまり農業生産の停滞色が強まったと指摘をしています。これは非常に大きな意味を含んでおりまして、私ども農業経営をやる場合に大事なことは、何といっても農業生産が停滞するのではなくて拡大する方向に進んでいってもらわないと、農業者としてはそこで賃金を得、つまりサラリーマンと同じように月給が発生し、そして経営を推持しながら子供を育て、そして教育をし、生活の向上を図っていくという、こういう大事な点が損なわれてくるわけですから、農業生産が縮小され、停滞していく、減退をしていくということは、これは私ども農業者にとって将来を展望する場合に大変さびしいことであり、心配なことである。現実には牛乳も非常にたくさんしぼられ、米も生産調整をしなければならぬほどたくさんとれていると政府は言っておりますけれども、しかし、白書で指摘をしておりますのは、農業生産の実態はそういうのではなくて、きわめて停滞色が強まった、こういう指摘をし、これは日本農業を考える場合に大変大きな問題となるという可能性を指摘しているのであります。  私はそういう点を考えますと、農林大臣としては、農家の働き場所を確保するという意味では、農業生産拡大、こういう方向に向けて一つの農政を推し進めていただきたいし、そのためには何といっても、農村で私どもが仕事をし、生活をしていく上では、正当な労賃というものが保障されるということでなければ、とてもこれは農業経営が続けられないし、農村に住むこともできない。つまり、農業生産拡大するという一面、同時にそれを推し進めていく重要なファクターとして、私どもが一体一時間幾らの賃金で保障されるかというのが大変大事なことだと思う。それが私どもの言う農民春闘の一つの方針でもあるわけです。ですから、これはいまさら中川農林大臣に申し上げる必要はありません、釈迦に説法だということを十分承知の上で、私の持論を若干披露申し上げて、ぜひこの点について、ことしはしっかりとした、腹を据えた農政展開するという力強い言葉を私は欲しいのです。そして、もしもこの点について異論があるならば、きょうの席ではとても時間がないからいけませんけれども、それなりにあなたの御意見を聞かしてもらいながら私どもの要求もひとつ出していこう、こんなふうに考えておりますが、ことし農林大臣として、日本の農業を政治的な立場で責任を持たれる農林大臣として、このことについて否定をされますか、それとも私の考え方に同調できるとお考えでしょうか。この点だけ聞いて、次の林業問題に進みたいと思うのです。
  144. 中川一郎

    中川国務大臣 農業の目的は、国民食糧確保して、そして国民安全保障に役立たせていくという大前提があり、同時にまた、これを担保するためには、農家経済が安定しなければならない。農家経済は何かと言えば、農家所得である、こういうことになります。したがって、政策としては、総合食糧政策というのはまさにそのことから出てきたのであって、牛乳あるいは米のように、あるいは北海道のジャガイモでん粉のように過剰生産で困っているものもある。ところが麦や飼料作物大豆等は本当に自給率が足りない。でありますから、この方面に転換をしていく、こういう政策を強力にとろう、こうしておるわけでございます。  そこで農家経済、農家所得はどうするか、農民春闘だとおっしゃいますが、私たちは、農家の生活が他の工業に働く勤労者と差があってはならない、こういう基本的立場で、すぐ出てまいります乳価から始まって幾つかの農産物について国が関与するものがあるわけです。それ以外のものはやはり消費者との間で話し合いのうちに妥当な所得が得られる仕組みでございますが、政府の関与します価格対策のあるものについては、かなり前向きに、昨年御承知のように奨励金というものを、これは物によっては三割に近い奨励金であったものを価格に取り入れた。これはもう革命的改革だと思うのです。そうして畑作、米以外の生産奨励金でやってきた方々に、奨励金を価格に入れた。そうして価格ということになりますと、これは農民春闘とまさしく言ってくれたのですが、農家の方々から言えば高い方がいいに違いないし、また消費者の方から言えば安い方がいい。その仲を取りもつ国というのは一番やっかい、損な立場なんです。ある一定のところで決めれば、消費者からは、高くした、政府は一体農民の圧力団体に屈して何たることだといって怒られるし、今度は生産者から、われわれの生活を脅かすもとを決めたといって怒られるし、どちらから決めても、国が関与するとしかられる、まさに春闘の中に入ってむちゃくちゃになってしまう仕組みでございます。  そこで、これからは、農村の物価動向をあらわすパリティ方式というものを導入して、これはだれが計算してもそう違わない、将来は別としてもここ当分の間は農産物価格は原則としてパリティだけは補償していく、そのかわり根っこの、少ないと言われた奨励金は価格に入れるという仕組みをやりましたので、牛乳やあるいは米のように、本当に過剰傾向にあるものについては、また将来先々のことを考えていかがするかということはありますけれども、ほかの足りない農産物についてはそういった方向で処したい、こういうことにしてございます。  それから、とりあえず牛乳の価格について農民春闘にどうこたえるかということでございますが、もちろん労賃その他については十分他の労働者に劣らない水準を確保するように、これだけは守っていきたい。しかし、えさ代が非常に下がっておりますし、あるいは生産規模が非常に拡大されている、単位当たりの農家の搾乳量も非常に上がっている、あるいは一頭当たりの搾乳量も非常に上がっているというような下げ要素もございますが、一体どの辺にどうなるか、これから計算をしてみて、生産意欲が下がるというようなことにはしたくないし、農家所得、労賃が間に合わないというような労賃のとり方はしない、これだけは言えるところだと思います。
  145. 島田琢郎

    島田委員 次に、林業関係に入ってまいります。  いま日本農業の荒廃、こういった点での核心に触れるところまでまだ実は議論ができたわけではございませんが、大臣がお考えになっていることの大体のところは私どもも想像がついたわけであります。  そこで、私は、もう一つの、国民生活上切っても切れず、また欠かすことのできない日本の山の持っております公益的な機能、こういう問題が、心配される第一次産業の中での対置すべき問題として一つあると思うのです。私どもは、特に日本社会党は、今日の日本の山の実態を相当早くから心配をし、こういう状態にならないために具体的な提案を幾つもやってまいりました。国会にも法案としても提案をしてまいりました。御承知でもありましょうが、昭和四十六年の三月には、本院におきまして全会一致によります林業振興に関する決議がなされたのであります。あれを大臣はお読みいただいているのでしょうね。非常に重要なことが書かれておるのであります。そしてまた、同じ年の五月ですかには、参議院の農水においても同様趣旨の決議がなされました。あれから実は七年たったのであります。そして国会のこういう決議を裏づけ、あるいは反映するかのごとく、全国各地から一千件を超える国会に対する陳情、要請が相次ぎました。日本のすみずみまで今日の日本の山を憂える国民の方々がたくさんおったということの一つの証拠でもあり、あかしでもある。しかし、この貴重な国会における決議、そして山を守らなければならないという意思、果たして政府はそれを素直に取り上げていたかどうか、こうなりますれば、残念ながら点数を上げられるような状態ではなかったと私は思う。業を煮やしました私どもは、越えて四十八年になりましてから、国営分収造林法という法律をこの農林水産委員会つまり国会に芳賀貢代表の名のもとで提出をいたして、今日までこの点についても議論を求めてまいったのでありますが、これもややたなざらしという感で、せっかく全会一致の意思が盛られたものをひっさげて私どもは具体的に国会に法律として提案したにもかかわらずこの合意が得られてないというのは、きわめて遺憾なことであり残念なことであります。  この七年間の山の状態は私が指摘するまでもありますまい。木材生産は大幅に減少しましたし、切られた山の造林の実態は大幅後退というありさまであります。そしてまた山村を囲みますその地域の過疎化は一層進行いたしました。林業の危機はまさにもうこの後引くに引かれないというほど深刻な状態に陥ったのは私が指摘するまでもないことです。  そういうことを考えますと、私は全く残念でならぬのでありまして、いまから七年前、国会におけるあれだけの意思が集約されたときに、この一項、一項にわたってみんなが本気になって日本の山を守るという気持ちがここにあったら、相当程度歯どめもかかったでしょうし、あるいは日本の山の緑を守ることはできたのではないかと思うと、私は残念無念な気がするのであります。大臣、これに対する御見解はいかがですか。
  146. 中川一郎

    中川国務大臣 昭和四十六年の当委員会における決議も、就任をさせていただいて見せていただいております。しかし、御指摘のように日本の林業が最近特に低迷をしておる。これは高度経済成長から減速経済に変わったために、需要の減退やあるいは木材価格の低迷、いろんな事情がございます。そこで林業界のみならず山が非常に暗い状況にあるということでございますので、私も深刻に、この山を何とかしなければいけないというようなことで、国有林には国有林に対処し、また民有林には民有林として生産段階、構造改善等ひとつ思い切ってやらにゃいかぬなといま決意を新たにしているところで、それぞれことし予算がかなり強化はされておりますが、一遍にはまいりませんが、真剣に受けとめて、ああいった決議もございますので、あの決議の中でも、全部無視したかというとそうでもございませんで、いろいろとむずかしい問題についても取り組み、解決できるものはできたつもりであり、今後もまたさらに一層努力をしていきたい、こう思っておる次第でございます。
  147. 島田琢郎

    島田委員 そこで、林業生産の停滞の原因というのはいろいろ言われておるわけでありますが、たとえば幼齢木が多いというような資源的な制約なども確かにあるのでありましょうし、あるいは一番大きな原因になっているのは、切ればもうかると言われたあの高度経済成長下における乱伐、増伐に原因があった、これもまた多くの指摘するところであります。また、今日の実態は、そのころから木材の不況というようなことが言われていたのでありますが、外材が内材との比較において三分の二を占めるというような状態が生まれてきましたし、いま大臣がそのことに触れたわけですが、しかも長期の不況の原因というのは、材価の値崩れ、そういういろんな原因があると思うのでありますが、端的に言うと、こういうふうな状態を招いたという原因はどこにあったというふうに大臣としてはお考えになっていますか。いろいろ挙げられましたけれども、最も大きな原因というのは別にあったというふうに私は考えているのですが、それらの原因を正確に把握しながら、そしてその一つ一つの要因を取り除いていくという努力がなければ、さらに一層深刻な状態に追い込まれていくばかりか深みに入り込んでしまう、こういうことを今日考えておりますだけに、この時期に、遅きに失したとはいえ、その原因の一つ一つを明確にして、そしてそれを解決していくという前向きの姿勢をいまからでも示していかなければならないと思うがゆえに、その原因を明らかにしておく必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  148. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生御指摘のように、確かに日本の造林を中心にいたしました林業が量的には衰退の方向に行っていることは事実でございます。さらにまた、木材業を中心にいたします林産業につきましても、最近外材中心というような形で、非常にその辺、価格の低迷なり需要の停滞ということから衰微いたしていることも事実でございます。  ただ、私ども考えますと、こういう原因はいろいろあろうかと思います。その中で、御存じのように日本の森林が戦中戦後のいろいろな木材事情のために造林地が相当なくなってしまった。そして戦後一生懸命いままで造林をしてまいりました。ただいま目標に対しまして大体七〇%の造林率が達成されております。そういう点で、森林の構造そのものが伐期に達した森林が非常に少ないということ、そのためにどうしても外材を入れなければ日本の需要にそぐわないということで、供給の面からどうしても外材に当分の間頼らざるを得ないという事態がございます。そのために、昭和四十年来外材につきましては、丸太については一応自由化という形で取り組んでまいりましたし、現在に至りまして需要の伸び悩みという点から、外材との関連におきまして、木材産業なり製材業なりあるいは合板業なりいろいろな林業関係の業界が非常に停滞いたしておりますが、そういう大きな面とあわせまして、そういう観点から——山村におきます労働力もございましょう、あるいは木材価格の低迷の原因もございましょう、あるいは林道が十分に整備されていないという基盤整備の未整備もございましょう。そういう観点から、現在林業がある面では衰退いたしておりますけれども、先ほど先生御指摘の本委員会で御決議いただいた精神をわれわれも踏まえまして、現在まで鋭意それぞれの努力をしてまいったわけでございますし、そういう観点から、現存、造林につきましても目標の七〇%までは一応達してきておるというふうに考えておりますし、さらに、その人工林のあり方を見ますと、御存じかと思いますけれども、南関東から、南の方につきましては四国、九州あるいは近畿の南、こういう方面におきまして本当にいまでは造林がほとんど進んでおりますし、ただおくれておりますのが、北海道、東北あるいは豪雪地帯、こういう方面でまだ拡大造林がおくれておりますので、今後その方面につきましては拡大造林を積極的に進めるという方向、それから造林が進んだ方につきましては保育等これから手入れを十分にやっていくという施策、この両々相まって今後の林業振興を図ってまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  149. 島田琢郎

    島田委員 私は、林業生産の停滞の原因を聞いたのでありますが、造林はもう言わずもがなでありまして、これから造林の実態についても、反省をする意味でお尋ねをしよう、こう思っていたところでありますが、長官から造林の実態について触れておられましたのですが、まずその前に、木材産業基本問題調査会がそれぞれの部会を設けて検討している中に大変重要なことを言っているわけであります。  これは五十一年に開かれたときの調査会の建議の内容でありますけれども、木材産業というのは、木材産業を含めて日本の山づくりというのは、そのときの景況、いわゆる景気、不景気に左右されるようなそういう施業のやり方なりあるいは造材のやり方なりというものについては厳に警戒すべき、これが木材の、いわゆる山を守っていく上での最大の要諦だというふうなことを前提に言いながら、日本のいままでの乱伐、増伐の実態について厳しい反省が必要だ、こういうふうに言っているわけですね。そういう点が全く見過ごされてきて、一たん切っちゃったらもうこれは六十年、八十年、そのサイクルがめぐってくるまで、私どもの恐らく生きている一代ではとても次の伐期がやってこないというほど長いわけであります。ですから、こういう調査会で指摘をされている問題というのを、私どもが少なくとも林興決議で意見としてまとめておりましたあの時期からもう少し真剣に考えておけばこうならなかったと思うのです。しかし、これは死んだ子の年を数えるような話でありますから、きわめて前向きの話としては通らない話でありますけれども、しかし、私は林野庁当局にしても、農林省、政府そのものにしても、今日のおやりになろうとしている林政、林業政策、山の問題等についての姿勢というのは、こういう指摘がありながら、国会における決議もありながら、依然として私は、前向きになっていた、今日また前向きになっているというふうにはどうしても読み取れない。そういう感じがひとつするのです。  また、農林大臣の所信表明の演説に文句をつけては恐縮なんでありますけれども、昨年の鈴木農林大臣が述べております林政に対する構え、林業振興に対する決意というのは、比較してみましても一つも変わっていないのですね。昨年も私は鈴木農林大臣に同じような指摘をしたわけでありますけれども、読んでみますと、文章もそんなに大きく変わっていない。これは、まさに私どもがいま期待しているような日本の林業を取り巻く厳しい情勢に対処する農林省の姿勢として、私はどうしても物足りない、食い足りない感じがしてならないのですよ。ですから、これもさっきの日本の農業を守っていく上における大臣の決意を繰り返しくどいように私は求めたと同じように、やはりしっかりとしたお考えを示していただかないと、どうも安心ができない。後ほどこの法案でいっぱい出てきますから、きょうは細かな個々の問題に触れることは一切避けたいと思います。後ほどまたいろいろな議論がそこから出てくると思いますが、やはり林業政策と言われる政策を担当される、そして行政推進の先頭に立たれる大臣から、この年度当初に当たって、こういう決意で日本の山を守るというものを聞かないことには、私はやはり同じ過ちと同じ繰り返しになってしまうのではないか、こんな心配を私だけではない、持っている人がたくさんいると思うのです。いかがでしょうか。
  150. 中川一郎

    中川国務大臣 林業はほかのものと違いまして、これは息の長いものでございます。ことしやってことし牛乳をしぼるというようなものではありません。ことしこうして、米をことし収穫するというようなものではありませんから、御指摘のように、鈴木農林大臣とそう変わらないと言われれば変わらないのでございますけれども、要は、相当レールは引かれている。このレールをまっしぐらに、これを促進をする、そして長期的なものに備える、こういうふうにやっていきたい。特に最近国有林野が荒廃をしてきたというので、国有林に対してはかなりの改革、労働対策から生産対策、機構の整備、こういうようなことで、少なくとも国有林については相当前向きにやってきたつもりであり、一般民有林については問題がたくさんありますが、これから粘り強く対処していきたい。この問題は本当に大変でございますので、日本の山を荒らしてはならないのでありますから、ひとつこの上ともレールをしっかり走っていきたい。どうぞひとつこの問題についてはいろいろと御指導を賜りたいことをお願い申し上げる次第でございます。
  151. 島田琢郎

    島田委員 そこで、先ほど長官が触れました、山をつくっていく上では造林、人工造林の一層の推進を図っていかなければならぬわけでありますが、全国森林計画に盛られております計画比較で、あなたがいみじくもおっしゃったように、七 〇%、年によっては七〇%にも達してない年がございますね。こういう実態をどう解決しようとお考えになっているのでしょうか。私は、計画を上回るぐらいの造林がやはり進められていかなければいけないのではないか。その都度計画どおりいかぬものですから、改定に改定を重ねて実勢値に近いような報告をしてその場をごまかしたみたいな数字になっているというのは、造林に対する熱意と真剣さに欠けているのではないかと言われても反論できないではありませんでしょうか。何と言ったって、造林は山をつくっていく上でもう基本でありますし、ここに国有林、民有林挙げて力を入れていく、こういうことが必要ではないか。それも林業振興決議を受けて、私ども社会党は造林の実態、この新植の状態を見ておって大変もどかしく考えて、具体的にこの造林を進めていく考え方を国会に法案として出しましたのが、例のいわゆる国営分収造林法という法律であったのです。これは各党から合意を得られず、今日まだこの問題はたなざらしになっているのはきわめて遺憾なことであります。私どもは再度今国会にこの問題を提起いたしまして、日本の山づくりに全力を挙げて、大臣がそれこそおっしゃっているように、みんなでひとつ取り組むという構えを示したい、こう思っていますが、造林の最近のいわゆる実態というものを、二、三年で結構でありますから、計画に対してどういう実態になっているのか、数字を挙げてお示し願いたい、こう思います。
  152. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生から造林が非常におくれているという御指摘がございました。先生御存じのとおり、ただいま日本では伐採をいたしましてそして造林をしないで放置しておる個所、これは私どもほとんどないというふうに理解いたしております。したがいまして、造林するためには当然そこに生えております木を切りませんと造林ができない。薪炭林等天然林に近いものを伐採して造林するのが拡大造林でございますし、それから人工林をもう一度切って人工林にするのが再造林とわれわれ申しておりますけれども、そういう意味で、まず第一に一番大きな問題は、やはりそこに植えております木が切られないということ、そこに造林がなかなか進行しない一番大きな原因があると私ども考えております。その原因は、薪炭林等の拡大造林につきまして申し上げれば、パルプ等の需要がなかなか伸びないということ、そういうためになかなか林種転換ができない。それから造林地等につきましては、先ほど申しましたように、伐期の適した森林が非常に少ない点もございますし、あわせまして価格の低迷等々でなかなか所有者が山を切らないという問題があろうかと思います。  そういう点で、造林の最近の推移でございますけれども、民有林でございますけれども、四十八年が二十万、四十九年十八万、五十年十七万、五十一年十六万三千、五十二年は見込みでございますが、大体十六万三千というふうに見込んでおります。
  153. 島田琢郎

    島田委員 それは森林計画から言ってどれくらいの新植率になるのかまではお話になっておりませんが、この中で特に私が問題にしたいのは、民有林の関係で里山薪炭林が全国で四百万ヘクタールも未造林のまま残されているという実態は放置しておけないのではないでしょうか。これはどういうふうに具体的に今後造林をお進めになろうとしていますか。
  154. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 御指摘のように、薪炭林が約四百万ヘクタールあると言われておりますし、そういう調査がなされておりますが、私どもそういうところを積極的に拡大造林いたしまして人工林にすると同時に、また地域によりましては、単なる杉、ヒノキではなくて、シイタケ等ほだ木、それぞれの産業に適した森林に仕立てる必要もあろうかというふうに考えておりますが、問題は、その前生樹が主として使われますのはパルプ、チップ等でございます。そういう需要を伸ばすということ、これがまず第一に私ども必要であろうということで、今後その辺、これからの日本の木材需要との関連を十分詰めながら拡大造林を進めることに積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  155. 島田琢郎

    島田委員 それでは私としては答えになっていないと思うのです。民有林に四百万ヘクタールを直ちに造林ができるだけの力があるのでしょうか。私は非常に心配だと思う。ですから、この際、私どもが国会に問題提起をいたしました国営分収造林法の早期な具体化が必要だ、私はそう思っている一人なんです。ですから、先ほど申し上げましたように、この問題はまた機会を改めて国会に提出をしたい、こう思いますので、そのときにまた議論を深めてまいりたいと思います。きょうは時間がなくなりましたから、これ以上申し上げることができないのはきわめて残念であります。  最後に、今日の日本の木材産業の現状と問題点、これも質問の大事な要項として大臣の手元に差し上げてございます。これもとても全部聞くことはできませんが、これは所管としては林野庁というよりはむしろ通産省の中小企業庁あたりが大変責任を持たなければならぬ問題だろうと思うのでありますが、中小企業近代化法に基づきます構造改善事業というものが行われているわけであります。しかし、中小企業近代化法の中における構造改善事業を積極的に進めた、こういうふうな報告も一面なされていますが、最近それとうらはらに、片っ方で構造改善を進めながら、片っ方では倒産が相次いでいるという実態も、また実は目に余るものが木材界にはありますね。たとえば、五十一年の企業全体の倒産五十社のうちに実に木材関連業者が六社も含まれている。五十二年八月まで、つまり昨年の八月までで、これまた五十社のうちに四社木材関連業者が含まれて倒産をしている。何か構造改善事業は倒産を促進するためにやっているような感さえあるというふうに、私どもはこれを大変困った状態であるというふうに深刻に見ているのです。そういたしますと、構造改善事業そのものに一定の反省がないといかぬのでないか。ここで一回点検してみる必要があるのでないか。いままでの構造改善のやり方は、原料生産の段階から製品化するまでの設備近代化が主体でありますけれども、せっかくお金をかけてりっぱな近代化施設につくり上げても、そこでつくられた製品は実はこれから売れていかない。この先の流通の近代化がこれまたおくれている。先ほどの牛乳、牛肉と全く同じような状態にあるのですね。そういたしますと、これは視点を変える、それに対する対応の姿勢というものを政治的に変えていかないととても問題は解決しないのでないか。  きょうもう少し時間がありますれば、木材産業の現状というものを浮き彫りにしながら、さすればどこが問題かという点を明らかにしていかなければならない。この世界は不況カルテルもなかなか思うに任せない。合板業界を上回る深刻な製材業界の実態であるということは、私がいまさら指摘するまでもないわけです。それは今日、設備過剰という問題やあるいはアメリカを初めとする製材あるいは半製品の目に余るような輸入がどんどん行われる——先ほど長官は、国内のそういう実態を反映して木材の自由化に踏み切ったというようなお話がありましたけれども、それがいまになって大変な事態になっているということを考えますと、私はものすごくはしょって結論みたいなことを言いましたけれども、これも後ほどまた時間をかけてこの問題だけで大臣の御見解を承る機会をつくらなければいかぬと思っておりますが、私はこの状態を考えてみますと、せっかくやろうとして、あるいはやってまいりました構造改善の実態も、末端のこういう危急の状態を救い切れるというような構造改善事業にはなっていなかったという点をこの機会に反省し、そして再点検をしながら、新しい視点と対応策を打ち出していかなくてはならない時期に来ているのではないか、こんな気がするのです。  きょうは問題の提起を申し上げるにとどまりますが、大臣の見解を承りたいのです。
  156. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘のように、製材業、合板業を中心にして、関連業界が非常に苦しい。特に合板業、製材業は不況業種に指定されるぐらいでございますので、大変厳しい情勢にございます。そこで、不況業種としての対策も講じておりますし、その上にまた、外国からの圧力もかなり厳しいわけでございまして、カナダ、ニュージーランド等からもきちっとしたメモが出てくるというくらい、またアメリカからも厳しいというので、外国からの圧力は何とかこれを克服したいと最善の努力を払っておりますし、今度の景気浮揚対策、特に住宅政策等でかなり需要が伸びてくるのではないか、この辺に非常な期待をかけつつも、これから厳しく見守って、通産省とも連絡をとり、構造改善その他不況カルテル等のできるだけの措置も講じて、この難局を乗り切っていきたいものだ、こう思っておる次第でございます。
  157. 島田琢郎

    島田委員 しかし、こうした製材業界の実態の中でも幾つか参考にし、そして学ぶべき産地形成をやっている地帯もあります。挙げますれば、静岡の清水あるいは天童、桜井なんというような地域では、指摘するまでもなく、よく整備された販売機構を持っておりますし、生産すべき製品に対する原木を集荷し得る原木集荷機構を備えるなど、あるいはまた高度な製材技術、よく管理された販売技術を軸にして、いつでも注文に応じられるという体制づくりもでき上がっているところもありますし、これを見ますと、量のまとまりあるいは量的な安定性とか質的安定性とかというものがすでに確立されている産地も実は日本の中にあるんですね。こういう点を積極的に育成をし、そしてそういうところにスポットライトを当てた行政の指導ということも大いにこれからやっていかなくてはならぬ点ではないでしょうか。この点を考えますと、全体的には製材業界における未成熟性というようなことを言う学者先生もいらっしゃるのですけれども、私はその点の克服はできるものだ、せっかくの構造改善事業が本当に実りあり、目的が達せられるような方向に、この際視点を変えるということを、私は、くどいようですが大臣にその点を要請をいたしまして、限られた時間でありますから、舌足らず、食い足らずの質問でいささかまだ疑問点なしとしない論議でございましたが、以上、大臣のけさほどの所信表明に当たって私なりに幾つかの注文を申し上げた次第であります。  どうかひとつ鋭意全力を挙げて取り組んでくださるよう心から希望して、私の質問を終わりにいたします。
  158. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 武田一夫君。
  159. 武田一夫

    武田委員 一時間の持ち時間で、生産調整の問題とそれから三全総、その中に占める農業、農村の役割り等につきましてお尋ねをいたします。いま、御承知のとおり、農村、農業というのは非常にのっぴきならない局面に当面しておるわけでありまして、不況が長引いておりまして、農家の経済も少なからずその影響を受けておりまして、さらに黒字減らしの一環としての農産物の自由化、関税の引き下げ、あるいはまた前代未聞とも言うべき減反政策、私はまさに内憂外患とも言うべき試練の年がこの七八年ではないか、こう思うわけでございまして、そのときに中川農林大臣が登場したということは意義があるのではないかと私は評価しておるわけでございます。  農家は国の基、こう昔から言われておりますが、そういう基本理念というのは私はこれからも変わらないと思います。そういう意味におきまして、先ほど所信表明もございましたけれども、ことし一年、そして今後の農業というものに対する大臣の決意と抱負を簡潔にまずお聞かせいただきたいことをお願いする次第でございます。
  160. 中川一郎

    中川国務大臣 農業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあるわけでございます。  一つは、日本古来、固有の水田というものを約四十万町歩にわたってスムーズに生産調整をしなければならぬ、これをどう乗り切るかということでございますし、さらにはまたこれとうらはらに、自給率の低い農産物、すなわち麦、大豆あるいは飼料作物甘味資源作物、こういったものを前向きで進めていくということも取り上げていかなければなりません。さらにその上に厳しいのは、外圧というものが厳しくやってくる、この外圧から何とか逃れなければならない。かくて、農家の経済も安定し、定着したものにしなければいかぬ。この幾つかのむずかしい厳しい問題を乗り越えて、安定成長経済と同じように落ちついた定着した農村づくり、御指摘のように、まさに農村は国の基でございますので、以上申し上げた単なる農家経済あるいは国民食糧確保、こういった次元ではなくして、農村は国の基である、この基だけはしっかり守らなければいけない、こういう曲がり角に来たこのむずかしいときに農林大臣を拝命して、本当に責任の重大性を痛感し、真剣に取り組んでいきたい。  つきましては御理解、御協力を私からもお願い申し上げる次第でございます。
  161. 武田一夫

    武田委員 ところで、いま大幅な生産調整が各地で行われておりまして、恐らくもう大詰めに来ているのではなかろうか、こう思うわけでございます。新聞、テレビ等におきまして各地のいろいろな状況等が報告あるいは報道されておりますけれども、政府としましては真剣にその成り行きを見守っているはずだと思うわけでございます。  ところで、その現在までの進行状況並びにいろいろな問題点等の提起されておる、そうしたものにつきまして、報告があれば、そうしたものを一応お聞かせ願いたい、こう思うわけです。
  162. 野崎博之

    ○野崎政府委員 昨年十一月十九日に、県に対して内定通知をいたしまして、県から市町村段階へは、ほぼ一月末段階で大体終わっております。ただいま集落段階あるいは末端の農家の段階までの割り当てをやっておりますが、まあ一様に厳しいという感情は持っておりますけれども、現在の米の需給状況から見ましてまことにやむを得ない措置だというふうに一般的には受け取られていると考えております。
  163. 武田一夫

    武田委員 さて、一つ一つ個々の問題についてお聞きしますが、最初に私は消費拡大の問題について質問したいと思います。  四日の予算委員会の質問で、大臣は、四百五十万トンも米が余っており、処理しなければ財政がパンクするという火のついたような事態だ、農協も大金でパンやラーメンなど食べず、米を食べる姿勢を示すべきだ、こういう答弁をされたと聞いております。確かにこの米離れということが大きな問題である、こういうことは皆さん方の指摘するとおりだと思いますが、ただ食生活の簡便化の方向へというものの一つの志向があった、こう指摘する人がおりまして、特に農村におけるこうした指摘は、たとえば余りインスタントラーメンを食べ過ぎる、そのために山陰地方の農村では貧血の人がふえてきたとか、そういうようなデータが報告されておるとか、あるいはまた農協の店舗に余りにもそういうものが多過ぎるのじゃないか、インスタントラーメンの花盛りだとかというような消費者団体の皮肉られた状況もあるわけでございまして、これは都会あるいは農村を問わず重大な問題だと思うわけでありますが、大臣が、政府あるいはその関係のいろいろな会議の場においては米を食べるようにというようなことも話をされておるようでありますけれども、そうした消費拡大についてのいままで取り組んできたいろいろな努力というものがどのような、一年間と言いましてもほんの半年くらいの間でしょうけれども、効果としてあらわれてきておるか、あるいはまたそうした行き方を通して、今後こうした消費拡大というものが期待できるかどうか、これは大臣にお聞きしたいと思います。
  164. 中川一郎

    中川国務大臣 米の消費が伸びない理由は幾つもあるわけなんです。厚生省あたりの間違った、米を食えば云々なんということが国民の間にかなり広く行き渡ったということがありますが、中でも一番大きいのはインスタント化できない——いま省力化時代でございまして、米もガソリン一つでもってトラクターで耕起から収穫まで、田植えはもちろんのこと草取りまで広く合理化、インスタント化しておるのに対して、飯米を胃袋に入れるまでには相当手がかかる、この辺にも問題がある。幾つか状況があって需要が伸びないわけでございます。  そこで、政府としても、学校給食はもとよりのこと、最近ではパンやうどん粉にまでひとつ何%か入れてくれないか、こうお願いしなければならないぐらい厳しくやり、しかも今度は消費者やメーカーからとんでもないことだといっておしかりを食う、こういうことでございます。  しかし、基本的にはやはり米飯でもって消費者の皆さんが、大事な食糧だから国産品は大事に使おう、こういう国民的世論が私は一番大事なことではないか。感じましたのは、スイスでも、御承知のように、あそこは中立国家でございます。それじゃ軍備も何も持ってないかというと国民皆兵であると同時に、食糧については三年分のパンを皆さんが持って、そして古いものから食べていくというぐらい主食というものを大事にしている。わが国でも、国家安全保障ということを国民全部が御認識いただくならば、生産性の高い、日本人に合った米をもっと大事にしていただく、こういう理解が得られるのではないかと思いまして、農林大臣に就任以来、パンやうどんに二%入れるというようなことではなくて、政府みずからが隗より始めよというので米飯を大事にするということ、同時に農協あるいは農家の皆さんにも、まず農家から、パンや牛乳で農民運動の大会をするようなことのないように、そしてまた農協のデパートに、いま御指摘のように、インスタントラーメン花盛り、そして米の消費拡大、あるいは減反調整反対と言っても、これは国民の皆さんも納得いただかないだろうというので、おしかりをこうむりながら、いま声を大にしてあらゆる機会をとらえてお願いしておるところでございます。  そのついでに酒もひとつ洋酒じゃなくて米を原料とする日本酒あたりでいくのだ、考えてみると日本というのはみんな洋服、洋がさといったふうで、洋式に変わっていってしまうわけです。最後の和食と和酒がなくなったら日本古来の固有のものがなくなっちゃうんじゃないか、しかも国家安全保障につながる米というものはもっと大事にして、これはわれわれの子孫の時代にも引き継いでいかなければいかぬ、われわれの時代に米がなくなったのでは申しわけないというような気持ちでお願いはいたしております。  国民の皆さんがどれほど理解して、これが効果があるかわかりませんけれども、この上ともこの声だけは、みずからも最近は日本酒を飲み、ライスカレーを食べという姿勢でやっております。当委員会あたりでも、また委員会の何らかの意思表示でもあって御協力賜ればさらに一層の効果があるのではないかと、こう思う次第でございます。
  165. 武田一夫

    武田委員 さて、言われるところによりますと、一週間に国民のわれわれが一食だけ米を食べるようにすれば六十万トン、七十万トンというものが消費できると言われています。これは朝が問題です。聞いてみますと朝御飯を、大臣恐らく食ってこないでしょう、食べてきますか、私がいろいろ聞いたところによりますと、大体もうこの周囲を見てみましても朝御飯で、御飯をきちんと食べるというのがどうもないように私は思えてなりません。ということは、これは学校給食の問題とも関係あるのですが、思い切って学校給食というのは弁当持参に切りかえるべきじゃないかというのが私の一つの持論です。大臣としてはこれを思い切ってやる気がありませんか。御飯を朝一緒に食べる、弁当を持っていく、そこに一つの波及効果が大きくなるというのはだれでもが認め、また現実にそうした証拠が挙がっているわけです。こういうようなときにこそこういう思い切った施策を実現する、実施するということは私は肝心な問題ではないか、こう思うわけでありますが、文部省は何かいろいろとその件については問題を持ち出してきているようでございますが、これは一つの大きな国民的な問題である。一農林省、文部省とかいう問題ではない、こういう観点からこの際十二分に検討しながらそうした方向へと踏み切るときこそことしではないかと私は思うのですが、大臣の考えをお聞きしたいと思います。
  166. 中川一郎

    中川国務大臣 私も賛成でございますが、文部省の方がいまのところは完全給食ということで、経過措置としてはやっておりますが、全般的な全面的実施にできない、ひとつ合意を得るように私も最善を尽くしていきたいと思っております。  つきましては、先ほど申し上げましたように、当委員会あたりでもひとつバックアップをして、意思表示でもしていただければありがたいことだと思う次第でございます。
  167. 武田一夫

    武田委員 それと同時にもう一つ、米がうまくないということもこれは問題だと思うわけです。たとえば国会内でいろいろ食堂ございますが、大臣もあちこちで食べられているでしょうが、せんだってあるところで私が食べたのが余りまずいので、これはどこの米だと聞いたら、新潟米だ、こういうわけでございます。きょう佐藤先生がいないからだけれども、恐らくあれを聞いたら相当怒るのではないかと思いますが、まずくて食べられない。七、八人の人にごちそうしたけれども全然食べられなくて半分くらい残していった。こういうようなまずい米が余りにも多過ぎるのではないか。私はササニシキの宮城県でございます。幸いうまい米を食べておりますが、この間温泉に参りましてちょっとその周辺の方に聞いたら、東京あるいは関西各地からおいでになる皆さん方にササニシキを出したところが普通の三倍食べる、これはおいしくてしようがないからおみやげにくれというふうな、それで旅館があがったりでやめた、残念ながら経済的な問題でやめましたという話がありました。  おみやげにまで買っていきたいという。こういうように、うまいものであれば喜んで、いままで一ぜんだったものが三ぜん、五ぜんとなるのが当然のことではないかと思うにつけましても、各地におきましてうまい米を、良質米をつくろうという動きがあるのは御承知だと思います。東北においても、青森でさえもそうした方向に手をかけようとしている。富山県などでも今後はうまい米をつくることに力を入れるんだ、こういうことになって、そういう意気込みは非常なものがあるというふうに聞いておりますけれども、米も一応大きな商品価値の出てくる時代でございます。  そう考えたときに、やはりうまいものをいろいろな技術的な検討を加えつつ、やはり国総ぐるみで考えていかなくてはいけないのではないか。うまい米をどんどん食べようではないか、そういう方向の運動も必要ではなかろうかと思うのですが、大臣、いかがでございましょうか。
  168. 中川一郎

    中川国務大臣 この点もまさに御指摘のとおりでございまして、いい米ならば量も入るし、また生産段階でも生産量が少ないというので一石二鳥の効果を持つ。そこで、われわれも政府外におりましたときからそういう点を指摘して、現に自主流通米ルートで流れます優良米奨励金というもので千二百円ですか、A、Bと分けまして、いいものには千二百円、Bランクのものには六百円ということでいまやっておるわけでございます。  今後もこの仕組みを強化して、ササニシキ等のいい米がたくさん出回るように、そして消費が拡大されるように、これまた前向きで検討してまいりたいと存じております。
  169. 武田一夫

    武田委員 そのようにひとつ強力に手を打っていただきたいと思います。  ところで、農協管理の水田の問題ですけれども、どうもこれは山間僻地あるいは湿田地帯等においては多く農協管理の水田が出てくるのではないかということは想像にかたくないわけであります。こうした場合、たとえば二年間耕作者が見つからない。さてまたその次も見つからないという場合には永久にまた休耕状態になりかねないと思うわけでありますけれども、そういうような問題の心配というのはしておりませんか。
  170. 野崎博之

    ○野崎政府委員 おっしゃいましたように、農協管理の水田につきましては二年間を限度にして奨励補助金を出すことにいたしておるわけでございます。ただし、いつでもこれを優良な状態に置いておく。それからまた、そこの借り手を探して大いに転作をやってもらう。そういうことも農協に一生懸命勧誘をいたしてもらう。少なくとも良好な水田の状態に保っておいて、いつでもだれかに貸してほかの転作物の生産を続ける、そういう状況にしていくように指導をしてまいりたいと思っておるわけであります。
  171. 武田一夫

    武田委員 それで、山間地域生産調整協力はしたいが、非常に金もかかることだし、何とか自己負担の軽減をしてほしいという声があちこちに聞かれるようになっておりますけれども、こうした協力をするにやぶさかでないけれども、資金の問題で苦労なさっておる方々には特に何か配慮していただけるものか。
  172. 野崎博之

    ○野崎政府委員 そういう方々に対しましては、農業近代化資金等の画、あるいはいろいろ制度資金の面、そういう点で配慮をしてまいりたいと思っております。
  173. 武田一夫

    武田委員 それからもう一つは、転作した場合、意外と転作物が収益性の悪いものが出ておることが問題だと思うわけです。たとえば宮城県の例を申し上げますと、切りかえて全部ホップにした農家がありましたけれども、二、三年前ごろからどうも思わしくない。昨年などは本当によその半分もとれないということでお手上げの状態、こういうような場合には、農家が転作した、そうしたものに対する補償やあるいは生活を圧迫しないような歯どめというのはきちんとしておると思うのですが、その点はいかがでしょうか。  そしてまた、以前にこうしたものに協力した方々が、いま生産調整が始まり、いろいろと奨励金等がついて進んでおるのをよそ目に見ながら、自分たちの転作したものが非常に思わしくないというような場合に、そういう方々に対する対策といいますか、そういうものはどうなさろうとしておるのか、その二点。
  174. 野崎博之

    ○野崎政府委員 ただいまのお話でございますが、転作される方に対しましては、奨励補助金のほかに土地基盤整備、その他栽培技術の指導とか、そのほかにいろいろな手厚い保護を加えたいと思っておるわけでございますが、先ほど大臣からもお話がありましたように、ことし百二十億の稲作転換特別対策事業費というのを組んでおりますので、そういう金を使っていただいて必要な措置を講じていただきたいと思っておるわけであります。  いまおっしゃいましたホップの件につきましても若干聞いておりますが、いま県でいろいろ対応をいたしておりまして、土地改良調査をやったりあるいは排水路の掘り下げ、そういうようなことについて県費等も組んでやるような考えであるようでございますが、いま申し上げましたように、稲作転換特別対策事業の中でもそういう事業がやれますので、またそういう事業を御利用いただいて転作を進めていただきたいというふうに考えております。
  175. 武田一夫

    武田委員 時間の関係で次に移りますが、漁業問題について、ことしは二百海里二年目、非常に波高い二百海里二年目ではなかろうか、こう思うわけでありますけれども、マグロの問題、この問題について厳しい規制のおそれが、兆しがまた見えてきておるようだという話でありますが、ことしは南太平洋地域にあらしが起こるんじゃないかというような、そういううわさもされています。ニュージーランドあるいはオーストラリア等日本のマグロ、カツオというものはそうしたところでたくさん捕獲しているわけであります。こうした地域における問題が今後起こると私は思いますけれども、そうした問題についていま政府はどういう対策を考え、どういうふうに臨もうとしているか、規制のおそれがあって、締め出しを食ったような場合どうするのか、また、そうさせないためにどういうふうに考えているのか、そういうふうな点をまず最初に聞きたいと思います。
  176. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生御指摘のように、確かに南太平洋諸国、ことにニュージーランドでただいま暫定適用しております二百海里を四月一日から適用してくる、規制をかけてくるということに相なっておりまして、まだ決着がついておりません。  いずれにいたしましても、そういう地域で、また、ことにカツオ、マグロという漁業は、あらゆる水域におきましてわが国としましては漁獲を進めておるわけでございます。そういう中で南太平洋諸国の地位は、その水域の重要性というのは非常に大きいわけでございます。われわれといたしましてはあくまでも粘り強く、安全操業ができるように今後強力な漁業外交を展開していくということで漁場の確保を図ってまいるというふうに考えておるわけでございますが、いまのところ、水域確保につきまして決定的にだめだとかいいとか、そういうことはまだ申し上げられる段階ではないと思っております。
  177. 武田一夫

    武田委員 南太平洋フォーラム諸国の中に、沿岸国権限を前面に打ち出して、南太平洋をカツオ、マグロの好漁場としているわが国と真っ向から対立するということが確実視されている、こういうふうに聞いているわけでありまするが、そうした対立するという立場に立ちますと、わが国としてはまた非常に苦しい立場に追いやられるのは当然でありますが、その対立を回避するための努力、準備、これはどういうふうにお考えですか。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  178. 中川一郎

    中川国務大臣 ソビエト、アメリカ、カナダ等厳しい状況でございましたが、アメリカについては何とか解決いたしております。カナダも大体うまくいくのではないか。いま厳しいのはソビエトであり、御指摘のニュージーランドでございますが、ニュージーランドからは農産物輸入との関係で厳しくするぞ、こういうことになっております。  そこで、われわれとしても最大これは解決をしなければならぬというので、外交ルートを通じ、また、われわれも最善の努力をしておりますが、十三日に鈴木前農林大臣が幸いにニュージーランドに参りますので、向こうから来ておりますいろいろな宿題もありますから、水産は水産、農業農業ということで水産の道を開いてもらいたい、農業でもできるだけの協力はいたしますということで、何とか非常な事態を回避したいということで最善を尽くしておりますので、ひとつしばらく見守っていただきたいし、また御協力もいただきたいと思いますが、ただお願いしたいのは異常な不安を起こさないように沈着に見守っていただきたい。最善を尽くして非常事態を回避したいということでがんばります。
  179. 武田一夫

    武田委員 それでは最善を尽くしていただくことにしていただいて、この辺で波風を立てないように、次に移らせていただきたい。  ところで、昨年十一月、国土庁から向こう十年間のいわゆる国土総合開発計画というものが発表されまして、これは十一月の四日に閣議決定されたわけです。いわゆる第三次全国総合開発計画、この計画は、限られた国土資源を前提として、地域の特性を生かして、歴史的、文化的なものに根差した人間と自然との調和を図る安定ある国土づくりといいますか、人間居住の総合環境の整備をするのだというふうにうたっておりますが、二十一世紀に向かっての大きな国づくりの指針になるのだとわれわれは伺っております。この目標を達成するために、十年間で公共投資を約二百四十兆円程度見込んでいる。非常に注目されている。なかんずく東北、北海道というのは日本の国土面積、資源面積の約四割あるということで、東北、北海道にかけるこの三全総の中のウエートは大きいという。それだけにわれわれ東北、北海道に住む者にとっては一大関心事でありまして、これが果たしてこの計画の中にあるとおりにいくものかどうかということもまた興味深く見ている実情でございます。  大臣もじっくりとお読みになっていると思いますけれども、この三全総を読まれまして大臣はどういう評価をされているか。なかんずく農業部門についていかにお考えであるか。そしてもう一つ、この計画どおり事業が進められたとき、われわれが、本当に農家の皆さん方が期待するような農業、農村というものが実現可能であるかというような点についてのまず大臣の所感を伺いたいと思います。
  180. 中川一郎

    中川国務大臣 三全総はわが国のあるべき姿についてうたっておるわけでありますし、その中における農業のウエートというのは農産物需要生産の長期見通し、それを受けて地域分担というものもございます。三全総の中で農政が力強く展開をされて、中でも東北、北海道の占める地位は非常に大きくなっておりますから、ひとつ期待を持っていただき、また、われわれもこれに向かって邁進をしなければならぬ、こう決意をいたしておるところでございます。
  181. 武田一夫

    武田委員 率直に言ってどうですか大臣、この三全総の中における農業部門に関しての取り組みについて率直な御意見をひとつ聞かせていただきたいのですが、ここに盛り込まれているようなもので果たしてこれからの期待できる東北、北海道、あるいは農村というものが、しかも、それは活力がなくてはいけないと思うわけです。その点、これを読んだ感じではどうでしょうか。
  182. 中川一郎

    中川国務大臣 私は今日までの農村というのは非常に暗い一面があったと思うのです。それはなぜかと言うと、高度経済成長という中にありまして、主要産業を中心として一人当たりの所得が異常なほど伸びた。これを受けて官公庁に働く公務員のサラリーもよくなった。さらに、それを受けて農協あるいは役場に働く農村近郊の勤め人の生活がよくなった。それに比較して農村がついていけないということから農村が立ちおくれた、こういう問題がかなり長い間あったのだろうと思うのです。  しかし、安定成長下になってまいりますと、勤労者の方々もそれほど従来のような形ではない。むしろこれからは農村にUターン現象が起こるぐらい見直されてきている時代ではないか、こう思います。そういう中では明るい希望のある農村地帯というものが、そういった日本の動きの中からも出てくるだろう。ましてや東北、北海道は未利用の土地が日本の中ではまだ一番多い地域であり、酪農、畑作物、米といったものの調和のとれた農村地帯ができるであろうと私は希望を持っております。特に北海道などの最近の農村はかなりよくなってきておると私は思っております。東北もまただんだんその芽が出つつあるのではないか、こう思っておるところでございます。
  183. 武田一夫

    武田委員 私は一通りずっと読んでみまして、どうもいろいろな効能書きが書いてありますけれども、まあ効き目のない薬ほど効能書きをいっぱい書いているというのと同じように、そういう美辞麗句がたくさんあり過ぎて、具体的な問題についてはどうもさらっと通っていった、言うなればかすめ通っていったというか、かすっていった程度にしか大臣は知っていないのじゃないか、農業部門に関しては。そういうふうに思えてなりませんので、そういう点から具体的な問題を二、三取り上げてちょっとお尋ねしてみます。  さて、この計画の実施に当たりまして十年間で二百四十兆円見込んでいるわけであります。この二百四十兆で農林水産関係にどのくらい配慮をなさっているか。  そしてもう一つは、これは国だけではできない問題でありますから、どちらかというと、公共団体、いわゆる地方自治体、市町村、県段階におけるその独自性というものが大事な三全総であります。国からの押しつけではない、押しつけるものではないとまで言っておりますから。各県それぞれの県づくり、町づくりというものの中にこれが調和するかどうかという問題もあるわけでありますが、果たして各県のそうした体制が、五十三年度からさしあたって向こう十年間、六十二年までという中で行われる事業として、その体制が万全であるかどうか、そういう点、まずお聞きします。
  184. 星野進保

    ○星野説明員 御説明申し上げます。  私どもの三全総におきまして、先生御指摘のように、公共投資につきまして、十カ年間で累積投資といたしまして、これは国民所得統計ベース二百四十兆円ということを申しております。  その中身につきまして、公共投資の重点方向という形で、地方定住の方向であるとか、それから食糧及びエネルギー資源の確保のための投資といったようなところを重点として置くべきであるという言い方でございまして、それ以上は三全総の中で述べておりません。それは先生御承知のとおりだと思います。  で、先生御指摘のように、まさにこれは国の投資のみならず、当然地方公共団体、それからさらにそれぞれの事業者そのものの投資も含まれるわけでございますので、そういうふうな観点からいたしまして、ここで金額としてどのくらい配分されるかということは述べ切れません。したがいまして、あくまでも重点方向として、先ほどの繰り返しになりますが、食糧及びエネルギー資源の確保のための投資とか、それから地方定住とこの計画では言っておりますので、地方定住に資するような投資方向に重点を置くべきである、重点方向だけを文責上述べておるにとどまっております。
  185. 武田一夫

    武田委員 それじゃお聞きしますけれども、各県、たとえば東北六県でも結構です。この三全総に対応する各県のビジョン、計画というのはそろっておるわけですか。
  186. 星野進保

    ○星野説明員 同じくこの三全総の「計画の実施」のところで述べてございますが、この計画はあくまでも全国を対象にいたしました構想計画でございまして、その後、これも先生御案内のとおり、東北開発促進計画だとか四国であるとか九州であるとか、そういうような形でのブロック計画にだんだんブレークダウンされてまいります。同時に、いま先生御指摘の県ごとのということになりますと、県が独自に振興計画をそれぞれおつくりになっておりまして、それは年次はそれぞればらばらでございますが、この三全総をつくる過程におきまして、各県の御要望その他につきましていろいろ御相談を受けたり、また私どもといたしましても御意見を拝聴したり、そういうような過程を通って策定はしております。
  187. 武田一夫

    武田委員 私は東北開発審議会の委員の一人でございます。ところが、どうも東北開発のそうしたスローダウンしたビジョンさえも、私がこの間第一回の会合に行ったときには何にもなかったのです。ただ、いろいろな問題点を提起した上でのある学者のいろいろな意見等々を聞いただけで帰ってまいりました。この調子でいって十年の間にこうした事業計画などをしていったとしても、いつのときに手がかかって、どこまでいったらどういうふうになるのだというものがなければ、これは幻のプランじゃないでしょうか。その点、どうでしょうか。
  188. 星野進保

    ○星野説明員 直接私どもの局の仕事ではございませんが、私ども、先生にいま委員になっていただいております地方振興局の方の審議会が、恐らくめどといたしましては今年中ぐらいに各ブロック計画を策定していくということになろうかと思います。恐らく先生の方も御案内かと思いますが、その過程におきまして、よりブレークダウンされたような形での計画の姿が出てくるということを私どもは期待いたしております。  よろしくお願いいたします。
  189. 武田一夫

    武田委員 そうしますと、それができないと、これは五十三年といっても結局四年になるか五年になるか、その段階からスタートするしかないというようになっちゃいますね。どうでしょうか。
  190. 星野進保

    ○星野説明員 ブロック計画におきまして、その各地域におきます全体の構想的なことがさらにブレークダウンされて出てくると同時に、当然三全総が出まして、これは閣議決定されておりますので、その限りでは五十三年度の予算措置その他にも当然反映されていると私どもとしては思っておりますし、また各県その他についてもお示し申し上げておりますので、それを受けて着実に三全総の方向が進められるのではないかと私は思っておりますが……。
  191. 武田一夫

    武田委員 それじゃひとつお聞きしますけれども、三全総における地域別所得水準の問題で、「定住人口一人当たり所得の格差」という項目、この本によると三十四ページに表が出ていますが、どうもこれでは東北、北海道は非常に下の段階にいますね、いつまでいっても。いつになったらもう少しこれはレベルアップするのでしょうかね。たとえば六十五年度で北海道が九四、その次、東北九二、これは沖繩の八八に続いて下から三番目です。夢も希望もないじゃないですか、これでは。ほかは一〇五、一〇八、九九というふうになっている。こういう点、やはり問題じゃないでしょうか。いつのときにこれがせめて全国のレベルと等しいくらいの、あるいはちょっと、それくらい——苦労しているのですから、東北、北海道というのは。自然開発の非常な宝庫なんですから。若い人がどんどん来てもらいたいところなんですから。若い人が来るということは、所得水準がまず一番最初に目につきますわ、そうでしょう。生活環境がいいかどうかというのも必ず目につくわけですから。それがこの数字を見て若い人が、何だ、六十五年になってもまだビリから二番目、三番目か、これでは夢もチボウもないですな。これはどうでしょうか。
  192. 星野進保

    ○星野説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘のとおりでございますが、ただ、私どもといたしましては先生御指摘のように、その全体の所得格差というものは恐らく理想的には全部一〇〇、これは全国平均からそれぞれの乖離率をとるわけでございますから、恐らく理想的には各地域とも一〇〇という数字が出てくるのが、所得の分配の公平だとかあるいは地域の発展の公平だとか、そういう観点から見ますと一番望ましい姿だと私どもも思っております。しかしながら、現実といたしまして、ここの表にもございますように、先生御指摘の三十四ページの表でございますが、四十年度におきまして、たとえば東京圏が一三四、それに対しまして、当時一番低い沖繩が五三という形で、約三対一というようなかっこうでの乖離率があるわけでございまして、恐らく、この計画に書いてございますように、現在だんだんと地域別の所得格差というのが逓減してまいってはおりますが、なおそういう意味では全国が一律に同じ一〇〇という姿になっていくというのはなかなか現時点で考え切れませんので、私どもとしていろいろとその地域における発展の状況あるいはその他を勘案いたしまして、こういう数字をお示ししたわけでございます。  先生御指摘のとおり、確かになお格差があることについて地元の方々その他にまだ御不満があるかと思いますが、その点、そういう事情をよろしく御理解願いたいと思います。
  193. 武田一夫

    武田委員 私は何も一〇〇にしろなんて言っていません。ただ、こういうような実態を見て、これで東北、北海道というのがこれからよくなるんだと言えるかというと、言えないと思うのです。ですから大臣、大臣の力によってこれをもう一つこの計画の中でプッシュして、せめて全国平均よりちょっと上くらいの数字を出しておけば、全体的には東北、北海道に力が加わってきてわれわれとしても住みいい、安心した環境ができるんだ。いわゆる定住ですからね。いいですか、定住、わかりますね、そのことをよく考えてくださいよ。ああ戻ってきた、Uターンしたといっても、またUターン、これじゃ始まりません。その点、よく考えていただきたい。  新全総ではこの東北の場合の九二というのは一〇〇にしてあったはずなんですが、これはどうしてこうなったかということ、これも問題なんです。質問しません、大丈夫、後でごらんになってください。低経済成長のもとに至ってはやむを得ない措置だとかなんとかいろいろと答えてくるはずなんですが、一〇〇が九二になった。そんなことでは、一〇〇を見ている人は、東北、北海道に対してまた冷や飯を食わせるのだなと見るに違いない、一つの数ですから。私はお願いしますが、この所得問題については、これから特に農村、漁村に多くの若い人を求めなくてはならないとこの中でうたっているのですから、人材を獲得しなければならないと言っているのですから、そういう点でもひとつ十分に考慮していただきたい、こう思います。  大臣、その点についてひとつ決意を聞かせてください。
  194. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘のとおり、北海道と東北が余りよくなっておりませんが、現段階は根っこがかなり悪いところにありますので、相当格差はなくなるという点は言えるだろうと思います。現実、一〇〇までいけないのかなと私も思いますが、少なくとも農村だけは、私の所掌範囲だけはひとつしっかりしたものにやっていきたい。また、全体の問題については、われわれ地元でございますから、知事、市町村、この目標に飽き足らないで、がまんしないで、ひとつともどもがんばっていこうではありませんか。
  195. 武田一夫

    武田委員 大いに期待しております。それができれば総理大臣ものだと私は思うのです。  三全総の農業政策の特徴は大まかに言って二つ。一つは農業基盤の整備の中で農地の確保、これをきちっと目標値を明確にしたということ、それから人材の面では、農業を見直して農外からの新規参入を含めた農業後継者を取り上げている、ここが偉いことだと思うのですね。大変結構なことだと私も思います。  ところで、それじゃ果たしてこの農地の確保というのが明示されたとおり思うようにいくのかという、その現実の問題になってきますと、どうも私はそうはいかないのではないかと心配でございます。  それはなぜかと言いますと、たとえば農地の転用面積が四十九年、五十年、五十一年を見ただけでも年平均大体五万ヘクタール、三年間で十五万二千百七十一ヘクタール、そのうち北海道は八千七百十五ヘクタール、東北が一万四千九百五十四ヘクタールと転用されている。ほかのものに使われておるわけです。そのほかに、まだ利用されないでぶん投げっ放しになっておるような農地もある。これは減反の影響あるいは農業をやらないために使わないで放置してある土地あるいは未利用地等々、相当の農地というものが減っている。この減っているのをカバーしながらふやしていくとなると、これは並み大抵じゃない苦労が要るのじゃないか、こういうふうに私は思うわけであります。三全総によりますと、五十年に五百五十七万ヘクタールが六十年に、五百八十五万ヘクタール、六十五年には五百九十二万ヘクタール。いずれにしましても、五百五十七万が五十三年もそのとおりであるとすれば、六十年までの七年間で約二十八万ヘクタール、さらに六十年から六十五年まで、いわゆる三全総の一つのめどがついているところまでの五年間で七万ヘクタールですか、かなり確保しなければならない、こういうような状況でございます。  三全総では多くの休閑地や未利用地あるいは放棄地の存在あるいはまた低位利用の旧薪炭林地、原野等々を対象に農地の開発を積極的に進めていくと言われておりますけれども、土地確保、農地確保の見通しはどうなっておるのか。こうしたつぶれていく、あるいはまた農地としないでそのまま放置されておる等々の面積も考えた上で、果たして目標の農地が確保できるものかと私は心配でなりませんが、その点の見通しをまず聞かせていただきたいと思います。
  196. 大場敏彦

    ○大場政府委員 御指摘になりましたように、三全総では六十年では五百八十五万ヘクタール、それから六十五年では五百九十二万ヘクタールという農地の見通しを立てているわけであります。  現実の足取りを見ますと、転用の方は、四十年代後半の高度経済成長時代の非常に激しかった時代に比べて最近は転用の実績もかなり鎮静化して減ってきているということは、これは数字を追ってみればわかることであります。しかし一方、農用地の造成という状況を見ると、やはり依然として壊廃、転用というものが造成を上回っておるということで、御指摘になりましたように、耕地面積というものは減ってきておる、こういったことであります。  そういう意味で、やはり積極的にこの際施策を転換する必要があるというふうに私ども思っておるわけでありまして、大別すれば、一つは農地の無用な壊廃というものを防止するという意味で、農地法による転用の厳格なる規制ということによって壊廃を防止するということも必要でありましょう。あるいは農地保有合理化法人による土地の取得、売り渡しということも必要でありましょうし、あるいは農振法による農用地区域内の開発行為の制限とか、そういったこと等の対策も必要であると思います。  それからもう一つは、これもやはりいま御指摘になりましたように、農用地開発公団等による農用地の大規模開発あるいは国営等による同じく大規模開発、そういった積極的な農用地の造成開発ということと並んで、ことに東北、北海道は未利用の土地資源というものが非常に賦存しておるわけでありますから、あるいは国有林を含めての山林林野の問題、そういったものの開発を積極的に手がけていく必要があるだろうというふうに思っております。
  197. 武田一夫

    武田委員 それで、できればそうした全体をひっくるめて——予想ですから、計画ですから、今年を一つの出発点として、五年後にどうなるか、十年後にどうなるかという、それを出してもらいたいと思うのですね。教えてもらいたいと思います。  要するに、いまいろいろ転用されている土地等がございます。そういうものをいまいろいろなことで転用することを規制しながら進めていく、こう言っておりますが、現実問題としていますぐ始めるわけでもないでしょうし、転用はある程度進むし、また認めなくてはいけないと思っていると思うのです。それからまた、開発したからといってすぐに農用地として使えるという保証もないわけであります。となりますと、一応そういうことはさておいても六十二、三年までの十年間、全国このくらいの土地をこのようにしてこうするんだという一つのもの、やはりもっときめ細かなものをわれわれは提示してもらいたい、こう思うのですが、いかがでしょうか、できればひとつそれを今後出してもらいたいと思うのです。
  198. 大場敏彦

    ○大場政府委員 六十年の長期見通しにしろ、あるいは六十五年の数字にしろ、いずれにしても長期的な見通しないしはアウトルックでございますから、それを年次別に、何年にはこれだけの農用地面積が必要であり、そのために壊廃面積がこれだけあり、したがって造成面積がこれだけ必要である、そういった年次別の計画まで実はブレークダウンいたしておりません。  たとえば六十年の長期見通しにいたしましても、これはやはり六十年を見通した長期的な見通しでありまして、それを年次別に数字を出しているわけではありませんのと同様であります。それをさらにそういったマクロ的な形で耕地の需給バランスというものを考え、その結論として、たとえば五百八十五万ヘクタールというような面積を考えるということでございますが、それを具体的にどうするかということになりますと、これは今後の課題でありまして、具体的な県あるいは具体的な地域に即しまして開発可能なところから手がけていくというような形で対応していく、何年にはこれだけ壊廃する、何年にはこれだけ造成するというところまでまだ計画的に年次別計画をつくるというところまでは条件が熟していないという状況であります。
  199. 武田一夫

    武田委員 土地の問題は、それに価格等いろいろなネックがあるわけでありますが、それはきょうは取り上げません。  次にもう一つ、人材確保の面を聞きたいと思います。時間がありませんので。これはどう見ても後継者、中核者の育成ということ、これは相当問題が多過ぎます。苦労なさるのではないかと思う。しかしながら、それだけにこの面についての力強い一つの対策といいますか、そういうものが早急になされなければならないと私は思うわけでございます。東北の例を取り上げましても、農家戸数が四十五年から五十年に約六万戸減っております。全国的に約三十九万世帯ですね。専業農家などはパーセントで言いますと、東北は四十五年に一一・八が五十年は七・五%に減っている。そして反面、第二種兼業農家が四六・一%というのが五十年には何と五五・六%、こういうふうにふえているわけであります。ということは、農業を継ごうとする、ことに一生懸命に農業をやろうという若い方々の農村離れが著しいというこのことは依然として続いている。  しかるに、ここでは、そういうことも考えてでしょうが、「農外からの新規参入を含めた農業後継者確保」ということを言っているわけでございます。この人材確保についてはこれからどのように取り組もうとしているか、これがまた土地の問題とあわせて農業問題で解決しなければならない重大問題でございます。これをする者がおるとすれば、私は今後の農業というものは万々歳だと確信しておりますが、農林大臣いかがでございましょう。
  200. 中川一郎

    中川国務大臣 先ほども申し上げましたように、今日まで農業は非常に厳しいといいますか、暗い面がありましたけれども、安定成長下ではかなり農村と都市のバランスがよくなって、いままでは離農ということが非常に強かったわけでございますが、最近はむしろ定着をし、Uターン現象が、ほのかではありますが見えてきております。十年先に向かって、新しい人が農業をやるくらいの姿勢で農政は取り組むべきであり、またやり得るものであろう、こう思って、積極的に農政全般にわたりまして対策を講じてまいりたい、こう思う次第でございます。
  201. 武田一夫

    武田委員 所信表明の中でも特にこの人材確保ということは力を入れているわけでございます。そういう意味で、私はこの問題はまた別の機会に取り上げることにしまして、時間が来ましたので、最後にもう一問だけ質問いたしますけれども、国土庁の三全総には東北、北海道の位置づけをこのように言っております。  「北海道、東北及び北陸地方は、積雪寒冷の気象条件にあるが、恵まれた土地資源を活用して、大家畜畜産畑作、稲作等土地の広がりを必要とする作目を主体とした規模の大きい高生産農業経営確立し、我が国における主要な食糧供給基地としての整備を進める。」こう規定しております。生産調整の問題のときにも、要するに日本全体における農業の位置づけというものを明確にしなかったところから作業の進まない苦しい立場に政府は追い込まれたと私は思っているわけでありますが、いわゆるガイドポストと言われる地域指標がこれによってある程度、大まかではあるが、地域別に打ち出されたのではないか。「主要な食糧供給基地」ということになりますと、私はここのところに、日本の食糧自給率という問題から考えての大きなウエートがかかってくると確信しておりますけれども、どうしてもう少しはっきり東北は米の主産地であるというようなものを入れなかったかというのが私は問題だと思うのです。  その点、どういう考えでこういうぼやかした、当たらずさわらずうまくごまかすような——ほかの地域についても書いておりますけれども、主要な食糧基地とあるのは東北、北海道、北陸でございます。見てみますと、おいしい米のとれる地域、米をたくさんつくっている地域であります。思い切って米の生産地はここだと言うくらいの配慮をすることが今後の大きな問題でないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  202. 星野進保

    ○星野説明員 先生御指摘の個所でございますが、ここで申し上げておりますのは、今後、北海道、東北における自然的条件と現在の国土利用の関係から申しまして、現在ありますところの農業林業を基盤としながら、さらにこれから開発が進められるであろう工業基地、そういうものが一体となって、北海道、東北のいわゆる生産基盤というものを進展させていくのだろうというところに力点を置いて書いておるものであります。
  203. 武田一夫

    武田委員 時間が来ましたので、あともう一つあったのですが、これはこの次に譲りますけれども、数字の問題から、あるいはまたその中身を見ましても、農業というものの存在価値をもっと重視した作文でなければならないと私は思いますので、今後この問題については機会あるごとに私は各当局に質問しますが、この内容を一層高めつつこの実現のために努力していただきたい、こう思うわけであります。  農林大臣も、この計画が出た以上、これは計画倒れにならないようにひとつりっぱに推進方を——農林水産という大事な国の資源、しかも、これがわれわれ一億国民の命を支えるという観点からひとつ力を入れてこの問題に取り組んでいただきたい、こう思うわけでございます。  時間が来ましたから、最後に大臣の決意をお聞きしまして、質問を終わります。
  204. 中川一郎

    中川国務大臣 まさに前向きの御指摘がございました。農業は大事であり、しかも東北、北海道の占める地位は大きい。最善を尽くしてまいりたいと思います。
  205. 中尾栄一

  206. 吉浦忠治

    吉浦委員 最初に、大臣に、けさほどの所信表明についてお尋ねをいたしたいと思います。  大変すばらしい所信表明でございまして、大臣がずいぶんお考えになった末のりっぱな所信表明を聞かしていただきまして力強く感ずるものでありますが、二、三お尋ねをいたしたいと思うわけでございます。  農林大臣は「農林水産行政基本は、農林漁業者が誇りと生きがいを持って農林水産業にいそしめるよう」云々という言葉がございますが、誇りと生きがいというものをどのようにお考えなのか、最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  207. 中川一郎

    中川国務大臣 誇りというのは、国の大事な食糧を安定的に供給する大事な仕事であるという誇りでございます。そのことによって、また文化的な、希望の持てるいい生活ができるというのが誇りと生きがい、こういうふうに、簡単に言えば言えると存じます。
  208. 吉浦忠治

    吉浦委員 特にきょうはお米の生産調整についてお尋ねをいたしたいと思いますけれども、この生産調整を含めました現在の農業のあり方というものについて、農民の方々が生きがいを感じられるような施策を大臣はお考えなのかどうか。そういう点で、いわゆる総合農政の推進者であられる大臣が、農民の生きがいを中心にお考えになったいまの総合農政なのかどうかという点をもう一度お尋ねをいたしたいと思います。
  209. 中川一郎

    中川国務大臣 米というものは国民にとってきわめて大事なものでございますから、大事にしなければなりませんし、安定的に生産もしてもらわなければならない。しかし、これが余って家畜のえさに投げ売りするとか、東南アジアの経済援助の物資にただでやられる、こういうようなものをつくっておったんでは生きがいと言えないのではないか、やはり国民から喜ばれる食糧を安定的に供給する、これが農民として生まれてきた生きがいであろう、こう思うのでございますから、生きがいを感ずるならば調整に御協力を賜りたい、こうも思う次第でございます。
  210. 吉浦忠治

    吉浦委員 これからも私は生きがいのお尋ねをいたしたいと思いますが、農林漁業者の生きがいでなくてはならないと思います。そういう点で、お米の生産調整と、特に消費拡大の点にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。長い時間にわたってこの委員会は開かれております関係もありまして、大臣も一番お疲れの時間じゃないかと思いますので、簡潔にお答えくだされば、私は早く終わりたいと思います。  お米の過剰を背景にされました、食管制度を守るという掛け声のもとで、すでに七年以上過ぎているわけでございます。しかも、今日なお過剰状態が続いておりまして、五十三年度からは、御承知のように、大規模生産調整を行わなければならない状態でございます。そういたしますと、従来の生産調整というものがこれは失敗ではなかったか、こういうふうにとられるわけでありまして、このたびのお米の需給均衡対策という点について、いままで大臣はどのようにとらえていらっしゃるのか。この政策の失敗はどういうふうにお考えなのかをお尋ねをいたしたいと思います。
  211. 中川一郎

    中川国務大臣 過去の生産調整が失敗であったかと言われると、私はそうであるとは言いがたいと思うのです。昭和四十四、五年ごろ七百万トン余りまして、一兆円かけてこの余剰米を何とか処分をした。その後生産調整協力をしていただいたおかげで、昭和五十年ぐらいまでは大体需給のバランスがとれてきたのです。ところが、五十一年ごろからにわかにまた過剰の事態が生じた。これは生産調整が失敗したからではなくして、その後生産動向とそれから消費の減退ということがダブって、重なってまいりまして、その結果、いままで九十万トンでよかったものがさらに八十万トンプラスをしなければならなくなってきたということでございますので、過去の生産調整が失敗したからでなくて、最近の需要動向に新しい現象が生じてきたということでございます。  したがって、過去の経験を踏まえてさらに一段と手厚い政策を講じ、また農民の皆さんの御理解と御協力によって、この二回目の波を乗り切っていきたいものだ、こう思う次第であります。
  212. 吉浦忠治

    吉浦委員 その最も顕著な原因というのは、いま大臣がお答えになりましたけれども、長い期間にわたって三度目の生産調整をやろうとすることは、やはりこれは転作が定着しなかったからではないかと考えるわけです。過去、一兆円にわたる多額の国費を投じてもその目的を達成できなかった、その責任というものは、私はきわめて大きいものだと思います。したがいまして、転作作物の定着化政策努力をなさったかどうか、その上での結果なのかどうかということをお尋ねをいたしたいと思います。
  213. 中川一郎

    中川国務大臣 なぜ米がふえるかというと、やはり農家にとりましては米が一番経済的な作目である。逆の言い方をすれば、ほかの農作物が米に比べて悪い。だから、定着するためにはほかの農作物を米並みにいいところに持っていけばよかったではないか、そうすれば米が余ることはなくなっただろう、こうおっしゃるのでございますが、実は畑作その他の農作物も、国際的に見ると、国としてもまた国民としても、かなり協力しているわけなんです。  一例を申し上げますならば、麦について言いますと、アメリカから買ってまいりますと生産費が一俵千二、三百円、日本に参りましても三千五、六百円。ところが、日本では麦をつくると一万一千円、したがって七、八千円のところは国民が負担するか、国が負担するかという中で麦ができている。同様に、大豆についても、飼料作物についても、若干の差はありましてもビートについても言われるということでございますので、この畑作農作物、転換をしなければならない作物を米の水準まで上げるということは、消費者や国家財政がこれを了承するかという厳しい条件もあるわけでございます。しかし、これらのものも大事な作物でありますから、奨励金を差し上げたり、あるいは最近では奨励金を価格に織り込んだり、自給度の向上ということは国家的目的でございますから、いろいろと経済を度外視した政策もやってきた。しかし、まだ米の方が有利であったということは間違いのない事実でございますので、今後は作付転換を行うと同時に、この二つの作物の利益関係といいますか、農家所得に対するバランスは一遍にはとれませんけれども、長期的にはやはりほかの作物に誘導されるような価格政策なり全体の農政というものを考えていかなきゃならぬ、こう考えておるわけでございます。
  214. 吉浦忠治

    吉浦委員 予算委員会でも問題になったようでございますが、この新生産調整実施というものが、果たして法的根拠があるのかどうかという点でありまして、食管制度を守るためにはどうしても農民の理解と協力を得なければならないわけであります。大臣は、盛んにそのことを強調されておりましたが、行政の責任で実行するというふうに言明されておりますが、このような権限というものが、果たしていまの憲法下で——法律を必要として実施されるのではないかというふうに私は考えますが、この点、大臣いかがでございましょう。
  215. 中川一郎

    中川国務大臣 私は断じて法律違反にはならないと思う。法律違反であるかどうかは、法制局並びに最終的には裁判所が判断するところでございます。私は専門家でありませんが、どう見ても、これをやることは法律違反ではない。ただ、言えることは、法律によってやった方が望ましいか、あるいは法律によらざる方がいいのか、こういう判断は出ると思います。  特に農業基本法第二条を受けての第四条、第二条を遂行するために必要な法的措置なり財政措置を講じなければならないという場合、これは法によってやった方がいい場合になるのか、そうでない方がいいのかという判断の問題はあろうと存じます。しかし、私の判断としては、こういう農家生産調整というものを法律でがんじがらめにお願いするよりは、むしろ消費に対応する生産というものが自主的になされるというのが望ましい姿であろう、こう考えまして、農家の理解とそして協力、それに対する国の助成ということでやっていく方がむしろいいのではないか、こう判断をいたしておるところでございます。
  216. 吉浦忠治

    吉浦委員 そういたしますと、いまの国からの一方的な都道府県に対する配分というもの、また、それを受けた自治体というものは、現在大変混乱をいたしておりまして、私のところの千葉県等でも、どうしてもこの配分に承服できないというので、下部組織等から、国に申し入れをしてくれというふうな要望が県の方にまで出ておる状態でございます。したがいまして、県から市町村、市町村から農民というふうに、現在その配分が事務的に行われているようでございますが、問題は、果たしてこの地方自治体の行政のそういう仕事が、事務的な面でやれるのかどうか、そういう点、大臣はどういうふうにお考えですか。
  217. 中川一郎

    中川国務大臣 この問題は農家の皆さん方の理解と協力、そしてまた市町村あるいは県段階もまさに理解と協力でこの仕事をなし遂げていかなければいけない。私は県段階、市町村段階では大方の理解と協力が得られておるものであると思う。中にいろいろ御議論もございますが、大方は御理解と御協力をいただいておる。農家の方々も今日の厳しい情勢、そうして将来の農政を考えるならば、これまた大方の理解と協力を得られるものである。しかし、これはあくまでも理解と協力でございますから、法的にあるいは罰則的にこれを処理する、こういうことにはならないわけでございまして、あくまでも理解と協力、いろいろな御議論はありましても、最終的には御協力がいただけるもの、こう思っておる次第でございます。
  218. 吉浦忠治

    吉浦委員 さて大臣、農民の理解と協力というふうにおっしゃいますけれども、生産調整のその中身を見ますと、協力をなさらない方には次年度に繰り越してその上乗せをする、また政府の買い入れ限度数量の減少というふうに、いわゆるペナルティーをもって臨むというふうに、政府の態度は高圧的な行き方でありまして、私はどうも理解に苦しむわけであります。農民の理解と協力とおっしゃいましたが、このような政府の高圧的な態度では、真の協力は得られないんじゃないか、達成はきわめて困難じゃないかというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがです。
  219. 中川一郎

    中川国務大臣 当面御協力いただけないものは翌年御協力いただく、こういう仕組みがペナルティーという言葉になっておるわけでございますが、もしその仕組みがないとすれば、生産調整に御協力願えなかった分は、次の年に、前の年やりました方に背負ってもらわなければいかぬ、こういう仕組みではこの制度はできないということでございます。  そこで、食管制度は、御承知のように、必要な米を農家の方々にお願いして買い入れをし、これを配給するということでございますので、協力をいただけなかった分は、食管制度に言う買い上げ、予約限度数量の買い上げの対象にはならない。しかし、米はやはり食管全体の中であるわけでありますから、食管を外れた米はない。ただ、買い上げの米ではない。そこで、自主流通米という制度を通じて政府も協力して、配給ルートに乗せてこれを消化していくということであって、そのできた米を投げてしまえとか、消してしまえということを言っているのではなくて、配給ルートに乗せる、食管の買い上げで処理する米ではないけれども、食管で御協力をしてこれを配給ルートに乗せるということでございますので、過酷なペナルティー、すなわち罰則とは考えておらないわけであります。
  220. 吉浦忠治

    吉浦委員 この生産調整を見てまいりますと、政府は、従来のいわゆる四十六年当時の緊急避難的な措置という考え方ではなくて、日本の農業構造を変えていく姿というふうに示されておるわけでありますが、十年後の農業の姿というものはどのような見通しを立てていらっしゃるのか、食糧供給構造がどういうふうなものになるのかという点で、最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  221. 小島和義

    ○小島説明員 ただいまからちょうど十年後と申しますと昭和六十二年ということになるわけでございますが、六十二年を見通しました生産のビジョンというものは実はつくってはおりません。昭和五十年に、五十年をベースにいたしまして昭和六十年までの見通しというものが閣議決定されておりまして、強いて申し上げますならば、それが一番近い時期ということで、その十年後の見通しの姿をあらわしているというふうにお考えいただければ幸いでございます。
  222. 吉浦忠治

    吉浦委員 今後この政策を十年間継続していこうということでしょう。ですから、十年間継続していくならば、見通しがなければ継続できないわけではございませんか。お答え願いたいのです。
  223. 小島和義

    ○小島説明員 申し上げましたように、六十二年の見通しというものはないわけでございますが、六十年につきましての農産物の見通しというものは持っておるわけでございます。ですから、当面の将来の姿といたしましては、六十年の姿というものを一応の目標といたしましてこれからの農業生産を持っていこう、こう考えておるわけでございまして、今回の特に転作におきまして力点を置いております重点作物も、今回のいま申し上げました需給見通しにおきまして相当自給度向上というものを織り込んでおる、こういう作物を取り上げておるわけでございます。
  224. 吉浦忠治

    吉浦委員 そうなりますと、私は農家に対するいわゆるお米の問題で方向だけ示して、やはり農民の生活がどうなるか、十年後にどのようなその姿を描くのかということが問題だと思うわけです。政府が政策を示すならば、十年後の農民像という、農家の生活像というものをどのようにお考えになってそういう政策をお出しになっているのか、そういう点をもう一度お答え願いたいと思います。
  225. 小島和義

    ○小島説明員 ただいま農業生産の姿だけを申し上げましたが、昭和六十年の見通しにおきましても、日本の農地面積あるいは農家戸数、農家人口というものについて一応の見通しを持っております。  それによりますと、農家人口あるいは農業就業人口というものは、なお引き続き非常に鈍い速度ではございますが、減り続けるだろうと思います。しかし、その中におきまして、農業生産というものが年率約二%ぐらいの速度で上昇をする。自給率という結果につきましては、一応七五%という目標を持っておりますが、農業生産がそのようにふえ続けるということになりますと、農家のうちで基幹的な労働力を持っておりますような農家、そういう農家の一戸当たりあるいは一人当たりの生産ということになりますと、現在の姿に比べましてはるかに高いものを期待するということになるわけでございます。そういう意味におきましては、これから農業をやっていただく方にとりましては、一人一人の担うべき生産の分野というものは拡大する、こういう見通しを持っておるわけでございます。
  226. 吉浦忠治

    吉浦委員 私は細かい点をお尋ねして申しわけございませんけれども、今後十年間これが継続されるというふうになりますと、お米をつくるいわゆる兼業農家はどういうふうになっていくのか、お米をつくっていかれる方々の生活というものがどういうふうになるのか、そういう点を心配いたしているわけでありまして、作物だけの変更を示して、そして農民の将来の生活像というものを示さない、全く片手落ちではないかというふうに思っております。  百七十万トンのお米の生産調整に関連して、兼業農家の米作がいろいろな角度から話題になっているわけでありまして、専業農家が五十年の統計では一二・四%、兼業農家が何と八七・六%あるわけでありまして、その兼業農家の内訳も一種兼業は二五・四%、二種兼業は六二・一%あるわけであります。大臣が推進されております総合農政、いわゆる政府が進めてきた総合農政の結果がこのようになってきているわけでありまして、種をまいた総合農政が、この問題を抜きにしては私は考えられないというふうに思っておりますが、政府は一体兼業農家農業の中でどのように位置づけされようとしているのか、見通しといいますか、その体質改善はどのように進められようとなさっておるのか、その点だけお尋ねいたしたいと思います。
  227. 小島和義

    ○小島説明員 お答えいたしますが、実は専業、兼業というその区分は一つの統計上の約束事がございます。農家の家族の中において農業以外に所得を得ておる人がおりますと兼業農家ということになるわけでございますから、非常に極端な事例で申しますと、おじいさんとおばあさんと二人でやっておる場合も専業経営、こういう分類になります。したがいまして、今後の姿を描きます場合には、単純に専業、兼業という区分だけではなくて、その農家経営の中に中核となるような男子労働力を持っており、しかも農業に対して精進をする、こういう農家とそうでない農家という仕分けというのが一つの政策上の目標になろうかと思います。最近、農林省におきましては中核的農家というふうな表現をいたしておりますが、そういう農家の担うべき生産の分担というものがこれから比率としてはますます高まるだろう、こういう見通しを持っておるわけでございます。  個々の農家と担うべき作物との組み合わせということにつきましては、これは地域地域農業によりましていろんな型が出てこようかと思います。北海道畑作地帯のように、もともと畑作専業あるいは酪農専業という地帯もございますれば、従来の水田地帯におきまして米に他の作物を組み合わせました複合経営とか、いろいろな形が描かれようかと思います。
  228. 吉浦忠治

    吉浦委員 それでは、大臣にお尋ねをいたしますが、大臣は、予算委員会でも質問がありましたようですけれども、朝日新聞の「論壇」か何かに、見出しだけは食管制度の廃止論者というふうにとられる、中身はそうでもないようでございますけれども、そういう受け取り方をされるような表題になっておりました。本心も少しそのようなところにおありじゃないかなというふうに私は受け取って御質問をいたしているわけでございますが、世間でそのように思われているということは幸せなのかどうかわかりませんが、私ははっきり大臣のその態度をお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。福田内閣の姿勢というものは食管制度の堅持でありまして、その中における大臣は食管制度を今後どのようにお考えになっていらっしゃるのか、この点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  229. 中川一郎

    中川国務大臣 農林大臣になる前にあの一論を載せたわけでございますが、従来のようなということで、昨年ですが、四十八、九年ころですか、非常に米価の値上げをした、そして消費者米価は据え置きといいますか、余り上げなかった、で莫大な逆ざやが出てきた、そして生産の方向は強まる、消費は減退していく、食管制度の赤字は毎年一兆円も使われる、そして大事な農政費には余り金が回らない、そうして消費者も不満、生産者も不満、こういうようなことを続けていくならば食管制度はもたなくなるのではないか。だから、しっかりひとつこの制度を改めていってくださいよ、こういうことを指摘を申し上げたわけでございます。見出しは「食管制度を廃止せよ」になっておりますが、警告をした、こういうことでございます。  そこで、農林大臣になっていまの心境はどうかというと、やはり主食であります米は何とか需要に見合ったものを生産して、これを安定的に国民に売り渡していく、こういうところからいってぜひとも食管は堅持をしてまいりたい。それには悪い仕組みとなっております過剰生産の傾向、こういうものを何とかやめる仕組み、あるいは食管の赤字がむちゃくちゃ多い逆ざやというようなものを解消して、真に農家の生活の向上というふうに農政費の大部分が使われる、こういう仕組みをやっていって食管を守っていきたい、こういうことでございます。  その意味で、どうかひとつ農家の皆さんに理解と御協力を求めて過剰米が出ないように、そしてまた末端逆ざやも一遍になくすわけにはいきませんけれども、前向きでこれを解消して、そして真に農政費に一兆円近い、全部とは言いませんが、かなりのものは生産対策に回る、こういう方向に努力をして食管を守っていきたい、こういうのが正直な現在の立場であり、心境でございます。
  230. 吉浦忠治

    吉浦委員 委員長も大臣も、これはある新聞に書いてございまして、青嵐会の万で、そしてしかも農政等に対する関心は、今後、大臣は食管制度を廃止する行き方で、そういう強力な進め方が根底にあるらしいというふうなことが書いてございました。前の大臣の話を出すのはどうかと思いますけれども、前鈴木農林大臣は、「将来にわたってわが国農業の基幹的作物としての地位を維持する稲作の将来に不安なからしめるために、食糧管理制度はぜひとも堅持しなければならないが、水田利用再編対策の確実な実施こそ食糧管理制度を堅持するゆえんであると考える」というふうにその決意を明らかにされたわけであります。  私は現在の中川農林大臣にお尋ねをして、前の大臣のことを云々するわけではございませんけれども、大臣の立場と大分異なっているように受け取れるわけでありまして、大臣、その真意はどこにあられるのか、お尋ねをいたしたいと思うのです。
  231. 中川一郎

    中川国務大臣 鈴木農林大臣のただいまの答弁、お話がありましたが、少しも違っておらないのです。食管制度は大事だから堅持しなければならない、このためには水田総合利用対策、こういったものを着実に実行することが食管制度を守るゆえんである、こういうことができなくなって、食管制度の持つ、何でも値段を上げて買わなければならぬ、そして余り米がたくさん出て、莫大な国家財政を後ろ向きの方に使うということになれば、食管は守り切れないのではないか。私はこれをなくすというのではなくて、そういう事態に至らないように御協力をいただきたいなあということでございますから、鈴木農林大臣と全く同じだと思います。鈴木農林大臣の、まさに食管制度を守るゆえんのために、このゆえんというのはそこら辺にあるのだろうと思います。
  232. 吉浦忠治

    吉浦委員 次に移ります。  米の過剰を背景にした五十三年度米価を、早くから低米価に抑えようというふうな大臣の話が新聞に出ておりますし、委員会等でも述べられたかに思いますが、この低米価決定となるのではないかという心配、政府の米価決定に対する基本的な態度はどうなのか、基本的な点を大臣、一言で結構ですから、お答え願いたい。
  233. 中川一郎

    中川国務大臣 米価については、米審あるいはその後の物価の動向、労賃等々を計算してみなければにわかに予断はしがたい。ただ、言っておりますのは、前の生産調整のときには据え置きを三年間か四年間たしかやりました。そういうようなことを政策として決めてはおらないし、そういうことを押しつけようとは思わない。食管法に言う所得補償方式を貫いて、しかるべく米価を決定したい。でき上がりはことしの労賃や生産需要やその他からいってどう落ちつくかわかりませんが、いまにわかに低米価であるとか大幅であるとか中幅であるとか言う時期ではない。いろいろ専門家が見れば、どの辺に落ちつくかなあというのは大体御想像はつくとは思いますが、いま私の口から言える段階にはないということでございます。
  234. 吉浦忠治

    吉浦委員 低米価というのは新聞の方が先走って書いたのかもしれませんけれども、大臣は総合農政の非常に積極的な推進論者でいらっしゃるので次にお願いしたいのですが、いままでの米価決定の経過は、田植えが終わって米価決定ということだったかもしれませんが、これは常識的に考えると私はおかしいのじゃないか。したがって、ことしの米価は田植え前に決定するように改めるべきではないかと思いますが、大臣、いかがです。
  235. 中川一郎

    中川国務大臣 そういう議論はかなり前にありました、農業団体の中からも。しかし、そういう時期に決めますと、実は労賃、春闘等のベースアップの決まり方がどうなるかわからない、あるいは生産費の調査もまだまとまっておらないというので、いま生産者団体からもそういう声は余り聞かれなくなってございまして、それをやることにはいろいろの支障もあり、実態に合わないのではないか、こう思う次第でございます。
  236. 吉浦忠治

    吉浦委員 米の消費拡大ということについて時間の範囲でお尋ねをいたしたいのですが、政府のかけ声というものが大きいわりあいに、これからかもしれませんが、余り成果は上がっていないのじゃないか。消費拡大を取り上げますと、必ず学校給食というのが出てくるわけでございます。学校給食を完全実施した場合にどれくらいの消費ができるのか、まずお答えを願いたい。
  237. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 完全給食校につきまして米のみの給食をやるということになりますと、二十五万トン程度の消費になるという推定をいたしております。
  238. 吉浦忠治

    吉浦委員 それは現在の学校給食、きょうは文部省はいらっしゃいませんけれども、結構ですが、週五日間米を食べさせた場合に二十五万トンでございますね。
  239. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 そういう計算でございます。
  240. 吉浦忠治

    吉浦委員 そこで、私は現在の学校給食のあり方というものについて問題にいたしたいわけでございますけれども、米の消費拡大を図るために学校給食が一番前面に出てきているわけでありますが、学校給食というのは逆に米の消費をなくしてきた制度ではないかなというふうに考えるわけです。というのは、戦後三十年学校給食が続けられておりますけれども、当初はお米を食べないでほかのもの、麦ということになりましたが、アメリカからの余剰農産物等の麦を食べさせるというような行き方から、要するに学校給食そのものの考え方の根底にあるものがお米の消費拡大を阻止してきたというふうに私はとらえておりますが、どうですか。
  241. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 意図したものではございませんけれども、結果的にそういう見方も一部の議論として成り立つと思います。
  242. 吉浦忠治

    吉浦委員 私も長いこと学校の現場におりましたので、子供たちに食べさせる場合に、お米を節約して食べさせるような行き方でございました。それで、パンとおかずとミルクというこの三拍子が学校給食の中心になったものでございます。現在、先ほど言いますように、文部省はいらっしゃらないけれども、完全給食というたてまえが非常に阻害になっておるのじゃないかなというふうに思うわけでございますが、これを文部省との話し合いによって弁当を持参させる。私は弁当を持参させることが最大の解消策ではないかな、個人的な見解でございますが、そういうものを持っておるわけです。いかがでございますか。
  243. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 農林省といたしましても、ただいま先生おっしゃたような考えを持っております。学校給食に米飯導入をする場合に、自校で炊飯するとかあるいは共同炊飯するとか、いろいろな形があるかと思いますけれども、弁当持参という形で米飯給食をやるということは、家庭における家族の米食の促進という効果も付随的に出てくると思いますし、私どもとしてはその方が米の消費をふやしていくという観点からすれば望ましいのではないかというふうに思っておるわけでございます。  ただ、文部省は完全給食という考え方でこれまでやっておりまして、平たく申し上げれば、先生御存じのように、やはり同じかまの飯を食わなければいけないというようなことで、いろいろ問題があるようでございます。教育面からすればいろいろ問題があるということでございますので、現在、一部弁当持参の米飯給食を実行しておりまして、農林省といたしましてもそれに対する助成も一部やっておりますが、これは現段階ではあくまでも経過的な措置ということで、いずれは自校炊飯なり共同炊飯なりをして同じかまの飯を給食するというような形に持っていくための経過的措置ということで、現段階ではそういう前提で進めておるわけでございます。  これにつきましても種々意見がございまして、私どもといたしましては米の消費拡大という観点に立ちますので、先ほど申し上げました、先生と全く同じような考えを持っておりますけれども、学校教育上の問題もございますので、今後文部省とさらに議論を詰めまして、私どもとしてはできればそういう方向に持っていきたいというような考えを持っております。  現段階はそのようになっております。
  244. 吉浦忠治

    吉浦委員 長官のそういう消費拡大への積極的な熱意というものを私は買って、やはりここで文部省と十分な話し合いを詰められて、完全給食というのは同じかまの飯を食うということじゃなくて、長官、同じおかずを食っても、食べ物についてかまだけにとらわれているわけじゃないのです。したがいまして、これほどまでに米の消費拡大を図らなければならない、それこそ農家にとっては死活問題のときに、国策として考えたらいいのじゃないか。もう一歩前進して十分な話し合いを煮詰めて、そして弁当持参なり、また思い切って各学校におけるお米の炊飯器なりの準備というものを十分考慮なさるぐらいの配慮をして取り組まなければ、ただ言葉の上だけで消費拡大、学校給食と、こういうことだけ百万遍言ったってこれは解決する問題ではないと思うのです。  そういう点でもう一度長官、明確なお答えを願いたい。
  245. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 先ほど申し上げましたようなことで、両省間の合意に基づいて現在やっておりますけれども、考え方といたしましては、私どもといたしましては先生のおっしゃるような考え方で進めたいという気持ちを持っておりますので、ただ同時に、学校給食は米飯の消費拡大という面のみの事業ではございませんので、学校教育という問題がございますので、その辺は文部当局ともさらに詰めまして、できますればそういう方向に少しでも近づけていきたい、こういうふうに考えております。
  246. 吉浦忠治

    吉浦委員 学校給食に付随をいたしまして、私が弁当を持たせる必要を力説をしているのは、これは家庭の生活というものが現在、すべてがそうではございませんけれども、弁当を持たせないために朝、飯を食べなくてもいいというふうなことでパンになる傾向があるわけであります。したがいまして、弁当を持っていけば朝御飯を家庭内においても、主婦の労働は大変でありましょうけれども、つくらなければならぬということになるわけでありまして、そういう面の配慮も十分考慮なさっているとは思いますけれども、食生活の改善というものを図らないと、言葉だけの宣伝ではこれは甘過ぎるのじゃないかというふうに私は申し上げたい。  続いて、戦後の婦人の地位と申しますか、いわゆる職業への進出というものによって食生活というものが大きく変化をしているわけであります。インスタント食品でありますとか冷凍食品でありますとか、その他の食品等によりましてかなりの変化をいたしているわけです。  ですから、こういう面における配慮もしていただきたいし、またお米に対する誤った考え方もあるやにも聞いております。まあ私もお米を食って大きくなりましたので余り頭がさえませんけれども、米を食べると頭が悪くなるとか高血圧になりやすいとか、または老化現象が早いとかいうふうな誤った考え方もあるわけでございまして、日本の場合にそういう考え方があるのに、欧米においてはお米をどんどんと摂取しようというふうな行き方に変わりつつあるわけです。そういうときに、そういう面のPRもおくれているのじゃないかということに対して、長官どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  247. 澤邊守

    ○澤邊政府委員 確かに米食が健康によくないとか太るとか頭が悪くなるとかいうような、かつてそういう俗説がございまして、あらぬ疑いを米食が受けたという点は否定できないと思います。したがいまして、私どもといたしましても、その点につきましては現在やっております米の消費拡大の宣伝普及事業の中におきましてもかなり重点的に取り上げておるつもりでございます。テレビ放送その他におきましてもそういうテーマを取り上げて放送しておることもございますし、各種パンフレットその他におきましても学者の方々の御意見も紹介しながらやっておるわけでございますが、御指摘の点、まだ不足の点があるかと思いますので、その点につきましても、米の食品として非常にすぐれた面、あるいはいままで悪いと言われたような面が正しくないというような点を積極的にPRをしていきたいというふうに考えております。
  248. 吉浦忠治

    吉浦委員 ぜひお願いしたいのです。  運輸省、見えておりますか。成田空港の点についてちょっとお尋ねしたいのですが、千葉県の山武郡芝山町千代田というところに公団が買収済みの土地約六十ヘクタールがございますが、公団が未管理のままに放置されておりまして、勝手に耕作利用している人もいるやにも聞いております。  この土地地域住民のために活用されないかどうかということの要望が地域住民から非常に強いわけでございまして、特に植木組合とか酪農家などからこの土地を草地栽培または植木畑として借り入れたいというふうな希望もあるようでございますけれども、こういう点について公団側なり運輸省なりどのような法的措置がなされるのか、お答えを願いたいと思うのです。
  249. 松尾道彦

    ○松尾説明員 いま先生の御指摘されました用地につきましては、空港の設置管理者であります空港公団におきまして、騒音対策の一環といたしまして、空港周辺におきまして地元の要望によって買い取った土地がございます。  この土地につきましては、公団におきまして十分な管理をすべく努力しておるところでございますが、今後の有効活用につきまして御希望の点も認識いたしております。私どもは、地元の芝山町におきまして開港を控えまして町の基本計画を現在策定中と聞いております。この基本計画に十分整合性を保ちながら、これらの土地の有効活用につきまして、地元の千葉県等の御協力を得まして前向きに考えてまいりたい、かように考えております。
  250. 吉浦忠治

    吉浦委員 最後に、水産庁にお尋ねをいたしたいのですが、新聞等で騒がれました青ケ島の領海三海里宣言というものについてちょっとお尋ねをいたしたいわけです。  この地域はほかの物に頼れないで食糧が底をつくような、そういうところで、また港もないような状態のところでありますが、地域ごとに三海里宣言などをなされますと、日ソ漁業交渉じゃございませんけれども、各地域地域において大問題が起こってくるのじゃないか。しかしまた青ケ島というような特殊地域のところは、何らかの手を水産庁としても打ってあげなければならぬのじゃないかというふうに私は思っておりますが、長官どういうふうにお考えか、お尋ねをいたしたい。
  251. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生御指摘のように、そういうことは漁業法なり都道府県の調整規則あるいは海区漁業調整委員会の指示というようなことで決められるべき問題でございまして、勝手に海面にそういう線を引っ張ってどうのこうのということは認められるわけではもちろんございません。ただ、御指摘のように、青ケ島の行動は地元の漁業を振興するという考え方に立つものと思いますので、今後、都庁とも協議いたしまして、青ケ島の方で漁業振興のもとになるような何かいろいろな計画でも提出されてきた場合には、なるたけそういう立場を尊重して、われわれとしても相談には応じていきたいというふうに考えております。
  252. 吉浦忠治

    吉浦委員 終わります。
  253. 中尾栄一

  254. 稲富稜人

    稲富委員 本日、大臣より承りました所信表明に対しまして、若干これを中心としてお尋ねいたしたいと思うのでございます。  本日、大臣から承りました所信表明の内容は、作文としては実にりっぱにできております。しかし、この所信表明の大臣の基本的な考え方というものが、日本農業の将来はかくあるべきであるというような展望か、目標か、そういうものの上に立っての所信表明であるか、それとも本年度に行わんとする農政のあり方についての表明であるか、いずれにその重点を置いておられるかということについてまず最初に私は承りたいと思うのでございます。
  255. 中川一郎

    中川国務大臣 所信表明で申し上げたとは思いますけれども、国民食糧を安定的に確保する、このことは国民安全保障からいっても大事なことである。そして、農家は誇りと生きがいを持つ、こういう長期的な目標で取り組んでまいりたい。しかし、取り巻く情勢は非常に厳しい。農政では米の生産調整という非常に厳しい問題がある。そこで、これに対処するのに五十三年度はいかにあるべきか、こういう流れで申し上げたと存じます。  したがいまして、長期的な展望については、とりあえずは六十年の農産物需給生産の見通し、あの目標に向かって前進を続けていく、こういうことでございまして、具体策がないと言えばないかもしれませんが、今日の厳しい情勢は私も認識いたしております。短い文章ではありましたが、その上に外国からの圧力というものもございまして、これを何とか乗り越えてしっかりした農村づくりに取り組んでいきたい、こういう気持ちで取り組んでおる次第でございます。
  256. 稲富稜人

    稲富委員 ただいま大臣からも御答弁がありましたように、わが国農業の将来の展望の上に立ちながら、少なくとも本年度はこういう農業に対する施策をやろう、こういうような意欲に燃えた結果がこの表明になったと私は好意的に解釈をいたしております。  それで、そういう点から申し上げますと、今日のわが国農業の実態というものが、大臣が表明されたような、あるいは希望されているような農政との間に余りにも開きがあるということ、これは過去における日本の政治を担当してまいりました自民党の長い農政の中にその責任の一端がある、こう言っても過言ではないと私は思うのでございますが、その開きが非常にあるという点を大臣は十分認識していらっしゃるかどうか、この点を承りたいと思うのでございます。
  257. 中川一郎

    中川国務大臣 今日、農村を取り巻く情勢は、いま申し上げましたように、米の生産調整、外圧、そればかりじゃなくて農家経済の実態、将来の展望ということからすれば多くの課題を抱えており、過去を振り返ってみて反省すべき点も多いということは事実でございます。しかしながら、この狭い、しかも気象条件の悪い日本の風土の中で、国民食糧を七五%近く自給しておるという実態、そしてまた価格政策農業基盤政策や金利政策や、諸外国に比べてかなり厳しい中でも政府として努力してきたことだけは間違いないし、これからも努力を怠ってはならない、こういうことが現状ではないかと存ずる次第でございます。
  258. 稲富稜人

    稲富委員 もちろん、いままで日本の政府が農業の問題に対していろいろ努力をされてこられたであろうということは、私は否定をいたしません。しかしながら、その努力の結果というものが、大臣はきょうの所信表明の中において「農林水産業の発展なくしてわが国の真の繁栄はない」、かようにはっきり述べられております。それが本気で述べられておるとするならば、今日の日本農業が年々衰退の一途をたどってまいったこの現状に対しても、反省の上に立って、なぜこのような衰退の一途をたどったか、こういうことをわれわれは十分考えなければいけないのではないか、そして今後の日本の農政をいかに確立するかということを考えるべきじゃないかと思うのであります。  大臣は、この中において「わが国農業の現状を見ると、高度経済成長の過程を通じて労働力土地が流出し、都府県においては、半数以上の農家が第二種兼業農家になるなど、その体質は脆弱化しておる」ということをはっきり認められておるのでございます。一体こういうような状態にだれがしたかということなんです。この反省の上に立って——私はあえて責めるわけではございません。今後、日本の農業を打ち立てる上においては、こういう事実は事実としてとらえて、その反省の上に立ってわれわれは新しい農業を築かなくてはいけない、こう思いますがゆえに、こういうことになった原因はどこにあるかということを大臣はどう確認をされておるのか、これを私は承りたいと思うのであります。
  259. 中川一郎

    中川国務大臣 せっかくの稲富先生のお話でありますが、わが国の農村が衰退したとは思っておらないのです。他産業に比べて発展がおくれた、したがって相対的に農業が他産業に比べておくれておる、こういうのが実態だろうと思うのでございます。  それでは、どうして他産業に比べておくれ、衰退したかに見える今日になったかというと、わが国は異常な高度経済成長を、しかも長期にわたって行った、世界が驚くような経済大国にまで発展したわけでございます。あの何にもなかった日本がここまで異常な発展をしたというのは、第二次産業を中心にして、貿易、輸出振興でここまで来た。最近はドルを持ち過ぎるぐらい、世界からきらわれるぐらい発展した。その過程にあって勤労者あるいは公務員、こういった方々の生活が非常によくなった。それに比較して農村が及ばなかったということでございますから、大きな原因は、農村の立ちおくれというものは、高度経済成長についていけなかった。では、なぜ高度経済成長についていけなかったかというと、やはり土地というものの制約があった。ほかのものは相当の合理化なり何なりが進みますけれども、土地の合理化というものは二次産業に比べてとても追いつかなかった。かなり価格政策等でやってはまいりましたが、最近になってその価格政策もなかなか遂行できない、こういうことでございまして、大きな面は高度経済成長に沿った農村の発展ができなかったということにございます。  しかし、だからといって政府の責任がない、誤りがなかったというわけではありませんで、米の見通し等々、なすべきことをなさなかった点も深く反省しておりますが、大きな農村の立ちおくれといいますか、ほかの産業に比べておくれたゆえんは、高度経済成長についていけなかったし、いけないような条件もあったが、政府の努力も欠いておった、こういうことになろうかと存じます。
  260. 稲富稜人

    稲富委員 大臣は、日本の農業の衰退とは思わないと、こうおっしゃいます。しかし、私があえて衰退という言葉を使ったゆえんのものは、農業基本法には、御承知のように、農業に従事する者と他の産業に従事する者との所得の均衡を図るということをうたってある。しかも、自立経営農家育成するということをはっきりうたってある。ところが、自立経営農家はだんだん減ってしまっている。あなたもここに述べられておるように、第二種兼業農家がだんだんふえていった。これはすなわち農業基本法にうたっている農業に従事する者と他の産業に従事する者との所得の均衡が保たれなかったということに大きな原因があるということは否定することができない。これはすなわち農民が農業に希望をなくしたということなんだ。これは農業から言うならば一つの衰退の道をたどった、あえてこう申し上げましても言い過ぎではないんじゃないかと私は思う。  それならば、衰退の道をたどっておる農業に対して今後どういう希望を持たせるか、ここに今後の日本の農政確立する大きな目安あるいは目標というものがあらなければいけない、かように私は考えます。こういう点から言って、いまもあなたが言われたように、高度経済成長政策のその結果、日本農業がそれに追いついていけなかった、こう言われました。その原因はどこにあるかというと、高度経済成長政策に便乗して提唱されたいわゆる農業の国際分業論、この農業の国際分業論に乗って日本の農政を今日までやってまいった、ここに大きな原因があるということだけは見逃がすことができない、かように私は考えるわけでございます。  これに対しまして、大臣の率直な御意見をひとつ承りたいと思うのであります。
  261. 中川一郎

    中川国務大臣 まさにそのとおりだと思います。  衰退という表現がどうかは別として、農業基本法にねらった他産業との所得のバランスをとっていく、所得を確保していくという政策や、あるいは二種兼業がふえてきたということからいけば、他産業についていけなかった結果、他産業に流れていくということで二種兼業もふえてきた、こういうことだろうと思います。  さて、そこで今後どうなるのか。実は、戦後しばらくたってから国際的選択拡大という政策になってきたことは事実でございます。ところが、オイルショック以来、国民食糧確保安全保障につながるということで、ここ数年前から自給度の向上ということに政策の転換をいたし、やはり自給度の向上ということを第一義に置かなければいかぬ、国民食糧確保する、こういうところに政策の第一の柱を置く、同時に農家経済をよくしていく、こういうことだろうと思うのです。  しかし、国民食糧確保していく上にあっては、どうしても日本で生産の足りないものは安定的に外国にこれを仰ぐ、そして全体として食糧に不安なからしめるようにしていく、こういうことだろうと思いますし、経済が安定成長に変わってまいりますから、いままでとは違ったいい面が農村に出てくるだろう、この辺をとらえて、ここでがっちり手を入れるならば、他産業に追いつき、追い越すまでいけるかどうか知らぬが、いよいよ追いつく時代に来たのではないかな、こういう感覚で厳しい農政に取り組んでおるつもりでございます。
  262. 稲富稜人

    稲富委員 その点が、私いささか考えが違うのです。  国民食糧確保するということに対しては異存がありません。しかし、国民食糧確保するということは、やはり日本の国内でできるものは日本の国内確保するという、この基本線によらなければいけないと思う。あなたのきょうの所信表明の中にも、日本にできないものは海外に求めるとおっしゃっている、これはやむを得ません。しかしながら、日本にできるものまでも海外にこれを求めようというところに間違いがある。これがいわゆる国際分業論なんです。食糧確保するということは私は異議はございません。当然やらなくちゃいけないが、この点の考え方が大臣の考え方と私の考え方とはいささか違うような感がいたします。もしも私の考え方が違っておるのならひとつお教えを願いたい。  さらに、その話が出ましたからついでに私は申し上げますが、この所信表明の中にこういうことを大臣は言われております。「開発途上地域等の食糧増産等を積整的に支援するとともに、これにより輸出余力が生じた場合にはこれをわが国への安定供給にも結びつけていくため、」こういうことを言っていらっしゃいます。それは私は、開発途上国地域食糧増産のために積極的に支援することは、これに対して異議はございません。しかしながら、これが余ったならば、余力ができたならばそれを日本に輸入していこうということなんです。これは別の言葉で言うなら、日本の農業というものを圧迫することになってくるという、これなんです。すなわち、食糧を安定するために、いかなる手でも打って、日本の農業を圧迫しながらも外国から輸入するという考え方は、私は基本的に賛成するわけにはまいりません。  これに対する大臣の率直な御答弁をお願いしたいと思うのです。
  263. 中川一郎

    中川国務大臣 私の御答弁申し上げたことが若干誤解をされたようでございますが、当初申し上げましたように、初めは国際分業論でありましたが、オイルショック以来、国民食糧確保するというのは自給率を高めていくということに重点がかかってきたということで、自給率向上による国民食糧確保を図る、これに力点を置いて、それでもなおかつ国内生産されないものは外国から安定的に入れる仕組みを考えたい、こういうことでございまして、稲富委員と全く考え方が同じでございます。  なお、開発途上国に対する援助につきましては、これは国際的協力でございまして、開発途上国において、食糧不足というのはいま深刻な問題でございます。インドを初めバングラデシュ、まあ南半球を中心にして、私もインドその他へ行ってまいりましたが、非常な飢餓状態にありますから、そういった国々の食糧増産ということについて積極的に御協力申し上げる、また将来安定的に入れなければならないものがあれば入れるということであって、国内のものを抑えて、開発途上国を援助して、食糧増産させて日本に入れてきて日本の農村を圧迫する、こういうようなことではさらさらないことを補足させていただく次第でございます。
  264. 稲富稜人

    稲富委員 日本の農業を圧迫するという意味はさらさらないとおっしゃるのならば、私も一応わかりますけれども、私はこの所信表明から見ますると、どうも日本の農業を圧迫されるような結果になるのではないかと、こういう心配をいたしますので、その点はひとつ、さらさらないならば本当にさらさらないようにしていただきたい、こういうことを希望申し上げたいと思うのでございます。  次に私は大臣にお尋ねしたいと思いますことは、この所信表明の中で「農林水産行政基本は、農林漁業者が誇りと生きがいを持って農林水産業にいそしめるようその体質強化を進め、国内生産可能なものについては極力国内で賄うよう総合的な自給力向上を図ることにあると考えており、」と、こう言われております。これに対して私は異議はございません。ただ問題は、それではこの日本の農業者がその誇りと生きがいを持つような農業、希望の持てるような農業をつくるためには、まず日本の農業をどう位置づけるかということに私は今日の問題があると思うのであります。私はこれが今日のわが国農業の一番重大な課題であると思いますが、この農業あるいは漁業者の誇りと希望を持てるような、そういうような位置づけをするためにはどういう点をひとつやろうという、こういうような具体策があるか、この点をひとつ大臣の意のあるところを承りたいと思うのであります。
  265. 中川一郎

    中川国務大臣 私が申し上げました誇りというところからまず申し上げますと、やはり農家の人方がつくったものが消費者から喜ばれて、ああよかったな、そしてまたおれはこの仕事をやって国家、国民、消費者に喜ばれるいい仕事であった、こういう誇りをまず持つような仕組みにしていかなければならない。  これについて補足いたしますならば、いや農家は余る米ばかりつくってというような、後ろ指を指されるような農業であってはならないということが誇りでございます。  生きがいとは、やはり農業をやったことによって人間らしい生活ができ、希望があるな、こういう農業にしていかなければならない。  そうするためには、やはり生産力の向上ということで、たとえば農業基盤整備をやって土地生産性の向上を図っていく、あるいは金融対策担い手対策、いろいろの政策を講じて農家が誇りを持ち、生きがいを持てるような仕組みに努力をしてまいりたい、こういうわけでございます。その中には価格対策もあればいろいろございます。そういう方向で今後とも最善を尽くしていきたいものだと思っておるわけでございます。
  266. 稲富稜人

    稲富委員 農民が誇りを持ち得るような農業、希望を持てるような農業、こういうものを持たせるためには、これは政治の方でそういうように仕向けていかなければいけないと私は思うのですよ。誇りを持てるような農民、希望を持てるような農民になれるような政治をやることが私は政治の使命である、かように考えるのです。  ところが、現在はどうであるか。この点を考えるときに、農民は誇りをかえって喪失する、希望をなくするというような状態の政治が行われてきていないか。こういうことを一番われわれは考えていかなければならないと私は思う。  本年において一番大きな農政というものは、農業の位置づけをすることと同時に、先刻からしばしば問題になっております本年度から行おうとするところのいわゆる米の需給均衡対策、これによる米の生産調整、この問題が今年度の一番大きな課題であると私は思うのでございます。ところが、この課題に対して現在の農民はどういうような考え方を持っておるかと私は思うのです。  政府としては、今日、米の生産が非常に過剰になったからやむなくこういう手を打ったんだ、そうして将来の農業を守っていくためにこういう方法をやったんだ、こうおっしゃる。その政府のおっしゃることはわかります。しかしながら、それをやろうとするならば、農民の意思を尊重しながら、農民に理解をさせながらやらなければ、農民は何も知らないうちに政府がこれを閣議の了解事項としてやる、こういうことでは、誇りを持っている農民が誇りを喪失することになってくる、希望を持っている農民が希望を喪失することになってくるという結果に政治がなってくる、非常に間違っていると私は思うのです。  私は今回のこの生産調整の問題に対しましても、繰り返し、この前も鈴木農林大臣にも言ったことでありますからここで重ねて申し上げたくないけれども、一応新大臣に承っておきたいと思うことは、今回の生産調整というものは、御承知のとおり、どこまでも行政指導だ、法律じゃない、行政指導である以上は、これの目的を達成するためには本当に理解と協力がなければできないことなんだ。理解と協力を得るためには政府はいろんな手を打って、こういう手を打ったけれどもこうならざるを得なかったんだ、これをしなければいけないと私は思う。ところが、政府はどんな手を打ってきたか。盛んに今日あなた方は、やれ米の消費拡大をやるとずいぶん言われたんです。どれほど消費拡大に尽くされたかという問題でございます。学校給食をやるんだ、一つもはかばかしく進んでいない。本当に米の消費拡大をやるために学校給食をやるとするならば、思い切って学校に対する設備を政府がやって、そうしてひとつ学校給食に踏み切らせるというような思い切った手をなぜ打たないかということなんです。  消費拡大をやると言いながら消費者米価を値上げする。消費者米価が値上がりするということは消費拡大にはつながらない。  特に私はここで申し上げなければいけないことは、今日まで酒というものは米によってつくられている。ところが、米で酒をつくるということに対してどれだけの努力をしたかということでございます。御承知のとおり、これに対しましては先日来、政府は閣議を開いて「農産物の総合的な自給力強化米需給均衡化対策について」という了解事項の中に、「清酒の製造における米の使用量の増加等を図る。」ということを言われている。いまになってこういうことを言われているんだが、こういうようなことをいままで気づかれなかったということなんです。やはりこれに対してはもっと早く気づいて、米で日本酒をつくるようなふうになぜ早くやらなかったかということなんです。酒税法の第三条には「「清酒」とは、左に掲げる酒類をいう。イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの」、これが清酒ということになっているのです。ところが、かつて米が非常に不足した時分に、これに「米、水及び清酒かす、米こうじその他政令で定める物品を原料として」、こういうことを追加されているのですよ。それがために、いまの日本酒というものは米は少なくして、アルコールを入れて、ブドウ糖を入れて酒というものができ上がっている。もしも、これが最初にうたわれているように、酒税法第三条で決められているような「米、米こうじ及び水」でつくるとするならば、米の消費量は現在、酒米に使っているものの倍以上になることは確かなんだ。それだから、この際、閣議はこういうことまで決定しているんだから、これに対しては、米が不足した時分に決められた「政令で定める」、この政令の撤廃をこの際おやりになる、こういうことも一つの方法であると私は思う。  こういうようないろいろな手を打ったけれども、さらに米は余ったんだ、それだからこういう手をやるんだということをやはり農民にもあるいは農業団体にも、あるいはそれに携わる市町村にも県にも十分納得させて、しかる後に協力と理解をさせなければいけないと私は思うのです。これをやらないで、ただ頭ごなしに閣議の了解事項として県知事にこれを流す、県知事は市町村長に流す。市町村長や県知事は困っているのですよ。農民の前に出ると突き上げられる、政府からはやれと言われる、私たちは困っております。こう言うのです。こういうようなやり方、唐突なやり方というものは、農民に誇りを持たせなくちゃいけないとあなたは言いながらも、農民の誇りを喪失させる、希望を喪失させるような結果になってくるということなんです。この点は私は十分考えなければいけないと思うのです。  そういう点から、こういう問題に対しても十分考えなくちゃいけない問題があるのではないか。私はこれについて、出直したらどうかというようなことまで言ったことがありますけれども、もう事ここに至ってはいたし方ないとするならば、やはり農民の理解し得るような、納得し得るような方策をもって進む、そうして希望と誇りを持てるような農政のあり方をやらなければいけないということを私は考えるわけでございますが、これに対して農林大臣並びに大蔵省の主税局から来ておりますならば、この際この政令を撤廃する、こういうような考えが大蔵省にないか、この点を承りたい。  さらに、酒につけ加えまして、大蔵省が来ておりますならば、今日、果実酒に対する税の負担割合というものは少ない、清酒の税の負担割合というのは非常に多い。果実酒が税の負担割合が安いとするならば、当然米ばかりでつくったこの清酒の税の負担割合も果実酒と同じような割りに持っていけないのか。そうすれば酒の価格も安くなるし、また酒の消費量もふえてくるし、おのずから米の消費もふえてくる。いまのような合成酒でありますがゆえに、酒なんか頭が痛くなるからいやだというわけでウイスキーを飲む、しょうちゅうを飲むということになってくるわけなんです。こういう点は、米の消費拡大の意味から申し上げましても、当然検討しなければいけない問題であると思いますが、これに対していかなる処置をとろうとされるのであるか、閣議の了解事項でもありますので、その点ひとつ農林大臣並びに大蔵省からの御答弁をお願いしたい、かように考えます。
  267. 中川一郎

    中川国務大臣 まさに大事な御指摘がございました。実は生産調整も、まさに農家の理解と協力がなくしてこの問題はできないわけなんです。かたがた消費の方も、これまた国民の皆さんの理解と協力がなければ、国家権力ではできないわけなんです。法律で米を食べなさいとか、法律で学校給食をやりなさいと言っても、学校給食には学校給食の従来の施設もあれば、学校給食会もあれば、児童の意向もあれば、これをにわかに学校給食はやるべし、こう言われても、やはり理解というものが日本では必要だ、そして協力がなければなかなかできない。  アルコール添加につきましても、確かに六十万トンの米に対して四十万トン相当のアルコール添加が行われておる。それじゃ、米が余りそうだから、大変だからアルコール添加をやめて全部米にしてくれないかと言っても、これは消費者もあれば、そこには一升について百数十円、全体で千億円からの、米が高いということによる負担がある。これもまた生産者が了解してくれるか。これまた法律でやれというならできますけれども、国家権力でなかなかできるものではない。やはりこれまた国民の、消費者の理解と協力があってそういうことができていく、こういうことでございますから、私はこういうことはやはり理解と協力生産者もこういうことでございますのでやりますから、消費者もひとつ理解と協力をしてください。生産者の方は、おれは一生懸命つくるから、おまえたちは理解して食いなさい、学校給食は全部やりなさい、アルコール添加をやめなさい、これじゃ私はやはり消費者の方も理解と協力はできなくなるだろうと思うのです。やはり理解と協力のもとに、お互いが、苦しいのだな、そうだな、それじゃ食べてやろう、おれらも生産調整しよう、こういうふうに両方手をつないで理解をしていただいてこの仕事ができるものであって、一方だけが先行して、おれらは生産を続けていくから、おまえらは、消費者は消費を拡大しろ、こういうものではないのではないだろうか。この間に立って、政府は、生産者にも消費者にも血のにじむような努力をしてもらって、理解をしてもらって、この難局を乗り切っていくということが民主的な時代の行政のあり方ではないか、こう思う次第でございます。  したがって、この厳しい事態に立ち至りましたのでということで、昨年の八月から農家には農家の皆さんに、そしてまた消費者には消費者にということで、例の二%小麦粉に入れてくださいというような異常なこともお願いしておる、こういうことでございますので、どうかひとつ、大変だとは思いますけれども、これが実効が上がらなかった場合には、結局は生産農家のところにまた何らかの意味において降りかかってくることでございますので、私どもは消費の拡大について国会からしかられるぐらい、異常なことを言ったと言われるぐらい声を大にして消費の拡大、そうして生産調整はそれほど過酷なものでないように、こういう努力をいたしておるところでございます。  どうかひとつ、この問題は国家権力で押しつけたりなんかしてなかなかできるものじゃない。消費の拡大についても同様であり、生産の調整もそういうことであるということで、農業団体にも、まず消費拡大をやるなら、あなた方みずからがアルコールに使いなさい、学校給食に使いなさいと言う前に、みずからがラーメンやパンを堂々と食べているような姿勢をお改めください、こういうことも理解と協力を得る一つだということで、総合的に国民的な理解と協力というものを全国的にキャンペーンをして、この難事業を乗り越えていきたいと思う次第でございます。  アルコール添加と果実酒の具体的なことについては、大蔵省から答弁させます。
  268. 水野勝

    ○水野説明員 アルコールの添加の問題につきましては、ただいま農林大臣から御答弁がございましたように、長い間消費者の嗜好がアルコールなりブドウ糖を添加した清酒になれ親しんできておりますので、現在直ちに政令を改正いたしまして、こういったものを一切添加を認めないということは果たしていかがなものかということで、直ちにこれを改正するということにつきましては、私ども問題があるのではないかと考えておるわけでございます。  それから、果実酒の点でございますが、確かに果実酒につきましては税負担水準は低い面があるわけでございまして、これは沿革的には農家の方が副業的におつくりになってこられたというような事情もあって、従来低い水準にはあることは確かでございますが、酒の主なものは、わが国におきましては清酒とビールとウイスキーでございまして、こういった主な酒相互の間で見てまいりますと、大体清酒がその中で高いということはないように私どもは考えておりますし、また最近この十年ぐらいをとってまいりますと、ビール、ウイスキーの方は余り低下はいたしてきておりませんが、清酒につきましては少しずつ税負担率がむしろ低下してきておるという事情もございまして、果実酒との関係で清酒が高くなっておるということにつきまして、私ども必ずしもそう考えることもないのではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。
  269. 稲富稜人

    稲富委員 大臣も大蔵省も私の言った意味が十分理解されていないようでございます。私は決してこれを政府が押さえつけよとは言っておりません。ただ、学校給食の場合、学校給食に米を使えということは長い間言われている。これがために消費は拡大するじゃないかと言われている。それじゃ消費者が迷惑するかと言うと、学校給食の事情は、あなたはもう下情に通じていらっしゃるからおわかりになると思うのですが、子供なんかパンをもらっても食べないで持って帰る子供が多いのですよ。パンを捨ててきて、うちへ帰ってから御飯を食べるというような、これを本当に米食にするならば、子供なんかかえって喜ぶのですよ。そういう設備を国が学校給食にすれば、従来の設備を米飯の設備にしなければいけないというところに問題があると思うから、こういう問題は積極的に政府がお取り組みになったらどうかということなんです。それは決して消費者が困る問題ではないのであって、押さえつけてやろうとかなんとかということではない、かえって喜ぶのだ、かように考えます。  それから、いま大蔵省の話によりますと、アルコール添加の酒というものはもう消費者がこれに非常に定着しておるような話でございますが、大体酒を飲む人たちも本当の米ばかりの酒の方を好いておるのですよ。近ごろのアルコール添加の酒を飲んでいると頭が痛くなる、そんな酒は飲みたくないというところで、ウイスキーを飲んだり、あるいはしょうちゅうを飲んだりしているのです。しかも、こういうようなアルコールを添加したのは以前はなかったのですよ。ところが、米が非常に不足した場合に、いま私が申し上げましたように、これは第三条に、「政令で定める物」という、これは後で追加したのじゃないですか。これは前に戻せばいいことなんですよ。政令でやれることじゃないですか。これは何も法律で決めて、酒の嗜好者に対してこれを押さえつけてやるのじゃない。酒を飲む人は米の方を好いているのです。現在のアルコールなんか、あるいはブドウ糖も入っている。しかも、アルコールも外国から安いアルコールを買ってきて入れている。こういうような、本当のいわゆる日本酒じゃない。外来の日本酒ですよ。昔から酒は百薬の長と言われた。百薬の長と言われたその酒ではないのですよ、いまの酒というものは。その百薬の長である酒に戻したらどうであるかということなんです。それをやれば、おのずからこれに対して米の消費量もふえるし、体にもいいし、あるいは酒を飲むことになってウイスキーその他を飲まないことになるではないか、消費拡大の一助になるではないか、こう言っている。酒を飲む人の嗜好がもうすでにアルコール酒に定着しているからいまさらこの法律を動かすわけにはいかない、そういうような大蔵省の考え方というものは実情を御存じない勝手な解釈であると私は思います。それでしかも、これはいま言うように、前からあった法律をどかせと言うのじゃない、後でくっつけた政令を省いたらどうか、米が足らない時分にくっつけた法律を前に戻したらどうかということを言っているのだ。これに対して私は、どうも消費者の嗜好に合わないから法律を変更するわけにはいかない、こういうような大蔵省の考え方というものは、実情に即しない、御存じない解釈からの御答弁だ、こう思いまして納得がいきません。  この点を大臣並びに大蔵省からひとつ承りたいと思います。
  270. 中川一郎

    中川国務大臣 学校給食につきましても御意見ありましたが、御指摘のとおり学生さんや父兄がパンよりはむしろ米がいいのだということが実態でございますならば、もう直ちにこれは変えたいと思います。  私どもの認識では、学童を預かる文部省がいろいろやった結果、まあ週に二回までくらいなら暫定的にふやしていけるような理解を求められるが、これを全部米にしてしまうということについてはもう少し時間をかしてほしいというのが意見のようでございますから、稲富先生御指摘のように、児童がむしろそちらが食いたいというのが実態であれば、もう遅滞なくこれはやらしていただくようにいたしたいと存じます。  なおまた、アルコール添加につきましても、やはり消費者と一番接しているのは酒屋さんでございます。国民の皆さんの間で、頭の痛くならない、アルコールの入らないものが欲しいと言うのに、政府がアルコールを入れるような政策は断じてやってはならないことでありますから、現実、少々高くてもアルコールの入らぬ方がいいというのが実態であればこれも直ちに、大蔵省が何と言おうと、私の責任においてやらしたい。この点は認識がどっちが正しいか、稲富先生の言うことが正しいならばこれはもう必ずやらしていただきます。その辺の認識については、これはまたよく勉強してみませんと、いまにわかに、その方が正しいからやると言うまで私はちょっとまだ勉強不足でございますから、さらに勉強してそのように処置をいたしたい、このように思う次第でございます。
  271. 水野勝

    ○水野説明員 確かに先生のお話のように、清酒につきましてもそういうまぜ物をしない純粋の、伝統的な清酒が少しずつ好まれてきておるということは確かでございます。こういった傾向を反映いたしまして、現実の実際の数量を見ましても、アルコール添加量と申しますか、添加割合というのは少しずつ減少はいたしてきておるわけでございます。こういった傾向を背景といたしまして、国税庁におきましても、現実の行政指導面で少しずつ米の使用量をふやし、アルコール添加量を減らしていく方向で啓蒙的な指導を続けてきておるところでございまして、そういった方向で今後現実的に対処していくことが適当ではないかと私ども考えておるわけでございます。
  272. 稲富稜人

    稲富委員 いま大蔵省は行政指導でやっていくとおっしゃるが、私の言っているのは、これは米が足らない時分にそういう政令をおつくりになったのだから、それを前に戻して政令を撤廃されたらいいのじゃないか、そうするといわゆる酒税法で規定されておる本当に米ばかりの清酒というのができるのじゃないか、こういうことを私は申し上げているのです。  私があえてこの問題を取り上げたゆえんのものは、要するにこういうようなことをやって、しかもいま言ったようになるたけ酒の値段も安くする、これがためには課税の割合というものも少なくする、こういうことをあえて私が言いますのは、こういう点まで政府はやったのだ、あるいは学校給食もこういう犠牲を払いながら米の消費拡大に努力したのだ、酒の面においてもこういうような努力をしたのだ、しかしなお米は過剰になったのだからやむを得なくこういう手を打たざるを得なくなったのだということになると、農民の中においてもこれは何とか納得しなくてはいけないだろうということになる。  こういう努力すべき点があるにもかかわらず、十分なる努力をしないうちに、ただ唐突として今回の生産調整というものが頭から来て、閣議の了解事項として知事に、知事から市町村に入る、そして農民末端にこれが流される、こうなってくるから農民はだんだん誇りと希望をなくして、農民をばかにしておるじゃないか、こういう問題が起こってくるということなんです。この点が、せっかく大臣が誇りを持つような農民をつくらなければいけない、希望を持つような農民をつくらなければいけない、こういうことを言いながらも、事実は逆な結果になってくるじゃないか、こういう点を私は申し上げておるわけなんでございます。  それで、政府もこういう点は十分手を打った、しかしながらこうやらざるを得なかったのだ、こうなることによって初めて関係団体、農民等が理解と協力の上に立って政府の施策に応ずる、こういう結果を生み出すものだ、かようにわれわれは考えるがゆえにこのことを申し上げておるわけでございますので、ひとつ農林大臣も十分この点を頭に入れて、農民が理解をするために、協力をするためにその点を尽くすということを考えていただきたいということを特に申し上げたい、私はかように考えるわけでございます。  さらに、もう時間がありませんのではしょりますが、今回、水田利用の転作の問題が当然起こってきたと思うのでございます。私たちはこれを出直せと言っておるけれども、一歩譲ってこれはいよいよ実施される、こういうことになりますと、ここで考えなければいけないことは、やはり政府が強力なる指導力によって、どこにはどういうようなものを転作するのだ——五里霧中で各地方地方で困っているのですよ。どこにはどういうものをやるのだという計画的な生産をやらなかったならば、これはまた生産過剰になりまして、野菜のごときはまた踏みつぶさなければいけないという問題が起こってくる。それだから、これが転作に対しては計画的な転作をやる、と同時に、価格問題については、農林大臣のきょうのこの所信表明の中にも価格対策は当然やっていくのだ、こういうことが十分うたわれておりますが、この価格対策に対してはどういう方法でやろうと考えていらっしゃいますか、この価格政策に対しての具体的な問題を承りたい。転作に対する計画生産、それと同時に、ひとつ価格対策に対してはどういう考えを持っていらっしゃるか、この点を承りたいと思います。
  273. 中川一郎

    中川国務大臣 転作されるべき作目については、なかなかむずかしいところがあるわけであります。というのは、その地域、その地域によって違いますし、町村によって違いますし、たんぼによって土地条件等が違いますので、重点的につくっていただきたいという作目は、自給力の少ない麦、大豆、ビート、飼料作物、これはもうできるだけつくってください、こういうことにしておるわけでございます。  それから一つ問題があるのは、転作をすることによって、私どもは転作洪水と言っているのですが、そこで生産をされるためにはたの者がまいってしまうという作目があるわけでございます。たとえば、これ以上コンニャクをつくられたのでは、コンニャクの既存の農家がまいってしまう、こういうものは転作はしていけませんというので、幾つかの転作してはならない作物を示してございます。  ここで一番競合して困るのは野菜でございます。この点は、洪水を起こして既存の野菜農家価格暴落によってまいるというような点もありますので、これは普及員等にお願いをしてそういうことにならないような計画的な生産をしてもらう、こういう仕組みをつくっておるわけでございます。  なお、順序が逆になりましたが、幸いにしていま、重点的にお願いしております麦、大豆、ビートについてはしっかりした価格政策がありますから、幾らたくさんつくってもはた迷惑にはならないという仕組み、それから牧草については畜産価格安定法によって、牛肉と豚について価格でもって、これまた、直接飼料作物には価格対策はありませんけれども、結果として生まれてくる肉についての価格対策を講じていますから、これらについては思い切りたくさんつくっていただきたい。  これもまた申し上げておきますと、特に大豆、ビート、麦については価格政策として、米がこういう事情でございますので、たくさんつくってもらいたいというので、反五万も六万も差し上げる状況でございますので、昨年奨励金を価格に取り込んで、相当のげたをはかせて、水田でつくる方々とのバランスをとる仕組みもやっておりますから、相当の財政負担を伴いますけれども、あえて昨年やっていった、こういうことでございます。  末端にまいりますと、何をつくっていいかということで非常に御不安のようでございますが、県当局やあるいは改良普及員等と相談をして御協力をいただければ、しかるべき作目があるだろう、こう思う次第でございます。
  274. 稲富稜人

    稲富委員 この価格問題に対しては、やはり適地適作、その地方の風土、土壌、そういうもの等を十分考えた上で、国が指導力を持ってその地方に適する物をつくらせなければ、あるいはビニールハウス等をつくってイチゴができると、今度はイチゴやトマトがはんらんした、こういうような問題が生じないとも限らない。こういう点は、よほど慎重に指導力を発揮しながらやらなければいけない。  それから、大豆その他の価格差に対する問題に対しても、補助金をやって一緒にするのだとおっしゃいますが、それが非常に安かった場合、そういう点も考えられますので、やはり本来から言うならば、米をつくるに対するような価格差補給金というようなものの制度を組むということが一番確実なことになると思うのでございますが、この価格差補給金制度というものをどういうふうにお考えになっておるかということをまず承りたい、かように考えます。
  275. 中川一郎

    中川国務大臣 この価格差補給金というものがまさに転作奨励金の補助金、これが反四万から七万というように、戦略物資、やり方等について差はつけてございますが、二千億が価格差補給金と考えまして、水田からほかにつくっても、実際の所得はそう変わらないだろう。物によっては若干差はありましょうけれども、最大公約数としてまあまあこの辺ならばということで対処しておるところでございます。
  276. 稲富稜人

    稲富委員 だんだん時間も詰まってきましたので先に飛んでまいりますが、大臣は所信表明の中におきまして、「米価につきましては、食糧管理制度の適正、円滑な運営に資することを旨とし、」それから「引き続き売買逆ざやの段階的解消等適切な価格決定を行ってまいりたいと考えております。」こう述べておられます。現在の食糧管理制度から申し上げまして、生産価格というものと消費者価格というものは別個に決められる。生産価格生産費を補償するということであるし、消費者価格というものは消費者の家計を安定せしめるという二つの立場から決められている。ところが、余りにもこれが逆ざや解消に重きをなして考えますと、生産費を補償し得るような生産価格は十分望めないということになってくる。一方においては、消費者の家計を安定せしめるということを旨とする消費者価格というものも今度は上げなければいけないということになってくる。こうなりますと、一方の生産者は農業というものに対する希望をなくし、消費者は米が高くなったということで米の消費量が少なくなる、こういうような結果をもたらすのでございます。  それで、この逆ざや解消ということに対しては、これは言葉では言い得ることだけれども、実際の実行に当たっては、余りにこれに対して忠実に考えるがゆえに、日本の農民に希望を失墜させるようなことがあってはならない。やはり食管法の趣旨というものはどこまでも堅持しながら進めるべき問題である、かように私は考えます。  先刻から話を聞いておりますと、ただこれは米価審議会があるから、こうおっしゃいます。米価審議会だけにこれを求めるのではなしに、諮問するときに政府の方針というものは決めなければいけないから、食管法の、生産者の価格というものは生産費を補償するということ、もちろん経済事情を参酌しながらも、次期生産確保するということがその主体であるということだけは忘れないで価格決定には臨むべきである。ただ逆ざや解消を余りに頭に置いて、その根本の農業の趣旨を怠るようなことがあってはできないと思いますがゆえに、これに対する大臣の考え方を承りたいと思うのでございます。
  277. 中川一郎

    中川国務大臣 米価につきましては、所得補償方式という算定方式がございますから、このルールに従って、今後物価の動向、労賃あるいは生産調整の実態等々を見きわめまして、適正なところで決定をしたい、こう思っております。  ただ、前回やりましたときには、五年間の臨時ではありましたが、生産調整をやっているときには据え置く。なぜあの当時そうしたかというと、過剰傾向にあるというのは生産意欲が強過ぎるからだ、生産費が償われているから他の農産物に比べて意欲が強いのであるというところから、ああいう異常、異例な措置を講じましたが、そういうことは今度は食管法のたてまえから言っても、あるいは農家に異常な刺激を与えてはならぬということで、生産調整をやっている間は十年間据え置く、こういうことはとらない、しかるべきところで決定をしたい、こう思うわけでございます。  なお、逆ざやでございますが、逆ざやは食管の仕組みとしておかしいのです。生産者米価は生産費所得補償方式、消費者米価は家計をしんしゃくして別個に決まるものではございますけれども、逆ざやというもの、これはいかがかなと思うのでございます。一遍にこれを廃止するのは別でございますが、生産者米価にかかります流通経費、すなわち金利、倉敷き、運賃等、これなどは政府が持つことはまあいいとしても、卸に卸す米と国に持ってきて売ります値段とが逆であるというようなことは、これはいかがかな、こう思うのであります。また、農政は前向きでしっかりしたところをやらなければいかぬというところからいくならば、毎年毎年経常的に——臨時的に二年や三年あることはいいのでありますが、これが十年も十五年も続く仕組みというのはいかがかな、こう思いますので、この辺は御議論のあるところではありますが、ひとつこの上とも御論議の上、御理解いただければな、こう思う次第でございます。
  278. 稲富稜人

    稲富委員 余り理解もできませんけれども、繰り返しておると時間がありませんから、最後になります。  基盤整備事業等に対しても熱意を持っておるというふうに所信表明で承りました。ただ、ここで私申し上げたいと思いますことは、現在やられている基盤整備事業というものが、初め農民が取り組むときには五カ年間だ、あるいは七カ年間だ、こういうことで農民は取り組んでいる。ところが、予算がつかないがために、実際これが完成されるのは二十年もかかるというような状態なんです。これは農民が農業に対する希望を非常に失墜するし、政府の農政に対する不信につながる問題なんです。こういうような問題は、やはり農民の期待するように、基盤整備等は約束どおり早くこれは実行してもらう。幸いに中川農林大臣はそういうことに対しては思い切ってやられると思いますので、ただ前をつくろうだけではなくて、こういう問題には積極的に取り組んで、いささかなりとも基盤整備がおくれたがために農民が希望を失墜することのないような方法で処してもらいたい。  最後に、本日の所信表明の中にも、後継者育成問題に対して非常に頭が使われていることは当然でございます。われわれも、今後わが国農業後継者をいかにするかということに対しては非常に憂慮いたしております。それがためには、あるいは研修農場をつくるとかいろいろな方法を考えておられるようでありますが、要は研修農場をつくるとか学校をつくるとか、そういうことよりも、農業そのものが農業経営者に希望を与える、こういうような農業さえ確立するならば、あえて農村の青年は研修所に行かないでも、おのずから農村に残るということになる。農業が引き合わない、ほかの産業に比べて農業が余りにもみじめだ、それだから農村青年が農村にとどまらないで農村を出ていくという結果を生んでくる。それで、私は、後継者育成するということは、いかなることをやるよりも健全なる農村をつくることである、健全なる農村とは、農民が希望を持てる農業確立してやることである、それさえやればおのずから農村の後継者は残るものである、こういう原点に立ってこの問題に対処すべきである、かように考えるわけでございます。  どうかこれに対する大臣の決意のほどを承りたい、かように考えます。
  279. 中川一郎

    中川国務大臣 確かに農業基盤は、私どもも選挙区を回りまして、この農道をやるのにいまの予算では二十年かかるぞ、一体何をやっているのだという声で、私どもも本当に答弁に窮するくらい農業基盤の進度率が遅かった。これは私も本当に頭を痛くして前々から取り組んでおったところでございます。これは昭和四十八、九年ごろ、前年据え置きという時代が三年ばかりあったわけです。しかも、その間に新規はどんどん取る。その結果、栄養の少ない子供がたくさんできたようなことで、にっちもさっちもならぬ。農政不信が起きるくらい不信感があったことをよく承知しておりますので、これではいかぬというので、できれば新規は極力抑えて、まず完成品をつくる、そのことが長期的に見れば農家の皆さんに役立つことだから、まだ十分完成しないものを次々とつくっていくことはいかぬということで、そういう方向で新規を抑制すると同時に、着工したものは早く完了する。特にあと一、二年やればでき上がるというものには重点的にこれを配分して工期を短縮する、これは最善の努力を尽くしてまいりたいと存じます。  それから、担い手ないしは後継者対策でございますが、まさに御指摘のように、単なる研修会をやるとか、少々資金手当をするということもいいことではありますけれども、むしろ根っこの、農業が生きがいのあることである、こういうふうにもっていくことが若い人の魅力を持つことでございますので、根っこはそこにあるということを拳々服膺して対処してまいりたいと思う次第でございます。  なお、先ほどの答弁の中で誤解がありますといけませんのは、酒のアルコール添加等でございますが、これも政令で入れなければならぬというわけじゃなくて、これ以上入れてはならないという頭打ちを決めてあるものでございます。したがって、これを取っ払う、取っ払わないでなくても、入れてはならないという政令が出せるかどうかわかりません。しかし、先ほど御指摘があったように、消費者の方が、いや、これはアルコールなんて入れてもらっては困る、そして百二十円や三十円高くたって本当の米だけの酒を飲みたい、消費者の動向がそういうことであれば、先ほど答弁申し上げたとおり、そんなものは取っ払ってしまう、こういう意味でございますので、補足して御答弁申し上げる次第でございます。
  280. 稲富稜人

    稲富委員 水産についても農林大臣に質問したいと思いましたが、時間がありませんので、私はこれで終わります。
  281. 中尾栄一

  282. 津川武一

    津川委員 二つの点を農林大臣に尋ねてみたいと思っております。  一つは、円高を一つの原因といたしまして、アメリカの農産物輸入が日本に強く迫られ、日米共同声明などが発表されておりますので、そのことから日本の農業を守ること、そのことの経過、将来のことなど、これが一つ。  もう一つは、これも円高に関係しますが、円高を生んで、日本の工業製品の集中豪雨的な輸出がアメリカに対して行われている原因の一つとして、出かせぎ者を低賃金で、低福祉で使っておりますので、問題の根本解決には出かせぎ者の福祉を進めていかなければならぬ、こういう大きな二点からやってみたいと思います。  最初の問題ですが、きょう農林大臣の所信表明を聞きました。この中で問題の貿易の問題が出ていますが、「農産物貿易問題につきましては、最近の国際収支大幅黒字等を背景に、米国等の諸外国からわが国に対し輸入拡大の要請が一段と強くなっております。本問題につきましては、わが国経済の置かれた非常な事態にもかんがみ、農林水産業関係においてもできる範囲の協力は必要であると考えていますが、水田利用再編対策等総合食糧政策農家経営の安定に支障を与えないことを基本として対処していく方針であります。」と述べております。農家経営の安定に支障を与えないことを基本にしていく、これはそれなりに私も正しいと思います。  そこで、今回の日米交渉で日本が約束したことのために日本の農業がどんな影響を受けるのか、これをまず明らかにしていただきます。
  283. 中川一郎

    中川国務大臣 まず、牛肉でございますが、牛肉についてアメリカとの調整を行ったのは、ホテル枠について三千トン、従来は千トンでございます。さらに、高級牛肉について、三千トンを含めて二万トンをめどにして需要開発に努力をする、こういうことでございます。  これを御説明申し上げますと、日本の畜産農家にどういう影響があるかということでございますが、この分を新たに、いまあります肉あるいは輸入を予定しております肉にプラスをして輸入するのではなくして、国内で必要な肉の範囲内で、その範囲内でもし高級牛肉について、ホテルはもう三千トンの予定がございますからこれはいいのですが、国内に消費があればひとつ買ってあげましょうということでございますので、肉全体について枠をふやしたのではない。  ただ、たまたまこれと同じ時期に、いま約束したのは五十三年度以降でございますが、五十二年度下期においてすでに五千トンほど肉が足りないという実態がありますから、これはグローバルでふやしておる。それから、五十三年度の上期も五千トンほど足りないからふやしておりますが、それと直結するものではない。そういうことで、日本に必要な肉の範囲内において買えるものがあったら買いましょう、これはあくまでもグローバルでございまして、アメリカだけに約束したものではなくて、そういう努力をした結果、もしあれば、ニュージー、豪州などでも価格競争で勝てればそっちへ行くというので、特にアメリカと約束したわけではない、全般的な姿勢としてやっても農家には支障は与えないという見通しのもとにやったわけでございます。  それから、オレンジにつきましては、季節自由化をやってもらいたい、オレンジの競合作目であるミカンは三月でなくなるはずだから、四月から、ミカンの出回る九月の前の八月までぐらいなら季節自由化しても柑橘農家に支障を与えないのではないか、こういう要請でございます。  それに対して、確かに理論的にはそうだが、実態上は貯蔵というものもかなり進歩しておるし、特にミカンは三月で大体なくなりますが、柑橘類が四月、五月に出る。ミカンの兄弟であり、ミカンから転作したタンカン、ナツカン等に影響を与えることも困るということで、季節自由化も困るし、三月、四月の輸入も困る。ただし、六月、七月、八月は、これはもう柑橘はもとよりですが、日本全体で果物の非常に端境期でございます。この三カ月間に二万二千五百トン、通年で入れる約束をしておりました二万二千五百トンと同じぐらいのものをこの間に、しかも貯蔵をしないで正規の市場にのせる、こういうことを条件にして入れるならば柑橘農家あるいは果樹農家に悪影響を与えないであろう、こういうことで対処したわけでございます。  それから、果汁につきましては、ブレンド用を条件とすることで千トンを三千トンにした。ミカンジュースにオレンジジュースをまぜますと非常に味がよくなるのでというので、果汁業者からぜひともこのブレンド用として枠をふやしてもらいたい、このことが生産過剰の果汁、ミカンジュースの消費拡大にもなるからという強い要請もありましたので、これを千トンを三千トンとする。同時に、これと並んでグレープフルーツジュースを千トン新たに入れることにしたということで、約五万トンからあります日本のミカンジュースに悪影響を与えない、こういうことで対処したものでありまして、私は今度の調整は日本の農家の経営に悪影響を与えるものではない、こう信じて対処いたしましたが、それでもなおかつ被害が出るようなことがあれば、これは国内対策として対処していく。そういうことにもまた強くなれるような政策も今日までもやってまいりましたが、今年度予算でもいろいろやりましたが、今後とも、もし万一あった場合にはということで対処して、畜産農家、果樹農家を守っていきたい、こういう範囲内で調整をいたしたわけであり、今後もいろんな国からの要請がありましても、こういった基本を離れてはならないということで対処してまいる予定でございます。
  284. 津川武一

    津川委員 白米の共同声明によるアメリカからの農産物の日本への輸出の押しつけでどんな影響を受けるかという農林大臣の考え方、よく伺いまして、私なりに中川農林大臣の気持ち、考え方の理解はできました。  そこで、共同声明ができたのは一月十三日。その共同声明ができたことで、一月十八日の日本農業新聞によりますと、農林大臣は次のように語っております。「手ごわい相手だったが、お互いに傷のつかない形で円満に解決がついた。総合食糧政策の推進に支障はなく、農家の出血はない。」このように言い切っております。「譲歩に譲歩を重ねたといわれるのは心外である」、こう語ったと新聞は書いておりますが、いまの説明もこの記者会見のときの説明も、大体気持ちとしては同じものですか、答えていただきます。
  285. 中川一郎

    中川国務大臣 全く同じでございます。
  286. 津川武一

    津川委員 どうもそういうことになりますと、私もやはり問題にしなければならないと思います。  ホテル用の高級牛肉、いままで一千トン、ところがもっと食べておった。それは日本の牛肉で入っているわけです。今度それがいかなくなれば、これで影響のないはずがない。ここいらの認識を農林大臣はもう一回認識し直さなければならないんじゃないかなという気もします。これが一つ。  オレンジ、いままで一万五千トン、これからは四万五千トン。この輸入は晩柑類、それからハウスミカンを直撃してくるんじゃないでしょうか。特にいま農林大臣も六月−八月というものを特別の季節枠に数えたから、夏の果物はその時期がちょうどあいておるので差し支えないみたいなことを言っておりますが、夏の果物の主人公であるメロン、スイカなどがどんな影響を受けるのか、この点も検討していただかなければなりません。特に晩柑やハウスミカンは、温州ミカンの過剰暴落から何とか逃げ出そう、抜け出そうとして農民が必死になり、国が積極的に振興策をとってきたものでございます。そして、六月−八月は特別にないからそこのところに二万二千五百トンを入れてもちっとも差し支えないと言っていますが、ここに「果実情報」という日本園芸農業協同組合連合会がことしの一月に発表した書類がございます。これで、ハウスミカンですが、五十二年の四月には価格としてキログラム百五円、五月には二百二十七円。ハウスなので費用がかかる。そこで収支をとるために六月が千七百七十一円、そして七月が九百六十五円。ちょうどこの時期に彼らは採算とるわけです。ここへいま二万二千五百トン入ってくる。  農林大臣、この影響がないとおっしゃいますかな。牛肉の問題、オレンジの問題、重ねてお答えいただきます。いまの農林大臣の返答では農民が怒りますよ。もう一度答えていただきましょう。
  287. 杉山克己

    ○杉山政府委員 牛肉のホテル枠の件について、私からお答えさせていただきます。  ホテルの肉の需要は、全体としては四千トン程度、あるいは若干それを上回るかと思われるような水準にあるわけでございます。いままでアメリカからの肉が比較的輸入物では高級物だということで、一千トン、ほとんどをアメリカが占めておったわけでございます。これを三千トンにふやすということになりますと、ホテルの需要する肉の中でどういう関係になるか。ホテルの使います肉の中でも本当に高級なものは和牛の肉が使われております。これに対する嗜好というものはきわめて根強い。アメリカの肉が入りましても、和牛の肉はまた格段と上等であるということから、これに対する根強い嗜好はそれほど影響を受けることはないんではないかというふうに考えております。  それから、従来のホテルの需要全体四千トンの中で、これはホテル枠とは別の一般の輸入肉もかなり入っておったわけでございますが、ここいらに若干の影響、輸入される牛肉の中での競争関係が出てまいるかと思います。それから、ホテルの需要全体の中でも、従来はステーキ向けあるいは焼肉といったような需要が多かったわけでございますが、だんだんシチューとかカレーとか、そういった調理、加工された肉の需要も今後ふえる見込みがございます。  それらのことを考えて、お互いホテル枠も含めて高級輸入肉、アメリカからの高級肉一万トンの増加を努力しようということを言っているわけでございます。また、アメリカが努力する場合に、それに日本も協力するということを言っているわけでございまして、そういう過程を踏みましてホテル需要の中で三千トンの枠はこなせるのではないか、そして国産の肉にも悪影響を及ぼさずに済むのではないかというふうに考えております。
  288. 野崎博之

    ○野崎政府委員 ただいまお話がありましたこの時期、ブドウ、桃あるいはメロン、スイカ等が出回るわけでございますが、ブドウ、桃あるいは果実的野菜については、その消費態様が非常に多様でございますので、さほど影響がないであろう。  それから、ハウスミカンも、これは量的に非常に少ないものでございまして、特殊な贈答用に用いられる、そういうような特殊な観点から、これにも余り影響するところはなかろう、そういうふうに考えておるわけでございます。
  289. 津川武一

    津川委員 農林省の答弁は聞きました。  ホテル枠の三千トンがアメリカからふえてきて、日本人のつくった肉牛の三千トン、ほとんど影響ないという暴言に近い状態のことを吐いているのです。これは私は聞き捨てておくわけにはいかない。肉牛の生産農民に伝えて、私は農林省に抗議しなければならない。  それから、六月−八月の季節枠のオレンジ、これはそのときにはほかの冷たい果物だから影響ないと言っているが、問題はハウスミカン、ハウス柑橘。ハウスで柑橘類をやったのは、国も補助を出してそれを進めている。ふえつつある。そこへいきなり二万二千五百トンの季節枠のものが入ってくる。これを何でもないと言うに至っては、私はいただけませんし、見当違いもはなはだしいものじゃないかと思います。  ジュースのことに対して、ブレンドするから、ブレンドすればうまくなるから、ブレンドは国民が求めているのだから影響ないなどと言っています。多分そんな答えになるんだろうと思って、私たちは静岡県の柑橘連合組合に行ってよくブレンドの実情を聞いて、その専務たちから専門的な意見を聞いてまいりました。そうすると、アンケートでは、いままでのままでいいという人が多い。ブレンドはうまくなるという人といままでの方がいいという人と半々なんだ。これを簡単に、ブレンドするからいいというのは、大臣の所信表明にありましたように、何か向こうの言うことを聞いてあげなければならぬ、農林水産業関係においてもできる範囲の協力は必要だということ、そのことを国民に何か押しつけるためのへ理屈をこねている、こうとしか思われないのでございます。この点、さらに答えていただきます。  今度は、ジュース。ミカンで言うと七万トンから出ています。需要は多く見積もっても五万五、六千トン。だから、ことしの一月に一万五千トンの生産調整、調整保管が決められたでしょう。あなたたちもこれに参加したでしょう。この上に四千トンの輸入が追加してくる。いま消費が拡大しないで余ってどうにもならなくて一万五千トンを調整保管するのに四千トン加わるのです。どうなりますか。四十七年から五十年のあのミカンの過剰時代に調整保管として皆さんがやらしたのが五千トン。その五千トンやってだめなので、とうとう上げて上げて今度一万五千トン。これは耐えられる調整保管の限度。これに対してさらに四千トンの輸入の上積み、これで農林大臣はブレンドするからいいなどと言っている。心外で仕方ないのです。  青森県のリンゴ、ことしは価格が安くて売れないで余って、それで関係者がみんな集まって百万箱市場から隔離しよう。十五万箱は県内消費、二十五万箱は外国への輸出、六十万箱はジュースにしようとした。さあそのリンゴジュースが精いっぱいなんだ。三百四十万箱ばかりつぶして、この上に六十万箱つぶすというなら大変な事件で、いま県内はこれでてんやわんや。そこへジュース。これで大臣、考えてみましょうや、影響ないという。本当に考えていただいてこの対策を講じなければならないことになっているのですが、こういう点でオレンジのこと、ジュースのこと、もう一度も二度でも答えていただかなければならぬ。  時間が余りないので、問題を集めて質問します。  今度一万五千トンも調整保管しなければならないミカンのジュース。ミカンが過剰なために加工用の原料価格がキロ三十五円に、その前後に低落して、その安い材料を使ってでも五百五十円ないと採算がとれないのです。ここへ今度ジュースが入ってくると、今度はこれを買って販売してくれている、遺憾ながらボトラーサイドなんです。このボトラーサイドはここがいいチャンスだと五百円、ここいらに買いたたく。もっと安く買いたたかれる心配が現実に出てきているのです。大臣。このことをもう少し考えて、影響がない——何と言ったかな、大臣の言葉、記者会見で言ったのは「農家の出血はない」「総合食糧政策の推進に支障はない」。それで大臣、怒っているのは農業団体、膨大な水田転作に苦労している生産農民、重ねて打撃を与え、農業の前途を危うくしている暴挙であるとまで言っている、聞いているか聞いてないかわからぬけれども。  こういう影響があるということをお認めになりますか。なられて対策強化する必要があるかと思いますが、いかがでございます。
  290. 中川一郎

    中川国務大臣 まず、順序が逆になるかと思いますが、オレンジについて、静岡の業者がいままででいい、こう言っておったそうですか、それであれば入ってこないのです。ブレンド用でジュース業者が必要ならば入るのには三千トンまで買ってよろしゅうございますということでございますから、消費拡大になるとジュース業者が考えれば、ブレンド用で必要があればやるということであって、必要がないものを買えと言っておりませんから、その人の嘆きが私には全く聞こえないのです。買えと命令したことはありませんから、必要でないというなら買わないでいい仕組みなんであって、必要なときに買えということでありますから、その人が嘆かれることには私は納得できない。  それから、オレンジについてでございますが、確かにハウスミカンと競合することは間違いないかもしれませんが、量を考えてみてください。一万トン少々のハウスミカンができて、この広い日本の一億国民の中に三カ月間で二万二千五百トンのオレンジが入ってきたからといって、これが競合するだろうか。月間百万トンから食べるだけの胃袋を持っておる日本の、月間ですよ、その時期はまずまず五分の一とか六分の一に少なくなっているのですから、ハウス業者のことも考えなければいけない、配慮しなければなりませんが、消費者だってその間はミカン食わしてもらいたい、果物食わしてもらいたいというのが国民の声でしょう。政治というものは生産者のことも十分考えなければならないし、消費者のことも十分考えていかなければならぬという接点としては、まさに影響を与えない範囲で、しかも国民の願望にもこたえた、そのことが結果としてアメリカの了承を得ることになった、こう考えていただければいいと思う。  それから、農業団体の人とも私はテレビで国民の前で言ったのです。騒ぎ過ぎるからその被害の方が大きいんだ。特に肉なんかも大変だ大変だと言うものですから、芝浦の値段は下がっておらぬのに、買い付けようとする人は、いや、中川大臣がこう言った、生産団体もこう言っているから肉は将来下がるぞ下がるぞ、安く売れ、安く売れといって買いたたかれる害の方が大きいんじゃないでしょうか、こう申し上げているのです。  どうかその辺のところをじっくり勉強して、大したことがないのに騒いでひっくり返ってしまう北海道の馬がいるのです。クマが出た、クマが出たと、出もしないのに出たようなことを言ってひっくり返る。その被害の方が大きい。こういうことも御認識をいただきたい。私は農民を一番愛していますから、農村が悪くなるようなことはやっておらない。むしろはたの人が、さあ大変だ大変だといってお世辞がましく言って、結局はその人に迷惑を与える。これは農業団体にも、国民の前で明らかに申したところでございます。
  291. 津川武一

    津川委員 その農林大臣の答弁はまさしく私、農業団体にも国民にも伝えておきます。国民がどんな反応をするか、後でまたこの場所でやり合うことがあるとして、非常に日本の農業を犠牲にして構わないという大臣の発言に強く抗議して進めていきます。  今度あなたの立場から、自民党がどんなことをしているかというと、こういうことになったわけです。自民党の動き、自民党の畜産振興議連、果樹振興議連の合同会議において、関税の引き上げ、これは生体牛、オレンジの季節関税の撤廃、コーラ物品税引き上げ、これを決議し、議員立法で通す、そのための署名運動を起こそうということを決めております。  こういう動きに対してあなたは何と言っているかというと、慎重に検討したい、うまくいけばよいが、こういうことです。農林省としてはありがたいことであると。もし、あなたの言うとおり影響がないものであったならば、農協が空騒ぎしているのであるならば、おたくの自民党からこんな意見出ませんよ。自民党の中が困るからこの意見が出ているんです。  これをどう認識されるか、この自民党の動きに対してあなたはどう処置されるか、伺います。
  292. 中川一郎

    中川国務大臣 共産党の方はすりかえるので困るのでございますが、私が何も農民を敵にして構わない、それでいいでしょうと決めつけてもらっては困るのです。私は農民を愛するから……(津川委員「私はそうとったんですよ」と呼ぶ)そうとることがすりかえと言うんです。それが困るんです。私は農民を愛して、農民に支障を与えない範囲内で調整をした、そのことが、騒ぐことよりはむしろ農家のためになる、こう言ったのであって、それを敵視して構わないとは言っておりませんので、これははっきりお断り申し上げておきます。  それから、自民党の中に確かに関税の引き上げその他の声がある。これはなぜ出てきたかというと、アメリカでも工業団体が輸入規制をやろう、こういう動きがあるならば、わが方にだってありますよということをこの際示しておかなければならない、こういうふうに私は受け取っておりますから、アメリカに対する姿勢としては好ましいことである。しかし、これが実現できるかどうかは、なかなかむずかしいな。アメリカでも保護政策をとっちゃ困る、保護貿易は困るということでございますから、実現はなかなか不可能だな。しかし、アメリカの言っている保護貿易に対抗するのには、まあまあ使いようによってはいいことではないかなといったことであって、まるっきりすり違えて、誤解をするように、誤解をするように御宣伝なさらないようにお願いを申し上げます。
  293. 津川武一

    津川委員 すりかえかすりかえでないかの議論はいろいろありますが、影響を受けること、自民党さんも身にしみて感じて、そういう処置をとったら農林省としてもありがたいなと言ったところに、この問題は困ったな、影響があるんだということを農林省も中川農林大臣も感じておったということを私は——あなた、すりかえたと言ってもいいですよ。私はそう思っているし、これをまた国民の皆さんに伝えたいと思います。  そこで次、問題をもう一つ進めます。  今度の一月十三日にできた日米共同声明、その中の一つに「二十億ドルの輸入にかかわる関税の前倒し引下げの四月一日実施。」もう一つは「高級牛肉については、一九七八年度以降にホテル枠及び一般枠の中でグローバルベース一万トンの輸入増がなされるよう、相互に需要開発の努力を払う。」それから四つ目「オレンジの輸入を三倍の四万五千トンに拡大する。」五つ目「かんきつ類の果汁の輸入枠を四倍の四千トンに拡大する。」こう書かれてあります。  この関税の前倒し引き下げの期日は四月一日、一九七八年。高級牛肉については一九七八年度以降に、時期が明示されている。オレンジの輸入は三倍の四万五千トン、柑橘類の果汁の輸入、四倍の四千トン、これはいつからおやりになるのです。いつまでおやりになるのです。なぜ時期を明示しない共同声明になったのでございます。このことに答えていただきたい。  と同時に、共同声明をまとめた経過、共同声明の内容を明らかにしていただきたい。  この二点、まず答えていただきます。
  294. 中川一郎

    中川国務大臣 牛肉につきましては五十三年度以降ということでございますから、そのとおりでございます。  それから、ジュースとオレンジについては、本年度にも調整すべきものが若干あるわけでございます。これは前のときに提示したことであって、それを含んでおりますからでございますので、年次と数量については事務当局から報告させます。
  295. 津川武一

    津川委員 時間がなくなったから、外務省から答えてもらおう。
  296. 福田博

    ○福田説明員 第一の御質問の、共同声明に時期があるのかどうかという御質問でございますが、共同声明というのは、いろいろな協議あるいは会談が行われますと、その最後に、その会談の内容について外部に発表するためにつくられる文書でございますので、通常その文書そのものの終了時期とか、そういうようなことを決めるものではございません。つまり、おのおのの内容は、それぞれその内容そのものによって決まると思いますが、文書そのものに終末時期とかいうものはございません。  第二に、どういうふうに作成されたか、経緯でございますが、これはストラウス代表が来日いたしまして会談を行ったのが十二、十三日でございましたが、その数日前から先方の事務レベルの一行が参っておりましたので、その事務レベルの一行が参りました時点から、われわれ関係者の間で非公式に作業を進めておりまして、ただ実際には最終的にと申しますか、その全体の姿が非常にはっきりしてきたのは、ストラウス氏の会談が第一日目終わった夜から二日目の大体昼ごろまでで、その記者会見の始まる二時間ぐらい前、大体正午過ぎぐらいに内容がほぼ固まったと記憶しております。
  297. 津川武一

    津川委員 そこで、オレンジの時期が書かれてない、柑橘類の果汁の時期が書かれてない、これが共同声明。  共同声明の中に五十二年度の下半期の輸入というものがどう扱われておるか、ここの点が問題なんです。牛場大使が十二月に割り当て枠の拡大として五十二年度に持っていったんです。ホテル牛肉、本年度において倍増する。オレンジ、明年度から内需枠を五割増しする。果汁、本年度においてオレンジ果汁枠をグレープフルーツ込みで一千トン増加する。これを持っていかれたら、こてんぱんに向こうから断られて成立しなかったんです。このことが、外務省が相手に交付した、私に言わせれば秘密メモ、秘密メモと言うと、外務省はいやがるらしい。向こうに共同声明を説明する文書だと言っている。まあそれでもよろしい。それを見ると、こうなっている。「エクスパンションオブ インポート クォータス」「ザ フォローイング エクスパンションズ オブ インポート クォータス ウイル ビー インプリメンテッド 一、ビーフ ザ クォータ フォー ホテル ユース ウイル ビー レイズド」、こんなかっこうでずっと書かれていっています。こういうかっこうで、五十二年度後半年度では幾ら、五十三年度以降は幾ら、こう書かれてあります。一九七八年以降ということが四カ所も——私に言わせると秘密文書、外務省に言わせると向こうに説明した文書だと言うのですが、この文書のでき上がり、この文書の意味しておること、この文書をだれが書いて、アメリカ側のだれに渡したか、この文書をなぜ公表しないのか、この文書を農林省側は覚えておるのか、こういうことについて、時間がないのでまとめてお伺いします。
  298. 中川一郎

    中川国務大臣 どうもひねくれた考え方で困るのですが、牛場大使がアメリカに行かれるときは、秘密でも何でもございません。新聞にも載っておりますし、党の部会にもかけておりますし、それ以上のものでもないし、それ以下のものでもない。その数字は後で御説明申し上げます。  それから、こてんぱんに怒られたと言うが、こてんぱんには一回も怒られておりません。もうちょっと何とかならないかなという話で、それじゃちょっと私の方もひとつ研究してみましょうというので、オレンジの実態や牛肉の実態を勉強して、外務省がやったわけでも何でもないのです。私の責任において、農林省の責任において、生産農家に与えないぎりぎりのところはどの辺かなとまじめに検討して、これぐらいのものならやっても水田総合利用あるいは食糧政策に影響ない、農家経営に影響がない範囲はこの辺だということでやったので、秘密も何にもありません。  よって、第一回持っていった分、そして二回目の分、数字的に私がやったので、外務省でも何でもありませんから、担当局長から数字は御報告を申し上げます。
  299. 今村宣夫

    ○今村(宣)政府委員 ただいまの、五十二年度はどうであったかということについてお答え申し上げますが、牛肉につきましては、ホテル枠は従来一千トンでございましたが、五十二年度はこれを二千トンにするということでございます。  それから、オレンジにつきましての五十二年度の輸入枠は、従来の一万五千トンに三千トンを追加しまして一万八千トンにする。  それから、果汁につきましては、五十二年度のオレンジジュースの輸入枠は、グレープフルーツジュース込みで一千トンを追加して二千トンにする、こういう内容でございます。
  300. 福田博

    ○福田説明員 先生がいまおっしゃいましたいわゆるメモでございますが、それはこういう協議が行われる際に、一方の側の説明する政策とかあるいはその説明する内容が相手に誤解されて伝わることがあると困るというような際には、絶対に間違いがないように、その説明とか会談が済んだ際、あるいはそれと並行的に、何といいますか、向こうのノートがわりといいますか、そういう形で、こちらが言ったことはこういう意味なんだよ、間違いのないようにという形で渡すことはよくあることでございます。  今回の協議でもそういうことがあったわけでございますが、これは性格上、公式の文書とか外交文書とか、そういうものではございません。ただ内容の正確さを期すために、協議の途次において一方が説明したことを相手に伝えるという性格で、その意味で非常に非公式なものでございますので、通常そういうものは公表しないことになっております。
  301. 津川武一

    津川委員 中川農林大臣に牛場大臣が何と報告したかわかりませんけれども、やはりアメリカで、こんなものを持ってきてどうするといってこてんぱんにやられていますよ。このことは、あなたはどう認識したかわからぬけれども、私は物を誇大に言うのでも何でもない。  そこで、この文書、私たちの一部はこれは秘密文書だと言っているわけですが、これをどうして国民の前に公表しないのか。公表しないために、牛場大使が十二月持っていったものは、向こうからこんなものは役に立たないといって返された。そこで、農業団体が一月の十三日の共同声明を見たとき、もう五十二年度の後半期は大丈夫でなくなったのだ、こんなふうな感じを持ったわけ。そうして、いろいろの方面から伝わってくる情報、一部新聞で報道されるところからいうと、その牛場大使が持っていって断られたものが内容になっているわけです。こういうことなんです。  もう一つは、オレンジとジュースは日取りを何にも書いてない。それに対して今度のこのあなたたちの出したメモは、ちゃんと一九七八会計年度以降と書いてある。ここいらで国民がどうにもわからないのがこのメモなんです。  これはあなたが書いてアメリカのどなたに渡して、農林省にはどう説明しているか、伺わしていただきます。
  302. 中川一郎

    中川国務大臣 何か、最初持っていったのが秘密で渡したみたいなことをおっしゃいますけれども、牛肉千トンを二千トンにするとか……(津川委員「メモが秘密だと言っているのですよ、聞き違えないように」と呼ぶ)新聞で国民の前に明らかにしていますから、秘密でも渡していなければ、内容を国民の前に知らしてないものを渡しているということはございませんから、この点だけははっきり申し上げておきます。これはもう新聞に五問も十回も各社一紙残らず、対米折衝の日本側の案はこうであるということは出ております。  それから、農業団体が向こうへ行きましたときには、その数字はもう十分耳にたこができるぐらい知りながら行って、その後追加されることは困るということで行ったわけでございますので、これはもう新聞に堂々と出ておりますから、秘密もなければ、裏も表もない。  渡し方については外務省から報告があると思います。
  303. 津川武一

    津川委員 中川さん、秘密だか秘密でないかというのはどういうことか、覚えていますか。私たちが外務省にどんなに要求しても、このメモは出さないのです。だから、仕方がないから別なルートから入れなければならぬ。国会の私たちが委員会で質問するというときに、われわれには明らかにしない文書なんです。あなたはどうかわからぬよ。そういう点の文書であるということを十分考えに置いていただきたい。  そこで外務省、答弁を求めます。
  304. 福田博

    ○福田説明員 先生の御質問、幾つかございましたので、あるいは落としましたら大変申しわけありませんが、第一に、要するに五十二年度下期の分については昨年十二月十四日に東京で公表されたものと承知しております。  第二に、秘密で出さないのはおかしいではないかという御質問でございますが、先ほど御説明いたしましたように、こういう協議のときに、一方の政府がとる政策なり措置なりあるいは説明なりについて誤解が生ずると困ると認定するときには、お互いにそういう誤解が生じないようにはっきりしたこと、向こうのノートの取り間違いなんかがないようにメモを出したりすることはよくあることでございまして、これはきわめて非公式なもので、外交慣例上出さないことになっておりますので、秘密メモとかそういうものではなくて、秘密かどうかということではなくて、要するにそういう性格のものではないという、そういう紙であるということを御承知おき願いたいと思います。  第三に、農林省と十分相談したか。もちろん三品目の話につきましては農林省が十分お考えになって御決定された内容を私としては正確に先方に伝えたはずでございまして、だれが伝えたかと言われれば、私が先方の事務方に渡しました。
  305. 津川武一

    津川委員 時間が来たのでこれで終わりますが、その農林省も私たちには、外務省からもらっておいて、メモを私たちに渡さないのです。だから、私たちは秘密と言うのです。これをちゃんと明確にして、国民にこれから明確にしてやらなければならぬ。というのは、今度の共同声明の中で、最後にこう書いてありますよ。「果汁の混合及び季節枠を含むかんきつ諸事情の現状と将来につき検討するため、両国かんきつ業界間のグループの設立並びに一九七八年十一月一日までの同グループによる両国政府への報告。」こういうことがありますので私は心配する。  今度こそ私たちが要求したものは国民に明らかにすることを求めて、私は質問を終わります。
  306. 中川一郎

    中川国務大臣 それも国民の前に明らかにして、季節自由化をやれ、やらないということになって、支障がある、ないということになって、あるかないか十一月一日までに政府に報告できるように両方で調査をいたしましょうというのは、これも明らかにしているのであって、何も秘密はありませんから。そんなこと、あなた方は大変なものを発見したように言っているけれども、新聞の読み方が足りなかったのじゃないか、いかに農村に対して関心が薄いかということの証左ではないかと思う次第でございます。
  307. 中尾栄一

    中尾委員長 次回は、明十日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとしまして、本日は、これにて散会いたします。     午後八時二十一分散会