○真田
説明員 問題は、憲法二十条第三項の国の機関が宗教活動をやったことになるかならぬかということだろうと思うのですが、私人としてお参りになるということは一向差し支えないことなので、それを、記帳の際に
内閣総理大臣という肩書きをおつけになったからこれは公的であろうとか、そういうふうに決めつけられるのがどうも私は腑に落ちないのです。
つまり神社にお参りするとかあるいはお寺にお参りするというのは、もともとが個人の宗教心のあらわれでございますから、特にそれを国の行事として行ったのだという何か、たとえば
閣議決定をやって内閣を代表して行ってこいとか、あるいはそういうふうなことがあればこれは別でございますよ。そういうことがない限り、これはもう個人の行為、つまり私的行為として見るというのがむしろ自然な受け取り方でありまして、車が公用車であるとか、ほかの
大臣も一緒に伴って行ったとか、そういうことをあげつらって、だから公的行為ではな
いか、憲法違反ではな
いか、九十九条違反であるとかというようにおっしゃることがどうも私は腑に落ちないというような感じがするのです。
ことしの四月に参議院の内閣
委員会でもずいぶん私
お答えしたのですが、そのときもいまの公用車の問題とかいろいろ出まして、その
一つとして、福田
総理大臣が靖国神社の例大祭にお参りになって何を祈ったかというふうに
新聞記者から問われて、そしてそのとき総理は、それは日中問題がうまくいくようにとかあるいは成田の問題とかいろいろな政治向きのことを祈ってきたとおっしゃったので、それ見ろ、それだからこそこれは公的な行為と言わざるを得ない、私的な行為としてお参りになったのなら、自分が長生きするようにとかあるいは三枝夫人が長寿を保つようにということをお願いするのなら話はわかるけれ
ども、そういう国事をお祈りしたなんということから見ても公的ではな
いかというふうにおっしゃった節もあるのですが、そういう
一つ一つを取り上げまして、だからこれは公的だと言うのはおかしいので、もともとが神社にお参りするというのは私人の行為なんですよ。
私人の行為ですから、玉ぐし料はやっぱりポケットマネーでお出し願わなければ困るので、公費をお使いになっちゃ困りますというふうに私は申し上げておるのです。それから公用車の話も、これはいま官房
長官もおっしゃいましたけれ
ども、総理ともあられる方ですと警備の問題もあります。そしていつ何どき急用があってスケジュールを変更してほかの方へ回らなければ
いかぬということもあり得るわけです。だから靖国神社の手前まで行ったら乗り捨ててタクシーで行きなさいというのも少し実情に合わないのであって、乗用車が白ナンバーだからどうというようなことをそんなにあげつらう必要はないのだろうというふうに
考えております。
むしろ私は基本的には、神社にお参りするというのは私的行為だと思っておりますから、望ましいとか望ましくないとかいうのではなくて、これは
大臣であられようと総理であられようといつでもやっぱり神社へお参りできるというのが筋なんであって、在官中は神社をお参りしたら公私混同になるからやっていけないということになると、かえって憲法二十条第一項が保障している信教の自由がその間奪われるというようなことになりますので、そういう公私混同をあげつらって憲法違反になるのじゃな
いかというふうな感覚は私は持っておりません。