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1978-08-15 第84回国会 衆議院 内閣委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年八月十五日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長代理理事 小宮山重四郎君    理事 高鳥  修君 理事 藤尾 正行君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君    理事 鈴切 康雄君 理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    萩原 幸雄君       増田甲子七君    上田 卓三君       大出  俊君    木原  実君       安井 吉典君    山花 貞夫君       新井 彬之君    市川 雄一君       柴田 睦夫君    中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)     稻村左近四郎君  委員外出席者         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         任用局長    長橋  進君         人事院事務総局         給与局長    角野幸三郎君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         総理府人事局長 菅野 弘夫君         警察庁交通局交         通規制課長   福島 静雄君         防衛施設庁施設         部長      高島 正一君         沖繩開発庁総務         局長      亀谷 禮次君         沖繩開発庁振興         局長      美野輪俊三君         外務大臣官房人         事課長     栗山 尚一君         外務省経済協力         局技術協力第二         課長      田辺 敏明君         大蔵省主計局給         与課長     日吉  章君         大蔵省主計局主         計官      角谷 正彦君         文部省初等中等         教育局長    諸澤 正道君         運輸省自動車局         業務部長    角田 達郎君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     小田切博文君         建設省道路局国         道第一課長   多田 宏行君         自治省行政局公         務員部給与課長 石山  努君         自治省財政局財         政課長     矢野浩一郎君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十六日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     川崎 寛治君 同日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     山花 貞夫君 同月二十一日  辞任         補欠選任   関谷 勝嗣君     熊谷 義雄君   玉生 孝久君     倉成  正君   塚原 俊平君     久野 忠治君 同日  辞任         補欠選任   久野 忠治君     塚原 俊平君   熊谷 義雄君     関谷 勝嗣君   倉成  正君     玉生 孝久君 七月十二日  辞任         補欠選任   柴田 睦夫君     小林 政子君 同月十三日  辞任         補欠選任   小林 政子君     柴田 睦夫君 同月十七日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     中川 秀直君 八月十五日  辞任         補欠選任   栂野 泰二君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     栂野 泰二君     ――――――――――――― 六月十六日  一、中小企業省設置法案鈴切康雄君外二名提   出、衆法第一三号)  二、行政機構並びにその運営に関する件  三、恩給及び法制一般に関する件  四、国の防衛に関する件  五、公務員制度及び給与に関する件  六、栄典に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公務員給与に関する件(人事院勧告に関する  問題)      ――――◇―――――
  2. 小宮山重四郎

    小宮山委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため出席できませんので、委員長の氏名により、私が委員長の職務を行います。  公務員給与に関する件についての調査を進めます。  まず、去る十一日の一般職職員給与等改定に関する勧告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。藤井人事院総裁
  3. 藤井貞夫

    藤井説明員 去る十一日に本年度の一般公務員給与に関する勧告、それと同時に、いままでいろいろ御配慮を賜ってまいりましたいわゆる人確法に基づく教員給与の第三次後半分の勧告というものをお出しいたしたのでございます。本日早速この内容についてお聞き取りの機会をお与えいただきましたこと、心から御礼を申し上げたいと存じます。  以下、勧告の概要につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  本年の給与勧告基礎になります官民較差でございますが、これは民間状況を如実に反映をする結果になりまして、本較差遡及改定分を合わせまして三・八四ということに相なりました。これは三十五年に現在の勧告制度が本格的になりましたそのとき以来の最低ということに相なるわけでございます。ちなみに昨年は六・九二、一昨年は六・九四ということに相なっておったのであります。したがいまして、この配分は結局本俸主体というふうに相なります。それと生活関連の諸手当ということに重点を置いて配分をするということに相なった次第でございます。  改定内容につきましてごく簡略に申し上げたいと存じますが、まず俸給表改定でございます。  これは、本年の特別の傾向といたしまして顕著でありますことは、初任給というものが非常に低額になってきたということでございます。大体の傾向といたしましては、一ころ余りに初任給というものが上がり過ぎたということがございまして、それが俸給表作成に当たりましては、どうしても中間の世帯形成時あるいは中堅階層というものに対して非常に不利な状況にならざるを得なかったというようなことがございましたが、本年の場合はそれがやや形としては正常な形に戻ったのではないかというふうに考えておりまして、民間の景況を反映して初任給は低くするとともに、あとは大体一律的な配分になりますが、なかんずく世帯形成時なり中堅層には、許された枠の範囲内において重点的に改善措置を講ずるようにいたしたということがございます。  また、この俸給表改定に当たりましては、他の俸給表、特に中小教員あるいはこれとの関係で大学の教官でありますとか高専の教官、それと研究職税務職公安職、それぞれについて相当の配慮を加えることにいたしました。  指定職俸給表につきましては、これは一般較差の問題ではございませんで、ときどき民間重役クラス等を対象にして調査をし、その傾向というものを把握することにいたしまして、指定職についてはそれらの点を踏まえながら、一般職職員給与との均衡ということをよく配慮いたしまして決定をいたしておるのが通例でございます。そういう意味から申しまして、本年の場合、民間におきましてもこういう状況でございますので、それほど目立った動きはございませんが、全般的に見ますれば、若干の改善措置を講じておることは事実でございます。ただ諸般情勢にかんがみまして、指定職につきましては、本年は措置をすることを取りやめまして据え置きということにいたした次第でございます。  さらに高齢職員の問題について申し上げておきたいと存じますが、高齢職員については、いろいろな問題がございます。なかんずく高齢職員については、官民較差を出しまする際におきましても、従来から逆較差ということで民間の方がかえって低いという状況が出ておるわけでございます。これは公務員実態また性格俸給表作成上のいろいろ技術的な問題等もございまして、俸給表でこれを措置することには限界がございます。そういうことで四十六年に国会でもいろいろ御審議をいただいた結果、昇給延伸制度を打ち出したわけでございます。  その後毎年やはり検討を加えておりますが、いま申し上げました逆較差傾向というものがどうもますます顕著に相なってきておりまして、このままでは放置をいたしてまいることが非常に困難な状況に相なってきております。その点を踏まえまして、もう少し積極的にこれらに対する対策を強化してまいる必要性があるのではないかという感じがいたしておりますが、事柄がやはり大変重要でございますし、深刻な問題でもございますので、さらにわれわれといたしましては問題を煮詰めまして、またしかるべき点の御意向等も十分に参酌をいたしました結果、これの措置というものを打ち出してまいりたい。今度の場合では、これに対して措置をするということを問題点として打ち出すことにいたしまして、これの具体的な対策は早急にひとつ樹立をしてまいるという方針を打ち出すことにいたしたのでございます。  第二の点は手当でございますが、当然ことしの場合は、生活関連手当重点を置きました。その結果二つの手当について措置をいたしました。  一つ扶養手当でございまして、これは最も重点的に措置をいたしたつもりでございますが、現在配偶者が八千円でありますものを九千円にいたしますとともに、子供さん二人まではそれぞれ二千三百円から二千七百円に改定をするということにいたしました。  なお、通勤手当につきましては、民間との均衡なりその後交通費が各方面で上昇しているという事実がございますので、それとの見合いで職員通勤実態を考慮しながら所要改正を行うことにいたしました。現在の制度は、全額支給限度が一万四千円でございますが、これを一万五千円にいたしますとともに、それ以上のものについては二分の一の加算をいたしておりますが、その最高支給限度というものを現在の一万六千円から一万七千円まで引き上げるということにいたしたのでございます。その他の自動車あるいは自転車等交通用具を使用しておる向きに対しましても、民間実態等もしさいに検討いたしました結果、所要改正並びに合理化を図ることにいたしたのであります。  それから俸給調整額というものがございますが、これは、たとえば同じ病院に勤めておるお医者さん、看護婦さんでも、その病院が取り扱っておりまする業務実態というものに対応いたしまして、同じ俸給表だけで措置するのはかえって結果的には均衡を欠く、十分にその実態に合わないというようなことがございます。そういう点を配慮いたしまして、従来から俸給調整額ということで四%刻みで六段階についてそれぞれ措置をしておって、俸給の実は上積みをいたしておるわけでございます。これが実態に合うこととしてそれなりに定着をしてきておりますが、しかし調整額刻み幅というものが当初より定率据え置きをされておりまする結果、額として出てまいりますのが、基礎になる本俸が毎年上がってまいるものですから、その結果かなりの額になってきておるということで、その点問題なしとしないということがわれわれの研究の結果、あるいは実質的な公務員相互間の均衡というようなことから考えましても、これが問題になってきておるわけでございます。したがって、これにつきましても具体的な措置を考えていきたいと思っておりますが、所要措置につきましては、これも早急に具体案をつくってやっていこうということにいたしたのでございます。  期末勤勉手当につきましても、大変これは問題としてわれわれの一つの頭痛の種であったわけでございますが、すでに私がこちらに参りまして以後、期末勤勉手当については従来五・二ということになっておりますのを〇・二引き下げまして、現在五カ月分ということに相なっておったのであります。ことしも詳細な調査をいたしました結果、これを四・九ヵ月分、すなわち〇・一ヵ月分削減をするのやむを得ざる結果というものに相なったわけでございまして、この点についてはいろいろ考えてみましたけれども数字として出てまいりますこれを無視するわけにはまいりませんので、〇・一ヵ月分を削減するということにいたしました。その〇・一の削減分は、十二月期の期末手当を削減していくという措置を講ずる所存でございます。  それから週休二日制の問題につきましては、引き続き調査をいたしましたが、その結果は、大体民間においては安定した数字を示しておりまして、パーセントといたしましては本年の場合六九・二%ということに相なりました。去年が六九・一でございますので、ほとんど変わっておりませんですが、こういう形で横ばいというような状況を示しております。御承知のように、現在は公務員について第二回目のテスト実施いたしております。この時期は来年三月まででございますので、三月の再テストというものが終わりました時点でその内容をよく検討いたしました結果、いろいろ諸般情勢等もにらみ合わせて、次のステップをどうしていくかということをひとつ慎重に考慮いたしたいということでございます。  それから定年制の問題でございますが、定年制については、これは昨年の末の閣議行政改革の一環として国家公務員についても定年制を導入するんだという基本方針が決められております。これを受けて本年に入って二月、総務長官から人事院、私あて定年制については、これは公務員の身分に関する重要な事項である、分限に関する重要な事項であるから、人事院においても検討の上、ひとつ意見を聞かしてくださいということの申し入れがあったわけであります。これが正式の意思表示でございますので、これを受けて人事院としても本格的な検討を進めるということで、現在各般の検討事項というものを掘り下げて研究し、それに対するいろいろな調査検討というものを具体的に始めた段階でございます。これの結論がいつ出せるかということは、今日の場合まだ申し上げる段階には達しておりませんということを総務長官あてに私名で中間報告的に申し上げるということにいたしたのでございます。  それから寒冷地手当については、当委員会においてもいろいろ御決議等いただいておるわけでございますが、もう少し詰めなければならぬ問題がございます。問題の中心定率分定額分をどうしていくかということが中心になるわけでありますが、もう少し検討を進めていかなければならぬ点が残っておりまして、今度の場合、遺憾ながら同時に勧告を出すに至らなかったのでありますが、これは引き続き検討を進めて早急に結論を得たい、かように考えておる次第でございます。  それから最後に、教員給与関係につきましては、第三次後半分の勧告を今度同時に出しました。これによりまして、人材確保法に基づくいわゆる計画的な給与改善ということは一応最終分であるということに相なるわけでございます。  その具体的な内容は、特別手当の増額、それから主任の範囲文部省の省令の改正に合わせまして若干拡張をすることにいたしたという点、それから小中学校の校長、教頭につきましては、大規模の小中学校に限りましてその率を二%ずつ引き上げることにいたしたというようなことが主体でございまして、最後幼稚園につきましても、これは国立の付属幼稚園につきましては、その教育内容実態というものが小中学校十分匹敵をするという点がその後の調査で認められますので、これに立脚をいたしまして特別手当支給の道を開くことにいたしましたが、その内容給与的な価値判断というものが小中学校の場合と全く同一というわけにもまいりませんので、この際、道を開きはしますけれども、その額につきましては、一般特別手当半額程度にとどめるということにいたしたという点が主なる内容でございます。  これらの実施時期につきましては、原則的には例年どおり四月にさかのぼってひとつ実施をしていただきたいということを申し上げておる次第でございます。  以上、ごく概略でございましたが、今回の給与勧告の骨子について御説明を申し上げた次第でございます。
  4. 小宮山重四郎

    小宮山委員長代理 これにて説明は終わりました。      ――――◇―――――
  5. 小宮山重四郎

  6. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 公務員給与の問題ではございませんが、総理府総務長官がおられますので、先ほどの理事会の御理解をいただきながら、一言要請を行いたいと思います。  きょうは、終戦から三十三周年の記念日を迎えたわけでありまして、この日はいわば平和日本の新しい歴史の出発点とも言うべき意味を持っていると思うのであります。     〔小宮山委員長代理退席高鳥委員長代理着席戦争犠牲と平和の意味を問い直す日とも言うべきだろうと思うのでありまして、この日に当たって福田総理靖国神社参拝されるということだそうであります。私どもも、戦争犠牲者に対する慰霊一般的に否定するものではございません。しかし、事が内閣総理大臣が正式に靖国神社参拝されるということについては、承認することができません。なぜなら、三木総理発言でございますけれども閣僚という地位は非常に重い地位だから、個人資格閣僚資格というものを使い分けることは困難であるということを国会でも述べられておるわけであります。福田総理個人資格参拝をなさるということだそうでありますけれども、これは三木総理発言を待つまでもなく、詭弁だと言わなければなりません。いまさら憲法第二十条の規定を待つまでもなく、憲法違反というか、憲法に抵触するおそれがあるということをわが党が正式に申し入れをしてまいりましたことは御承知のとおりであります。私どもは、真の慰霊というのは、戦争を二度と繰り返さないという平和の誓いを国民的に、そして政府の行為としてもそれを誓い合っていくということでなければなりませんし、また原水爆の被爆者に対して国家補償立場に立った被爆者援護法制定戦争犠牲者に対する戦時災害援護法制定などを含めた措置が必要であるということを申し上げてきたわけでございます。  その意味で、総務長官から総理大臣にというのも少し変でございますけれども、せっかくの機会でございますので、この際改めて、これから恐らく武道館に総理府長官も行かれると思いますから、首相に対して、参拝を中止願いたいという発言があったということを正式にお伝えをいただきたいものだと思います。  同時に、総理府総務長官として、これからこの種の問題について、日本憲法立場、そして閣僚としての地位の重さというものから考えてみて、個人資格というものと安易に使い分けてその種の行動に出ないようにこの際注意を喚起しながら発言をしておきたいと思います。  総務長官一言の御答弁を煩わしたいと思います。
  7. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点でありますが、きょうは靖国神社全国戦没者慰霊大祭が行われることになっております。これは十四時三十分。  総理の問題に触れられたわけでございますが、総理は純粋な個人的な立場でこの戦没者慰霊大祭に参加をされるというふうに伺っております。
  8. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私の言葉をお伝え願えるわけですね、総務長官
  9. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御趣旨はよく承っておりますが、ちょっといま発言を間違えましたが、総理は十四時三十分には個人的な立場で参加されません。ただ、閣議が終わった後、いまごろ参加されておられる、こういうふうに訂正をさせていただきます。
  10. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 委員会での発言趣旨総理に正式に伝えていただきたい、そのことを要求いたします。
  11. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点につきましては、間違いなくお伝えをいたします。      ――――◇―――――
  12. 高鳥修

    高鳥委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山重四郎君。
  13. 小宮山重四郎

    小宮山委員 給与に関する質問に関連いたしまして、きょうは大蔵省にちょっと御質問を申し上げます。  内閣委員会が六月二十三日から七月十三日まで海外日本人学校等を視察してまいりました。その中でいろいろな問題点が出てまいりました。たとえば大都市の日本人学校と言われるもの、これは大変りっぱによくできている。しかし若い在留邦人が行っている僻地においては、大変粗末な学校である。かつ、そこに働いていらっしゃる在留邦人方々は、大都会に比べて給与が比較的低い。これは年齢的な問題もございます。そういうようなことで、父兄負担が大変重い、そういうような問題が出ております。少なくとも憲法二十六条に規定しております子弟義務教育無償で受けられるという原則、これは私、海外でも適用せよということでは必ずしもございませんけれども、少なくともそれに対して政府は安く受けられるようなことをすべきである。負担を軽くしてやる。特に小中学校へ行っているお子さんをお持ちの父兄というのは、まだまだ非常に若い方々が多い。財政的な負担が非常に多い。特に海外でございますと、いろいろな交際費等も大変かかることでございますので、そういうような問題についてぜひ大蔵省には今後とももっと補助率を高くしてもらうことが重要だ。たとえばいま補助率が二分の一でございますけれども、これを十年分割の方式をとっておるわけでございますけれども、この辺について二分の一補助ではなくてもっと一括補助、これは十年分割というのは非常におかしな方法で、これを改めてやっていかれないだろうかということをまずお伺いしておきたいのでございます。
  14. 角谷正彦

    角谷説明員 海外子女教育の問題につきましては、先生承知のとおり、わが国の主権が必ずしも及ばない外国において行われているというふうな特別な性格がございますので、その国の主権の問題とも絡みまして、御案内のとおり憲法二十六条というのはそのまま適用することはむずかしい、これが法制局見解でございます。しかしながら、海外子女教育というものは非常に重要である、こういった観点から、私ども財政当局といたしましても、年々の予算編成におきましてはできるだけの充実を図っているところでございます。  そういう意味で、いま特に先生指摘の点につきましては、たとえば教材費無償給与、あるいは義務教育先生の派遣あるいは借料補助、こういった形を通じまして海外子女教育のための父兄負担軽減、そういったものにも極力配意しているところでございます。  先生がいま御指摘の十年の二分の一補助と申しますのは、恐らく借料についての補助のことをおっしゃっているのではないだろうか、こういうふうに思うわけでございますけれども、この点につきましては外国におきましての日本人学校といったものの基礎が、いわば国内の私立学校あるいは各種学校、そういったものに類するといったふうなことから、いわば経常費補助というふうな形でこれを行っているものでございまして、これを一括補助というような形でやるということは、そういったこととのバランスからいいましても、なかなかむずかしい問題があるのではないだろうかというふうに考えております。ただ、先生の御指摘の点を踏まえまして、そういった父兄負担軽減等の問題につきまして、なお今後の予算編成段階で十分検討させていただきたい、かように考えております。
  15. 小宮山重四郎

    小宮山委員 いま憲法二十六条の適用がない。しかし、実際憲法二十六条の精神というのは、真田法制局長官見解でも御承知だと思いますけれども子弟が少なくとも義務教育を安く受けられる、最低そのくらいのことは考える。私は、憲法適用を受けていないから、あなたたちは借料を出して十年分割で勝手にやりなさいというような感じを受ける。だけれども、少なくともそこで学んでいるのは日本人である、そういう意味から借料を出している。計算から言うと、やはり日本政府が財政的に大変損をしているのじゃないかというような感じがいたします。  日本で言いますと、たとえば義務教育は、地方自治体があって、それが特に人口急増地域でございますとやはり九〇%以上のものを見ている。それから起債については元金、金利等について見ているというようなことをやっている。しかし、海外ではそれだけのことをやっていない。企業が半分持って、十年間で埋めてくるというような形をやっていますと――だから先ほど言うように大きな都会、パリとかロンドンとかニューヨークとかシンガポール、そういうようなところは何とかやっていけるけれども、非常に僻地になりますと、そう簡単に学校ができない、また教育を受けるチャンスを持てない。日本の教育を受けるチャンスを持てないという問題については主計官はどう考えているのですか。それはしようがないと言うのですか。その辺のところ、ちょっとあなたたちの見解をお伺いしておきたい。
  16. 角谷正彦

    角谷説明員 先ほど憲法関係を申し上げましたのは、憲法二十六条が、わが国の主権が及ばない以上は、直接わが国が外国義務教育実施することができないという意味で法律的に限度があるというようなことを申し上げたわけでございます。  ただ、その精神を外国において生かすということにつきましては、法制局長官からも御答弁いただいておりますように、それは当然国としてやるべき施策であるという観点から施策をいろいろやっているということについては御了解いただきたいと思います。  それから、いま小宮山委員の方から御質問になりました日本人学校の問題、これはなかなかむずかしい問題があろうかと思います。特に日本人学校といいますか、大都市の日本人に対するいわゆる補習学校といったものを重点にすべきか、あるいは海外僻地におきます。いわゆる先進地域でない地域におきまして、その地域自体の教育水準が必ずしも高くないような国におきまして、ある程度の教育水準を日本人に対して与えるための日本人学校というものを重点にすべきかという点は、海外子女教育における非常に基本的な問題であろうかと思います。  この点につきましては、財政当局として別にどちらであるべきであるということをこの場で直ちに申し上げるほどの見識を有しているわけではございませんが、こういった基本的な問題につきましても、なお関係省庁の間で十分検討していただきまして、そういった基本的な問題を踏まえながら今後のいろいろな対策も考えていかなければならない、かように考えている次第でございます。
  17. 小宮山重四郎

    小宮山委員 どうも予算措置等を見ていますとたとえば僻地ではアメリカンスクール等に頼る、そういう外国の教育機関に頼っていてさえも非常に授業料が高い、教育のチャンスがない。また授業料が高いがため、子供を日本に置いて海外に単身で行くことになる。  ぜひお願いしておきたいことは、たとえばパリでは二十五億のうち半分補助ですか、それで新校舎をつくる。ではアフリカではどうなんだというとほとんどない、それも非常に惨めな学校システムをつくっている。たとえば香港、シンガポールは大変りっぱなものができている。ですから、アフリカの駐在員なんかを見ていますと、ほとんどの方が単身赴任である、そういうようなことから見ましても、ぜひ海外学校教育というものはもっと補助率を上げてやる必要がある。私はそういう子供たちが将来の日本を背負う子供たちであろうと思うし、少なくとも日本人である以上、主権が及ばないから義務教育は要らないというような考え方は大変間違いであるし、そういう意味でもぜひ補助率を上げて、多くの子供たちが海外で勉強できるようにしていただきたい。特に民間に頼っているということは、やはり政府が考え直さなければならない大きな問題点ではないかと思います。政府補助を出しているから何々大使館付属日本人学校とか中学校とか書いてあるけれども、そういう付属なんてつけるほどの金を出しているのかということになると、私は非常に疑わしくなる。運営はほとんど民間がやっている。しかも先生方はしょっちゅうかわるから経営方針がない。そういう日本人学校というのは、大変ロスを多くしている。大蔵省海外子弟にもっと力を入れていただかなければいけない。  先ほど申しましたように地方自治体があれば、そのようなことで地方自治体が賄うことができるのであるけれども、それができない以上、やはり政府としてはもっと思い切った補助率を出していかなければいけない。たとえば韓国においても大変な補助率を出しているし、アメリカは歴史がございますから、やはりアメリカンスクールというものが確立しております。フランス、ドイツというようなところでは非常に高い補助率を出している。イギリスはドミトリーという寄宿舎制がしっかりしている。日本はそのどちらにもつかない、何にもない、受け入れ体制さえもできていない、そういう形であります。  私学でさえ出ていく学校がある。ロンドンに立教学院という学校がございます。りっぱな教育をやっておりますけれども、この中の在校生を見ても、実を言うと、ロンドン在住者ばかりではないのです。アフリカとか中近東とかそういう方々のお子さんが非常に多い。しかも先生補助というのは、一人三万七千円くらいですよ。給与でさえもそのようなシステムですから、もう少し補助率を上げて人口急増地域くらいの形ができないだろうか。これは大変重要な問題なんで、もう一度大蔵省から答弁をしていただきたい。  かつ、私学の進出をもっと容易にしていただきたい。たとえば慶応大学も出たいと言っている。基督教大学もこちらに受け入れ校をつくったのだけれども、これは間違った、外へ出た方がよかったのだ、しかし国は補助しないから出られないのだと言っております。そういうようなことについて主計官にお答え願いたいのです。
  18. 角谷正彦

    角谷説明員 先ほどから御答弁申し上げていますように、外国でございますので日本主権が及ばない、そういった形からどうしてもその性格外国における日本人学校あるいは補習校の性格というのは、いわば私立学校あるいは各種学校といったものに類したものにならざるを得ないのではないだろうか、そういうふうに考えているわけでございます。  しかしながら、それに対しましては諸般の観点からいろいろな施策を講じていることは御案内のとおりでございますが、いま御質問がございました市町村の急増地域並みの施策がとれないかといった問題につきまして、私は実は文部省担当ではございませんが、市町村の急増というものにつきましては、いわば国として、そういった当然の教育を受ける権利、義務といったものに基づきまして、その地域におきまして非常に人口がふえてくるといったことに着目いたしまして、その市町村の学校の設置者である都道府県といったものの負担の急増といったものを軽減するという観点から特例の補助率が設けられているのではないだろうかというふうに考えているわけでございます。  そういった意味から言いますと、いわば人口急増市町村の場合と海外子女教育の場合と全く同じに扱うことがいいのかどうかといったことは、おのずとちょっと違った観点からの検討も必要ではないだろうかというふうに考えているわけでございます。  いずれにいたしましても、この問題、まだ概算要求を文部省あるいは外務省におきましてそれぞれ取りまとめている段階でございまして、現段階において、財政当局が補助率等の問題についてどうこうということを申し上げることは、必ずしも適当ではないのではないかと考えますので、その点につきましては、御了承いただきたいというふうに考えております。
  19. 小宮山重四郎

    小宮山委員 いま、大変ひっかかる話をされました。市町村が困っているから出す、それでは教育ではないのですよ。それはおかしな話ですよ。揚げ足取るようで大変恐縮ですけれども、やはり教育というのはだれもが同じように受けられなければいけないのです。主権が及ばないからと言っても、海外の人が日本人でないなら構いませんよ。憲法二十六条で言う意味は、日本人なら全部適用しろという意味でしょう。だからそれはおかしな話で、市町村が困るから出してやるのだという言い方はないと思う。これは憲法に基づいてやっておるのであって、ですから、ぜひそういう意味でも、憲法の精神をもっと海外の子女にも適用できるようにしていただく、もっと学校先生方もうんと行かれるように、学校先生方にも給与に対して多く補助を出していただきたい、そういうことをお願いしているのであって、あなたにその問題を逆にひっくり返して返事をしていただくとなると、これはちょっといただけません。もう一度御答弁を願いたい。
  20. 角谷正彦

    角谷説明員 人口急増市町村の場合の趣旨と今回の場合の趣旨と全く同じかどうかという点が、なお検討しなければならぬということを申し上げたわけでございまして、非常に誤解を招くような発言でございましたので、その点は訂正させていただきたいと思います。  要するに、日本人学校における実態というものを踏まえまして、どういう面からどういう形で施策を充実させることが一番望ましいか、そういった点は財政的な問題を含めまして十分検討させていただきたいと思います。
  21. 小宮山重四郎

    小宮山委員 最後に申し上げておきますけれども、国だけでこれをやろうとするから無理なんです。いわゆる私学を出していくようなシステムをつくってやらなければいかぬ。いわゆる日本的な海外子女教育システムをつくっていかなければならない。たとえば、いま日本で全寮制の学校をつくると言ったって、そう簡単にできない。それはできませんよ。あなたたちがまず補助を出さないと言うでしょう。ICUに出したような金をあなた出してくれと言ったって、そう簡単にどこの学校にも出さない、またそれだけの教育のシステムがない。イギリスのように伝統があればそういうことができるけれども政府だけではできない、やはり私学が出て、政府全部がやるのではない、私学も一緒にやって、少しでもよい教育が受けられるように、たとえば外務省でいま、ごらんなさい、若い人たちが海外へ出たくない気持ちというのは、海外子女教育という問題もある。国内での競争が激しいがために、海外へ出て行ったらおくれてしまう、そういうような問題も含んでおります。たとえば、私らがギリシャで会った人などは、息子さんはロンドンに置いている、娘さんはニューヨークに置いている。なぜかと言ったら、現地の日本人学校は手狭だからいい教育が受けられないということを暗ににおわしている。  ですから、もう少し主計官として、あなたたちが予算をつける以上、あなたたちが、ただ単に地方自治体が困っているからやるのじゃない、もっと教育という問題を本当に考えて、海外子女教育という問題についてもっと予算をつけていただく。人口急増地域のように、あるいは日本人会に金を出しても、それは金利あるいは元本ぐらいは見てやるという、地方自治体と同じようなシステムをとるべきだ。いままで皆さん方非常に真剣にやってこられたのでしょうが、私は先ほどの発言を聞きまして大変残念に思う。教育という問題についてもう少し大蔵省は考えていただきたい。世のお母さん方、父兄の考え方、そんなことを外で言ったら大変ですよ。海外にいる方々が聞いたらもっとびっくりしてしまいます。これは大変なことになります。  ですから、そういうことでないように、あなたがもっともっと補助率を上げるような、特に海外僻地の子女教育というものをもっと効果あらしめるような形にしていただきたい。それにはやはりアフリカなどは全寮制の学校を幾つかつくっていただきたい。中近東のようなところもそうです。インドもそうです。そういう僻地では、ほとんどアメリカンスクールに頼っているわけですよ。それはやはり政府がそれだけ怠慢と言わざるを得ません、ほかの国に頼っているのだから、またそれだけ父兄が経済的に負担しているのですから。中には、会社によっては教育費を出さない会社さえもあるのですよ。あなたたちはお役人で行って、海外駐在をしても非常に優遇を受けているかもしれないけれども一般民間人というのはそんな待遇を受けていない、かつ若い人たちは子供三人あるいは二人一緒に学校に入れる、そういう苦労を重ねている。特に義務教育期間というのはそういう期間ですよ。  ですから、それは考え直していただいて、もっと補助率を高くして、日本人がもっともっと海外に出られるような、海外で活躍できるような原動力になるのはあなた自身だと思うのです。主計官自身だと思うのですよ。それを抑えるか抑えないか、あなたのところで決まるのですから、もう一度御決意のほどぐらい聞いておいて、質問を終わります。
  22. 角谷正彦

    角谷説明員 今後ともそういった方面の充実につきまして、関係各省とも相談しながら、いろいろ検討してまいりたいと思います。
  23. 高鳥修

    高鳥委員長代理 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午前十一時二十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十四分開議
  24. 高鳥修

    高鳥委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  公務員給与に関する件について質疑を続行いたします。岩垂寿喜男君。
  25. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 最初に人事院総裁に伺いますけれども、ことしの勧告は三・八四%、平均月額七千二百六十九円という近年にない厳しいものであり、これは公務員共闘の声明などにもありましたように、昭和三十三年の二二八%に次ぐ低額になっています。その上に、先ほど御説明をいただきましたけれども、特別給の減額や高齢者の賃金抑制などの、公務員労働者にとって非常に過酷な労働条件の切り下げがつけ加えられているのであります。  私どもは、この勧告は、労働基本権の代償措置としてもきわめて不十分なものであると言わなければなりませんし、公務員労働者の生活実態や、それに基づく切実な要求ともほど遠いものだ、こういうふうに指摘をしておかざるを得ないのであります。その点で、大変厳しい勧告をせざるを得なくなった人事院の総裁は、すでに談話を発表されまして、私も拝見をいたしておりますが、今度の勧告についてどんな感慨を持っておられるか、率直に見解を承っておきたいと思います。
  26. 藤井貞夫

    藤井説明員 今回の勧告は、いま御指摘もありましたように、また午前中私から御説明を申し上げました際に付言して申し上げましたとおり、非常に厳しい内容のものであるということは、私もそのように深刻に受けとめておるのであります。  すなわち、四月実施ということで現在の勧告制度が本格的に滑り出しましたのが三十五年のことでございます。それ以来の一番低い勧告ということに相なったわけでございます。これは民間の春闘を初めといたしまする厳しい情勢をそれなりに反映せざるを得なかったということでございまして、私たちいろいろの経済社会の動向なり、あるいはいろいろ出てまいりまする経済の指標等をにらみながら、非常に深刻にこの事態の推移を見守ってまいっておったわけでございますが、その点大体想像ができましたような厳しい内容を反映をいたしまして、今次の官民較差というものになってきたわけでございます。  しかし、それはそれといたしまして、いままでも何らかの機会がありまする際に申し上げてきておりますように、私といたしましては、それなりにこの事態というものを深刻に受けとめなければならぬということと、それだからこそやはり二十八条の適応問題ということにつきましては、第二項の五%問題とは別に、やはり第一項その他の諸規定の全般の精神というものにのっとって事柄に対処していかなければならぬという考えを基本に持ちまして、そういうところからいろいろな諸点を考慮いたしました結果、五%を下回るということがあっても、物価の関係あるいは標準生計費の動向その他民間における諸般の取り扱いの問題、三公五現の処理の関係その他いろいろな点を考慮いたしました結果、総合的な判断といたしまして、低率であるけれども、これはやはりこの際較差は埋めるべきであるという判断に立ちまして、勧告を出したわけでございます。  そういうような点から、内容といたしましては、俸給表改定なりその他生活関連手当ということに重点を置いてやったわけでありますが、それと同時に、今度のは低額であるから、低率であるからといって、ことさらに織り込んだわけではございませんですが、従来の検討の結果、あるいはいろいろな情勢の変化等に伴いまして、この際、やはり合理化を考えていかなければならぬ問題、すなわちその具体的な例といたしましては、調整額の問題であるとか、あるいは高年齢者の処遇の問題、今後の対策の問題であるとか、また指定職俸給据え置きの問題であるとか、その他の問題として問題を提起し、これを表明せざるを得ないということに相なった次第でございます。  私自身といたしましては、そういう意味では深刻に受けとめており、また心苦しいような点もなきにしもあらずというふうに考えておる次第でございますが、本年の較差を踏まえての諸措置といたしましては、以上申し上げましたことは、いろいろ考えたあげくのことで措置をいたしたつもりでございまして、その点は十分に関係方々についても御留意を願い、また御了解を賜りたいというふうに内心念願をいたしておる次第でございます。
  27. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま総裁のお言葉の中で、経済社会の動向というお言葉があったわけでございますが、一面、今日の不況の局面というものが、たとえばGNPの過半数を占める個人消費支出の停滞に大きな影響を持っていることは事実でございます。また、両三年にわたる、私どもの言葉で言えば低賃金政策というものによって、労働者の生活が大きく後退している事実に目をつぶることはできないと思うのであります。そういう政策的な課題や現実の公務員労働者の生活実態というものを踏まえて私たちはこの勧告を見詰めざるを得ない。その意味で大変不満だ、こういうふうに指摘をするわけであります。  しかし一方では、人事院勧告のあり方をめぐって、財界なりあるいはさまざまな方面から批判が寄せられていることも事実であります。たとえば、賃上げのできない零細企業もあるのだから、もっと調査対象の企業規模を小さくしろなどという、制度見直し論も出されているわけでございます。私どもは、こういう見解には全く、理論的にも対抗するといいましょうか、反論をする言葉を持ち合わせておりますけれども、それはそれとして、人事院としては、そういう制度見直し論に対して、これまでの方針を変えるようなことはないというふうに理解をしてよろしいか、その点を念のために承っておきたいと思います。
  28. 藤井貞夫

    藤井説明員 人事院給与に関する勧告というのは、申し上げまするまでもなく、民間における実態を詳細に調査検討いたしまして、それと公務員とを比較検討し、その上で、較差が出てまいりますれば、その較差を埋めるという方式でやってまいっておるのであります。しかも、これは民間の春闘だけの問題ではございません。民間の賃上げその他の動向というものをにらみ合わせた場合に、それに対応する措置でもあるわけでございます。  専門の先生でありますから、私がるる申し上げる必要もございませんが、これは、いわば給与決定の方式というのは、民間におけるやはり労働条件の決定、なかんずくその一番の主流でありまする給与に関する労働条件の決定ということで、大多数のところではいわゆる団体交渉の最も中心的な問題であるはずであります。それに対して、いろいろな情勢、特に労働基本権の制約があるというようなことから、人事院にこの給与勧告権というものが与えられておるのでありますが、実質的には私は、いま申したようなことは、公務員給与決定に関する問題と、民間における、給与に関する団体交渉の結果生まれてくるベースアップその他の取り扱いというものが、同質のものであるというふうに考えております。  このいわば勤務条件の根幹をなしまする条件というものは、これはやはり従来の労働慣行の積み重ねであります。そういう意味から、これは軽々にいろいろ変更していく筋合いのものではございません。それを変更する場合は、しかるべきデータを備え、確信を持って、そういう事実というものをそう摩擦なく受け入れられるような条件のもとでやっていくということが、基本でなければならぬと私は思います。  そういう意味合いから、いま御指摘にもございましたように、人事院がいままで踏襲してやっておりまする官民較差基礎になります民間給与実態調査、それの対象となりまする企業の規模というものにつきまして、実は両面からいろいろな批判、要請がございます。いまお挙げになりましたのは、いわば財界その他の方面からのいろいろな見解でございます。また疑問点の提出でございます。  そういうところから、これは対象にしているのは少し大規模に過ぎるではないか、やはりもっと零細な、現実に倒産とか、給与なんか引き上げようとしても引き上げられないとか、そういうところにも目を向けてやらなければいかぬじゃないかというような意見がございます。また別の角度からは、これは申すまでもなく公務員の組織というものは、実は大企業のいずれの規模にも匹敵する、あるいはそれ以上のものではあるまいか、またそのとおりではないか、そういうことになれば、やはり最小限度千人以上というものの規模にむしろ限定すべきであって、そういうところにしないと均衡のとれた官民較差というものは出ないのではないかという、こういう一方の主張もございます。  そのいずれも、いろいろの条件から出てくる要請、批判でございますので、私は謙虚に耳を傾けるという姿勢は従来もとってきておりますし、今後もそういう姿勢は貫いてまいる所存でございますけれども、しかしいま言ったように、これは労働慣行と申すべきものの積み重ねでございますし、これを基礎にいままでだんだんと定着をしてきた。しかも、国会、各方面の御助力、御協力もございまして、四月にさかのぼっての完全実施ということが実現をしたわけでございます。私は、その基礎を軽々に変更することはいけないことだという考え方に立っておる次第でございます。  しかも、われわれの調査の対象というものはそうひとりよがりでやっているわけでもございません。また特にいいところばかりをよりすぐって比較の対象にしているわけでもございません。従業員数でまいりますれば、ほぼこれで六割以上というものを全部調べたと同じ結果が出るような統計作法でやっているわけでありまして、私は、これで過半数を代表するものをこちらの対象として選んでいる限りはまずまず妥当であり、一般の御首肯をいただけるものではあるまいかというふうに考えておる次第でございまして、よほどの何かの情勢の変化なり、あるいは納得できる客観情勢が生まれたときを除きましてはこの基本姿勢というものは貫くべきであり、それが正しい、軽々にこれは改めるべきではない、私はかような見地に立っておりますし、今後もその姿勢を貫いてまいりたい、かように考えております。
  29. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 国家公務員法の規定によれば、人事院勧告は五%以上の官民較差について勧告を義務づけられているわけですけれども、この五%というのはどんな根拠でこの数字が導入されたかという経過を、おわかりでございましたら御答弁願いたいと思います。
  30. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答え申し上げます。  公務員法二十八条第二項の五%という数字はどういう関係で五と決まったのかというお尋ねであろうと思いますが、当時の公務員法ができましたころの文献あるいはその後のいろいろな研究を見ましても、定かな結びつきがわかりません。ただ、当時の情勢はどういうことであろうかと考えてみましたところ、大変物価、生計費の変動が激しくて、目が覚めたら動いておるというような時代でございまして、当時、昭和二十三年ごろ物価が一年間に六〇%も上がっておりまして、十二で割りますと一ヵ月にちょうど五%ぐらい動いておる。これはたまたまかもしれません。結びつきの話ではございませんが、そういう時点につくられました立法でございます。  いずれにしましても、なぜ五%なのかということは定かにわかりませんが、少なくとも賃金の関係について、五%以上増あるいは減という場合には担保しようという歯どめであったということでございます。
  31. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 今回の勧告はその五%以内でも行われたわけでありますけれども、それには、先ほどの総裁のお言葉もございましたが、国会やあるいは報道機関などを通して総裁がお述べになった言葉を総合してみますと、ことしこれを見送れば来年大変な金額になるということや、あるいは基礎的な給与が上がっているから、五%といってもかなりな金額になるという言葉や、あるいは公務員労働者の生活実態からの配慮など、先ほどもお述べになりましたが、理由が挙げられているわけでございますけれども、大体そのとおりに理解してよろしゅうございますか。
  32. 藤井貞夫

    藤井説明員 大体そのとおりに御理解がいただけて結構だと思います。やはりことし仮に何らかの情勢、事情のためにこれを見送るということになりました場合の来年度以降の影響、また最近は、全体の基礎になりまする俸給その他の給与というものがかなりの額にだんだんなってきておりますので、その一%といってもそう簡単に無視ができる状況ではないということ。それから民間ではやはり春闘ということがなお継続しておりまして、現実に大部分のところでは四月にさかのぼって事柄の処理がなされておる。それとの均衡で、何らか差異があるにかかわらずこれを見送るということになりますと、やはり官民均衡という問題から申しまして、公務員諸君に御了解が得られるだろうかというような点、これは基本的な問題であります。  さらに、三公五現関係は、これも非常に低率でございましたけれども諸般の事情を勘案した結果、すでにこれは四月にさかのぼって実施をされておるわけでございます。三公五現は何といいましても、一般公務員と大変似通ったと申しますか、親類づき合いの職種でございますし、特に五現業あたりで見てまいりますと、同じ部屋で机を並べて仕事をしておられる中で、五現業関係職員とわれわれの対象でありまする一般職給与法の適用を受ける職員とが並んでおられるというような事態もございます。そこで取り扱いを異にするということは何といっても不適当であろうかというようないろいろな点を配慮いたしました結果、二十八条の第一項によりまする情勢適応を踏まえて、人事院というものはそのための勧告を怠ってはならないという原点に返って、この措置に出ることが適当であるというふうに判断をいたしたわけであります。
  33. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そうだとしますと、ことしの措置は五%以内の場合でも勧告を行うという前例をはっきり残したことに相なるわけであります。その意味では、今後も原則として五%以内でも勧告を行うことを人事院方針として一定の方針を示したものだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  34. 藤井貞夫

    藤井説明員 原則的には、そういう意味の新しい例というものを開いたことになるという見方もあり得ると思います。私もそのような解釈で結構だろうと思っております。ただ今後の場合に、五%に達しないような場合、いついかなる場合でも勧告は必ずするかということを、いまこの時点において申し上げることは差し控えさしていただく方がむしろ適当ではあるまいかというふうに思っております。それが何%ならば何なのか、何%以下であればやらぬのかというようなことになりますと、これは事がきわめて問題でございますし、大変むずかしい問題になるわけであります。それはやはりそのときの諸般情勢ということに対する判断、これも、やるかやらないかという場合に、決定をいたします非常に重要な要素になりますことは、これは申すまでもないことでありまして、その点は保留をさせていただきたいと思いますが、しかしことしは三・八四でも勧告を出したという趣旨、その背景というものをわれわれとしては十分にくみ取りつつ、今後の具体的なそれぞれの要素というものは、十分検討の上で適切なる判断を加えてまいる、これを基礎にして適切な勧告その他の措置を講じてまいるという姿勢は貫きたいと思っております。
  35. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 いま総裁が新しい措置だというふうな受け取り方でも結構だというふうにおっしゃいましたけれども、これは制度の運用として将来をも拘束する重要な影響を持つと思います。その意味では五%以内であったけれども勧告をなすったことについて敬意を表しながら、やはりこれはよりよき前例として較差というか差別というか、そういうものを常に解消していく努力の一里塚として位置づけてほしい、こんなふうに思います。  続いて、これは給与局長で結構ですが、人事院勧告民間準拠という立場を貫くものであることは言うまでもありませんけれども、最近の民間産業の賃金の決まり方というのが、春に一応の決着を見ても、ある意味で暫定妥結みたいな形になるわけですけれども、秋に上半期の経済や経営の動向などを見て、ドリフトという言い方もありますけれども、賃上げをやるという二段構えの傾向が実はふえております。これは御存じのとおりであります。人事院勧告というものがこの二段構えの態様に十分対応し得ていないように私は思われるのです。もちろん積み残しを措置するという問題についても道は開けておりますけれども、どうもまだ調査の時点を含めて十分な捕捉というものをなし得ていない。つまり、民間の賃金決定というものの経過を配慮した人事院の民調というものが少し不十分ではないか、こんなふうに思いますが、これらのあり方について、民間調査のあり方についてどんな見解を持っておられるか、御答弁を煩わしたいと思います。
  36. 角野幸三郎

    ○角野説明員 人事院がやっております勧告基礎データになります民間給与実態調査の、現在の仕組みに絡む問題でございます。私どもは一年間を大観いたしまして、民間給与は一年じゅうどこかの会社でいつか常に上がっておるという状況が基本的にございますが、その中で四月に上がるところが非常に多いということで、四月の春闘の一斉に上がりましたこのときに調べまして、官民給与を比較しまして精算をするということが調査効率としても一番やりやすい、経済効率としてもよろしいということでやっておるわけでありまして、四月にわが国全体の民間の賃金が全部上がってしまうということではないという前提があることは事実でございます。  ところで、いま先生がお話しのように、それではその四月に大部分のところでベースアップがありますが、ずれたり、あるいは最近のように会社が不況ということになりますと、企業内のいろいろな特段の事情によっておくれたり、あるいは春ではなくて秋の方にいったり、あるいは二つに分かれたりということがあることに対処してどう考えるかということであろうと思いますが、私どももそういう点に非常に関心を持っております。従来はそういうずれがそれほどなかったわけでございます。したがって、大体従来のような方式で支払い賃金を四月に調べて、妥結の状態で風袋のわかっているものはそれに概算積み上げて、これで一年間を概算的にもとらえてそこで決済をするということでいけたわけでありますが、私ども経験的に見ておりますところから申し上げますと、最近の不況になりまして一昨年あたりからちょっとそういう空気が変わってまいりまして、昨年もその辺に注意いたしておりましたが、本年はどちらかと言えば、昨年にも増してそういう反映が大きいのではないかというふうに言われております。私どももそういうつもりで、調査に当たりましたときにそういう会社のベースアップの金額ばかりではなくて、上がるパターンについても内々調査をいたしておりまして、勧告が終わりましてまだ間もない時期でございますので、十分分析はいたしておりませんが、今後そういう状態に対応するためによく検討いたしたいと思っております。
  37. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 この間、私当委員会の国政調査で大阪の人事委員会でいろいろ勉強させてもらいました。とりわけ民間調査実態などについても、時間が余り長くなかったので不十分だったかもしれませんが、それなりに勉強させていただきました。  そこで伺いたいのですけれども民間調査の結果を公表しないということを原則としているようであります。これは調査を依頼するケースにそういうようなことを言ってきた経過があるようでありますけれども数字は思惑では動かぬわけでありまして、そういう意味ではやはり、見たいという人にはできるだけ見せるという道をあけることが必要ではないだろうか、私はこんなふうに思うのです。これは公制審の答申でも民調公開、労使の意見を聞けというような言葉もつけ加えられているわけでございまして、そういう点では、たとえば調査の様式や企業対象などもお教え願えないというようなことは、どうも秘密主義ではないかというふうにとられてもやむを得ないと思うのでありまして、その点では可能な限り、調査の結果あるいは調査に当たる態度を公開する態度が、労使の信頼性を高めていく上で欠くことのできない条件だと私は思いますので、その辺について若干お答えを願いたいと思います。
  38. 角野幸三郎

    ○角野説明員 調査に当たりまして、調査のやり方といいますか、調査票の設計、それから実際に調査した結果出てきたものに対する集計、分析、その結果、こういうプロセスがございますが、もともと民間給与実態調査をやります大前提でございますが、民間賃金が個別企業といたしましては秘扱いの部分に属します。したがって、各会社の個別問題としては、大変慎重に扱うということでお許しいただいて、調査に大変御協力いただいておるという現状にございます。  したがいまして、私ども調査をいたしました後そういうことについては大変神経を使っておりまして、取り扱いにそごのないよう、またそういうことでいままでの実績があるわけでございますが、いま先生お話しのように、個別についてはそうでございますが、調査の仕方でありますとか、調査票の組み立て、要項的なもの、あるいは調査が終わりましてからも、一つの筋として結果が出てきますそういうもの、それについては秘密扱いにいたしておるわけではございません。私ども勧告をいたしますについて、組合の諸君ばかりではありませんが、組合の諸君とも大変よく接触して、いろいろな御意見なりそれを聞いております。あるいは勧告をいたしましてから後説明をいたしますにつきましても、できるだけその結果なり内容について御説明しているということに努めておりまして、決して秘密扱いにしているわけではありません。ただ、調査の中身自体の、記入いたしました調査票でありますとか、個票というのは五十数万票ございまして、これは個別企業にもわたることでございますので慎重に扱っておるということでございます。やはり私どもは労働権の代償という立場にありまして、お互いの信頼関係というものが基本でございますので、隠すとかそんなことはございません。
  39. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 調査の項目に関連いたしますが、さっき総裁が労働慣行の積み重ねである、しかも団体交渉というものを経て決まっていく、そういう手続を経て決まっていく労働慣行、労働条件、そういうものだからという言葉を、人事院勧告に関連して述べておられました。  企業内の労働組合の有無とか、団交による春闘の妥結条項というものが、民主社会においては常識になっているわけですが、そうした労使問題をどれだけ参考にしているのだろうかというようなことも私は尋ねたいのであります。しかしそのことは余り時間がございませんから伺いませんが、そういう立場から、調査項目の中にたとえば労働組合の有無を調査の対象に加えていく、こういう前進的な措置というものを来年度あたりからはぜひ考えてほしい、このように思いますが、給与局長、この辺について御答弁を煩わしたいと思います。
  40. 角野幸三郎

    ○角野説明員 私ども調査をいたしますときに、職種とか規模とかそういうことで、当該事業所に労働組合があるとかないとかということといわば関係なく調査をいたしております。先生のお話では、労働組合があるないということとのかかわりで調査のデータにどういうふうに反映しているか、関係があるかというようなことではないかと思いますが、私どもそういう観点で調査をしたことは一回もございません。ただ、労働権の肩がわりということで、結果的にはどういうことになっているかというサーべーとしては、それは意味がないこともないと思いますので、テスト的にでも、ちょうど民間企業の調査をやりますときには大変忙しい調査でございますが、ちょっとした仕掛けでそういうデータがとれないこともないように思いますので、検討いたしたいと思っております。
  41. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 これは非常に重要な要素だと私は思います。と申しますのは、やはり労働組合があって団体交渉を重ねて、そして労働条件が決まっていくという民間傾向から見るならば、労働組合があるかないかということが賃金決定の上で、それはプラスかマイナスかいろいろありましょうけれども、一定の要因を占めていることは事実でございますので、いま、来年からそういうことを工夫していきたいという御答弁をいただいたことに大変感謝したいと思います。ぜひ、そういう御配慮を願いたいと思います。  それから、春闘の中で、あるいは人勧までの間に、総裁や事務総長を初め人事院関係者が公務員共闘を初めとする労働団体の諸君と頻繁に会ってきたということを伺っています。率直に申し上げて、労働組合側から言えば、要するに人事院を交渉の相手、あるいは政府を使用者として交渉の相手という、一種の団体交渉という性格づけをせざるを得ない面もあるわけでありまして、そういう点での強調をする文書などもあるわけでありますが、私は、可能な限り人事院は労働組合の人たちと会って要求を正確に理解して、その立場というものを勧告やあるいは労働組合に対応する姿勢の中で生かしてほしいものだ、こういうふうに思います。大阪で実は一覧表というのを拝見しまして、大変たくさんの組合と頻繁に会っておられるということを見て、私は私なりに一つの感慨を覚えたわけでございますが、本院でもこれからぜひそういう態度で、より多く組合の諸君と話し合う機会を広げていただいて、そういう関係を御努力願いたいというふうに思いますが、総裁、この辺はいかがでございますか。
  42. 藤井貞夫

    藤井説明員 基本線はそのとおりでありまして、私たちもその線に沿っていままでも努力をし、現実に対処をしてきたつもりでございます。われわれ人事院は第三者機関的な面が大変あるわけでございますので、そういう意味では、公正妥当な仕事を進めていかなければならぬということは申すまでもありませんが、また、いまお話に上がっておりますような給与その他の勤務条件と申しますと、これはまさしく民間における労働条件に匹敵するものであり、団体交渉の対象になる基本的な事項であることは申すまでもないわけであります。  そういう意味からは各方面の意見というものを謙虚に率直に、また広範にお聞きしていくということを一つの基本姿勢にしておるつもりでございます。政府側といたしましても、ここで申し上げる必要もないことかもしれませんが、各関係局長さん以下におきましても、いろいろな御要望等を持って直接間接に人事院申し入れがございます。また、ことしあたりは特に大臣が大変関心を示されまして、直接に私のところへ参られた大臣もかなりの数に相なっております。  また、これと並行いたしまして、一番直接の関係があり、関心の深い組合関係方々というのは、大変な要望がございます。いま御指摘になりましたように、実際に近畿の事務局でお調べになったところの御披露がございましたが、本院におきましても全くその態度は同じでございます。むしろわれわれの方からも、できる限り実情は聞いて、要望として入れられる点は入れていくようにというようなことは、各事務局を通じて指導をいたしておる面もございまして、実際上その会った回数その他をここで私から御披露申し上げる必要もないくらいに大変頻繁にお会いをし、直接に要請等もお聞きしているということでございまして、各段階があることは、これは一般の交渉の場合でも同じでございますが、私たちのところでも私の段階を初めといたしまして、それぞれの局長課長あるいはそれぞれの専門官というような段階まで含めまして、大変頻繁にいろいろ御接触を申し上げておるということであります。この基本姿勢は、私は正しいと思います。そういう意味から今後もその姿勢については基本的には崩さずに、さらに突っ込んだ面に持っていくような努力は最大限度に払いたいと思っております。
  43. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 少し勧告内容に触れて質問をいたしたいと思います。  これはもう皆さんわかっていることですから、私から言うのも、やりとりになっても意味がないのかもしれませんが、きちんと申し上げておかなければならぬことがございます。  公務員共闘がかねてから、比較給与範囲というものを、原則として公務の基本給に相当する給与とすることを要求してきていることは、皆さんも御存じのとおりです。少なくとも通勤手当寒冷地手当、特地勤務手当は除外するようなことを主張してきたことは事実でございます。私はここでは細かくその理由については申し上げません。しかし、公務員の諸君の要求というのはいろいろな事情からすでにおわかりだと思いますが、合理性を持った主張であると私は思いますが、この主張の意味を皆さんはどのように理解しておられるか、そしてこれからどのように対応なさっていかれるおつもりか、御答弁を煩わしたいと思います。
  44. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答え申し上げます。  民間給与水準を比較いたしますときに、民間の方は、もちろん多くの企業でございますので、給与制度はまちまちでございます。国の場合には給与制度一つ制度となっておりまして、給与構成が明確でございます。それを総ぐるみで比較いたしますその比較の仕方について問題があるということは、組合の諸君からも伺っておりますし、よく存じております。  ただその中で、給与といいましてもいろいろニュアンスのある手当等でございますが、そういうのが中にまじっておりまして、どちらかといいますと現物支給的なニュアンスのある給与であるとか、たとえば通勤手当とか寒冷地手当とか、免税措置がついておりましたり、現物支給的なニュアンスがある。同時に、賃金台帳の方でも、現物の場合にはお金に評価して書くということがちゃんといたしてはおりますが、福利厚生との限界がはっきりしないような、非常にもやもやしたものもございまして、そういうことで漏れているものがあるのじゃないかとか、そういう点で問題があることも十分承知いたしております。  しかしながら、そういうことで民間給与種目全体について、あれこれといろいろなものが千差万別にございますが、これを料理するということはとても大変でございますので、こちらの制度として明確なものを向こうからとるというようなことで性格づけをしておる次第でございます。  そうは言いましても民間の賃金台帳は規定されておりまして、そういう現物的なものでも換価して書けるものは書くということになっておりますので、それで官民給与を比較いたしましたときに、決してそれが外れておるということではないとわれわれ思っておりますが、なお実態などを今後よく見ていきたい、そういうふうに思っております。
  45. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 たとえば住宅手当というようなものを考えてみますと、民間の住宅事情と、転勤などを含めての公務員の住宅事情が違っていることははっきりしていますし、寒冷地給だってやや一時金的な性格を持っていることもはっきりしておりますし、公務の特殊な業種に対する支払いが行われている特地勤務手当にしても、それはそれとして特別なものだ、特有な公務に対する給与だということだけははっきりしていると思いますので、その辺も含めて検討を煩わしたいものだ、このように思っております。  それから、私はここに行(一)の等級別人員分布の推移の表を持っているわけですが、これを拝見いたしますと、昭和三十五年の状況と比べてみると、人数においてものすごい変化があるのですね。特に七号、八号の人員が極端に減っている、そして年をとれば当然そうなるわけですけれども、五号、六号がふえている。そういう形から頭打ちが問題になっているだろうと思うのです。また、現にそういう訴えを受けているわけですが、こういう意味では給料表や体系の全面的な改善というものに手をつけるべき時期が来ているのじゃないだろうか、こんなことも考えるわけですけれども、その辺についてこれからどんなお考えを持っていらっしゃるか、承りたいと思います。
  46. 角野幸三郎

    ○角野説明員 公務員職員構成でございますが、私どももその一人でございますけれども、戦後採用されて、それで復員とか特殊な事情があって、あるいはその時点で行政が同時に大変拡大したということに伴って、大きなこぶといいますか、人員構成としては山があることは事実でございます。当時はその人たちは若い、したがって等級も下といいますか若い等級におったわけでございますが、もう三十年もたちまして、それが年齢的にもだんだん育っておりますし、等級としても、それだけ経験を積んでおります関係上上位の仕事につくという状態になっていることも事実でございます。  しかしながら、職務給のたてまえをとっておりますピラミッド的なそういう職務の段階から見ました場合には、全体がそのまま上の方へ上がるというようなことではないわけでございまして、そこで選択が行われるわけでございますが、そこで同一の等級で、もし仲間が多いために上位の等級に行けないというような場合は気の毒でありますので、そこのところは、そういう職務に見合った中で金額で処遇して差し上げるということを考えておりまして、たとえば係長の等級であります五等級でありますとか主任であります六等級というような等級の中でありましても、折れ曲がり是正と申しまして、高い号俸におってもお金はそれなりに差し上げるという、折れ曲がり是正をここずっと続けておるというのはそういう努力でございます。これはやはり現在の職員構成が異常な状態であるという前提でありますので、俸給表がちょっと異常なかっこうで折れ曲がり是正でもたしておるということも事実でございます。  いま先生お尋ねのように、将来を考えてこの辺で抜本的に考えたらどうだというような御意見も、組合の諸君からもときに聞くわけでございますが、先生の御意見もまさにそういうことだろうと思いますが、いま申しましたように、現在の前提条件である職員構成自体が異常でございまして、これはいつまでも続くものではないと思っております。いま一番大きな山が、四十八歳ぐらいのところの山がございますが、これが十年も二十年もいくわけはないと思いますので、やはり基本的に直しますのは、ノーマルな職員構成を前提にしたそういう俸給表でありたいというふうに私ども同時に考えておりまして、それまでどういうふうにしていくだろうかということを、抜本的ではありませんが、職員構成を考えながら、ここ一両年ずっと検討しておりまして、いろいろな案についてとつおいつ作業をしているという状況にございます。
  47. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 官民較差の算出方法に関連をいたしまして、いま本較差の問題を少しお尋ねしたのですが、追加較差の計算のあり方についても問題があることは、もう、私はことしの勧告というのはここに一番大きな問題点を双方とも持っているのじゃないかという感じがするわけですが、その点でお尋ねをしておきます。  民間定昇相当分三%を差し引くということですね。これは私はやはりいろいろな問題を持っておると思うのです。あなたの方にも言い分はあると思うけれども、少なくとも四月分の給与の全体の水準を比較するわけですから、その中から差し引いて計算をするというやり方がいつまでも続いていいものか、こういう感じがするのですけれども、この辺が一つですね。これは御議論があると思います。  それからもう一つは、四月に遡及する事業所の比率は、これは例年だと二五%前後ですよね。だけれども、ことしは一八・〇一%になっているわけです。この点は、どうも地方の人事委員会などの調査を集計してみる数字とは実はかなり食い違いがあるということが指摘をされています。そういう問題点。  さらには、事業所比率じゃなくて、給与というのは個人に支給されるのだから従業員比率でやるべきじゃないか。これも私は合理的な提案ではないだろうかと思うのです。私は、ここのところの読み方について、ことしの勧告での若干の問題点というものを感じざるを得ない、総体的なことは別としても、特にこの辺で。これらについて人事院として、今後こういう問題指摘というか、提案について、どうこたえようとなさっていかれるのか、あるいはいままでのやり方というのが全部合理的で、そういう主張というのは不合理だという立場に立つのか、この辺は将来の問題にも影響をいたしますので、少し親切に御答弁をいただきたいと思います。
  48. 角野幸三郎

    ○角野説明員 三点のお尋ねでございますが、いずれも積み残しといいますか、俗にそう言っておりますが、それの計算にまつわるものでございます。  それで、まず第一番目の御質問でございますが、三%を引くというのはどうかということでございます。これは本体の較差とそれから積み残しの較差と、全く木に竹を接いだようなかっこうとよくいままで笑われておりますが、そういう作業をやむを得ずやっておりまして、本当を言いますれば、木だけでよろしいわけでございまして、竹になるようなものはその年のうちに支払い済みになっておればこれにこしたことはないということでございます。しかしながら、こういう調査及び集計のやり方は昭和四十年からずっと連綿とやっておりますが、やり方としては、私どもはそれはそれなりに安定しているのじゃないかと思っております。なぜ安定かと申しますと、私ども調査のやり方は、その年にぶれがありましても、一年を待たずして次の四月に必ず精算される、ぶれは必ず一年以内に正しくなるという官民較差方式の非常にうまいところがそこにございます。  同時に、もしその算定方式がまずければ、次の年の較差を出しますときに大変狂って出るわけでございます。次の年の春闘と、一年おくれまして来年になって私ども較差、積み残しを足しまして出てきたものが余り乖離しておりますと、これは常識的でないということで、何となくおかしいということになるわけでございます。これは結果的にということにしかなりませんが、そこのところはこの数式が計数としては非常に安定しているのじゃないだろうかということを申し上げておるわけでございます。  なぜ三%を引くかということについてでございますが、もともと事の起こりは、これは較差ではございません。当年のその個別企業における引き上げ、何%引き上げますよ、定昇込み、こういう呼称になっておりますものから、昇給というのは水準の要因ではありませんものですから、これはそれを引き去って実際の水準だけをとるということで引き始めたということが事の起こりでございます。  しかし、そうは申しましても、出てきました結果が、妥当性が結果的にあるかどうかということは次の年に非常にチェックしておりまして、大体これでいけている計数であるとまで自信を持っております。それが第一点でございます。  それからあと、積み残しを計算いたしますときのそういうおくれた事業所、支払いがおくれて、そこで四月にバックペイするけれども、まだ支払いに及んでいないという、そういう会社の割合が、本年の場合には一八%でございます。それで、これは年によっていろいろございますが、昨年の場合には二四%でございます。一昨年の場合には二一だったと思いますが、大体二〇に乗っていることが多いようでございますが、本年は、なるほど二〇を割っておりましてちょっと少ないなという感じがあることは事実でございます。私どもそれを見まして、どういうわけだろうかと思って、いろいろ検討いたしておりますが、やはりことしの春闘の民間の妥結状況が例年と非常に違うということであろう、そういうふうに私どもはいま分別をつけたところでございます。と申しますのは、ことしの春闘の特徴は、まずベースアップの高さが非常に分散して、平均がなかなかわからないというような一つの特徴がございました。いまこの水準は関係ございませんが。  それから、妥結の時期がもう一点ございます。こういう不況のときには妥結が非常に早いというような関係にあるというのがいままでの経験則でございますが、ことしも初めはそのように思っておりました。したがって、妥結が非常に早い側面があったことは事実でございます。したがって、この早いものについては、四月支払いに間に合う度合いが早いわけでございますから、したがって、四月の本体の、本較差の中に入ってしまう度合いがそれだけ高いわけでございます。  それからもう一点は、これはことしの春闘のもう一つの特徴でございますが、不況といいますか、産業別に非常にアンバランスがございまして、それで、どちらかといいますと不況に属するあるいはその中の下請的な中小に属するようなところは妥結が非常におくれた、いわば妥結時期の両極化があるということも最近になって言われております。したがって、そういうところは積み残しの中にも入らない、要するに妥結にまで至らない、積み残しにも入らないというような、そういう現象が起こったのであろうとわれわれ理解いたしておりまして、したがってことしはそういう点ではやや異例だろうと思いますが、結果的に出ました事業所の数が例年よりはやや少ないという関係であろうかといま考えております。  それからもう一点は、私どもはそれを集計いたしますに、一事業所、一という、事業所ウエートでやっておりますが、これはやはり、同じパーセントでありましても大企業の場合には従業員が多いから、それで従業員ウエートでやったらどうだというお話がございます。これはしかし、私どもはどちらかといいますと、企業ウエートと従業員ウエートの中間に値するような、従業員と企業との中間に属します事業所という単位のウエートでやっております。大きな企業でありますと支店等の数が多いということで、それ相当のウエートが自然にかかっております。どちらかといいますと大変大ざっぱなやり方をいたしておりますが、これはもともと木に竹の、竹の方でございますので、そこのところは概算ということで御容赦いただいておる、そういう関係でございます。なおよく検討はいたしたいとは思っております。
  49. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 そこのところがやはり一つの論争のあるところだろうと思います。特に遡及事業所比率などというところの問題というのは、ことしは異例だとしても、やはりちょっと不自然だという感じがしてならぬわけでありまして、この辺はこれからの大きな検討項目として考えていただきたい、こんなふうに思います。  それから、やはり一番問題なのは、顔を見ると言われるのですけれども、一時金の問題でございます。  これは佐藤さんから藤井さんに至るまで、歴代総裁が御みずから、公務員給与というのは好不況にかかわりなく決めるものだということをおっしゃってこられましたし、民間が五カ月を上回っているときも公務員は据え置かれてきたわけであります。だから、どうもいまになって、これは労働省の毎勤統計を見ても少し酷ではないかという感じがしてならぬのであります。これでは五十一年ですか、〇・二を引いたときの衆参両院の内閣委員会における附帯決議、つまり速やかなる復元を求めた決議という点から見てもどうも問題があるように思われてなりません。顔を見ると、先生、〇・一何とかならぬか、冗談じゃない、こういうふうに言われるわけでありまして、全く生活実感を伴った私どもに対する訴えだろうと思います。  この辺はまあ一つの見方でございますが、公務員の一時金の実力というものをはかる目安で、人事院民間一時金の月数換算に利用している計算方法と同じやり方で公務員一時金の月数を再計算してみると、公務員の場合は一時金計算基礎額が所定内給与に占める割合として、本年は四月で九五・一七%。したがって、年間五ヵ月の一時金に対するその実力というのはかなり落ち込んでいるわけでありまして、事実上四・七五八ヵ月という数字が出てくる、こういう計算もあるわけであります。  つまり、もうすでに四・八ヵ月を割り込んでいる。人事院の計算の四・九ヵ月よりも〇・一四ヵ月現実にもう低くなっている。これをさらに〇・一ヵ月削減されるということになると、その実力というのは四・六六ヵ月におっこっちゃうんじゃないか。人事院が計算をした民間水準を〇・二四ヵ月も下回る結果になるというふうに、私どもも素人なりに、賃金の専門家の諸君といろいろ計算して勉強してみると、なるほどそういう計算が成り立つという感じがするわけであります。これは例年比較をされてきた数字もございますから、もう人事院で御理解のとおりだと思いますけれども、ちょっとこれではこの実態から見て〇・一のカットなどということはとんでもない、逆に〇・一以上増額してくれないと官民較差というのは直らないじゃないか、こういう意見が非常に強いわけであります。泣いて馬謖を切るという言葉がございますけれども、私はこの辺について非常に深刻にとらえます。  それから、これは余り言いたくないことですが、しかし言っておかなければならぬのは、ことしの夏の状況などを含めて、また来年カットされるんじゃないだろうかという危機意識をもみんな持っているわけでありまして、この点は何とも私は納得できない。これは国会の決議ということから考えても、公務員労働者の生活実態から見ても、公務員労働者の一時金の実力という観点から判断をしてみても、問題があると指摘をせざるを得ません。その点で、人事院から今後の見通しなどを含めて、まあお答えができる範囲で結構でございますが、こういう措置をとらざるを得なかったことを何と考えておるかということをぜひ承っておきたいと思います。
  50. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答え申し上げます。  公務員の特別給の算定の基礎給のあり方の問題でございます。もともと特別給につきましては民間の賞与に対応いたしますが、これは月給の場合と異なりまして、ある意味では大ざっぱといいますか、非常に割り切ったやり方で民間と比較をして、それで支給しておるということでいままでやってきております。  そこで計算の仕方でございますが、民間調査の場合には、ある会社に行きまして、それでその会社の月給の一年間の総体、残業手当だけ除きますが、月給の一年間の総体を足し上げまして、それから今度は臨時給与、主として賞与でございますが、それの一年間の総体をまた全部足し上げまして、これを分母、分子でぽんと割るというような形になっております。これは各会社についてそういうことをやっております。それを全体七千五百事業所について全部合わせまして、全部分母、分子で割る、こういう大ざっぱな大変大作業をやっております。民間の賞与というのは、やはり景況によって非常に収益配分的なニュアンスが強いわけでございますけれども、われわれはそれをややかために受け取って、それでやや異なったと言えば問題があるかもしれませんが、金額を受けとめて、それをわりあいに平たく配分しておる、わりとかためな計算でやっておるというようにずっと来ておりますということが、基本的に月給の場合と違うという前提条件でございます。  ところで、いま先生の問題提起でありましたところにつきましては、私ども大変問題だと思っていま検討中のポイントでございます。これは昔々の話を申し上げませんが、通勤手当とか住居手当というものは昔はなかったわけでございます。それがいつの時代か、三十年代、四十年代にそういうものが入ってきまして、それで公務員のボーナスを支給いたします基礎給にこれが欠けておるということと、それから民間では月給の総体で割っておりますので、そちらには自然に入り込んでおるということとから来る乖離の問題でございます。  この乖離をどうするかということが宿題ではございますが、もともと、これは現在でありますと五・〇という民間の月数を出しまして、こちらに持ち込んで還元するというような月数媒介でやっておりますがゆえに、そういう分母、分子の関係が出るものとすれば、もともとボーナスというのは金額でございますので、そういう割り算をしないで民間のボーナスだけをストレートでとって、それでこちらのボーナスと直接比較して、これはラスパイレスでも何でもいいと思いますが、やってみると、そういう分母、分子の関係は捨象されて、関係はないわけでございます。そういうことをやってみたらどうなるだろうかと去年あたりから考えまして、それでことしの調査でも実際に民間調査に行きます調査員にそれを依頼いたしまして、そういう調査民間が対応してくれるかどうかということを調べてみたわけでございます。そうしますと、ボーナスというのは月給よりもなおさら秘密事項でございまして、個別ボーナスをボーナスだけ個別に個人別でとらえることは非常にむずかしいということがわかりました。特に大企業では困難でございます。大体六割方くらいは困難だという返答が来ております。そこで、もしこれがうまくいければ今後と思っておったものが、ことしの調査でそういうデータが出てきておりましたので、また考え直さなくてはいかぬということで継続検討していきたい問題だ、こういうふうに現在考えております。  そういうことで月数計算には分母、分子の問題があるといたしましても、実際問題これを公務員配分いたしますときには、民間のように職務の段階別あるいは経験年数別等のそういう傾斜というのは、公務員の場合には特に経験年数による傾斜はほとんどございません。そういうことで、まあ個人調査のような場合のメリット、デメリット、いろいろございますが、民間のボーナスに似たような支給方法にだんだん近づけていくという一つの方向があろうかと思いますが、しかしいまのような比較方式の分母、分子の関係もございまして、それこそ両方頭に置いて、今後の調査方法のむずかしさを考えながら検討しなくちゃならぬと現在そういうふうに思っている最中でございます。
  51. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 民間がボーナスを非常に隠す傾向にある、これは事実なんです。と申しますのは、不況が非常に厳しくなればまさにスクラップ・アンドビルドでございまして、調子のいいところはよそのことを見ながら、そんなに出すとえらいことになるというようなことや、将来のことも考えなければならぬということで、社会的に一種の隠しに使われる、そういう傾向が非常に強まるわけでございますから、どうか〇・一でまた来年もなんというようなことがないように――ないようにと言うのも変ですけれども、そういう実態を十分踏まえた上で、いろいろな工夫を考えながら、やはり公務員の諸君が、〇・一というのはへそくりの金額でもなくて、もっと切実でございますので、その点は、来年の場合には十分それらのことも考慮に入れた上で御勘案願いたい、このことだけは強く主張しておきたいと思います。  それから、ちょっと時間が詰まってきましたので、時間短縮、週休二日制の問題に入らせていただきたいと思います。  ヨーロッパでは週休二日制はもう古い歴史になっております。これはフランスでは一九三六年、一番新しいイギリスでも一九六九年ですか、西欧諸国はほとんどが、九〇%以上週休二日制でやりまして、それ自身が生活のリズムの中に実は溶け込んでいるわけであります。現在では週休一二日制、週三十二時間労働制について、西欧では、労使並びに、特に政府を含めて熱意を持っているという状況があるわけであります。これはもう御承知のとおりです。  ちょっと労働省おられますか。――週休三日制あるいは時間短縮というのが西欧諸国で、五年というのはちょっと短いかもしれませんが、十年ぐらいのタームで実現するような趨勢にあるというふうに私は判断をいたしますが、労働省はその辺についてどんな見解、判断を持っておられるか、この機会にお尋ねしておきたいと思います。
  52. 小田切博文

    ○小田切説明員 御説明申し上げます。  週休三日制の問題でございますが、私ども、当面労働時間短縮についての行政指導を進めているところでございますが、その一つの大きな眼目として週休二日制について進めているところでございまして、まだ週休三日制の問題につきましては……(岩垂委員「いや、ヨーロッパでは」と呼ぶ)ヨーロッパの事情につきましても、何年程度で欧米先進国において週休三日制が一般化するかということにつきまして、ちょっとまだ不案内でございます。
  53. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私が狭い範囲でいろいろなものを読んだりいろいろな話を聞いたり、現に私自身もかつて組合にいましたから、諸外国を歩いてみて、そういう面で、もうむしろ週休三日制、週三十二時間というところへ問題意識がかなり移っている。そして、それは単に労使だけでなしに、政府もそういう方向へ態度を積極的に変えてきているということが言えると思います。ただし、日本ではいまだに週休二日制、こういう実態であります。  労働省は五月二十五日に次官通達で、週休二日制の推進、残業時間などの削減、年次有給休暇の消化の三点を都道府県に行政指導をしたことは先ほどお述べになりましたが、それはどのように生かされているのか、その状況はまだ三カ月しかたっていませんからわからないかもしれませんけれども、その点をお伺いしながら、やはり労働省の行政指導というのは、当然、国家公務員や地方公務員を問わず、行われるべき対象として考慮すべきだ、こういう立場で行政指導をなさっておられるかどうか、つまり、全労働者としてそれをとらえていくべきが労働省の立場でございますので、その点を見解を承っておきたいと思います。
  54. 小田切博文

    ○小田切説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、五月二十五日に事務次官通知を発しまして、地方の基準局長、地方の知事に対しまして、労働時間短縮の行政指導を進めるように指示してあるわけでございますが、私ども労働行政の分野で扱います対象は民間の労働者でございます。私ども立場といたしましては、公務員も含めましてすべての労働者について労働時間の短縮、週休二日制の普及が進むことが望ましいというふうには考えておりますが、行政指導の対象としておりますのは、私どもの守備範囲でございます民間企業の労働者ということでございます。  具体的には、たとえば年次有給休暇の消化の促進というような重点一つにつきましては、監督署の監督官が個々の事業所を監督指導に歩きます際に、望ましくないような慣行がある場合には是正指導させるというようなことで、民間事業所について行政指導を進めるという立場でございます。
  55. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 労働省だから民間だけだというようなわけにはいかないので、やっぱり全労働者を対象にして労働行政というものがあり得るべきだ、ただ所管はいろいろ違うかもしらぬけれども。そういう立場で、ぜひ強力な指導をこれからも求めたいと思います。  いずれにせよ、民間の週休二日制、時間短縮というのは年々拡大していることは事実です。そして、これは後戻りすることはないと私は思います。最近の円高ドル安の状況というのは、国際的にも、公正な労働基準とでもいいましょうか、労働時間を含めて、労働の質と密度を含めて、労働条件を含めて問われているというふうに思われています。国際的な批判というものも、日本の労働の実態についていろいろな批判が寄せられているわけであります。その中で、国内的に言えば、雇用創出あるいは雇用の確保という点からも、週休二日制、労働時間短縮というのはいまこそ実現をすべきだ、実行すべきだ、私はこのように思います。  人事院に伺っておきますが、今度のこの勧告の中ではまあINGで始末をされたわけでございますけれども、私は、そういう社会経済状況あるいは国際的な環境という立場から見るならば、思い切ってもう一言、試行の途中でありますけれども、物を加えてほしかったという感じがいたします。いずれにせよ、人事院立場というのは決して後退はしないというふうに確信してよろしいかどうか。  それから同時に、この勧告に当たって、週休二日制、労働時間短縮の問題についてどういう配慮が、文章にあらわれているかどうかは別として、なされているかということについて、これは恐縮ですが、総裁の御答弁を煩わしたいと思います。
  56. 藤井貞夫

    藤井説明員 週休二日制をめぐる情勢の判断等につきましては、いまお述べになりましたことと基本的に私も同じつもりでございます。天下の大勢あるいは世界各国の情勢というものを見ました場合におきましては、やはり週休二日制というものは一つの大きな趨勢であるというふうな考え方をいたしております。  そういう考え方をいたしますればこそ、人事院といたしましても、この問題はやはり本格的に取り上げてやっていかなければならぬ時期に来たのであるという立脚点に立ちまして、そのためには、まず第一に、公務の特殊性から言って、能率が下がるとか、あるいは国民に行政執行の面で迷惑をかけるとか、その他のことがやはり基本的にあってはならないというような線から、テストをやってみることが必要であろうという立脚点に立ちましてこれに踏み切ったわけでございます。  ただ、第一回のテストの場合におきましては、各省庁いろいろ実態が違っておりますし、これをやるにいたしましても、個々の事情が大変違います。われわれ、個々の省庁と具体的にひざを突き合わせて検討を加えました結果、やはり同じようにやっていけない、同じようにやっていくとどうしても問題点が出てくるというようなところで、ニュアンスのあることがわかった面もございますので、それらの点を含めながらやってきたわけでありますが、したがいまして、第一回のテストでは諸般の事情からやれなかったところ、あるいは一般の基準に達して人並みに実施が不可能であったというところもあったわけであります。  ただ、それではやはり困りますので、さらに創意工夫をこらしていただいて、できるだけ範囲を広げて、密度を濃くしてこれをやっていって、問題点の把握に努めることが必要であろうということから、再度のテストに踏み切るということにいたしたわけでございます。そういうことから、現在、この四月以降一年を目途にして第二回のテストに入っておるわけでございます。したがいまして、いまテストをやっておる段階でございますので、テストの結果が出ます来年の四月以降におきましてその結果というものを集め、また各省庁とよく検討をいたしまして、次のステップをどうするかということについて詳細に検討いたしました結果、結論を出したい、かように考えておる次第でございます。  われわれの基本的な姿勢というものは、この問題について物を言い始めまして以来変わっておりません。やはり天下の趨勢、世界の情勢から申しまして、やり方、時期等の問題については、なおいろいろな点をひとつ綿密に検討をしていかなければならぬ。また、これが直ちに行政執行の円滑化、国民に迷惑を及ぼすかどうかというようなことにも大変密接に関係をいたしますので、それらのことを十分に問題として把握しつつ、対策をどうしていくかというようなことについては慎重でなければなりませんが、基本的には、やはり方向としてこれは推進をしていくべきであるという姿勢については変わりはないつもりでございます。今後ともそういう立脚点に立ちまして、次のテストの結果が出ました上において、これを慎重に検討し、分析をいたしました結果、そのときのいろいろな情勢をも総合的に勘案をいたしまして、次のステップをどうするかということについて結論を出したい、かように考えております。
  57. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私は、再試行というのは、言ってしまうと、もともと時間かせぎだと言われてもやむを得ない、恐らく人事院立場からいけばそうだろうと思うのです。私は、ここでそこまで問おうとは思いません。ただ、そういう立場から言うと、ことしの勧告にどうしてももうちょっと違った形で盛られてほしかったものだ、こう思うのです。しかし、結果は結果であります。  そこで伺いますが、来年の三月三十一日に試行が終わるわけであります。その結果、八月の勧告までその集計や対応に時間がかかるというのでは、これはいささか困るのでございまして、いまの円高ドル安の経済状況や、あるいは雇用不安と言われる状況に対応して、できるだけ早く結論をまとめること、そして結論がまとまったら、本勧告とも切り離して、いろいろな方法があろうと思います。前回の書簡みたいな方法もあるかと思いますが、それはそれとして、人事院としての意思表示をぜひ願いたいものだと、このように思いますが、この点については御答弁をいただけますか。
  58. 藤井貞夫

    藤井説明員 第一回のテストを行いましたときは、後の結果の報告、収集、分析等に要しました時日は約三ヵ月でございました。それでもって大体の結論がわかりましたので、次のステップということでわりと早く判断を下して、具体的な措置をお願いをしたというふうに考えております。  今度の場合、第二回の試行でございますので、恐らく調査につきましても前以上にかかるということはあるまいと思います。対象がふえておりますので、その点の一つの問題があるにいたしましても、全体として見ます場合においては、第一回よりもさらにおくれるということは恐らくあるまいというふうに私も考えております。なれておるという点もございましょうし、そういう点はそういうことだろうと思いますが、何分にもこれは末端の地方機関全部を調査をしてこの資料を集めるという段階が入ります。それでなければ全般を把握するということができませんので、そういう事務的な前提ということはあると思いますが、その結果を出すための努力というものをできるだけ速やかな方向で持ってまいるということは大いに今後とも検討していきたいというふうに考えております。  そこで、具体的に申して、来年の三月三十一日で第二回のテスト期間が過ぎますので、それを受けて、ひとつ来年の一般的な給与勧告を待たずしてやるようにすべきではないかというお話がございましたですが、その点、大ざっぱに考えまして、三ヵ月ぎりぎりまでかかるまいと思いましても、期間的に言ってそう大変な短縮ができるというふうにも考えません。そういたしますと、時期的に言ってやはりほぼ八月に見合うようなことになりかねないのではないか。三月が終わってそれからいろいろ調査の結果を集めますから、四、五、六ということになりましてその結果を見ていろいろ対策を考究するといいますと、大体同じ時期になるのではあるまいかというような感じはいたしております。  しかし、その点はまだ仮定でございます。また、来年の一般給与勧告自体が八月になるものやらどうなるのやら、これはいま予測として申し上げる筋合いでもございません。ただ、どういうような週休二日制について結論が出るにいたしましても、この問題は来年のテストが終わりました次の段階においてどうしても一つの判断を示し、一つ結論づけというものはやっていかなければならぬ問題でございます。そういう認識は十分に持っておるつもりでありまして、そういう角度からできるだけ早く結論を出して、次のろアップに踏み出すというための懸命の努力はいたすつもりでございます。
  59. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 総務長官、じっと座っておられるので、時間短縮のことで一言発言を願いたいのですが、ことしの人事院勧告というのは来年の勧告までの、要するに公務員労働者の労働条件を担保すべきものというふうに思うのです。ですから、いま総裁からお話がありましたように、来年の時間短縮、週休二日制に対する勧告がどうなるのか、それはまだ未確定でございますけれども、いずれにせよ、国際情勢や国内の経済の状態というふうなものを考えた上でも、政策的にも週休二日制というものに踏み切っていく決意がいまこそ求められている、私はこのように思います。  たまたま銀行法十八条の問題についても、衆議院大蔵委員会などでの決議などなど、さまざまな動きがございます。そういうことも踏まえながら、環境は非常に整備をされつつある、現実に民間の普及率というのが非常に高くなっている、もう七〇を超えていますか、八〇近くなっていますか、そういう状況ども踏まえて考えてみれば、これは決断である、こう思います。だから、この前大出委員質問に対して、ちょこちょこと後ろ向きみたいなこともつけ加えて御答弁されましたけれども、そうではなしに、いまこそ円高ドル安という国際情勢や国内の雇用不安という実態に見合って、それから民間企業の動向などというものも含めて、前向きな答弁を煩わしたいものだと思います。
  60. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点につきまして人事院総裁からるる話がありました。第一回目は、御承知のように各省庁が参画をしなかったところもある、世論の情勢、状態、それから民間団体でも大体定着をしつつあるという、もちろん反対もあります。また当然賛成もあります。そういう意味から再試行に踏み切ったわけであります。  そこで、結果が来年の三月三十一日、これまで調査をしていただくことになるわけでございますが、人事院勧告と申しますか、実態を尊重して、先ほど来の給与勧告をそこまで延ばすのか。これは当然違う筋のものでございますから、できるだけ実態調査が把握され次第決定してまいりたい、こういうふうに考えております。
  61. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 時間が迫ってまいりましたので、急がなければなりません。  自治省にお伺いをいたしますが、試行の実施状況というのをお聞きしますと、全国三千三百ですかの自治体のうち二百二十ぐらいしか実行されていないということをちょっと聞きましたけれども、この辺の数字を確かにお答えできる方おられますか。
  62. 石山努

    ○石山説明員 週休二日の問題について、私、所管外でございますので、的確にお答えできませんが、いま御指摘になりましたように、試行の問題については、すべての団体において試行がなされているという状況ではないということでございます。
  63. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 あなたに言っても申しわけないけれども、これはやはり自治省が本腰を入れてやっていくという方向を出さなければ、地方自治体もあっちこっち向いていると思うのですよ。だから、地方自治体の自主的なものであるにしても、その辺は十分それらの普及に対して努力を払うべきだということを申し上げておきたいと思います。  大蔵省に、これは要望を含めてちょっと申し上げておきたいと思うのですが、今年度予算も、いわゆる給与改善費という形で予算が編成されております。勧告がこれを下回ったことから、いわゆる給与改善費についていろいろな批判が寄せられていることは事実であります。私はこの機会に、この批判に反論するために意見を少し述べさせていただきたいと思うのであります。  と申しますのは、御承知のとおりに今日の給与改善費というのは、人事院勧告の完全実施に至る長い歴史の中から生まれたいわば英知だろうと私は思います。また言葉をかえて言えば、さまざまな試行錯誤の中で政治そのものが生み出した英知だというふうにも言っていいのかもしれません。そういう立場からいうと、ここでは私、昭和三十五年からの完全実施に至る歴史をひもとくつもりはございませんけれども、ようやく定着をしてまいりました労使の慣行、それを担保する予算のあり方、こういうものを年度予算の状況に左右されて動かしてしまうとかあるいはこれを崩してしまうとか、こういうことのないように、これは私は強く求めたいことであります。来年度予算もこの給与改善費のあり方を貫いていただきたいものだと私は思いますが、この点について大蔵省の担当官が御答弁が願える範囲で御回答を煩わしたいと思います。
  64. 日吉章

    ○日吉説明員 従来給与改善費として計上いたしておりました五%相当額の改善費につきまして、今回その五%の改定費の範囲内の勧告にとどまりましたことに関連いたしまして、来年度以降も従来どおりの給与改善費の計上をするのかどうか、こういうふうな御質問というふうに理解いたしましたが、来年度の予算編成につきましては、これから各省庁の予算を受け取りまして査定作業に入るということでございます。したがいまして、いまの段階から確たることを申し上げることはできませんが、御指摘の点につきましては、今後の経済社会情勢の推移等をも含めまして諸般の事情を総合的、慎重に検討いたしまして、いかに対処するのが適切かを考えたい、かように考えております。
  65. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私の申し上げた意味というものをあなたは御理解がいただけたかどうかを、大変恐縮ですが、もう一遍御答弁を願いたいと思います。
  66. 日吉章

    ○日吉説明員 給与改善費を計上いたしておりましたのは、年度間を通しまして財政需要それからまたそれに対応いたします財源を措置する、そういうふうな総合予算の考え方の一環といたしまして計上いたしていたわけでございまして、今後もそういうふうな形で、やはり予算といたしましては、年度を通じましてもいろいろな財政需要に適切にこたえられるような財源を措置しておくのが適切かと思いますが、その場合にどのようなものをどのような程度で計上しておくのがいいのか、あるいはまた計上しなくても不都合がないのか、その点につきましては今後の経済情勢等も含めまして慎重に検討いたしたいと考えております。
  67. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私のお尋ねしている意味、私の主張している意味、要望している意味がおわかりになりますかと私は言っているのです。総合予算主義のたてまえというものは田中大蔵大臣の時代から貫かれてきているわけだけれども、その方向というものをことし大きく変更する必要はないと私は思っておるのです。その立場についてぜひ大蔵省の御努力を願いたいと言っているわけですから、その点は話をはぐらかさぬで、そう言っては悪いけれども、お役人様答弁の典型的なような答弁じゃなくて、もうちょっと御親切な御答弁を願いたいと思います。
  68. 日吉章

    ○日吉説明員 先生の御質問趣旨は十分わかるつもりでございます。そういう意味で、やはり予想されます財政需要に対しましては十分対応できるような形で予算を組むべきだという考え方につきましては、来年度におきましても大蔵省は基本的には方針を変えるつもりはないと私は考えております。ただ、その場合に、従来どおり五%の給与改善費を組むことが適切かどうかという点は、今後のいろいろな事情を検討した上でなければお答えできない、かように考えております。
  69. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 結構です。「ただ」以下は本当は要らないのです。だけれども、そうは言っても、課長さんですからそう言わざるを得なかったのでしょうが、私の申し上げている意味をよくひとつ大蔵省内部で検討なさっていただきたい。歴史がある、政治の英知だ、そして、よりよき労使慣行を築いていく目標に向かっても欠かすことのできない、いまや定着した慣行になっているということを方針として貫いていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  自治省にお尋ねしますけれども人事院勧告とは直接関係がないという議論がありますが、公営企業や市町村の職員については当然国に準ずる措置というものをとっていくことになると思うのです。これは後で大臣にお伺いをいたしますけれども閣議決定を受けたら、これは財源もあるわけでございますので、地方議会は九月のところもございますし、十月のところもあるわけでございますから、早期支給という、早期決定、早期精算という立場から考えても、そのようにしていくことが妥当ではないだろうか、そんなふうに思いますけれども、金額が安いだけに早目に支給するという配慮が必要だと私は思いまして、その点を含めて御答弁を煩わしたいと思います。
  70. 石山努

    ○石山説明員 お答え申し上げます。  地方公務員給与につきましては、国家公務員について給与改定が行われますと、当然その給与改定検討がされるという運びになるわけでありますが、ただいまの実施の時期の問題につきましては、人事委員会がありますところはその勧告がいつ出るか、人事委員会のない市町村等におきましては職員団体との交渉がどういうように進められるか。さらに議会の招集の期日が、これは団体によって非常に違いがございます。私どもとしては、基本的に国家公務員給与改定に先行して給与改定実施するのは適当でないという考え方を持っております。そういうことから、できるだけ早く給与改定実施するということが望ましいことは言うまでもないわけでありますが、そういう諸般の事情がございますので、団体によってはその実施時期に若干の違いが出てくるということもあり得ようかと思います。私どもとしては、従来からそうでございますが、国家公務員給与改定についての動き等はその都度連絡をいたしまして、地方公務員給与改定の円滑な実施にできるだけ支障がないように今後も配慮したいというふうに考えております。
  71. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 もう時間がございませんから、あとはまとめてやります。  一つは、これは言いっ放しでございます。人確法に基づく教員給与法、これは、私どもは第四次というふうに言うわけですが、人事院は第三次と言っておりますけれども、いろいろな反対の意見があり、いろいろな経過がございまして、人事院の早期支払いという立場からも支障を来すおそれというものが現実にあるわけでございまして、しかも関係者はこれを返上するという形さえあらわれているわけでございますので、これを同時に勧告なさるということは、余りにも乱暴ではないかというふうに思います。それで、これは一般職給与法と切り離して慎重にやるべきである、このことを主張しておきたいと思います。  それから、総務長官、一番最後になりましたけれども定年制の問題がございます。これはアメリカのカーター大統領もことしからたしか公務員定年制をやめましたね。そういう状況もあるわけでありまして、公務員制度の根幹にかかわる重大な問題でございますので、労使の意見を十分踏まえて慎重にやるということをまず一点お答えを願いたいと思います。
  72. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 定年制の問題でありますが、御指摘のように基本的な問題になってまいりますので、いろいろ意見を承りながら慎重に検討してまいらなければならぬというふうに思っております。
  73. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 私、慎重にやれと言いましたが、慎重に取り扱えというふうに言葉を訂正いたしておきたいと思います。誤解を受けてはいけませんので、そういう気持ちでございますので、御理解を願いたいと思います。  それから最後に、人事院勧告閣議決定というのはいつおやりになるおつもりですか。これは給与担当大臣として、たしか総理大臣の中東訪問が九月の五日だそうでございます。たしか九月は一日と五日が閣議だというふうに承っております。早期決定、早期精算、先ほど言ったように、もうちょっと高いだろうと思っていたところが大変安い勧告でございまして、厳しい勧告でございまして、しかも言ってしまうと、三年来の低賃金というわけでございます。もっとさかのぼって言えばいろいろ言えますけれども、とりわけ三年間が厳しかったということを含めて申しますと、早く支給をする道を開いていただきたい。それがせめてもの総務長官の親心だと私は思いますので、九月一日の閣議に出して何とかできるだけ早く支給をするようにしたいという決意を承っておきたいと思います。
  74. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 人事院から勧告を十一日に受けました。そこで、直ちに関係閣僚会議検討いたしました。主管大臣といたしましては、できるだけ速やかに決定するように最善の努力をいたしたいと思っております。
  75. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 たとえば九月のごく初めにというようなことは言えないですか。あなたば主管大臣なんだからやる気になればやれないことはないでしょう。予算はあるわけですよ。どうです。
  76. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 各省検討いたしておりまして、九月幾日といったことについてはいま申し上げるというわけにはまいりません。
  77. 岩垂寿喜男

    岩垂委員 終わります。
  78. 高鳥修

  79. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 去る十一日に、人事院総裁は、国会並びに内閣に対しまして人事院勧告をお出しになりました。私は、公明党を代表して、人事院勧告がなされました内容、並びにそれを承ってこれからいろいろと給与の法案を作成する総務長官に基本的な考え方をお伺いしたいと思う次第であります。     〔高鳥委員長代理退席、岩垂委員長代理着席〕  初めに、国家公務員法第二十八条には「給与を決定する諸条件の変化により、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。」とあります。五%以下であるならば、必ずしも勧告の義務をこれに付してはいないわけでありますが、今回の勧告は、民間の長期不況を反映して五%を大きく割る低率の勧告というふうになったわけであります。人事院ばどのような考え方で勧告を出されたか。また、三・八四%で勧告をしなければならなかったという理由については種々あろうかと思うわけでありますが、その点について人事院総裁はどうお考えになっておりましょうか。
  80. 藤井貞夫

    藤井説明員 いま御指摘がございましたように、国家公務員法の二十八条第二項には、俸給表で五%の増減の場合の人事院勧告義務というものについて規定をいたしておるのであります。これは先刻来も若干話が出ておったわけでございますが、初めはこの二十八条関係は第一項だけであったものが、その後の情勢の変化で公務員について労働基本権のいわば制約が行われた、その一連の措置との関係でこの規定が加わったという経緯がございます。いわば勧告権についての一つの指標というものをここにめどとしてはっきりさせたというところに大きな意味があると思います。  しかし、基本的には、この点につきましては、公務員給与その他の勤務条件というものは情勢の推移に適応して、それに対する対応措置が講ぜられていかなければならぬというのが原則でございます。しかもそのことは、やはり国家公務員でございますので、その基本的な条件についての規定は国会によって法律をもって規定せられなければならないということが第一項で述べられておると同時に、あわせまして、それの前提として、人事院というものは、常にそれらの背景となります事情の変化等について詳細な検討を怠らないで、その結果について勧告を怠ってはならないというような立て方に相なっておるというふうに考えておる次第でございます。この点は、さらに詳細には他の一般給与法の規定なり何なりにも、その裏づけとなりまする勧告の規定その他が入っておりますことは、すでに御承知のとおりでございます。  そこで、いま先生もお話しになりましたように五%の増減ということではありませんので、二十八条第二項に基づく勧告義務というものは、その意味においてはないという見方が成り立ちます。ただ、これについては、前段申し上げましたように、情勢適応の原則と、それに対応するための人事院勧告というものを怠ってはならないという規定がございますので、それに即応した措置というものを常に講じていかなければならない。ところが、ことしの場合は、民間の非常に厳しい情勢を反映いたしまして、較差というものが、三・八四ということに相なったのであります。そこで、当然、これをどういうふうにして取り扱っていくかということが大変な問題になったわけでございますけれども、これについては情勢適応の一般原則からいって、別に五%ということについて、無論それを超えなければ勧告してはならないという規定ではなくて、むしろ情勢上、情勢適応ということになれば、積極的にこれに対して対処するのが基本的な姿勢としても正しいのではないかということがございます。  そのほかに、その後における情勢の変化に応じまして、たとえば三公五現の取り扱いの関係、三・八四%とは言いながら、やはり民間においては四月時点を前後にいたしまして春闘というものが行われて、これに見合う給与改定その他が民間一般においては行われているという事態がございます。さらには、このごろの情勢に相なってまいりますと、その基本になります給与というものがすでに十八万とか十九万とかというようなことになってまいりますと、一%といえども、これはそう無視ができる数字ではない。一方、生計費その他につきましてはやはり上昇が見られるわけでもございますので、実質的な給与の担保の必要性その他を考えていくこともまた必要ではないか。そういういろいろな観点を総合的に検討いたしました結果、人事院といたしましては、やはりこれの較差が厳然とある限りは、この較差を埋めるために勧告を行うべきであるという結論に達しまして、この勧告の実現ということを国会及び内閣に対してお願いを申し上げておるということでございます。
  81. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、たとえば仲裁裁定、三公社五現業等の取り決めの問題、あるいはまた来年賃金の較差が大きく出て累積されるという問題、あるいは一%でも、いま現在賃金が非常に大きいわけでありますから、そういうことを考えたときに、人事院としては、生計の動向その他の諸般の事情という観点から五%以下でも勧告をされたということでありますから、そうなりますと、これからやはり五%以下という数字が出ても、これは引き続いてそういう観点から勧告をお出しになるということに間違いございませんか。
  82. 藤井貞夫

    藤井説明員 ことしの場合は、さきに申し上げましたような諸事情を勘案いたしました結果、勧告をお出しすることに相なったのでございます。したがいまして、そういう意味では、近来なかった五%以内の勧告が行われたという新しい事実があるわけでございます。将来の問題といたしまして、たとえば何%であればしからば勧告に踏み切るのか、何%以下の場合はやらないのかというような事柄につきましては、私自身、いまここではっきり腹を決めているわけのものでもございません。また、そういうふうに形式的に決めるべき筋合いのものではないというふうに考えております。  しかし、諸般情勢から言いましてやはり民間のしかるべき数、パーセンテージの従業員について何らかの措置が講ぜられた場合におきましては、金額全体としては仮に少ないものであってもそれに見合う措置をやっていくということが、官民給与均衡の問題からいってむしろ適当なのではないだろうか、公務員なるがゆえにそれを見送る、来年回しにするとかいうことはむしろ適当ではない、私はこういうふうに基本的に考えております。
  83. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院勧告の早期完全実施に対する総務長官のお考え方をお聞きしておきたいわけであります。  十一日に給与関係閣僚会議を開きまして、人事院勧告の取り扱いについて協議をされました。政府としても誠意をもって勧告に対処する、諸情勢を慎重に検討の上、改めて会議を開き決めるとの方針を決めたということでありますけれども、諸情勢を慎重に検討の上とは、具体的に何を言われておるのであるか。また、改めて会議を開き決めるというのは、いつ会議をお開きになることを意味しておるのでしょうか。
  84. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 完全実施の問題でありますが、人事院は厳正中立、公平という第三者機関でございまして、人事院勧告を尊重するたてまえをとっております。しかしながら、先ほどもお答え申し上げましたように、十一日に関係閣僚会議をいたしましたが、このときには決定を見るに至らなかったのでございますが、できるだけ早く各省庁に働きかけまして決定をいたしたいと思っております。  諸情勢の問題でありますが、これは、経済情勢、社会情勢が大変厳しい中に公務員給与を引き上げていくわけでございまして、納税者というか、広く国民の了解を求める必要があるのではないか。ただ財源だけの問題でなく、いろいろな今後の諸政策等々を総合的に判断をして慎重にと、こういうところの意味であります。
  85. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでなくても今回の勧告は三・八四%と、かってない低勧告でありますが、そう考えたときに、公務員の諸君は大変に生活の問題とかあるわけであります。そこで給与担当大臣として、四月にさかのぼって完全実施、これは基本的な問題であるわけですが、総務長官給与担当大臣として、完全実施はされる。先ほども人事院勧告を尊重するということをはっきりここに言われた以上は、少なくとも完全実施はやるのだ、これだけの御決意はございましょうか。
  86. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 いま申し上げましたように、厳正中立、公平という第三者機関の人事院勧告を尊重するというたてまえをとっておりまして、先ほども申し上げましたように関係閣僚会議を開きましたが決定に至らなかった。しかしながら、完全実施と先ほど来も申し上げましたように、私は当然人事院勧告を尊重すべきである、そういう意味から、今後一日も早く、速やかに決定するように最善の努力をしてまいりたい、こういうふうにお答えをいたしたいと思います。
  87. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 給与担当大臣としては当然の話です。完全実施をするという基本的な考え方があなたにない限りは、給与関係大臣の中においてなかなか話がまとまらぬ。ですから、そういう意味においては、人事院勧告を尊重するという立場において完全実施をする、これはいま言われたわけでありますから、さらに努力をしていただきたい。  そこで、再度総務長官に確認をさせていただきますけれども、今回提出した人事院勧告に対して早期に実施をするというわけでありますけれども、いまうわさをされております。近いうちに臨時国会が開かれるであろうと言われているわけでありますが、そのときには法案はお出しになる、こう考えていいわけですね。
  88. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 ただいまのところ、臨時国会問題について触れるわけにはまいりませんが、問題は、臨時国会が開会されればこの法案は提出するかどうかということであります。当然提出をさせていただきまして、御審議をちょうだいいたしたいと思っております。
  89. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院総裁にちょっとお聞きしますけれども、今回の勧告に当たって経団連あるいは財界から、賃金の民間との比較を、そのときどきの水準比較だけではなく、年金、退職金の実態も含めた生涯賃金比較で行うべきではないかとか、いろいろアバウト的な、ナレーション的な意見が出されておるわけでありますけれども、その影響によってどうも三・八四%という低い勧告になったのじゃないかというふうに、一部言われている点もあるのですが、人事院総裁は、その点についてはどのようにお答えなさいましょうか。     〔岩垂委員長代理退席、高鳥委員長代理着席
  90. 藤井貞夫

    藤井説明員 人事院給与勧告をめぐりましては、そのときどきでいろいろ立場立場からの批判なり、あるいは要請なりというものが出てまいるのが通例でございます。民間が不況等の場合におきましてはその声が特にやかましくなる、そういう性格を持っておるように思います。われわれの立場としても、それ自体はやはり自然な姿ということに相なると思います。ただ、われわれは、すでに御支持をいただき、御了解を賜っておりますように、基本的な姿勢といたしましては、公務員に団交権が制約されておる、それの代償的な措置として人事院が置かれておるということでございまして、したがいまして、この人事院というのは、官民較差を埋めるということを至上命令といたしまして、何らの政治的判断その他政治的な声というものに左右されずに、公正厳正な立場から事柄を処理していくというのがあくまでたてまえでありまして、そういう姿勢はいままでも崩したことはございませんし、今後ともそういう線について、これを改めたり、また左右されたりすることは絶対にあってはならぬというふうに考えておるのであります。  ただし、いま御指摘になりましたように、民間の経済団体等のみならず、近時、公務員についての生涯給与的な考え方というものが論議される度合いが強くなってまいったことは事実でございます。新聞その他の論説等においてもこのことが、ここ数年来の傾向といたしまして大変重要な関心を引いておるわけであります。それで、私は、いままでも申し上げてきたことであり、また機会のあるごとに申し上げておるのでありまして、そういうような見解があるということはそれなりに評価をして、問題の所在について謙虚に耳を傾けるということで、意見は意見として十分承知をし、また分析をしていくという気持ちを崩しておるつもりはございません。今後ともそういう姿勢で参りたいと思っております。  ただ、誤解のないようにお願いしたいということで申し上げておりますのは、給与を決定する、これは要するに毎月の生活費が中心になります。その給与を決定する際に、退職年金がどうだ、あるいは退職手当がこうだというようなことまで全部加味してやるというのは、多少筋が違っておるのではないだろうかという感じを私は常日ごろから持っております。あくまでこれは、毎月支払われる決まった給与をどういうふうに決めるかということは、いろいろ議論もありましたけれども、現在はその主体官民給与較差ということに置きまして、較差があればこれを埋めるということでもってやってきたのがすでに定着して、これは一つの慣行にまでなってきておるのであります。これはこれで一般の御納得も、まず大方においては得られておるものではないだろうかというふうに解釈をいたしておるのであります。  ただ、それに加えて退職手当なりあるいは年金あたりがどうも公務員の場合は有利ではないかというようなお考え方がございますが、その点はわれわれとしても、先刻申し上げましたように謙虚に受けとめて、いろいろな角度から検討をいたしております。いたしておりますが、これは給与の比較よりもさらに問題が非常にむずかしいことは御承知のとおりでありまして、退職手当制度にいたしましても、あるいは年金一つとってまいりましても、民間の年金の主流は厚生年金ということでございますけれども、そのほかに、非常に多数の企業におきましてはいわゆる企業年金というものが並行して行われておることも、これは事実でございます。それらの企業年金の実態も、ある程度はこちらも調べており、また把握しておる面もございますけれども、しからば、その企業年金の中のどれと公務員の共済年金とを比較することが妥当であるか、またその平均をとることが、給与と違ってどれほどの意味があるのかというような大変むずかしい問題もございます。  それと、もっと根本的に私として疑問に思いますことは、退職年金とかあるいは退職手当とかというものは、あくまでその決められまする給与を基本にして年金をどういうふうにしていくか、あるいは退職手当等につきましても、その決められた本人の給与基礎にして、やめられるときの在職年数その他を加味してどのように積み重ねをやっていくかという問題でありまして、主体はやはり月々のその給与でございます。それを基礎にして、たとえば民間の平均よりも高いとか低いとかというようなことを比較検討する点は、私はそれなりの評価ができると思いますし、やはりそれを無視して通ってはならないという時期にまで来ておると思います。  しかし、それらの問題については、御承知のような複雑な沿革、歴史、また、年金等にいきましては本人の掛金その他の問題、いろいろな複雑な問題がここにまつわってまいります。そういうようなことを前提として考えながら事柄に対処していかなければ、かえって間違いを起こすことになりはしないかという点を実は危惧いたしておるところでございまして、繰り返し言いますようでございますが、あくまでその基本というものは月々の給与であり、その給与を基本にして退職手当をどうするか、あるいは年金制度をどういうふうにしていくかという点については、これは別個の角度からいろいろ検討を進めてまいらなければならぬ問題だろうと思います。  それで、それらの点について人事院は全く無関心である、あるいは所管外であるというようなことは申しません。大いに関係のあることとして慎重に対処をしなければならぬという認識は持っておりますが、これも御承知のように、現在、いろいろないきさつから退職手当総理府所管ということになっておりますし、また年金は、別個の団体といたしまして共済組合というものができておりまして、この所管は大蔵省であるというような点もございます。特に年金につきましては、他の関連をする各種の年金がございまして、それとの調整、均衡という問題は、別個の重要な問題として各方面においていろいろ論議をされておるということもございます。それに並行して、われわれはわれわれといたしまして、われわれ独自の考え方からこの問題について取り組むという努力は今後も続けてまいるつもりでございますけれども、そういうような一つの画然たる限界点、問題の線の引き方というところにはいろいろ考えなければならぬ点があるということを、機会のあるごとに私の口からも申し述べておるところでございます。
  91. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 人事院勧告の早期勧告ということは常に叫ばれているわけであります。特に五十一年十月二十六日の附帯決議には「政府並びに人事院は、給与の早期支給を含め、支給手続の改善について引き続き検討すべきである。」ということを述べておりますが、五十年にはたしか十三日に勧告され、五十一年には十日、五十二年は九日と、ここ数年間、非常に勧告が早まってきておる。まことに結構な話だなと思っておったやさき、実はことしは十一日、こういうことでおくれたわけですが、それには何か理由があるのでしょうか。
  92. 藤井貞夫

    藤井説明員 特別の意味があったわけでございませんで、国会でもいろいろ決議等もいただいております。人事院人事院なりに、早期支給の実現ということであらゆる努力をしてまいらなければならぬ立場にございますし、事実そういう努力はやってきたつもりでございます。  たまたま本年の場合、十一日ということになりました主たる原因は、結局今度の勧告の際に、同時に例の人確法に基づく第三次後半の措置を完了しなければならないという一つの付加的な問題があったということでございます。  実はこの人確法の第三次後半分につきましては、予算措置その他もすでに前々から講じられているところでございまして、もっと早期にやらなければならぬという問題であったわけでございます。ただ、主任制度問題等中心にいたしまして第三次の前半分が、御承知のとおり昨年の十二月に一般勧告とともに同時に解決をしたということがございまして、もう一度人確法の最終的な勧告をいたす際には、いままで三回にわたってやりました勧告のおさまりぐあい、あるいはそれでもって大所高所にもう一遍見直してみて、こういう点が抜けているではないか、こういう点についてば措置すべきではないかということをにらみ合わせる必要性もございましたので、今度の勧告の時期まで延びたのでありますが、その分だけ、実はいままでもいろいろそういうことを頭に入れながら作業はしてまいりましたが、どうしても一時的に集中するものでございますので、そういう点がプラスされたために、懸命の努力にもかかわらず若干のずれが生じたという点はあろうかと思います。しかし、その点は全く事務当局といたしましても、私の口から申すのはいかがかと思いますが、それこそ昼夜を分かたずの懸命の努力をしてもらった結果、この程度の勧告時期にお出しすることができたのではないかと考えておるわけであります。  しかし、基本的には早期実施、早期支給という大前提がございますので、今後ともわれわれの立場としてなし得ること、すなわち勧告の時期をできるだけ正確ではあるけれども急いでやって早く結論を出すということについては、今後ともさらに一層の研究、努力を怠らずに進めてまいりたい、かように考えております。
  93. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大蔵省にお伺いいたしますけれども、今年度の予算に計上した給与改善費は幾らになっておって、そして今回のこの勧告に伴う完全実施にはどれだけの金額が必要なのか、その点についてお伺いします。
  94. 日吉章

    ○日吉説明員 本年度予算におきまして給与改善のために計上されておりますいわゆる給与改善費でございますが、これは一般会計におきまして二千六百三十億円でございます。  なお、今回の人事院勧告を仮に完全に実施するといたしました場合に、それに伴いまして必要な金額でございますが、これは概算いたしまして千九百十億円ばかりになろうかと試算いたしております。
  95. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、当然今回、ことしの予算に計上した給与改善費の部分で十分に完全実施はできるわけであります。昭和三十五年にいまの勧告制度ができて以来、勧告が五%を割ったのは初めてであるわけでありまして、当初予算の段階で五%のベア相当分を計上する給与改善費を下回る結果となったわけでありますが、来年度の予算編成においては、人事院勧告の完全実施という立場から予備費中に五%の給与改善費を組むという考え方には変わりはないと判断してよろしゅうございましょうか。
  96. 日吉章

    ○日吉説明員 先ほどもお答えいたしましたのと同じことになるわけでございますが、来年度予算におきまして、給与改善費といたしまして給与費の中に、あるいは予備費といたしましてそれを計上することにいたしますかどうかにつきましては、今後の経済、社会情勢等を含めまして諸般情勢を勘案しながら計上することがいいかどうか、あるいは計上するといたしました場合にもどの程度の金額が適当か等総合的に、慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  97. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、長年、給与改善費は、予備費に五%ということは実際には定着してきているわけですね。五%以上になった場合においては勧告するという制度がとられているわけです。そこに五%という一つの基準が出ているわけでありますけれども、そういうことに対して、諸般状況で五%がいいかどうかについては考え直す、こういうことですか。
  98. 日吉章

    ○日吉説明員 私は、経済情勢の推移等も踏まえまして諸般情勢を勘案してと申し上げましたのは、もし仮にのことでございますけれども、明らかに来年度におきましても官民給与較差がそれほど大きく出ない、あるいは出ないことが確実に見込まれるとか、あるいは見込まれ得る可能性が大きいというふうな状況になりました場合に、本年度のように五%相当額を計上していくことが、果たして乏しい財政運営の中におきます予算計上の仕方あるいは編成の仕方としまして適当かどうか、そういう点の問題があろうかと思います。したがいまして、そういう今後の経済情勢の推移等をも含めましていろいろな情勢を勘案いたしまして、慎重に総合的に検討いたしたい、かように考えております。
  99. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 三・八四%という勧告率は物価上昇率を下回っており、公務員の生活保障という面では非常に問題があると言われているわけであります。  そこで、民間においてドリフトとか解決一時金とか二段賃上げがあると言われておりますけれども、それを含めると今回の勧告率はもっと高くなるのではなかろうか、こう言われているのですが、その点についてはどうなんでしょうか。
  100. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答え申し上げます。  一般に本年はそういう傾向が多いのではないかと言われておりましたので、昨年も、人事院職員が直接調査する対象については、そういう調査をちょっとしてみたわけでありますが、ことしは、さらに、そういうことで気にして調査をいたしておりました。ところが出てきました結果は、それほどドリフト的なといいますか二段構えでありますとかそういう状況は、私ども調査いたしました時点においては非常に少ない、全体の事業所の中の二%くらい、二、三%のところでそういう形の支払いがあったにとどまっておるようでございますので、もう少し精細によく中身を開いてみたいと思いますが、さして多くはなかったというのがことしの状況でございます。
  101. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の低勧告、すなわち三・八四%について扶養手当を最重点と考えておられるわけでありますけれども本俸と諸手当配分の基本についてはどのようにお考えになっていましょうか。
  102. 角野幸三郎

    ○角野説明員 昨年もそうでございますが、勧告全体の厚みが少ない場合にはどうしても本俸を考えることになります。特にそういう場合には、世帯持ちといいますか世帯形成年齢のところに重点を置かざるを得ないということになります。  そういうことで考えますと、まず、俸給表の上で当該世帯年齢に当たる等級号俸の制度的なところを見まして、そこにお金をつぎ込むということが第一点としてございます。それからさらに、それだけではございませんで、もっと較差がございますればそれは別でありますけれども、ことしのように、さらに去年よりも較差が少ないということでありますので、それならばやはり手当、そういう場合に具体的な処置として当たるのが手当のいいところでございまして、それにはまさに諸手当のうちで扶養手当は、ちょうどそういう目的にかなう手当でございます。そういうところで、本年の扶養手当を最重点にしたと説明いたしておりますが、妻といいますか、配偶者を千円引き上げましたということは去年と同じ引き上げ額でございますが、子供につきまして、一人目、二人目まで四百円引き上げております。昨年は百円ずつでございましたが、これを四百円ということで、結婚年齢、夫婦だけでございますが、それから子供が一人でき、二人でき、そういうところまでお金が行き渡るように、乏しい較差の中で非常に家族構成を考えながら重点配分をしたということに相なっておりまして、結果的でございますけれども、そういう本俸俸給と、それからそれ以外の手当のバランスというのは、去年よりさらに扶養手当の方に重心が行っておるということでございます。大体給与構成で申しますと、ことしの配分俸給手当のバランスが、俸給が八二でございます。従来大体八五前後ということでやっておりますが、少し給与構成が扶養手当関係手当に偏っておる、そういうことでございます。
  103. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 俸給表改定内容を見ますと、平均においては三・六%アップでありますけれども初任給を含めて俸給の中での配分はどのような考えで行われたのでしょうか。
  104. 角野幸三郎

    ○角野説明員 基本的に申しますと、ただいま御説明申し上げましたように、中堅クラスといいますか、世帯構成に着目して、結婚年齢から始まりまして、これは七等級でございますが、子供が一人でき二人できる、六等級、五等級と、その辺に最重点に原資を配分するということに着目をいたしました。しかし、先ほど来申しておりますように、全体の風袋が低いものでございますので、できるだけその配分の傾斜をつけました。まず、現在の雇用情勢といいますか、若年労働力が従来に比べて大変さま変わりに緩和いたしてまいりました関係上、初任給を、据え置きではございませんが、例年見られなかったほど低い引き上げ額に抑えておるということが第一点でございます。したがいまして、初任給のあります等級、すなわち八等級、高卒の一般係員の等級でございますが、ここのところは、全体の平均俸給引き上げ率よりも一%くらい低目に抑えたというのが事実でございます。二・七%という数字でございます。  それで、それ以上の等級、それより上の方でございますが、これは急激に厚みを増しまして、世帯年齢に対応するように三・七%というような高い引き上げ率を五、六等級に用いております。しかもこの積み上げ方は、どちらかといいますと、一つの等級の中で一番職員が集中しております中ごろ、あるいは中ごろからやや先の号俸のところを最重点に引き上げをやっておりまして、そういう意味で非常に実質的な配分をしたと思っております。それから上の方の高い等級、三等級、二等級、一等級は、これは下の方からのバランスを考えながらずっと収斂をしたという形になっておりまして、特に特徴はございません。  それから、各俸給表の各等級の中でもう一つの特徴は、今度は高い号俸でございます。非常に末号といいますか、号数の高い終わりの方の号俸でございますが、これはできるだけ引き上げ額をかげんしたといいますか、抑えたことは事実でございます。等級の高い号俸の方でございますが、昇給額を昇給間差額とわれわれば申しておりますが、昇給間差額を、給与改定いたします前と同じ間差額になるような、いわば昇給額としては抑制的な改定しかしておらない。  それから同時に、毎年これは各等級の中の職員の号俸別実態を考えながら、号俸延長ということもときにやるわけでございますが、号俸延長といいますと、最高号俸に行きまして、枠外になりますと、そこから先は、一年で昇給するところが一年半とか二年とか延びる、そういう場所がございます。それで、職員がそこにある程度大ぜいおりますときには、これは号俸を延長するというようなことを従来やっておりますが、ことしはそういうことで、その周辺の号俸の昇給額を抑えますと同時に、号俸延長の措置も一切やらなかったというのが特徴でございます。  それからもう一つ、上下という関係で申し上げますと、初任給の中で大学卒の初任給につきましては、試験採用者ということで、そういう考え方を軸にいたしまして初任給調整手当を現在支給いたしておりますが、これも、先ほど来申しておりますような若年労働力の需給のバランス、現在の状況等を考えまして、これは原則としてやめるという方向を打ち出しておりますのも、そういう上下配分傾向一つに連なるものだと考えております。  大体以上でございます。
  105. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま御答弁で明らかになったわけでありますけれども、世帯持ちの中堅層中心に引き上げられた。高位の号俸の昇給額は抑えられておるわけであります。中でも「指定職職員については、本年における特別の事情を勘案して、その俸給を据え置くことが適当と考える。」こういうふうに改善を見送っておるわけでありますが、どういう御理由でしょうか。
  106. 角野幸三郎

    ○角野説明員 指定職俸給表につきましては、その改定を全く見送ったということは初めてでございます。かつて、昭和四十年でございますが、当時指定職俸給表は甲と乙に分かれておりました時点の甲、事務次官でございますが、そこのところを据え置いたということが一回ございましたが、今回のように、指定職俸給表の形は当時とは違いますが、据え置いたというのは初めてでございます。これは民間の役員調査を本年もやっておりますが、それを見ますれば、企業によっては改定を見送ったりあるいは中には減額したりというのもございますが、そういうことを含めて一般に平均いたしますと、やはり五%程度の役員の給与の引き上げということがあることは事実でございます。ただ、その中には、従来の、指定職の昨年、一昨年の調査のときと変わりまして、そういう抑制的な企業が大分まじっておる、そういうものも含まれておるということも事実でございます。  それで、やはり指定職俸給表は、たとえば行政職ということと対応して考えますと、行政職の一等級と金額的にはほとんどつながっている部分がございまして、これを据え置くことについては大変私ども、技術的な問題を含めて、いろいろ苦慮したわけでございます。でき得れば、指定職の十一号、十二号まで全部ということでなくて、下の方といいますか、若い号俸で行政職の(一)表と対応するようなところについては引き上げたらどうかというような案も検討したわけでありますが、結局はそれの分別といいますか区別をする線がなかなか技術的にもむずかしいということで見送ったわけでございます。これは民間でも、本年のような、産業別に好不況がございますが、景況に非常に気をお使いになってやはり役員クラスの引き上げをかげんされたと同じような意味で、私どもも、本年、全体の較差が五%未満であるというようなことも当然頭の中にあったことは事実でございまして、役員に対応します指定職の引き上げを据え置いて見送った、遠慮をしたという結果になったわけでございます。
  107. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 高年齢層職員給与については、「昭和四十六年以降いわゆる昇給延伸措置が講じられてきているにもかかわらず、その効果は必ずしも挙がっているとは認め難い。」というふうにしておりまして、そしてまた「昇給の停止を含め、高齢層職員給与について早急に適切な措置を講ずる必要がある」とありますけれども、なぜこのような措置が必要なんでしょうか。
  108. 角野幸三郎

    ○角野説明員 高年齢者の給与措置の問題でございますが、私どもはもっぱら給与配分の見地から考えております場合に、大きな配分の理念として三つばかりございます。  その第一番は、もちろん職務給でございますので職種別配分の問題、これがポイントでございます。二つ目といいますか、あるいはともに一番でもよろしいわけでありますけれども、年齢別、年齢階層別配分が妥当であるか。これが第二番目の問題でございます。それから第三番目として大きいのは、やはり地域的に見たときの賃金配分が妥当であるか。これが三つ目の問題であろうと思います。まだたくさんございますけれども一般に大きな筋として申しました場合には、民間に比べて給与配分の傾斜なり広がりがその三つの点においてどうなのかということが一番大事なことでございまして、本年取り上げております年齢階層別賃金配分民間との当該年齢との乖離ということを大変問題にしたわけでございます。  それで、これはその報告にも書きましたように、かつて昭和四十四年、五年にそういう問題提起をいたしまして、四十六年から実施しておるという昇給延伸の事実がございます。それ以後、毎年民間給与と比べましてその較差を年齢別に点検いたしまして、ずっとやってきているわけでございますが、四十六年からそういう措置を取り入れているにもかかわらず、そういう状態はほとんど好転していない、その乖離が直っていないという事実がございます。  これは相対関係でございますので、公務員の方でそういうことをやりましても、民間の方がより以上にそういう努力をなされば、相対関係として依然として改善されないで残るというようなことがございますので、いずれにしましても、そういうことで今度問題提起をいたしまして、この際と申しますか、今度は、昇給停止を含むその辺の高齢者の昇給について、民間との逆較差になっておる状況を緩和するように努力したいということを問題として書いたわけでございます。  大体概略申し上げますと、二十歳台、三十歳台でございます四十歳未満というところは相当の較差がございまして、民間の方が高いわけでございます。本年の場合、九%以上ございます。ところが、四十歳台になってきますと大体三%ぐらい、平均並み、本年三・三でございますが、そのちょうど平均並みの三%台の較差になりまして、ちょうど平均年齢もその辺にございますが、これが五十歳台に上がりますと民間とほとんど同じぐらいかあるいはマイナスに入ってまいりまして、それで今度は定年年齢等もあります五十六歳、五十八歳くらいになりますと公務員の方が一〇%くらい逆に給与が高い、給与改善する前にすでに高いというような状況になっておりまして、特に六十歳を超すようなことになりますと二〇%近い逆較差になっておるというような状況がずっと続いておるというのが事実でございます。  そういうことで、それでは全体の較差配分として、悪く言いますれば若い働き盛りのところが割りを食っているというような感じになるわけでございますので、したがって、今後やはり低成長になりました、ことしのような低い引き上げになりました場合に、皆さんがやはりそういうことにだんだん注意をするようになるという方向にもありますので、早急に検討をする必要があると、問題提起をしたわけでございます。
  109. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 「俸給調整額の適正化の問題については、最近の民間における給与事情の傾向、公務部内における職種間の給与配分の実情等にかんがみ、この際、その定額化を含め、具体的な措置について早急に検討を進めることとする。」とありますけれども、その趣旨はどういうことなんでしょうか。
  110. 角野幸三郎

    ○角野説明員 本年問題提起をいたしました中のもう一つの問題が調整額問題でございまして、これは何もことし始まったわけではございませんで、昭和四十七年から調整額について検討するということを申しておるわけでございまして、ことしが七年目といいますか、まる六年たっております。  当時、昭和四十七年の問題提起は何かといいますと、調整額はもともと調整数一というのが四%という刻みになっておりまして、その四%は何かといいますと、この現在の八等級制の俸給体系になりました昭和三十二年時点にはこれが昇給額の一号俸に該当する、要するに一号昇給することと調整額一つくこととは同じことであるという意味で、そういう昇給額が率に置きかえられた形でスタートしたものでございます。  ところが、その後、四十年代の成長期を迎えまして初任給がどんどん上がりますということで、昇給率がだんだん落ちてまいりまして、いまや二%強のようなことになっておりますために、昇給率と当初思って定めた四%が実は俸給表の上では二%強であるというような乖離が出てきたわけでございます。したがいまして、昇給率ということを頭に置いて相対関係をとっております水準差等の関係と、それから調整額ということで調整をしております職種間のバランスとが非常に乖離してくるという事態が起こってまいりまして、それで四十七年に問題提起をいたしまして、ことしそれから六年たっておる、こういう状況でございます。  それで、民間状況ということをそこに書いておりますのは、言いますればそういう若年賃金がべらぼうに上がったという時代が過ぎたものですから、もうこれ以上昇給率が落ちるというような事態はなくなった、したがってここで安定的に何%が妥当であるかということを研究するに値する時期が来たということでございまして、そういうこととの関係民間の事情ということを書いたわけでございます。  それから、公務の中の事情ということも書いてございますが、これはいま申しておりますように、俸給表の水準差とそれから諸手当、定額でやっておりますような手当と、それから率で維持されているものが大変大きな金額になっておるという乖離のために、公務員俸給表及び手当相互間のバランスが非常に崩れておりまして、全体の較差配分の中としてこれ以上は見ておれないというような、部内のそういう整合化の問題がございます。それを公務の中の事情と書いたわけでございまして、そういう意味で、とにかく率であることが問題でありますために定額化する。「定額化を含め」というのは、それが適正化の第一歩でございまして、その一歩のところを文章に書いたわけでございます。早急に検討したいと思っております。
  111. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 民間における特別給の支給割合が四・九ヵ月になったということで単純に公務の特別給を引き下げるということは、公務における特別給の性格及び前回の附帯決議に「政府並びに人事院は、このような公務員給与制度の特殊性にかんがみ、今回の特別給の改定については、民間の動向を考慮し、可及的速やかに従前の月数に回復するよう努力すべきである。」いわゆる回復するということを努力しなさいという附帯決議があったにもかかわらずこれを切り下げるということは、非常に問題を残すのじゃないだろうか、ここはこう思うわけでございますが、なぜ期末手当を減らそうとするのか。また、期末勤勉手当の〇・一ヵ月分の減を十二月の期末手当より引くというふうにした理由はどういうことでしょうか。
  112. 角野幸三郎

    ○角野説明員 特別給の関係につきましては、これは一般の月給と違いまして一年おくれの形になっております。ざっと申しまして、去年一年間の面積を全部足しまして、全部決算したところでことしどうだという結果がことしの公務員、こういう関係に相なっておりまして、そういう点で去年のことを考えますと、夏場、夏のボーナス期はそれほどではございませんでしたが、暮れのボーナスが非常に悪いというのが、もう去年は顕著にいろいろなところに書かれておりまして、だれもそう思っておりました。  それがそんなに大きな数字であるということは、最近、一月ぐらい前でございますが、労働省のそういう特別給の特別集計を見まして気がついたわけでありますが、私ども調査いたしましたときもちょうどそれと同じような結果があらわれてまいりまして、大体〇・一減というようなことに相なりまして、四・九〇と表示いたしておりますが、実力は四・八九八でございまして、四・九〇をまだ〇〇二ばかり下回っておるというような大変険しい結果が出ております。  そこで、いま、昭和五十一年の〇・二削ったときの附帯決議のお話がございますが、私どももその附帯決議のように、早く民間の景況が回復して、回復できればいいと念じておりますが、いずれにしても民間と比較いたしました関係上そういう数字が出てきておるということで、やむを得ずそれに合わせたということでございます。  それからなお、これはまだわからない話でございますが、本年のボーナスの状況が来年また結果が出る、こういう関係に相なりますが、現在、夏のボーナスの結果がすでに出ておりますが、この夏の結果も余りよくないというような感じが一方でありまして、そういう点で、あわせて今後のことを心配しておる、そんな関係にございます。
  113. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま夏期のボーナスについては出そろって、その出そろっている中にあって年末のボーナスを見なければ、これは来年の総体的な勧告には実はならぬわけでしょうけれども、夏期のボーナスが非常に悪いということなんだけれども、それは具体的にはどんなような状態でしょうかね。
  114. 角野幸三郎

    ○角野説明員 これは私ども調査したデータではございませんで、したがいまして、人事院としてどうということではございません。ただ、心配しておるデータとして申し上げますれば、労働省で、これは大手でございますが、大体お金の伸びとして二・二%、ボーナスの金額の伸びが二・二というようなことでございます。それから、ほかの団体でもお調べになっておりますし、新聞でもお調べになっておるデータが出ておりますが、大体二、三%程度の伸びであるというのが一致いたしております。そうだといたしますと、本年の民間の水準が労働省でいいますと五・九とか六とか申しておりますので、ベースが六%上がってボーナスが二%強しかふえておらないとすれば、単純計算いたしまして四%くらい逆ざやになっておりますので、それを五ヵ月という関係に掛けますと〇・一とか〇・二という数字が簡単に出てまいります。そういうことで心配しておるわけで、まだ私ども調査ではございませんことをお断りいたしたいと思います。  なお、最近のボーナスの妥結状況を見ておりますと、特に大企業で多いんですが、年間協定をやっているところが多いわけであります。それで、いま申し上げました数字の中にも三割ぐらいはそういう年間協定、すなわち夏冬組みで、夏冬ということで妥結しているのがございます。したがいまして、三割はもうすでにそういう低い賃上げ率で冬まで妥結しているとすれば、あと十二月に期待する分もなかなか険しいことであるという感じがするわけでございまして、それを若干申し上げておったわけでございます。  それから、先ほど先生の御質問でちょっとお答えするのが抜けておりまして、追加補足させていただきたいと思いますが、〇・一を十二月の期末手当から引いたという御説明が落ちておりまして申しわけございませんでした。  どこから引くかという話でございますが、やはり現在、五ヵ月の中で期末手当が三・九、大部分を占めておりますので、それでこの際はそちらから引くということが一つでございます。それから、十二月から引きますと、十二月が現在期末手当二・〇でございますが、これが一・九になります。そのほかの期末手当はと申しますと、六月と三月合わせますと、現在一・四と〇・五、合わせて一・九ございます。したがいまして、十二月を〇・一マイナスしました一・九でちょうど半々。前半、後半が同じ月数になるというような関係にございまして、それで十二月の期末手当から引くことにした、そういうことでございます。
  115. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 週休二日制について、今回の再試行終了後はどのようにされるつもりなんでしょうか。結局再々試行はあり得ないというふうにお考えになっているのかどうか、その点についてお伺いしたいわけでありますけれども、実はOECDでは一九七八年の対日年次経済調査報告をまとめて、八月四日、東京とパリで同時に発表されました。この中で、日本人の働き過ぎについて厳しく言及している点があります。すなわち、アメリカ、英国ではすでに何年も前から勤労者の八五%は週休二日制をとっているのに日本はわずか二三%にすぎない、有給休暇も欧州共同体諸国は団体協約で年に延べ二十日間から二十六日間とれるが、日本は平均十三日間で、実際消化されたのは八・二一だとして、休暇の勧めを提言しております。これに対して人事院は、いま盛んに週休二日制に対して試行をやっておられますけれども、これは来年の四月には終わるわけでありますけれども、そうなった場合に再々試行なんというみっともないやり方はおやりにならないと思うのですけれども、その点についていかがでしょうか。
  116. 藤井貞夫

    藤井説明員 いま御指摘になりましたようなことも含めまして、諸般情勢上わが国においても、公務員の場合においても週休二日制のことを考える時期に来ておる、また考え方によっては遅きに失しているのではないかというような見方もあながち間違いではないという状況であろうかと思います。そういうことから人事院といたしましてもこの問題を取り上げまして、漸次前向きのことで措置をしてまいり、その結果が第一次のテストということになり、さらに引き続いて第二次のテストということで、現在これを行っておることは御承知のとおりでございます。  このテストは、今年の四月から始めましたので、一年を目途といたしております関係上、来年の三月末日まで行われるわけでございます。この試行の結果というものを収集し、分析をし、また各省庁とも緊密な連携を保ちました結果判断をいたしまして、次のステップをどうするかということを決めてまいりたいというのが、今回の勧告でもって報告に取り上げた方向でございます。  いまお話しになりましたように、この時点で、第三次の試行は絶対にやらないだろうなとおっしゃいますと、その点についてはまだ決めておりませんという、非常にしゃくし定規な答え方しかできないということに相なりますが、いまお話しになりましたように、やはりテストというのはあくまでテストですから、テストというものにはおのずから限界がありまして、これをそう三回も四回も続けていくということは常識的でないということは、私も十分承知をいたしているつもりであります。一歩、数歩の前進ができますかどうか、その点はいま言明の限りではございませんが、試行の結果を踏まえて次のステップというものを慎重にひとつ結論を出してやってまいりたい、かように考えております。
  117. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後になるわけでありますけれども、いまの週休二日制の問題でも、すでにOECDがもうそういうようなことで、日本の手ぬるい週休二日制の取り上げ方に対して酷論をしておるし、こういう問題がやはり日本の今日の円高を招いた原因でもあるというようなことも言っているわけです。しかもここに、各国の週休二日制の状態はすでに皆さん方のお手元に資料は、私どもの方でいただいておるわけですから、よくおわかりなわけです。そう考えたときに、週休二日制は必然的に再試行の段階から、今度終わるころには週休二日制はもう決断しなくちゃならない、そういう時代に入ってきておるということについて人事院総裁は認識がないのかというふうに思うのですけれども、その点についてもう一度御答弁願いたい。  と同時に、定年制について今回の勧告では触れていませんけれども、現在の進捗状況、この問題については大変に慎重を期さなくちゃならない問題ではありますけれども、やはり行政改革というふうな観点から考えますと、必ずしもこれは逃げて通れない問題にも連係する問題でありますので、その点はどうなんでしょうか。やはりこれは慎重に対処しなくちゃならない問題ということで、質問に対する御答弁をお願いしたい。
  118. 藤井貞夫

    藤井説明員 週休二日制をめぐる諸般情勢については私も十分承知をいたしておるつもりでございます。その承知をいたしておりますがために、手前みそで恐縮でございますが、いろいろな問題点指摘されるにもかかわらず、私としては一歩数歩の前進を着実に行っているつもりでおるわけでございます。一面においては、いまのお話がございましたように、まどろっこしいではないかというような御指摘もございます。それも十分承知をいたしておるわけでございますけれども、しかし事柄は、原則的に申せば、やはり何といっても予算をこれ以上そのために増額をするとか、あるいは定員をそのためにまた増加をするとかいうことは、これは避けなければならないということでもございます。また、公務の執行に差し支えがあってはならないという重要な点がございますので、その点を頭に置いて、いませっかく第二回のテストもやっておるということでございまして、これを取り巻く諸般情勢は大変厳しいものでございますけれども、私は、それらの点を十分踏まえながら進めておるというふうに御理解が賜りたいという点を、重ねてお断り申し上げておきたいと存じます。  それから定年制の問題でございますが、これは去年の十二月に、行政改革の一環といたしまして閣議決定になりました。これを受けて総務長官から私あてに、事は公務員に関する重要な身分上の問題、分限上の問題であるからひとつ意見を聞かしてもらいたいという書簡が参っておるわけでありまして、これを受けて本格的な検討に入ったという段階でございます。御指摘のように、この点はいろいろな角度から検討しなければならぬ問題点がきわめて多い事柄でございます。なお、日本の場合におきましては、御承知のように、一般公務員について定年制がないというのは明治政府以来のそのままの踏襲で来ておるわけで、そういうような点その他諸般情勢を十分に検討いたしまして、いま本格的な調査にかかった段階でございます。事柄が重要でございますので、慎重な配慮のもとに事柄を持ってまいりたい、せっかくの努力をいたしたいと思っておりますので、あわせて御了解が賜りたいと思います。
  119. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 以上をもって終わります。
  120. 高鳥修

    高鳥委員長代理 受田新吉君。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 人事院総裁御苦心の作品、一応傑作の部に類するという答えを差し上げたいと思います。  そこで、まず、具体的な質問に入る前に、人事院に基本的な問題として提起したいことがございます。  国家公務員法に、人事院に与えられたる権限の中に例の権限の委任の件があるのですが、「人事院又は内閣総理大臣は、それぞれ人事院規則又は政令の定めるところにより、この法律に基づく権限の一部を他の機関をして行なわせることができる。」こういう規定がございます。一部を委任せしめた事項について著明なものを幾つか例示していただきます。
  122. 藤井貞夫

    藤井説明員 人事院の権限は、国家公務員法にその基礎的なことが掲げられておりまして、その権限を、いま御指摘になりましたように委任をすることができるという規定があることも事実でございます。この委任条項を発動いたしまして現実に委任をいたしております事柄はいろいろございますけれども、その中で最も基本的な問題として申し上げますならば、任命権に基づくもの、それのたとえば承認の関係につきまして申せば、これは承認自体はやはり人事院の権限ということに相なっておりますけれども、事柄を全部が全部それをやるということも事務的にいって問題がございますし、また、任命権者である各省庁の最高首脳はそういうことは特に一番詳しく知っておられるはずでございます。それらの権限の行使についての基本的な姿勢なりやり方なりのルール、これは人事院でタッチをいたしますけれども、その具体的な適用については各省庁にお任せすることが、実態にも合うし、事務の簡素化というようなことから見ても適当であるということで、現在は承認についても、御承知でございますように課長さん以上のことは全部人事院にお回しを願ってそれぞれの角度から審査をいたしておりますが、その他は、これは挙げて任命権者である各省庁の大臣に御委任を申し上げておるというような点がございます。  それからまた職員局の関係で、ときどき機会がありますといろいろ御審議をいただき、また貴重な御意見も拝聴いたしております例の天下り条項の発動の問題、これにつきましても、人事院が全部が全部やっておるわけでございませんで、一つのルールを示して、一定の官職以下のものについては各省庁でおやりをいただくというようなことをやっておる現実がございます。  また任用局の系統につきましても、それぞれの細かい点になりますけれども、昇給の基準の問題でありますとかあるいは昇格基準の適用というようなことにつきまして、これもルールを示しながら、一定の条件に該当する場合においては各省庁が自由におやりになっていただいて結構である、それの行使の具体的な結果については時折監査をいたしましたりまた報告を聴取をしたりということで、それが万全に行われておるかということは調べてまいりますけれども、そういうことの直接のやる権限自体は委任をしておる。  そういったようなことで、ちょっと気づきの点を申し上げましたが、それらを中心にして権限の移譲というものをやりまして、事務の簡素化と実態に応じた人事行政の確保ということに努めておるわけでございます。
  123. 受田新吉

    ○受田委員 国家公務員法第二十一条には権限の委任について「人事院又は内閣総理大臣は」とある。内閣総理大臣の権限委任について稻村総務長官に御質問をいたしたいのです。  この問題は、人事院からいま幾多の例示がございました。またもう一つ一般職に属する検察官とかこういうものを検察官の特殊の法律に委任して、人事院は余りタッチしていない。こういう、連絡は受けておるが実際やっていないという、これらは一体権限の委任になるのかどうか。当然人事院がやるべきもの、これを、検察官の給与そのものを人事院自身が勧告を要しないというようなことは、権限の委任になるのかどうか。こうしたことについて法律の基礎というものをきちっとしておかないと、そこにおのずから、各省にまたがる権限争い、セクト主義などに人事院犠牲になる危険があるのです。  きょうは諸澤先生にも来ていただいておりますが、特に文部省などは人事院を逆に支配しているような傾向があることは、世上騒然たる批判があることでおわかりいただいていると思うのでございますが、そういうある特定の役所から人事院が常に注文をつけられていく、ある役所は黙っておる、黙っておる役所についてはそっとしておくが、やかましく言う役所があるとそれに人事院が迷わされてくる、こういうようなことになると、国家公務員法でせっかく人事院の独立的性格をはっきりうたったものが政治的支配を受ける。政治的所属関係などによって平等取り扱いの原則は破られないと書いてあるその方にも影響する危険があると思うのです。人事院としては、国家公務員法ではっきりと、労働関係等の問題で公務員が主張するものを代弁しておるという役所の立場から、明確に権限を行使する、国家公務員法にうたわれた権限を、はっきりと基本を握っておいていただく、こういうことを願いたい。  そうしないと、後ほど触れるわけですが、ある省は指定職まで行くのに非常に速いテンポの役所がある、非常におくれた役所がある、同じ公務員試験に合格しても、局長になるまでに時間のかかる役所と早く行く役所が起こるというようなアンバランスもできてくる。そういうものは、やはり人事院人事院規則できちっと調整していく、あるいは各省の人事担当課長などの会議でぴしっと整理する。こういうふうにしておかないと、人事院国家公務員の高い観点からの調整、つまり平等の原則に基づく法律の行使ができなくなる危険があると思いますので、いまの委任に関する件については、最後は委任された人事院が握っておかれなければいけない。指揮監督権を規定した項もあるのでございますから、その指揮監督権をしっかり行使していただくということを注文したいのです。  いま私がお尋ねしている件は、ちょっと総務長官の方にお尋ねするのはどうかと思っておるのですが、これはほかの方でも結構です。国家公務員法に規定した内閣総理大臣にある委任権限について、これはどういうものをやっておられるのですか。
  124. 菅野弘夫

    ○菅野説明員 お答え申し上げます。  たとえば兼業の許可というのが総理大臣の権限でございます。一般職職員が兼業の許可を取る場合でございますけれども、そういう場合に、ある一定の等級以上、二等級以上の者につきましては、それぞれの所轄庁の長及び総理大臣の許可が必要でございますけれども、三等級以下の職員だったと思いますが、そういう職員については、それぞれ所属の長と申しますか、所属の大臣の許可でよろしいというのが一つの委任のタイプでございます。いま思い出すのは、ちょっとそのぐらいしかございませんが、そういうことがございます。
  125. 受田新吉

    ○受田委員 総裁からも御答弁がありますか。
  126. 藤井貞夫

    藤井説明員 答弁を特に求めていらっしゃらないかと思いますが、いまのお話の点、十分承っておきたいと思います。斯界の大変権威者であります受田先生ですから、釈迦に説法みたいなことは申し上げませんが、実は権限委任のことは、これは筋として十分そのとおりでございますから、虚心に御忠告として十分承っておきたいと思います。  ただ、お話しになりました検察官関係等は、これは実は法律の規定に基づいて、職務の特殊性によって、この条項の特例を設ける必要がある場合は、という規定を受けてでき上がっておるものであるというふうに理解をいたしております。これはそのとおりでありまして、検察事務の一つの特殊性というものから出てきておるものだろうと思います。その点はやはり法律自体で決まっておることでございますので、そういうたてまえはやはり尊重をしていかなければならぬのではないかという感じ方をいたしております。  また、われわれといたしましては、御注意がございましたように、人事行政の運営の基本というものはあくまで人事院に課せられた責務でございますので、その運用に当たっては厳正にやらなければならぬことはもちろん、委任をしたものについても、その基本的なルールなり、また実際にやりました実績については指導なりあるいは監査その他報告制度の活用を通じて、これの公正な運営を確保するためにいままでもできる限りのことをやっているつもりでございますし、御注意の点を十分踏まえまして、今後ともその点は大いに努力を続けてまいりたい、かように考えております。  従来もそうでありますが、私たちの姿勢といたしましては、人事行政については人事院に課せられた厳正な責務というものがあるわけでございますから、これの運営については十分心いたしまするとともに、別に言葉じりを云々するつもりはございませんけれども、私の方が文部省によっていろいろというようなことはございません。事柄が、実は先生も御承知人確法というもので、たまたま法律ができ、それの裏づけをなす予算措置も講ぜられたという特殊のケースでございまして、それについて、むずかしかろうが人事院としてひとつ勧告をしろということに相なりましたので、それを受けていろいろ苦心をしてまいったことは事実でございます。  紆余曲折はございましたが、おかげさまをもって今度第三次の後半分で、いわば最終的な勧告をお出しできるという段階にまで来たわけであります。事柄が事柄で、やはり教育を実際に担当しておられる文部省の意向というものは、人確法という法律の特殊性からいってこれは十分に御意見を承って、われわれの腹に入ったことはそれを反映せしめていくということが一番適切ではないかという判断からいたしたことでございます。そういう意味では、他の問題とは若干取り扱いが違った面があるかと思いますが、基本である線を見失ったというつもりはございませんし、今後とも、その点は御懸念の点が現実にならないように、より一層局長以下職員を督励いたしまして事に当たりたい、かように考えております。
  127. 受田新吉

    ○受田委員 総裁から御答弁をいただきました御親切な内容については一応理解させていただきますが、内閣総理大臣人事院総裁の権限関係ということになると、ちょっと法律的根拠からただしていかなければならぬのですが、人事院総裁内閣総理大臣の指揮監督を直接受けるポストですか、どうですか。
  128. 菅野弘夫

    ○菅野説明員 私がお答えするのが適当かどうかわかりませんが、制度のことを御説明させていただきますと、内閣の所轄のもとに人事院が置かれておりますので、そういう意味においては広い意味の内閣の一環であると思いますけれども、その所轄という意味は直接の指揮監督というようなものを含まない概念でございますので、直接の指揮監督ということはないと思います。
  129. 受田新吉

    ○受田委員 ある意味においては一つの異例の独立機関と言ってもいいと思うのです。その人事院か、各省の要請に従って、人事院の持つ本来の使命に対して強く主張される役所については耳を傾ける、黙っているとそのままにしておくということがあると、独立機関としての使命達成にひびが入る、こういう意味で私は、人事院の存在意義を従来非常に高く評価して、公務員の権利の主張を代弁する機関として権能を発揮してほしいと叱吃激励してきたつもりです。したがって、一般行政機関と人事院とが多少でも支配関係、圧力関係があるとすると、これはもう人事院の独立性を失わしめるのです。私はそれを憂えて、人事院よ、本来の使命に強く生き抜けよという激励をしてまいっておるわけでございます。その文部省との関係について、私は、教員人確法に基づく主張について人事院が耳を傾けられることは結構ですが、本来は人事院教員立場をまず強く考えて人事院からこれを提唱していくとか、そしてこの職種にはまだ手落ちがある、税務職にはこういう問題点があるというようなところを取り上げながら、人事院が大所高所から判断をしていくべきであるということをいま特に指摘したわけでございます。  検察官の給料などは特別に検察官の給料に関する法律というのがあるけれども、法律で支配されて、人事院規則や政令にゆだねられた問題ではないわけですけれども、事実問題として、検察官に関する一般給与だけでなく、その他の人事についてもこの規則の適用を受けないのじゃないですか。人事その他の身分関係等について独特の、人事院の権限外のものを持たされている。それは人事院の規則や政令でやったのはないのですか。人事院規則または政令で、と書いてあるが、人事院規則か政令かで検察官を枠外にした例はありませんか、法律だけでなく。
  130. 長橋進

    ○長橋説明員 お答えいたします。  検察官につきましては、検察庁法の第三十二条の二というのがございまして、御承知のとおり任免関係につきまして大幅に特別な制度が認められております。  いま御指摘の、人事院規則で特別の措置を講じたものはないかということでございますが……(受田委員「または政令」と呼ぶ)政令につきましては存じておりませんけれども人事院規則で、検察官につきましては職階制の適用を除外しております。そういう特例は認めてございます。それ以外に権限の委任等については別にございません。
  131. 受田新吉

    ○受田委員 わかりました。私、今回の勧告案につきまして人事院説明しておられる中に、今回の改善措置は「生計費の動向その他諸般の事情を考慮し、」とある。この「諸般の事情」というものはどんなものが入っておるのか、中身を教えてください。
  132. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答え申し上げます。  本年の民間給与実態調査による官民比較の較差が五%を割るという関係になりまして、それについて勧告をするかしないか、三十五年以来初めてのケースに当たりまして、いろいろな点で検討を深めたわけでございます。その中で人事院の労働権の代償機関であるということから来ます問題、それからもう一つは、やはり社会一般情勢、経済情勢等から来ます実質的な問題点などを総合いたしまして判断したわけでありますが、順序不同で申し上げますが、生計費の動向等と申し上げますのは、やはりベースアップをいたしますかどうかというのは実質賃金が維持されるかどうかということと関係がございます。そういうことで、本年の物価を含む職員の生計費の実際の動向がどうであるかということは大いに問題になるわけでございまして、ベースアップの幅、それから、これは一人一人の立場から申しますと昇給分も実際に上がるわけでありますから、それは生計費という観点からはその高さに当たると思いますが、物価との関係、生計費の伸びとの関係、こういう相対関係を考慮したことは事実でございます。  それから、いろいろございますが、片や先行いたします事例として、三公社五現業に対する仲裁裁定がすでに先行いたしておりまして、その中で特に五現業の場合には、一般職でありますし、給与職員と席を並べているようなそういう職場もございます関係上、それはやはり見送るわけにはいかないというような関係があったことは事実でございます。  それから、率にいたしますとわずかな率でありますが、給与ベースが大変上がっておりますという関係から申しますと、一%といいましても、現在の平均四十一歳、大変高い平均年齢でありますが、ベースが大変高い関係になっておりまして、ざっと申しますと十九万という関係にございます。一%といいますと千九百円、ざっと二千円というかっこうになりますので、そういう点で、やはり金額としては、実質を踏まえた上で、これは見送るわけにはいかないというような関係がございます。  それからさらに、これは大変事務的な話も含む話になりますが、私どもがやっております官民比較方式といいますのは、いわば決算方式といいますか、精算方式でございまして、四月に民間と比較して幾ら足りない、それを精算する、こういう関係に相なっております関係上、これを一回見送りますと、来年二回分の精算が同時に出てくるということになりまして、今後のことは民間の景況がどうなるかわかりませんが、民間に比べて公務員が異常に高いなという感じのベースアップをしなくちゃいけないような事態を招くかもしれない、そういうこともございます。  あれやこれや諸般の事情を順不同に申し上げましたが、そういうことでございます。
  133. 受田新吉

    ○受田委員 諸般の事情を考慮したわけですが、公社職員、つまり公労法の適用を受ける職員給与あるいは公務員関係のいろいろな団体がある、その組合の意見を聞く、こういうようなことは、諸般の事情を考える中に入ったのか入らぬのかです。
  134. 角野幸三郎

    ○角野説明員 今回勧告するかしないかということ以前に、私ども勧告作業をやりますときに、職員組合の諸君の意見は大変聞き、かつ参考にしておるというのが事実でございます。それは、簡単に申しますと、仲裁裁定のような場合でありますと、これは水準問題だけでございますが、私どもの場合には、水準を策定するだけではなくて、配分も全部やって発表する、こういう形をとっております関係上、やはり受益者といいますか、当事者である職員、それから各省の担当者、それぞれの意見を聞いて、いわば当たりをよくわきまえた上でなければ配分はできないものでございますので、そういう意味で努めて皆さんの意見を聞くということを、ことしにかかわらず大前提といたしておる、こういう次第でございます。
  135. 受田新吉

    ○受田委員 そうした公務員関係の組合、いわゆる組織人の意見なども十分聞いてやってきた、こういう御答弁であったと理解してよろしゅうございますか。
  136. 角野幸三郎

    ○角野説明員 そのとおりでございます。
  137. 受田新吉

    ○受田委員 それは本当に聞いておられるかどうかですけれども、いま局長の御答弁で、そうした対象になる人々の組織で十分勉強していることも勘案しながら、当たりをなだらかに、運営が妙味を発揮できるようにという配慮もされておるということを一応理解さしていただきましょう。  そこで次に、この問題の中で、せっかく諸澤先生も来ておられますので、いままで質問がなかった部分で教員給与関係についての勧告関係をお尋ねしたいのです。  第三次人確法最後措置が一応これで片づいた。これ以上は、人確法の、つまり人材確保について今後の改善措置は全然考慮していないという形でございますか。まだ、よき教師を得るための夢は捨てていないのだというお考えですか。双方から、質問に対してお答えを願います。
  138. 角野幸三郎

    ○角野説明員 人材確保法に基づきます教員給与改善は、人材確保法の附則にございますように、「財政上、計画的に」実行するということに相なっておりまして、予算が措置されて計画的に現在まで来ておるということは事実でございます。  ところで、途中、その実際の配分状況等を踏まえて、確認しながらやるというような折があったものですから、若干それがスローダウンしておりまして、第三次が二つに分かれ、その最後が現在に及ぶということになっておりますが、「財政上、計画的に」という現在の状況におきましてはこれが最終的なものだ、こういうふうに思っております。
  139. 諸澤正道

    ○諸澤説明員 ただいま給与局長から御答弁がありましたように、文部省としましては、人確法に基づくその附則に言うところの「財政上、計画的に」優遇措置を講じなければならないというその計画を、昭和四十七年度の給与ベースにおいて二五%引き上げということで当初から計画をいたしまして、それを一次、二次とそれから今回の三次の第一年分と二年次分ということで文部省改善をお願いいたしました事項は、大体おおむね皆取り上げていただいたわけでございますから、今回の一連の計画における改善はこれで済むものというふうに考えております。  ただ、人確法の本則におきましてはその条文において、教育公務員については、「一般公務員給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」という基本原則があり、その次に、人事院はその実態を踏まえて必要な勧告をするものという定めがございますので、今後も全公務員との関連等考えながら、必要があればまた人事院等から勧告があり得ることではあろうというふうに考えるわけでございます。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 今回の改善措置に、具体的にお尋ねしたい諸点があります。  これは四十九年以来の累次の改善で、第三次が二回に分かれておしまいだということでありますが、この中にちょっと私、気にかかることがあるのですが、国立大学の付属学校の教師、その中で国立の幼稚園教員に対して、小学校と比べて処遇上の差等ができている。付属の教師は、小学校へ行く場合もあれば幼稚園へ行く場合もある。地方の小学校の教師が、幼稚園の教師に行ったり、付属小学校の教師に行ったりするわけです。幼稚園へ行った方は、小学校へ勤務したよりも待遇の上で差等がつけられるというこの問題、ちょっと私、いささか不公平のそしりを免れないと思うのでございますが、幼稚園が、例の義務教育等の教員特別手当というやつ、二分の一になっているのですね。この問題の処理、これでよろしゅうございましょうか。
  141. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答えいたします。  幼稚園関係は、前の第二次勧告のときに、私ども勧告に伴う説明のところで幼稚園に触れておったということがかつて一回ございます。幼稚園はもともと教員の教育日表、義務教と同じ俸給表適用を受けておりましたという関係で、義務教育を主力とする人材確保法改善がもろにその教育日表に及んでおりますということで同じ俸給表を使っておりますが、義務教育ではない、直接に人材確保法の対象でない幼稚園教員に教育日表を一緒に適用しておることによる問題という問題提起をそのときにしたことがございます。  それでそのときに、国立の幼稚園につきましては教育日表をそのまま適用するということを考えておりましたが、やはり特別手当というのは、これはまさに人材確保法趣旨に合う手当であるということで、これはそのものをすなわち幼稚園適用するということにはならないということで特別手当適用はしないということで、二次の改善以来幼稚園は除外されているということでここまで来ておるわけでございます。しかしながら、この問題につきまして、今回がいわば計画的改善の最終ラウンドであるということもありまして、そういう二次勧告のときの問題指摘、宿題にいたしましたことをここでもう一度検討してみたわけでございます。  そこで、幼稚園は国立の幼稚園ということで見ますれば、これは大学の付属と研究協力、教生実習指導というような点から言いましても、全く小学校と一体のものでございます。そういう点で、義務教ではない、人材確保そのものではないけれども特別手当幼稚園にも支給したらいいということにこの際踏み切ったというのはそういうことでございます。  そこで、金額を半分にしたという点がお尋ねの点だろうと思いますが、やはりこれは本来、人材確保の優遇そのものの対象は幼稚園でないということで、それでまるまる支給することをやめたわけでございます。それから、かたがた、幼児教育につきまして、現在文部省と厚生省それぞれにおいて合同で今後の幼児教育の問題、方向について検討なさっているという最中でもございます。そういう点も踏まえて一応考えたということがございます。そういうことでいろいろ考えまして、この際まるまる支給はしないで、しかし支給対象にここで入れるということで踏み切って国立の実態を踏まえて支給する、こういうことにしたわけでございます。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことではなくて、ちょっと恩恵的な措置としてやった、それは義務教育でないということで、今度は高等学校の問題なども義務教育でないからというので差別をしていけるわけです。義務教育並みにはいかないという含みがあると思うのでございますが、事実問題として小学校、中学校あるいは高等学校幼稚園と同じ立場の人が付属の教師の場合に行っておるという配慮が、一方で今後ともこれは問題の給与であるということを含んでおいていただきたい。  それから、校長、教頭の特別調整額、例の管理職手当の二%引き上げということでございますが、これを大規模校に押さえたので、三十五人以上の教員数があるところということにしておるようですが、一部の校長と教頭だけがこの恩恵に浴して、他の大半の校長、教頭は恩恵に浴しないということは、これは一つ構造を二重化していくような問題にも関係してくると思うのでございますが、校長、教頭というポストにある人に、大規模校では二%の引き上げ、その他はそのままというような区切りをつけることは問題だと思うのです。大きな学校へ行けば苦労が多いかというと、学校の地域社会の地位などではむしろ十人、二十人の学校で非常に苦労している。大規模校の方が楽な地域もあるわけなんです。そういうふうな規模別の待遇差というのは問題があるのじゃないかと思うのですが、実際の運営面については文部省が知っておられると思うのですが、人事院と双方でお答えをいただきます。
  143. 角野幸三郎

    ○角野説明員 管理職手当給与法上は特別調整額でございますが、これは管理監督という職務の特殊性ということに着目して支給しているものでございます。  それで、そういう特殊性の評価の中には、組織の規模の大小という評価がございます。そういう大小により管理監督の特殊性の評価をするということは、特に行政職等の場合には一般的にやっておることでございます。行政職の場合には、同一の職務の段階でありましても二段階、三段階というように、さらに特別調整額による職務と責任の再区分ということをいたしているのが事実でございます。それで今回、校長、教頭の管理職手当の引き上げ措置もいわばこのような趣旨を考えまして、一部の大規模の学校にのみかさ上げをするということをやったわけでありますが、管理職手当の考え方としては特に異なった扱いをしたものではない、そういうふうに考えております。  しかし、実際の運用問題ということに相なりますれば、これは特に公立の場合など文部省で御指導なさる部面になるかと思いますが、それは地域によって学校規模が異なっていたり、また学校という特殊な、行政とは違います側面がございますので、単に機械的に規模ばかりでいけるかどうかという点はあろうかと思いますが、そういうことはそれぞれの実情に応じて均衡のとれた運用を図っていくようによく御相談したい、こういうふうに思っております。
  144. 受田新吉

    ○受田委員 それぞれの実情に応じて運用の妙味を発揮したいというのは一体どういうことなんでございますか。
  145. 諸澤正道

    ○諸澤説明員 ただいま給与局長からお話がございましたように、組織の規模の大小によって管理職手当の比率に差をつけるというようなことは、一般の行政組織の場合にはやっておることでございますし、それはそれなりに私も妥当性のある面もあるというふうに考えますから、今回の人事院のお考えはそれなりに評価するわけでございますが、御指摘のように学校の現場というものは必ずしも規模だけではいかない面もあるということもございます。しかし、基本原則がそういうことでございますから、一定の規模以上の学校の校長なり教頭については管理職手当の引き上げを図るという方針でいくことになろうかと思います。  ただその場合に、実際には学校の数というのは、官庁の数だとかと違って非常に多うございますし、また、学校の規模だけで人事異動するというわけのものでもないことでございますから、そういう面で、余りにも硬直した基準で運営することによって人事に弾力性が失われるというようなことがあれば、私は本来の趣旨ではないと思います。いま給与局長の言われたことも、全く自由だということではないのだろうと思いますが、その辺の運営については、人事なり学校の円滑な運営なりが損なわれない程度に弾力的な幅を持たせることはできないだろうかというようなことを念頭に置いて検討したいと思っておるわけでございます。
  146. 受田新吉

    ○受田委員 どうもあいまいもことしておるわけですが、給与局長、初中局長、いままで過去において校長と教頭の管理職手当に規模別の差があったか、なかったか。     〔高鳥委員長代理退席、小宮山委員長代理着席〕
  147. 角野幸三郎

    ○角野説明員 ございません。
  148. 受田新吉

    ○受田委員 これは新制度の採用ですよ。つまり、過去において校長と教頭の管理職手当に規模別差異はなかった。今度新しく大規模校だけにこれを持ってくる。それでなくても第一線の皆さんは、主任手当の創設などで相当な動揺をはらんできた歴史もあるわけでございまするから、主任手当を支給するに当たってようやく定着した方向にあるときに、新しい問題をここで投げかけるような、大規模校と、しからざる学校の管理職手当の差をつけるという新しい状態をつくる、そのことに一つ問題があると思うのです。  総裁、あなたは人事官会議などでこれを処理されるときに、いままでになかった制度を新しくつくるということは大変な問題なんですから――それでなくてもいろいろといままで現場で主任手当について問題があり、われわれもこの主任手当については、やむを得ざる状態ということになるならば、主任手当の支給を受ける人をできるだけ多くして、教員の大体三分の一程度まではその対象に広げることによっていわゆる管理職的においを払拭するということで譲歩して、先般の法案には賛成した行きがかりもあります。そういう意味では、ここで新しい問題を出されるということに対しては、私は大変ややこしい問題が発生すると思うのです。総裁として、余り問題なく、いままでになかった制度を新しくつくることについてすらっといったのですか。
  149. 藤井貞夫

    藤井説明員 すらっとはいきません。この問題は初めから、人確法に基づく措置の問題をひっくるめて、いろいろな点で問題をばらんでおったことは事実でございます。そういうことでわれわれも、事柄を決定していく段階ではいろいろ慎重にこれに取り組んでやってきておるつもりでございます。  いま先生からお話がございました主任の問題というのが、今回の人確法に基づく措置の中で一番いわば政治問題化したものであったことは事実でございます。しかし、これについても、だんだん時期が経過をいたしますことと現実的な処理ということとの兼ね合いもございまして、漸次おさまってきつつあるように考えております。この私の見方についても、立場立場上でいろいろ御批判もございましょう。しかし、全体的に見ました場合においては、受田先生もこの間のときにも御主張になりましたし、いまもお話しになりましたような配慮というものも、私はやはり現実的な処理として適当じゃなかろうかというようなこともございました。そういうことで、やや制度的には主任の制度も落ちついてきつつあるのではないかというふうに考えております。これは非常におかげさまであったというふうに評価をいたしております。  事柄はそれだけに限りませんで、この人確法の問題というものは、やはり非常に慎重な判断を加えていく部面がたくさんございます。そういうことで、今度の第三次の後半でいわば最終的な措置を講ずるにつきましても、いろいろ影響その他の点を考えてみたわけでございます。その中の一環といたしまして、管理職手当の増額の問題、しかもそれは全体に該当する、適用するということでなくて、いわば大規模と言われる学校の校長先生、教頭の方々について、従来の管理職手当について二%程度の引き上げをひとつやろうではないかということになったわけでございます。  この問題についても、いまお話しになりましたが、新しい問題の提起ではないかというようなこともあって、私も私なりにいろいろ考えました。したがって、そういう点から人事院会議等においてもいろいろな論議があったことは事実でございます。しかし、大規模化ということは、その後の大都市の関係あるいは大都市周辺の関係というようなこともございまして、大規模の学校が出現をしてきておる、その数も非常に大きくなっておるということは、これは一つ事実がございますし、それから給与局長も申し上げましたように、管理職手当、いわゆる特別調整額性格から申しまして、担当するその役所の規模なり、それから使う組織の人員なりというようなものも大変重要な要素であることは事実であります。そういうような点から、一般公務員一般行政職につきましても、同じような中で、行政職の中に入る者の中でのそれぞれの規模ないし困難度というようなことに注目をいたしまして、特別調整額についても段階をつけておるということとの均衡の問題もこれはございます。  そういう点もありますのと、かたがた、これは最終の措置段階でございましたので、先刻も申し上げましたように、文部省からも前々から意見の提出がございました。それらの点については、こちらの立場からいって、文部省の意向というものを何ら疑問なく頭から全部受け入れるということでは無論ございません。われわれはわれわれの立場としていろいろの角度から検討いたしまして、自信のついたものについて措置をするという態度は従前からもやってきたとおりでございます。そういうような点から、最終の段階で一定規模の特別調整額について考えてくれという要望がございましたが、その点についてはいま私も申し上げましたような点から、その点に踏み切ること自体はそうおかしなことではあるまいというような結論に達しまして、この方式に踏み込んだということでございます。  ただし、今後の運営の実態その他を十分見てまいることもわれわれとしては考えておる次第でございまして、一応発足をいたしましたのは、こういうかっこうで発足をいたしますけれども、これが今後変わらざる方針として、これは一切再検討の余地なしというような、そういうかたくなな態度にしておるわけではございません。運営の実態その他を見きわめながら、検討すべきときには検討するということについてはやぶさかではございません。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 時間が来たようです。  これで質問を終わるわけですが、総裁、やはりこれは文部省から要請があったわけで、人事院が思いついたわけではないということがいまわかったわけで、これはだれが言い出したのかなと思って、さっきからお聞きしようと思ったら、総裁から、文部省から強い要請があって、一遍にすらっといかなかったという人事院の苦悩がにじみ出る御答弁があったわけです。出すなら皆出せばいいし、出さぬのなら出さぬということをぴしっとやらぬと、いままでに差のなかったものが規模によって分けられるということになれば、これは大変ややこしいことになるのです。特に教職の現場というのは、教師の仕事というのは、そんな規模で異なるのじゃないのです。教育の使命によって違うわけですからね。今後まだ検討すると言うけれども検討するとするなら、二%もぎ取るか、あるいは皆つけるかということになるわけです。一遍つけたものはなかなかもぎ取れぬわけなんです。そのことも善処していただくということになるのです。  最後にお尋ねしたいのは、国家公務員法では、外国公務員というものが採用できないわけなんです。日本国の公務員ということ。ところが、大学の先生などには外国先生を招かなければならぬのがたくさんあるし、今度もイギリスで相当選考して英語の教師を招く、文部省がやったらずいぶん志願者が多かったということ、これは非常に大事な問題で、優秀な外国の教師を招く道は、公務員法の基準、もし公務員法で改正できるならば改正して、そうした国際的な交流人事というものへも前進する必要があると思うので、この点については文部省人事院は、法律の基礎を必要があれば改正し、あるいは非常勤等の特別措置によって優秀な外国の教師を日本へ招く、また日本からも外国へ運び出す。内閣委員会のお互いが先般も海外を視察してきましたけれども、そうした国際的人材の交流、教育の交流というようなものへ大きく目を開く時期が来ておると思うのです。これについてお二人の当局から御答弁をいただきます。
  151. 藤井貞夫

    藤井説明員 私から申し上げることが適当であるかどうかという問題はあると思いますが、いまお話しになりましたことは、方向としては私も賛成であります。ぜひこれはやっていくべきだ。人材の世界的交流といいますか、そういう道は、これは当然に開いていくということが大勢ではないか、その点、私も全く同感であります。  ただ、これをやります際には、いますでに御指摘になりましたような受け入れのためのいろいろな措置改善をしなければならぬ面もございます。これは任用制度自体の問題もございましょうし、また、たとえば大学に正教員あるいは教授としてこれを採用するということが仮に行われるといたした場合には、これと、要するに意思決定としての機関、評議員会の構成がどうなるか。その場台に、その人が評議員の構成メンバーに入ったときの権限行使について、やはり広く言えば一つの行政権の行使になりますので、そういう点で何かの歯どめをつける必要があるのではないかとか、それらの点について検討すべき点はあろうかと思います。しかし、それらの点は十分にひとつ前向きに検討して、方向としては賛成であることの達成ができますような配慮文部省とも相談をしてやっていくつもりはございますということを申し上げておきたいと思います。
  152. 受田新吉

    ○受田委員 終わります。
  153. 小宮山重四郎

  154. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 本日の委員会の冒頭、人事院総裁より勧告についての説明が行われました。ところで私は、この勧告は、近来まれに見ると言えるほど、公務員はもちろん、労働者、国民の願いに反する内容であると考えております。  私が今回の勧告で認めることができないとする第一の重大な内容は、定期昇給分を含めても五十二年度の消費者物価上昇率を下回るものであり、しかも一昨年に削減された期末手当について、国会で早急に復元するよう決議されていたにもかかわらず、今回さらにこれを削減するとしたことであります。  第二は、昇給停止などを含めて一般公務員の高齢者の給与について早急に検討することを強調したり、医療関係職員や公共職業安定所の職員など、複雑、困難な職務に従事する公務員労働者に支給されている俸給調整額について、その定額化を含め事実上の縮小、削減の方向を示唆していることであります。  第三の問題は、人事院は昨年八月の勧告で、学校の反動的管理体制強化のための主任制度化を給与面から裏打ちする主任手当導入に道を開いたわけですが、今回の勧告では、第四次給与改善とあわせて、主任手当の支給対象の拡大、校長、教頭の管理職手当増額など反動的学校管理体制の一層の強化を目指す措置を提起したことであります。  以上の三点をまず指摘した上で、これから許された時間で勧告の具体的な内容について順次質疑をいたします。  第一は、勧告の水準、引き上げ率の問題ですが、この一年間の民間労働者の所定内給与の伸び率は八・四%であります。これは労働省毎勤統計ですが、勧告はこれを大きく下回っていますし、その上一時金の切り下げと昇給ストップ、調整額の改悪などの合理化計画を打ち出しております。一時金カットを考慮すれば、公労協の基準内賃上げ三・一三%さえ下回っています。また、民間の春闘相場に見合ったものになっておりません。これは、現行の官民較差算定方法が較差が小さく出るように仕組まれている。そこに理由があるのですが、人事院はこうした較差が小さく出るような算定方法でなおよろしいという認識を持っておられるのかどうか、総裁にお伺いいたします。
  155. 角野幸三郎

    ○角野説明員 本年の民間給与実態調査によります官民較差は、すでに四月に支払われた分が三・三〇でございまして、後、妥結しておりまして、高さがわかるけれども、まだおくれておって、支払いに及ばない、しかし四月にさかのぼることは間違いないというものを俗に積み残しと申しておりますが、それを合わせまして、それが〇・五四でございまして、三・八四、こういう勧告をいたしました。  ところで、私どものやっております勧告の仕方、高さの見方の問題でございます。これはことしの春闘で言います。たとえば労働省の大手二百八十社の場合に五・九と称しておりますが、あれは本年の伸びでございます。それぞれの企業なり会社の水準をいわば考えませんで、伸びの平均でございます。ところで、私どもがやっておりますのは、伸びではございませんで、むしろ水準でございます。一年間いろいろな要因で上がってまいりまして、これはローテーションが悪いから上がるということもありますし、昇給が年に何回かに分かれておるということで、年度途中に上がる場合もございます。それから運賃が上がるというようなことで、いまの制度の中で自動的に水準が上がっていくということもあるわけでございます。そういう一年間のいろいろな変動が、本年の四月になりましての水準をつくっておるわけでございますが、その水準が民間の当該水準に比べて幾ら開きがあるかということでございまして、これはどちらかと言えば伸びではございませんで、水準を問題にしているわけでございます。  したがいまして、過去一年間に水準の変動が大きければ現在の差が少なくなるというだけのことでございまして、いわば概算に対する精算という関係でございます。したがいまして、去年「たとえば一年間の間に公務員のローテーションが悪いとか、いろいろなことで水準が上がっておりますと較差が小さく出てくる。だからといって、これは低く抑えたということにはならないわけでございまして、どちらかと言えば、早目に上がっておったという結果がいま出る。したがって、ここでさらにさやを上げる部分としては少なくて済むということでありまして、伸びではありませんで、全く水準の比較であるということでございます。しかしながら、大体毎年一回四月の時点で民間に合わせます。その四月には春闘といいますか、妥結の大部分がそこで勝負が決まるわけでありますから、そこで合わせますということが結果的に当年の民間の春闘の模様に大体合った伸びを示すということは、結果的にそういう状態になるというわけでございます。本年の場合はそういう意味で伸びと厳密に対応させることがどうかという基本的な考え方の問題は残るにしても、大体較差として三・八四、これはいわば民間で言いますような水準以外の昇給による上がりを度外視した伸び、こういうふうにごらんになってもいいかと思いますが、そういう関係ではそれほど開いているものでもない、こういうふうに考えております。
  156. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いろいろおっしゃいましたけれども、もう少し具体的に入りますと、人事院はことしもまた公務員の定昇率は二・三%になる。それから四月分定昇は官民較差に織り込み済みだから、これを除くと一・七四%になる。これは新聞で発表されていることですけれども、その場合に七月、十月、一月実施の定昇分を年間平均いたしますと定昇率は一・一二%にしかならないわけであります。  定昇制度が異なる民間との対応関係で定昇込み五・五%になるというような言い方は、これは適切ではない。この点について私が昨年質問したときに、人事院民間実態もよく調べ、より適切な計算方法も考えていきたい、こう答弁されたわけですけれども、今回の勧告を見てみましても何ら改まっていないと思われるのですが、この一年間この問題でどんな調査検討をなされたか、お答えをいただきたいと思います。ただ、余り答えが長くなりますと質問時間がなくなりますから、ひとつよろしく。
  157. 角野幸三郎

    ○角野説明員 簡単にお答えいたしますが、それは昨年の宿題でございまして、どちらかと言いますと、国家公務員の現在の昇給のように年に四回というふうな複雑な形をとっております民間は少ないわけでございますので、私どもの方に定昇を足してそれで民間と比べるという方法でなくて、民間の定昇込みという中からその定昇を引くということでもわれわれと比べ得る、そういうことを宿題といたしておりまして、そういうことで本年民間給与実態調査をいたしましたときに、テスト的ではございますけれども民間の定期昇給というのはいかなるものであるかという理念から入りまして、大体その高さはどれぐらいで、そういうものを分離できるか、できないか、それから分離した場合にそれがどの程度であるかという調査テスト的に綿密にやりました。これはテストでございますので、公表するような段階に至っておりませんが、新聞関係の記者諸君にはそういうお話もしたことは事実でございます。  それによりますと、大体民間と言いましてもいろいろな意味の昇給がございます。それから昇給を分離できるところとできないところがありまして、定昇込みと言いましてもその部分を取り出すことができないというところが大変ございます。それでそれが大体半分以下でございます。そういうことで大体民間の定昇は目いっぱい見ても二・五ぐらい、それから低目に見れば一・五ぐらいというようなことで、大体その幅の中であろうという見当は大体つかめたわけでございます。しかしながら、これを厳密にわれわれ公務員のような俸給表を持っておるようなところの厳密な意味の昇給率としてはもう少しまだ調査を要すると思いまして、まだ確定的に断定するところまではいっておりませんが、大体民間の定昇はそういう幅の中でまあまあ平均ざっとして言いますれば二%ぐらいという感じがつかめたことは事実でございます。春闘の産業別の、たとえば春闘共闘会議でありますとか、同盟でありますとか、鉄鋼あるいは造船それぞれの要求の中に含まれております定昇と称しておりますのも、大体みんな二%、二・〇と言っているところが多いのと大体符合しているような結果に相なっておりますが、また引き続きましてさらにこの点についてはこの次にもう少し正確に、正確と言いますと定昇の性質に突っ込んだような分析をしてみたい、そういうふうに考えております。
  158. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、大蔵省と自治省に尋ねますが、これは一部、大蔵省の方には質問がありましたけれども、今回の勧告を完全実施した場合の所要経費の総額と余剰額を、国家公務員と地方公務員ごとに分けて明らかにしてもらいたいということ。その際、経費面から見た定昇込みの給与改善率を説明していただきたいと思います。
  159. 日吉章

    ○日吉説明員 国家公務員につきまして私の方から御説明申し上げます。  国家公務員につきましては、一般会計では今回の人事院勧告を完全実施いたしました場合に所要いたします経費は千九百十億円と相なります。  なお、ただいまこれを定昇率としてどういうふうな形で算定しているかという御質問でございましたが、私どもの計算といたしましては、すでに当初予算に計上いたしております人件費の中には定昇分を込んで計算いたしております。それに今回の給与改定によりましてどれだけ所要財源が増加するかという形で計算いたしておりまして、私どもの計算といたしましては定昇率がどういうふうな数字になるかという形では算定いたしておりません。  ただ、私どもが計算機等によりまして計算いたしておりますが、それはあくまでも人事院がお示しされております。前年度の場合でございますと前年度の俸給表、本年改定に伴いまして要りますものにつきましてはその俸給表に基づきまして計算いたしておりますので、理論的に考えますれば人事院の方で理論的な計算をされておられます定昇率と同じような結果が逆算上は理論的に出てくるはずだと、かように考えております。(柴田(睦)委員「余剰額は」と呼ぶ)  失礼いたしました。一般会計におきまして給与改善費といたしましてすでに計上いたしております金額は二千六百三十億円程度でございますから、剰余は七百二十億円ばかりと相なります。
  160. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 地方公務員の場合につきましてお答えを申し上げます。  今回の人事院勧告によりまして、この勧告に準じて一応公務員給与改定を行うといたしますれば、これに必要な一般財源の額は約二千六百億円でございます。なお、本年度の地方財政計画におきまして地方公務員給与改善費としてあらかじめ約三千八百億円を計上し、これは地方交付税の単位費用に組み入れまして基準財政需要額の算定を通じて各地方団体に措置をすることといたしております。したがいまして、所要財源と給与改善費としてあらかじめ措置してあるものとの差は千二百億円ということに相なるわけでございます。  なお、定昇込みの率のお話でございますが、地方財政計画上も三千八百億なりあるいは二千六百億というもの、三千八百億につきましては五%ということで組んであるわけでございますが、これも昇給後の、定昇後の財源に対する割合でございますので正確な計算はできないわけでございます。なお、昇給の原資といたしましては地方財政計画上は、一般職員の場合一・八%、義務教育職員の場合〇・六%をそれぞれ計上をいたしておるものでございます。
  161. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 経費面から見た場合に、定昇込みの改善率は人事院が発表したような高い率にはならないと考えられるわけです。納税者である国民の立場から見た場合に、経費面でどれくらいの改善になるかというやり方の方が国民にはわかりやすい。少なくとも人事院が現在やっているような発表の仕方は、これは適切じゃないというように考えるわけです。そういう意味で速やかに適切な計算方法を調査検討すべきであると考えますので、この点の検討を願いたいと思います。  そこで、給与改定費の余剰問題に関連し、余剰財源の使途について伺っておきたいと思います。  八月七日付の官庁速報を見ますと、「大蔵省は九月補正予算で公共事業が追加される場合、地方裏負担分については従来のように全額起債で措置する方式を改め、予想される給与改定先組み財源の余剰金を充てるなど予備費の使途を含め再検討するよう自治省に求める方針である。これに対し自治省は、公共事業を追加するなら全額起債を認めなければ地方公共団体の協力は得られないとして強く反発しており、補正予算編成時に論議を呼ぶことになろう。」こういうことが書いてあって、このほかに給与改定費の余剰財源と地方財政計画に含まれる予備費についての解説をしているわけですけれども、大蔵、自治両省間に見解の隔たりがあるように報ぜられているわけですので、両省の率直な考えを明らかにしてもらいたいということ、あわせて補正予算編成に向けてのこの問題での見通しについて答えていただきたいと思います。
  162. 日吉章

    ○日吉説明員 私、ただいま御質問ございました地方財政関係につきましては所管外でございますので的確な答弁はいたしかねます。  ただ、ただいま自治省の財政課長からも御説明がございましたように、地方財政上給与改善費といたしまして予定されております金額の範囲内に、たとえ国家公務員に準じまして人事院勧告の完全実施が行われるような措置がとられたといたしましても、その財源の範囲内におさまっているということでございますので、そのそもそもの給与改定費が地方財政計画上どのような原資で計上されていたかは私、定かでございませんが、そのような点につきましての基本的な問題点というものはないのではないかと、かように考えております。
  163. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 先ほどお答えを申し上げましたように千二百億円の差が生ずることに相なるわけでございますが、これも先ほど申し上げましたように、給与改善費としての先組み分につきましてはすでに地方交付税の単位費用に含め、地方交付税の方はすでに御議決をいただいておりまして、これに基づいて基準財政需要額に算入することといたしておるわけでございます。したがいまして、この種の経費につきましては各地方団体に、それぞれ三千幾つの地方団体に措置をされておるということになるわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、こういった千二百億円の差というものにつきましては、地方団体の財政運営におきまして、最近における社会経済の動向なり、あるいは地方財政を取り巻く環境なり、あるいは今後の地方財政の動向、こういった点にかんがみまして、地方団体として将来にわたる地方財政の健全な運営の確保に資することになるように配慮をしていくことが必要であろうかと存じます。  補正予算の問題でございますが、この点につきましてはまだ具体的な話が出ておりませんので、この点に関してはまだ御答弁を申し上げかねる次第でございますが、そのような気持ちでございます。
  164. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、期末手当削減問題ですが、人事院は、かつて現在と同じような深刻な不況に落ち込んだ朝鮮戦争終結直後の五四年七月に、九%程度の官民較差があるとしながらゼロ勧告を行い、五五年も同じ方針を続けました。また五六年七月には、一一%の官民較差が認められたとしながらも六%勧告しかしないで、しかもそのとき俸給表の細分化あるいは中央官庁と府県出先機関による分断と、いろいろな日本型職務給に対する大攻撃をかけてきたと言われる前歴があるわけです。  この傾向が今回再現したのではないかというように危惧するわけですが、藤井総裁自身がかつて事務総長時代に、政府が受け入れやすい勧告をつくることが肝要、勧告が内閣や議会でたなざらしになったり値切られたのでは困るということを言っておられるわけです。今回の期末手当の削減などに見られるように、人事院の独立した本来の任務を忘れて、一層自民党政治の方針、財界寄りに変質していっているというように思うわけです。この問題について総裁の率直な見解を伺いたいと思います。
  165. 藤井貞夫

    藤井説明員 過去のある段階で、私が事務総長時代に云々というようなお話がございましたが、確たることはいまや私も覚えておりませんが、そのときに申したことがあるといたしますれば、それは自分の公正な職務なり権限、使命というものまで犠牲にして受け入れられやすいということを言っているわけはございません。そういうような趣旨に受け取られたと仮にすれば、それは大変遺憾千万なことでありまして、私はかつてそういうことを考えたこともなし、また人事院の総裁としてお仕事をやらしてもらっておる立場から申せば、はっきりとした人事院の使命、任務というものがあるわけでございます。  それを踏まえて厳正に事柄を処理していくという姿勢は貫いておるつもりでございますし、今後もその一線は堅持をしてまいることに変わりはございません。ただ、当時完全実施ということがなかなかむずかしい情勢の中で、いろいろ苦悩をしておるときの経過においてそういう趣旨のことを申したとすれば、それは無論私の本旨ではなく、人事院自体の職能なり任務なりというものは堅持していくという根本姿勢には変わりはございませんので、その点はひとつ誤解のないようにお願いを申し上げたいと考える次第でございます。  今回、特別給の点についてやむを得ず〇・一ヵ月分の削減という線を打ち出さざるを得なかったわけであります。この前に五・二ヵ月分を〇・二削減いたしました際にも、私といたしましては実は前例のないことでもあり、大変苦悩をいたしました。しかし、事柄といたしまして実態調査のそういう数字が厳然として出てまいったということがございまして、これを無視することはむしろ人事院勧告としての世間の納得性を保持するゆえんではないという見地から、それこそ大変な苦悩を乗り越えてそういう措置に出ざるを得なかったということがございます。  その後における附帯決議の趣旨その他もございますので、われわれとしては十分それを腹に据えつつ仕事をやってまいっておるわけでございます。遺憾ながら、今年の場合におきましても特別給について民間の景況その他の実態を反映をいたしまして、どうしても四・九以上にはならないという線が出てまいりましたので、やむを得ず、さらに〇・一ヵ月分の削減措置を講ぜざるを得なかったということでございます。  しかし、それをも含めましてごらんになっていただきましても、われわれはわれわれとしての職責を十分に心がけてやっておるつもりでございます。そういう意味では、五%以下の較差でございましたが、それもやはり放置すべきではない、較差は埋めるべきである、そういう決心をいたしまして、勧告をし、国会及び内閣に対してその完全実施をお願い申し上げているということにもその基本姿勢はあらわれているものと考えておるのでありまして、決して財界からのいろいろな思惑とかあるいは政治的な考慮とか、そういうものに左右されて勧告の基本姿勢というものに対して影響されるということは絶対にございません。厳正な資料のもとに公正な判断をして仕事を進めておるという基本姿勢は従来ともそうでございましたし、今後ともこれを堅持してまいるということははっきり申し上げておきたいと思います。
  166. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの総裁の答弁のように余り長くしないでもらいたいのです。  じゃ、時間がなくなってきましたので、まとめて聞きますが、人事院の一時金の官民較差算出方式については、一昨年の委員会で相当議論なされましたが、その中で問題点一つは、国公行(一)を民間職員と対応する。それから行(二)を作業員と対応させるというやり方をとっているのですが、民間の場合、守衛、運転手、電話交換手は職員に入れているところが圧倒的に多くて、民間の作業員というのは非常に少ない。ここから較差が少なく出るようになるわけです。  二番目には、民間の支給月数は時間外手当だけを除いて所定内給与を基準にしているのに対して、公務員の支給月数は本俸扶養手当、調整手当だけの合計額を基準にし、この間の差を無視し、水増し分母で支給月数を低くするように計算する、こういうやり方がとられているわけです。この不均衡をなくしたならば削減勧告などしないで済むはずであるわけで、一時金の較差算出を抜本的に見直すべきではないかという提案が一つ。  それから人事院はこれまで一時金勧告で、民間の特別給は景気に左右されるが、公務員の方は法律で規定され固定的な形となり、民間が下がってもそれに応じ下げるわけにはいかない、こういったような理由をつけられて小数点第二位以下を切り捨ててきたわけですが、この切り捨て分が一九六〇年以降、およそ一ヵ月分を超えているわけです。切り捨て分の累積をどう補償するのか、この点をはっきりしておくべきことであると思うのです。はっきりできなければ、民間が下がったから直ちに削減するということではなくて、一年ないし二年様子を見て対応すべきじゃないかという提案、この二つの点について簡単に答えていただきたいと思います。
  167. 角野幸三郎

    ○角野説明員 簡単にお答えいたしますと、第一番目の御指摘、私ども俸給表では行政職(二)表の中に入っております守衛、運転手の扱いの問題でございます。守衛と運転手は、職員、作業員ということとの対応では現在は職員に分類いたしております。したがいまして、その点は問題ではない、こういうふうに考えます。  それから第二番目でございますが、月数を算定いたしますときの分母、分子の問題でございます。これは簡単に申し上げますと、それは分母で割って月数を出すから分母のあり方が問題になる、要約すればそういうことに相なろうかと思います。  そこで、そういう割り算をしないで、ボーナスはボーナスとしてストレートで官民比較をする、額でありますから、額は額としてそのものでとらえて高い安いを比べるというやり方がもう一つございます。月数に直さないで。ということがあろうかと思って昨年来それを研究いたしておりまして、現に、本年の場合、ボーナスを生でとらえるということが、民間企業としてそういうことをやらせるかどうかという調査をことしテスト的にやりました結果、これは月給よりももっと秘扱いの部分に属しますので、結局は大変むずかしいという結論に現在のところぶち当たったところでございます。しかし、何かいい知恵はないかということで検討を重ねておるやさきであるということを申し上げます。  それから三番目の問題でございますが、過去の切り捨て分というお話でございます。  これはなるほど大変高度成長期に切り捨てたものが累積してきた時期があったことは事実でございますが、逆にこれが下がっていきましたときの、昨年、一昨年、このときには結果から言いますと切り上げというちょうど逆の関係になっております。したがいまして民間の賞与と違う、公務員の場合にはややかた目の扱いというような感じで来ていることは事実でございます。先ほど申し上げましたが、配分もそういう意味でわりかた公務員の現在のやり方が硬直的になっているという、見方によっては問題点を伴うわけでございますが、そういうこととも兼ね合いの問題であろうと思いますが、そういう点で切り捨てもあり、切り上げもあるということで、趣旨としては一貫しているんじゃないかと考えております。
  168. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、勧告では「特にこれを変更する必要は認められない。」としております調整手当の問題であります。  現行の調整手当支給地区分と官署指定には多くの問題があると考えております。支給地区分は、基本的には昭和二十七年十二月の給与改正当時のままになっているわけですが、その後の社会経済情勢の変化に伴い、支給地、非支給地を問わず地域ごとの民間賃金や物価、生計費は不均等に変動し、現行の支給地区分は多くの矛盾をばらんでおります。特に大都市圏周辺における矛盾が著しいわけです。  たとえば岡山市は支給地になっておりますけれども、水島コンビナート建設等で民間賃金や物価、生計費が大幅に高騰した倉敷市は非支給地のままになっております。東海地区においても静岡市は支給地になっているが、清水市は支給地になっていない。関東地区でも、東京のベッドタウン化している千葉県下の各都市と東京区部との間、これは川一本で著しい矛盾が生じております。  こうした支給地区分については、調整手当受給者の既得権を侵害しないことを前提にして抜本的な見直しを行うべきであると考えるんですが、ひとつ結論を言っていただきたいと思います。
  169. 角野幸三郎

    ○角野説明員 調整手当問題は、結論から申しますと大変むずかしい問題をはらんでおりまして、これは昔の勤務地手当を凍結して暫定手当になって、それが都市手当という形をとろうとして現在の調整手当制度になっておる、こういう歴史を踏まえております。特にその中のお金の落差の問題、要するにパーセントの問題が一つと、それから、全国的に見た場合の地域、要するに地図の妥当性の問題点と二点またあろうと思います。歴史的に申しましても、地図の問題については従来勤務地手当を暫定手当にいたしましたとき、その当時の地域を凍結する、現状維持でいくというような大原則のもとに現在まで来ておるという点も事実でございまして、その間若干の底上げ方式の是正をやったこともございます。  大体給与の抜本的な改正といいますと必ずスクラップとビルドという関係にはなかなかむずかしい、給与問題というのはそういう点でなかなかやりにくいという側面がございまして、結局は地ならし的に底上げをして、それで陳腐化したところは埋めていって、それから高いところはその上にまたつなぐというような大変手間のかかる方法でなければ是正できないという半面を持っておりまして、この地域で申しますと、たとえば九州福岡あたりに、昔炭鉱地帯で非常に栄えたといいますか、にぎやかであった地域が地域的には支給地域としていまだに残っているということでスクラップとビルドが大変むずかしいという事情がございます。  そこで、そういう基本的な構えでもってこれを改正することがどうかということでございますが、その底上げ方式で直します場合には較差といいますか、配分として大変大きなお金がかかるということでございまして、現在のようなそういう狭い較差配分としてはとてもそこに及ばないというような現実的な問題がございます。そういうことで割り切った直し方はできませんが、先生がお話しのように、都市周辺問題というのは昭和四十年代の高度成長を通りました後、大都市周辺の立地条件が大変変わってきたということはそれも事実でございますので、そういう点で特にまた官署が移転するなどの状況がその辺に含まれておった場合に大変にむずかしい、必要な問題もないことはないと思いますので、そういう意味で地域の是正という大上段な措置は当面とてもむずかしいと思いますが、そういう局部的な官署、特段の官署についてというような方法があろうかと思って検討しているということは事実でございます。
  170. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 その結論の方だけでよかったのです。  それではちょっと資料の問題ですが、人事院民間の地域差関連手当の支給率の実態調査結果の一部しか公表していないのですが、現行の支給地区分の矛盾と不合理を明らかにするために、支給地域と、支給地域と近接している地域の調査結果を資料として後で出してもらいたいと思うのですが、これができるかどうか。  もう一つは、調整手当給与法の第十一条の三によれば、民間賃金、物価及び生計費が特に高い地域で人事院規則で定めるものに支給するということになっておりますが、非支給地域を一〇〇として、人事院規則で定めたすべての支給地域ごとに民間賃金、物価及び生計費の指数を明らかにしてもらいたいと思うのですが、この二つの資料を出していただけるかどうか。
  171. 角野幸三郎

    ○角野説明員 調査の結果としてデータのある部分とない部分とございますので、直ちに全部資料として提出できるかどうかわかりませんが、できるだけそういう趣旨のデータを用意いたしたいと思います。
  172. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 現在、官署指定を行っております市町村について、非支給地を一〇〇として当該市町村ごとの民間賃金、物価及び生計費の指数を明らかにしてもらいたいと思うのですが、この資料も一緒に検討していただきたいと思います。  それから千葉県の問題について具体的に伺いたいのですが、最近千葉県の公務員共闘が千葉県全域に八%の調整手当の支給を求める七万数千名の署名入りの要請書を人事院に提出しておりますけれども、千葉公務員共闘はこれまでに再三にわたってこの問題で人事院交渉を行っております。  去る六月十五日には総裁と会って直接話をしたとのことですが、席上藤井総裁は、皆さんの要求が無理なこととは思っていない、しかし手直しするとすれば全国的な見直しが必要であり、詳しい調査をしなければならない、いずれにせよ調整手当支給に矛盾があることは事実であり、本俸繰り入れも含めて皆さんの要望も参考にして検討したい、こう発言されたということですが、この発言はいまも確認していただけますか。その結論だけお伺いします。
  173. 藤井貞夫

    藤井説明員 資料の点は、いまの時点でわれわれの方で用意ができるものとそうでないものとがあると思います。給与局長の申したことのとおりでございますが、お出しできるものについては、ひとつできる限りの努力をいたします。  それから第二点の千葉の方々のお話でございますが、これは要望であり、一つのお話し合いの場ですから、別に速記をとっているわけでも何でもございませんので、そのとおり申したかどうかはここで明言の限りではございませんが、大まかに言ってその趣旨のことは申し上げたことは事実でございます。いまの調整手当制度のあり方というものが万全の措置であって、何らどこにも問題がないのだというふうなことは考えておりません。  ただ問題が持っております意味なりということが非常に深いものがございますし、また解決を一時にやることには困難な問題がまつわっていること、これは事実でございます。特に千葉の場合は、この調整手当制度が実質上凍結して以来の経済社会の変動状況というものに非常に顕著なものがあるということは事実でありまして、そういう事実は私自身も踏まえておるつもりでございまして、そういうものを前提にしながら、どういう措置をとっていくかということについてはひとつ慎重な配慮のもとに検討を続けてまいりたいということを申し上げたつもりでございます。
  174. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 千葉県は、現行の支給地区分が決められて以来二十数年間に大きく変わって、人口密度は全国七位、工業製品等の出荷額は全国第六位、鉄鋼製品年間出荷額は全国第四位となり、地価、物価、民間賃金水準、生活様式などから見て大都市になっております。昨年七月時点における民間五大産業の基準内賃金は、東京の男子十六万六千八百七十円、平均年齢三十六・三歳に対して、千葉は十五万二千八百円、平均年齢三十六・〇歳となっており、東京一〇〇に対して九一・六という水準に達しており、神奈川の十五万六千五百十円、平均年齢三十六・二歳とほぼ肩を並べております。現在支給地として指定されておりますが、この二十数年間の経済変化の中で民間賃金、物価及び生計費の水準が相対的に低下した地域を追い抜いているわけです。こうした点から見て、千葉県公務員共闘の要求は当然の要求であると考えております。  わかりやすくするために国及び地方自治体の調整手当支給状況を色塗りした地図を持ってまいりましたけれども、これをちょっと見てください。このダイダイ色に塗ってある部分、松戸、市川、船橋、千葉ですが、この部分は国が地域指定をしている都市で三%支給の乙地域、この中で赤で左右から斜線を入れてある部分、市川市ですが、これは官署指定で八%支給の甲地としている都市、それから緑色の部分は八千代、習志野、市原、四街道、鎌ケ谷、我孫子、柏、流山、野田、東葛飾郡というところは地方自治体が独自で調整手当を支給している都市、このうち赤の斜線が入っているところ、柏、八千代、習志野、四街道町、成田市の部分は人事院の官署指定で乙地とされている部分であります。その支給地区分是正に当たっては、まず緑の部分で赤の斜線が入っていない地域、つまり地方自治体ですでに支給地域としている部分を優先的に措置する方向で調査検討すべきであると考えるのですが、そういうお考えがあるかどうか、お伺いします。
  175. 角野幸三郎

    ○角野説明員 いま地図を拝見しておりますが、地方団体で独自に調整手当の支給の割合を上げておられるところがございますが、私どもといたしましては、まず原則的には制度据え置き、凍結というところからの地域区分の現状を踏まえておりますものですから、そういう点から、それから、一方では先ほど申しましたように、是正すべき、マイナス是正のものも含まれておるということから基本的な改正のときには基本的な見方ができると思いますが、現在では、いま地図を拝見しておりましてちょっとまだそこまでまとまってはおりませんが、大都市周辺のそういうアンバランスなり不合理ということについてはよく検討させていただきたいと思っております。
  176. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 支給地区分是正に至るまでの暫定措置として、官署指定の方法を活用してもらいたいということ。それから、官署指定の活用に当たっては、市街地連続状況の密度に応じて、二キロないし四キロまたは一キロないし二キロという現行の指定基準はこれはもういまは改善すべきであると思うのです。千葉在住の東京勤務者と東京在住の千葉勤務者との間に調整手当に格差が生ずるという不合理なども考慮して、相互の通勤量や交通機関発達に対応した時間概念などの考え方を導入するとともに、現行の距離を延長して弾力的、機動的な運用を図るべきであると考えますが、いかがですか。
  177. 角野幸三郎

    ○角野説明員 ただいま申しましたように、検討する場合の現状認識の中の幾つかの足取りだろうと思っておりますが、そういう点でよく検討したいと思います。
  178. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 勧告の解釈の問題ですけれども、ことしの勧告は支給率については、特に変更する必要は認められないとしているのですが、この文書は、裏から読むと特殊、特別な事情がある官署についてはこの限りではないというようにも読めるのですが、裏から読んでも構わない、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  179. 角野幸三郎

    ○角野説明員 これは裏からと言いますよりも、まさに表から読み下したとおりでございまして、これは先ほど来から申しておりますように、調整手当というのは現状維持といいますか凍結という基本原理の上で動いておる、維持しておるということが原則でございます。読み方はあるいはいろいろあろうかと思いますが、表から読んでいただきたい、こういうふうに思います。
  180. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 総理府総務長官質問も通告しておりましたけれども、時間がオーバーいたしましたので省略はいたしますが、この実施について早急に処置を図られることをお願いして、終わりたいと思います。
  181. 小宮山重四郎

  182. 中川秀直

    中川(秀)委員 人事院給与勧告につきまして若干のお尋ねをさせていただきたいと存じます。  三・八四%引き上げをするという勧告でありますが、不況低成長下の民間給与実態というものを反映して、言い方が正しくはないかもしれませんけれども、予想どおり厳しい低率ベア勧告になったというような感じがいたします。私自身はおおむね妥当な線だと思うわけですが、若干の問題点があろうかと思うので、以下、それにつきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。  今回の勧告は、現行の勧告制度が確立した三十五年以来の最低のベア率ということになるわけですが、私が注目しているのは、人事院国家公務員法二十八条、いわゆる民間公務員の賃金水準に五%以上の較差があるときは人事院政府国会に対して改定勧告を出す義務づけがあるわけですけれども五%未満ならば人事院の裁量に任されている、こういうことに関連をいたして、五%以内の場合でもベア勧告をするという姿勢を示したことであります。  藤井総裁は、たしかさきの通常国会で私のお尋ねにお答えになりまして、民間との均衡を保つ必要がある、低成長が続いても五%以内のベア、そういうことが想定される場合でも原則的にはこれを埋めるベア勧告を提案せざるを得ないという御答弁をされておるわけであります。今後もこうした御方針で、現実に今回はそうだったわけですが、臨むものだと受け取っていいのかどうか、これについて、まずお尋ねをしてみたいと思います。
  183. 藤井貞夫

    藤井説明員 何%以下であればそのときに際してまた別個の考慮をするかどうかというようなことは、これは具体問題でございますので、この段階では申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いまお話しになりましたように、五%以下の場合でもこれは無視し得ない現実にあるという姿をことしの場合は非常に重視しまして勧告を出したということでございます。したがって、将来も同様のことが当然起こり得るというふうに御了解が賜りたい。
  184. 中川秀直

    中川(秀)委員 それではちょっと大蔵省にお尋ねをしたいと思うのですが、四十四年度予算からいわゆる総合予算主義で国家公務員給与改定費を先組みをいたしておりますね。たしかお亡くなりになった村上さんが次官のときだったと思いますが、事前に財源を基本的な財政需要については留保しておくべきだ、こういうような御主張でそういった先組みが始まったものだと理解をいたしておりますが、その際、どの程度の先組みをするかが議論になったわけです。その場合に国家公務員法二十八条で、ただいま申し上げましたように、人事院勧告を義務づけられている、給与を五%以上増減する必要があると認めたとき、こういうのにのっとって五%のベア財源を先組みすることにし、その後ずっとそうしているわけであります。  これまでは一〇%、二〇%の勧告が続いたわけで、最低の昨年でも六・九二%だったと思いますが、そういうことですから、五%の先組みが問題になったことがないわけですけれども、今回の人事院勧告は三・八四%と五%を下回ったわけであります。そうすると、当然大蔵省は本年度予算の給与改定費を減額補正しなければならないはずでありますが、この減額補正はどのくらいのものになるのか、ちょっとまず基本的なお尋ねを先にしておきます。
  185. 日吉章

    ○日吉説明員 現在概略計算いたしましたところによりますれば、一般会計ベースで申し上げまして、概算千九百十億円が人事院勧告を完全実施いたしましたときに要する金額でございます。したがいまして、すでに五%相当分として計上いたしておりますものが二千六百三十億円程度ございますので、その差額の七百二十億円ばかりが計算的には差額として剰余となって出てまいります。
  186. 中川秀直

    中川(秀)委員 特別会計を含めた数字はいかがですか。
  187. 日吉章

    ○日吉説明員 同じく特別会計で申し上げますと、既措置額が五百五十億円ございます。給与改定に要します財源といたしましては、三百八十億円要します。したがいまして、差し引きいたしますと、百七十億円が余剰となってまいります。ところが、一般会計と特別会計のやりくりがございますので、それを調整いたしまして、純計で出しますと、差し引き余剰額は七百六十億円、かように相なります。
  188. 中川秀直

    中川(秀)委員 かなりの減額補正になるわけですけれども、この減額補正、こういう事態が今後も続くことはあり得ると思うのですね。それはまあ民間給与実態にもよるわけですけれども。  そこで、一つ基本的にお尋ねをいたしますが、五十四年度予算もこの公務員給与の先組みをなさるのかなさらないのか。先組みをするという方法もある。あるいは先組みを一切しないという方法もある。給与改定費という名目をつけずに五%相当分を予備費の中に先組みをするという方法もあるかもしれません。あるいは前年の人事院勧告に準じたベア財源を給与改定費として計上するという方法もあるかもしれません。そのいずれを考えようとなさるのか。  昨今、いずれわが国の財政も増税という方向に行かざるを得ないということがしきりに言われているわけでありますけれども、先組みをするとするならば、民間がたとえば賃上げゼロというところも相当あるわけであります。あるいは五%を下回るパーセンテージの攻防と言っているところもあるわけですが、そういうときに早々と五%のベア財源を今後も予算化するという方法をおとりになるというのは、国民的な感情あるいはこれからの効率的な予算編成のあり方という上からいって、必ずしもすべてよしということではないと思うのです。民間でよく聞かれますのは、たとえば公務員のことし夏のボーナスでも六月の早々ぐらいに支給をされました。しかし、民間の現在非常に厳しい状況の中で、夏のボーナスの支給は一般的にはかなりおくれがちでありまして、早いところで七月の初めないし中ごろ、遅いところは八月のお盆の前というところもあるわけですね。さっさとそういうふうに早目に支給されることについての若干の反発もあることは事実なんです。  そういうことを総合しまして、先ほど四つのケースを私挙げてみましたけれども大蔵省としてどういうふうにお考えでいるのか、あるいは基本的にちょっと考えてみよう、検討してみようというようなお立場でいるのか、その辺をひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。
  189. 日吉章

    ○日吉説明員 ただいま先生指摘のように、当初給与改善費を五%計上いたしました時代と経済情勢が変わってまいってきております。したがいまして、先生ただいま御指摘のような事情も十分勘案し、なおかつ今後、来年度の経済見通しがどういうふうなことになるかというふうな点も種々検討いたしまして、今後いかなる方法をとるのが最も妥当適切と思われるか検討いたしたい、かように考えておりまして、現段階におきましては、先生ただいま御提案の四つの方法のいずれによるかを決めているわけではございません。
  190. 中川秀直

    中川(秀)委員 ひとつ十分御検討願いまして、この概算要求あるいはその後の政府案の決定に至る過程で十分検討して、一般の国民の感情というものも御考慮に入れていただいて、新しいそういった時代に即応する方法を出していただきたいと、お願いをする次第であります。  それから、これまた前通常国会で私はお尋ねをしたわけですが、今度の人事院勧告におきまして非常に簡単に書いてある、いわゆる勤勉手当、特別昇給の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  勧告に出ているのは期末勤勉手当についてでありますけれども、この通常国会で私がお尋ねしたときは、いわゆる公務員の働く者によく報いるという一つの信賞必罰の原則というものが制度的にきちんとこの勤勉手当、特別昇給というものでありながら、現実には勤勉手当の法律で定められている幅の約一割ぐらいしかこの幅をつけていない。  これについては、この前、ことし四月二十七日の内閣委員会、当委員会給与局長もそれを裏づける御答弁を、調査の中間集計というかっこうで出しておられるわけですが、たしかそのときに私は、いずれ人事院勧告が出る、その段階では当然こういった問題も取り上げて何らかの厳正な制度の運用をすべき方向を出すべきだ、こういう御提案をしたわけであります。それに対して総裁の御見解は、「公務というものがやはり税金によって運営されていくんだというような、そういう厳粛な現実というものを踏まえまして、今後ともいまお話しになりましたような線に向かっての努力は最大限にひとつやっていきたい、」こういう御答弁をなさっているわけです。今度の人事院勧告では、それについての記述というものが見られないわけですけれども、この点はいかがか、ひとつお尋ねをしたいと思うのです。
  191. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答え申し上げます。     〔小宮山委員長代理退席、上原委員長代理着席〕  期末勤勉手当関係で支給率〇・一月分減ということで今回期末手当を選んだ、そういうのは、やはり成績主義の原理を当然優先的に考えての処理であるということは間違いございません。私どもは、全体の特別給の中に占めております勤勉手当期末手当の割合を考えましても、現在期末手当の割合が三・九ございまして、勤勉手当が一・一であるという関係を見まして、それで成績主義という観点からしますれば、この一・一という関係の幅で評価するということでありますので、今回はそういうことで期末手当の方を切ったということでございます。前回は〇・二でございましたので、どちらも両方、〇・一ずつそういうことに相なっております。  そこで、先生いまおっしゃった中で考えますが、大体上下の幅一割と申しますが、実際の運用は成績率と期間率と両方絡めておりまして、期間率をかみ合わせますと一割ではない、そういうふうに思います。この辺につきましては、民間のボーナスの中の成績査定のそれを一応頭に置きながら今後よく検討していきたい、こういうように考えております。
  192. 中川秀直

    中川(秀)委員 前段の御答弁は私がお伺いしていることではないのですが、精神はわかりました。しかし、私の申し上げている精神は、何度も、総裁も、給与局長もこの場で議論している問題ですから、いまさらそんな御答弁では納得ができない。たしか前回の委員会でも、次なる人事院勧告を契機にこの問題については厳正な運用という方向で何らかの方法をとるんだ、こういう総裁の御答弁が出ているわけですから、そんな御答弁では納得できない。総裁、いかがですか。
  193. 藤井貞夫

    藤井説明員 問題になっている事柄に対するわれわれの考え方というのは、従来からも申し上げてきておるとおりでございます。したがいまして、その方向に現在が合っておらなければ、これに合うような努力をしていかなければならぬということも当然の姿勢であると思います。  ただ、これらの点は一種の従来の運用ということがルーズであるというふうないろいろな批判は別問題といたしまして、従来のそういう実績というような事柄も、これは給与問題でありますだけに無視できないというような点もございましょう。さらには、これも余り口実にはなりませんが、今回の場合は全体としての較差というものが非常に低率である、見方としてはほどほどのところじゃないかとか、むしろ安定というようなことの方向を示唆しているのじゃないかというような見方もございましょう。しかし、従来に比してみまする場合にはそれは非常に低率である、従来にない低率であるということは事実でございまして、その低率の中において措置をする方向というようなものについても一種の限界というものがあり得るということも申し上げておかなければならぬ点であろうかと思います。  ただ、精神といたしましては、先生が従来から御指摘になっている点は、私たちも基本的には賛成でございまして、そういう方向の努力、場合によってはそういうことに見合う制度改善というようなことについては、今後ともひとつ積極的に取り上げて、解決に努力をしていくということは申し上げておきたいと思います。
  194. 中川秀直

    中川(秀)委員 たしか前国会の当委員会では仮集計ということで御答弁が出ているわけですね。たとえば勤勉手当については全体の七割、大体三分の二程度に当たる政府機関等で、おおむね三段階ぐらい、ABCということで評価をして、一割以上の開きをつけておるという省庁が全体で大体三割程度。一割を割る省庁というのが大体半分ちょっと、つまり七、八割は一割以下だ、こう御答弁になっておる。その後の本集計というのは出たのですか。
  195. 角野幸三郎

    ○角野説明員 その後の集計はやっております。いまちょっと持ち合わせておりませんが……。
  196. 中川秀直

    中川(秀)委員 結論は出たのですか。
  197. 角野幸三郎

    ○角野説明員 先生がいまそこでお読みになりました、その延長の話でございますので、結論といいますか、大体勤勉手当についてはそういう状況だと思います。ちょっといま数字を持ち合わせておりません。
  198. 中川秀直

    中川(秀)委員 総裁にいま一度お尋ねをいたしますが、問題点はよくわかった、必要なら制度改善も考える、こういう御答弁でしたけれども、実はこの問題を指摘しましたのは昨年秋の臨時国会のときから当委員会でやっているのです。そうして調査をなさるという総裁の御答弁で、調査をしていただいた。もう一年以上たっておるわけです。それは実績ということはわからぬではありませんけれども、法律上のたてまえはそういうものではありませんね。特別昇給あるいは勤勉手当が何のために設けられているかということはあえて私がくどくど申し上げる必要もないと思います。  そういう法律が定めている制度の運用について、実態が法律どおりになっていない、こういうことについて指摘をしておるわけですから、それも一年も前から指摘をしておるわけですから、いつごろそれじゃ、そういった運用についてより厳粛な、法律に定めたとおりの運用をするように持っていかれようとするのか、そのめど程度はもうそろそろ明らかにしていただきたいと思うのです。いかがでしょう。
  199. 藤井貞夫

    藤井説明員 考え方の方向、趣旨というものは私は否定はいたしておりません。そういう意味で御答弁も申し上げてきているつもりでございます。  ただ、この点は、給与問題というのはやはり長年の慣例、その他の集積による点がまたございます。それが既得権ということにも関連を持ってまいるということもございます。そういうような観点から、事柄は慎重な配慮を別にいたさなければならないという面があるわけであります。そういう意味で、勤勉手当の要するに評価率と申しますか、そういう点の基準についてどうするかということになってまいりますと、制度的にはいろいろ、とつおいつ思案をしておりますし、検討をしなければならない面も絶無とは申しません。また、お挙げになりましたように、いま私も正確にはすみのすみまで知っておるわけではございませんですが、やはり勤勉手当という限りにおいては、もう少し成績率の占める比率というものを一般的に高めていくことも一つの方向ではないかという御議論もわかるわけでございます。またしかし、成績評価ということにつながってまいりますので、その点勤務評定との評価の問題、制度的な価値というようなことに対する問題とのつながりもございます。  そういう点をあわせ考えながら、慎重に結論を出したいということと、もう一つは、先刻も申し上げましたようなことで、本年の較差全体がいままでにない低率というようなことがございますので、その配分状況なり、したがって、運用の改善というようなことにつきましても、それらの配慮を無視するわけにもいかないという現実の姿があるということをあわせ申し上げておるつもりでございまして、いまここで、いつごろをめどとして具体案をということにつきましては、まだ御答弁を申し上げる段階には、私自身その気持ちにはもう少し時間的な余裕がほしいという感じを持っておる次第でございます。しかし、問題は問題でございますので、今後さらに積極的に取り組んで、検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  200. 中川秀直

    中川(秀)委員 この問題を議論していると長くなってしまうのですが、総務長官、いま私が申し上げておりますのは、法律で働く公務員と働かない公務員の間に勤勉手当というもので差をつけることになっているのです。たとえばこの十二月分の年末の勤勉手当の場合は法律で大体〇・五ヵ月分の幅をつける、こうなっておるわけですが、実際に運用されているのは八、九割が〇・〇五ヵ月分、つまり一割くらいの差しかつけていないという問題なんです。アメリカあたりでカーター大統領がことしの春言ったことですけれども、これもこの前の委員会でも御指摘をいたしましたが、仕事ぶりに従って、評定のすぐれた公務員だけ昇給される、怠ける人にはびしびし給与面でも差をつけていくのだ、こういうことを公務員制度の抜本改革構想の一つの大きな柱として出しているわけですね。  これは一つの政治の方向だと私は思うのです。やはり法律で定められているそういうものを厳粛に運用してこそ初めてこの制度は生かされるもので、ひとつ総務長官給与関係閣僚として、あるいは大所高所の政治の運営にお当たりになる閣議のメンバーとして、この問題にどういう御感想をお持ちなのか。われわれが指摘することが間違っているのか、それとも実績、実績と言ってせっかくある制度を生かさない、そういうマンネリ主義というか、そういうものが正しいのか、これはひとつ国民に向かって御答弁をしていただきたいと思うのです。
  201. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の点でありますが、民間等は大変厳しい信賞必罰、この制度を採用いたしております。そういう意味から、公務員におきましても、私は御指摘のその精神は尊重しなければならないと思います。人事院ともよく相談をいたしまして、御指摘の点につきまして尊重してまいりたい、こういうふうに思っております。
  202. 中川秀直

    中川(秀)委員 もう一年も前から申し上げていることですから、ひとつできるだけ速やかに一つの方向というものを打ち出していただきたい。あえて重ねてお願いをしたいと存じます。これは私が損するわけでも得するわけでもない。それだったら最初から法律でも〇・〇五ヵ月分と定めておけばいいので、〇・五ヵ月は冬の場合ですが、こういうふうに定めるというのは、そのくらいの幅を持ってやっていこうじゃないかということからスタートしているわけですから、余りこの辺は甘く考えないでいただきたい、こう思うわけであります。あえて強く――いつまでも改善しなきゃ私も納得できなくなりますから、そろそろ本気で検討してもらいたい、こう思います。  それから、ちょっとこの問題で時間をとってしまいましたが、公務員給与というのはいわゆる民間準拠、その民間準拠するために官民比較を行ってやる、こういうことを給与改定に当たっては姿勢として貫いていこうということであるわけなんですが、そういう姿勢を今後も続けていくならば、今度出ましたこの「国家公務員定年制検討状況について」という総裁の御一文を拝見しまして、定年制実施ということも民間に強く準拠してもらわなければ困るとしみじみと私は思うのです。  たとえば、今度の本格的な調査検討は、いまのところ民間企業における定年制の概況について調査したという結果が出ただけで、なおいろいろな調査をしなければならないと書いてあるわけですが、民間定年制の概況を見ましても、ともかく定年制のある事業所が九五・七%だ、こういう数字が出ているわけですね。私は読んでみて、うん、なるほどという気がしたのでありますけれども、こういう実態があるわけです。  それから今度の勧告でも、これに関しまして高齢層職員給与民間よりはるかに高くなっているということも指摘していますね。「昇給の停止を含め、」「適切な措置を講ずる必要がある」。私はここでも、いわゆる実質的な定年制とでも申しますか、勧奨退職にしてもある一定の年限を超えたら昇給ストップという自治体がやっているような方法をとる、いわゆる退職勧奨の促進措置とでも言いましょうか、こういうものをやれという議論を何回もしました。かつての行政管理庁長官の西村さんは、五十三年度で実施をし、五十四年度では法制化するとまでおっしゃった。ところが閣議の決定では、定年制を導入することにするということで、実施細目の検討人事院に預けて、そのめどについてはまだ具体的には明らかにしないということになっているのです。  この人事院勧告の詳しい内容を読みましても、たとえば四十歳以下は民間との比較では給与べースで民間の方が九・二%上である。五十歳代でとんとんだ。五十五歳以上は公務員が上回って、六十歳を超すと二六%も公務員の方が高い。「官民の年齢階層別給与較差」ではこういうふうになっているわけですね。  また、この人事院勧告にも、五十八歳以上の国家公務員は次に昇給するのを六ヵ月延ばして一年半後にするというような、いわゆる昇給延伸措置も効果が上がっているものとはほとんど認めがたい、こういう記述も載っているわけですね。  そういうことをいろいろ考えてみましても、もうそこまで来たのならば、思い切って定年制について一定のスケジュールを明らかにして、そして実際の定年制にいくことについてはこのぐらいの時期にはもう踏み切るような方向でやるのだ、あるいは勧告で触れておられます「昇給の停止を含め、」「適切な措置」はいつからとるのだというようなことも、もうそろそろ明らかにしなければいけないという感じがするのです。一回の、ただ勧告の中で「講ずる必要がある」だけでは国民は納得はせぬと思うのです。そういうことを含めまして、そろそろ具体的なめどを明らかにすべきではないかと思いますが、総裁いかがでしょうか。
  203. 藤井貞夫

    藤井説明員 いまお話に出てまいりました中で、高齢者に対する昇給停止あるいは昇給延伸の強化等の措置と、それから俸給調整額についての改善措置というものは、それぞれ具体的な目標を若干例示をいたしまして「早急に」ということにいたしております。その含みは、「早急に」というのは、普通の役所で使う文言と同じようには私は考えておりませんで、次のステップはできるだけ早く実現に移すという含みをそこにあらわしたつもりでございます。そのことは、必ず来年の勧告までには、勧告時に合わせてということまでここで具体的に申し上げることは少し行き過ぎでありますから、その点は若干ぼかして申し上げますが、気持ちとしては、じんぜんとして待つつもりはない、それははっきりと申し上げておきたいと思います。  ただ、定年性の問題につきましては、われわれも問題意識は前々から持って、これについてはあっちこっちからいろいろ検討を続けてきていることは事実であります。ただ、実際の日程に上ってまいりましたのは、正確に言えば去年の暮れの閣議決定でございまして、それを受けてこの二月になりまして総務長官から、事柄が公務員の身分、分限に関する重要なことだからひとつ意見を言ってくれというふうに正式に書簡が発せられたという現実でございます。正式に日程に上りましたのはその時点からですから、われわれも本腰を入れてこれに対して取り組む姿勢をいまやとっております。  また、日程その他のことも、いろいろ調査項目、検討事項とのにらみ合わせの上で、とつおいつ考えていかなければならない時期がそのうちに来ると思います。これもじんぜんとそう何年になるかわからぬというような悠長な問題ではないという問題の把握の仕方を私たちもいたしておりますので、もうしばらくたちました後においてはそういう点についての大体のめどといいますか、そういうことは一つの概略の方針として打ち出す時期が来るかとも思いますが、この点はもうしばらくひとつ時間的な余裕が欲しい。いまあらゆる問題点の掘り下げあるいは検討ということをやって、おぜん立てをいたしておるところであるということでございます。
  204. 中川秀直

    中川(秀)委員 政府としてこの勧告にございます。これは六項目になるんでしょうか、第六項目、いわゆる高齢層職員についての「年齢階層別にみた給与配分の適正化を図るため、昇給の停止を含め、高齢層職員給与について早急に適切な措置を講ずる必要がある。」この勧告、これはお受けになって早急にやる、そういう御決意があるのかどうか。
  205. 菅野弘夫

    ○菅野説明員 お答えを申し上げます。  人事院のいま報告に書かれましたその事項につきましては、これは法律事項でありましたりあるいは人事院規則の事項であろうと思います。したがいまして、法律関係につきましてはこれはやはり人事院勧告を尊重するというたてまえでございますので、人事院の方でしかるべく勧告なり何なり、そういう形が近々出ると思いますので、それを十分尊重してまいりたいと思います。
  206. 中川秀直

    中川(秀)委員 総裁、定年制の方の問題ですが、この文章を読みますと、なお「今後、引き続き、各省庁における高齢職員の在職状況、退職管理等の実態民間企業における定年制等の運用状況、諸外国公務員定年制等について詳細な調査をし、きめ細かい検討を行っていく所存であります。」こうあるわけですが、ことしの二月に書簡が総務長官から発せられて民間のを早速調べた。早速調べて出てくるまで約半年。あと調査事項が、これを見ただけでも四項目か五項目あるわけですね。これを一年ずつ一つずつやって、実際にこの定年制検討に今度入るのは四年も五年も先だ、そういうようなことでは困ると思うのですが、そうではないんですね、先ほどの御答弁は。
  207. 藤井貞夫

    藤井説明員 一項目ずつで一年間ずつかかっていくというようなふうには考えておりません。したがいまして、大体の見通しがつけばできる限り作業のテンポを速めるつもりでございまして、それこそ何年も、十年もというようなことに、私たちは問題の重要性を軽視をしているわけではございません。非常に厳密な角度でもってこれを受けとめて鋭意精力的な作業を続けておりますし、今後ともその方向で努力をいたしたいと思っております。
  208. 中川秀直

    中川(秀)委員 読売新聞のさきに行われた世論調査によりましても、四人のうち三人までが公務員定年制導入に賛成をしている。これはまさに圧倒的な声ですね。ひとついまの御認識でできるだけ速やかに御結論を出していただきたい。ここに、これまた強くお願いをいたしておきます。  それからいま一つ、時間がいよいよないのですが、この民間準拠に関連をして給与の位置づけの問題があろうかと思うのです。いわゆる民間では、高度成長経済の破綻とともに、従来のように名目賃金の追求のみに傾斜した態度は大きく変わっていますね。雇用を最優先させて、社会保障や住宅等の措置あるいは労働時間あるいは週休制などの賃金以外の労働条件、その他企業内福祉も含めて総合的に考慮して賃金問題を位置づけていると思うのです。これが民間の最近の大きな流れと言えるわけなんですが、そういう前提に立ちますと、名目賃金だけの官民比較、民間準拠というものは、必ずしも合理的とは言えなくなってきたんじゃないかという気がするんです。私は、公務員の場合も給与の位置づけというものを、そういう意味では考え直す時期がある程度来ているんじゃないかという気がします。     〔上原委員長代理退席、小宮山委員長代理着席〕  そういう意味で、たとえば新聞の論調でも、大変強く最近出されているのですが、いわゆる生涯給与あるいは総合的な給与体系というもので給与を考えていこう、こういうことが言われているわけなんですが、その生涯給与や総合的な給与体系で考えてみると、たとえば民間では賃上げの退職金算定基礎額の繰り入れというのは、大体五〇%余ぐらいにしかならない。ところが公務員、特に今度の人事院勧告でも、公務員のそれは九割に近いという、そういう社説も出ているんです。  その上五割増しの勧奨退職金、あるいはいわゆる官高民低と言われている共済年金もあります。あるいは先ほどお話ししたように定年制もない、身分保障もあって倒産がない、こういういろいろなものをもろもろに考えてまいりますと、やはりそういった総合的な給与の位置づけというものがどうしても必要になってくるんじゃないかという気がいたします。  もちろん、今回の勧告を全く評価しないわけじゃないのですが、幹部職員給与据え置きとか民間のボーナスに当たる期末勤勉手当を〇・一ヵ月分削減するとか、諸手当も現行のまま据え置く分があるとか、そういう部分で非常にいろいろな工夫をわれわれは評価をいたしますが、しかしそれは全体的に言いますと、大きな流れで言うと、あくまでそれは小手先の措置にしか過ぎぬと思います。生涯給与の問題こそ、やはり人事院が早急に取り組むべき問題であろうかとぼくは思うんです。  ある社説はこう言っていますね。生涯給与検討に時間を要すようであれば、その旨を書き添えて、たとえばそのかわりに賃上げを抑制して、週休二日制の実施勧告を切りかえるという方法もあるではないかという社説も出ている。私は、そういう一つの世論というものは、沸々と沸き上がっている時期だと確かに認識をいたします。そこら辺の認識、人事院どのようにお持ちになっているのか、少し本質的な議論ですから、お答えを願いたいと思います。
  209. 藤井貞夫

    藤井説明員 生涯給与論あるいは総合的な見地からする給与論という点は、それなりのいろいろ問題点を含み、またわれわれに対して反省をすべきことを求めているというふうに思います。  生涯給与関係というのは、ここ数年来非常にやかましくなってまいったのでありまして、それなりの問題の恐らく原点というものがあると思います。われわれもそれなりの評価はいたしまして、非常にこれは行き過ぎた議論であるとか、方向違いの議論であるというふうには思っておりません。  ただ、私たちが機会あるごとに申し上げておりますのは、それらの退職手当なり年金なりというものについて、人事院のそれは全然所管外であるとか、給与決定についての判断について、そういうものは全然組み入れられないのだというふうな言い方をするのではございませんですけれども、やはりおのずから退職手当等、それから年金あるいは一般のわれわれが毎年やっております給与との間には、つながりはございますけれども、また別の角度があることは事実。そういう意味から、所管等についても総理府、大蔵省というふうに、いま分かれておるというような点もあるわけです。  ただ、生涯給与的な発想なり論点というものは、われわれも十分耳を傾けていかなければならぬということがございますので、それなりに取り組む姿勢を示しております。また、それなりの調査を進めておるという現実もございます。ただこれにつきましては、よほど内容を精査をいたしませんと、年金といいましてもどれの比較をやっていくのか、ただ単に厚年と共済年金というものだけを比較しても、これは余り公正ではない、企業年金その他が行われているという点もございます。  それから、退職手当の点で俸給の引き上げの換算率、繰り入れ率の問題もきざいましたが、こういう場合にもおのずから民間の場合には、繰り入れ率はそういうことでも、今度は交付率といいますか、支給率の方で加味しているという現実があることも事実でございます。そういう点は、やはりわれわれの立場で総合的に判断をするということの必要性は十分に認めておりまして、そういう角度の研究も今後精力的にやってまいるということにいたしたいと思います。
  210. 中川秀直

    中川(秀)委員 お願いをしたいと思います。  給与の問題、私は公務員方々だって、国民の方から、一般民間給与と比較をして、総合的に考えて大変あなた方は恵まれているではないか、一方的にそういうことを言われたら迷惑だろうと思います。また同時に、そういうギャップがどこかで破裂をするような事態にまで行ってしまってはわが国の国益にならない、私はこう思います。国会の場で、国民の納得のもとに公務員給与が決定を見る、そういうような方向というものをあくまで求めていかなければいけない。  そのためには、やはり民間準拠という一つの原則でやっているわけですから、それとの差が余り広がらないように、ひとつこの辺は総合的に勘案していただかないと、特に減速経済下の中でその辺の不公平感というものが一層広がる可能性も十分あるわけです。同じ民間と言いましても、いい業種と、それから非常に構造不況業種、そういうものの差もあるわけですから、この中で公務員給与のみがひとり超然としている。その辺が総合的に考えられていないということでは、絶対にどこかでまずい限界点が来るだろうと思います。その辺をよく踏まえて対応していっていただきたい、強くお願いをしたいと思います。  最後に、時間がもう過ぎているのですが、一つだけ簡単にお尋ねをいたします。  これは大臣のところにも恐らくお願い書が回っているのではないかと思いますが、私どものところにも参りましたので、ひとつ簡単にお尋ねをしたいと思うのですが、政府海外技術協力事業の一環として、建設省やあるいは首都高速道路公団、国際協力事業団、外務省の方々、計六人が、ビルマへ橋梁技術センター設立のために渡ったわけですが、その往途に、三月二十五日、ビルマ国営航空に搭乗して離陸直後墜落、六人全員が死亡した、こういうことがあったわけですが、その遺族の方々がビルマ政府に対する補償金の請求について、ビルマ政府の要請に応じて日本政府が六人を派遣したものであるにもかかわらず、ビルマ政府はこの事故に対して適切な補償金をいまだ支払っていない。また、ビルマ国営航空から一切補償金が出ないということだ。日本政府は早急にかつ強力に、ビルマ政府に支払うように交渉することをお願いしたい。これが第一点。  第二点は、政府による海外派遣者の事故に対する遺族補償制度をぜひ確立をしてもらいたい。実は、きょう外務省からもお越しいただいているのでしょうけれども、私の方からいただいた数字を読ませていただきますが、二年前の段階で国際協力事業団が派遣した海外のいろいろな技術協力やそういったことで行ったのが二千三百四人に上るわけです。あるいはその他協力隊やボランティアを含めますと、大方五千人の人たちが同じ年に海外へ派遣をされているわけであります。福田総理の言ではありませんけれども、わが国が国際社会の安定と発展に応分の寄与をする、そういうことは非常に広がっていくだろうと思いますし、こういう派遣はますますふえていくしまたいかなければいけないものだと思いますが、その一方で、そういう前提条件となる派遣者に関する事故等について十分な補償制度がないということは、私は確かに問題であろうかと思うわけであります。  いろいろ調べてみましたけれども、たとえば国際協力事業団には一種の共済制度的なものがあって、事業団独自の措置だそうですか、遺族補償が、大体これを読みますと千五百万くらいですね。それからまた外務省は外務省で、当然法律にございます国家公務員災害補償法に基づくいろいろな措置があるわけですけれども、現実問題として千五百万くらいの補償で、特に今度事故を起こした方々は皆若い方々です。幼い子供を抱えているでしょう。そういう子供たちの養育まで含めて将来の補償になり得るかということになると、これは確かに御遺族の方々の御要望がもっともだという気がするのであります。  したがいまして、一つ御提案で、時間がありませんから何もかも私が申し上げますから、最後のところについて簡潔に御答弁願いたいのですけれども、各公団やあるいは政府機関の個別の、たとえば民間の生命保険会社との私的契約による補償だけでなくて、公務員に関して、あるいは政府職員のことに関しては、総理府自身がより十分な事故補償制度、あるいは現行制度の拡充でも構いませんが、それを至急制定すべきではないかという気がいたします。あるいは民間の補償制度を併用するというのであるならば、やはりその契約金や掛金については政府が見るというようなことがどうしても必要なんじゃないかという気がいたします。さらに広く言うならば、民間の人材を企業から離れて政府が派遣をしていこうと考えているのならば、そういう方々に対する総合的な共済制度というものも何らかのかっこうで検討していくべきじゃないか、これは非常に大切な問題ではないかと思うのです。この際、御提案を含めてお尋ねをするわけですが、真剣に御検討いただきたいのですが、総務長官いかがでしょうか。
  211. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 各省庁にまたがっておりますので、各省庁と連絡をとって至急に結論を出したいと思います。
  212. 中川秀直

    中川(秀)委員 終わります。
  213. 小宮山重四郎

  214. 安井吉典

    ○安井委員 ずっと論議を聞いておりまして、ほとんどの問題に触れておられるようですから、同じことを繰り返したくありませんが、ただ寒冷地手当の論議がないようですから、その点だけ伺っておきたいと思います。  人事院の長い努力で、一応の勧告ができて本当に御苦労さんでした。しかし、その中身は、一言にして言えば三・八四%という引き上げ率は物価の値上がりにも追いつかないし、国家公務員、地方公務員、それぞれ予算の中に保留していた財源を余すような引き上げ率でしがなかったということ、さらには新聞を見て公務員の諸君がふんまんやる方ない言い方をするのは、期末手当〇・一ヵ月分の引き下げということです。最前列に座っておられる局長以上の皆さんの方は、ベースアップはゼロで、期末手当の〇・一ヵ月分だけは引き下げということになるわけですね。ベース改定というのは大抵上に上げてくれるわけですが、実質的な引き下げという内容すらあるわけです。  それからもう一つは、教員人確法の問題、これはいままでの勧告措置が、地方へ行きましたらいまなお大きなトラブルの原因になっている。そこへもってきて今度また新しい、これは最終的なものだそうでありますけれども、その勧告が行われて、同じ勧告の中に並べられているということ、このことも私は大きな問題ではないかと思います。  それらは先ほど来も議論がありましたから触れませんが、寒冷地手当の問題です。これも寒冷地手当支給対象地域の諸君はかなり期待をしていたわけですが、これまたさらに検討をしますという一言だけで片づけられているわけであります。いずれにしても長い間寒冷地手当は据え置かれて、とりわけ定率、定額のバランスは崩れ、それがよくわかっているにもかかわらず今度勧告措置の中に入らなかったというその理由、そしてまたそれを打開する今後の見通し等をこの機会に伺いたいと思います。
  215. 藤井貞夫

    藤井説明員 足らざる点は給与局長からお話を申し上げますが、せっかくの御質問でございますので、私からお答えを申し上げたいと思います。  寒冷地手当につきましては、今度の報告に言及をいたしましたことはきわめて簡単でございますが、われわれといたしましては、そこに並み並みならぬ苦心、検討の結果をにじみ出させたような気持ちだけは持っておるつもりでございます。  専門の先生ですから、その間の過去の経過なり問題の実態というものは十分御承知のことであろうと思います。われわれも問題点は知悉しているつもりでございまして、いま具体的に例を挙げられました定率、定額の問題、これはかなり制度として長く年月が経過をいたしておりますために、当初のねらいであるものと若干実態が乖離してきているのではないかということに気がついております。すなわち、定率という分の持つ比重が大変高くなりつつあるということがございます。  そもそもこの寒冷地手当というのは寒冷増高ということに対して措置をしていくということから考えますと、当然個々の事情、適用を受ける御本人の地位、ポスト、その他によってそこに若干の差異があるということはやむを得ない面もございますけれども、しかし定率分基礎になる俸給が毎年のごとく上がっていって、そのために、定率分が据え置かれることの結果、出てくる金額というものが非常に大きくなっておる、そういうことから、当初発足いたしました当時とさま変わりの状況が出ておるということで、これはやはり何らか措置をしなければならぬという限界に来ておると思います。  支給地域の問題は、これまた実際上の取り扱いとしては大変むずかしい問題でございますが、全国各地からいろいろ要望が出ておるということも承知をいたしておるのであります。この取り扱いもいろいろ関係方々とも打ち合わせをし、緊密な連絡をとりながらだんだんと固めることで努力しているつもりでございますが、これら定率、定額の問題なり支給地域の問題さらには支給日以後のいろいろ異動の問題、世帯構成の変化の問題、それらの点もこれは技術的にはなお詰めなければならぬ問題点として残っているわけでありまして、それらの点は従来からもよく検討をしてまいりましたし、大分機は熟しておったということでございましたが、詰めの段階でなお最終的な結論を得られずに、遺憾ながら持ち越したというのが率直な状況でございます。したがいまして、これらの問題につきましてはさらに今後精力的に取り組んで、問題の煮詰めに入ってまいりたいというふうに考えまして、できるだけ速やかに、結論を得ました暁には、法律の精神に基づいて勧告その他適切な措置を講じたい、かように考えております。
  216. 安井吉典

    ○安井委員 いま総裁からのお答えでありますが、とにかくいろいろな事情があったということは私も聞いている点もあるわけでありますが、この状況を一日も早く直さなければならないのは当然だし、北海道を初めいわゆる寒冷地は、いま日本じゅうがかつてない夏の暑さの中にあるわけですが、きょうのお盆、いま会議をやっておりますが、このお盆が過ぎたら秋になってくるわけですね。そういう中で問題の解決をして、一日も早く灯油の値上がりをしている段階にふさわしい手当が支給できるようにという期待をしているわけです。  そこで、いま総裁のお話の中で最後にお触れになったように、精力的な調整措置、問題の解決措置を急ぐということでありますが、この寒冷地手当というのはもともと一般給与とは別に発想され、そして給与の体系の中に入れられてきた、そういう経過もあるわけです。ですから、私は、いわば定時勧告という形で出されているわけですけれども、必ずしも定時の勧告まで待たなければいけないという筋のものではないのではないかと思います。つまり定時の勧告には間に合わなかったが、いつやってもいいんじゃないか、そう思うのですが、今度の冬が来るまでに間に合うような御努力を願えないか、そういう勧告措置ができないか、そのことについてお見通しや御意思をひとつ伺っておきたいと思います。
  217. 藤井貞夫

    藤井説明員 私が人事院の方に再度御厄介になりまして最初に手がけたのが寒冷地手当勧告でございまして、これはたしか五十年の初めに勧告を出したという記憶がございます。  この法律の沿革その他については、いま御指摘になりましたように、一般勧告と時期を合わせてやらなければならぬという性質のものではございません。むしろ、こういうことを言うと不謹慎かもしれませんが、時期的に言えば余り夏にふさわしくないというような面もございましょう。しかしそんなことは別にいたしまして、これはやはり結論が出次第、一般勧告とは別個に取り扱って何ら差し支えのないことだと思います。  しかも今度の場合はもう一息と申しますか、われわれとしても決心がつく寸前の段階にまで来ておったという気持ちは持っております。したがいまして、さっき申し上げましたように、さらに継続的にしかも精力的に調整を続けてまいりまして、できるだけ速やかに結論を出して勧告をいたしたいと思っておりますので、別に一般勧告に歩調を合わせること、それがやむを得ないものとしては受け取っておりません。別個の勧告というものはあり得るということで御了承を賜りたいと思います。
  218. 安井吉典

    ○安井委員 わかりました。それじゃ、いろいろむずかしい問題もあるそうでありますけれども内容を整備しあるいは整理して、できるだけ早い機会勧告が行われるような、そういう措置をひとつお願いしておきたいと思います。  もう一つ、今度は要望的な質問ということになると思うのですが、大蔵省、自治省それぞれおいでですが、国家公務員で今度の勧告措置で七百六十億円ぐらい浮くし、地方公務員でも地方財政では千二百億円ぐらい余るということになるわけですが、その余った金の使い道ということについても先ほどもいろいろお話が出ていましたが、その金が補正予算を組む段階でいま明らかになったわけですから、今度の補正予算で公共事業の方にそいつを向けてしまうというような単純なことで処理していただきたくないと思います。  いつもなら、人事院勧告があったら、補正予算を組むときに、リザーブしたその五%で足りなくてその上に幾ら金を持ってくるかということでずいぶん苦労をし苦心をするというのがいつもの年なのが、ことしは余ったのでさあよかったということでは困ると私は思うのです。やはりこの金はあらかじめ公務員の待遇に向けるという一応の心組みがあったわけですから、たとえば減税を必ずやってその財源に向けるとか、あるいは雇用の拡大に向けるとか、あるいは福祉に向けるとか、減税財源などと言ったって余り大した足しにはならないかもしれませんけれども、何かそういう意味合いの使い道というものを考えるべきではなかろうかと思います。  とりわけ地方財政の方は地方交付税に算入して、自治体の方は当て込んで予算の中に入れてしまっているわけですね。それだけに、先ほどの財政課長の御答弁もありましたけれども、何でもいいから勝手にお使いなさいということよりも、この際全国の自治体でもっと雇用の拡大のためにそのお金を使って努力をしなさいというように、地方交付税にはひもがつくわけではないわけですが、しかし、そういう意味のあるといいますか、納得ができるような使い道ということを考えるべきではないか、そう思うのですが、大蔵省並びに自治省からお答えいただきたいと思います。
  219. 日吉章

    ○日吉説明員 ただいまお尋ねの給与改善費の余裕財源でございますが、これにつきましては、一般に剰余が生じました場合と同様に、今後生じてまいります新規の財政需要に充てるのが適当かどうか、その場合にもどのような財政需要に充てるのがよいか、あるいはまた、財源面から、ただいまも非常に高い公債依存率になっておりますので、たとえば国債発行額を減少させるのがいいか、そういうふうな諸般の観点から総合的に勘案いたしまして、適切な財政運用に資するように使用していきたい、かように考えております。
  220. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 地方財政計画上千二百億の所要財源に対する余りが出ておるわけでございますが、先生質問でも御指摘のように、これにつきましてはすでに地方交付税の単位費用に組み込みまして、基準財政需要額を通じまして各地方団体に財源措置をすることにいたしておるわけでございます。私どもといたしましても、こういったいわば余りと申しますか、こういった財源が何に使われるかわからないということではやはりおかしいかと思います。昨今におきますところのいろいろ社会経済情勢もございますし、また、地方団体側も最近における公債が非常にふくらんでおりますので、今後における公債の償還というような問題も考えなければならないと思います。あるいはまた、緊急に住民福祉のために実施を要する単独事業等というようなものもあろうかと思います。それらにつきまして地方団体のそれぞれの財政運営において最も有効適切に配慮が加えられていかなければならないもの、このように考えておる次第でございます。
  221. 安井吉典

    ○安井委員 いまどちらも減税のことをお触れにならぬが、特に大蔵省の方は福田総理大臣がなかなか減税の問題について補正予算で渋いような状況だから、ここであなた方からはっきりおっしゃっていただくというわけにはいかぬと思いますけれども、やっぱり公務員給与のベースを上げるべき金がここで余ったわけですから、なるほどそういう金だからこういうところに使ったのだなと納得のいくような使い方をしていただきたいということをひとつ重ねて要望しておきたいと思います。  最後に大臣へのお願いですが、今度のこの勧告で、いつもなら完全実施をするかしないかというので議論が白熱するのですけれども、大体お金が余るぐらいですからだれもそんなことをしつこく聞くような人がいないといういささか白けた状況ではないかと思うのですが、ただ、臨時国会にこの一般職公務員給与に関する法律の改正法案をお出しになるそのときに、人確法によるいまの教員給与改善、この部分が一緒にくっついて前の国会みたいにこの委員会に出てくると、これはなかなかややこしくなるわけですよ。一般職の方は早くもらいたいという希望もある一方、現在の全国的なトラブルが起きている主任手当闘争、そういうものがこれに反映してくるものですから、これはなかなか大変なんです。だから、私は政府としてこの二つの部分を別々な法律案で提案してほしい、そうすれば審議の方もわりあいにスムーズにいくのじゃないかと思います。ひとつその点御配慮を願えないか、大臣に最後に伺います。
  222. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 勧告を受け取ったところでございますので、慎重に検討してまいりたいと思います。
  223. 安井吉典

    ○安井委員 これは私の要望です。そういうことを御検討いただきたいということをお願いして、質問を終わります。
  224. 小宮山重四郎

  225. 上原康助

    ○上原委員 かなり時間がたっておりますが、私の持ち時間の範囲で、場合によってはそれ以上になるかもしれませんが、お尋ねをさせていただきたいと思います。  きょう一日総務長官何か手持ちぶさたで、先ほどからいろいろ答弁をしたいようなお顔をしておりますので、若干給与の問題についてお尋ねをしてから、せっかく総務長官おいでですから、去る七月三十日に強行されました沖繩の交通方法変更後の問題についてもお尋ねをさせていただきたいと思います。  そこで、すでにもう今回出されました人事院給与改定勧告の中身についてはそれぞれの先生方がいろいろとお尋ねになりましたので、できるだけ重複は避けたいと思います。しかし、まだ納得しかねる面も大分ありますし、今回の人事院勧告は私たちはいろいろ事情があったにせよ大変問題含みであるという点を指摘せざるを得ないと思うのです。人事院総裁初め、御苦労もわからぬわけではありませんが、給与民間準拠といいますか、民間比較という面においては、あるいは現在の社会経済状況からして言い分もあるとは思いますが、まず最初にお尋ねしておきたいことは、これまでも議論がありましたが、公務員の賃金といいますか、給与のあり方というものは、確かに地域社会なり民間産業の企業の賃金水準というものを参考にしなければいけないことは、これは必然でありましょうが、しかし景気のいいときには余り問題にされないわけですよ。問題にされなかった。特別給にしましても、実際は相当値切ってきた。また算定基準においても問題がある。ただ、不況になると、公務員労働者といいますか、何か公務員が非常にべらぼうな賃金をもらって遊んでいるかのような指摘もあるのです。私は、これは当たらないと思うのですね。民間は大変不況であり、中小企業が困っているのは私たちも十分わかるし、その面の対策はやらなければいけないと思うのですが、公務員方々は、国が倒産したら困るのですよ。  そういう面で、きのうの各紙の社説を引用するまでもありませんが、こういう批判に対して人事院としては一体どういうふうにお考えなのか。好景気の場合は余り問題にされずに、不景気になると公務員の賃金のあり方というものが極度に抑えられる社会的世論操作といいますか、あり方というのは、私はやはり妥当性を欠く面があると思うのですね。この点は、政府としても人事院としても確たることを国民の前に明らかにしていただかないと、誤解を招く。この点は改めて総裁のお考えと決意を承っておきたいと思うのです。
  226. 藤井貞夫

    藤井説明員 公務員給与のあり方ということについてのお話がございました。私の口から申すのもいかがかと思いますが、確かにいま先生が御指摘になりましたようなことが往々にしてあるということは、これは否定のできない事実でございます。世の中好況のときには別に公務員についての給与関係の批判はほとんどないとか、あるいは取るに足らないことで終わってしまうのが普通でございますが、一たん大変不況になってくる、雇用問題が深刻になってくるというようなことになりますると、公務員に対する風当たりというものが非常に強くなってまいるということは、いままでの経験から徴してもずいぶんあったのでありますし、今回の場合もその御多分に漏れないということでございます。  これは、やはり国民の感情といたしまして、一概にそれは無視することはできない面は持っておることも事実でございます。そういうことで、われわれとしては謙虚に受けとめて反省すべきことは反省しなければならぬというふうには思っておりますけれども、しかし公務員給与につきましては、その決定方式にいろいろ紆余曲折があったものがいまや制度的に確立をしてまいっておりまして、それは、民間企業との対比においてその較差を求めて、較差があればそれを埋めるという方式をいままでずっと連年踏襲して、これが制度としては定着を見ておるというふうに思います。また、このやり方自体は大方の同意は得ておるのではないかというふうな確信を持っておるのであります。  公務員給与は、われわれ機会のあるごとにいろいろ申しております。また、給与勧告の前になってだけではございませんが、機会のあるごとに論説委員方々とか、そのほかの会合のある際に申し上げておりますように、公務というのは世の好不況ということと関係なく、やはり常時執行していかなければならぬ仕事でございます。また、不況であればあるだけに、それだけ不況対策というようなことで行政、政治というものはやっていかなければならぬ部面がふえてまいるという現実もあるわけであります。その公務員について適正な処遇、しかも民間との対比をやってその均衡を保たしめるということはやはり最小限度の一つの要請ではなかろうかというふうに考えて今日までやってきておるつもりでございまして、その点は御理解をいただけるように努力はいたしておりますけれども、なおわれわれの努力の足りない面もございまして、いろいろ事あるごとに御批判をいただいておることも事実でございます。  批判は批判として十分これを受けとめて対処をするつもりでございますが、しかし公務の重要性、公務のあり方、それを執行する公務員給与、やはりいい人を継続的にこの部門に確保しなければならぬという一つの非常に重要な要請がございますので、その角度からいって公務員給与というものは十分に配慮をしていかなければならないという基本的な姿勢に立ちますがゆえに、従来からも一つの信念を持ってやってまいりましたし、ことしの場合、例年にない厳しい環境がございましたが、いろいろ勘案をいたしました結果、今度、国会、内閣に対してお願いをいたしましたような趣旨勧告をお出しをしたということでございまして、このやり方自体は公務員給与制度の根幹に触れるものとして正しい措置であるというふうに考えておるのでございます。
  227. 上原康助

    ○上原委員 私も、国民の声とかあるいは人事院勧告のあり方に対する注文、御批判等について全然耳をかすなという立場で言っているわけじゃないんですね。それはそれなりの意義はあるにしても、ただ、えてして公務員民間企業の労働者といいますか、国民大衆とを切り離していく、何か意図的にやる論に対しては毅然たる態度で臨まなければいかぬということを改めて指摘をしておきたいと思うのですね。  それと、先ほども議論がありましたが、この勧告を見てもわかるとおり、公務員の平均年齢、大体四十一歳のようですね。しかし、年齢階層別の給与較差というものは、四十歳未満では何と民間とは九・二%、四十歳以上五十歳未満でもまだ三%ある。したがって、社会的に一番、生活面で子女の教育とかそういう、重要といいますか、非常に困難な時期にある方々が低位にあるわけですね。こういうことなども国民が余り知っていらっしゃらない面もあるんじゃないでしょうか。確かに高年齢になれば幾分上回っている面、あるいは五十八歳以上六十歳未満では、この資料からすると民間よりもかなり高い位置にあるということはわかる。  そこで、平均年齢が大体四十一、二歳となりますと、この層の賃金が民間と比較してこれだけの較差があるということは、これはやはり給料表のあり方とか賃金体系そのものに問題があるということを意味していると思うのですね。こういった面の是正は今後お考えなのかどうか、将来の問題としてこの御見解を承っておきたいと思うのです。
  228. 角野幸三郎

    ○角野説明員 お答え申し上げますが、全体の較差配分ということを考えますときに、まず配分問題として、本年は中位等級といいますか、いま先生お話しのとおり、民間と比べまして一番較差のある四十歳代あるいはやや未満というところを最重点に本年配分を決めて、六等級、五等級、四等級あたりを重点としたという御報告を申し上げておりますのは、まさにそういう配分でございます。  それで、官民給与を比較いたしますときの大きな柱として、職種別均衡と同時に年齢階層別の対応ということは二つの大きな柱であろうと思います。そういうことで、平均年齢は上がっておりますが、その年相当の対応する職種なり年齢なりの民間の従業員の給与ということとの均衡をとるということが重要な支えでございますので、今後のわれわれの配分民間と整合的にしない限りはこの較差問題はだんだんおかしくなるという関係にはあると思っておりまして、まさにことし提案いたしましたそれの是正ということを含めて今後の大事な配分問題を含む制度上の問題である、こういうふうに考えております。
  229. 上原康助

    ○上原委員 そういう点で配慮をしつつあるということですから、できるだけそういった実際の較差が生じている層あるいは職種なり職域をもっと重点にして配分をするということも含めてお考えになっていただきたいと思うのです。  それと、特別給の問題ですが、これは各先生方触れたのでこれ以上細かい議論をする時間もありませんが、ただ一点申し上げておきたいことは、公務員の支給率は官民の比較給与のうちの基本給を基準としておるわけですね、先ほどから議論がありましたように。しかし民間は所定内給与を基準としている。したがって、この取り方によって数値が実際問題として違ってくる。ここは是正をする必要はあるのじゃないですか。今回の場合だって、細かいことは申し上げませんが、実際問題として基本給だけに該当する数値にすると、民間のいわゆる諸手当を含めて考えますと、九五・一、二%にしかならぬという計算が出ているわけですね。こういうところでも〇・一ヵ月分下げる必要はなかったと思うのですね。これは今後もそういうやり方をやっていくのか。やはり改めるべきだと思うのですよ。なぜもっと、諸手当も含めて民間はこうなっている、公務員は基本給だけだと言って堂々とーーせっかく既得権としても一昨年も〇・二下げる、今回もということになると余りにも人事院のやり方、従来人事院が言ってこられたこととは矛盾すると思うのですね。この点どうなんですか。やはり私たちは今回の〇・一ヵ月分はいろいろ問題がある。皆さんから言えば調査の結果そうだったとしても、下げるべきでない、これは公務員の皆さんのためにも、将来を考えてみても。  さらにもう一点は、じゃ今後民間が景気がよくなって、いままでコンマ二位以下切り下げてきた面もある、そういうことは一切やらないというお約束はできるのかどうか。先ほど言ったように、景気がいいときは下げておって、景気が悪くなると民間準拠というのは論理的にも矛盾するんですね。こういう面はどう御説明なさるんですか。あくまでこの点は是正をしていただきたい。
  230. 角野幸三郎

    ○角野説明員 特別給のボーナスの関係調査の問題でございますが、民間は各企業ごとにそれぞれ違った給与体系を持っております関係上、全体の月給の、残業手当は除きますが、月給の総体というものでボーナスの総体を割るという割り方、やり方しか大ざっぱに言って、ないわけでございます。公務員の場合には一つ制度でございますので、基礎になるもの、ならないものを峻別することができるわけでございます。  それで、民間の月給でボーナスを割った月数を媒介として、その月数を公務に導入して公務員基礎給に掛けるという、そういう月数を出しますことに問題があるとすれば、いっそのこと民間のボーナスそのものを金額でとらえで、公務員のボーナスそのものも金額でとらえて、月数媒介をやめて、そのものでもって比較するというやり方がないことはない、そう思いまして、先生指摘のような問題点を解消するための研究課題として昨年から取りかかっております。本年も一民間給与調査に行きましたときに、調査員に命じまして民間でそういう調査に対応してくれるかどうかということをいろいろ検討したわけでございます。大体五割以上六割くらいの企業でそれはとてもできない、ボーナスを個別にとらえるということは調査としてはできないというような、特に大企業の場合でございますが、そういう回答が来ておりまして、それが一番いい方法だとはわかりながら、それがとれないということがわかった、いまそういう段階でございます。  かと言いまして、たとえば公務員の支給額の基礎にいたしておりますものに、扶養手当、調整手当本俸、そのほかに通勤手当や住宅手当のように現在抜けているものを基礎にして支給できるかと言いますと、それは非常におかしな形になるだろうと思います。個人的に、属人的に違います。しかもボーナスの基礎通勤手当であるとか住宅手当基礎になって係数を掛けるようになるというのは、ボーナスの支給の仕方として非常におかしいだろうという気がいたします。かと言って、非常にざっとしたやり方として、それではそれだけ月数をかさ上げしたらいいではないかというような議論もあるかと思いますが、これは大変大ざっぱで、毎年配分するたびにそういう手当の伸び方いかんによって歩どまりを変えていくということになりまして、これは制度としては非常に不安定なやり方だと思います。とつおいついろいろ検討しているわけでございまして、問題点はあるということは十分承知いたしておりますが、それに対する具体策としていまいい案がないということで困っておりますが、現に今後の問題として早急にそれに対する対処の仕方を考えていきたいと思っております。
  231. 上原康助

    ○上原委員 問題点があるということはおわかりいただいている、また今後の是正策も考えていきたいということなんで少しはわかるわけですが、これは何と言ったって民間の場合――確かにインバランスは出てくるかもしれませんよ。住居手当が違うとか通勤手当が違うとか、公務員それぞれの方々違うわけなんだが、民間は純然と入っているというのが一般的なわけだから、公務員は入らぬで、ボーナス、特別給の率をトータルで出すということは矛盾があるわけです。この点は人事院総裁、いま給与局長からありましたが、今後早急に是正するように努力いたしますね。
  232. 藤井貞夫

    藤井説明員 問題があるということは認めておりますので、いろいろな角度から可能性も含めて検討をいたしております。  ただ、民間との較差ということは、基本的なわれわれの給与決定についての、あるいは特別給決定についての基本方針にいたしておるということがございますので、それに見合う自信のある正確な調査が得られるということが一つの前提になるわけでありまして、その点については率直な見通し等を給与局長も申し上げたのでございますが、それらの点の可能性等をも含めて、いまのやり方が最善唯一の方法だというようなことではなくて、十分ひとつ検討をいたしたいと思います。
  233. 上原康助

    ○上原委員 これは臨機応変というほどまでではないかもしれませんが、経済のちょっとした変動によって変えられるということに対しては問題が非常にありますので、ぜひ是正をしていただきたいし、今回の〇・一ヵ月分の切り下げについては承服しがたいということを改めて申し上げておきます。  そこで次は、これは時間も遅くなっておりますので、あと一点だけこれとの関係でちょっとお尋ねしておきますが、先ほど寒冷地手当の問題もあったんですが、以前から私は――今年は沖繩は比較的涼しいという話もあるのですが、しかし地球が変わったわけではないし、暑くなるのはこれまたあたりまえで、十月ごろまでは暑いわけですから、酷暑手当問題についてはどういうふうに検討しておられるのか。  いま一点、特地官署の級地の引き上げ問題、いわゆる特地勤務手当の支給割合の改定についても私はやるべきだと思うのですね。それと離島、僻地に勤務する職員の健康管理の問題、医療機関の充実の問題等給与問題をお考えになる場合は、こういった人事行政万般についてよく調査をしていただいて、手当なりいろいろな面での改善改定を十分やるべきだと思うのですが、これが全く今日まで別個に取り扱われていること、この件について端的な御答弁をちょうだいしておきたいと思うのです。
  234. 角野幸三郎

    ○角野説明員 酷暑手当関係についてお答え申し上げます。  これは寒冷地手当とちょうど対応するような考え方でスタートしておるということは事実でございまして、寒いことに対する増高生計費、それにちょうど対応するような高温多湿ということに対する必要経費の増加という着目で、いわば生計費面での支出増に対応する考え方なり御要求である、そういうふうにわれわれは受けとめておりまして、ちょうど寒冷地手当について私どもが作業をいたすと同じような関係で、そういう面の家計調査なり支出増に対応するデータを調べて、ここ何年も毎年毎年のデータを見て検討しておるということは事実でございます。  しかしながら、現在の段階で申し上げますと、そういう生計費面の支出増に具体的に結びついた形ではなかなか出てこないということも事実でございまして、しからばということで、公務員ではなく民間の事業所で現にそういう手当の取り上げ方がどのぐらいあるかということについても調査をいたしておりまして、本年の沖繩地区の民間給与実態調査をやりますその調査先につきましても、そういう給与の取り扱いなり受けとめ方について調べたことも事実でございます。それを見ましても、そういう酷暑手当的な上積みを手当として加えているというのは至って少数であるということがわかっておるわけでございます。  それからもう一点は、内地に本社を持っておりまして、沖繩に支社があるというような場合、その支社に何かプラスアルファを出しておるかというようなことも調べてみたわけでございます。それも若干ございますが、どちらかといえば移転手当的な、そういう異動保障的な面のものが大分まじっておるというようなことで、あれやこれや私どももいまデータを一生懸命模索しておりますが、結局いまのところはそういう状態で、確たる結論にまだ至らないというような状況でございます。  それで、特地勤務手当といいますか特地官署的なとらえ方というのも一つはあると思います。これは生計費的な面とは全然違う発想の手当でございまして、どちらかといえば、そういう僻地的なところに勤務なさる御苦労に対して付加されたもの、こういう種類の手当でございます。これについては、現在いろいろな基準という点を踏まえましてちょっと検討してみようと思って、せっかくやっている最中でございますが、まだ結論は出ておりません。  以上でございます。
  235. 上原康助

    ○上原委員 この議論はまたいずれいたしますが、いまの特地勤務手当のものも私は以前から一、二度お尋ねをしたこともありますので、ぜひ継続して御調査なり御検討をいただいて改善をするように特段の御努力を要望しておきたいと思います。  それで、あと一点週休二日制の問題ですが、先ほどの給与改定なり特別給の問題とも関連をするのですが、もちろん、公務員がたくさんおって住民サービスもしないでおるということはいけないことですけれども、私はまずそういうことはないと思うのです。しかし、今日失業雇用の問題から考えても、公務員の数をふやすことはけしからぬというのは、私は逆にけしからぬ論だと思うのです。  そこで、週休二日制については、これは勧告にもありますが、人事院段階のことじゃないのじゃないですか、もう政治の話じゃないですか、総務長官海外に行っても――日本だけですよ、こんなにあくせくして一生懸命、土曜日も、お盆だというのに、地獄も休みという日にこの内閣委員会を開いたり……。ですから、週休二日制の問題については、人事院勧告の十ページにもありますけれども、やはりこれは政治の問題じゃないですか、総務長官。  そこで、とれとの関連において、よく公務員の人員がぶらぼうにふえたというようなことを言われていますが、そうじゃないのですね。実際にふえなければいけないところは、教育関係とか、この資料にちゃんと出ているでしょう、「参考資料」というものの三ページ。四十三年から五十三年の十年間を比較しますと、行政職は逆にマイナス四・五ですよ。確かに教育職関係とか医療職関係はふえている。これはあたりまえのことなのです。児童生徒がふえれば先生をふやさなければいけません。社会保障なりいろいろ充実すると医療機関は増設していかなければいけませんから、そこに職員をふやさなければいけない、専門職を含めて。こういう実態ですから、週休二日制の問題についてはもう議論の段階ではないのです。まず政府が率先してやるべきです。どうですか、総務長官。こんなことで人事院給与局あたりをいじめてはいけませんよ。政府全体で、内閣でできるかどうか判断してやるべきなんですよ。
  236. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 週休二日制問題でありますが、世論あるいはまた民間その他、相当定着をしておるものである、私もこういう踏まえ方をいたしております。そういう意味から第一回目を試行したわけでありますが、この中で調査内に入っていなかったというところも相当ございまして、そういったことを踏まえて再試行いたしたわけであります。そういう意味からこの結論を待って、先ほど人員の問題がございましたが、人員の増というのは大変むずかしい問題でございまして、週休二日制を実施する場合においても、増員、こういったことも踏まえながら、増員というのはするということでなくて増員をしない、こういったことを踏まえながら慎重に検討してみたいと思っております。
  237. 上原康助

    ○上原委員 大体そんなきれいごとだけ言っているから、日本行政改革も全然できない、ある面においては進歩しない。国民の人気取りだけやろうとしても、福田内閣の人気は出ませんよ。週休二日制をやるなら若干の増員も必要だというぐらい国民の前に言う、これだけのことが必要だということを言わぬからだめなんですよ。  この議論はいずれやりますが、事あるごとにそんな消極的な態度で――いつから変わったのか。これじゃだめですよ。これは、人事院総裁の方がむしろましだ。  一言だけ伺っておきますが、これにありますように、これは人事院月報ですが、「「働き過ぎる」日本人」とちゃんと書いてある。これを読んでください、稻村長官。ぼくも余りこういうものを読まないのですが、さっきちょっと目を通したのですが、ここにも公務員の皆さんの週休二日制というあれで出ているでしょう。これは、内部におる方々も何とかしてもらいたいという声なんですよ。上の方がきれいごとだけ言っているから、足踏みするどころか後退している。そういう意味で、じゃ具体的にどうなさるのですか。ここに書いてあるように「職員の週休二日制についてその具体化のため所要検討を進めることとする。」こんな優等生的な文句だけいつも書かぬで、「具体化のため所要検討を進める」ということはどうですか。簡単にお答えください。
  238. 藤井貞夫

    藤井説明員 私たちは、着実に世の中の趨勢なり世界の情勢等を踏まえて一歩、数歩の前進をひとつやっていきたいというつもりでこれに対処いたしておるわけでございます。そういう意味テストに踏み切りましたし、しかも、テストについて足りないという部分について再度テストということに踏み切ったわけでございます。次の場合におきましては、やはり情勢を踏まえて前進の措置を講ずるという一つの線を歩んでいることは事実でございます。そういうことから、今度の結果を分析し、その検討の上に次のステップをどうするかということをひとつ考えて、それについて結論が出ますれば所要措置を講ずるという所存でございます。
  239. 上原康助

    ○上原委員 そのほかに、扶養手当の問題とかあるいは高齢層職員給与の件についても触れたかったのですが、時間がありませんので省きますが、ぜひいまの週休二日制の問題は、もう議論の段階でない。定年制の問題もいろいろ触れておられたようですが、そういう面も含めて――こういうことをやるにはある程度抵抗がありますよ。抵抗があったっていいことはばんばんやらなければだめなんだ、やるときは。  それで、稻村長官にお尋ねするのですが、先ほどからどうも物も言いたくないような顔をしておられるのですが、これまで沖繩の交通方法変更に当たって、大臣が沖繩現地に行かれたときとか、あるいは国会で答弁したことは守りますか。
  240. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 過去においてもすべて守っておりますし、実行いたしております。今後も、約束を申し上げたことについてはすべて実行してまいりたいというふうに思っています。
  241. 上原康助

    ○上原委員 そこで、具体的にお尋ねをしていきたいのですが、あなたはうそつきだというような発言もあって、いろいろ物議を醸したこともあったのですが、いまの御答弁からすると、うそはつかないということですね。
  242. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 お答えいたします。  どうもうそつきということを前提にいかれると、これは議論になりませんよ。私は少なくともうそをついた覚えもなければ、うそをつこうとも思っていない。うそをつくということを前提としていきますと、この議論は成り立たない。
  243. 上原康助

    ○上原委員 それは、私が申し上げているのじゃなくて、そういう議論もありましたがということでお断りしておりますから、余り気になさらぬで、ひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。  そこで、私も、大臣がこれまで交通方法変更問題を初め総務長官になられてから沖繩のいろいろな問題について鋭意御努力をしておられる、あるいはまた御苦労しておる点には敬意を表するにやぶさかではないのですよ。ますますやってもらいたいという激励を含めて、私はこれまでお尋ねしてきたわけです。  そこで、問題はたくさんありますけれども、かねがね私たちが、交通方法を右から左に変えることによって沖繩県民が大きな損失をこうむっちゃいかぬということを口酸っぱく申し上げてきたことは御記憶があると思うのですね。その中でも経済的損失補償の問題は、残念ながら七・三〇まで政府の確たる御見解を出さなかった。出さなかったけれども、私があえて冒頭失礼なことに当たるかと思ったのですが、お尋ねしたのは、たとえば七月の二十九日、変更前日、台風の中で大変でしたが、長官が行かれたハーバービューホテルの記者会見においても、経済的損失補償についてという面で、「営業損失補償はこれまでも言って来た通り、あくまでケースバイケースで対処する。県民の不安は責任を持って取り除く。損失補償の具体的ケースが出て来れば適切、敏速に対処する。」こういうふうに言い切っておられるのですね。これからすると、変更によってこうむっている個人的営業であろうが、団体的営業であろうが、経済的損失については補償すると県民が受け取るのは当然ですね、一般的常識を有する日本人ならば、先ほどの答弁からいたしますと。いまもこの考えに間違いないですね。
  244. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 経済的損失補償でありますが、長い習慣から、車は左、人は右、こういうわけでありますから、いままで通らなかったところへ、右の方に人が通る、あるいは車は左ということでございますから、やはり損害と申しますか被害というものは、利害得失、そういうような関係からケース・バイ・ケースでこれを解決する。ケース・バイ・ケースで救済処置をするということは、いまもなお変わりはございません。
  245. 上原康助

    ○上原委員 そこで問題は、ケース・バイ・ケースというのはうやむやということじゃないんでしょう。
  246. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 具体的な事例を挙げていただかないとまずいのです。いままで具体的な例が二、三ありましたのはすべて解決をいたしております。  そういう意味から、中央の対策本部もしばらくの間設置をいたしておきます。また現地は、当然もうしばらく、どのような事態が発生しないとも限りませんので、現地の対策本部もそのまま設置をいたしまして、長い間の習慣を一遍に変えられたわけでございますから、これについては県民の不安を取り除くということよりか、むしろできるだけケース・バイ・ケースで適切な処置をとるということで、残置しておくということであります。
  247. 上原康助

    ○上原委員 現地の対策本部も存置せしめている。しからば、ケース・バイ・ケースの中身が知りたいんだ。ケース・バイ・ケースの損失を受けている実態はだれが調査をするのですか。だれが掌握するのですか。それをやるのは、私はやはり現地の出先の総合事務局であり、交通対策本部だと思うのですが、影響事後調査はどこがやるのですか。
  248. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 これはだれが調査をするとかしないとかということでなく、公に開発庁の方からも総合事務局の方からも、また私が参ったときにはあらゆる機関に対して呼びかけておるわけでございますから、このような被害があるというように届け出ていただくならば、やはり早期に調査をいたして適切な処置をとるということであります。
  249. 上原康助

    ○上原委員 そういたしますと、政府立場では七・三〇実施後の影響調査はやらない、あくまでも損失を受けている県民なり市民なり団体なりが総合事務局の方へ、私たちはこれだけ損害を受けていますからという申し出をしなければやらないということですが、これは逆じゃないですか。それじゃちょっと約束を果たしたとは言えないですよ。
  250. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 これはやはり損害を受けておる――先ほど来も申し上げましたように、対策本部が残置してあるわけでございますから、当然待ち構えておるということでなく、できるだけきめ細かくいろいろな団体を通じて、まさか一軒ずつあなたのところはありませんかどうですかと言って、そういうことを聞いて歩く筋のものではない。たとえば商店ならばどの商店が、釣り具店であるとかガソリンスタンドであるとか食堂であるとか、被害を受ける業種というものは大体決まっておるのではないか。そういう意味から、もちろん対策本部としましてもいろいろ聞きに行く場合もありますし、また、そうかといって聞き漏れということもありますから、そこはやはりお互いに相身互い、その被害を最小限度にとめていくということが好ましいのではないか、こういうふうに思います。
  251. 上原康助

    ○上原委員 よし、ある程度わかった。  そこで、ケース・バイ・ケースでなさる。それと、現に経済的損失を受けている人々から申し入れがあった場合は、総合事務局なり対策本部が出向いて調査もしてその損失補償はやる、これが政府の考えですね。たとえばバス停周辺の商店街とか、バス企業あるいはタクシー業。釣り具店はもう現に要請書を出していますね。そういうことについてはやるわけですね。
  252. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 交通変更に伴う融資制度の創設もいたしました。(上原委員「それはわかっている。それではだめだ」と呼ぶ)いや、だめだと言わずに、あなた理屈でなくして、一回二、三件出してみなさいよ。こことこことと、こうおっしゃってください。それをただ抽象的にこうやられますと――私の方も誠心誠意やっておるつもりです。だから、具体的にこことこことがあるんだ、何もやってないがどうなんだとおっしゃっていただければ、これは検討して、至急に対策を講じさすようにいたします。
  253. 上原康助

    ○上原委員 そこまでおっしゃるのであれば、こういう公式の場でのやりとりですからまさか無視ということにはならないと思いますので、それでは私が具体的に場所を提示をしてもいいですよ。  たとえば国際通りの牧志の旧市街線の停留所周辺の商店街、関南交番所付近、さらに安里の旧市街線のところです。私たちも実態調査をいまやっているんですよ。私自身も出向いていって調査してみたのです。こういうところはすでに問題として上がっていますよ。  そう開き直ったようなことをおっしゃいますが、総合事務局にも、もう八月十日にわれわれは小玉さんに会ってこのことをちゃんと申し入れたのです。それだけではないのです。七月の二十六」日、実施前にも問題提起をしている。実施以後、八月一日にもやっている。二日には、私も現にバスに乗って那覇市内の実態調査したのです。明らかにこの影響を受けて経済的な損失を受けていますよ。実際に大臣がおっしゃるような県民の損失を除去するということであれば、これを掌握して自発的にやるのが政府の行政の本当のあり方ではないでしょうかね。座して待っているというのが現在の総合事務局の態度ですよ。これではいかぬと思うのです。  そこで、きょうはっきりしたのは、まだ私が申し上げているところまではいかないにしても、少なくとも損失を受けている個人なり団体から、これこれのような損失があるからこれについては補償してもらいたいという申し入れについては、適切、迅速に処理をする、対処していくということですね。
  254. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御指摘の開南の商店の被害につきましては、これは取り上げておるそうでありまして、それ一、二でなく、全体の交通変更をしたわけでございますから、今後いろいろ問題が出てくると思います。まあ被害というものに対してできるだけ積極的に救済処置をするということをここでお答えをしておきたいと思います。
  255. 上原康助

    ○上原委員 私がお尋ねしている内容は、六月二十日でしたか、確かに融資制度の決定等はやっていますよね。こういうことではなくして、実際に損失を受けている個人及び団体に対する補償の問題を調査の上やるということをやらなければいかないと申し上げているわけですから、それに対しておやりになるということですね。
  256. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 現在そう数多くないようでございますが、いろいろその実態調査する、いろいろ意見を聞いておるようでございますから、できるだけ速やかに決定をするようにいたしたいと思います。
  257. 上原康助

    ○上原委員 これは沖繩に実際に住んでいる人でないと、その影響がいかに深刻かということは残念ながら十分はだでお感じになれないので、受けとめ方は違うかもしれません。相当深刻な問題があるということはぜひ御認識の上で、影響調査をやりながら対処していただきたい。あなたは損失を受けていますか、あなたはもうかっていますか、これを聞いて歩きなさいと私は言っているんじゃないんだ。客観的に見ても明らかにここは大変だということは、そういう企業というのも地域は大体わかるわけですからね。これさえもわれわれが一々問題を取り上げぬとやらないというのは、これは冒頭おっしゃった大臣の言行不一致ということになりますよ。くどいようですが、そうなりませんね。私もこれに執念を燃やしていますからね。くどいようですが、本当にやりますね。首がかかっていますよ。
  258. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 私の長官時代に歴史的な変更をいたしまして、県民に大変御迷惑をおかけしておるということは承知をしております。上原委員も執念をかけておられるならば、私も事後の対策について執念をかけております。
  259. 上原康助

    ○上原委員 重ねて御努力をお願いしておきたいと思います。  そこで、時間も参りましたので、あと簡潔にお尋ねしておきたいのですが、今回のこの変更はある面ではやはり時期尚早ですね。道路整備なり、やるべきことがたくさんあった。その中でも、道路の不整備が余りにも多かったがゆえに今日大変な交通渋滞を来している。もちろん、交通渋滞の問題は変更前から深刻でしたが、しかし左になってハンドルになれないわけですからね。そのしわ寄せば、これは経済活動を含めて大変ですよ。  そこで、運輸省も建設省も来ていただいたのですが、余り御迷惑をかけるわけにもいきませんので、少なくとも大臣が沖繩に行かれたり、あるいは国会で明らかにしましたように、安謝の立体交差点、それから垣花、それと古波蔵、これは五十四年度予算から着手できるように努力いたしますね。もう一つこれに加えて、いま一番ネックになっているのは何といっても旭橋周辺です。あんな狭い橋なんか当然かけ直してちゃんとしてからやるべきだったのだ。それと明治橋、こういうものも当然やらなければいかない問題です。このことについては、ぜひ恒久対策として五十四年度予算から計上するようにやっていただきたい。  さらに緊急対策は、警察も来ていますが、七・三〇の変更とか、道路標識がいろいろ立っておって、障害物がたくさんあるわけですよね。そういうものの除去等を早急にやっていただきたいし、恒久対策としていま私が申し上げた分は、少なくとも早急に着手しなければいかない点だと思うのですが、これについて改めて決意のほどを伺っておきたいと思うのです。
  260. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 三十日私も行っておりまして、交通渋滞等この目でよく見てまいりました。そういう意味から安謝の立体橋、それから垣花、農連前。垣花の長大橋については地元とのコンセンサスと申しますか、地元の了解を得ておる、こういうような関係から、これは早急に着工しなければならない。それから、安謝の問題についてはまだ地元との関係でいろいろ問題が残されておりますし、農連前については地元関係がいいようでございますので、これは早急に来年度予算に計上してまいりたい。  特に私はおる中で、惑い、渋滞いろいろありましたが、道路網の整備をできるところからやる必要があるなということを痛感いたしておりまして、今後やれるところから短期、長期に分けて交通体系を思い切って整備をする必要がある、こういうふうに受けとめております。
  261. 上原康助

    ○上原委員 この議論はさらに続くと思います。今度沖特も調査に行きますから、その時点でもより明確になると思うのですが、時間ですからあと一点だけ。  この恒久対策の問題として、道路の絶対量が不足なんです。基地内で何のトラブルも起きていないのは、基地内は道路が整備されていて、車の量と道路の量とが非常に整合性がとれているから余りトラブルが起きない。きょう防衛施設庁も来ましたが、道路の問題であしたまた防衛庁とも少しやりとりをするのですが、いまの沖繩の実態は、大体首はじゃかすか切って、基地はちっとも返さぬで道路まで独占しているのだ。  そこで、これは開発庁も建設省も一緒に検討していただきたい。前から問題になっている浦添市の牧港の、現在は牧港中央病院というのがありますね、その入口から補給基地を通って勢理客、安謝の方に出る海岸べりの基地内の道路があるのです。これは真ん中を通っているのではない。この道路はぜひ県民に開放するように、私たちは基地全体の開放を要求はいたしますが、いろいろな面で事情があるならば、少なくとも道路については整備をして県民に利用させていただきたい。これをひとつ政府として検討していただきたい。  いま一点は那覇のハウジングエリアの上之屋、あれなんか復帰の時点から返すようになっているが、わずかに二百戸ぐらい移転をしていまだに返さない。これから首里の方に突き抜ける道を通せば道路の渋滞を非常に緩和することができると思うのですね。こういうことについても恒久対策として政府全体でやるべきだと私は思うのです。この点について御検討いただけますね。
  262. 美野輪俊三

    ○美野輪説明員 ただいま御質問の件についてお答えいたします。  那覇新港から浦添の方に抜けます道路につきましては、地元の一部の方々からかなり前から御提案等もございます。先生承知のように、安謝の交差点は非常に込む交差点でございまして、この辺の混雑をある程度緩和するという意味におきましてはなかなかよい御提案であろうと私ども考えておるわけでございます。  そういったことで、私どもといたしましても、県を通じまして現在その辺、その道路を抜くということでございますけれども、さらに那覇市内の国道五十八号から新港の方に至る経路、それから浦添市内に抜けまして五十八号に取りつく道路も含めまして、現在、県に至急調査を依頼しておる段階でございます。
  263. 上原康助

    ○上原委員 これで終わりますが、上之屋のハウジングエリアの問題を含めて、ぼくはあした施設庁、外務省にも言いますからね。この間浦添市長さんも安謝新港に橋をかけたい――あれをかけて泊に突き抜けるようにやればできるのだよ。そういうことは振興開発計画としても重要なことですから、もちろんこれは県にも私たち強く求めますが、幸いいまそういうことで検討させるように県にも要請をしているということですから、総務長官、沖繩の振興開発と言ったって道路も何もつくらぬで振興なんてできっこないのですよ、これは全体の問題として建設省や防衛庁とも相談していただいてやりますね。これは政治の話ですから、道路の整備の件についてもう一遍お答えください。
  264. 美野輪俊三

    ○美野輪説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘の道路のうちで浦添市内で五十八号に取りつく経路につきましては、先生指摘のように基地の問題等がございます。その基地を避けて通る経路があるかどうか、また基地の一部使用が可能かどうか、そういった点については今後の検討課題であろうかと私ども考えております。
  265. 上原康助

    ○上原委員 そこを言うなら施設庁来ているし、お答えください。それは検討しますね、後ろに引っ込んでおらぬで。何ですか、基地だけ使って。
  266. 高島正一

    ○高島説明員 お答えいたします。  沖繩の交通方法変更に伴う交通渋滞を緩和するということで基地が問題であるという御指摘がございました。政府部内でよく検討せよという御指示でございます。  私どもは、この問題につきましてはかねてから米側と折衝してまいったわけでございますが、率直に申しまして現在までのところ米側は非常に難色を示しております。しかしながら、ただいま申し上げましたような政府の大きな問題であるという御指摘でございますので、施設庁といたしましても関係機関と十分連携を密にしながら前向きに米側と今後折衝を重ねてまいりたい、このようにお答え申し上げる次第であります。
  267. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  268. 小宮山重四郎

    小宮山委員長代理 次回は、明十六日水曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時十七分散会