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中川(秀)
委員 方向としてはぜひ御理解を得たいと思うのです。
大臣の御答弁、お話の趣旨を私もよく理解をします。国民の合意ということを
大臣はおっしゃいましたが、最近の
新聞調査によりますと、
日本が攻撃をされた場合、米国が
日本を守ると信ずるか。十年前には国民の三七%が、おれは信じると答えた。いま二一%。守らないだろうというのが、十年前二九%であったのが、現在三八%。
日本国民の中にも、日米安保に対する信頼感というものは非常に
低下してきているのですね。こういうことを考えてみても——
大臣、あえて御答弁を求めません。私
どもは、先ほど話したような方向で、本質的な問題に進むべきだ、そういう方向で
一つ一つ合意を得ていく、こういう
政府の
方針が必要だろう、こう思うのです。これはわが党の主張としてひとつお聞きおきを願いたいと思います。
さらに
お尋ねを進めさせていただきますが、私は
安全保障の問題を考える場合に、
国民生活の確保ということは重要な問題だと思います。その
国民生活の確保のうちでも一番基本になるのは、国民の生命、財産の防護ということだと思う。いま
大臣おっしゃった、国の
防衛というのは
自衛隊二十七、八万の者でできるものじゃない、国民全体で考えていく問題だとおっしゃった。全くそうだと思う。
では、そういう国民の生命、財産の防護ということについての
わが国の施策がどうなっているかということになると、参議院の
委員会で与党の
委員がこの点についても質問していたようでありますけれ
ども、全くおっしゃるとおり、お寒い限りであります。法制上も実際上も。私は、そういった不測の事態に備えて被害を最小限にとどめるようないろいろな施策、入れ物というもの、あるいはこのボタンを押せばすぐそういう入れ物ができるんだよというようなものを当然準備していくべきだと思うのです。
まず第一点でありますけれ
ども、たとえばこの概念はシビルディフェンスといって、諸外国でもかなり力を入れてやり始めているところでありますが、このシビルディフェンス、特に核に対するシビルディフェンスというものは、
日本のかつての広島、長崎の原爆の経験を参考にしてつくられている。発想が出てきている。ところが、その
日本自身はない。
ソ連でも、広島での原爆による市民の損害は、もし市民
防衛の
手段があったならば明らかに減少させることができた、もし人々が自己
防衛の方法を知っていたならばいまなお数万人の市民は生き延びたであろう、これは
ソ連の国防省の責任者が言っているわけですね。そういう発想から市民
防衛、シビルディフェンスという発想が出てきている。ところが、
日本自身は何もやっていない。
〔村田
委員長代理退席、岩垂
委員長代理着席〕
かつてアメリカの国防
長官をやったマクナマラ氏も、米ソ核戦争の事態でも、シビルディフェンスが確立をされていれば恐らく一割前後の人的損害で済む、こういうことを言って、以来米ソ両国ともこの市民
防衛システムのことはかなり一生懸命やっているわけです。また、いま
大臣がおっしゃった、
防衛というものは国民全体の合意のもとでやっていくんだというそのことにもシビルディフェンスというのは基本的につながっていくのです。要するに、自分と家庭と市町村と国家全体、そういう相互交流の中で
防衛を考えて、やっていこうということなんです。ところがいまの
日本の
防衛というのは、その辺はぱちっと切られている部分がある。またそっちから先はやらない、シビルディフェンスの部分はやらない、こういうことになってしまっている。私はこういう
状況ではいけないと思うのであります。
日本人の特性として、これは総合研究開発機構がまとめた「二十一世紀の
日本の課題」という論文でありますが、そのうち「国民性と危機管理の相克」という「危機管理との
関係」という中でおもしろいことがある。
日本人は「外国の侵略にほとんど経験なし、したがって外国に対する甘えがある。性善説、
日本のみの現象だ、友好国と思っている国が突然いじめる、パニックに陥りやすい、世界観なし、そういった危機に対する
関係、危機管理との
関係、事前対策、そして予知回避、これは全く弱い、」こういうふうに「二十一世紀の
日本の課題」の中にある。これは、政治というものは社会学、心理学でも考えなければいけないわけですから、そういう論文も出ている。そして
日本人のそういう特性として事前対策が一番苦手なんですが、さらにそれをしさいに検討すると、耐乏生活や再建をするなどというレベルのことについては、個人のエネルギーというものに非常にまとまりゃすいのですね、
日本人は。ところが事前対策、予知回避、被害を局限にするなどという対策は、
日本人は、
政府、お上のレベルの仕事だ、こう考えているのですね。全くそう考えている。何となく思い当たるのです。
そんないろいろなことを考えてみましても、たとえば、これはもう
大臣もよくお目にとまっているものですが、スイスの連邦法務警察省で市民全部に配っている。国として配っているわけですね。当然
わが国もそういうことを研究し、このボタンを押せばそういう器ができるんだよという、そのぐらいの措置はおとりになるべきだと思うのです。
大臣、基本的にいかがでございますか。