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1978-05-30 第84回国会 衆議院 内閣委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月三十日(火曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 始関 伊平君   理事 小宮山重四郎君 理事 藤尾 正行君    理事 村田敬次郎君 理事 上原 康助君    理事 鈴切 康雄君       逢沢 英雄君    宇野  亨君       関谷 勝嗣君    中村 弘海君       萩原 幸雄君    橋本龍太郎君       浜田 幸一君    福島 譲二君       松永  光君    栂野 泰二君       市川 雄一君    渡辺 武三君       柴田 睦夫君    中川 秀直君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)     稻村左近四郎君  出席政府委員         人事院事務総局         任用局長    今村 久明君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         内閣総理大臣官         房総務審議官  大濱 忠志君         総理府人事局長 菅野 弘夫君         総理府人事局次         長       篠田 信義君         自治省行政局公         務員部長    塩田  章君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      平賀 俊行君         文部省初等中等         教育局審議官  高石 邦男君         自治省行政局公         務員部公務員第         一課長     坂  弘二君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ――――――――――――― 委員の異動 五月三十日  辞任         補欠選任   小島 静馬君     中村 弘海君   玉生 孝久君     浜田 幸一君   中馬 辰猪君     橋本龍太郎君   塚原 俊平君     松永  光君   福田  一君     福島 譲二君   田邊  誠君     栂野 泰二君   春日 一幸君     渡辺 武三君   田川 誠一君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   中村 弘海君     小島 静馬君   橋本龍太郎君     中馬 辰猪君   浜田 幸一君     玉生 孝久君   福島 譲二君     福田  一君   松永  光君     塚原 俊平君   栂野 泰二君     田邊  誠君   渡辺 武三君     春日 一幸君   中川 秀直君     田川 誠一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正す  る法律案内閣提出第四四号)  職員団体等に対する法人格付与に関する法律  案(内閣提出第四五号)      ――――◇―――――
  2. 始関伊平

    始関委員長 これより会議を開きます。  国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案及び職員団体等に対する法人格付与に関する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田睦夫君。
  3. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ドライヤー委員会報告書の中の勧告で、今回の二法案に関連するものと思われるものとして、五十四項で「管理職員範囲を、職員団体から現在の又は潜在的な構成員相当部分を奪うことによって当該団体を弱体化する程に広く定めないこと、並びに異る人事委員会及び公平委員会の行なう管理職員等指定を一層統一的なものとすること」、それから五十七項で「労働者団体又は使用者団体登録を拒否し又は取り消す登録機関決定に対し、すべての場合に裁判所に提訴することについての規定を設けるべきであるとの条約勧告適用専門家委員会勧告に注意を喚起する。」それから五十八項で「全国的な労働組合組織をして法人格を享有せしめるよう法律改正することを考慮すること」という内容があるわけですが、今回提案の二法は、この勧告趣旨を生かしているという考え方に立っておるかどうか、お伺いします。
  4. 菅野弘夫

    菅野政府委員 お答えを申し上げたいと思います。  いわゆるドライヤー勧告がございましたが、その後昭和四十八年にILO条約勧告適用専門家委員会というのが開かれまして、その意見におきましてもドライヤー勧告が引用されたりいたしておりますけれども、それによりますと、職員団体等に対する法人格取得等につきまして、わが国の現行法制ILOの八十七号条約との関連で若干問題があるという指摘があったわけでございます。その年に、条約勧告適用に関する総会の委員会がやはり開かれておりますけれども、これらの事項につきまして公務員制度審議会がすでに審議をいたしておりますので、その公務員制度審議会において討議が行われていることに留意するということが言われたわけでございます。  それに従いまして、政府といたしましては、公務員制度審議会答申がその年の九月に出たわけでございますので、その答申を受けまして、それを具体化する一つ法案作成ということで今度の御審議賜っております内容法案提出したわけでございまして、そういう経過から申しまして、ILOのいろいろな御指摘にもこたえるものになっているというふうに信じております。
  5. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 では、これから具体的に聞いていきますけれども、まず管理職範囲の問題では、いまの勧告で「当該団体を弱体化する程に広く定めないこと」と指摘しているのは、前提といたしまして、現在の規定では広過ぎるという認識があるのだと思います。また「一層統一的なものとすること」と指摘しているのは、前提には、統一的なものになっていないという認識があると思うのです。今回の法案では、管理職範囲規定に何らかの広げないための制限を設けようとするのか、また統一的なものにしようとする改善の意図があるのか、その点についてお伺いします。
  6. 菅野弘夫

    菅野政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど申しましたように、ILOで若干の問題の指摘があったわけでございますが、そういう経過を踏まえまして公務員制度審議会が四十八年の九月に答申をいたしまして、その答申の中にいろいろ提言をいたしておるわけでございますけれども、その中に管理職員範囲決め方というものについて、労働組合法の二条に書かれてありますようなそういう書き方に準じて、現在、管理、監督の地位にある者あるいは機密の事務を取り扱う者ということで非常に簡潔に書いてあるのを、さらに恣意的に解釈するおそれがあるとかいうような疑問もあったわけでございますので、そういうおそれをなくすように労働組合法二条に準じて詳細に具体的に書きなさいということでございますので、それにのっとりまして今度の法案を御提出申し上げているわけでございます。  したがいまして、先ほど申しましたように、そういう精神があらわれておりますので、特にこれによって範囲を広げたりあるいは逆に狭めたり、そういうことではございませんで、従来の非常に簡潔で、やや恣意的に読まれるおそれのある部分について明確に表現をしたというのが、今度の改正の最大の趣旨でございます。
  7. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、現状を事実上変える考えではないということになるわけですけれども現行法では管理職範囲法律規定するというやり方をとって、その者が入れば職員団体労働組合とは認められないという法形式になっているわけです。基本的に言えば、私は労働組合組合員範囲決定するのは、組合自身が自主的に規約で定めるようにすべきであると考えております。これは八十七号条約を最も通説的に解すればやはりそういうことになると思うのですが、こういう考え方を排除しているのは、どういう考え根拠になっているのか、お伺いします。
  8. 菅野弘夫

    菅野政府委員 職員団体というものは、管理職管理職以外の者、労働組合法使用者あるいはそれ以外の者ということになろうかと思いますが、そういう者が一緒混在をしておれば、そもそも労働組合なりあるいは職員団体というものの性格に背馳するわけでございますので、そういう者が一緒になってはいけない、そういうものは職員団体ではないというのが基本だと思います。  したがいまして、職務の権限の配分といいますか、職務内容によりましてそれはおのずから客観的に定まってくるべきものでございまして、そういう原則にのっとってそれを客観的に認定をするのが、公務員の場合に人事院なり人事委員会なりということになっているわけでございまして、もちろん、そういう背馳しないという範囲において、組合みずからがどういう者を組合員にするということをお決めになるのは差し支えないと思います。今度の法案は、その前提といたしまして、そもそも管理職などの入ってくるようなもの、あるいはそれが混在するようなものというものは、労働組合あるいは職員団体というものの精神に反するし、あるいは職員団体そのものでもないということに立っているわけでございますので、その範囲内で職員団体がお決めになるということは、これはもちろんよろしいと思います。
  9. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 混在をするおそれがあるから客観的に決めるんだという趣旨のようですけれども、本来、労働組合職員団体は、職員がその勤務条件維持改善を図ることを目的として組織する団体または連合体であるわけです。組合が達成する目的から見て、組合の自主的な決定決定をするということで支障が生ずるものではないというように考えております。法律最初から規定する、しかも、それが抽象的で包括的に規定するやり方では、ドライヤー委員会も言っているように、「構成員相当部分を奪うことによって当該団体を弱体化する」、そういう道をあけておくということになると思うのです。こういう現実的な意味を持つ規定になっているわけです。  今回の改正は、このドライヤー委員会勧告もあって、公務員制度審議会が一部その中の結論を出して、労働組合法第二条に準じた法律の整備という方針が出されております。法を整備する以上、現状改善する方向で法の改正をやらなければ、八十七号条約ドライヤー勧告が期待するものを実現する法の改正ということにはならないし、そういう期待されているものに合った改善でなければならないというように考えます。  規則管理職範囲決めるというやり方、これを一歩改善するには、少なくとも、労使協議によって決定する。協議できたものを人事院などが規則指定するということにしてもいいのですけれども労使協議して決定するということについての考え方をお聞きしたいと思います。
  10. 菅野弘夫

    菅野政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、管理職管理職以外の者の範囲というのは、理論的に申しますれば、客観的に職務配分によって定まってくるべきものというふうに考えるわけでございますので、それは労使協議とか交渉とか、そういうものになじむものではないというふうに存じます。もちろん職員団体等の御意見等はいろいろな機会にお伺いする必要がございますし、お伺いしているところでございますけれども、それを交渉とか協議ということによって決めるべき性格のものではないというふうに存ずるわけでございます。  そこで、そういう範囲でございますけれども、そうやって客観的に決まるもの、これも具体的に、最終的には人事院なり人事委員会規則決められるべきものでございまして、これは第三者機関であるそういうものが最終的にお決めになるということで、このこと自体も、そういう意味においては、この趣旨に沿っているのではないかという感じがいたします。  それから、最初に言われました、改正をするからには改善がということでございますが、これは先ほど、一番最初に申し上げましたように、現在の国家公務員法なり地方公務員法規定決め方が非常に簡潔でございまして、労働組合法と比べましても非常に簡潔でございますので、そういう点で恣意的に読まれるおそれもなきにしもあらずということで、そういう御懸念もあったわけでございますので、それを解消するという意味においても改善になっているというふうに信じております。
  11. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 客観的に決まると言われますけれども、この客観的に決まるというのは、結局客観的だと思って決めるということで、決める方はやはり当局側だと思うわけです。そういう意味で、協議になじまないということもどうも納得ができません。あるいは協議ができない場合どうするかというような問題を心配されているかと思うのですけれども、その心配があればなお、ともかく職員団体意見を聞いて、その上で当局決める、決定組合に異議があれば不服の申し立て制度をつくって、その決着がつくまでは決定の効力は停止される、この程度の組合側意見を取り入れる制度、こういうことはできないことはないし、こういうことになってこそ、一定の合理的な改善である。単に法律の文章の表現を変えたということでは、やはりいま時代が要請している改善ということにはならないと思うのですけれども、いまの点についてのお考えをお伺いします。
  12. 菅野弘夫

    菅野政府委員 先生のお考えはいろいろ私たちも十分わかりますけれども、今度の法案というのは、公務員制度審議会答申を忠実に受けまして、それを具体化してまいるということが基本的な趣旨でございまして、公務員制度審議会答申におきましても、いまの問題については、そういう非、常にむずかしい問題に触れているわけではございませんで、先ほど申しましたような趣旨で、労働組合法の二条に準じて規定を整備しなさいということでございますので、その趣旨にのっとって法案提出をしたわけでございます。  それからその決め決め方が、まあ政府決めるんだというふうにお話しでございますけれども、その場合でも、先ほどちょっと触れましたように、政府――政府と申しますか、広い意味のあれになるかもしれませんが、第三者機関、いわゆる独立機関としての人事院なり人事委員会が最終的に規則でお決めになるわけでございますので、そういう御懸念もないと思います。
  13. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 人事局長は、こうした問題に対しては一般的に拒否という回答のようですけれども、それじゃ現状改善しようというような意思はないということになりますし、公制審答申がそう言っているからということであれば、公制審答申自体も問題があるわけで、むしろその公制審答申が隠れみのになっているというように考えます。  そこで、一般論といたしまして、管理職員等範囲決定に当たっては、当該職員団体の意向を十分に反映することが望ましいことであるというように考えますけれども、そういうことについて、今度は人事院の方に、どう考えるか、お伺いしたいと思います。
  14. 金井八郎

    金井政府委員 一般職国家公務員に関しましての管理職指定の問題でございますが、人事院といたしましては、従来から管理職等範囲指定に際しましては、両当事者、すなわち職員団体及び当局の希望、意見等を十分に承りまして、必要によりますれば、実地の調査等も加えまして指定をしております。したがいまして、職員団体の方からも、完全、一〇〇%といかないまでも、相当の御理解、御納得を得た上で現実に指定を行っているということでございます。
  15. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまのは国家公務員の場合になりますが、自治省考えも、地方公務員に関してお伺いしたいと思います。
  16. 塩田章

    塩田政府委員 お答えいたします。  人事委員会公平委員会管理職範囲規則決めるに際しまして、必ず職員団体意見あるいは当局意見を聴取すべきであるということをルール的に決めることは、私どもそういう指導はいたしておりません。基本的に、先ほど人事局長からのお答えもありましたように、客観的に定められるべきものである。それを人事委員会公平委員会が検討して決めるということでございますが、実際問題といたしましては、当局側からもあるいは職員団体側からも、管理職員範囲等につきまして意見を申し出るということは十分あり得るし、現に行われておることでございます。その辺は人事委員会公平委員会が判断をされるに当たりまして十分尊重していかれることは、私どもといたしましても、結構なことであると考えているわけでございます。
  17. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 改正案の中に「重要な行政上の決定に参画する」職員というのがあります。これに対応する表現は、労働組合法の第二条にはないというように私は解釈しているのですが、この「参画」ということについて、拡大解釈を許さない固定的、統一的な見解があるのかどうか。参画すると参画しないとの境界線をどこに引くのか。それからもう一つ、「重要な行政上」と言いますが、この「重要な」ということも、重要でないこととの境界線は引きにくいと思うのです。そうすると、この規定範囲拡大に歯どめをしないということになりますし、むしろ労働組合法二条にない規定であることからして、範囲拡大する根拠になりかねない、そういう疑問を持つのですけれども、いかがですか。
  18. 菅野弘夫

    菅野政府委員 お答え申し上げます。  労働組合法規定にないというのは先生の御指摘のとおりでございますけれども労働組合法におきましては、二条に「役員」という表現がございます。ところが国家公務員あるいは地方公務員に当てはめました場合に、そういう表現が適当でございませんので、「重要な行政上の決定を行う職員」あるいは「重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員」ということを書いたわけでございまして、「参画する」というのは表現として非常にあいまいで、広く解釈されるおそれがないかという御懸念でありましたけれども、「参画する」というのは、これは法令上のいろいろな表現がございますけれども、そう軽々しい表現ではございません。  たとえば国家行政組織法に政務次官の職務規定したところがございますけれども、その場合でも「その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、」云々と書いてあるわけでございます。その他、たとえば局に置かれております審議官等についても、そういう表現がある条文が多うございますけれども、そういう趣旨でございまして、「参画する」というのは、ただ参加をするというようなものではないわけでございまして、他の法令用語から見ましても、先ほど申しましたように、軽々しい表現ではなく、恣意的に広く解釈するおそれはないと存じます。しかも「参画する」というだけではなくて、そういう「管理的地位にある職員」というふうに条文としては続くわけでございますので、「管理的地位にある職員」ということもあわせお読みいただければ、先ほどの御懸念のようなことはないのではないかというふうに思います。
  19. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そうすると、労働組合法で言う「役員」に相当する部分に入る、そういう解釈だと理解したいと思います。  それから改正案の「当局立場に立って遂行すべき職務を担当する職員」とありますけれども、これは、労働組合法の二条では「その他使用者利益を代表する者」に対応するものであると考えるのですが、そうしますと、「恒常的に当局を代表すべき職務を遂行する職員」とした方が合理性があると思うのです。当局立場に立っているということで、一時的にそういう立場に立つというような場合も含まれるということになれば、問題が生ずるわけで、範囲拡大する可能性があると思うのですけれども、どういうお考えか、お伺いします。
  20. 菅野弘夫

    菅野政府委員 お答えを申し上げます。  いま御指摘の、「その他職員団体との関係において当局立場に立って遂行すべき」という文言の御懸念でありましたけれども、これは、これも先生お話にございましたように、「その他使用者利益を代表する者」に対応する規定として定めたものでございます。組合法に言う「使用者利益を代表する者」というような表現は、これも国家公務員あるいは地方公務員の体系におきましては適当な表現でございませんので、「職員団体との関係において当局立場に立って」ということにいたしたわけでございまして、これもそういう意味で、恣意的にあるいは広く解釈をするという性格のものではありません。  また、先生からお話がございました「恒常的に」という言葉でございますけれども、これは、そういう職務を遂行する当然のことでございまして、これはこの部分だけではなくて、その他の部分においても、いずれも恒常的にそういう職務を遂行する者という解釈でございますので、恣意的に解釈をするということは許されないと思います。
  21. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 では次に、文部省令で定められました学校におけるいわゆる制度化主任法改正後一体どういう扱いになるのかという問題です。  主任手当導入が連動させられました給与法案審議を通じて、人事院文部省は、繰り返し制度化主任中間管理職ではないと答弁して、主任手当についても俸給の特別調整額、いわゆる管理職手当ではなくて、特殊勤務手当とした経過から見て、制度化主任国公法または地公法上の管理職とすべきではないと考えますが、この点に関し、国立学校における主任法改正後どのように扱われるのか、まず人事院見解を伺います。
  22. 金井八郎

    金井政府委員 国立大学の付属の高校、中学、小学校等主任につきましては、その職務内容から判断いたしまして、管理職員等範囲には入れておりません。現行人事院規則一七-〇におきましても主任指定しておりません。人事院といたしましては、主任職務内容が現在のままである以上、今後におきましても、主任管理職員等として指定することはございません。
  23. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ちょっと気になるのは、主任仕事がいまのままであればということを言われましたけれども、その主任仕事が変わるというような可能性があるのか。管理職員には該当しない、法改正後も、いまのままであれば、管理職員として指定しないという答弁でありますけれども、変わる可能性があるのかということと、もう一つ、いままでの経過でつくられてきた主任管理職に入れないということをはっきり言えるのか。ちょっと確認みたいになりますけれども、簡潔にお願いします。
  24. 金井八郎

    金井政府委員 主任につきましては、私ども承知しておりますところでは、学校内における指導、連絡でございますか、そういう職務内容というふうに承っておりますので、そういう形で今後運用されました場合には、先ほど申しましたとおり、管理職等範囲指定することはございませんという趣旨でございます。
  25. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 公立学校における制度化主任の今後の扱いについて、今度は文部省に伺います。  国立学校における制度化主任法改正後の扱いについては、人事院がいま答弁されました。公立学校における制度化主任についても、その職務内容から見て、地公法で言っております管理職員には該当しないと思うのです。法改正後も管理職員として指定しないという扱いになると考えますが、このように理解しておいていいかどうか、簡潔に答弁を求めます。
  26. 高石邦男

    高石説明員 ただいまの御質問のとおりでございまして、現在の主任管理職として考えておりませんし、将来とも管理職にする考えはございません。
  27. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 公立学校における教職員管理職指定は、各地方人事委員会なり公平委員会が行うことになるわけですが、現場で誤解が生じないよう通達などで、ただいま文部省がおっしゃいました基本的な考え方を徹底する必要があると思うのですが、この点についてどういう考えを持っておられるのか、自治省文部省からそれぞれお答えを願いたいと思います。
  28. 高石邦男

    高石説明員 主任制度を設立いたしました学校教育法施行規則の制定の際に、事務次官通達主任性格、位置づけにつきましては明確な指導をしているわけでございます。その際も、すでにいま議論がありましたように、管理職でないという明確な指導をしておりますので、その通達趣旨に従って管理職等範囲考えた場合には、当然除外されるというふうに考えているわけでございます。
  29. 塩田章

    塩田政府委員 ただいまの点は、文部省の方から明確な指導がなされておりまして、私どもの方から特段今回の改正に伴う指導をする必要はないというふうに考えております。
  30. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 自治省に伺いますが、地方自治体において、現在管理職員として指定されている者の職員全体に占める比率は幾らになっているのか、また一番多いところはどれくらいになっているのか、お伺いしたいと思います。
  31. 塩田章

    塩田政府委員 お答えいたします。  私ども、都道府県と指定都市につきましてはトータルを把握しておりますけれども、それで申しますと、都道府県の場合が八・一%でございます。それから、指定都市の場合が五・二%でございます。  一番多いところにどういうところがあるかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、組織の立て方あるいはその権限の配分の仕方等によりましてこういうものは数字が異なるものでございますので、必ずしも比較にならないという意味で、従前公表をしてきたわけではございませんけれども、御参考までに申し上げます。  都道府県は、平均が八・一%に対しまして、一二%以上のところが三団体、一一%以上のところが三団体、一〇%以上のところが五団体、九%以上のところが十二団体ということで、平均より高いのが二十三団体、平均の八%のところが四団体、平均未満が二十団体、そういう形になっております。それから指定都市につきましては、平均が五・二と申し上げましたが、最高が七・九でございまして、一番少ないところが四・一というふうになっております。
  32. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 自治体の機構のつくり方というのもありましょうけれども、それぞれを比べてみますと、そんなに大きな差異はないと思うわけです。いま聞いておりますと、平均が都道府県で八・一%、それが一二%、平均の一倍半になっているというのがあるわけですけれども、この平均をはるかに超えているというものは、管理職員範囲拡大され過ぎているものだというように考えるわけです。法改正に当たって、この不当に拡大されているものは是正する、これは条約に関する勧告趣旨でもあるわけで、そういう対策を講ずるというような考えはないのかどうか、お伺いします。
  33. 塩田章

    塩田政府委員 お答えいたします。  確かに一二%になっているところがございますけれども、先ほども申し上げましたように、個々の実情を詳細に調べた上でのデータでございませんので、私どもも、いまにわかにその判断はいたしかねておるわけでございます。今回の法律改正は、先ほどの人事局長お答えにもございましたように、この範囲を特に広めるとか狭めるとかということでございませんので、今回の改正に伴いまして特段に人事委員会が再検討するとかというふうなことは考えておりませんで、そういうことと関係なしに、本来人事委員会として適正な範囲を定めるという努力はもう当然必要でございますけれども、今回の法律改正に伴って、特に私どもの方から何らかの指導をするということは考えておらないわけでございます。
  34. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 それでは、現状はやはり把握して、ちゃんとした指導といいますか、文字どおり客観的なものになるように努力が必要だということを指摘したいと思います。  登録取り消しの効力に関する規定が新設されたわけですけれども一つだけ見解を伺っておきたいのですが、登録取り消しの処分があって、取り消し処分について訴訟になった場合において、取り消しの事由になったその事情をその訴訟係属中に職員団体が是正した、そういう場合においては、人事院はどういう態度をとるのか。取り消し事由が消滅したとして取り消し処分の取り消しをするのか、それとも訴訟の結果に任せるということになるのか、その辺お伺いします。
  35. 金井八郎

    金井政府委員 職員団体登録に関しまして、登録を取り消した事例がいままでございません。したがいまして、いま先生指摘の点につきましては、前例がないわけでございますので、いま的確にその点につきましてどういうふうに対処するということは、ちょっと申しにくいと存じます。
  36. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、法人格付与に関する法案についてですが、労働組合法人格を取得すると一定のメリットがあります。しかし、労働組合法人格を取得させる道を開くということで、その手続や監督の中で組合の団結権の侵害にわたるようなこと、あるいは組合の運営、活動を規制するようなもの、そういうことになってはならない、これが基本だと思うのです。組合法人格を取得させるという立法の趣旨が厳格に守られなければならないと考えます。  そういう面から見まして、この法案は、公務員法上の職員団体登録規定と類似した規約の認証の規定を置いて、法人格取得の道を開いているわけですけれども公務員法には登録拒否の規定がないのに、この法案では認証拒否の規定が設けられているわけですけれども、そういう違いをどうして持ってくるのか、お伺いします。
  37. 菅野弘夫

    菅野政府委員 お答えを申し上げます。  この法案は、一般的に公務員法上の措置では法人格をとれない職員団体法人格をとれる道を開くというのが趣旨でございますので、そういう意味において国家公務員法の穴を補うわけでございます。したがって、国家公務員法との違いといいますか、国家公務員法の体系では職員団体全体のとらえ方をしておるわけでございますが、こちらの方は法人格を与えるか与えないかというところの問題でございます。そういう違いがあるわけでございます。  したがいまして、当方の法案の中身といたしましては、法人格付与法律でございますので、一般的に法人格を与える場合の原則というものを持ち込みまして――一般の法人でございますと、民法その他で規制される場合においては許認可主義と申しますか、そういうものでございます。こちらの方はそういうことではございませんで、一つ一つのはっきりした規定を書いて、それに合っているものは一種の準則主義と申しますか、直ちに認証をするという立場になっておりますので、そこに違いがあると存じます。  それから公務員法との違いにおきましても、先ほど申しましたような趣旨でございますが、認証拒否と書きましたところにつきましても、そもそもそういう法人格付与するにはふさわしくないということを規定したわけでございまして、特別大それたことを書いたということではないと思います。
  38. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 法人格付与法案で対象になるのは、公務員が主体になる団体であるし、その連合団体であるということから考えてみても、一般の法人と同じような扱いをするべきではなくて、公務員法では、登録をすれば届け出によって法人になれるわけですから、そちらの方に準じたやり方が必要であると考えるわけです。  そういう面から見まして、もう一つ「規約に法令規定に違反する事項が記載されているとき」は認証を拒否するということになっております。法令規定に違反するかどうかの解釈は認証機関が行うことになると思うのですが、そういう場合に、たとえば憲法に違反すると疑われるような法令であっても、法令に違反する規約ということで認証が拒否されるということになれば、これは悪法にも従えということであって、認証を拒否される職員団体を非合法団体という烙印を押して、あるいは規約の改正を間接的に要求するということにもなりかねないわけです。こういう規定公務員法にはない規定であって、公務員法上の職員団体法人格取得と比べて非常に過酷な条件を押しつける。これだけでなくてほかにもあるわけですけれども、そういう過酷な条件を押しつけるもので、全く不必要であると思うのですが、どう考えるか、お伺いします。
  39. 菅野弘夫

    菅野政府委員 お答えを申し上げます。  「法令規定に違反する」というのは、この法律趣旨というのは先ほど申しましたようなことで、公務員法上では法人格取得の道が開かれていないようなものについて法人格取得の道を開こうとするものでございますので、したがいまして、まず規約の認証というところから始まります。  これは団体そのものをどうこうするわけでございまして、法人という地位を与えるのにふさわしいかどうかということをその規約を通じて見るわけでございますので、規約に、明らかに法令に違反するようなことが書いてある場合には法人格を与えるに適さない団体であると認定されるのは、これは当然であると思います。  それから、そういう認定も、明らかにその規約にそういうふうなことが書いてあるということでございまして、それがどういうふうに法令に違反するのか違反しないのかわからない、あるいはそれをどういうふうに解釈するのかという問題になりますれば、これは第三者機関である認証機関が十分審査をして、その実情に応じてされることでございますので、拒否するというのは、非常に規約に明々白々、客観的にそういうことが書いてあるものについては法人格付与するに適さないということで、そこに条文として挙げられているわけでございます。  なお、申し加えさせていただきますと、職員団体の本来の活動には、それによって一切制限を加えられたりするものではございませんで、職員団体の存立なり交渉を中心とする職員団体の活動は、それによって一切制限を受けるわけではございませんので、念のために申し上げておきたいと思います。
  40. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 条文では「規約に法令規定に違反する事項が記載されているとき、」こうあるわけですけれども、局長の説明では、明らかに違反する事項あるいは明々白々に違反する事項、こういうふうにおっしゃいました。それならば、もう少し条文の書き方も工夫が必要であろうというふうに考えます。  それからもう一つの拒否事由になっております取り消しの効力発生後三年間を経過していないときというのは、認証が取り消されたということに対する罰則的な意味をうかがわせるわけですけれども法人格付与の道を開くという趣旨から考えてみれば、その団体が再び条件の整備をし直せば認証していいのじゃないか。公務員法上の職員団体にはそんな規定がないということを考えてみましても、いままで説明されておりますように、第三者保護とか取引の安全だとかというような理由ではやはり理由にならないと思うのです。それから、三年間というようなことでなくて、条件の整備をし直せる期間、そうしたものに短縮すべきだと考えますけれども見解をお伺いします。
  41. 菅野弘夫

    菅野政府委員 ただいまの第二の方の理由でございますけれども、先ほど申し上げましたように、法人格を与えるのには適当でないということでございますが、その場合に、先生からもお話がございましたけれども、第三者の保護というものはやはり絶対に必要なことでございます。法人格を与えられるということは、その団体自体のプラスにもなりますけれども、財産上の取引等の主体になるわけでございますので、その相手方に立つ第三者についても、これは十分保護をしなければならないのでございまして、それも理由に薄いと言われましたけれども、私は大きな理由になるというふうに思います。  その場合に、またこの団体につきましても、先ほど人事院職員局長からもお答えございましたけれども登録の取り消しというのはない。認証の拒否というのも、そうはっきりした――非常に重大なことでございますので、もちろん慎重に取り扱わなければならないわけでございますが、その場合に、登録の取り消しということ自体は、先ほどもお答えがありましたように、そうあるわけではございませんで、認証の場合においてもそれは同断だと思います。しかも、その認証の取り消しというのも口頭審理その他で非常に慎重にやられるわけでございますので、その途中の段階におきましては、職員団体みずからがあるいはそういうことを是正するチャンスは多々あるわけでございまして、恐らくそういう認証が拒否をされまして、そして何年間云々というような事態に持ち込むことは、ケースとしてはきわめてまれではないかと思います。  しかし、万一そういうものがありました場合には、やはり第三者の保護の立場から言いましても、ある一定期間につきましては、これはたとえば新しい同じようなものがまた認証の申請をしてまいりますときに、前のものとどこが違うのだということを認識しなければならないわけでございまして、その認識は認証機関においてもそうでございましょう、あるいは第三者においてもある一定期間は必要であるということで三年というふうに置いたわけでございます。
  42. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ですから、ほかの団体には三年というような期間は置かれないというようなことから考えてみて、やはり第三者保護というような理屈をつけても実際的ではないと思います。  それから、先ほど人事院に伺いましたときに、訴訟中に是正したような場合というようなことはいま答えられないというふうな返事がありましたけれども、そういういまの局長の答弁と先ほどの人事院の局長の答弁では食い違いがありますから、そういう点はやはり統一した考え方をとるべきだということを指摘しておきたいと思います。  それから第八条の認証取り消しの事由の規定で、第三号の括弧内の「団体の活動として規約に定める目的を著しく逸脱する行為等を継続し、又は反覆することにより、構成員勤務条件維持改善を図ることを目的としていると認められなくなったとき」というのがあるわけです。しかも、すぐ第四号には、「職員団体等でなくなったとき」というのがありますし、この法律の第二条には、職員団体目的が明確に規定されているわけです。  そうしますと、括弧内で言っていることは、「職員団体等でなくなったとき」ということにも含まれますし、わざわざ入れる必要はないものであって、わざわざ入れる必要のないものを入れているというのは、ことさらに締めつけをやる規定、何か悪い意図があるというような疑問さえ持つ規定としか考えられないわけであります。不必要であって、悪用の危険があると思うのですけれども、これはどう解しておられるのか、お伺いします。
  43. 菅野弘夫

    菅野政府委員 お答えを申し上げます。  先生がいま御指摘になりましたのは、八条の「認証の取消し」の中の三号の括弧書きのところが主であったと思いますけれども、それが四号にも入るではないかというのは、御指摘のとおりでございます。これは一号あるいは二号、三号というものも全部四号の一つの態様でございますので、そういう意味においては同じことでございますけれども、それの具体的な例示として挙げたわけでございまして、括弧書きに書いてございますのも、そういうふうなものになりますれば、やはりこれは実質的に職員団体と認められないわけでございますので、そういうふうに書いたまででございまして、特に他意があるわけではありません。  具体的にどのようなものがこれに該当するかということは、個々の事案について認証機関がお認めになることでございますので、申し上げられませんけれども、一般的に申しますれば、そういう団体がもっぱら福利、共済事業などをやったりするような場合においては、そういうことになるわけでございまして、その場合のことを特に挙げたわけでございまして、他意があるわけではございません。
  44. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 他意がないと言われますけれども、三号の規定を見ますと、本文には規約に関することが書いてあって、括弧内には規約に関係ないことをわざわざ書く。まさにそういう例示ならば四号で間に合うというのが普通の法律だと思うのです。ですから、こういうものをわざわざ書くということになると、やはり組合の方から見れば悪用される危険というものを感ぜざるを得ないわけです。  もう一点、第十条で「認証機関は、職員団体等に対し、」「報告又は資料の提出を求めることができる。」と規定しております。このような規定公務員法上の団体にはありませんし、労働組合法上の組合にもないわけです。民法の公益法人でも設立許可の前にはこのような規定はないし、法人になって初めて法人の監督規定があるということになるわけです。こういう事例から考えてみましても、報告や資料提出に応じなければ認証しないとか、場合によっては認証取り消しの理由にするとか、組合活動に介入、干渉を招く根拠法にもなりかねない、そういうおそれがあるということを感じるわけです。  法人格付与法案は、少なくとも現行公務員法上の要件と同程度の内容にすることが必要である、これが最低限の私の考え方で、むしろ公務員法上にもいろいろ登録制度の問題をめぐってその是正というような問題点があるわけですけれども現行公務員法を前提としても、法人格を新たにILO条約やドライヤー勧告などの趣旨を受けてやる場合でも、それよりきつくするというのはやはりまずいことだと思うのです。ドライヤー勧告で「全国的な労働組合組織をして法人格を享有せしめるよう法律改正することを考慮すること」という勧告をしておることを考えてみましても、現に存在する公務員を主体とする団体、その組合の団結干渉を排除するということからしても、この法案にはいろいろとむずかしい条件がつけられて、これでは事実上対象と考えられるような団体法人格を享有させようという勧告趣旨を生かしていないということになると思うのですけれども、全体的に見ての見解をお伺いします。
  45. 菅野弘夫

    菅野政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども、一番最初にも申し上げましたけれども、基本的にこのものは法人格付与するかしないかというだけの問題で、従来の法律では法人格取得の道が閉ざされているものに対して開くということでございますので、団体の存立なりあるいは団体の活動について云々をしている法律ではございません。そういう趣旨でございますので、先生の御指摘ではありますけれどもILOの御指摘なりあるいは公務員制度審議会の御答申なりそういう趣旨に沿ったものでございます。  非常に煩瑣なものを求めているではないかと申しますけれども、これは法人というものに対する最低限の条件の提示を要求しておるわけでございますので、全般的に見ましても、決して過重な条件を課しているというものではございませんし、また運用においても十分慎重にやっていかなければならないと思っております。
  46. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この前の委員会で取り上げました定年退職制の問題がちょっと中途半端になっておりまして、質問する予定でおりましたけれども、時間が参りましたので、これでやめますから、当局の方、その点御了承ください。  終わります。
  47. 始関伊平

  48. 中川秀直

    中川(秀)委員 審議せられておりますところの両法案について、並びに関連する問題について、できるだけ短時間に若干のお尋ねをしたいと存じます。  まず、国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案についてでありますが、その目的の第一でございます管理職員規定を整備したというそのことについてであります。  今度の法律案で、従来の国家公務員法百八条の二の三項ただし書きに、職員団体に加入できない管理職範囲として「管理若しくは監督の地位にある職員又は機密の事務を取り扱う職員」、こういうふうになっているのを、さらに細かくしたということでありますが、たしか昨年の八十国会にもこの法案提出をされております。その八十国会に提出をされた法案管理職員の定義と、今国会に提案をされていますところの法案管理職員の定義に若干違いがあるのであります。  たとえば「職員の任免、分限、懲戒若しくは服務、職員の給与その他の勤務条件又は職員団体との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接する監督的地位にある職員」、こういうふうに八十国会ではなっていたわけですが、今国会に提出されているところでは、この文章に追加がございます。正確に読みますと、「職員の任免、分限、懲戒若しくは服務、職員の給与その他の勤務条件又は職員団体との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接し、」以下が追加でありますが、「そのためにその職務上の義務と責任とが職員団体構成員としての誠意と責任とに直接に抵触すると認められる監督的地位にある職員」、こういうふうに追加をされております。八十国会から今国会にかけてこうした追加挿入が行われた理由は何なのか、そして追加挿入をした目的は何なのか、実際上どう違うのか、こんなところから、まずお尋ねをしたいと思います。
  49. 菅野弘夫

    菅野政府委員 お答えを申し上げます。  前の国会から今回の国会についての経過につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。  その理由を申し上げますけれども、もともとこの条文のところは、公務員制度審議会答申によりまして、国家公務員法にしろ地方公務員法にしろ、管理、監督の地位にある者、あるいは機密の事務を取り扱う者というふうに非常に表現が簡潔であって、あるいは簡潔過ぎて、恣意的にそれを広げられるおそれもあるという御懸念もあって、公務員制度審議会答申で出された提言が、労働組合法規定に準じてもう少し整備をしろということでございましたので、従来もその趣旨にのっとって法律改正をお願いいたしたわけでございます。  そこで、今回の場合には、労働組合法には、全く同じではございませんけれども趣旨として同じような表現のものが二条にあるわけでございますので、その答申を一層正確に表現をするということで、内閣法制局と協議の上におきまして一部字句の追加を行ったものでございます。したがいまして、これによりまして実質的にどうこうということはないというふうに思います。さらに正確な表現でございますので、先ほどの懸念は一層なくなるということ、あるいは人事院等、認証機関におきまして管理職等範囲をお決めになります場合にも一層正確な基準になったというふうに思っておる次第でございます。
  50. 中川秀直

    中川(秀)委員 なかなかむずかしい文章でして、私にもよく意味がわからないのですが、「給与その他の勤務条件又は職員団体との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接する監督的地位にある職員」というのと「接し、そのためにその職務上の義務と責任とが職員団体構成員としての誠意と責任とに直接に抵触すると認められる監督的地位にある職員」、これはどう違いますか。たとえば機密の事項に接する監督的地位にある職員だけではなくて、それが同時に職員団体構成員としての誠意と責任とに直接抵触しない限りは、これは管理職員ではないということになるのですか、どうなんでしょうか。
  51. 菅野弘夫

    菅野政府委員 お答え申し上げます。  先ほども一層その趣旨表現を正確にしたということを申し上げましたけれども、いま先生は具体的に分けて、前の条文と今度の条文では本当に違うのかということでございます。これはぎしぎし法律的に申しますと、いろいろ議論があるかもしれませんけれども、先ほども申しましたように、本来公務員制度審議会答申が、なるべく労働組合法規定に準じて整備をしろということでございましたので、労働組合法に書いてある表現をさらに丁寧に使ったということでございます。  具体的に、「接する」だけでは違うのかというふうなことになりますと、それは接することは、そもそも括弧書きに書いてあるようなことになるわけでございますので、恐らく表現の違いはございますけれども、差はないというふうに思います。しかしながら、最初に申し上げましたように、労働組合法二条の規定に準じて整備をしろということでございますし、そこら辺の表現というものをやはりより正確にというのが今度の趣旨でございます。
  52. 中川秀直

    中川(秀)委員 それでは、この管理職員の具体的範囲については、人事院規則で非常に細かく決められていますね。今回の法改正管理職範囲労働組合法二条と同程度のものにするということなわけですけれども人事院規則で具体的に書かれているところの管理職員範囲、これに今回の法改正で変更が生じるのか生じないのか、一応確認をさせていただきたいと思います。
  53. 菅野弘夫

    菅野政府委員 これは、国家公務員につきましては人事院が認証機関ということでございますので、人事院規則でお決めになることでございますけれども、たまたま人事院の者がおりませんので、私から申し上げます。したがって私のお答えが適当かどうかわかりませんけれども法案を立案しております私たちの趣旨といたしましては、現在の人事院規則がこれによってすぐ――すぐといいますか、これによって改正をされることはないのではないかというふうに存じております。
  54. 中川秀直

    中川(秀)委員 それでは次の法人格付与に関する法案ですが、今度の法案によりますと、すでに現行法登録されているものを除く国家公務員職員団体地方公務員職員団体及び混合連合団体、この三つが今度の法律法人格付与される、こういう法案のようでありますが、具体的に今度の法案法人格付与される対象、これは幾つか、ちょっとお伺いをしてみたいと思うのです。  数はなかなかむずかしいと思いますけれども、たとえば公務員労働組合共闘会議公務員共闘、これは国公関係の二十三組合地方公務員労働関係十八組合等が加盟をしているわけですが、これは対象になりますか。あるいは日本国家公務員労働組合共闘会議、国公共闘、これは国家公務員関係十七組合のほか、オブザーバーとして労働組合適用の三組合が加盟をいたしておりますけれども、これは対象になるか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
  55. 菅野弘夫

    菅野政府委員 それぞれのいま御指摘になりましたような団体につきましては、それが連合団体であるかどうかというのが確認できませんとちょっとお答えができないわけでございますので、いま直ちに直接お答えするものを持っておりません。ただ単なる集まった協議体でございますれば、これはここに言うものではございませんし、ちゃんと執行機関を持ったり議決機関を持ったりした、がっちりした団体になっていれば、ここに言うそういうものになるわけでございまして、ちょっといま確認はできておりませんので、お答えになりませんが、抽象的に申しますれば、単に集まってきてその都度その都度協議をする、あるいはその都度でございませんでも、協議体みたいなものになっておるものはそうではございませんし、先ほど申しましたように、執行機関、議決機関を持って、きちんと規約を決め、やっているものについては、形式的にこの対象になるということでございます。
  56. 中川秀直

    中川(秀)委員 いま挙げた二つの団体は事実上常設団体ですね。常設会議ですね。執行機関もございますね。それからもちろん議決機関もございますね。そういうケースの場合は、対象になるのですか。
  57. 菅野弘夫

    菅野政府委員 先ほど申しましたように、具体的な二つについては、いま直ちにお答えできないのですけれども先生言われましたように、そういう執行機関を持ったり議決機関を持ったり規約を持ったりいたしまして、しかもここの法律に申しますような連合団体、混合団体というものに当てはまるものである場合には、当然この対象になるというふうに思います。
  58. 中川秀直

    中川(秀)委員 時間がありませんので、端的にポイントだけお伺いをしてまいります。  今度の法案のもととなりましたのは、四十八年九月の公務員制度審議会答申ということですが、この答申の中の引き続き検討すべき事項というのがございます。そのことについてお伺いをしたいと思います。  自治省お越しだと思いますけれども、この公務員制度審議会答申の第一に「団結権」というのがございまして、消防職員の団結権について、当面は現行制度によるが、「今後のILO審議状況に留意しつつ、さらに検討するものとする。」こうなっている。自治省、消防庁として、この団結権、引き続き検討すべき事項ということになっておるわけでございますが、自治省はどういう御見解を持っておられるか、お伺いしてみたいと思います。
  59. 坂弘二

    ○坂説明員 消防職員の団結権の問題でございますが、先ほど御質問にございましたように、公務員制度審議会におきまして、「従来の経緯にもかんがみ、当面、現行制度によるものとし、」ということになっておりますので、当面、現行制度によっておるわけでございますが、「今後のILO審議状況に留意しつつ、さらに検討するものとする。」ということになっております。  したがいまして、この問題につきましては、現在公務員問題連絡会議におきまして、ほかの、同様に検討すべき事項とされております事項とともに並行的に検討を行っておるわけでございますが、なおこの問題につきましては、きわめて困難な問題でございまして、また三公社五現業等の争議権の問題等の帰趨も見きわめる必要もございますし、また、専門的、技術的、さらに実際的な立場からの慎重な検討を要するところでございますので、現在のところ、どのような方向に向かうかとか、具体的な見通しを申し上げる段階には至っていないわけでございます。
  60. 中川秀直

    中川(秀)委員 大分慎重な御見解ですけれども、いろいろお伺いしているところでは、きわめて消極的な御見解を持っておられるということを伺っておりますが、時間がありませんから、その問題ばかりやっておられませんので、次へ行きます。  その引き続き検討すべき事項の中に、刑罰規定の再検討というのがありますね。これは答申の「その他」というのに入っておりますけれども、「団結禁止違反に対して刑罰を科する範囲は、最小限度にとどめるものとする。また、その他公務員等の労働関係における刑罰規定についても、今後検討を加えることを適当と考える。」こうなっているわけでありますが、この公務員問題連絡会議では、これはどの程度再検討なさっておられるのか、どこまで進んでおられるのか、お伺いしたいと思います。
  61. 菅野弘夫

    菅野政府委員 この問題は、行政処分との関係あるいは国家公務員法なら国家公務員法の中におきます他の刑罰規定とのバランスの問題等がございまして、非常にむずかしい問題でございますので、現在のところ何回かやっておりますけれども、特別ごうごうというふうな方向なり結論なり、まだ出る段階には至っておりません。
  62. 中川秀直

    中川(秀)委員 きょうお伺いをしたかったのは、もう一つ、その最後の、いまから提起をいたします三公社五現業の争議権問題、スト権問題について主としてお尋ねをしたいと思っていたのでございます。  これもこの公務員制度審議会答申のきわめて大事な部分、非常に重点を置いた部分でありますけれども、いわゆる非現業職員も同じでありますが、特に現業職員、三公社五現業の職員についての争議権について、全面否定論と一部付与論と条件つき付与論と三論併記をしているわけですが、その前提としていろいろな、労働組合に対する認識とか、争議権を与えることによる将来の労使関係の見通しとか、事業の停廃が国民生活に及ぼす影響とか事業予算に対する国会の審議権の確保の必要性、そういった各点について留意をして、「可及的すみやかに争議権の問題を解決するため、前述の当事者能力の強化の検討とあいまって、三公社五現業等のあるべき性格について、立法上および行政上の抜本的検討を加えるものとする。」こういう経営形態の問題について政府が何らかの方針を示せ、これがやはり争議権問題の根底に横たわる問題であるという御趣旨答申であるようであります。それを受けて、現在公共企業体等基本問題会議審議をしておるわけでありますが、この基本問題会議は大体いつごろ答申を出しそうな作業の段取りでいまいるわけですか、事務局からお尋ねをしたいと思います。
  63. 平賀俊行

    ○平賀説明員 お答えいたします。  公共企業体等基本問題会議は、先生指摘のありました経営形態あるいは三公社五現業の当事者能力あるいはその法令関係等の懇談会を設けまして各具体的な問題を審議しておりましたが、現在これらの問題を取りまとめて、基本問題会議として争議権の問題にも関連した御意見の取りまとめ作業中で、この結果来月、六月の中旬あるいは下旬に結論を出すべく御審議中であると承知しております。
  64. 中川秀直

    中川(秀)委員 来月の中旬ということですが、これは昨年の秋の十一月の新聞でありますけれども、この基本問題会議労使双方から一連の意見聴取を行ったところが、この公共企業体の経営形態変更について意見聴取をしたのだけれども労使とも事業の公共性などを理由に民営論や分割論に反対、現状維持を強く主張したという報道がなされております。  時間がありませんから、具体的に申し上げませんが、郵政事業においても郵政省、全郵政が反対である、アルコール専売においても反対である、国鉄においても反対である、たばこ、塩専売事業においても反対である、国有林野も反対、電報電話事業も反対というぐあいに、労使とも強く反対をしている、こういう報道がなされているのですが、一連の意見聴取で、そういう新聞報道のとおり労使ともに大変強い反対意見が出て、賛成意見はほとんどなかったのかどうか。これは事実の問題として確認をさしていただきたいと思います。
  65. 平賀俊行

    ○平賀説明員 お答えいたします。  経営形態の各部会で、関係当局及び各組合の代表からの御意見の聴取がありましたが、経営形態については現状のままを望むという意見でございました。
  66. 中川秀直

    中川(秀)委員 いわゆる各使用者側といいますか、三公社五現業の当局にも、公務員制度審議会からそういう答申が出ている中で現状に固執する意見ばかり言っているということについても、私は時間があればじっくりと質疑をしたいところでありますが、ひとつ私ども見解考え方だけきちっと申し上げて、六月中旬に答申が出た場合は、答申に沿って結論を出される御決意が大臣にありやなしやということをお尋ねしたいわけであります。  もちろん私たちは、三公社五現業の経営形態について、単にスト権だけの問題で議論すべきであるなどとは考えておりません。もっと問題は大きいはずであります。しかし、この公務員制度審議会の四十八年の答申にもございますように、スト権の問題を議論するからにはやはり経営形態の問題まで触れざるを得ない、これはもう時の声ではないかと思うのであります。私どもは、いまの三公社五現業という分類自体全く歴史的なものにすぎず、共通性はないと思います。たとえば国鉄がストをすれば大変な問題ですけれども、専売公社がストをしても、たばこを吸わない人には関係ないわけでありますし、たばこを吸う人にとっても、専売が一週間や十日ストをしても店頭からたばこが消えるわけではありません。そうすると、三公社五現業と言っても、公共性の程度がいろいろある。たとえば専売の当局者すらストが悪いと思っていないかもしれない。とすれば、専売公社の公共性というものは国鉄に比べれば薄いと言わざるを得ない。なぜ公社制度をとっているか、それはその利益から納付金を召し上げて財政収入にするためでありますが、これをたばこの消費税というふうにしておけば、たばこ事業においての公共性はそうかちっと決めておく必要はないのであります。むしろ民営にした方が望ましいということも言えるわけであります。  結論的に申しますと、三公社五現業を見直して、その中でどうしても国がやらねばならないもの以外は、経営上の効率から言っても、できるだけ民営もしくは民営類似のものにしていく、そうすることによってスト権を認めていく、こういう考え方を当然とるべきではないかと思うのであります。同時にまた、逆に強い公共性があってどうしても国がやらねばならぬものは、親方日の丸にならないように当事者が努力することは当然でありますが、経営上の非効率が多少出ても国営でいかざるを得ない。それはいたし方のないことであって、その場合には国会でのチェックが尊重されるべきだし、当然当事者間での物事の処理やスト権に制限が及ぶのはやむを得ないことではないか、こう思うわけであります。  したがいまして、われわれは、これは私ども見解の一部でありますけれども、三公社の抜本的な改革をすべきであって、国鉄の現状を打破するために、国鉄については国有民営方式を大胆に検討すべきだ。具体的には、国鉄の土地及び全施設は国有として、その土地、施設を民間企業に賃貸するケースがあってもいい。営業権を民間企業に払い下げることがあってもいい。この場合、全国を数地区に分割することも適当かもしれない。少なくともそういったかっこうで現状を改革していくべきである。電電公社については、当面、電話の普及の現状に対応して、電報業務の一部廃止等、合理化を進めて、将来、民営化を含めた抜本改革を検討する。専売公社については、民営化を推進する。郵政、林野、印刷、造幣、アルコール専売の五現業についても、その事業の内容に応じてその経営のあり方を再検討すべきだ、私どもはこういう見解を持っているわけであります。そういう具体的な経営形態の論議まで立ち入ってスト権問題の結論を出すべきだ、こう思うわけであります。  さて、そこで大臣、六月中旬に答申が出たら、その内容いかんを問わず尊重して、速やかに公共企業体等関係閣僚会議を開いて、答申に沿って結論を出すべきだと思いますが、総務長官の御決意はいかがでございますか。
  67. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 関係閣僚の一員といたしまして、答申が出されたならば慎重に、十分に検討してみたいと思っております。
  68. 中川秀直

    中川(秀)委員 長い間にわたる経過のある問題で、しかも相当のエネルギーを費やして、それは国費も含めまして、審議会が開かれ、その審議会が各界各層のいろいろな声を聞き、国民の声に耳を傾けながら出した答申を、またまた慎重に考えて結論を出したいと言うだけではいけないと私は思う。それだったら、審議会なんかおつくりになるのはおやめなさい。せっかくお聞きになるからには、総務長官のお立場関係閣僚会議の一員として、答申に沿って努力するぐらいの御答弁があってしかるべきではないかと思います。いかがでございますか。
  69. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 ただいまお答えを申し上げましたように、事きわめて重大な問題でございますので、関係閣僚の一員といたしまして、答申が出されたならば慎重に、十分に検討してみたいと思っております。
  70. 中川秀直

    中川(秀)委員 大変残念ですが、質問を終わります。
  71. 始関伊平

    始関委員長 これにて両法律案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  72. 始関伊平

    始関委員長 これより国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案及び職員団体等に対する法人格付与に関する法律案の両案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。栂野泰二君。
  73. 栂野泰二

    栂野委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案並びに職員団体等に対する法人格付与に関する法律案について反対の討論を行います。  初めに、国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案についてでありますが、本法案は、管理職員等の区分を労働組合法二条の規定に準じて整備すべしという四十八年九月に出されました公務員制度審議会答申を受けて、提出されたものであります。  公務員制度審議会がこのような答申を出すに至った趣旨は、現行法の「管理若しくは監督の地位にある職員」という管理職範囲についての規定の仕方は余りにも簡単で、解釈の仕方いかんによっては、管理職範囲が不当に拡大される危険があり、事実、この規定根拠にして人事院規則人事委員会規則公平委員会規則によって具体的に定められております管理職範囲拡大され過ぎている実情がありますので、これを是正し、管理職範囲をせめて労働組合法並みに狭くすべしということにあるのであります。このことは、公務員制度審議会審議経過を見れば明らかであります。  そもそも公務員を含むすべての勤労者が、その社会的、経済的地位を向上させる手段として、もっぱら自己の意思により自主的、主体的にみずからの団結体、つまり労働組合を結成し得ることは、わが憲法二十八条の保障するところであります。だれを労働組合の構成メンバーとし、だれをそのメンバーから排除するかは、もっぱら労働組合自身が決定すべきことで、使用者行政がこれに介入することは許されないというのが原則であります。  ILO八十七号条約もまたその第二条において、「労働者及び使用者は、事前の認可を受けることなしに、自ら選択する団体を設立し、及びその団体の規約に従うことのみを条件としてこれに加入する権利をいかなる差別もなしに有する。」と規定し、このことを明確にうたっているのであります。  したがいまして、多くの労働法学者が指摘しているように、憲法二十八条及びILO八十七号条約に照らしてみれば、組合員資格について一定の制限を加えている労働組合法二条の規定すら不当であると言わなければなりません。  以上の経過にかんがみ、公務員制度審議会答申は、現行法をせめてその労働組合法二条に準じて改正せよと言っていると考えなければなりません。  ところが、本委員会の質疑を通じて明らかになったことは、本法案は、公務員制度審議会答申の手前、申しわけ的に「管理若しくは監督の地位にある職員又は機密の事務を取り扱う職員」という抽象的で簡単な字句をやや具体的に詳しく書き直したというだけのものであって、現在管理職範囲が不当に拡大されているという実態の是正にはいささかも役立ちません。これでは法改正意味が全くないと言っても過言ではないのであります。本法案提出の本来の趣旨に反するものでございます。  以上が本法案に対する反対理由であります。  次に、職員団体等に対する法人格付与に関する法律案についての反対理由を申し述べます。  自治労や日教組などは、すでにれっきとした大労働組合としての実体を備え、社会的、経済的活動を行っておりますが、現行国家公務員法地方公務員法では職員団体としての登録資格が与えられておりません。つまりいわば法律上認知されない労働組合として、登録組合とは在籍専従、交渉権、法人格取得などで差別扱いされているのでありますが、こうした差別を生ずる登録制度は、労働組合の自主性に対する不当な制限、干渉を許すもので、本来廃止さるべきものであります。少なくとも現行法登録要件は余りにも厳格に過ぎ、これを緩和すべしとする意見が大勢を占めるに至っております。  昭和四十八年九月に出されました公務員制度審議会答申は、右のような実情を踏まえまして登録制度について論議を行った結果、登録制度の全般的改革はしばらくおくとして、とりあえず法人格付与についての差別扱いは「登録制度とは切り離して、これを付与するものとする。」こういう結論を出したのであります。この公務員制度審議会答申の背後には、労働組合に対する法人格現行法登録制度のような要件を要求することなしに当然に付与しなければならないとするILO八十七号条約第七条の規定が存在することは言うまでもありません。  本法案は、右のような経過に立つ公務員制度審議会答申を受け、これを法制化するために提出されたものであります。だとするならば、本法案としては、自治労や日教組などの組織、運営の現状には手を触れることなく、法人格付与のために必要最小限の要件、手続だけを規定すれば、その目的を達成するはずであります。  ところが、本法案は、一見してわかりますように、規約の認証、取り消しなどにおいて法人格取得のために登録団体登録要件と全く同様の厳格な要件、手続を要求しているのであります。これでは、法人格を取得したいのならば登録団体と同じ規制に服せよということでありまして、本法案提出の本来の趣旨を逸脱することはなはだしいと言わなければなりません。  以上が本法案に反対する理由であります。  これをもって二法案に対する反対討論を終わります。
  74. 始関伊平

  75. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 国公法及び地公法の一部を改正する法律案並びに職員団体等に対する法人格付与に関する法律案に対し、日本共産党・革新共同を代表して、反対の討論を行います。  初めに国公法・地公法改正案についてであります。  本案は、第三次公制審の最終答申に基づいて、管理職員範囲についての現行規定を労組法第二条の規定に基づいて整備するとともに、登録された職員団体登録取り消しの効力発生につき、裁判所へ出訴している期間及び訴訟係属中はその効力が生じないことに改めようとするものでありますが、登録取り消しの効力発生時期の改定については、現状を一定程度改善するものであり、本改定部分には反対するものではありません。  しかし、管理職員範囲についての改定部分には、第一に、法形式上は現行よりも一定程度具体的、限定的な規定に改めようとするものではあっても、現行の運用基準は何ら変更されず、現状改善するという点では何一つ前進面がない。第二に、「重要な行政上の決定に参画する」とか「当局立場に立って遂行すべき職務を担当する」というように、拡大解釈根拠にもなり、恣意的な運用を可能にする規定が依然として残されている。第三に、憲法やILO八十七号条約規定に沿って現状改善するという点ではほとんど意味がなく、ドライヤー委員会勧告条約勧告適用専門家委員会意見に対してさえまともにこたえるものになっておらず、世界の公務労働関係の趨勢に逆行するものとなっているなどの欠陥と問題があります。  本案は、全体としては公務労働関係現状固定化を目指した公制審最終答申の具体化の第一弾とも言うべきものであり、公務労働関係現状をより巧妙に固定化し、その基本的な改善を将来に引き延ばすために役立つものでしかないと断ぜざるを得ません。  次に、法人格付与法案についてであります。  本案は、公制審最終答申に基づき、現行登録制度とは別に、非登録団体に対して新たに法人格付与しようとするものでありますが、第一に、認証の要件として職員団体の団結自治に係る団体行動や役員選出等についての組合規約の内容に規制を加えたり、認証取り消し事由として職員団体に二重、三重にわたる規制を加えたり、さらには認証団体に対し、関係当局が「報告又は資料の提出を求めることができる。」というような、不当介入の根拠となるような条項を設けるなどの問題があり、第二に、法人格の取得について自由に規約を作成し、自由に役員を選び、自由に団体管理運営することができるという結社の自由を制限するような条件を付してはならないというILO八十七号条約に明らかに違反し、「全国的な労働組合組織」――自治労や日教組、日高教など――「をして法人格を享有せしめるよう法律改正すること」としたドライヤー委員会勧告に対してさえ、まともにこたえるものになっていない。  第三に、本案は、公務関係現状固定化を目指した第三次公制審最終答申の具体化であり、第二の登録制度とも言うべき内容となっているのであります。  本案も、国公法・地公法改正案と同様、世界の公務労働関係の趨勢に逆行するというだけでなく、公務労働関係現状を、より巧妙に固定化するために役立つものでしかないと断ぜざるを得ません。  以上の理由をもって国公法・地公法改正案及び法人格付与法案の両案に対し、反対するものであります。
  76. 始関伊平

    始関委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  77. 始関伊平

    始関委員長 これより順次採決いたします。  まず、国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  78. 始関伊平

    始関委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、職員団体等に対する法人格付与に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  79. 始関伊平

    始関委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、稻村総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。稻村総理府総務長官。
  80. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 ただいま国家公務員法及び地方公務員法の一部を改正する法律案並びに職員団体等に対する法人格付与に関する法律案につきまして御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。
  81. 始関伊平

    始関委員長 なお、ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  83. 始関伊平

    始関委員長 次回は、来る六月六日火曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十三分散会