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安井委員 いずれにしても、日本は少数派であることには間違いないわけですよ。とにかく特別法で明確に禁止をしている、たしか私の聞いている
範囲ではキプロス、ナイジェリア、スーダン、それと日本、光栄ある孤立の四カ国の一国であることには間違いないわけです。ですから、
ILOの議論をずっと一わたり読んでみますと、日本がなぜ孤立をしてまで消防の
団結権を認めないで警察と同じものだ、同じものだ、こう言っているのかということを不思議がっているというふうな感じを受けます。非常に
注意深い言葉を勧告その他で書かれているわけですけれども、よく読んでみればそれが紙面の後ろから浮き上がっているような感じがするわけです。警察と消防が同じだという議論にしても、
政府は今度も恐らくこの議論の蒸し返しをするのじゃないかと思うのですが、いままでの
ILOのいろいろな
機会に言っている言葉でも、同一視するということにもうありとあらゆる精力を使って、性格が違うのではないかということへの反省については、もう全然一言も触れられていないということではないかと思います。もう少しじっくり腰を落ちつけて物を
考えていただきたい、こう思うわけであります。
いろいろな強制執行権を警察は持っているし、それと同じように消防も持っているということも同一視の理由に挙げておられるようでありますけれども、同じ自治体の
職員には、税金の徴収とか保健衛生であるとか建築の許可、認可あるいは土地収用の場合、いずれも国の場合も自治体も同じですけれども、
法律的に強権を持たせている
職員はたくさんいるわけですね。しかし、それらは同時に
団結権を与えています。歴史的にそうだ、こういうような言い方をするが、なるほど警察の配下に置かれた時期も、しかも法制的に明確にされた時期もあったことは間違いありません。しかしいまはどうなんですか、いまは全く別なものになっているわけで、昔一たん自治体消防になった後、もう一度国家権力が及ぶような国家消防本部などという
仕組みにしてみたり、都道府県消防にしようなどという
法案が消防
組織法の
改正として出てきたこともあって、もうずいぶん昔の話になりますけれども、私もずいぶんがんばってあの消防
組織法をつぶしました。それでいまの消防
組織法で市町村消防の実態があるわけでありますけれども、過去にそういう例があったからといって、警察と消防とは同じものだという
考え方自体をいつまでも持ち続けているということに問題があるのではないか。
あるいは消防団との
関係をよく例に出されているようでありますけれども、なるほど消防団というボランティアの
仕組みと消防署員というものとが同じ仕事をしながら、一方が
団結権を持つということでは他方は反発をするのではないかということもありますけれども、しかし、地方自治法の中で自治体の固有事務ということに消防の仕事がなっている以上、消防署が置かれればそれが本体なんですから、その仕事の一部を相変わらずボランティアの方に預けてしまっているという
姿勢そのものが問題なんで、財政的にもそういうことがないような明確な措置をやることが先決なんで、それをサボっていて、消防団との間でこの問題について何かことさらにトラブルを起こさせよう、そういうような
仕組みを私は理解するわけにはいかぬ。ボランティアと言えば、福祉
関係の
職員と福祉
関係のボランティアの
活動と私はよく似ているように思うのですね。一、二、
政府がいままで警察と消防は同じものだという主張に対する反論といいますか、私の疑問を投げかけたわけでありますが、
長官、これはどうですか。