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中川(秀)
委員 大臣、これは私が言うというのでなくて、
国民の立場から言ったら、いまの御答弁では甘いのですよ。全然甘い。たとえば本当に行政機構の簡素化をしようと思ったら、まず上から範をたれていかなければいけない。私
どもは、行政改革に当たっては国
会議員の数から減らしていけというぐらいの非常にドラスチックな発想で考えているわけなんですが、各省庁においてもむしろ簡素合理化するならば本庁も、そして管理職相当職以上もかなり縮減していく、そういうやはり姿勢の問題を非常に重視するわけです。
そういう
意味から言うと、今度の法案は、大分ぎりぎり詰めて目いっぱいやったんだ、評価すると大臣はおっしゃったけれ
ども、数が何よりも証明している。減っているなら、そういうことも多少は言えるかもしれないけれ
ども、純然たる増員ですから。三人ふえているのですよ。これで減りましたなんて胸を張って言ってもらったんじゃ困る。事実がふえているんですから。第一、林野庁の次長なんというのは、かつて七十国会で提案されて国会で削除されているんです。それをまた新設する。森林開発公団監理官は行政職二級職ですよ。これが次長ということになれば今度は指定職です。完全にランクアップです。かつての国会で提案されて削除されたのをまた出してきている。
それからいま大臣、
食糧事務所のことについて、
消費者向けのサービスも求められているんだとおっしゃいました。確かに今度は流通
関係の事務も行えるようにこの改正案ではなっていますけれ
ども、問題の
食糧事務所全体の再編あるいは整理統合、縮減といった古くて新しい問題については、
基本的な
部分で
農林省としては何ら手はつけていないのですね。
そういうことをいろいろ考えてみまして、私は今度の法案は、行政簡素化などという言葉で表現できる法案ではないという気がしてならない。そういう表現をお使いにならないで、むしろ農林行政のニーズに対応するためにやりましたというならまだそれはやや正確でありますけれ
ども、行政簡素化、簡素化といろいろなところに書いてある、それを読んでそのつもりで、それじゃ果たして水産行政というものは企画部門と実施部門を分けているのだろうかとか、あるいは数は減るのだろうかとか、古くて新しい
食糧事務所の改編などには手をつけておられるのだろうかということを検討してみると、全く答えは逆
方向である。そういう
意味で私は、本当に残念な法案だと言わざるを得ないのであります。
そこでちょっと一、二
関係者の声を大臣にお聞き取りを願いたいのです。この法案への賛否について、特に林野庁
部分については、先ほど来各
委員がいろいろお尋ねになっていて、また大臣も、地元の問題ですから、よくいろいろな方の御
意見は聞いていらっしゃると思うのですが、まず組合側の方からは、あえてくどくどは申し上げませんけれ
ども、たとえば国有林野事業の立て直しの法案ではなくてむしろ崩壊させていく法案である。たとえば私が
関心のあるところだけ申し上げますけれ
ども、組織改編、簡素化と言うけれ
ども、屋上屋を重ねて合理化になっていないじゃないかということも反対理由の
一つに挙げられているのです。こういう反対理由なら私も賛成です。合理化になっていない。合理化すべきだというなら私も賛成なんですが、少なくとも組合側の反論の中には、
政府は国有林野事業経営改善のために行政機構を合理化するんだ、こう言っているけれ
ども、ほとんど合理化になっていないということを組合側からも言っている。
あるいは林業界の方からでは、きわめて不満だ、不況下の
需要停滞や外材の
供給増で、本当に業界自身は研ぎ澄まされたやいばの上を歩いているようなものだ、しかるに国有林野事業は相も変わらず親方日の丸経営で、民間コストの倍、間接費を入れれば数倍のロスを平気で続けている、立木代をただにしても赤字を出して官業部門は倒産がなくてうらやましい、こういったコスト高が業界を苦しめているんだ、もはや直営直用システムを廃止して、よりよい
方向に変えていくべきだ、そういう強い決断を持つべきだ、そういう強い不満が出ているわけです。しかし、初の合理化案であるから、段階的にこれからやっていくということで、不満ではあるけれ
ども賛成する、こういう
意見です。
いずれにしても、この法案の大臣が御答弁になった行政の合理化という点についてはきわめて不徹底であるということを、期せずして、それぞれ結論の
方向は違うけれ
ども一致した
意見として組合側も業界側も言っている。
私
どもは、いろいろ今回の法案のことについて考えてみたのでありますけれ
ども、まさに構造的な赤字財政のもとで、行政を簡素で効率のよいものに変える
努力は何にも増してしていかなければいけない。特に
わが国がこれから新しい活力を求めるとするならば、技術のフロンティアか秩序、組織のフロンティアしかない。そういう
意味からいったらもう徹底的にやらなければいけないというわれわれの立場で物事を考えているわけですが、そういう立場から考えると今回の法案は、全面的に反対するものではありませんけれ
ども、先ほど指摘したような各点にわたってきわめて安易な法案だと思うのです。安易ですよ。簡単過ぎる。本気でそういった問題意識を持って取り組んだ法案という印象がどうも薄い。真剣に考えると本当に賛否に迷うという感じがするのです。ましてや原案より後退をするなどということがあったら、われわれは断固容認できないという気持ちなんです。
大臣、いまの業界の民営業者の方々の、本当に研ぎ澄まされたやいばの上を歩いているようなものだ、しかるに片方の親方日の丸経営は平然と民間コストの倍や数倍のコストを出して続けているんだ、簡素化に
一つもなっていないじゃないかというような声、それから私
どもの認識について大臣の御見解、いかがですか。今後どういうふうにか生かしていこうというならば、前向きのひとつ御決意を
伺いたいと思うのです。